説明

モールド・イン・プレース型ガスケット用、改善されたシール特性を有する組成物

本発明は、モールド・イン・プレース型ガスケットのための特徴的な改善されたシール特性を有する組成物およびモールド・イン・プレース型ガスケットを液体注入成形によって形成するための方法に関する。より具体的には、本発明は、改善された弾性率およびシール特性を有し、(メタ)アクリレート官能基化シリカ、可塑剤、またはそれらを共に包含するモールド・イン・プレース型ガスケット組成物、ならびにそのようなモールド・イン・プレース型ガスケットを形成するための方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、モールド・イン・プレース型ガスケット用の改善されたシール特性を有する組成物、および液体注入成形によるモールド・イン・プレース型ガスケットを形成するための方法に関する。より具体的には、本発明は、改善された弾性率およびシール特性を有し、(メタ)アクリレート官能基化シリカ、可塑剤、またはそれらを共に包含するモールド・イン・プレース型ガスケット組成物、およびそのようなモールド・イン・プレース型ガスケットを形成するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(関連技術の簡単な説明)
従来、モールド・イン・プレース型ガスケットは、ガスケット形成材料をモールドに液体注入することによって形成されてきた。典型的な方法は、高温および/または高圧の液体注入を利用することを含む。例えば、典型的な方法は、Sakaiらの米国特許第5,597,523号公報に記載されている。成形方法および成形デバイスは、24,500kPa(3,500psi)の高い圧力および250℃(480°F)の高い温度を共に必要とする。上部および下部モールドは、かみ合わせられてそれらの間にあるモールドキャビティを決定する。液体ガスケット材料、例えば、エポキシ樹脂またはプラスチックゴムは、2,900kPa(430psi)でモールドキャビティにポンプで送られる。モールド(ガスケット材料がキャビティ内に配置されている)は、24,500kPa(3,500psi)の高い圧力で共にクランプされ、そして250℃(480°F)の高い温度に加熱される。ガスケット材料が硬化された後、モールドおよびガスケットは室温に冷却される。しかしながら、そのような短いサイクル時間で、そのような高い圧力および温度を利用するには、典型的にはガスケットを形成するために極めて精密さを維持しながら、圧力および温度におけるそのような大きな変動に耐えることができる金属モールドを使用する必要があり、このことは、装置および方法に経費がかかり、かつ運転を困難にしている。
【0003】
有用なモールド・イン・プレース型ガスケットは、許容できる圧縮率を維持しつつ、高弾性率、シール力および引張強度を有することが望ましい。一般的に、弾性率、シール力および/または引張強度を改善する技術は、圧縮率または他の物理的特性の低下を生じ、望ましくない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これまで、モールド・イン・プレース型方法によってガスケットを形成するための組成物に対する要求が存在し、その組成物は、圧縮特性を損なうことなく高弾性率組成物およびより高いシール力のための改善された圧縮特性を示す。さらに、そのようなガスケットを形成するための方法が必要とされており、そのガスケットは、より低い温度で有効なシール力を維持することができる。また、化学線硬化性組成物およびそのような改善されたガスケットを形成するために有用な方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の1つの態様では、改善された圧縮率を有する化学線硬化性組成物が提供され、それはポリアクリレート、(メタ)アクリレート官能基化シリカ、および光開始剤を含む。
【0006】
本発明の他の態様では、モールド・イン・プレース型ガスケットを製造するための方法が提供され、その方法は、以下のステップ:改善された圧縮率を有する化学線硬化性組成物を提供するステップであって、この組成物はポリアクリレート、(メタ)アクリレート官能基化シリカ、および光開始剤を含み;包囲されたガスケット形成キャビティおよびキャビティと連通している注入ポートを決定する注入モールドを提供するステップであって、このモールドは、さらに、それを通して化学線透過を可能にする化学線照射実行手段を有し;少なくとも部分的にキャビティを充填するために組成物をモールド中に注入するステップ、および;ガスケット形成キャビティ中でガスケットを形成するために、化学線照射実行手段により、モールド中の組成物を硬化するのに充分な量で化学線を透過するステップ、を含む。
【発明を実施するための形態】
【0007】
(発明の詳細な説明)
モールド・イン・プレース型ガスケットの形成のために、本発明の組成物を、様々な有用なモールドで使用することができる。任意の従来のモールドを使用することができる。従来のモールドは、上部モールド部品および下部モールド部品が相互に連通してかみ合いモールドキャビティを形成するように設計されている前記2つの部品、およびモールドキャビティと流体連通している注入ポートを含む。キャビティは、所望の任意の形状または大きさであってよい。少なくとも1つのモールド部品は、それを通して化学線を透過するのが望ましい。液体ガスケット形成組成物は、注入ポートを通じてモールドキャビティ中に導入されてよい。組成物を注入し、硬化させてガスケットを形成することができる。望ましい態様では、化学線に曝すことによって硬化を助長することができる。この態様では、化学線の供給源が提供され、化学線はモールドキャビティを通って組成物へと透過する。
【0008】
本発明に関連して有用な化学線としては、紫外線、可視光、およびそれらの組合せが挙げられる。本明細書で用いる場合、「化学線」は、約200nmから約10,000nm、望ましくは約200nmから1,000nmの波長を有する電磁放射線を意味し、それは直接的または間接的に、樹脂組成物の特定の樹脂成分を硬化することができる。この文脈において間接的硬化とは、他の化合物によって開始、促進、またはある場合には介在されるような電磁放射線条件下での硬化を意味する。有用な紫外線(UV)としては、UVA(約320nmから約410nm)、UVB(約290nmから約320nm)、UVC(約220nmから約290nm)およびそれらの組合せが挙げられるが、それらに限定されない。有用な可視光としては、青色光、緑色光、赤色光、およびそれらの組合せが挙げられるが、それらに限定されない。そのような有用な可視光は、約450nmから約550nmの波長を有する。
【0009】
モールド部品が実質的に隣接した関係で配置される場合、供給源から発生した化学線は、モールドキャビティ(ここに、ガスケット形成組成物が置かれる)へ透過可能である。化学線がキャビティへ透過される方法は、化学線透過性部品を使用することを含んでいてよく、この場合には、化学線は直接的に部材を通して透過されうる。化学線透過性部品は、モールド部品のいずれか一つ、または両方、もしくはいずれか一つのモールド部品の一部であってよい。さらに、透過性部品は、モールド部品(単数または複数)中に、化学線がモールドキャビティへ移動できる1つ以上の導管であってよい。透過性部品または透過性部品の一部は、透過性熱可塑性材料、例えば、ポリカーボネートアクリレート、シリコーン、ポリイソブチレンまたは他の透過性ポリマー状部材から製造することができ、および/または通路、例えば、導管または光ファイバー・ケーブルを含むことができ、それにより化学線が透過または通過可能になる。
【0010】
また、着脱可能なプラスチックライナーを提供することができ、それは、化学線透過性部品のあわせ面に対して隣接して配置される。ここで、プラスチックライナーは、化学線透過性材料を含まなければならない。
【0011】
本発明の他の態様では、ガスケット形状キャビティを形成するモールド部品の1つは、それ自体製造品、または車両の一部分、例えば、バルブカバーのような製造品の一部であってよい。本発明方法によって、本発明の組成物を直接的にそのような製造品、またはその一部の上で形成することができる。すなわち、本発明のガスケット形成組成物を硬化し、化学線照射実行モールド部品を除去して、必要なガスケットを伴った物品または一部を製造し、このことで、別途形成したガスケットを機械的および/または化学的に取り付ける必要がなくなる。
【0012】
本発明は、モールド・イン・プレース型ガスケットを形成するのに有用な化学線硬化性組成物を提供する。本発明のモールド・イン・プレース型ガスケットは、充分な圧縮レベルを維持しながら、圧縮下で改善された引張弾性率およびシール力を示す。
【0013】
ガスケットを形成するために有用な化学線硬化性組成物用の材料としては、化学線硬化性シロキサン、ポリアクリレート、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリオレフィン、ポリエステル、それらのコポリマーおよびそれらの組合せが挙げられる。
【0014】
硬化性のガスケット形成組成物としては、少なくとも1種のモノマーを含むことが望ましい。本発明で使用されるモノマーとして、(メタ)アクリレートモノマーが望ましい。そのようなモノマーは、柔軟性または硬直性のいずれかとして特徴付けられることが望ましい。モノマーの選択が、得られるシーラント製造物の所望の特性によって決まることは当業者とって明らかと思われる。(メタ)アクリレート成分においては、HC=CGCORによって表される広範な種類の材料が存在し、ここでGは、水素、ハロゲンまたは1から約4の炭素原子数のアルキルであってよく、Rは、1から約16の炭素原子数のアルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルカリール、アラルキルまたはアリール基から選択されてよく、それらのどれもが任意に、シラン、シリコーン、酸素、ハロゲン、カルボニル、ヒドロキシル、エステル、カルボン酸、尿素、ウレタン、カルバメート、アミン、アミド、硫黄、スルホネート、スルホンなどで置換、または差し込みを受けていても良い。
【0015】
本発明で使用するのに特に望ましい、さらに具体的な(メタ)アクリレートモノマーとしては、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、望ましくはトリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ビスフェノール−Aジ(メタ)アクリレート、例えば、エトキシ化ビスフェノール−A(メタ)アクリレート(「EBIPA」または「EBIPMA」)、およびテトラヒドロフラン(メタ)アクリレートおよびジ(メタ)アクリレート、シトロネリルアクリレートおよびシトロネリルメタクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート(「HDDA」または「HDDMA」)、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラヒドロジシクロペンタジエニル(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート(「ETTA」)、トリエチレングリコールジアクリレートおよびトリエチレングリコールジメタクリレート(「TRIEGMA」)が挙げられる。
【0016】
ここでは本発明で使用するのに適したウレタン−アクリレートモノマーの例が、ただ例証する目的でのみ示されている。しかし当然のことながら、非ウレタンアクリレートおよびメタクリレートを含めて、あらゆるアクリレート樹脂が本発明において使用されうる。本発明で使用されるモノマーは、ポリウレタンポリアクリレートモノマーが望ましい。そのようなモノマーの例は、Gormanらの米国特許第3,425,988号公報に記載されており、特に参照により本明細書に組み込まれる。これらのモノマーは、下記の一般式:
【0017】
【化1】

