説明

ラジエータの取付構造

【課題】製造コストの低減化を図る。
【解決手段】本発明は、チューブ2及びフィンから成るコア3と、チューブ2の端部に設けられたヘッダプレート4と、ヘッダプレート4に嵌着されたタンク5とを有するラジエータの取付構造であって、タンク5の両端部に取付けられると共にコア3側の部材に取付けられるサイドプレート11と、サイドプレート11に装着可能な汎用セットナット12とを備えていることを特徴とし、切削部品や鍛造部品を使用する必要がなく、サイドプレート11に汎用セットナット12を装着させることにより、ラジエータを取付けることができるため、組立て及び製造作業が簡素化され、製造コストの低減が可能となる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車、建設機械等において使用されるラジエータの取付構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、自動車、建設機械等には、エンジンから発生する熱を最適な状態に制御するために、ラジエータが設けられている。図8に示されているように、従来のラジエータ1は、チューブ2及びフィン(図示せず)から成るコア3と、チューブ2の端部に設けられたヘッダプレート4と、ヘッダプレート4に嵌着されたタンク5とから概略構成されている。そして、タンク5の両端部には雌ネジ6が螺刻されたボス7が埋め込まれ、ボス7はタンク5に一体ロウ付けされ、ボス7にボルト(図示せず)等を螺合することにより、ラジエータ1が所定箇所に固定されるようになっている。また、タンク5の両端部には、その開口端8を閉塞するようにサイドプレート9が設けられ、サイドプレート9がコア3の両側に設けられたコアサポート(図示せず)に結合されることにより、タンク5がコア3側に固定されるようになっている。(公知・公用の従来技術に基づき発明したため、本発明に関連する先行技術文献を出願人は知らない)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した従来のラジエータの取付構造では、ボス7に雌ネジ6を螺刻し、さらに、そのボス7をタンク5に埋め込むために、切削加工や鍛造加工を行う必要があり、製造に手間が掛かっていた。したがって、製造コストの低減が図り難いといった問題があった。
【0004】
本発明は、上記課題を解決すべくなされたものであり、製造コストの低減化を図ることのできるラジエータの取付構造を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、チューブ及びフィンから成るコアと、前記チューブの端部に設けられたヘッダプレートと、該ヘッダプレートに嵌着されたタンクとを有するラジエータの取付構造であって、前記タンクの両端部に取付けられると共に前記コア側の部材に取付けられるサイドプレートと、該サイドプレートに装着可能な汎用セットナットとを備えていることを特徴とする。
【0006】
そして、本発明によれば、切削部品や鍛造部品を使用する必要がなく、サイドプレートに汎用セットナットを装着させることにより、ラジエータを取付けることができるため、組立て及び製造作業が簡素化され、製造コストの低減が可能となる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態を説明する。図1〜7は本発明の実施の形態に係るラジエータの取付構造を示している。なお、上記した従来例と同様の構成については、説明の簡略化のため、図1及び図7中、図8と同一の符号を付し、それらの構成に関する詳細な説明は省略する。
【0008】
本実施の形態において、ラジエータの取付構造は、図1に示されているように、サイドプレート11と汎用セットナット12とにより構成されている。
【0009】
図2〜図5に良く示されているように、サイドプレート11は、タンク5の開口端8(図1参照)を閉塞可能に形成されたコア側プレート部13と、コア側プレート部13から直角に屈曲されたセットナット取付プレート部14と、セットナット取付プレート部14からさらに直角に屈曲されたタンク側プレート部15とから構成されている。図3に示されているように、コア側プレート部13には、端部に所要数、例えば、2個の係止孔16が穿設され、中央部の所要箇所、例えば、2箇所に掛止部17が形成されている。また、図4に示されているように、セットナット取付プレート部14には、所要数、例えば、2個の丸孔18が穿設され、その両側には切欠部19がそれぞれ形成されている。さらに、図5に示されているように、タンク側プレート部15の端部には爪部20が、所要数、例えば、2個形成され、各爪部20にそれぞれ掛止部21が形成されている。
【0010】
図6に良く示されているように、汎用セットナット12は、扁平なコの字状に形成され、バネ性を有するクランプ部22と、クランプ部22に突設されたナット部23とから構成され、ナット部23には雌ネジ24が螺刻されている。また、クランプ部22の、雌ネジ24に対応する位置には、丸孔25が穿設され、丸孔25の周囲に楔形のストッパ部26が形成されている。さらにまた、クランプ部2の端部は外側に屈曲し、誘導部27を形成している。
【0011】
このようなラジエータの取付構造を組立てるには、セットナット取付プレート部14の各切欠部19側からそれぞれ汎用セットナット12をサイドプレート11に挿入し、クランプ部22によりセットナット取付プレート部14を挟持させる。そうすると、ストッパ部26がセットナット取付プレート部14の丸孔18に掛止し、汎用セットナット12はサイドプレート11に確実に固定される。この時、ストッパ部26が楔形を成し、さらに、クランプ部22に誘導部27が形成されているため、汎用セットナット12のサイドプレート11への取付作業は円滑に行うことができる。
【0012】
次に、上記したように2個の汎用セットナット12をセットナット取付プレート部15に装着した状態で、各掛止部17,21をタンク5に掛止させ、さらに、コア3の両側に設けられたコアサポート(図示せず)をコア側プレート部13の係止孔16に係止させる。これにより、サイドプレート11がタンク5に確実に固定され、汎用セットナット12がタンク5に沿った所定位置に配置され、また、タンク5はサイドプレート11を介して前記コアサポートに確実に固定される。
【0013】
なお、サイドプレート11の形状は上記した形状に限定されるものではなく、例えば、図7に示すように、平板形状とし、汎用セットナット12がタンク5に対して垂直に配置されるようにしてもよい。
【0014】
また、サイドプレート11はコア側のヘッダプレート4に係止するように設けられてもよい。
【0015】
【発明の効果】
以上述べた如く本発明によれば、切削部品や鍛造部品を使用する必要がなく、サイドプレートに汎用セットナットを装着させることにより、ラジエータを取付けることができるため、組立て及び製造作業が簡素化され、製造コストの低減が可能となる等種々の優れた効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態に係るラジエータの取付構造を示す断面図である。
【図2】 本発明の実施の形態におけるサイドプレートを示す正面図である。
【図3】 本発明の実施の形態におけるサイドプレートを示す側面図である。
【図4】 本発明の実施の形態におけるサイドプレートを示す平面図である。
【図5】 本発明の実施の形態におけるサイドプレートを示す側面図である。
【図6】 本発明の実施の形態における汎用セットナットを示す側面図である。
【図7】本発明の実施の形態に係るラジエータの取付構造の別の実施例を示す断面図である。
【図8】 従来例を示す断面図である。
【符号の説明】
11 サイドプレート
12 汎用セットナット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チューブ及びフィンから成るコアと、前記チューブの端部に設けられたヘッダプレートと、該ヘッダプレートに嵌着されたタンクとを有するラジエータの取付構造であって、
前記タンクの両端部に取付けられると共に前記コア側の部材に取付けられるサイドプレートと、該サイドプレートに装着可能な汎用セットナットとを備えていることを特徴とするラジエータの取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−347186(P2006−347186A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2003−183618(P2003−183618)
【出願日】平成15年6月26日(2003.6.26)
【出願人】(000222484)株式会社ティラド (289)
【Fターム(参考)】