ユニットバスにおける片引戸用枠体の支持構造
【課題】戸袋側縦枠16の外面側に作業空間を確保することができない場合であってもユニットバス12に片引戸用枠体15の戸袋側縦枠16を連結することができるようにする。
【解決手段】ユニットバス12のパネル載置部13(26)の起立片13a(26a)に引掛け部14a(54a)を引っ掛けた固定具14(54)と片引戸用枠体15の戸袋側縦枠16とを連結具23で連結したものであり、戸袋側縦枠16の脱衣室R側となる内面に、連結具23の連結用操作部23aを露出したこと。
【解決手段】ユニットバス12のパネル載置部13(26)の起立片13a(26a)に引掛け部14a(54a)を引っ掛けた固定具14(54)と片引戸用枠体15の戸袋側縦枠16とを連結具23で連結したものであり、戸袋側縦枠16の脱衣室R側となる内面に、連結具23の連結用操作部23aを露出したこと。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユニットバスのパネル載置部に片引戸用枠体の戸袋側縦枠を支持させる構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ユニットバスにおける片引戸用枠体の支持構造には、図15に示す如く、床パン1の周縁フランジ部3にフック部材4を係止し、片引戸用枠体2の戸袋側縦枠2aを支持固定する固定具5を同フック部材4に結合支持させてなるものがある(特許文献1)。この支持構造は、フック部材4及び固定具5を床パン1の周縁フランジ部3に仮止めした状態で、固定具5の一辺部5aを片引戸用枠体2の戸袋側縦枠2aの外面に当接させ、そして、固定具5の一辺部5aを戸袋側縦枠2aの外面にビス止めすると共に、同固定具5の他辺部5bとフック部材4のフック部4aとの間に周縁フランジ部3の縦片3aをビス止めにより挟着固定する。ビス止めに際しては、固定具5の固定用孔7及び挟着用孔8からビス9が電動ドライバー等でねじ込まれるものである。
【特許文献1】特開2005−127101号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、片引戸用枠体2の戸袋側縦枠2aに対する固定具5の固定作業は、固定具5の固定用孔7からビス9を電動ドライバー等でねじ込んでなされ、ねじ込み作業が戸袋側縦枠2aの外面側で行われる。そのために、従来の支持構造は、戸袋側縦枠2aの外面側にビスねじ込み用の作業空間が必要となる。
【0004】
しかし、建物躯体に戸袋側縦枠2aが接近しているために、また、戸袋側縦枠2aの外面側に躯体壁が有るために、更に、リフォーム等のように床パン1の周縁フランジ部3に壁パネルが先に建込まれ、戸袋側縦枠2aの外面側にビスねじ込み用の作業空間を確保することができない場合には、従来の支持構造を適用することができない問題があった。
【0005】
本発明は、戸袋側縦枠の外面側にビスねじ込み用の作業空間を確保することができない場合であっても適用できるユニットバスにおける片引戸用枠体の支持構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
戸袋側縦枠の外面側に作業空間を確保することができない場合であってもユニットバスに片引戸用枠体の戸袋側縦枠を連結することができるようにするために請求項1記載の本発明が採用した手段は、ユニットバスのパネル載置部の起立片に引掛け部を引っ掛けた固定具と片引戸用枠体の戸袋側縦枠とを連結具で連結した片引戸用枠体の支持構造において、戸袋側縦枠の脱衣室側となる内面に、連結具の連結用操作部を露出したことを特徴とするユニットバスにおける片引戸用枠体の支持構造である。
【0007】
請求項1記載の本発明にあっては、連結具の連結用操作部が露出する戸袋側縦枠の脱衣室側に、戸袋側縦枠の内面に面して作業空間を充分にとることができるため、脱衣室側から連結具の連結操作を行うことができる。
【0008】
ユニットバスと戸袋側縦枠との間に所定寸法のクリアランスを設けるために請求項2記載の本発明が採用した手段は、前記戸袋側縦枠における前記固定具より上方部位に見込み方向規制具を連結具で連結し、前記戸袋側縦枠の脱衣室側となる内面に、連結具の連結用操作部を露出した請求項1記載の片引戸用枠体の支持構造である。
【0009】
請求項2記載の本発明にあっては、戸袋側縦枠に見込み方向規制具を連結する連結具の連結操作を脱衣室側から行うことができる。
【0010】
簡単に連結作業ができるようにするために請求項3記載の本発明が採用した手段は、前記連結具は、前記戸袋側縦枠に設けた挿通孔を通して脱衣室側から前記固定具に螺着するネジからなり、連結用操作部をネジ頭部で形成した請求項1又は2記載の片引戸用枠体の支持構造である。
【0011】
請求項3記載の本発明にあっては、作業空間を充分にとることができる脱衣室側から電動ドライバー等のネジ回し工具でネジ頭部をねじ込むことで、戸袋側縦枠を固定具に連結させることができる。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載の本発明に係るユニットバスにおける片引戸用枠体の支持構造は、戸袋側縦枠の外面側に作業空間を確保することができない場合であっても、ユニットバスに片引戸用枠体の戸袋側縦枠を連結することができる。
【0013】
請求項2記載の本発明に係るユニットバスにおける片引戸用枠体の支持構造は、戸袋側縦枠の上方部位における戸袋見込み方向の位置を見込み方向規制具で規制でき、固定具と相まって、ユニットバスと戸袋側縦枠との間に所定寸法のクリアランスを設けることができる。
【0014】
請求項3記載の本発明に係るユニットバスにおける片引戸用枠体の支持構造は、作業空間を充分にとることができる脱衣室側からビス頭部をねじ込むので、簡単に連結作業ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明に係るユニットバスにおける片引戸用枠体の支持構造(以下、「本発明支持構造」と言う。)を図面に示す実施形態に基づいて説明する。
【0016】
(第1の実施の形態)
