説明

ライン稼働率監視方法

【課題】カラーフィルタの製造方法において、ガラス基板毎にラインタクトを計測し、そのラインタクトの変化量から当該設備の稼働状態を監視し、設備異常の早期発見を支援するライン稼働率監視方法を提供する。
【解決手段】ローダー18、複数の装置と、アンローダー19と、ライン連結した搬送ライン15と、ラインを管理するライン処理制御部17を装備した処理ラインを用いた製造方法であり、処理ライン内へローダー18より基板31を投入し、装置による処理手段14を実行し、アンローダー19から基板31を搬出する処理ラインの、搬送中の基板31の通過の時刻を読み取る、コードリーダ設置のシステムによる、ライン稼働率監視方法であって、処理ライン内に設置したコードリーダ61a、61bであるコード読み取りカメラによって、基板31に添付したID番号からなるコードと、その通過時刻を読み取り、その時間差より、ラインタクトを算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォトリソグラフィ法を利用してパターン形成する生産ラインを用いたカラーフィルタの製造工程において、製造設備の稼働率、ライン稼働率の監視方法であり、特に、ライン投入前後2次元コードリーダ設置による、ライン稼働率監視方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のカラーフィルタの製造工程では、ガラス基板上に、遮光パターンのブラックマトリックス(BM)層の形成と、R(赤色)画素、G(緑色)画素、B(青色)画素との着色層の形成と、機能追加するパターン、例えばWHITEパターン等、透明電極層等の形成と、特殊用途の種々のパターン、例えばMVA(配向突起)やPS(フォトスペーサー)のパターンを形成する工程が含まれている。
【0003】
以下に、従来のカラーフィルタの製造方法の一例について説明する。
【0004】
最初に、カラーフィルタ用のガラス基板上に遮光パターン用レジスト液を塗布し、レジストにパターン露光し、現像処理により、基板上に遮光パターン、例えばBMを形成する。なお、BMは透過光を遮蔽する役割である。BMのパターンは、格子状、又はストライプ状の形状であり、その開口部に画素を形成する。
【0005】
次いで、BMの開口部に、R画素パターンを形成する。R画素の形成は、基板上にR画素用レジスト液を塗布し、レジストにパターン露光し、現像処理により、基板上にR画素パターン部を形成する。
【0006】
次いで、BMの開口部に、G画素パターンを形成する。G画素の形成は、基板上にG画素用レジスト液を塗布し、レジストにパターン露光し、現像処理により、基板上にG画素パターン部を形成する。
【0007】
次いで、BMの開口部に、B画素パターンを形成する。B画素の形成は、基板上にB画素用レジスト液を塗布し、レジストにパターン露光し、現像処理により、基板上にB画素パターン部を形成する。以上の工程を経ることによりカラス基板上のBMの開口部に、R、G、Bの画素パターンが形成された。
【0008】
次いで、真空成膜法により、遮光パターン及び画素部を覆う金属酸化膜からなる透明電極を形成する。
【0009】
次いで、その透明電極上にMVAパターン部を形成する。MVAパターンの形成は、基板の透明電極上にMVA用レジスト液を塗布し、レジストにMVAパターンを露光し、現像処理により、MVA部を形成する。
【0010】
次いで、その透明電極上にPSパターン部を形成する。PSパターンの形成は、基板の透明電極上にPS用レジスト液を塗布し、レジストにPSパターンを露光し、現像処理により、PS部を形成する。
【0011】
以上の製造工程により、カラーフィルタが製造される。
【0012】
例えば、従来のカラーフィルタを製造する生産ラインでは、ガラス基板上に種々のパターンを形成するために、BMの形成装置、R画素形成装置、G画素形成装置、B画素形成装置、WHITE等の形成装置、透明電極の形成装置、MVA形成装置、等のパターン形成工程の処理装置がある。各々パターン形成の方法は、フォトリソグラフィ法を用いた処理手段、例えば塗布処理手段、露光処理手段、現像処理手段のフォトプロセスを実施する各処理手段を配置した処理ラインを用いて行う方法である。
【0013】
