説明

ユーザ評価入力装置

【課題】本発明は、デバイスの動作に対するユーザの評価を認識することができるユーザ評価入力装置を提供する。
【解決手段】本発明に係るユーザ入力評価装置1は、ナビゲーションシステム3の動作を制御するナビゲーションECU10と、ナビゲーションシステム3の動作に対するユーザの評価を入力するNG評価入力ボタン2と、を備え、ナビゲーションECU10により制御されたナビゲーションシステム3の動作の後、NG評価入力ボタン2に評価が入力された場合に、この評価は当該動作に対する評価であると認識することを特徴とする。このユーザ入力評価装置1によれば、ナビゲーションシステム3の動作に対するユーザの評価を認識することができるので、ナビゲーションECU10に運転者の嗜好等を学習させることが可能となり、ナビゲーションシステム3の動作に対するユーザの満足度を高めることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デバイスの動作に対するユーザの評価を入力するためのユーザ評価入力装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ヘッドライトやワイパーなどの車載機器を周囲の状況(明るさや天候など)に応じて自動制御する自動制御装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載された自動制御装置では、車載機器の自動制御を行う前に、ユーザに対して自動制御が必要であるか否かを問いかけ、その回答により自動制御が必要であるか否かを学習する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−38932号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前述した従来の自動制御装置では、ユーザが自動制御を必要としているか否かを認識することはできるが、自動制御の動作(例えば、ヘッドライトの点灯タイミング)に対するユーザの評価を認識することはできなかった。このため、ユーザは自動制御の動作に対して不要と感じた場合、自動制御をオフにするか又は我慢するしかないという問題があった。
【0005】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、デバイスの動作に対するユーザの評価を認識することができるユーザ評価入力装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るユーザ入力評価装置は、デバイスの動作を制御する制御手段と、デバイスの動作に対するユーザの評価を入力するユーザ評価入力手段と、を備え、制御手段により制御されたデバイスの動作の後、ユーザ評価入力手段に評価が入力された場合に、この評価は当該動作に対する評価であると認識することを特徴とする。このユーザ入力評価装置によれば、車載機器等のデバイスの動作に対するユーザの評価を認識することができるので、制御手段にユーザの嗜好等を学習させることが可能となり、デバイスの動作に対するユーザの満足度を高めることができる。
【0007】
また、制御手段は、ユーザ評価入力手段に入力された評価に応じてデバイスの動作を変更することが好ましい。この場合、入力されたユーザの評価をデバイスの動作に反映させることで、ユーザの満足度を高めることができる。
【0008】
また、ユーザ評価入力手段は、NG評価を入力するためのNG評価入力ボタンを有することが好ましい。このような構成によれば、デバイスの動作に対して不満を感じたユーザは、NG評価入力ボタンを押下することで、制御装置にNG評価を伝達することが可能となるので、ユーザの不満の軽減が図られる。
【0009】
また、デバイスは、車両に搭載された車載機器であることが好ましい。例えば、運転中の運転者がナビゲーションシステムなどの車載機器の動作に対して評価を入力することにより、ECUなどの制御手段に運転者の嗜好等を学習させることが可能となり、車載機器の動作に対する運転者の満足度を高めることができる。
【0010】
また、車載機器は、ナビゲーションシステムであることが好ましい。この場合、ナビゲーションシステムに対する運転者の満足度を高めることが可能となる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、デバイスの動作に対するユーザの評価を認識することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係るユーザ評価入力装置の一実施形態の構成を示すブロック図である。
【図2】図1のユーザ評価入力装置を備えた車両のダッシュボードを示す図である。
【図3】図1のユーザ評価入力装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係るユーザ評価入力装置の好適な実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0014】
図1及び図2に示すように、本実施形態に係るユーザ評価入力装置1は、車両に搭載され、運転者(ユーザ)を案内するナビゲーションシステム(デバイス)3の動作に対して運転者の評価を入力するためのものであり、NG評価入力ボタン(ユーザ評価入力手段)2と、ナビゲーションシステム3とから構成されている。
【0015】