図1乃至図8は本発明支持構造の第1の実施の形態を示すものであり、図1はユニットバス12の洗い場防水パン25に片引戸用枠体15の戸袋側縦枠16を支持する態様であって、図(A)はユニットバス12と片引戸用枠体15を分離した状態の平面図、図(B)は片引戸用枠体15に固定具14及び見込み方向規制具30を仮止めした状態を示す正面図である。図2は片引戸用枠体15、固定具14、見込み方向規制具30、座金33及び連結具23を分離して示す斜視図、図3は図1(B)及び図2に示す片引戸用枠体15の「イ」箇所の支持構造における片引戸用枠体15の戸袋側を中間省略して示す平面図、図4は洗い場防水パン25のパネル載置部13の起立片13aに固定具14を介して片引戸用枠体15の戸袋側縦枠16を支持した状態を拡大して示す左側面、図5は固定具14と片引戸用枠体15の戸袋側縦枠16を連結具23,23で連結した状態を拡大して示す正面図、図6は図1(B)及び図2に示す片引戸用枠体15の「ハ」箇所において壁パネル27と片引戸用枠体15の戸袋側縦枠16とを見込み方向規制具30で連結した状態を示す平面図である。図7は片引戸用枠体15、異なる態様の固定具14及び見込み方向規制具30、座金33、片引戸用枠体15並びに連結具23を分離して示す斜視図、図8は異なる態様の固定具14及び見込み方向規制具30を用いた図1(B)及び図2に示す片引戸用枠体15の「イ」箇所の支持構造であって片引戸用枠体15の戸袋側を中間省略して示す平面図である。
【0017】
本発明支持構造11は、図3及び図4に示す如く、ユニットバス12の洗い場防水パン25のパネル載置部13に片引戸用枠体15の戸袋側縦枠16を接近させ、パネル載置部13の起立片13aに引掛け部14aを引っ掛けた固定具14と、片引戸用枠体15の戸袋側縦枠16の下方寄り部位(図1(B)及び図2の「イ」箇所に相当)とをドリルねじ、ボルト等からなる連結具23(本例は、ナベ頭ドリルねじ)で連結し、戸袋側縦枠16の脱衣室R(浴室Bに隣接する部屋)に面する側となる内面16dに、連結具23の連結用操作部23a(本例は、ねじ頭部)を露出させて、パネル載置部13に戸袋側縦枠16を固定具14を介して支持したものである。また、本発明支持構造11は、図6及び図2に示す如く、片引戸用枠体15の戸袋側縦枠16における固定具14より上方部位(図1(B)及び図2の「ハ」箇所に相当)に見込み方向規制具30を連結具23(本例は、ナベ頭ドリルねじ)で連結し、戸袋側縦枠16の脱衣室R側となる内面16dに、連結具23の連結用操作部23a(本例は、ねじ頭部)を露出させてある。本発明支持構造11は、連結具23の連結用操作部23aが露出する戸袋側縦枠16の脱衣室R側に、戸袋側縦枠16の内面16dに面して作業空間を充分にとることができるため、脱衣室R側から連結具23の連結操作(本例は、ナベ頭ドリルねじに対するねじ込み操作)を容易に行うことができるようになっている。
【0018】
前記ユニットバス12は、図1(A)に示す如く、浴槽24と、洗い場防水パン25と、浴槽24の周縁に設けられたパネル載置部26及び洗い場防水パン23の周縁に設けられたパネル載置部13に載置して建込んだ複数枚の壁パネル27とを備え、洗い場側にカウンター28を設置してある。ユニットバス12は、浴槽設置用防水パン(図示省略)の周縁に設けられたパネル載置部に壁パネル27を載置して建込む仕様のものもある。
【0019】
前記片引戸用枠体15は、図1(B)に示す如く、戸袋側縦枠16、戸先側縦枠17及び中間の方立20を、上枠18及び下枠19で連結して枠組みされ、上枠18及び下枠19に設けた案内レールに引戸21を案内してある。戸袋側縦枠16は、図3及び図2に示す如く、見込み方向(脱衣室Rから浴室Bへ向かう矢符M方向)に沿う主板部16aと、主板部16aから内側方向(方立20へ向かう矢符N方向)へ延びる内鍔部16bと、側鍔部16aから外側方向(矢符N方向と逆方向)へ延びる外鍔部16cとを備え、内鍔部16bの所定高さ位置に連結具23用の挿通孔22(図2参照)が穿設されている。挿通孔22は、戸袋側縦枠16に対する固定具14の取付け高さ位置を調整(即ち、片引戸用枠体15の排水勾配を確保するためのレベル調整)ができるように縦長の長孔にしてある。挿通孔22は、固定具14の取付け高さ位置の調整が不要なときは円孔(図示略)となる。
【0020】
前記固定具14は、図2に示す如く、金属板を折曲げ加工する等して成形され、戸袋側縦枠16の内鍔部16b及び外鍔部16cに当接する当接部14bと、当接部14bから見込み方向(矢符M方向)へ延びる突出部14cと、突出部14cから内側方向(矢符N方向)へ延びる係止部14dと、当接部14bから見込み方向(矢符M方向)と逆方向へ延びる位置決め部14eとからなり、突出部14cと係止部14dの境界部に切り込んだ引掛け部14aを設け、図4に示すユニットバス12のパネル載置部13の起立片13aに引掛け部14aを引っ掛けできるようにしてある。固定具14は、係止用切込み部14aを上下二個設け、右用と左用の何れにも使用できるようにしてある。固定具14は、当接部14bに連結具23を連結するための下孔14f,14f(図2参照)を設けてある。
【0021】
前記見込み方向規制具30は、ユニットバス12と戸袋側縦枠15との間に所定寸法のクリアランスを設けるためのものであって、図2及び図6に示す如く、金属板を折曲げ加工する等して成形され、戸袋側縦枠16の内鍔部16b及び外鍔部16cに当接する当接部30bと、当接部30bから見込み方向(矢符M方向)へ延びる突出部30cと、突出部30cから外側方向(矢符N方向と逆方向)へ延びる規制部30dと、当接部30bから見込み方向(矢符M方向)と逆方向へ延びる位置決め部30eとからなり、規制部30dに仮止用の両面粘着テープ31,31を貼着し、両面粘着テープ31,31の間等に接着剤32(図6参照)を充填できるようにしてある。見込み方向規制具30は、当接部30bに連結具23を連結するための下孔30f,30fを設けてある。
【0022】
前記片引戸用枠体15の戸袋側縦枠16に対して固定具14及び見込み方向規制具30を強固に連結するための座金33は、金属板から長板状に形成された座板部33aと、座板部33aから延びる折曲片33bとを備え、座板部33aに連結具23用の挿通孔34が円孔に穿設されている。折曲片33bは、取扱性を良好にし剛性を大きくするために必要に応じて備えられるものである。
【0023】
次に、この実施形態に係る本発明支持構造11の施工手順を説明する。まず、図1(B)に示す如く、片引戸用枠体15の戸袋側縦枠16に固定具14と見込み方向規制具30を座金33及び連結具23,23を用いて仮止めする。次に、図3及び図5に示す如く、片引戸用枠体15をユニットバス12の洗い場防水パン25に寄せ、片引戸用枠体15の戸先側をユニットバス12の出入口部29に嵌込むと共に、片引戸用枠体15の戸袋側を洗い場防水パン25のパネル載置部13に接近させた状態で固定具14の引掛け部14aをパネル載置部13の起立片13aに引っ掛ける。続けて、脱衣室R側から各連結具23に対する連結操作(本例は、ナベ頭ドリルねじ23に対する電動ドライバー等によるねじ込み緊締の操作)を行ない、ユニットバス12の洗い場防水パン25へ片引戸用枠体15の戸袋側を引き寄せた状態で、片引戸用枠体15の戸袋側をユニットバス12のパネル載置部13に支持する。片引戸用枠体15の排水勾配を確保するためのレベル調整が必要なときには、連結具23が挿通する長孔の挿通孔22を利用して固定具14の取付け高さ位置を調整しつつ連結具23を連結操作する。
