説明

ラジオ受信機

【課題】受信した信号の処理を当該信号の入力レベルの強弱によらず安定して行うことができるラジオ受信機を提供すること。
【解決手段】ラジオ受信機は、アンテナが受信した信号のレベルを制御するAGC制御部と、信号の入力側からみた自機の入力インピーダンスを切り替えるインピーダンス切替部と、AGC制御部によって制御された信号のレベルに応じて、インピーダンス切替部における入力インピーダンスの切り替えを制御するインピーダンス切替制御部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異なるタイプのアンテナが装着され得るラジオ受信機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載されたラジオ受信機Rには、図5(A),(B)に示すように、アンテナアンプを持たないポールアンテナPA又はアンテナアンプ10を有する硝子アンテナGAといった異なるタイプのアンテナが接続される。
ラジオ受信機Rは、図6に示すように、当該ラジオ受信機に接続されたアンテナアンプ10を駆動するためのアンテナアンプ制御用出力回路5と、この制御用出力回路5に流れる電流を検出する電流検出回路9と、制御用CPU2とを備える。
制御用CPU2は、アンテナアンプ制御用出力回路5に流れる電流があらかじめ規定しておいたアンテナアンプ10の接続時と判断する電流値に達していない場合は、アンテナアンプを持たないアンテナアンプが接続されたと判断する。
記憶装置7には、異なったタイプのアンテナごとにチューナに対する各設定値を格納する。制御用CPU2には、検出されたアンテナタイプに対応した設定値を記憶装置7から読み出して、ラジオチューナ1に書き込む特性値設定手段11を設ける。
ラジオ受信機Rによれば、異なるタイプのアンテナに対応して、自動的にチューナの特性を設定できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−270685号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的に、図5(B)のようにアンテナアンプを介してアンテナとラジオ受信機とが接続される場合、図5(A)の場合と比較して、ラジオ受信機の入力インピーダンスは低くなる。
上記説明した特許文献1のラジオ受信機Rにおいては、ラジオチューナ1のソフトミュートレベル、ハイカット量などが自動的に設定されるが、ラジオ受信機Rの入力インピーダンスについては考慮されていない。
このため、図5(B)に示したアンテナアンプ10を介してアンテナGAとラジオ受信機Rとが接続された状態では、ラジオ受信機Rの入力インピーダンスが低いために、受信電界強度が強い環境下、すなわち強入力環境下において、PINダイオード等で構成されるアテネータによる十分な減衰効果が得られない。
その結果、復調等の処理が行われる信号に歪みが生じ、ラジオ受信機Rの性能を悪化させてしまう。
【0005】
なお、「強入力環境」とは、ラジオ受信機の信号処理能力を超えたレベルの電波(放送波)が当該ラジオ受信機に入力される状態をいう。
ラジオ受信機によって能力が異なるため具体的な数値は一律に特定されないが、ラジオ受信機の設計段階で想定されたレベルを超した電波が入力される環境を「強入力環境」という。
強入力環境下のラジオ受信機は、例えば、復調部の入力段(I/F部の出力段)に設けられたA/Dコンバータの回路素子が飽和して、意図した信号処理ができない。
このため、一般的には、ラジオ受信機にAGC回路を設けて、当該AGC回路によって電波を減衰させる。
【0006】
本発明の目的は、受信した信号の処理を当該信号の入力レベルの強弱によらず安定して行うことができるラジオ受信機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、アンテナが受信した信号のレベルを制御するAGC制御部と、前記信号の入力側からみた自機の入力インピーダンスを切り替えるインピーダンス切替部と、前記AGC制御部によって制御された信号のレベルに応じて、前記インピーダンス切替部における前記入力インピーダンスの切り替えを制御するインピーダンス切替制御部と、を備えたラジオ受信機を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るラジオ受信機によれば、受信した信号のレベルに応じて入力インピーダンスが切り替えられるため、受信した信号の処理を当該信号の入力レベルの強弱によらず安定して行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】一実施形態のラジオ受信機の内部構成を示すブロック図
【図2】インピーダンス切替部を構成する回路を示す図
【図3】マイコンのROMにあらかじめ格納されているデータテーブルの一例を示す図
【図4】図1に示したラジオ受信機100の動作を示すフローチャート
【図5】(A),(B)は、特許文献1のラジオ受信機Rに異なるアンテナを接続した状態を示すブロック図
