ユーザのプライバシーを確保する、コンピュータで実装される方法、コンピュータプログラム製品、デバイス
本記載は、特に、ユーザのプライバシーと、車両用テレマティクスデバイスなどのデバイスによってサーバに伝達されるデータの有用性とを確保する、コンピュータで実装される方法、コンピュータプログラム製品、およびデバイスに言及し、本方法は、期間中にデバイスを移動させるステップと、期間中にデバイスにてデータを受信するステップと、受信されたデータを、デバイスによって処理するステップと、処理されたデータを、デバイスによって行列に集約するステップであって、行列の行および列は、デバイスの移動の状況を定義し、行列は、複数の行列エントリを含み、各行列エントリは、前記事前に定義されている移動の状況のペアのもとで、期間中にデバイスによってカバーされた距離を含む、ステップと、集約されたデータをデバイスからサーバに伝送するステップと、を含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、ユーザのプライバシーを確保する、コンピュータで実装される方法、コンピュータプログラム製品、およびデバイスに関する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
一側面による、ユーザのプライバシーと、車両用テレマティクスデバイス(vehicle telematics device)などのデバイスによってサーバへ伝達されるデータの有用性とを確保する、コンピュータで実装される方法。本方法は、
−期間中にデバイスを移動させるステップと、
−期間中にデバイスにてデータを受信するステップと、
−受信されたデータを、デバイスによって処理するステップと、
−処理されたデータを、デバイスによって行列に集約する(summarize)ステップであって、行列の行および列は、デバイスの移動の状況(circumstances of movement)を定義し、行列は、複数の行列エントリ(matrix−entry)を含み、各行列エントリは、前記事前に定義されている移動の状況のペアのもとで、期間中にデバイスによってカバーされた(covered)距離を含む、ステップと、
−集約されたデータをデバイスからサーバに伝送するステップと、
を含むとよい。
【0003】
上記の、データを行列に集約するステップは、ユーザのプライバシーと、デバイスによって伝達されるデータの有用性とを確保する効果を有し得る。これは、処理されたデータが、集約によって、カバーされた距離と、距離がカバーされた移動の状況とに縮小されることが理由である。したがって、伝送されるデータは、慎重な扱いを要するユーザデータを含まなくてもよく、その結果、ユーザのプライバシーが確保される。しかし、伝送されるデータは、カバーされた距離および移動の状況を含むため、有用性を保つ。
【0004】
データの集約は、データを圧縮して統合する(aggregate)こと(例えば統計的に統合すること)を指すと理解されてもよい。具体的には、集約は、特定の速度(velocity)でカバーされた距離を、或る範囲の速度でカバーされた距離に変換することを指してもよい。
【0005】
処理されるデータは、ポジションデータ、速度データ、および時間データのうちの少なくとも1つを含むとよい。さらに、速度データは、デバイスが移動されたスピードを示すとよい。「速度」という用語は、方向および値を有するベクトルを指すとよい。「スピード」という用語は、速度の値を指すとよい。
【0006】
本方法は、
ポジションデータおよび/または速度データおよび/または時間データと、デバイス上に記憶されている地図情報とを関連付けるステップと、
付随する結果を伴うアクションをユーザが実行したことを、デバイスによって関連付けに基づき判断するステップと、
アクションに応答して、デバイスによって、警告を生成、具体的には伝達するステップと、
をさらに含むとよい。
【0007】
警告は、ユーザの注意をそらすことなくユーザと対話する、単純な方法と理解されるとよい。警告は、伝達されるとよく、警告に関係しない注意をそらす信号が実質的に少しも提供されないような形で、視覚表示および/または可聴音を含むとよい。警告は、車両の運転者などのデバイスのユーザに、他の方法では入手できない情報を提供するとよい。したがって、警告は、アクションをユーザに知らせる単純な方法であればよい。さらに、この単純化は、例えば地図を表示するコストなどのコストを削減するとよい。
【0008】
さらに、警告を考慮して、ユーザがその運転を改善する是正アクション(corrective action)をとることができるとよい(例えば、警告に応答する、将来の警告を避けるなど)。
【0009】
さらに、本方法は、集約されたデータを伝送の前に暗号化するステップを含むとよく、集約されたデータは、ユーザからの補助なしにサーバによって復号化できる。さらに、本方法は、アクションに対応する処理されたデータを、伝送の前に暗号化するステップを含むとよく、処理されたデータは、ユーザの鍵を用いてのみ復号化できる。さらに、本方法は、暗号化された処理されたデータを、デバイスからサーバに伝送するステップを含むとよい。
【0010】
2つの異なるタイプの暗号化は、処理されたデータのセキュリティを改善する効果を有するとよい。したがって、処理されたデータにはユーザの同意を得てのみ(例えば、ユーザの秘密鍵を利用して)アクセス可能であることから、このデータは、サーバ上で記憶されるが、それでもユーザのプライバシーが確保されるとよい。集約されたデータは、ユーザの補助なしに復号化できるように暗号化することによって、第三者から保護されるとよい。さらに、集約されたデータは、サーバにて使用および処理可能である。
【0011】
さらに、ユーザのアクションに応答してのみ、処理されたデータを暗号化してサーバへ伝送することによって、デバイスのCPU負荷が節約され、ネットワークトラフィックが削減される。それでもサーバには、警告を生成したユーザのアクションを完全に記録するための十分なデータ(暗号化された処理されたデータ)が記憶される。
【0012】
いくつかの特定の実施形態では、集約されたデータは、サーバの公開鍵、またはユーザとサーバとの間で共有される秘密鍵を使用して暗号化されるとよい。一部の実施形態は、処理されたデータは、ユーザの秘密鍵またはユーザの公開鍵を用いて暗号化されるよう指定してもよい。さらに、一部の特定の実施形態は、暗号化された処理されたデータおよび暗号化された集約されたデータの同時の伝送を指定してもよい。
【0013】
事前に定義されている移動の状況は、
デバイスが距離をカバーした速度範囲、
デバイスが距離をカバーした加速度(rate of acceleration)、
デバイスによってカバーされた距離内の少なくとも1つのポジションに対応する制限スピード、
デバイスによってカバーされた少なくとも1つのポジションに対応する道路種別、
のうちの1つ以上を含むとよい。
【0014】
加速度は、センサーを使用して決定されてもよく、または加速(acceleration)は、ある期間にわたる速度の変化に基づき計算されてもよい。言い換えれば、加速は、センサーを使用して経験的に判断されること、および/または速度の一次時間微分および/またはポジションの二次時間微分として数学的に決定されることができ、速度および/またはポジションは、例えばGPSセンサーを使用して経験的に取得されるとよい。
【0015】
したがって、地図情報は、一組の地図座標を含むとよい。ポジションデータおよび速度データを関連付けるステップは、ポジションデータおよび速度データと、一組の地図座標に関係付けられている道路種別および/または制限スピードとを関連付けるステップをさらに含むとよい。
【0016】
さらに、アクションは、
制限スピードを上回ること、
事前に定義されている加速度を上回ること、
ユーザに危険をもたらすポジションに接近およびまたは存在すること、
のうちの1つ以上を含むとよい。
【0017】
さらに、デバイスは、地図情報を表示しなくてもよい。
【0018】
したがって、警告は、伝達されるとよく、警告に関係しない注意をそらす信号が実質的に少しも提供されないような形で、視覚表示および/または可聴音を含むとよい。したがって、警告は、アクションをユーザに知らせる単純な方法であるとよい。さらに、この単純化は、例えば地図をデバイス上で表示するコスト、または高機能の表示装置を提供するコストなどのコストを削減するとよい。
【0019】
さらに、少なくとも1つの行列エントリEijは、複数の要素から成ってもよく、複数の要素の各要素
【0020】
【数1】
【0021】
は、距離を定義する。さらに、要素
【0022】
【数2】
【0023】
により定義される距離は、その次の要素
【0024】
【数3】
【0025】
により定義される距離がカバーされた時間間隔に隣接しない時間間隔中にカバーされたものでもよい。さらに、各行列エントリの複数の要素は、前記行列エントリに対応し事前に定義されている移動の状況のペアのもとで、期間中にデバイスによってカバーされた距離を定義するとよく、複数の行列エントリは、期間中にデバイスによってカバーされた距離を定義するとよい。
【0026】
上記の文において、
【0027】
【数4】
【0028】
であり、Nは自然数である。場合によっては、Nは20未満であるとよい。
【0029】
一部の実施形態では、行列は、30×30の最大サイズを有してもよい。言い換えれば、iおよびjの値は、0から29の最大値の範囲であってもよい。さらに、最大値を29未満とすることも可能である。好適な実施形態では、行列のサイズは、26×26であるとよい。言い換えると、iおよびjの値は、0から30、好適には10から30、より好適には20から30の範囲であるとよい。場合によっては、行列は正方でなくてもよい(例えば、環境行列(ecological matrix))。
【0030】
一部の実装では、要素
【0031】
【数5】
【0032】
の最小サイズは、10メートルとしてもよい。例えば20m、50m、または1kmの最小サイズなどの他の実装も可能である。場合によっては、行列エントリは0であることもある。さらに、行列エントリは、1つのみの要素から成ってもよい。
【0033】
よって、デバイスは、車両に組み込まれているとよい。さらに、本方法は、デバイスが車両に組み込まれていることを理由に、ユーザに補償を行うステップを含むとよい。
【0034】
さらに、行列は、運転挙動の指標を計算するために使用されてもよい。
【0035】
一部の実施形態では、本方法は、
伝送されたデータと、少なくとも1つの他のデバイスからのデータとを、サーバにて統合するステップと、
サーバにて統合されたデータに基づき、統計データを生成するステップと、
を含むとよく、好適には、
ウェブポータルを提供するステップであって、ユーザは、ウェブポータルを利用して、ユーザの統計データおよび/または集約されたデータにアクセスできる、ステップと、
を含む。
【0036】
ウェブポータルは、2つのウェブポータルを含んでもよく、第1のウェブポータルは、パーソナルコンピュータからアクセスされるよう設計され、第2のウェブポータルは、テレマティクスデバイスからアクセスされるよう設計される。テレマティクスデバイスの能力が限られていることを考慮に入れるために、2つのウェブポータルを有することが望ましいこともある。ウェブポータルは、動的なウェブポータルであってもよく、これには、ウェブポータルにアクセスするデバイスを推定できるということ、およびウェブポータルによって提供される情報/データをデバイスに適合させることができるということが含まれ得る。したがって、PDA(Personal Digital Assistant:携帯情報端末)などのモバイルデバイスを使用してウェブポータルにアクセスするユーザは、ネットワークコンピュータを使用してウェブポータルにアクセスするときと比較して、異なるデータを受信してもよい。したがって、ネットワークは、ポータルにアクセスしようとするデバイスに関して最適な形で使用される。
【0037】
集約および統合されたデータのポータルにおける表示は、改善されたマン・マシン対話をもたらすとよい。ユーザは、その運転挙動および/または燃料消費に関係するオンラインフィードバックを提供されるため、その運転の改善(例えば危険を避ける、燃料消費を削減するなど)のために是正アクションをとることができるかもしれない。
【0038】
別の側面によれば、コンピュータプログラム製品が提供される。コンピュータプログラム製品は、コンピュータ可読媒体上に記憶されるか、またはデータ信号として提供されるとよいコンピュータ可読命令を含み、命令が車両用テレマティクスデバイスなどのデバイス上にロードされて実行されると、命令が、先行する請求項のうちのいずれか1項に記載の方法による動作をデバイスに実行させるようにしてもよい。
【0039】
さらに別の側面によれば、車両用テレマティクスデバイスなどのデバイスが提供される。デバイスは、
−期間中にデータを受信するよう動作可能な受信器であって、受信されるデータは、期間中にデバイスが移動されたことを示す、受信器と、
−受信されたデータを処理し、処理されたデータを行列に集約するよう動作可能なプロセッサであって、行列の行および列は、デバイスの移動の状況を定義し、行列は、複数の行列エントリを含み、各行列エントリは、前記事前に定義されている移動の状況のペアのもとで、期間中にデバイスによってカバーされた距離を含む、プロセッサと、
−集約されたデータをサーバに伝送するよう動作可能な送信器と、
を含むとよい。
【0040】
一部の実施形態では、デバイスは、モバイル電話などのモバイルデバイスである。
【0041】
デバイスは、車両に物理的に組み込まれていてもよく、その場合デバイスは、車両のインターフェースを使用して通信する。
【0042】
これは、デバイス内に車両コンポーネントを重複させることを避けることにより、製造/設置コスト、さらにデバイスの技術上の複雑性を削減し得る。
【0043】
技術的定義
「テレマティクスデバイス」は、情報を送信、受信、および記憶できる電気通信デバイスとして理解されるとよい。同様に、「車両用テレマティクスデバイス」は、道路車両内で使用されるテレマティクスデバイスとして理解されるとよい。テレマティクスデバイスは、GPSモジュールに接続されること、および/またはそれを含むこともできる。テレマティクスデバイスは、車両内で使用可能な、もしくは車両に組み込まれることが可能な、スマートフォン、PDA、ネットブック、または他の電子デバイスであってもよい。
【0044】
「ユーザ」は、人または個人であるとよい。具体例によれば、ユーザは、例えば乗用車などの車両の運転者である。
【0045】
ユーザの「秘密鍵」は、ユーザのみが知っている、対称暗号化および復号化で使用される鍵として理解されるとよい。
【0046】
ユーザの「私有鍵」は、ユーザのみが知っている、非対称暗号法の値として理解されるとよい。私有鍵は、公開・私有鍵ペアの一部として使用されても、またはデジタル認証(例えばメッセージのデジタル署名)に使用されてもよい。
【0047】
ユーザの「プライバシー」の確保は、ユーザのデータを保護すること、特にユーザの、慎重な扱いを要するデータを保護することを含むと理解されるとよい。慎重な扱いを要するデータには、ポジションデータ、時間データ、およびユーザのアイデンティティが含まれ得る。慎重な扱いを要するデータは、こうしたデータ要素のうちの1つ以上の組み合わせをさらに含み得る。
【0048】
デバイスによって伝達されるデータの「有用性」の確保は、伝達されるデータの受信側に有用なデータを提供することを含むと理解されるとよい。
【0049】
処理されたデータの「集約」は、処理されたデータを、関係のあるデータが保たれ慎重な扱いを要するデータが除去されるように縮小することとして理解されるとよい。データの集約は、慎重な扱いを要するデータを除去する一方で有用なデータを保つ効果を有するとよい。データの集約は、データを処理する形態として理解されるとよい。したがって、処理されたデータの集約は、処理されたデータを処理する方法として理解されるとよい。さらに、集約は、データから行列エントリを作成することと理解されてもよい。
【0050】
「デバイスを移動させること」は、ユーザにより実行されるとよい。例えば、デバイスは、1つの位置から別の位置へユーザによって運転される車両内にあってもよい。さらに、デバイスが移動される期間は、事前に定義されていてもよい。言い換えると、期間の継続時間は、デバイスが移動される前に定義されてもよい。時間の継続時間は、ユーザがデバイスにアクセスできる前に、デバイスのプログラミングに含まれることも可能である。デバイスの設定によって期間が定義されることも可能である。
【0051】
「移動の状況」は、事前に定義されているとよい。言い換えれば、移動の状況は、デバイスが移動される前に定義されるとよい。移動の状況は、ユーザがデバイスにアクセスできる前に、デバイスのプログラミングに含まれていてもよい。デバイスの設定によって移動の状況が定義されることも可能である。
【0052】
「移動の状況のペア」は、2つの移動の状況として理解されるとよく、1つが行列エントリの行に対応し、もう1つが行列エントリの列に対応する。
【0053】
行列エントリに含まれる「距離」が0であることもあり得る。
【0054】
「時間データ」は、例えば、年、月、日、時、分、秒などのタイムスタンプとして理解されてもよい。
【0055】
アクションに付随する「結果」は、スピード違反に付随するかもしれない、法律上の罰金の可能性などの、生じ得る結果であってもよい。さらに、または代わりに、結果は、サービスプロバイダ(例えば保険会社)によりユーザに対し課される料金の増加であってもよい。
【0056】
「ポジション」は、地点または特定の場所として理解されるとよい。ポジションは、3次元、すなわち長さ、幅、高さで表現されてもよい。
【0057】
本明細書に記載される主題は、方法として、またはデバイス上に、場合によっては1つ以上のコンピュータプログラム製品の形態で実装可能である。本明細書に記載される主題は、データ信号において、または機械可読媒体上に実装可能であり、媒体は、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ、またはハードディスクなどの1つ以上の情報キャリアにおいて具現化される。そのようなコンピュータプログラム製品は、本明細書に記載された1つ以上の動作をデータ処理装置に実行させるとよい。
【0058】
さらに、本明細書に記載される主題は、プロセッサと、プロセッサに結合されたメモリとを含むシステムとして実装されることも可能である。メモリは、本明細書に記載された方法のうちの1つ以上をプロセッサに実行させる1つ以上のプログラムをエンコードしているとよい。本明細書に記載されるさらなる主題は、様々な機械を使用して実装可能である。
【0059】
1つ以上の実装の詳細が、以下の例示の図面および説明に記載されている。他の特徴は、説明、図面、および特許請求の範囲から明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】例示のテレマティクスシステムを示す。
【図2】テレマティクスシステムの例示の論理アーキテクチャを示す。
【図3】テレマティクスシステムの例示の機能アーキテクチャを示す。
【図4】テレマティクスシステムの例示のソフトウェアアーキテクチャを示す。
【図5】テレマティクスデバイスの考えられる状態および状態遷移を示す。
【図6】サービスデリバリプラットフォームの考えられる状態および状態遷移を示す。
【図7】テレマティクスデバイスを有効化するためにとられ得る例示のステップを提供する。
【図8】テレマティクスデバイスからサービスデリバリプラットフォームにイベントメッセージを送信するプロセスを表す。
【図9】サービスデリバリプラットフォームからサービスプロバイダに伝送され得るデータの表示を示す。
【図10】テレマティクスデバイスを使用することの考えられる利点を図で示す。
【図11】テレマティクスデバイスのGUI(Graphical User Interface:グラフィカルユーザインターフェース)からの例示のスピード表示を示す。
【図12】テレマティクスデバイスのGUIからの例示の注意表示を示す。
【図13】テレマティクスデバイスのGUIからの例示の警告表示を示す。
【図14】テレマティクスデバイスのGUIからの例示のセッティング表示を示す。
【図15】テレマティクスデバイスのGUIからの拡張スピード表示の例を示す。
【図16】テレマティクスデバイスのGUIからの拡張セッティング表示の例を示す。
【図17】テレマティクスデバイスのGUIからの拡張警告表示の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0061】
以下の文章では、図面を参照して、例を詳細に説明する。当然のことながら、例に対して様々な変更が加えられ得る。特に、1つの例の要素が組み合わされて、他の例において使用され、新たな例を形成することもある。
【0062】
図1は、例示のテレマティクスシステム100を示す。テレマティクスデバイス101は、車両102内に位置するとよい。車両102は、乗客を運搬でき、道路上を運転されることができる乗用車またはトラックとしてもよい。テレマティクスデバイス101は、センサーを備えているとよく、可聴フィードバック103を提供できるとよい。さらに、テレマティクスデバイス101には、衛星104から信号を受信できる設備が整っているとよい。衛星104は、例えば全地球測位システム(GPS:global positioning system)などの全地球航法衛星システムとしてもよい。衛星104は、テレマティクスデバイスがその現在位置、現在時刻、および車両102の速度を判断できるようにする、電波信号を送信できるとよい。テレマティクスデバイス101は、衛星104から受信されたデータを集約(すなわち統合)してから、電気通信サービスプロバイダ105を利用してサービスデリバリプラットフォーム(SDP:service delivery platform)106にデータを送信するとよい。