【0024】
更に続けて、見込み方向規制具30を仮止めしている各連結具23に対する連結操作(本例は、ナベ頭ドリルねじ23に対する電動ドライバー等によるねじ込み緊締の操作)を行うと共に、見込み方向規制具30の両面粘着テープ31,31の間に接着剤32を充填した後に、見込み方向規制具30を壁パネル27の裏側に接合して本発明支持構造11を得る。なお、片引戸用枠体15の戸袋側が鉛直でないときには、両面粘着テープ31の厚み寸法を調整するとよい。接着剤32が硬化するまでは、壁パネル27に対する見込み方向規制具30の止付けを両面粘着テープ31,31で維持されることになる。
【0025】
最後に、片引戸用枠体15を建物躯体の壁、床、柱等(図示略)にビス止め等で固定し、片引戸用枠体15の戸袋側に戸袋パネル36(図3参照)を取付けて片引戸用枠体15の建て込みを完了する。
【0026】
本発明支持構造11は、建物躯体に戸袋側縦枠16が接近しているために、また、戸袋側縦枠16の外面側に躯体壁が有るために、更に、リフォーム等のようにユニットバス12の壁パネル27が先に建込まれているために、戸袋側縦枠16の脱衣室Rに面しない外面側に作業空間を確保することができない場合であっても、ユニットバス12に隣接する脱衣室R側からユニットバス12に片引戸用枠体15の戸袋側縦枠16を連結することができる。
【0027】
なお、前記固定具14及び見込み方向規制具30は、片引戸用枠体15の戸袋側縦枠16の内鍔部16bに座金33及び連結具23,23を用いて取付ける以外に、図7及び図8に示す如く、片引戸用枠体15の戸袋側縦枠16の主板部16aに座金33及び連結具23,23を用いて取付ける態様もある。この態様の固定具14は、位置決め部14eを延長すると共に、位置決め部14eに下孔14f,14fを設け、この態様の見込み方向規制具30は、位置決板部30eを延長すると共に、位置決板部30eに下孔30f,30fを設けてある。更に、片引戸用枠体15の戸袋側縦枠16の主板部16aは、主板部16aに挿通孔22,22及び34,34を設けてある。
【0028】
(第2の実施の形態)
図9及び図10は本発明支持構造の第2の実施の形態を示すものであり、図9はユニットバス12の浴槽24に片引戸用枠体15の戸袋側縦枠16を支持する態様であって、図(A)はユニットバス12と片引戸用枠体15を分離した状態の平面図、図(B)は片引戸用枠体15に固定具14及び見込み方向規制具30を仮止めした状態を示す正面図である。図10は浴槽24に設けたパネル載置部26の起立片26aに固定具14を介して片引戸用枠体15の戸袋側縦枠16の対応する部分(図9(B)に示す片引戸用枠体15の「ロ」箇所に相当する部分)を支持した状態を拡大して示す左側面である。
【0029】
本実施の形態に係る本発明支持構造41が前記第1の実施の形態に係る本発明支持構造11(図1乃至図6)と大きく相違するの点は、浴槽24に一体成形する等して設けたパネル載置部26の起立片26aに固定具14を介して片引戸用枠体15の戸袋側縦枠16の対応部分(図9(B)に示す片引戸用枠体15の「ロ」箇所に相当する部分)を支持したことであり、その他の点については第1の実施の形態と実質的に同一であり、図9及び図10において図1及び図6と同一符号は相当部分を示す。
【0030】
(第3の実施の形態)
図11乃至図14は本発明支持構造の第3の実施の形態を示すものであり、図11は片引戸用枠体15、固定具54、座金33及び連結具23を分離して示す斜視図、図12は浴槽24に設けたパネル載置部26の起立片26aに固定具54を介して片引戸用枠体15の戸袋側縦枠16の対応部分(図11に示す片引戸用枠体15の「ロ」箇所に相当する部分)の支持構造における施工手順を示す側面図であって、図(A)は戸袋側縦枠16に固定具54の当接部54bを座金33及び連結具23を用いて仮止めした状態を示し、図(B)は固定具54を戸袋側縦枠16と共にユニットバス12の浴槽24に接近させると共に浴槽24のパネル載置部26の起立片26aと壁パネル67の裏面下端縁の窪み部67aの間に固定具54の係止片54gの挿入片54g−1を差し込んでいる途中の状態を示し、図(C)は差し込んで起立させた固定具54の係止片54gの接合片54g−2に取付片54hをネジ55で接合した後に連結具23を緊締した状態であって固定具54の一部を破断して示すものである。図13は浴槽24に設けたパネル載置部26の起立片26aに固定具54を介して片引戸用枠体15の戸袋側縦枠16を支持した状態を示すものであって壁パネルを省略して示す斜視図である。図14は洗い場防水パン25のパネル載置部13の起立片13aに固定具54を介して片引戸用枠体15の戸袋側縦枠16を支持した状態であって固定具54の突出部54cの一部を破断して示す左側面である。
【0031】
ユニットバス12を構築する壁パネル67には、図12(A)及び図14に示す如く、その厚みTがユニットバス12の洗い場防水パン25のパネル載置部13や浴槽24のパネル載置部26の奥行き寸法Uよりも大きいために、その裏面67bがパネル載置部13(26)の起立片13a(26a)よりも外側(脱衣室R側)へ飛び出すものがある。壁パネル67は、例えば、骨組みとなる裏面側の枠体67cと、枠体67cに接合した中間の下地板67dと、下地板67dに貼着した表面側のタイル67eとからなり、裏面下方に窪み部67aを設けてある。この壁パネル67をパネル載置部13(26)に建て込んだ場合には、前記固定具14(図4参照)を用いようとしても、飛び出した壁パネル裏面67bが邪魔となり、係止部14dをパネル載置部13(26)の起立片13a(26a)に引っ掛けることができず固定具14を用いるこができない。
【0032】
