説明

ユビキチン化タンパク質レベルの減少方法

本発明は被験者中のユビキチン化タンパク質のレベルを減少する方法であって、ここに開示された複素環式化合物又はその薬学的許容可能な塩、水和物又はプロドラッグのそれを必要とする被験者への投与を含む方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユビキチン化による分解を標的としたタンパク質のプロセシングに関する。
【背景技術】
【0002】
アルツハイマー病(AD)は、効果が限定された対症療法のみが存在する神経変性疾患である。APPの特定のアミロイドベータ(Aβ)断片、特にAβ1−40及びAβ1−42が、ADの病変に関係があった。Aβの減少はADの経過を修正する方法として追求されている(Barten, D. 及びC. Albright, Mol. Neurobiol. 37: 171-186 (1998))。しかし、現在まで、この方法から承認された治療は生まれていない。
【0003】
Aβに対し能動及び受動免疫化を用いたADの治療を行う試みがなされている。一のこのような免疫化の方法は既にヒトの試験で失敗に終わっている(Holmes, C.等, Lancet 372: 216-23 (2008))。Aβ免疫療法の限界は、既に形成したAβのみを標的化することにあるであろう。それは新規のAβの産生を遅らせず、又は停止させず、実際に、新規のAβの産生増加を促しさえし得る。
【0004】
ADを治療するための他の試みは、有害なAβ断片が産生され得る前に、既知の酵素のAPPのプロセシングを阻害することに関係があった。これらの酵素標的はガンマセクレターゼ及びベータセクレターゼ(BACE)、1型膜結合型アスパルチルプロテアーゼである。ガンマセクレターゼ阻害剤は、多数のこのような阻害剤が他のガンマセクレターゼ基質の切断に影響し、結果として毒性になり得るので、有用ではないことが判明している(Czirr, E.及びS. Weggen, Neurodegenerative Dis. 3: 298-302 (2006); Tomita, T., Nauyn-Schmiedegerg's Arch. Pharmacol. 377: 295-300 (2008));Milano, J.等, Toxicological Sciences 82: 341-358 (2004))。
【0005】
ガンマセクレターゼ調整剤もまた有用であることは判明していない。ガンマセクレターゼ調整剤の例は、ガンマセクレターゼのアロステリックな調整剤である、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)を含む。このような化合物は炎症に対して使用される投与量においては毒性はないが、ガンマセクレターゼを調節するために十分な高い投与量においては毒性を示す。臨床試験に入った化合物は、それらが弱すぎて十分な臨床効果を有さないような、高マイクロモルのインビトロ効力のみ有する(Czirr, E. 及び S. Weggen, Neurodegenerative Dis. 3: 298-304 (2006))。プロトタイプのガンマセクレターゼ調整剤、フルリザンは、最近、第III相臨床試験に失敗している。
【0006】
更に、その膜の位置に結合したベータセクレターゼの大きな結合ポケットが、有用であり得る十分な濃度において、血液脳関門を通過する阻害剤を設計するための障壁となるので、ベータセクレターゼ阻害剤を用いたADの治療における以前の試みは、有用ではないことが判明している(Barten, D.及びC. Albright, Mol. Neurobiol 37: 171-186 (1998); John, V., Curr. Top. Med. Chem. 6: 569-78 (2006); Venugopal, C.等, CNS & Neurological Disorders - Drug Targets 7: 278-294 (2008))。
【0007】
このように、ADの効果的な治療のための技術が依然必要とされている。
【0008】
推定のアルファセクレターゼADAM10は種々の生理学上のプロセスにおいて重要な役割を果たす表面発現メタロプロテアーゼである。ADAM10は、最初に不活性な酵素プロADAM10として発現し、次いで、タンパク質切断によって活性化され活性酵素であるADAM10を生じる。ADAM10は、細胞膜に隣接する細胞外部位において基質を切断し、基質の可溶性外部ドメインを放出する結果になることが知られている。近年のインビトロの研究はADAM10が種々の疾患と修復機能に関連することを示しているが、adam10遺伝子の標的破壊をしたマウスは、プロテアーゼが発症に重要であることを示した。Pruessmeyer, J.及びLudwig, A., Semin. Cell & Dev. Biol. 1-11 (2008)を参照されたい。
【0009】
急性及び慢性炎症反応は、白血球動員に関わるケモカイン及び接着分子のような炎症誘発性分子の遺伝子発現を順に誘発するサイトカインにより誘発される。一の有名な炎症誘発性サイトカインである腫瘍壊死因子α(TNFα)は、ADAM10の基質として見出された。他のADAM10の炎症誘発性基質は、ノッチ、IL−6受容体、CX3CL1、CXCL16、JAM−A、VE−カドヘリン及びFas−リガンドを含む。Pruessmeyer, J.及びLudwig, A., Semin. Cell & Dev. Biol. 1-11 (2008)を参照されたい。このように、ADAM10活性の下方制御は、炎症反応の制御に至り得る。
【0010】
ADAM10の過剰発現は、前立腺がん、結腸癌及び扁平上皮癌のような、がんに関連付けられている。以前に、メタロプロテアーゼは、血管とリンパ系への腫瘍細胞の接近を容易にするため、腫瘍浸潤と関連付けられている。最近、ADAM10は、放出された増殖因子による増殖の刺激又は免疫監視機構からの逸脱のような初期の腫瘍発症イベントに関連することが示されている。腫瘍発症に関連することが知られているADAM10基質は、EGF、ベータセルリン、ErbB2/HER2、CD44、Des2、MICA及びCD30を含む。Pruessmeyer, J. and Ludwig, A., Semin. Cell & Dev. Biol. 1-11 (2008)を参照されたい。このように、ADAM10の下方制御は、増殖因子、接着分子及び、癌の免疫監視機構からの逸脱を促進する分子の放出を減少させることにより、初期の腫瘍発症の制御に至り得る。
【0011】
ADAM10はまた低親和性IgE(CD23)受容体の切断を示した。Lemieux, G.A.等, J. Biol. Chem. 282: 14,836-44 (2007);及びWeskamp等, Nature Immunol. 7: 1293-98 (2006)を参照されたい。したがって、ADAM10の下方制御はアレルギー反応の制御に至り得る。
【0012】
ADAM10はまた、気流を閉塞し、抗生物質から細菌を保護することにより疾病及び死に寄与する粘液の過剰産生に至る、嚢胞性線維症患者におけるグラム陽性菌により仲介されるムチン遺伝子発現の活性化に関連することが示されている。Lemjabber, H. 及び C. Basbaum, Nature Medicine 8: 41-46(2002)を参照されたい。このように、ADAM10の下方制御は、嚢胞性線維症患者における粘液の過剰生産の制御に至り得る。
【0013】
タンパク質濃度の減少は、転写の減少、翻訳の減少、及び/又は分解の増加によるものであり得る。細胞タンパク質の大部分は、基質補充及び基質分解機構からなるユビキチン−プロテアソーム系(UPS)により分解される。基質補充は3つのクラスの酵素によって媒介される:E1はユビキチンを活性化し、E2はユビキチン担体としての機能を果たし、E3は活性化ユビキチンをタンパク質基質と結合するユビキチンタンパク質リガーゼである。ユビキチン化タンパク質は、ユビキチンリンケージの性質によって認識され、リソソーム(Lys63リンケージ)又はプロテアソーム(Lys11、Lys29又はLys48リンケージ)を標的化し、分解される(総説については、Dahlmann, BMC Biochem. 22: Suppl 1 :S3 (2007)及びMiranda等, Molecular Interventions 7: 157-167 (2007)を参照されたい)。UPSは、損傷タンパク質を分解し、転写、翻訳及び/又はフォールディングの誤りによって生じた機能不全のタンパク質を除去するための鍵である。加齢に伴い、UPSの効率は落ちる。UPSによって除去されるべきであるタンパク質の蓄積と続く凝集は、神経変性疾患を含む多数の加齢に伴う疾患に関与すると考えられている。特に、アルツハイマー病におけるベータアミロイドの蓄積は、部分的には、Aβ凝集を除去するためのUPS及び/又はリソソームプロセシング経路の障害と仮定されている。病的なタンパク質の蓄積は、パーキンソン病(α−シヌクレインレビー小体)及びハンチントン病(ハンチンチンタンパク質)のような多数の他の神経変性疾患に関与する(総説については、Upadhya等, BMC Biochem. 22: Suppl 1 :S1 (2007)を参照されたい)。
【0014】
更に、BACE分解は、ユビキチンプロテアソーム経路によって媒介されることが示されている。Qing, H.等, FASEB J. 18:1571-1573 (2004)。
【発明の概要】
【0015】
本発明はアミロイド前駆体タンパク質の切断を誘起し、被験者中のアミロイド前駆体タンパク質の約17キロドルトン(kDa)のカルボキシ末端断片を産生する方法であって、一般式(I):
(I)

を有する有効量の複素環式化合物又はその薬学的に許容可能な塩、水和物若しくはプロドラッグのそれを必要とする被験者への投与を含み、ここで、 約17kDAの断片がアミロイド前駆体タンパク質のカルボキシ末端アミノ酸配列とアミロイドベータアミノ酸配列を含み、R、R、R、R及びRがここで定義される通りである方法を提供する。
【0016】
本発明はまたアミロイド前駆体タンパク質のカルボキシ末端アミノ酸とアミロイドベータアミノ酸配列を含む約17kDaのアミロイド前駆体タンパク質断片を提供する。
【0017】
本発明はまたアミロイド前駆体タンパク質を切断し、アミロイド前駆体タンパク質の約17kDaの断片を生成するためのスクリーニング方法であって、(a)アミロイド前駆体又はその断片を産生する細胞を試験化合物に曝し、(b)約17kDaの断片の量を検出し、ここで、約17kDaの断片がアミロイド前駆体タンパク質のカルボキシ末端アミノ酸配列及びアミロイドベータアミノ酸配列を含み、化合物に曝していない細胞中の約17kDaの断片の量に対する、化合物に曝した細胞中の約17kDaの断片の量の増加が、約17kDaの断片を生成するアミロイド前駆体タンパク質を切断する化合物であることを示す方法を提供する。
【0018】
本発明はまたアミロイド前駆体タンパク質の切断を誘起し、被験者中のアミロイド前駆体タンパク質の約17kDaのカルボキシ末端断片を産生する方法であって、
一般式(I):

(I)
を有する化合物ではない有効量の化合物又はその薬学的に許容可能な塩、水和物又はプロドラッグの投与を含み、ここで、R、R、R、R及びRがここで定義する通りである方法を提供する。
【0019】
本発明はまた被験者中のプロADAM10及び/又はBACEタンパク質のレベルを減少させる方法であって、
一般式(I):

(I)
を有する有効量の複素環式化合物又はその薬学的に許容可能な塩、水和物又プロドラッグのそれを必要とする被験者への投与を含み、ここで、R、R、R、R及びRがここで定義する通りである方法を提供する。
【0020】
本発明はまたプロADAM10及び/又はBACEのレベルを減少させる化合物のスクリーニングの方法であって、(a)プロADAM10及び/又はBACEを発現する細胞又は組織を試験化合物に曝し、(b)細胞又は組織中のプロADAM10及び/又はBACEの量を検出することを含み、ここで、化合物に曝していない細胞又は組織中のプロADAM10及び/又はBACEタンパク質に対する、化合物に曝した細胞又は組織中のプロADAM10及び/又はBACEタンパク質の量の減少が、化合物がプロADAM10及び/又はBACEタンパク質の量を減少させることを示す方法を提供する。
【0021】
本発明はまた被験者中のプロADAM10及び/又はBACEタンパク質のレベルを減少させる方法であって、式(I):

(I)
を有する化合物ではない有効量の複素環式化合物又はその薬学的に許容可能な塩、水和物又プロドラッグのそれを必要とする被験者への投与を含み、ここで、R、R、R、R及びRがここで定義する通りである方法を提供する。
【0022】
本発明はまた単離した約32kDaのリン酸化タウタンパク質断片を提供する。
【0023】
本発明はまた被験者中のタウタンパク質の蓄積を減少させる方法であって、一般式(I):

(I)
を有する有効量の複素環式化合物又はその薬学的に許容可能な塩、水和物又はプロドラッグのそれを必要とする被験者への投与を含み、ここで、R、R、R、R及びRがここで定義する通りである方法を提供する。
【0024】
本発明はまたタウタンパク質の蓄積を減少させる化合物のスクリーニング方法であって、(a)タウタンパク質を蓄積する細胞又は組織を試験化合物に曝し、(b)前記細胞又は組織中に蓄積したタウタンパク質の量を検出することを含み、ここで、化合物に曝していない細胞又は組織によるタウタンパク質の蓄積に対する、化合物に曝した細胞中のタウタンパク質の蓄積の量の減少が、化合物がタウタンパク質の蓄積量を減少させることを示す方法を提供する。
【0025】
本発明はまた被験者中のタウタンパク質の蓄積を減少させる方法であって、一般式(I):

(I)
を有する化合物ではない有効量の複素環式化合物又はその薬学的に許容可能な塩、水和物又はプロドラッグのそれを必要とする被験者への投与を含み、ここで、ここで、R、R、R、R及びRがここで定義する通りであり、該化合物が国際公開第2007/008526号として開示された、国際出願PCT/US2006/026331中に開示された化合物ではない方法を提供する。
【0026】
本発明はまた被験者中の炎症の治療又は予防の方法であって、
一般式(I):

(I)
を有する有効量の複素環式化合物又はその薬学的に許容可能な塩、水和物又はプロドラッグのそれを必要とする被験者への投与を含み、ここで、R、R、R、R及びRがここで定義する通りである方法を提供する。
【0027】
本発明はまた被験者中の嚢胞性線維症を治療又は予防の方法であって、一般式(I):

(I)
を有する有効量の複素環式化合物又はその薬学的に許容可能な塩、水和物又はプロドラッグのそれを必要とする被験者への投与を含み、ここで、R、R、R、R及びRがここで定義する通りである方法を提供する。
【0028】
本発明はまた被験者中のアレルギーの治療又は予防の方法であって、一般式(I):

(I)
を有する有効量の複素環式化合物又はその薬学的に許容可能な塩、水和物又はプロドラッグのそれを必要とする被験者への投与を含み、ここで、R、R、R、R及びRがここで定義する通りである方法を提供する。
【0029】
本発明はまた被験者中の過剰増殖性疾患を治療する方法であって、一般式(I):

(I)
を有する有効量の複素環式化合物又はその薬学的に許容可能な塩、水和物又はプロドラッグのそれを必要とする被験者への投与を含み、ここで、R、R、R、R及びRがここで定義する通りである方法を提供する。
【0030】
本発明はまた被験者中のユビキチン化タンパク質のレベルを減少させる方法であって、一般式(I):

(I)
を有する有効量の複素環式化合物又はその薬学的に許容可能な塩、水和物又プロドラッグのそれを必要とする被験者への投与を含み、ここで、R、R、R、R及びRがここで定義する通りである方法を提供する。
【0031】
本発明はまた被験者中のユビキチン化タンパク質のレベルを減少させる方法であって、一般式(I):

(I)
を有する複素環式化合物ではない有効量の化合物又はその薬学的に許容可能な塩、水和物又プロドラッグのそれを必要とする被験者への投与を含み、ここで、R、R、R、R及びRがここで定義する通りであり、化合物がユビキチンヒドロラーゼではない方法を提供する。
【0032】
本発明はまた被験者中の不要タンパク質の除去及び分解を増加させる方法であって、一般式(I):

(I)
を有する有効量の複素環式化合物又はその薬学的に許容可能な塩、水和物又プロドラッグのそれを必要とする被験者への投与を含み、ここで、R、R、R、R及びRがここで定義する通りである方法を提供する。
【0033】
本発明はまた被験者中の有害タンパク質の除去及び分解を増加させる方法であって、一般式(I):

(I)
を有する複素環式化合物ではない有効量の化合物又はその薬学的に許容可能な塩、水和物又プロドラッグのそれを必要とする被験者への投与を含み、ここで、R、R、R、R及びRがここで定義する通りであり、化合物がユビキチンヒドロラーゼではない方法を提供する。
【0034】
本発明はまた被験者中の蓄積した及び/又は有害タンパク質のプロテアソーム分解を増加させる方法であって、一般式(I):

(I)
を有する有効量の複素環式化合物又はその薬学的に許容可能な塩、水和物又プロドラッグのそれを必要とする被験者への投与を含み、ここで、R、R、R、R及びRがここで定義する通りである方法を提供する。
【0035】
本発明はまた被験者中の蓄積した及び/又は有害タンパク質のプロテアソーム分解を増加させる方法であって、一般式(I):

(I)
を有する複素環式化合物ではない有効量の化合物又はその薬学的に許容可能な塩、水和物又プロドラッグのそれを必要とする被験者への投与を含み、ここで、R、R、R、R及びRがここで定義する通りであり、化合物がユビキチンヒドロラーゼではない方法を提供する。
【0036】
本発明はまた被験者中のユビキチン−プロテアソーム系経路の活性を増加させる方法であって、一般式(I):

(I)
を有する有効量の複素環式化合物又はその薬学的に許容可能な塩、水和物又プロドラッグのそれを必要とする被験者への投与を含み、ここで、R、R、R、R及びRがここで定義する通りである方法を提供する。
【0037】
本発明はまた被験者中のユビキチン−プロテアソーム系経路の活性を増加させる方法であって、一般式(I):

(I)
を有する複素環式化合物ではない有効量の化合物又はその薬学的に許容可能な塩、水和物又プロドラッグのそれを必要とする被験者への投与を含み、ここで、R、R、R、R及びRがここで定義する通りであり、化合物がユビキチンヒドロラーゼではない方法を提供する。
【0038】
本発明はまたユビキチン化タンパク質のレベルを減少させる化合物のスクリーニング方法であって、(a)ユビキチン化タンパク質を含有する細胞又は組織を試験化合物に曝し、(b)前記細胞又は組織中のユビキチン化タンパク質の量を検出し、ここで、化合物に曝していない細胞又は組織によるユビキチン化タンパク質の蓄積に対する、化合物に曝した細胞又は組織中のユビキチン化タンパク質の蓄積の量の減少が、化合物がユビキチン化タンパク質の蓄積量を減少させることを示す方法を提供する。
【0039】
本発明はまたプリオン病の治療又は予防の方法であって、一般式(I):

(I)
を有する有効量の複素環式化合物又はその薬学的に許容可能な塩、水和物又プロドラッグのそれを必要とする被験者への投与を含み、ここで、R、R、R、R及びRがここで定義する通りである方法を提供する。
【0040】
本発明はまた白内障の治療又は予防の方法であって、一般式(I):

(I)
を有する有効量の複素環式化合物又はその薬学的に許容可能な塩、水和物又プロドラッグのそれを必要とする被験者への投与を含み、ここで、R、R、R、R及びRがここで定義する通りである方法を提供する。一実施態様では、一般式(I)を有する複素環式化合物を投与される被験者は、白内障である。別の実施態様では、被験者は白内障と診断されている。別の実施態様では、白内障が治療される。別の実施態様では白内障が予防される。
【0041】
本発明はまた2型糖尿病の治療又は予防の方法であって、一般式(I):

(I)
を有する有効量の複素環式化合物又はその薬学的に許容可能な塩、水和物又プロドラッグのそれを必要とする被験者への投与を含み、ここで、R、R、R、R及びRがここで定義する通りである方法を提供する。
【0042】
本発明はまたパジェット病の治療又は予防の方法であって、一般式(I):

(I)
を有する有効量の複素環式化合物又はその薬学的に許容可能な塩、水和物又プロドラッグのそれを必要とする被験者への投与を含み、ここで、R、R、R、R及びRがここで定義する通りである方法を提供する。
【0043】
本発明はまた外傷性脳損傷の治療方法であって、一般式(I):

(I)
を有する有効量の複素環式化合物又はその薬学的に許容可能な塩、水和物又プロドラッグのそれを必要とする被験者への投与を含み、ここで、R、R、R、R及びRがここで定義する通りである方法を提供する。
【0044】
本発明はまた筋萎縮性側索硬化症の治療又は予防の方法であって、一般式(I):

(I)
を有する有効量の複素環式化合物又はその薬学的に許容可能な塩、水和物又プロドラッグのそれを必要とする被験者への投与を含み、ここで、R、R、R、R及びRがここで定義する通りである方法を提供する。
【0045】
本発明はまた前頭側頭型痴呆の治療又は予防の方法であって、一般式(I):

(I)
を有する有効量の複素環式化合物又はその薬学的に許容可能な塩、水和物又プロドラッグのそれを必要とする被験者への投与を含み、ここで、R、R、R、R及びRがここで定義する通りである方法を提供する。
【0046】
本発明はまたレビー小体病の治療又は予防の方法であって、一般式(I):

(I)
を有する有効量の複素環式化合物又はその薬学的に許容可能な塩、水和物又プロドラッグのそれを必要とする被験者への投与を含み、ここで、R、R、R、R及びRがここで定義する通りである方法を提供する。
【0047】
本発明はまた孤発性封入体筋炎の治療又は予防の方法であって、一般式(I):

(I)
を有する有効量の複素環式化合物又はその薬学的に許容可能な塩、水和物又プロドラッグのそれを必要とする被験者への投与を含み、ここで、R、R、R、R及びRがここで定義する通りである方法を提供する。
【0048】
本発明はまた心機能不全の治療又は予防の方法であって、一般式(I):

(I)
を有する有効量の複素環式化合物又はその薬学的に許容可能な塩、水和物又プロドラッグのそれを必要とする被験者への投与を含み、ここで、R、R、R、R及びRがここで定義する通りである方法を提供する。
【0049】
本発明はまた球脊髄性筋萎縮症 (ケネディー病)の治療又は予防の方法であって、一般式(I):

(I)
を有する有効量の複素環式化合物又はその薬学的に許容可能な塩、水和物又プロドラッグのそれを必要とする被験者への投与を含み、ここで、R、R、R、R及びRがここで定義する通りである方法を提供する。
【0050】
本発明はまた歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症 (ハウリバー症候群)の治療又は予防の方法であって、一般式(I):

(I)
を有する有効量の複素環式化合物又はその薬学的に許容可能な塩、水和物又プロドラッグのそれを必要とする被験者への投与を含み、ここで、R、R、R、R及びRがここで定義する通りである方法を提供する。
【0051】
本発明はまた脊髄小脳変性症の治療又は予防の方法であって、一般式(I):

(I)
を有する有効量の複素環式化合物又はその薬学的に許容可能な塩、水和物又プロドラッグのそれを必要とする被験者への投与を含み、ここで、R、R、R、R及びRがここで定義する通りである方法を提供する。
【0052】
本発明はまた黄斑変性の治療又は予防の方法であって、一般式(I):

(I)
を有する有効量の複素環式化合物又はその薬学的に許容可能な塩、水和物又プロドラッグのそれを必要とする被験者への投与を含み、ここで、R、R、R、R及びRがここで定義する通りである方法を提供する。
【0053】
本発明はまたパーキンソン病の治療又は予防の方法であって、一般式(I):

(I)
を有する有効量の複素環式化合物又はその薬学的に許容可能な塩、水和物又プロドラッグのそれを必要とする被験者への投与を含み、ここで、R、R、R、R及びRがここで定義する通りである方法を提供する。
【0054】
本発明はまたポリグルタミン病の治療又は予防の方法であって、一般式(I):

(I)
を有する有効量の複素環式化合物又はその薬学的に許容可能な塩、水和物又プロドラッグのそれを必要とする被験者への投与を含み、ここで、R、R、R、R及びRがここで定義する通りである方法を提供する。
【0055】
本発明はまたハンチントン病の治療又は予防の方法であって、一般式(I):

(I)
を有する有効量の複素環式化合物又はその薬学的に許容可能な塩、水和物又プロドラッグのそれを必要とする被験者への投与を含み、ここで、R、R、R、R及びRがここで定義する通りである方法を提供する。
【0056】
本発明はまた全身性アミロイドーシスの治療又は予防の方法であって、一般式(I):