NG評価入力ボタン2は、ナビゲーションシステム3の動作(地図情報の案内等)に対して、運転者がNG評価を入力するためのボタンである。具体的には、ナビゲーションシステム3により案内された情報が誤っていた場合や案内された情報が過剰だった場合などに、運転者がNG評価入力ボタン2を押すことで、直前の案内に問題点があったことがナビゲーションシステム3に入力される。これにより、ナビゲーションシステム3に対する運転者の不満の軽減が図られる。また、NG評価入力ボタン2は、運転者がナビゲーションシステム3の動作以外の原因により何らかの不満をもった場合に、ボタンを叩くことでいわゆる八つ当たりを行い、これによって運転者の不満を軽減するための八つ当たり用ボタンとしても用いられる。NG評価入力ボタン2は、ボタンが押された場合、NG評価入力信号をナビゲーションシステム3に送信する。
【0016】
NG評価入力ボタン2は、例えば略半球形状のボタン部とバネなどの弾性によりボタン部が出入りする孔部とから構成され、手のひらでボタン部を叩くことを連想させるような形状をなしている。また、ボタン部は、半透明の樹脂から構成されると共に、その内部にLED[Light Emitting Diode]等からなる発光部を備えている。この発光部は、運転者がNG評価入力ボタン2を押す強さ(叩く強さ)に比例して光量が増大するように構成されており、運転者の不満を軽減する手助けとなる。
【0017】
NG評価入力ボタン2は、例えば車両のダッシュボードD上に設けられ、運転席の運転者がボタンを叩くことができると共に、助手席の乗員及び運転者が座席に全体重を預けた状態(リラックスして座った状態)ではボタンを叩きにくい位置に配置されている。このような位置に配置されることで、運転者が安易にボタンを叩き、適切なNG評価の認識及び活用が妨げられることを抑制することができる。また、NG評価入力ボタン2は、後述するナビゲーションシステム3のディスプレイEと同時に運転者の視界に入る位置(例えば、ディスプレイEの上方)に配置されている。これにより、運転者は、ディスプレイEに表示された案内の情報に対して不満を感じた場合に、NG評価入力ボタン2の存在を意識してNG評価を入力しやすくなる。
【0018】
ナビゲーションシステム3は、車両周辺の地図や目的地までの経路などの情報を示すことで運転者を案内するものであり、ナビゲーションECU[Electric Control Unit](制御手段)10、GPS[Global Positioning System]受信部11、及び出力部12を備えている。
【0019】
ナビゲーションECU10は、演算処理を行うCPU[Central Processing Unit]、記憶部となるROM[Read Only Memory]及びRAM[Random Access Memory]、入力信号回路、出力信号回路、電源回路等により構成され、ナビゲーションシステム3の動作を制御する制御手段として機能する。ナビゲーションECU10は、NG評価入力ボタン2と電気的に接続されている。また、ナビゲーションECU10は、GPS受信部11、及び出力部12と電気的に接続されている。
【0020】
GPS受信部11は、複数のGPS衛星からの電波を受信することにより車両の位置を検出する。GPS受信部11は、検出した車両の位置を現在地情報としてナビゲーションECU10に送信する。
【0021】
出力部12は、車内に映像情報を出力するためのディスプレイEと音声情報を出力するためのスピーカとを有している。出力部12は、ディスプレイE及びスピーカを通じて車両の運転者にナビゲーションECU10から送信された各種情報を伝達する。
【0022】
ナビゲーションECU10は、車両が走行する走行路や交差点などの地図情報を記憶している。ナビゲーションECU10は、GPS受信部11から送信された現在地情報に基づいて、地図上の車両位置を認識し、認識した地図上の車両位置及び車両周囲の地図情報を出力部12に送信する。
【0023】
ナビゲーションECU10は、NG評価入力ボタン2からNG評価入力信号が入力された場合、運転者によるNG評価入力ボタン2の操作がNG評価入力のためのものであるか八つ当たり行為であるかを判断する。例えば、ナビゲーションECU10は、直前の動作(ディスプレイEやスピーカによる情報の出力)からの経過時間を計測し、動作毎に予め定められたNG評価入力時間が経過したか否かを判定する。ナビゲーションECU10は、直前の動作におけるNG評価入力時間が経過した場合には、NG評価入力ボタン2の操作は八つ当たり行為であると判断し、NG評価入力時間が経過していない場合には、NG評価入力ボタン2の操作は直前の動作に対するNG評価の入力であると認識する。
【0024】
ナビゲーションECU10は、NG評価入力ボタン2の操作は直前の動作に対するNG評価の入力であると認識した場合、直前の動作の内容について差分抽出を行う。差分抽出では、例えば直前の動作と同じ又は類似の動作であってNG評価が入力されなかった動作と直前の動作とを比較し、その比較結果から運転者がNG評価を出した内容を推定することで問題点を抽出する。ナビゲーションECU10は、抽出した問題点が改善されるよう直前の動作の内容を変更する。このようにして、ナビゲーションECU10は、運転者のNG評価を認識し、ナビゲーションシステム3の動作を変更していくことで利便性が向上するように学習していく。また、NG評価入力ボタン2を叩いた回数、強さ、タイミングなどから、直前の動作内容に対するユーザの不満の程度を推測し、制御の変更の指標としてもよい。
【0025】