本発明支持構造51は、その厚みTが大きい壁パネル67を建て込む仕様に対処できるように固定具54を用いている。固定具54は、係止部54dが前記固定具14(図4参照)の係止部14dと異なり、突出部54cに連接して内側方向Nに沿って延びる取付片54hと、取付片54hにネジ55で接合できる係止片54gとを備えている。固定具54は、前記固定具14と同様に、戸袋側縦枠16の内鍔部16b及び外鍔部16cに当接する当接部54bと、当接部54bから見込み方向(矢符M方向)へ延びる突出部54cと、当接部54bから見込み方向(矢符M方向)と逆方向へ延びる位置決め部54eとからなり、突出部54cと取付片54hとの境界部に引掛け部54aを設ける共に当接部54bに連結具23を連結するための下孔54f,54fを設けてある。係止片54gは、下方の挿入片54g−1と上方の接合片54g−2との境界に段部54g−3を設け、壁パネル67の窪み部67aに挿入片54g−1を差し込んだ後に、露出している接合片54g−3に取付片54hをネジ55で接合できるようにしてある。固定具54は、取付片54hと係止片54gを接合することにより、段部54g−2が引掛け部54aの一部となる。
【0033】
次に、この実施形態に係る本発明支持構造51の施工手順を説明する。まず、図12(A)に示す如く、片引戸用枠体15の戸袋側縦枠16に固定具54の当接部54bを座金33及び連結具23,23を用いて仮止めする。次に、同図(B)に示す如く、片引戸用枠体15をユニットバス12の浴槽24に寄せると共に、壁パネル67の窪み部67aとパネル載置部26の起立片26aとの間に挿入片54g−1を差し込み、起立させた係止片54gの接合片54g−2に取付片54hをネジ55で接合する。続けて、同図(C)及び図13に示す如く、脱衣室R側から各連結具23に対する連結操作(本例は、ナベ頭ドリルねじ23に対する電動ドライバー等によるねじ込み緊締の操作)を行ない、ユニットバス12の浴槽24へ片引戸用枠体15の戸袋側を引き寄せた状態で、片引戸用枠体15の戸袋側をユニットバス12のパネル載置部26に支持する。片引戸用枠体15の排水勾配を確保するためのレベル調整が必要なときには、連結具23が挿通する長孔の挿通孔22(図11参照)を利用して固定具54の取付け高さ位置を調整しつつ連結具23を連結操作する。最後に、片引戸用枠体15を建物躯体にビス止め等で固定し、片引戸用枠体15の戸袋側に戸袋パネル36(図3参照)を取付けて片引戸用枠体15の建て込みを完了する。なお、見込み方向規制具30(図2参照)の取付けについては、前記第1の実施の形態と実質的に同一であるため、説明を省略する。
【0034】
ユニットバス12の洗い場防水パン25のパネル載置部13に固定具54を用いて片引戸用枠体15の戸袋側縦枠16を支持するには、図14 に示す如く、壁パネル67の窪み部67aとパネル載置部13の起立片13aとの間に固定具54の挿入片54g−1を差し込み、前記浴槽24のパネル載置部26と同様にして施工すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明支持構造の第1の実施の形態において、ユニットバスの洗い場防水パンに片引戸用枠体の戸袋側縦枠を支持する態様であって、図(A)はユニットバスと片引戸用枠体を分離した状態の平面図、図(B)は片引戸用枠体に固定具及び見込み方向規制具を仮止めした状態を示す正面図である。
【図2】第1の実施の形態において、片引戸用枠体、固定具、見込み方向規制具、座金及び連結具を分離して示す斜視図である。
【図3】第1の実施の形態において、図1(B)に示す片引戸用枠体の「イ」箇所の支持構造における片引戸用枠体の戸袋側を中間省略して示す平面図である。
【図4】第1の実施の形態において、洗い場防水パンのパネル載置部の起立片に固定具を介して片引戸用枠体の戸袋側縦枠を支持した状態を拡大して示す左側面である。
【図5】第1の実施の形態において、固定具と片引戸用枠体の戸袋側縦枠を連結具で連結した状態を拡大して示す正面図である。
【図6】第1の実施の形態において、図1(B)に示す片引戸用枠体の「ハ」箇所において壁パネルと片引戸用枠体の戸袋側縦枠とを見込み方向規制具で連結した状態を示す平面図である。
【図7】第1の実施の形態において、片引戸用枠体、異なる態様の固定具及び見込み方向規制具、座金、片引戸用枠体並びに連結具を分離して示す斜視図である。
【図8】第1の実施の形態において、異なる態様の固定具及び見込み方向規制具を用いた図1(B)に示す片引戸用枠体の「イ」箇所の支持構造であって片引戸用枠体の戸袋側を中間省略して示す平面図である。
【図9】本発明支持構造の第2の実施の形態を示すものであって、ユニットバスの浴槽に片引戸用枠体の戸袋側縦枠を支持する態様であり、図(A)はユニットバスと片引戸用枠体を分離した状態の平面図、図(B)は片引戸用枠体に固定具及び見込み方向規制具を仮止めした状態を示す正面図である。
【図10】第2の実施の形態において、浴槽に一体成形したパネル載置部の起立片に固定具を介して片引戸用枠体の戸袋側縦枠の対応する部分(図9(B)に示す片引戸用枠体の「ロ」箇所に相当する部分)を支持した状態を拡大して示す左側面である。
【図11】本発明支持構造の第3の実施の形態を示すものであって、片引戸用枠体、固定具、座金及び連結具を分離して示す斜視図である。
【図12】第3の実施の形態において、浴槽に設けたパネル載置部の起立片に固定具を介して片引戸用枠体の戸袋側縦枠を支持する施工手順を示す側面図である。
【図13】第3の実施の形態において、浴槽に設けたパネル載置部の起立片に固定具を介して片引戸用枠体の戸袋側縦枠を支持状態を示すものである。
【図14】第3の実施の形態において、洗い場防水パンのパネル載置部の起立片に固定具を介して片引戸用枠体の戸袋側縦枠を支持した状態である。
【図15】従来のユニットバスにおける片引戸用枠体の支持構造を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0036】
12…ユニットバス、13(26)…パネル載置部、13a(26a)…起立片、14a(54a)…引掛け部、14(54)…固定具、15…片引戸用枠体、16…戸袋側縦枠R…脱衣室、23…連結具、23a…連結用操作部
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユニットバスのパネル載置部に片引戸用枠体の戸袋側縦枠を支持させる構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ユニットバスにおける片引戸用枠体の支持構造には、図15に示す如く、床パン1の周縁フランジ部3にフック部材4を係止し、片引戸用枠体2の戸袋側縦枠2aを支持固定する固定具5を同フック部材4に結合支持させてなるものがある(特許文献1)。この支持構造は、フック部材4及び固定具5を床パン1の周縁フランジ部3に仮止めした状態で、固定具5の一辺部5aを片引戸用枠体2の戸袋側縦枠2aの外面に当接させ、そして、固定具5の一辺部5aを戸袋側縦枠2aの外面にビス止めすると共に、同固定具5の他辺部5bとフック部材4のフック部4aとの間に周縁フランジ部3の縦片3aをビス止めにより挟着固定する。ビス止めに際しては、固定具5の固定用孔7及び挟着用孔8からビス9が電動ドライバー等でねじ込まれるものである。
