ラテックス又は擬似ラテックス組成物のコーティング物及びコーティング方法
【課題】多くの薬剤に対して浸透性、放出速度が優れ、且つ添加剤の小量の添加で基材からの薬剤の放出量及び放出速度の調節が可能なラテックス又は擬似ラテックス組成物、被覆基材及びフィルムの製造方法及び使用法を提供する。
【解決手段】(i)少なくとも一つのラテックス又は擬似ラテックス水不溶性フィルム形成剤、(ii)少なくとも一つの浸透促進剤及び所望により、(iii)一つ以上の可塑剤からなる組成物、並びにこれを被覆した被覆基材及びフィルムの製造方法及び使用法。
【解決手段】(i)少なくとも一つのラテックス又は擬似ラテックス水不溶性フィルム形成剤、(ii)少なくとも一つの浸透促進剤及び所望により、(iii)一つ以上の可塑剤からなる組成物、並びにこれを被覆した被覆基材及びフィルムの製造方法及び使用法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラテックス又は擬似ラテックス組成物に関する。本発明は又ラテックス又は擬似ラテックス組成物で被覆された基材、ラテックス又は擬似ラテックス組成物からつくられたフィルム及びそのような組成物、被覆基材及びフィルムの製造方法及び使用法に関する。
【背景技術】
【0002】
ラテックス又は擬似ラテックス水不溶性フィルム形成剤で被覆したフィルム又は基材から薬剤の放出を調節するための組成物を与えるために、そのような擬似ラテックス又はラテックスフィルムの障壁効率は製造の再現性問題を起こすのに十分な低いレベルにコーティング量を制限するほどに大きい場合がある。
【0003】
相溶性浸透促進剤の添加は、可塑剤の付加量や選択について妥協することなしに、擬似ラテックス又はラテックスフィルムの浸透性を増大させる。得られた知見に基づいて、例えば、アクアコート(Aquacoat)ECD−被覆投与形の最適化はかなり容易にすることができる。所望の膜の性質(特に薬剤浸透性)は容易に調節することができる。
【0004】
ポリマー状フィルム被覆は、薬剤投与形から薬剤の放出速度をコントロールするためにしばしば使用される。エチルセルロースは、良好な口腔生体適合性及びフィルム形成特性を示すので、この目的のために好適なポリマーである。しかしながら、エチルセルロースの連続フィルムは多くの薬剤に対して浸透性が乏しく(非特許文献1)、低い放出速度を示す。この制限を克服するために、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)が、薬剤放出を加速させる細孔形成剤として提案されてきた(非特許文献2)。しかしながら、比較的量が多いことが必要でそしてコーティング分散液中のHPMCの存在は凝結を引き起こす。
【0005】
【非特許文献1】Slepmann,J.et.al(1999)J.Controlled Release 60:379−389
【非特許文献2】Frohoff−Huelsmann,M.et.al(1999)Int.J.Pharm.177:69−82
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、多くの薬剤に対して浸透性、放出速度が優れ、且つ添加剤の小量の添加のみで基材からの薬剤の放出量及び放出速度の調節が可能なラテックス又は擬似ラテックス組成物、被覆基材及びフィルムの製造方法及び使用法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、(i)少なくとも一つのラテックス又は擬似ラテックス水不溶性フィルム形成剤、(ii)少なくとも一つの浸透促進剤及び所望により、(iii)一つ以上の可塑剤からなる組成物である。本発明はまた、本発明の組成物で被覆した基材、その組成物からつくられたフィルム及びそのような組成物、被覆した基材及びフィルムの製造方法及び使用方法である。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、多くの薬剤に対して浸透性、放出速度が優れ、且つ添加剤の小量の使用のみで基材からの薬剤の放出量及び放出速度の調節が可能なラテックス又は擬似ラテックス組成物、被覆基材及びフィルムの製造方法及び使用法が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明は、ラテックス又は擬似ラテックス水不溶性フィルム形成剤のフィルムで被覆したフィルム又は基材からの薬剤の放出の調節を可能にする組成物に関する。ラテックス又は擬似ラテックス水不溶性フィルム形成剤への浸透促進剤の添加は薬剤の放出速度の調節方法を提供する。
【0010】
ここで使用するときは、“ラテックス又は擬似ラテックス水不溶性フィルム形成剤”とは、水不溶性ポリマーの群が、水溶液分散物中に細かく分散するときに凝集してフィルム又はフィルムコーティング物を形成できることを意味している。
擬似ラテックスは予備発泡したポリマーを乳化させることによってつくられる。例えば、エチルセルロースの擬似ラテックスはポリマーを適切な溶媒に溶解させ、そしてラウリル硫酸ナトリウムのような乳化剤、及びセチルアルコールのような安定剤を使用して、有機相を水中に導入してエマルジョンを形成させることによってつくられる。均一化の後、溶媒を真空蒸留によって除去し、水中にエチルセルロースの約30%固体分散物を残す。
【0011】
ラテックスは、アニオン性又は非イオン性界面活性剤の水溶液媒体中で通常乳化するモノマー又はモノマーブレンド物の重合によってつくられる。そのプロセスは、フリーラジカルの、アニオン性又はカチオン性重合メカニズムによって機能する開始剤の添加を必要とする。ポリマーラテックスの粒子サイズは典型的にはサブミクロンである。
【0012】
本発明に従ったラテックス又は擬似ラテックスフィルム形成剤としては、例えば、エチルセルロースのような不溶性コポリマー、アクリレート及びメタクリレートコポリマー、水不溶性セルロース誘導体、酢酸セルロース、フタル酸酢酸セルロースを包含する。
【0013】
ラテックス又は擬似ラテックス水不溶性フィルム形成剤は乾燥基準で、50重量%以上、60重量%以上、65重量%以上、70重量%以上、75重量%以上、85重量%以上、90重量%以上の量で存在する。
【0014】
フィルムは薬剤(医薬品の活性成分)の放出速度をコントロールするために医薬品調合に適用される。従来、フィルムベースの組成物であるポリマー物質は有機溶媒中に溶解しそしてフィルムコーティングのプロセスに適用される。しかしながら、環境上及び安全上の問題から、水溶液フィルムコーティング組成物が、有機溶媒の使用を避けるために使用されてきた。
【0015】
薬剤の放出速度をコントロールできそして強い保湿能力をもった水溶液コーティング組成物の一つはエチルセルロース分散物で、それはFMCコーポレーション社からアクアコート(商標)ECDとして市販されておりユナイテッドステーツナショナルフォーミュラリー及びハンドブックオブジャパニーズエキシピエンツに水溶液エチルセルロース分散物として論述されている。
【0016】
しかしながら、背景として、擬似ラテックス又はラテックスフィルムの障壁特性はフィルム厚み又は被覆量、可塑剤の量及び種類、及び擬似ラテックス又はラテックス粒子のフィルム中の凝集度(それは時間、温度及び湿度の従属する)に依存する。水溶性擬似ラテックス又はラテックスフィルムコーティングプロセスの最適化及びスケールアップは複雑である。部分的に凝集したフィルムはより早い放出速度を与えるが、しかし凝集が標準保存条件下でなおゆっくりと進むときは、放出速度は時間に対して安定ではない。もし完全に凝集した障壁特性が過剰なら厚み又は被覆量は減少するが、しかしこれは、低被覆量又は高被覆量の適用の精度が低いこと又は薄いフィルムの欠陥衝撃によって首尾一貫しない放出速度の問題を引き起こす。可塑剤を変えることは放出速度を変えるがしかし、もし最も早い放出を与える可塑剤のレベル又は種類がフィルム特性の観点で最適でないなら、またフィルムの機械的性質に影響を与えるであろう。許容できる可塑剤の制限された数はまた国際的に許容できるものが少ないので、或る領域で規制問題を起こすであろう。放出速度を増加させるために水溶性又は親水性物質を単純に添加することは、フィルムの引き続く凝集を防ぐ擬似ラテックス又はラテックスの不安定化により、放出速度の不均衡で激変的な増加を与えるであろう。この効果は、即放性用途における擬似ラテックス又はラテックスの湿分障壁及び曲線追随特性を利用するために、アクアコート(商標)ECDの分散物にヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)のような水溶性ポリマーの添加によって利用される。複雑な最適化を解決した、コントロールされ、維持され又は修正された放出用途のためには、再現性とスケールアップの大きな問題を引き起こすゼロか又は全てかの放出挙動に直面することになる。
【0017】
本発明は上述の問題点を解決する目的でなされそしてその目的濃度に依存するように擬似ラテックス又はラテックスフィルムからの薬剤の放出速度を増加させる相溶性浸透促進剤組成物をあたえること、つまりフィルムの厚み又は被覆量の減少を必要とせずまた可塑剤の選択に拘わらず放出速度の調節方法を与えることである。ラテックス又は擬似ラテックス粒子は、スプレーの前又は過程で分散物中で不安定化しない(例えば、凝集、フロック化又は凝結化しない)事が必須である。不安定化すると基材表面上に粒子を最密充填してフィルム状に焼結又は合体することを必要とするフィルム形成メカニズムを妨害する。驚くべきことに、ポリマーの添加に対して擬似ラテックス又はラテックス分散物の相溶性がないことが広範囲で報告されてきたにも拘らず、いくつかの材料は擬似ラテックス又はラテックス分散物のフロック化、凝結又は凝集を引き起こさず、また擬似ラテックス又はラテックスフィルム形成に望ましくない干渉を起こさないことが証明された。
【0018】
或る浸透促進剤は、擬似ラテックス又はラテックス分散を不安定化しそして擬似ラテックス又はラテックスフィルム又は被覆物の障壁特性を破壊しないで、擬似ラテックス又はラテックスフィルムからの薬剤放出速度を増加させることができる。ここで使用されるときは、“浸透促進剤”とは、ラテックス又は擬似ラテックス水不溶性フィルム形成剤の水溶液分散物を不安定化させない、ポリマー、塩及び砂糖のような物質群を意味する。そのような浸透促進剤の例としては、限定はしないが、カラギーナン(例えば、カッパー、ラムダ、カッパー2及びイオーター)、プロピレングリコールアルギネート、デンプン、サクロース、ラクトース、マンニトール、ソルビトール、グルコース、ポリ(エチルアクリレート、メチルメタクリレート)(ユードラギット(商標)NE30D)、ポリメタクリレート、メタクリル酸コポリマー、ポリ酢酸ビニル、燐酸塩、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール−ポリエチレングリコールコポリマー(コリコート(商標)IR、BASF)、ポリビニルアルコール、微結晶質セルロース、微結晶質セルロース−カラギーナン、フタル酸酢酸セルロース、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウム/カルシウム、アルギン酸マグネシウム、アルギン酸アンモニウム、ナトリウムデンプングリコレート、クロスカーメローズ、デンプン、サクローズ、ラクトース、マンニトール、ソルビトール、グルコース、燐酸水素カルシウム、燐酸水素ジナトリウムを包含する。本発明の好ましい浸透促進剤としては、プロピレングリコールアルギネート、デンプン、カラギーナン又はポリビニルアルコール−ポリエチレングリコールコポリマー(コリコート(商標)IRとしてBASFから市販されている)が包含される。浸透促進剤は擬似ラテックス又はラテックス粒子に対して50%以下のレベルで存在することができる。そのレベルが高くなると、擬似ラテックス又はラテックスフィルム又は被覆物の水取り込みが多くなり、そして薬剤の放出速度が高くなる。
【0019】
浸透促進剤はラテックス又は擬似ラテックス組成物の30重量%以下の量で存在し、そして所望により、該ラテックス又は擬似ラテックス組成物の25重量%、20重量%、15重量%、10重量%、5重量%、3重量%又は1重量%以下を含んでいてもよい。ラテックス又は擬似ラテックス組成物は好ましくは少なくとも0.5重量%の浸透促進剤を含む。
【0020】
本発明においては、薬剤は人間又は動物の疾患の治療、防止及び診断のために使用される物質を意味する。例えば、それらは以下の物質を包含する。特に、それらは抗−癲癇剤(例:フェニトイン、アセチルフェネチュリド、トリメタジオン、フェノバービタル、ピリミドン、等々)、解熱−鎮痛―抗炎症剤(例:アセトミノフェン、フェニルアセチルグリシンメチルアミド、メフェナミン酸、ジクロフェナックナトリウム、フロクタフェニン、アスピリン、アスピリンアルミニウム、エテンズアミド、オキシフェンブタゾン、スルピリン、フェニルブタゾン、イブプロフェン、アルクロフェナック、ナプロキセン、ケトプロフェン、チノリジンヒドロクロライド、ベンジドアミンヒドロクロライド、チアルアミドヒドロクロライド、インドメタシン、ピロキシカム、サリチルアミド、等々)、抗眩暈剤(例:ジメンヒドリネート、メクリジンヒドロクロライド、ジフェントインヒドロクロライド、等々)、麻酔剤(例:オピウムアルカロイドヒドロクロライド、エチルモルフィンヒドロクロライド、コデインフォスフェート、ジヒドロコデインフォスフェート、オキシメテバノール、等々)、抗精神剤(例:クロプロマジンヒドロクロライド、レボメプロマジンマレエート、ペラジンマレエート、プロペリシアジン、ペルフェナジン、クロロプロチキセン、ハロペリドール、ジアゼパム、オキサゼパム、オキサゾラム、メキサゾラム、アルプラゾラム、ゾテパイン、等々)、筋肉弛緩剤(例:クロルゾキサゾン、クロルフェネシンカルバメート、クロルメザノン、プリジノールメシレート、エペリゾンヒドロクロライド、等々)、自律神経活性剤(例:ベタネコルヒドロクロライド、ネオスチミンブロマイド、ピリドスチミンブロマイド、等々)、抗痙攣剤(例:アトロピンサルフェート、ブトロピウムブロマイド、ブチルスコポルアンモニウムブロマイド、プロパンテリンブロマイド、パパベリンヒドロクロライド、等々)、抗パーキンソン病剤(例:ビペリデンヒドロクロライド、トリヘキシフェニジルヒドロクロライド、アマンタジンヒドロクロライド、レボドーパ、等々)、目薬(例:ジクロロフェナミド、メタゾルアミド、等々)、抗ヒスタミン剤(例:ジフェンヒドラミンヒドロクロライド、ジクロロフェニラミンマレエート、d−クロルフェニラミンマレエート、プロメタジン、メクイタジン、クレマスチンフマレート、等々)、心臓薬(アミノフィリン、カフェイン、ジ−イソプロテレノールヒドロクロライド、エチレフリンヒドロクロライド、ノルフェネフリンヒドロクロライド、ユビデカレノン、等々)、抗不整脈剤(例:プロカインアミドヒドロクロライド、ピンドロール、タルタル酸メトプロロール、ジソピラミド、等々)、利尿剤(例:塩化カリウム、シクロペンチアジド、ヒドロクロロチアジド、トリアムテレン、フロセミド、等々)を包含することができる。