【0063】
サービスデリバリプラットフォーム106は、データをサービスプロバイダ107に提出するために、いくつかの他のテレマティクスデバイスからのデータを統合するとよい。サービスプロバイダ107は、自動車サービスプロバイダ、またはより具体的には、保険会社であってもよい。テレマティクスデバイス101およびSDP106によって伝送されるデータは、暗号化されるとよい。テレマティクスデバイス101からSDP106に伝送されるデータは、テレマティクスデバイス101の識別子を含んでもよい。SDP106は、テレマティクスデバイス101の識別子と、車両102の運転者との照合を可能にするデータを有しなくてもよい。ユーザ108は、サービスプロバイダ107からサービスを受けるとよい。ユーザ108は、サービスプロバイダ107の顧客としても理解され得る。ユーザ108が受けるサービスのコストは、テレマティクスデバイス101から送信されるデータに基づいてもよい。ユーザ108は、車両102の運転者であるとよい。
【0064】
テレマティクスデバイス101は、Apple iPhone(AppleおよびiPhoneは、Apple Corporationの商標)などのモバイル電話、携帯情報端末(PDA)、ネットブックなどとすることもできる。テレマティクスデバイス101は、Windows Mobile(例えば、Windows Mobile 6.X)、Blackberry OS、iPhone OS、Symbian OSなどの、オペレーティングシステム(OS:operating system)を含むとよい。さらに、または代わりに、テレマティクスデバイス101は、車両102に組み込まれていてもよい。言い換えれば、テレマティクスデバイス101は、車両102内に物理的に統合されてもよく、テレマティクスデバイス101は車両102から容易に持ち出しできないようになっていてもよい。ユーザ108は、テレマティクスデバイス101が車両102に組み込まれていることを理由に、補償を受けてもよい。より具体的に言えば、ユーザ108は、テレマティクスデバイス101が車両102に組み込まれていることを理由に、ユーザ108がサービスプロバイダ107に支払う料金(例えば保険料)の減額を受けてもよい。テレマティクスデバイス101を車両102に組み込むことは、ユーザ108が、テレマティクスデバイス101なしで車両102を運転することを防ぐ効果を有するとよい。組み込まれたテレマティクスデバイス101は、ユーザ108のアクションに応答して生成された警告を、車両102のインターフェースを使用して伝達するとよい。
【0065】
OSによって提供されないテレマティクスデバイスの機能、例えば衛星104から受信されるデータの集約の機能などは、1つ以上のアプリケーションによって提供されるとよい。アプリケーションは、SDP106によってアプリケーションストア(例えば、Apple Corporation、Android、またはBlackberry)に対応するアプリケーションストアのうちの1つ)にアップロードされたものでもよい。アプリケーションは、ユーザ108によってアプリケーションストアからダウンロードされるとよい。アプリケーションは、様々な追加的サービスを提供するサービスプラットフォームの一部であってもよい。
【0066】
テレマティクスデバイス101は、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)を提供するとよい。テレマティクスデバイス101のGUIは、GUI要素を表示できるとよい。例えば、テレマティクスデバイス101のGUIは、車両102の速度、車両102の位置に対応する許容最高速度、衛星104からの信号のステータス、セッティング入力要素(例えばセッティングボタン)、および誤り制御入力要素(例えば誤り制御ボタン)のうちの1つ以上を表示できるとよい。さらに、テレマティクスデバイス101のGUIは、入力を受け取ることができるとよい。例えば、テレマティクスデバイス101のGUIは、違反の許容範囲値(例えば時間またはスピード)を変更するために使用されてもよい。さらに、または代わりに、テレマティクスデバイス101のGUIは、誤った違反、すなわち誤って記録された違反を指定するために使用されてもよい。具体例によれば、テレマティクスデバイス101のGUIは、800×480画素の解像度を有する。テレマティクスデバイス101は、運転分析アプリケーションを含むとよい。
【0067】
図2は、テレマティクスシステム100の例示の論理アーキテクチャ200を示す。図2の説明は、特定のソフトウェアコンポーネントに言及するが、他の実装(例えば他のコンポーネントまたはコンポーネントの組み合わせ)も可能である。テレマティクスデバイス101は、電気通信サービスプロバイダ105と、モバイル通信用グローバルシステム(GSM:global system for mobile communications)のユーザが利用可能な汎用パケット無線サービス(GPRS:general packet radio service)を利用して通信するとよい。ユニバーサル移動体通信システム(UMTS:universal mobile telecommunication system)、ワイヤレスネットワークプロトコルなど、GPRSおよびGSMに代わるものも可能である。例として、モバイルデバイスから1日に約20kbの伝送をサポートできる任意の通信システムが使用可能であろう。
【0068】
図2に示されているアーキテクチャは、例えばリレーショナルデータベース管理システム(RDBMS:relational database management system)などのデータベース201をバックエンドとして備えるJavaマルチティアウェブアーキテクチャとして理解されてもよい(Javaは、Sun Microsystems,Incの商標)。
【0069】
アーキテクチャは、モデル・ビュー・コントローラ設計パターンに従って実装されてもよく、ビューは、ハイパーテキストマークアップ言語(HTML:hypertext mark up language)、カスケーディングスタイルシート(CSS:cascading style sheets)、およびJavaサーバページ(JSP:Java server pages)によって実現される。論理アーキテクチャ200のドメインモデルは、プレーンオールドJavaオブジェクト(POJO:plain old Java object)を用いて実装されてもよい。POJOは、複雑なオブジェクトフレームワークの機能を含まないが、代わりにその意図される目的を達成するのに必須の機能のみを含むオブジェクトとして理解されるとよい。ドメインモデルのPOJOは、データベース201に存続してもよい。単純化されたアクセスモデルを提供するため、特にテレマティクスデバイス101を接続するために、表現状態転送(REST:representation state transfer)フレームワーク206が使用されてもよい。アプリケーションサーバ202上のソフトウェアコンポーネントは、制御の反転(IOC:inversion of control)コンテナ205のフレームワークにプラグインされてもよい。
【0070】
テレマティクスデバイス101は、電気通信サービスプロバイダ105のモバイル電話ネットワークを介して、GPRSを利用してデータを伝送するとよい。データは、ハイパーテキスト転送プロトコル(HTTP:hypertext transfer protocol)リクエストを使用して仮想プライベートネットワークを利用して伝送されるとよい。HTTPリクエストおよび応答の例を、下記の表1において見ることができる。
【0071】
【表1】
【0072】
リクエストの行は、「>」記号で始まり、応答の行は、「<」記号で始まる。メッセージの受信を確認するために、HTTPステータスコードが使用されるとよい。同様に、問題が生じたことを示すには、HTTPエラーコードが使用されるとよい。
【0073】
具体例によれば、特定のソフトウェアコンポーネントが、論理アーキテクチャ200の各部分を実装するために使用されるとよい。したがって、データベース201は、MySQLソフトウェアを使用して実装されてもよい(MySQLは、Sun Microsystems Inc.の商標である)。さらに、ライトウェイトディレクトリアクセスプロトコル(LDAP:lightweight directory access protocol)サーバ202が、オープンのOpenLDAPを使用して実装されてもよい。ウェブサーバ203は、Apacheソフトウェアを使用して実装されてもよく、アプリケーションサーバ204は、Tomcatソフトウェアを使用して実装されてもよい。IOCコンテナ205は、Springソフトウェアを使用して実装されてもよく、RESTフレームワーク206は、Java API for RESTful Web Services(Jersey)を使用して実装されてもよく、ウェブサービスフレームワーク206は、Spring−WSを使用して実装されてもよい。セキュリティコネクタ207は、mod_ssl(すなわち、セキュアソケットレイヤのApacheウェブサーバモジュール)を使用して実装されてもよく、Javaコネクタ208は、mod_jkを使用して実装されてもよく、圧縮モジュール209は、mod_gzipまたはmod_deflateを使用して実装されてもよい。
【0074】
図3は、テレマティクスシステム100の機能アーキテクチャ300を示す。プロトコルアダプタ301は、ワイヤプロトコルの変換を実行するとよい。例えば、メッセージが、拡張可能マークアップ言語(XML:extensible mark up language)またはJason(Javaベースのエージェント指向インタプリタ)を使用して伝送される場合、XMLバインドのためのJavaアーキテクチャ(JAXB:Java architecture for XML binding)が変換に使用されてもよい。JAXBは、XML要素をJavaプログラミング言語のクラスにマッピングするために使用可能である。抽象構文記法1(ASN.1:abstract syntax notation 1)が実装される場合、変換を実行するために市販のASN.1コンパイラが使用されてもよい。地図表示302は、地図上に進路または位置依存性情報を表示するために使用されるとよい。進路は、運転者が通ったところの記録を提供する、地点の順序付けられた集合として理解されるとよい。進路内の各地点は、テレマティクスデバイス101から受信されたポジションデータを含むとよい。一例によれば、Google mapsアプリケーションプログラミングインターフェース(GoogleはGoogle Corporationの商標)を使用して表示するよう、GPS交換形式(GPX:GPS exchange format)データの形式を合わせるために、Javascriptが使用されてもよい。ポータル303が、ユーザ対話のために提供されるとよく、ウェブフローおよびパーソナライズを提供するために、Springモード・ビュー・コントローラを使用して実装されてもよい。
【0075】
公開鍵および私有鍵を用いる非対称暗号化304が、テレマティクスデバイス101とSDP106との間のデータトラフィックを暗号化するために使用されてもよい。対称暗号化サーバ305が、SDP106にて非対称私有鍵を暗号化および復号化するために使用されてもよい。対称暗号化クライアント306が、例えばウェブブラウザにおいて、非対称私有鍵を暗号化および復号化するために使用されてもよい。非対称暗号化は、リベスト・シャミール・アドルマン(RSA:Rivest Shamir Adleman)アルゴリズムを使用して実装されてもよく、対称暗号化は、新暗号規格(AES:advanced encryption standard)を使用して実装されてもよい。一部の実施形態では、対称暗号化クライアント306は、Javascript Crypto Library(AGPL)またはgibberish−aes(MIT)を使用してJavascriptで暗号化/復号化を実装してもよい。アイデンティティ管理307は、証明書をインポートおよび記憶するためにLDAPを使用して実行されてもよい。
【0076】
サービス有効化308は、専用の有効化リソースを使用して実行されてもよい。アルゴリズム309は、運転挙動の分析をカプセル化するために使用されてもよい。レポーティングは、テレマティクスデバイス101から、および場合により他のテレマティクスデバイスからも収集されたデータを分析するために、SQLスクリプトを使用して実装されてもよい。サービスプロバイダアダプタ311は、サービスプロバイダ107などのサービスプロバイダにSDP106へのアクセスを提供するウェブサービスとして実装されてもよい。サービスプロバイダアダプタ311は、新たなサービスプロバイダからのデータを処理して、個別の、および統計的に統合された運転者挙動の分析を、適切なサービスプロバイダに配信するために使用されるとよい。
【0077】
電気通信アダプタ312は、テレマティクスデバイス101で使用されているサブスクライバアイデンティティモジュラー(SIM:subscriber identity modular)カードを有効化するために使用されてもよい。電気通信アダプタ312は、ウェブサービスを使用して実装されてもよい。SMSゲートウェイ313は、ショートメッセージサービス(SMS:short message service)メッセージ、特にバイナリSMSメッセージを送信するために使用されるとよい。SMSゲートウェイ313は、ウェブサービスを使用して実装されてもよい。ソフトウェア更新アプリケーション314は、ソフトウェア更新をテレマティクスデバイス101に転送するために使用されるとよい。1つの具体例によれば、REST getコマンドが、データ転送を開始するために使用されてもよく、SMSゲートウェイ313からのメッセージが、テレマティクスデバイス101によるデータアップロードをトリガするために使用されてもよい。地図ダウンロードアプリケーション315は、地図更新をテレマティクスデバイス101に転送するために使用されてもよい。一例によれば、REST getコマンドが、データ転送に使用されてもよく、SMSメッセージが、地図アップロードをトリガしてもよい。
【0078】
図4は、アプリケーションサーバ上のソフトウェアレイヤおよびテレマティクスデバイス101によって送信されるメッセージのURL構造に関する詳細を明示する。
【0079】
図5および6は、テレマティクスデバイス101およびSDP106の状態および状態遷移を明示する。
【0080】
図5は、テレマティクスデバイス101の考えられる状態および状態遷移を示す。特に、デバイス遷移図500は、テレマティクスデバイス101上でソフトウェアまたは設定の更新を実施するために必要なステップを示すと理解されるとよい。プロセスは、ステップS501にて、車両102のイニシャル点火、またはテレマティクスデバイス101におけるSMSメッセージの受信のいずれかにより開始する。イニシャル点火またはSMSメッセージの受信は、テレマティクスデバイス101を、スリープモードから復帰させるか、または起動させて、管理アプリケーションをロードさせる。ステップS502では、テレマティクスデバイス101には、ロードするべき利用可能な設定がない。これは、ステップS503にて、SDP106から設定をダウンロードすることによって対処されるとよい。設定がSDP106から取得された後、設定がステップS504にてロードされるとよい。テレマティクスデバイス101からSDP106に送信されるあらゆるメッセージは、設定識別子を含むとよい。SDP106は、テレマティクスデバイス101からのイベントメッセージの受信を確認するときに、新たな設定が利用可能であることを示してもよい。
【0081】
ステップS505にて、テレマティクスデバイス101は、SDP106から、新たな設定が利用可能であることを示すメッセージを受信する。テレマティクスデバイス101は、ステップS506にて、SDP106から新たな設定をダウンロードするとよい。任意選択で、追加のソフトウェア更新が、ステップS507にてダウンロードされてもよい。新たな設定が、場合により追加のソフトウェアとともにインストールされると、テレマティクスデバイス101は、S504に戻る。テレマティクスデバイス101は、ステップS508にて、終了または無効化されてもよい。テレマティクスデバイス101は、その現在の設定を削除してから終了してもよい。無効化の後、テレマティクスデバイス101は、ステップS509にて、リセットの命令を受信してもよい。ステップS509におけるリセットの命令は、様々な状況で、場合によっては問題を解消してデバイスをデフォルトまたは標準設定に戻すために与えられ得る。
【0082】
図6は、SDP106の考えられる状態および状態遷移を示す。具体的には、サーバ遷移図600は、テレマティクスデバイス101の有効化および無効化に必要なステップを示すと理解されるとよい。プロセスは、ステップS601にて、ユーザ証明書を生成するためにユーザが識別子を入力すると開始するとよい。テレマティクスデバイス101が、S602にて登録される。ユーザの証明書が有効であることを検証した後、デバイスは、S603にて有効化可能である。テレマティクスデバイス101は、指示または命令を受信すると、ステップS604にて無効化可能である。デバイスの再有効化は、ユーザ証明書をイベントデータとともに送信することによって達成され得る。テレマティクスデバイス101は、S605にて、SDP106から削除されるとよい。
【0083】
図7は、テレマティクスデバイス101を有効化する方法の例を提供する。テレマティクスデバイス101の有効化は、RESTセマンティクスとともにHTTPを使用して達成され得る。S701にて、ユーザはSDP106にアクセスするとよい。具体例によれば、PUTコマンド、テレマティクスデバイス101の識別子(deviceid)、およびユーザ識別子(pid)を含むHTTPメッセージが、ユーザからSDP106に送信されるとよい。SDP106は、テレマティクスデバイス101を登録して、続いてS702にて、確認メッセージをユーザに送信するとよい。
【0084】
S703にて、テレマティクスデバイス101は、新たな設定をSDP106からダウンロードしようと試みるとよい。テレマティクスデバイス101からの初期の設定リクエストが失敗すると、新たなリクエストが、指数バックオフを使用して送られるとよい。指数バックオフは、初期の、またはそれに続く伝送リクエストが失敗した場合に再伝送間の時間を倍にし続けることとして理解されるとよい(W.リチャード・スティーブンス(Richard Stevens)著、「詳解TCP/IP Vol.1(TCP/IP Illustrated Volume 1)」、1994年、299ページ)。S704にて、テレマティクスデバイス101は、SDP106から設定を受信するとよい。テレマティクスデバイス101は、受信した設定を記憶するとよい。S705にて、テレマティクスデバイス101は、SDP106による有効化を開始するとよい。S705にて送信されたメッセージの確認が受信されなければ、テレマティクスデバイス101は、指数バックオフを使用して再試行するとよい。テレマティクスデバイス101は、S706にて、SDP106から有効化の確認を受信するとよい。
【0085】
図8は、テレマティクスデバイス101からSDP106にイベントメッセージを送信するプロセスを記載する。テレマティクスデバイス101は、衛星104から衛星データを受信するとよい。その後、テレマティクスデバイス101は、受信した衛星データを処理するとよい。さらに、テレマティクスデバイス101は、処理されたデータを集約するとよい。集約は、処理されたデータをさらに処理する方法であればよい。
【0086】
S801にて、テレマティクスデバイス101は、イベントメッセージをSDP106に送信するとよい。イベントメッセージは、テレマティクスデバイス101の識別子、および集約されたデータを含むとよい。テレマティクスデバイス101は、処理された衛星データを、行列を計算することによって集約するとよく、一定間隔を置いてSDP106に行列を送信する。
【0087】
テレマティクスデバイス101からSDP106に送信される行列のタイプは、スピード行列(speed matrix)であってもよい。スピード行列は、全般的な運転スピード、および特に制限スピードに関して、ユーザ108の運転挙動を反映するとよい。以下の表記法が、スピード行列に当てはまり、優先するものがない限り、環境運転挙動行列(ecological driving behaviour matrix)および危険性行列(risk matrix)にも当てはまると理解されるとよい。
【0088】
【数6】
【0089】
が、カバーされた距離のパラメータ化であるとする(すなわち、横断された距離)。
【0090】
【数7】
【0091】
が、車両102の速度であり、vmが、許容最高速度であるとする(すなわち制限スピード)。時間×位置×速度×制限スピードのパラメータ空間は、
【0092】
【数8】
