説明

ラックストロークエンド緩衝体及びラックストロークエンド緩衝装置

【課題】装着し易くかつ装着安定性に優れ、設計自由度の広いラックストロークエンド緩衝体及びラックストロークエンド緩衝装置を提供する。
【解決手段】ラックハウジング30におけるラックエンド51側の端部には、ラック軸40が挿通される挿通孔31の開口部の端縁に沿うように形成された環状の切り欠き部33が設けられており、切り欠き部33におけるラックエンド51に対する対向面とラックエンド51との間に挟み込まれることで衝撃を吸収する衝撃吸収部11と、切り欠き部33よりも更に挿通孔31の内部に挿入される挿入部12と、を備え、挿入部12には、挿通孔31の内周面に形成された係合凹部34に係合する係合突起13が設けられていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステアリング機構に設けられるラックエンドストローク緩衝体及びラックストロークエンド緩衝装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ラック・ピニオン式のステアリング機構には、ラックハウジングに対して往復移動自在なラック軸に固定されたストッパのラックエンドが、ラックハウジングの端面に衝突する際の衝撃を緩衝するためにラックストロークエンド緩衝装置(以下、適宜、「緩衝装置」と称する)が設けられている。この緩衝装置においては、ラックエンドがラックハウジングの端面に衝突する前に、両者により挟み込まれることで衝撃を吸収するラックストロークエンド緩衝体(以下、「緩衝体」と称する)が設けられる。図5及び図6を参照して、従来例に係る緩衝装置の代表例を説明する。
【0003】
図5は従来例1に係るラックストロークエンド緩衝装置の模式的断面図である。図示のように、ラックハウジング30に対して往復移動自在なラック軸40にはストッパとしてのボールジョイント50が固定されている。この従来例においては、ラック軸40におけるボールジョイント50との固定側の端部に緩衝体100が設けられている。これにより、ラック軸40がストロークエンドまで移動する場合には、ボールジョイント50のラックエンド51がラックハウジング30の端面32に衝突するのに先立って、緩衝体100が、ラックハウジング30に設けられた切り欠き部33に衝突することで、衝撃が吸収される。
【0004】
図6は従来例2に係るラックストロークエンド緩衝装置の模式的断面図である。この従来例の場合には、ラックハウジング30に設けられた環状の切り欠き部33の外周面に沿うように緩衝体200が設けられている。この従来例においては、ラック軸40がストロークエンドまで移動する場合には、ボールジョイント50のラックエンド51がラックハウジング30の端面32に衝突するのに先立って、緩衝体200に衝突することで、衝撃が吸収される。
【0005】
従来例1の場合、環状の弾性体である緩衝体100の内周側の締め付け力によって、緩衝体100はラック軸40に位置決めされた状態で固定される。そのため、ラック軸40への装着性と、ラック軸40からの抜け落ち防止とを両立させるための緩衝体100の締め代の設定が難しいという問題がある。また、締め代の設定による締め付け力で緩衝体100を位置決め固定する構成のため、経年劣化による締め付け力の低下によってラック軸40から緩衝体100が脱落してしまい易いという問題もある。更に、緩衝体100が、ラックハウジング30における挿通孔31の開口端縁のエッジ部に衝突することによって破損しないように、例えば、緩衝体100の内周端縁付近に面取り110を設ける必要がある。そのため、設計自由度が小さく、緩衝体100の受圧面積を広くできないなどの問題もある。
【0006】
従来例2の場合には、環状の弾性体である緩衝体200の外周側の締め付け力によって、緩衝体200は切り欠き部33に位置決めされた状態で固定される。従って、従来例2の場合にも、従来例1の場合と同様に、緩衝体200の締め代の設定が難しく、また、経年劣化による締め付け力の低下の問題もある。更に、緩衝体200の外周付近が、ボールジョイント50とラックハウジング30の端面32との間に挟み込まれて破損してしまわないように、例えば、緩衝体200の外周端縁付近に面取り210を設ける必要がある。従って、従来例1の場合と同様に設計自由度が小さいという問題もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平08−133102号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、装着し易く、かつ装着安定性に優れ、設計自由度の大きなラックストロークエンド緩衝体及びラックストロークエンド緩衝装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記課題を解決するために以下の手段を採用した。