【図6】特許文献1のラジオ受信機Rの内部構成を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0011】
図1は、一実施形態のラジオ受信機の内部構成を示すブロック図である。ラジオ受信機100は、アンテナ200と電気的に直接接続される構成であっても、アンテナアンプ300を介してアンテナ200と電気的に接続される構成であっても良い。
ラジオ受信機100は、アンテナ200で受信したRF信号に対して所望の信号処理を行って、当該信号処理によって得られた音声信号をラジオ受信機100に接続されたスピーカ400に出力する。
アンテナアンプ300は、アンテナ200の種類に応じて、RF信号の増幅器としてアンテナ200とラジオ受信機100の間に設置される。
なお、アンテナアンプ300は、ラジオ受信機100から供給される電力によって駆動される。
【0012】
図1に示すように、ラジオ受信機100は、アンテナ接続端子101と、インピーダンス切替部102と、減衰部103と、IF部104と、復調部105と、AGC制御部106(AGC:Auto Gain Control)と、インピーダンス切替制御部としてのマイコン107とを備える。
【0013】
アンテナ接続端子101は、アンテナ200又はアンテナアンプ300とラジオ受信機100とを電気的に接続するための端子である。アンテナ200で受信したRF信号はアンテナ接続端子101を導通し、インピーダンス切替部102に入力される。
【0014】
インピーダンス切替部102は、マイコン107から出力された制御信号の電圧レベルに応じて、アンテナ接続端子101側からみたラジオ受信機100の入力インピーダンスを切り替える。
図2は、インピーダンス切替部102を構成する回路を示す図である。図2に示すように、インピーダンス切替部102は、PINダイオード、トランジスタ、コイル、抵抗等から構成され、端子A,B,Cを有する。端子Aはマイコン107に、端子Bはアンテナ接続端子101に、端子Cは減衰部103に、それぞれ接続される。
【0015】
端子Aにはマイコン107から出力された制御信号が入力され、当該制御信号の電圧(制御電圧)が図2に示したトランジスタのベースに印加される。
制御電圧に応じたトランジスタの動作によって、端子BからPINダイオードを介した端子Cへの電流が制御される。
その結果、端子Bから端子Cへの経路上のPINダイオードの抵抗値が変化するため、この抵抗値の変化により、アンテナ接続端子101側からみたラジオ受信機100の入力インピーダンスが切り替わる。
このように、マイコン107が制御信号の電圧レベルを変えれば、アンテナ接続端子101側からみたラジオ受信機100の入力インピーダンスを所望の値に制御することができる。
【0016】
減衰部103は、アンテナ200が受信してアンテナ接続端子101及びインピーダンス切替部102を介したRF信号の電圧レベルを、AGC制御部106から印加されたAGC制御電圧に基づいて、ある一定レベルに抑える。
なお、減衰部103は、PINダイオードを用いたアテネータであっても、可変ゲインのLNAであっても良い。なお、減衰部103がPINダイオードを用いたアテネータである場合、PINダイオードは順方向電流対直列抵抗特性によって抵抗値が変化するため、減衰部103は、入力されたRF信号のレベルを減衰させる。
【0017】
IF部104は、減衰部103から入力されたRF信号を、一般的なスーパーヘテロダイン方式によって中間周波信号(IF信号)に周波数変換して増幅する。復調部105は、IF信号を復調し音声信号を出力する。復調部105の構成や復調方法は、従来の技術と同様であるため、その詳細な説明は省略する。
【0018】
AGC制御部106は、減衰部103から出力されたRF信号のレベルを検出し、検出したレベルに応じたAGC制御電圧を減衰部103に印加することで、減衰部103のバイアス制御を行う。
また、AGC制御部106は、検出したRF信号のレベルがしきい値よりも大きいとき、すなわち、減衰部103によってRF信号を最大限に減衰してもしきい値を上回るときは、この状態をマイコン107に通知する。なお、AGC制御部106からの通知を示す信号はアナログ信号であるため、マイコン107の入力段にはA/Dコンバータが設けられる。
【0019】
マイコン107は、例えばCPU、ROM及びRAMを含み、CPUがROMに格納されたコンピュータプログラムを、RAMを作業領域として使いながら実行することによって、ラジオ受信機100の総括的な制御を実行する。
特に、マイコン107は、RF信号のレベルがしきい値よりも大きな状態であることを示す通知をAGC制御部106から受け取れば、ラジオ受信機100が「強入力環境」下にあると判断する。
このとき、マイコン107は、インピーダンス切替部102においてラジオ受信機100の入力インピーダンスが通常状態(非強入力環境)時の入力インピーダンスよりも高くなる制御電圧の制御信号を出力する。
マイコン107が出力した制御信号はインピーダンス切替部102の端子Aに入力され、当該制御信号の電圧(制御電圧)がインピーダンス切替部102のトランジスタのベースに印加される。