【0093】
と定義され得る。したがって、
【0094】
【数9】
【0095】
となる。
【0096】
車両102によってカバーされた距離の評価は、以下のように、カバーされた距離の積分曲線として、一般重み関数Ωを使用して実現されるとよい。
【0097】
【数10】
【0098】
を重み関数とすると、次式がsの速度測定を定義し得る。
【0099】
【数11】
【0100】
ωは一次関数であり、したがって、ωは以下の性質(1および2)を有する:
ω(s∪s’)=ω(s)+ω(s’) 性質(1)
【0101】
言い換えると、ωは、カバーされた距離のポジション成分に対して線形である。さらに、
l(s)=0であればω(s)=0 性質(2)
【0102】
言い換えると、カバーされた距離の長さが0であれば、ωは0である。
【0103】
以下の仮定は、計算をより効率的にし、テレマティクスデバイス101上でアルゴリズムを実装するのをより容易にする効果があると考えられる。
(1)時間依存:Ωは、時間スライス、すなわち運転期間の長さのみに依存する
(2)空間依存:Ωは、道路種別、すなわち車道種別のみに依存する
【0104】
Ωαβが、仮定(1)および(2)に従って定義されるとする。したがって、0≦α≦n,0≦β≦m、
【0105】
【数12】
【0106】
であり、式中、
【0107】
【数13】
【0108】
は、特性関数を指定する。
【0109】
仮定(1)および(2)は、Ωからの集約Ωαβの単純な計算を可能にする。結果的に、Ωαβは、車両102の速度および許容最高速度のみに依存する。
【0110】
積分
【0111】
【数14】
【0112】
を計算するために、特殊分解とともにルベーグ/リーマン近似(離散化)が適用されるとよい。以下では、vmは追加の速度を含む許容最高速度(すなわち合計速度)を指すと理解されるとよく、ユーザ108は、合計速度で運転すると、付随するペナルティを受ける。例えば、制限スピードが50km/hであり、付随するペナルティが、制限スピードを30km/h超える運転に発生する場合、vmは80km/hである。
【0113】
I=∪[vi,vi+1)を、区間
【0114】
【数15】
【0115】
の離接分解であるとする。その結果、
sij:={s|vi≦v(s)<vi+1∧vMj≦vM(s)<vMj+1} 式(3)
は、sの分解を定義し得る。
【0116】
離接分解I=∪[vi,vi+1)に、対応するリーマン近似RαβIが適用される:
【0117】
【数16】
【0118】
式中、行列Λαβは、以下のように定義される(Παβは、時間スライスおよび道路種別への射影を示し、lは、長さ、すなわちカバーされた距離の長さを示す)
Λαβij:=l(Παβ(sij)) 式(5)
【0119】
テレマティクスデバイス101によって効率的に算出可能であるということが、上述の分解の特徴となり得る。テレマティクスデバイス101は、行列Λαβを計算して、計算された行列を、一定間隔を置いてSDP106に送信するとよい。SDPでは、行列が、式(5)に従って処理される。これは、各スピード行列のパラメータの設定が、SDP106にて実行されるという利点となり得る。
【0120】
スピード行列Λαβの連続する各行は、次第に高くなる制限スピードにおいて実行された運転に対応するとよい。さらに、スピード行列の連続する各列は、次第に高くなる速度範囲に対応するとよい。制限スピードおよび速度範囲は、移動の状況として理解されるとよい。したがって、スピード行列内の各エントリは、行によって定義される制限スピードの領域において、列によって定義される速度範囲のスピードで車両102が走行していた、移動距離を表すとよい。
【0121】
例えば、テレマティクスデバイス101から送信される3行3列のスピード行列は、次の値を含んでもよい。
【0122】
【数17】
【0123】
上記の行列の連続する各行は、制限スピードの50km/hの差を表す(第1行の50km/hから第3行の150km/h)。連続する各列は、スピード範囲の50km/hの差を表す(第1列の0〜50km/hから、第3列の、移動の状況の例としての100〜150km/h)。その結果として、第1行第1列における行列エントリの移動の状況のペアは、0〜50km/hの速度範囲および50km/hの制限スピードであり、行列エントリの値は21kmである。したがって、上記の行列によれば、車両102は、行列によってカバーされる時間スライスに119km運転された。すなわち、複数の行列エントリは、期間中にデバイスによってカバーされた距離を119kmと定義している。時間スライスは、所定の期間(例えば1日または2日)として理解されるとよい。
【0124】
第1行第1列のエントリは、法定制限スピードが50km/hの領域において(50km/hの制限スピードは例示の移動の状況である)、0〜50km/hの間のスピードで21kmがカバーされたことを示す(0〜50km/hの範囲は、例示の移動の状況である)。さらに、第2行第1列のエントリは、制限スピードが100km/hの領域において、0〜50km/hの間のスピードで56km、車両102が運転されたことを示す(0〜50km/hのスピード範囲および50km/hの制限スピードは、移動の状況の例である)。第1行第2列のエントリは、法定制限スピードが50km/hの領域において、50〜100km/hの間のスピードで12km、車両102が運転されたことを示す。上記の行列の第1行第2列に表されている12km、第1行第3列で表されている13km、第2行第3列で表されている3kmは、制限スピード違反を示す。車両は、150km/hの制限スピードの領域では運転されなかったため、行列のこの行は0で満たされている。
【0125】
上記の例では、説明のために、間隔は大きく、行列は小さい。別の実装は、10km/h未満の行および列の間隔を含んでもよいであろう。したがって、スピード行列は、少なくとも15行および/または少なくとも15列、ならびに225のエントリを有してもよいであろう。
【0126】
テレマティクスデバイス101によって計算されるスピード行列Λαβは、表2の疑似コードに基づくコードを使用して生成されるとよい。
【0127】
【表2】
【0128】
SDP106に行列をアップロードして行列の値を0にリセットするために、さらなるコードが使用され得る。
【0129】
重み付きのスピード行列Ωαβが、SDP106にて計算されるとよい。Ωαβは、以下の制限を有するとよい:
(1)Ωαβは負ではない、すなわち、Ωαβij≧0 ∀i,j
(2−単調性)∀i:Ωαβij≧Ωαβij’ j>j’、すなわち、スピード違反には、制限スピードと車両102の速度との差に比例して大きくなる重みが与えられる。
(3−スケーリング)∀j:Ωαβij≦Ωαβi’j i>i’、すなわち、車両102の速度が上がるにつれて、絶対的なスピード違反の関連性は弱まる
(4−閾値)Ωαβij=0 ∀i≦j、すなわち、制限スピードを上回る速度のみが評価される。
【0130】
制限(4−閾値)の適用は、Ωαβの計算の効率を上げる効果を有するとよい。
【0131】
式(1)のsの速度測定は、カバーされた距離に対して線形であるとよい。これは、距離が大きい(すなわち、大きなキロメートル数がカバーされる)と、大きな(すなわち高い)速度測定につながることを意味すると理解されるとよい。したがって、正規化式(6)が続く。
【0132】
【数18】
【0133】
式(6)は、sの速度スコアと呼ばれてもよい。速度スコアは、さらなる分析のための基礎として使用されるとよく、サービスプロバイダ107によって顧客108に対し変更される料金に影響を与えてもよい。
【0134】
テレマティクスデバイス101からSDP106に送信される別のタイプの行列は、環境運転挙動を集約する行列、すなわち環境行列とすることもできる。環境行列は、燃料消費に関してユーザ108の運転挙動を反映してもよく、燃料消費は、車両102の速度および車両102の加速(負の加速を含む)の関数としてもよい。
【0135】
一部の実装では、加速度は、車両102内のセンサーを使用して判断されてもよい。加速度は、或る期間にわたる速度の変化に基づき計算されることもできるであろう。
【0136】
スピード行列に関して上述したように、
【0137】
【数19】
【0138】
が、カバーされた距離のパラメータ化を定義するとする。さらに、
【0139】
【数20】
【0140】
を車両102の速度とし、
【0141】
【数21】
【0142】
を加速とする。速度×加速のパラメータ空間は、
【0143】
【数22】
【0144】
と定義され得る。したがって、
【0145】
【数23】
【0146】
φ(t):=(v,a)となる。
【0147】
車両102によってカバーされた距離の評価は、以下のように、カバーされた距離の積分曲線として、一般重み関数Θを使用して実現されるとよい。
【0148】
【数24】
【0149】
を重み関数とすると、
【0150】
【数25】
【0151】
がsの環境測定を定義する。
【0152】
νは、一次関数である。つまり、νは以下の性質(3および4)を有する:
ν(s∪s’)=ν(s)+ν(s’) 性質(3)
【0153】
言い換えると、νは、カバーされた距離のポジション成分に対して線形である。さらに、
l(s)=0であればν(s)=0 性質(4)
【0154】
言い換えると、カバーされた距離が0であれば、νは0である。
【0155】
【数26】
【0156】
の離散化は、以下のように定義され得る。
sij:={s|vi≦v(s)<vi+1∧aj≦a(s)<aj+1} 式(8)
【0157】
式(8)は、sの分解を定義する。負の加速(すなわちブレーキをかけること)が生じ得るため、aminが0未満となる可能性も考えられる。これは、常に正である速度とは対照的である。
【0158】
sijに、対応するリーマン近似RIが適用される。
【0159】
【数27】
【0160】
式中、行列Λは、式(5)のΛαβと同じ形で定義される。
【0161】
環境行列Λの連続する各行は、次第に高くなる速度範囲において実行された運転に対応するとよい。さらに、環境運転挙動行列の連続する各列は、次第に大きくなる加速に対応するとよい。したがって、環境運転挙動行列の各エントリは、特定の加速度(またはレベル)で、特定の範囲の速度において運転された距離に対応するとよい。速度範囲および加速度は、移動の状況として理解されるとよい。
【0162】
例えば、テレマティクスデバイス101から送信される3行9列の環境行列は、次のエントリを含んでもよい。
【0163】
【数28】
【0164】
連続する各行は、前の行と50km/h異なり、すなわち、行間には50km/hのステップがある。したがって、第1行は、0〜50km/hの速度範囲を定義し、0〜50km/hの速度範囲は、例示の移動の状況である。第2行は、50〜100km/hの速度範囲を定義し、第3行は、100〜150km/hの範囲を定義し、50〜100km/hおよび100〜150km/hの速度範囲は、例示の移動の状況である。連続する各列は、前の列と1m/s2異なり、−4m/s2の最小値(第1列)および4m/s2の最大値(第9列)を有する。−4m/s2(第1列)および4m/s2(第9列)の値は、例示の移動の状況である。行列内の各エントリは、行によって定義される速度範囲内、且つ列によって定義される加速で、運転されたキロメートル数を定義する。その結果として、第1行第1列における行列エントリの移動の状況のペアは、0〜50km/hの速度範囲および−4m/s2の負の加速であり、行列エントリの値は0である。
【0165】
本例によれば、車両102は、行列が定義されている時間スライス(すなわち、行列によってカバーされる時間スライス)において、267km運転された。これは、行列内の値を単に集計することで求めることができる。さらに、上記の行列の第2行第5列のエントリは、車両102が、50〜100km/hの間の速度(すなわちスピード)、1m/s2未満の加速で、100km運転されたことを示す。さらに、上記の行列の第3行第1列のエントリは、車両102が、100〜150km/hの間の速度、−4m/s2の加速で、1km運転されたことを示す。
【0166】
環境行列は、対称である必要はない。例えば、−10m/s2の最小値、すなわちブレーキを完全に作動させた車両の最大減速から始めて、車両が0から100km/hに5秒で加速するのに対応する6m/s2の最大値で終了するよう、列を定義することが望ましいこともある。通常の交通状況では、2m/s2までの加速および−2m/s2以上の減速が普通である。
【0167】
環境行列は、表3に示される疑似コードに基づくコードを使用して計算されてもよい。表3に示されている疑似コードでは、車両102の加速は、車両102の速度の変化に基づき計算される。しかし、例えば車両102の速度を検出するセンサーを使用するなど、他の実装も可能である。
【0168】
【表3】
【0169】
SDP106に環境行列Λをアップロードして行列エントリの値を0にリセットするために、さらなるコードが使用され得る。
【0170】
重み付きの環境行列Θが、SDP106にて計算されるとよい。Θは、以下の制限を有するとよい:
(1)Θは負ではない、すなわち、Θij≧0 ∀i,j
(2−単調性)∀i:Θij≧Θij’ j>j’
すなわち、加速には、加速の大きさに比例して大きくなる重みが与えられる
(3−スケーリング)
∀j:Θij≧Θi’j i>i’
すなわち、車両102の速度が上がるにつれて、加速の大きさの関連性は強まる
(4−理想的なスピード)
Θij=0 ∀imin≦i≦imax
【0171】
制限(4)は、多くの乗用車が、例えば70〜100km/hなどの間の速度で運転されると少ない量の燃料を消費する、という情報を反映する。
【0172】
式(7)で定義された関数、すなわちsの環境測定は、カバーされた距離に対して線形であるとよい。これは、距離が大きい(すなわち、大きなキロメートル数がカバーされる)と、大きな(すなわち高い)環境測定につながることを意味する。したがって、正規化式(9)が続く。
【0173】
【数29】
【0174】
式(9)は、sの環境スコアと呼ばれてもよい。環境スコアは、さらなる分析のための基礎として使用されるとよく、サービスプロバイダ107によって顧客108に対し課される料金に影響を与えてもよい。
【0175】
テレマティクスデバイス101からSDP106に送信されるさらに別のタイプの行列は、車両102が運転される道路の種別に対応する危険性、および車両102が運転される時間帯に対応する危険性を集約(すなわち統合)する行列とすることもできる(すなわち、危険性行列)。したがって、車両102が運転される道路種別および時間帯は、移動の状況のペアとして理解されるとよい。ポジションに対応する道路の道路種別は、道路が都市の中(すなわち市街地)にあるか、都市の外にあるかに基づき判断されてもよい。危険性行列は、以下のように定義され得る。
【0176】
Δαβ:=l(Παβ)を、期間(すなわち時間スライス)αにおいて、対応する種別βの道路上でカバーされた(すなわち横断された)距離の計測であるとする。Ραβを、任意の適合する行列とする。その結果、
ρ:=ΣΡαβΔαβ 式(10)
【0177】
式(10)は、sの危険性測定を定義する。
【0178】
行列Ραβは、以下の性質を有する:
Ραβは負ではない、すなわち、Ραβij≧0 ∀i,j 性質(5)
【0179】
式(10)の結果は、カバーされた距離に線形に対応する。これは、長い距離がカバーされると(すなわち、大きなキロメートル数)、高い危険性測定につながることを意味する。
【0180】
次式
【0181】
【数30】
【0182】
は、sの危険性スコアと呼ばれる。
【0183】
危険性スコアは、サービスプロバイダ107によってユーザ108に対し課される料金に影響を与えてもよい。危険性行列は、表4の疑似コードに基づくコードを使用して、テレマティクスデバイス101上で実装されるとよい。
【0184】
【表4】
【0185】
SDP106に危険性行列をアップロードして行列エントリの値を0にリセットするために、さらなるコードが使用され得る。
【0186】
スピード行列、環境行列、および危険性行列は、それぞれ複数の行列エントリを含み得る。各行列エントリは、複数の要素から成るとよい。例えば、スピード行列の第2行第1列のエントリは、値56kmを有する。56kmは、第2行第1列によって定義される移動の状況のペア(すなわち、100km/hの制限スピードおよび0〜50km/hの間のスピード範囲)のもとでカバーされた距離として理解されるとよい。デバイスにプログラミングされる期間は、1日と定義される。本例によれば、56kmの値を備える行列エントリは、3つの要素から成る。第1の要素は、ユーザ108が車両102を、制限スピードが100km/hであった領域において40km/hで20km運転したときに行列エントリに記録された。第2の要素は、この期間内の後で、ユーザ108が車両102を、制限スピードが同じく100km/hであった別の領域において30km/hで20km運転したときに記録された。第3の要素は、この期間内のさらに後で、ユーザ108が車両102を、制限スピードが100km/hであったさらに別の領域において35km/hで16km運転したときに記録された。本例の各要素が記録されたのと同時に、別の行列エントリの他の要素が記録されていてもよい。
【0187】
一部の状況では、ポジションデータが、1つ以上の行列とともにSDP106にアップロードされるとよい。ポジションデータは、ユーザが、付随する結果を伴うアクションを実行するとアップロードされてもよい。このアクションは、危険な運転挙動(例えば、制限スピードを上回ること)、環境への悪影響を伴う運転挙動(例えば、高い加速度)、危ない領域(例えば氷で覆われた領域)での運転、または危ない時間帯(例えば夜)の運転とすることもできる。結果は、サービスプロバイダ107によってユーザ108に対し変更される料金の増加であってもよい。ポジションデータがSDP106にアップロードされるとき、ポジションデータは、ユーザの秘密鍵を用いて暗号化されるとよい。ポジションデータをユーザの秘密鍵を用いて暗号化することは、ユーザのプライバシーを保護する効果を有するとよい。ユーザ108は、追加料金の支払いを避けるために、SDP106またはサービスプロバイダ107によるポジションデータの復号化を許可することを選んでもよい(例えば、ユーザは、ポジションデータを使用して、アクションが発生した時点にそのポジションにいなかったことを示すことができるかもしれない)。
【0188】
SDP106は、イベントメッセージの受信をS802にて確認するとよい。S803にて、さらなるメッセージまたは同じ確認メッセージの中で、SDP106は、テレマティクスデバイス101の新たな設定のURLを提供してもよい。URLは、新たな設定をダウンロードするために使用されるとよい。S801にて送信されたデータが受理および処理されたことを示すコードが、S803にて送信されるメッセージ内で提供されてもよい。あるいは、新たな設定がテレマティクスデバイス101によるダウンロード用に入手可能であるかどうかと、S801にて送信されたイベントデータが処理できなかったこととを示すメッセージが、S804にて送信されてもよい。
【0189】
SDP106は、いくつかのテレマティクスデバイス(テレマティクスデバイス101を含む)からのデータを統合し、統合されたデータに関する統計分析を実行してから、統合されたデータをサービスプロバイダ107に転送してもよい。SDP106によって実行される統計分析は、3つの例示の行列(すなわち、スピード、環境運転挙動、および危険性の行列)に関連して上述した統合に似た、データの統合を含んでもよい。SDP106にて実行される統計分析の顕著な特徴の1つは、それがより長い期間、例えば一週間にわたって行われるということであってもよい。例えば、一週間の間に、テレマティクスデバイス101から7つの危険性行列が、SDP106に送信されることが可能である。週の終わりに、SDP106は、7つの行列を1つの行列に統合し(おそらく対応する値を集計することによって)、続いて結果をサービスプロバイダ107に送信する。
【0190】
SDP106は、スピード、環境、および危険性行列を記憶してもよい。実際には、一部の運転者は早朝には運転せず、この時間スライスに対応するエントリはすべて0となり得るため、行列は、疎行列であってもよい。さらに、いくつかのスピード違反、例えば都市の中心での100km/hは、まれである。行列を記憶する前、および場合によりテレマティクスデバイス101からSDP106に行列を伝送する前に、疎ブロック圧縮行格納方式(sparse block compressed row storage)またはHarwell−Boeing形式で行列を圧縮することが望ましいこともある。したがって、行列を圧縮すること(例えば、0の値を備える行列エントリを除外もしくは縮小すること)、または行列エントリがすべて0のときは行列を送信しないことによって、行列の送信により消費される帯域幅を削減できると考えられる。
【0191】
スピード、環境、および危険性行列は、テレマティクスデバイス101からSDP106にXML形式で伝送されてもよい。送信されるデータの量を最小化し、ひいてはデータを伝送するコストを最小化するために、行列データは、XMLリスト形式で伝送されてもよい。例えば、上記の例からの3行9列の環境行列Λは、表5に示されているように表されてもよい。
【0192】
【表5】
【0193】