(I)
を有する有効量の複素環式化合物又はその薬学的に許容可能な塩、水和物又プロドラッグのそれを必要とする被験者への投与を含み、ここで、R、R、R、R及びRがここで定義する通りである方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】図1A及び1Bは、化合物ST101が、Neuro2a(N2a)細胞のAβ産生に与える影響を示す棒グラフである。図1Aは、処置24時間後のコントロールと比較したST101濃度の作用としての細胞培養培地中のAβ濃度を示す棒グラフである。図1Bは、コントロールと比較したST101濃度の作用としてのAβ1−40に対するAβ1−42の割合を示す棒グラフである。
【0058】
【図2】図2A、2B及び2Cは、Morris水迷路における3xTg−ADマウスに対するST101の効果を示すグラフである。図2Aは、コントロールマウスと比較した7日間の期間に渡るトレーニングの間の遅延(秒)を示すグラフである。図2B及び2Cは、ST101処置動物及びコントロールマウスのトレーニング後24及び72時間における遅延(秒)及びプラットフォームのクロス回数を示すグラフである。
【0059】
【図3】図3A及び3Bは、3xTg−ADマウスの脳組織におけるST101のAβに対する影響を示す棒グラフである。図3Aは、コントロールマウスに対する、ST101で処理したマウスの脳組織における可溶性Aβ1−40及びAβ1−42の量を示す。図3Bは、コントロールマウスに対する、ST101で処理したマウスの不溶性Aβ1−40及びAβ1−42(ギ酸抽出)の量を示す棒グラフである。
【0060】
【図4】図4は、未処理(C)の3xTg−ADマウスに対する、ST101で処理した(S)3xTg−ADマウスの脳において抗体CT20により検出されたAPPカルボキシ末端断片を示すウェスタンブロットである。
【0061】
【図5】図5は、未処理(C)の3xTg−ADマウスに対する、ST101で処理した(S)3xTg−ADマウスの脳における抗体CT20により検出されたAPP及び分解断片を示すウェスタンブロットである。*は全長APP種を示し、**は主分解産物を示し、「アクチン」はタンパク質ローディングコントロールとしての抗ベータアクチン抗体を示す。
【0062】
【図6】図6は、新規のアミロイド前駆体タンパク質カルボキシ末端断片をもたらす提案されたアミロイドプロセシング経路を示す図である。
【0063】
【図7】図7A及び7Bは、3xTg−ADマウスの脳組織におけるAβに対するST101の影響を示す棒グラフである。図7Aは、コントロールマウスに対する、ST101で処理したマウスの脳組織における可溶性Aβ1−40及びAβ1−42の量を示す。図7Bは、コントロールマウスに対する、ST101で処理したマウスの不溶性Aβ1−40及びAβ1−42(ギ酸抽出)の量を示す棒グラフである。*はコントロール動物からの統計学的に有意な差異を示す。
【0064】
【図8】図8A及び8Bは、3xTg−ADマウスの脳組織におけるAβに対するST101の影響を示す棒グラフである。図8Aは、コントロールマウスに対する、ST101で処理したマウスの脳組織における可溶性Aβ1−40及びAβ1−42の量を示す。図8Bの棒は、コントロールマウスに対する、ST101で処理したマウスの不溶性Aβ1−40及びAβ1−42(ギ酸抽出)の量を示す。
【0065】
【図9】図9は、カニクイザルの脳組織におけるAβに対するST101の影響を示す棒グラフである。図9は、コントロールのサルに対する、ST101で処理したサルのAβ1−40のレベルの量を示す。
【0066】
【図10】図10A−10Dは、未処理の3xTg−ADマウス(C)に対する、ST101で処理した3xTg−ADマウス(図10AのT、図10B−10CのS)の脳において検出したAPPカルボキシ末端断片を示すウェスタンブロットである。図10A及び10Bにおいて、CT20抗体を用いた。図10Bは、図10Aの実験に用いたものと同一の脳抽出液を用いた別の実験である。図10C及び10Dにおいて、APP C末端抗体(Eptitomics番号:1565−1)を用いた。図10Dは、図10Cよりもウェスタンブロットの露出を軽くしている。
【0067】
【図11】図11Aは、コントロールマウス(C)に対するST101で処理した3xTG−ADマウス(S)の脳抽出液におけるプロADAM10、ADAM10、プロBACE、BACE、プレセニリン1及びAPP−CFTsのレベルを示す一連のウェスタンブロットである。図11Bは、デンシトメトリーによる図11Aのウェスタンブロットのバンドの定量を示す。
【0068】
【図12】図12は、コントロールマウス(C)に対するST101で処理した3xTG−ADマウス(S)の脳抽出液における全長タウ、タウの蓄積、タウ分解産物及びリン酸化タウのレベルを示す一連のウェスタンブロットである。ベータアクチンレベル(Ac)はローディングコントロールとして使用した。
【0069】
【図13】図13は、3xTgADマウスの脳組織におけるsAPPベータに対するST101の影響を示すウェスタンブロットである。
【0070】
【図14】図14は、3xTgADマウスの脳組織におけるTACEに対するST101の影響を示すウェスタンブロットである。
【0071】
【図15】図15は、コントロールマウス(C)に対するST101で処理した3xTgADマウス(S)の脳組織におけるユビキチン化タンパク質レベルに対するST101の影響を示すウェスタンブロットである。
【0072】
【図16】図16Aは、3xTgADマウスの脳組織におけるユビキチン化チューブリンと思われるより高分子量のα−チューブリンに対するST101の影響を示すウェスタンブロットである。図16Bは、コントロールマウス(C)に対するST101で処理した3xTgADマウス(S)の脳組織におけるアセチル化α−チューブリンのレベルに対するST101の影響を示すウェスタンブロットである。
【0073】
【図17】図17は、コントロールマウス(C)に対するST101で処理した3xTgADマウス(S)の脳組織におけるセリン13においてリン酸化されたハンチンチンタンパク質のレベルに対するST101の影響を示すウェスタンブロットである。
【0074】
【図18】図18は、コントロールマウス(C)に対するST101で処理した3xTg−ADマウス(S)の脳抽出液におけるLC3、カテプシンD、ベクリン1、及びLAMP2Aのレベルを示す一連のウェスタンブロットである。
【0075】
【図19】図19A−19Cは、未処理のサル(C)に対する、ST101で処理したカニクイザルの脳におけるAPP抗体1565−1(エピトミクス)で検出したAPPカルボキシ末端断片を示す一連のウェスタンブロットである。図19Bは、コントロールのサルに対する、ST101で処理した雄の猿の脳組織における可溶性Aβ1−40及びAβ1−42の量に対するST101の影響を示す棒グラフである。図19Cは、未処理のサルに対する、ST101で処理したサルの脳におけるBACE、ADAM10、GAPDH(ローディングコントロール)及び(APP抗体CT20で検出した)APPカルボキシ末端断片を示すウェスタンブロットである。
【0076】
【図20】図20A及び20Bは、未処理のマウス(C)に対する、ST101で処理したカニクイザルの脳組織で検出したアセチル化アルファ−チューブリン、ベータ−チューブリン及びその分解断片を示すウェスタンブロットである。
【0077】
【図21】図21Aは、未処理のマウス(C)に対する、ST101で処理した野生型のC57/B6マウス(S)の脳組織におけるユビキチン化タンパク質レベルに対するST101の影響を示すウェスタンブロットである。図21Bは、図21Aのユビキチンシグナルをデンシトメトリーによる定量化によって示した棒グラフである。
【0078】
【図22】図22は、未処理のサル(C)に対する、ST101で処理したカニクイザル(S)の脳組織で検出したプロテアソームアルファサブユニット、プロテアソームベータサブユニット2i及び5i並びにアクチン(ローディングコントロール)を示すウェスタンブロットである。
【0079】
【図23】図23は、未処理の3xTg−ADマウス(C)に対する、ST101で処理した3xTG−ADマウス(S)の脳においてAPP抗体CT20(カルビオケム)によって検出したAICD断片を含むAPPカルボキシ末端断片を示すウェスタンブロットである。*は17kD断片を示す。
【発明を実施するための形態】
【0080】
別に定義されない限り、ここで使用される全ての技術的及び科学的用語は、本発明が属する分野の当業者が通常理解する意味と同じ意味を有する。
【0081】
本発明は、被験者中のAPPの約17kDaのカルボキシ末端断片を産生するAPPの切断を誘導する方法であって、一般式(I):

(I)
を有する複素環式化合物又はその薬学的に許容可能な塩、水和物又はプロドラッグのそれを必要とする被験者へ投与する方法を含み、ここで、約17kDaの断片がAPPのカルボキシ末端アミノ酸配列とアミロイドベータアミノ酸配列を含む方法を提供する。
【0082】
別の実施態様では、一般式(I)を有する複素環式化合物の投与は、Aβ1−42、Aβ1−40、APPのC99断片、及び/又はAPPのC83断片の一以上の産生の減少の結果となる。
【0083】
別の実施態様では、一般式(I)を有する複素環式化合物の投与は、Aβの減少の結果となる。
【0084】
別の実施態様では、被験者は、ダウン症におけるアルツハイマー病関連病変媒介認知低下である。別の実施態様では、ダウン症におけるアルツハイマー病関連病変媒介認知低下が治療される。別の実施態様では、ダウン症におけるアルツハイマー病関連病変媒介認知低下が予防される。
【0085】
別の実施態様では、一般式(I)を有する複素環式化合物を投与された被験者はADである。別の実施態様では、被験者はADと診断されている。別の実施態様では、被験者は軽度の認知障害である。別の実施態様では、被験者は軽度の認知障害と診断されている。
【0086】
別の実施態様では、ADが治療される。別の実施態様では、軽度の認知障害が治療される。ここで使用されるように、「治療」は、健康状態、障害又は疾患の症状が改善又はそうでなければ有益に変化される任意の様式を意味する。別の実施態様では、被験者はADと診断されている。
【0087】
一実施態様では、ADは予防される。別の実施態様では、軽度の認知障害が予防される。AD又は認知障害の「予防」とは、ここで使用する場合、被験者中の一以上のADの症状の発生の予防を意味する。
【0088】
ここで使用する場合、特定の薬学的組成物の投与による特定の障害の症状の改善は、恒久的であれ一時的であれ、持続性であれ一時的であれ、組成物の投与に起因又は関連し得る、任意の緩和を意味する。
【0089】
別の実施態様では、被験者は被験者がADであるかどうかを決定するためにスクリーニングされる。スクリーニングは、被験者を調べることによって実施され得る。或いは、スクリーニングは、一以上のADの生物学的なマーカーを評価することによって実施され得る。
【0090】
別の実施態様では、被験者はADに罹患しやすいと診断されている。別の実施態様では、被験者は、被験者がADを発生しやすいかどうか決定するためにスクリーニングされる。スクリーニングは、被験者を調べることによって実施され得る。或いは、スクリーニングは一以上のADに罹患しやすい生物学的なマーカーを評価することによって実施され得る。
【0091】
本発明はまたAPPのカルボキシ末端アミノ酸配列及びアミロイドベータアミノ酸配列を含む単離した約17kDaのAPP断片を提供する。
【0092】
本発明はまた本発明の約17kDAの断片を含む組成物を提供する。別の実施態様では、組成物はまた細胞培養溶解液及び/又は培地を含む。
【0093】
本発明はまた本発明の約17kDAの断片を含む容器を提供する。別の実施態様では、容器はマイクロチューブである。別の実施態様では、容器は試験管である。別の実施態様では、容器はピペット又はマイクロピペットである。別の実施態様では、容器はマイクロアレイ装置である。別の実施態様では、容器はマイクロタイタープレートである。別の実施態様では、容器はスクリーニングアッセイ装置の構成要素である。
【0094】
本発明はまたAPPを切断しAPPの約17kDaの断片を生じる化合物のスクリーニングのための方法であって、(a)APP又はその断片を産生する細胞を試験化合物に曝し、(b)約17kDaの断片の量を検出し、ここで、約17kDaの断片は、APPのカルボキシ末端アミノ酸配列及びアミロイドベータアミノ酸配列を含み、化合物に曝していない細胞における約17kDaの断片の量に対する、化合物に曝した細胞の約17kDaの断片の量の増加が、化合物がAPPの切断を誘導して約17kDaの断片を産生することを示す方法を提供する。
【0095】
或いは、約17kDaの断片の遊離アミノ末端の存在を検出し得、又は17kDaの断片を生じる切断によって生じたAPPの遊離カルボキシ末端を検出し得る。
【0096】
本発明はまたAPPを切断し約17kDaのAPPの断片を生じる化合物をスクリーニングするための方法であって、(a)APP又はその断片を産生する細胞に試験化合物に曝し、(b)約17kDaの断片を検出し、ここで、約17kDaの断片は、APPのカルボキシ末端アミノ酸配列及びアミロイドベータアミノ酸配列を含み、ここで、化合物に曝していない細胞中の約17kDaの断片の欠如と比較して、化合物に曝した細胞中の約17kDaの断片の存在が、化合物がAPPの切断を誘導して約17kDaの断片を生じることを示す方法を提供する。
【0097】
一実施態様では、該方法は、(c)化合物に曝した細胞中のAβ1−42、Aβ1−40、APPのC99断片、又はAPPのC83断片の一以上の量が、化合物に曝していない細胞中のAβ1−42、Aβ1−40、APPのC99断片、又はAPPのC83断片の量と比較して、減少しているかどうかを決定することを更に含む。
【0098】
別の実施態様では、本発明のスクリーニング方法はインビトロで実施される。この実施態様では、化合物に曝した細胞と化合物に曝していないコントロールの細胞について、細胞培養中の約17kDa断片の量を測定し得る。
【0099】
化合物に曝していない細胞の細胞培養液中の約17kDaの断片の量と比較した、化合物に曝した細胞の細胞培養液中の約17kDaの断片の量の増加は、化合物がAPPを切断し、約17kDaの断片を生じることを示す。
【0100】
約17kDaのAPP断片、Aβ1−42、Aβ1−40、APPのC99断片、又はAPPのC83断片はまた、例えば、ゲル電気泳動を用いて、検出され得る。約17kDaのAPP断片、Aβ1−42、Aβ1−40、APPのC99断片、又はAPPのC83断片はまた17kDa断片のN末端に対する第一のモノクローナル抗体と、例えば、17kDa断片のカルボキシ末端のような、17kDaの断片の別の領域に対する第二のモノクローナル抗体を用いたサンドウィッチELISAアッセイを用いて検出され得る。
【0101】
約17kDaのAPP断片、Aβ1−42、Aβ1−40、APPのC99断片、又はAPPのC83断片はまた、例えば、事前に抗体による免疫沈降を行うか、又は行わずに質量分析を用いて検出され得る。
【0102】
別の実施態様では、約17kDaの断片は単離される。ここで用いられる「単離された」なる用語は、被験者の脳からの分離を意味する。別の実施態様では、約17kDaの断片は、電気泳動ゲル中に存在する。別の実施態様では、約17kDaの断片は、細胞溶解液又は培地に存在する。
【0103】
APPの「約17kDaの断片」はAPPのC末端配列とAPPのアミロイドベータ配列を含むAPPの断片である。約17kDaの断片は、APPのC99断片又はAPPのC83断片ではない。
【0104】
本発明はまたAPPの切断を誘導し、被験者中のAPPの約17kDaのカルボキシ末端断片を生じる方法であって、一般式(I):

(I)
を有する化合物ではない化合物又はその薬学的に許容可能な塩、水和物又はプロドラッグの投与を含む方法を提供する。
【0105】
一実施態様では、化合物は、それぞれが出典明記によってその全体が取り込まれる、米国出願第11/872,408号(米国第2008/0103157A1号);米国出願第11/872,418号(米国第2008/0103158A1号);米国特許第6,635,652号;米国特許第7,141,579号;及び国際出願番号PCT/JP2007/070962(国際公開第2008/047951号)の何れかに開示された化合物ではない化合物である。別の実施態様では、化合物は、スピロ(イミダゾ(1,2−a)ピリジン−2(3H)−オン−3,2’−インダン)ではない。
【0106】
別の実施態様では、一般式(I)を有する化合物ではない化合物の投与は、Aβ1−42、Aβ1−40、APPのC99断片、及び/又はAPPのC83断片の一以上の産生の減少の結果となる。
【0107】
別の実施態様では、一般式(I)を有する複素環式化合物を投与する被験者は、ADである。別の実施態様では、被験者はADと診断されている。別の実施態様では、被験者は、軽度の認識障害である。別の実施態様では、被験者は、軽度の認知障害と診断されている。
【0108】
別の実施態様では、ADが治療される。別の実施態様では、軽度の認知障害が治療される。ここで使用する場合、「治療」は、健康状態、障害又は疾患の症状が改善又はそうでなければ有益に変化される任意の様式を意味する。別の実施態様では、被験者はADと診断されている。
【0109】
一実施態様では、ADは予防される。別の実施態様では、軽度の認知障害が予防される。AD又は認知障害の「予防」とは、ここで使用する場合、被験者中の一以上のADの症状の発生の予防を意味する。
【0110】
ここで使用する場合、特定の薬学的組成物の投与による特定の障害の症状の改善は、恒久的であれ一時的であれ、持続性であれ一時的であれ、組成物の投与に起因又は関連し得る、任意の緩和を意味する。
【0111】
別の実施態様では、被験者は、被験者がADであるかどうかを決定するためにスクリーニングされる。スクリーニングは、被験者を調べることによって実施され得る。或いは、スクリーニングは、一以上のADの生物学的なマーカーを評価することによって実施され得る。
【0112】
別の実施態様では、被験者はADに罹患しやすいと診断されている。別の実施態様では、被験者は、被験者がADを発生しやすいかどうか決定するためにスクリーニングされる。スクリーニングは、被験者を調べることによって実施され得る。或いは、スクリーニングは一以上のADに罹患しやすい生物学的なマーカーを評価することによって実施され得る。
【0113】
本発明はまた被験者中のプロADAM10及び/又はBACEタンパク質のレベルを減少させる方法であって、一般式(I):

(I)
【0114】
を有する複素環式化合物又はその薬学的に許容可能な塩、水和物又はプロドラッグのそれを必要とする被験者への投与を含み、ここで、R、R、R、R及びRは、ここで定義される通りである方法を提供する。
【0115】
一実施態様では、プロADAM10のレベルが減少する。別の実施態様では、BACEのレベルが減少する。別の実施態様では、プロADAM10のレベル及びBACEのレベルが減少する。
【0116】
プロADAM10及びBACEのレベルは、例えば、それぞれプロADAM10及びBACEに特異的な抗体を用いたウェスタンブロットで評価され得る。
【0117】
一実施態様では、プロADAM10及び/又はBACEタンパク質のレベルは、被験者の脳で減少する。
【0118】
別の実施態様では、一般式(I)を有する複素環式化合物を投与される被験者はADである。別の実施態様では、被験者はADと診断されている。別の実施態様では、被験者は軽度認知障害である。別の実施態様では、被験者は軽度認知障害と診断されている。
【0119】
別の実施態様では、ADが治療される。別の実施態様では、軽度認知障害が治療される。別の実施態様では、被験者はADと診断されている。
【0120】
一実施態様では、ADが予防される。別の実施態様では、軽度認知障害が予防される。
【0121】
別の実施態様では、被験者は、被験者がADであるかどうかを決定するためにスクリーニングされる。スクリーニングは被験者を調べることによって実施され得る。或いは、スクリーニングは一以上のADの生物学的マーカーを評価することによって実施され得る。
【0122】
別の実施態様では、被験者はADに罹患しやすいと診断されている。別の実施態様では、被験者は、被験者がADを発症しやすいかどうかを決定するためにスクリーニングされる。スクリーニングは被験者を調べることによって実施され得る。或いは、スクリーニングは一以上のADへの罹患しやすさの生物学的なマーカーを評価することによって実施され得る。別の実施態様では、被験者は封入体筋炎である。別の実施態様では、封入体筋炎が治療される。別の実施態様では、封入体筋炎が予防される。
【0123】
別の実施態様では、被験者はダウン症におけるアルツハイマー病関連病変媒介認知低下である。別の実施態様では、ダウン症におけるアルツハイマー病関連病変媒介認知低下が治療される。別の実施態様では、ダウン症におけるアルツハイマー病関連病変媒介認知低下が予防される。
【0124】
別の実施態様では、複素環式化合物の投与は、プロADAM10及び/又はBACEのmRNA転写の減少の結果となる。
【0125】
別の実施態様では、複素環式化合物の投与は、プロADAM10及び/又はBACEのタンパク質翻訳の減少の結果となる。
【0126】
別の実施態様では、複素環式化合物の投与は、プロADAM10及び/又はBACEの翻訳後修飾の結果となる。
【0127】
別の実施態様では、複素環式化合物の投与は、プロADAM10及び/又はBACEの分解が増加する結果となる。
【0128】
本発明はまたプロADAM10及び/又はBACEのレベルを減少させる化合物をスクリーニングするための方法であって、(a)プロADAM10及び/又はBACEを発現する細胞又は組織を試験化合物に曝し、(b)細胞又は組織中のプロADAM10及び/又はBACEの量を検出し、ここで、化合物に曝していない細胞又は組織中のプロADAM10及び/又はBACEタンパク質と比較した、化合物に曝した細胞又は組織中のプロADAM10及び/又はBACEタンパク質の量の減少が、化合物がプロADAM10及び/又はBACEタンパク質の量を減少させることを示す方法を提供する。
【0129】
本発明はまた被験者中のプロADAM10及び/又はBACEタンパク質のレベルを減少させる方法であって、一般式(I):

(I)
【0130】
を有する化合物ではない複素環式化合物又はその薬学的に許容可能な塩、水和物又はプロドラッグのそれを必要とする被験者への投与を含み、ここで、R、R、R、R及びRは、ここで定義される通りである方法を提供する。
【0131】
一実施態様では、それぞれが出典明示によりその全体が取り込まれる、米国特許出願第11/872,408号(米国第2008/103157A1号として公開);米国特許出願第11/872,418号(米国第2008/0103158A1号として公開);米国特許第6,635,652号;米国特許第7,141,579号;及び国際特許出願番号PCT/JP2007/070962号(国際公開第2008/047951号として公開)の何れかに開示される化合物ではない。別の実施態様では、化合物はスピロ(イミダゾ(1,2−a)ピリジン−2(3H)−オン−3,2’−インダン)ではない。
【0132】
一実施態様では、プロADAM10のレベルは減少する。別の実施態様では、BACEのレベルは減少する。別の実施態様では、プロADAM10のレベルとBACEのレベルが減少する。
【0133】
一実施態様では、プロADAM10及び/又はBACEタンパク質のレベルが被験者の脳で減少する。
【0134】
別の実施態様では、一般式(I)を有する複素環式化合物が投与される被験者はADである。 別の実施態様では、被験者はADと診断されている。別の実施態様では、被験者は軽度の認知障害である。別の実施態様では、被験者は軽度の認知障害と診断されている。
【0135】
別の実施態様では、ADが治療される。別の実施態様では、軽度の認知障害が治療される。別の実施態様では、被験者はADと診断されている。
【0136】
一実施態様では、ADが予防される。別の実施態様では、軽度の認知障害が予防される。
【0137】
別の実施態様では、被験者は、被験者がADであるかどうかを決定するためにスクリーニングされる。スクリーニングは被験者を調べることによって実施され得る。或いは、スクリーニングは、一以上のADの生物学的マーカーを評価することによって実施され得る。
【0138】
別の実施態様では、被験者はADへの罹患しやすさが診断されている。別の実施態様では、被験者がADを発症しやすいかどうかを決定するためにスクリーニングされる。スクリーニングは、被験者を調べることによって実施され得る。或いは、スクリーニングは、一以上のADへの罹患しやすさの生物学的マーカーを評価することによって実施され得る。
【0139】
別の実施態様では、複素環式化合物の投与はプロADAM10及び/又はBACEのmRNAの転写の減少の結果となる。
【0140】
別の実施態様では、複素環式化合物の投与は、プロADAM10及び/又はBACEのタンパク質翻訳、又はプロADAM10及び/又はBACEのタンパク質翻訳速度の減少の結果となる。
【0141】
別の実施態様では、複素環式化合物の投与は、プロADAM10及び/又はBACEの翻訳後修飾の結果となる。
【0142】
別の実施態様では、複素環式化合物の投与は、プロADAM10及び/又はBACEの分解が増加する結果となる。
【0143】
別の実施態様では、一般式(I)を有する複素環式化合物が投与される被験者は、炎症症状である。別の実施態様では、被験者は、炎症症状と診断されている。別の実施態様では、炎症症状が治療される。別の実施態様では、炎症症状は予防される。
【0144】
別の実施態様では、一般式(I)を有する複素環式化合物が投与される被験者はがんである。別の実施態様では、被験者はがんと診断されている。別の実施態様では、がんが治療される。別の実施態様では、がんが予防される。
【0145】
別の実施態様では、一般式(I)を有する複素環式化合物が投与される被験者は嚢胞性線維症である。別の実施態様では、被験者は嚢胞性線維症と診断されている。別の実施態様では、嚢胞性線維症が治療される。別の実施態様では、嚢胞性線維症が予防される。
【0146】
別の実施態様では、一般式(I)を有する複素環式化合物が投与される被験者はアレルギー症状である。別の実施態様では、被験者はアレルギー症状と診断されている。別の実施態様では、アレルギー症状が治療される。別の実施態様では、アレルギー症状が予防される。
【0147】
本発明はまた単離された約32kDaのリン酸化タウタンパク質断片を提供する。
【0148】
本発明はまた単離された約32kDaのリン酸化タウタンパク質断片を含む組成物を提供する。別の実施態様では、組成物はまた細胞培養溶解液及び/又は細胞培養培地を含む。
【0149】
本発明はまた単離されたリン酸化タウタンパク質断片を含む容器を提供する。別の実施態様では、容器はマイクロチューブである。別の実施態様では、容器は試験管である。別の実施態様では、容器はピペット又はマイクロピペットである。別の実施態様では、容器はマイクロアレイ装置である。別の実施態様では、容器はマイクロタイタープレートである。別の実施態様では、容器はスクリーニングアッセイ装置の構成要素である。
【0150】
本発明はまた被験者中のタウタンパク質の蓄積を減少させる方法であって、一般式(I):

