説明

ユーザの身体特性を考慮した動的ユーザインターフェース提供装置及び方法

【課題】 ユーザの身体特性を考慮した動的ユーザインターフェース提供装置及び方法を提供する。
【解決手段】 ユーザの身体的特性及び関節疾患の発生可能性によって、グラフィックオブジェクトを動的に変更することができるユーザインターフェース提供装置及び方法と、この装置及び方法の適用された端末とが開示される。本発明の一態様によれば、グラフィックオブジェクトは、最適タッチ領域に表示される。最適タッチ領域は、ユーザの身体的特性を考慮した第1タッチ容易度または第2タッチ容易度によって推定される。また、本発明の他の態様によれば、同じ操作が臨界値以上に反復されれば、グラフィックオブジェクトの配列を変えて他の動作を誘導する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザインターフェース(User Interface、UI)技術に関する。
【背景技術】
【0002】
最近販売されているスマートフォン/タブレットPCは、直観的な入力インターフェースの具現のために、既存のキーパッドの代わりに、タッチスクリーンを採用しており、基本として搭載されたアプリケーション以外にも、多様なアプリケーションを設置及び使えるという特徴がある。
【0003】
したがって、ユーザは、設けられたアプリケーションのうちからよく使うアプリケーションを背景画面の最初のページに移動させ、最初のページ内でも、最もタッチしやすい位置に配置する場合が多い。しかし、このあらゆる過程は、手動でなされるために、アプリケーションを追加/削除する度に、同じ作業を反復しなければならない不便さがある。また、アプリケーションの数が多くなるほど、管理自体が難しくなる。
【0004】
一方、タッチスクリーンを介した入力は、ユーザの関節健康に脅威を与える恐れがある。タッチ入力は、ユーザに楽しさと便利さとを与えるが、入力のために指や手首を動かさなければならず、入力範囲(機器及びタッチスクリーンのサイズ)が小さくて、長期間の使用時に、親指症侯群や手首トンネル症侯群などの疾患を病む恐れがある。
【0005】
すなわち、携帯と入力とが簡便になった代わりに、手先に集中して機器を把持し、指を動かさなければならない負担が生じた。この指の動きは、既存のキーパッド操作に比べて、複雑であり、精巧さを必要とするために、手首と指の関節に負担をかけてしまう。それを医学的に説明すれば、腕から手に行く神経が、手首の靭帯によって、持続的に圧迫を受けるものと言えるが、これにより、ユーザは手のしびれを感じるか、握力が減り、時には指の筋の一部が厚くなって、指を動かす度に、疼痛を感じるようになったりする。
【0006】
専門医によれば、最大限使用時間を減らし、周期的に関節をストレッチングすることが疾患の予防策であるとするが、移動性に優れ、機能が多いスマートフォン/タブレットPCの特性上、使用時間を減らすことが容易ではなく、このような危険性を知らないユーザが多い実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、ユーザの身体特性を考慮した動的ユーザインターフェース提供装置及び方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様による動的ユーザインターフェース提供装置は、ユーザのタッチスクリーンに関するタッチ情報を獲得する獲得部と、タッチ情報に基づいて、ユーザの身体的特性が反映されたタッチスクリーンの最適タッチ領域を推定する第1推定部と、最適タッチ領域に基づいて、所定のグラフィックオブジェクトを表示する第1制御部と、を含む。
【0009】
本発明の他の態様による動的ユーザインターフェース提供装置は、ユーザのタッチスクリーンに関するタッチ情報を獲得する獲得部と、タッチ情報に基づいて、タッチ操作によるユーザの関節ストレスの発生有無を推定する第2推定部と、関節ストレスが発生すれば、タッチスクリーンに表示されるグラフィックオブジェクトを再配置する第2制御部と、を含む。
【0010】
本発明の一態様による動的ユーザインターフェース提供方法は、ユーザのタッチスクリーンに関するタッチ情報を獲得する段階と、タッチ情報に基づいて、ユーザの身体的特性が反映されたタッチスクリーンの最適タッチ領域を推定する段階と、最適タッチ領域に基づいて、所定のグラフィックオブジェクトを表示する段階と、を含む。
【0011】
