説明

ユーティリティープログラム、画像形成システム、端末装置、画像形成装置、及び画像形成方法

【課題】使い勝手のよい画像形成装置のユーティリティープログラムを提供する。
【解決手段】端末装置に、画像形成装置のユーティリティープログラム(221)をインストールする。このユーティリティープログラムは、ファイアーウォールで標準的に設定可能なプロトコルのサーバ、例えばFTPサーバを備えている。これにより、スキャナで取得した画像データであるスキャン画像データをFTPにて受信可能になる。FTPは、PCのファイアーウォールにて、簡単に透過設定を行うことが可能であるため、ユーザーの使い勝手が向上する。また、スキャン画像データに付随した付加情報を取得することで、ステータス表示が可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はユーティリティープログラム、画像形成システム、端末装置、画像形成装置、及び画像形成方法に係り、特に、設定の手間が少ないユーティリティープログラム、画像形成システム、端末装置、画像形成装置、及び画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、PC(パーソナル・コンピュータ)の普及に伴って、PCのデータをプリントするプリンタ等の印刷装置と、スキャナやFAXや印刷装置等を含む複合機、MFP(Multifunction Peripheral)といった画像形成装置が普及してきている。
【0003】
これらの画像形成装置は、ネットワークに接続されていることが多い。また、大規模な企業等のオフィスにおいては、複数の場所に複数の画像形成装置が設置されている。
この画像形成装置には、スキャナ機能が搭載されており、スキャナを用いてPC(パーソナル・コンピュータ)に送信することが可能である。画像形成装置は、フォトコピーをするために高速なオート・シート・フィーダーを備えているために、高速にスキャンを行って、PCにスキャンした画像を転送することができる。
【0004】
ここで、従来のスキャナユニットを備えた画像形成装置として、特許文献1を参照すると、以下の画像形成装置が記載されている(以下、従来技術1とする。)。
従来技術1の画像形成装置は、読み取り動作で読み取った画像を同時に複数指定された送信宛先に送信する際、送信宛先として指定された受信装置がFAXを含むときにそのFAXの画像回転仕様に合わせて送信される画像の画像回転処理を行い、処理後の画像を複数指定された全ての送信宛先に送信することで、いかなる用紙サイズの原稿であっても、また原稿をいかなる置き方をした場合であっても、ユーザー操作に基づき画像の回転処理を行うことができる。
【0005】
【特許文献1】特開2007−166321号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来技術1の画像形成装置は、段落〔0054〕等を参照すると、ネットワーク上でスキャンしたファイルの転送を行う際に、一般的なプロトコル(通信規約)であるFTP(ファイル転送プロトコル)を用いようとすると、ユーザーのPC等の端末の他に、別途、FTPサーバ装置が必要であり、その構築、設定、メンテナンス等のため手間や費用がかかっていた。
FTPは一般的なプロトコルであるため、PCのファイアーウォール等の設定をしやすく、ユーザーがネットワーク上にある画像形成装置のスキャナーを利用するためには、FTPに対応することが重要であった。
しかしながら、別途FTPサーバ装置を必要とすることで、サーバ装置の費用と設定の手間がかかるという問題があった。このため、画像形成装置のFTP機能は、例えばSOHOのような、あまり大きくない事業所で画像形成装置を用いている場合には難しいという問題があった。
【0007】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、上述の課題を解消することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のユーティリティープログラムは、端末装置にインストールする画像形成装置のユーティリティープログラムであって、ファイアーウォールで標準的に設定可能なプロトコルのサーバプログラムを備えることを特徴とする。
本発明のユーティリティープログラムは、前記画像形成装置の状態を表示する通知するステップを含むことを特徴とする。
本発明のユーティリティープログラムは、前記ユーティリティープログラムは、画像形成装置のスキャン画像データを受信するステップを更に含むことを特徴とする。
本発明のユーティリティープログラムは、前記スキャン画像データに付随する付加情報を受信するステップと、該付加情報に従って連携プログラムを呼び出すステップを更に含むことを特徴とする。
本発明の画像形成システムは、ファイアーウォールで標準的に設定可能なプロトコルのサーバプログラムを含む画像形成装置のユーティリティープログラムをインストールされた端末装置と、前記プロトコルのクライアントを含む画像形成装置とを備えることを特徴とする。
本発明の端末装置は、ファイアーウォールで標準的に設定可能なプロトコルのサーバプログラムを含む画像形成装置のユーティリティープログラムがインストールされたことを特徴とする。
本発明の画像形成装置は、ファイアーウォールで標準的に設定可能なプロトコルのクライアントプログラムと、アカウント情報により、前記プロトコル又はそれ以外のプロトコルを切り替えるプロトコル変換手段とを備えることを特徴とする。
本発明の画像形成方法は、画像形成システムにより実行する画像形成方法であって、スキャンされたビットマップデータからスキャン画像データを作成するステップと、ファイアーウォールで標準的に設定可能なプロトコルで前記スキャン画像データを送信するステップと、ユーティリティープログラムにインストールされた前記プロトコルのサーバプログラムで前記スキャン画像データを受信するステップとを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、別途FTPサーバ装置を設けなくても、FTP等のファイアーウォールで標準的に設定可能なプロトコルのサーバプログラムをPCのユーティリティープログラムに備えることで、ファイアーウォールの設定の手間を少なくして使い勝手をよくするユーティリティープログラムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
