説明

ラックピニオン式ステアリング装置

【課題】ラックリテーナーの円滑な軸方向移動を確保し得るラックピニオン式ステアリング装置を提供する。
【解決手段】ハウジング側の円筒内周面9aとの間に所定の間隙を形成する円筒外周面15aと、ラックバーの背面に係合してそのラックバーを案内する断面円弧状の凹状案内面15bと、を有するラックリテーナー14のうち円筒外周面15aと凹状案内面15bとのなすコーナー部に面取り部22を形成し、ラックバーの軸方向移動に伴ってラックリテーナー14が傾動したときに、面取り部22のうち凹状案内面15bの底部に相当するa点をハウジング側の円筒内周面9aに当接させる。これにより、両突出部21先端のエッジ部であるb点が円筒内周面9aに圧接することを抑制する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はラックピニオン式ステアリング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ラックピニオン式ステアリング装置は、例えば特許文献1に記載されているように、ステアリングホイールの回転が伝達されるピニオン軸と、そのピニオン軸に噛み合うラックバーと、そのラックバーの背面側を支持するラックリテーナーと、そのラックリテーナーを介してラックバーをピニオン軸側に向けて付勢する付勢部材と、を備えている。上記ラックリテーナーは、ハウジングに設けられた略円筒状のリテーナー収容部内に所定の径方向隙間をもって軸方向移動可能に収容されているとともに、ラックバーを挟んで両側の位置にそれぞれ突設された一対の突出部を有しており、それらの一対の突出部の内周側に形成された凹状案内面に上記ラックバーの背面側に形成された凸状摺動面が係合している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭48−44928号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、上記径方向隙間を設けることで上記ラックバーの軸方向移動時に上記ラックリテーナーが傾動してしまうことから、上記ラックリテーナーの円筒外周面と凹状案内面とのなすコーナー部うち上記両突出部の先端に相当する鋭角なエッジ部が上記リテーナー収容部の円筒内周面に局部的に圧接し、上記ラックリテーナーの円滑な軸方向移動が阻害されてしまうという技術的課題がある。
【0005】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであって、上記ラックリテーナーの円滑な軸方向移動を確保し得るラックピニオン式ステアリング装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、特に、上記ラックバーの軸方向移動に伴って上記ラックリテーナーが傾動したときに、そのラックリテーナーの上記円筒外周面と凹状案内面とのなすコーナー部のうち上記凹状案内面の底部に相当する部分が、上記リテーナー収容部の円筒内周面に当接するようになっていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、上記ラックバーの軸方向移動に伴って上記ラックリテーナーが傾動しても、上記ラックリテーナーの円滑な軸方向移動を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の第1の実施の形態としてラックピニオン式ステアリング装置を示す概略図。
【図2】図1に示すラックピニオン機構近傍の拡大断面図。
【図3】図2に示すラックリテーナー単体の斜視図。
【図4】ラックリテーナーとリテーナー収容部との相対関係を示す図であって、同図(A)はリテーナー収容部を軸方向に沿って切断して示す図、同図(B)は同図(A)のI−I断面図。
【図5】ラックリテーナーの傾動時の挙動を示す説明図。
【図6】傾動した状態のラックリテーナーとリテーナー収容部との相対関係を示す図であって、同図(A)はリテーナー収容部を軸方向に沿って切断して示す図、同図(B)は同図(A)のII−II断面とIII−III断面を重ね合わせて示す図。
【図7】第1の実施の形態の変形例を示す図であって、同図(A)はリテーナー収容部を軸方向に沿って切断して示す図、同図(B)は同図(A)のIV−IV断面図。