で表すことができ、式中、Bは、置換されたおよび置換されていないアルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、アルカリールおよび複素環式基からなる群より選択される多価有機基であってよく;Xは、−O−および
【0018】
【化2】

基からなる群より選択されてよく;nは、2から6を含んだ整数であってよく;Rは、水素、塩素ならびにメチルおよびエチル基からなる部類から選択されてよく;およびRは、1から8の炭素原子数の低級アルキレン、フェニレンおよびナフタレン基からなる群より選択される二価有機基であってよい。
【0019】
追加して、ウレタン−アクリレート−キャップ化ポリ(アルキレン)エーテルポリオールモノマー、例えば、Bacceiにより米国特許第4,018,851号公報に記載されたものは、特に参照により本明細書に組み込まれ、本発明で使用されてよい。さらに、ウレタン−アクリレート−キャップ化ポリブタジエン系モノマー、例えば、Bacceiにより米国特許第4,295,909号公報に記載されたものは、特に参照により本明細書に組み込まれ、本発明で使用されてよい。
【0020】
本発明で有用な追加のモノマーとしては、一般式:
【0021】
【化3】

を有するアルキレングリコールジアクリレートが挙げられ、式中、Rは、水素、1から4の炭素原子数を含んだ低級アルキル、1から4の炭素原子数を含んだヒドロキシアルキル、および
【0022】
【化4】

から選択される基を表し、式中、Rは、水素、ハロゲン、および1から4の炭素原子数の低級アルキルから選択される基であってよく、Rは、水素または−OHおよび
【0023】
【化5】