【0010】
すなわち、本発明のラックストロークエンド緩衝体は、
ラックハウジングに対して往復移動自在なラック軸に固定されたストッパのラックエンドが、前記ラックハウジングの端面に衝突する際の衝撃を緩衝するラックストロークエンド緩衝体において、
前記ラックハウジングにおける前記ラックエンド側の端部には、前記ラック軸が挿通される挿通孔の開口部の端縁に沿うように形成された環状の切り欠き部が設けられており、
該切り欠き部における前記ラックエンドに対する対向面と該ラックエンドとの間に挟み込まれることで衝撃を吸収する衝撃吸収部と、
前記切り欠き部よりも更に前記挿通孔の内部に挿入される挿入部と、
を備え、
前記挿入部には、前記挿通孔の内周面に形成された係合凹部に係合する係合突起が設けられていることを特徴とする。
【0011】
また、本発明のラックストロークエンド緩衝装置は、
ラックハウジングと、
該ラックハウジングに対して往復移動自在なラック軸と、
該ラック軸に固定されたストッパのラックエンドが、前記ラックハウジングの端面に衝突する際の衝撃を緩衝するラックストロークエンド緩衝体と、
を備えるラックストロークエンド緩衝装置であって、
前記ラックハウジングには、前記ラックエンド側の端部に、前記ラック軸が挿通される挿通孔の開口部の端縁に沿うように形成された環状の切り欠き部が設けられており、
前記ラックストロークエンド緩衝体は、
前記切り欠き部における前記ラックエンドに対する対向面と該ラックエンドとの間に挟み込まれることで衝撃を吸収する衝撃吸収部と、
前記切り欠き部よりも更に前記挿通孔の内部に挿入される挿入部と、
を備え、
前記挿入部には、前記挿通孔の内周面に形成された係合凹部に係合する係合突起が設けられていることを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、ラックハウジングに設けられた挿通孔の内周面に形成された係合凹部に係合突起を係合させることで、ラックストロークエンド緩衝体をラックハウジングに対して装着(位置決め固定)させることが可能となる。これにより、締め代の設定により緩衝体を位置決め固定させる場合のように、装着性と抜け落ち防止とを両立させるために締め代の設定が難しいといった問題がない。また、従来のように締め付け力で位置決め固定させる場合には、締め代の分だけ緩衝体を圧縮させた状態で、緩衝体を挿入しなければならないため、緩衝体を装着する際の力が大きくなるのに対して、本発明によれば、締め代は不要であることから緩衝体を装着する際の力を小さく設定することが可能である。また
、経年劣化による締め付け力の低下といった問題はないので、長期に亘って装着状態を安定させることができる。更に、本発明の場合には、衝撃を吸収する衝撃吸収部と、緩衝体を位置決め固定させるための挿入部とが分かれているので、衝撃吸収部における設計自由度を大きくすることができる。
【0013】
ここで、前記衝撃吸収部の内径は、前記挿入部の本体部分の外径よりも大きく設定されているとよい。
【0014】
こうすることで、衝撃吸収部が衝撃によって圧縮変形しても、挿入部への影響を抑制することができ、緩衝体の装着状態への悪影響を抑制することができる。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように、本発明によれば、装着し易くし、かつ装着安定性を向上させ、しかも、設計自由度を大きくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は本発明の実施例1に係るラックストロークエンド緩衝装置の模式的断面図(一部破断断面図)である。
【図2】図2は本発明の実施例1に係るラックストロークエンド緩衝体の模式的断面図(一部破断断面図)である。
【図3】図3は本発明の実施例2に係るラックストロークエンド緩衝装置の模式的断面図(一部破断断面図)である。
【図4】図4は本発明の実施例2に係るラックストロークエンド緩衝体の模式的断面図(一部破断断面図)である。
【図5】図5は従来例1に係るラックストロークエンド緩衝装置の模式的断面図(一部破断断面図)である。