【0020】
マイコン107によるラジオ受信機100が強入力環境下にあるか否かの判断結果に応じた制御電圧は、例えば、図3に示すデータテーブルに基づいて行われる。
図3は、マイコン107のROMにあらかじめ格納されているデータテーブルの一例を示す図である。
図3に示すように、ラジオ受信機100が「強入力環境」下にあると判断したときにマイコン107が出力する制御信号の制御電圧はロー(L)レベルであり、当該判断時以外に出力する制御信号の制御電圧はハイ(H)レベルである。ローレベルの電圧は例えば0Vであり、ハイレベルの電圧は例えば電源電圧である。
【0021】
次に、図4を参照して、本実施形態のラジオ受信機100の動作について詳細に説明する。図4は、図1に示したラジオ受信機100の動作を示すフローチャートである。図4に示すように、AGC制御部106は、減衰部103から出力されたRF信号のレベルを検出する(ステップS101)。
次に、AGC制御部106は、ステップS101で得られた検出値がしきい値よりも大きいか否かを判断し(ステップS103)、検出値がしきい値よりも大きい(RF信号のレベル>しきい値)ときはステップS105に進み、検出値がしきい値以下(RF信号のレベル≦しきい値)のときはステップS109に進む。
【0022】
ステップS105では、AGC制御部106は、RF信号のレベルがしきい値よりも大きな状態であることをマイコン107に通知する。
次に、マイコン107は、ラジオ受信機100が「強入力環境」下にあると判断し、ラジオ受信機100の入力インピーダンスが通常時よりも高いレベルとなるようインピーダンス切替部102を制御する(ステップS107)。
一方、ステップS109では、マイコン107は、ラジオ受信機100が「強入力環境」下にはないと判断し、ラジオ受信機100の入力インピーダンスを通常時のレベルに設定する。
【0023】
以上説明したように、本実施形態のラジオ受信機100は、アンテナ接続端子101側からみたラジオ受信機100の入力インピーダンスを切り替えるためのインピーダンス切替部102を備える。
このため、ラジオ受信機100に装着されるアンテナの仕様(アンテナアンプ300の有無等)にかかわらず、受信したRF信号の入力レベルに適したインピーダンスに切り替えられる。
その結果、強入力環境では、受信したRF信号の電圧レベルを十分に減衰させることができるため、ラジオ受信機100の内部で生じる信号の歪みを低減できる。
一方、強入力環境でないときには、受信したRF信号の電圧レベルが低いときに不必要に当該電圧レベルを減衰させずにすむ。
また、AGC制御電圧を強入力環境であることの検出として用いることで、アンテナアンプ検出回路を削除する事が可能となり、部品点数の削減ができる。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明に係るラジオ受信機は、異なるタイプのアンテナが装着され得るラジオ受信機等として有用である。
【符号の説明】
【0025】
100 ラジオ受信機
101 アンテナ接続端子
102 インピーダンス切替部
103 減衰部
104 IF部
105 復調部
106 AGC制御部
107 マイコン
200 アンテナ
300 アンテナアンプ
400 スピーカ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナが受信した信号のレベルを制御するAGC制御部と、
前記信号の入力側からみた自機の入力インピーダンスを切り替えるインピーダンス切替部と、
前記AGC制御部によって制御された信号のレベルに応じて、前記インピーダンス切替部における前記入力インピーダンスの切り替えを制御するインピーダンス切替制御部と、
を備えたことを特徴とするラジオ受信機。
【請求項2】
前記AGC制御部によって制御された信号のレベルが所定値よりも大きいとき、前記インピーダンス切替制御部は、前記入力インピーダンスが、前記AGC制御部によって制御された信号のレベルが前記所定値以下のときの前記入力インピーダンスよりも高くなるよう前記インピーダンス切替部を制御することを特徴とする請求項1に記載のラジオ受信機。
【請求項3】
前記インピーダンス切替部は、PINダイオード及びトランジスタを有し、前記トランジスタのベースが前記インピーダンス切替制御部と接続され、前記インピーダンス切替制御部から出力される制御電圧により、前記PINダイオードの抵抗値が変化して前記入力インピーダンスが切り替わることを特徴とする請求項1又は2に記載のラジオ受信機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−110463(P2013−110463A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−251860(P2011−251860)
【出願日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】