具体例では、バイナリXML形式および/または圧縮ユーティリティ(例えばgzip)が使用されてもよい。一部の実装では、場合により圧縮ユーティリティと組み合わせた、WBXMLが適切となり得るであろう。WBXMLでの20%および圧縮ユーティリティでの40〜50%の圧縮率は、現実的であると考えられる。さらなる選択肢として、XMLの代わりにASN.1を使用することも考えられる。伝送されるデータの量を削減するのに、圧縮ユーティリティの使用は特に有用と考えられるが、テレマティクスデバイス101上での圧縮および解凍の要求があるため、性能考察が行われるとよい。
【0194】
スピード、環境、および危険性行列は、個別に送信されても、多次元行列に結合されて送信されてもよい。例えば、3次元行列、具体的には3次元スピード行列は、各時間スライスに2次元行列で、1日の時間スライスを7つ含み得るであろう。したがって、本例によれば、3次元行列は7つの2次元行列を含むことになるであろう。他の組み合わせも可能である。例えば、4次元行列が、各道路種別に関する複数の3次元スピード行列など、複数の3次元行列を含むこともできると考えられる。この例の続きとして、4次元行列は、1つは都市の道路種別、1つは非都市の道路種別に関する、2つのエントリを含んでもよい。各エントリは、複数の3次元行列を含んでもよい。
【0195】
したがって、行列はさらに、処理された衛星データを集約する、要素の1つまたは複数のリストとしても解釈され得ると考えられ、リスト内の各要素は、特定の移動の状況(例えば、制限スピードまたは運転速度)により移動した距離(例えば、キロメートル数)を表す。行列は、車両用テレマティクスデバイス101において様々な方法で実装され得る。例えば、2次元配列、構造体(レコードとも呼ばれる)の配列、またはオブジェクトの配列が使用され得るであろう。ポインタに基づく実装も可能である。構造体、オブジェクト、およびポインタは、C++プログラミング言語に関連して理解され得る。他の言語での実装も可能である。
【0196】
図9は、SDP106からサービスプロバイダ107に伝送されるとよいデータの例示の表示を示す。データは、場合によりテレマティクスデバイス101を含む、複数のテレマティクスデバイスから受信されたものでもよい。データは、制限スピード違反データ901、環境運転挙動データ902、および運転危険性因子データ903を含むとよい。制限スピード違反データ901は、累積したわずかな制限スピード違反、すなわち「ソフトファクト」を含んでもよく、これは、百分率として測定されてもよい。さらに、制限スピード違反データ901は、大幅な制限スピード違反、すなわち「ハードファクト」を含んでもよく、これは個別に提供されてもよい。環境運転挙動データ902の測定は、所定のイベントの記録を提供するとよい。例えば、車両102が環境保護地帯へと運転される期間とともに、高い加速の事例が記録されてもよい。運転危険性因子データ903は、事故が頻繁に発生する領域または時間(例えば夜)の運転を記録するとよい。
【0197】
図10は、テレマティクスデバイス101を使用することの考えられる利点を図で示す。
【0198】
一部の調査によれば、幹線道路に制限スピードがない場合、運転者が推奨スピードを上回ることは一般的である。さらに、事故の死傷者は、若い運転者で特に多い。こうした因子および他の因子は、一部の自動車保険市場で、高い損害請求と、保険料の減少との一因となる。
【0199】
さらに、各保険会社が、保険を求めるいずれの人にも自動車保険を提供する義務を法律的に負う場合、競合会社の自動車保険ポリシーから、1つの会社の自動車保険ポリシーを差別化するのは難しいと言われることもある。結果として、自動車保険会社は、ユーザの激しい入れ替わりおよびユーザの価格敏感性に苦しむこともある。さらに、各個人の損害のコストおよび危険性因子は、透明でないこともある。保険料は、消費者の区分の特徴に基づき計算され得る。これらの問題が、自動車保険市場の成長の可能性を制限しており、運転挙動をより正確に判断する必要性を生じさせていると考えられる。
【0200】
図11、12、および13は、スピード表示の種々の側面を示す。対応するセッティングおよび拡張表示を備える同様の表示が、環境運転挙動、道路種別危険性、および車両102が運転される時間帯に対する危険性を示すために提供されるとよい。
【0201】
図11は、テレマティクスデバイス101のGUIの例示のスピード表示120を示す。スピード表示120は、白色のバックグラウンド124を背景とする制限スピードインジケータ122を含む。制限スピードインジケータ122の白色のバックグラウンド124は、車両102が、車両102の位置に対応する制限スピード内の速度で移動していることを示すと理解されるとよい。速度インジケータ126は、車両102の速度が48km/hであることを示す。誤り制御入力要素127は、ユーザ108が、テレマティクスデバイス101によってレポートされない違反(例えば制限スピード違反)を記録できるようにする。GPSステータスインジケータ128は、衛星104からの信号のステータスを示す。例えば、テレマティクスデバイス101が現在、衛星104からの信号を受信していれば、GPSステータスインジケータ128は「ステータスok」を示す。テレマティクスデバイスが現在、衛星104からの信号を受信していなければ、GPSステータスインジケータ128は「信号なし」を示してもよいであろう。セッティング入力要素130は、例えば図17に示されているセッティング表示180などのセッティング表示をテレマティクスデバイス101上に示すために使用され得る。X入力要素132は、テレマティクスデバイス101上のGUIおよび運転分析アプリケーションを閉じるために使用され得る。X入力要素132へのアクセスは、本願に記載された、テレマティクスデバイス101上での運転分析機能の実行を停止する効果を有するとよい。
【0202】
図12は、テレマティクスデバイス101のGUIの例示の注意表示140を示す。注意表示140は、スピード表示120の変形として理解されるとよい。注意表示140では、制限スピードインジケータ142が、黄色のバックグラウンド144を背景に表示されている。黄色のバックグラウンド144は、車両102の速度が、車両102の位置に対応する制限スピードを上回ることを示すと理解されるとよい。しかし、注意表示140の例では、車両102の速度は、事前設定されている5km/hの許容範囲内である。事前設定されている許容範囲は、図17に関連して説明されるように変更されてもよい。速度インジケータ146は、車両102の速度が51km/hであることを示す。制限スピードインジケータ142は、車両102の位置に対応する制限スピードが、50km/hであることを示す。スピード表示120と同様に、注意表示140は、誤り制御入力要素127、GPSステータスインジケータ148、およびセッティング入力要素130を含む。表示140はさらに、X入力要素132を含む。
【0203】
図13は、テレマティクスデバイス101のGUIの例示の警告表示160を示す。警告表示160は、スピード表示120の変形として理解されるとよい。警告表示160では、制限スピードインジケータ162が、赤色のバックグラウンド164を背景に表示されている。赤色のバックグラウンド164は、車両102の速度が、車両102の位置に対応する制限スピードを上回り、速度が、事前設定されている5km/hの許容範囲外であることを示すと理解されるとよい。図15に関して示されるように、5km/hは、例示の事前設定されている許容範囲であり、変更されてもよい。赤色のバックグラウンド162に加えて、テレマティクスデバイス101は、可聴フィードバック103を出して、事前設定されている許容範囲外の速度が検出されたことを示してもよい。可聴フィードバック103は、ビープ音などの可聴信号としてもよい。さらに、可聴フィードバックは、保険料の増加または過料など、ユーザ108にとって不利な結果を示してもよい。
【0204】
速度インジケータ166は、車両102のスピードが56km/hであることを示す。制限スピードインジケータ162は、車両102の位置に対応する制限スピードが、50km/hであることを示す。スピード表示120および注意表示140と同様に、警告表示160は、誤り制御入力要素127、GPSステータスインジケータ168、セッティング入力要素130、およびX入力要素132を含む。
【0205】
図14は、テレマティクスデバイス101のGUIの例示のセッティング表示180を示す。セッティング表示180は、ユーザ108が、セッティング入力要素130をクリックした(または押した)後に示されるとよい。セッティング表示180は、3つの列を含み、警告表示160が示されるまでの時間および速度の許容範囲を調節するために使用され得る。図16との関連のように、警告表示は、可聴フィードバック103を伴うとよい。
【0206】
セッティング表示180の一番左の列は、速度のリストを降順で示し、各エントリが、車両102の位置に対する制限スピードに対応する。次の2つの列は、ヘッダ「秒」および「Km/h」を含む。「秒」列および「Km/h」列のエントリの両側にある矢印は、エントリの増減を可能にする。「秒」列のエントリは、秒の許容範囲、すなわち、違反が検出されてから警告表示160が示されるまでの秒数を指す。「Km/h」列のエントリは、スピード違反の許容範囲、すなわち、警告表示160が示されない制限スピード超過のkm/h数を指す。秒の許容範囲およびスピード違反の許容範囲は、集合的に許容範囲値と呼ばれてもよい。許容範囲値の変更が効力を生じる前に、運転分析アプリケーションの再起動が必要であってもよい。キャンセル入力要素184は、許容範囲値に対する何らの変更も保存せずにスピード表示120に戻るために使用されるとよい。保存入力要素186は、許容範囲値に対する変更を記録してスピード表示120に戻るために使用されるとよい。
【0207】
一例によれば、行182は、制限スピードが80km/hである場合、警告表示160が示されるには、車両102が制限スピードを少なくとも5km/h、少なくとも5秒間上回らなければならないことを示す。したがって、車両102が制限スピードを5秒未満、または5km/h未満上回ると、注意表示140が示される。
【0208】
さらに、データ転送入力要素183(例えばチェックボックス)が提供されてもよい。データ転送入力要素183は、データがテレマティクスデバイス101からSDP106に転送されるかどうかをユーザ108が選択できるようにするとよい。
【0209】
図15は、拡張スピード表示220の例を示す。スピード表示120の要素に加えて、拡張スピード表示220は、都市インジケータ222および制限インジケータ224を示す。都市インジケータ222は、車両102が市街地に位置するかどうかを示す。制限インジケータ224は、車両102の位置に対応する制限スピードを示す。FC(Function Class:機能クラス)インジケータ225は、車両102の位置に対応する道路種別を指すとよい。
【0210】
図16は、拡張セッティング表示240の例を示す。拡張セッティング表示240は、セッティング表示180の要素に加えて、図18および20に示されている拡張された情報が示されるべきであるか否かをユーザが選択できるようにする、拡張表示入力要素242(例えばチェックボックス)を提供する。図14のデータ転送入力要素183と同様に、データ転送入力要素243は、データがテレマティクスデバイス101からSDP106に転送されるかどうかをユーザ108が選択できるようにするとよい。
【0211】
図17は、拡張警告表示260の例を示す。警告表示160の要素に加えて、拡張警告表示260は、都市インジケータ262、料金インジケータ264、ペナルティインジケータ266、違反インジケータ268、および点数インジケータ270を含む。警告表示160と同様に、拡張警告表示260は、可聴フィードバック103を伴うとよい。都市インジケータ262は、車両102が市街地にあるかどうかを示す。料金インジケータ264は、違反インジケータ268によって示される違反に対応する過料を示す。図20の例によれば、違反は、車両102が81km/hのスピードで移動することによって50km/hの制限スピードを上回ったこと、すなわち、車両102が制限スピードを31km/h上回ったことである。過料は、違反に関して法的に規定されている罰金として理解されるとよい。ペナルティインジケータ266は、違反に関して規定されていることもあるさらなるペナルティを示す。図20の具体例では、料金インジケータ264は、この違反により、160ユーロの罰金が要求されることを示し、ペナルティインジケータ266は、この違反により、ユーザ108の運転免許の1ヶ月の停止が要求されることを示す。さらに、点数インジケータ270は、この違反により、ユーザ108の運転免許に3点の記録が要求されることを示す。テレマティクスデバイス101はさらに、地域における違反に対応する罰金およびペナルティの表を表示するよう設定されていてもよい。
【0212】
テレマティクスデバイス101のGUIはさらに、図9に示されている情報に似たインデックスまたは要約情報を表示するよう設定されていてもよい。
【技術分野】
【0001】
本願は、ユーザのプライバシーを確保する、コンピュータで実装される方法、コンピュータプログラム製品、およびデバイスに関する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
一側面による、ユーザのプライバシーと、車両用テレマティクスデバイス(vehicle telematics device)などのデバイスによってサーバへ伝達されるデータの有用性とを確保する、コンピュータで実装される方法。本方法は、
−期間中にデバイスを移動させるステップと、
−期間中にデバイスにてデータを受信するステップと、
−受信されたデータを、デバイスによって処理するステップと、
−処理されたデータを、デバイスによって行列に集約する(summarize)ステップであって、行列の行および列は、デバイスの移動の状況(circumstances of movement)を定義し、行列は、複数の行列エントリ(matrix−entry)を含み、各行列エントリは、前記事前に定義されている移動の状況のペアのもとで、期間中にデバイスによってカバーされた(covered)距離を含む、ステップと、
−集約されたデータをデバイスからサーバに伝送するステップと、
を含むとよい。
【0003】
上記の、データを行列に集約するステップは、ユーザのプライバシーと、デバイスによって伝達されるデータの有用性とを確保する効果を有し得る。これは、処理されたデータが、集約によって、カバーされた距離と、距離がカバーされた移動の状況とに縮小されることが理由である。したがって、伝送されるデータは、慎重な扱いを要するユーザデータを含まなくてもよく、その結果、ユーザのプライバシーが確保される。しかし、伝送されるデータは、カバーされた距離および移動の状況を含むため、有用性を保つ。
【0004】
データの集約は、データを圧縮して統合する(aggregate)こと(例えば統計的に統合すること)を指すと理解されてもよい。具体的には、集約は、特定の速度(velocity)でカバーされた距離を、或る範囲の速度でカバーされた距離に変換することを指してもよい。
【0005】
処理されるデータは、ポジションデータ、速度データ、および時間データのうちの少なくとも1つを含むとよい。さらに、速度データは、デバイスが移動されたスピードを示すとよい。「速度」という用語は、方向および値を有するベクトルを指すとよい。「スピード」という用語は、速度の値を指すとよい。
【0006】
本方法は、
ポジションデータおよび/または速度データおよび/または時間データと、デバイス上に記憶されている地図情報とを関連付けるステップと、
付随する結果を伴うアクションをユーザが実行したことを、デバイスによって関連付けに基づき判断するステップと、
アクションに応答して、デバイスによって、警告を生成、具体的には伝達するステップと、
をさらに含むとよい。
【0007】
警告は、ユーザの注意をそらすことなくユーザと対話する、単純な方法と理解されるとよい。警告は、伝達されるとよく、警告に関係しない注意をそらす信号が実質的に少しも提供されないような形で、視覚表示および/または可聴音を含むとよい。警告は、車両の運転者などのデバイスのユーザに、他の方法では入手できない情報を提供するとよい。したがって、警告は、アクションをユーザに知らせる単純な方法であればよい。さらに、この単純化は、例えば地図を表示するコストなどのコストを削減するとよい。
【0008】
さらに、警告を考慮して、ユーザがその運転を改善する是正アクション(corrective action)をとることができるとよい(例えば、警告に応答する、将来の警告を避けるなど)。
【0009】
さらに、本方法は、集約されたデータを伝送の前に暗号化するステップを含むとよく、集約されたデータは、ユーザからの補助なしにサーバによって復号化できる。さらに、本方法は、アクションに対応する処理されたデータを、伝送の前に暗号化するステップを含むとよく、処理されたデータは、ユーザの鍵を用いてのみ復号化できる。さらに、本方法は、暗号化された処理されたデータを、デバイスからサーバに伝送するステップを含むとよい。
【0010】
2つの異なるタイプの暗号化は、処理されたデータのセキュリティを改善する効果を有するとよい。したがって、処理されたデータにはユーザの同意を得てのみ(例えば、ユーザの秘密鍵を利用して)アクセス可能であることから、このデータは、サーバ上で記憶されるが、それでもユーザのプライバシーが確保されるとよい。集約されたデータは、ユーザの補助なしに復号化できるように暗号化することによって、第三者から保護されるとよい。さらに、集約されたデータは、サーバにて使用および処理可能である。
【0011】
さらに、ユーザのアクションに応答してのみ、処理されたデータを暗号化してサーバへ伝送することによって、デバイスのCPU負荷が節約され、ネットワークトラフィックが削減される。それでもサーバには、警告を生成したユーザのアクションを完全に記録するための十分なデータ(暗号化された処理されたデータ)が記憶される。
【0012】
いくつかの特定の実施形態では、集約されたデータは、サーバの公開鍵、またはユーザとサーバとの間で共有される秘密鍵を使用して暗号化されるとよい。一部の実施形態は、処理されたデータは、ユーザの秘密鍵またはユーザの公開鍵を用いて暗号化されるよう指定してもよい。さらに、一部の特定の実施形態は、暗号化された処理されたデータおよび暗号化された集約されたデータの同時の伝送を指定してもよい。
【0013】
事前に定義されている移動の状況は、
デバイスが距離をカバーした速度範囲、
デバイスが距離をカバーした加速度(rate of acceleration)、
デバイスによってカバーされた距離内の少なくとも1つのポジションに対応する制限スピード、
デバイスによってカバーされた少なくとも1つのポジションに対応する道路種別、
のうちの1つ以上を含むとよい。
【0014】
加速度は、センサーを使用して決定されてもよく、または加速(acceleration)は、ある期間にわたる速度の変化に基づき計算されてもよい。言い換えれば、加速は、センサーを使用して経験的に判断されること、および/または速度の一次時間微分および/またはポジションの二次時間微分として数学的に決定されることができ、速度および/またはポジションは、例えばGPSセンサーを使用して経験的に取得されるとよい。
【0015】
したがって、地図情報は、一組の地図座標を含むとよい。ポジションデータおよび速度データを関連付けるステップは、ポジションデータおよび速度データと、一組の地図座標に関係付けられている道路種別および/または制限スピードとを関連付けるステップをさらに含むとよい。
【0016】
さらに、アクションは、
制限スピードを上回ること、
事前に定義されている加速度を上回ること、
ユーザに危険をもたらすポジションに接近およびまたは存在すること、
のうちの1つ以上を含むとよい。
【0017】
さらに、デバイスは、地図情報を表示しなくてもよい。
【0018】
したがって、警告は、伝達されるとよく、警告に関係しない注意をそらす信号が実質的に少しも提供されないような形で、視覚表示および/または可聴音を含むとよい。したがって、警告は、アクションをユーザに知らせる単純な方法であるとよい。さらに、この単純化は、例えば地図をデバイス上で表示するコスト、または高機能の表示装置を提供するコストなどのコストを削減するとよい。
【0019】
さらに、少なくとも1つの行列エントリEijは、複数の要素から成ってもよく、複数の要素の各要素
【0020】
【数1】
【0021】
は、距離を定義する。さらに、要素
【0022】
【数2】
【0023】
により定義される距離は、その次の要素
【0024】
【数3】
【0025】
により定義される距離がカバーされた時間間隔に隣接しない時間間隔中にカバーされたものでもよい。さらに、各行列エントリの複数の要素は、前記行列エントリに対応し事前に定義されている移動の状況のペアのもとで、期間中にデバイスによってカバーされた距離を定義するとよく、複数の行列エントリは、期間中にデバイスによってカバーされた距離を定義するとよい。
【0026】
上記の文において、
【0027】
【数4】
【0028】
であり、Nは自然数である。場合によっては、Nは20未満であるとよい。
【0029】