【図6】図6は従来例2に係るラックストロークエンド緩衝装置の模式的断面図(一部破断断面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を、実施例に基づいて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0018】
(実施例1)
図1及び図2を参照して、本発明の実施例1に係るラックストロークエンド緩衝装置及びラックストロークエンド緩衝体について説明する。
【0019】
<ラックストロークエンド緩衝装置>
特に、図1を参照して、本発明の実施例1に係るラックストロークエンド緩衝装置について説明する。
【0020】
自動車のステアリング機構として、ハンドルの回転に伴って回転するピニオンにラックを係合させておくことで、回転運動を直線運動に変換させるラック・ピニオン式のステアリング機構が知られている。このステアリング機構は、ラックエンド51がラックハウジング30の端面32に衝突することで、ストロークエンド(移動終端位置)が定まるように構成されている。そして、このステアリング機構には、ラックエンド51がラックハウジング30の端面32に衝突する際の衝撃を緩衝するために、ラックストロークエンド緩衝装置(以下、「緩衝装置」と称する)が備えられている。なお、ハンドルを最大操舵角
まで回転させると、ラックエンド51がラックハウジング30の端面32に衝突する。
【0021】
図1に示すように、本実施例に係る緩衝装置は、金属製のラックハウジング30と、ラックハウジング30に形成された挿通孔31内において往復移動自在に設けられたラック軸40と、ラック軸40に固定されたストッパとしても機能する金属製のボールジョイント50と、ラックストロークエンド緩衝体(以下、「緩衝体10」と称する)とから構成される。
【0022】
ラックハウジング30は、ラック軸40が挿通される挿通孔31と、ラックエンド51側の端部に設けられた環状の切り欠き部33と、挿通孔31の内周面に形成された環状の係合凹部34とを備えている。環状の切り欠き部33は、挿通孔31の開口部の端縁に沿うように形成されている。そして、この切り欠き部33に、ゴムなどの弾性体によって構成される環状の緩衝体10が装着される。
【0023】
ボールジョイント50においては、ラックハウジング30の端面32に衝突する面であるラックエンド51とは反対側に球受部52が形成されている。この球受部52に、タイロッド70の先端に設けられた球部60が嵌合されている。これにより、タイロッド70はボールジョイント50に対して搖動することができる。
【0024】
<ラックストロークエンド緩衝体>
特に、図2を参照して、ラックストロークエンド緩衝体(緩衝体10)について、より詳細に説明する。緩衝体10は、環状の弾性体で構成されたものであり、衝撃吸収部11と挿入部12とから構成され、衝撃吸収部11がラックエンド51側となるように配置される。衝撃吸収部11の外周面の外径は、挿入部12の外周面の外径よりも大きくなるように構成されている。そして、挿入部12における衝撃吸収部11とは反対側の端部には、外側に突出した環状の係合突起13が設けられている。
【0025】
以上のように構成された緩衝体10をラックハウジング30に装着する場合には、係合突起13が係合凹部34に係合する位置まで、挿入部12をラックハウジング30の挿通孔31の内部に挿入する。これにより、衝撃吸収部11における挿入部12側の端面が、切り欠き部33におけるラックエンド51に対する対向面に密着した状態となり、緩衝体10はラックハウジング30に装着(位置決めされた状態で固定)される。このとき、衝撃吸収部11におけるラックエンド51側の端面は、ラックハウジング30の端面32よりもラックエンド51側に突出した状態となる(図1参照)。従って、ラック軸40がストロークエンドまで移動する場合には、ボールジョイント50のラックエンド51がラックハウジング30の端面32に衝突するのに先立って、衝撃吸収部11に衝突する。これにより、衝撃吸収部11は、切り欠き部33におけるラックエンド51に対する対向面と、ラックエンド51との間に挟み込まれることで衝撃を吸収する。
【0026】
<本実施例に係るラックストロークエンド緩衝体の優れた点>
以上説明したように、本実施例によれば、ラックハウジング30に設けられた挿通孔31の内周面に形成された係合凹部34に係合突起13を係合させることで、緩衝体10をラックハウジング30に対して装着(位置決め固定)させることが可能となる。これにより、締め代の設定により緩衝体を位置決め固定させる場合のように、装着性と抜け落ち防止とを両立させるために締め代の設定が難しいといった問題がない。