一般に、カラーフィルタの製造は、複数台の処理ラインを連結して行われ、生産ラインの先頭で、ガラス基板をローダー(基板供給口)より生産ライン内へ投入し、生産ラインの後尾の、アンローダー(基板受取口)から基板を生産ライン外へ搬出する。
【0014】
生産ラインは、複数台の処理ラインをライン連結した構成である。処理ラインは、処理手段の順番に直列に連結したインライン配列の製造装置が配置されている。処理ラインは、フォトリソグラフィ法を用いた処理手段、例えばレジスト塗布処理手段、フォトマスクを介した露光処理手段、レジスト現像処理手段のフォトプロセスからなるラインである。生産ラインは、種々のパターンを形成するために、複数の処理ラインを配置しており、パターン形成が繰り返し実施するように処理装置が配置されている。
【0015】
なお、生産ラインは、複数の処理ラインを備えた一連の長パスラインからなる構成であり、ローダー及びアンローダーは、自動倉庫に連結され、ガラス基板の投入及び搬出と、基板の一時保管等が自動化され、ライン管理されている。一連の長パスラインである生産ラインでは、その製造装置の処理手段において、省力化、自動化等で有益となる効果がある。
【0016】
生産ライン、又は処理ライン(以下ラインと記す)では、ガラス基板は、カセットに収納されており、そのカセットから順番にライン内へ投入される。ラインでは、ガラス基板毎に一枚、一枚区分管理されており、逆にライン外では、集団、例えば1カセット若しくは1ロット単位に区分管理されている。そのため、カセット一個毎、若しくはガラス基板一枚毎にID番号が添付され、ガラス基板の材料からカラーフィルタの製品まで全てID番号で管理される。当該ガラス基板のID番号毎に生産履歴、品質履歴がデータベース化されており、そのデータ情報で、現状の生産進捗、在庫位置、等を含むトレイサビリィティ等の追跡が可能となる。
【0017】
ラインへの生産投入指示(以下生産管理と記す)は、生産開始時間、ガラス基板の投入数量を含む製造命令により行い、ラインでは、当該ラインの処理能力に準じて一枚、一枚と、一定時間間隔にライン内へ投入される。一方、ラインでは、全てのパターン形成の処理手段が終了し、一枚、一枚と、一定時間間隔にライン外へ搬出される。通常の生産状態、すなわち、正常な生産状態では、常時、ライン内では一定数量のガラス基板が処理手段中であり、投入と搬出の時間間隔が同一時間となる。ラインでは、ライン途中の処理手段のトラブル、又は処理装置の停止の場合、ライン製造制御部等で感知し、ラインでの新規のガラス基板の投入を中止するか、又は、投入と停止を間歇に行うことにより、投入時間間隔を延長する。すなわち、時間当りの投入数量を削減して、正常稼働への復帰を待つ対応となる。
【0018】
ラインの稼働率は、一定時間でのライン外への搬出した基板の枚数である。ラインタクトは、一枚の基板の投入時刻から搬出時刻までの時間差であり、処理ライン毎に異なる場合が一般的である。ラインでは、処理手段の配置数が異なる場合が一般的であり、そのためにラインタクトが異なる。ライン内では、各々の処理手段の部署はガラス基板の搬入数と、その搬出数は全て同一数となるように装置が配置されている。例えば、ライン内の処理手段の処理時間のタクトが異なる場合、その処理装置の台数を増加し、並列処理によりタクトが同一となるように処理手段を配置している。この場合では、ライン内の各々処理手段の時間間隔と当該ラインの投入の時間間隔は同一の一定時間間隔となる。なお、一般
に連結ラインの搬送速度は、処理手段での処理速度より複数倍早くしており、ラインタクトの長短に影響しないように設定されている。
【0019】
近年、液晶表示装置は、高機能付加化し、カラーフィルタに形成するパターンの種類が増加する傾向がある。パターンの種類が増加することはパターンを形成する装置が増加することであり、その設備だけパスライン長が増加する問題がある。また画面が大画面化する傾向にある。その為、設備の大型化及び生産ラインの長ライン化により、設備費用の増加、ラインタクトの長時間化する問題がある。
【0020】
図4は、従来のカラーフィルタの製造方法に用いるカラーフィルタの生産ラインの一例の平面図である。
【0021】
従来のカラーフィルタを製造する生産ライン一例について説明する。図4に示すカラーフィルタの生産ライン1は、カラーフィルタの種々のパターンを形成する装置2と、クリーン倉庫5と、その工程間をライン連結する搬送装置3と、パターン形成する装置及びクリーン倉庫、搬送装置を管理制御するライン製造制御部4を装備したラインである。