<第1の実施の形態>
(画像形成システムXのシステム構成)
図1を参照すると、本発明の実施の形態に係る画像形成システムXは、画像形成装置10と、PC20−1(端末装置)〜PC20−n(端末装置)とが、インターネットやイントラネット等であるネットワーク5を介して接続されている。
ネットワーク5は、LAN、無線LAN、WiMAX、PLC、c.link等のイントラネット/インターネット等のIPネットワーク等であり、外部のネットワークと接続することもできる。
画像形成装置10は、スキャナ機能付きのプリンタやデジタル複合機やMFP等の画像形成装置である。以下では、画像形成装置10を、これらの画像形成装置の代表として記載する。
PC20−1〜20−nは、一般的なPC/AT互換機やMAC規格機等のPC、PDA等の携帯端末、携帯電話等の端末である。
なお、別途サーバ装置を用意して、USB(ユニバーサル・シリアル・バス)やi.link(登録商標、IEEE1394)等の端子を用いて画像形成装置10を接続し、ネットワーク5を介してスキャンや印刷を行うこともできる。また、PC20−1〜20−nに、USBやi.link等で直接画像形成装置10を接続することもできる。
また、画像形成装置10は、ネットワーク5に接続された、同様の構成の画像形成装置10が複数存在してもよい。
【0011】
(画像形成装置10の制御構成)
次に、図2を参照して、本発明の実施の形態に係る画像形成装置10の制御構成について説明する。
画像形成装置10は、画像形成装置10の総合的な制御を行うコントローラ部110と、FAX送信を行うFAX部120と、光学スキャナを備えたスキャナ部130と、ユーザーにより画像形成装置の設定を閲覧・変更するための操作パネル部140と、印刷用エンジンであるエンジン部150等を備えている。
これらの各部位は、例えば、共通のバスで接続されてコントロールされる。
【0012】
さらに詳しく説明すると、コントローラ部110は、CPUやMPU(マイクロ・プロセッシング・ユニット)やDSP(デジタル・シグナル・プロセッサ)等の制御部、RAMやROMやHDDやフラッシュメモリ等である記憶部と、USB、LANインターフェイス等のインターフェイス、各種I/Oを備えており、画像形成装置10の全体的な制御を行う部位である。
さらに、コントローラ部110は、ネットワーク5に接続するための、LANインターフェイス等を備えている。このLANインターフェイスは脱着可能であり、ネットワーク5の各種のネットワークに対応できる。そして、PC20−1〜20−nからの印刷データを受信する。
【0013】
また、コントローラ部110は、FTP送信部115(クライアントプログラム、サーバプログラム)と、ポート変換部116(プロトコル変換手段、ポート変換手段)と、ウェブサーバ部117と、アカウント認証部118と、アカウント情報119とを、ROM、HDD、フラッシュメモリ等の不揮発性の記憶部位に備えている。
FTP送信部115は、スキャナ部130でスキャンしたスキャン画像データを、PC20−1〜20−nのファイアーウォールで標準的に設定可能なプロトコルである、FTP、SFTP(SCP)、HTTP等のプロトコルを用いて、PC20−1〜20−nにアップロード(put)や送信(送出)することができる、主にFTPクライアントプログラム(クラス、ルーチン)の部位である。FTP送信部115は、アカウント認証部118でログイン処理を行った後、スキャン画像を送信可能になる。また、FTP送信部115は、PC20−1〜20−nのFTPサーバが機能しない場合には、FTPサーバ等として機能することもできる。
ポート変換部116は、FTP送信部115が送信する標準的に設定可能なプロトコルのパケットを、プロトコル変換やポート変換するための部位である。ポート変換部116は、PC20−1〜20−nのユーティリティー部221(図3を参照)のバージョン情報222(図3を参照)を参照し、ユーティリティー部221が新しいバージョンである場合には、パケットをそのまま送信する。これに対して、ポート変換部116は、ユーティリティー部221が旧バージョンである場合には、パケットを後述する独自プロトコルに、プロトコル変換やポート変換して送信する。また、ポート変換部116は、プロトコル変換を伴わないポート変換も行うこともできる。
ウェブサーバ部117は、WWW(ワールド・ワイド・ウェブ)サーバ等のサービス(デーモン)を備えており、PC20−1〜20−nの標準的なウェブブラウザを用いて、ウェブサーバ部117のCGI(コモン・ゲートウェイ・インターフェイス)にアクセスして、アカウント情報119を設定可能な部位である。
アカウント認証部118は、アカウント情報119を用いて、PC20−1〜20−nとの間で認証やログイン処理を行う部位である。
アカウント情報119は、ユーザーのPC20−1〜20−nのユーザーID、パスワード、IPアドレス、ユーティリティー部221(図3参照)のバージョン情報222、メールアドレス、FAXの送付先等を記憶しているアカウントデータベースである。
【0014】
FAX部120は、FAX送受信を行う部位であり、通常の電話回線やISDN回線等と接続されている。また、FAX部120は、FAXで送信されてきた画像を、コントローラ部110の記憶部に記憶することができる。
スキャナ部130は、光学スキャナと、オートシードフィーダ等を備える部位である。光学スキャナは、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ、CIS(Contact Image Sensor)イメージセンサ、CCDアレイ、CISアレイ等の光学素子を使用することができる。このスキャナ部130で取得したスキャン画像の画像データ(スキャン画像データ)についても、コントローラ部110の記憶部に記憶することができる。
