説明

ライナーレスラベル、ライナーレスラベル積層体およびライナーレスラベルを形成する方法

【課題】ライナーレスラベルにおいて、接着剤を塗布した接着領域と非接着剤を塗布した非接着領域とから面一の接着面を形成し、印字面の凹凸形成を無くして印字かすれを抑える。
【解決手段】感熱接着剤YBが分散塗布された接着層30を有するライナーレスラベルAにおいて、上記感熱接着剤YBが塗布されていない領域に非接着剤NBを塗布し、上記感熱接着剤YBが表面に表出した接着領域31と上記非接着剤NBが表面に表出した非接着領域32とで略面一な接着面Sを形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接着面に接着領域と非接着領域を有するライナーレスラベルに関し、接着領域と非接着領域との間に生じる高低差(凹凸)が原因による印字カスレが生じないライナーレスラベル等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術として、接着剤を部分的に塗布して常着接着面を形成したロール状ラベルが知られている(特許文献1参照)。
このロール状ラベルの接着面には、少なくとも1条のストライプ状の非接着領域が形成されている。
この場合、接着面は、接着剤塗布領域が凸状態になり、接着剤非塗布領域との間に高低差が生じる。この凹凸の高低差が大きいと、凹凸境界箇所に対応する印字面にも凹凸が生じてしまう。
従来、この印字面の凹凸が、印字カスレを生じさせる原因になっていた。
また、常時接着性の接着剤を用いた場合、ラベルをカットする際、カッターに接着剤が付着するという問題がある。カッターへの接着剤の付着を避けるため、ラベルのカット周辺箇所に接着領域を形成しないようにすることも試みられている。
しかし、この場合、貼付したラベルの端部が開放状態になり、予期せぬラベルの剥離が生じ易いという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭55−42523号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明のライナーレスラベルの課題は、以下の通りである。
1)印字カスレが生じないようにすること。
2)ラベル貼付後、ラベル端部が開放しないこと。
3)接着剤がカッターに付着しないようにすること。
4)剥離起点を設けること。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、感熱接着剤が分散塗布された接着層を有するライナーレスラベルにおいて、上記感熱接着剤が塗布されていない領域に非接着剤を塗布し、上記感熱接着剤が表面に表出した接着領域と上記非接着剤が表面に表出した非接着領域とで略面一な接着面を形成する構成にした。
接着領域以外の接着面に非接着剤を塗布することにより、接着面の高低差を無くすことができる。この高低差が無くなれば、高低差に因って生じる印字面の凹凸の発生を無くすることができる。
また、感熱接着剤を利用したので、カット時に接着剤がカッターに付着するのを抑えることができる。
【0006】
また、ラベル単位分離箇所の上記接着面は、上記接着領域と上記非接着領域とが混
在する配置にする構成にした。
カットしたラベルの端部には、少なくとも接着剤が塗布されている接着領域がある
ので、ラベル端部が開放状態にならない。
【0007】
上記接着領域は、縞状パターンで形成する構成にした。
縞状パターンにすることにより、接着力に方向性が生じる。
【0008】
上記接着領域は、ドット状パターンで形成する構成にした。
ドット状パターンにすることにより、接着力に方向性が生じない。
【0009】
上記ラベル単位接着面の外周域角部に、上記接着剤及び非接着剤を塗布しない無塗
布領域を設ける構成にした。
無塗布領域は、貼付したラベルと被着体との間に隙間を形成する。
【0010】
更に本発明は、感熱接着剤が分散塗布された接着層において、上記感熱接着剤が塗布されていない領域に非接着剤を塗布し、上記感熱接着剤が表面に表出した接着領域と上記非接着剤が表面に表出した非接着領域とで接着面を形成する第一のライナーレスラベルと、上記第一のライナーレスラベルにおいて、上記接着領域と上記非接着領域とを入
れ替えた構成にした第二のライナーレスラベルとを、上記接着領域と上記非接着領域とが相互に接触するように、上記第一のライナーレスラベルと上記第二のライナーレスラベルとを貼り合わせてなるライナーレスラベル積層体を提供する。
このライナーレスラベルは、面一な接着面を貼り合わせて形成するので、相対する2つの印字面には凹凸が生じない。
【0011】
更に本発明は、非接着材質の平板部材の平面上に感熱接着材を所定のパターンで塗
布し、次いで、上記感熱接着材が塗布された上記平面上に非接着剤を塗布し、上記非接着剤の塗布側から基材を貼着し、上記平板部材を剥離しライナーレスラベルを形成する方法を提供する。
平板部材を用いて接着面を形成するので、接着面を略面一に形成することができる。
【発明の効果】
【0012】
接着面を面一にしたので、印字面に凹凸が生じ無くなり印字かすれの発生を抑えることができる。つまり、印字精度が向上する。