【0021】
それらはさらに、抗高血圧剤(例:ヘキサメトニウムブロマイド、ヒドラジンヒドロクロライド、シロシンゴピン、レセルピン、プロプラノロールヒドロクロライド、カプトプリル、メチルドーパ、等々)、血管収縮剤(例:ジヒドロエルゴタミンメシレート、等々)、血管拡張剤(例:エタフェノンヒドロクロライド、ジチアゼムヒドロクロライド、カルボクロメンヒドロクロライド、ペンタエリスルトールテトラナイトレート、ジピリダモール、イソソルビドナイトレート、ニフェジピン、ニカメテートシトレート、シクランデレート、シンナリジン、等々)、動脈硬化用薬剤(例:エチルリノレエート、レシチン、クロフィブレート、等々)、循環器用薬剤(例:ニカルジピンヒドロクロライド、メクロフェノキセートヒドロクロライド、シトクロームC、ピリジノールカーバメート、ビンポセチン、ホパテネートカルシウム、ペントキシフィリン、イデベノン、等々)、呼吸刺激剤(例:ジメフリンヒドロクロライド、等々)、咳止め去痰剤(例:コデインフォスフェート、ジヒドロコデインフォスフェート、デキストロメトルファンヒドロブロマイド、ノスカピン、L−システインメチルエステルヒドロクロライド、ブロモヘキシンヒドロクロライド、テオフィリン、エフェドリンヒドロクロライド、アムレキサノックス、等々)、肝臓保護剤(例:オサルミド、フェニルプロパノール、ヒメクロモン、等々)、整腸剤(例:ベルベリンヒドロクロライド、ロペラミドヒドロクロライド、等々)、消化剤(例:メトクロプラミド、フェニペントール、ドンペリドン、等々)、ビタミン(例:レチノールアセテート、ジヒドロタチステロール、エトレチネート、チアミンヒドロクロライド、チアミンサルフェート、フルスルチアミン、オクトチアミン、シコチアミン、リボフラビン、ピリドキシンヒドロクロライド、ピリドキサールフォスフェート、ニコチン酸、パンテチン、シアノコバラミン、ビオチン、アスコルビン酸、フィトナジオン、メナテトレノーム、等々)、抗菌剤(例:ベンザチンベンジルペニシリン、アモキシシリン、アンピシリン、シクラシリン、セファクロール、セファレキシン、エリトロマイシン、キタサマイシン、ジョサマイシン、クロルアンフェニコール、テトラサイクリン、グリセオフルビン、セフゾナーム、等々)、化学治療剤(例:スルファメトキサゾール、イソニアジド、エチオンアミド、チアゾスルフォン、ニトロフラントイン、エノキサシン、オフロキサシン、ノルフロキサシン、等々)を包含する。
【0022】
水溶性ポリマーもまた添加できる。例としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、又はカルボキシメチルセルロース(CMC)を包含する。本発明の浸透促進剤無しのこれらの物質は、擬似ラテックス又はラテックス分散物を不安定にしそして擬似ラテックス又はラテックスフィルム又は被覆物を本質的に即放性にすることによって、薬剤の放出速度を劇的に増加させる。
【0023】
本発明で使用される可塑剤はエチルセルロースのガラス転移温度と最小フィルム形成温度を低下させる物質である。引用できる例としては、アセチル化したモノグリセリド、トリエチルシトレート、中鎖脂肪酸トリグリセリド、アセチルトリエチルシトレート、トリブチルシトレート、アセチルトリブチルシトレート、ジブチルアジペート、ジブチルセバケート、ジエチルフタレート、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オレイン酸及びオレイノールを包含する。一般的には、可塑剤の量は、エチルセルロースの100重量部当たりで、10から50重量部、そして好ましくは20から40重量部のオーダーである。
【0024】
可塑剤は該ラテックス又は擬似ラテックス組成物の50重量%以下、40重量%以下、30重量%以下、25重量%以下、20重量%以下、15重量%以下、10重量%以下、5重量%以下、3重量%以下又は50重量%以下を含む。好ましくは、可塑剤はラテックス又は擬似ラテックス組成物の0.5重量%から25重量%を含む。
【0025】
本発明においては、フィルム被覆した粒子のフィルム厚みは一般に、限定はしないが、30ミクロン以上であるべきである。それが30ミクロン以下であると、フィルム強度及び堅固さが低くなりそして時間と共に変化する傾向がある。特に上限はないのであるが、もし厚すぎると、フィルムコーティングに長い時間がかかり、実用的でない。上限に関しては、一般的な上限は、限定はしないが、ほぼ100ミクロンである。フィルムが厚くなると、放出速度が過度に遅くなる影響がある。そのような場合には、適切な浸透促進剤が好適な放出速度及び好適なフィルム厚みを与えるために使用される。コーティング量は未コートの面積、粒子サイズ及び形状及び表面の滑らかさに大きく依存する。しかしながら、限定はしないが、未コートの粒子100重量部当たりで1から100重量部のオーダー、好ましくは3から25重量部のオーダーであるべきである。
【0026】
本発明においては、フィルムコートした粒子は、また、水溶液分散フィルムのコーティングで起こる又は薬剤と水溶液分散フィルム形成剤との間の相互作用を防止するためのバッチ変化を減少させる目的で、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、微結晶質セルロース−カラギーナン(ラスタークリア、FMCコーポレーション)等々のような即放性コーティングのシールコートを含むか、又はそれらはまた熱処理又は保存又は腸内特性を与える過程で凝集を防止する目的で水溶液分散物に加えて、水溶液分散フィルムの外側に他のフィルムコーティング剤でコートしてもよい。
【0027】
フィルム厚みは未コート粒子の粒子径分布を増大させる。粒子径分布は75から1410ミクロンの範囲であることが好ましい。75から1000ミクロンがより好ましい。粒子径分布がこの範囲であるときは、処方物は容易に飲み込みがし易い。フィルムコートした粒子はまた食品と混ぜでカプセルに閉じ込め、フィルムで被せ又はタブレットに入れて飲み込むことができる。
【0028】
本発明においては、フィルムコートした粒子も実施でき、又は他の薬剤処方と一緒に混合することもでき、又は他の媒体及び薬剤又は薬剤を含む粒子とまぜることができ、それはフィルムコーティングに晒され、その後タブレットやピルにつくられる。医薬品又は獣医用途に加えて、農業用化学品、肥料、食品、化粧品又は工業用品として使用することができる。
【0029】
本発明の方法は、上述のように、基材を水溶液ラテックス又は擬似ラテックスフィルムコーティング組成物でコーティングする方法を包含する。コーティング工程の後は熱処理工程が続く。コーティング工程は所望により高湿度条件下で行われそして熱処理工程は低湿分条件下で行われる。湿度はプロセス空気の直接加湿、基材が置かれたコーティング室への水溶液のスプレー、又は水溶液ラテックス又は擬似ラテックスコーティング組成物を水溶液で希釈することによって維持される。用語“高”及び“低”相対湿度は、それぞれ干渉なしで周囲の相対湿度より高い相対湿度及び干渉無しで周囲の相対湿度より低い相対湿度を意味する。スプレーは、例えば、約15%固体含量で行われる。
【0030】
本発明は、高い毛細管力もまたコーティングプロセス過程での高湿度、例えば、コーティング工程で40%以上、引き続く熱処理工程の低湿分、例えば、乾燥工程での55%以下の相対湿度の使用によって維持できることを認識している。好適なコーティング工程での高湿度条件は、ペレットが凝集しない範囲で、例えば、40%以上の相対湿度、50%以上の相対湿度、60%以上の相対湿度、70%以上の相対湿度、80%以上の相対湿度、90%以上の相対湿度である。熱処理工程での好適な低湿分条件は、過剰乾燥が避けられる範囲で、例えば、16g水/kg空気以下、10g水/kg空気以下、8g水/kg空気以下、5g水/kg空気以下、3g水/kg空気以下である。空気流量、温度、及び取り除かれる湿分の相対体積は熱処理工程の適切な低湿分条件選択のガイドとなる。例えば、流動層の使用は過剰乾燥を避けるために入り口空気流の高湿度を必要とする。合体後、フィルムの性質は一定を保つと言われている。
【0031】
熱処理工程は水溶液ラテックス又は擬似ラテックスコーティング組成物の最小フィルム形成温度以上の温度で実施されるのが好ましい。基材はペレット、タブレット、ソフトカプセル、ハードカプセル、粉末、顆粒、ビーズ、フィルム及びフィルムを被せた投与形である。
【0032】
被覆基材は、低湿度コーティング及び硬化条件下で作られた基材に比べて、優れた障壁特性、標準保存条件下で3年に及ぶ期間での放出プロフィールの優れた安定性の一つ以上を示す。
【0033】
被覆された基材は、図27に示されるような薬剤マトリックスであるか、又は図38に示されるような薬剤層でのコアコーティングである。図38の態様では、コア(芯)は、例えばコアが砂糖コアである場合は浸透活性である。本発明は両方のタイプのペレットからカスタマイズできる放出を提供する。
【0034】
本発明のフィルムコーティングで使用される可塑剤のタイプ及び量の変化は薬剤放出をカスタマイズするために使用される。例えば、以下に示されるように、ポリ(ビニルアルコール)−ポリ(エチレングリコール)−グラフトコポリマーをエチルセルロースベースのフィルムコーティング物に添加すると、薬剤の水溶性又はペレットコアの浸透活性に拘わりなく、広範囲の放出パターンが達成される。
【0035】
また、下記の実施例で強調するように、上述のような適当な添加物の極少量の存在は、応力下でさえも、本発明に従った水溶液エチルセルロースベースのフィルムコーティング物に長期間の安定性を効果的に与えることができる。
【0036】
実施例はまた、本発明に従ったコーティング物、例えば、エチルセルロース:PVA−PEGコポリマーブレンド物は、多くの従来の製造プロセスで生ずるコーティング特性におけるいくつかの変化にも拘らず、実質上一定な薬剤放出を与えることを示す。このように、本発明のコーティング物及びコーティング方法は確固としたもので大規模製造にスケールアップすることが可能である。
【0037】
(実施例)
ポリ(ビニルアルコール)−ポリ(エチレングリコール)−グラフトコポリマーの非常に少量のみをアクアコート(商標)ECDベースのフィルムコーティング物に添加すると、所望の膜特性が効果的に調節できる。特に、得られる水取り込み速度及び量、乾燥重量ロス動力学及び薬剤の浸透性を変えることができる。重要なことに、これらの影響はフィックの拡散第二法則に基づいて定量的に予測することができる。
【0038】
エチルセルロースベースのフィルムコーティング物はしばしば固体口腔投与形、例えば、ペレット及びタブレットからの薬剤放出速度をコントロールするために使用される。エチルセルロースは水不溶性なので、得られる放出パターンは胃腸管全体の中でコントロールすることができる。しかしながら、多くの薬剤に対するこのポリマーの制限された浸透性によって、所望の放出速度を調節することはしばしば挑戦的なこととなる。ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)のコーティング物への添加が薬剤放出を加速するために過去において提案されてきた。しかしながら、比較的多量が必要でそしてコーティング分散物中のHPMCの存在は凝集を引き起こす。
【0039】
本研究の主目的は、アクアコート(商標)ECDベースのフィルムコーティング物の性質、特にその薬剤透過の性質を効果的に変化させる容易に調節可能な処方パラメーターを同定することであった。段階スクリーニングにおいては、浸透促進剤はトリエチルシトレート(ECD固体基準で25%w/w)で可塑化したアクアコート(商標)ECDと混合され、アクアコート(商標)ECDは浸透促進剤の添加の前に24時間トリエチルシトレートと一緒に攪拌することによって可塑化された。分散安定性は、集合、凝集又はフロック化を光学顕微鏡でチェックした。フィルムをテフロン(商標)上に置きそして60℃で24時間硬化させた。キャストフィルムを、外観、透明度、不均一性、又はクラック及び機械的性質(半−定量的な脆さ又は柔軟性)について評価した。
【0040】