から選択される基であってよく、式中、mは少なくとも1、望ましくは1から8、さらに望ましくは1から4に相当する整数であってよく、nは少なくとも1、望ましくは1から20に相当する整数であってよく、およびpは0または1であってよい。
【0024】
本発明で有用な追加のモノマーとしては、モノ−、ジ−、トリ−、テトラ−およびポリエチレングリコールジメタクリレート、ならびに対応するジアクリレート;ジ(ペンタメチレングリコール)ジメタクリレート;テトラエチレングリコールジ(クロロアクリレート);ジグリセロールジアクリレート;ジグリセロールテトラメタクリレート;ブチレングリコールジメタクリレート;ネオペンチルグリコールジアクリレート;およびトリメチロールプロパントリアクリレートが挙げられる。
【0025】
有用な重合架橋性成分は、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、1,2−ブチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパンエトキシレート、トリ(メタ)アクリレート、グリセリルプロポキシレートトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、トリ(プロピレングリコール)ジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールプロポキシレートジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレートおよびそれらの組合せである。他の有用なモノマーとしては、ビスフェノール−Aから誘導されたそれらのアクリレート、例えば、ビスフェノール−Aジメタクリレート、水素化ビスフェノール−Aジメタクリレート、およびエトキシ化ビスフェノール−Aジ(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0026】
ガスケット形成組成物としては、ポリアクリレートを含むことが望ましい。そのようなポリアクリレートとしては、一般に、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、メチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、エトキシ化ビスフェノール−A−ジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジ−トリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレートおよび対応するメタクリレート化合物が挙げられる。特に望ましいポリアクリレートとしては、アクリレート末端テレケリックポリアクリレートが挙げられる。また、有用なのは(メタ)アクリル酸とエポキシド樹脂との反応生成物、およびウレタン樹脂との反応生成物である。適したポリ(メタ)アクリルエステル化合物は、また米国特許第4,051,195号、同2,895,950号、同3,218,305号、および同3,425,988号各公報に記載されている。
【0027】
ジ−および他のポリアクリレートエステルは、特に望ましいことが見いだされたが、単官能アクリレートエステル(1つのアクリレート基を含有するエステル)も使用することができる。単官能アクリレートエステルに関しては、比較的極性のアルコール部分を有するエステルを使用することが望ましい。そのような材料は、低分子量のアルキルエステルより揮発性が低く、さらに重要なことは、極性基は硬化の間および後に分子間引力を与える傾向があり、すなわち、より望ましい硬化特性、ならびにより耐久性のシーラントまたは接着剤を生み出す。特に望ましいのは、不安定な水素、複素環式、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、およびハロゲン極性基から選択される極性基である。この部類中の有用な化合物の例としては、シクロへキシルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、t−ブチルアミノエチルメタクリレート、シアノエチルアクリレート、およびクロロエチルメタクリレートが挙げられる。これらの材料は、様々な他の重合性材料と共重合することができる反応性希釈剤として包含されることが多い。
【0028】
アクリレート末端テレケリックポリアクリレートは、望ましくは約1,000から約100,000、さらに望ましくは約3,000から約40,000の分子量を有することができる。アクリレート末端テレケリックポリアクリレートは、約10Pas(10,000cPs)から約120Pas(120,000cPs)の粘度を有することが望ましい。さらに、モノマーは、約1.0から約1.30の比重を有することが望ましい。特に望ましいアクリレート末端テレケリックポリアクリレートは、Kaneka Corporation(日本)から、例えば、商品表示RC220C、RC120C、RC200C、RC100C、XX013CおよびXX039Cの市販品が入手可能である。RC220C、RC210C、RC200CおよびXX013Cは、各々、置換および未置換アルキルアクリレート、例えば、エチルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレートおよびn−ブチルアクリレート(分子量によって変わる)の組合せのターポリマーであるが、RC100Cは、n−ブチルアクリレートのホモポリマーである。
【0029】
また、本発明の組成物は、(メタ)アクリレート官能基化シリカを含む。多くの例において、そのような(メタ)アクリレート官能基化シリカは、活性ヒュームドシリカ(それは「官能性」ヒュームドシリカと呼ばれることもある)と呼ぶことができる。また、(メタ)アクリレート官能基化シリカは、活性または「官能性」析出シリカを包含することができる。活性ヒュームドシリカの使用によって、形成された時点でガスケットの物理的特性が改善されることが判明した。これらの改善は、以下の実施例において、さらに充分に明らかにされる。本明細書で用いる場合、(メタ)アクリレート官能基化シリカは、化学的に活性化され、望ましくは固体状架橋剤として機能化したシリカを意味する。すなわち、(メタ)アクリレート官能基化シリカは、活性ヒュームドシリカまたは析出シリカ、望ましくは活性ヒュームドシリカであってよい。最も望ましくは、活性ヒュームドシリカは、メタクリルシラン処理されたシリカであってよく、それは架橋剤として機能する。有用な(メタ)アクリレート官能基化シリカとしては、2−プロペノイック酸、2−メチル,3−(トリメトキシシリル)プロピルエステルのシリカとの反応生成物が挙げられる。適した活性ヒュームドシリカは、例えば、Evonik Industriesから商品名Aerosilで販売されている市販品が入手可能である。そのような活性ヒュームドシリカとしては、商品表示R7200で入手できるものが挙げられ、それは、150m/gの高比表面積(「BET」)を有し、構造が変性され、メタクリルシランで後処理されたヒュームドシリカである。また、Wackerは、HDK H30RYの商品表示で活性ヒュームドシリカを売り出しており、それは200m/gのBETを有する。