本発明の他の態様による動的ユーザインターフェース提供方法は、ユーザのタッチスクリーンに関するタッチ情報を獲得する段階と、タッチ情報に基づいて、タッチ操作によるユーザの関節ストレスの発生有無を推定する段階と、関節ストレスが発生すれば、タッチスクリーンに表示されるグラフィックオブジェクトを再配置する段階と、を含む。
【0012】
一方、本発明の一態様による端末は、グラフィックオブジェクトを表示するタッチスクリーンと、タッチスクリーンを操作するユーザの身体的特性を考慮して、タッチスクリーンの最適タッチ領域を推定し、該推定された最適タッチ領域に基づいて、前記グラフィックオブジェクトを表示するUI提供部と、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施例による端末を示す図である。
【図2】本発明の一実施例による動的ユーザインターフェース装置を示す図である。
【図3A】本発明の他の実施例による動的ユーザインターフェース装置を示す図である。
【図3B】本発明の他の実施例による動的ユーザインターフェース装置を示す図である。
【図4A】本発明の一実施例による最適タッチ領域の推定方法を示す図である。
【図4B】本発明の一実施例による最適タッチ領域の推定方法を示す図である。
【図4C】本発明の一実施例による最適タッチ領域の推定方法を示す図である。
【図5A】本発明の他の実施例による最適タッチ領域の推定方法を示す図である。
【図5B】本発明の他の実施例による最適タッチ領域の推定方法を示す図である。
【図5C】本発明の他の実施例による最適タッチ領域の推定方法を示す図である。
【図5D】本発明の他の実施例による最適タッチ領域の推定方法を示す図である。
【図6】本発明の一実施例による動的ユーザインターフェース提供方法を示す図である。
【図7】本発明の他の実施例による動的ユーザインターフェース提供方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施のための具体例を詳しく説明する。
【0015】
図1は、本発明の一実施例による端末を示す。端末100は、携帯電話、スマートフォン、PMP、PDA、MP3プレーヤーなどになりうる。ユーザは、端末100に備えられたディスプレイ窓をタッチ操作して、端末100を使うことができる。このようなユーザインターフェースのために、端末100は、タッチスクリーン101とUI提供部102とを含みうる。
【0016】
タッチスクリーン101には、グラフィックオブジェクト103が表示される。グラフィックオブジェクト103は、端末100または端末100に設けられたアプリケーションの使用のための機能ボタンまたは実行アイコンになりうる。例えば、ユーザは、タッチスクリーン101に表示されたグラフィックオブジェクト103をタッチ操作して、特定のアプリケーションを実行させるか、端末100またはアプリケーションの機能を制御することができる。
【0017】
UI提供部102は、タッチスクリーン101のグラフィック効果を制御することによって、グラフィックオブジェクト103をタッチスクリーン101の所定領域に表示させる。UI提供部102は、端末100の内部にハードウェア及び/またはソフトウェア的に形成される。
【0018】
また、UI提供部102は、タッチスクリーン101を操作するユーザの身体的特性を考慮して、タッチスクリーン101の最適タッチ領域104を推定し、該推定された最適タッチ領域104に基づいて、グラフィックオブジェクト103を表示する。例えば、右利きであるユーザの場合、タッチスクリーン101の右側の下部側のグラフィックオブジェクト103をタッチするのが相対的にさらに楽かもしれないので、UI提供部102は、よく使うグラフィックオブジェクト103をタッチスクリーン101の右側の下部側に表示することが可能である。
【0019】
また、UI提供部102は、タッチスクリーン101を操作するユーザが同じ操作を反復的に行う場合、関節に負担にならないように警報を発生させるか、またはグラフィックオブジェクト103の配列を変更する。警報が発生するか、グラフィックオブジェクト103の配列が変更されれば、これにより、ユーザの操作パターンも変わるために、同じ動作の反復による関節ストレスを減らしうる。
【0020】
図2は、本発明の一実施例による動的ユーザインターフェース装置を示す。図2に示された動的ユーザインターフェース装置200の一部または全部の構成は、図1のUI提供部102を形成しうる。