以下の物質をアクアコート(商標)ECD固体に対して10から30%w/wのレベルで評価した:ポリ(エチルアクリレート、メチルメタクリレート、トリメチルアンモニオエチルメタクリレートクロライド)(ユードラギット(商標)RS30D、ユードラギット(商標)RL30D、ロームGmbH)、ポリ(エチルアクリレート、メチルメタクリレート)(ユードラギット(商標)NE30D、ロームGmbH)、ポリビニルアセテート(コリコート(商標)SR30D BASF)、ポリビニルアルコール−ポリエチレングリコールグラフトコポリマー(コリコート(商標)IR30D BASF)、ポリビニルピロリドン、微結晶質セルロース−カラギーナン(ラスタークリアLC103、ラスタークリアLC200、FMCコーポレーション)、カッパーカラギーナン(ゲルカリン(商標)GP911、FMCコーポレーション)、イオーターカラギーナン(ゲルカリン(商標)GP379、FMCコーポレーション)、ラムダーカラギーナン(ビスカリン(商標)GP209、FMCコーポレーション)、ポリエチレングリコール400、ポリエチレングリコール4000、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、フタル酸酢酸セルロース(アクアコート(商標)CPD FMCコーポレーション)、アルギン酸ナトリウム(プロタナール(商標)LFMG5/60、プロタナール(商標)LF120M FMCコーポレーション)、アルギン酸プロピレングリコール(プロタナール(商標)エステルSD−LB、FMCコーポレーション)、ナトリウムデンプングリコレート、デンプン、サクローズ(サッカローズ)、ラクトース、マンニトール、ソルビトール、グルコース、塩化ナトリウム、燐酸水素カルシウム、燐酸水素ジナトリウム。
【0041】
分散相溶性/フィルム特性スクリーニング結果
アクアコート(商標)ECDと浸透促進剤との相溶性混合物の好ましい例は良好なフィルムを与える。
ポリビニルアルコール−ポリエチレングリコールグラフトコポリマー(コリコート(商標)IR)は分散液中で相溶性で良好な混合フィルムを与えた。
ゲルカリン(商標)GP911(カッパーカラギーナン)及びビスカリン(商標)GP209(ラムダーカラギーナン)は共にアクアコート(商標)ECDと粘液質の安定な分散物を与えそして良好な混合フィルム特性を与えた。
【0042】
アルギン酸プロピレングリコール(プロタナール(商標)エステルSD−LB)及びデンプンはアクアコート(商標)ECD分散物と相溶性でそして良好なフィルムを与えた。
ポリ(エチルアクリレート、メチルメタクリレート)(ユードラギット(商標)NE30D)は分散液中で物理的に相溶性でそして良好な混合フィルムを与えた。
【0043】
サクローズ(サッカローズ)ラクトース、マンニトール、ソルビトール及びグルコースはアクアコート(商標)ECD分散物と相溶性でそして良好なフィルムを与えた。しかしながら、フィルム中で砂糖の再結晶が起こらないことを確保する必要がある。
【0044】
アクアコート(商標)ECDと浸透促進剤の相溶性混合物の追加例
アクアコート(商標)ECD分散物は不安定化しないが、しかしアクアコート(商標)ECD中のゲルカリン(商標)GP379(イオーターカラギーナン)の粘度は高くそしてフィルムは均一ではなかった。
ポリビニルアセテート(コリコート(商標)SR30D)は分散物中でアクアコート(商標)ECDと相溶性がある(即ち不安定化しない)がしかし不均一なフィルムを与えた。
【0045】
リン酸塩(燐酸水素カルシウム、燐酸水素ジナトリウム)はアクアコート(商標)ECD分散物と相溶性がある(即ち不安定化しない)がしかし不均一なフィルムを与えた。
ポリエチレングリコール400はアクアコート(商標)ECD分散物を不安定化しなかったがしかし混合フィルム中で相分離を示して、目に見える浸出を形成した。
【0046】
ポリエチレングリコール4000はアクアコート(商標)ECD分散物を不安定化せず混合フィルム中で相分離は少なかったが、しかしフィルムは低下した柔軟性を示した。
ポリビニルピロリドンはアクアコート(商標)ECD分散物を不安定化しなかったがしかしフィルムは柔軟性が少なくクラック化する傾向があった。
【0047】
アクアコート(商標)ECDと他の添加剤、ラスタークリア(商標)LC103(微結晶質セルロース−カラギーナン)との相溶性のない混合物の比較実施例(本発明に従っていない組成物の)は非常に粘液質で不安定なアクアコート(商標)分散物を与えそして混合フィルムはクラック化し易い傾向があった。
【0048】
ヒドロキシプロピルメチルセルロースはアクアコート(商標)ECD分散物を不安定化させそして不均一なフィルムを与えた。
ナトリウムカルボキシメチルセルロースはアクアコート(商標)ECD分散物を不安定化させそしてクラックし易いフィルムを与えた。
【0049】
カチオン性コポリマー(ポリ(エチルアクリレート、メチルメタクリレート、トリメチルアンモニオエチルメタクリレートクロライド)(ユードラギット(商標)RS30D、ユードラギット(商標)RL30D)は可塑化したアクアコート(商標)ECD分散物を不安定化させた。
【0050】
薄いキャストフィルムを使用して、水取り込み、重量ロス挙動及び0.1M HCl中での薄いポリマーフィルムの/からの薬剤放出動力学に及ぼすアクアコート(商標)ECD30浸透促進剤の割合の影響を調べるために、薬剤(テオフィリン)と水の浸透性、重量ロス及び機械的性質を決定した。
【0051】
本発明に従ったフィルムは、下記の実施例で強調されるように、薬剤放出過程のカルシウムイオン濃度に比較的鈍感であった。これは、薬剤放出速度が、胃腸管内で遭遇するカルシウムイオン濃度の潜在的な変動に拘わらず、比較的予測可能な範囲のままであるという利点を与えている。
【0052】
薬剤を含まない薄いポリマーフィルムの調製
薄いポリマーフィルムを、アクアコート(商標)ECD30の水溶液分散物とコリコート(商標)IR、ゲルカリン(商標)GP911、ビスカリン(商標)GP209、プロタナール(商標)エステルSD−LB、トウモロコシデンプンの一つを含む水溶液分散物とのブレンドによって調製した。
【0053】
アクアコート(商標)ECD30分散物の調製
・ポリマー アクアコート(商標)ECD30
・可塑剤 乾燥ポリマー質量基準で25%TECw/w(可塑化時間:24h)
アクアコート(商標)分散物のポリマー含量を、浸透促進剤の分散物とブレンドする前に脱金属イオン水で希釈することによって15%w/wに調節した。
【0054】
浸透促進剤の分散物/溶液の調製
浸透促進剤を、脱金属イオン水中に分散させるか溶解させて、得られる溶液/分散液(表1)の粘度に応じて1又は30%w/w固体含量とした。
【0055】
【表1】
【0056】
浸透促進剤溶液/分散物をアクアコート(商標)分散物に注意深く添加し30分間攪拌した。得られた分散物をテフロン(商標)プレートに注ぎそして60℃において24時間オーブン中で乾燥した。
【0057】
薬剤被覆した薄いポリマーフィルムの調製
テオフィリンを含むフィルムを同様にして、しかしテオフィリン水溶液(乾燥ポリマー/固体質量基準で0.25%w/w)を分散物に添加して調製した。
【0058】
水取り込み及び重量ロスの検討
薬剤を含まない薄いポリマーフィルムを、平らなシェーカー中37℃(80rpm)で0.1M HClに晒した。予め決められた間隔で、サンプルを取り出しそして60℃で一定重量となるまで乾燥した(n=3)。
【0059】
薬剤放出実験
薬剤を含むフィルムを、平らなシェーカー中37℃(80rpm)で0.1M HClに晒した。薬剤を、UV−分光計を用いて271nmで検知した(n=3)。
【0060】
結果と考察
図1−2はコリコート(商標)IRとアクアコート(商標)ECD30の混合物の結果を示す。
図3−4はビスカリン(商標)GP209とアクアコート(商標)ECD30の混合物の結果を示す。
図5−6はアクアコート(商標)ECD30とゲルカリン(商標)GP911の混合物の結果を示す。
【0061】
図7−8はアクアコート(商標)ECD30とプロタナール(商標)エステルSD−LBの混合物の結果を示す。
図9−10はアクアコート(商標)ECD30とトウモロコシデンプンの混合物の結果を示す。
【0062】
フィルム調製
エチルセルロース(アクアコート(商標)ECD)の水溶液分散物と可塑剤としてトリエチルシトレート(25%w/w)を含むポリ(ビニルアルコール)−ポリ(エチレングリコール)−グラフトコポリマー(コリコート(商標)IR)とを、テフロン(商標)プレート上にキャーストし、引き続きコントロールされた乾燥によって、薄いポリマーフィルムを調製した。水溶液分散物にテオフィリンを添加して、薬剤を含むフィルムをつくった。薬剤充填量はポリマー系中のテオフィリンの溶解度以下であった(透明フィルム、一体溶液)。
【0063】
フィルムの性格付け
フィルムの水取り込みと乾燥重量ロス動力学を0.1M HCl及びリン酸塩緩衝液pH7.4に晒して重量測定し、インビトロの薬剤放出を同じ媒体中で監視した(平らなシェーカー、37℃、UV薬剤検知)。
【0064】
ポリマー系内の水と薬剤の見掛けの拡散係数、Dは、実験的に測定された水取り込みと薬剤放出動力学に下記のフィックの拡散第二法則の解を当てはめて決定した。
【0065】
【数1】
【0066】
ここで、Mt及びM∞は、そえぞれ、時間t及び無限大における薬剤放出/水取り込みの絶対積算量であり;Lはフィルムの厚みの半分を表しそしてhは未攪拌の液体境界層の物質移動係数である。
【0067】
重要なことに、アクアコート(商標)ECDベースの薄いフィルムへのポリ(ビニルアルコール)−ポリ(エチレングリコール)−グラフトコポリマー(コリコート(商標)IR)の非常に少量の添加は、放出媒体のタイプに拘わらず、系の水取り込み速度を増加させた。図11(記号)は,0.1M HCl中で得られる典型的な結果を示す。水浸透速度及び量は両方とも影響を受けた。フィックの拡散第二法則の解析解(式1−3)は、実験的に決定された結果を定量的に記載するために成功裏に使用することができる(図11曲線)。このように、フィルムコーティング物中への水透過は主に純粋な拡散によってコントロールされる。
【0068】
これらの計算に基づいて、アクアコート(商標)ECDベースのフィルム中の水の拡散係数はコリコート(商標)IR含量の関数として決定できる。図12はリン酸塩緩衝液pH7.4で得られた結果を例証的に示す(塗りつぶしダイヤ)。明らかに、水の浸透はコリコート(商標)IR含量の増加と共にかなり増加した。0.1M HCl中でも傾向は同様である(データは示されていない)。
【0069】
アクアコート(商標)ECDベースのコーティング物へのコリコート(商標)IRの非常に少量のみの添加はまた、放出媒体、例えば、0.1M HClに晒したときの系の乾燥重量ロス動力学にかなり影響を与えた(図13)。コリコート(商標)IR存在下での乾燥重量ロスの増加は、フィルムからの水溶性ポリマーの浸出及び促進された可塑剤の浸出に寄与している。
【0070】
重要なことに、両方の効果、乾燥重量ロスと同様にかなり増加した水の取り込みは、放出媒体のタイプに拘わりなく、薬剤浸透性そしてこのように、このフィルムからの放出の根本的な増加をもたらした。図14(記号)はリン酸塩緩衝液pH7.4で得られた結果を例証的に示す。
【0071】
再び、提案されたフィックの拡散第二法則の解析解(式1−3)は、観察された物質移動動力学を定量的に記載するために成功裏に使用することができた(図14曲線)。図12に見ることができるように、フィルムコーティング物中の薬剤の見掛けの拡散係数は、たった10%のポリ(ビニルアルコール)−ポリ(エチレングリコール)−グラフトコポリマーを添加することによって効果的に増加した(因子>4.9)。
【0072】
ポリマーフィルム内の水及び薬剤の見掛けの拡散係数Dは、実験的に測定された水取り込みと薬剤放出動力学にフィックの拡散第二法則の解を当てはめて決定した。
本発明によって、アクアコート(商標)ECDのような、ラテックス又は擬似ラテックスで被覆したラテックス又は擬似ラテックスフィルム又は投与形の最適化はかなり容易になる。所望の膜特性、特に、薬剤浸透性が容易に調節できる。
【0073】
水取り込み、重量ロス及び薄いフィルム薬剤放出動力学に基づいて、下記の浸透促進剤が、テオフィリンペレットに適用されるアクアコート(商標)ECDコーティング物に内包された:
・ビスカリン(商標)GP208
・コリコート(商標)IR
・プロタナール(商標)エステルSD LB
【0074】
薬剤放出におけるコーティングレベルと放出媒体の影響を、硬化条件(温度及び湿度)の影響と一緒に調べた。四つのコーティングレベルを評価した:5、10、15、20%(w/w)
【0075】
硬化条件
60℃、24時間
60℃、48時間
60℃及び75%R.H、24時間+60℃、24時間
60℃及び75%R.H、48時間+60℃、24時間
【0076】
エチルセルロース−被覆ペレットからの薬剤放出パターンの調節
本研究の主目的は:(i)水溶性ポリマーの少量を添加することによって、コーティング分散物の安定性に影響を与えないで、エチルセルロース被覆したペレットからの所望の薬剤放出パターンを効果的に調節すること;及び(ii)得られた薬剤放出動力学に及ぼす、異なった硬化条件(温度、時間及び相対湿度)の影響を考察することである。
【0077】
テオフィリンを載せたマトリックスコアを、流動層コーターを使用して、ポリ(ビニルアルコール)−ポリ(エチレングリコール)−グラフトコポリマー(コリコート(商標)IR)の少量の添加があるか、又はなしで、エチルセルロースの水溶液分散物(25%トリエチルシトレートで可塑化したアクアコート(商標)ECD)で被覆した。そのペレットを、60℃、周囲の相対湿度(RH)で24/48時間;又は60℃、75%RHで24/48時間(引き続き60℃、周囲のRHで24時間)硬化させた。
【0078】
0.1M HCl及びリン酸塩緩衝液pH7.4中で、USPパドル装置内で、インビトロの薬剤放出を37℃で測定した。