【0030】
ヒュームドシリカを含めて他のフィラー、例えば、従来型の(すなわち、非活性)疎水性ヒュームドシリカは、追加的にガスケット形成組成物に含まれてよい。そのようなヒュームドシリカは、ヘキサメチルジシラザン、トリメトキシオクチルシランおよびポリジメチルシロキサンのような材料で処理されてよく、それらは追加的に疎水性を与えるが、反応性のない官能基に対してはほとんど疎水性を与えない。例えば、従来型の疎水性ヒュームドシリカとしては、例えば、Evonik IndustriesからAerosilの商品名で販売、Cabot CorporationからCABOSILの商品名で販売、WackerからHDK−2000の商品名で販売されている市販品で入手可能なものを使用することができる。
【0031】
本ガスケット形成組成物は、さらに、可塑剤を含んでいてよい。ガスケット形成組成物において可塑剤を使用すると、形成されたガスケットの物理的特性が改善されることが判明した。可塑剤は製造物の伸びを増加するだけではなく、さらに製造物のガラス転移温度(Tg)を下げる効果を有することが見いだされた。Tgが低ければ低いほど、より低い温度においてシール力が高い製造物が生じる。可塑剤を含むことで、製造物は約−20℃から約−30℃までの低い温度で充分なシール力を有する。改善された特質は、下記の実施例においてさらに充分に証明される。
【0032】
適した可塑剤としては、当該技術分野において周知の可塑剤が挙げられるが、単量体および二量体可塑剤に限定されない。1つの望ましい可塑剤は、ジ(ブトキシエトキシエトキシエチル)グルタレートであり、それはHallStarから市販品が入手可能であり、Plasthall DBEEEGの商品名で販売されている。他の可塑剤は、HallStarから市販品が入手可能であり、TegMer 809の商品名で販売されている。他の従来の可塑剤は、本明細書で記載されたガスケット形成組成物に対して適している。
【0033】
ガスケット形成組成物は、光開始剤を含むことが望ましい。本発明では、上で触れた本発明の利益および利点をもたらすために多種類の光開始剤を使用することができる。光開始剤は、光硬化性組成物が全体として電磁放射線、例えば化学線に曝された場合、硬化工程の速度を高める。光開始剤は、望ましくは非ペルオキシド光開始剤であってよく、最も望ましくはプロパノンおよびホスフィンオキシドのブレンドであってよいが、しかしながら、他の光開始剤も適切に使用することができる。光開始剤は、化学線に応答して関与する成分が実質的に重合して起こす硬化を開始および誘導するために、組成物に有効な量で添加されてよい。
【0034】
紫外線(UV)の化学線で硬化するモノ−およびポリオレフィン性モノマーと共に使用するのに適した光開始剤としては、フリーラジカル発生UV開始剤、例えば、置換ベンゾフェノンおよび置換アセトフェノン、ベンゾインおよびそのアルキルエステルならびにキサントンおよび置換キサントンが挙げられる。好ましい光開始剤としては、ジエトキシ−アセトフェノン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ジエトキシキサントン、クロロ−チオ−キサントン、アゾビスイソブチロニトリル、N−メチルジエタノール−アミン−ベンゾフェノンおよびそれらの混合物が挙げられる。本発明で使用するのに特に適した光開始剤の例としては、Ciba Specialty Chemicalsから商品名「IRGACURE」および「DAROCURE」で市販品が入手可能な光開始剤、具体的には、IRGACURE 184(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン)、907(2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン)、369(2−ベンジル−2−N,N−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−1−ブタノン)、500(1−ヒドロキシシクロへキシルフェニルケトンおよびベンゾフェノンの組合せ)、651(2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン)、1700[ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル−2,4,4−トリメチルペンチル)ホスフィンオキシドおよび2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オンの組合せ]、819[ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド]、2022[DAROCUR 1173(下に記載)に溶解されたIRGACURE 819]、およびDAROCUR 1173(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパン−1−オン)および4265(2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニル−ホスフィンオキシドおよび2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オンの組合せ)、ならびに可視光(青色)光開始剤のdl−カムファーキノンおよびIRGACURE 784DCが挙げられるが、これらに限定されない。当然ながら、また、これらの材料の組合せは本発明において使用されうる。
【0035】