【0021】
図2を参照すると、本実施例による動的ユーザインターフェース装置200は、獲得部201、推定部202、制御部203、及び保存部204を含む。
【0022】
獲得部201は、ユーザのタッチスクリーンに関するタッチ情報を獲得する。タッチスクリーンに関するタッチ情報とは、ユーザがタッチスクリーンを操作する時の多様な入力情報を言う。例えば、タッチ情報は、タッチ位置(または、座標)、タッチスクリーンの各領域別のタッチ回数または頻度、連続タッチの開始及び終了位置、連続タッチの方向、及び連続タッチの速度などを含みうる。連続タッチとは、第1タッチ位置と第2タッチ位置とが切れ目なしに繋がる形態のタッチ操作を意味する。ここで、切れ目なしに繋がる形態のタッチ操作とは、第1タッチ位置から第2タッチ位置まで指がタッチスクリーンから物理的に離れない状態を保持しながら移動を行うことを意味する。例えば、ドラッグ(drag)動作は、連続タッチの代表的な例になりうる。
【0023】
また、獲得部201は、獲得されたタッチ情報を保存部204に保存する。例えば、得られたタッチ情報は、持続的にタッチ情報保存部214に保存することができる。タッチ情報保存部214に保存されたタッチ情報は、ユーザの操作パターンまたはユーザの身体的特性の類推に基礎資料として使われる。
【0024】
また、獲得部201は、現在端末で実行中であるアプリケーションまたは機能に関する実行情報を獲得し、該獲得された実行情報を保存部204に保存する。例えば、得られた実行情報は、持続的に実行情報保存部215に保存することができる。実行情報保存部215に保存された実行情報は、ユーザが好むアプリケーションまたは機能が何なのか、ユーザがよく使うアプリケーションまたは機能が何なのかなどの類推に用いられる基礎資料となる。
【0025】
推定部202は、第1推定部212及び第2推定部222を含む。
【0026】
制御部203は、第1制御部213及び第2制御部223を含む。
【0027】
まず、第1推定部212と第1制御部213とについて説明すれば、次の通りである。
【0028】
第1推定部212は、ユーザの身体的特性が反映されたタッチスクリーンの最適タッチ領域を推定する。例えば、第1推定部212は、獲得部201からタッチ情報及び/または実行情報を受信し、該受信された情報に基づいて、タッチスクリーンで、ユーザがよくタッチする部分がどこか、ユーザが右利きであるか、左利きであるか、ユーザが好んだり、よく使ったりするグラフィックオブジェクトは、何なのかなどを推定することができる。
【0029】
また、第1推定部212は、身体的特性を反映した最適タッチ領域を推定するために、所定のタッチ容易度を算出し、該算出されたタッチ容易度によって最適タッチ領域を生成させる。本実施例によって、タッチ容易度は、2種類が使われる。第1タッチ容易度は、タッチスクリーンの各領域に関するタッチ回数または頻度と関連した値である。第2タッチ容易度は、連続タッチの方向性を考慮して、第1タッチ容易度に追加的に所定の加重値が付与された値である。
【0030】
まず、第1タッチ容易度を用いて、最適タッチ領域を決定する方法を説明する。
【0031】
第1推定部212は、タッチスクリーンを多数のセル(cell)に分割し、各セルのタッチ回数または頻度をカウンティング(counting)する。ここで、タッチ回数は、ユーザが所定期間内に特定セルを何回タッチしたのかを表わす絶対量を表わし、タッチ頻度は、全体タッチ回数と特定セルのタッチ回数との間の相対的な比率を表わすことができる。例えば、ユーザが、タッチスクリーンを10回タッチし、全体セルのうちから第1セルを3回、第2セルを7回タッチしたと仮定する。そうすると、第1セルのタッチ頻度は、0.3であり、第2セルのタッチ頻度は、0.7になる。
【0032】
第1推定部212は、カウンティングされた回数または頻度に比例して、各セルの第1タッチ容易度を算出する。例えば、第1推定部212は、タッチ回数または頻度が高いセルであるほど高い第1タッチ容易度を付与することができる。第1推定部212は、第1タッチ容易度が所定の臨界値以上であるセルを抽出し、該抽出されたセルの集合を最適タッチ領域と推定する。
【0033】
次いで、第2タッチ容易度を用いて、最適タッチ領域を決定する方法を説明する。
【0034】