【0022】
生産ライン1では、第一の装置による遮光部パターンを形成する工程21と、第二の装置によるその開口部に画素部パターンを形成する工程22と、第三の装置によるその上に透明電極を形成する工程23と、さらに第四の装置によるMVAパターンを形成する工程24と、第五の装置によるPSを形成する工程25を含むライン配置である。
【0023】
前記クリーン倉庫5は、ライン内での工程途中のパターン形成基板(以下、基板と記す)を一時滞留する基板を収納する場所であり、各ラインとライン連結されている。クリーン倉庫は、ライン内の清浄レベルに維持されており、各々基板、若しくはカセットはそのID番号等で管理され、ラインでの先入先出しができるように管理されている。
【0024】
図5は、従来のカラーフィルタの製造方法に用いる処理ラインの一例の平面図である。
【0025】
図5に示すように、前記パターン形成する装置2は、フォトリソグラフィプロセス処理の、レジストコート装置11、露光装置12、現像装置13、ローダー18とアンローダー19をライン連結した、プロセス処理制御部17を備えた処理ライン10から構成されている。
【0026】
図5に示すように、例えば第二の装置の画素パターンを形成する装置22は、フォトリソグラフィ法によりプロセス処理を実行する、レジストコート処理手段11aと、プロキシミティ露光装置の露光処理手段12aと、レジスト現像処理手段13aとを連結した処理ライン10を備えている。その処理ライン10が、プロセス処理及び基板の動作を逐次に管理するプロセス制御部17により、ローダー(供給口)18からガラス基板31aを処理ライン内へ投入し、その順番で基板31上にプロセス処理を実行した後、アンローダー(受取口)19より処理ライン10外へ基板を搬出するカラーフィルタの画素パターンの製造する処理ラインである。なお、レジストコート処理手段11aでは、レジストコート装置11の前後にコート前処理とコート後処理手段が配置されており、コート前処理、例えば基板洗浄手段等が付設され、コート後処理、例えば、乾燥、プレ加熱手段等が付設されており、レジストコート装置とコート前処理及びコート後処理をライン連結した処理手段からなる部位である。
【0027】
生産ラインの稼働率では、一定の期間でのカラーフィルタの搬出数の実績量と設備能力の設定量との比率であり、正常な稼働状況では、稼働率が100%若しくは近傍以上であり、異常な稼働状況では、100%以下となる。図4に示す生産ラインでは、同一品名で
n枚を生産する場合、第一の装置21への1枚目のガラス基板の投入から生産開始となり、第五の装置25からの最終n枚目のガラス基板の搬出で生産終了となる。ガラス基板のライン投入は、一定時間間隔に一枚のペースで投入される。この場合、生産ラインのラインタクトは、例えば、第一の装置21での1枚目のガラス基板の投入時刻と、第五の装置25での1枚目のガラス基板の搬出時刻との時間差、すなわち経過時刻の時間差となる。生産ラインでは、n枚のガラス基板の各々ラインタクトは、その平均値の近傍に正規分布することとなる。
【0028】
生産ラインのラインタクトは、生産ラインへのガラス基板の投入より生産ラインからのカラーフィルタの搬出までの時間であり、上述したように第一の装置でパターン形成し、その基板上に第二の装置でパターン形成し、その基板上に第三の装置でパターン形成し、その基板上に第四の装置でパターン形成し、その基板上に第五の装置でパターン形成した着板(カラーフィルタ)を生産ライン外へ搬出し、カラーフィルタの生産が終了する。従って、各々のパターン形成装置は、直前の装置でパターン形成した基板を再投入することとなる。このため、各々の装置では、突発トラブルに対処するために投入基板の最低量を一時滞留する方法で稼働率の低下を防止する場合がある。すなわち、各々毎にクリーン倉庫内に最低量の基板を在庫している。
【0029】