【0015】
操作パネル部140は、画像形成装置10をユーザーが使用する場合の指示や、各種設定のインターフェイスの機能をもつ部位である。操作パネル部140は、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイやLED等である表示部145と、テンキーやボタンやRFIDセンサーや生体認証センサー等である入力部146とを備えている。
操作パネル部140は、印刷やFAXやスキャナ送信時に、入力部146に入力されたユーザーのボタン操作等の指示を検知して、ユーザー認証を行うことができる。また、スキャナやFAX送信の際の送信先等に対するユーザーの入力を検知することもできる。そして、これらの操作の際の情報を、表示部145に表示することができる。
【0016】
エンジン部150は、レーザープリンタのような、レーザーとポリゴンミラー又はLEDアレイ、感光体(ドラム、転写ベルト等)、トナーカートリッジを着脱可能なトナー供給部、制御部、RAM・ROM・フラッシュメモリ等を備えているような、公知のMFPの印刷部と同等の部位である。また、インクジェット式や昇華式のプリンタの場合は、それぞれの方式に係る公知の印刷エンジン部位と同様の機能を備えている。
【0017】
(PC20−1の制御構成)
次に、図3を参照して、本発明の実施の形態に係るPC20−1〜20−nのうち、PC20−1を代表例として制御構成をさらに詳しく説明する。
PC20−1は、PC/AT互換機規格等のPC、携帯電話、スマートフォンやPDA等の携帯端末等であり、汎用性をもった計算機である。PC20−1〜PC20−nは、同様な構成のものが複数備えられているので、以下、PC20−1を代表例として説明する。
PC20−1は、CPU(中央処理装置)等である制御部210(バージョン情報送信手段)と、RAM(主記憶装置)やROMやフラッシュメモリやHDD(補助記憶装置)等である記憶部220とが、RAMコントローラやビデオコントローラや各種I/O等であるチップセット230と接続されている。チップセット230には、ネットワーク5に接続するためのLANインターフェイス等であるネットワーク接続部240も接続している。
また、PC20−1には、液晶ディスプレイ等である表示部250と、キーボードやテンキーやポインティングデバイス(マウス、タッチパッド等)等である入力部260(入力手段)とを備えている。
なお、AMD(Advanced Micro Devices)社製のCPUや、インテル社製のCPUであるCore i7等では、チップセットにはRAMコントローラを内蔵せずに、CPUに内蔵している。また、チップセット230と表示部250との間に、PCI−Expresバスで接続するビデオカード等を備えていてもよい。
【0018】
また、PC20−1には、記憶部220のHDDやフラッシュメモリドライブ等には、ウィンドウズ(登録商標)やLinux(登録商標)等の各種OS(オペレーティング・システム)がインストールされている。
このOS上では各種アプリケーションプログラム(アプリケーション)が動作する。また、これらのアプリケーションから印刷するための、画像形成装置のユーティリティー部221等が、記憶部220のHDDやフラッシュメモリドライブ等にインストールされて備えられている。
【0019】
ユーティリティー部221(ユーティリティープログラム)は、OS上で動作する画像形成装置10用の主にスキャナ用のユーティリティー・ソフトウェア(ユーティリティープログラム)である。ユーティリティー部は、A.スキャナからのファイル保存要求受付、B.指定されたフォルダへのファイル保存、C.ユーティリティー部221動作状態の表示といった処理を行う。これらの機能を実現するために、ユーティリティー部221は、オブジェクト形式で提供することができ、データを含んでいるクラス(オブジェクト、プログラム)等を用いて構成される。
具体的には、ユーティリティー部221は、バージョン情報222と、GUI部223(通知手段、通知ステップ、グラフィカル・ユーザー・インターフェイス)と、機能拡張部225と、通信モジュール部227と、ドライバ部229とを備える。
【0020】
バージョン情報222は、ユーティリティー部221自体のバージョンや、ユーティリティー部221が含む各部のバージョンに関する情報を記憶したデータである。このバージョンとしては、ユーティリティー部221が、スキャン画像の上述の標準的に設定可能なプロトコル(FTP等)で受信が可能な新しいバージョンであるか、FTP以外の「独自」プロトコルでスキャン画像を受信する旧バージョンであるかについても記憶している。
さらに、バージョン情報222には、ユーティリティー部221をインストールした際に、日付分秒等を用いて、ドライバ部229が、固有の番号等であるID(Identification)を割り当てる。
【0021】
GUI部223は、OSのメッセージ管理機能を用いてGUI(グラフィカル・ユーザー・インターフェイス)での各種設定を行うための部位である。具体的には、GUI部223は、画像形成装置10の設定と、スキャン画像データの保存先の登録や編集を行うことができるGUIを提供する。また、GUI部223は、実際に画像形成装置10から、スキャン画像を受信した際に、受信通知等を行うこともできる。
【0022】
機能拡張部225は、画像形成装置10から受信したスキャン画像と、記憶部220に記憶したデータファイルとを、スキャン画像データに付随する情報である付加情報を用いて、別のプログラムであるシステム連携プログラムと連携するための部位である。この機能拡張部225は、システム連携プログラムとして、PDFリンクハンドラーと、KM−DBリンクハンドラーと、キーワード情報保存部とを備えている。このうち、PDFリンクハンドラーは、画像形成装置10から受信したPDF(Portable Document Format)ファイルに、データファイルからキーワードを付加して保存する部位である。KM−DBリンクハンドラーは、画像形成装置10から受信したTIFFファイルに、データファイルからキーワードを付加して保存する部位である。キーワード情報保存部は、受信した画像ファイルに付加したキーワード情報を、別途、CSV(コンマ区切り)ファイルのようなテキストファイル等で保存する部位である。ユーザーは、機能拡張部225のうち、必要な部位をDLL等を選択して、ドライバ部229を用いてインストールすることが可能である。