【特許文献1】特開2005−127101号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、片引戸用枠体2の戸袋側縦枠2aに対する固定具5の固定作業は、固定具5の固定用孔7からビス9を電動ドライバー等でねじ込んでなされ、ねじ込み作業が戸袋側縦枠2aの外面側で行われる。そのために、従来の支持構造は、戸袋側縦枠2aの外面側にビスねじ込み用の作業空間が必要となる。
【0004】
しかし、建物躯体に戸袋側縦枠2aが接近しているために、また、戸袋側縦枠2aの外面側に躯体壁が有るために、更に、リフォーム等のように床パン1の周縁フランジ部3に壁パネルが先に建込まれ、戸袋側縦枠2aの外面側にビスねじ込み用の作業空間を確保することができない場合には、従来の支持構造を適用することができない問題があった。
【0005】
本発明は、戸袋側縦枠の外面側にビスねじ込み用の作業空間を確保することができない場合であっても適用できるユニットバスにおける片引戸用枠体の支持構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
戸袋側縦枠の外面側に作業空間を確保することができない場合であってもユニットバスに片引戸用枠体の戸袋側縦枠を連結することができるようにするために請求項1記載の本発明が採用した手段は、ユニットバスのパネル載置部の起立片に引掛け部を引っ掛けた固定具と片引戸用枠体の戸袋側縦枠とを連結具で連結した片引戸用枠体の支持構造において、戸袋側縦枠の脱衣室側となる内面に、連結具の連結用操作部を露出したことを特徴とするユニットバスにおける片引戸用枠体の支持構造である。
【0007】
請求項1記載の本発明にあっては、連結具の連結用操作部が露出する戸袋側縦枠の脱衣室側に、戸袋側縦枠の内面に面して作業空間を充分にとることができるため、脱衣室側から連結具の連結操作を行うことができる。
【0008】
ユニットバスと戸袋側縦枠との間に所定寸法のクリアランスを設けるために請求項2記載の本発明が採用した手段は、前記戸袋側縦枠における前記固定具より上方部位に見込み方向規制具を連結具で連結し、前記戸袋側縦枠の脱衣室側となる内面に、連結具の連結用操作部を露出した請求項1記載の片引戸用枠体の支持構造である。
【0009】
請求項2記載の本発明にあっては、戸袋側縦枠に見込み方向規制具を連結する連結具の連結操作を脱衣室側から行うことができる。
【0010】
簡単に連結作業ができるようにするために請求項3記載の本発明が採用した手段は、前記連結具は、前記戸袋側縦枠に設けた挿通孔を通して脱衣室側から前記固定具に螺着するネジからなり、連結用操作部をネジ頭部で形成した請求項1又は2記載の片引戸用枠体の支持構造である。
【0011】
請求項3記載の本発明にあっては、作業空間を充分にとることができる脱衣室側から電動ドライバー等のネジ回し工具でネジ頭部をねじ込むことで、戸袋側縦枠を固定具に連結させることができる。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載の本発明に係るユニットバスにおける片引戸用枠体の支持構造は、戸袋側縦枠の外面側に作業空間を確保することができない場合であっても、ユニットバスに片引戸用枠体の戸袋側縦枠を連結することができる。
【0013】
請求項2記載の本発明に係るユニットバスにおける片引戸用枠体の支持構造は、戸袋側縦枠の上方部位における戸袋見込み方向の位置を見込み方向規制具で規制でき、固定具と相まって、ユニットバスと戸袋側縦枠との間に所定寸法のクリアランスを設けることができる。
【0014】
請求項3記載の本発明に係るユニットバスにおける片引戸用枠体の支持構造は、作業空間を充分にとることができる脱衣室側からビス頭部をねじ込むので、簡単に連結作業ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明に係るユニットバスにおける片引戸用枠体の支持構造(以下、「本発明支持構造」と言う。)を図面に示す実施形態に基づいて説明する。
【0016】
(第1の実施の形態)
図1乃至図8は本発明支持構造の第1の実施の形態を示すものであり、図1はユニットバス12の洗い場防水パン25に片引戸用枠体15の戸袋側縦枠16を支持する態様であって、図(A)はユニットバス12と片引戸用枠体15を分離した状態の平面図、図(B)は片引戸用枠体15に固定具14及び見込み方向規制具30を仮止めした状態を示す正面図である。図2は片引戸用枠体15、固定具14、見込み方向規制具30、座金33及び連結具23を分離して示す斜視図、図3は図1(B)及び図2に示す片引戸用枠体15の「イ」箇所の支持構造における片引戸用枠体15の戸袋側を中間省略して示す平面図、図4は洗い場防水パン25のパネル載置部13の起立片13aに固定具14を介して片引戸用枠体15の戸袋側縦枠16を支持した状態を拡大して示す左側面、図5は固定具14と片引戸用枠体15の戸袋側縦枠16を連結具23,23で連結した状態を拡大して示す正面図、図6は図1(B)及び図2に示す片引戸用枠体15の「ハ」箇所において壁パネル27と片引戸用枠体15の戸袋側縦枠16とを見込み方向規制具30で連結した状態を示す平面図である。図7は片引戸用枠体15、異なる態様の固定具14及び見込み方向規制具30、座金33、片引戸用枠体15並びに連結具23を分離して示す斜視図、図8は異なる態様の固定具14及び見込み方向規制具30を用いた図1(B)及び図2に示す片引戸用枠体15の「イ」箇所の支持構造であって片引戸用枠体15の戸袋側を中間省略して示す平面図である。
【0017】