前述したように、第1タッチ容易度が求められれば、これに追加的に第1推定部212は、連続タッチの平均的な開始及び終了位置によって加重値が付与されるセルを決定する。そして、第1タッチ容易度に所定の加重値を付与するが、加重値が付与されるセルに該当する第1タッチ容易度にのみ選択的に加重値を付与することによって、各セルの第2タッチ容易度を算出する。そして、第1推定部212は、算出された第2タッチ容易度が所定の臨界値以上であるセルを抽出し、該抽出されたセルの集合を最適タッチ領域と推定する。
【0035】
タッチ容易度の算出及び最適タッチ領域の推定に対するさらに具体例については、後述する。
【0036】
第1推定部212によって最適タッチ領域が推定されれば、第1制御部213は、最適タッチ領域を用いて、グラフィックオブジェクトを表示する。例えば、第1制御部213は、ユーザが好むか、よく使うアプリケーションの実行アイコンまたは機能ボタンなどを最適タッチ領域に配置することが可能である。ユーザが好むか、よく使うアプリケーション及び機能に関する情報は、実行情報保存部215に保存されている実行情報に基づいて決定されうる。
【0037】
このように、ユーザの身体的特性が考慮されて最適タッチ領域が定められ、該定められた最適タッチ領域に選好度が高いグラフィックオブジェクトが表示されるために、ユーザは、より便利に各種のアプリケーションまたは機能を使うことが可能である。
【0038】
引き続き、第2推定部222と第2制御部223とについて説明する。
【0039】
第2推定部222は、獲得部201によって得られたタッチ情報に基づいて、タッチ操作によってユーザの関節ストレスの発生有無を推定する。例えば、ユーザがタッチスクリーンの特定位置を継続的にタッチしている場合、第2推定部222は、タッチ回数を所定の臨界値と比較して、そのタッチ回数が臨界値を超えれば、タッチ操作による関節ストレスが発生したと推定することができる。
【0040】
第2制御部223は、第2推定部222の推定結果によって、タッチスクリーンに表示されるグラフィックオブジェクトを再配置するか、所定の警報を発生させる。例えば、ユーザが、タッチスクリーンの特定位置を所定の臨界値以上にタッチし続けている場合、当該位置に存在していたグラフィックオブジェクトを他の位置に変更することによって、関節ストレスを解消させることができる。また、警報を発生させることによって、ユーザが他のパターンの操作を行うように誘導することもできる。
【0041】
このように、同じパターンの操作反復がある場合、グラフィックオブジェクトを新たに配置するか、警報を発生させるために、同じパターンで反復操作を行うことで発生しうる関節ストレスを解消することができる。
【0042】
また、図2で、第1推定部212及び第2推定部222が、別個の構成で示されたが、これは、説明の便宜のためのものに過ぎないので、1つのソフトウェア的モジュールまたは1つのハードウェア的モジュールで形成されうるということは勿論であり、これは、第1制御部213及び第2制御部223も同様である。
【0043】
図3A及び図3Bは、本発明の他の実施例による動的ユーザインターフェース装置を示す。
【0044】
図2では、推定部202が、第1推定部212と第2推定部222とをいずれも含み、制御部203が、第1制御部213と第2制御部223とをいずれも含む例について説明した。しかし、必ずしもこのような構成に限定されるものではなく、一部の構成のみでも、動的ユーザインターフェース装置が具現されることもある。
【0045】
例えば、図2で、推定部202には、第1推定部212と第2推定部222とがいずれも形成されたが、2つのうち1つのみでも形成されうる。同様に、制御部203には、第1制御部213と第2制御部223とがいずれも形成されたが、2つのうち1つのみでも形成されうる。
【0046】
言い換えれば、本実施例による動的ユーザインターフェース装置は、図3Aのように、図2で、第2推定部222と第2制御部223のみ除いて形成され、図3Bのように、第1推定部212と第1制御部213のみ除いて形成されうる。
【0047】
図4Aないし図4Cは、本発明の一実施例による最適タッチ領域の推定方法を示す。
【0048】
図4Aを参照すると、推定部202(図2)は、タッチスクリーンの各領域をセル(cell)に分割する。例えば、推定部202は、タッチスクリーン領域をセルA00ないしA44に分割することができる。図4Aの例においては、全てのセルは同一のサイズでかつスクリーン全体をカバーしている。しかし、全てのセルが同じサイズでなくてもよく、そして/またはセルがスクリーン全体をカバーしなくてもよい事に留意すべきである。