(I)
を有する複素環式化合物又はその薬学的に許容可能な塩、水和物又はプロドラッグのそれを必要とする被験者への投与を含み、ここで、R1、R2、R3、R3及びRxは、ここで定義される通りである方法を提供する。
【0151】
タウレベルは、例えば、タウに特異的な抗体を用いたウェスタンブロット、又は特異的ELISAにおいて、評価し得る。
【0152】
一実施態様では、一般式(I)を有する複素環式化合物を投与される被験者はADである。別の実施態様では、被験者はADと診断されている。別の実施態様では、被験者は軽度の認知障害である。別の実施態様では、被験者は、軽度の認知障害と診断されている。
【0153】
別の実施態様では、ADが治療される。別の実施態様では、軽度の認知障害が治療される。別の実施態様では、被験者はADと診断されている。
【0154】
一実施態様では、ADが予防される。別の実施態様では、軽度の認知障害が予防される。
【0155】
別の実施態様では、被験者は被験者がADであるかどうかを決定するためにスクリーニングされる。スクリーニングは、被験者を調べることによって実施され得る。或いは、スクリーニングは、一以上のADの生物学的マーカーを評価することによって実施され得る。
【0156】
別の実施態様では、被験者は、ADへの罹患しやすさが診断されている。別の実施態様では、被験者は被験者がADを発症しやすいかどうかを決定するためにスクリーニングされる。スクリーニングは被験者を調べることによって実施され得る。或いは、スクリーニングは、ADへの罹患しやすさの一以上の生物学的マーカーを評価することによって実施され得る。
【0157】
別の実施態様では、前頭側頭型認知症が治療される。別の実施態様では、前頭側頭型認知症が予防される。
【0158】
本発明はまたタウタンパク質の蓄積を減少させる化合物をスクリーニングする方法であって、(a)タウタンパク質を蓄積する細胞又は組織を試験化合物に曝し、(b)前記細胞又は組織中に蓄積したタウタンパク質の蓄積量を検出し、ここで、化合物に曝していない細胞又は組織によるタウタンパク質の蓄積に対する、化合物に曝した細胞又は組織におけるタウタンパク質の蓄積量の減少が、化合物がタウタンパク質の蓄積量を減少させたことを示す方法を提供する。
【0159】
本発明はまた被験者中のタウタンパク質の蓄積を減少させる方法であって、一般式(I):

(I)
を有する化合物ではない複素環式化合物又はその薬学的に許容可能な塩、水和物又はプロドラッグのそれを必要とする被験者への投与を含み、ここで、R、R、R、R及びRは、ここで定義される通りであり、化合物は、国際公開第2007/008586号として公開される国際出願番号PCT/US2006/026331に開示される化合物ではない方法を提供する。
【0160】
一実施態様では、それぞれが出典明示によりその全体が取り込まれる、米国特許出願第11/872,408号(米国第2008/103157A1号として公開);米国特許出願第11/872,418号(米国第2008/0103158A1号として公開);米国特許第6,635,652号;米国特許第7,141,579号;及び国際特許出願番号PCT/JP2007/070962号(国際公開第2008/047951号として公開)の何れかに開示される化合物ではない。別の実施態様では、化合物はスピロ(イミダゾ(1,2−a)ピリジン−2(3H)−オン−3,2’−インダン)ではない。
【0161】
一実施態様では、一般式(I)を有する複素環式化合物が投与される被験者はADである。別の実施態様では、被験者はADと診断されている。別の実施態様では、被験者は軽度の認知障害である。別の実施態様では、被験者は軽度の認知障害と診断されている。
【0162】
別の実施態様では、ADが治療される。別の実施態様では、軽度の認知障害が治療される。別の実施態様では、被験者はADと診断されている。
【0163】
一実施態様では、ADが予防される。別の実施態様では、軽度の認知障害が予防される。
【0164】
別の実施態様では、被験者は、被験者がADであるかどうかを決定するためにスクリーニングされる。スクリーニングは被験者を調べることによって実施され得る。或いは、スクリーニングは、一以上のADの生物学的マーカーを評価することによって実施され得る。
【0165】
別の実施態様では、被験者はADへの罹患しやすさが診断されている。別の実施態様では、被験者は、被験者がADを発症しやすいかどうかを決定するためにスクリーニングされる。スクリーニングは、被験者を調べることによって実施され得る。或いは、スクリーニングは、一以上のADへの罹患しやすさの生物学的マーカーを調べることによって実施され得る。
【0166】
本発明はまた被験者中の炎症を治療又は予防する方法であって、一般式(I):

(I)
を有する複素環式化合物又はその薬学的に許容可能な塩、水和物又はプロドラッグのそれを必要とする被験者への投与を含み、ここで、R、R、R、R及びRは、ここで定義される通りである方法を提供する。
【0167】
一実施態様では、被験者は炎症症状である。
【0168】
別の実施態様では、被験者は炎症症状と診断されている。
【0169】
別の実施態様では、炎症症状が治療される。
【0170】
別の実施態様では、炎症症状が予防される。
【0171】
別の実施態様では、炎症症状は、乾癬、クローン病、関節リウマチ、喘息、自己免疫疾患、慢性炎症、慢性前立腺炎、糸球体腎炎、過敏性、炎症性大腸炎、骨盤内炎症疾患、再かん流傷害、関節リウマチ、移植拒絶反応、封入体筋炎、及び脈管炎からなる群から選択される。ここに記載されていない他の炎症症状は、本発明の方法によって治療又は予防され得る。
【0172】
本発明はまた被験者中の嚢胞性線維症の治療又は予防の方法であって、一般式(I):

(I)
を有する複素環式化合物又はその薬学的に許容可能な塩、水和物又はプロドラッグのそれを必要とする被験者への投与を含み、ここで、R、R、R、R及びRは、ここで定義される通りである方法を提供する。
【0173】
一実施態様では、被験者は嚢胞性線維症である。
【0174】
別の実施態様では、被験者は嚢胞性線維症と診断されている。
【0175】
別の実施態様では、 嚢胞性線維症が治療される。
【0176】
別の実施態様では、嚢胞性線維症が予防される。
【0177】
別の実施態様では、複素環式化合物は吸入によって投与される。
【0178】
本発明はまた被験者中の過剰増殖性疾患を治療又は予防の方法であって、一般式(I):

(I)
を有する複素環式化合物又はその薬学的に許容可能な塩、水和物又はプロドラッグのそれを必要とする被験者への投与を含み、ここで、R、R、R、R及びRは、ここで定義される通りである方法を提供する。
【0179】
一実施態様では、過剰増殖性疾患はがんである。別の実施態様では、がんが治療される。
【0180】
別の実施態様では、被験者はがんと診断されている。
【0181】
別の実施態様では、炎症症状が治療される。
【0182】
別の実施態様では、被験者はがんに罹患しやすいと診断されている。
【0183】
別の実施態様では、続いて、被験者は被験者が癌に罹患しやすいかどうかを決定するためにスクリーニングされる。
【0184】
別の実施態様では、がんは、乳がん、リンパ腫、皮膚がん、膵臓がん、結腸がん、直腸がん、膵臓がん、腎臓がん、皮膚がん、白血病、甲状腺がん、メラノーマ、悪性メラノーマ、卵巣がん、脳がん、原発性脳癌、頭頸部がん、神経膠腫、グリア芽腫、肝臓がん、膀胱がん、非小細胞肺がん、頭頸部がん、乳癌、卵巣癌、肺癌、小細胞肺癌、ウィルムス腫瘍、子宮頸癌、精巣癌、膀胱癌、膵臓癌、胃癌、結腸癌、前立腺癌、泌尿生殖器癌、甲状腺癌、食道癌、骨髄腫、多発性骨髄腫、副腎癌、腎細胞癌、子宮内膜癌、副腎皮質癌、悪性膵臓インスリノーマ、悪性カルチノイド癌、絨毛癌、菌状息肉腫、悪性高カルシウム血症、頸部肥厚、白血病、急性リンパ性白血病、慢性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性顆粒球性白血病、急性顆粒球性白血病、ヘアリー細胞白血病、神経芽細胞腫、横紋筋肉腫、カポジ肉腫、真性赤血球増加症、本態性血小板血症、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、軟部組織肉腫、骨原性肉腫、原発性マクログロブリン血症、及び網膜芽腫の群から選択される。ここに記載される他のがんは、本発明の方法によって治療又は予防され得る。
【0185】
本発明はまた被験者のアレルギーの治療又は予防の方法であって、一般式(I):

(I)
を有する複素環式化合物又はその薬学的に許容可能な塩、水和物又はプロドラッグのそれを必要とする被験者への投与を含み、ここで、R、R、R、R及びRは、ここで定義される通りである方法を提供する。
【0186】
一実施態様では、被験者は一以上のアレルギーである。
【0187】
別の実施態様では、被験者は一以上のアレルギーであると診断されている。
【0188】
別の実施態様では、一以上のアレルギーが治療される。
【0189】
別の実施態様では、一以上のアレルギーが予防される。
【0190】
別の実施態様では、複素環式化合物は、吸入によって投与される。
【0191】
別の実施態様では、アレルギー症状は、アレルギー喘息、通年性アレルギー性鼻炎、季節性アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、接触過敏症、接触皮膚炎、結膜炎、アレルギー性結膜炎、好酸球性気管支炎、食物アレルギー、好酸球性胃腸炎、炎症性大腸炎、潰瘍性大腸炎、クローン病、肥満細胞症、高IgE症候群、全身性エリテマトーデス、乾癬、座瘡、多発性硬化症、同種移植片拒絶反応、再かん流傷害、慢性閉塞性肺疾患、関節リウマチ、乾癬性関節炎及び骨関節炎、動物アレルギー、毒アレルギー、植物アレルギー、アラフィラキシ−反応、及び過敏性反応からなる群から選択される。 一実施態様では、アレルギー症状は、局所的アレルギー症状である。別の実施態様では、アレルギー症状は全身性アレルギー症状である。ここに列挙されない他のアレルギー症状が、本発明の方法によって、治療又は予防され得る。
【0192】
本発明はまた被験者のユビキチン化タンパク質レベルの減少方法であって、一般式(I):

(I)
を有する複素環式化合物又はその薬学的に許容可能な塩、水和物又はプロドラッグのそれを必要とする被験者への投与を含み、ここで、R、R、R、R及びRは、ここで定義される通りである方法を提供する。
【0193】
一実施態様では、ユビキチン化タンパク質は、被験者の少なくとも一の組織又は器官、例えば、被験者中の脳、筋肉組織又は粘膜組織において減少される。
【0194】
一実施態様では、一般式(I)を有する複素環式化合物が投与される被験者はアルツハイマー病である。別の実施態様では、被験者はアルツハイマー病と診断されている。別の実施態様では、アルツハイマー病が治療される。別の実施態様では、アルツハイマー病が予防される。別の実施態様では、被験者はアルツハイマー病にかかりやすいと診断されている。別の実施態様では、被験者がアルツハイマー病にかかりやすいかどうかを決定するためにスクリーニングされている。
【0195】
一実施態様では、一般式(I)を有する複素環式化合物が投与される被験者は軽度認知障害である。別の実施態様では、被験者は軽度認知障害と診断されている。別の実施態様では、軽度認知障害が治療される。別の実施態様では、軽度認知障害が予防される。
【0196】
一実施態様では、一般式(I)を有する複素環式化合物が投与される被験者はパーキンソン病である。別の実施態様では、被験者はパーキンソン病と診断されている。別の実施態様では、パーキンソン病が治療される。別の実施態様では、パーキンソン病が予防される。
【0197】
一実施態様では、一般式(I)を有する複素環式化合物が投与される被験者はハンチントン病である。別の実施態様では、被験者はハンチントン病と診断されている。別の実施態様では、ハンチントン病が治療される。別の実施態様では、ハンチントン病が予防される。
【0198】
本発明はまた被験者のユビキチン化タンパク質のレベルの減少方法であって、一般式(I):

(I)
を有する複素環式化合物ではない化合物又はその薬学的に許容可能な塩、水和物又はプロドラッグのそれを必要とする被験者への投与を含み、ここで、R、R、R、R及びRは、ここで定義される通りであり、該化合物がユビキチンヒドロラーゼではない方法を提供する。一実施態様では、複素環式化合物は、スピロ(イミダゾ(1,2−a)ピリジン−2(3H)−オン−3,2’−インダン)ではない。
【0199】
一実施態様では、それぞれが出典明示によりその全体が取り込まれる、米国特許出願第11/872,408号(米国第2008/103157A1号として公開);米国特許出願第11/872,418号(米国第2008/0103158A1号として公開);米国特許第6,635,652号;米国特許第7,141,579号;及び国際特許出願番号PCT/JP2007/070962号(国際公開第2008/047951号として公開)の何れかに開示される化合物ではない。別の実施態様では、化合物はスピロ(イミダゾ(1,2−a)ピリジン−2(3H)−オン−3,2’−インダン)ではない。
【0200】
一実施態様では、ユビキチン化タンパク質は、被験者の脳で減少する。
【0201】
一実施態様では、一般式(I)を有する複素環式化合物を投与される被験者は、アルツハイマー病である。別の実施態様では、被験者はアルツハイマー病と診断されている。別の実施態様では、アルツハイマー病が治療される。別の実施態様では、アルツハイマー病が予防される。別の実施態様では、被験者はアルツハイマー病にかかりやすいと診断されている。別の実施態様では、被験者がアルツハイマー病にかかりやすいかどうかを決定するためにスクリーニングされている。
【0202】
一実施態様では、一般式(I)を有する複素環式化合物が投与される被験者は軽度認知障害である。別の実施態様では、被験者は軽度認知障害と診断されている。別の実施態様では、軽度認知障害が治療される。別の実施態様では、軽度認知障害が予防される。
【0203】
一実施態様では、一般式(I)を有する複素環式化合物が投与される被験者はパーキンソン病である。別の実施態様では、被験者はパーキンソン病と診断されている。別の実施態様では、パーキンソン病が治療される。別の実施態様では、パーキンソン病が予防される。
【0204】
本発明はまた被験者の有害タンパク質の除去及び分解の増加方法であって、一般式(I):

(I)
を有する複素環式化合物又はその薬学的に許容可能な塩、水和物又はプロドラッグのそれを必要とする被験者への投与を含み、ここで、R、R、R、R及びRは、ここで定義される通りである方法を提供する。
【0205】
本発明はまた被験者の有害タンパク質の除去及び分解の増加方法であって、一般式(I):

(I)
を有する複素環式化合物ではない化合物又はその薬学的に許容可能な塩、水和物又はプロドラッグのそれを必要とする被験者への投与を含み、ここで、R、R、R、R及びRは、ここで定義される通りである方法を提供する。一実施態様では、複素環式化合物は、スピロ(イミダゾ(1,2−a)ピリジン−2(3H)−オン−3,2’−インダン)ではない。
【0206】
一実施態様では、それぞれが出典明示によりその全体が取り込まれる、米国特許出願第11/872,408号(米国第2008/103157A1号として公開);米国特許出願第11/872,418号(米国第2008/0103158A1号として公開);米国特許第6,635,652号;米国特許第7,141,579号;及び国際特許出願番号PCT/JP2007/070962号(国際公開第2008/047951号として公開)の何れかに開示される化合物ではない。別の実施態様では、化合物はスピロ(イミダゾ(1,2−a)ピリジン−2(3H)−オン−3,2’−インダン)ではない。
【0207】
本発明はまた被験者の蓄積した及び/又は有害タンパク質のプロテアソーム分解の増加方法であって、一般式(I):

(I)
を有する複素環式化合物又はその薬学的に許容可能な塩、水和物又はプロドラッグのそれを必要とする被験者への投与を含み、ここで、R、R、R、R及びRは、ここで定義される通りである方法を提供する。
【0208】
本発明はまた被験者の蓄積した及び/又は有害タンパク質のプロテアソーム分解の増加方法であって、一般式(I):

(I)
を有する複素環式化合物ではない化合物又はその薬学的に許容可能な塩、水和物又はプロドラッグのそれを必要とする被験者への投与を含み、ここで、R、R、R、R及びRは、ここで定義される通りであり、該化合物がユビキチンヒドロラーゼではない方法を提供する。
【0209】
一実施態様では、それぞれが出典明示によりその全体が取り込まれる、米国特許出願第11/872,408号(米国第2008/103157A1号として公開);米国特許出願第11/872,418号(米国第2008/0103158A1号として公開);米国特許第6,635,652号;米国特許第7,141,579号;及び国際特許出願番号PCT/JP2007/070962号(国際公開第2008/047951号として公開)の何れかに開示される化合物ではない。別の実施態様では、化合物はスピロ(イミダゾ(1,2−a)ピリジン−2(3H)−オン−3,2’−インダン)ではない。
【0210】
本発明はまた被験者のユビキチン−プロテアソーム系経路の活性の増加方法であって、一般式(I):

(I)
を有する複素環式化合物又はその薬学的に許容可能な塩、水和物又はプロドラッグのそれを必要とする被験者への投与を含み、ここで、R、R、R、R及びRは、ここで定義される通りである方法を提供する。
【0211】
本発明はまた被験者のユビキチン−プロテアソーム系経路の活性の増加方法であって、一般式(I):

(I)
を有する複素環式化合物ではない化合物又はその薬学的に許容可能な塩、水和物又はプロドラッグのそれを必要とする被験者への投与を含み、ここで、R、R、R、R及びRは、ここで定義される通りである方法を提供する。一実施態様では、複素環式化合物は、スピロ(イミダゾ(1,2−a)ピリジン−2(3H)−オン−3,2’−インダン)ではなく、ここで、該化合物はユビキチンヒドロラーゼではない。
【0212】
一実施態様では、それぞれが出典明示によりその全体が取り込まれる、米国特許出願第11/872,408号(米国第2008/103157A1号として公開);米国特許出願第11/872,418号(米国第2008/0103158A1号として公開);米国特許第6,635,652号;米国特許第7,141,579号;及び国際特許出願番号PCT/JP2007/070962号(国際公開第2008/047951号として公開)の何れかに開示される化合物ではない。別の実施態様では、化合物はスピロ(イミダゾ(1,2−a)ピリジン−2(3H)−オン−3,2’−インダン)ではない。
【0213】
本発明はまたプリオン病の治療又は予防方法であって、一般式(I):

(I)
を有する複素環式化合物又はその薬学的に許容可能な塩、水和物又はプロドラッグのそれを必要とする被験者への投与を含み、ここで、R、R、R、R及びRは、ここで定義される通りである方法を提供する。一実施態様では、一般式(I)を有する複素環式化合物を投与される被験者は、PrP変異体がミスフォールドしたプリオン病である。別の実施態様では、被験者はプリオン病と診断されている。別の実施態様では、プリオン病が治療される。別の実施態様では、プリオン病が予防される。
【0214】
本発明はまた白内障の治療又は予防方法であって、一般式(I):

(I)
を有する複素環式化合物又はその薬学的に許容可能な塩、水和物又はプロドラッグのそれを必要とする被験者への投与を含み、ここで、R、R、R、R及びRは、ここで定義される通りである方法を提供する。一実施態様では、一般式(I)を有する複素環式化合物を投与される被験者は、白内障である。別の実施態様では、被験者は白内障と診断されている。別の実施態様では、白内障が治療される。別の実施態様では、白内障が予防される。
【0215】
本発明はまた2型糖尿病の治療又は予防方法であって、一般式(I):

(I)
を有する複素環式化合物又はその薬学的に許容可能な塩、水和物又はプロドラッグのそれを必要とする被験者への投与を含み、ここで、R、R、R、R及びRは、ここで定義される通りである方法を提供する。一実施態様では、一般式(I)を有する複素環式化合物を投与される被験者は、2型糖尿病である。別の実施態様では、被験者は2型糖尿病と診断されている。別の実施態様では、2型糖尿病が治療される。別の実施態様では、2型糖尿病が予防される。
【0216】
本発明はまたパジェット病の治療又は予防方法であって、一般式(I):

(I)
を有する複素環式化合物又はその薬学的に許容可能な塩、水和物又はプロドラッグのそれを必要とする被験者への投与を含み、ここで、R、R、R、R及びRは、ここで定義される通りである方法を提供する。一実施態様では、一般式(I)を有する複素環式化合物を投与される被験者は、パジェット病である。別の実施態様では、被験者はパジェット病と診断されている。別の実施態様では、パジェット病が治療される。別の実施態様では、パジェット病が予防される。
【0217】
本発明はまた筋萎縮性側索硬化症の治療又は予防方法であって、一般式(I):

(I)
を有する複素環式化合物又はその薬学的に許容可能な塩、水和物又はプロドラッグのそれを必要とする被験者への投与を含み、ここで、R、R、R、R及びRは、ここで定義される通りである方法を提供する。一実施態様では、一般式(I)を有する複素環式化合物を投与される被験者は、筋萎縮性側索硬化症である。別の実施態様では、被験者は筋萎縮性側索硬化症と診断されている。別の実施態様では、筋萎縮性側索硬化症が治療される。別の実施態様では、筋萎縮性側索硬化症が予防される。
【0218】
本発明はまた前頭側頭型痴呆の治療又は予防方法であって、一般式(I):

(I)
を有する複素環式化合物又はその薬学的に許容可能な塩、水和物又はプロドラッグのそれを必要とする被験者への投与を含み、ここで、R、R、R、R及びRは、ここで定義される通りである方法を提供する。一実施態様では、一般式(I)を有する複素環式化合物を投与される被験者は、前頭側頭型痴呆である。別の実施態様では、被験者は前頭側頭型痴呆と診断されている。別の実施態様では、前頭側頭型痴呆が治療される。別の実施態様では、前頭側頭型痴呆が予防される。
【0219】
本発明はまたレビー小体病の治療又は予防方法であって、一般式(I):

(I)
を有する複素環式化合物又はその薬学的に許容可能な塩、水和物又はプロドラッグのそれを必要とする被験者への投与を含み、ここで、R、R、R、R及びRは、ここで定義される通りである方法を提供する。一実施態様では、一般式(I)を有する複素環式化合物を投与される被験者は、レビー小体病である。別の実施態様では、被験者はレビー小体病と診断されている。別の実施態様では、レビー小体病が治療される。別の実施態様では、レビー小体病が予防される。
【0220】
本発明はまた孤発性封入体筋炎の治療又は予防方法であって、一般式(I):

(I)
を有する複素環式化合物又はその薬学的に許容可能な塩、水和物又はプロドラッグのそれを必要とする被験者への投与を含み、ここで、R、R、R、R及びRは、ここで定義される通りである方法を提供する。一実施態様では、一般式(I)を有する複素環式化合物を投与される被験者は、孤発性封入体筋炎である。別の実施態様では、被験者は孤発性封入体筋炎と診断されている。別の実施態様では、孤発性封入体筋炎が治療される。別の実施態様では、孤発性封入体筋炎が予防される。
【0221】
本発明はまた外傷性脳損傷の治療方法であって、一般式(I):

(I)
を有する複素環式化合物又はその薬学的に許容可能な塩、水和物又はプロドラッグのそれを必要とする被験者への投与を含み、ここで、R、R、R、R及びRは、ここで定義される通りである方法を提供する。一実施態様では、一般式(I)を有する複素環式化合物を投与される被験者は、外傷性脳損傷に罹患している。
【0222】
本発明はまた心機能不全の治療又は予防方法であって、一般式(I):

(I)
を有する複素環式化合物又はその薬学的に許容可能な塩、水和物又はプロドラッグのそれを必要とする被験者への投与を含み、ここで、R、R、R、R及びRは、ここで定義される通りである方法を提供する。一実施態様では、一般式(I)を有する複素環式化合物を投与される被験者は、心機能不全である。別の実施態様では、被験者は心機能不全と診断されている。別の実施態様では、心機能不全が治療される。別の実施態様では、心機能不全が予防される。一実施態様では、心機能不全は心不全、例えば、鬱血性心不全である。別の実施態様では、心機能不全は心肥大である。
【0223】
本発明はまた球脊髄性筋萎縮症 (ケネディー病)の治療又は予防方法であって、一般式(I):

(I)
を有する複素環式化合物又はその薬学的に許容可能な塩、水和物又はプロドラッグのそれを必要とする被験者への投与を含み、ここで、R、R、R、R及びRは、ここで定義される通りである方法を提供する。一実施態様では、一般式(I)を有する複素環式化合物を投与される被験者は、球脊髄性筋萎縮症である。別の実施態様では、被験者は球脊髄性筋萎縮症と診断されている。別の実施態様では、球脊髄性筋萎縮症が治療される。別の実施態様では、球脊髄性筋萎縮症が予防される。
【0224】
本発明はまた歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症 (ハウリバー症候群)の治療又は予防方法であって、一般式(I):

(I)
を有する複素環式化合物又はその薬学的に許容可能な塩、水和物又はプロドラッグのそれを必要とする被験者への投与を含み、ここで、R、R、R、R及びRは、ここで定義される通りである方法を提供する。一実施態様では、一般式(I)を有する複素環式化合物を投与される被験者は、歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症である。別の実施態様では、被験者は歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症と診断されている。別の実施態様では、歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症が治療される。別の実施態様では、歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症が予防される。
【0225】
本発明はまた脊髄小脳変性症の治療又は予防方法であって、一般式(I):

(I)
を有する複素環式化合物又はその薬学的に許容可能な塩、水和物又はプロドラッグのそれを必要とする被験者への投与を含み、ここで、R、R、R、R及びRは、ここで定義される通りである方法を提供する。一実施態様では、一般式(I)を有する複素環式化合物を投与される被験者は、脊髄小脳変性症である。別の実施態様では、被験者は脊髄小脳変性症と診断されている。別の実施態様では、脊髄小脳変性症が治療される。別の実施態様では、脊髄小脳変性症が予防される。一実施態様では、脊髄小脳変性症は1型脊髄小脳変性症である。別の実施態様では、脊髄小脳変性症は2型脊髄小脳変性症である。別の実施態様では、脊髄小脳変性症は3型脊髄小脳変性症である。別の実施態様では、脊髄小脳変性症は6型脊髄小脳変性症である。別の実施態様では、脊髄小脳変性症は7型脊髄小脳変性症である。別の実施態様では、脊髄小脳変性症は17型脊髄小脳変性症である。
【0226】
本発明はまた黄斑変性の治療又は予防方法であって、一般式(I):