カットしたラベル端部には接着領域が存在するので、被着体にラベルを貼付した後にラベル端部が開放しないので徒にラベルが剥がれない。ラベル貼付状態の安定性が向上する。
無塗布領域を起点にしてラベルを容易に剥離することができる。外周域角部に無塗布領域を形成するので、ラベル角部の開放が抑えられラベルは徒に剥がれることがない。
ライナーレスラベルの接着領域と非接着領域と対面させて仮着することで、表裏に
ライナーレスラベルを積層することができる。接着面が面一であるから表裏の印字面には凹凸が生じないので、印字かすれ等の印字不良が起こり難いライナーレスラベルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明のライナーレスラベルAの説明図である。
【図2】本発明のライナーレスラベルBの説明図である。
【図3】本発明のライナーレスラベルCの説明図である。
【図4】本発明のライナーレスラベル積層体Dの説明図である。
【図5】本発明のライナーレスラベルの形成過程の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明のライナーレスラベルAの説明図である。(A)はラベルの接着面を示し、(B)はラベルカット箇所の垂直断面を示す。
ライナーレスラベルAは、基材(印字層を含む)10と接着層30とを備えて構成される。
基材10は、印字可能な表面側に印字面20を形成している。
印字面20は、所定のエネルギーが付与されることにより発色する感熱材からなる。
接着層30は、接着剤と非接着剤とから構成し、接着面Sは、接着材が表出した接着領域31と非接着材が表出した非接着領域32とから形成する。
接着領域31は、基材に感熱接着剤YBを塗布して形成する。
感熱接着剤としては、熱可塑性樹脂を主成分とした一般的な接着剤を用いる。
ここで用いる感熱接着剤YBは、印字面20を形成する感熱材が発色に要するエネルギーよりも大きいエネルギーで接着能を発現するものとする。従って、印字処理中、感熱接着YBは接着不能状態を保つ。
非接着領域32は、非接着剤NBを塗布して形成する。非接着剤NBは、接着面Sの面一を実現するために用いるものであり、用いる接着剤に対して結合しないものであればよい。例えば、非接着剤NBとしては、シリコン樹脂やフッ素系樹脂が挙げられる。
接着領域31と非接着領域32とは、基材10の長手方向に帯状に交互に配置して縞模様を呈する。
接着領域31及び非接着領域32から形成される接着面Sは、凹凸の無い面一に形成する。
ライナーレスラベルAは、ラベル単位Pでカットする。
【0015】
図2は、本発明の他の実施の形態からなるライナーレスラベルBの説明図である。(A)はラベルの接着面を示し、(B)はラベルカット箇所の垂直断面を示す。
ライナーレスラベルBは、接着層30の接着領域及び非接着領域の形状以外ライナーレスラベルAと同じく構成する。
接着領域31は、接着面Sにおいて表出する複数のドットから構成する。
非接着領域32は、接着面Sにおいて、接着領域31を構成するドット以外の領域である。
接着面S以外の接着層30内においては、接着剤と非接着剤による構造は特に規定するものではない。接着面Sにおいて接着領域がドット形状になっていればよい。
接着領域31及び非接着領域32から形成される接着面Sは、ライナーレスラベルAの場合と同様に凹凸の無い面一に形成する。
ライナーレスラベルBは、ラベル単位Pでカットする。
【0016】
図3は、本発明の他の実施の形態からなるライナーレスラベルCの説明図である。(A)はラベルの接着面を示し、(B)はラベルカット箇所の垂直断面を示す。
ライナーレスラベルCは、無塗布領域33を設けたこと以外ライナーレスラベルAと同じく構成する。
無塗布領域33は、ラベル単位Pの接着面の外周域角部Vに、上記接着剤及び非接着剤を塗布しない領域である。図3において、無塗布領域33の形状を矩形にしたがこれに限定するものではない。
無塗布領域33は、接着面Sにおいて凹部となっているため印字対象領域からは除外する。
被着体に貼付したライナーレスラベルCは、被着体とライナーレスラベルCとの間に形成される無塗布領域33の空域を、剥離起点箇所として提供する。
無塗布領域33は、ラベル単体Pの角部Vに形成しているので、ラベルの長辺と短辺の接着領域31により無塗布領域33の基材10部分が浮遊すること無く平面状に固定される。
従って、無塗布領域33の存在により、被着体に貼付したラベルが徒に剥がれることはない。
ライナーレスラベルCは、ラベル単位Pでカットする。
【0017】
図4は、本発明の実施の形態からなるライナーレスラベル積層体Dの説明図である。(A)は折り合わす2つの接着面を示し、(B)はラベルカット箇所の垂直断面を示す。
ライナーレスラベル積層体Dは、前述したライナーレスラベルBとその面対称型ライナーレスラベルB′とを弱粘接着剤で仮着して構成する。
ライナーレスラベルB′は、接着層30の構成がライナーレスラベルBの接着層30の構成と逆になっている。つまり、ライナーレスラベルBの接着剤塗布部分には非接着剤の塗布を行い、非接着剤塗布部分には接着剤を塗布する。従って、ライナーレスラベルBとライナーレスラベルB′とを対面させると鏡面対称になり、接着領域と非接着領域とが対面する。