本発明で有用な他の光開始剤としては、アルキルピルベート、例えば、メチル、エチル、プロピル、およびブチルピルベート、およびアリールピルベート、例えば、フェニル、ベンジル、ならびにそれらの適切に置換された誘導体が挙げられる。本発明で使用するのに特に適した光開始剤としては、紫外線光開始剤、例えば、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン(例えば、IRGACURE 651)、および2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパン(例えば、DAROCUR 1173)、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド(例えば、IRGACURE 819およびIRGACURE 2022)、ならびに紫外線/可視光開始剤の組合せである、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル−2,4,4−トリメチルペンチル)ホスフィンオキシドおよび2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(例えば、IRGACURE 1700)の組合せ、さらには可視光開始剤であるビス(η−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス[2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)フェニル]チタン(例えば、IRGACURE 784DC)が挙げられる。
【0036】
上に記載された組成物に加えて、本組成物は、さらに、(メタ)アクリロイル末端ポリエーテル、(メタ)アクリロイル末端ポリオレフィン、(メタ)アクリロイル末端ポリウレタン、(メタ)アクリロイル末端ポリエステル、(メタ)アクリロイル末端シリコーン、それらのコポリマー、およびそれらの組合せから選択される、少なくとも2個の(メタ)アクリロイルペンダント基を有する(メタ)アクリロイル末端化合物を含むことができる。そのような(メタ)アクリロイル末端材料の詳細は、Nakagawaらの欧州特許出願公開第EP1 059 308A1号に見いだすことができ、Kaneka Corporation(日本)から市販品が入手できる。
【0037】
本組成物は、さらに、反応性希釈剤、ゴム強化剤、酸化防止剤および/または離型剤を含むことができる。
【0038】
反応性希釈剤として、本組成物は、単官能(メタ)アクリレートを含むことができる。有用な単官能(メタ)アクリレートは、一般構造:CH=C(R)COORに包含されてよく、構造中、Rは、H、CH、Cまたはハロゲン、例えば、Clであり、Rは、C1−8のモノ−またはビシクロアルキル、環中に最高2個の酸素原子を有する3から8員複素環式基、H、アルキル部分がC1−8の直鎖または分岐鎖炭素原子鎖であるアルキル、ヒドロキシアルキルまたはアミノアルキルである。特に望ましい具体的な単官能(メタ)アクリレートモノマーで、上記の構造の一部に対応するものは、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、シクロへキシル(メタ)アクリレート、2−アミノプロピル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、および2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートである。
【0039】
さらに、N,N−ジメチルアクリルアミド(「DMAA」)アクリル酸、および−カルボキシエチルアクリレート(例えば、Rhodiaから商品名SIPOMERで市販品が入手できるもの)は、本発明の実施で使用するのに有用である。
【0040】
そのような反応性希釈剤の市販品で入手可能な代表的な例としては、下の試料で使用されるものが挙げられる。より具体的には、SARTOMER SR395[Sartomer Company Inc.(Exton、PA)から市販品が入手可能なイソデシルアクリレート]、SARTOMER SR495(Sartomerから市販品が入手可能なカプロラクトンアクリレート)、SARTOMER SR531(Sartomerから市販品が入手可能な環状トリメチロールプロパンホルマールアクリレート)、およびSARTOMER PRO6622(Sartomerから市販品が入手可能な3,3,5トリメチルシクロヘキシルアクリレート)の単独または相互の組合せのいずれか、もしくは他の記載した反応性希釈剤との組合せが、各々適切な選択材料である。
【0041】
また、本組成物は、ゴム強化剤、例えば、下の試料で使用されるようなものを含んでいてよい。市販品で入手できるものとしてより具体的には、VAMAC DP(DuPontから市販品で入手可能なエチレンアクリルジポリマーエラストマー)、HYCAR VTBN(Hanse Chemieから市販品が入手可能なメタクリレート官能性アクリロニトリル−ブタジエン−コポリマー)、HYPALON 20(DuPontから市販品が入手可能で、96%を超えるクロロスルホン化ポリエチレン、0.4%未満の四塩化炭素、0.04%未満のクロロホルムおよび2%未満のタルクであると公表されている)、NEOPRENE AD−10(DuPontから市販品が入手可能で、98%を超える2クロロ−1,3−ブタジエンポリマーおよびコポリマー、1%未満の水ならびに1%未満のタルクであると公表されている)、NIPOL IR2200L(Zeonから市販品が入手可能で、99%を超えるポリイソプレンポリマーであると公表されている)、RICACRYL 3100(Sartomerから市販品が入手可能で、メタクリレート化ポリブタジエン低官能性UV硬化性樹脂であると公表されている)、およびそれらの組合せが挙げられる。
【0042】
酸化防止剤として、本組成物は、望ましくはCiba Specialty Chemicalsから商品名IRGANOXで市販品として入手できるものを含めて、フェノール性および/またはホスファイト酸化防止剤を挙げることができ、それらの代表物は下の試料におけるいくつかの例で見られる。他の酸化防止剤は本発明のガスケット形成組成物において適している。
【0043】
離型剤として、本組成物は、例えば、Crompton Corporationから商品名MOLD−PRO 678(粉末ステアリン酸)で市販品として入手できるものを含むことができる。
【0044】