【図8】本発明の第2の実施の形態を示す図であって、同図(A)はリテーナー収容部を軸方向に沿って切断して示す図、同図(B)は同図(A)のV−V断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1〜6は本発明の好適な第1の実施の形態を示す図であって、そのうち図1はラックピニオン式ステアリング装置を示す概略図である。
【0010】
図1に示すラックピニオン式ステアリング装置は、ステアリングホイールSWに連係された入力軸1と、その入力軸1に図示外のトーションバーを介して相対回転可能に連結され、先端側にピニオンギヤ2aを有するピニオン軸2と、ピニオンギヤ2aと噛合するラックギヤ3aが前面側の所定の軸方向範囲に形成されたラックバー3と、を備え、ラックバー3の両端が車両の左右の操舵輪WL,WRに連係されている。
【0011】
そして、周知のように、ステアリングホイールSWを回転させることで、入力軸1が回転して上記トーションバーが捩られることとなり、このトーションバーの捩れ変形に基づいて生ずる当該トーションバーの弾性力により、入力軸1に追従してピニオン軸2が回転する。そして、ピニオンギヤ2aとラックギヤ3aとが噛み合うことで構成されたラックピニオン機構4をもってピニオン軸2の回転運動がラックバー3の直線運動に変換され、このラックバー3が当該ラックバー3の軸方向(車両左右方向)に移動することによって両操舵輪WL,WRが操舵されることになる。
【0012】
また、図1に示すラックピニオン式ステアリング装置においては、入力軸1とピニオン軸2との上記トーションバーを介した連結部にトルクセンサTSが配設され、そのトルクセンサTSにより、両軸1,2の相対回転量、すなわち上記トーションバーの捩れ量から運転者がステアリングホイールSWを操作する操舵トルクが検出されるようになっている。そして、この操舵トルクの検出結果に基づいて制御される電動モータMから減速機構5を介してピニオン軸2に操舵アシストトルクが付与され、運転者の操舵がアシストされることになる。本実施の形態では、減速機構5としていわゆるウォーム歯車機構を用いている。
【0013】
図2は図1に示すラックピニオン機構4近傍の拡大断面図である。なお、ラックバー1とピニオン軸2との接近離間方向をy軸方向とし、ピニオン軸2に平行な方向(鉛直方向)をz軸方向とする。
【0014】
上記ラックピニオン機構を構成するピニオン軸2およびラックバー3は、ラックピニオン式ステアリング装置の下部側に配置されるハウジング6内に収容されており、そのハウジング6は、図2に示すように、図2の紙面に直交する方向(後述するx軸方向)に延び、ラックバー3を軸方向へ移動可能に収容するラック収容部7と、ラックバー3の前面側に臨みつつラック収容部7と交差するようにz軸方向に沿って形成され、ピニオン軸2を回転自在に収容する略円筒状のピニオン収容部8と、ラックバー3の背面に臨むようにラック収容部7からラックバー3の背面側に向けてy軸方向で延設されたリテーナー収容部9とを備えている。なお、図2の符号10は、ピニオン軸2の一端を回転可能に支持するベアリングを示している。
【0015】
リテーナー収容部9には、ラックバー3の背面側に形成された断面円弧状の凸状摺動面3bを支持するラックリテーナー14と、そのラックリテーナー14を介してラックバー3をピニオン軸2側へ向けて付勢する付勢部材であるコイルばね11と、が収容されている。また、リテーナー収容部9のうちラック収容部7とは反対側の開口端の内周側には、コイルばね11の一端が着座する有底円筒状のキャップ12が螺合しており、キャップ12は、当該キャップ12を進退移動させてコイルばね11の付勢力を調整した上でロックナット13によって固定されている。
【0016】
ラックリテーナー14は、リテーナー収容部9内において微小な径方向隙間をもってy軸方向へ摺動自在に収容されているとともに、当該ラックリテーナー14の後述する円筒外周面15aに形成された環状溝17には周知のOリング18が弾性保持部材として嵌着されている。かかるOリング18により、上記径方向隙間を閉塞し、リテーナー収容部9と同心となる径方向位置でラックリテーナー14を弾性的に保持している。Oリング18は、ラック収容部7内およびピニオン収容部8内を液密に保持する役割も担っている。
【0017】