【0027】
また、本実施例に係る緩衝体10の場合には、位置決め固定するための締め代は不要であることから緩衝体10を装着する際の力を小さく設定することが可能である。つまり、挿入部12の本体部分の外径はラックハウジング30に設けられた挿通孔31の内径と同程度に設定し、締め代を設ける必要はない。ただし、挿入力が大きくならない程度に締め
代を設けても良い。また、係合突起13については、挿入部12の挿入時に内側に圧縮または変形することになるが、係合突起13の外径はそれほど大きくする必要はなく、また、部分的に突出させればよい。このように、本実施例の場合には、係合突起13を係合凹部34に係合させることにより、緩衝体10をラックハウジング30に装着させる構成を採用したことによって、緩衝体に締め代を設ける場合に比して、装着する際の力を十分に小さくすることができる。従って、緩衝体10の装着性を向上させることができる。
【0028】
また、本実施例に係る緩衝体10の場合には、経年劣化による締め付け力の低下といった問題はないので、長期に亘って装着状態を安定させることができる。
【0029】
更に、本実施例に係る緩衝体10の場合には、衝撃を吸収する衝撃吸収部11と、緩衝体10を位置決め固定させるための挿入部12とが分かれているので、衝撃吸収部11における設計自由度を大きくすることができる。例えば、図1に示すように衝撃吸収部11の内周面とラック軸40の外周面との間に隙間ができるようにし、かつ衝撃吸収部11の外周面と切り欠き部33の内周面との間に隙間ができるように寸法を設定することができる。こうすることで、上記従来例1,2で示したような面取りを設けることなく、2部材による挟み込み等による破損を抑制することができる。また、面取りを設ける必要がないことから緩衝体10の受圧面積を広く設定し易い利点もある。
【0030】
(実施例2)
図3及び図4には、本発明の実施例2が示されている。上記実施例1では、衝撃吸収部の内径と挿入部の内径が同一である場合の構成を示したが、本実施例においては、衝撃吸収部の内径が、挿入部の本体部分の外径よりも大きく設定される場合の構成を示す。その他の構成および作用については実施例1と同一なので、同一の構成部分については同一の符号を付して、その説明は省略する。
【0031】
本実施例に係る緩衝装置においては、上記実施例1の場合の構成に対して、ラックストロークエンド緩衝体(以下、「緩衝体20」と称する)の構成のみが異なっている。従って、その他のラックハウジング30,ラック軸40及びボールジョイント50等についての説明は適宜省略する。
【0032】
本実施例に係る緩衝体20も、上記実施例1の場合と同様に、環状の弾性体で構成されたものであり、衝撃吸収部21と挿入部22とから構成され、衝撃吸収部21がラックエンド51側となるように配置される。また、衝撃吸収部21の外周面の外径は、挿入部22の外周面の外径よりも大きくなるように構成されている。そして、挿入部22における衝撃吸収部21とは反対側の端部には、外側に突出した環状の係合突起23が設けられている。ここで、緩衝体20のラックハウジング30への装着の仕方については、上記実施例1の場合と同様であるので、その説明は省略する。
【0033】
そして、本実施例に係る緩衝体20の場合には、衝撃吸収部21の内径D1は、挿入部22の本体部分(係合突起23を除く部分)の外径D2よりも大きく設定されている。
【0034】
以上のように構成された本実施例に係る緩衝体20の場合にも、上記実施例1の場合と同様に、ラック軸40がストロークエンドまで移動する場合には、ボールジョイント50のラックエンド51がラックハウジング30の端面32に衝突するのに先立って、衝撃吸収部21に衝突する。これにより、衝撃吸収部21は、切り欠き部33におけるラックエンド51に対する対向面と、ラックエンド51との間に挟み込まれることで衝撃を吸収する。
【0035】
このとき、衝撃吸収部21は両者に挟み込まれることで圧縮変形することになる。ここ
で、本実施例の場合には、上記の通り、衝撃吸収部21の内径D1は、挿入部22の本体部分の外径D2よりも大きく設定されている。従って、衝撃吸収部21が圧縮変形しても、挿入部22への影響を抑制することができ、緩衝体20の装着状態への悪影響を抑制することができる。つまり、衝撃吸収部21が圧縮変形しても係合突起23は殆ど変形することがないので、係合突起23が係合凹部34から外れてしまうことを抑制できる。
【0036】