本発明支持構造11は、図3及び図4に示す如く、ユニットバス12の洗い場防水パン25のパネル載置部13に片引戸用枠体15の戸袋側縦枠16を接近させ、パネル載置部13の起立片13aに引掛け部14aを引っ掛けた固定具14と、片引戸用枠体15の戸袋側縦枠16の下方寄り部位(図1(B)及び図2の「イ」箇所に相当)とをドリルねじ、ボルト等からなる連結具23(本例は、ナベ頭ドリルねじ)で連結し、戸袋側縦枠16の脱衣室R(浴室Bに隣接する部屋)に面する側となる内面16dに、連結具23の連結用操作部23a(本例は、ねじ頭部)を露出させて、パネル載置部13に戸袋側縦枠16を固定具14を介して支持したものである。また、本発明支持構造11は、図6及び図2に示す如く、片引戸用枠体15の戸袋側縦枠16における固定具14より上方部位(図1(B)及び図2の「ハ」箇所に相当)に見込み方向規制具30を連結具23(本例は、ナベ頭ドリルねじ)で連結し、戸袋側縦枠16の脱衣室R側となる内面16dに、連結具23の連結用操作部23a(本例は、ねじ頭部)を露出させてある。本発明支持構造11は、連結具23の連結用操作部23aが露出する戸袋側縦枠16の脱衣室R側に、戸袋側縦枠16の内面16dに面して作業空間を充分にとることができるため、脱衣室R側から連結具23の連結操作(本例は、ナベ頭ドリルねじに対するねじ込み操作)を容易に行うことができるようになっている。
【0018】
前記ユニットバス12は、図1(A)に示す如く、浴槽24と、洗い場防水パン25と、浴槽24の周縁に設けられたパネル載置部26及び洗い場防水パン23の周縁に設けられたパネル載置部13に載置して建込んだ複数枚の壁パネル27とを備え、洗い場側にカウンター28を設置してある。ユニットバス12は、浴槽設置用防水パン(図示省略)の周縁に設けられたパネル載置部に壁パネル27を載置して建込む仕様のものもある。
【0019】
前記片引戸用枠体15は、図1(B)に示す如く、戸袋側縦枠16、戸先側縦枠17及び中間の方立20を、上枠18及び下枠19で連結して枠組みされ、上枠18及び下枠19に設けた案内レールに引戸21を案内してある。戸袋側縦枠16は、図3及び図2に示す如く、見込み方向(脱衣室Rから浴室Bへ向かう矢符M方向)に沿う主板部16aと、主板部16aから内側方向(方立20へ向かう矢符N方向)へ延びる内鍔部16bと、側鍔部16aから外側方向(矢符N方向と逆方向)へ延びる外鍔部16cとを備え、内鍔部16bの所定高さ位置に連結具23用の挿通孔22(図2参照)が穿設されている。挿通孔22は、戸袋側縦枠16に対する固定具14の取付け高さ位置を調整(即ち、片引戸用枠体15の排水勾配を確保するためのレベル調整)ができるように縦長の長孔にしてある。挿通孔22は、固定具14の取付け高さ位置の調整が不要なときは円孔(図示略)となる。
【0020】
前記固定具14は、図2に示す如く、金属板を折曲げ加工する等して成形され、戸袋側縦枠16の内鍔部16b及び外鍔部16cに当接する当接部14bと、当接部14bから見込み方向(矢符M方向)へ延びる突出部14cと、突出部14cから内側方向(矢符N方向)へ延びる係止部14dと、当接部14bから見込み方向(矢符M方向)と逆方向へ延びる位置決め部14eとからなり、突出部14cと係止部14dの境界部に切り込んだ引掛け部14aを設け、図4に示すユニットバス12のパネル載置部13の起立片13aに引掛け部14aを引っ掛けできるようにしてある。固定具14は、係止用切込み部14aを上下二個設け、右用と左用の何れにも使用できるようにしてある。固定具14は、当接部14bに連結具23を連結するための下孔14f,14f(図2参照)を設けてある。
【0021】
前記見込み方向規制具30は、ユニットバス12と戸袋側縦枠15との間に所定寸法のクリアランスを設けるためのものであって、図2及び図6に示す如く、金属板を折曲げ加工する等して成形され、戸袋側縦枠16の内鍔部16b及び外鍔部16cに当接する当接部30bと、当接部30bから見込み方向(矢符M方向)へ延びる突出部30cと、突出部30cから外側方向(矢符N方向と逆方向)へ延びる規制部30dと、当接部30bから見込み方向(矢符M方向)と逆方向へ延びる位置決め部30eとからなり、規制部30dに仮止用の両面粘着テープ31,31を貼着し、両面粘着テープ31,31の間等に接着剤32(図6参照)を充填できるようにしてある。見込み方向規制具30は、当接部30bに連結具23を連結するための下孔30f,30fを設けてある。
【0022】
前記片引戸用枠体15の戸袋側縦枠16に対して固定具14及び見込み方向規制具30を強固に連結するための座金33は、金属板から長板状に形成された座板部33aと、座板部33aから延びる折曲片33bとを備え、座板部33aに連結具23用の挿通孔34が円孔に穿設されている。折曲片33bは、取扱性を良好にし剛性を大きくするために必要に応じて備えられるものである。
【0023】
次に、この実施形態に係る本発明支持構造11の施工手順を説明する。まず、図1(B)に示す如く、片引戸用枠体15の戸袋側縦枠16に固定具14と見込み方向規制具30を座金33及び連結具23,23を用いて仮止めする。次に、図3及び図5に示す如く、片引戸用枠体15をユニットバス12の洗い場防水パン25に寄せ、片引戸用枠体15の戸先側をユニットバス12の出入口部29に嵌込むと共に、片引戸用枠体15の戸袋側を洗い場防水パン25のパネル載置部13に接近させた状態で固定具14の引掛け部14aをパネル載置部13の起立片13aに引っ掛ける。続けて、脱衣室R側から各連結具23に対する連結操作(本例は、ナベ頭ドリルねじ23に対する電動ドライバー等によるねじ込み緊締の操作)を行ない、ユニットバス12の洗い場防水パン25へ片引戸用枠体15の戸袋側を引き寄せた状態で、片引戸用枠体15の戸袋側をユニットバス12のパネル載置部13に支持する。片引戸用枠体15の排水勾配を確保するためのレベル調整が必要なときには、連結具23が挿通する長孔の挿通孔22を利用して固定具14の取付け高さ位置を調整しつつ連結具23を連結操作する。
【0024】
更に続けて、見込み方向規制具30を仮止めしている各連結具23に対する連結操作(本例は、ナベ頭ドリルねじ23に対する電動ドライバー等によるねじ込み緊締の操作)を行うと共に、見込み方向規制具30の両面粘着テープ31,31の間に接着剤32を充填した後に、見込み方向規制具30を壁パネル27の裏側に接合して本発明支持構造11を得る。なお、片引戸用枠体15の戸袋側が鉛直でないときには、両面粘着テープ31の厚み寸法を調整するとよい。接着剤32が硬化するまでは、壁パネル27に対する見込み方向規制具30の止付けを両面粘着テープ31,31で維持されることになる。
【0025】
最後に、片引戸用枠体15を建物躯体の壁、床、柱等(図示略)にビス止め等で固定し、片引戸用枠体15の戸袋側に戸袋パネル36(図3参照)を取付けて片引戸用枠体15の建て込みを完了する。
【0026】