【0023】
通信モジュール部227は、ネットワーク接続部240からネットワーク5を介して、画像形成装置10と通信処理を行う部位である。通信モジュール部227は、画像形成装置10からの画像ファイルの受信を行うことができる。また、PC20−1の表示部250に表示されたタスクトレイ上に「常駐」状態でインターフェイスを描画し、画像ファイルの受信時にポップアップ等でメッセージを表示する。また、画像形成装置10からの受信した画像ファイルに後述する付加情報が含まれていた場合、付加情報内の指示に基づき、受信した画像ファイルへの各種処理を実行する。この各種処理の際に、上述の機能拡張部225の呼出しを行うこともできる。
また、通信モジュール部227は、PC20−1のファイアーウォールで標準的に設定可能なプロトコルでスキャン画像を受信するために、FTPサーバ部2271(サーバプログラム、クライアントプログラム)と、ポートチェック部2272(検知手段)と、受信コントロール部2273とを備えている。
【0024】
FTPサーバ部2271は、FTP等のPC20−1のファイアーウォールにおいて標準的に設定可能なプロトコルにてスキャン画像を受信するための、FTPサーバ/クライアントの働きを備えたプログラム(サービス、デーモン、クラス、サブルーチン)等の部位である。通常、FTPサーバ部2271は、FTPサーバ等として機能する。しかし、ファイアーウォール等の関係で、FTPサーバ部2271がFTPサーバとして機能するのが難しい場合には、画像形成装置10のFTP送信部115(図2参照)をFTPサーバとし、FTPサーバ部2271はFTPクライアントとして機能することができる。さらに、FTPサーバ部2271は、WWWサーバも備えており、ネットワーク上からCGI(コモン・ゲートウェイ・インターフェイス)等を用いて、後述するアカウントの設定情報を変更できるようにすることもできる。
ポートチェック部2272は、PC20−1のファイアーウォールの状態等を確認し、画像形成装置10のアカウント認証部118(図2参照)に対して送信する。また、ポートチェック部2272は、FTPサーバ部2271以外に、FTP等の標準的に設定可能なプロトコルのサーバが備えられていないかをチェックする。
受信コントロール部2273は、PC20−1に、FTPサーバ部2271以外に、FTP等の標準的に設定可能なプロトコルのサーバが備えられていた場合に、FTPサーバ部2271用のパケットとそれ以外のパケットとを振り分けたり、FTPサーバ部2271の使用ポートを変更したりする部位である。
【0025】
ドライバ部229は、ユーティリティー部のインストール・アンインストールや他の部位のアップデート等に対応し、実際にユーザーがアプリケーションから印刷処理を行ったときに印刷処理を行う部位である。印刷処理では、アプリケーションからスプールされた描画データを、画像形成装置10のPDL(ページ記述言語)等の印刷データに変換する部位である。
【0026】
〔画像形成システムXによるインストール処理とスキャン処理〕
ここで、図4〜図6を更に参照して、本発明の実施の形態に係る画像形成システムXによるスキャン処理についてPC20−1〜20−nのうち、PC20−1を代表例として、具体的に説明する。
本発明の実施の形態に係る画像形成装置の制御ソフトウェアは、簡易FTPサーバとして機能するユーティリティー・ソフトウェアを用いる。
ユーザーがPC20−1のドライバ部229をインストールすると、同様に、このユーティリティー・ソフトウェアであるユーティリティー部221もインストールされる。そして、以下で説明するような、ユーティリティー部221の設定を行うことで、FTPサーバを構築することなくFTPプロトコルを使用したスキャンを行うことができる。このため、新規にFTPサーバの構築、設定、メンテナンスを行う必要がないので、その費用や手間を軽減することができる。
以下で図4のフローチャートを参照して、画像形成装置10と、PC20−1のインストールの際のインストール処理と、実際にスキャンを行ってFTP等で送信するスキャン処理について詳しく説明する。それぞれの処理は、PC20−1では、記憶部220のユーティリティー部221やドライバ部229を制御部210が実行し、画像形成装置10では、各部が実行することで実現することができる。
【0027】
(ステップS201)
まず、ユーザーがインストールを行うと、PC20−1のユーティリティー部221の通信モジュール部227のポートチェック部2272は、ポートチェック処理を行う。具体的には、FTP等のPC20−1のファイアーウォールで標準的に設定可能なプロトコルのポートで通信可能であるかをチェックする。このチェックの際に、画像形成装置10と実際に通信するようにすることもできる。
もし、標準的に設定可能なプロトコルのポートで通信ができなければ、その旨のダイアログボックス等をGUI部223を用いて表示部250に表示して、ユーザーの設定を促す。この際に、設定方法のヘルプ画像と文字を表示することもできる。
また、セキュリティーポリシー等で、例えばFTP(ポート20と21)が使用できない場合には、HTTP等の確実にアクセスするポートを設定することもできる。また、FTPをPASVモードでアクセスするように設定することも可能である。
【0028】
(ステップS202)
次に、PC20−1のGUI部223は、ユーザーからの設定を基にアカウントを作成する。このアカウント作成では、まず、FTPサーバ部2271がスキャン画像ファイルを保存して記憶するフォルダの設定を行う。
図5を参照して説明すると、ユーザーの表示部250に表示され、入力部260の入力を行うためのフォームの画面例を示す。