一部の実施形態では、行列は、30×30の最大サイズを有してもよい。言い換えれば、iおよびjの値は、0から29の最大値の範囲であってもよい。さらに、最大値を29未満とすることも可能である。好適な実施形態では、行列のサイズは、26×26であるとよい。言い換えると、iおよびjの値は、0から30、好適には10から30、より好適には20から30の範囲であるとよい。場合によっては、行列は正方でなくてもよい(例えば、環境行列(ecological matrix))。
【0030】
一部の実装では、要素
【0031】
【数5】
【0032】
の最小サイズは、10メートルとしてもよい。例えば20m、50m、または1kmの最小サイズなどの他の実装も可能である。場合によっては、行列エントリは0であることもある。さらに、行列エントリは、1つのみの要素から成ってもよい。
【0033】
よって、デバイスは、車両に組み込まれているとよい。さらに、本方法は、デバイスが車両に組み込まれていることを理由に、ユーザに補償を行うステップを含むとよい。
【0034】
さらに、行列は、運転挙動の指標を計算するために使用されてもよい。
【0035】
一部の実施形態では、本方法は、
伝送されたデータと、少なくとも1つの他のデバイスからのデータとを、サーバにて統合するステップと、
サーバにて統合されたデータに基づき、統計データを生成するステップと、
を含むとよく、好適には、
ウェブポータルを提供するステップであって、ユーザは、ウェブポータルを利用して、ユーザの統計データおよび/または集約されたデータにアクセスできる、ステップと、
を含む。
【0036】
ウェブポータルは、2つのウェブポータルを含んでもよく、第1のウェブポータルは、パーソナルコンピュータからアクセスされるよう設計され、第2のウェブポータルは、テレマティクスデバイスからアクセスされるよう設計される。テレマティクスデバイスの能力が限られていることを考慮に入れるために、2つのウェブポータルを有することが望ましいこともある。ウェブポータルは、動的なウェブポータルであってもよく、これには、ウェブポータルにアクセスするデバイスを推定できるということ、およびウェブポータルによって提供される情報/データをデバイスに適合させることができるということが含まれ得る。したがって、PDA(Personal Digital Assistant:携帯情報端末)などのモバイルデバイスを使用してウェブポータルにアクセスするユーザは、ネットワークコンピュータを使用してウェブポータルにアクセスするときと比較して、異なるデータを受信してもよい。したがって、ネットワークは、ポータルにアクセスしようとするデバイスに関して最適な形で使用される。
【0037】
集約および統合されたデータのポータルにおける表示は、改善されたマン・マシン対話をもたらすとよい。ユーザは、その運転挙動および/または燃料消費に関係するオンラインフィードバックを提供されるため、その運転の改善(例えば危険を避ける、燃料消費を削減するなど)のために是正アクションをとることができるかもしれない。
【0038】
別の側面によれば、コンピュータプログラム製品が提供される。コンピュータプログラム製品は、コンピュータ可読媒体上に記憶されるか、またはデータ信号として提供されるとよいコンピュータ可読命令を含み、命令が車両用テレマティクスデバイスなどのデバイス上にロードされて実行されると、命令が、先行する請求項のうちのいずれか1項に記載の方法による動作をデバイスに実行させるようにしてもよい。
【0039】
さらに別の側面によれば、車両用テレマティクスデバイスなどのデバイスが提供される。デバイスは、
−期間中にデータを受信するよう動作可能な受信器であって、受信されるデータは、期間中にデバイスが移動されたことを示す、受信器と、
−受信されたデータを処理し、処理されたデータを行列に集約するよう動作可能なプロセッサであって、行列の行および列は、デバイスの移動の状況を定義し、行列は、複数の行列エントリを含み、各行列エントリは、前記事前に定義されている移動の状況のペアのもとで、期間中にデバイスによってカバーされた距離を含む、プロセッサと、
−集約されたデータをサーバに伝送するよう動作可能な送信器と、
を含むとよい。
【0040】
一部の実施形態では、デバイスは、モバイル電話などのモバイルデバイスである。
【0041】
デバイスは、車両に物理的に組み込まれていてもよく、その場合デバイスは、車両のインターフェースを使用して通信する。
【0042】
これは、デバイス内に車両コンポーネントを重複させることを避けることにより、製造/設置コスト、さらにデバイスの技術上の複雑性を削減し得る。
【0043】
技術的定義
「テレマティクスデバイス」は、情報を送信、受信、および記憶できる電気通信デバイスとして理解されるとよい。同様に、「車両用テレマティクスデバイス」は、道路車両内で使用されるテレマティクスデバイスとして理解されるとよい。テレマティクスデバイスは、GPSモジュールに接続されること、および/またはそれを含むこともできる。テレマティクスデバイスは、車両内で使用可能な、もしくは車両に組み込まれることが可能な、スマートフォン、PDA、ネットブック、または他の電子デバイスであってもよい。
【0044】
「ユーザ」は、人または個人であるとよい。具体例によれば、ユーザは、例えば乗用車などの車両の運転者である。
【0045】
ユーザの「秘密鍵」は、ユーザのみが知っている、対称暗号化および復号化で使用される鍵として理解されるとよい。
【0046】
ユーザの「私有鍵」は、ユーザのみが知っている、非対称暗号法の値として理解されるとよい。私有鍵は、公開・私有鍵ペアの一部として使用されても、またはデジタル認証(例えばメッセージのデジタル署名)に使用されてもよい。
【0047】
ユーザの「プライバシー」の確保は、ユーザのデータを保護すること、特にユーザの、慎重な扱いを要するデータを保護することを含むと理解されるとよい。慎重な扱いを要するデータには、ポジションデータ、時間データ、およびユーザのアイデンティティが含まれ得る。慎重な扱いを要するデータは、こうしたデータ要素のうちの1つ以上の組み合わせをさらに含み得る。
【0048】
デバイスによって伝達されるデータの「有用性」の確保は、伝達されるデータの受信側に有用なデータを提供することを含むと理解されるとよい。
【0049】
処理されたデータの「集約」は、処理されたデータを、関係のあるデータが保たれ慎重な扱いを要するデータが除去されるように縮小することとして理解されるとよい。データの集約は、慎重な扱いを要するデータを除去する一方で有用なデータを保つ効果を有するとよい。データの集約は、データを処理する形態として理解されるとよい。したがって、処理されたデータの集約は、処理されたデータを処理する方法として理解されるとよい。さらに、集約は、データから行列エントリを作成することと理解されてもよい。
【0050】
「デバイスを移動させること」は、ユーザにより実行されるとよい。例えば、デバイスは、1つの位置から別の位置へユーザによって運転される車両内にあってもよい。さらに、デバイスが移動される期間は、事前に定義されていてもよい。言い換えると、期間の継続時間は、デバイスが移動される前に定義されてもよい。時間の継続時間は、ユーザがデバイスにアクセスできる前に、デバイスのプログラミングに含まれることも可能である。デバイスの設定によって期間が定義されることも可能である。
【0051】
「移動の状況」は、事前に定義されているとよい。言い換えれば、移動の状況は、デバイスが移動される前に定義されるとよい。移動の状況は、ユーザがデバイスにアクセスできる前に、デバイスのプログラミングに含まれていてもよい。デバイスの設定によって移動の状況が定義されることも可能である。
【0052】
「移動の状況のペア」は、2つの移動の状況として理解されるとよく、1つが行列エントリの行に対応し、もう1つが行列エントリの列に対応する。
【0053】
行列エントリに含まれる「距離」が0であることもあり得る。
【0054】
「時間データ」は、例えば、年、月、日、時、分、秒などのタイムスタンプとして理解されてもよい。
【0055】
アクションに付随する「結果」は、スピード違反に付随するかもしれない、法律上の罰金の可能性などの、生じ得る結果であってもよい。さらに、または代わりに、結果は、サービスプロバイダ(例えば保険会社)によりユーザに対し課される料金の増加であってもよい。
【0056】
「ポジション」は、地点または特定の場所として理解されるとよい。ポジションは、3次元、すなわち長さ、幅、高さで表現されてもよい。
【0057】
本明細書に記載される主題は、方法として、またはデバイス上に、場合によっては1つ以上のコンピュータプログラム製品の形態で実装可能である。本明細書に記載される主題は、データ信号において、または機械可読媒体上に実装可能であり、媒体は、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ、またはハードディスクなどの1つ以上の情報キャリアにおいて具現化される。そのようなコンピュータプログラム製品は、本明細書に記載された1つ以上の動作をデータ処理装置に実行させるとよい。
【0058】
さらに、本明細書に記載される主題は、プロセッサと、プロセッサに結合されたメモリとを含むシステムとして実装されることも可能である。メモリは、本明細書に記載された方法のうちの1つ以上をプロセッサに実行させる1つ以上のプログラムをエンコードしているとよい。本明細書に記載されるさらなる主題は、様々な機械を使用して実装可能である。
【0059】
1つ以上の実装の詳細が、以下の例示の図面および説明に記載されている。他の特徴は、説明、図面、および特許請求の範囲から明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】例示のテレマティクスシステムを示す。
【図2】テレマティクスシステムの例示の論理アーキテクチャを示す。
【図3】テレマティクスシステムの例示の機能アーキテクチャを示す。
【図4】テレマティクスシステムの例示のソフトウェアアーキテクチャを示す。
【図5】テレマティクスデバイスの考えられる状態および状態遷移を示す。
【図6】サービスデリバリプラットフォームの考えられる状態および状態遷移を示す。
【図7】テレマティクスデバイスを有効化するためにとられ得る例示のステップを提供する。
【図8】テレマティクスデバイスからサービスデリバリプラットフォームにイベントメッセージを送信するプロセスを表す。
【図9】サービスデリバリプラットフォームからサービスプロバイダに伝送され得るデータの表示を示す。
【図10】テレマティクスデバイスを使用することの考えられる利点を図で示す。
【図11】テレマティクスデバイスのGUI(Graphical User Interface:グラフィカルユーザインターフェース)からの例示のスピード表示を示す。
【図12】テレマティクスデバイスのGUIからの例示の注意表示を示す。
【図13】テレマティクスデバイスのGUIからの例示の警告表示を示す。
【図14】テレマティクスデバイスのGUIからの例示のセッティング表示を示す。
【図15】テレマティクスデバイスのGUIからの拡張スピード表示の例を示す。
【図16】テレマティクスデバイスのGUIからの拡張セッティング表示の例を示す。
【図17】テレマティクスデバイスのGUIからの拡張警告表示の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0061】
以下の文章では、図面を参照して、例を詳細に説明する。当然のことながら、例に対して様々な変更が加えられ得る。特に、1つの例の要素が組み合わされて、他の例において使用され、新たな例を形成することもある。
【0062】
図1は、例示のテレマティクスシステム100を示す。テレマティクスデバイス101は、車両102内に位置するとよい。車両102は、乗客を運搬でき、道路上を運転されることができる乗用車またはトラックとしてもよい。テレマティクスデバイス101は、センサーを備えているとよく、可聴フィードバック103を提供できるとよい。さらに、テレマティクスデバイス101には、衛星104から信号を受信できる設備が整っているとよい。衛星104は、例えば全地球測位システム(GPS:global positioning system)などの全地球航法衛星システムとしてもよい。衛星104は、テレマティクスデバイスがその現在位置、現在時刻、および車両102の速度を判断できるようにする、電波信号を送信できるとよい。テレマティクスデバイス101は、衛星104から受信されたデータを集約(すなわち統合)してから、電気通信サービスプロバイダ105を利用してサービスデリバリプラットフォーム(SDP:service delivery platform)106にデータを送信するとよい。
【0063】
サービスデリバリプラットフォーム106は、データをサービスプロバイダ107に提出するために、いくつかの他のテレマティクスデバイスからのデータを統合するとよい。サービスプロバイダ107は、自動車サービスプロバイダ、またはより具体的には、保険会社であってもよい。テレマティクスデバイス101およびSDP106によって伝送されるデータは、暗号化されるとよい。テレマティクスデバイス101からSDP106に伝送されるデータは、テレマティクスデバイス101の識別子を含んでもよい。SDP106は、テレマティクスデバイス101の識別子と、車両102の運転者との照合を可能にするデータを有しなくてもよい。ユーザ108は、サービスプロバイダ107からサービスを受けるとよい。ユーザ108は、サービスプロバイダ107の顧客としても理解され得る。ユーザ108が受けるサービスのコストは、テレマティクスデバイス101から送信されるデータに基づいてもよい。ユーザ108は、車両102の運転者であるとよい。
【0064】
テレマティクスデバイス101は、Apple iPhone(AppleおよびiPhoneは、Apple Corporationの商標)などのモバイル電話、携帯情報端末(PDA)、ネットブックなどとすることもできる。テレマティクスデバイス101は、Windows Mobile(例えば、Windows Mobile 6.X)、Blackberry OS、iPhone OS、Symbian OSなどの、オペレーティングシステム(OS:operating system)を含むとよい。さらに、または代わりに、テレマティクスデバイス101は、車両102に組み込まれていてもよい。言い換えれば、テレマティクスデバイス101は、車両102内に物理的に統合されてもよく、テレマティクスデバイス101は車両102から容易に持ち出しできないようになっていてもよい。ユーザ108は、テレマティクスデバイス101が車両102に組み込まれていることを理由に、補償を受けてもよい。より具体的に言えば、ユーザ108は、テレマティクスデバイス101が車両102に組み込まれていることを理由に、ユーザ108がサービスプロバイダ107に支払う料金(例えば保険料)の減額を受けてもよい。テレマティクスデバイス101を車両102に組み込むことは、ユーザ108が、テレマティクスデバイス101なしで車両102を運転することを防ぐ効果を有するとよい。組み込まれたテレマティクスデバイス101は、ユーザ108のアクションに応答して生成された警告を、車両102のインターフェースを使用して伝達するとよい。
【0065】
OSによって提供されないテレマティクスデバイスの機能、例えば衛星104から受信されるデータの集約の機能などは、1つ以上のアプリケーションによって提供されるとよい。アプリケーションは、SDP106によってアプリケーションストア(例えば、Apple Corporation、Android、またはBlackberry)に対応するアプリケーションストアのうちの1つ)にアップロードされたものでもよい。アプリケーションは、ユーザ108によってアプリケーションストアからダウンロードされるとよい。アプリケーションは、様々な追加的サービスを提供するサービスプラットフォームの一部であってもよい。
【0066】
テレマティクスデバイス101は、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)を提供するとよい。テレマティクスデバイス101のGUIは、GUI要素を表示できるとよい。例えば、テレマティクスデバイス101のGUIは、車両102の速度、車両102の位置に対応する許容最高速度、衛星104からの信号のステータス、セッティング入力要素(例えばセッティングボタン)、および誤り制御入力要素(例えば誤り制御ボタン)のうちの1つ以上を表示できるとよい。さらに、テレマティクスデバイス101のGUIは、入力を受け取ることができるとよい。例えば、テレマティクスデバイス101のGUIは、違反の許容範囲値(例えば時間またはスピード)を変更するために使用されてもよい。さらに、または代わりに、テレマティクスデバイス101のGUIは、誤った違反、すなわち誤って記録された違反を指定するために使用されてもよい。具体例によれば、テレマティクスデバイス101のGUIは、800×480画素の解像度を有する。テレマティクスデバイス101は、運転分析アプリケーションを含むとよい。
【0067】
図2は、テレマティクスシステム100の例示の論理アーキテクチャ200を示す。図2の説明は、特定のソフトウェアコンポーネントに言及するが、他の実装(例えば他のコンポーネントまたはコンポーネントの組み合わせ)も可能である。テレマティクスデバイス101は、電気通信サービスプロバイダ105と、モバイル通信用グローバルシステム(GSM:global system for mobile communications)のユーザが利用可能な汎用パケット無線サービス(GPRS:general packet radio service)を利用して通信するとよい。ユニバーサル移動体通信システム(UMTS:universal mobile telecommunication system)、ワイヤレスネットワークプロトコルなど、GPRSおよびGSMに代わるものも可能である。例として、モバイルデバイスから1日に約20kbの伝送をサポートできる任意の通信システムが使用可能であろう。
【0068】
図2に示されているアーキテクチャは、例えばリレーショナルデータベース管理システム(RDBMS:relational database management system)などのデータベース201をバックエンドとして備えるJavaマルチティアウェブアーキテクチャとして理解されてもよい(Javaは、Sun Microsystems,Incの商標)。
【0069】
アーキテクチャは、モデル・ビュー・コントローラ設計パターンに従って実装されてもよく、ビューは、ハイパーテキストマークアップ言語(HTML:hypertext mark up language)、カスケーディングスタイルシート(CSS:cascading style sheets)、およびJavaサーバページ(JSP:Java server pages)によって実現される。論理アーキテクチャ200のドメインモデルは、プレーンオールドJavaオブジェクト(POJO:plain old Java object)を用いて実装されてもよい。POJOは、複雑なオブジェクトフレームワークの機能を含まないが、代わりにその意図される目的を達成するのに必須の機能のみを含むオブジェクトとして理解されるとよい。ドメインモデルのPOJOは、データベース201に存続してもよい。単純化されたアクセスモデルを提供するため、特にテレマティクスデバイス101を接続するために、表現状態転送(REST:representation state transfer)フレームワーク206が使用されてもよい。アプリケーションサーバ202上のソフトウェアコンポーネントは、制御の反転(IOC:inversion of control)コンテナ205のフレームワークにプラグインされてもよい。
【0070】
テレマティクスデバイス101は、電気通信サービスプロバイダ105のモバイル電話ネットワークを介して、GPRSを利用してデータを伝送するとよい。データは、ハイパーテキスト転送プロトコル(HTTP:hypertext transfer protocol)リクエストを使用して仮想プライベートネットワークを利用して伝送されるとよい。HTTPリクエストおよび応答の例を、下記の表1において見ることができる。
【0071】
【表1】
【0072】
リクエストの行は、「>」記号で始まり、応答の行は、「<」記号で始まる。メッセージの受信を確認するために、HTTPステータスコードが使用されるとよい。同様に、問題が生じたことを示すには、HTTPエラーコードが使用されるとよい。
【0073】
具体例によれば、特定のソフトウェアコンポーネントが、論理アーキテクチャ200の各部分を実装するために使用されるとよい。したがって、データベース201は、MySQLソフトウェアを使用して実装されてもよい(MySQLは、Sun Microsystems Inc.の商標である)。さらに、ライトウェイトディレクトリアクセスプロトコル(LDAP:lightweight directory access protocol)サーバ202が、オープンのOpenLDAPを使用して実装されてもよい。ウェブサーバ203は、Apacheソフトウェアを使用して実装されてもよく、アプリケーションサーバ204は、Tomcatソフトウェアを使用して実装されてもよい。IOCコンテナ205は、Springソフトウェアを使用して実装されてもよく、RESTフレームワーク206は、Java API for RESTful Web Services(Jersey)を使用して実装されてもよく、ウェブサービスフレームワーク206は、Spring−WSを使用して実装されてもよい。セキュリティコネクタ207は、mod_ssl(すなわち、セキュアソケットレイヤのApacheウェブサーバモジュール)を使用して実装されてもよく、Javaコネクタ208は、mod_jkを使用して実装されてもよく、圧縮モジュール209は、mod_gzipまたはmod_deflateを使用して実装されてもよい。