本発明支持構造11は、建物躯体に戸袋側縦枠16が接近しているために、また、戸袋側縦枠16の外面側に躯体壁が有るために、更に、リフォーム等のようにユニットバス12の壁パネル27が先に建込まれているために、戸袋側縦枠16の脱衣室Rに面しない外面側に作業空間を確保することができない場合であっても、ユニットバス12に隣接する脱衣室R側からユニットバス12に片引戸用枠体15の戸袋側縦枠16を連結することができる。
【0027】
なお、前記固定具14及び見込み方向規制具30は、片引戸用枠体15の戸袋側縦枠16の内鍔部16bに座金33及び連結具23,23を用いて取付ける以外に、図7及び図8に示す如く、片引戸用枠体15の戸袋側縦枠16の主板部16aに座金33及び連結具23,23を用いて取付ける態様もある。この態様の固定具14は、位置決め部14eを延長すると共に、位置決め部14eに下孔14f,14fを設け、この態様の見込み方向規制具30は、位置決板部30eを延長すると共に、位置決板部30eに下孔30f,30fを設けてある。更に、片引戸用枠体15の戸袋側縦枠16の主板部16aは、主板部16aに挿通孔22,22及び34,34を設けてある。
【0028】
(第2の実施の形態)
図9及び図10は本発明支持構造の第2の実施の形態を示すものであり、図9はユニットバス12の浴槽24に片引戸用枠体15の戸袋側縦枠16を支持する態様であって、図(A)はユニットバス12と片引戸用枠体15を分離した状態の平面図、図(B)は片引戸用枠体15に固定具14及び見込み方向規制具30を仮止めした状態を示す正面図である。図10は浴槽24に設けたパネル載置部26の起立片26aに固定具14を介して片引戸用枠体15の戸袋側縦枠16の対応する部分(図9(B)に示す片引戸用枠体15の「ロ」箇所に相当する部分)を支持した状態を拡大して示す左側面である。
【0029】
本実施の形態に係る本発明支持構造41が前記第1の実施の形態に係る本発明支持構造11(図1乃至図6)と大きく相違するの点は、浴槽24に一体成形する等して設けたパネル載置部26の起立片26aに固定具14を介して片引戸用枠体15の戸袋側縦枠16の対応部分(図9(B)に示す片引戸用枠体15の「ロ」箇所に相当する部分)を支持したことであり、その他の点については第1の実施の形態と実質的に同一であり、図9及び図10において図1及び図6と同一符号は相当部分を示す。
【0030】
(第3の実施の形態)
図11乃至図14は本発明支持構造の第3の実施の形態を示すものであり、図11は片引戸用枠体15、固定具54、座金33及び連結具23を分離して示す斜視図、図12は浴槽24に設けたパネル載置部26の起立片26aに固定具54を介して片引戸用枠体15の戸袋側縦枠16の対応部分(図11に示す片引戸用枠体15の「ロ」箇所に相当する部分)の支持構造における施工手順を示す側面図であって、図(A)は戸袋側縦枠16に固定具54の当接部54bを座金33及び連結具23を用いて仮止めした状態を示し、図(B)は固定具54を戸袋側縦枠16と共にユニットバス12の浴槽24に接近させると共に浴槽24のパネル載置部26の起立片26aと壁パネル67の裏面下端縁の窪み部67aの間に固定具54の係止片54gの挿入片54g−1を差し込んでいる途中の状態を示し、図(C)は差し込んで起立させた固定具54の係止片54gの接合片54g−2に取付片54hをネジ55で接合した後に連結具23を緊締した状態であって固定具54の一部を破断して示すものである。図13は浴槽24に設けたパネル載置部26の起立片26aに固定具54を介して片引戸用枠体15の戸袋側縦枠16を支持した状態を示すものであって壁パネルを省略して示す斜視図である。図14は洗い場防水パン25のパネル載置部13の起立片13aに固定具54を介して片引戸用枠体15の戸袋側縦枠16を支持した状態であって固定具54の突出部54cの一部を破断して示す左側面である。
【0031】
ユニットバス12を構築する壁パネル67には、図12(A)及び図14に示す如く、その厚みTがユニットバス12の洗い場防水パン25のパネル載置部13や浴槽24のパネル載置部26の奥行き寸法Uよりも大きいために、その裏面67bがパネル載置部13(26)の起立片13a(26a)よりも外側(脱衣室R側)へ飛び出すものがある。壁パネル67は、例えば、骨組みとなる裏面側の枠体67cと、枠体67cに接合した中間の下地板67dと、下地板67dに貼着した表面側のタイル67eとからなり、裏面下方に窪み部67aを設けてある。この壁パネル67をパネル載置部13(26)に建て込んだ場合には、前記固定具14(図4参照)を用いようとしても、飛び出した壁パネル裏面67bが邪魔となり、係止部14dをパネル載置部13(26)の起立片13a(26a)に引っ掛けることができず固定具14を用いるこができない。
【0032】
本発明支持構造51は、その厚みTが大きい壁パネル67を建て込む仕様に対処できるように固定具54を用いている。固定具54は、係止部54dが前記固定具14(図4参照)の係止部14dと異なり、突出部54cに連接して内側方向Nに沿って延びる取付片54hと、取付片54hにネジ55で接合できる係止片54gとを備えている。固定具54は、前記固定具14と同様に、戸袋側縦枠16の内鍔部16b及び外鍔部16cに当接する当接部54bと、当接部54bから見込み方向(矢符M方向)へ延びる突出部54cと、当接部54bから見込み方向(矢符M方向)と逆方向へ延びる位置決め部54eとからなり、突出部54cと取付片54hとの境界部に引掛け部54aを設ける共に当接部54bに連結具23を連結するための下孔54f,54fを設けてある。係止片54gは、下方の挿入片54g−1と上方の接合片54g−2との境界に段部54g−3を設け、壁パネル67の窪み部67aに挿入片54g−1を差し込んだ後に、露出している接合片54g−3に取付片54hをネジ55で接合できるようにしてある。固定具54は、取付片54hと係止片54gを接合することにより、段部54g−2が引掛け部54aの一部となる。
【0033】