図4の生産ライン1のラインタクトは、例えば、ライン内では一時滞留しない、後入先出しの場合、最短ラインタクトとなり、例えば、クリーン倉庫内に100%まで一時滞留基板で先入先出しの場合、最長ラインタクトとなる。一般に、生産順番は先入先出し方式であり、クリーン倉庫内の一時滞留基板数が減少すれば、ラインタクトは短縮されるが、生産ラインの稼働率は低下する危険があり、一時滞留基板数が増加すれば、ラインタクトは延長されるが、生産ラインの稼働率は低下する危険性が回避され、結果的に上昇する。一時滞留基板数が、減少すれば、稼働率が低下する問題があり、増加すれば、工期遅延、生産コスト増加の問題が発生する。このため、生産ラインの生産管理では、一時滞留基板数の加減と、装置の突発停止とを監視しならがガラス基板の投入を実行している。生産ラインでは、クリーン倉庫内の一時滞留基板を含むラインタクトとなる。
【0030】
一方、図5の処理ライン10のラインタクトは、ライン内では一時滞留しない、先入先出し方法の投入順番であり、最短で、且つ一定時間のラインタクトとなる。図5に示す処理ライン、例えば第二の装置の画素パターンを形成する装置22、2、10は、レジストコート装置11と、プロキシミティ露光装置よりなる露光装置12と、現像装置13とを連結しており、ローダー18から基板31を処理ライン内へ投入し、レジストコート処理手段11a、露光処理手段12aと、レジスト現像処理手段13aの順番に基板31上にプロセス処理を実行した後、アンローダー19より処理ライン10外へ基板を搬出する。
【0031】
処理ライン10のラインタクトは、処理ライン内に配置した処理手段の数に比例して増減し、その平均値の近傍に正規分布する。処理ライン内では、各処理手段での経過時間は、ほぼ同一となるように装置を配置し、ローダー18から基板31を処理ライン内へ投入の間隔時間と、各々処理手段の、レジストコート処理手段11a、露光処理手段12a、レジスト現像処理手段13aの出、入口を通過する基板の間隔時間は、同一となる。正常な稼働状態では、処理ライン内の特定位置、例えば、ローダー18、レジストコート処理手段11a、露光処理手段12a、レジスト現像処理手段13a、アンローダー19での基板通過の間隔は同一となる。異常な稼働状態では、処理ライン内の特定位置での基板通過の間隔は不同一となり、延長する。このため、処理ラインの生産管理では、装置の突発停止とを監視しならがガラス基板の投入を実行している。
【0032】
一方、生産ラインでは、処理装置又は処理手段のトラブル、又は品質のトラブル等の発生する場合があり、その処置では、処置が長時間となり、装置の停止時間が増加する、又
は製品ロス等が増加する問題がある。すなわち、この場合では、一連の長パスラインである生産ラインは不利益となる。
【0033】
処理ライン10では、処理装置又は処理手段の異常の早期発見が重要である。図6を用いて処理ラインの基板の通過間隔を説明する。
【0034】
図6(a)は、正常な稼働の処理ラインでの基板の通過時刻の間隔である。図6(a)は、上段の横方向は図左端からローダー、処理ラインであり、処理手段Smが順番に配置し、右端のアンローダーである。縦方向は、基板の投入の順番であり、枠内の数字は基板ID番号である。1行目は、最初の処理手段S1は、基板無し、最終の処理手段Smにも基板無しであり、ローダーには投入予定の基板1が準備されている。2行目は、最初の処理手段S1は、基板n、最終の処理手段Smに基板1があり、ローダーには投入予定の基板n+1(以下+1と記す)が準備されている。3行目は、基板は右側へ搬送された状態であり、基板(+1)が投入され、基板(1)が処理ラインから搬出された。以下同様に、6行目は、基板(+4)が投入され、基板(4)が処理ラインから搬出された。この場合、各行の間隔は、同一時間である。この場合では、各々ガラス基板、基板1〜基板4のラインタクトは、一定時間近傍であり、正規分布のバラツキとなる傾向を示している。なお、この場合1行目と2行目の間には、ライン内に装置が基板有りとなるまで、すなわち、基板がn枚繰り返し投入されたこととなる。
【0035】
図6(b)は、突発的に発生した異常な稼働の処理ラインでの基板の通過時刻の間隔である。1行目は、最初の処理手段S1は、基板n、最終の処理手段Smに基板1があり、ローダーには投入予定の基板n+1(+1)が準備されている。3行目は、基板は右側へ搬送された状態であり、処理装置S5でトラブルが発生したために、装置S5の前方工程(S5〜S1)では、基板が移動せず停止状態となり、基板(+2)が未投入であり、後方工程(S6〜Sm)では順調に右横へ搬送され、基板(2)が処理ラインから搬出された。以下同様に、前半は基板が停止状態であり、後半処理手段は、正常に右横に搬送されている。6行目は、基板(+2)が未投入であり、基板(5)が処理ラインから搬出された。この場合では、各々ガラス基板、基板1〜基板5のラインタクトは、一定時間近傍であるが、分布にバラツキとなる傾向を示し、遅延する変化が発生する傾向がある。この微小の変化を監視することが重要となる。