具体的には、ナビゲーションシステム3による経路案内において、前方の交差点の進行方向に関する情報をディスプレイE及びスピーカにより案内する動作に対して、案内が遅いとの不満を持った場合、運転者は当該動作のあった直後にNG評価入力ボタン2の操作を行う。この場合、NG評価入力ボタン2の操作は、案内の動作について予め定められたNG評価入力時間(例えば1〜2分)内に行われるので、ナビゲーションECU10は、NG評価の入力であると認識する。ナビゲーションECU10は、NG評価の入力を認識した当該動作について、NG評価を受けていない従来の動作と比較を行い、案内のタイミングが遅いことが問題点であると推定する。ナビゲーションECU10は、案内のタイミングが遅いことが問題点であると推定した場合、案内のタイミングを早くするように動作を変更する。
【0026】
次に、以上の構成を有するユーザ評価入力装置1の動作について図面を参照して具体的に説明する。
【0027】
図3に示すように、先ず、NG評価入力ボタン2が操作されると、NG評価入力信号がナビゲーションECU10に入力される(S1)。NG評価入力信号が入力された場合、NG評価入力ボタン2の操作はNG評価入力のためのものであるか八つ当たり行為であるかが判断される(S2)。NG評価入力ボタン2の操作は八つ当たり行為であると判断された場合、最初から処理を繰り返す。
【0028】
NG評価入力ボタン2の操作はNG評価入力のためのものであると判断された場合、ナビゲーションシステム3の直前の動作に対するNG評価の入力であると認識される(S3)。直前の動作に対するNG評価の入力が認識された場合、直前の動作の内容について差分抽出が行われる(S4)。この差分抽出によって、抽出された問題点を改善するようにナビゲーションシステム3の直前の動作の内容を変更する(S5)。
【0029】
以上説明したユーザ入力評価装置1では、ナビゲーションシステム3の動作に対する運転者の評価を認識することができるので、ナビゲーションECU10に運転者の嗜好等を学習させることが可能となり、ナビゲーションシステム3の動作に対する運転者の満足度を高めることができる。具体的には、ナビゲーションECU10は、情報の伝達を行った際に、運転者がその情報を受け入れて行動した(例えば案内した経路に沿って走行した)場合、伝達した情報に問題はないと推定すると共に、運転者がNG評価入力ボタン2を押してNG評価が入力された場合に情報に問題があったと認識することで、伝達した情報に関する学習を行っていく。また、運転者は、従来のような一方的な情報の伝達ではなく、運転者の評価をシステムに伝えることができることで不満を軽減することができる。更に、運転者は、NG評価入力ボタン2を叩くという行為をいわゆる八つ当たりとして行うことで気持ちを晴らすことができ、不満を軽減することができる。従って、このユーザ入力評価装置1によれば、ナビゲーションシステム3の動作に対する運転者の満足度を高めることが可能となる。
【0030】
また、ナビゲーションECU10は、NG評価入力ボタン2に入力された評価に応じてナビゲーションシステム3の動作を変更して、運転者の評価を動作に反映させるので、運転者の満足度を更に高めることができる。
【0031】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。例えば、特許請求の範囲に記載されたデバイスは、ナビゲーションシステムに限られず、例えばACC[Adaptive Cruise Control]であってもよく、その他自動制御システムであればよい。また、特許請求の範囲に記載されたデバイスは、車両に搭載される車載機器に限られず、例えばマッサージ器など自動制御が行われる家電製品であってもよい。
【0032】
また、NG評価入力ボタン2の形状や位置は、上述した実施形態に限定されるものではなく、例えば運転席のドアに配置されていてもよく、インストルメントパネルなどステアリングの近辺に配置されていてもよい。
【符号の説明】
【0033】
1…ユーザ評価入力装置、2…NG評価入力ボタン(ユーザ評価入力手段)、3…ナビゲーションシステム(デバイス)、10…ナビゲーションECU(制御手段)、11…GPS受信部、12…出力部、D…ダッシュボード、E…ディスプレイ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
デバイスの動作を制御する制御手段と、
前記デバイスの動作に対するユーザの評価を入力するユーザ評価入力手段と、
を備え、
前記制御手段により制御された前記デバイスの動作の後、前記ユーザ評価入力手段に評価が入力された場合に、この評価は当該動作に対する評価であると認識することを特徴とするユーザ評価入力装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記ユーザ評価入力手段に入力された前記評価に応じて前記デバイスの動作を変更することを特徴とする請求項1に記載のユーザ評価入力装置。
【請求項3】
前記ユーザ評価入力手段は、NG評価を入力するためのNG評価入力ボタンを有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のユーザ評価入力装置。
【請求項4】
前記デバイスは、車両に搭載された車載機器であることを特徴とする請求項1〜請求項3のうち何れか一項に記載のユーザ評価入力装置。
【請求項5】
前記車載機器は、ナビゲーションシステムであることを特徴とする請求項4に記載のユーザ評価入力装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate