ラック部材及びこれを用いた光ピックアップ並びに光ディスク装置
【課題】光学素子を保持する保持部材と、保持部材を駆動する駆動機構とを連結させる連結部材の咬合信頼性を確保するとともに、低トルクで保持部材を駆動させる。
【解決手段】光学素子を保持する保持アーム40と、保持アーム40を移動させる駆動モータ及び駆動モータによって回転されるリードスクリュー61を有する駆動部材のリードスクリュー61とを連結し、駆動モータの動力を保持アーム40に伝達するラック部材70であって、リードスクリュー61と咬合する咬合歯の先端面の曲率半径が、リードスクリュー61の曲率半径よりも大きく形成されている。
【解決手段】光学素子を保持する保持アーム40と、保持アーム40を移動させる駆動モータ及び駆動モータによって回転されるリードスクリュー61を有する駆動部材のリードスクリュー61とを連結し、駆動モータの動力を保持アーム40に伝達するラック部材70であって、リードスクリュー61と咬合する咬合歯の先端面の曲率半径が、リードスクリュー61の曲率半径よりも大きく形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学素子を保持する保持部材とこの保持部材を搬送する駆動部材とを連結するラック部材に関し、特に駆動部材と咬合されるラック部材及びこれを用いた光ピックアップ並びに光ディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、情報信号の記録媒体として、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、BD(Blu-Ray Disc)等の光ディスクが用いられ、この種の光ディスクに情報信号の記録を行い、あるいは光ディスクに記録された情報信号の再生を行うための光ディスク装置がある。この光ディスク装置には、光ディスクの半径方向へ移動され、この光ディスクに対して光ビームを照射する光ピックアップ装置が設けられている。
【0003】
この光ピックアップ装置は、一般的にOPベースを有し、このOPベース上に、光源、対物レンズ、受光部、その他の光学素子等の光学系が設けられている。また、近年複数種類の光ディスクに対応した光ピックアップ装置があり、このような光ピックアップ装置は、光源から対物レンズまでの光路内に設けられたレンズを光軸方向に駆動させるためのレンズ駆動ユニット等が設けられるものがある。
【0004】
レンズ駆動ユニットは、レンズを保持する保持部材と、保持部材を駆動することによりレンズを光軸方向へ移動させる移動部材と、これら保持部材と移動部材とを連結する連結部材とを備える。移動部材は、例えば駆動モータ及び駆動モータによって正転、逆転されるリードスクリューからなる。また、連結部材は、リードスクリューに咬合するラック部材を備える。そしてレンズ駆動ユニットは、駆動モータの駆動力をリードスクリュー及びラック部材を介して保持部材に伝達し、保持部材及び保持部材に保持されているレンズを光軸方向に移動させる。
【0005】
ところで、近年の光ディスク装置の小型化、軽量化に伴い、光ピックアップ装置の小型化、軽量化が進み、光ピックアップ装置に搭載されるレンズ駆動ユニットも小型化、軽量化の要求が高まっている。したがって、レンズ駆動ユニットに用いられる駆動モータも小型のものが使用されることから、低トルクで保持部材を搬送する必要がある。一方で、リードスクリューとラック部材との咬合信頼性を確保するためには、ある程度の力でリードスクリューに対してラック部材を付勢しておく必要がある。しかし、ラック部材のリードスクリューに対する付勢力を高めると、保持部材の搬送に要する駆動モータのトルクが上がってしまうため、駆動モータの小型化は困難であり、ひいては光ピックアップ装置の小型化を図ることができない。
【0006】
【特許文献1】特開平5−234281号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、小型化、軽量化が進む光ピックアップに搭載される光学素子移動ユニットにおいて、光学素子を保持する保持部材と、保持部材を駆動する駆動機構とを連結させる連結部材の咬合信頼性を確保するとともに、低トルクで保持部材を駆動させることができるラック部材及びこれを用いた光ピックアップ並びに光ディスク装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために、本発明に係るラック部材は、光学素子を保持する保持アームと、上記保持アームを移動させる駆動モータ及び該駆動モータによって回転されるリードスクリューを有する駆動部材の上記リードスクリューとを連結し、上記駆動モータの動力を上記保持アームに伝達するラック部材であって、上記リードスクリューと咬合する咬合歯の先端面の曲率半径が、該リードスクリューの曲率半径よりも大きく形成されていることを特徴とするものである。
【0009】
また、本発明に係る光ピックアップは、少なくとも光源及び上記光源から出射された光ビームを光記録媒体に導く光学系とが設けられたベース部材と、上記ベース部材に取り付けられることにより光学素子を上記光学系の光路内に上記光ビームの光軸方向に沿って移動自在に支持する光学素子移動ユニットとを備えた光ピックアップにおいて、上記光学素子移動ユニットは、上記光学素子を保持するとともに、一端に上記ベース部材に設けられたガイドレールに係合する係合部が形成され、他端に上記ベース部材に上記光軸方向に沿って支持されたガイド軸が挿通されているガイド部が形成された保持アームと、上記保持アームを駆動する駆動モータ及び該駆動モータによって回転されるリードスクリューを有する駆動部材と、上記リードスクリューに咬合する咬合歯の先端面の曲率半径が該リードスクリューの曲率半径よりも大きく形成されたラック部が形成され、上記保持アームに取り付けられることにより上記保持アームと上記駆動部材とを連結する連結部材とを有するものである。
【0010】
また、本発明に係る光ディスク装置は、光ディスクを保持して回転駆動するディスク回転駆動手段と、上記ディスク回転駆動手段によって回転される上記光ディスクに対し光ビームを照射することにより情報信号の記録及び/又は再生を行う光ピックアップとを有する光ディスク装置において、上記光ピックアップは、少なくとも光源及び上記光源から出射された光ビームを上記光ディスクに導く光学系とが設けられたベース部材と、上記ベース部材に取り付けられることにより光学素子を上記光学系の光路内に上記光ビームの光軸方向に沿って移動自在に支持する光学素子移動ユニットとを備えた光ピックアップであって、上記光学素子移動ユニットは、上記光学素子を保持するとともに、一端に上記ベース部材に設けられたガイドレールに係合する係合部が形成され、他端に上記ベース部材に上記光軸方向に沿って支持されたガイド軸が挿通されているガイド部が形成された保持アームと、上記保持アームを駆動する駆動モータ及び該駆動モータによって回転されるリードスクリューを有する駆動部材と、上記リードスクリューに咬合する咬合歯の先端面の曲率半径が該リードスクリューの曲率半径よりも大きく形成されたラック部が形成され、上記保持アームに取り付けられることにより上記保持アームと上記駆動部材とを連結する連結部材とを有するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るラック部材、光ピックアップ及び光ディスク装置によれば、咬合歯の先端面の曲率半径をリードスクリューの曲率半径より大きくすることで、揺動時における咬合歯とリードスクリューのねじ山との接触可能面積を拡大していることから、咬合信頼性を維持することができる。
【0012】
また、本発明に係る光ピックアップは、咬合歯とリードスクリューとの咬合が確保されていることから、連結部材によってラック部をリードスクリューへ強く付勢させる必要がないため、駆動モータによるトルクを上げることなくスムーズに保持アームを光軸方向に移動させることができる。したがって、本発明に係る光ピックアップは、駆動モータを低トルクで済む小型のモータで構成することができ、小型化、軽量化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明が適用されたラック部材及びこれを用いた光ピックアップ並びに光ディスク装置について、図面を参照しながら詳細に説明する。光ディスク装置101は、図1に示すように、光ディスク102に対して情報信号の記録及び/又は再生を行う記録再生装置である。
【0014】
この光ディスク装置101で記録及び/又は再生を行う光ディスク102として、例えば、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、情報の追記が可能とされるCD−R(Recordable)及びDVD−R(Recordable)、情報の書換えが可能とされるCD−RW(ReWritable)、DVD−RW(ReWritable)、DVD+RW(ReWritable)等の光ディスクや、さらに発光波長が短い405nm程度(青紫色)の半導体レーザを用いた高密度記録が可能な光ディスクや、光磁気ディスク等が用いられる。
【0015】
光ディスク装置101は、図1に示すように、光ディスク102を回転駆動する駆動手段としてのスピンドルモータ103と、光ピックアップ装置1と、光ピックアップ装置1をその半径方向に移動させる駆動手段としての送りモータ105とを備えている。ここで、スピンドルモータ103は、システムコントローラ107及び制御回路部109により所定の回転数で駆動するように制御されている。
【0016】
信号変復調部及びECCブロック108は、信号処理部120から出力される信号の変調、復調及びECC(エラー訂正符号)の付加を行う。光ピックアップ装置1は、システムコントローラ107及び制御回路部109からの指令に従って回転する光ディスク102の信号記録面に対して光ビームを照射する。このような光ビームの照射により光ディスク102に対する情報信号の記録が行われ、光ディスクに記録された情報信号の再生が行われる。
【0017】
また、光ピックアップ装置1は、光ディスク102の信号記録面から反射される反射光ビームに基づいて、後述するような各種の光ビームを検出し、各光ビームから得られる検出信号を信号処理部120に供給するように構成されている。
【0018】
信号処理部120は、各光ビームを検出して得られる検出信号に基づいて各種のサーボ用信号、すなわち、フォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号を生成し、さらに、光ディスクに記録された情報信号であるRF信号を生成する。また、再生対象とされる記録媒体の種類に応じて、制御回路部109、信号変調及びECCブロック108等により、これらの信号に基づく復調及び誤り訂正処理等の所定の処理が行われる。
【0019】
ここで、信号変調及びECCブロック108により復調された記録信号が、例えばコンピュータのデータストレージ用であれば、インタフェース111を介して外部コンピュータ130等に送出される。これにより、外部コンピュータ130等は光ディスク102に記録された信号を再生信号として受け取ることができるように構成されている。
【0020】
また、信号変調及びECCブロック108により復調された記録信号がオーディオ・ビジュアル用であれば、D/A、A/D変換器112のD/A変換部でデジタル/アナログ変換され、オーディオ・ビジュアル処理部113に供給される。そして、このオーディオ・ビジュアル処理部113でオーディオ・ビデオ信号処理が行われ、オーディオ・ビジュアル信号入出力部114を介して外部の撮像・映写機器に伝送される。
【0021】
光ピックアップ装置1には、送りモータ105が接続されている。光ピックアップ装置1は、送りモータ105の回転によって光ディスク102の径方向に送り操作され、光ディスク102上の所定の記録トラックまで移動される。スピンドルモータ103の制御と、送りモータ105の制御と、光ピックアップ装置1の対物レンズをその光軸方向のフォーカス方向及び光軸方向と直交するトラッキング方向へ移動変位させる対物レンズ駆動機構の制御は、それぞれ制御回路部109により行われる。
【0022】
すなわち、制御回路部109は、スピンドルモータ103の制御を行い、フォーカスエラー信号及びトラッキングエラー信号に基づいて対物レンズ駆動機構の制御を行う。
【0023】
また、制御回路部109は、信号処理部120から入力されるフォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号、RF信号などに基づいて、光ピックアップ装置1に設けられたトラッキングコイル及びフォーカスコイルに供給するための駆動信号(駆動電流)をそれぞれ生成するように構成されている。
【0024】
また、レーザ制御部121は、光ピックアップ装置1におけるレーザ光源を制御するものである。
【0025】
尚、ここでフォーカス方向Fとは、光ピックアップ装置1の対物レンズ23,24の光軸方向をいい、タンジェンシャル方向Tzとはフォーカス方向Fと直交する方向であって光ディスク装置101の円周のタンジェンシャル方向Tzと平行する方向をいい、トラッキング方向Tとはフォーカス方向F及びタンジェンシャルTz方向と直交する方向をいう。
【0026】
次に、本発明が適用された光ピックアップ装置1について詳細に説明する。光ピックアップ装置1は、波長を異にする複数種類の光ビームを選択的に用いて、複数種類の光ディスク102に対して情報信号の記録及び/又は再生を行う光ディスク装置に用いられるものであり、具体的には、波長400〜410nm程度の第1の波長の光ビームを用いて情報信号の記録又は再生が行われる第1の光ディスクと、波長650〜660nm程度の第2の波長の光ビームを用いて情報信号の記録又は再生が行われる第2の光ディスクと、波長760〜800nm程度の第3の波長の光ビームを用いて情報信号の記録又は再生が行われる第3の光ディスクとに対して情報信号の記録及び/又は再生を行うものである。
【0027】
尚、以下では、光ピックアップ装置1を異なる3種類の光ディスクに対して、情報信号の記録及び/又は再生を行うものとして説明するが、これに限られるものではなく、異なる複数種類又は1種類の光ディスクに対して情報信号の記録及び/又は再生を行うものであってもよい。
【0028】
本発明が適用された光ピックアップ装置1は、上述した異なる波長の複数種類の光ビームを出射する半導体レーザ等からなる第1及び第2の光源21,22と、光ディスク102の信号記録面から反射される反射光ビームを検出する光検出素子としてのフォトダイオードと、第1及び第2の光源21,22からの光ビームを光ディスク102に導くとともに、光ディスク102で反射した光ビームを光検出素子に導く光学系とが設けられたピックアップベース2と、ピックアップベース2上に取り付けられることによりピックアップベース2上に設けられた光学系の光路内に光学素子を移動自在に支持する光学素子移動ユニット3とを有している。
【0029】
ピックアップベース2は、図2に示すように、光ディスク装置101の筐体内で光ディスク102の半径方向R(以下、「ラジアル方向」ともいう。)に移動可能に設けられている。尚、図2及び後述の図3中矢印RIは、ラジアル方向のうち内周側に向けた方向を示し、矢印ROは、ラジアル方向のうち外周側に向けた方向を示すものである。
【0030】
ピックアップベース2に設けられている第1の光源21は、第1の波長の光ビームを出射させる出射部を有しており、第2の光源22は、第2の波長の光ビームを出射させる出射部と、第3の波長の光ビームを出射させる出射部とを有している。
【0031】
また、ピックアップベース2は、図3に示すように、第1,第2の光源21,22から出射された光ビームを集光して光ディスク102に照射する複数の対物レンズ23,24を支持するレンズホルダ12と、レンズホルダ12からタンジェンシャル方向Tzに間隔をおいて配置された支持体13と、支持体13に対してレンズホルダ12をフォーカス方向F及びトラッキング方向Tに移動可能に支持する複数の支持アーム14とを備える。このレンズホルダ12、支持体13及び支持アーム14は、各コイル及びマグネットとともに、対物レンズ23,24をフォーカス方向F及びトラッキング方向Tに駆動する対物レンズ駆動機構として機能する。また、この第1及び第2の対物レンズ23,24は、光ピックアップ装置1の光学系の一部を構成している。この第1の対物レンズ23は、例えば、ガラスにより形成され、第2の対物レンズ24は、例えば、合成樹脂により形成されているが、これに限られるものではなく第1及び第2の対物レンズ23,24は、ガラス又は合成樹脂その他の材料により形成することもできる。
【0032】
尚、ピックアップベース2では、ラジアル方向R(トラッキング方向T)に並んで配置される複数の対物レンズ23,24を備えるように構成したが、対物レンズの数及び配置はこれに限られるものではなく、例えば複数の対物レンズをタンジェンシャル方向Tzに配置するように構成してもよい。
【0033】
第1及び第2の光源21,22から出射された光ビームを光ディスク102に導く光学系としては、図4に示すように、第1の光源21から出射された光ビームを第1の対物レンズ23を介して第1の光ディスクである光ディスク102に導く第1の光学系19と、第2の光源22から出射された光ビームを第2の対物レンズ24を介して第2又は第3の光ディスクである光ディスク102に導く第2の光学系20とが設けられている。
【0034】
第1の光学系19は、少なくとも、第1の光源21から出射された第1の波長の光ビームを回折して少なくとも3ビームに分割する第1のグレーティング25と、第1のグレーティング25で回折された光ビームの発散角を変換して略平行光とする第1のコリメータレンズ26と、第1のコリメータレンズ26で略平行光とされた光ビームを反射して第1の対物レンズ23及び光ディスク102側に導く第1の立ち上げミラー31と、第1の立ち上げミラー31から出射された光ビームを光ディスクの信号記録面に集光する上述した第1の対物レンズ23とを有する。また、第1の光学系19は、第1のグレーティング25と第1のコリメータレンズ26との間に設けられ、第1の対物レンズ23により集光され光ディスクで反射された戻りの光ビームの光路を、第1の光源21から出射された往路の光ビームの光路から分離する偏光ビームスプリッタ28と、偏光ビームスプリッタ28で分離された戻りの光ビームを受光して検出する第1の光検出器29と、偏光ビームスプリッタ28と第1の光検出器29との間に設けられ、偏光ビームスプリッタ28で分離された戻りの光ビームを第1の光検出器29の受光面に集光させるマルチレンズ30とを有する。
【0035】
また、第2の光学系20は、少なくとも、第2の光源22から出射された第2及び第3の波長の光ビームを回折して少なくとも3ビームに分割する第2のグレーティング33と、第2のグレーティング33で回折された光ビームの発散角を変換して略平行光とする第2のコリメータレンズ34と、第2のコリメータレンズ34で略平行光とされた光ビームを反射してフォーカス方向Fに略直交する面内において光ビームの光路を変更する折り曲げミラー35と、折り曲げミラー35から出射された光ビームを反射して第2の対物レンズ24及び光ディスク102側に導く第2の立ち上げミラー32と、第2の立ち上げミラー32から出射された光ビームを光ディスクの信号記録面に集光する上述した第2の対物レンズ24とを有する。また、第2の光学系20は、第2のグレーティング33と第2のコリメータレンズ34との間の光路上に設けられ、第2の対物レンズ24により集光され光ディスクで反射された戻りの光ビームの光路を、第2の光源22から出射された往路の光ビームの光路から分離するビームスプリッタ37と、ビームスプリッタ37で分離された戻りの光ビームを受光して検出する第2の光検出器36とを有する。
【0036】
第1の光学系19を構成する光学素子のうち、第1のコリメータレンズ26は、光学素子移動ユニット3に保持され、この光学素子移動ユニット3がピックアップベース2上に取り付けられることにより、第1のコリメータレンズ26の光軸方向に移動自在とされている。図5及び図6に示すように、この光学素子移動ユニット3は、第1のコリメータレンズ26を保持する保持アーム40と、保持アーム40を駆動する駆動部材41と、保持アーム40と駆動部材41とを連結する連結部材42とを有する。
【0037】
保持アーム40は、一端40a側にピックアップベース2に設けられたガイドレール50に係合する係合部43と第1のコリメータレンズ26を保持するレンズ保持部44が形成され、他端40b側にピックアップベース2に支持されるガイド軸45が挿通されたガイド部46が形成されている。かかる保持アーム40は、ガイドレール50及びガイド軸45によって移動自在に支持されることにより、ピックアップベース2上を光学系19の光軸方向に沿って移動可能とされている。
【0038】
ここでピックアップベース2に形成されているガイドレール50は、光学系19の光軸方向に平行に張り出し形成され、保持アーム40の一端40aに形成された係合部43に係合されている。係合部43は、断面コ字状に形成され、係合端となる凹面をガイドレール50側に向けるとともに、凹部内にガイドレール50を挿通させることにより取り付けられる。係合部43は、ガイドレール50が挿通される凹部の上下クリアランスがガイドレール50の厚さよりも若干長く形成されることによりガイドレール50に沿って移動可能とされ、また後述する連結部材42によってガイドレール50側に付勢されている。
【0039】
レンズ保持部44は、係合部43の近傍に設けられ、第1のコリメータレンズ26を保持する。
【0040】
保持アーム40の他端40bに形成されたガイド部46は、光学系19の光軸方向に沿って形成された中空形状をなし、ガイド軸45が挿通されている。ガイド軸45は、保持アーム40を光学系19の光軸方向に沿ってガイドするものであり、ピックアップベース2に形成された一対の軸受け部51,51に両端を支持されることにより、光学系19の光軸方向と平行に配設されている。軸受け部51,51は、一方が開放端とされた略コ字状に形成され、ガイドレール50に係合部43を係合した後、ガイド部46を挿通したガイド軸45の両端が開放端より挿入される。そして軸受け部51,51は、ガイド軸45が挿入された後、開放端を板バネ52によって閉塞されることにより、ガイドレール50を保持するとともにがたつきを防止する。なお、軸受け部51,51は、接着剤によってガイド軸45を固定し、あるいは板バネ52と接着剤とを併用してガイド軸45を固定してもよい。
【0041】
また保持アーム40は、ガイド部46に隣接して、上面に連結部材42が取り付けられる図示しない取付孔と、連結部材42の位置決めを図る凸部48が形成されている。取付孔は、ガイド部46よりも保持アーム40の一端40a側に設けられ、連結部材42が保持アーム40の上面に載置された後、ビス49が挿通され連結部材42が取り付けられる。
【0042】
保持アーム40をガイドレール50及びガイド軸45に沿って移動させる駆動部材41は、駆動モータ60と、駆動モータ60によって回転されるリードスクリュー61と、リードスクリュー61を支持する軸受けホルダ62とを有する。軸受けホルダ62は、相対向する側壁63,64を有し、一方の側壁63は駆動モータ60のモータハウジングと接続され、他方の側壁64はリードスクリュー61の先端を支持する軸受け部となる。
【0043】
かかる駆動部材41は、軸受けホルダ62の両側壁63,64間を結ぶ底部65に位置決め孔が穿設され、この位置決め孔にピックアップベース2に凸設された凸部を挿通させることによりピックアップベース2上における位置決めが図られる。そして、駆動部材41は、ピックアップベース2上において位置決めされた後、ビスによって固定される。
【0044】
また、駆動部材41は、リードスクリュー61に、保持アーム40に取り付けられた連結部材42が咬合され、これにより保持アーム40と連結される。この連結部材42は、略矩形上の板バネからなり、一端が保持アーム40に取り付けられるとともに、他端がラック部材70を介してリードスクリュー61に咬合されることにより、保持アーム40と駆動部材41とを連結させるとともに、保持アーム40にガイドレール50側への付勢力を付与し、かつラック部材70にリードスクリュー61側への付勢力を付与するものである。
【0045】
連結部材42は、一端42aにビス49が挿通される図示しない挿通孔と保持アーム40の上面に形成されている凸部48が挿通する図示しない位置決め孔とが穿設されている。そして、連結部材42は、位置決め孔に凸部48が挿通されることにより保持アーム40上における位置決めが図られ、保持アーム40の上面に形成された取付孔と挿通孔とが連続される。次いで、連結部材42は、挿通孔にビス49が挿通されることにより保持アーム40の上面に取り付けられる。
【0046】
また、連結部材42は、他端42bに、リードスクリュー61と咬合するラック部材70が取り付けられている。具体的に、連結部材42は、他端42bの両側に切り欠き部が形成され、この切り欠き部にラック部材70の係合片74が嵌合されている。
【0047】
かかる連結部材42は、保持アーム40及び駆動部材41がピックアップベース2に取り付けられる前の初期状態において、長手方向の略中間を境に略へ字状に屈折されており、図7に示すように、保持アーム40及び駆動部材41がピックアップベース2に取り付けられると略面一に延伸される。これにより、連結部材42は、両端42a,42bを下方に付勢する付勢力が作用し、保持アーム40をガイドレール50側へ付勢し、かつラック部材70をリードスクリュー61側へ付勢する。
【0048】
すなわち、連結部材42は、略面一に延伸されると、屈折部が上方に弾性復帰しようとする力が働くが、保持アーム40のガイド部46に挿通するガイド軸45がピックアップベース2に設けられた軸受け部51,51及び板バネ52に保持されることによって、弾性復帰が規制される。かかる連結部材42の付勢力は、保持アーム40及びラック部材70に対してそれぞれ下方に向かって作用する。これにより、保持アーム40は、ガイドレール50に係合している係合部43の凹部の上面がガイドレール50に押しつけられ、係合部43の近傍に装着されている第1のコリメータレンズ26の揺動が防止されて、所定の位置に正確に支持される。またラック部材70は、リードスクリュー61に付勢され、確実に咬合される。
【0049】
次いで、連結部材42の他端42bに取り付けられているラック部材70について説明する。図8に示すように、ラック部材70は、全体が略矩形の板状体をなし、リードスクリュー61と対峙する一面70a側に、咬合歯71がリードスクリュー61の長手方向に沿って、リードスクリュー61の溝間隔に対応して間欠的に複数立設されている。咬合歯71は、先端面72が、一面70aの中央から両側に向かって高さを増す円弧状に形成されている。また咬合歯71は、円弧状に形成された先端面72の曲率半径が、リードスクリュー61の曲率半径よりも大きく形成されている。すなわち、ラック部材70の咬合歯71は、先端面72がリードスクリュー61の軸部61aの外周方向と略同方向の円弧状をなし、かつリードスクリュー61よりも曲率半径が大きく形成されている。
【0050】
これにより、ラック部材70は、咬合歯71がリードスクリュー61と咬合することにより、軸方向と直交する図7及び図9中矢印d方向への揺動に対する耐性を向上させ、咬合信頼性を維持して、咬合歯71がリードスクリュー61のねじ山を飛び越えるいわゆる歯飛びを防止することができる。すなわち、咬合歯71は、先端面72がリードスクリュー61の軸部61aと同方向に湾曲していることから、咬合歯側面73とリードスクリュー61のねじ山との接触可能面積が拡大され、ラック部材70が矢印d方向へ揺動した場合にも、咬合歯側面73とリードスクリュー61のねじ山との接触面積は減少せず、リードスクリュー61との咬合を維持することができる。
【0051】
このように、ラック部材70は、咬合歯71とリードスクリュー61との咬合信頼性を維持することができることから、図9中矢印d方向への揺動に備えて、連結部材42によるラック部材70のリードスクリュー61への付勢力を高める必要がない。したがって、駆動モータ60は、低トルクで連結部材42及び保持アーム40を搬送させることができ、小型の駆動モータを用いることで、光ピックアップ装置1全体の小型化、軽量化を図ることができる。
【0052】
なお、ラック部材70は、咬合歯71の先端面72の曲率半径をリードスクリュー61の軸部61aの曲率半径よりも大きくしているため、リードスクリュー61の軸部61aとの接触面積が小さく、部品精度誤差や連結部材42の揺動に際してもスムーズな動作を確保することができる。一方、リードスクリュー61の軸部61aと曲率半径を同じかこれよりも小さく形成した場合には、咬合歯がリードスクリューの軸部に沿って広範に接触してしまい、部品精度誤差や使用時における揺動や撓みなどでスムーズな動作が阻害され、移動に要するトルクが過大となり、駆動モータ及び光ピックアップ装置の大型化につながるおそれもある。
【0053】
また、咬合歯71は、先端面72がリードスクリュー61の軸部61aの径よりも幅広に形成され、かつ、先端面72の両端部72a,72aが直線状に形成されている。すなわち、咬合歯71の先端面72は、リードスクリュー61の軸部61aと対峙する部分が、当該軸部61aよりも湾曲が緩やかな円弧状をなし、両端部72a,72aが直線状をなす。これにより咬合歯71は、両端部まで円弧状に形成されている場合に比して、先端面72の矢印d方向に亘る全長が延びることから、咬合歯側面73とリードスクリュー61のねじ山とが広範囲に接触して咬合を維持することができるラック部材70の揺動距離を拡大させることができる。すなわち、ラック部材70は、より大きな矢印d方向への揺動に対しても、リードスクリュー61との咬合を維持することができる。
【0054】
図10に、ラック部材70の咬合歯側面73とリードスクリュー61のねじ山との接触可能範囲の一例を示す。ラック部材70の咬合歯71がリードスクリュー61に理想的に接触した場合の、当該理想接点Pにおける曲率円C1を想定し、当該曲率円C1の中心Oと当該理想接点Pを結ぶ直線の前後に亘って曲面角度θを設定する。この曲面角度θ、及び曲面角度θにおける曲率半径R1とリードスクリュー61の理想接点Pでの曲率半径R2との比(R1/R2)は、小型化を図るピックアップベース2及び光学素子移動ユニット3に用いられる駆動モータ60のトルクによっても十分に保持アーム40の搬送が可能となる咬合歯側面73とリードスクリュー61のねじ山との接触可能範囲や、連結部材42の付勢力及びその付勢方向等を考慮して決定される。
【0055】
図10においては、±30°の範囲を曲面角度範囲とし、その両側に直線状の両端部72a,72aを形成している。そして、この図10に示すラック部材70の咬合歯71の曲率半径R1に、リードスクリュー61の理想接点Pとねじ山頂部との径方向の距離を加えた値を半径として、曲率円C1の曲率中心Oを中心に円C2を描くと、この円C2の内部とラック部材70の咬合歯側面73とが重なる斜線領域が、咬合歯側面73とリードスクリュー61のねじ山との最大接触可能範囲となる。そして、この接触可能範囲を用いて上述の曲面角度θ等が決定される。なお、図10に記載した接触可能範囲は、ラック部材70が揺動しても、リードスクリュー61と咬合歯71との接触が先端面72の円弧状に湾曲された領域内に収まること想定している。
【0056】
このように、ラック部材70は、咬合歯側面73とリードスクリュー61のねじ山との接触可能範囲が拡大されることで、連結部材42が揺動しても歯飛びが防止され、保持アーム40をスムーズに搬送することができる。
【0057】
次いで、かかる光学素子移動ユニット3のピックアップベース2への取付工程について説明する。光学素子移動ユニット3は、ピックアップベース2への取り付け前においては、図6に示すように、保持アーム40のレンズ保持部44に第1のコリメータレンズ26が装着されるとともに、ガイド部46にガイド軸45が挿通されている。また保持アーム40は、上面に形成された凸部48に位置決め孔が挿通されることにより連結部材42が載置され、連結部材42の挿通孔を挿通したビス49が取付孔に係合することにより連結部材42が接続されている。また、連結部材42は、初期状態において、ガイド部46より張り出した位置より長手方向の他端42b側が保持アーム40の下面側、すなわちピックアップベース2側に屈折されている。
【0058】
かかる光学素子移動ユニット3は、まず駆動部材41の駆動モータ60及び軸受けホルダ62がピックアップベース2に取り付けられる。このとき、駆動部材41は、軸受けホルダ62の一方の側壁63に駆動モータ60のモータハウジングが接続され、他方の側壁64でリードスクリュー61の先端を支持している。そして、駆動部材41は、軸受けホルダ62の底部65をビス止めすることによりピックアップベース2上に固定される。なお、駆動モータ60にはフレキシブルプリント板が接続され、このフレキシブルプリント板を介してピックアップベース2に配設された回路基板と接続される。
【0059】
次いで、図11に示すように、連結部材42が接続された保持アーム40を取り付ける。まず、保持アーム40の一端40aに形成された係合部43の係合端となる凹面を、ピックアップベース2のガイドレール50に係合させる。この状態で、保持アーム40の他端40bを挿通するガイド軸45の両端を、ピックアップベース2に形成された一対の軸受け部51,51に挿入し、板バネ52によって軸受け部51,51を閉塞する。
【0060】
これにより保持アーム40は、一端40aをピックアップベース2のガイドレール50に支持され、他端40bをピックアップベース2に取り付けられたガイド軸45に支持され、光学系19の光軸方向と平行に移動可能とされる。また連結部材42は、他端42bに接続されているラック部材70の咬合歯71がリードスクリュー61に咬合し、保持アーム40と駆動部材41とを連結する。
【0061】
また、このとき、初期状態において屈折していた連結部材42は、略面一に延伸されることから、ピックアップベース2に固定されているガイド軸45を支点として、保持アーム40及びラック部材70をそれぞれピックアップベース2側に付勢する。すなわち、光学素子移動ユニット3は、連結部材42の一端42a側が下方に付勢することにより、係合部43がガイドレール50に付勢されることから、保持アーム40がガイドレール50及びガイド軸45によってがたつくことなく支持される。また、光学素子移動ユニット3は、連結部材42の他端42b側が下方に付勢することにより、ラック部材70がリードスクリュー61に付勢されることから、咬合歯71とリードスクリュー61とが確実に咬合される。
【0062】
また、光学素子移動ユニット3がピックアップベース2に取り付けられることにより、保持アーム40の一端40a側に保持されている第1のコリメータレンズ26は、光学系19の光路内に光学系19の光軸との光軸を合わせて支持される。このとき、第1のコリメータレンズ26は、ピックアップベース2に形成されたガイドレール50に係合されている係合部43の近傍に保持されていることから、光学系19の光路内における位置精度が高まり、また駆動部材41によって保持アーム40が光軸方向に移動したときにも、移動位置の精度を良好に保つことができる。
【0063】
次いで、かかる光学素子移動ユニット3がピックアップベース2に搭載された光ピックアップ装置1の動作について説明する。光ピックアップ装置1は、光ビームが照射される光ディスク102の記録層に応じて、第1のコリメータレンズ26をその光軸方向に移動させ、この第1のコリメータレンズ26から出射させる光ビームの発散角を調整する。具体的に、光学素子移動ユニット3は、駆動モータ60によってリードスクリュー61を正転あるいは逆転させることにより、ラック部材70及び連結部材42を介して保持アーム40をガイドレール50及びガイド軸45に沿って移動させ、光学系19の光軸方向の光軸方向に移動させる。
【0064】
このとき、リードスクリュー61と咬合するラック部材70の咬合歯71は、円弧状に形成された先端面72の曲率半径がリードスクリュー61の曲率半径よりも大きく形成され、先端面72がリードスクリュー61の軸部61aよりも緩やかに湾曲していることから、咬合歯側面73とリードスクリュー61のねじ山との接触可能な面積が拡大されている。したがって、光学素子移動ユニット3は、ラック部材70が連結部材42の延設方向である矢印d方向へ揺動した場合にも、咬合歯側面73とリードスクリュー61のねじ山との接触面積が減少せず、リードスクリュー61との咬合を維持することができる。
【0065】
特に、光学素子移動ユニット3では、連結部材42を板バネで構成し、かつ保持アーム40及びラック部材70に付勢力を付与すべく初期状態において屈折している連結部材42を延伸させて取り付けているため、連結部材42には常時、弾性復帰しようとする力が作用している。したがって、光ピックアップ装置1や、これを用いた電子機器が揺動することにより連結部材42が揺動した場合に、ラック部材70がリードスクリュー61の軸線方向と直交する矢印d方向に揺動する可能性もあるが、光学素子移動ユニット3は、咬合歯71の先端面72の曲率半径をリードスクリュー61の軸部61aの曲率半径より大きくすることで、揺動時における咬合歯71とリードスクリュー61のねじ山との接触可能面積を拡大していることから、咬合信頼性を維持することができ、いわゆる歯飛びを防止することができる。
【0066】
また、このように咬合歯71とリードスクリュー61との咬合が確保されていることから、連結部材42によってラック部材70をリードスクリュー61へ強く付勢させる必要がないため、光学素子移動ユニット3は、駆動モータ60によるトルクを上げることなくスムーズに保持アーム40を光軸方向に移動させることができる。したがって、光学素子移動ユニット3は、駆動モータ60を低トルクで済む小型のモータで構成することができ、光ピックアップ装置1の小型化、軽量化を図ることができる。
【0067】
さらに、光学素子移動ユニット3は、ラック部材70の先端面72の両端部72a,72aが直線状に形成されていることから、先端面72の矢印d方向に亘る全長が延びて、咬合歯側面73とリードスクリュー61のねじ山とが広範囲に接触して咬合を維持することができるラック部材70の揺動距離を拡大されている。したがって、連結部材42が大きく揺動した場合にも、ラック部材70とリードスクリュー61の軸部61aとの咬合を維持することができる。
【0068】
以上、本発明が適用された光学素子移動ユニット3が搭載された光ピックアップ装置1について説明したが、本発明は、連結部材42を板バネによって形成するほか、例えば捩りコイルバネを用いることもできる。この場合も、捩りコイルバネの一端は保持アーム40をガイドレール50側に付勢し、他端はラック部材70が取り付けられリードスクリュー61側に付勢する。
【0069】
また、連結部材42は、保持アーム40側のみを付勢するように形成することもできる。この場合、ラック部材70は保持アーム40に別に設けた支持部材に取り付けられ、この支持部材を介してリードスクリュー61に咬合される。同様に、連結部材42は、ラック部材70側のみを付勢するように形成することもできる。
【0070】
また、光ピックアップ装置1は、第1のコリメータレンズ26を光軸方向に沿って移動させる光学素子移動ユニット3を搭載したが、この光学素子移動ユニット3に換えて、あるいは光学素子移動ユニット3とともに、第2のコリメータレンズ34を移動させる光学素子移動ユニットを搭載してもよい。この場合、第2のコリメータレンズ34を移動させる光学素子移動ユニットは、上記光学素子移動ユニット3と同様の構成を有し、記録又は再生を行う光ディスク102の種類に応じて出射される光ビームの波長や、光ビームを照射させる記録層に応じて第2のコリメータレンズ34を光軸方向に移動させる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明が適用された光ディスク装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】本発明を適用した光ピックアップ装置の光ディスクに対向する面側を示す斜視図である。
【図3】本発明を適用した光ピックアップ装置を構成する対物レンズを保持するレンズホルダ及びレンズホルダを駆動する支持体を示す平面図である。
【図4】本発明を適用した光ピックアップ装置の光路を示す図である。
【図5】本発明を適用した光ピックアップ装置の光ディスクに対向する面と反対側の面側を示す斜視図である。
【図6】光学素子移動ユニットを示す斜視図である。
【図7】ピックアップベースに取り付けられた光学素子移動ユニットを示す断面図である。
【図8】ラック部材を示す斜視図である。
【図9】リードスクリューに咬合しているラック部材を示す断面図である。
【図10】リードスクリューのねじ山とラック部材の咬合歯側面との接触可能範囲を説明するための図である。
【図11】ピックアップベースに取り付けられた光学素子移動ユニットを示す斜視図である。
【符号の説明】
【0072】
1 光ピックアップ装置、2 ピックアップベース、3 光学素子移動ユニット、19 第1の光学系、26 第1のコリメータレンズ、40 保持アーム、41 駆動部材、42 連結部材、43 係合部、44 レンズ保持部、45 ガイド軸、46 ガイド部、50 ガイドレール、51 軸受け部、52 板バネ、60 駆動モータ、61 リードスクリュー、70 ラック部材、71 咬合歯、72 先端面、73 咬合歯側面
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学素子を保持する保持部材とこの保持部材を搬送する駆動部材とを連結するラック部材に関し、特に駆動部材と咬合されるラック部材及びこれを用いた光ピックアップ並びに光ディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、情報信号の記録媒体として、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、BD(Blu-Ray Disc)等の光ディスクが用いられ、この種の光ディスクに情報信号の記録を行い、あるいは光ディスクに記録された情報信号の再生を行うための光ディスク装置がある。この光ディスク装置には、光ディスクの半径方向へ移動され、この光ディスクに対して光ビームを照射する光ピックアップ装置が設けられている。
【0003】
この光ピックアップ装置は、一般的にOPベースを有し、このOPベース上に、光源、対物レンズ、受光部、その他の光学素子等の光学系が設けられている。また、近年複数種類の光ディスクに対応した光ピックアップ装置があり、このような光ピックアップ装置は、光源から対物レンズまでの光路内に設けられたレンズを光軸方向に駆動させるためのレンズ駆動ユニット等が設けられるものがある。
【0004】
レンズ駆動ユニットは、レンズを保持する保持部材と、保持部材を駆動することによりレンズを光軸方向へ移動させる移動部材と、これら保持部材と移動部材とを連結する連結部材とを備える。移動部材は、例えば駆動モータ及び駆動モータによって正転、逆転されるリードスクリューからなる。また、連結部材は、リードスクリューに咬合するラック部材を備える。そしてレンズ駆動ユニットは、駆動モータの駆動力をリードスクリュー及びラック部材を介して保持部材に伝達し、保持部材及び保持部材に保持されているレンズを光軸方向に移動させる。
【0005】
ところで、近年の光ディスク装置の小型化、軽量化に伴い、光ピックアップ装置の小型化、軽量化が進み、光ピックアップ装置に搭載されるレンズ駆動ユニットも小型化、軽量化の要求が高まっている。したがって、レンズ駆動ユニットに用いられる駆動モータも小型のものが使用されることから、低トルクで保持部材を搬送する必要がある。一方で、リードスクリューとラック部材との咬合信頼性を確保するためには、ある程度の力でリードスクリューに対してラック部材を付勢しておく必要がある。しかし、ラック部材のリードスクリューに対する付勢力を高めると、保持部材の搬送に要する駆動モータのトルクが上がってしまうため、駆動モータの小型化は困難であり、ひいては光ピックアップ装置の小型化を図ることができない。
【0006】
【特許文献1】特開平5−234281号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、小型化、軽量化が進む光ピックアップに搭載される光学素子移動ユニットにおいて、光学素子を保持する保持部材と、保持部材を駆動する駆動機構とを連結させる連結部材の咬合信頼性を確保するとともに、低トルクで保持部材を駆動させることができるラック部材及びこれを用いた光ピックアップ並びに光ディスク装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために、本発明に係るラック部材は、光学素子を保持する保持アームと、上記保持アームを移動させる駆動モータ及び該駆動モータによって回転されるリードスクリューを有する駆動部材の上記リードスクリューとを連結し、上記駆動モータの動力を上記保持アームに伝達するラック部材であって、上記リードスクリューと咬合する咬合歯の先端面の曲率半径が、該リードスクリューの曲率半径よりも大きく形成されていることを特徴とするものである。
【0009】
また、本発明に係る光ピックアップは、少なくとも光源及び上記光源から出射された光ビームを光記録媒体に導く光学系とが設けられたベース部材と、上記ベース部材に取り付けられることにより光学素子を上記光学系の光路内に上記光ビームの光軸方向に沿って移動自在に支持する光学素子移動ユニットとを備えた光ピックアップにおいて、上記光学素子移動ユニットは、上記光学素子を保持するとともに、一端に上記ベース部材に設けられたガイドレールに係合する係合部が形成され、他端に上記ベース部材に上記光軸方向に沿って支持されたガイド軸が挿通されているガイド部が形成された保持アームと、上記保持アームを駆動する駆動モータ及び該駆動モータによって回転されるリードスクリューを有する駆動部材と、上記リードスクリューに咬合する咬合歯の先端面の曲率半径が該リードスクリューの曲率半径よりも大きく形成されたラック部が形成され、上記保持アームに取り付けられることにより上記保持アームと上記駆動部材とを連結する連結部材とを有するものである。
【0010】
また、本発明に係る光ディスク装置は、光ディスクを保持して回転駆動するディスク回転駆動手段と、上記ディスク回転駆動手段によって回転される上記光ディスクに対し光ビームを照射することにより情報信号の記録及び/又は再生を行う光ピックアップとを有する光ディスク装置において、上記光ピックアップは、少なくとも光源及び上記光源から出射された光ビームを上記光ディスクに導く光学系とが設けられたベース部材と、上記ベース部材に取り付けられることにより光学素子を上記光学系の光路内に上記光ビームの光軸方向に沿って移動自在に支持する光学素子移動ユニットとを備えた光ピックアップであって、上記光学素子移動ユニットは、上記光学素子を保持するとともに、一端に上記ベース部材に設けられたガイドレールに係合する係合部が形成され、他端に上記ベース部材に上記光軸方向に沿って支持されたガイド軸が挿通されているガイド部が形成された保持アームと、上記保持アームを駆動する駆動モータ及び該駆動モータによって回転されるリードスクリューを有する駆動部材と、上記リードスクリューに咬合する咬合歯の先端面の曲率半径が該リードスクリューの曲率半径よりも大きく形成されたラック部が形成され、上記保持アームに取り付けられることにより上記保持アームと上記駆動部材とを連結する連結部材とを有するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るラック部材、光ピックアップ及び光ディスク装置によれば、咬合歯の先端面の曲率半径をリードスクリューの曲率半径より大きくすることで、揺動時における咬合歯とリードスクリューのねじ山との接触可能面積を拡大していることから、咬合信頼性を維持することができる。
【0012】
また、本発明に係る光ピックアップは、咬合歯とリードスクリューとの咬合が確保されていることから、連結部材によってラック部をリードスクリューへ強く付勢させる必要がないため、駆動モータによるトルクを上げることなくスムーズに保持アームを光軸方向に移動させることができる。したがって、本発明に係る光ピックアップは、駆動モータを低トルクで済む小型のモータで構成することができ、小型化、軽量化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明が適用されたラック部材及びこれを用いた光ピックアップ並びに光ディスク装置について、図面を参照しながら詳細に説明する。光ディスク装置101は、図1に示すように、光ディスク102に対して情報信号の記録及び/又は再生を行う記録再生装置である。
【0014】
この光ディスク装置101で記録及び/又は再生を行う光ディスク102として、例えば、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、情報の追記が可能とされるCD−R(Recordable)及びDVD−R(Recordable)、情報の書換えが可能とされるCD−RW(ReWritable)、DVD−RW(ReWritable)、DVD+RW(ReWritable)等の光ディスクや、さらに発光波長が短い405nm程度(青紫色)の半導体レーザを用いた高密度記録が可能な光ディスクや、光磁気ディスク等が用いられる。
【0015】
光ディスク装置101は、図1に示すように、光ディスク102を回転駆動する駆動手段としてのスピンドルモータ103と、光ピックアップ装置1と、光ピックアップ装置1をその半径方向に移動させる駆動手段としての送りモータ105とを備えている。ここで、スピンドルモータ103は、システムコントローラ107及び制御回路部109により所定の回転数で駆動するように制御されている。
【0016】
信号変復調部及びECCブロック108は、信号処理部120から出力される信号の変調、復調及びECC(エラー訂正符号)の付加を行う。光ピックアップ装置1は、システムコントローラ107及び制御回路部109からの指令に従って回転する光ディスク102の信号記録面に対して光ビームを照射する。このような光ビームの照射により光ディスク102に対する情報信号の記録が行われ、光ディスクに記録された情報信号の再生が行われる。
【0017】
また、光ピックアップ装置1は、光ディスク102の信号記録面から反射される反射光ビームに基づいて、後述するような各種の光ビームを検出し、各光ビームから得られる検出信号を信号処理部120に供給するように構成されている。
【0018】
信号処理部120は、各光ビームを検出して得られる検出信号に基づいて各種のサーボ用信号、すなわち、フォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号を生成し、さらに、光ディスクに記録された情報信号であるRF信号を生成する。また、再生対象とされる記録媒体の種類に応じて、制御回路部109、信号変調及びECCブロック108等により、これらの信号に基づく復調及び誤り訂正処理等の所定の処理が行われる。
【0019】
ここで、信号変調及びECCブロック108により復調された記録信号が、例えばコンピュータのデータストレージ用であれば、インタフェース111を介して外部コンピュータ130等に送出される。これにより、外部コンピュータ130等は光ディスク102に記録された信号を再生信号として受け取ることができるように構成されている。
【0020】
また、信号変調及びECCブロック108により復調された記録信号がオーディオ・ビジュアル用であれば、D/A、A/D変換器112のD/A変換部でデジタル/アナログ変換され、オーディオ・ビジュアル処理部113に供給される。そして、このオーディオ・ビジュアル処理部113でオーディオ・ビデオ信号処理が行われ、オーディオ・ビジュアル信号入出力部114を介して外部の撮像・映写機器に伝送される。
【0021】
光ピックアップ装置1には、送りモータ105が接続されている。光ピックアップ装置1は、送りモータ105の回転によって光ディスク102の径方向に送り操作され、光ディスク102上の所定の記録トラックまで移動される。スピンドルモータ103の制御と、送りモータ105の制御と、光ピックアップ装置1の対物レンズをその光軸方向のフォーカス方向及び光軸方向と直交するトラッキング方向へ移動変位させる対物レンズ駆動機構の制御は、それぞれ制御回路部109により行われる。
【0022】
すなわち、制御回路部109は、スピンドルモータ103の制御を行い、フォーカスエラー信号及びトラッキングエラー信号に基づいて対物レンズ駆動機構の制御を行う。
【0023】
また、制御回路部109は、信号処理部120から入力されるフォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号、RF信号などに基づいて、光ピックアップ装置1に設けられたトラッキングコイル及びフォーカスコイルに供給するための駆動信号(駆動電流)をそれぞれ生成するように構成されている。
【0024】
また、レーザ制御部121は、光ピックアップ装置1におけるレーザ光源を制御するものである。
【0025】
尚、ここでフォーカス方向Fとは、光ピックアップ装置1の対物レンズ23,24の光軸方向をいい、タンジェンシャル方向Tzとはフォーカス方向Fと直交する方向であって光ディスク装置101の円周のタンジェンシャル方向Tzと平行する方向をいい、トラッキング方向Tとはフォーカス方向F及びタンジェンシャルTz方向と直交する方向をいう。
【0026】
次に、本発明が適用された光ピックアップ装置1について詳細に説明する。光ピックアップ装置1は、波長を異にする複数種類の光ビームを選択的に用いて、複数種類の光ディスク102に対して情報信号の記録及び/又は再生を行う光ディスク装置に用いられるものであり、具体的には、波長400〜410nm程度の第1の波長の光ビームを用いて情報信号の記録又は再生が行われる第1の光ディスクと、波長650〜660nm程度の第2の波長の光ビームを用いて情報信号の記録又は再生が行われる第2の光ディスクと、波長760〜800nm程度の第3の波長の光ビームを用いて情報信号の記録又は再生が行われる第3の光ディスクとに対して情報信号の記録及び/又は再生を行うものである。
【0027】
尚、以下では、光ピックアップ装置1を異なる3種類の光ディスクに対して、情報信号の記録及び/又は再生を行うものとして説明するが、これに限られるものではなく、異なる複数種類又は1種類の光ディスクに対して情報信号の記録及び/又は再生を行うものであってもよい。
【0028】
本発明が適用された光ピックアップ装置1は、上述した異なる波長の複数種類の光ビームを出射する半導体レーザ等からなる第1及び第2の光源21,22と、光ディスク102の信号記録面から反射される反射光ビームを検出する光検出素子としてのフォトダイオードと、第1及び第2の光源21,22からの光ビームを光ディスク102に導くとともに、光ディスク102で反射した光ビームを光検出素子に導く光学系とが設けられたピックアップベース2と、ピックアップベース2上に取り付けられることによりピックアップベース2上に設けられた光学系の光路内に光学素子を移動自在に支持する光学素子移動ユニット3とを有している。
【0029】
ピックアップベース2は、図2に示すように、光ディスク装置101の筐体内で光ディスク102の半径方向R(以下、「ラジアル方向」ともいう。)に移動可能に設けられている。尚、図2及び後述の図3中矢印RIは、ラジアル方向のうち内周側に向けた方向を示し、矢印ROは、ラジアル方向のうち外周側に向けた方向を示すものである。
【0030】
ピックアップベース2に設けられている第1の光源21は、第1の波長の光ビームを出射させる出射部を有しており、第2の光源22は、第2の波長の光ビームを出射させる出射部と、第3の波長の光ビームを出射させる出射部とを有している。
【0031】
また、ピックアップベース2は、図3に示すように、第1,第2の光源21,22から出射された光ビームを集光して光ディスク102に照射する複数の対物レンズ23,24を支持するレンズホルダ12と、レンズホルダ12からタンジェンシャル方向Tzに間隔をおいて配置された支持体13と、支持体13に対してレンズホルダ12をフォーカス方向F及びトラッキング方向Tに移動可能に支持する複数の支持アーム14とを備える。このレンズホルダ12、支持体13及び支持アーム14は、各コイル及びマグネットとともに、対物レンズ23,24をフォーカス方向F及びトラッキング方向Tに駆動する対物レンズ駆動機構として機能する。また、この第1及び第2の対物レンズ23,24は、光ピックアップ装置1の光学系の一部を構成している。この第1の対物レンズ23は、例えば、ガラスにより形成され、第2の対物レンズ24は、例えば、合成樹脂により形成されているが、これに限られるものではなく第1及び第2の対物レンズ23,24は、ガラス又は合成樹脂その他の材料により形成することもできる。
【0032】
尚、ピックアップベース2では、ラジアル方向R(トラッキング方向T)に並んで配置される複数の対物レンズ23,24を備えるように構成したが、対物レンズの数及び配置はこれに限られるものではなく、例えば複数の対物レンズをタンジェンシャル方向Tzに配置するように構成してもよい。
【0033】
第1及び第2の光源21,22から出射された光ビームを光ディスク102に導く光学系としては、図4に示すように、第1の光源21から出射された光ビームを第1の対物レンズ23を介して第1の光ディスクである光ディスク102に導く第1の光学系19と、第2の光源22から出射された光ビームを第2の対物レンズ24を介して第2又は第3の光ディスクである光ディスク102に導く第2の光学系20とが設けられている。
【0034】
第1の光学系19は、少なくとも、第1の光源21から出射された第1の波長の光ビームを回折して少なくとも3ビームに分割する第1のグレーティング25と、第1のグレーティング25で回折された光ビームの発散角を変換して略平行光とする第1のコリメータレンズ26と、第1のコリメータレンズ26で略平行光とされた光ビームを反射して第1の対物レンズ23及び光ディスク102側に導く第1の立ち上げミラー31と、第1の立ち上げミラー31から出射された光ビームを光ディスクの信号記録面に集光する上述した第1の対物レンズ23とを有する。また、第1の光学系19は、第1のグレーティング25と第1のコリメータレンズ26との間に設けられ、第1の対物レンズ23により集光され光ディスクで反射された戻りの光ビームの光路を、第1の光源21から出射された往路の光ビームの光路から分離する偏光ビームスプリッタ28と、偏光ビームスプリッタ28で分離された戻りの光ビームを受光して検出する第1の光検出器29と、偏光ビームスプリッタ28と第1の光検出器29との間に設けられ、偏光ビームスプリッタ28で分離された戻りの光ビームを第1の光検出器29の受光面に集光させるマルチレンズ30とを有する。
【0035】
また、第2の光学系20は、少なくとも、第2の光源22から出射された第2及び第3の波長の光ビームを回折して少なくとも3ビームに分割する第2のグレーティング33と、第2のグレーティング33で回折された光ビームの発散角を変換して略平行光とする第2のコリメータレンズ34と、第2のコリメータレンズ34で略平行光とされた光ビームを反射してフォーカス方向Fに略直交する面内において光ビームの光路を変更する折り曲げミラー35と、折り曲げミラー35から出射された光ビームを反射して第2の対物レンズ24及び光ディスク102側に導く第2の立ち上げミラー32と、第2の立ち上げミラー32から出射された光ビームを光ディスクの信号記録面に集光する上述した第2の対物レンズ24とを有する。また、第2の光学系20は、第2のグレーティング33と第2のコリメータレンズ34との間の光路上に設けられ、第2の対物レンズ24により集光され光ディスクで反射された戻りの光ビームの光路を、第2の光源22から出射された往路の光ビームの光路から分離するビームスプリッタ37と、ビームスプリッタ37で分離された戻りの光ビームを受光して検出する第2の光検出器36とを有する。
【0036】
第1の光学系19を構成する光学素子のうち、第1のコリメータレンズ26は、光学素子移動ユニット3に保持され、この光学素子移動ユニット3がピックアップベース2上に取り付けられることにより、第1のコリメータレンズ26の光軸方向に移動自在とされている。図5及び図6に示すように、この光学素子移動ユニット3は、第1のコリメータレンズ26を保持する保持アーム40と、保持アーム40を駆動する駆動部材41と、保持アーム40と駆動部材41とを連結する連結部材42とを有する。
【0037】
保持アーム40は、一端40a側にピックアップベース2に設けられたガイドレール50に係合する係合部43と第1のコリメータレンズ26を保持するレンズ保持部44が形成され、他端40b側にピックアップベース2に支持されるガイド軸45が挿通されたガイド部46が形成されている。かかる保持アーム40は、ガイドレール50及びガイド軸45によって移動自在に支持されることにより、ピックアップベース2上を光学系19の光軸方向に沿って移動可能とされている。
【0038】
ここでピックアップベース2に形成されているガイドレール50は、光学系19の光軸方向に平行に張り出し形成され、保持アーム40の一端40aに形成された係合部43に係合されている。係合部43は、断面コ字状に形成され、係合端となる凹面をガイドレール50側に向けるとともに、凹部内にガイドレール50を挿通させることにより取り付けられる。係合部43は、ガイドレール50が挿通される凹部の上下クリアランスがガイドレール50の厚さよりも若干長く形成されることによりガイドレール50に沿って移動可能とされ、また後述する連結部材42によってガイドレール50側に付勢されている。
【0039】
レンズ保持部44は、係合部43の近傍に設けられ、第1のコリメータレンズ26を保持する。
【0040】
保持アーム40の他端40bに形成されたガイド部46は、光学系19の光軸方向に沿って形成された中空形状をなし、ガイド軸45が挿通されている。ガイド軸45は、保持アーム40を光学系19の光軸方向に沿ってガイドするものであり、ピックアップベース2に形成された一対の軸受け部51,51に両端を支持されることにより、光学系19の光軸方向と平行に配設されている。軸受け部51,51は、一方が開放端とされた略コ字状に形成され、ガイドレール50に係合部43を係合した後、ガイド部46を挿通したガイド軸45の両端が開放端より挿入される。そして軸受け部51,51は、ガイド軸45が挿入された後、開放端を板バネ52によって閉塞されることにより、ガイドレール50を保持するとともにがたつきを防止する。なお、軸受け部51,51は、接着剤によってガイド軸45を固定し、あるいは板バネ52と接着剤とを併用してガイド軸45を固定してもよい。
【0041】
また保持アーム40は、ガイド部46に隣接して、上面に連結部材42が取り付けられる図示しない取付孔と、連結部材42の位置決めを図る凸部48が形成されている。取付孔は、ガイド部46よりも保持アーム40の一端40a側に設けられ、連結部材42が保持アーム40の上面に載置された後、ビス49が挿通され連結部材42が取り付けられる。
【0042】
保持アーム40をガイドレール50及びガイド軸45に沿って移動させる駆動部材41は、駆動モータ60と、駆動モータ60によって回転されるリードスクリュー61と、リードスクリュー61を支持する軸受けホルダ62とを有する。軸受けホルダ62は、相対向する側壁63,64を有し、一方の側壁63は駆動モータ60のモータハウジングと接続され、他方の側壁64はリードスクリュー61の先端を支持する軸受け部となる。
【0043】
かかる駆動部材41は、軸受けホルダ62の両側壁63,64間を結ぶ底部65に位置決め孔が穿設され、この位置決め孔にピックアップベース2に凸設された凸部を挿通させることによりピックアップベース2上における位置決めが図られる。そして、駆動部材41は、ピックアップベース2上において位置決めされた後、ビスによって固定される。
【0044】
また、駆動部材41は、リードスクリュー61に、保持アーム40に取り付けられた連結部材42が咬合され、これにより保持アーム40と連結される。この連結部材42は、略矩形上の板バネからなり、一端が保持アーム40に取り付けられるとともに、他端がラック部材70を介してリードスクリュー61に咬合されることにより、保持アーム40と駆動部材41とを連結させるとともに、保持アーム40にガイドレール50側への付勢力を付与し、かつラック部材70にリードスクリュー61側への付勢力を付与するものである。
【0045】
連結部材42は、一端42aにビス49が挿通される図示しない挿通孔と保持アーム40の上面に形成されている凸部48が挿通する図示しない位置決め孔とが穿設されている。そして、連結部材42は、位置決め孔に凸部48が挿通されることにより保持アーム40上における位置決めが図られ、保持アーム40の上面に形成された取付孔と挿通孔とが連続される。次いで、連結部材42は、挿通孔にビス49が挿通されることにより保持アーム40の上面に取り付けられる。
【0046】
また、連結部材42は、他端42bに、リードスクリュー61と咬合するラック部材70が取り付けられている。具体的に、連結部材42は、他端42bの両側に切り欠き部が形成され、この切り欠き部にラック部材70の係合片74が嵌合されている。
【0047】
かかる連結部材42は、保持アーム40及び駆動部材41がピックアップベース2に取り付けられる前の初期状態において、長手方向の略中間を境に略へ字状に屈折されており、図7に示すように、保持アーム40及び駆動部材41がピックアップベース2に取り付けられると略面一に延伸される。これにより、連結部材42は、両端42a,42bを下方に付勢する付勢力が作用し、保持アーム40をガイドレール50側へ付勢し、かつラック部材70をリードスクリュー61側へ付勢する。
【0048】
すなわち、連結部材42は、略面一に延伸されると、屈折部が上方に弾性復帰しようとする力が働くが、保持アーム40のガイド部46に挿通するガイド軸45がピックアップベース2に設けられた軸受け部51,51及び板バネ52に保持されることによって、弾性復帰が規制される。かかる連結部材42の付勢力は、保持アーム40及びラック部材70に対してそれぞれ下方に向かって作用する。これにより、保持アーム40は、ガイドレール50に係合している係合部43の凹部の上面がガイドレール50に押しつけられ、係合部43の近傍に装着されている第1のコリメータレンズ26の揺動が防止されて、所定の位置に正確に支持される。またラック部材70は、リードスクリュー61に付勢され、確実に咬合される。
【0049】
次いで、連結部材42の他端42bに取り付けられているラック部材70について説明する。図8に示すように、ラック部材70は、全体が略矩形の板状体をなし、リードスクリュー61と対峙する一面70a側に、咬合歯71がリードスクリュー61の長手方向に沿って、リードスクリュー61の溝間隔に対応して間欠的に複数立設されている。咬合歯71は、先端面72が、一面70aの中央から両側に向かって高さを増す円弧状に形成されている。また咬合歯71は、円弧状に形成された先端面72の曲率半径が、リードスクリュー61の曲率半径よりも大きく形成されている。すなわち、ラック部材70の咬合歯71は、先端面72がリードスクリュー61の軸部61aの外周方向と略同方向の円弧状をなし、かつリードスクリュー61よりも曲率半径が大きく形成されている。
【0050】
これにより、ラック部材70は、咬合歯71がリードスクリュー61と咬合することにより、軸方向と直交する図7及び図9中矢印d方向への揺動に対する耐性を向上させ、咬合信頼性を維持して、咬合歯71がリードスクリュー61のねじ山を飛び越えるいわゆる歯飛びを防止することができる。すなわち、咬合歯71は、先端面72がリードスクリュー61の軸部61aと同方向に湾曲していることから、咬合歯側面73とリードスクリュー61のねじ山との接触可能面積が拡大され、ラック部材70が矢印d方向へ揺動した場合にも、咬合歯側面73とリードスクリュー61のねじ山との接触面積は減少せず、リードスクリュー61との咬合を維持することができる。
【0051】
このように、ラック部材70は、咬合歯71とリードスクリュー61との咬合信頼性を維持することができることから、図9中矢印d方向への揺動に備えて、連結部材42によるラック部材70のリードスクリュー61への付勢力を高める必要がない。したがって、駆動モータ60は、低トルクで連結部材42及び保持アーム40を搬送させることができ、小型の駆動モータを用いることで、光ピックアップ装置1全体の小型化、軽量化を図ることができる。
【0052】
なお、ラック部材70は、咬合歯71の先端面72の曲率半径をリードスクリュー61の軸部61aの曲率半径よりも大きくしているため、リードスクリュー61の軸部61aとの接触面積が小さく、部品精度誤差や連結部材42の揺動に際してもスムーズな動作を確保することができる。一方、リードスクリュー61の軸部61aと曲率半径を同じかこれよりも小さく形成した場合には、咬合歯がリードスクリューの軸部に沿って広範に接触してしまい、部品精度誤差や使用時における揺動や撓みなどでスムーズな動作が阻害され、移動に要するトルクが過大となり、駆動モータ及び光ピックアップ装置の大型化につながるおそれもある。
【0053】
また、咬合歯71は、先端面72がリードスクリュー61の軸部61aの径よりも幅広に形成され、かつ、先端面72の両端部72a,72aが直線状に形成されている。すなわち、咬合歯71の先端面72は、リードスクリュー61の軸部61aと対峙する部分が、当該軸部61aよりも湾曲が緩やかな円弧状をなし、両端部72a,72aが直線状をなす。これにより咬合歯71は、両端部まで円弧状に形成されている場合に比して、先端面72の矢印d方向に亘る全長が延びることから、咬合歯側面73とリードスクリュー61のねじ山とが広範囲に接触して咬合を維持することができるラック部材70の揺動距離を拡大させることができる。すなわち、ラック部材70は、より大きな矢印d方向への揺動に対しても、リードスクリュー61との咬合を維持することができる。
【0054】
図10に、ラック部材70の咬合歯側面73とリードスクリュー61のねじ山との接触可能範囲の一例を示す。ラック部材70の咬合歯71がリードスクリュー61に理想的に接触した場合の、当該理想接点Pにおける曲率円C1を想定し、当該曲率円C1の中心Oと当該理想接点Pを結ぶ直線の前後に亘って曲面角度θを設定する。この曲面角度θ、及び曲面角度θにおける曲率半径R1とリードスクリュー61の理想接点Pでの曲率半径R2との比(R1/R2)は、小型化を図るピックアップベース2及び光学素子移動ユニット3に用いられる駆動モータ60のトルクによっても十分に保持アーム40の搬送が可能となる咬合歯側面73とリードスクリュー61のねじ山との接触可能範囲や、連結部材42の付勢力及びその付勢方向等を考慮して決定される。
【0055】
図10においては、±30°の範囲を曲面角度範囲とし、その両側に直線状の両端部72a,72aを形成している。そして、この図10に示すラック部材70の咬合歯71の曲率半径R1に、リードスクリュー61の理想接点Pとねじ山頂部との径方向の距離を加えた値を半径として、曲率円C1の曲率中心Oを中心に円C2を描くと、この円C2の内部とラック部材70の咬合歯側面73とが重なる斜線領域が、咬合歯側面73とリードスクリュー61のねじ山との最大接触可能範囲となる。そして、この接触可能範囲を用いて上述の曲面角度θ等が決定される。なお、図10に記載した接触可能範囲は、ラック部材70が揺動しても、リードスクリュー61と咬合歯71との接触が先端面72の円弧状に湾曲された領域内に収まること想定している。
【0056】
このように、ラック部材70は、咬合歯側面73とリードスクリュー61のねじ山との接触可能範囲が拡大されることで、連結部材42が揺動しても歯飛びが防止され、保持アーム40をスムーズに搬送することができる。
【0057】
次いで、かかる光学素子移動ユニット3のピックアップベース2への取付工程について説明する。光学素子移動ユニット3は、ピックアップベース2への取り付け前においては、図6に示すように、保持アーム40のレンズ保持部44に第1のコリメータレンズ26が装着されるとともに、ガイド部46にガイド軸45が挿通されている。また保持アーム40は、上面に形成された凸部48に位置決め孔が挿通されることにより連結部材42が載置され、連結部材42の挿通孔を挿通したビス49が取付孔に係合することにより連結部材42が接続されている。また、連結部材42は、初期状態において、ガイド部46より張り出した位置より長手方向の他端42b側が保持アーム40の下面側、すなわちピックアップベース2側に屈折されている。
【0058】
かかる光学素子移動ユニット3は、まず駆動部材41の駆動モータ60及び軸受けホルダ62がピックアップベース2に取り付けられる。このとき、駆動部材41は、軸受けホルダ62の一方の側壁63に駆動モータ60のモータハウジングが接続され、他方の側壁64でリードスクリュー61の先端を支持している。そして、駆動部材41は、軸受けホルダ62の底部65をビス止めすることによりピックアップベース2上に固定される。なお、駆動モータ60にはフレキシブルプリント板が接続され、このフレキシブルプリント板を介してピックアップベース2に配設された回路基板と接続される。
【0059】
次いで、図11に示すように、連結部材42が接続された保持アーム40を取り付ける。まず、保持アーム40の一端40aに形成された係合部43の係合端となる凹面を、ピックアップベース2のガイドレール50に係合させる。この状態で、保持アーム40の他端40bを挿通するガイド軸45の両端を、ピックアップベース2に形成された一対の軸受け部51,51に挿入し、板バネ52によって軸受け部51,51を閉塞する。
【0060】
これにより保持アーム40は、一端40aをピックアップベース2のガイドレール50に支持され、他端40bをピックアップベース2に取り付けられたガイド軸45に支持され、光学系19の光軸方向と平行に移動可能とされる。また連結部材42は、他端42bに接続されているラック部材70の咬合歯71がリードスクリュー61に咬合し、保持アーム40と駆動部材41とを連結する。
【0061】
また、このとき、初期状態において屈折していた連結部材42は、略面一に延伸されることから、ピックアップベース2に固定されているガイド軸45を支点として、保持アーム40及びラック部材70をそれぞれピックアップベース2側に付勢する。すなわち、光学素子移動ユニット3は、連結部材42の一端42a側が下方に付勢することにより、係合部43がガイドレール50に付勢されることから、保持アーム40がガイドレール50及びガイド軸45によってがたつくことなく支持される。また、光学素子移動ユニット3は、連結部材42の他端42b側が下方に付勢することにより、ラック部材70がリードスクリュー61に付勢されることから、咬合歯71とリードスクリュー61とが確実に咬合される。
【0062】
また、光学素子移動ユニット3がピックアップベース2に取り付けられることにより、保持アーム40の一端40a側に保持されている第1のコリメータレンズ26は、光学系19の光路内に光学系19の光軸との光軸を合わせて支持される。このとき、第1のコリメータレンズ26は、ピックアップベース2に形成されたガイドレール50に係合されている係合部43の近傍に保持されていることから、光学系19の光路内における位置精度が高まり、また駆動部材41によって保持アーム40が光軸方向に移動したときにも、移動位置の精度を良好に保つことができる。
【0063】
次いで、かかる光学素子移動ユニット3がピックアップベース2に搭載された光ピックアップ装置1の動作について説明する。光ピックアップ装置1は、光ビームが照射される光ディスク102の記録層に応じて、第1のコリメータレンズ26をその光軸方向に移動させ、この第1のコリメータレンズ26から出射させる光ビームの発散角を調整する。具体的に、光学素子移動ユニット3は、駆動モータ60によってリードスクリュー61を正転あるいは逆転させることにより、ラック部材70及び連結部材42を介して保持アーム40をガイドレール50及びガイド軸45に沿って移動させ、光学系19の光軸方向の光軸方向に移動させる。
【0064】
このとき、リードスクリュー61と咬合するラック部材70の咬合歯71は、円弧状に形成された先端面72の曲率半径がリードスクリュー61の曲率半径よりも大きく形成され、先端面72がリードスクリュー61の軸部61aよりも緩やかに湾曲していることから、咬合歯側面73とリードスクリュー61のねじ山との接触可能な面積が拡大されている。したがって、光学素子移動ユニット3は、ラック部材70が連結部材42の延設方向である矢印d方向へ揺動した場合にも、咬合歯側面73とリードスクリュー61のねじ山との接触面積が減少せず、リードスクリュー61との咬合を維持することができる。
【0065】
特に、光学素子移動ユニット3では、連結部材42を板バネで構成し、かつ保持アーム40及びラック部材70に付勢力を付与すべく初期状態において屈折している連結部材42を延伸させて取り付けているため、連結部材42には常時、弾性復帰しようとする力が作用している。したがって、光ピックアップ装置1や、これを用いた電子機器が揺動することにより連結部材42が揺動した場合に、ラック部材70がリードスクリュー61の軸線方向と直交する矢印d方向に揺動する可能性もあるが、光学素子移動ユニット3は、咬合歯71の先端面72の曲率半径をリードスクリュー61の軸部61aの曲率半径より大きくすることで、揺動時における咬合歯71とリードスクリュー61のねじ山との接触可能面積を拡大していることから、咬合信頼性を維持することができ、いわゆる歯飛びを防止することができる。
【0066】
また、このように咬合歯71とリードスクリュー61との咬合が確保されていることから、連結部材42によってラック部材70をリードスクリュー61へ強く付勢させる必要がないため、光学素子移動ユニット3は、駆動モータ60によるトルクを上げることなくスムーズに保持アーム40を光軸方向に移動させることができる。したがって、光学素子移動ユニット3は、駆動モータ60を低トルクで済む小型のモータで構成することができ、光ピックアップ装置1の小型化、軽量化を図ることができる。
【0067】
さらに、光学素子移動ユニット3は、ラック部材70の先端面72の両端部72a,72aが直線状に形成されていることから、先端面72の矢印d方向に亘る全長が延びて、咬合歯側面73とリードスクリュー61のねじ山とが広範囲に接触して咬合を維持することができるラック部材70の揺動距離を拡大されている。したがって、連結部材42が大きく揺動した場合にも、ラック部材70とリードスクリュー61の軸部61aとの咬合を維持することができる。
【0068】
以上、本発明が適用された光学素子移動ユニット3が搭載された光ピックアップ装置1について説明したが、本発明は、連結部材42を板バネによって形成するほか、例えば捩りコイルバネを用いることもできる。この場合も、捩りコイルバネの一端は保持アーム40をガイドレール50側に付勢し、他端はラック部材70が取り付けられリードスクリュー61側に付勢する。