【0049】
引き続き、獲得部201(図2)から各セルのタッチ回数または頻度を獲得し、推定部202は、得られた各セルのタッチ回数または頻度を第1タッチ容易度に変換する。例えば、推定部202は、タッチ回数によって、各セルに順位を付け、順位によって第1タッチ容易度を付与することができる。
【0050】
例えば、図4Bで、それぞれの数字は、各セルの第1タッチ容易度を表わす。図4Bの場合、セルA22の第1タッチ容易度が最も大きいが、ユーザがセルA22を最も多くタッチしたと見られる。
【0051】
各セルの第1タッチ容易度が算出されれば、推定部202は、第1タッチ容易度と所定の臨界値とを比較し、臨界値以上の第1タッチ容易度を有するセルを選択する。もし、臨界値が15であると仮定すれば、セルA14、A22、A23、A32、A34、及びA42が選択されうる。このように、臨界値以上の第1タッチ容易度を有するセルが選択されれば、推定部202は、選択されたセルに対応する領域を最適タッチ領域と推定することができる。
【0052】
例えば、図4Cで、推定部202は、セルA14、A22、A23、A32、A34、及びA42を含む領域を最適タッチ領域401と推定することが可能である。
【0053】
図5Aないし図5Dは、本発明の他の実施例による最適タッチ領域の推定方法を示す。これは、第1タッチ容易度に選択的に加重値を付与して、第2タッチ容易度を算出し、第2タッチ容易度に基づいて、最適タッチ領域を決定することに関する一例になりうる。
【0054】
図5Aを参照すると、推定部202は、獲得部201から連続タッチの開始位置501及び終了位置502を受信する。推定部202は、開始位置501と終了位置502とを用いて、連続タッチの傾き及び方向を計算し、その値を保存部204(図2)に記録することができる。ここで、連続タッチの傾きとは、開始位置501と終了位置502とを連結する直線の傾きになりうる。この際、推定部202は、所定範囲内の傾きを有する連続タッチのみ有効連続タッチとして保存部204に記録することもできる。例えば、0に近い傾きが形成される連続タッチの場合、平行に近い軌跡を有するために、連続タッチの方向性を判断するデータとして使われにくく、その連続タッチは、有効連続タッチから除外させることができる。
【0055】
推定部202は、特定期間累積された有効連続タッチの傾き値を正数/負数に分類して統計を出すことができる。もし、傾き値が正数が多ければ、ユーザは右利きであり、負数が多ければ、ユーザが左利きであると推定することができる。例えば、傾きに対する統計結果量の値が多ければ、そのユーザが右利きであると推定し、もし、連続タッチが左側上方から右側下方になされる場合、言い換えれば、負の傾きが形成される場合、そのユーザは、左利きであると推定することができる。
【0056】
推定部202は、右利き/左利きの判断結果によって、連続タッチをフィルタリングし、開始及び終了位置の平均値を計算する。そして、推定部202は、計算された平均開始位置及び平均終了位置を連結する直線を生成させる。
【0057】
例えば、図5Bのように、推定部202は、有効連続タッチの平均開始位置503と平均終了位置504とを獲得し、それぞれの位置503、504を連結する直線505を生成することができる。
【0058】
推定部202は、直線505が通り過ぎるセルを加重値付与セルと決定することが可能である。例えば、図5Cのように、セルA04、A13、A14、A22、A23、A32、A41、及びA42が加重値付与セルと決定されうる。
【0059】
加重値付与セルが決定されれば、推定部202は、図4Bのように求められた第1タッチ容易度に選択的に加重値を付与して、第2タッチ容易度を求める。
【0060】
例えば、加重値が1.3であれば、図5Dのように、第1タッチ容易度に加重値1.3を乗算するが、図5Cで加重値付与セルと決定されたセルにのみ選択的に加重値を乗算することが可能である。すなわち、セルA03の場合、第1タッチ容易度が‘2’である。ところが、セルA03は、加重値付与セルではないので、第2タッチ容易もやはり‘2’に与えられる。しかし、セルA04の場合、第1タッチ容易度が‘5’である。ところが、セルA04は、加重値付与セルであるので、第2タッチ容易度は、加重値が付与された‘6.5’であるということが分かる。