【0074】
図3は、テレマティクスシステム100の機能アーキテクチャ300を示す。プロトコルアダプタ301は、ワイヤプロトコルの変換を実行するとよい。例えば、メッセージが、拡張可能マークアップ言語(XML:extensible mark up language)またはJason(Javaベースのエージェント指向インタプリタ)を使用して伝送される場合、XMLバインドのためのJavaアーキテクチャ(JAXB:Java architecture for XML binding)が変換に使用されてもよい。JAXBは、XML要素をJavaプログラミング言語のクラスにマッピングするために使用可能である。抽象構文記法1(ASN.1:abstract syntax notation 1)が実装される場合、変換を実行するために市販のASN.1コンパイラが使用されてもよい。地図表示302は、地図上に進路または位置依存性情報を表示するために使用されるとよい。進路は、運転者が通ったところの記録を提供する、地点の順序付けられた集合として理解されるとよい。進路内の各地点は、テレマティクスデバイス101から受信されたポジションデータを含むとよい。一例によれば、Google mapsアプリケーションプログラミングインターフェース(GoogleはGoogle Corporationの商標)を使用して表示するよう、GPS交換形式(GPX:GPS exchange format)データの形式を合わせるために、Javascriptが使用されてもよい。ポータル303が、ユーザ対話のために提供されるとよく、ウェブフローおよびパーソナライズを提供するために、Springモード・ビュー・コントローラを使用して実装されてもよい。
【0075】
公開鍵および私有鍵を用いる非対称暗号化304が、テレマティクスデバイス101とSDP106との間のデータトラフィックを暗号化するために使用されてもよい。対称暗号化サーバ305が、SDP106にて非対称私有鍵を暗号化および復号化するために使用されてもよい。対称暗号化クライアント306が、例えばウェブブラウザにおいて、非対称私有鍵を暗号化および復号化するために使用されてもよい。非対称暗号化は、リベスト・シャミール・アドルマン(RSA:Rivest Shamir Adleman)アルゴリズムを使用して実装されてもよく、対称暗号化は、新暗号規格(AES:advanced encryption standard)を使用して実装されてもよい。一部の実施形態では、対称暗号化クライアント306は、Javascript Crypto Library(AGPL)またはgibberish−aes(MIT)を使用してJavascriptで暗号化/復号化を実装してもよい。アイデンティティ管理307は、証明書をインポートおよび記憶するためにLDAPを使用して実行されてもよい。
【0076】
サービス有効化308は、専用の有効化リソースを使用して実行されてもよい。アルゴリズム309は、運転挙動の分析をカプセル化するために使用されてもよい。レポーティングは、テレマティクスデバイス101から、および場合により他のテレマティクスデバイスからも収集されたデータを分析するために、SQLスクリプトを使用して実装されてもよい。サービスプロバイダアダプタ311は、サービスプロバイダ107などのサービスプロバイダにSDP106へのアクセスを提供するウェブサービスとして実装されてもよい。サービスプロバイダアダプタ311は、新たなサービスプロバイダからのデータを処理して、個別の、および統計的に統合された運転者挙動の分析を、適切なサービスプロバイダに配信するために使用されるとよい。
【0077】
電気通信アダプタ312は、テレマティクスデバイス101で使用されているサブスクライバアイデンティティモジュラー(SIM:subscriber identity modular)カードを有効化するために使用されてもよい。電気通信アダプタ312は、ウェブサービスを使用して実装されてもよい。SMSゲートウェイ313は、ショートメッセージサービス(SMS:short message service)メッセージ、特にバイナリSMSメッセージを送信するために使用されるとよい。SMSゲートウェイ313は、ウェブサービスを使用して実装されてもよい。ソフトウェア更新アプリケーション314は、ソフトウェア更新をテレマティクスデバイス101に転送するために使用されるとよい。1つの具体例によれば、REST getコマンドが、データ転送を開始するために使用されてもよく、SMSゲートウェイ313からのメッセージが、テレマティクスデバイス101によるデータアップロードをトリガするために使用されてもよい。地図ダウンロードアプリケーション315は、地図更新をテレマティクスデバイス101に転送するために使用されてもよい。一例によれば、REST getコマンドが、データ転送に使用されてもよく、SMSメッセージが、地図アップロードをトリガしてもよい。
【0078】
図4は、アプリケーションサーバ上のソフトウェアレイヤおよびテレマティクスデバイス101によって送信されるメッセージのURL構造に関する詳細を明示する。
【0079】
図5および6は、テレマティクスデバイス101およびSDP106の状態および状態遷移を明示する。
【0080】
図5は、テレマティクスデバイス101の考えられる状態および状態遷移を示す。特に、デバイス遷移図500は、テレマティクスデバイス101上でソフトウェアまたは設定の更新を実施するために必要なステップを示すと理解されるとよい。プロセスは、ステップS501にて、車両102のイニシャル点火、またはテレマティクスデバイス101におけるSMSメッセージの受信のいずれかにより開始する。イニシャル点火またはSMSメッセージの受信は、テレマティクスデバイス101を、スリープモードから復帰させるか、または起動させて、管理アプリケーションをロードさせる。ステップS502では、テレマティクスデバイス101には、ロードするべき利用可能な設定がない。これは、ステップS503にて、SDP106から設定をダウンロードすることによって対処されるとよい。設定がSDP106から取得された後、設定がステップS504にてロードされるとよい。テレマティクスデバイス101からSDP106に送信されるあらゆるメッセージは、設定識別子を含むとよい。SDP106は、テレマティクスデバイス101からのイベントメッセージの受信を確認するときに、新たな設定が利用可能であることを示してもよい。
【0081】
ステップS505にて、テレマティクスデバイス101は、SDP106から、新たな設定が利用可能であることを示すメッセージを受信する。テレマティクスデバイス101は、ステップS506にて、SDP106から新たな設定をダウンロードするとよい。任意選択で、追加のソフトウェア更新が、ステップS507にてダウンロードされてもよい。新たな設定が、場合により追加のソフトウェアとともにインストールされると、テレマティクスデバイス101は、S504に戻る。テレマティクスデバイス101は、ステップS508にて、終了または無効化されてもよい。テレマティクスデバイス101は、その現在の設定を削除してから終了してもよい。無効化の後、テレマティクスデバイス101は、ステップS509にて、リセットの命令を受信してもよい。ステップS509におけるリセットの命令は、様々な状況で、場合によっては問題を解消してデバイスをデフォルトまたは標準設定に戻すために与えられ得る。
【0082】
図6は、SDP106の考えられる状態および状態遷移を示す。具体的には、サーバ遷移図600は、テレマティクスデバイス101の有効化および無効化に必要なステップを示すと理解されるとよい。プロセスは、ステップS601にて、ユーザ証明書を生成するためにユーザが識別子を入力すると開始するとよい。テレマティクスデバイス101が、S602にて登録される。ユーザの証明書が有効であることを検証した後、デバイスは、S603にて有効化可能である。テレマティクスデバイス101は、指示または命令を受信すると、ステップS604にて無効化可能である。デバイスの再有効化は、ユーザ証明書をイベントデータとともに送信することによって達成され得る。テレマティクスデバイス101は、S605にて、SDP106から削除されるとよい。
【0083】
図7は、テレマティクスデバイス101を有効化する方法の例を提供する。テレマティクスデバイス101の有効化は、RESTセマンティクスとともにHTTPを使用して達成され得る。S701にて、ユーザはSDP106にアクセスするとよい。具体例によれば、PUTコマンド、テレマティクスデバイス101の識別子(deviceid)、およびユーザ識別子(pid)を含むHTTPメッセージが、ユーザからSDP106に送信されるとよい。SDP106は、テレマティクスデバイス101を登録して、続いてS702にて、確認メッセージをユーザに送信するとよい。
【0084】
S703にて、テレマティクスデバイス101は、新たな設定をSDP106からダウンロードしようと試みるとよい。テレマティクスデバイス101からの初期の設定リクエストが失敗すると、新たなリクエストが、指数バックオフを使用して送られるとよい。指数バックオフは、初期の、またはそれに続く伝送リクエストが失敗した場合に再伝送間の時間を倍にし続けることとして理解されるとよい(W.リチャード・スティーブンス(Richard Stevens)著、「詳解TCP/IP Vol.1(TCP/IP Illustrated Volume 1)」、1994年、299ページ)。S704にて、テレマティクスデバイス101は、SDP106から設定を受信するとよい。テレマティクスデバイス101は、受信した設定を記憶するとよい。S705にて、テレマティクスデバイス101は、SDP106による有効化を開始するとよい。S705にて送信されたメッセージの確認が受信されなければ、テレマティクスデバイス101は、指数バックオフを使用して再試行するとよい。テレマティクスデバイス101は、S706にて、SDP106から有効化の確認を受信するとよい。
【0085】
図8は、テレマティクスデバイス101からSDP106にイベントメッセージを送信するプロセスを記載する。テレマティクスデバイス101は、衛星104から衛星データを受信するとよい。その後、テレマティクスデバイス101は、受信した衛星データを処理するとよい。さらに、テレマティクスデバイス101は、処理されたデータを集約するとよい。集約は、処理されたデータをさらに処理する方法であればよい。
【0086】
S801にて、テレマティクスデバイス101は、イベントメッセージをSDP106に送信するとよい。イベントメッセージは、テレマティクスデバイス101の識別子、および集約されたデータを含むとよい。テレマティクスデバイス101は、処理された衛星データを、行列を計算することによって集約するとよく、一定間隔を置いてSDP106に行列を送信する。
【0087】
テレマティクスデバイス101からSDP106に送信される行列のタイプは、スピード行列(speed matrix)であってもよい。スピード行列は、全般的な運転スピード、および特に制限スピードに関して、ユーザ108の運転挙動を反映するとよい。以下の表記法が、スピード行列に当てはまり、優先するものがない限り、環境運転挙動行列(ecological driving behaviour matrix)および危険性行列(risk matrix)にも当てはまると理解されるとよい。
【0088】
【数6】
【0089】
が、カバーされた距離のパラメータ化であるとする(すなわち、横断された距離)。
【0090】
【数7】
【0091】
が、車両102の速度であり、vmが、許容最高速度であるとする(すなわち制限スピード)。時間×位置×速度×制限スピードのパラメータ空間は、
【0092】
【数8】
【0093】
と定義され得る。したがって、
【0094】
【数9】
【0095】
となる。
【0096】
車両102によってカバーされた距離の評価は、以下のように、カバーされた距離の積分曲線として、一般重み関数Ωを使用して実現されるとよい。
【0097】
【数10】
【0098】
を重み関数とすると、次式がsの速度測定を定義し得る。
【0099】
【数11】
【0100】
ωは一次関数であり、したがって、ωは以下の性質(1および2)を有する:
ω(s∪s’)=ω(s)+ω(s’) 性質(1)
【0101】
言い換えると、ωは、カバーされた距離のポジション成分に対して線形である。さらに、
l(s)=0であればω(s)=0 性質(2)
【0102】
言い換えると、カバーされた距離の長さが0であれば、ωは0である。
【0103】
以下の仮定は、計算をより効率的にし、テレマティクスデバイス101上でアルゴリズムを実装するのをより容易にする効果があると考えられる。
(1)時間依存:Ωは、時間スライス、すなわち運転期間の長さのみに依存する
(2)空間依存:Ωは、道路種別、すなわち車道種別のみに依存する
【0104】
Ωαβが、仮定(1)および(2)に従って定義されるとする。したがって、0≦α≦n,0≦β≦m、
【0105】
【数12】
【0106】
であり、式中、
【0107】
【数13】
【0108】
は、特性関数を指定する。
【0109】
仮定(1)および(2)は、Ωからの集約Ωαβの単純な計算を可能にする。結果的に、Ωαβは、車両102の速度および許容最高速度のみに依存する。
【0110】
積分
【0111】
【数14】
【0112】
を計算するために、特殊分解とともにルベーグ/リーマン近似(離散化)が適用されるとよい。以下では、vmは追加の速度を含む許容最高速度(すなわち合計速度)を指すと理解されるとよく、ユーザ108は、合計速度で運転すると、付随するペナルティを受ける。例えば、制限スピードが50km/hであり、付随するペナルティが、制限スピードを30km/h超える運転に発生する場合、vmは80km/hである。
【0113】
I=∪[vi,vi+1)を、区間
【0114】
【数15】
【0115】
の離接分解であるとする。その結果、
sij:={s|vi≦v(s)<vi+1∧vMj≦vM(s)<vMj+1} 式(3)
は、sの分解を定義し得る。
【0116】
離接分解I=∪[vi,vi+1)に、対応するリーマン近似RαβIが適用される:
【0117】
【数16】
【0118】
式中、行列Λαβは、以下のように定義される(Παβは、時間スライスおよび道路種別への射影を示し、lは、長さ、すなわちカバーされた距離の長さを示す)
Λαβij:=l(Παβ(sij)) 式(5)
【0119】
テレマティクスデバイス101によって効率的に算出可能であるということが、上述の分解の特徴となり得る。テレマティクスデバイス101は、行列Λαβを計算して、計算された行列を、一定間隔を置いてSDP106に送信するとよい。SDPでは、行列が、式(5)に従って処理される。これは、各スピード行列のパラメータの設定が、SDP106にて実行されるという利点となり得る。
【0120】
スピード行列Λαβの連続する各行は、次第に高くなる制限スピードにおいて実行された運転に対応するとよい。さらに、スピード行列の連続する各列は、次第に高くなる速度範囲に対応するとよい。制限スピードおよび速度範囲は、移動の状況として理解されるとよい。したがって、スピード行列内の各エントリは、行によって定義される制限スピードの領域において、列によって定義される速度範囲のスピードで車両102が走行していた、移動距離を表すとよい。
【0121】
例えば、テレマティクスデバイス101から送信される3行3列のスピード行列は、次の値を含んでもよい。
【0122】
【数17】
【0123】
上記の行列の連続する各行は、制限スピードの50km/hの差を表す(第1行の50km/hから第3行の150km/h)。連続する各列は、スピード範囲の50km/hの差を表す(第1列の0〜50km/hから、第3列の、移動の状況の例としての100〜150km/h)。その結果として、第1行第1列における行列エントリの移動の状況のペアは、0〜50km/hの速度範囲および50km/hの制限スピードであり、行列エントリの値は21kmである。したがって、上記の行列によれば、車両102は、行列によってカバーされる時間スライスに119km運転された。すなわち、複数の行列エントリは、期間中にデバイスによってカバーされた距離を119kmと定義している。時間スライスは、所定の期間(例えば1日または2日)として理解されるとよい。
【0124】
第1行第1列のエントリは、法定制限スピードが50km/hの領域において(50km/hの制限スピードは例示の移動の状況である)、0〜50km/hの間のスピードで21kmがカバーされたことを示す(0〜50km/hの範囲は、例示の移動の状況である)。さらに、第2行第1列のエントリは、制限スピードが100km/hの領域において、0〜50km/hの間のスピードで56km、車両102が運転されたことを示す(0〜50km/hのスピード範囲および50km/hの制限スピードは、移動の状況の例である)。第1行第2列のエントリは、法定制限スピードが50km/hの領域において、50〜100km/hの間のスピードで12km、車両102が運転されたことを示す。上記の行列の第1行第2列に表されている12km、第1行第3列で表されている13km、第2行第3列で表されている3kmは、制限スピード違反を示す。車両は、150km/hの制限スピードの領域では運転されなかったため、行列のこの行は0で満たされている。
【0125】
上記の例では、説明のために、間隔は大きく、行列は小さい。別の実装は、10km/h未満の行および列の間隔を含んでもよいであろう。したがって、スピード行列は、少なくとも15行および/または少なくとも15列、ならびに225のエントリを有してもよいであろう。
【0126】
テレマティクスデバイス101によって計算されるスピード行列Λαβは、表2の疑似コードに基づくコードを使用して生成されるとよい。
【0127】
【表2】
【0128】
SDP106に行列をアップロードして行列の値を0にリセットするために、さらなるコードが使用され得る。
【0129】
重み付きのスピード行列Ωαβが、SDP106にて計算されるとよい。Ωαβは、以下の制限を有するとよい:
(1)Ωαβは負ではない、すなわち、Ωαβij≧0 ∀i,j
(2−単調性)∀i:Ωαβij≧Ωαβij’ j>j’、すなわち、スピード違反には、制限スピードと車両102の速度との差に比例して大きくなる重みが与えられる。
(3−スケーリング)∀j:Ωαβij≦Ωαβi’j i>i’、すなわち、車両102の速度が上がるにつれて、絶対的なスピード違反の関連性は弱まる
(4−閾値)Ωαβij=0 ∀i≦j、すなわち、制限スピードを上回る速度のみが評価される。
【0130】
制限(4−閾値)の適用は、Ωαβの計算の効率を上げる効果を有するとよい。
【0131】
式(1)のsの速度測定は、カバーされた距離に対して線形であるとよい。これは、距離が大きい(すなわち、大きなキロメートル数がカバーされる)と、大きな(すなわち高い)速度測定につながることを意味すると理解されるとよい。したがって、正規化式(6)が続く。
【0132】
【数18】
【0133】
式(6)は、sの速度スコアと呼ばれてもよい。速度スコアは、さらなる分析のための基礎として使用されるとよく、サービスプロバイダ107によって顧客108に対し変更される料金に影響を与えてもよい。
【0134】
テレマティクスデバイス101からSDP106に送信される別のタイプの行列は、環境運転挙動を集約する行列、すなわち環境行列とすることもできる。環境行列は、燃料消費に関してユーザ108の運転挙動を反映してもよく、燃料消費は、車両102の速度および車両102の加速(負の加速を含む)の関数としてもよい。
【0135】
一部の実装では、加速度は、車両102内のセンサーを使用して判断されてもよい。加速度は、或る期間にわたる速度の変化に基づき計算されることもできるであろう。
【0136】
スピード行列に関して上述したように、
【0137】
【数19】
【0138】
が、カバーされた距離のパラメータ化を定義するとする。さらに、
【0139】
【数20】
【0140】
を車両102の速度とし、
【0141】
【数21】
【0142】
を加速とする。速度×加速のパラメータ空間は、
【0143】
【数22】
【0144】
と定義され得る。したがって、
【0145】
【数23】
【0146】
φ(t):=(v,a)となる。
【0147】
車両102によってカバーされた距離の評価は、以下のように、カバーされた距離の積分曲線として、一般重み関数Θを使用して実現されるとよい。
【0148】
【数24】
【0149】
を重み関数とすると、
【0150】
【数25】
【0151】
がsの環境測定を定義する。
【0152】
νは、一次関数である。つまり、νは以下の性質(3および4)を有する:
ν(s∪s’)=ν(s)+ν(s’) 性質(3)
【0153】
言い換えると、νは、カバーされた距離のポジション成分に対して線形である。さらに、
l(s)=0であればν(s)=0 性質(4)
【0154】
言い換えると、カバーされた距離が0であれば、νは0である。
【0155】
【数26】
【0156】
の離散化は、以下のように定義され得る。
sij:={s|vi≦v(s)<vi+1∧aj≦a(s)<aj+1} 式(8)
【0157】