図3はラックリテーナー14を単体で示す斜視図である。また、図4はラックリテーナー14とリテーナー収容部9との相対関係を示す図であって、同図(A)はリテーナー収容部9を軸方向に沿って切断して示す図、同図(B)は同図(A)のI−I断面図である。なお、図4では、ラックリテーナー14とリテーナー収容部9側の円筒内周面9aとの間の径方向隙間を実際よりも大きく誇張して描いてある。また、ラックバー3の軸方向をx軸方向とする。
【0018】
図2のほか図3,4に示すように、ラックリテーナー14は、リテーナー収容部9側の円筒内周面9aとの間に所定の間隙を形成する円筒外周面15aのうちラックバー3側の端部に凹状案内面15bを切欠形成してなるリテーナー本体15と、低摩擦材であるフッ素樹脂をもって形成され、リテーナー本体15の凹状案内面15bに貼り付けられた摩擦低減部材16と、を備えている。リテーナー本体15の凹状案内面15bは、円筒外周面15aに対して直交する方向、すなわちx軸方向に沿って断面円弧状に形成されている。
【0019】
リテーナー本体15は、アルミニウム合金材または鉄系の焼結材からなり、特に図4の(B)に示すように、当該リテーナー本体15の中心軸Cを通りx軸方向に延びる仮想線L1に対して線対称となり、且つリテーナー本体15の中心軸Cを通りz軸方向に延びる仮想線L2に対しても線対称となるように形成されている。
【0020】
また、図2〜4に示すように、リテーナー本体15は、当該リテーナー本体15のうちラックバー3とは反対側に形成された略円柱状の柱状部19と、その柱状部19のうちラックバー3とは反対側の端面に円形状に凹設され、コイルばね11の他端が着座する凹部20と、柱状部19からラックバー3側へ向かって突出形成された一対の突出部21と、を有していて、両突出部21の内周側に凹状案内面15bが形成されている。
【0021】
ここで、以上のように構成したラックピニオン式ステアリング装置では、リテーナー本体15の凹状案内面15bがラックバー3の凸状摺動面3bに摩擦低減部材16を介して係合し、ラックバー3の軸方向移動を案内することになるが、このときラックリテーナー14がラックバー3に引き摺られることにより、当該ラックリテーナー14は、Oリング18の中心を通ってz軸方向に延びる揺動中心軸O1(図4の(A)参照)を中心としてラックバー3の軸方向(x軸方向)に傾動することになる。
【0022】
そして、このようにラックリテーナー14が傾動した際に、ラックリテーナー14のうち両突出部21の先端がリテーナー収容部9側の円筒内周面9aに当接してしまうと、その当接の態様がいわゆる点当たり状態となることから、ラックリテーナー14の円滑な軸方向移動が阻害され、当該ラックリテーナー14とラックバー3との間の摩擦抵抗およびラックギヤ3aとピニオンギヤ2aとの噛み合い状態が不安定となってステアリングフィールが悪化する虞があるほか、異音が発生する虞がある。
【0023】
そこで、本実施の形態では、図3,4に示すように、リテーナー本体15の円筒外周面15aと凹状案内面15bとのなすコーナー部に、両突出部21の根元側から先端側に向かって漸次拡幅する面取り部22を形成している。言い換えると、面取り部22は、当該面取り部22のうち長手方向中間部側から長手方向端部側に向かって漸次拡幅している。
【0024】
詳細には、図4に示すように、面取り部22のうち凹状案内面15bの底部に相当する長手方向中間部をa点とし、面取り部22と突出部21の先端面および円筒外周面15aの三者によって形成された角隅部をb点とし、y軸方向におけるa点と揺動中心軸O1との距離をLaとし、y軸方向におけるb点と揺動中心軸O1との距離をLbとし、x軸方向における円筒内周面9aとa点との間の間隙をCLaとし、x軸方向における円筒内周面9aとb点との間の間隙をCLbとした場合に、図4に示すラックリテーナー14の自由状態で下記(1)式の関係を満足するようにリテーナー本体15を形成してある。言い換えるならば、a点は、面取り部22と円筒外周面15aとのなすコーナー部のうち仮想線L1と交わる点であって、b点は、両突出部21の先端のうちラックバー3の軸方向でリテーナー収容部9側の円筒内周面9aに最も近接する点である。
【0025】
【数1】

【0026】
上記(1)式のうちLa/Lbなる項について説明するに、図5に示すように、ラックリテーナー14が傾動中心軸O1を中心として角度θだけ傾動した際のa点の変位を、当該a点が円筒内周面9aに接近する方向(x軸方向)についてのみ考えると、a点はg点を中心として回動変位するものと考えることができる。
【0027】