【0036】
従来の生産ラインは、カラーフィルタの製造方法するために、複数の装置がライン連結した構成の生産ラインであり、ガラス基板投入から回収までの間に多数の装置の処理手段を通過するため、正確なラインタクトを把握することが困難となる。また、各ガラス基板毎のラインタクトの把握を実現するシステムはない。
【0037】
複数の装置がライン連結した生産ラインでは、ガラス基板毎にラインタクトを把握することが困難である。このため、平均ラインタクトを、
平均ラインタクト = 稼働時間/稼働時間中に処理された製品の基板数
――――(式1)
稼働時間:単位分
基板数:枚数
式1より、或る期間の平均ラインタクトを算出し、代用している。
【0038】
式1の方法では、早期の異常発見が不十分である。図6(b)のように、ラインでは、装置の異常は、ラインタクトの異常に直結して発現する。例えば、2行目での処理装置が停止又はタクト遅れは、ローダーでの基板投入の停止となり、処理装置又は処理手段の異常の早期発見が可能となる。しかし、従来の技術では、後追いの管理であり、早期発見が無理であり、解決を遅らせる問題である。
【0039】
以下に公知文献を記す。
【特許文献1】特開平8−14955号公報
【特許文献2】特開2003−1534号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0040】
本発明の課題は、種々のパターン形成する装置と搬送装置とそれを管理するライン製造制御部を装備したカラーフィルタの生産ラインを用いた液晶表示装置用のカラーフィルタの製造方法において、ガラス基板毎にラインタクトを計測し、そのラインタクトの変化量から当該設備の稼働状態を監視し、設備異常の早期発見を支援するライン稼働率監視方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0041】
本発明の請求項1に係る発明は、ローダー(供給口)と、複数の処理手段と、アンローダー(受取口)とをその順に配置し、その間をライン連結した搬送ラインと、ラインを管理するライン処理制御部を装備した処理ライン上で、
基板投入部及び基板搬出部に設置したコードリーダーにより、基板に設けたIDを読み取った時間よりラインタクトを算出する、ライン稼働率監視方法。
【発明の効果】
【0042】
本発明のライン投入前後コードリーダ設置による、ライン稼働率監視方法を用いることにより、設置したコード読み取りカメラでガラス基板のコードの通過を記録することで、コード毎に正確なラインタクトと、当該ラインの稼働率を把握することができる。
【0043】
本発明のライン投入前後コードリーダ設置による、ライン稼働率監視方法を用いてコード読み取りカメラでガラス基板のコードの通過を記録することで、当該ライン毎にラインタクトを随時プロットすることにより、そのグラフ上でラインタクトまたはライン稼働率のバラツキの発生を把握することができ、この場合、装置の動作不良の異常、装置の故障等といった装置の異常が発生していると予想され、装置異常の早期発見ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
本発明のライン投入前後コードリーダ設置による、ライン稼働率監視方法を一実施形態に基づいて以下説明する。
【0045】
本発明のライン投入前後コードリーダ設置による、ライン稼働率監視方法では、製造する工程が、ローダー(供給口)18と、複数の処理手段14と、アンローダー(受取口)19とをその順に配置した処理ライン10からなり、その間をライン連結した搬送ラインと、処理ラインを管理するプロセス処理制御部17を装備した処理ラインを用いており、基板31上に、装置による処理手段14を繰り返し、順番に処理層を積層形成する。本発明の処理ラインでは、処理ライン内へ基板31を投入するローダー18の近傍のライン投入前の位置(基板投入部)と、処理ライン外へ基板を搬出するアンローダー19の近傍のライン搬出後の位置(基板搬出部)に、搬送中の基板が通過する時刻を読み取るコードリーダ61a、61bを設置しおり、該コードリーダ61a、61bと、コードリーダ設置のシステムによる、ラインタクト、ライン稼働率を監視する(図1参照)。