式(8)は、sの分解を定義する。負の加速(すなわちブレーキをかけること)が生じ得るため、aminが0未満となる可能性も考えられる。これは、常に正である速度とは対照的である。
【0158】
sijに、対応するリーマン近似RIが適用される。
【0159】
【数27】
【0160】
式中、行列Λは、式(5)のΛαβと同じ形で定義される。
【0161】
環境行列Λの連続する各行は、次第に高くなる速度範囲において実行された運転に対応するとよい。さらに、環境運転挙動行列の連続する各列は、次第に大きくなる加速に対応するとよい。したがって、環境運転挙動行列の各エントリは、特定の加速度(またはレベル)で、特定の範囲の速度において運転された距離に対応するとよい。速度範囲および加速度は、移動の状況として理解されるとよい。
【0162】
例えば、テレマティクスデバイス101から送信される3行9列の環境行列は、次のエントリを含んでもよい。
【0163】
【数28】
【0164】
連続する各行は、前の行と50km/h異なり、すなわち、行間には50km/hのステップがある。したがって、第1行は、0〜50km/hの速度範囲を定義し、0〜50km/hの速度範囲は、例示の移動の状況である。第2行は、50〜100km/hの速度範囲を定義し、第3行は、100〜150km/hの範囲を定義し、50〜100km/hおよび100〜150km/hの速度範囲は、例示の移動の状況である。連続する各列は、前の列と1m/s2異なり、−4m/s2の最小値(第1列)および4m/s2の最大値(第9列)を有する。−4m/s2(第1列)および4m/s2(第9列)の値は、例示の移動の状況である。行列内の各エントリは、行によって定義される速度範囲内、且つ列によって定義される加速で、運転されたキロメートル数を定義する。その結果として、第1行第1列における行列エントリの移動の状況のペアは、0〜50km/hの速度範囲および−4m/s2の負の加速であり、行列エントリの値は0である。
【0165】
本例によれば、車両102は、行列が定義されている時間スライス(すなわち、行列によってカバーされる時間スライス)において、267km運転された。これは、行列内の値を単に集計することで求めることができる。さらに、上記の行列の第2行第5列のエントリは、車両102が、50〜100km/hの間の速度(すなわちスピード)、1m/s2未満の加速で、100km運転されたことを示す。さらに、上記の行列の第3行第1列のエントリは、車両102が、100〜150km/hの間の速度、−4m/s2の加速で、1km運転されたことを示す。
【0166】
環境行列は、対称である必要はない。例えば、−10m/s2の最小値、すなわちブレーキを完全に作動させた車両の最大減速から始めて、車両が0から100km/hに5秒で加速するのに対応する6m/s2の最大値で終了するよう、列を定義することが望ましいこともある。通常の交通状況では、2m/s2までの加速および−2m/s2以上の減速が普通である。
【0167】
環境行列は、表3に示される疑似コードに基づくコードを使用して計算されてもよい。表3に示されている疑似コードでは、車両102の加速は、車両102の速度の変化に基づき計算される。しかし、例えば車両102の速度を検出するセンサーを使用するなど、他の実装も可能である。
【0168】
【表3】
【0169】
SDP106に環境行列Λをアップロードして行列エントリの値を0にリセットするために、さらなるコードが使用され得る。
【0170】
重み付きの環境行列Θが、SDP106にて計算されるとよい。Θは、以下の制限を有するとよい:
(1)Θは負ではない、すなわち、Θij≧0 ∀i,j
(2−単調性)∀i:Θij≧Θij’ j>j’
すなわち、加速には、加速の大きさに比例して大きくなる重みが与えられる
(3−スケーリング)
∀j:Θij≧Θi’j i>i’
すなわち、車両102の速度が上がるにつれて、加速の大きさの関連性は強まる
(4−理想的なスピード)
Θij=0 ∀imin≦i≦imax
【0171】
制限(4)は、多くの乗用車が、例えば70〜100km/hなどの間の速度で運転されると少ない量の燃料を消費する、という情報を反映する。
【0172】
式(7)で定義された関数、すなわちsの環境測定は、カバーされた距離に対して線形であるとよい。これは、距離が大きい(すなわち、大きなキロメートル数がカバーされる)と、大きな(すなわち高い)環境測定につながることを意味する。したがって、正規化式(9)が続く。
【0173】
【数29】
【0174】
式(9)は、sの環境スコアと呼ばれてもよい。環境スコアは、さらなる分析のための基礎として使用されるとよく、サービスプロバイダ107によって顧客108に対し課される料金に影響を与えてもよい。
【0175】
テレマティクスデバイス101からSDP106に送信されるさらに別のタイプの行列は、車両102が運転される道路の種別に対応する危険性、および車両102が運転される時間帯に対応する危険性を集約(すなわち統合)する行列とすることもできる(すなわち、危険性行列)。したがって、車両102が運転される道路種別および時間帯は、移動の状況のペアとして理解されるとよい。ポジションに対応する道路の道路種別は、道路が都市の中(すなわち市街地)にあるか、都市の外にあるかに基づき判断されてもよい。危険性行列は、以下のように定義され得る。
【0176】
Δαβ:=l(Παβ)を、期間(すなわち時間スライス)αにおいて、対応する種別βの道路上でカバーされた(すなわち横断された)距離の計測であるとする。Ραβを、任意の適合する行列とする。その結果、
ρ:=ΣΡαβΔαβ 式(10)
【0177】
式(10)は、sの危険性測定を定義する。
【0178】
行列Ραβは、以下の性質を有する:
Ραβは負ではない、すなわち、Ραβij≧0 ∀i,j 性質(5)
【0179】
式(10)の結果は、カバーされた距離に線形に対応する。これは、長い距離がカバーされると(すなわち、大きなキロメートル数)、高い危険性測定につながることを意味する。
【0180】
次式
【0181】
【数30】
【0182】
は、sの危険性スコアと呼ばれる。
【0183】
危険性スコアは、サービスプロバイダ107によってユーザ108に対し課される料金に影響を与えてもよい。危険性行列は、表4の疑似コードに基づくコードを使用して、テレマティクスデバイス101上で実装されるとよい。
【0184】
【表4】
【0185】
SDP106に危険性行列をアップロードして行列エントリの値を0にリセットするために、さらなるコードが使用され得る。
【0186】
スピード行列、環境行列、および危険性行列は、それぞれ複数の行列エントリを含み得る。各行列エントリは、複数の要素から成るとよい。例えば、スピード行列の第2行第1列のエントリは、値56kmを有する。56kmは、第2行第1列によって定義される移動の状況のペア(すなわち、100km/hの制限スピードおよび0〜50km/hの間のスピード範囲)のもとでカバーされた距離として理解されるとよい。デバイスにプログラミングされる期間は、1日と定義される。本例によれば、56kmの値を備える行列エントリは、3つの要素から成る。第1の要素は、ユーザ108が車両102を、制限スピードが100km/hであった領域において40km/hで20km運転したときに行列エントリに記録された。第2の要素は、この期間内の後で、ユーザ108が車両102を、制限スピードが同じく100km/hであった別の領域において30km/hで20km運転したときに記録された。第3の要素は、この期間内のさらに後で、ユーザ108が車両102を、制限スピードが100km/hであったさらに別の領域において35km/hで16km運転したときに記録された。本例の各要素が記録されたのと同時に、別の行列エントリの他の要素が記録されていてもよい。
【0187】
一部の状況では、ポジションデータが、1つ以上の行列とともにSDP106にアップロードされるとよい。ポジションデータは、ユーザが、付随する結果を伴うアクションを実行するとアップロードされてもよい。このアクションは、危険な運転挙動(例えば、制限スピードを上回ること)、環境への悪影響を伴う運転挙動(例えば、高い加速度)、危ない領域(例えば氷で覆われた領域)での運転、または危ない時間帯(例えば夜)の運転とすることもできる。結果は、サービスプロバイダ107によってユーザ108に対し変更される料金の増加であってもよい。ポジションデータがSDP106にアップロードされるとき、ポジションデータは、ユーザの秘密鍵を用いて暗号化されるとよい。ポジションデータをユーザの秘密鍵を用いて暗号化することは、ユーザのプライバシーを保護する効果を有するとよい。ユーザ108は、追加料金の支払いを避けるために、SDP106またはサービスプロバイダ107によるポジションデータの復号化を許可することを選んでもよい(例えば、ユーザは、ポジションデータを使用して、アクションが発生した時点にそのポジションにいなかったことを示すことができるかもしれない)。
【0188】
SDP106は、イベントメッセージの受信をS802にて確認するとよい。S803にて、さらなるメッセージまたは同じ確認メッセージの中で、SDP106は、テレマティクスデバイス101の新たな設定のURLを提供してもよい。URLは、新たな設定をダウンロードするために使用されるとよい。S801にて送信されたデータが受理および処理されたことを示すコードが、S803にて送信されるメッセージ内で提供されてもよい。あるいは、新たな設定がテレマティクスデバイス101によるダウンロード用に入手可能であるかどうかと、S801にて送信されたイベントデータが処理できなかったこととを示すメッセージが、S804にて送信されてもよい。
【0189】
SDP106は、いくつかのテレマティクスデバイス(テレマティクスデバイス101を含む)からのデータを統合し、統合されたデータに関する統計分析を実行してから、統合されたデータをサービスプロバイダ107に転送してもよい。SDP106によって実行される統計分析は、3つの例示の行列(すなわち、スピード、環境運転挙動、および危険性の行列)に関連して上述した統合に似た、データの統合を含んでもよい。SDP106にて実行される統計分析の顕著な特徴の1つは、それがより長い期間、例えば一週間にわたって行われるということであってもよい。例えば、一週間の間に、テレマティクスデバイス101から7つの危険性行列が、SDP106に送信されることが可能である。週の終わりに、SDP106は、7つの行列を1つの行列に統合し(おそらく対応する値を集計することによって)、続いて結果をサービスプロバイダ107に送信する。
【0190】
SDP106は、スピード、環境、および危険性行列を記憶してもよい。実際には、一部の運転者は早朝には運転せず、この時間スライスに対応するエントリはすべて0となり得るため、行列は、疎行列であってもよい。さらに、いくつかのスピード違反、例えば都市の中心での100km/hは、まれである。行列を記憶する前、および場合によりテレマティクスデバイス101からSDP106に行列を伝送する前に、疎ブロック圧縮行格納方式(sparse block compressed row storage)またはHarwell−Boeing形式で行列を圧縮することが望ましいこともある。したがって、行列を圧縮すること(例えば、0の値を備える行列エントリを除外もしくは縮小すること)、または行列エントリがすべて0のときは行列を送信しないことによって、行列の送信により消費される帯域幅を削減できると考えられる。
【0191】
スピード、環境、および危険性行列は、テレマティクスデバイス101からSDP106にXML形式で伝送されてもよい。送信されるデータの量を最小化し、ひいてはデータを伝送するコストを最小化するために、行列データは、XMLリスト形式で伝送されてもよい。例えば、上記の例からの3行9列の環境行列Λは、表5に示されているように表されてもよい。
【0192】
【表5】
【0193】
具体例では、バイナリXML形式および/または圧縮ユーティリティ(例えばgzip)が使用されてもよい。一部の実装では、場合により圧縮ユーティリティと組み合わせた、WBXMLが適切となり得るであろう。WBXMLでの20%および圧縮ユーティリティでの40〜50%の圧縮率は、現実的であると考えられる。さらなる選択肢として、XMLの代わりにASN.1を使用することも考えられる。伝送されるデータの量を削減するのに、圧縮ユーティリティの使用は特に有用と考えられるが、テレマティクスデバイス101上での圧縮および解凍の要求があるため、性能考察が行われるとよい。
【0194】
スピード、環境、および危険性行列は、個別に送信されても、多次元行列に結合されて送信されてもよい。例えば、3次元行列、具体的には3次元スピード行列は、各時間スライスに2次元行列で、1日の時間スライスを7つ含み得るであろう。したがって、本例によれば、3次元行列は7つの2次元行列を含むことになるであろう。他の組み合わせも可能である。例えば、4次元行列が、各道路種別に関する複数の3次元スピード行列など、複数の3次元行列を含むこともできると考えられる。この例の続きとして、4次元行列は、1つは都市の道路種別、1つは非都市の道路種別に関する、2つのエントリを含んでもよい。各エントリは、複数の3次元行列を含んでもよい。
【0195】
したがって、行列はさらに、処理された衛星データを集約する、要素の1つまたは複数のリストとしても解釈され得ると考えられ、リスト内の各要素は、特定の移動の状況(例えば、制限スピードまたは運転速度)により移動した距離(例えば、キロメートル数)を表す。行列は、車両用テレマティクスデバイス101において様々な方法で実装され得る。例えば、2次元配列、構造体(レコードとも呼ばれる)の配列、またはオブジェクトの配列が使用され得るであろう。ポインタに基づく実装も可能である。構造体、オブジェクト、およびポインタは、C++プログラミング言語に関連して理解され得る。他の言語での実装も可能である。
【0196】
図9は、SDP106からサービスプロバイダ107に伝送されるとよいデータの例示の表示を示す。データは、場合によりテレマティクスデバイス101を含む、複数のテレマティクスデバイスから受信されたものでもよい。データは、制限スピード違反データ901、環境運転挙動データ902、および運転危険性因子データ903を含むとよい。制限スピード違反データ901は、累積したわずかな制限スピード違反、すなわち「ソフトファクト」を含んでもよく、これは、百分率として測定されてもよい。さらに、制限スピード違反データ901は、大幅な制限スピード違反、すなわち「ハードファクト」を含んでもよく、これは個別に提供されてもよい。環境運転挙動データ902の測定は、所定のイベントの記録を提供するとよい。例えば、車両102が環境保護地帯へと運転される期間とともに、高い加速の事例が記録されてもよい。運転危険性因子データ903は、事故が頻繁に発生する領域または時間(例えば夜)の運転を記録するとよい。
【0197】
図10は、テレマティクスデバイス101を使用することの考えられる利点を図で示す。
【0198】
一部の調査によれば、幹線道路に制限スピードがない場合、運転者が推奨スピードを上回ることは一般的である。さらに、事故の死傷者は、若い運転者で特に多い。こうした因子および他の因子は、一部の自動車保険市場で、高い損害請求と、保険料の減少との一因となる。
【0199】
さらに、各保険会社が、保険を求めるいずれの人にも自動車保険を提供する義務を法律的に負う場合、競合会社の自動車保険ポリシーから、1つの会社の自動車保険ポリシーを差別化するのは難しいと言われることもある。結果として、自動車保険会社は、ユーザの激しい入れ替わりおよびユーザの価格敏感性に苦しむこともある。さらに、各個人の損害のコストおよび危険性因子は、透明でないこともある。保険料は、消費者の区分の特徴に基づき計算され得る。これらの問題が、自動車保険市場の成長の可能性を制限しており、運転挙動をより正確に判断する必要性を生じさせていると考えられる。
【0200】
図11、12、および13は、スピード表示の種々の側面を示す。対応するセッティングおよび拡張表示を備える同様の表示が、環境運転挙動、道路種別危険性、および車両102が運転される時間帯に対する危険性を示すために提供されるとよい。
【0201】
図11は、テレマティクスデバイス101のGUIの例示のスピード表示120を示す。スピード表示120は、白色のバックグラウンド124を背景とする制限スピードインジケータ122を含む。制限スピードインジケータ122の白色のバックグラウンド124は、車両102が、車両102の位置に対応する制限スピード内の速度で移動していることを示すと理解されるとよい。速度インジケータ126は、車両102の速度が48km/hであることを示す。誤り制御入力要素127は、ユーザ108が、テレマティクスデバイス101によってレポートされない違反(例えば制限スピード違反)を記録できるようにする。GPSステータスインジケータ128は、衛星104からの信号のステータスを示す。例えば、テレマティクスデバイス101が現在、衛星104からの信号を受信していれば、GPSステータスインジケータ128は「ステータスok」を示す。テレマティクスデバイスが現在、衛星104からの信号を受信していなければ、GPSステータスインジケータ128は「信号なし」を示してもよいであろう。セッティング入力要素130は、例えば図17に示されているセッティング表示180などのセッティング表示をテレマティクスデバイス101上に示すために使用され得る。X入力要素132は、テレマティクスデバイス101上のGUIおよび運転分析アプリケーションを閉じるために使用され得る。X入力要素132へのアクセスは、本願に記載された、テレマティクスデバイス101上での運転分析機能の実行を停止する効果を有するとよい。
【0202】
図12は、テレマティクスデバイス101のGUIの例示の注意表示140を示す。注意表示140は、スピード表示120の変形として理解されるとよい。注意表示140では、制限スピードインジケータ142が、黄色のバックグラウンド144を背景に表示されている。黄色のバックグラウンド144は、車両102の速度が、車両102の位置に対応する制限スピードを上回ることを示すと理解されるとよい。しかし、注意表示140の例では、車両102の速度は、事前設定されている5km/hの許容範囲内である。事前設定されている許容範囲は、図17に関連して説明されるように変更されてもよい。速度インジケータ146は、車両102の速度が51km/hであることを示す。制限スピードインジケータ142は、車両102の位置に対応する制限スピードが、50km/hであることを示す。スピード表示120と同様に、注意表示140は、誤り制御入力要素127、GPSステータスインジケータ148、およびセッティング入力要素130を含む。表示140はさらに、X入力要素132を含む。
【0203】
図13は、テレマティクスデバイス101のGUIの例示の警告表示160を示す。警告表示160は、スピード表示120の変形として理解されるとよい。警告表示160では、制限スピードインジケータ162が、赤色のバックグラウンド164を背景に表示されている。赤色のバックグラウンド164は、車両102の速度が、車両102の位置に対応する制限スピードを上回り、速度が、事前設定されている5km/hの許容範囲外であることを示すと理解されるとよい。図15に関して示されるように、5km/hは、例示の事前設定されている許容範囲であり、変更されてもよい。赤色のバックグラウンド162に加えて、テレマティクスデバイス101は、可聴フィードバック103を出して、事前設定されている許容範囲外の速度が検出されたことを示してもよい。可聴フィードバック103は、ビープ音などの可聴信号としてもよい。さらに、可聴フィードバックは、保険料の増加または過料など、ユーザ108にとって不利な結果を示してもよい。
【0204】
速度インジケータ166は、車両102のスピードが56km/hであることを示す。制限スピードインジケータ162は、車両102の位置に対応する制限スピードが、50km/hであることを示す。スピード表示120および注意表示140と同様に、警告表示160は、誤り制御入力要素127、GPSステータスインジケータ168、セッティング入力要素130、およびX入力要素132を含む。
【0205】
図14は、テレマティクスデバイス101のGUIの例示のセッティング表示180を示す。セッティング表示180は、ユーザ108が、セッティング入力要素130をクリックした(または押した)後に示されるとよい。セッティング表示180は、3つの列を含み、警告表示160が示されるまでの時間および速度の許容範囲を調節するために使用され得る。図16との関連のように、警告表示は、可聴フィードバック103を伴うとよい。
【0206】
セッティング表示180の一番左の列は、速度のリストを降順で示し、各エントリが、車両102の位置に対する制限スピードに対応する。次の2つの列は、ヘッダ「秒」および「Km/h」を含む。「秒」列および「Km/h」列のエントリの両側にある矢印は、エントリの増減を可能にする。「秒」列のエントリは、秒の許容範囲、すなわち、違反が検出されてから警告表示160が示されるまでの秒数を指す。「Km/h」列のエントリは、スピード違反の許容範囲、すなわち、警告表示160が示されない制限スピード超過のkm/h数を指す。秒の許容範囲およびスピード違反の許容範囲は、集合的に許容範囲値と呼ばれてもよい。許容範囲値の変更が効力を生じる前に、運転分析アプリケーションの再起動が必要であってもよい。キャンセル入力要素184は、許容範囲値に対する何らの変更も保存せずにスピード表示120に戻るために使用されるとよい。保存入力要素186は、許容範囲値に対する変更を記録してスピード表示120に戻るために使用されるとよい。