(I)
を有する複素環式化合物又はその薬学的に許容可能な塩、水和物又はプロドラッグのそれを必要とする被験者への投与を含み、ここで、R、R、R、R及びRは、ここで定義される通りである方法を提供する。一実施態様では、一般式(I)を有する複素環式化合物を投与される被験者は、黄斑変性である。別の実施態様では、被験者は黄斑変性と診断されている。別の実施態様では、黄斑変性が治療される。
【0227】
本発明はまたパーキンソン病の治療又は予防方法であって、一般式(I):

(I)
を有する複素環式化合物又はその薬学的に許容可能な塩、水和物又はプロドラッグのそれを必要とする被験者への投与を含み、ここで、R、R、R、R及びRは、ここで定義される通りである方法を提供する。一実施態様では、一般式(I)を有する複素環式化合物を投与される被験者は、パーキンソン病である。別の実施態様では、被験者はパーキンソン病と診断されている。別の実施態様では、パーキンソン病が治療される。
【0228】
本発明はまたポリグルタミン病の治療又は予防方法であって、一般式(I):

(I)
を有する複素環式化合物又はその薬学的に許容可能な塩、水和物又はプロドラッグのそれを必要とする被験者への有効量の投与を含み、ここで、R、R、R、R及びRは、ここで定義される通りである方法を提供する。
【0229】
本発明はまた全身性アミロイドーシスの治療又は予防方法であって、一般式(I):

(I)
を有する複素環式化合物又はその薬学的に許容可能な塩、水和物又はプロドラッグのそれを必要とする被験者への有効量の投与を含み、ここで、R、R、R、R及びRは、ここで定義される通りである方法を提供する。
【0230】
ここの任意の方法の一実施態様では、被験者はヒト被験者である。
【0231】
ここの方法の任意の一実施態様では、ユビキチン化タンパク質はモノユビキチン化される。ここの方法の任意の別の実施態様では、ユビキチン化タンパク質はポリユビキチン化される。
【0232】
ここで使用される「有害タンパク質」なる用語は、損傷した、ミスフォールドした、毒性のある、又は望ましくないタンパク質を意味する。
【0233】
本発明はまたユビキチン化タンパク質のレベルを減少させる化合物をスクリーニングする方法であって、(a)ユビキチン化タンパク質を発現する細胞又は組織を試験化合物に曝し、(b)前記細胞又は組織中のユビキチン化タンパク質の量を検出し、ここで、化合物に曝していない細胞又は組織中のユビキチン化タンパク質に対する、化合物に曝した細胞又は組織中のユビキチン化タンパク質の量の減少が、化合物がユビキチン化タンパク質の量を減少させたことを示す方法を提供する。
【0234】
ここの任意のスクリーニング方法の一実施態様では、スクリーニング方法は、インビボで実施される。別の実施態様では、スクリーニング方法はインビボで実施される。
【0235】
ここの任意のスクリーニング方法の別の実施態様では、スクリーニング方法はハイスループットな方法で実施される。別の実施態様では、スクリーニング方法は、自動化される。別の実施態様では、スクリーニング方法の発明は、コンピュータで制御される。
【0236】
ここの任意のスクリーニング方法の別の実施態様では、スクリーニング方法は、動物の脳内で実施される。別の実施態様では、細胞は動物の脳内にある。
【0237】
ここの任意のスクリーニング方法の別の実施態様では、スクリーニング方法は、細胞培養液中の細胞で実施される。別の実施態様では、細胞は、SHSY5Y、HEK、PC12、CHO、線維芽細胞、3T3、IMR−32、BV−2、T98G、NT2N、Neuro2A細胞、初代神経細胞及び初代ミクログリア細胞からなる群から選択され、器官切片培養は野生型又はトランスジェニックマウスから選択される。別の実施態様では、細胞はNeuro2A細胞である。
【0238】
ここの任意のスクリーニング方法の別の実施態様では、スクリーニング方法はハイスループットな方法で実施される。別の実施態様では、スクリーニング方法は、コンピュータで制御される。
【0239】
ここの任意のスクリーニング方法の別の実施態様では、スクリーニングされる化合物は低分子である。別の実施態様では、スクリーニングされる化合物は核酸である。別の実施態様では、スクリーニングされる化合物はアンチセンスRNA分子、RNAi分子、干渉RNA分子、小干渉RNA分子、又はsiRNA分子である。別の実施態様では、スクリーニングされる化合物は、一以上のアンチセンスRNA分子、RNAi分子、干渉RNA分子、小干渉RNA分子、又はsiRNA分子ではない。
【0240】
ここの任意のスクリーニング方法の別の実施態様では、培養細胞の多数は、例えば、マイクロタイタープレートの別のウェル中の、多数の試験化合物に別々に曝露される。この実施態様では、多数の試験化合物を、同時にスクリーニングし得る。
【0241】
試験化合物は、溶媒に溶解した細胞又は細胞株に存在し得る。溶媒の例は、DMSO、水及び/又は緩衝液を含む。DMSOはまた約1%よりも小さい量で使用し得る。或いは、DMSOは、約0.1%以下で使用し得る。この濃度において、DMSOは、試験化合物の可溶化剤として機能し、透過剤としては機能しない。測定される細胞特性に影響がない溶媒量を確かめるために、細胞が許容できる溶媒の量を、異なる量の溶媒のみを用いて細胞の生存率を測定することによって、最初に、確かめなければならない。
【0242】
適切な緩衝液は、10%のウシ胎児血清の存在下又は非存在下、細胞培養培地、例えば、イスコブ培地(インビトロジェン社)を含む。他の知られた細胞培養緩衝液は、リン酸、PIPES又はHEPESバッファーを含む。当業者は、必要以上に実験を行わずとも通常の実験により他の適切な緩衝液を同定し得る。
【0243】
APP又はその断片を産生する細胞は、限定するものではないが、SHSY5Y、HEK、PC12、CHO、線維芽細胞、3T3、IMR−32、BV−2、T98G、NT2N、Neuro2A細胞、初代神経細胞及び初代ミクログリア細胞を含む。別の実施態様では、細胞は、Neuro2A細胞である。
【0244】
別の実施態様では、APP又はその断片を産生する細胞は、APP又は変異APPをコードする核酸を、例えば、トランスフェクションによって導入する細胞を含む。
【0245】
本発明の複素環式化合物は、体重もしくは体長のキログラム毎0.0005mg以上の効果的な経口投与量で、投与され得る。一実施態様では、化合物は、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、120又は180mgを含む単位投与形態の一部として投与される。
【0246】
本発明の使用のための組成物は、意図した目的を達成するために効果的な量の有効成分が含まれる全ての組成物を含む。個体毎に変える必要があるが、それぞれの成分の効果的な量の最適な範囲の決定は、当該分野の技術常識の範囲内である。典型的には、有効成分は、例えば、ヒトのような哺乳類へADを治療される哺乳類の体重あたり1日、0.001から3mg/kgの投与量又はその薬学的に許容可能な塩の等量で経口により投与され得る。有効成分は、例えば、ヒトのような哺乳類へADを治療される哺乳類の体重あたり1日、0.001から3mg/kgの投与量又はその薬学的に許容可能な塩の等量で静脈内又は筋肉内投与され得る。約0.001から約3mg/kgが、このような障害を治療又は予防するために経口投与され得る。別の薬剤が投与される場合は、意図された目的を達成するために効果的な量が投与され得る。
【0247】
単位経口投与量は、本発明の組成物を約0.001から約200mg、又は約0.5から約180mg含み得る。単位投与量が、それぞれが、組成物又はその溶媒和物の約0.1から約90mg、好ましくは、約10から180mgを含む、一以上の錠剤として毎日一回以上投与され得る。一実施態様では、単位経口投与量は、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、又は180mgであり得る。
【0248】
局所製剤では、有効成分は、担体の約0.01から100mg/gの濃度で存在し得る。
【0249】
化学原料として活性成分を投与することに加えて、有効成分は、活性成分を処理して、薬学的に使用され得る製剤に導入しやすくする、賦形剤及び補助剤を含み、適切な薬学的に許容可能な担体を含む製剤の一部として投与され得る。該製剤、特に、錠剤、糖衣錠、及びカプセルのような、経口投与され得る製剤、及びまた、座薬のような、直腸内に投与され得る製剤、並びに注射又は経口により投与される適切な溶液は、約0.01から99パーセント、又は有効成分の0.25から75パーセントの活性成分を、添加剤とともに含み得る。
【0250】
式(I)の複素環式化合物は、水和物又は薬学的に許容可能な塩のような酸付加塩の形態であり得る。可能な酸付加塩は、塩酸塩、硫酸塩、臭化水素酸塩、硝酸塩、及びリン酸塩のような無機塩、並びに酢酸塩、シュウ酸塩、プロピオン酸塩、グリコール酸塩、乳酸塩、ピルビン酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、安息香酸塩、桂皮酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、及びサリチル酸塩のような有機酸塩を含む。
【0251】
酸付加塩は、本発明の特定の化合物の溶液と、塩酸、臭化水素酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酢酸、クエン酸、乳酸、酒石酸、カルボン酸、リン酸、硫酸、シュウ酸等のような、薬学的に許容可能な非毒性酸の溶液とを混合することによって形成される。塩基性塩は、本発明の特定の化合物の溶液と、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化コリン、炭酸ナトリウム、トリス、N−メチル−グルカミン等のような薬学的に許容可能な非毒性塩基の溶液とを混合することによって、形成される。
【0252】
本発明の薬学的組成物は、活性成分の有利な効果を受け得る任意の動物へ投与され得る。本発明を限定することを意図するものではないが、このような動物のうちで、まず挙げられるのは、例えば、ヒト及び家畜のような、哺乳類である。
【0253】
本発明の薬学的組成物は、意図された目的に達成する任意の手段によって投与され得る。例えば、投与は、非経口、皮下、静脈内、筋肉内、腹腔内、経皮、口腔、髄腔内、頭蓋内、鼻腔内、吸入、又は局所経路によってなされ得る。或いは、又は同時に、投与は、経口によってなされ得る。投与される投与量は、年齢、健康、及び患者の体重、同時にされる治療の種類、もしあるならば、治療の頻度、及び所望の効果の性質に依存し得る。
【0254】
本発明の薬学的製剤は、慣用的な、例えば、混合、整粒、糖衣形成、溶解、又は凍結乾燥のような知られた、方法によって製造される。このように、経口使用のための薬学的製剤は、固形の賦形剤と活性成分を混合し、場合によっては、得られた混合物を研磨し、顆粒の混合物を処理し、適切な補助剤を添加した後に、所望されるか又は必要とされる場合、錠剤又は糖衣核を得ることによって得ることができる。
【0255】
適切な賦形剤は、特に、例えば、乳糖又はショ糖のような単糖類のようなフィラー、マンニトール又はソルビトール;セルロース製剤及び/又は例えば、リン酸三カルシウム又はリン酸水素カルシウムのようなカルシウムリン酸;並びに、例えば、トウモロコシデンプン、小麦デンプン、米デンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガント、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、及び/又ポリビニルピロリドンを用いた、デンプンのりのような結合剤である。所望により、上記のデンプン及びまたカルボキシメチルデンプン、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、又はアルギン酸又は、アルギン酸ナトリウムのようなそれらの塩のような崩壊剤を添加し得る。上の全ての補助剤は、例えば、シリカ、タルク、ステアリン酸若しくはステアリン酸マグネシウム若しくはステアリン酸カルシウムのようなその塩、及び/又はポリエチレングリコールのような、流量調節剤及び潤滑剤である。糖衣核は、所望により、胃液に耐性な適切な被覆を提供される。この目的のために、アラビアガム、タルク、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール及び/又は二酸化チタン、ラッカー溶液及び適切な有機溶媒又は溶媒混合物を含んでもよい濃縮した単糖類溶液が使用され得る。胃液に耐性のある被覆を産生するために、フタル酸アセチルセルロース又はフタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースのような適切なセルロース製剤の溶液が使用される。染料又は顔料は、例えば、有効成分投与の組み合わせを同定又は調べるために、錠剤又は糖衣の被覆に添加し得る。
【0256】
経口で使用され得る、他の薬学的製剤は、ゼラチンでできた押し込み型カプセル、並びにゼラチンでできた軟密閉カプセル及び、グリセロール又はソルビトールのような可塑剤を含む。押し込み型カプセルは、ラクトースのようなフィラー、デンプンのような結合剤、及び/又はタルク若しくはステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤及び、場合によっては、安定剤と共に混合し得る顆粒の形態の活性成分を含み得る。軟カプセルにおいて、活性成分は、油脂、又は液体パラフィンのような適切な液体に溶解又は懸濁し得る。更に、安定剤を添加してもよい。
【0257】
直腸内で使用され得る、可能性のある薬学的製剤は、例えば、坐剤基剤と一以上の活性成分の組み合わせからなる座薬を含む。適切な座薬基剤は、例えば、天然又は人工のトリグリセリド、又はパラフィン炭化水素である。更に、活性成分と基剤の組み合わせからなる、ゼラチン直腸カプセルを使用することがまた可能である。可能性のある基剤材料は、例えば、液体トリグリセリド、ポリエチレングリコール、又はパラフィン炭化水素のようを含む。
【0258】
非経口投与の適切な製剤は、例えば、水溶性塩及びアルカリ溶液のような水溶性形態中の活性成分の水溶液を含む。更に、適切な油性注射用懸濁液のような活性成分の懸濁液が投与され得る。適切な親油性の溶媒又はビヒクルは、例えば、ごま油のような脂肪油;又は例えば、オレイン酸エチル若しくはトリグリセリド又はポリエチレングリコール400のような合成油脂エステルを含む。水性注射用懸濁液は、懸濁液の粘性を増加させる物質、例えば、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ソルビトール、及び/又はデキストランを含む。場合によっては、懸濁液は、安定剤をまた含み得る。
【0259】
ここで使用する場合、プロドラッグは、インビボ投与において、代謝されるか又はそうでない場合は、生物学的、薬学的若しくは治療学的に活性な形態の化合物に変換される。プロドラッグを作製するために、薬学的活性化合物は、活性化合物が代謝経路によって再生し得るように修飾される。プロドラッグは、代謝安定性又は薬剤の送達特性を変更するため、副作用若しくは毒性を遮蔽するため、薬剤の風味を改善するため、又は薬剤の他の特性又は特徴を変えるように設計され得る。インビボにおける薬力学プロセスと薬剤代謝の知識により、当業者は、一旦、薬学的活性化合物が知られると、該化合物のプロドラッグを設計し得る(例えば、Nogrady, Medicinal Chemistry: A Biochemical Approach, Oxford University Press, New York, pages 388 392 (1985)を参照されたい)。
【0260】
本発明の範囲にはまた、経口薬学的製剤が、腸溶コーティングを含む、活性成分の投与形態を含む。「腸溶コーティング」なる用語は、ここで、酸性媒体中での有効成分の溶解を阻害するが、中性からアルカリ性媒体には速やかに溶解し、長期間保存に良い耐性を有する、経口薬学的投与に対する任意の被覆を意味するために使用される。或いは、腸溶コーティングを有する投与形態は、腸溶コーティングと核の間の水溶性の分離相をまた含み得る。
【0261】
腸溶被覆された投与形態の核は、活性成分を含む。場合によっては、核はまた薬学的添加剤及び/又は賦形剤を含む。分離相は、フィルム被覆施行のための、水溶性不活性成分又はポリマーであり得る。分離相は、当業者に知られている任意の被覆技術によって、核に適用される。分離相の例は、限定されるものではないが、糖、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート及びヒドロキシプロピルメチルセルロールを含む。腸溶コーティングは、慣例的な被覆技術によって、分離相に適用される。腸溶コーティングの例は、限定されるものではないが、フタル酸セルロースアセテート、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、フタル酸ポリビニルアセテート、カルボキシメチルエチルセルロース、Eugradit(登録商標)L12.5又はEugradit(登録商標)L100(ローム・ファーマ)のような、メタクリル酸及びメタクリル酸メチルエステルの共重合体、Aquateric(FMC社)、Eugradit(登録商標)L100−55(ローム・ファーマ)及びCoatingCE5142(BASF)のような水性分散、及びCitroflex(登録商標)(ファイザー)のような水溶性可塑剤を含むものを含む。最終投与形態は、腸溶被覆された錠剤、カプセル又は丸薬である。
【0262】
本発明の化合物のプロドラッグの例は、カルボン酸含有化合物の単純なエステル(例えば、当該分野で知られた方法に従って、C1−4アルコールとの縮合により得たもの);ヒドロキシ含有化合物のエステル(例えば、C1−4カルボン酸、C3−6二酸又はその無水物との縮合により得たもの(例えば、当該分野で知られた方法に従ったコハク酸及びフマル酸無水物);アミノ含有化合物のイミン(例えば、当該分野で知られた方法に従って、C1−4アルデヒド又はケトンを用いた縮合により得たもの);及びアルコール含有化合物のアセタール及びケタール(例えば、当該分野で知られた方法に従って、クロロメチルメチルエーテル又はクロロメチルエチルエーテルとの縮合により得たもの)を含む。
【0263】
ADの症状は、混乱、短期記憶における障害、注意力の問題、空間定位における問題、人格変化、言語障害及び躁鬱を含む。ADの症状の一覧は、医学が進化を続けるので、将来的に拡張され得る。このように、「ADの症状」なる用語は、ここに提供される症状の一覧に限定されない。
【0264】
ここで使用される場合、特定の疾患を治療するための化合物の有効量は、疾患に関連する症状を、改善又は、幾らか減少させるために十分な量である。このような量は、単回投与として投与されるか、又は有効である投与方法に従って投与され得る。量は、疾患を治療し得るが、典型的には、疾患を改善するために投与される。典型的には、繰り返しの投与が、所望の症状の改善に達成するために必要とされる。
【0265】
一般式(I)では、一般式(II)を有する構造単位は、一般式(III)を有する複数のタイプの構造単位から選択される一以上の構造単位であり得る。

(II)

(III)
【0266】
一般式(I)では、Rはメチル又は存在しない。一般式(I)及び一般式(II)では、R及びRのそれぞれは、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アミノ基、アセチルアミノ基、ベンジルアミノ基、トリフルオロメチル基、C-Cアルキル基、C-Cアルコキシ基、C-Cアルケニル基、C-Cシクロアルキル、ベンジルオキシ、CH-R(ここで、Rはフェニル(C-Cアルキル、ハロゲン原子又はシアノで置換され得る)又はチエニルである)及び-O-(CH-R、ここでRがビニル基、C-Cシクロアルキル基、又はフェニル基からなる群から独立して選択される一以上の官能基であり、nは0又は1である。
【0267】
一般式(I)及び一般式(II)では、R及びRのそれぞれは、水素原子、C-Cアルキル基、C-Cアルケニル、C-Cシクロアルキル基、CH-R(ここで、Rはフェニル(C-Cアルキル、ハロゲン原子又はシアノで置換され得る);ナフチル又はチエニルである)及び-CH(R)-Rからなる群から独立して選択される一以上の官能基である。或いは、R及びRは一緒になって一般式(IV):

(IV)
を有するスピロ環を形成する。
【0268】
はビニル基;エチニル基;C-Cアルキル基、C-Cアルコキシ基、ヒドロキシ基、1又は2個のハロゲン基、ジC-Cアルキルアミノ基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシ基、又はフェニル基によって任意に置換されたフェニル基;フェネチル基;ピリジル基;チエニル基;及びフリル基によって置換されてもよいフェニル基からなる群から選択される一以上の官能基である。上のRは水素原子またはC−Cアルキルである。
【0269】
更に、一般式(IV)では、構造単位Bは、一般式(V)を有する構造単位の複数の型から選択される一以上の構造単位であり得る。構造単位Bは、スピロ環を形成して一般式(V)の*でマークした位置に結合する。