【0046】
図1は、本発明のカラーフィルタの製造する製造装置の処理ラインの、ライン投入前後コードリーダ設置による、ライン稼働率監視方法の一実施例を説明する平面図である。
【0047】
図1に示す本発明の処理ライン10は、処理ライン内へ基板31を投入する、ローダー18とコードリーダ61a、装置1、装置2、装置3、装置4から装置nからなる複数の処理手段14と、処理ライン外へ基板を搬出するアンローダー19とコードリーダ61bとを配置している。生産時では、一定時間間隔ごとに一枚、一枚と順番に基板31を処理ライン内へローダー18より投入され、同時に基板毎にコードリーダ61aにより投入時刻及び基板のID番号を読み取りを行った後、装置1、装置2、装置3、装置4から装置nとその順番で基板上に装置による処理手段14を実行した後、基板毎にコードリーダ61bにより搬出時刻及び基板のID番号を読み取り、同時に処理ライン外へアンローダー19から基板を搬出する。以降同様に、基板毎に基板投入及び搬出を繰り返しながら、基板の生産と同時平行で、ラインタクト、ライン稼働率を監視する方法である。すなわち、処理ライン内に設置したコードリーダ61a、61b、例えば2次元コートからなるIDであるコードの読み取りカメラは、基板に添付したID番号からなるコードと、その通過時刻を読み取り、コードリーダ61a、61bでの経過時刻の時間差から、コードリーダ設置のシステムによるラインタクトを算出する、又はライン稼働率を算出する、ライン稼働率監視方法である。なお、前記コードリーダ61a、61bは、例えばICタグリーダ/ライタの場合もあり、各々の利点から適宜選択することが重要となる。
【0048】
前記コードリーダ設置のシステムは、観測点位置にコード読み取りカメラ、又はICタグリーダ/ライタを配置する手順と、基板、又はID番号毎に、観測点位置を通過した時刻を読み取り、そのデータを収集し、データベース化する手順と、データベースより、基板の搬送間隔、又は当該基板のラインタクトを算出する手順を含むシステムよりなる。
【0049】
次に、図1を用いたラインタクトの算出の手順を説明する。
【0050】
最初に、ローダー18により処理ライン内へ基板(基板1)が投入される。
【0051】
次いで、設備1へ搬入前に、コードリーダ61aにより基板1のID番号(1)を読み取る。
【0052】
次いで、前記コードリーダ設置のシステムにて読み取られた基板1のID番号(1)及び通過時刻(読み取り時間)を記録する。以降基板1は、設備2、設備3、設備4から設備nで処理される。
【0053】
次いで、設備nから搬出後に、コードリーダ61bにより基板1のID番号(1)を読み取る。
【0054】
次いで、前記コードリーダ設置のシステムにて読み取られた基板1のID番号(1)及び通過時刻(読み取り時間)を記録する。
【0055】
次いで、基板1を設備nからローダー18により処理ライン外へ搬出される。同時に前記コードリーダ設置のシステムにて、読み取られた基板1のID番号(1)のラインタクトを算出する。ラインタクトの算出は、基板1のコードリーダ61bの読み取り時間(通過時刻)と、基板1のコードリーダ61aの読み取り時間(通過時刻)との時間差を算出し、その時間差をラインタクトの時間とする。
【0056】
図2は、本発明のカラーフィルタを製造する製造装置の生産ラインの、ライン投入前後コードリーダ設置による、ライン稼働率監視方法一実施例を説明する平面図である。
【0057】
図2では、カラーフィルタの種々のパターンを形成する複数の装置2と、その工程間を
ライン連結する搬送装置3と、各パターン形成する装置2がフォトリソグラフィプロセス処理の、レジストコート装置、露光装置、現像装置、ローダーとアンローダーをライン連結した、プロセス処理制御部を備えた処理ラインからなり、パターン形成する装置2と搬送装置3、クリーン倉庫5を管理するライン製造制御部4を装備したカラーフィルタの生産ライン1を用いて、第一の装置21による遮光部パターンを形成する工程と、第二の装置22によるその開口部に画素部パターンを形成する工程と、第三の装置23によるその上に透明電極を形成する工程と、さらに第四の装置24によるMVAパターンを形成する工程と、第五の装置25によるPSを形成する工程と、順番にパターンを積層形成するカラーフィルタの製造方法である。パターンを形成する装置は、レジストコート処理手段と、露光装置の露光処理手段と、レジスト現像処理手段とを連結した処理ライン10を備えている。