このフォームの画面例では、保存先番号設定501に、例えば、001〜100の3桁の保存先番号を設定する。
また、保存先フォルダ設定502に、FTPで用いられる仮想フォルダとなるフォルダ(ディレクトリ)を設定する。右のボタンを押下して、フォルダの参照を行うこともできる。
そして、パスワード設定503ボタンは、このフォルダにパスワードを設定するためのダイアログを開く。このように本発明の実施の形態に係る画像形成方法では、他のユーザーからスキャン画像を盗み見されないように、また、不正なユーザーからのファイル保存を防止するためにパスワードを設定することが可能である。このフォルダパスワードの認証は、ネットワーク5を用いてスキャンする際の、ユーザーの手間を少なくする為、スキャナ側のコントローラ部110と入力部146を用いて行う。
また、コメント504の欄には、スキャン後にフォルダを選択する画面で表示されるコメントを入力することができる。
また、システム連携プログラムボタン505は、機能拡張部225により連携してPDF変換等を行うためのプログラムである「システム連携プログラム」を設定することができる。
また、拡張設定ボタン506により、このシステム連携プログラムに固有の設定ダイアログを開くこともできる。
なお、システム連携プログラムに固有の設定ダイアログが無い場合には、システム連携プログラムボタン505が選択できないようにすることができる。
【0029】
更に、図6のFTPサーバ設定画面例を参照して説明すると、GUI部223は、ユーザーの入力を基に、FTPサーバ部2271の設定を行うこともできる。このFTPサーバ部2271の設定としては、登録名称、フリガナ、FTPサーバ名、ポート番号、パス、認証情報入力、ログインアカウント名について設定可能である。また、パスワードの変更も、同じ画面内で行うこともできる。
FTPサーバ部2271の設定としては、PC20−1のFTPサーバの名称として登録名称、フリガナを用いることができる。この登録名称とフリガナは、スキャンの際に、画像形成装置10の表示部145に表示される。
また、FTPサーバ部2271へ画像形成装置10がアクセスするためFTPサーバ名又はホスト名が決まっている場合には、これを入力することもできる。
PC20−1が、IPアドレスが変化するDHCPを用いている場合には、このホスト名とIPアドレスを空白にする。この場合は、起動時やIPアドレスの変化を検知して、ユーティリティー部221がIDとIPアドレスを通知する。
ポート番号は、FTP制御ポートの番号を設定することができる。このポート番号は、既定(デフォルト)の値は21番であるが、上述のファイアーウォール等の関係でこのポートを用いることができない場合には、任意のポートを入力することができる。また、FTPデータポートの設定やPASVモードを用いるか等の設定も、別途行うことができる。なお、このポートの番号を80番(WWW)等と設定すると、FTP制御ポートに80番を用いて、後述するようにFTPサーバ部2271がサーバとクライアントの両方の働きをするように構成することができる。
パスは、上述の図5の設定画面にて、フォルダ名やパス名やフォルダ番号を指定することができる。このパスで設定したフォルダが、スキャン時にスキャン画像データが記憶されるデフォルトのフォルダとなる。
認証情報入力の省略は、ユーザーが画像形成装置10でスキャンを行う際に、アカウント名やパスワードの入力を省略するかについて設定することができる。
ログインアカウント名は、FTPサーバ部2271がスキャンする際のアカウント名を特に設定したい場合に入力する。このアカウント名を作成すると、他のPCからスキャン画像のスキャン以外にもFTPクライアントソフトを用いて、スキャン画像のフォルダにアクセス可能である。これにより、他のユーザーのPCにFTPに対応しない古いバージョンのクライアントソフトウェアがインストールされていた場合でも、FTPクライアントを用いてPC20−1にアクセス可能になるという効果が得られる。なお、この欄に何も入力しない既定の設定としては、通常は上述のIDを用いてユーティリティー部221が、例えば、「scan」等の好適なアカウント名を作成する。
パスワード変更は、「する」を選択した場合に、アカウントのパスワードを設定できる。ここで、既定の設定では、保存先フォルダパスワードとアカウント名のパスワードを設定可能である。また、アカウント名のパスワードと、各フォルダのパスワードを別々にすることも可能である。
なお、このFTPサーバ設定は、FTPサーバ部2271のWWWサーバを用いて、ネットワーク上の他のPC20−2〜20−nにて設定することも可能である。このために、PC20−1〜20−nのファイアーウォールにて、設定用のポートを解放することが好適である。
【0030】
(タイミングT401)
これらのアカウント作成の処理を完了すると、ユーティリティー部221は、アカウントの設定情報を記憶部220に記憶し、ネットワーク接続部240からネットワーク5を介して画像形成装置10に送信する。
また、ユーティリティー部221は、バージョン情報222についても送信する。
【0031】
(ステップS101)
ここで、画像形成装置10のコントローラ部110は、アカウント記憶処理を行う。
具体的には、コントローラ部110は、まず、バージョン情報222を受信すると、FTP等で送信可能であると判断する。そして、コントローラ部110は、上述のアカウントの設定を受信すると、アカウント情報119に、PC20−1のFTPサーバ部2271の設定として記憶する。ここでは、上述のように、アカウントの情報や、ポートチェックによりどのポートを用いるかといった情報についても記憶する。
このアカウント情報119は、画像形成装置10に備えられたHTTPサーバを介して、閲覧することができる。また、コントローラ部110は、ユーザーの入力部146の操作を検知して、アカウント情報119を表示部145に表示することができる。さらに、コントローラ部110は、アカウント情報119をエンジン部150から印刷することもできる。
以上により、インストール処理を終了する。