以上のように本実施例に係る緩衝体20においては、上記実施例1における緩衝体10の場合と同様の効果が得られることに加えて、衝撃吸収部21の圧縮変形に伴う係合突起23と係合凹部34との係合状態への悪影響を抑制する効果を得ることができる。
【0037】
(その他)
上記実施例において、緩衝体に設ける係合突起が環状に構成された場合を示したが、環状ではなく部分的に設けても良い。すなわち、ラックハウジング30に設けられた係合凹部34に対して十分に係合可能な構成であれば、環状の係合突起でなく、部分的な係合突起を1つ以上設ける構成を採用してもよい。また、上記実施例においては、ラックハウジング30における挿通孔31のうち、開口部付近(切り欠き部33)の一部を部分的に内側に突出させることによって、係合凹部34を形成させる構成を採用した。しかしながら、係合凹部を形成させる構成は、そのような構成には限られない。例えば、挿通孔31の内周面の一部を部分的に凹ませる構成を採用することもできる。また、上記のように係合突起を部分的に設ける構成を採用する場合には、係合凹部についても環状ではなく部分的に形成する構成を採用することもできる。ただし、両者を環状、または係合凹部のみを環状にする構成を採用することで、緩衝体の回転方向の位置が規制されないため、装着性に優れる。上記実施例2においては、図4から明らかなように、衝撃吸収部21の内径D1は、係合突起23の外径よりも大きく設定されている。しかしながら、D1>D2の関係が成立すれば、衝撃吸収部21の圧縮変形に伴う係合突起23の変形を抑制できるので、係合突起23の外径を衝撃吸収部21の内径D1よりも大きくしても構わない。
【符号の説明】
【0038】
10 緩衝体
11 衝撃吸収部
12 挿入部
13 係合突起
20 緩衝体
21 衝撃吸収部
22 挿入部
23 係合突起
30 ラックハウジング
31 挿通孔
32 端面
33 切り欠き部
34 係合凹部
40 ラック軸
50 ボールジョイント
51 ラックエンド
52 球受部
60 球部
70 タイロッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラックハウジングに対して往復移動自在なラック軸に固定されたストッパのラックエンドが、前記ラックハウジングの端面に衝突する際の衝撃を緩衝するラックストロークエンド緩衝体において、
前記ラックハウジングにおける前記ラックエンド側の端部には、前記ラック軸が挿通される挿通孔の開口部の端縁に沿うように形成された環状の切り欠き部が設けられており、
該切り欠き部における前記ラックエンドに対する対向面と該ラックエンドとの間に挟み込まれることで衝撃を吸収する衝撃吸収部と、
前記切り欠き部よりも更に前記挿通孔の内部に挿入される挿入部と、
を備え、
前記挿入部には、前記挿通孔の内周面に形成された係合凹部に係合する係合突起が設けられていることを特徴とするラックストロークエンド緩衝体。
【請求項2】
前記衝撃吸収部の内径は、前記挿入部の本体部分の外径よりも大きく設定されていることを特徴とする請求項1に記載のラックストロークエンド緩衝体。
【請求項3】
ラックハウジングと、
該ラックハウジングに対して往復移動自在なラック軸と、
該ラック軸に固定されたストッパのラックエンドが、前記ラックハウジングの端面に衝突する際の衝撃を緩衝するラックストロークエンド緩衝体と、
を備えるラックストロークエンド緩衝装置であって、
前記ラックハウジングには、前記ラックエンド側の端部に、前記ラック軸が挿通される挿通孔の開口部の端縁に沿うように形成された環状の切り欠き部が設けられており、
前記ラックストロークエンド緩衝体は、
前記切り欠き部における前記ラックエンドに対する対向面と該ラックエンドとの間に挟み込まれることで衝撃を吸収する衝撃吸収部と、
前記切り欠き部よりも更に前記挿通孔の内部に挿入される挿入部と、
を備え、
前記挿入部には、前記挿通孔の内周面に形成された係合凹部に係合する係合突起が設けられていることを特徴とするラックストロークエンド緩衝装置。
【請求項4】
前記衝撃吸収部の内径は、前記挿入部の本体部分の外径よりも大きく設定されていることを特徴とする請求項3に記載のラックストロークエンド緩衝装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−35481(P2013−35481A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−174661(P2011−174661)
【出願日】平成23年8月10日(2011.8.10)
【出願人】(000004385)NOK株式会社 (1,527)
【Fターム(参考)】