【0058】
本発明のカラーフィルタの製造方法では、プロセス処理及び基板の動作を逐次に管理するライン製造制御部4により、生産ライン1内へローダー18よりガラス基板を投入し、複数の装置の順番に基板上にプロセス処理を実行した後、アンローダーより生産ライン外へパターン形成した基板を搬出する生産ラインの、ライン投入前及びライン搬出後の基板の通過時刻を読み取る、コードリーダ6a、6bを設置した、ライン稼働率を監視する方法を採用した。ライン稼働率監視方法は、生産ライン内に設置したコードリーダ6a、6bによって、ガラス基板に添付した2次元コードからなるID番号と、その通過時刻を読み取り、そのデータを管理するシステムを用いて、2次元コードからなるID番号毎に、通過時刻の時間の差によるラインタクトを算出する(図2参照)。
【0059】
前記システムでは、最初の手順は、ガラス基板毎に2次元コードからなるID番号を添付する。
【0060】
次いで、観測点位置に2次元コード読み取りカメラを配置する。この場合では、ライン投入直後に配置したコードリーダ6aと、ライン搬出直後に配置したコードリーダ6bである。
【0061】
次いで、2次元コードからなるID番号毎に、観測点位置の通過した時刻を読み取り、そのデータを収集し、データベース化する。
【0062】
次いで、データベースより、ラインタクトを算出する。
【0063】
次いで、ラインタクトのデータを編集し、そのデータプロットによりグラフにする。
【0064】
次の手順は、編集データ及びグラフを端末画面に出力する。以上によりコードリーダ設置による、ライン稼働率監視方法である。
【0065】
図2を参照して、本発明のカラーフィルタを製造する製造装置の生産ラインの、ライン投入前後コードリーダ設置による、ライン稼働率監視方法の一実施例を説明する。
【0066】
本発明の生産ライン1のラインタクトは、例えば、生産順番は先入先出し方式であり、クリーン倉庫5内の一時滞留基板数が一定量を維持しながら、生産ラインを生産する管理では、一時滞留基板数の増減と、装置の突発停止とを監視しならがガラス基板の投入を実行している。生産ラインでは、第一の装置21での投入用ローダー18近傍のコードリーダ6aと、第五の装置25での搬出用のアンローダー19近傍のコードリーダ6bとの基板の通過時刻を読み取り、生産ライン1内の一時滞留基板を含むラインタクトを算出する。
【0067】
一方、図2の本発明の処理ラインの、第一の装置21、第二の装置22、第三の装置23、第四の装置24、第五の装置25の各々毎でのラインタクトは、ライン内では一時滞留しない、先入先出し方法の投入順番であり、最短で、且つ一定時間のラインタクトとなる。図2に示す、例えば第二の装置22の画素パターンを形成する装置2は、レジストコート処理手段と、プロキシミティ露光装置の露光処理手段と、レジスト現像処理手段とを連結した処理ライン10を備えており、ローダー18から基板31を処理ライン内へ投入し、レジストコート処理手段、露光処理手段と、レジスト現像処理手段の順番に基板31上にプロセス処理を実行した後、アンローダー19より処理ライン10外へ基板を搬出するカラーフィルタの画素パターンの製造する際、コードリーダ61aと、コードリーダ61bで基板の通過時刻を読み取り、その時間差を算出する方法である。
【0068】
同様に、一時滞留基板の増減が必要な場合、図2の本発明の生産ラインのクリーン倉庫5の、搬入口近傍に配置したコードリーダ61aと、搬出口近傍に配置したコードリーダ61bでの基板の通過数量を読み取り、その基板の通過数量差から、一時滞留する基板数を算出する。すなわち、カラーフィルタの画素パターンの製造する際、任意の位置にコードリーダを配置し、コードリーダ61bで基板の通過時刻を読み取りにより、ラインの稼働状態を常時監視しながら、ライン内の装置の異常を早期に発見する方法である。
【0069】
図3は、本発明のライン投入前後コードリーダ設置による、ライン稼働率監視方法を説明する表示画面であり、(a)は、ラインタクトの管理図であり、(b)は、ライン稼働率の監視画面である。