(V)
【0270】
は水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、C−Cアルコキシ基、シアノ基、及びトリフルオロメチル基からなる群から選択される一以上の官能基である。
【0271】
一般式(I)を有する複素環式化合物が、構造中に不斉炭素を有する場合、不斉炭素原子からのその異性体とそれらの混合物(ラセミ体)が存在する。このような場合、それらの全てが、後に記載される実施態様で使用される複素環式化合物に含まれる。
【0272】
「C-C」なる用語は、他に定義されない限り、1から6個の炭素原子を意味する。「C-C」なる用語は、他に定義されない限り、3から8個の炭素原子を意味する。「C-Cアルキル」なる用語は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、tert−ブチル、sec−ブチル、n−ペンチル、及びn−ヘキシルのような直鎖又は分枝アルキル基を含む。「C-Cアルコキシ」なる用語は、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、tert−ブトキシ、sec−ブトキシ、n−ペンチルオキシ、及びn−ヘキシルオキシのような直鎖又は分枝アルコキシ基を含む。「C-Cシクロアルキル」なる用語は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロへプチル、及びシクロオクチルを含む。「ハロゲン原子」なる用語は、フッ素、塩素、臭素、及びヨウ素を含む。
【0273】
別の実施態様では、本発明の実施に有用な複素環式化合物は、
3,3−ジメチルイミダゾ(l,2−a)ピリジン−2(3H)−オン,
3,3−ジプロピルイミダゾ(l,2−a)ピリジン−2(3H)−オン,
3,3−ジブチルイミダゾ(l,2−a)ピリジン−2(3H)−オン,
3,3−ジアリルイミダゾ(l,2−a)ピリジン−2(3H)−オン,
3,3−ジアリル−8−ベンジルオキシイミダゾ(l,2−a)ピリジン−2(3H)−オン,
3,3−ジ(2−プロピニル)イミダゾ(l,2−a)ピリジン−2(3H)−オン,
3,3−ジベンジルイミダゾ(l,2−a)ピリジン−2(3H)−オン,
3,3−ジベンジル−8−メチルイミダゾ(l,2−a)ピリジン−2(3H)−オン,
3,3−ジベンジル−5,7−ジメチルイミダゾ(l,2−a)ピリジン−2(3H)−オン,
3,3−ジベンジル−8−ヒドロキシイミダゾ(l,2−a)ピリジン−2(3H)−オン,
3,3−ジベンジル−8−メトキシイミダゾ(l,2−a)ピリジン−2(3H)−オン,
3,3−ジベンジル−8−エトキシイミダゾ(l,2−a)ピリジン−2(3H)−オン,
8−アリルオキシ−3,3−ジベンジルイミダゾ(l,2−a)ピリジン−2(3H)−オン,
3,3−ジベンジル−8−イソプロポキシイミダゾ(l,2−a)ピリジン−2(3H)−オン,
3,3−ジベンジル−8−シクロプロピルメチルオキシイミダゾ(l,2−a)ピリジン−2(3H)−オン,
3,3−ジベンジル−8−シクロヘプチルオキシイミダゾ(l,2−a)ピリジン−2(3H)−オン,
3,3−ジベンジル−6−クロロイミダゾ(l,2−a)ピリジン−2(3H)−オン,
3,3−ジベンジル−6,8−ジクロロイミダゾ(l,2−a)ピリジン−2(3H)−オン,
3,3−ジベンジル−8−クロロ−6−トリフルオロメチルイミダゾ(l,2−a)ピリジン−2(3H)−オン,
3,3−ジベンジル−8−ベンジルオキシイミダゾ(l,2−a)ピリジン−2(3H)−オン,
8−アミノ−3,3−ジベンジルイミダゾ(l,2−a)ピリジン−2(3H)−オン,
8−アセチルアミノ−3,3−ジベンジルイミダゾ(l,2−a)ピリジン−2(3H)−オン,
3,3−ジベンジル−8−ベンジルアミノイミダゾ(l,2−a)ピリジン−2(3H)−オン,
3,3−ビス(3−クロロベンジル)イミダゾ(l,2−a)ピリジン−2(3H)−オン,
3,3−ビス(3−フルオロベンジル)イミダゾ(l,2−a)ピリジン−2(3H)−オン,
3,3−ビス(4−フルオロベンジル)イミダゾ(l,2−a)ピリジン−2(3H)−オン,
3,3−ビス(2,4−ジクロロベンジル)イミダゾ(l,2−a)ピリジン−2(3H)−オン,
3,3−ビス(4−ジメチルアミノベンジル)イミダゾ(l,2−a)ピリジン−2(3H)−オン,
3,3−ビス(4−メトキシベンジル)イミダゾ(l,2−a)ピリジン−2(3H)−オン,
3,3−ビス(4−ビフェニルメチル)イミダゾ(l,2−a)ピリジン−2(3H)−オン,
3,3−ビス(4−シアノベンジル)イミダゾ(l,2−a)ピリジン−2(3H)−オン,
3,3−ビス(4−ヒドロキシ−ベンジル)イミダゾ(l,2−a)ピリジン−2(3H)−オン,
3,3−ビス(3−フェニル−l−プロピル)イミダゾ(l,2−a)ピリジン−2(3H)−オン,
3,3−ビス(2,4−ジフルオロベンジル)イミダゾ(l,2−a)ピリジン−2(3H)−オン,
3,3−ビス(4−ニトロベンジル)イミダゾ(l,2−a)ピリジン−2(3H)−オン,
3,3−ビス(4−カルボキシベンジル)イミダゾ(l,2−a)ピリジン−2(3H)−オン,
8−ベンジルオキシ−3,3−ビス(l−フェニルエチル)イミダゾ(l,2−a)ピリジン−2(3H)−オン,
8−ベンジルオキシ−3,3−ビス(3−メチルベンジル)イミダゾ(l,2−a)ピリジン−2(3H)−オン,
8−ベンジルオキシ−3,3−ビス(4−メチルベンジル)イミダゾ(l,2−a)ピリジン−2(3H)−オン,
3−ベンジル−3−(4−フルオロベンジル)イミダゾ(l,2−a)ピリジン−2(3H)−オン,
3−エチル−3(4−フルオロベンジル)イミダゾ(l,2−a)ピリジン−2(3H)−オン,
8−メチル−3,3−ビス(3−ピリジルメチル)イミダゾ(l,2−a)ピリジン−2(3H)−オン,
8−メチル−3,3−ビス(4−ピリジルメチル)イミダゾ(l,2−a)ピリジン−2(3H)−オン,
3,3−ビス(2−チエニルメチル)イミダゾ(l,2−a)ピリジン−2(3H)−オン,
3,3−ビス(2−フリルメチル)イミダゾ(l,2−a)ピリジン−2(3H)−オン,
スピロ(イミダゾ(l,2−a)ピリジン−2(3H)−オン−3,2’−インダン),
スピロ(イミダゾ(l,2−a)ピリジン−2(3H)−オン−3,2’−(2,3)ジヒドロフェナレン),
スピロ(イミダゾ(2,l−b)チアゾール−6(5H)−オン−5,2’−ベンゾ(f)インダン),
スピロ(イミダゾ(l,2−b)チアゾール−6(5H)−オン−5,2’−インダン),
スピロ(2−メチルイミダゾ(l,2−b)チアゾール−6(5H)−オン−5,2’−ベンゾ(f)インダン),
5,5−ビス(4−フルオロベンジル)イミダゾ(2,l−b)チアゾール−6(5H)−オン,
5,5−ジベンジルイミダゾ(2,l−b)チアゾール−6(5H)−オン,
5,5−ビス(4−メチルベンジル)イミダゾ(2,l−b)チアゾール−6(5H)−オン,
5,5−ビス(4−シアノベンジル)イミダゾ(2,l−b)チアゾール−6(5H)−オン,
5,5−ジベンジル−2−メチルイミダゾ(2,l−b)チアゾール−6(5H)−オン,
5,5−ビス(4−フルオロベンジル)−2−メチルイミダゾ(2,l−b)チアゾール−6(5H)−オン,
5,5−ジシクロヘキシル−2−メチルイミダゾ(2,l−b)チアゾール−6(5H)−オン,
5,5−ビス(4−シアノベンジル)−2−メチルイミダゾ(2,l−b)チアゾール−6(5H)−オン,
5,5−ジ(2−ブテニル)イミダゾ(2,l−b)チアゾール−6(5H)−オン,
5,5−ジブチルイミダゾ(2,l−b)チアゾール−6(5H)−オン,
5,5−ジシクロヘキシルイミダゾ(2,l−b)チアゾール−6(5H)−オン,
5,5−ビス(2−チエニルメチル)イミダゾ(2,l−b)チアゾール−6(5H)−オン,
スピロ(2,3−ジヒドロイミダゾ(2,l−b)チアゾール−6(5H)−オン−5,2’−ベンゾ(f)インダン),
5,5−ジブチル−2,3−ジヒドロイミダゾ(2,l−b)チアゾール−6(5H)−オン,
5,5−ジ(2−ブテニル)−2,3−ジヒドロイミダゾ(2,l−b)チアゾール−6(5H)−オン,
5,5−ビス(4−メチルベンジル)−2,3−ジヒドロイミダゾ(2,l−b)チアゾール−6(5H)−オン,
5,5−ビス(2−チエニルメチル)−2,3−ジヒドロイミダゾ(2,l−b)チアゾール−6(5H)−オン,
5,5−ビス(4−フルオロベンジル)−2,3−ジヒドロイミダゾ(2,l−b)チアゾール−6(5H)−オン,
5,5−ジベンジル−2,3−ジヒドロイミダゾ(2,l−b)チアゾール−6(5H)−オン,
スピロ(イミダゾ(l,2−a)ピリジン−2(3H)−オン−3,2’−ベンゾ(f)インダン),
2−ヒドロキシ−3−(2−ナフチルメチル)−イミダゾ(l,2−a)ピリジン,
3−ベンジルイミダゾ(l,2−a)ピリジン−2(3H)−オン,
スピロ(5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ(l,2−a)ピリジン−2(3H)−オン−3,2’−ベンゾ(f)インダン),
3,3−ジシクロヘキシル−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ(l,2−a)ピリジン−2(3H)−オン,
3,3−ビス(2−チエニルメチル)−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ(l,2−a)ピリジン−2(3H)−オン,
3,3−ジブチル−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ(l,2−a)ピリジン−2(3H)−オン,
3,3−ジプロピル−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ(l,2−a)ピリジン−2(3H)−オン,
スピロ(イミダゾ(l,2−a)ピリミジン−2(3H)−オン−3,2’−ベンゾ(f)インダン),
3,3−ジ(2−ブテニル)イミダゾ(l,2−a)ピリミジン−2(3H)−オン,
3,3−ビス(2−チエニルメチル)イミダゾ(l,2−a)ピリミジン−2(3H)−オン,
3,3−ビス(4−フルオロベンジル)イミダゾ(l,2−a)ピリミジン−2(3H)−オン,
3,3−ジシクロヘキシルイミダゾ(l,2−a)ピリミジン−2(3H)−オン,
3,3−ビス(4−シアノベンジル)イミダゾ(l,2−a)ピリミジン−2(3H)−オン,
3,3−ビス(4−メチルベンジル)イミダゾ(l,2−a)ピリミジン−2(3H)−オン,
4,4−ジベンジル−l−メチル−5−オキソ−4,5−ジヒドロイミダゾール,
スピロ(イミダゾ(l,2−a)ピリジン−2(3H)−オン−3,2’−(4’−フルオロインダン)),
スピロ(イミダゾ(l,2−a)ピリジン−2(3H)−オン−3,2’−(5’−メトキシインダン)),
スピロ(イミダゾ(l,2−a)ピリジン−2(3H)−オン−3,2’−(5’−ヨードインダン)),
スピロ(イミダゾ(l,2−a)ピリジン−2(3H)−オン−3,2’−(4’−シアノインダン)),
スピロ(イミダゾ(2,l−a)イソキノリン−2(3H)−オン−3,2’−インダン),
スピロ(イミダゾ(l,2−a)ピリジン−2(3H)−オン−3,2’−((l,2,5−チアジアゾ)(4,5−c)インダン)),
スピロ(イミダゾ(2,l−a)イソキノリン−2(3H)−オン−3,2’−((l,2,5−チアジアゾ)(4,5−c)インダン)),
スピロ(イミダゾ(l,2−a)ピリミジン−2(3H)−オン−3,4’−(1−シクロペンテン)),
スピロ(イミダゾ(l,2−a)ピリミジン−2(3H)−オン−3,2’−インダン),
スピロ(イミダゾ(l,2−a)ピリミジン−2(3H)−オン−3,2’−((l,2,5−チアジアゾ)(4,5−c)インダン)),
スピロ(イミダゾ(l,2−a)ピリジン−2(3H)−オン−3,2’−(5’−トリフルオロメチルインダン)),
スピロ(イミダゾ(l,2−a)ピリジン−2(3H)−オン−3,2’−ベンゾ(e)インダン),
スピロ(イミダゾ(2,l−a)イソキノリン−2(3H)−オン−3,l’−(3’−シクロペンテン)),
スピロ(8−ベンジルオキシイミダゾ(l,2−a)ピリジン−2(3H)−オン−3,l’−(3’−シクロペンテン)),
スピロ(7,8,9,10−テトラヒドロイミダゾ(2,l−a)イソキノリン−2(3H)−オン−3,l’−シクロペンタン),
スピロ(イミダゾ(2,l−a)イソキノリン−2(3H)−オン−3,l’−シクロペンタン), 及びスピロ(5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ(l,2−a)ピリジン−2(3H)−オン−3,2’−インダン)
からなる群から選択される。
【0274】
別の実施態様では、化合物は、スピロ(イミダゾ(1,2−a)ピリジン−2(3H)−オン−3,2’−インダン)である。
【0275】
別の実施態様では、本発明の方法は、米国出願第11/872,408号(米国第2008/0103157A1号);米国出願第11/872,418号(米国第2008/0103158A1号);米国特許第6,635,652号;米国特許第7,141,579号;及び国際出願番号PCT/JP2007/070962(国際公開第2008/047951号)に開示される任意の化合物を用いて実施され得、各々の文献は出典明記によってその全体が取り込まれる。
【0276】
ZEST1446としても知られる、化合物ST101は、急性(単回投与)及び長期双方の投与の後に、AD関連の学習と記憶の齧歯類モデルにおいて、薬理活性を示した。ST101の化学名は、スピロ(イミダゾ(1,2−a)ピリジン−2(3H)−オン−3,2’−インダン)である。
【0277】
例えば、ST101は、加齢記憶障害を有意に改善し、及びメタンフェタミン、グルタミン酸受容体拮抗薬であるMK801及びムスカリン拮抗薬であるスコポラミンのような化学健忘剤によって誘導される記憶障害を緩和する。(Yamaguchi Y.,等, J. Pharmacol. Exp. Ther. 317:1079-87 (2006);Ito Y., 等, J. Pharmacol. Exp. Ther. 320: 819-27 (2007))。
【0278】
実験は、ST101が、アセチルコリン(ACh)のニコチン刺激性放出を増強し、大脳皮質における細胞外ACh濃度を上昇させ、海馬のAChとドーパミンの双方の細胞外濃度を上昇させることを示す。ST101がその効果を発揮するモデルの広さは、これらのプロセスに関連するシグナル経路の上流の標的に関連する可能性を示唆する。
【0279】
ST101は、また、脳組織におけるAβ様沈着物の蓄積を伴う学習と記憶の加齢性欠損を発症するマウス系統である、老化促進マウス8(SAMP8)において効果を示した。SAMP8マウスは、Morley, J.E., Biogerontology 3: 57-60 (2002)において考察されている。ST101はAβ様沈着物の蓄積を減少し、また、学習と記憶の機能を改善し、ST101の挙動効果がAβ産生及び/又は蓄積の減少と関連し得ることを示唆する。米国公開第2008/103158号A1を参照されたい。
【0280】
ここで論じた全ての特許、特許出願、及び刊行物は、参照によりその全体がここに取り込まれる。
【実施例】
【0281】
実施例1
Neuro2a培養細胞におけるインビトロのβアミロイドに対するST101の効果
Neuro2aは、ELISAアッセイによって検出可能な量のアミロイドペプチドAβ1−40及びAβ1−42を産生することが知られているマウス神経芽腫細胞株である。これらのAβの形態は、AD脳における病変に関連し、特にAβ1−42はα7ニコチン受容体を阻害し、直接的な神経毒影響を生じさせると想定される。Neuro2a細胞は、組織培養培地に添加したST101で24時間処理した。組織培養培地を回収し、ELISAによってAβの存在を分析した。
【0282】
図1A及び1Bは、Neuro2a細胞によるAβ産生に対する化合物ST101の影響を示す棒グラフである。図1Aはコントロールと比較したST101濃度の作用としての細胞培養培地中のAβ濃度を示す棒グラフである。図1Bは、コントロールと比較したST101濃度の作用としてのAβ1−40に対するAβ1−42の比を示す棒グラフである。図1A及び1Bに示す通り、ST101は、Aβ1−40に対する大きな影響を与えずに、Aβ1−42を有意に減少させる(図1)。
【0283】
実施例2
Morris水迷路における3xTg−ADマウス中のST101の効果
カリフォルニア大学、アーバインのFrank LaFerla博士の研究室は、アルツハイマー病関連の3個の変異(βAPPSwe、PS1M146V、及びタウP301L)(Oddo 等, "Triple-transgenic model of AD with plaques and tangles: intracellular Aβ and synaptic dysfunction, Neuron 39(3):409-21 (2003)を含むトランスジェニックマウスを開発した。これらの変異は、APP切断をαからβセクレターゼに移動させ、Aβ1−42の産生を増加し、対らせん状細線維 へのタウの蓄積を促進する。3xTg−AD動物は、加齢に依存した様式で、記憶関連の行動機能における欠損、斑及び濃縮体病変並びに記憶に重要であると考えられている(Oddo等、2003)活動である長期増強における欠損を含むシナプス機能不全を伴うADに必須の特徴を発症する。更に、斑の形成は濃縮体の形成に先行し、したがって、ヒトにおけるADの発症に類似している。3xTg−ADマウスは、現在までで、ADを発症した最も近接した動物モデルの一つである。
ST101投与及び試験方法
【0284】
約1年齢の3xTg−Aマウスを2ヶ月間ST101で処理した。5mg/kg/日の平均投与量を、飲料水に投与した(平均水消費量に基づいて計算した投与量)。行動効果は、Morris水迷路における成績を評価することにより試験した。生化学的効果を、ELISA及びウェスタンブロットにより、AβとAPPの脳内含量を測定することにより調べた。
【0285】
行動効果:Roozendaal 等, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 100: 1328-1333 (2003)から採用したMorris水迷路(MWM)における3xTg−ADマウスの成績。
【0286】
MWM試験は、齧歯類における空間記憶(すなわち、海馬依存)及び手がかり学習(すなわち、非海馬)の双方を試験する。迷路は円形タンクを不透明な水で満たしたものである。マウスを水中に置かれ、泳いで水面下1.5cmに沈めたプラットフォームを見つけ、避難しなければならない。プラットフォームを見つけるのに要した時間(秒)が記録され
る。動物は、連続挑戦において、プラットフォームを見つけるためにタンクを含む部屋中の視覚的な手がかりを頼る。訓練は、7日間連続で行った。
【0287】
訓練の保持を、最終の試行訓練から24及び72時間後の2回評価した。動物は、プラットフォームを除いたタンク中で、60秒間自由遊泳させた。パラメーターは、(1)遅延:プラットフォームの以前の位置に到達するのに要する時間及び(2)クロス:動物がプラットフォームの以前の位置を泳いで横切った回数を含めて計測した。遅延の減少とクロスの増加は、空間記憶と手がかり学習の改善を示す。
【0288】
図2A、2B及び2Cは、MWMにおける3xTg−ADマウスのST101の効果を示すグラフである。図2Aは、コントロールのマウスと比較した訓練中の遅延(秒)を示すグラフである。図2B及び2Cは、ST101処理動物とコントロールマウスにおける訓練の24及び72時間後の、遅延(秒)を示す棒グラフである。
【0289】
図2Aに示す通り、ST101とコントロール動物は、訓練の最初の日に類似の遅延を有する
。しかし、ST101処理マウスは、コントロールと比較して、連日の訓練において、より大きな遅延の減少を示した。図2B及び2Cはまた24及び72時間における保持訓練の間で、遅延の減少と、クロスの増加の双方を示した。これらのデータは、ST101が、ヒトADに非常に類似した、3xTg−ADマウス系統における学習と記憶の成績を改善することを確認する。
【0290】
実施例3
3xTgマウス−ADの脳組織中のAβに対するST101の効果
生化学的効果:ST101及びアミロイドプロセシング経路
2ヶ月の処理期間の終わりに、3xTgマウスを実験に供し、脳組織を処理した。分析の最初のセットでは、可溶性Aβ1−40及びAβ1−42並びに不溶性Aβ(ギ酸抽出後)を、ELISAで定量した。可溶性Aβは、全長APPから処理され、放出されたタンパク質を示す。不溶性Aβは、最終的にアミロイド斑に沈着する線維性蓄積を示す。
【0291】
図3A及び3Bは、3xTgマウスADの脳組織中のAβに対するST101の効果を示す棒グラフである。図3Aは、コントロールマウスに対する、ST101で処理したマウスの脳組織における可溶性Aβ1−40及びAβ1−42の量を示す。図3Bは、コントロールマウスに対する、ST101で処理したマウスの不溶性Aβ1−40及びAβ1−42(ギ酸抽出)の量を示す棒グラフである。パネルAのST101で処理した群の一の動物は、分析上のアーチファクトゆえ除外した。
【0292】
図3A及び3Bに示す通り、ST101処理マウスは、可溶性Aβ1−42のレベルを有意に減少し、可溶性Aβ1−40を穏やかに減少した。不溶性Aβは、影響を受けなかった。これらの結果は、ST101がAβ産生又は放出に影響し得ることを示唆する。
【0293】
実施例4
抗体CT20で検出したAPP C末端断片
Aβプロセシング/放出経路において、どの部分でST101が活性であり得るかを決定することを試みるために、同一のマウスの脳抽出液の一連のウェスタンブロット解析を行った。これらのウェスタンブロットで、無傷のAPP並びにその翻訳後プロセシング及び続いて起こる分解産物を調べた。
【0294】
図4は、未処理(C)の3xTg−ADマウスに対する、ST101で処理した(S)3xTg−ADマウスの脳における抗体CT20により検出されたAPP C末端断片を示すウェスタンブロットである。
【0295】
図4に示す通り、(直接的にAPPのC末端に対する)抗体CT20は、C99及びC83C末端APP断片の実質的な減少を示す。これらの断片はそれぞれβセクレターゼ及びαセクレターゼ切断の副産物である。新規な、約17kDaの分子量であるより長いC末端断片(*で示される)の出現もまた示される。
【0296】
実施例5
抗体CT20により検出されるAPP及び分解断片
図5は、未処理(C)の3xTg−ADマウスに対する、ST101で処理した(S)3xTg−ADマウスの脳における抗体CT20により検出されたAPP及び分解断片を示すウェスタンブロットである。「CT20」は全長APP種を表し、「アクチン」はタンパク質ローディングコントロールとしての抗ベータアクチン抗体を表す。
【0297】
ウェスタンブロット解析は、全ての抽出物中に全長の未処理APPを検出した(図5、*)。わずかなバンドのシフトは、ST101が誘導したAPPの更なる修飾、例えば、わずかに分子量が小さい幾つかの全長種(糖化、リン酸化又は他の翻訳後修飾において可能性のある変化)及び主なAPP分解中間体(〜50kDa)の消失又は有意な減少を示唆した(図5、**)。
【0298】
実施例6
代替的なアミロイドプロセシング経路
図6は、新規なAPP C末端断片をもたらす提案されたアミロイドプロセシング経路を示す図である。提案された経路は、図4のウェスタンブロットで示される新規の約17kDの断片の出現を説明する。この断片は、βセクレターゼ切断部位の約60アミノ酸N末端側の同定されていない部位における切断によって生じる。
【0299】
α及びβセクレターゼ切断の通常の産物が、非常に減少し(α及びβセクレターゼについて、それぞれC83及びC99)、それゆえ、これらの酵素の標的である切断部位が無傷のままであるため、この新規の経路は、α及びβセクレターゼ切断に取って代わるようである。
【0300】
ST101によって誘導されるAPP代謝のこの変化は、ADの臨床像に近いと間違いなく考えられている動物モデルにおける学習と記憶課題の顕著な改善に付随する。初期の非臨床データを併せて考えた際に、ST101は、市販の薬剤及び既知の作用機序と共に現在調査されている薬剤の双方のプロセスの上流の生理学的プロセスにおいて作用し得、ゆえに、AD治療の新規な手段を示すであろう。
【0301】
実施例7
インビボ(3xTg−ADマウス)におけるAβに対するST101の効果
前に記載した、3xTg−ADマウスの脳におけるST101のAβ減少効果の結果は、2ヶ月間に渡り、飲料水中の5/mg/kg/日のST101で処理した約12月齢のマウスから得たものである。これらの結果を確認するために2つの実験を行った。一の実験は、同一の投与量レベルにおける2.5ヶ月間の処理後の約14.5月齢の3xTG−ADマウスに対するST101の効果を評価した(図7)。図7A及び7Bは、3xTg−ADマウスの脳組織におけるAβに対するST101の影響を示す棒グラフである。図7Aは、コントロールマウスに対する、ST101で処理したマウスの脳組織における可溶性Aβ1−40及びAβ1−42の量を示す。図7Bは、コントロールマウスに対する、ST101で処理したマウスの不溶性Aβ1−40及びAβ1−42(ギ酸抽出)の量を示す棒グラフである。N=6/群。*はコントロール動物からの統計学的に有意な差異を示す(p<0.05、スチューデントのt検定)。群の大きさ:コントロール n=6、ST101 n=6。動物は、5/mg/kg/日のST101で処理した2.5ヶ月後の実験に供した時点で約14.5月齢であった。
【0302】
別の実験は、2ヶ月の処理後の、約18月齢の動物におけるST101の効果を評価した(図8)。図8A及び8Bは、3xTg−ADマウスの脳組織におけるAβに対するST101の影響を示す棒グラフである。図8Aは、コントロールマウスに対する、ST101で処理したマウスの脳組織における可溶性Aβ1−40及びAβ1−42の量を示す。図8Bの棒は、コントロールマウスに対する、ST101で処理したマウスの不溶性Aβ1−40及びAβ1−42(ギ酸抽出)の量を示す。*はコントロール動物からの統計学的に有意な差異を示す(p<0.05、スチューデントのt検定)。群の大きさ:コントロール n=4、ST101 n=6。動物は、5/mg/kg/日のST101で処理した2ヶ月後の実験に供した時点で約20月齢であった。
【0303】
双方の実験は、以前の実験で観察されたように、「可溶性」の脳抽出液において、Aβ1−40及びAβ1−42の減少を示す。(ギ酸抽出で得た)「不溶性」の画分におけるAβの減少は、より変動的であった。12月齢マウスの以前のデータは、不溶性Aβの減少は示さなかったが、これに対し、図7は、2ヶ月ではなく、2.5ヶ月間処理した14.5月齢マウス中の不溶性Aβの劇的な減少を示した。Aβ減少を示した20月齢マウスは、コントロール群(n=4)における動物が少数であるため、統計的な有意性に到達しなかった。
【0304】
概して、これらの結果は、可溶性Aβのレベルに対する強いST101の効果を確認した。処理の開始時以前に、加齢動物は既に大きなアミロイド斑負荷を有しているため、これらの動物においては、効果は全く顕著ではなかった。不溶性画分におけるAβに対する効果のより大きな変動性については、更に追求する必要がある。ギ酸抽出の効率に伴う技術的な問題(最も老齢のマウスの脳からはより少ないAβ1−42が抽出された)並びに動物週齢と処理の長さによる影響はあり得る。
【0305】
実施例8
インビボ(カニクイザル)におけるAβ産生に対するST101の効果
カニクイザルの脳サンプルを、6ヶ月の慢性毒性試験の終わりに得た。この試験に使用したカニクイザルは、4年齢よりも若い子ザルであった。ST101は、鼻腔栄養チューブにより、10mg/kg/日(群毎にn=8)において、6ヶ月間毎日投与した。データは、8頭の処理した動物及び8頭のコントロール動物から得た。Aβ1−40のレベルを、カニクイザルの脳組織中のAβに対するST101の効果を示す棒グラフである、図9に示した。図9は、コントロールのサルに対する、ST101で処理したサルにおけるAβ1−40のレベルの量を示す。
【0306】
これらの子動物におけるAβのレベルは非常に低い。ST101で処理した動物におけるAβ1−40の統計学的な有意性に到達しない減少があった。しかし、観察された平均のAβ1−40のレベルは、アッセイの感度の下限であり、したがって、Aβ1−42のレベルは測定できなかった。
【0307】
データは、カニクイザル脳におけるAβ1−40の減少を示し、3xTg−ADマウスモデルにおいて得たデータを支持する。APPプロセシングに対する効果を決定するためにウェスタンブロットを用い、カニクイザル脳抽出液を用いた更なる実験が必要である。
【0308】
実施例9
3xTG−ADマウスの脳組織中のAPP CTFに対するST101の効果
12月齢の3xTG−ADマウスにおける以前に記載した実験は、C末端 APP断片の大きな減少を示した。この効果は、2.5ヶ月間処理した14.5月齢の3xTg−ADマウスの脳抽出液を用いて確認した(図10A−10B)。
【0309】
図10A及び10Bは、未処理(C)の3xTg−ADマウスに対する、ST101で処理した3xTg−ADマウス(図10AのT、図10BのS)の脳において、抗体CT20で検出したAPPカルボキシ末端断片を示すウェスタンブロットである。図10Bは、図10Aの実験に用いたものと同一の脳抽出液を用いた別の実験である。動物は飲料水中の5mg/kg/日のST101で2.5ヶ月処理した後の実験に供した時点で、約14.5月齢であった。*はCTFが低レベルのコントロール動物を示す。
【0310】
図10C及び10Dは、未処理(C)の3xTg−ADマウスに対する、ST101で処理(S)した3xTg−ADマウスの脳において、APP C末端抗体(Eptitomics番号:15654−1)を用いて検出したAPPカルボキシ末端断片を示すウェスタンブロットである。図10Dは、図10Cよりもウェスタンブロットの露出を軽くしている。動物は飲料水中の5mg/kg/日のST101で2.5ヶ月処理した後の実験に供した時点で、約14.5月齢であった。
【0311】
図10Aの結果は、初期の実験(図4)で観察されたように、APP CTFの減少の顕著な効果を確認した。しかし、図10Aに示すウェスタンブロットは、C99とC83断片を明確に分離しなかった。同一の脳抽出液の繰り返しのウェスタンブロットを、図10Bに示す。このウェスタンブロットは、C99とC83断片の明確に分離した。この特定のウェスタンブロットは、幾つかの非特異的なバックグラウンドを示すが、それは、C99断片の減少が、C83断片の減少よりも、大幅に大きいことを示す。
【0312】
図10A及びBの結果を、APPのC末端断片に対する異なるC末端抗体を用いた繰り返しのウェスタンブロットにおいて更に確認した。この繰り返しのウェスタンブロットの結果は、図10C及び10Dにおける同じウェスタンブロットの2つの異なる露出として示される。このウェスタンブロットは、ST101処理によるC99断片の減少を確認した。また、C83断片は、以前の12月齢マウスにおける実験と同程度まで減少しないことも確認された。C99の減少は、以前の実験(図11)で観察されたように、BACEの減少によって説明され得る。BACEにおける同等のデータは、図10A−Dで示した繰り返しの実験については未だ利用できない。以前の実験は、C83断片の減少(図11)を説明したプロADAM−10の減少を示した。ここに記載した実験において、C83は同程度まで減少しない。このことは、この実験においてADAM−10に対するST101の効果がより少ないことを予測する。ADAM−10に対するデータはこの実験から未だ得られていない。ST101の、プロADAM10に対するBACEへのより選択的な効果は、Aベータのより大きな減少(図7B)とsAPPベータの減少(図13)とまた一致する。C83断片のより小さな減少は、実験において17kDaの検出がないこととまた一致する。この実験においてアルファセクレターゼ(ADAM−10)切断は、殆ど無く、17kDa断片を産生する代替の経路にAPPを移行させる必要がない。この時点で、12月齢(図4)と14.5月齢(図10A−10D)の2つの実験間の、C83断片に対するST101の効果の差異を決定しているものは明確ではない。しかし、動物は異なる週齢であり、処理期間は異なる。