すなわち、ラックリテーナー14が傾動中心軸O1を中心として図5に仮想線で示すように傾動すると、g点はx軸方向でGだけ移動する。このGは下記の(2)式によって与えられる。なお、下記の(2)式におけるRは柱状部19の半径である。
【0028】
【数2】

【0029】
そして、ラックリテーナー14とリテーナー収容部9との間の径方向隙間が微小なものであることは上述したとおりであるため、角度θも極めて微小なものとなり、上記の(2)式からGはほぼ零となる。したがって、ラックリテーナー14の傾動変位に伴うa点の変位を、x軸方向についてのみ考える上では、g点を中心としてa点が回動変位するものとして差し支えなく、a点の回動半径をLaとして考えることができる。
【0030】
また、同様のことがb点についても成立することから、ラックリテーナー14が傾動中心軸O1を中心として傾動した際のb点の回動半径をLbとして考えることができる。
【0031】
つまり、上記(1)式のうちLa/Lbなる項は、ラックリテーナー14が傾動変位したときにおけるa点のx軸方向への変位量とb点のx軸方向への変位量との比を意味している。
【0032】
図6は、傾動した状態のラックリテーナー14とリテーナー収容部9との相対関係を示す図であって、同図(A)はリテーナー収容部9を軸方向に沿って切断して示す図、同図(B)は同図(A)のII−II断面とIII−III断面とを重ね合わせて示す図である。なお、図6では、図4と同様に、ラックリテーナー14とリテーナー収容部9側の円筒内周面9aとの間の径方向隙間を実際よりも大きく誇張して描いてある。
【0033】
したがって、本実施の形態では、ラックリテーナー14が上記の式(1)の関係を満足するように形成され、上述したLa/LbがCLa/CLbよりも大きいため、ラックリテーナー14が図6に示すように傾動したときに、ラックリテーナー14のa点がb点よりも先にリテーナー収容部9側の円筒内周面9aに当接し、当該ラックリテーナー14のさらなる傾動を抑制することになる。
【0034】
すなわち、本実施の形態によれば、ラックバー3が軸方向移動したときに、両突出部21先端のb点がいわゆる点当たりの形態をもって円筒内周面9aに当接することを防止し、ラックリテーナー14の円滑な軸方向移動を確保できる。その結果、ラックリテーナー14とラックバー3との間の摩擦抵抗およびラックギヤ3aとピニオンギヤ2aとの噛み合い状態が安定し、ステアリングフィールを向上させることができるほか、異音の発生を防止することもできる。
【0035】
なお、上述した第1の実施の形態では、ラックバー3が軸方向移動したときに、Oリング18の中心を通ってz軸方向に延びる傾動中心軸O1を中心にラックリテーナー14が傾動することになるが、上述した第1の実施の形態の変形例として図7の(A)および(B)に示すように、ラックリテーナー14にOリングが装着されていない場合には、当該ラックリテーナー14は、ラックバー3が軸方向移動したときに、コイルばね11の中心軸L3と当該コイルばね11の一端を受容する凹部20の底面との交点を通りz軸方向に延びる傾動中心軸O2を中心として傾動することになる。なお、図7の(A)および(B)に示す変形例の他の部分は上述した第1の実施の形態と同様であって、図7の(A)および(B)において上述した第1の実施の形態と同様または相当する部分には図1〜6と同一の符号を付してある。
【0036】
そして、図7に示す変形例においても、上述した第1の実施の形態と同様に、上記(1)式の関係を満足するようにリテーナー本体15を形成することにより、ラックバー3が軸方向移動したときに、両突出部21先端のb点がいわゆる点当たりの形態をもって円筒内周面9aに当接することを防止し、ラックリテーナー14の円滑な軸方向移動を確保でき、上述した第1の実施の形態とほぼ同様の効果を得ることができる。
【0037】
図8は本実施の形態の第2の実施の形態を示す図であって、同図(A)はリテーナー収容部9を軸方向に沿って切断して示す図、同図(B)は同図(A)のV−V断面図である。なお、図8の(A)では上述した第1の実施の形態における凹状案内面15bを仮想線にて示しているとともに、図8の(B)では上述した第1の実施の形態における両突出部21を仮想線にて示している。また、図8において上述した第1の実施の形態と同様または相当する部分には、図1〜6と同一の符号を付している。
【0038】