【0032】
ここで、ユーザーが画像形成装置10のスキャナ部130のオートシードフィーダ等に原稿をセットして、入力部146の「スキャン」ボタンを押下すると、実際のスキャン処理が行われる。
以下で、このように、ユーザーが入力部146からPC20−1〜PC20−nのうち、PC20−1を登録名称等で指定した場合に、画像形成装置10のコントローラ部110がFTP等で送信する際のスキャン処理について、詳しく説明する。
【0033】
(ステップS102)
まず、画像形成装置10のコントローラ部110のアカウント認証部118は、ログイン処理を行う。
この処理としては、まず、アカウント認証部118は、アカウント情報119を参照して、PC20−1のFTPサーバ部2271へのアクセスを試みる。
ここで、PC20−1を発見できなかったり、FTP制御ポート21番等がふさがれていた場合には、その旨のメッセージを表示部145に表示する。
なお、通常PC20−1は、通常のクライアント用のPCなので、画像形成装置10を始めとする他のクライアントからアクセスするためのサーバ用のポートは閉じていることが多い。すなわち、FTP用の21番については閉じていることが多いため、アカウント認証部118は、UPnP(ユニバーサル・プラグ・アンド・プレイ)やICMP等を用いて、PC20−1がログイン可能であるかチェックすることができる。
【0034】
(タイミングT402)
アカウント認証部118は、PC20−1にアクセス可能であった場合には、ネットワーク5を介してPC20−1のFTPサーバ部2271へ、アカウント名とパスワードを送信する。この際に、SFTP等を用いてセキュアなパスワード送信を行うこともできる。
【0035】
(ステップS203)
ここで、PC20−1のユーティリティー部221の通信モジュール部227のFTPサーバ部2271は、認証処理を行う。
具体的には、上述のアカウントの設定情報を参照して、正しいアカウント名とパスワードであるかをチェックする。
【0036】
(タイミングT403)
FTPサーバ部2271は、アカウント名とパスワード名のチェック結果を、ネットワーク接続部240からネットワーク5を介して、画像形成装置10へ送信する。
【0037】
(ステップS103)
ここで、画像形成装置10のコントローラ部110のアカウント認証部118は、FTPサーバ部2271へのログインに成功したかについて判定する。
Yesの場合は、アカウント認証部118は、処理をステップS104に進める。
Noの場合は、エラー表示を行って、スキャン処理を終了する。なお、この際に、画像形成装置10の補助記憶装置内の共用フォルダに、スキャン画像をとりあえず記憶するように選択することもできる。
【0038】
(ステップS104)
実際にPC20−1へのログインが成功した場合に、画像形成装置10のスキャナ部130は、スキャン画像作成処理を行う。
具体的には、スキャナ部130は、オートシードフィーダから原稿を読み取るスキャンを行い、ビットマップデータを作成する。そして、このビットマップデータを、PDF画像データやTIFF画像データ等のPC20−1で読み込みが可能なスキャン画像データに変換する。なお、スキャン画像データを、非圧縮の白黒2値のビットマップデータとすることもできる。
そして、スキャナ部130は、スキャン画像データをコントローラ部110のHDD等の補助記憶装置に記憶する。
【0039】
(ステップS105)
ここで、画像形成装置10のFTP送信部115は、FTP送信を行う前に、アカウント情報119を参照して、FTP送信ポートや、PASVモード等のFTP送信のパケットの送信方向を変更するか判定する。
Yesの場合、FTP送信部115は、処理をステップS106に進める。
Noの場合、FTP送信部115は、処理をステップS107に進める。
【0040】
(ステップS106)
画像形成装置10のポート変換部116は、ポート変更処理を行う。
ここでは、ポート変換部116は、PC20−1で受信可能なように、FTP送信部115からのパケットをパイプ等の処理を行って、上述のようにFTPのPASVモードや、HTTP等でネットワーク5に出力するようにする。
これにより、PC20−1にて、FTPデータが受信可能であるという効果が得られる。
なお、送信先がPC20−2〜PC20−nで、概PCに旧バージョンのユーティリティー部221がインストールされていた場合、ポート変換部116は、旧バージョンの「独自プロトコル」に変換して送信することもできる。
【0041】
(ステップS107)
画像形成装置10のFTP送信部115は、送信処理を行う。
具体的には、FTP送信部115は、スキャンした画像であるスキャン画像ファイルを、PC20−1に送信する送信処理を行う。
実際には、パケット変更等を行う場合には、FTP送信部115は、ポート変換部116にスキャン画像データを送信する。この上で、ポート変換部116が、ポート変換処理を行って送信する。
パケット変更等を行わない場合には、FTP送信部115は、スキャン画像データのファイルを、FTPデータポートであるポート20等を用いて、直接ネットワーク5に出力する。
加えて、FTP送信部115は、付加情報を送信する。この付加情報としては、保存先フォルダを示す保存先番号や複数ページの画像の取り扱いやスキャン画像データのファイル名等を含む保存先情報と、画像形成装置10のスキャン等の状態情報とについて送信する。なお、保存先番号がシステムに登録されていない場合は、エラー表示を行って、送信を中止する。ファイル名は、FTP送信部115が、所定の規則に従って作成するが、ユーザーが入力部146を用いて、任意にファイル名の変更を行うことが可能である。
【0042】
(タイミングT404)
ここで、FTP送信部115又はポート変換部116は、ネットワーク5より、スキャン画像データを送信する。
【0043】
(ステップS204)
ここで、PC20−1のFTPサーバ部2271は、受信処理を行う。
具体的には、FTPサーバ部2271は、ネットワーク接続部240より、上述のスキャン画像データと付加情報とを受信する。PASVモード、HTTP等のポートを用いた場合、FTPサーバ部2271がFTPクライアントの機能を実行している場合には、それらの条件に従った受信を行う。