【0313】
実施例10
ST101を用いた処理によるベータセクレターゼ(BACE)及びプロADAM10の減少(3xTG−ADマウス)
APP C末端断片C99及びC83は、ベータセクレターゼとアルファセクレターゼ切断によりそれぞれ産生される。ST101によって誘導されるC99とC83の双方の減少は、したがって、セクレターゼの減少又は阻害が原因となり得る。この仮説は、ST101で2ヶ月処理した12月齢動物における最初の実験の3xTg−ADマウスの脳抽出液のウェスタンブロットを用いて試験した。唯一のベータセクレターゼはBACE1であり、構成的アルファセクレターゼは、ADAM10である。
【0314】
ウェスタンブロットは、BACE1及びADAM10に対する抗体で調べた。結果を図11に示す。図11Aは、コントロールマウス(C)に対する、ST101で処理した3xTG−ADマウス(S)の脳抽出液中のプロADAM10、ADAM10、プロBACE、BACE、プレセニリン1及びAPP−CTFのレベルを示す一連のウェスタンブロットである。C:コントロールの脳抽出液。S:ST101で処理した脳抽出液。動物は、5mg/kg/日のST101で処理した2ヶ月後に実験に供した時点で約12月齢であった。
【0315】
図11Bは、デンシトメトリーによる図11Aのウェスタンブロットバンドの定量を示す。
【0316】
ウェスタンブロットは、BACE及びプロADAM10の大きな減少を示す。プロBACE及びADAM−10タンパク質レベルは、殆ど影響を受けない。これらの結果は、APP−CTF C99とC83の減少につながるアルファ及びベータセクレターゼの双方の減少した活性と一致する。ガンマセクレターゼ複合体の構成要素であるプレセニリン1は、顕著な変化を示さなかった。
【0317】
更なる実験は、ADAM10及びBACEの酵素活性の直接的な測定を含むであろう。これらの実験はまた活性型酵素レベルに対するプロ酵素へのST101の異なる効果、すなわち、ST101はプロBACEを減少せずにBACEを減少させる一方で、ADAM10を減少させずにプロADAM10を減少させることによって提起される疑問に取り組むであろう。
【0318】
実施例11
インビボ(3xTG−ADマウス)における病理的なタウの蓄積の減少
3xTg−ADマウスモデルは、アルツハイマー病の病理学的な特徴の双方:Aβアミロイド斑と神経原線維濃縮体を含む。神経原線維濃縮体は、異常にリン酸化したタウタンパク質の蓄積によって構成される。3xTg−ADマウスでは、タウの病理学的細胞体樹状突起の蓄積は、病理モデル表現型の一部として、免疫組織化学において観察され得る。
【0319】
タウの分布と蓄積に対するST101の効果は、H7抗タウ抗体を用いた免疫組織化学で、研究される。病理学的細胞体樹状突起タウ染色の明らかな減少が海馬において観察された。ヘマトキシリン/エオシンで染色したコントロールの切片は神経損失がないことを示した。
【0320】
実施例12
インビボ(3xTg−ADマウス)におけるタウ種の分子量シフト
タウのリン酸化、蓄積及び分解の状態はウェスタンブロットで評価し得る。非リン酸化及びリン酸化タウに対する、2個の抗タウ抗体を、最初の実験の脳抽出液を調べるために使用した。ウェスタンブロットを図12に示す。図12は、コントロールマウス(C)に対するST101で処理した3xTG−ADマウス(S)の脳抽出液における、全長タウのレベル、タウの蓄積、タウの分解産物及びリン酸化タウのレベルを示す一連のウェスタンブロットである。ベータアクチンレベル(Ac)をローディングコントロールとして用いた。P−タウ、抗体毎の2つのパネル:上−通常の露出;下−弱いタンパク質バンドを可視化するために過剰露出。Ac:タンパク質ローディングコントロールとしてのベータアクチン抗体。動物は、5mg/kg/日のST101で2ヶ月処理した後の実験に供した時点において約12月齢であった。
【0321】
双方の抗体を用いて過剰露出したウェスタンブロットは、ST101処理によって誘導されたわずかな差を示す。H7抗体は、蓄積したタウと分解産物の消失を示した。R−p−タウ抗体は、新規のリン酸化タウ分解産物の出現を示した。
【0322】
BACEとプロADAM10の減少の発見は、ST101の作用機序に新たな洞察を提供し、新規のAPPMs(アミロイドプロセシング経路調整剤)を評価するためのスクリーニングアッセイのための新規の機会を提供する。
【0323】
BACEとプロADAM10を超えて、ST101は他のタンパク質の濃度にもまた影響を及ぼす。TACE、ハンチンチンに対するST101の効果、及びタンパク質分解に対する一般化された効果を下の実施例に示す。
【0324】
データは、ST101の潜在的な疾患改善効果が、BACEタンパク質レベルの減少によって媒介されることを示す。ST101によって誘導される変化は、既知の何れのBACE阻害剤又はBACE調整剤とも共通しないであろう、新規なBACE阻害/減少機構を示す。BACE活性の減少は、依然としてアルツハイマー病の主要な治療目的である。
【0325】
ST101はまたアルファセクレターゼADAM10の直近の前駆体であるプロADAM10の減少と、減少したC83で反映されるように、アルファセクレターゼ切断産物の減少を誘導した。表面上、アルファセクレターゼ活性の大幅な減少は、アルファセクレターゼが複数の他の基質を切断するため、望まざる効果であると考えられ得る。しかし、ST101は、6ヶ月までの齧歯類及びサルの毒性試験において、3xTg−ADマウスで用いたものより、約100倍高い投与量まで安全であることが証明されている。このことは、ST101によって引き起こされるプロADAM10の減少レベルが、毒性を誘導するほど十分ではないことを示す。このことは、プロADAM10に対するST101の効果の特異的な性質に起因し得るか、又はプロADAM10に対するST101の主要な影響を相殺する他のアルファセクレターゼの活性に起因し得る。
【0326】
更なる研究は、BACE及びプロADAM10に対するST101の影響の特異性に取り組む必要があるであろう。ST101は、他のタンパク質にも影響するであろう。この文脈では、ST101が、TACEとしても知られる、腫瘍壊死因子変換酵素である、別のアルファセクレターゼADAM17に影響するかどうかを決定することは興味深いであろう。ST101がTACEのレベルを減少させる場合、これは、ST101のTNF拮抗薬としての使用の新たな機会を開くであろう。
【0327】
以上に示された実験は、APPプロセシングとAベータ産生に対するST101の大きな効果を確認する。BACEとADAM10の下方制御の実証は、Aベータ産生に対するST101の効果の信頼できる説明を提供する。
【0328】
実施例13
3xTgADマウスの脳組織におけるsAPP−ベータに対するST101の効果
図10Bは、断片C99の減少を示す。C99は可溶性APP、具体的にはsAPP−ベータの放出につながるBACE切断によって産生される。このように、C99の減少は、sAPP−ベータの同時減少を予測する。このことは、図13に示すウェスタンブロットで試験された。ウェスタンブロットは、コントロールマウス(C)に対してST101で処理した3xTG−ADマウス(S)の脳抽出液において、sAPP−ベータに特異的な抗体を用いて得た。動物は、飲料水中の5mg/kg/日のST101で処理した2ヶ月後の実験に供した時点で約14.5月齢であった。
【0329】
図13は、図10BのC99の減少に、sAPP−ベータの同時減少が伴ったことを確認する。C99の顕著な減少をまた示す以前の実験では、sAPP−ベータは、技術的に困難なため検出できなかった。
【0330】
実施例14
3xTgADマウスの脳組織におけるTACEに対するST101の効果
ADAM10に加えて、ADAM17(TACE、腫瘍壊死因子変換酵素)が、APPのアルファ−セクレターゼとして機能することが知られている。このように、ウェスタンブロットにおいて、ST101がADAM17(TACE)のレベルを減少させるか否かを試験した。
【0331】
図14は3xTgADマウスの脳組織におけるTACEに対するST101の効果を示すウェスタンブロットである。ウェスタンブロットは、コントロールマウス(C)に対する、ST101で処理した3xTG−ADマウス(S)の脳抽出液において、TACE特異的な抗体を用いて得た。動物は、飲料水中の5/mg/kg/日のST101で処理した2ヶ月後の実験に供した時点で約14.5月齢であった。
【0332】
図14は、コントロール動物に対する、ST101で処理した動物の大部分におけるTACEのレベルの減少を示す。このことは、ST101がTACEレベルを減少させることができることを示唆する。
【0333】
本発明の広さと範囲は、上記の例示的な実施例の何れによっても限定されるべきではなく、以下の請求項及びその均等物に従ってのみ定義されるべきである。
【0334】
実施例15
ユビキチン化タンパク質のレベルに対するST101の効果
2ヶ月間にわたり、飲料水中の5/mg/kg/日のST101で処理した12月齢の3xTg−ADマウスの脳抽出液を、抗ユビキチン抗体(ダコ番号Z0448)を用いてウェスタンブロットで解析した。ユビキチン化タンパク質の大幅な減少を示す結果を図15に示した。コントロールサンプル(C)は、ユビキチン化タンパク質の混合物を示す典型的な高分子量の「スメア」を示す。これらのタンパク質のレベルは、ST101の処理後に顕著に減少した。注目すべきは、単量体ユビキチン濃度は、ST101処理によって、殆ど影響を受けなかったことである(データ示さず)。
【0335】
約2.5ヶ月間5/mg/kg/日ST101で処理した14.5月齢のマウスのサンプルにおける確認実験が実施され、コントロール動物に比較して、ST101で処理した動物の脳抽出液においてユビキチン化タンパク質の顕著な減少がまた示された。
【0336】
実施例16
ユビキチン化α−チューブリンに対するST101の効果
ウェスタンブロットにおいて、実施例15と同じサンプルを調べ、(α−チューブリン抗体を用いた)図16Aと(アセチル化α−チューブリン抗体を用いた)16Bに示すパターンが示された。
【0337】
図16Aは、長い露出のウェスタンブロットを示す。図の下部に近い過剰露出バンドは、α−チューブリンを示す。このバンドの上方に、免疫反応性バンドのラダーを抗体により検出した。このラダーは、コントロール(C)の動物に対し、ST101で処理した動物(S)のサンプル中では存在しないか、又は顕著に減少した。
【0338】
図16Bは、この結果が更にST101を用いた処理後に、減少したチューブリン分解産物の存在を示すことを確認する。
【0339】
高分子量ラダーにおいて示された分子量シフトは、一又は複数のユビキチン分子のα−チューブリンへの付加に一致した。この点で、実験的に追跡することを必要とする証明されていない仮説ではあるが、ST101が高分子量ラダーの減少において、主要な効果を有することは明らかなようである。
【0340】
実施例17
ハンチンチンタンパク質に対するST101の効果
ここに提供したデータは、増加したUPS分解が、それにより、ST101の処理が、BACE、プロADAM10及びタウタンパク質の顕著な減少に繋がる、機構であり得ることを示唆する。しかし、上に示したユビキチン化に対するST101の効果はまた、ST101の作用がUPSに対して直接的であれば、ST101がこの機構によって分解される多くの他のタンパク質の除去を容易にすべきであることをまた示唆する。
【0341】
AD以外の神経変性疾患において蓄積するタンパク質に対するST101の効果を調べる最初の試行実験では、ST101で処理した3xTg−ADマウス(S)とコントロールマウス(C)の脳抽出液を、ハンチンチンに対する、具体的には、セリン13(pS13ハンチンチン)の周辺のホスホエピトープに対する抗体を用いたウェスタンブロットによって解析した。結果を図17に示す。これらの抽出液は、実施例15と16で用いたものと同一のマウスのものである。
【0342】
ハンチンチンのタンパク質レベルは、大部分、コントロール動物(C)に比較してST101で処理した動物(S)で顕著に減少した。
【0343】
実施例18
オートファジーとリソソーム分解経路のメディエータに対するST101の効果
多くの研究は、アルツハイマー病におけるオートファジーとリソソーム分解の欠陥に関連している(総説については、Shacka等, Front Biosci. 13: 718-36 (2008)を参照されたい)。アミロイド生成におけるこれらの経路の役割を支持する具体的な観察結果は、APPとBACE中のリソソーム標的化配列の存在を含む(Koh等, J Biol. Chem. 280(37): 32499-504 (2005), Thinakaran等, J Biol Chem. 283(44):296l5-9 (2008))。
【0344】
これらの経路、具体的にはLC3、ベクリン1(マクロオートファジー)、LAMP2A(シャペロン介在オートファジー)、及びカテプシンD(リソソームプロテアーゼ)に関与する幾つかのタンパク質の濃度を実施例15−17に用いたものと同一の動物の3xTg−ADマウス脳抽出液(図18)のウェスタンブロットにより測定した。
【0345】
図18のウェスタンブロット解析は、ST101で処理した動物(S)とコントロールの動物(C)間で明確な差異はなく、マクロオートファジー経路、LAMP2Aの制御とカテプシンDの活性は、ユビキチン化タンパク質を減少させるST101の機能の決定因子ではないことを示唆する。
【0346】
APPプロセシングと分解産物(sAPPベータ、C99、C83、Aβ1−40、Aβ1−42)の減少に加えて、ST101はタウタンパク質、プロADAM10、BACE1、ハンチンチン、及びα−チューブリン高分子量ラダーの顕著な減少を示した。
【0347】
ユビキチン化タンパク質の減少は、全てのタンパク質ではないが、タンパク質の種々の群に対するST101の効果を説明する共通の機構を提供する。ユビキチン化タンパク質は、リソソームとプロテアソームの双方による分解を標的化する。文献の報告は、タウ、BACE、ハンチンチンとチューブリンがUPS分解を受けることを示す。(Babu等, J. Neurochem. 94: 192-203 (2005); Quing等, FASEB J. 18:1571-3 (2004); Yang等, Exp Cell Res. 313(3):538-50 (2007); and Ren等, J. Neurosci. 23(8):33l6-24 (2003))。ADAM−10分解に対する具体的な報告は見出されなかったが、他の関連の「シェダーゼ」はユビキチン化される。
【0348】
ST101は、遊離のユビキチンのレベルの顕著な変化なしに、ユビキチン化タンパク質の量を減少させた。このことは、ST101がリソソーム及び/又はプロテアソームによるユビキチン化タンパク質の分解を増加し得ることを示唆する。実験的な追跡のための明確な次の過程は、ST101を用いた処理後のプロテアソーム機能の直接的な測定であろう。
【0349】
減少したユビキチン化タンパク質についての代替の説明は、ユビキチン化活性の阻害であろう。しかし、(1)最終結果は、タウ、BACE、ADAM10等のレベルが減少するよりもむしろ増加するはずであり;(2)遊離のユビキチンレベルは、不変ではなく増加するはずであり;そして(3)UPSの阻害は毒性のはずであるので、これは他の利用可能なデータに適合しない。例えば、ベルケードのようなプロテアソーム阻害剤は非常に毒性がある。対照的に、ST101は高投与量における慢性毒性実験と、この系の撹乱が深刻な発生結果となる生殖毒性試験において殆ど毒性を示さなかった。
【0350】
ST101は、複数のタンパク質のプロセシングの変化と、学習と記憶における改善と組み合わさって、ユビキチン化タンパク質濃度を劇的に減少させるこれまでに発見されたもののうちで、最初の低分子薬剤である。ここに記載した発見は、低分子が、特にユビキチンプロテアソーム経路を介してタンパク質分解を増加し得ることを示す。このように、ここに記載した化合物は、ユビキチン化タンパク質の減少から恩恵を受けるであろう広範な疾患の治療に有用であることが期待される。
【0351】
ここに記載した見解と併せて、これらの結果は、AβとsAPP−βの減少の間接的な機構:ST101はBACEの減少に至り、減少したBACEのレベルはAβの産生の減少に至ることを示唆する。
【0352】
しかし、更に、特に、ユビキチンの存在がAβプラーク中に見出されたので、Aβのユビキチン化が起こり得ることを排除することはできない。
【0353】
複数のユビキチンリガーゼとその活性化及び結合酵素を伴い、ユビキチン化系は非常に複雑である。ST101の分子標的が、ユビキチン化レベルであるか、又はリソソーム若しくはプロテアソームレベルにおける上流若しくは下流であるかは現在までに明らかではない。ST101が、リソソーム又はプロテアソーム機能の一般的なエンハンサーとして機能するか否か、タンパク質のより選択的なサブセットのタンパク質分解を増加するか否か、又はその他の経路を介したタンパク質分解をまた増加するか否かを確認するためには、更なる研究が必要である。しかし、ユビキチン/プロテアソーム経路の加速におけるST101の明らかな効果は、低分子薬剤を用いて以前に全く観察されなかった前例のない薬理活性であることは明らかである。
【0354】
UPSに対するST101の効果は、学習と記憶のモデルにおける効果と関連し得る。ST101は、長期増強(LTP)の増加における効能(Han等, J. Pharmacol. Exp. Ther. 326(1): 127-34 (2008))だけでなく、学習と記憶の多数のモデル(Yamaguchi等, J Pharmacol Exp Ther. 317(3):1079-87 (2006); Ito等, J. Pharmacol. Exp. Ther. 320(2): 819-27 (2007))において効能を示した。これらの研究は直接的なAβ投与によって誘起される学習と記憶の異常を含んだ。近年の刊行物には、ユビキチンヒドロラーゼUch−L1の投与が、海馬切片におけるシナプス機能のAβが誘起する減少を逆転し、ADのマウスモデルにおける学習と記憶を改善することが記載されている(Gong等, Cell. 126(4): 775-88 (2006))。これらのデータは、機能の改善をUPSの改善された機能に関連づける。ST101は、ユビキチン化タンパク質の除去を増加する。この機構は、Yamaguchi等、Ito等及びHan等によって説明されたモデルの少なくとも幾つかにおける機能改善に対する説明を提供する。
【0355】
ST101は、その他の疾患の治療又は予防に使用され得る。ST101によって誘起されるユビキチン化タンパク質の増加又は加速された除去は、ADにおいてだけでなく、その他の多くの疾患においても有用であり得る(総説については、Dahlmann等, 2007を参照されたい)。多数の疾患は、その多くが封入小体中に、若しくは細胞外沈着物として蓄積する、ミスフォールドしたタンパク質、毒性のタンパク質又は毒性の分解産物の蓄積によって特徴付けられる:アルツハイマー病:Aβ斑とタウ神経原線維変化;パーキンソン病(α−シヌクレインを伴うレビー小体)、ハンチントン病(ハンチンチンの凝集)とプリオン病(ミスフォールドしたPrP変異体)。全てのこれらの疾患において、UPSが関与している(Ross等, Trends CeIl Biol. 14(12): 703-11 (2004); Bennett等, Nature 448(7154): 704-8 (2007); Lauren等, Nature 457(7233): 1128-32 (2009))。
【0356】
ST101によって誘起されるユビキチン化タンパク質の分解の増加は、例えば、白内障、2型糖尿病及び骨のパジェット病のような、多数の他の疾患において使用され得る。ミスフォールドしたクリスタリンの蓄積は、老人性白内障(Stiuso等, FEBS Lett. 531(2): 162-7 (2002))の発生の原因である。膵島アミロイドポリペプチド(IAPP)は、膵臓のβ細胞においてアミロイドを形成する(Huang等, Am J Physiol Endocrinol Metab. 293(6): E1656-62 (2007))。タンパク質p62のユビキチン関連ドメインの変異は、破骨細胞機能が減少することによって特徴付けられる骨のパジェット病に至る(Layfield等, Biochem Soc Trans. 36(Pt 3): 469-71 (2008))。
【0357】
ST101はまたタンパク質代謝回転の増加を伴う疾患において有用であり得る。例えば、脳卒中又は外傷において、特に外傷性脳損傷において、損傷した細胞から大量のタンパク質を除去し、分解しなければならない。外傷性脳損傷の場合、APPは修復過程において上方制御され、Aβの産生の増加に至る(Loane等, 2009)。外傷性脳損傷は、アルツハイマー病(ボクサー痴呆)の発生の危険因子として知られている。このように、ST101は、2つの方法:損傷した及び/又は欠陥のあるタンパク質の除去を増加し得、タンパク質プロセシングの間に発生する有害な副産物の蓄積を阻害し得る、で有用であると証明され得る。
【0358】
減少したプロテアソームの活性が、通常の加齢過程に関連すると考えられている。ST101は、老化促進モデル(SAM−P8マウス)において試験された。16及び32週に処理した2つの独立した実験において、ST101で処理したマウスは、コントロールマウスに比較して老化スコアの顕著な改善を示した。これらの結果は、国際公開第2008/047952号として公開された、国際特許出願番号PCT/JP2007/070963の図5に示されている。国際公開第2008/047952号のデータは、ST101がSAM−P8マウスにおける老化スコアを顕著に減少させることを示す。ST101が誘起するユビキチン−プロテアソーム系によるタンパク質の除去の増加は、改善した老化スコアの可能性のある説明を提供する。
【0359】
ST101は、恐らくは、蓄積した及び/又は損傷したタンパク質をより効率的に分解することによって、ユビキチン化タンパク質の量を劇的に減少させる。この発見は、ST101によるBACEとAβの減少についての説明を提供し、ADのマウスモデルにおけるST101の効能の基礎であろう。この機構は、ADに特異的ではない。このように、ST101は、UPSが関連する多数の他の疾患において、治療的に有用である可能性を有する。ST101は、たとえ非ハンチントン病モデルにおいても、ハンチンチンタンパク質の濃度を減少させることは既に示されている。したがって、ST101は、ハンチントン病において治療的に有用であり得る。他の疾患標的は、パーキンソン病とプリオン病、脳卒中、外傷性脳損傷のような神経変性疾患、並びに2型糖尿病、白内障、骨のパジェット病及び多くの他の非CNS疾患を含む。ST101はまた通常の加齢過程における効果を有する。
【0360】
ST101は、タンパク質プロセシング経路における劇的な変化と、学習と記憶の改善に同等に結びつくユビキチンプロテアソーム系の活性の増加に関連し、ユビキチン化タンパク質の濃度を劇的に減少させるこれまでに発見されたもののうちで、最初の低分子薬剤である。この発見は、これらの活性が低分子薬剤を用いた疾患の治療のための新規な標的であることを示す。
【0361】
実施例19
カニクイザルの脳組織におけるAPPプロセシングとAベータ産生に対するST101の効果
以前に記載した実施例は、3xTg−ADマウス及び正常の子カニクイザルの6ヶ月の毒性試験の終わりにおけるST101の効果を示した。このような効果は、9ヶ月の慢性毒性試験の結果で得られるカニクイザルの脳サンプルを用いて確認された。
【0362】
オスのカニクイザルを、一日一度薬剤の口頭投与によって、0、10、30又は100mg/kg/日のST101で9ヶ月間処理した。海馬脳サンプルを、APP断片とAβについて、ウェスタンブロットとELSIAにおいて解析した。図19A:C末端APP抗体1565−1(エピトミクス)を用いたAPPのウェスタンブロット解析は、30と100mg/kg/日の群においてC83とC99の双方において減少を示すが、10mg/kg/日の群では差異は示さなかった。55kDaまでの断片の減少はまたこれらの群の処理においてまた観察された。黒色の輪郭は、アドビのフォトショップCS4における、弱いシグナルを可視化しやすくすための、イメージレベルの増強を示す。図19B:海馬溶解物のサンドイッチELISA測定は、10mg/kg/日のST101の群におけるAβ42の顕著な増加を示したが、30と100mg/kg/日のST101の群の双方で顕著な減少を示した。図19C:海馬脳サンプルのウェスタンブロット解析は、BACE又はADAM10の何れにおいても、100mg/kg/日の群で差異を示さない。しかし、長期の露出は、処理したサル(抗体CT20、カルビオケム)においてのみ、17kDaのAPP断片の存在を示す。この断片は、30又は10mg/kg/日のST101の何れの群でも検出されなかった。エラーバーは、SEM(平均の標準誤差)を示し、*はコントロールに対する統計的な有意さを示す(p<0.05)。(S:ST101で処理した動物、対C:コントロールの動物)。
【0363】
カニクイザルにおけるこれらの結果は、3xTg−ADマウスにおいて観察されたAPP断片とAベータに対するST101の効果を確認する。このことは、ST101が霊長類において活性を有し、記載される効果を発揮するために霊長類の脳に浸透する能力を有することを示す。
【0364】
3xTg−ADマウスとカニクイザルの間でST101の効果に幾つかの差異がある。特に、3xTg−ADマウスとは対照的に、サルにおいてはBACEとADAM−10に対して効果は検出されなかった。これらの差異は、代謝における種の差異、脳への浸透の差異、正常カニクイザルの子の状態に対するトランスジェニックマウスの成体の状態、サルにおけるAPPとAベータの低発現レベルに対するトランスジェニックマウスにおける高レベル、ST101の投与量の差異、脳領域の差異(マウスの大脳皮質対サルの海馬)、又は投与量における差異(マウス:飲料水中の継続投与;サルの口頭栄養補給による一日一度の投与)に起因し得る。
【0365】
このサルの実験において観察されたBACEとADAM−10に対するST101の効果の欠如は、トランスジェニックマウスで観察された効果と対照的である(実施例10)。このことは、BACEとADAM−10に対する効果が、ST101がAベータの産生を低下するために必要であり得ないことを示す。むしろ、実施例15、16及びその他に記載されるタンパク質のユビキチン化とタンパク質分解に対するST101のより一般的な効果が、変化したAPPプロセシングとAベータ産生の減少の主要な原因であり得る。
【0366】
実施例20
カニクイザルの脳組織のアセチル化アルファチューブリンとベータチューブリンに対するST101の効果
実施例16は3xTg−ADマウスにおけるアルファチューブリンユビキチン化とアセチル化アルファチューブリン分解に対するST101の効果を示す。チューブリンに対する効果は、実施例19に記載されるカニクイザルの群で確認された。
【0367】
海馬脳サンプルのウェスタンブロットは、(アセチル化α−チューブリン抗体を採用した)図20A及び(ベータチューブリン抗体を採用した)20Bにおけるパターンを示した。
【0368】
図20Aは、コントロール(C)動物に対するST101で処理した動物(S)におけるアセチル化アルファチューブリン断片の減少を示す。図20Bは、ST101で処理後のベータチューブリン断片分解産物の増加を示す。
【0369】
これらのデータは、ST101がマウスとカニクイザルの双方においてタンパク質分解に対する一般的な効果を有することを示す。
【0370】
実施例21
正常マウスにおけるユビキチン化タンパク質のレベルに対するST101の効果
実施例15に示した3xTg−ADマウスにおいて観察されたタンパク質ユビキチン化に対するST101の効果が正常マウスにおいても観察され得るか否かを調べるために、C57/B6野生型マウスをST101で処理した。
【0371】
2ヶ月間に渡り、飲料水中の5/mg/kg/日のST101で処理した2月齢のC57/B6野生型マウスの脳抽出液を抗ユビキチン抗体(ダコ番号Z0448)を用いてウェスタンブロットで解析した。ST101で処理したサンプル(S)をコントロール(C)の脳サンプルと比較して、ユビキチン化タンパク質の穏やかな減少を示す結果を図21Aに示す。図21Bは、ベータアクチンシグナル(ローディングコントロール)に対して規格化後の任意単位の測定(平均+/−SEM)による図21Aのウェスタンブロットシグナルの定量を示す。
【0372】
実施例22
プロテアソームサブユニットのレベルに対するST101の効果
ユビキチン化タンパク質を減少させるST101の効果は、ユビキチン化タンパク質の除去を加速するプロテアソーム活性の増加によるものであり得る。このように、可能性のあるST101の作用機序の一つは、複数のサブユニットからなるプロテアソームの集合又は組成に対する直接的な効果である。
【0373】
2ヶ月間に渡り、飲料水中の5/mg/kg/日のST101で処理した、12月齢の3xTg−ADマウス(実施例15に記載)の脳抽出液を、抗プロテアソームアルファ−サブユニット抗体を用いてウェスタンブロットで解析した。
【0374】
図22はST101で処理した動物(S)及びコントロールの動物(C)の脳抽出液中のプロテアソームアルファサブユニットを示す。プロテアソームアルファサブユニットの濃度の差異は明らかではない。しかし、ST101の処理後、高分子量免疫反応性バンドが明確に減少している。これらのバンドがプロテアソームアルファ−サブユニット抗体と反応するので、それらは、他のサブユニットとアルファ−サブユニットの複合体を表し得る。2個の他のプロテアソームサブユニット(ベータ2i及び5i)に対する抗体は、ST101の処理後変化しなかった。
【0375】
実施例23
APP−AICD断片に対するST101の効果
ガンマ−セクレターゼによるAPPのプロセシングはAICD断片(図6に概略的に示したAPP細胞内ドメイン)と呼ばれる付加的なC末端断片の生成につながる。一旦、ガンマ−セクレターゼによって生成されると、AICD断片は、それが転写活性剤として機能する核に輸送され得る。AICD媒介トランス活性化の生物学的な役割は、明確ではないが、ガンマ−セクレターゼ阻害剤による産物の抑制は、副作用を与え得ることが提唱されている。このように、ST101が、AICD断片の産生に影響を与えるか否かを調べた。
【0376】
2ヶ月間に渡り、飲料水中の5/mg/kg/日のST101(S)で処理した12月齢の3xTg−ADマウスの脳抽出液を、C末端APP抗体(CT−20カルビオケム)を用いてウェスタンブロットにおいて解析した。結果を図23に示す。AICD断片は、ST101で処理したマウス(S)の脳抽出液では見えるが、コントロールマウス(C)では見えない。
【0377】
これらのデータは、AICD断片の産生が減少せず、むしろST101を用いた処理によって増加することを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I):