エチルセルロースベースのフィルムコーティング物へのポリ(ビニルアルコール)−ポリ(エチレングリコール)−グラフトコポリマーの少量のみの添加は、放出媒体のpHに拘わりなく、被覆ペレットからの薬剤放出をかなり加速した。例えば、0、2、11、64及び96%のテオフィリンを、0、5、10、15及び20%のポリ(ビニルアルコール)−ポリ(エチレングリコール)−グラフトコポリマーを含むエチルセルロースベースのフィルムでコートしたペレット(コーティングレベル:10%、硬化条件:60℃及び周囲RHで24時間)からリン酸塩緩衝液pH7.4に4時間晒した後で放出させた。これは、フィルムコーティング物の水取り込み及びバルク流体中へのフィルムからの水溶性ポリマー浸出のかなりの増大と見做すことができる。両者の影響は薬剤へのコーティング物の増大した浸透性を生ずる。HPMCの添加に対比して、ポリ(ビニルアルコール)−ポリ(エチレングリコール)−グラフトコポリマーの存在はコーティング分散物の安定性に影響を与えなかった。
【0079】
0、5、10、15及び20%のポリ(ビニルアルコール)−ポリ(エチレングリコール)−グラフトコポリマー(PVA−PEG)を含むエチルセルロースベースのフィルムでコートされたペレット(コーティングレベル:20%、硬化条件:60℃及び周囲RHで2日間)からの模擬胃液及び腸液内のテオフィリン放出を図15(a)−15(b)に示す。PVA−PEGグラフトコポリマーの少量のみの添加は、放出媒体のpHに依らずに、薬剤放出速度をかなり増加させる。このように、所望の放出はエチルセルロースフィルム中のPVA−PEGグラフトコポリマー含量を調節することによって得ることができる。
【0080】
図15(c)−15(d)は、PVA−PEGグラフトコポリマーとエチルセルロースブレンド物のコーティングレベルは薬剤放出速度を修正するために変更することができることを示す。85%のエチルセルロースと15%のPVA−PEGグラフトコポリマーで被覆したペレットからの薬剤放出速度はコーティングレベルが上昇するにつれて低下する。高いコーティングレベルはより確固たるコーティングプロセスの利点を提供する。このように、所望の放出速度は、コーティングレベルを変えることと同様に、エチルセルロースフィルムコーティング物へのPVA−PEGグラフトコポリマーの異なった量を添加することによって容易に且つ効果的に調節することができる。
【0081】
調べられた硬化条件の種類は、得られる薬剤放出パターンをあまり変えなかった。例えば、15%のポリ(ビニルアルコール)−ポリ(エチレングリコール)−グラフトコポリマー(PVA−PEG)を含むエチルセルロースベースのフィルムでコートされた60℃、周囲RH又は75%RHで24又は48時間硬化したペレット(コーティングレベル:20%)から、0.1M HClに8時間晒した後で、60(+/−3)%テオフィリンが放出された。これは安定なポリマーフィルムが形成されたという指標として供することができる。
【0082】
図39(a)−39(b)は、エチルセルロース:PVA:PEGグラフトコポリマーで被覆されたペレットからの燐酸塩緩衝液pH7.4中での相対及び絶対テオフィリン放出速度に及ぼすビーズコアの種類の影響を示す。ペレットコアの種類は、物質移動メカニズムにおいて差異を示す得られた相対及び絶対薬剤放出動力学に影響を与えた。重要なことに、薬剤の種類及びコアの種類に拘わらず、5−15重量%のPVA:PEGグラフトコポリマー含量、及びコーティングレベル(5−10重量%)を変化させることによって、広範囲の放出パターンを得ることができた。
【0083】
図40は、異なった量のPVA:PEGグラフトコポリマーを含むエチルセルロース分散物で被覆した薬剤層状砂糖コアからの0.1M HCL中でのジチアゼム−HClの放出を示す。
また、硬化条件の種類は、図41に示されるように、安定なフィルムコーティングが達成されることを示しており、得られる薬剤放出動力学に影響を与えなかった。さらに、単一のペレットからの薬剤放出は、図42に示されるように、被覆したビーズセットからの観察された放出プロフィールが個々のパルス的な放出パターンの合計ではないことを明らかにした。個々のペレットは同様な仕方で薬剤を放出する。
【0084】
薬剤放出は放出媒体のpHには依存しなかった。結論としては、エチルセルロース被覆したペレットからの所望の薬剤放出プロフィールは、ポリ(ビニルアルコール)−ポリ(エチレングリコール)−グラフトコポリマーの少量のみの添加によって効果的に調節することができる。重要なことに、コーティング分散物の安定性は影響を受けずそして安定なフィルムコーティングは適切な硬化の後で達成されるものと思われる。
【0085】
エチルセルロースベースのフィルム特性のための効果的な調節剤としてのカラギーナン
その化学構造によって、カラギーナンはエチルセルロースベースのフィルムをより親水性にしそして、このように多くの薬剤に対してより浸透性となる有望な候補である。その検討の主目的は:(i)エチルセルロースベースのフィルム特性のための効果的な調節剤としてのカラギーナンの潜在力を評価すること;及び(ii)フィックの拡散第二法則を使用してエチルセルロースベースのフィルムの/からの観察された水取り込みと薬剤放出動力学を定量的に記載することであった。
【0086】
薄いフィルムは、エチルセルロース(25%のトリエチルシトレートで可塑化されたアクアコート(商標)ECD))水溶液分散物とカラギーナンとをテフロン(商標)プレート上にキャーストしそして乾燥をコントロールすることによってつくった。水溶液分散物にテオフィリンを添加して、薬剤を含んだフィルムをつくった。薬剤充填量はテオフィリンのポリマー系の溶解度以下(一体溶液)であった。フィルムの水取り込みと乾燥重量ロス動力学を0.1M HCl及びリン酸塩緩衝液pH7.4に晒して重量測定した。インビトロの薬剤放出を同じ媒体中で監視した(37℃、UV薬剤検知)。ポリマー系中の水とテオフィリンの見掛けの拡散係数を、実験的に測定された水取り込みと薬剤放出動力学にフィックの拡散第二法則の解を当てはめて決定した。重要なことに、エチルセルロースベースのフィルムにたった2.5%のカラギーナンの添加は0.1M HClに晒した水取り込み量を4フォールド増加させた。これはそのフィルムを薬剤に対してより浸透性にする。
【0087】
水の浸透動力学はフィックの拡散第二法則を使用して定量的に記載することができる。水の見掛けの拡散係数は、0、2.5、5及び10%のカラギーナンを含むフィルムの場合、1.5、5.3、7.8及び9.2x10−8cm2/sと決定された。さらに、系内にカラギーナンが存在すると、0.1M HCl及びリン酸塩緩衝液pH7.4に晒したフィルムの乾燥重量ロスの量及び割合をかなり増加させた。増加した水含量と乾燥重量ロスの両方とも薬剤のフィルム透過性をとてつもなく増大させた。
【0088】
例えば、テオフィリンの見掛けの拡散係数は、2.5、5及び10%のカラギーナンを添加した(リン酸塩緩衝液pH7.4に晒した)とき0.3から2.5、3.6及び5.1x10−8cm2/sに増加した。重要なことに、そしてHPMCに比して、水溶液エチルセルロース分散液はカラギーナンの存在で安定であった。カラギーナンの少量のみの添加はエチルセルロースベースのフィルムコーティング物の性質をかなり変えそして同時に安定なコーティング分散物を与えるので、それはエチルセルロース被覆投与形からの放出動力学の優れた調節剤である。図16(a)−16(d)はエチルセルロースで及びエチルセルロースとカラギーナンのブレンド物で10%(w/w)及び20%(w/w)のコーティングレベルでコートしたペレットからの模擬胃腸液内でのテオフィリンの放出を示す。明らかに、少量のカラギーナンの存在は、放出媒体及びコーティングレベルに拘わりなく、薬剤放出速度を効果的に増大させている。実際に、所望の放出プロフィールはカラギーナンの相対含量を調節することによって与えられる。
【0089】
図16(e)−16(f)は、90%エチルセルロースと10%カラギーナン、PVA−PEGグラフトコポリマー及びPGアルギネートでコーティングレベル20%(w/w)で被覆したペレットからの0.1M HCl及びリン酸塩緩衝液pH7.4中でのテオフィリン放出を示す。これから、これらの物質、カラギーナンは最も効果的な薬剤放出変性剤であることがわかる。
【0090】
長期間の保存安定性についは、或る場合にはフィルム形成を容易にするために高められた相対湿度で硬化が行われる。図16(g)−16(j)は、5%(w/w)のカラギーナンを含むエチルセルロースで10%(w/w)及び20%(w/w)のコーティングレベルでコートした硬化ペレットからの模擬胃腸液内でのテオフィリンの放出を示す。硬化条件の二つの異なったセットを使用した:(1)60℃、周囲の相対湿度で1又は2日、及び(2)60℃、75%の相対湿度で1又は2日;引き続き60℃、周囲の相対湿度で1日乾燥した。未硬化のペレットからの薬剤放出もまた比較のために示される。これらの結果に基づいて、長期間の保存安定性を促進するためには、この種のフィルムコーティング物の場合、硬化が必要なことが結論付けられる。
【0091】
図16(k)−16(r)は、模擬胃腸液(0.1M HCl及びリン酸塩緩衝液pH7.4)内の被覆ペレットからのテオフィリン放出速度を示す。図16(k)−16(r)は、5%(w/w)カラギーナンがフィルムコーティング物中に存在し、そこではpH依存性はコーティングレベル及び硬化時間に依らず、10%(w/w)カラギーナン含量で本質的に無視できるときは、薬剤放出のpH依存性が少ないことを示している。
【0092】
カラギーナンは遊離の硫酸基を含んでいるので、このバイオマクロ分子を含んでいるポリマーフィルムの浸透性は、放出媒体中の(二価)カルシウムイオン濃度によって影響を受け易い:Ca2+イオンは−SO3−基と架橋でき、ポリマーネットワークの濃密な構造を生じ低下した薬剤放出速度を生起する。胃腸管内容物中のCa2+イオン濃度は、食物組成物の関数として変化する(例えば、ミルクはカルシウム含量が多い)。この理由のために、異なった量のCa2+イオンの添加がエチルセルロース:カラギーナン被覆ペレットから生ずる薬剤放出動力学に影響するかどうかを見ることは興味深いことであった。図16(s)−16(t)に見られるように、50mmol/LまでのCa2+イオンを添加したときにテオフィリン放出は、0.1M HCl/脱金属イオン水中でわずかに/中位で低下した(注:これらの実験では燐酸カルシウムはこれらの条件下で沈殿するので、リン酸塩緩衝液pH7.4は使用できなかった)。薬剤放出速度の低下が高pHよりも低pHで少なくなるという事実は、カラギーナン中の遊離硫酸基の高度プロトン化によって説明できる(帯電していない硫酸基はCa2+イオンに対して架橋に利用できない)。
【0093】
比較のために、10%(w/w)のPGアルギネート又は15%(w/w)のPVA−PEGグラフトコポリマーを含むエチルセルロースで被覆したペレットからのテオフィリンのCa2+イオン感応性もまた0.1M HCl及び脱金属イオン水中で検討された(図16(u)−16(v)。明らかに、エチルセルロース:PGアルギネートコーティング物の感応性はテオフィリン:カラギーナンコーティング物のそれよりも少ない。脱金属イオン水中では、PGアルギネート中に存在する遊離の−COO−基の架橋によるCa2+イオン濃度の増加により、放出速度はわずかに/中程度に低下する。これに対して、カルボキシル基の多くはプロトン化し、このように、架橋に利用されないために、0.1M HCl中では効果がない。合成PVA−PEGグラフトコポリマー(低又は高pHで負に帯電することができる基を何も含まない)は如何なるCa2+イオン−感応性を示さなかった(図16(w)−16(x)。
【0094】
異なった種類の可塑剤の影響
アクアコート(商標)ECD)/コリコート(商標)IR95/05ブレンド物で被覆したペレットからの0.1M HCl中でのジルチアゼム−HCl放出に及ぼす可塑剤の種類の影響について検討した(コーティングレベル:5%;硬化:60℃、1日間)。結果を図17−22に示す。エチルセルロースベースのフィルムコーティング物へのポリ(ビニルアルコール)−ポリ(エチレングリコール)−グラフトコポリマーの異なった量を添加すると、薬剤の水溶性及びペレットコアの浸透活性に拘わりなく、広範囲の放出パターンが達成できる。
【0095】
薬剤放出に及ぼすコリコート(商標)IR含量の影響
アクアコート(商標)ECD)/コリコート(商標)ブレンド物で被覆したペレットからの0.1M HCl中でのジルチアゼム−HCl放出に及ぼすコリコート(商標)IR含量の影響を図23−24に示す。
【0096】
単一ペレット放出の影響
図25−26は、アクアコート(商標)ECD)/コリコート(商標)IR95/05ブレンド物でコーティングレベル15%で被覆したペレットからの0.1M HCl中でのジルチアゼム−HCl放出の影響を示す(60℃、1日間硬化、薬剤充填:10%)。
【0097】
テオフィリン充填ペレットからの薬剤放出に対する放出媒体中のカルシウムイオン濃度の重要性
図28は、テオフィリン充填ペレットからの薬剤放出に対する放出媒体中のカルシウムイオン濃度の重要性を示す。
【0098】
コーティング物の長期間の安定性
この研究の主目的は、水溶液分散物から得られるポリマーフィルムコーティング物の長期安定性を改善する容易な道具を確立することである。テオフィリンを充填したペレットからの、周囲及び応力条件[“室温及び室温の想定湿度(RH)”及び“40℃で75%RH”]下で6ヶ月間保存過程での薬剤放出パターンの潜在的変化を監視した。そのペレットを60℃で1日か2日間又は60℃、75%RHで1日か2日間硬化させ(その後60℃で1日乾燥した)。エチルセルロースで被覆したペレットからの薬剤放出を0.1M HCl及びリン酸塩緩衝液pH7.4中で測定した。
【0099】
ポリ(ビニルアルコール)−ポリ(エチレングリコール)−グラフトコポリマーの小量のみの添加は、放出媒体の種類、コーティングレベル、ポリマーブレンド比及び硬化条件に拘わらず、全ての調査条件下で安定な薬剤放出パターンを与えた。
【0100】