【0069】
また、連結部材42は、保持アーム40側のみを付勢するように形成することもできる。この場合、ラック部材70は保持アーム40に別に設けた支持部材に取り付けられ、この支持部材を介してリードスクリュー61に咬合される。同様に、連結部材42は、ラック部材70側のみを付勢するように形成することもできる。
【0070】
また、光ピックアップ装置1は、第1のコリメータレンズ26を光軸方向に沿って移動させる光学素子移動ユニット3を搭載したが、この光学素子移動ユニット3に換えて、あるいは光学素子移動ユニット3とともに、第2のコリメータレンズ34を移動させる光学素子移動ユニットを搭載してもよい。この場合、第2のコリメータレンズ34を移動させる光学素子移動ユニットは、上記光学素子移動ユニット3と同様の構成を有し、記録又は再生を行う光ディスク102の種類に応じて出射される光ビームの波長や、光ビームを照射させる記録層に応じて第2のコリメータレンズ34を光軸方向に移動させる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明が適用された光ディスク装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】本発明を適用した光ピックアップ装置の光ディスクに対向する面側を示す斜視図である。
【図3】本発明を適用した光ピックアップ装置を構成する対物レンズを保持するレンズホルダ及びレンズホルダを駆動する支持体を示す平面図である。
【図4】本発明を適用した光ピックアップ装置の光路を示す図である。
【図5】本発明を適用した光ピックアップ装置の光ディスクに対向する面と反対側の面側を示す斜視図である。
【図6】光学素子移動ユニットを示す斜視図である。
【図7】ピックアップベースに取り付けられた光学素子移動ユニットを示す断面図である。
【図8】ラック部材を示す斜視図である。
【図9】リードスクリューに咬合しているラック部材を示す断面図である。
【図10】リードスクリューのねじ山とラック部材の咬合歯側面との接触可能範囲を説明するための図である。
【図11】ピックアップベースに取り付けられた光学素子移動ユニットを示す斜視図である。
【符号の説明】
【0072】
1 光ピックアップ装置、2 ピックアップベース、3 光学素子移動ユニット、19 第1の光学系、26 第1のコリメータレンズ、40 保持アーム、41 駆動部材、42 連結部材、43 係合部、44 レンズ保持部、45 ガイド軸、46 ガイド部、50 ガイドレール、51 軸受け部、52 板バネ、60 駆動モータ、61 リードスクリュー、70 ラック部材、71 咬合歯、72 先端面、73 咬合歯側面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学素子を保持する保持アームと、上記保持アームを移動させる駆動モータ及び該駆動モータによって回転されるリードスクリューを有する駆動部材の上記リードスクリューとを連結し、上記駆動モータの動力を上記保持アームに伝達するラック部材であって、
上記リードスクリューと咬合する咬合歯の先端面の曲率半径が、該リードスクリューの曲率半径よりも大きく形成されていることを特徴とするラック部材。
【請求項2】
上記咬合歯は、上記リードスクリューの径よりも幅広に形成され、両端部の先端面が直線状に形成されていることを特徴とする請求項1記載のラック部材。
【請求項3】
一端が上記保持アームに取り付けられた付勢部材の他端に支持されることにより、上記リードスクリューに付勢されていることを特徴とする請求項1記載のラック部材。
【請求項4】
少なくとも光源及び上記光源から出射された光ビームを光記録媒体に導く光学系とが設けられたベース部材と、上記ベース部材に取り付けられることにより光学素子を上記光学系の光路内に上記光ビームの光軸方向に沿って移動自在に支持する光学素子移動ユニットとを備えた光ピックアップにおいて、
上記光学素子移動ユニットは、
上記光学素子を保持するとともに、一端に上記ベース部材に設けられたガイドレールに係合する係合部が形成され、他端に上記ベース部材に上記光軸方向に沿って支持されたガイド軸が挿通されているガイド部が形成された保持アームと、
上記保持アームを駆動する駆動モータ及び該駆動モータによって回転されるリードスクリューを有する駆動部材と、
上記リードスクリューに咬合する咬合歯の先端面の曲率半径が該リードスクリューの曲率半径よりも大きく形成されたラック部が形成され、上記保持アームに取り付けられることにより上記保持アームと上記駆動部材とを連結する連結部材とを有する光ピックアップ。
【請求項5】
上記咬合歯は、上記リードスクリューの径よりも幅広に形成され、両端部の先端面が直線状に形成されていることを特徴とする請求項4記載の光ピックアップ。
【請求項6】
上記連結部材は、一端が上記保持アームに取り付けられ、他端に上記ラック部が設けられ、該ラック部を上記リードスクリューに付勢する付勢部材からなることを特徴とする請求項4記載の光ピックアップ。
【請求項7】
上記連結部材は、初期状態において屈折し、上記ベース部材に取り付けられることにより延伸され、上記ラック部を上記リードスクリューに付勢することを特徴とする請求項6記載の光ピックアップ。
【請求項8】
上記連結部材は、上記保持アームの上記係合部を上記ガイドレールに付勢することを特徴とする請求項7記載の光ピックアップ。
【請求項9】
光ディスクを保持して回転駆動するディスク回転駆動手段と、上記ディスク回転駆動手段によって回転される上記光ディスクに対し光ビームを照射することにより情報信号の記録及び/又は再生を行う光ピックアップとを有する光ディスク装置において、
上記光ピックアップは、
少なくとも光源及び上記光源から出射された光ビームを上記光ディスクに導く光学系とが設けられたベース部材と、上記ベース部材に取り付けられることにより光学素子を上記光学系の光路内に上記光ビームの光軸方向に沿って移動自在に支持する光学素子移動ユニットとを備えた光ピックアップであって、
上記光学素子移動ユニットは、
上記光学素子を保持するとともに、一端に上記ベース部材に設けられたガイドレールに係合する係合部が形成され、他端に上記ベース部材に上記光軸方向に沿って支持されたガイド軸が挿通されているガイド部が形成された保持アームと、
上記保持アームを駆動する駆動モータ及び該駆動モータによって回転されるリードスクリューを有する駆動部材と、
上記リードスクリューに咬合する咬合歯の先端面の曲率半径が該リードスクリューの曲率半径よりも大きく形成されたラック部が形成され、上記保持アームに取り付けられることにより上記保持アームと上記駆動部材とを連結する連結部材とを有する光ディスク装置。
【請求項1】
光学素子を保持する保持アームと、上記保持アームを移動させる駆動モータ及び該駆動モータによって回転されるリードスクリューを有する駆動部材の上記リードスクリューとを連結し、上記駆動モータの動力を上記保持アームに伝達するラック部材であって、
上記リードスクリューと咬合する咬合歯の先端面の曲率半径が、該リードスクリューの曲率半径よりも大きく形成されていることを特徴とするラック部材。
【請求項2】
上記咬合歯は、上記リードスクリューの径よりも幅広に形成され、両端部の先端面が直線状に形成されていることを特徴とする請求項1記載のラック部材。
【請求項3】
一端が上記保持アームに取り付けられた付勢部材の他端に支持されることにより、上記リードスクリューに付勢されていることを特徴とする請求項1記載のラック部材。
【請求項4】
少なくとも光源及び上記光源から出射された光ビームを光記録媒体に導く光学系とが設けられたベース部材と、上記ベース部材に取り付けられることにより光学素子を上記光学系の光路内に上記光ビームの光軸方向に沿って移動自在に支持する光学素子移動ユニットとを備えた光ピックアップにおいて、
上記光学素子移動ユニットは、
上記光学素子を保持するとともに、一端に上記ベース部材に設けられたガイドレールに係合する係合部が形成され、他端に上記ベース部材に上記光軸方向に沿って支持されたガイド軸が挿通されているガイド部が形成された保持アームと、
上記保持アームを駆動する駆動モータ及び該駆動モータによって回転されるリードスクリューを有する駆動部材と、
上記リードスクリューに咬合する咬合歯の先端面の曲率半径が該リードスクリューの曲率半径よりも大きく形成されたラック部が形成され、上記保持アームに取り付けられることにより上記保持アームと上記駆動部材とを連結する連結部材とを有する光ピックアップ。
【請求項5】
上記咬合歯は、上記リードスクリューの径よりも幅広に形成され、両端部の先端面が直線状に形成されていることを特徴とする請求項4記載の光ピックアップ。
【請求項6】
上記連結部材は、一端が上記保持アームに取り付けられ、他端に上記ラック部が設けられ、該ラック部を上記リードスクリューに付勢する付勢部材からなることを特徴とする請求項4記載の光ピックアップ。
【請求項7】
上記連結部材は、初期状態において屈折し、上記ベース部材に取り付けられることにより延伸され、上記ラック部を上記リードスクリューに付勢することを特徴とする請求項6記載の光ピックアップ。
【請求項8】
上記連結部材は、上記保持アームの上記係合部を上記ガイドレールに付勢することを特徴とする請求項7記載の光ピックアップ。
【請求項9】
光ディスクを保持して回転駆動するディスク回転駆動手段と、上記ディスク回転駆動手段によって回転される上記光ディスクに対し光ビームを照射することにより情報信号の記録及び/又は再生を行う光ピックアップとを有する光ディスク装置において、
上記光ピックアップは、
少なくとも光源及び上記光源から出射された光ビームを上記光ディスクに導く光学系とが設けられたベース部材と、上記ベース部材に取り付けられることにより光学素子を上記光学系の光路内に上記光ビームの光軸方向に沿って移動自在に支持する光学素子移動ユニットとを備えた光ピックアップであって、
上記光学素子移動ユニットは、
上記光学素子を保持するとともに、一端に上記ベース部材に設けられたガイドレールに係合する係合部が形成され、他端に上記ベース部材に上記光軸方向に沿って支持されたガイド軸が挿通されているガイド部が形成された保持アームと、
上記保持アームを駆動する駆動モータ及び該駆動モータによって回転されるリードスクリューを有する駆動部材と、
上記リードスクリューに咬合する咬合歯の先端面の曲率半径が該リードスクリューの曲率半径よりも大きく形成されたラック部が形成され、上記保持アームに取り付けられることにより上記保持アームと上記駆動部材とを連結する連結部材とを有する光ディスク装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−26409(P2009−26409A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−190060(P2007−190060)
【出願日】平成19年7月20日(2007.7.20)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年7月20日(2007.7.20)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
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