を有する複素環式化合物又はその薬学的に許容可能な塩、水和物又はプロドラッグのそれを必要とする被験者中のユビキチン化タンパク質のレベルを減少させる際の使用であって、
ここで、
はメチル又は存在せず;
とRはそれぞれ、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アミノ基、アセチルアミノ基、ベンジルアミノ基、トリフルオロメチル基、C-Cアルキル基、C-Cアルコキシ基、C-Cアルケニル、C-Cシクロアルキル、ベンジルオキシ、CH-R、及び-O-(CH-Rからなる群から独立して選択される一以上の官能基であり;
とRはそれぞれ、
(i)水素原子、C-Cアルキル基、C-Cアルケニル、C-Cシクロアルキル基、CH-R、及び-CH(R)-Rからなる群から独立して選択される一以上の官能基であるか;又は
(ii)RとRは一緒になって式(IV)のスピロ環を形成し:
(IV)

[上式中、
Bは一般式(V)
(V)

を有する構造単位から選択される一以上の構造単位であり得、
構造単位Bは式(V)中*によって示される位置に結合する]
のスピロ環を形成し;及び
はC-Cアルキル、ハロゲン原子又はシアノで置換されていてもよいナフチル;チエニル;又はフェニルであり;
6はビニル基、C-Cシクロアルキル基、又はフェニル基であり、及びnは0又は1であり;
はビニル基;エチニル基;C-Cアルキル基、C-Cアルコキシ基、ヒドロキシ基、1又は2個のハロゲン原子、ジC-Cアルキルアミノ基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシ基、又はフェニル基で選択的に置換されるフェニル基;フェネチル基;ピリジル基;チエニル基;及びフリル基からなる群から選択される一以上の官能基であり;
は水素原子又はC-Cアルキル基であり;及び
は水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、C-Cアルコキシ基、シアノ基、及びトリフルオロメチル基からなる群から選択される一以上の官能基である使用。
【請求項2】
一般式(I):

を有する複素環式化合物又はその薬学的に許容可能な塩、水和物又はプロドラッグのそれを必要とする被験者中の有害タンパク質の除去及び分解を増加させる際の使用であって、
ここで、
はメチル又は存在せず;
とRはそれぞれ、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アミノ基、アセチルアミノ基、ベンジルアミノ基、トリフルオロメチル基、C-Cアルキル基、C-Cアルコキシ基、C-Cアルケニル、C-Cシクロアルキル、ベンジルオキシ、CH-R、及び-O-(CH-Rからなる群から独立して選択される一以上の官能基であり;
とRはそれぞれ、
(i)水素原子、C-Cアルキル基、C-Cアルケニル、C-Cシクロアルキル基、CH-R、及び-CH(R)-Rからなる群から独立して選択される一以上の官能基であるか;又は
(ii)RとRは一緒になって式(IV)のスピロ環を形成し:
(IV)

[上式中、
Bは一般式(V)
(V)

を有する構造単位から選択される一以上の構造単位であり得、
構造単位Bは式(V)中*によって示される位置に結合する]
のスピロ環を形成し;及び
はC-Cアルキル、ハロゲン原子又はシアノで置換されていてもよいナフチル;チエニル;又はフェニルであり;
6はビニル基、C-Cシクロアルキル基、又はフェニル基であり、及びnは0又は1であり;
はビニル基;エチニル基;C-Cアルキル基、C-Cアルコキシ基、ヒドロキシ基、1又は2個のハロゲン原子、ジC-Cアルキルアミノ基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシ基、又はフェニル基で選択的に置換されるフェニル基;フェネチル基;ピリジル基;チエニル基;及びフリル基からなる群から選択される一以上の官能基であり;
は水素原子又はC-Cアルキル基であり;及び
は水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、C-Cアルコキシ基、シアノ基、及びトリフルオロメチル基からなる群から選択される一以上の官能基である使用。
【請求項3】
一般式(I):

を有する複素環式化合物又はその薬学的に許容可能な塩、水和物又はプロドラッグのそれを必要とする被験者中の蓄積した及び/又は有害タンパク質のプロテアソーム分解を増加させる際の使用であって、
ここで、
はメチル又は存在せず;
とRはそれぞれ、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アミノ基、アセチルアミノ基、ベンジルアミノ基、トリフルオロメチル基、C-Cアルキル基、C-Cアルコキシ基、C-Cアルケニル、C-Cシクロアルキル、ベンジルオキシ、CH-R、及び-O-(CH-Rからなる群から独立して選択される一以上の官能基であり;
とRはそれぞれ、
(i)水素原子、C-Cアルキル基、C-Cアルケニル、C-Cシクロアルキル基、CH-R、及び-CH(R)-Rからなる群から独立して選択される一以上の官能基であるか;又は
(ii)RとRは一緒になって式(IV)のスピロ環を形成し:
(IV)

[上式中、
Bは一般式(V)
(V)

を有する構造単位から選択される一以上の構造単位であり得、
構造単位Bは式(V)中*によって示される位置に結合する]
のスピロ環を形成し;及び
はC-Cアルキル、ハロゲン原子又はシアノで置換されていてもよいナフチル;チエニル;又はフェニルであり;
6はビニル基、C-Cシクロアルキル基、又はフェニル基であり、及びnは0又は1であり;
はビニル基;エチニル基;C-Cアルキル基、C-Cアルコキシ基、ヒドロキシ基、1又は2個のハロゲン原子、ジC-Cアルキルアミノ基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシ基、又はフェニル基で選択的に置換されるフェニル基;フェネチル基;ピリジル基;チエニル基;及びフリル基からなる群から選択される一以上の官能基であり;
は水素原子又はC-Cアルキル基であり;及び
は水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、C-Cアルコキシ基、シアノ基、及びトリフルオロメチル基からなる群から選択される一以上の官能基である使用。
【請求項4】
一般式(I):

を有する複素環式化合物又はその薬学的に許容可能な塩、水和物又はプロドラッグのそれを必要とする被験者中のユビキチン−プロテアソーム系経路の活性を増加させる際の使用であって、
ここで、
はメチル又は存在せず;
とRはそれぞれ、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アミノ基、アセチルアミノ基、ベンジルアミノ基、トリフルオロメチル基、C-Cアルキル基、C-Cアルコキシ基、C-Cアルケニル、C-Cシクロアルキル、ベンジルオキシ、CH-R、及び-O-(CH-Rからなる群から独立して選択される一以上の官能基であり;
とRはそれぞれ、
(i)水素原子、C-Cアルキル基、C-Cアルケニル、C-Cシクロアルキル基、CH-R、及び-CH(R)-Rからなる群から独立して選択される一以上の官能基であるか;又は
(ii)RとRは一緒になって式(IV)のスピロ環を形成し:
(IV)

[上式中、
Bは一般式(V)
(V)

を有する構造単位から選択される一以上の構造単位であり得、
構造単位Bは式(V)中*によって示される位置に結合する]
のスピロ環を形成し;及び
はC-Cアルキル、ハロゲン原子又はシアノで置換されていてもよいナフチル;チエニル;又はフェニルであり;
6はビニル基、C-Cシクロアルキル基、又はフェニル基であり、及びnは0又は1であり;
はビニル基;エチニル基;C-Cアルキル基、C-Cアルコキシ基、ヒドロキシ基、1又は2個のハロゲン原子、ジC-Cアルキルアミノ基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシ基、又はフェニル基で選択的に置換されるフェニル基;フェネチル基;ピリジル基;チエニル基;及びフリル基からなる群から選択される一以上の官能基であり;
は水素原子又はC-Cアルキル基であり;及び
は水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、C-Cアルコキシ基、シアノ基、及びトリフルオロメチル基からなる群から選択される一以上の官能基である使用。
【請求項5】
一般式(I):

を有する複素環式化合物又はその薬学的に許容可能な塩、水和物又はプロドラッグのそれを必要とする被験者中の心機能不全の治療又は予防の際の使用であって、
ここで、
はメチル又は存在せず;
とRはそれぞれ、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アミノ基、アセチルアミノ基、ベンジルアミノ基、トリフルオロメチル基、C-Cアルキル基、C-Cアルコキシ基、C-Cアルケニル、C-Cシクロアルキル、ベンジルオキシ、CH-R、及び-O-(CH-Rからなる群から独立して選択される一以上の官能基であり;
とRはそれぞれ、
(i)水素原子、C-Cアルキル基、C-Cアルケニル、C-Cシクロアルキル基、CH-R、及び-CH(R)-Rからなる群から独立して選択される一以上の官能基であるか;又は
(ii)RとRは一緒になって式(IV)のスピロ環を形成し:
(IV)

[上式中、
Bは一般式(V)
(V)

を有する構造単位から選択される一以上の構造単位であり得、
構造単位Bは式(V)中*によって示される位置に結合する]
のスピロ環を形成し;及び
はC-Cアルキル、ハロゲン原子又はシアノで置換されていてもよいナフチル;チエニル;又はフェニルであり;
6はビニル基、C-Cシクロアルキル基、又はフェニル基であり、及びnは0又は1であり;
はビニル基;エチニル基;C-Cアルキル基、C-Cアルコキシ基、ヒドロキシ基、1又は2個のハロゲン原子、ジC-Cアルキルアミノ基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシ基、又はフェニル基で選択的に置換されるフェニル基;フェネチル基;ピリジル基;チエニル基;及びフリル基からなる群から選択される一以上の官能基であり;
は水素原子又はC-Cアルキル基であり;及び
は水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、C-Cアルコキシ基、シアノ基、及びトリフルオロメチル基からなる群から選択される一以上の官能基である使用。
【請求項6】
一般式(I):

を有する複素環式化合物又はその薬学的に許容可能な塩、水和物又はプロドラッグのそれを必要とする被験者中の球脊髄性筋萎縮症 (ケネディー病)の治療又は予防の際の使用であって、
ここで、
はメチル又は存在せず;
とRはそれぞれ、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アミノ基、アセチルアミノ基、ベンジルアミノ基、トリフルオロメチル基、C-Cアルキル基、C-Cアルコキシ基、C-Cアルケニル、C-Cシクロアルキル、ベンジルオキシ、CH-R、及び-O-(CH-Rからなる群から独立して選択される一以上の官能基であり;
とRはそれぞれ、
(i)水素原子、C-Cアルキル基、C-Cアルケニル、C-Cシクロアルキル基、CH-R、及び-CH(R)-Rからなる群から独立して選択される一以上の官能基であるか;又は
(ii)RとRは一緒になって式(IV)のスピロ環を形成し:
(IV)

[上式中、
Bは一般式(V)
(V)

を有する構造単位から選択される一以上の構造単位であり得、
構造単位Bは式(V)中*によって示される位置に結合する]
のスピロ環を形成し;及び
はC-Cアルキル、ハロゲン原子又はシアノで置換されていてもよいナフチル;チエニル;又はフェニルであり;
6はビニル基、C-Cシクロアルキル基、又はフェニル基であり、及びnは0又は1であり;
はビニル基;エチニル基;C-Cアルキル基、C-Cアルコキシ基、ヒドロキシ基、1又は2個のハロゲン原子、ジC-Cアルキルアミノ基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシ基、又はフェニル基で選択的に置換されるフェニル基;フェネチル基;ピリジル基;チエニル基;及びフリル基からなる群から選択される一以上の官能基であり;
は水素原子又はC-Cアルキル基であり;及び
は水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、C-Cアルコキシ基、シアノ基、及びトリフルオロメチル基からなる群から選択される一以上の官能基である使用。
【請求項7】
一般式(I):

を有する複素環式化合物又はその薬学的に許容可能な塩、水和物又はプロドラッグのそれを必要とする被験者中の歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症(ハウリバー症候群)の治療又は予防の際の使用であって、
ここで、
はメチル又は存在せず;
とRはそれぞれ、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アミノ基、アセチルアミノ基、ベンジルアミノ基、トリフルオロメチル基、C-Cアルキル基、C-Cアルコキシ基、C-Cアルケニル、C-Cシクロアルキル、ベンジルオキシ、CH-R、及び-O-(CH-Rからなる群から独立して選択される一以上の官能基であり;
とRはそれぞれ、
(i)水素原子、C-Cアルキル基、C-Cアルケニル、C-Cシクロアルキル基、CH-R、及び-CH(R)-Rからなる群から独立して選択される一以上の官能基であるか;又は
(ii)RとRは一緒になって式(IV)のスピロ環を形成し:
(IV)

[上式中、
Bは一般式(V)
(V)

を有する構造単位から選択される一以上の構造単位であり得、
構造単位Bは式(V)中*によって示される位置に結合する]
のスピロ環を形成し;及び
はC-Cアルキル、ハロゲン原子又はシアノで置換されていてもよいナフチル;チエニル;又はフェニルであり;
6はビニル基、C-Cシクロアルキル基、又はフェニル基であり、及びnは0又は1であり;
はビニル基;エチニル基;C-Cアルキル基、C-Cアルコキシ基、ヒドロキシ基、1又は2個のハロゲン原子、ジC-Cアルキルアミノ基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシ基、又はフェニル基で選択的に置換されるフェニル基;フェネチル基;ピリジル基;チエニル基;及びフリル基からなる群から選択される一以上の官能基であり;
は水素原子又はC-Cアルキル基であり;及び
は水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、C-Cアルコキシ基、シアノ基、及びトリフルオロメチル基からなる群から選択される一以上の官能基である使用。
【請求項8】
一般式(I):

を有する複素環式化合物又はその薬学的に許容可能な塩、水和物又はプロドラッグのそれを必要とする被験者中の脊髄小脳変性症の治療又は予防の際の使用であって、
ここで、
はメチル又は存在せず;
とRはそれぞれ、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アミノ基、アセチルアミノ基、ベンジルアミノ基、トリフルオロメチル基、C-Cアルキル基、C-Cアルコキシ基、C-Cアルケニル、C-Cシクロアルキル、ベンジルオキシ、CH-R、及び-O-(CH-Rからなる群から独立して選択される一以上の官能基であり;
とRはそれぞれ、
(i)水素原子、C-Cアルキル基、C-Cアルケニル、C-Cシクロアルキル基、CH-R、及び-CH(R)-Rからなる群から独立して選択される一以上の官能基であるか;又は
(ii)RとRは一緒になって式(IV)のスピロ環を形成し:
(IV)

[上式中、
Bは一般式(V)
(V)

を有する構造単位から選択される一以上の構造単位であり得、
構造単位Bは式(V)中*によって示される位置に結合する]
のスピロ環を形成し;及び
はC-Cアルキル、ハロゲン原子又はシアノで置換されていてもよいナフチル;チエニル;又はフェニルであり;
6はビニル基、C-Cシクロアルキル基、又はフェニル基であり、及びnは0又は1であり;
はビニル基;エチニル基;C-Cアルキル基、C-Cアルコキシ基、ヒドロキシ基、1又は2個のハロゲン原子、ジC-Cアルキルアミノ基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシ基、又はフェニル基で選択的に置換されるフェニル基;フェネチル基;ピリジル基;チエニル基;及びフリル基からなる群から選択される一以上の官能基であり;
は水素原子又はC-Cアルキル基であり;及び
は水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、C-Cアルコキシ基、シアノ基、及びトリフルオロメチル基からなる群から選択される一以上の官能基である使用。
【請求項9】
一般式(I):

を有する複素環式化合物又はその薬学的に許容可能な塩、水和物又はプロドラッグのそれを必要とする被験者中の黄斑変性の治療又は予防の際の使用であって、
ここで、
はメチル又は存在せず;
とRはそれぞれ、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アミノ基、アセチルアミノ基、ベンジルアミノ基、トリフルオロメチル基、C-Cアルキル基、C-Cアルコキシ基、C-Cアルケニル、C-Cシクロアルキル、ベンジルオキシ、CH-R、及び-O-(CH-Rからなる群から独立して選択される一以上の官能基であり;
とRはそれぞれ、
(i)水素原子、C-Cアルキル基、C-Cアルケニル、C-Cシクロアルキル基、CH-R、及び-CH(R)-Rからなる群から独立して選択される一以上の官能基であるか;又は
(ii)RとRは一緒になって式(IV)のスピロ環を形成し:
(IV)

[上式中、
Bは一般式(V)
(V)

を有する構造単位から選択される一以上の構造単位であり得、
構造単位Bは式(V)中*によって示される位置に結合する]
のスピロ環を形成し;及び
はC-Cアルキル、ハロゲン原子又はシアノで置換されていてもよいナフチル;チエニル;又はフェニルであり;
6はビニル基、C-Cシクロアルキル基、又はフェニル基であり、及びnは0又は1であり;
はビニル基;エチニル基;C-Cアルキル基、C-Cアルコキシ基、ヒドロキシ基、1又は2個のハロゲン原子、ジC-Cアルキルアミノ基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシ基、又はフェニル基で選択的に置換されるフェニル基;フェネチル基;ピリジル基;チエニル基;及びフリル基からなる群から選択される一以上の官能基であり;
は水素原子又はC-Cアルキル基であり;及び
は水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、C-Cアルコキシ基、シアノ基、及びトリフルオロメチル基からなる群から選択される一以上の官能基である使用。
【請求項10】
一般式(I):

を有する複素環式化合物ではない化合物又はその薬学的に許容可能な塩、水和物又はプロドラッグのそれを必要とする被験者中のユビキチン化タンパク質のレベルを減少させる際の使用であって、
ここで、
はメチル又は存在せず;
とRはそれぞれ、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アミノ基、アセチルアミノ基、ベンジルアミノ基、トリフルオロメチル基、C-Cアルキル基、C-Cアルコキシ基、C-Cアルケニル、C-Cシクロアルキル、ベンジルオキシ、CH-R、及び-O-(CH-Rからなる群から独立して選択される一以上の官能基であり;
とRはそれぞれ、
(i)水素原子、C-Cアルキル基、C-Cアルケニル、C-Cシクロアルキル基、CH-R、及び-CH(R)-Rからなる群から独立して選択される一以上の官能基であるか;又は
(ii)RとRは一緒になって式(IV)のスピロ環を形成し:
(IV)

[上式中、
Bは一般式(V)
(V)

を有する構造単位から選択される一以上の構造単位であり得、
構造単位Bは式(V)中*によって示される位置に結合する]
のスピロ環を形成し;及び
はC-Cアルキル、ハロゲン原子又はシアノで置換されていてもよいナフチル;チエニル;又はフェニルであり;
6はビニル基、C-Cシクロアルキル基、又はフェニル基であり、及びnは0又は1であり;
はビニル基;エチニル基;C-Cアルキル基、C-Cアルコキシ基、ヒドロキシ基、1又は2個のハロゲン原子、ジC-Cアルキルアミノ基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシ基、又はフェニル基で選択的に置換されるフェニル基;フェネチル基;ピリジル基;チエニル基;及びフリル基からなる群から選択される一以上の官能基であり;
は水素原子又はC-Cアルキル基であり;及び
は水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、C-Cアルコキシ基、シアノ基、及びトリフルオロメチル基からなる群から選択される一以上の官能基であり、
前記化合物がユビキチンヒドロラーゼではない使用。
【請求項11】
一般式(I):