プロピレングリコールアルギネートの数%の存在は室温条件下の保存で薬剤放出動力学を変化させなかったが、図43(a)−43(b)及び44(a)−44(b)に示されるように応力条件下での保存過程ではテオフィリン放出速度を低下させた。これは、エチルセルロース鎖の移動度の増大が、高められた温度及び相対湿度で、ポリマー粒子の凝集を促進することによって、説明できる。カラギーナンの少量添加は、全てのケースで、ほぼ安定なテオフィリン放出パターンに導いた(放出速度はわずかに低下するか、わずかに増加又は変化しないままだった)。このように、適切な添加剤の小量のみの存在は、応力条件下でさえも、水溶液エチルセルロースベースのフィルムコーティング物の長期安定性を効果的に与えることができる。
【0101】
図45(a)−45(b)は、室温(図15(a))及び40℃で75%相対湿度(図15(b))で保存前(点線曲線)及び6ヶ月保存後(連続曲線)、共にコーティングレベルは20%で硬化条件は図に示される、におけるエチルセルロース:カラギーナン90:10ブレンド物で被覆したペレットからの0.1M HCl中でのテオフィリン放出を示す。小量のカラギーナンの添加は全てのケースで実質上安定なテオフィリン放出パターンに導いた。
【0102】
図35は、エチルセルロース:PVA−PEGグラフトコポリマー85:15ブレンド物で被覆したペレットからの0.1M HCl及びリン酸塩緩衝液pH7.4中で三つの異なった日数(コーティングNo.#1−3)でのそれぞれのテオフィリン放出を例証的に示す。コーティングレベルは15%w/wで、ペレットは60℃で1日間硬化させた。明らかに、薬剤放出動力学における観察された変化は全てのケースにおいて少なく(放出媒体の種類に拘わりなく)、この種のポリマーブレンド物でのコーティングプロセスの良好な再現性を示した。
【0103】
エチルセルロース:PVA−PEGグラフトコポリマー85:15ブレンド物で被覆したテオフィリンを充填したペレットからの低pH及び高pHでの薬剤放出動力学に対する潜在的なアクアコート(商標)ECDバッチ−バッチ変動の重要性は図36に示される(バッチNo.は図中に示されている)。コーティングレベルは15%w/wで、ペレットは60℃で1日間硬化させた。明らかに、どの場合にも薬剤放出動力学に有意な差異はなかった。
【0104】
第三に、コーティングレベルのわずかの、意図しない変動に対する薬剤放出速度の感応性が検討された(図11)。実際のコーティングレベルは、例えば、異なったタイプの流動層コーティング装置を使用したとき、例えば、異なった製造スケール又は異なった製造業者(同一でないコーティング室の幾何形状、空気流量等々)の場合にわずかに変化する。コーティングレベルにおけるそのようなわずかの、意図しない変化への薬剤放出動力学の依存が少なければ、より確固としたそして実施が容易なコーティングプロセスとなる。図37に見られるように、(理論的な)コーティングレベルが14.5から15.5%(w/w)(拡散通路の長さの増大によって)に増加するとき、0.1M HCl及びリン酸塩緩衝液pH7.4中でのテオフィリン放出速度はわずかに低下するだけである。これは明らかに、エチルセルロース:PVA−PEGグラフトコポリマーブレンド物でのこの種のコーティングが確固としたプロセスであることを示している。
【0105】
本発明の多くの特性及び利点が、これまでの記載で、本発明の構造や機能の詳細と共に示されてきたが、この開示は例証のためのみのものであり、詳細、特に形状、サイズ及び部品の配列の変更は、添付の特許請求の範囲で表現した用語の広範囲の一般的な意味によって示される全範囲において本発明の本質の範囲内に入るものである。
【産業上の利用可能性】
【0106】
本発明の組成物は、人間又は動物の疾患の治療、防止及び診断のために使用される、例えば、咳止め去痰剤、解熱、鎮痛、抗炎症剤、等々のような医薬品又は獣医用途に加えて、農業用化学品、肥料、食品、化粧品又は工業用品として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】コリコート(商標)IRとアクアコート(商標)ECD30との混合物の0.1M HCl中での薄いポリマーフィルムの1(a)水の取り込み、そして1(b)乾燥重量ロス挙動に及ぼすコリコート(商標)IR含量の影響を示す(図1(a)−1(b))。
【図2】コリコート(商標)IRとアクアコート(商標)ECD30との混合物の0.1M HCl中での薄いポリマーフィルムからのテオフィリン放出に及ぼすコリコート(商標)IR含量の影響を示す。
【図3】ビスカリン(商標)GP209とアクアコート(商標)ECD30との混合物の0.1M HCl中での薄いポリマーフィルムの(a)水の取り込み、そして(b)乾燥重量ロス挙動に及ぼすビスカリン(商標)GP209含量の影響を示す(図3(a)−3(b))。
【図4】ビスカリン(商標)GP209とアクアコート(商標)ECD30との混合物の0.1M HCl中での薄いポリマーフィルムからのテオフィリン放出に及ぼすビスカリン(商標)GP209含量の影響を示す。
【図5】ゲルカリン(商標)GP911とアクアコート(商標)ECD30との混合物の0.1M HCl中での薄いポリマーフィルムの(a)水の取り込み、そして(b)乾燥重量ロス挙動に及ぼすゲルカリン(商標)GP911含量の影響を示す(図5(a)−5(b))。
【図6】ゲルカリン(商標)GP911とアクアコート(商標)ECD30との混合物の0.1M HCl中での薄いポリマーフィルムからのテオフィリン放出に及ぼすゲルカリン(商標)GP911含量の影響を示す。
【図7】プロタナール(商標)エステルSD−LBとアクアコート(商標)ECD30との混合物の0.1M HCl中での薄いポリマーフィルムの(a)水の取り込み、そして(b)乾燥重量ロス挙動に及ぼすプロタナール(商標)エステルSD−LB含量の影響を示す(図7(a)−7(b))。
【図8】プロタナール(商標)エステルSD−LBとアクアコート(商標)ECD30との混合物の0.1M HCl中での薄いポリマーフィルムからのテオフィリン放出に及ぼすプロタナール(商標)エステルSD−LB含量の影響を示す。
【図9】トウモロコシデンプンとアクアコート(商標)ECD30との混合物の0.1M HCl中の薄いポリマーフィルムの(a)水の取り込み、そして(b)乾燥重量ロス挙動に及ぼすトウモロコシデンプン含量の影響を示す(図9(a)−9(b))。
【図10】トウモロコシデンプンとアクアコート(商標)ECD30との混合物の0.1M HCl中での薄いポリマーフィルムからのテオフィリン放出に及ぼすトウモロコシデンプン含量の影響を示す。
【図11】0.1M HClに晒されたときのアクアコート(商標)ECDベースの薄いフィルムの水取り込み動力学に及ぼす少量のコリコート(商標)IR(図で示される)の存在の影響を示す(記号:実験値;曲線:理論値)。
【図12】pH7.4のリン酸塩緩衝液に晒したときのアクアコート(商標)ECDベースの薄いフィルム中の水とテオフィリンの拡散係数に及ぼすコリコート(商標)IR含量の影響を示す。
【図13】0.1M HClに晒されたときのアクアコート(商標)ECDベースの薄いフィルムの乾燥重量ロス動力学に及ぼすコリコート(商標)IR含量の影響(図で示される)を示す。
【図14】pH7.4のリン酸塩緩衝液に晒したときのアクアコート(商標)ECDベースの薄いフィルムからのテオフィリンの放出速度に及ぼすコリコート(商標)IR含量(図で示される)の影響を示す。
【図15】テオフィリン放出を示すグラフ。 図15(a)は、60℃で周囲の相対湿度で2日間硬化させた後でエチルセルロース及びエチルセルロースとPVA−PEGグラフトコポリマーとのブレンド物でコーティングレベル20%(w/w)で被覆したペレットからの0.1M HClに晒したときのテオフィリン放出を示す。 図15(b)は、エチルセルロース及びエチルセルロースとPVA−PEGグラフトコポリマーとのブレンド物でコーティングレベル20%(w/w)で被覆したペレットからの60℃で周囲の相対湿度で2日間硬化させた後でpH7.4のリン酸塩緩衝液に晒したときのテオフィリン放出を示す。 図15(c)は、エチルセルロースと15%(w/w)PVA−PEGグラフトコポリマーとのブレンド物で被覆したペレットからの60℃で周囲の相対湿度で1日間硬化させた後で0.1M HClに晒したときのテオフィリン放出を示す。 図15(d)は、エチルセルロースと15%(w/w)PVA−PEGグラフトコポリマーとのブレンド物で被覆したペレットからの60℃で周囲の相対湿度で1日間硬化させた後でpH7.4のリン酸塩緩衝液に晒したときのテオフィリン放出を示す。
【図16】テオフィリン放出を示すグラフ。 図16(a)は、エチルセルロース及びエチルセルロースとカラギーナンとのブレンド物で0.1M HCl中でコーティングレベル10%(w/w)で被覆したペレットからのテオフィリン放出を示す。 図16(b)は、エチルセルロース及びエチルセルロースとカラギーナンとのブレンド物でコーティングレベル20%(w/w)で被覆したペレットからの0.1M HCl中でのテオフィリン放出を示す。 図16(c)は、エチルセルロース及びエチルセルロースとカラギーナンとのブレンド物でコーティングレベル10%(w/w)で被覆したペレットからのpH7.4のリン酸塩緩衝液中でのテオフィリン放出を示す。 図16(d)は、エチルセルロース及びエチルセルロースとカラギーナンとのブレンド物でコーティングレベル20%(w/w)で被覆したペレットからのpH7.4のリン酸塩緩衝液中でのテオフィリン放出を示す。 図16(e)は、90%エチルセルロースと10%カラギーナン、PVA−PEGグラフトコポリマー及びPGアルギネートでコーティングレベル20%(w/w)で被覆したペレットからの0.1M HCl中でのテオフィリン放出を示す。 図16(f)は、90%エチルセルロースと10%カラギーナン、PVA−PEGグラフトコポリマー及びPGアルギネートでコーティングレベル20%(w/w)で被覆したペレットからのpH7.4のリン酸塩緩衝液中でのテオフィリン放出を示す。 図16(g)は、5重量%のカラギーナンを含むエチルセルロースでコーティングレベル10%(w/w)で被覆した硬化ペレットからの0.1M HClに晒したときのテオフィリン放出を示す。 図16(h)は、5重量%のカラギーナンを含むエチルセルロースでコーティングレベル20%(w/w)で被覆した硬化ペレットからの0.1M HClに晒したときのテオフィリン放出を示す。 図16(i)は、5重量%のカラギーナンを含むエチルセルロースでコーティングレベル10%(w/w)で被覆した硬化ペレットからのpH7.4のリン酸塩緩衝液に晒したときのテオフィリン放出を示す。 図16(j)は、5重量%のカラギーナンを含むエチルセルロースでコーティングレベル20%(w/w)で被覆した硬化ペレットからのpH7.4のリン酸塩緩衝液に晒したときのテオフィリン放出を示す。 図16(k)は、5%(w/w)のカラギーナンを含むエチルセルロースで10%(w/w)のコーティングレベルで被覆し60℃、75%相対湿度で1日間硬化させたペレットからの模擬胃腸液中でのテオフィリン放出を示す。 図16(l)は、10%(w/w)のカラギーナンを含むエチルセルロースで10%(w/w)のコーティングレベルで被覆し60℃、75%相対湿度で1日間硬化させたペレットからの模擬胃腸液中でのテオフィリン放出を示す。 図16(m)は、5%(w/w)のカラギーナンを含むエチルセルロースで20%(w/w)のコーティングレベルで被覆し60℃、75%相対湿度で1日間硬化させたペレットからの模擬胃腸液中でのテオフィリン放出を示す。 図16(n)は、10%(w/w)のカラギーナンを含むエチルセルロースで20%(w/w)のコーティングレベルで被覆し60℃、75%相対湿度で1日間硬化させたペレットからの模擬胃腸液中でのテオフィリン放出を示す。 図16(o)は、5%(w/w)のカラギーナンを含むエチルセルロースで10%(w/w)のコーティングレベルで被覆し60℃、75%相対湿度で2日間硬化させたペレットからの模擬胃腸液中でのテオフィリン放出を示す。 図16(p)は、10%(w/w)のカラギーナンを含むエチルセルロースで10%(w/w)のコーティングレベルで被覆し60℃、75%相対湿度で2日間硬化させたペレットからの模擬胃腸液中でのテオフィリン放出を示す。 図16(q)は、5%(w/w)のカラギーナンを含むエチルセルロースで20%(w/w)のコーティングレベルで被覆し60℃、75%相対湿度で2日間硬化させたペレットからの模擬胃腸液中でのテオフィリン放出を示す。 図16(r)は、10%(w/w)のカラギーナンを含むエチルセルロースで20%(w/w)のコーティングレベルで被覆し60℃、75%相対湿度で2日間硬化させたペレットからの模擬胃腸液中でのテオフィリン放出を示す。 図16(s)−16(x)は、(16s)0.1M HCl中での10%カラギーナン;16(t)脱金属イオン水中での10%カラギーナン;16(u)0.1M HCl中での10%PGアルギネート;16(v)脱金属イオン水中での10%PGアルギネート;16(w)0.1M HCl中での15%PVA−PEGグラフトコポリマー;16(x)脱金属イオン水中でのPVA−PEGグラフトコポリマー(20%コーティングレベル;硬化=60℃で周囲相対湿度で1日間)を含むエチルセルロースで被覆したペレットからのテオフィリン放出に及ぼす放出媒体(図中に示す)中のカルシウムイオン濃度の影響を示す。 図16(s)−16(x)は、(16s)0.1M HCl中での10%カラギーナン;16(t)脱金属イオン水中での10%カラギーナン;16(u)0.1M HCl中での10%PGアルギネート;16(v)脱金属イオン水中での10%PGアルギネート;16(w)0.1M HCl中での15%PVA−PEGグラフトコポリマー;16(x)脱金属イオン水中でのPVA−PEGグラフトコポリマー(20%コーティングレベル;硬化=60℃で周囲相対湿度で1日間)を含むエチルセルロースで被覆したペレットからのテオフィリン放出に及ぼす放出媒体(図中に示す)中のカルシウムイオン濃度の影響を示す。