【0061】
第2タッチ容易度が求められれば、推定部202は、第2タッチ容易度と所定の臨界値とを比較して、最適タッチ領域を推定することができる。例えば、図5Dで、臨界値が15である場合、セルA13(16.9)、A14(20.8)、A22(28.6)、A23(23.4)、A32(26)、A34(17)、A41(16.9)、及びA42(19.5)を含む領域が、最適タッチ領域と推定されうる。
【0062】
但し、前記のように加重値を付与するのは、1つの実施例を表わしたものであって、その他に多様な方法を通じて加重値が付与されうる。例えば、連続タッチの平均開始及び終了位置を連結する直線の形成以外にも、その平均開始及び終了位置を含む所定の閉曲線領域を設定した後、加重値を付与することもでき、加重値と比較される臨界値も多様に変更されうる。
【0063】
図6は、本発明の一実施例による動的ユーザインターフェース提供方法を示す。
【0064】
図2及び図6を参照すると、まず、獲得部201が、タッチ情報を獲得する(601)。タッチ情報は、タッチスクリーンを操作する時のタッチ位置(または、座標)、タッチスクリーンの各領域別のタッチ回数または頻度、連続タッチの開始及び終了位置、連続タッチの方向、及び連続タッチの速度などを含みうる。
【0065】
タッチ情報が獲得されれば、推定部202が、ユーザの身体的特性が反映された最適タッチ領域を推定する(602)。
【0066】
一例として、図4Aないし図4Cのように、推定部202が、タッチスクリーンの各領域別のタッチ頻度及び第1タッチ容易度を用いて、最適タッチ領域を推定することができる。
【0067】
他の例として、図4Aないし図4C、及び図5Aないし図5Dのように、推定部202が、タッチスクリーンの各領域別のタッチ頻度、連続タッチの方向性、第1タッチ容易度、及び第2タッチ容易度を用いて、最適タッチ領域を推定することもできる。
【0068】
最適タッチ領域が推定されれば、制御部203は、その最適タッチ領域を考慮して、グラフィックオブジェクトを表示する(603)。例えば、制御部203は、ユーザがよく使うか、好むアプリケーション実行アイコンまたは機能ボタンを推定された最適タッチ領域内に表示することが可能である。
【0069】
また、選択的に、グラフィックオブジェクトの選好度と最適タッチ領域のタッチ容易度とをマッピングして、タッチ容易度が高い部分に選好度が高いグラフィックオブジェクトを配置することも可能である。
【0070】
また、最適タッチ領域内に配置されるグラフィックオブジェクトは、よく使うか、好むグラフィックオブジェクト以外にも、最近設けられたアプリケーションと関連したグラフィックオブジェクトになり、その他の多様な方法でユーザによって設定されることもある。
【0071】
さらに、最適タッチ領域内にグラフィックオブジェクトを配置する時にも、ユーザの身体的特性を考慮して、より便利にグラフィックオブジェクトを操作できるように、グラフィックオブジェクトの配置形態を変更することが可能である。例えば、最近、スマートフォンの場合、スマートフォンのロック(holding)を解除するための動作として所定のグラフィックオブジェクトを一方向にスライディング(sliding)する動作が使われる場合が多いが、連続タッチの開始及び終了位置によって、ユーザが右利きであると推定されれば、そのスライディングの方向を左側から右側に設定し、ユーザが左利きであると推定されれば、そのスライディングの方向を右側から左側に設定することが可能である。
【0072】
このように、ユーザの身体的特性によって、使用が便利な位置に選好度が高いグラフィックオブジェクトが表示されるために、ユーザインターフェースの便宜性を増大させることができる。
【0073】
図7は、本発明の他の実施例による動的ユーザインターフェース提供方法を示す。
【0074】
図2及び図7を参照すると、まず、獲得部201が、タッチ情報を獲得する(701)。タッチ情報は、タッチスクリーンを操作する時のタッチ位置(または、座標)、タッチスクリーンの各領域別のタッチ回数または頻度、連続タッチの開始及び終了位置、連続タッチの方向、及び連続タッチの速度などを含みうる。
【0075】
タッチ情報が獲得されれば、推定部202は、関節ストレスの発生有無を推定する(702)。例えば、推定部202は、図4Aのように、タッチスクリーンを多数のセルに分割し、反復的なタッチ回数が臨界値を超える場合、関節ストレスが発生すると類推することができる。