ライナーレスラベルBとライナーレスラベルB′とは、別個に形成して仮着しても、図4(A)のように一緒に形成して境界Zを介して折り合わせて仮着してもよい。
ライナーレスラベルDは、ライナーレスラベルB及びライナーレスラベルB′の印字面が表裏に表出する。
ライナーレスラベルDの表裏の印字面は、面一な接着面Sを仮着しているので凹凸が生じることがない。
【0018】
図5は、本発明のライナーレスラベルBを形成する方法の説明図である。以下、時系列に本発明の方法を説明する。
(1)接着領域の形成
平板部材Tを用意する。平板部材Tの表面は、用いる感熱接着剤YBが結合しないように非結合コーティングされている。
用いる感熱接着剤YBをパターン塗布できる器材を用いて、平板部材Tに塗布する。塗布に際しては、接着面Sにドット形状のパターンが形成されるよう、感熱接着剤
YBからなる円柱状体を接着層30に配置する。用いる器財としては、溶融した感熱
接着剤YBを円柱状に型取りできるものであればよい。
(2)非接着領域の形成
次に、非接着剤NBを、感熱接着剤YBが配置された処以外を埋めるように塗布する。
こうして、平板部材Tの平面に、接着領域31と非接着領域32とからなる面一の接着面Sが形成される。接着面Sと反対側の基材10に接触する非粘着剤NBからなる面も、接着面Sと平行な面になるように調整する。
(3)基材の接着
次に、基材10を接着層30に接着させて、ライナーレスラベルBに必要な積層構造を形成する。
(4)ライナーレスラベルの完成
最後に、得られた積層構造を、平板部材Tから剥がし、端部をカットして揃えることによりライナーレスラベルBを形成する。
【0019】
図5においては、ライナーレスラベルBの形成方法を説明したが、ライナーレスラベルAも同様にして形成することができる。
また、ライナーレスラベルCにおいては、無塗布領域35に接着剤及び非接着剤NBが塗布されないように、平板部材Tの所望の位置にブロック体を配置しておけばよい。
また、ライナーレスラベル積層体Dを形成する場合も同様である。別個にライナーレスラベルBとライナーレスラベルB′を同様に形成すればよい。また、同時にライナーレスラベルBとライナーレスラベルB′を形成する場合は、2種類のパターンを同時に形成すればよい。
また、本発明のライナーレスラベルの形態は、ロール状でも単葉であってもよい。
【符号の説明】
【0020】
A ライナーレスラベル
B ライナーレスラベル
B‘ ライナーレスラベル
C ライナーレスラベル
D ライナーレスラベル積層体
S 接着面
V 角部
P ラベル単位
T 平板部材
YB 接着剤
NB 非接着剤
10 基材
20 印字面
30 接着層
31 接着領域
32 非接着領域
33 無塗布領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
感熱接着剤が分散塗布された接着層を有するライナーレスラベルにおいて、
上記感熱接着剤が塗布されていない領域に非接着剤を塗布し、
上記感熱接着剤が表面に表出した接着領域と上記非接着剤が表面に表出した非接
着領域とで略面一な接着面を形成することを特徴とするライナーレスラベル。
【請求項2】
ラベル分離単体にする分離箇所の上記接着面は、上記接着領域と上記非接着領域
とを混在させたことを特徴とする請求項1記載のライナーレスラベル。
【請求項3】
上記接着領域は、縞状パターンで形成することを特徴とする請求項1または2記
載のライナーレスラベル。
【請求項4】
上記接着領域は、ドット状パターンで形成することを特徴とする請求項1または
2記載のライナーレスラベル。
【請求項5】
上記ラベル分離単位の接着面の外周域角部に、上記接着剤及び非接着剤を塗布し
ない無塗布領域を設けることを特徴とする請求項1、2、3または4記載のライナーレス
ラベル。
【請求項6】
感熱接着剤が分散塗布された接着層において、
上記感熱接着剤が塗布されていない領域に非接着剤を塗布し、
上記感熱接着剤が表面に表出した接着領域と上記非接着剤が表面に表出した非接
着領域とで接着面を形成する第一のライナーレスラベルと、
上記第一のライナーレスラベルにおいて、上記接着領域と上記非接着領域とを入
れ替えた構成にした第二のライナーレスラベルとを、
上記接着領域と上記非接着領域とが相互に接触するように、上記第一のライナーレスラベルと上記第二のライナーレスラベルとを貼り合わせてなるライナーレスラベ
ル積層体。
【請求項7】
平板部材の平面上に感熱接着材を所定のパターンで塗布し、
次いで、上記感熱接着材が塗布された上記平面上に非接着剤を塗布し、
上記非接着剤側に基材を貼着し、
上記平板部材を剥離し、
ライナーレスラベルを形成する方法。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2012−181313(P2012−181313A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−43615(P2011−43615)
【出願日】平成23年3月1日(2011.3.1)
【出願人】(307010993)株式会社サトー知識財産研究所 (588)
【出願人】(000130581)サトーホールディングス株式会社 (1,153)
【Fターム(参考)】