離型剤は、任意に、または代替的に、液体ガスケット形成組成物をモールドキャビティへ導入する前に塗布することができる。離型剤は、必要であれば、硬化されたガスケットをモールドキャビティから取り除くのに役立つ。有用なモールド離型剤組成物としては、ポリテトラフルオロエチレンのような乾式スプレー、およびシリコーンまたは有機オイルのようなスプレー式オイルまたはワイプ式オイルが挙げられるが、これらに限定されない。有用なモールド離型剤組成物としては、少なくとも1つの末端が有機親水性基、例えば、ベタイン、ヒドロキシル、カルボキシル、アンモニウム塩基およびそれらの組合せで末端置換されたCからC14のペルフルオロアルキル化合物を含む組成物が挙げられるが、それらに限定されることなく、それらは金属表面と化学的および/または物理的に反応性である。様々なモールド離型剤は、Henkelの商標FREKOTEで市販されているものが入手可能である。さらに、離型剤は熱可塑性フィルムであってよく、それはモールド形状に形成することができる。
【0045】
ポリアクリレートは、組成物の約40重量%から約75重量%、望ましくは約50重量%から約70重量%の量で存在してよく、それが望ましい。
【0046】
(メタ)アクリレート官能基化シリカは、組成物の約5重量%から約30重量%、望ましくは約10重量%から約20重量%の量で存在してもよく、それが望ましい。他のフィラー、例えば、疎水性ヒュームドシリカは、約0.1重量%から約20重量%、最も望ましくは約2重量%から約5重量%の量で存在してよい。
【0047】
望ましい実施形態では、本組成物は、(メタ)アクリレート官能基化シリカと非活性ヒュームドシリカとの組合せを含む。非活性または従来型ヒュームドシリカは、望ましくは(メタ)アクリレート官能基化シリカより少ない量で存在してよいが、しかし、使用される非活性ヒュームドシリカに対する(メタ)アクリレート官能基化シリカの比は任意であってよい。非活性ヒュームドシリカに対する(メタ)アクリレート官能基化シリカの比は、3:1から1:3であるが、その比は約2:1であることが望ましい。
【0048】
可塑剤が使用される場合、それは組成物の約5重量%から約20重量%、例えば、約10重量%から約15重量%の量で存在してよい。
【0049】
光開始剤は、望ましくは組成物の約0.5重量%から約5重量%、例えば、約1重量%から約2重量%の量で存在してよい。
【0050】
反応性希釈剤が存在する場合、それは約0.5から約50重量%の範囲、例えば、約5から約30重量%、望ましくは約10から約20重量%の範囲で使用されてよい。
【0051】
ゴム強化剤が存在する場合、それは望ましくは約0.5から約30重量%の範囲、例えば、約2.5から約10重量%の範囲で使用されてよい。
【0052】
酸化防止剤が存在する場合、それは望ましくは約0.1重量%から約5重量%、例えば、約0.3から約1重量%の量で使用されてよい。
【0053】
本発明の形成されたガスケットは、充分な圧縮率を維持しながら、改善された弾性率および伸びレベルを有することが望ましい。本明細書に記載された活性ヒュームドシリカと非活性ヒュームドシリカとの組合せは、所望の圧縮永久歪を維持して、適切な強度を与えることが判明した。形成されたガスケットは、100%伸びで300psiから500psi、より具体的には約300psiから約450psiの引張弾性率を有することが望ましい。さらに、本発明の形成されたガスケットは、改善された初期シール力(Dyneon CSR固定具を使い、25%圧縮で測定される)、望ましくは約60Nから約150Nの初期シール力を有することが望ましい。引張弾性率および初期シール力の物理的特性は改善されるが、本発明の形成されたガスケットは低い圧縮永久歪を維持することが望ましい。形成されたガスケットは、約35%未満、望ましくは約5%から約25%の圧縮永久歪(70時間、@150℃)を有することが最も望ましい。
【0054】
本発明は、さらに、液体注入によってガスケットを形成する方法を提供する。1つの態様では、化学線硬化性組成物が提供され、それは、ポリアクリレート、(メタ)アクリレート官能基化シリカおよび光開始剤を含む。前記のように、反応性希釈剤、強化剤、酸化防止剤、可塑剤および離型剤を含めて、他の追加成分を含むことができる。さらに、上記のような注入モールドが提供される。モールドは、ガスケット形成する、取り囲まれたキャビティを決定するために、相互に連通して配置されうる1個以上の分離片を含むことができる。さらに、モールドは、ガスケット形成組成物の注入のためのキャビティと連通している少なくとも1つの注入ポートを含むのが望ましい。注入モールドは、さらに、上記のようにキャビティまでの化学線照射を可能にする手段を有する。
【0055】
組成物および注入モールドが提供されると、ガスケット形成組成物は注入ポートによりガスケット形成キャビティ中に注入されて、少なくとも部分的にキャビティを充填することができる。キャビティは、完全に充填または任意の所望のレベルに充填されてよい。ガスケット形成キャビティ中でガスケットを形成するために、組成物が注入された時点で、化学線照射実行手段によりモールド中の組成物を硬化するのに充分な量で化学線を透過させることができる。組成物が硬化された時点で、ガスケットはキャビティから取り出されてよい。この方法は、ほぼ室温で実施されるのが望ましいが、任意の所望の温度で実施されてよい。
【0056】
本発明の1つの態様では、化学線を透過するステップは、使用中、照射レベルを変動させることができる。透過性の部品を通り、前記注入されたガスケット形成組成物上への化学線の量は、検出およびモニターすることができる。ガスケット形成組成物上に透過された化学線の量は、化学線照射レベルが事前にセットされた下限値まで低下した場合には増加させることができ、または化学線照射レベルが高すぎる場合には減少させることができる。照射レベルが事前にセットされた下限値まで低下した場合、その合わせ面を通る化学線透過率を増加するために、透過性部品のあわせ面について簡単な清浄をすることができる。あるいは、化学線の量は、透過性部品のあわせ面に第1の着脱可能なライナーを提供すること;照射レベルが事前にセットされた下限値に低下した場合、第1の着脱可能なライナーを除去すること;およびあわせ面を通る化学線透過率を増加するために、透過性部品のあわせ面で第2の着脱可能なライナーを提供すること;によって制御されうる。
【実施例】
【0057】
下記の実施例は、異なった成分を評価するための様々な試料を提供する。
【0058】
実施例1−高い濃度の活性ヒュームドシリカ
下の表1では、2種類の試料を配合した。組成物Aは、高い濃度の活性ヒュームドシリカおよび低い濃度の従来型ヒュームドシリカを含む配合物であり、一方、組成物Bは、低い量の活性ヒュームドシリカおよび高い濃度の従来型ヒュームドシリカを含む。これらの組成物を形成してモールド注入した。
【0059】
【表1】