【図17】アクアコート(商標)ECD)/コリコート(商標)IR95/05ブレンド物で被覆したペレットからの0.1M HCl中でのジルチアゼム−HCl放出に及ぼす可塑剤の種類の影響について示す(コーティングレベル:5%;硬化:60℃、1日間)。
【図18】アクアコート(商標)ECD)/コリコート(商標)IR95/05ブレンド物で被覆したペレットからのpH7.4のリン酸塩緩衝液中でのジルチアゼム−HCl放出に及ぼす可塑剤の種類の影響について示す(コーティングレベル:5%;硬化:60℃、1日間)。
【図19】アクアコート(商標)ECD)/コリコート(商標)IR95/05ブレンド物で被覆したペレットからの0.1M HCl中でのジルチアゼム−HCl放出に及ぼす可塑剤の種類の影響について示す(コーティングレベル:10%;硬化:60℃、1日間)。
【図20】アクアコート(商標)ECD)/コリコート(商標)IR95/05ブレンド物で被覆したペレットからのpH7.4のリン酸塩緩衝液中でのジルチアゼム−HCl放出に及ぼす可塑剤の種類の影響について示す(コーティングレベル:10%;硬化:60℃、1日間)。
【図21】アクアコート(商標)ECD)/コリコート(商標)IR95/05ブレンド物で被覆したペレットからの0.1M HCl中でのジルチアゼム−HCl放出に及ぼす可塑剤の種類の影響について示す(コーティングレベル:15%;硬化:60℃、1日間)。
【図22】アクアコート(商標)ECD)/コリコート(商標)IR95/05ブレンド物で被覆したペレットからのpH7.4のリン酸塩緩衝液中でのジルチアゼム−HCl放出に及ぼす可塑剤の種類の影響について示す(コーティングレベル:15%;硬化:60℃、1日間)。
【図23】アクアコート(商標)ECD)/コリコート(商標)IR95/05ブレンド物で被覆したペレットからの0.1M HCl中でのジルチアゼム−HCl放出に及ぼすコリコート(商標)IR含量の影響について示す(コーティングレベル:15%;硬化:60℃、1日間、可塑剤:TEC、薬剤充填量:10%)。
【図24】アクアコート(商標)ECD)/コリコート(商標)IR95/05ブレンド物で被覆したペレットからのpH7.4のリン酸塩緩衝液中でのジルチアゼム−HCl放出に及ぼすコリコート(商標)IR含量の影響について示す(コーティングレベル:15%;硬化:60℃、1日間、可塑剤:TEC、薬剤充填量:10%)。
【図25】アクアコート(商標)ECD)/コリコート(商標)IR95/05ブレンド物でコーティングレベル:15%で被覆した単一ペレットからの0.1M HCl中でのジルチアゼム−HCl放出の影響について示す(硬化:60℃、1日間、薬剤充填量:10%)。
【図26】アクアコート(商標)ECD)/コリコート(商標)IR95/05ブレンド物でコーティングレベル:15%で被覆した単一ペレットからのpH7.4リン酸塩緩衝液中でのジルチアゼム−HCl放出の影響について示す(硬化:60℃、1日間、薬剤充填量:10%)。
【図27】アクアコート(商標)ECD)/コリコート(商標)IRブレンド物を使用して薬剤被覆した粒子の、第二の態様の概略図を示す。
【図28】アクアコート(商標)ECD)/コリコート(商標)IR85/15ブレンド物で被覆したペレットからの(A)0.1M HCl中及び(B)水中でのテオフィリン放出に及ぼす放出媒体中のカルシウムイオン濃度の重要性を示す(コーティングレベル:20%;硬化:60℃、1日間)(図28(a)−28(b))。
【図29】エチルセルロース:PVA−PEGグラフトコポリマー85:15ブレンド物で被覆したペレットの0.1M HCl中でのテオフィリン放出の、保存前(点線)及び3ヶ月と6ヶ月保存後(実線で示される)の保存安定性を示す。硬化条件は左側、保存条件はトップに示される(コーティングレベル=20%)。
【図30】エチルセルロース:PVA−PEGグラフトコポリマー85:15ブレンド物で被覆したペレットからの0.1M HCl又はリン酸塩緩衝液pH7.4(トップに示されるように)中でのテオフィリン放出への、異なった温度及び相対湿度(左側に示される)での保存前(点線)及び3ヶ月と6ヶ月保存後(実線で示される)でのテオフィリン放出に対する硬化条件(図に示される)の重要性を示す(コーティングレベル=20%)。
【図31】エチルセルロース:カラギーナン90:10ブレンド物で被覆したペレットの:0.1M HCl中でのテオフィリン放出の、保存前(点線)及び3ヶ月と6ヶ月保存後(実線で示される)の保存安定性を示す。硬化条件は左側、保存条件はトップに示される(コーティングレベル=20%)。
【図32】エチルセルロース:カラギーナン95:5ブレンド物で被覆したペレットの:リン酸塩緩衝液pH7.4中でのテオフィリン放出の、保存前(点線)及び3ヶ月と6ヶ月保存後(実線で示される)の保存安定性を示す。硬化条件は左側、保存条件はトップに示される(コーティングレベル=20%)。
【図33】エチルセルロース:カラギーナン90:10ブレンド物で被覆したペレットからの0.1M HCl又はリン酸塩緩衝液pH7.4(トップに示されるように)中でのテオフィリン放出への、異なった温度及び相対湿度(左側に示される)での保存前(点線)及び3ヶ月と6ヶ月保存後(実線で示される)でのテオフィリン放出に対する硬化条件(図に示される)の重要性を示す(コーティングレベル=20%)。
【図34】エチルセルロース:カラギーナン95:5ブレンド物で被覆したペレットからの0.1M HCl又はリン酸塩緩衝液pH7.4(トップに示されるように)中でのテオフィリン放出への、異なった温度及び相対湿度(左側に示される)での保存前(点線)及び3ヶ月保存後(実線で示される)でのテオフィリン放出に対する硬化条件(図に示される)の重要性を示す(コーティングレベル=20%)。
【図35】エチルセルロース:PVA−PEGグラフトコポリマー85:15ブレンド物でのコーティングプロセスの再現性を示す:(a)0.1M HCl、(b)リン酸塩緩衝液pH7.4中での三つの異なったトライアルで被覆したペレットからのテオフィリン放出(番号は図に示される)(コーティングレベル=15%;硬化=60℃、1日)。
【図36】テオフィリンを充填したペレットのフィルム被覆物のために使用された潜在的なアクアコート(商標)ECDバッチ−バッチ変動の重要性を示す::(a)0.1M HCl、(b)リン酸塩緩衝液pH7.4中での三つの異なったアクアコート(商標)ECDバッチ(番号は図に示される)で被覆したペレットからの薬剤放出(コーティングレベル=15%;エチルセルロース:PVA−PEGグラフトコポリマーブレンド比=85:15;硬化=60℃、1日間)。
【図37】エチルセルロース:PVA−PEGグラフトコポリマーブレンド物でのコーティングプロセスの確固さを示す:(a)0.1M HCl、(b)リン酸塩緩衝液pH7.4中でのテオフィリン放出に及ぼすコーティングレベル(図に示される)のわずかの変動の影響(ポリマーブレンド比=85:15;硬化=60℃、1日間)。
【図38】アクアコート(商標)ECD)/コリコート(商標)IRブレンド物を使用して薬剤被覆した粒子の、第一の態様の概略図を示す。
【図39】エチルセルロース:PVA−PEGグラフトコポリマー85%:15%(w/w)ブレンド物で、15%のコーティングレベルそして60℃で1日間の硬化条件で被覆したペレットからのリン酸塩緩衝液pH7.4中での39(a)相対及び39(b)絶対テオフィリン放出速度に及ぼすビーズコアの種類の影響を示す(図39(a)−39(b))。
【図40】エチルセルロース:PVA−PEGグラフトコポリマーブレンド物で被覆した薬剤層状砂糖コアからの0.1M HCl中でのジルチアゼム−HCl放出に及ぼすPVA−PEGグラフトコポリマー含量(図に示される)の影響を示す(コーティングレベル=15%;硬化=60℃、1日間)。
【図41】エチルセルロース:PVA−PEGグラフトコポリマー85%:15%(w/w)ブレンド物でコーティングレベル=15%で被覆した薬剤層状砂糖コアからのリン酸塩緩衝液pH7.4中でのジルチアゼム−HCl放出に及ぼす硬化条件(図に示される)の影響を示す。
【図42】エチルセルロース:PVA−PEGグラフトコポリマー95:05ブレンド物で被覆した単一ペレット(薬剤層状砂糖コア)からのリン酸塩緩衝液pH7.4中でのジルチアゼム−HCl放出を示す(コーティングレベル=15%;硬化=60℃、1日間)。
【図43】テオフィリン放出を示すグラフ。 エチルセルロース:PGアルギネート90:10ブレンド物で被覆したペレットからの0.1M HCl中での保存前(点線)及び43(a)室温、及び43(b)40℃で75%RHでの6ヶ月保存後(実線)のテオフィリン放出を示す(コーティングレベル:20%、硬化条件は図に示される)(図43(a)−43(b))。
【図44】エチルセルロース:PGアルギネート90:10ブレンド物で被覆したペレットからのリン酸塩緩衝液pH7.4中での保存前(点線)及び44(a)室温、及び44(b)40℃で75%RHでの6ヶ月保存後(実線)のテオフィリン放出を示す(コーティングレベル:20%、硬化条件は図に示される)(図44(a)−44(b))。
【図45】エチルセルロース:カラギーナン90:10ブレンド物で被覆したペレットからの0.1M HCl中での保存前(点線)及び45(a)室温、及び45(b)40℃で75%RHでの6ヶ月保存後(実線)のテオフィリン放出を示す(コーティングレベル:20%、硬化条件は図に示される)。(図45(a)−45(b))
【図1(a)】
【図1(b)】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラテックス又は擬似ラテックス組成物に関する。本発明は又ラテックス又は擬似ラテックス組成物で被覆された基材、ラテックス又は擬似ラテックス組成物からつくられたフィルム及びそのような組成物、被覆基材及びフィルムの製造方法及び使用法に関する。
【背景技術】
【0002】
ラテックス又は擬似ラテックス水不溶性フィルム形成剤で被覆したフィルム又は基材から薬剤の放出を調節するための組成物を与えるために、そのような擬似ラテックス又はラテックスフィルムの障壁効率は製造の再現性問題を起こすのに十分な低いレベルにコーティング量を制限するほどに大きい場合がある。
【0003】
相溶性浸透促進剤の添加は、可塑剤の付加量や選択について妥協することなしに、擬似ラテックス又はラテックスフィルムの浸透性を増大させる。得られた知見に基づいて、例えば、アクアコート(Aquacoat)ECD−被覆投与形の最適化はかなり容易にすることができる。所望の膜の性質(特に薬剤浸透性)は容易に調節することができる。
【0004】
ポリマー状フィルム被覆は、薬剤投与形から薬剤の放出速度をコントロールするためにしばしば使用される。エチルセルロースは、良好な口腔生体適合性及びフィルム形成特性を示すので、この目的のために好適なポリマーである。しかしながら、エチルセルロースの連続フィルムは多くの薬剤に対して浸透性が乏しく(非特許文献1)、低い放出速度を示す。この制限を克服するために、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)が、薬剤放出を加速させる細孔形成剤として提案されてきた(非特許文献2)。しかしながら、比較的量が多いことが必要でそしてコーティング分散液中のHPMCの存在は凝結を引き起こす。
【0005】
【非特許文献1】Slepmann,J.et.al(1999)J.Controlled Release 60:379−389
【非特許文献2】Frohoff−Huelsmann,M.et.al(1999)Int.J.Pharm.177:69−82
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、多くの薬剤に対して浸透性、放出速度が優れ、且つ添加剤の小量の添加のみで基材からの薬剤の放出量及び放出速度の調節が可能なラテックス又は擬似ラテックス組成物、被覆基材及びフィルムの製造方法及び使用法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、(i)少なくとも一つのラテックス又は擬似ラテックス水不溶性フィルム形成剤、(ii)少なくとも一つの浸透促進剤及び所望により、(iii)一つ以上の可塑剤からなる組成物である。本発明はまた、本発明の組成物で被覆した基材、その組成物からつくられたフィルム及びそのような組成物、被覆した基材及びフィルムの製造方法及び使用方法である。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、多くの薬剤に対して浸透性、放出速度が優れ、且つ添加剤の小量の使用のみで基材からの薬剤の放出量及び放出速度の調節が可能なラテックス又は擬似ラテックス組成物、被覆基材及びフィルムの製造方法及び使用法が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明は、ラテックス又は擬似ラテックス水不溶性フィルム形成剤のフィルムで被覆したフィルム又は基材からの薬剤の放出の調節を可能にする組成物に関する。ラテックス又は擬似ラテックス水不溶性フィルム形成剤への浸透促進剤の添加は薬剤の放出速度の調節方法を提供する。
【0010】
ここで使用するときは、“ラテックス又は擬似ラテックス水不溶性フィルム形成剤”とは、水不溶性ポリマーの群が、水溶液分散物中に細かく分散するときに凝集してフィルム又はフィルムコーティング物を形成できることを意味している。
擬似ラテックスは予備発泡したポリマーを乳化させることによってつくられる。例えば、エチルセルロースの擬似ラテックスはポリマーを適切な溶媒に溶解させ、そしてラウリル硫酸ナトリウムのような乳化剤、及びセチルアルコールのような安定剤を使用して、有機相を水中に導入してエマルジョンを形成させることによってつくられる。均一化の後、溶媒を真空蒸留によって除去し、水中にエチルセルロースの約30%固体分散物を残す。