を有する複素環式化合物ではない化合物又はその薬学的に許容可能な塩、水和物又はプロドラッグのそれを必要とする被験者中の有害タンパク質の除去及び分解を増加させる際の使用であって、
ここで、
はメチル又は存在せず;
とRはそれぞれ、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アミノ基、アセチルアミノ基、ベンジルアミノ基、トリフルオロメチル基、C-Cアルキル基、C-Cアルコキシ基、C-Cアルケニル、C-Cシクロアルキル、ベンジルオキシ、CH-R、及び-O-(CH-Rからなる群から独立して選択される一以上の官能基であり;
とRはそれぞれ、
(i)水素原子、C-Cアルキル基、C-Cアルケニル、C-Cシクロアルキル基、CH-R、及び-CH(R)-Rからなる群から独立して選択される一以上の官能基であるか;又は
(ii)RとRは一緒になって式(IV)のスピロ環を形成し:
(IV)

[上式中、
Bは一般式(V)
(V)

を有する構造単位から選択される一以上の構造単位であり得、
構造単位Bは式(V)中*によって示される位置に結合する]
のスピロ環を形成し;及び
はC-Cアルキル、ハロゲン原子又はシアノで置換されていてもよいナフチル;チエニル;又はフェニルであり;
6はビニル基、C-Cシクロアルキル基、又はフェニル基であり、及びnは0又は1であり;
はビニル基;エチニル基;C-Cアルキル基、C-Cアルコキシ基、ヒドロキシ基、1又は2個のハロゲン原子、ジC-Cアルキルアミノ基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシ基、又はフェニル基で選択的に置換されるフェニル基;フェネチル基;ピリジル基;チエニル基;及びフリル基からなる群から選択される一以上の官能基であり;
は水素原子又はC-Cアルキル基であり;及び
は水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、C-Cアルコキシ基、シアノ基、及びトリフルオロメチル基からなる群から選択される一以上の官能基であり、
前記化合物がユビキチンヒドロラーゼではない使用。
【請求項12】
一般式(I):

を有する複素環式化合物ではない化合物又はその薬学的に許容可能な塩、水和物又はプロドラッグのそれを必要とする被験者中の蓄積した及び/又は有害タンパク質のプロテアソーム分解を増加させる際の使用であって、
ここで、
はメチル又は存在せず;
とRはそれぞれ、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アミノ基、アセチルアミノ基、ベンジルアミノ基、トリフルオロメチル基、C-Cアルキル基、C-Cアルコキシ基、C-Cアルケニル、C-Cシクロアルキル、ベンジルオキシ、CH-R、及び-O-(CH-Rからなる群から独立して選択される一以上の官能基であり;
とRはそれぞれ、
(i)水素原子、C-Cアルキル基、C-Cアルケニル、C-Cシクロアルキル基、CH-R、及び-CH(R)-Rからなる群から独立して選択される一以上の官能基であるか;又は
(ii)RとRは一緒になって式(IV)のスピロ環を形成し:
(IV)

[上式中、
Bは一般式(V)
(V)

を有する構造単位から選択される一以上の構造単位であり得、
構造単位Bは式(V)中*によって示される位置に結合する]
のスピロ環を形成し;及び
はC-Cアルキル、ハロゲン原子又はシアノで置換されていてもよいナフチル;チエニル;又はフェニルであり;
6はビニル基、C-Cシクロアルキル基、又はフェニル基であり、及びnは0又は1であり;
はビニル基;エチニル基;C-Cアルキル基、C-Cアルコキシ基、ヒドロキシ基、1又は2個のハロゲン原子、ジC-Cアルキルアミノ基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシ基、又はフェニル基で選択的に置換されるフェニル基;フェネチル基;ピリジル基;チエニル基;及びフリル基からなる群から選択される一以上の官能基であり;
は水素原子又はC-Cアルキル基であり;及び
は水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、C-Cアルコキシ基、シアノ基、及びトリフルオロメチル基からなる群から選択される一以上の官能基であり、
前記化合物がユビキチンヒドロラーゼではない使用。
【請求項13】
一般式(I):

を有する複素環式化合物ではない化合物又はその薬学的に許容可能な塩、水和物又はプロドラッグのそれを必要とする被験者中のユビキチン−プロテアソーム系経路の活性を増加させる際の使用であって、
ここで、
はメチル又は存在せず;
とRはそれぞれ、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アミノ基、アセチルアミノ基、ベンジルアミノ基、トリフルオロメチル基、C-Cアルキル基、C-Cアルコキシ基、C-Cアルケニル、C-Cシクロアルキル、ベンジルオキシ、CH-R、及び-O-(CH-Rからなる群から独立して選択される一以上の官能基であり;
とRはそれぞれ、
(i)水素原子、C-Cアルキル基、C-Cアルケニル、C-Cシクロアルキル基、CH-R、及び-CH(R)-Rからなる群から独立して選択される一以上の官能基であるか;又は
(ii)RとRは一緒になって式(IV)のスピロ環を形成し:
(IV)

[上式中、
Bは一般式(V)
(V)

を有する構造単位から選択される一以上の構造単位であり得、
構造単位Bは式(V)中*によって示される位置に結合する]
のスピロ環を形成し;及び
はC-Cアルキル、ハロゲン原子又はシアノで置換されていてもよいナフチル;チエニル;又はフェニルであり;
6はビニル基、C-Cシクロアルキル基、又はフェニル基であり、及びnは0又は1であり;
はビニル基;エチニル基;C-Cアルキル基、C-Cアルコキシ基、ヒドロキシ基、1又は2個のハロゲン原子、ジC-Cアルキルアミノ基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシ基、又はフェニル基で選択的に置換されるフェニル基;フェネチル基;ピリジル基;チエニル基;及びフリル基からなる群から選択される一以上の官能基であり;
は水素原子又はC-Cアルキル基であり;及び
は水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、C-Cアルコキシ基、シアノ基、及びトリフルオロメチル基からなる群から選択される一以上の官能基であり、
前記化合物がユビキチンヒドロラーゼではない使用。
【請求項14】
ユビキチン化タンパク質のレベルを減少させる化合物のスクリーニング方法であって、前記方法が、
(a)ユビキチン化タンパク質を発現する細胞又は組織を試験化合物に曝し、
(b)前記細胞又は組織中のユビキチン化タンパク質の量を検出することを含み、
ここで、化合物に曝していない細胞又は組織中のユビキチン化タンパク質に対する、化合物に曝した細胞又は組織中のユビキチン化タンパク質の量の減少が、該化合物がユビキチン化タンパク質の量の減少させることを示す方法。
【請求項15】
一般式(I):

を有する複素環式化合物又はその薬学的に許容可能な塩、水和物又はプロドラッグのそれを必要とする被験者中の白内障の治療又は予防の際の使用であって、
ここで、
はメチル又は存在せず;
とRはそれぞれ、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アミノ基、アセチルアミノ基、ベンジルアミノ基、トリフルオロメチル基、C-Cアルキル基、C-Cアルコキシ基、C-Cアルケニル、C-Cシクロアルキル、ベンジルオキシ、CH-R、及び-O-(CH-Rからなる群から独立して選択される一以上の官能基であり;
とRはそれぞれ、
(i)水素原子、C-Cアルキル基、C-Cアルケニル、C-Cシクロアルキル基、CH-R、及び-CH(R)-Rからなる群から独立して選択される一以上の官能基であるか;又は
(ii)RとRは一緒になって式(IV)のスピロ環を形成し:
(IV)

[上式中、
Bは一般式(V)
(V)

を有する構造単位から選択される一以上の構造単位であり得、
構造単位Bは式(V)中*によって示される位置に結合する]
のスピロ環を形成し;及び
はC-Cアルキル、ハロゲン原子又はシアノで置換されていてもよいナフチル;チエニル;又はフェニルであり;
6はビニル基、C-Cシクロアルキル基、又はフェニル基であり、及びnは0又は1であり;
はビニル基;エチニル基;C-Cアルキル基、C-Cアルコキシ基、ヒドロキシ基、1又は2個のハロゲン原子、ジC-Cアルキルアミノ基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシ基、又はフェニル基で選択的に置換されるフェニル基;フェネチル基;ピリジル基;チエニル基;及びフリル基からなる群から選択される一以上の官能基であり;
は水素原子又はC-Cアルキル基であり;及び
は水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、C-Cアルコキシ基、シアノ基、及びトリフルオロメチル基からなる群から選択される一以上の官能基である使用。
【請求項16】
一般式(I):

を有する複素環式化合物又はその薬学的に許容可能な塩、水和物又はプロドラッグのそれを必要とする被験者中の2型糖尿病の治療又は予防の際の使用であって、
ここで、
はメチル又は存在せず;
とRはそれぞれ、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アミノ基、アセチルアミノ基、ベンジルアミノ基、トリフルオロメチル基、C-Cアルキル基、C-Cアルコキシ基、C-Cアルケニル、C-Cシクロアルキル、ベンジルオキシ、CH-R、及び-O-(CH-Rからなる群から独立して選択される一以上の官能基であり;
とRはそれぞれ、
(i)水素原子、C-Cアルキル基、C-Cアルケニル、C-Cシクロアルキル基、CH-R、及び-CH(R)-Rからなる群から独立して選択される一以上の官能基であるか;又は
(ii)RとRは一緒になって式(IV)のスピロ環を形成し:
(IV)

[上式中、
Bは一般式(V)
(V)

を有する構造単位から選択される一以上の構造単位であり得、
構造単位Bは式(V)中*によって示される位置に結合する]
のスピロ環を形成し;及び
はC-Cアルキル、ハロゲン原子又はシアノで置換されていてもよいナフチル;チエニル;又はフェニルであり;
6はビニル基、C-Cシクロアルキル基、又はフェニル基であり、及びnは0又は1であり;
はビニル基;エチニル基;C-Cアルキル基、C-Cアルコキシ基、ヒドロキシ基、1又は2個のハロゲン原子、ジC-Cアルキルアミノ基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシ基、又はフェニル基で選択的に置換されるフェニル基;フェネチル基;ピリジル基;チエニル基;及びフリル基からなる群から選択される一以上の官能基であり;
は水素原子又はC-Cアルキル基であり;及び
は水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、C-Cアルコキシ基、シアノ基、及びトリフルオロメチル基からなる群から選択される一以上の官能基である使用。
【請求項17】
一般式(I):

を有する複素環式化合物又はその薬学的に許容可能な塩、水和物又はプロドラッグのそれを必要とする被験者中のパジェット病の治療又は予防の際の使用であって、
ここで、
はメチル又は存在せず;
とRはそれぞれ、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アミノ基、アセチルアミノ基、ベンジルアミノ基、トリフルオロメチル基、C-Cアルキル基、C-Cアルコキシ基、C-Cアルケニル、C-Cシクロアルキル、ベンジルオキシ、CH-R、及び-O-(CH-Rからなる群から独立して選択される一以上の官能基であり;
とRはそれぞれ、
(i)水素原子、C-Cアルキル基、C-Cアルケニル、C-Cシクロアルキル基、CH-R、及び-CH(R)-Rからなる群から独立して選択される一以上の官能基であるか;又は
(ii)RとRは一緒になって式(IV)のスピロ環を形成し:
(IV)

[上式中、
Bは一般式(V)
(V)

を有する構造単位から選択される一以上の構造単位であり得、
構造単位Bは式(V)中*によって示される位置に結合する]
のスピロ環を形成し;及び
はC-Cアルキル、ハロゲン原子又はシアノで置換されていてもよいナフチル;チエニル;又はフェニルであり;
6はビニル基、C-Cシクロアルキル基、又はフェニル基であり、及びnは0又は1であり;
はビニル基;エチニル基;C-Cアルキル基、C-Cアルコキシ基、ヒドロキシ基、1又は2個のハロゲン原子、ジC-Cアルキルアミノ基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシ基、又はフェニル基で選択的に置換されるフェニル基;フェネチル基;ピリジル基;チエニル基;及びフリル基からなる群から選択される一以上の官能基であり;
は水素原子又はC-Cアルキル基であり;及び
は水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、C-Cアルコキシ基、シアノ基、及びトリフルオロメチル基からなる群から選択される一以上の官能基である使用。
【請求項18】
一般式(I):

を有する複素環式化合物又はその薬学的に許容可能な塩、水和物又はプロドラッグのそれを必要とする被験者中の外傷性脳損傷の治療の際の使用であって、
ここで、
はメチル又は存在せず;
とRはそれぞれ、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アミノ基、アセチルアミノ基、ベンジルアミノ基、トリフルオロメチル基、C-Cアルキル基、C-Cアルコキシ基、C-Cアルケニル、C-Cシクロアルキル、ベンジルオキシ、CH-R、及び-O-(CH-Rからなる群から独立して選択される一以上の官能基であり;
とRはそれぞれ、
(i)水素原子、C-Cアルキル基、C-Cアルケニル、C-Cシクロアルキル基、CH-R、及び-CH(R)-Rからなる群から独立して選択される一以上の官能基であるか;又は
(ii)RとRは一緒になって式(IV)のスピロ環を形成し:
(IV)

[上式中、
Bは一般式(V)
(V)

を有する構造単位から選択される一以上の構造単位であり得、
構造単位Bは式(V)中*によって示される位置に結合する]
のスピロ環を形成し;及び
はC-Cアルキル、ハロゲン原子又はシアノで置換されていてもよいナフチル;チエニル;又はフェニルであり;
6はビニル基、C-Cシクロアルキル基、又はフェニル基であり、及びnは0又は1であり;
はビニル基;エチニル基;C-Cアルキル基、C-Cアルコキシ基、ヒドロキシ基、1又は2個のハロゲン原子、ジC-Cアルキルアミノ基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシ基、又はフェニル基で選択的に置換されるフェニル基;フェネチル基;ピリジル基;チエニル基;及びフリル基からなる群から選択される一以上の官能基であり;
は水素原子又はC-Cアルキル基であり;及び
は水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、C-Cアルコキシ基、シアノ基、及びトリフルオロメチル基からなる群から選択される一以上の官能基である使用。
【請求項19】
一般式(I):

を有する複素環式化合物又はその薬学的に許容可能な塩、水和物又はプロドラッグのそれを必要とする被験者中の筋萎縮性側索硬化症の治療又は予防の際の使用であって、
ここで、
はメチル又は存在せず;
とRはそれぞれ、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アミノ基、アセチルアミノ基、ベンジルアミノ基、トリフルオロメチル基、C-Cアルキル基、C-Cアルコキシ基、C-Cアルケニル、C-Cシクロアルキル、ベンジルオキシ、CH-R、及び-O-(CH-Rからなる群から独立して選択される一以上の官能基であり;
とRはそれぞれ、
(i)水素原子、C-Cアルキル基、C-Cアルケニル、C-Cシクロアルキル基、CH-R、及び-CH(R)-Rからなる群から独立して選択される一以上の官能基であるか;又は
(ii)RとRは一緒になって式(IV)のスピロ環を形成し:
(IV)

[上式中、
Bは式(V)
(V)

を有する構造単位から選択される一以上の構造単位であり得、
構造単位Bは式(V)中*によって示される位置に結合する]
のスピロ環を形成し;及び
はC-Cアルキル、ハロゲン原子又はシアノで置換されていてもよいナフチル;チエニル;又はフェニルであり;
6はビニル基、C-Cシクロアルキル基、又はフェニル基であり、及びnは0又は1であり;
はビニル基;エチニル基;C-Cアルキル基、C-Cアルコキシ基、ヒドロキシ基、1又は2個のハロゲン原子、ジC-Cアルキルアミノ基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシ基、又はフェニル基で選択的に置換されるフェニル基;フェネチル基;ピリジル基;チエニル基;及びフリル基からなる群から選択される一以上の官能基であり;
は水素原子又はC-Cアルキル基であり;及び
は水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、C-Cアルコキシ基、シアノ基、及びトリフルオロメチル基からなる群から選択される一以上の官能基である使用。
【請求項20】
一般式(I):

を有する複素環式化合物又はその薬学的に許容可能な塩、水和物又はプロドラッグのそれを必要とする被験者中のレビー小体病の治療又は予防の際の使用であって、
ここで、
はメチル又は存在せず;
とRはそれぞれ、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アミノ基、アセチルアミノ基、ベンジルアミノ基、トリフルオロメチル基、C-Cアルキル基、C-Cアルコキシ基、C-Cアルケニル、C-Cシクロアルキル、ベンジルオキシ、CH-R、及び-O-(CH-Rからなる群から独立して選択される一以上の官能基であり;
とRはそれぞれ、
(i)水素原子、C-Cアルキル基、C-Cアルケニル、C-Cシクロアルキル基、CH-R、及び-CH(R)-Rからなる群から独立して選択される一以上の官能基であるか;又は
(ii)RとRは一緒になって式(IV)のスピロ環を形成し:
(IV)

[上式中、
Bは一般式(V)
(V)

を有する構造単位から選択される一以上の構造単位であり得、
構造単位Bは式(V)中*によって示される位置に結合する]
のスピロ環を形成し;及び
はC-Cアルキル、ハロゲン原子又はシアノで置換されていてもよいナフチル;チエニル;又はフェニルであり;
6はビニル基、C-Cシクロアルキル基、又はフェニル基であり、及びnは0又は1であり;
はビニル基;エチニル基;C-Cアルキル基、C-Cアルコキシ基、ヒドロキシ基、1又は2個のハロゲン原子、ジC-Cアルキルアミノ基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシ基、又はフェニル基で選択的に置換されるフェニル基;フェネチル基;ピリジル基;チエニル基;及びフリル基からなる群から選択される一以上の官能基であり;
は水素原子又はC-Cアルキル基であり;及び
は水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、C-Cアルコキシ基、シアノ基、及びトリフルオロメチル基からなる群から選択される一以上の官能基である使用。
【請求項21】
一般式(I):

を有する複素環式化合物又はその薬学的に許容可能な塩、水和物又はプロドラッグのそれを必要とする被験者中の前頭側頭型痴呆の治療又は予防の際の使用であって、
ここで、
はメチル又は存在せず;
とRはそれぞれ、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アミノ基、アセチルアミノ基、ベンジルアミノ基、トリフルオロメチル基、C-Cアルキル基、C-Cアルコキシ基、C-Cアルケニル、C-Cシクロアルキル、ベンジルオキシ、CH-R、及び-O-(CH-Rからなる群から独立して選択される一以上の官能基であり;
とRはそれぞれ、
(i)水素原子、C-Cアルキル基、C-Cアルケニル、C-Cシクロアルキル基、CH-R、及び-CH(R)-Rからなる群から独立して選択される一以上の官能基であるか;又は
(ii)RとRは一緒になって式(IV)のスピロ環を形成し:
(IV)

[上式中、
Bは一般式(V)
(V)

を有する構造単位から選択される一以上の構造単位であり得、
構造単位Bは式(V)中*によって示される位置に結合する]
のスピロ環を形成し;及び
はC-Cアルキル、ハロゲン原子又はシアノで置換されていてもよいナフチル;チエニル;又はフェニルであり;
6はビニル基、C-Cシクロアルキル基、又はフェニル基であり、及びnは0又は1であり;
はビニル基;エチニル基;C-Cアルキル基、C-Cアルコキシ基、ヒドロキシ基、1又は2個のハロゲン原子、ジC-Cアルキルアミノ基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシ基、又はフェニル基で選択的に置換されるフェニル基;フェネチル基;ピリジル基;チエニル基;及びフリル基からなる群から選択される一以上の官能基であり;
は水素原子又はC-Cアルキル基であり;及び
は水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、C-Cアルコキシ基、シアノ基、及びトリフルオロメチル基からなる群から選択される一以上の官能基である使用。
【請求項22】
一般式(I):

を有する複素環式化合物又はその薬学的に許容可能な塩、水和物又はプロドラッグのそれを必要とする被験者中の孤発性封入体筋炎の治療又は予防の際の使用であって、
ここで、
はメチル又は存在せず;
とRはそれぞれ、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アミノ基、アセチルアミノ基、ベンジルアミノ基、トリフルオロメチル基、C-Cアルキル基、C-Cアルコキシ基、C-Cアルケニル、C-Cシクロアルキル、ベンジルオキシ、CH-R、及び-O-(CH-Rからなる群から独立して選択される一以上の官能基であり;
とRはそれぞれ、
(i)水素原子、C-Cアルキル基、C-Cアルケニル、C-Cシクロアルキル基、CH-R、及び-CH(R)-Rからなる群から独立して選択される一以上の官能基であるか;又は
(ii)RとRは一緒になって式(IV)のスピロ環を形成し:
(IV)

[上式中、
Bは一般式(V)
(V)

を有する構造単位から選択される一以上の構造単位であり得、
構造単位Bは式(V)中*によって示される位置に結合する]
のスピロ環を形成し;及び
はC-Cアルキル、ハロゲン原子又はシアノで置換されていてもよいナフチル;チエニル;又はフェニルであり;
6はビニル基、C-Cシクロアルキル基、又はフェニル基であり、及びnは0又は1であり;
はビニル基;エチニル基;C-Cアルキル基、C-Cアルコキシ基、ヒドロキシ基、1又は2個のハロゲン原子、ジC-Cアルキルアミノ基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシ基、又はフェニル基で選択的に置換されるフェニル基;フェネチル基;ピリジル基;チエニル基;及びフリル基からなる群から選択される一以上の官能基であり;
は水素原子又はC-Cアルキル基であり;及び
は水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、C-Cアルコキシ基、シアノ基、及びトリフルオロメチル基からなる群から選択される一以上の官能基である使用。
【請求項23】
一般式(I):

を有する複素環式化合物又はその薬学的に許容可能な塩、水和物又はプロドラッグのそれを必要とする被験者中のプリオン病の治療又は予防の際の使用であって、
ここで、
はメチル又は存在せず;
とRはそれぞれ、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アミノ基、アセチルアミノ基、ベンジルアミノ基、トリフルオロメチル基、C-Cアルキル基、C-Cアルコキシ基、C-Cアルケニル、C-Cシクロアルキル、ベンジルオキシ、CH-R、及び-O-(CH-Rからなる群から独立して選択される一以上の官能基であり;
とRはそれぞれ、
(i)水素原子、C-Cアルキル基、C-Cアルケニル、C-Cシクロアルキル基、CH-R、及び-CH(R)-Rからなる群から独立して選択される一以上の官能基であるか;又は
(ii)RとRは一緒になって式(IV)のスピロ環を形成し:
(IV)

[上式中、
Bは一般式(V)
(V)

を有する構造単位から選択される一以上の構造単位であり得、
構造単位Bは式(V)中*によって示される位置に結合する]
のスピロ環を形成し;及び
はC-Cアルキル、ハロゲン原子又はシアノで置換されていてもよいナフチル;チエニル;又はフェニルであり;
6はビニル基、C-Cシクロアルキル基、又はフェニル基であり、及びnは0又は1であり;
はビニル基;エチニル基;C-Cアルキル基、C-Cアルコキシ基、ヒドロキシ基、1又は2個のハロゲン原子、ジC-Cアルキルアミノ基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシ基、又はフェニル基で選択的に置換されるフェニル基;フェネチル基;ピリジル基;チエニル基;及びフリル基からなる群から選択される一以上の官能基であり;
は水素原子又はC-Cアルキル基であり;及び
は水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、C-Cアルコキシ基、シアノ基、及びトリフルオロメチル基からなる群から選択される一以上の官能基である使用。
【請求項24】
一般式(I):

を有する複素環式化合物又はその薬学的に許容可能な塩、水和物又はプロドラッグのそれを必要とする被験者中のパーキンソン病の治療又は予防の際の使用であって、
ここで、
はメチル又は存在せず;
とRはそれぞれ、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アミノ基、アセチルアミノ基、ベンジルアミノ基、トリフルオロメチル基、C-Cアルキル基、C-Cアルコキシ基、C-Cアルケニル、C-Cシクロアルキル、ベンジルオキシ、CH-R、及び-O-(CH-Rからなる群から独立して選択される一以上の官能基であり;
とRはそれぞれ、
(i)水素原子、C-Cアルキル基、C-Cアルケニル、C-Cシクロアルキル基、CH-R、及び-CH(R)-Rからなる群から独立して選択される一以上の官能基であるか;又は
(ii)RとRは一緒になって式(IV)のスピロ環を形成し:
(IV)

[上式中、
Bは一般式(V)
(V)

を有する構造単位から選択される一以上の構造単位であり得、
構造単位Bは式(V)中*によって示される位置に結合する]
のスピロ環を形成し;及び
はC-Cアルキル、ハロゲン原子又はシアノで置換されていてもよいナフチル;チエニル;又はフェニルであり;
6はビニル基、C-Cシクロアルキル基、又はフェニル基であり、及びnは0又は1であり;
はビニル基;エチニル基;C-Cアルキル基、C-Cアルコキシ基、ヒドロキシ基、1又は2個のハロゲン原子、ジC-Cアルキルアミノ基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシ基、又はフェニル基で選択的に置換されるフェニル基;フェネチル基;ピリジル基;チエニル基;及びフリル基からなる群から選択される一以上の官能基であり;
は水素原子又はC-Cアルキル基であり;及び
は水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、C-Cアルコキシ基、シアノ基、及びトリフルオロメチル基からなる群から選択される一以上の官能基である使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図10D】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公表番号】特表2012−526818(P2012−526818A)
【公表日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−510911(P2012−510911)
【出願日】平成22年5月11日(2010.5.11)
【国際出願番号】PCT/US2010/034297
【国際公開番号】WO2010/132390
【国際公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【出願人】(511144491)ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア (2)
【出願人】(591163694)全薬工業株式会社 (10)
【Fターム(参考)】