次に、この実施形態に係る本発明支持構造51の施工手順を説明する。まず、図12(A)に示す如く、片引戸用枠体15の戸袋側縦枠16に固定具54の当接部54bを座金33及び連結具23,23を用いて仮止めする。次に、同図(B)に示す如く、片引戸用枠体15をユニットバス12の浴槽24に寄せると共に、壁パネル67の窪み部67aとパネル載置部26の起立片26aとの間に挿入片54g−1を差し込み、起立させた係止片54gの接合片54g−2に取付片54hをネジ55で接合する。続けて、同図(C)及び図13に示す如く、脱衣室R側から各連結具23に対する連結操作(本例は、ナベ頭ドリルねじ23に対する電動ドライバー等によるねじ込み緊締の操作)を行ない、ユニットバス12の浴槽24へ片引戸用枠体15の戸袋側を引き寄せた状態で、片引戸用枠体15の戸袋側をユニットバス12のパネル載置部26に支持する。片引戸用枠体15の排水勾配を確保するためのレベル調整が必要なときには、連結具23が挿通する長孔の挿通孔22(図11参照)を利用して固定具54の取付け高さ位置を調整しつつ連結具23を連結操作する。最後に、片引戸用枠体15を建物躯体にビス止め等で固定し、片引戸用枠体15の戸袋側に戸袋パネル36(図3参照)を取付けて片引戸用枠体15の建て込みを完了する。なお、見込み方向規制具30(図2参照)の取付けについては、前記第1の実施の形態と実質的に同一であるため、説明を省略する。
【0034】
ユニットバス12の洗い場防水パン25のパネル載置部13に固定具54を用いて片引戸用枠体15の戸袋側縦枠16を支持するには、図14 に示す如く、壁パネル67の窪み部67aとパネル載置部13の起立片13aとの間に固定具54の挿入片54g−1を差し込み、前記浴槽24のパネル載置部26と同様にして施工すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明支持構造の第1の実施の形態において、ユニットバスの洗い場防水パンに片引戸用枠体の戸袋側縦枠を支持する態様であって、図(A)はユニットバスと片引戸用枠体を分離した状態の平面図、図(B)は片引戸用枠体に固定具及び見込み方向規制具を仮止めした状態を示す正面図である。
【図2】第1の実施の形態において、片引戸用枠体、固定具、見込み方向規制具、座金及び連結具を分離して示す斜視図である。
【図3】第1の実施の形態において、図1(B)に示す片引戸用枠体の「イ」箇所の支持構造における片引戸用枠体の戸袋側を中間省略して示す平面図である。
【図4】第1の実施の形態において、洗い場防水パンのパネル載置部の起立片に固定具を介して片引戸用枠体の戸袋側縦枠を支持した状態を拡大して示す左側面である。
【図5】第1の実施の形態において、固定具と片引戸用枠体の戸袋側縦枠を連結具で連結した状態を拡大して示す正面図である。
【図6】第1の実施の形態において、図1(B)に示す片引戸用枠体の「ハ」箇所において壁パネルと片引戸用枠体の戸袋側縦枠とを見込み方向規制具で連結した状態を示す平面図である。
【図7】第1の実施の形態において、片引戸用枠体、異なる態様の固定具及び見込み方向規制具、座金、片引戸用枠体並びに連結具を分離して示す斜視図である。
【図8】第1の実施の形態において、異なる態様の固定具及び見込み方向規制具を用いた図1(B)に示す片引戸用枠体の「イ」箇所の支持構造であって片引戸用枠体の戸袋側を中間省略して示す平面図である。
【図9】本発明支持構造の第2の実施の形態を示すものであって、ユニットバスの浴槽に片引戸用枠体の戸袋側縦枠を支持する態様であり、図(A)はユニットバスと片引戸用枠体を分離した状態の平面図、図(B)は片引戸用枠体に固定具及び見込み方向規制具を仮止めした状態を示す正面図である。
【図10】第2の実施の形態において、浴槽に一体成形したパネル載置部の起立片に固定具を介して片引戸用枠体の戸袋側縦枠の対応する部分(図9(B)に示す片引戸用枠体の「ロ」箇所に相当する部分)を支持した状態を拡大して示す左側面である。
【図11】本発明支持構造の第3の実施の形態を示すものであって、片引戸用枠体、固定具、座金及び連結具を分離して示す斜視図である。
【図12】第3の実施の形態において、浴槽に設けたパネル載置部の起立片に固定具を介して片引戸用枠体の戸袋側縦枠を支持する施工手順を示す側面図である。
【図13】第3の実施の形態において、浴槽に設けたパネル載置部の起立片に固定具を介して片引戸用枠体の戸袋側縦枠を支持状態を示すものである。
【図14】第3の実施の形態において、洗い場防水パンのパネル載置部の起立片に固定具を介して片引戸用枠体の戸袋側縦枠を支持した状態である。
【図15】従来のユニットバスにおける片引戸用枠体の支持構造を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0036】
12…ユニットバス、13(26)…パネル載置部、13a(26a)…起立片、14a(54a)…引掛け部、14(54)…固定具、15…片引戸用枠体、16…戸袋側縦枠R…脱衣室、23…連結具、23a…連結用操作部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユニットバスのパネル載置部の起立片に引掛け部を引っ掛けた固定具と片引戸用枠体の戸袋側縦枠とを連結具で連結した片引戸用枠体の支持構造において、戸袋側縦枠の脱衣室側となる内面に、連結具の連結用操作部を露出したことを特徴とするユニットバスにおける片引戸用枠体の支持構造。
【請求項2】
前記戸袋側縦枠における前記固定具より上方部位に見込み方向規制具を連結具で連結し、前記戸袋側縦枠の脱衣室側となる内面に、連結具の連結用操作部を露出した請求項1記載の片引戸用枠体の支持構造。
【請求項3】
前記戸袋側縦枠に設けた挿通孔を通して脱衣室側から前記固定具に螺着するネジからなり、連結用操作部をネジ頭部で形成した請求項1又は2記載の片引戸用枠体の支持構造。
【請求項1】
ユニットバスのパネル載置部の起立片に引掛け部を引っ掛けた固定具と片引戸用枠体の戸袋側縦枠とを連結具で連結した片引戸用枠体の支持構造において、戸袋側縦枠の脱衣室側となる内面に、連結具の連結用操作部を露出したことを特徴とするユニットバスにおける片引戸用枠体の支持構造。
【請求項2】
前記戸袋側縦枠における前記固定具より上方部位に見込み方向規制具を連結具で連結し、前記戸袋側縦枠の脱衣室側となる内面に、連結具の連結用操作部を露出した請求項1記載の片引戸用枠体の支持構造。
【請求項3】
前記戸袋側縦枠に設けた挿通孔を通して脱衣室側から前記固定具に螺着するネジからなり、連結用操作部をネジ頭部で形成した請求項1又は2記載の片引戸用枠体の支持構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2009−203727(P2009−203727A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−47935(P2008−47935)
【出願日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【Fターム(参考)】
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