【0011】
ラテックスは、アニオン性又は非イオン性界面活性剤の水溶液媒体中で通常乳化するモノマー又はモノマーブレンド物の重合によってつくられる。そのプロセスは、フリーラジカルの、アニオン性又はカチオン性重合メカニズムによって機能する開始剤の添加を必要とする。ポリマーラテックスの粒子サイズは典型的にはサブミクロンである。
【0012】
本発明に従ったラテックス又は擬似ラテックスフィルム形成剤としては、例えば、エチルセルロースのような不溶性コポリマー、アクリレート及びメタクリレートコポリマー、水不溶性セルロース誘導体、酢酸セルロース、フタル酸酢酸セルロースを包含する。
【0013】
ラテックス又は擬似ラテックス水不溶性フィルム形成剤は乾燥基準で、50重量%以上、60重量%以上、65重量%以上、70重量%以上、75重量%以上、85重量%以上、90重量%以上の量で存在する。
【0014】
フィルムは薬剤(医薬品の活性成分)の放出速度をコントロールするために医薬品調合に適用される。従来、フィルムベースの組成物であるポリマー物質は有機溶媒中に溶解しそしてフィルムコーティングのプロセスに適用される。しかしながら、環境上及び安全上の問題から、水溶液フィルムコーティング組成物が、有機溶媒の使用を避けるために使用されてきた。
【0015】
薬剤の放出速度をコントロールできそして強い保湿能力をもった水溶液コーティング組成物の一つはエチルセルロース分散物で、それはFMCコーポレーション社からアクアコート(商標)ECDとして市販されておりユナイテッドステーツナショナルフォーミュラリー及びハンドブックオブジャパニーズエキシピエンツに水溶液エチルセルロース分散物として論述されている。
【0016】
しかしながら、背景として、擬似ラテックス又はラテックスフィルムの障壁特性はフィルム厚み又は被覆量、可塑剤の量及び種類、及び擬似ラテックス又はラテックス粒子のフィルム中の凝集度(それは時間、温度及び湿度の従属する)に依存する。水溶性擬似ラテックス又はラテックスフィルムコーティングプロセスの最適化及びスケールアップは複雑である。部分的に凝集したフィルムはより早い放出速度を与えるが、しかし凝集が標準保存条件下でなおゆっくりと進むときは、放出速度は時間に対して安定ではない。もし完全に凝集した障壁特性が過剰なら厚み又は被覆量は減少するが、しかしこれは、低被覆量又は高被覆量の適用の精度が低いこと又は薄いフィルムの欠陥衝撃によって首尾一貫しない放出速度の問題を引き起こす。可塑剤を変えることは放出速度を変えるがしかし、もし最も早い放出を与える可塑剤のレベル又は種類がフィルム特性の観点で最適でないなら、またフィルムの機械的性質に影響を与えるであろう。許容できる可塑剤の制限された数はまた国際的に許容できるものが少ないので、或る領域で規制問題を起こすであろう。放出速度を増加させるために水溶性又は親水性物質を単純に添加することは、フィルムの引き続く凝集を防ぐ擬似ラテックス又はラテックスの不安定化により、放出速度の不均衡で激変的な増加を与えるであろう。この効果は、即放性用途における擬似ラテックス又はラテックスの湿分障壁及び曲線追随特性を利用するために、アクアコート(商標)ECDの分散物にヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)のような水溶性ポリマーの添加によって利用される。複雑な最適化を解決した、コントロールされ、維持され又は修正された放出用途のためには、再現性とスケールアップの大きな問題を引き起こすゼロか又は全てかの放出挙動に直面することになる。
【0017】
本発明は上述の問題点を解決する目的でなされそしてその目的濃度に依存するように擬似ラテックス又はラテックスフィルムからの薬剤の放出速度を増加させる相溶性浸透促進剤組成物をあたえること、つまりフィルムの厚み又は被覆量の減少を必要とせずまた可塑剤の選択に拘わらず放出速度の調節方法を与えることである。ラテックス又は擬似ラテックス粒子は、スプレーの前又は過程で分散物中で不安定化しない(例えば、凝集、フロック化又は凝結化しない)事が必須である。不安定化すると基材表面上に粒子を最密充填してフィルム状に焼結又は合体することを必要とするフィルム形成メカニズムを妨害する。驚くべきことに、ポリマーの添加に対して擬似ラテックス又はラテックス分散物の相溶性がないことが広範囲で報告されてきたにも拘らず、いくつかの材料は擬似ラテックス又はラテックス分散物のフロック化、凝結又は凝集を引き起こさず、また擬似ラテックス又はラテックスフィルム形成に望ましくない干渉を起こさないことが証明された。
【0018】
或る浸透促進剤は、擬似ラテックス又はラテックス分散を不安定化しそして擬似ラテックス又はラテックスフィルム又は被覆物の障壁特性を破壊しないで、擬似ラテックス又はラテックスフィルムからの薬剤放出速度を増加させることができる。ここで使用されるときは、“浸透促進剤”とは、ラテックス又は擬似ラテックス水不溶性フィルム形成剤の水溶液分散物を不安定化させない、ポリマー、塩及び砂糖のような物質群を意味する。そのような浸透促進剤の例としては、限定はしないが、カラギーナン(例えば、カッパー、ラムダ、カッパー2及びイオーター)、プロピレングリコールアルギネート、デンプン、サクロース、ラクトース、マンニトール、ソルビトール、グルコース、ポリ(エチルアクリレート、メチルメタクリレート)(ユードラギット(商標)NE30D)、ポリメタクリレート、メタクリル酸コポリマー、ポリ酢酸ビニル、燐酸塩、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール−ポリエチレングリコールコポリマー(コリコート(商標)IR、BASF)、ポリビニルアルコール、微結晶質セルロース、微結晶質セルロース−カラギーナン、フタル酸酢酸セルロース、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウム/カルシウム、アルギン酸マグネシウム、アルギン酸アンモニウム、ナトリウムデンプングリコレート、クロスカーメローズ、デンプン、サクローズ、ラクトース、マンニトール、ソルビトール、グルコース、燐酸水素カルシウム、燐酸水素ジナトリウムを包含する。本発明の好ましい浸透促進剤としては、プロピレングリコールアルギネート、デンプン、カラギーナン又はポリビニルアルコール−ポリエチレングリコールコポリマー(コリコート(商標)IRとしてBASFから市販されている)が包含される。浸透促進剤は擬似ラテックス又はラテックス粒子に対して50%以下のレベルで存在することができる。そのレベルが高くなると、擬似ラテックス又はラテックスフィルム又は被覆物の水取り込みが多くなり、そして薬剤の放出速度が高くなる。
【0019】
浸透促進剤はラテックス又は擬似ラテックス組成物の30重量%以下の量で存在し、そして所望により、該ラテックス又は擬似ラテックス組成物の25重量%、20重量%、15重量%、10重量%、5重量%、3重量%又は1重量%以下を含んでいてもよい。ラテックス又は擬似ラテックス組成物は好ましくは少なくとも0.5重量%の浸透促進剤を含む。
【0020】
本発明においては、薬剤は人間又は動物の疾患の治療、防止及び診断のために使用される物質を意味する。例えば、それらは以下の物質を包含する。特に、それらは抗−癲癇剤(例:フェニトイン、アセチルフェネチュリド、トリメタジオン、フェノバービタル、ピリミドン、等々)、解熱−鎮痛―抗炎症剤(例:アセトミノフェン、フェニルアセチルグリシンメチルアミド、メフェナミン酸、ジクロフェナックナトリウム、フロクタフェニン、アスピリン、アスピリンアルミニウム、エテンズアミド、オキシフェンブタゾン、スルピリン、フェニルブタゾン、イブプロフェン、アルクロフェナック、ナプロキセン、ケトプロフェン、チノリジンヒドロクロライド、ベンジドアミンヒドロクロライド、チアルアミドヒドロクロライド、インドメタシン、ピロキシカム、サリチルアミド、等々)、抗眩暈剤(例:ジメンヒドリネート、メクリジンヒドロクロライド、ジフェントインヒドロクロライド、等々)、麻酔剤(例:オピウムアルカロイドヒドロクロライド、エチルモルフィンヒドロクロライド、コデインフォスフェート、ジヒドロコデインフォスフェート、オキシメテバノール、等々)、抗精神剤(例:クロプロマジンヒドロクロライド、レボメプロマジンマレエート、ペラジンマレエート、プロペリシアジン、ペルフェナジン、クロロプロチキセン、ハロペリドール、ジアゼパム、オキサゼパム、オキサゾラム、メキサゾラム、アルプラゾラム、ゾテパイン、等々)、筋肉弛緩剤(例:クロルゾキサゾン、クロルフェネシンカルバメート、クロルメザノン、プリジノールメシレート、エペリゾンヒドロクロライド、等々)、自律神経活性剤(例:ベタネコルヒドロクロライド、ネオスチミンブロマイド、ピリドスチミンブロマイド、等々)、抗痙攣剤(例:アトロピンサルフェート、ブトロピウムブロマイド、ブチルスコポルアンモニウムブロマイド、プロパンテリンブロマイド、パパベリンヒドロクロライド、等々)、抗パーキンソン病剤(例:ビペリデンヒドロクロライド、トリヘキシフェニジルヒドロクロライド、アマンタジンヒドロクロライド、レボドーパ、等々)、目薬(例:ジクロロフェナミド、メタゾルアミド、等々)、抗ヒスタミン剤(例:ジフェンヒドラミンヒドロクロライド、ジクロロフェニラミンマレエート、d−クロルフェニラミンマレエート、プロメタジン、メクイタジン、クレマスチンフマレート、等々)、心臓薬(アミノフィリン、カフェイン、ジ−イソプロテレノールヒドロクロライド、エチレフリンヒドロクロライド、ノルフェネフリンヒドロクロライド、ユビデカレノン、等々)、抗不整脈剤(例:プロカインアミドヒドロクロライド、ピンドロール、タルタル酸メトプロロール、ジソピラミド、等々)、利尿剤(例:塩化カリウム、シクロペンチアジド、ヒドロクロロチアジド、トリアムテレン、フロセミド、等々)を包含することができる。
【0021】
それらはさらに、抗高血圧剤(例:ヘキサメトニウムブロマイド、ヒドラジンヒドロクロライド、シロシンゴピン、レセルピン、プロプラノロールヒドロクロライド、カプトプリル、メチルドーパ、等々)、血管収縮剤(例:ジヒドロエルゴタミンメシレート、等々)、血管拡張剤(例:エタフェノンヒドロクロライド、ジチアゼムヒドロクロライド、カルボクロメンヒドロクロライド、ペンタエリスルトールテトラナイトレート、ジピリダモール、イソソルビドナイトレート、ニフェジピン、ニカメテートシトレート、シクランデレート、シンナリジン、等々)、動脈硬化用薬剤(例:エチルリノレエート、レシチン、クロフィブレート、等々)、循環器用薬剤(例:ニカルジピンヒドロクロライド、メクロフェノキセートヒドロクロライド、シトクロームC、ピリジノールカーバメート、ビンポセチン、ホパテネートカルシウム、ペントキシフィリン、イデベノン、等々)、呼吸刺激剤(例:ジメフリンヒドロクロライド、等々)、咳止め去痰剤(例:コデインフォスフェート、ジヒドロコデインフォスフェート、デキストロメトルファンヒドロブロマイド、ノスカピン、L−システインメチルエステルヒドロクロライド、ブロモヘキシンヒドロクロライド、テオフィリン、エフェドリンヒドロクロライド、アムレキサノックス、等々)、肝臓保護剤(例:オサルミド、フェニルプロパノール、ヒメクロモン、等々)、整腸剤(例:ベルベリンヒドロクロライド、ロペラミドヒドロクロライド、等々)、消化剤(例:メトクロプラミド、フェニペントール、ドンペリドン、等々)、ビタミン(例:レチノールアセテート、ジヒドロタチステロール、エトレチネート、チアミンヒドロクロライド、チアミンサルフェート、フルスルチアミン、オクトチアミン、シコチアミン、リボフラビン、ピリドキシンヒドロクロライド、ピリドキサールフォスフェート、ニコチン酸、パンテチン、シアノコバラミン、ビオチン、アスコルビン酸、フィトナジオン、メナテトレノーム、等々)、抗菌剤(例:ベンザチンベンジルペニシリン、アモキシシリン、アンピシリン、シクラシリン、セファクロール、セファレキシン、エリトロマイシン、キタサマイシン、ジョサマイシン、クロルアンフェニコール、テトラサイクリン、グリセオフルビン、セフゾナーム、等々)、化学治療剤(例:スルファメトキサゾール、イソニアジド、エチオンアミド、チアゾスルフォン、ニトロフラントイン、エノキサシン、オフロキサシン、ノルフロキサシン、等々)を包含する。
【0022】
水溶性ポリマーもまた添加できる。例としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、又はカルボキシメチルセルロース(CMC)を包含する。本発明の浸透促進剤無しのこれらの物質は、擬似ラテックス又はラテックス分散物を不安定にしそして擬似ラテックス又はラテックスフィルム又は被覆物を本質的に即放性にすることによって、薬剤の放出速度を劇的に増加させる。
【0023】
本発明で使用される可塑剤はエチルセルロースのガラス転移温度と最小フィルム形成温度を低下させる物質である。引用できる例としては、アセチル化したモノグリセリド、トリエチルシトレート、中鎖脂肪酸トリグリセリド、アセチルトリエチルシトレート、トリブチルシトレート、アセチルトリブチルシトレート、ジブチルアジペート、ジブチルセバケート、ジエチルフタレート、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オレイン酸及びオレイノールを包含する。一般的には、可塑剤の量は、エチルセルロースの100重量部当たりで、10から50重量部、そして好ましくは20から40重量部のオーダーである。
【0024】
可塑剤は該ラテックス又は擬似ラテックス組成物の50重量%以下、40重量%以下、30重量%以下、25重量%以下、20重量%以下、15重量%以下、10重量%以下、5重量%以下、3重量%以下又は50重量%以下を含む。好ましくは、可塑剤はラテックス又は擬似ラテックス組成物の0.5重量%から25重量%を含む。