【0060】
下の表2は、組成物Aおよび組成物Bのそれぞれから製造されたガスケットについての様々な試験結果を示す。表2に示すように、従来型ヒュームドシリカに比べて高い濃度の活性ヒュームドシリカを有する配合物(組成物A)は、従来型ヒュームドシリカに比べて低い濃度の活性ヒュームドシリカを有する配合物(組成物B)よりも、高い引張弾性率、圧縮下で高いシール力、および150℃での優れた圧縮永久歪を有する。
【0061】
【表2】

【0062】
実施例2−可塑剤を含有する組成物
下の表3では、2種類の試料を配合した。組成物Cは、可塑剤を含む配合物であり、一方、組成物Dは可塑剤を含まない。組成物を形成してモールド注入した。
【0063】
【表3】

【0064】
形成したガスケットを、次いで、それぞれのガラス転移温度レベルを見るために試験した。結果を下の表4に説明する。
【0065】
【表4】

【0066】
実施例3−比較組成物
下の表5および6は、様々な量の可塑剤およびシリカを包含する8種類の異なった組成物(E−L)を比較している。組成物E−Lを形成して化学線照射に曝し、それらの様々な特性を試験した。
【0067】
【表5】

【0068】
【表6】

【0069】
耐久性、引張強度、弾性率、および様々な圧縮永久歪試験を含めて様々な特性を見るために、8種類の比較組成物を試験した。結果を下の表7にまとめる。
【0070】
【表7】

【0071】
【表8】

【0072】
表に示すように、少なくとも一部の活性ヒュームドシリカを包含する組成物は一般に、活性ヒュームドシリカを全く含まない組成物より性能が優れる。特に、多量の活性ヒュームドシリカを包含する組成物(試料I、K、およびL)は、各々、かなり優れたショア・デュロメーター値、100%での弾性率、150℃での初期シール力、ならびに24時間および70時間保持した際の正味のシール力を示した。さらに、少なくとも一部の活性ヒュームドシリカを含む組成物は、いかなる活性ヒュームドシリカも欠く組成物より極めて優れた圧縮永久歪(25%および35%での)特性を示した。「F」は、ガスケットの破損を示す。
【0073】
実施例4
下の表8では、5種類の試料を配合した。組成物MおよびOは、分子量が異なる2種類のアクリレート末端テレケリックポリアクリレートの組合せを含む。組成物Oは、さらに酸化防止剤を含み、組成物Oは従来型ヒュームドシリカを含んでいるが、組成物Mは活性ヒュームドシリカを含む。組成物を形成してモールド注入した。
【0074】
【表9】