【0207】
一例によれば、行182は、制限スピードが80km/hである場合、警告表示160が示されるには、車両102が制限スピードを少なくとも5km/h、少なくとも5秒間上回らなければならないことを示す。したがって、車両102が制限スピードを5秒未満、または5km/h未満上回ると、注意表示140が示される。
【0208】
さらに、データ転送入力要素183(例えばチェックボックス)が提供されてもよい。データ転送入力要素183は、データがテレマティクスデバイス101からSDP106に転送されるかどうかをユーザ108が選択できるようにするとよい。
【0209】
図15は、拡張スピード表示220の例を示す。スピード表示120の要素に加えて、拡張スピード表示220は、都市インジケータ222および制限インジケータ224を示す。都市インジケータ222は、車両102が市街地に位置するかどうかを示す。制限インジケータ224は、車両102の位置に対応する制限スピードを示す。FC(Function Class:機能クラス)インジケータ225は、車両102の位置に対応する道路種別を指すとよい。
【0210】
図16は、拡張セッティング表示240の例を示す。拡張セッティング表示240は、セッティング表示180の要素に加えて、図18および20に示されている拡張された情報が示されるべきであるか否かをユーザが選択できるようにする、拡張表示入力要素242(例えばチェックボックス)を提供する。図14のデータ転送入力要素183と同様に、データ転送入力要素243は、データがテレマティクスデバイス101からSDP106に転送されるかどうかをユーザ108が選択できるようにするとよい。
【0211】
図17は、拡張警告表示260の例を示す。警告表示160の要素に加えて、拡張警告表示260は、都市インジケータ262、料金インジケータ264、ペナルティインジケータ266、違反インジケータ268、および点数インジケータ270を含む。警告表示160と同様に、拡張警告表示260は、可聴フィードバック103を伴うとよい。都市インジケータ262は、車両102が市街地にあるかどうかを示す。料金インジケータ264は、違反インジケータ268によって示される違反に対応する過料を示す。図20の例によれば、違反は、車両102が81km/hのスピードで移動することによって50km/hの制限スピードを上回ったこと、すなわち、車両102が制限スピードを31km/h上回ったことである。過料は、違反に関して法的に規定されている罰金として理解されるとよい。ペナルティインジケータ266は、違反に関して規定されていることもあるさらなるペナルティを示す。図20の具体例では、料金インジケータ264は、この違反により、160ユーロの罰金が要求されることを示し、ペナルティインジケータ266は、この違反により、ユーザ108の運転免許の1ヶ月の停止が要求されることを示す。さらに、点数インジケータ270は、この違反により、ユーザ108の運転免許に3点の記録が要求されることを示す。テレマティクスデバイス101はさらに、地域における違反に対応する罰金およびペナルティの表を表示するよう設定されていてもよい。
【0212】
テレマティクスデバイス101のGUIはさらに、図9に示されている情報に似たインデックスまたは要約情報を表示するよう設定されていてもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザ(108)のプライバシーと、車両用テレマティクスデバイスなどのデバイス(101)によってサーバ(106)に伝達されるデータの有用性とを確保する、コンピュータで実装される方法であって、
−期間中に前記デバイス(101)を移動させるステップと、
−前記期間中に前記デバイス(101)にてデータを受信するステップと、
−前記受信されたデータを、前記デバイス(101)によって処理するステップと、
−前記処理されたデータを、前記デバイス(101)によって行列に集約するステップであって、前記行列の行および列は、前記デバイス(101)の移動の状況を定義し、前記行列は、複数の行列エントリを含み、各行列エントリは、前記事前に定義されている移動の状況のペアのもとで、前記期間中に前記デバイス(101)によってカバーされた距離を含む、前記ステップと、
−前記集約されたデータを前記デバイス(101)から前記サーバ(106)に伝送するステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記処理されたデータは、ポジションデータ、速度データ、および時間データのうちの少なくとも1つを含み、前記速度データは、前記デバイス(101)が移動されたスピードを示し、前記方法は、
前記ポジションデータおよび/または前記速度データおよび/または前記時間データと、前記デバイス(101)上に記憶されている地図情報とを関連付けるステップと、
付随する結果を伴うアクションを前記ユーザが実行したことを、前記デバイス(101)によって、前記関連付けに基づき判断するステップと、
前記アクションに応答して、前記デバイス(101)によって警告を生成するステップと、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記集約されたデータを、伝送より前に暗号化するステップであって、前記集約されたデータは、前記ユーザからの補助なしに前記サーバ(106)によって復号化可能である、前記ステップと、
前記アクションに対応する前記処理されたデータを、前記伝送より前に暗号化するステップであって、前記処理されたデータは、前記ユーザの鍵を用いてのみ復号化可能である、前記ステップと、
前記暗号化された、処理されたデータを、前記デバイス(101)から前記サーバ(106)に伝送するステップと、
をさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記事前に定義されている移動の状況は、
前記デバイス(101)が前記距離をカバーした速度範囲、
前記デバイス(101)が前記距離をカバーした加速度、
前記デバイス(101)によってカバーされた前記距離内の少なくとも1つのポジションに対応する制限スピード、
前記デバイス(101)によってカバーされた少なくとも1つのポジションに対応する道路種別、
のうちの1つ以上を含む、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記地図情報は、一組の地図座標を含み、前記ポジションデータおよび前記速度データを関連付けるステップは、
前記ポジションデータおよび前記速度データと、前記一組の地図座標に関係付けられている道路種別および/または制限スピードとを関連付けるステップ
をさらに含む、請求項2〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記アクションは、
制限スピードを上回ること、
事前に定義されている加速度を上回ること、
前記ユーザに危険をもたらすポジションに接近およびまたは存在すること、
のうちの1つ以上を含む、請求項2〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記デバイス(101)は、前記地図情報を表示しない、請求項2〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
少なくとも1つの行列エントリEijは、複数の要素から成り、前記複数の要素の各要素
【数1】
は、距離を定義し、前記要素
【数2】
により定義される前記距離は、その次の要素
【数3】
により定義される前記距離がカバーされた時間間隔に隣接しない時間間隔中にカバーされたものであることもあり、各行列エントリの前記複数の要素は、前記行列エントリに対応し事前に定義されている移動の状況の前記ペアのもとで、前記期間中に前記デバイス(101)によってカバーされた前記距離を定義し、前記複数の行列エントリは、前記期間中に前記デバイス(101)によってカバーされた前記距離を定義する、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記デバイス(101)は、車両(102)に組み込まれており、前記方法は、
前記デバイス(101)が前記車両(102)に組み込まれていることを理由に、前記ユーザに補償を行うステップ
をさらに含む、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記行列は、運転挙動の指標を計算するために使用される、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記方法は、
前記伝送されたデータと、少なくとも1つの他のデバイス(101)からのデータとを、前記サーバ(106)にて統合するステップと、
前記サーバ(106)にて前記統合されたデータに基づき、統計データを生成するステップと、
をさらに含み、好適には、
ウェブポータルを提供するステップであって、前記ユーザは、前記ウェブポータルを利用して、前記ユーザの前記統計データおよび/または前記集約されたデータにアクセスできる、前記ステップ
を含む、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
車両用テレマティクスデバイスなどのデバイス(101)上にロードされて実行されると、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法による動作を前記デバイス(101)に実行させるコンピュータ可読命令を含む、コンピュータプログラム製品。
【請求項13】
車両用テレマティクスデバイス(101)などのデバイス(101)であって、前記デバイス(101)は、
−期間中にデータを受信するよう動作可能な受信器であって、前記受信されるデータは、前記期間中に前記デバイス(101)が移動されたことを示す、前記受信器と、
−前記受信されたデータを処理し、前記処理されたデータを行列に集約するよう動作可能なプロセッサであって、前記行列の行および列は、前記デバイス(101)の移動の状況を定義し、前記行列は、複数の行列エントリを含み、各行列エントリは、前記事前に定義されている移動の状況のペアのもとで、前記期間中に前記デバイス(101)によってカバーされた距離を含む、前記プロセッサと、
−前記集約されたデータを前記サーバ(106)に伝送するよう動作可能な送信器と、
を含むデバイス(101)。
【請求項14】
前記デバイス(101)は、車両(102)に物理的に組み込まれており、前記デバイス(101)は、前記車両(102)のインターフェースを使用して通信する、請求項13に記載のデバイス(101)。
【請求項15】
モバイル電話(101)などのモバイルデバイス(101)であって、前記デバイス(101)は、
−期間中にデータを受信するよう動作可能な受信器であって、前記受信されるデータは、前記期間中に前記モバイルデバイス(101)が移動されたことを示す、前記受信器と、
−前記受信されたデータを処理し、前記処理されたデータを行列に集約するよう動作可能なプロセッサであって、前記行列の行および列は、前記モバイルデバイス(101)の移動の状況を定義し、前記行列は、複数の行列エントリを含み、各行列エントリは、前記事前に定義されている移動の状況のペアのもとで、前記期間中に前記モバイルデバイス(101)によってカバーされた距離を含む、前記プロセッサと、
−前記集約されたデータを前記サーバ(106)に伝送するよう動作可能な送信器と、
を含むモバイルデバイス(101)。
【請求項1】
ユーザ(108)のプライバシーと、車両用テレマティクスデバイスなどのデバイス(101)によってサーバ(106)に伝達されるデータの有用性とを確保する、コンピュータで実装される方法であって、
−期間中に前記デバイス(101)を移動させるステップと、
−前記期間中に前記デバイス(101)にてデータを受信するステップと、
−前記受信されたデータを、前記デバイス(101)によって処理するステップと、
−前記処理されたデータを、前記デバイス(101)によって行列に集約するステップであって、前記行列の行および列は、前記デバイス(101)の移動の状況を定義し、前記行列は、複数の行列エントリを含み、各行列エントリは、前記事前に定義されている移動の状況のペアのもとで、前記期間中に前記デバイス(101)によってカバーされた距離を含む、前記ステップと、
−前記集約されたデータを前記デバイス(101)から前記サーバ(106)に伝送するステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記処理されたデータは、ポジションデータ、速度データ、および時間データのうちの少なくとも1つを含み、前記速度データは、前記デバイス(101)が移動されたスピードを示し、前記方法は、
前記ポジションデータおよび/または前記速度データおよび/または前記時間データと、前記デバイス(101)上に記憶されている地図情報とを関連付けるステップと、
付随する結果を伴うアクションを前記ユーザが実行したことを、前記デバイス(101)によって、前記関連付けに基づき判断するステップと、
前記アクションに応答して、前記デバイス(101)によって警告を生成するステップと、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記集約されたデータを、伝送より前に暗号化するステップであって、前記集約されたデータは、前記ユーザからの補助なしに前記サーバ(106)によって復号化可能である、前記ステップと、
前記アクションに対応する前記処理されたデータを、前記伝送より前に暗号化するステップであって、前記処理されたデータは、前記ユーザの鍵を用いてのみ復号化可能である、前記ステップと、
前記暗号化された、処理されたデータを、前記デバイス(101)から前記サーバ(106)に伝送するステップと、
をさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記事前に定義されている移動の状況は、
前記デバイス(101)が前記距離をカバーした速度範囲、
前記デバイス(101)が前記距離をカバーした加速度、
前記デバイス(101)によってカバーされた前記距離内の少なくとも1つのポジションに対応する制限スピード、
前記デバイス(101)によってカバーされた少なくとも1つのポジションに対応する道路種別、
のうちの1つ以上を含む、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記地図情報は、一組の地図座標を含み、前記ポジションデータおよび前記速度データを関連付けるステップは、
前記ポジションデータおよび前記速度データと、前記一組の地図座標に関係付けられている道路種別および/または制限スピードとを関連付けるステップ
をさらに含む、請求項2〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記アクションは、
制限スピードを上回ること、
事前に定義されている加速度を上回ること、
前記ユーザに危険をもたらすポジションに接近およびまたは存在すること、
のうちの1つ以上を含む、請求項2〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記デバイス(101)は、前記地図情報を表示しない、請求項2〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
少なくとも1つの行列エントリEijは、複数の要素から成り、前記複数の要素の各要素
【数1】
は、距離を定義し、前記要素
【数2】
により定義される前記距離は、その次の要素
【数3】
により定義される前記距離がカバーされた時間間隔に隣接しない時間間隔中にカバーされたものであることもあり、各行列エントリの前記複数の要素は、前記行列エントリに対応し事前に定義されている移動の状況の前記ペアのもとで、前記期間中に前記デバイス(101)によってカバーされた前記距離を定義し、前記複数の行列エントリは、前記期間中に前記デバイス(101)によってカバーされた前記距離を定義する、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記デバイス(101)は、車両(102)に組み込まれており、前記方法は、
前記デバイス(101)が前記車両(102)に組み込まれていることを理由に、前記ユーザに補償を行うステップ
をさらに含む、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記行列は、運転挙動の指標を計算するために使用される、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記方法は、
前記伝送されたデータと、少なくとも1つの他のデバイス(101)からのデータとを、前記サーバ(106)にて統合するステップと、
前記サーバ(106)にて前記統合されたデータに基づき、統計データを生成するステップと、
をさらに含み、好適には、
ウェブポータルを提供するステップであって、前記ユーザは、前記ウェブポータルを利用して、前記ユーザの前記統計データおよび/または前記集約されたデータにアクセスできる、前記ステップ
を含む、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
車両用テレマティクスデバイスなどのデバイス(101)上にロードされて実行されると、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法による動作を前記デバイス(101)に実行させるコンピュータ可読命令を含む、コンピュータプログラム製品。
【請求項13】
車両用テレマティクスデバイス(101)などのデバイス(101)であって、前記デバイス(101)は、
−期間中にデータを受信するよう動作可能な受信器であって、前記受信されるデータは、前記期間中に前記デバイス(101)が移動されたことを示す、前記受信器と、
−前記受信されたデータを処理し、前記処理されたデータを行列に集約するよう動作可能なプロセッサであって、前記行列の行および列は、前記デバイス(101)の移動の状況を定義し、前記行列は、複数の行列エントリを含み、各行列エントリは、前記事前に定義されている移動の状況のペアのもとで、前記期間中に前記デバイス(101)によってカバーされた距離を含む、前記プロセッサと、
−前記集約されたデータを前記サーバ(106)に伝送するよう動作可能な送信器と、
を含むデバイス(101)。
【請求項14】
前記デバイス(101)は、車両(102)に物理的に組み込まれており、前記デバイス(101)は、前記車両(102)のインターフェースを使用して通信する、請求項13に記載のデバイス(101)。
【請求項15】
モバイル電話(101)などのモバイルデバイス(101)であって、前記デバイス(101)は、
−期間中にデータを受信するよう動作可能な受信器であって、前記受信されるデータは、前記期間中に前記モバイルデバイス(101)が移動されたことを示す、前記受信器と、
−前記受信されたデータを処理し、前記処理されたデータを行列に集約するよう動作可能なプロセッサであって、前記行列の行および列は、前記モバイルデバイス(101)の移動の状況を定義し、前記行列は、複数の行列エントリを含み、各行列エントリは、前記事前に定義されている移動の状況のペアのもとで、前記期間中に前記モバイルデバイス(101)によってカバーされた距離を含む、前記プロセッサと、
−前記集約されたデータを前記サーバ(106)に伝送するよう動作可能な送信器と、
を含むモバイルデバイス(101)。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公表番号】特表2013−503323(P2013−503323A)
【公表日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−525900(P2012−525900)
【出願日】平成22年8月6日(2010.8.6)
【国際出願番号】PCT/EP2010/004838
【国際公開番号】WO2011/023284
【国際公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.WINDOWS MOBILE
2.ANDROID
3.GSM
4.JAVASCRIPT
5.Blackberry
6.iPhone
7.Symbian
【出願人】(510290957)アクセンチュア グローバル サービスィズ リミテッド (13)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月6日(2010.8.6)
【国際出願番号】PCT/EP2010/004838
【国際公開番号】WO2011/023284
【国際公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.WINDOWS MOBILE
2.ANDROID
3.GSM
4.JAVASCRIPT
5.Blackberry
6.iPhone
7.Symbian
【出願人】(510290957)アクセンチュア グローバル サービスィズ リミテッド (13)
【Fターム(参考)】
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