【0076】
関節ストレスが発生すると推定されれば、制御部203は、グラフィックオブジェクトを再配置する(703)。例えば、図4Aで、ユーザが、セルA22に表示されているグラフィックオブジェクトを臨界値以上に反復タッチする場合、制御部203は、セルA22に表示されているグラフィックオブジェクトを他の位置、例えば、セルA40に移して操作パターンの変更を誘導することができる。
【0077】
また、選択的に、制御部203は、関節ストレスが発生すると推定された場合、警報を発生することもある。警報の種類は音になり、画面に表示される警報文句になることもある。
【0078】
このように、関節ストレスを誘発する動作が臨界値以上に反復される場合、他の動作がなされるように誘導するために、ユーザの健康も増進させることができる。
【0079】
一方、本発明の実施例は、コンピュータで読み取り可能な記録媒体にコンピュータで読み取り可能なコードとして具現しうる。コンピュータで読み取り可能な記録媒体は、コンピュータシステムによって読み取れるデータが保存されるあらゆる種類の記録装置を含む。
【0080】
コンピュータで読み取り可能な記録媒体の例としては、ROM、RAM、CD−ROM、磁気テープ、フロッピー(登録商標)ディスク、光データ保存装置などがあり、また、キャリアウェーブ(例えば、インターネットを介した伝送)の形態で具現するものを含む。また、コンピュータで読み取り可能な記録媒体は、ネットワークで連結されたコンピュータシステムに分散されて、分散方式でコンピュータで読み取り可能なコードとして保存されて実行可能である。そして、本発明を具現するための機能的な(functional)プログラム、コード及びコードセグメントは、本発明が属する技術分野のプログラマーによって容易に推論されうる。
【0081】
さらに、前述した実施例は、本発明を例示的に説明するためのものであって、本発明の権利範囲が特定の実施例に限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明は、ユーザの身体特性を考慮した動的ユーザインターフェース提供装置及び方法関連の技術分野に適用可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザのタッチスクリーンに関するタッチ情報を獲得する獲得部と、
前記タッチ情報に基づいて、前記ユーザの身体的特性が反映された前記タッチスクリーンの最適タッチ領域を推定する第1推定部と、
前記最適タッチ領域に基づいて、所定のグラフィックオブジェクトを表示する第1制御部と、
を含む動的ユーザインターフェース提供装置。
【請求項2】
前記タッチ情報は、
前記タッチスクリーンの各領域別のタッチ回数または頻度情報、及び連続タッチの開始及び終了の位置情報のうち、少なくとも1つを含む請求項1に記載の動的ユーザインターフェース提供装置。
【請求項3】
前記第1推定部は、
前記タッチスクリーンの各領域別のタッチ回数または頻度情報に基づいて、前記各領域の第1タッチ容易度を計算し、
該計算された前記第1タッチ容易度に基づいて、前記最適タッチ領域を推定する請求項2に記載の動的ユーザインターフェース提供装置。
【請求項4】
前記第1推定部は、
前記タッチスクリーンの各領域別のタッチ回数または頻度情報に基づいて、前記各領域の第1タッチ容易度を計算し、
前記連続タッチの開始及び終了位置によって、前記タッチスクリーンの各領域のうち、加重値の付与領域を決定し、
該決定された加重値の付与領域に選択的に加重値を付与することによって、前記各領域の第2タッチ容易度を計算し、
該計算された前記第2タッチ容易度に基づいて、前記最適タッチ領域を推定する請求項2に記載の動的ユーザインターフェース提供装置。
【請求項5】
前記第1推定部は、
前記連続タッチの開始及び終了位置によって得られた連続タッチの傾きを用いて、前記ユーザが右利きであるか、または左利きであるかを判断し、
前記判断結果を考慮して、前記加重値の付与領域を決定する請求項4に記載の動的ユーザインターフェース提供装置。
【請求項6】
前記第1制御部は、
選好度が臨界値以上であるアプリケーションの実行アイコンまたは機能ボタンを前記最適タッチ領域に表示する請求項1に記載の動的ユーザインターフェース提供装置。
【請求項7】
前記タッチ情報に基づいて、タッチ操作による前記ユーザの関節ストレスの発生有無を推定する第2推定部と、