図8の(A)および(B)に示す第2の実施の形態は、リテーナー本体15の凹状案内面15cを、上述した第1の実施の形態よりも大径に形成し、両突出部23の先端を上述した第1の実施の形態における両突出部21の先端よりも薄肉とすることにより、リテーナー本体15のうち凹状案内面15cと円筒外周面15aとのなすコーナー部に面取り部を形成することなく、上記(1)式を満足させたものであって、他の部分は上述した第1の実施の形態と同様である。なお、図8の符号Rは第2の実施の形態における凹状案内面15cの半径を示しているとともに、図8の符号R’は上述した第1の実施の形態における凹状案内面15bの半径を示している。
【0039】
したがって、この第2の実施の形態においても、ラックバー3が軸方向移動したときに、両突出部21の先端がいわゆる点当たりの形態をもって円筒内周面9aに当接することを防止し、ラックリテーナー14の円滑な軸方向移動を確保できる。
【0040】
但し、この第2の実施の形態では、凹状案内面15cの中心軸A1と傾動中心軸O1との間の距離S1が上述した第1の実施の形態における凹状案内面15bの中心軸A2と傾動中心軸O1との間の距離S2よりも大きくなり、ラックバー3が軸方向移動した際にラックリテーナー14を傾動させようとする力が上述した第1の実施の形態よりも大きくなるため、ラックリテーナー14の軸方向移動をより円滑なものとする上では、上述した第1の実施の形態のように面取り部22を形成することにより、凹状案内面15bの半径を拡大することなく上記(1)式を満足させるようにすることが好ましい。
【符号の説明】
【0041】
2…ピニオン軸
2a…ピニオンギヤ
3…ラックバー
3a…ラックギヤ
3b…凸状摺動面
6…ハウジング
7…ラック収容部
8…ピニオン収容部
9…リテーナー収容部
9a…円筒内周面
11…コイルばね(付勢部材)
14…ラックリテーナー
15a…円筒外周面
15b…凹状案内面
22…面取り部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、
上記ハウジングのピニオン軸収容部に収容され、ステアリングホイールの回転が伝達されるピニオン軸と、
上記ハウジングのうち上記ピニオン軸収容部と交差するラックバー収容部に収容されているとともに、上記ピニオン軸側にそのピニオン軸に噛合するラックギヤが、上記ピニオン軸とは反対側に断面円弧状の凸状摺動面がそれぞれ形成されていて、上記ピニオン軸の回転に伴って軸方向に移動するラックバーと、
上記ハウジングのうち上記ラックバーを挟んでピニオン軸とは反対側の位置に形成されたリテーナー収容部に収容されたラックリテーナーと、
上記ラックリテーナーを上記ラックバー側へ向けて付勢する付勢部材と、
を備えたラックピニオン式ステアリング装置において、
上記リテーナー収容部は、上記ラックリテーナーを内周側に収容する円筒内周面を有している一方、上記ラックリテーナーは、上記リテーナー収容部の円筒内周面との間に所定の間隙を形成する円筒外周面と、上記ラックリテーナーのうち上記ラックバー側の端部に円筒外周面の一部を切り欠くように凹設され、上記ラックバーの凸状摺動面に係合してそのラックバーを案内する断面円弧状の凹状案内面と、を有していて、
上記ラックバーの軸方向移動に伴って上記ラックリテーナーが傾動したときに、上記ラックリテーナーの円筒外周面と凹状案内面とのなすコーナー部のうち凹状案内面の底部に相当する部分が、上記リテーナー収容部の円筒内周面に当接するようになっていることを特徴とするラックピニオン式ステアリング装置。
【請求項2】
上記ラックリテーナーの円筒外周面と凹状摺動面とのなすコーナー部に面取り部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のラックピニオン式ステアリング装置。
【請求項3】
上記面取り部のうち少なくとも一部が、当該面取り部のうち長手方向中間部側から長手方向端部側に向かって漸次拡幅していることを特徴とする請求項2に記載のラックピニオン式ステアリング装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−218512(P2012−218512A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−84199(P2011−84199)
【出願日】平成23年4月6日(2011.4.6)
【出願人】(301041449)日立オートモティブシステムズステアリング株式会社 (44)
【Fターム(参考)】