【0070】
図3(a)は、ラインタクトの管理図である。画面左側に基板のID番号、例えば、a0001、a0002、a0003、a0004、a0005からa0009が表示されており、画面上段にその基板毎のラインタクトの実績値がプロットされた管理グラフが開示されている。プロット画面域では、設定基準の、設定ラインタクト(破線矢印)と、その管理限界上限(破線)があり、設定基準と上限の領域内に実績値がプロット出来るように監視している。図3(a)の場合、a0001〜a0006では、正常な状態であり、a0007からa0009は、ライン異常の傾向を予知する状態である。この場合、a0006〜a0007では、ライン点検を強化する等、管理グラフの運用ルールに従った点検を実施し、ライン異常の部位を検知する。
【0071】
図3(b)は、ライン稼働率の監視画面である。画面左側にロットのID番号、例えば、a000x、b000x、c000x、d000x、e000xからi000xが表示されており、画面上段にそのロット毎のライン稼働率の実績値がプロットされた管理グラフが開示されている。プロット画面域では、設定基準の、100%設定(破線矢印)と、その管理限界下限(破線)があり、設定基準と下限の領域内に実績値がプロット出来るように監視している。図3(b)の場合、a000x〜e000xでは、正常な状態であり、f000xからi000xは、ライン異常の傾向を予知する状態である。この場合、e000x〜f000xでは、ライン点検を強化する等、管理グラフの運用ルールに従った点検を実施し、細部のラインタクトの変化等を観察する等、ライン異常の部位を検知する。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明のカラーフィルタの製造する製造装置の処理ラインの、ライン投入前後コードリーダ設置による、ライン稼働率監視方法の一実施例を説明する平面図である。
【図2】本発明のカラーフィルタを製造する製造装置の生産ラインの、ライン投入前後コードリーダ設置による、ライン稼働率監視方法一実施例を説明する平面図である。
【図3】本発明のライン投入前後コードリーダ設置による、ライン稼働率監視方法を説明する表示画面であり、(a)は、ラインタクトの管理図であり、(b)は、ライン稼働率の監視画面である。
【図4】従来のカラーフィルタを製造する生産ラインの一例の平面図である。
【図5】従来のカラーフィルタの製造する処理ラインの一例の平面図である。
【図6】従来のカラーフィルタの製造する処理ラインのガラス基板の工程内移動の一例の説明図であり、(a)は、正常時の状態であり、(b)は、異常時の状態である。
【符号の説明】
【0073】
1…生産ライン
2…パターン形成する装置
3…搬送装置
4…ライン製造制御部
5…クリーン倉庫
6…コードリーダ
6a…コードリーダ
6b…コードリーダ
10…処理ライン
11…レジストコート装置
11a…レジストコート処理手段
11b…レジストコート付加処理手段
12…露光装置
12a…露光処理手段
12b…露光付加処理手段
13…現像装置
13a…現像処理手段
14…(装置による)処理手段
15…搬送ライン
17…プロセス処理制御部
18…ローダー
19…アンローダー
21…第一の装置
22…第二の装置
23…第三の装置
24…第四の装置
25…第五の装置
30…カラーフィルタ
31a…ガラス基板
31…基板
32…BM
32b…BMパターン開口部
33…画素
33a…R画素
33b…G画素
33c…B画素
34…透明電極
61a…コードリーダ
61b…コードリーダ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ローダー(供給口)と、複数の処理手段と、アンローダー(受取口)とをその順に配置し、その間をライン連結した搬送ラインと、ラインを管理するライン処理制御部を装備した処理ライン上で、
基板投入部及び基板搬出部に設置したコードリーダーにより、基板に設けたIDを読み取った時間よりラインタクトを算出する、ライン稼働率監視方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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