【0075】
耐久性、引張強度、弾性率、および様々な圧縮永久歪試験を含めて様々な特性を見るために、5種類の比較組成物を試験した。結果を下の表9にまとめる。
【0076】
【表10】

【0077】
【表11】

【0078】
表に示すように、組成物O、P、およびQ(活性ヒュームドシリカであるHDK−H30RYを含有する)は、組成物MおよびN(活性ヒュームドシリカ R7200を含有する)より、引張、弾性率、伸びおよびシール力のさらに大きな改善を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリアクリレート、(メタ)アクリレート官能基化シリカ、および光開始剤を含む、改善された引張弾性率を有する化学線硬化性組成物。
【請求項2】
さらに、酸化防止剤を含む、請求項1に記載の化学線硬化性組成物。
【請求項3】
さらに、ジメチルアクリルアミドを含む、請求項1に記載の化学線硬化性組成物。
【請求項4】
さらに、疎水性ヒュームドシリカを含む、請求項1に記載の化学線硬化性組成物。
【請求項5】
前記疎水性ヒュームドシリカに対する前記(メタ)アクリレート官能基化シリカの比が、3:1から1:3の間にある、請求項4に記載の化学線硬化性組成物。
【請求項6】
前記疎水性ヒュームドシリカに対する前記活性ヒュームドシリカの比が、約2:1である、請求項5に記載の化学線硬化性組成物。
【請求項7】
さらに、可塑剤を含む、請求項1に記載の化学線硬化性組成物。
【請求項8】
前記組成物が、約−30℃の低い温度で有効なシール力を維持する、請求項7に記載の化学線硬化性組成物。
【請求項9】
前記組成物が、ピークtanδによるガラス転移温度が約−20℃から約−30℃の間であるものを含む、請求項7に記載の化学線硬化性組成物。
【請求項10】
前記ポリアクリレートが、アクリレート末端テレケリックポリアクリレートを含む、請求項1に記載の化学線硬化性組成物。
【請求項11】
前記ポリアクリレートが、約3,000から約40,000の分子量を有する、請求項1に記載の化学線硬化性組成物。
【請求項12】
前記ポリアクリレートが、約10Pasから約1200Pasの粘度を有する、請求項1に記載の化学線硬化性組成物。
【請求項13】
前記(メタ)アクリレート官能基化シリカが、活性ヒュームドシリカを含む、請求項1に記載の化学線硬化性組成物。
【請求項14】
前記光開始剤が、プロパノンとホスフィンオキシドとの組合せを含む、請求項1に記載の化学線硬化性組成物。
【請求項15】
前記組成物が、100%伸びで、約300から約450psiの引張弾性率を有する、請求項1に記載の化学線硬化性組成物。
【請求項16】
前記組成物が、約60から約150Nの初期シール力を有する、請求項1に記載の化学線硬化性組成物。
【請求項17】
ガスケットを製造するための方法であって、以下のステップ:
改善された引張弾性率を有する化学線硬化性組成物を提供するステップであって、前記組成物は、ポリアクリレート、(メタ)アクリレート官能基化シリカ、および光開始剤を含み;
包囲されたガスケット形成キャビティおよび前記キャビティと連通している注入ポートを決定する注入モールドを提供するステップであって、前記モールドはモールドを通って化学線を透過させることができる化学線照射実行手段を含み;
少なくとも部分的に前記キャビティを充填するために、前記モールド中に前記組成物を注入するステップ;および
前記ガスケット形成キャビティ中でガスケットを形成するために、化学線を前記化学線照射実行手段によって、前記モールド中の前記組成物を硬化させるのに充分な量で透過させるステップ;
を含む方法。
【請求項18】
前記化学線硬化性組成物が、さらに、疎水性ヒュームドシリカを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記疎水性ヒュームドシリカに対する前記(メタ)アクリレート官能基化シリカの比が、3:1から1:3の間である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記組成物が、約−20℃から約−30℃の間のガラス転移温度を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記キャビティを充填するために、前記モールド中に前記組成物を注入するステップが、ほぼ室温で実施される、請求項17に記載の方法。
【請求項22】
前記化学線照射実行手段が、化学線硬化性組成物にモールドを通って照射を実行する照射実行導管を含む、請求項17に記載の方法。

【公表番号】特表2011−527722(P2011−527722A)
【公表日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−517587(P2011−517587)
【出願日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際出願番号】PCT/US2009/049996
【国際公開番号】WO2010/006093
【国際公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【出願人】(500538520)ヘンケル コーポレイション (99)
【氏名又は名称原語表記】HENKEL CORPORATION
【Fターム(参考)】