また、スキャン画像データのファイル名の拡張子は、受信したスキャン画像データがファイル名の拡張子の画像形式でない場合は、保存ファイル形式に応じた拡張子をPC20−1のユーティリティー部221が付加する。
スキャン画像データは、通常は、デフォルトの保存フォルダに保存される。また、受信フォルダ設定ダイアログにおいて同名ファイルの上書きを許可されている時、指定されたファイル名が、保存フォルダに存在する場合は既存ファイルを削除する。上書きが許可されていない時、指定されたファイル名が指定のフォルダに存在する場合は新規ファイルの名称を変更する。
また、FTPサーバ部2271は、付加情報により、受信後に、機能拡張部225を呼び出す機能拡張ステップを実行する。このステップでは、FTPサーバ部2271は、スキャン画像データとシステム連携プログラムによる処理を行うことができる。例えば、スキャン画像データが非圧縮の2値ビットマップデータであった場合には、FTPサーバ部2271は、機能拡張部225を呼び出して、TIFF、PDF、JFIF等の画像ファイルに変換する。また、複数ページの画像データ受信時、保存先情報に含まれている情報に従って、1ページ毎に保存するファイルを作成するか、複数ページをまとめて1つのファイルにする。また、データファイルを用いてPDFにキーワードやタグ等を書き込んだり、暗号化したり、OCR(光学文字認識)等を行ったり、CSVで付加情報のキーワードを保存したり、ログを記憶したりすることができる。
【0044】
さらに、FTPサーバ部2271は、記憶部220の書き込みエラー時の処理を行うこともできる。FTPサーバ部2271は、画像データを受信中に記憶部220のHDDやフラッシュメモリの空き容量が無くなった場合には、それ以降の画像データの受信を中止し、それまでに受信した画像データも破棄することができる。
【0045】
また、ユーティリティー部221は、GUI部223を用いて、OSのタスクバー上に格納されているユーティリティー部221のアイコンを変更し、スキャン画像データを受信中であるといった、画像形成装置10の状態を表示する。
そして、FTPサーバ部2271は、正常に受信が終了すると、GUI部223を用いて「受信が終了しました」というポップアップやダイアログボックスを表示する。
また、ユーザーが、ユーティリティー部221のアイコンをクリックすると、ダイアログボックスを表示して、より詳細に、画像形成装置10のスキャン処理の状態を確認することができる。
このスキャン処理の状態としては、スキャン受信待機中、ファイル保存中といった情報を、FTPサーバ部2271の状態を取得して表示することができる。また、このダイアログボックスには、ユーティリティー部221や、ドライバ部229や、PC20−1のシステムの設定を行うプログラムを呼び出すボタンなども備えられている。さらにシステム連携プログラムを呼び出すためのボタンも備えられている。
このように、本発明の実施の形態に係るFTPサーバ部2271は、画像形成装置10のスキャン処理用のFTPサーバ機能を備えているために、従来の単なるFTPサーバと異なり、画像形成装置10のスキャン処理の状態やFTP送信の状態とを、統一的に把握することができるため、ユーザーの使い勝手を向上させることができる。
【0046】
なお、FTPサーバ部2271は、受信中に記憶部220の空き容量が少なくなった場合、GUI部223を用いて、「HDD残容量が少なくなっています」等のシステムステータスを表示する。
この空き容量の少なくなった時点としては、上述の所定の設定値を超えたと時点、及び残容量がなくなった時点を判断する。また、GUI部223は、OSのタスクバー上に格納されているユーティリティー部221のアイコンを変更することにより、ユーザーに警告を通知することができる。
以上により、スキャン処理を終了する。
【0047】
(他のFTPサーバプログラムへの送信処理)
なお、PC20−1〜20−nに、他のFTPサーバ等のサーバプログラム(サービス、デーモン)がインストールされていた場合には、FTP等のプロトコルでは受信パケットを検知した際に、受信コントロール部2273は、他のFTPサーバ等のサーバプログラムに送信する。
これにより、PC20−1〜20−nに他のFTPサーバ等がインストールされていても、ファイアーウォールで標準的に設定可能なポートを用いてスキャン画像データや付加情報の受信が可能になるという効果が得られる。
【0048】
以上の構成により、以下のような効果を得ることができる。
従来技術1の画像形成装置の場合は、FTPサーバの構築、設定、メンテナンスの必要があるため、手間や費用がかかるという問題があった。
これに対して、本発明の実施の形態の画像形成方法は、FTPサーバとして機能するユーティリティー部221を各クライアントのPC20−1〜PC20−nにインストールし、各ユーザーがクライアント側での設定を行うことで、別にFTPサーバを設定することなくFTPプロトコルを使用したスキャンを行うことができる。
これにより、新規にFTPサーバを設置することなく、FTPプロトコルを使用したスキャンを行うことができる。すなわち、新規にFTPサーバの設置、設定、メンテナンス等を行う必要がないので、費用や手間を軽減することができる。
【0049】
また、従来のFTPサーバは、PCとの間でファイルのやり取りをするための目的で設定されている。このため、画像形成装置10からのスキャン画像データの送信時に問題があった場合に、確認することが難しかった。
これに対して、本発明の実施の形態に係るユーティリティー部221は、画像形成装置10用にインストールされるFTPサーバ等を備えたユーティリティープログラムであるため、スキャン処理時の状態をGUI部223等を用いて通知することができる。
このため、ユーザーの使い勝手が良くなるという効果が得られる。
【0050】
また、従来のFTPサーバは、スキャン画像ファイルを送受信するために、場合によってはファイアーウォールの設定をする必要があり、手間がかかっていた。