前記関節ストレスが発生すれば、前記タッチスクリーンに表示されるグラフィックオブジェクトを再配置する第2制御部と、
をさらに含む請求項1に記載の動的ユーザインターフェース提供装置。
【請求項8】
ユーザのタッチスクリーンに関するタッチ情報を獲得する段階と、
前記タッチ情報に基づいて、前記ユーザの身体的特性が反映された前記タッチスクリーンの最適タッチ領域を推定する段階と、
前記最適タッチ領域に基づいて、所定のグラフィックオブジェクトを表示する段階と、
を含む動的ユーザインターフェース提供方法。
【請求項9】
前記タッチ情報に基づいて、タッチ操作による前記ユーザの関節ストレスの発生有無を推定する段階と、
前記関節ストレスが発生すれば、前記タッチスクリーンに表示されるグラフィックオブジェクトを再配置する段階と、
をさらに含む請求項8に記載の動的ユーザインターフェース提供方法。
【請求項10】
ユーザのタッチスクリーンに関するタッチ情報を獲得する獲得部と、
前記タッチ情報に基づいて、タッチ操作による前記ユーザの関節ストレスの発生有無を推定する推定部と、
前記関節ストレスが発生すれば、前記タッチスクリーンに表示されるグラフィックオブジェクトを再配置する制御部と、
を含む動的ユーザインターフェース提供装置。
【請求項11】
前記タッチ情報は、
前記タッチスクリーンの各領域別のタッチ回数または頻度情報、及び連続タッチの開始及び終了の位置情報のうち、少なくとも1つを含む請求項10に記載の動的ユーザインターフェース提供装置。
【請求項12】
前記推定部は、
前記タッチ情報に基づいて実質的に同じタッチパターンが所定の臨界値以上に反復されるか否かを判断し、その判断結果によって、前記関節ストレスの発生有無を推定する請求項10に記載の動的ユーザインターフェース提供装置。
【請求項13】
前記制御部は、
前記関節ストレスが発生しないように、前記グラフィックオブジェクトを再配置する請求項10に記載の動的ユーザインターフェース提供装置。
【請求項14】
ユーザのタッチスクリーンに関するタッチ情報を獲得する段階と、
前記タッチ情報に基づいて、タッチ操作による前記ユーザの関節ストレスの発生有無を推定する段階と、
前記関節ストレスが発生すれば、前記タッチスクリーンに表示されるグラフィックオブジェクトを再配置する段階と、
を含む動的ユーザインターフェース提供方法。
【請求項15】
グラフィックオブジェクトを表示するタッチスクリーンと、
前記タッチスクリーンを操作するユーザの身体的特性を考慮して、前記タッチスクリーンの最適タッチ領域を推定し、該推定された最適タッチ領域に基づいて、前記グラフィックオブジェクトを表示するUI提供部と、
を含む端末。
【請求項16】
前記UI提供部は、
前記タッチスクリーンの各領域別のタッチ回数または頻度情報、及び連続タッチの開始及び終了の位置情報のうち、少なくとも1つを含むタッチ情報を獲得する獲得部と、
前記タッチスクリーンの各領域別のタッチ回数または頻度情報に基づいて、前記各領域の第1タッチ容易度を計算し、該計算された前記第1タッチ容易度に基づいて最適タッチ領域を推定する推定部と、
選好度が臨界値以上であるアプリケーションの実行アイコンまたは機能ボタンを前記最適タッチ領域に表示する制御部と、
を含む請求項15に記載の端末。
【請求項17】
前記推定部は、
前記第1タッチ容易度が計算された後、前記連続タッチの平均的な開始及び終了位置によって、前記タッチスクリーンの各領域のうち、加重値の付与領域を決定し、該決定された加重値の付与領域に選択的に加重値を付与することによって、前記各領域の第2タッチ容易度を計算し、該計算された前記第2タッチ容易度に基づいて、前記最適タッチ領域を推定する請求項16に記載の端末。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−4087(P2013−4087A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−130993(P2012−130993)
【出願日】平成24年6月8日(2012.6.8)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】129,Samsung−ro,Yeongtong−gu,Suwon−si,Gyeonggi−do,Republic of Korea
【Fターム(参考)】