これに対して、本発明の実施の形態に係るFTPサーバ部2271は、ファイアーウォールの状態に従ってスキャン画像データの送受信の方法を変更することができる。
同様に、本発明の実施の形態に係るユーティリティー部221は、ファイアーウォールの状態を検知する検知手段であるポートチェック部2272を備えている。
このポートチェック部2272によりファイアーウォールの状態をチェックすることにより、FTPサーバ部2271を、FTP等のサーバとしてもクライアントとしても機能させることができる。
このため、ファイアーウォールの設定をあまり変更する必要がなく、簡単にFTP等にてスキャン画像データを受信できる。
【0051】
また、本発明の実施の形態に係る画像形成装置10のコントローラ部110は、FTPに対応していない旧バージョンのユーティリティー・ソフトウェアをインストールされているPCに対しては、別のプロトコルでスキャン画像データを送信可能である。
これにより、FTPに対応していないユーティリティー・ソフトウェアをインストールしたPCと、FTPに対応するユーティリティー・ソフトウェアがインストールされているPCとが混在する環境で、画像形成装置10によりスキャンを行うことができる。これにより、PCにユーティリティー・ソフトウェアをインストールする等の設定の手間を軽減することができる。
【0052】
なお、上記実施の形態の構成及び動作は例であって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して実行することができることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の実施の形態に係る画像形成システムXのシステム構成図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る画像形成装置10の制御構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るPC20−1の制御構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る画像形成システムXのスキャン処理を示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施の形態に係るフォルダの設定を行う画面例である。
【図6】本発明の実施の形態に係るFTPサーバ設定の画面例である。
【符号の説明】
【0054】
5 ネットワーク
10 画像形成装置
20−1〜20−n PC
110 コントローラ部
115 FTP送信部
116 ポート変換部
117 ウェブサーバ部
118 アカウント認証部
119 アカウント情報
120 FAX部
130 スキャナ部
140 操作パネル部
145、250 表示部
146、260 入力部
150 エンジン部
210 制御部
220 記憶部
221 ユーティリティー部
222 バージョン情報
223 GUI部
225 機能拡張部
227 通信モジュール部
229 ドライバ部
230 チップセット
240 ネットワーク接続部
2271 FTPサーバ部
2272 ポートチェック部
2273 受信コントロール部
X 画像形成システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末装置にインストールする画像形成装置のユーティリティープログラムであって、
ファイアーウォールで標準的に設定可能なプロトコルのサーバプログラムを備える
ことを特徴とするユーティリティープログラム。
【請求項2】
前記画像形成装置の状態を表示する通知するステップを含む
ことを特徴とする請求項1に記載のユーティリティープログラム。
【請求項3】
前記ユーティリティープログラムは、画像形成装置のスキャン画像データを受信するステップを更に含む
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のユーティリティープログラム。
【請求項4】
前記スキャン画像データに付随する付加情報を受信するステップと、該付加情報に従って連携プログラムを呼び出すステップを更に含む
ことを特徴とする請求項3に記載のユーティリティープログラム。
【請求項5】
ファイアーウォールで標準的に設定可能なプロトコルのサーバプログラムを含む画像形成装置のユーティリティープログラムをインストールされた端末装置と、
前記プロトコルのクライアントを含む画像形成装置とを備える
ことを特徴とする画像形成システム。
【請求項6】
ファイアーウォールで標準的に設定可能なプロトコルのサーバプログラムを含む画像形成装置のユーティリティープログラムがインストールされた
ことを特徴とする端末装置。
【請求項7】
ファイアーウォールで標準的に設定可能なプロトコルのクライアントプログラムと、
アカウント情報により、前記プロトコル又はそれ以外のプロトコルを切り替えるプロトコル変換手段とを備える
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
画像形成システムにより実行する画像形成方法であって、
スキャンされたビットマップデータからスキャン画像データを作成するステップと、
ファイアーウォールで標準的に設定可能なプロトコルで前記スキャン画像データを送信するステップと、
ユーティリティープログラムにインストールされた前記プロトコルのサーバプログラムで前記スキャン画像データを受信するステップとを含む
ことを特徴とする画像形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−124357(P2010−124357A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−297638(P2008−297638)
【出願日】平成20年11月21日(2008.11.21)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】