【0025】
本発明においては、フィルム被覆した粒子のフィルム厚みは一般に、限定はしないが、30ミクロン以上であるべきである。それが30ミクロン以下であると、フィルム強度及び堅固さが低くなりそして時間と共に変化する傾向がある。特に上限はないのであるが、もし厚すぎると、フィルムコーティングに長い時間がかかり、実用的でない。上限に関しては、一般的な上限は、限定はしないが、ほぼ100ミクロンである。フィルムが厚くなると、放出速度が過度に遅くなる影響がある。そのような場合には、適切な浸透促進剤が好適な放出速度及び好適なフィルム厚みを与えるために使用される。コーティング量は未コートの面積、粒子サイズ及び形状及び表面の滑らかさに大きく依存する。しかしながら、限定はしないが、未コートの粒子100重量部当たりで1から100重量部のオーダー、好ましくは3から25重量部のオーダーであるべきである。
【0026】
本発明においては、フィルムコートした粒子は、また、水溶液分散フィルムのコーティングで起こる又は薬剤と水溶液分散フィルム形成剤との間の相互作用を防止するためのバッチ変化を減少させる目的で、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、微結晶質セルロース−カラギーナン(ラスタークリア、FMCコーポレーション)等々のような即放性コーティングのシールコートを含むか、又はそれらはまた熱処理又は保存又は腸内特性を与える過程で凝集を防止する目的で水溶液分散物に加えて、水溶液分散フィルムの外側に他のフィルムコーティング剤でコートしてもよい。
【0027】
フィルム厚みは未コート粒子の粒子径分布を増大させる。粒子径分布は75から1410ミクロンの範囲であることが好ましい。75から1000ミクロンがより好ましい。粒子径分布がこの範囲であるときは、処方物は容易に飲み込みがし易い。フィルムコートした粒子はまた食品と混ぜでカプセルに閉じ込め、フィルムで被せ又はタブレットに入れて飲み込むことができる。
【0028】
本発明においては、フィルムコートした粒子も実施でき、又は他の薬剤処方と一緒に混合することもでき、又は他の媒体及び薬剤又は薬剤を含む粒子とまぜることができ、それはフィルムコーティングに晒され、その後タブレットやピルにつくられる。医薬品又は獣医用途に加えて、農業用化学品、肥料、食品、化粧品又は工業用品として使用することができる。
【0029】
本発明の方法は、上述のように、基材を水溶液ラテックス又は擬似ラテックスフィルムコーティング組成物でコーティングする方法を包含する。コーティング工程の後は熱処理工程が続く。コーティング工程は所望により高湿度条件下で行われそして熱処理工程は低湿分条件下で行われる。湿度はプロセス空気の直接加湿、基材が置かれたコーティング室への水溶液のスプレー、又は水溶液ラテックス又は擬似ラテックスコーティング組成物を水溶液で希釈することによって維持される。用語“高”及び“低”相対湿度は、それぞれ干渉なしで周囲の相対湿度より高い相対湿度及び干渉無しで周囲の相対湿度より低い相対湿度を意味する。スプレーは、例えば、約15%固体含量で行われる。
【0030】
本発明は、高い毛細管力もまたコーティングプロセス過程での高湿度、例えば、コーティング工程で40%以上、引き続く熱処理工程の低湿分、例えば、乾燥工程での55%以下の相対湿度の使用によって維持できることを認識している。好適なコーティング工程での高湿度条件は、ペレットが凝集しない範囲で、例えば、40%以上の相対湿度、50%以上の相対湿度、60%以上の相対湿度、70%以上の相対湿度、80%以上の相対湿度、90%以上の相対湿度である。熱処理工程での好適な低湿分条件は、過剰乾燥が避けられる範囲で、例えば、16g水/kg空気以下、10g水/kg空気以下、8g水/kg空気以下、5g水/kg空気以下、3g水/kg空気以下である。空気流量、温度、及び取り除かれる湿分の相対体積は熱処理工程の適切な低湿分条件選択のガイドとなる。例えば、流動層の使用は過剰乾燥を避けるために入り口空気流の高湿度を必要とする。合体後、フィルムの性質は一定を保つと言われている。
【0031】
熱処理工程は水溶液ラテックス又は擬似ラテックスコーティング組成物の最小フィルム形成温度以上の温度で実施されるのが好ましい。基材はペレット、タブレット、ソフトカプセル、ハードカプセル、粉末、顆粒、ビーズ、フィルム及びフィルムを被せた投与形である。
【0032】
被覆基材は、低湿度コーティング及び硬化条件下で作られた基材に比べて、優れた障壁特性、標準保存条件下で3年に及ぶ期間での放出プロフィールの優れた安定性の一つ以上を示す。
【0033】
被覆された基材は、図27に示されるような薬剤マトリックスであるか、又は図38に示されるような薬剤層でのコアコーティングである。図38の態様では、コア(芯)は、例えばコアが砂糖コアである場合は浸透活性である。本発明は両方のタイプのペレットからカスタマイズできる放出を提供する。
【0034】
本発明のフィルムコーティングで使用される可塑剤のタイプ及び量の変化は薬剤放出をカスタマイズするために使用される。例えば、以下に示されるように、ポリ(ビニルアルコール)−ポリ(エチレングリコール)−グラフトコポリマーをエチルセルロースベースのフィルムコーティング物に添加すると、薬剤の水溶性又はペレットコアの浸透活性に拘わりなく、広範囲の放出パターンが達成される。
【0035】
また、下記の実施例で強調するように、上述のような適当な添加物の極少量の存在は、応力下でさえも、本発明に従った水溶液エチルセルロースベースのフィルムコーティング物に長期間の安定性を効果的に与えることができる。
【0036】
実施例はまた、本発明に従ったコーティング物、例えば、エチルセルロース:PVA−PEGコポリマーブレンド物は、多くの従来の製造プロセスで生ずるコーティング特性におけるいくつかの変化にも拘らず、実質上一定な薬剤放出を与えることを示す。このように、本発明のコーティング物及びコーティング方法は確固としたもので大規模製造にスケールアップすることが可能である。
【0037】
(実施例)
ポリ(ビニルアルコール)−ポリ(エチレングリコール)−グラフトコポリマーの非常に少量のみをアクアコート(商標)ECDベースのフィルムコーティング物に添加すると、所望の膜特性が効果的に調節できる。特に、得られる水取り込み速度及び量、乾燥重量ロス動力学及び薬剤の浸透性を変えることができる。重要なことに、これらの影響はフィックの拡散第二法則に基づいて定量的に予測することができる。
【0038】
エチルセルロースベースのフィルムコーティング物はしばしば固体口腔投与形、例えば、ペレット及びタブレットからの薬剤放出速度をコントロールするために使用される。エチルセルロースは水不溶性なので、得られる放出パターンは胃腸管全体の中でコントロールすることができる。しかしながら、多くの薬剤に対するこのポリマーの制限された浸透性によって、所望の放出速度を調節することはしばしば挑戦的なこととなる。ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)のコーティング物への添加が薬剤放出を加速するために過去において提案されてきた。しかしながら、比較的多量が必要でそしてコーティング分散物中のHPMCの存在は凝集を引き起こす。
【0039】
本研究の主目的は、アクアコート(商標)ECDベースのフィルムコーティング物の性質、特にその薬剤透過の性質を効果的に変化させる容易に調節可能な処方パラメーターを同定することであった。段階スクリーニングにおいては、浸透促進剤はトリエチルシトレート(ECD固体基準で25%w/w)で可塑化したアクアコート(商標)ECDと混合され、アクアコート(商標)ECDは浸透促進剤の添加の前に24時間トリエチルシトレートと一緒に攪拌することによって可塑化された。分散安定性は、集合、凝集又はフロック化を光学顕微鏡でチェックした。フィルムをテフロン(商標)上に置きそして60℃で24時間硬化させた。キャストフィルムを、外観、透明度、不均一性、又はクラック及び機械的性質(半−定量的な脆さ又は柔軟性)について評価した。
【0040】
以下の物質をアクアコート(商標)ECD固体に対して10から30%w/wのレベルで評価した:ポリ(エチルアクリレート、メチルメタクリレート、トリメチルアンモニオエチルメタクリレートクロライド)(ユードラギット(商標)RS30D、ユードラギット(商標)RL30D、ロームGmbH)、ポリ(エチルアクリレート、メチルメタクリレート)(ユードラギット(商標)NE30D、ロームGmbH)、ポリビニルアセテート(コリコート(商標)SR30D BASF)、ポリビニルアルコール−ポリエチレングリコールグラフトコポリマー(コリコート(商標)IR30D BASF)、ポリビニルピロリドン、微結晶質セルロース−カラギーナン(ラスタークリアLC103、ラスタークリアLC200、FMCコーポレーション)、カッパーカラギーナン(ゲルカリン(商標)GP911、FMCコーポレーション)、イオーターカラギーナン(ゲルカリン(商標)GP379、FMCコーポレーション)、ラムダーカラギーナン(ビスカリン(商標)GP209、FMCコーポレーション)、ポリエチレングリコール400、ポリエチレングリコール4000、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、フタル酸酢酸セルロース(アクアコート(商標)CPD FMCコーポレーション)、アルギン酸ナトリウム(プロタナール(商標)LFMG5/60、プロタナール(商標)LF120M FMCコーポレーション)、アルギン酸プロピレングリコール(プロタナール(商標)エステルSD−LB、FMCコーポレーション)、ナトリウムデンプングリコレート、デンプン、サクローズ(サッカローズ)、ラクトース、マンニトール、ソルビトール、グルコース、塩化ナトリウム、燐酸水素カルシウム、燐酸水素ジナトリウム。
【0041】
分散相溶性/フィルム特性スクリーニング結果
アクアコート(商標)ECDと浸透促進剤との相溶性混合物の好ましい例は良好なフィルムを与える。
ポリビニルアルコール−ポリエチレングリコールグラフトコポリマー(コリコート(商標)IR)は分散液中で相溶性で良好な混合フィルムを与えた。
ゲルカリン(商標)GP911(カッパーカラギーナン)及びビスカリン(商標)GP209(ラムダーカラギーナン)は共にアクアコート(商標)ECDと粘液質の安定な分散物を与えそして良好な混合フィルム特性を与えた。
【0042】
アルギン酸プロピレングリコール(プロタナール(商標)エステルSD−LB)及びデンプンはアクアコート(商標)ECD分散物と相溶性でそして良好なフィルムを与えた。
ポリ(エチルアクリレート、メチルメタクリレート)(ユードラギット(商標)NE30D)は分散液中で物理的に相溶性でそして良好な混合フィルムを与えた。
【0043】
サクローズ(サッカローズ)ラクトース、マンニトール、ソルビトール及びグルコースはアクアコート(商標)ECD分散物と相溶性でそして良好なフィルムを与えた。しかしながら、フィルム中で砂糖の再結晶が起こらないことを確保する必要がある。
【0044】
アクアコート(商標)ECDと浸透促進剤の相溶性混合物の追加例
アクアコート(商標)ECD分散物は不安定化しないが、しかしアクアコート(商標)ECD中のゲルカリン(商標)GP379(イオーターカラギーナン)の粘度は高くそしてフィルムは均一ではなかった。
ポリビニルアセテート(コリコート(商標)SR30D)は分散物中でアクアコート(商標)ECDと相溶性がある(即ち不安定化しない)がしかし不均一なフィルムを与えた。
【0045】
リン酸塩(燐酸水素カルシウム、燐酸水素ジナトリウム)はアクアコート(商標)ECD分散物と相溶性がある(即ち不安定化しない)がしかし不均一なフィルムを与えた。
ポリエチレングリコール400はアクアコート(商標)ECD分散物を不安定化しなかったがしかし混合フィルム中で相分離を示して、目に見える浸出を形成した。
【0046】
ポリエチレングリコール4000はアクアコート(商標)ECD分散物を不安定化せず混合フィルム中で相分離は少なかったが、しかしフィルムは低下した柔軟性を示した。
ポリビニルピロリドンはアクアコート(商標)ECD分散物を不安定化しなかったがしかしフィルムは柔軟性が少なくクラック化する傾向があった。
【0047】
アクアコート(商標)ECDと他の添加剤、ラスタークリア(商標)LC103(微結晶質セルロース−カラギーナン)との相溶性のない混合物の比較実施例(本発明に従っていない組成物の)は非常に粘液質で不安定なアクアコート(商標)分散物を与えそして混合フィルムはクラック化し易い傾向があった。
【0048】
ヒドロキシプロピルメチルセルロースはアクアコート(商標)ECD分散物を不安定化させそして不均一なフィルムを与えた。
ナトリウムカルボキシメチルセルロースはアクアコート(商標)ECD分散物を不安定化させそしてクラックし易いフィルムを与えた。
【0049】
カチオン性コポリマー(ポリ(エチルアクリレート、メチルメタクリレート、トリメチルアンモニオエチルメタクリレートクロライド)(ユードラギット(商標)RS30D、ユードラギット(商標)RL30D)は可塑化したアクアコート(商標)ECD分散物を不安定化させた。
【0050】
薄いキャストフィルムを使用して、水取り込み、重量ロス挙動及び0.1M HCl中での薄いポリマーフィルムの/からの薬剤放出動力学に及ぼすアクアコート(商標)ECD30浸透促進剤の割合の影響を調べるために、薬剤(テオフィリン)と水の浸透性、重量ロス及び機械的性質を決定した。
【0051】
本発明に従ったフィルムは、下記の実施例で強調されるように、薬剤放出過程のカルシウムイオン濃度に比較的鈍感であった。これは、薬剤放出速度が、胃腸管内で遭遇するカルシウムイオン濃度の潜在的な変動に拘わらず、比較的予測可能な範囲のままであるという利点を与えている。
【0052】
薬剤を含まない薄いポリマーフィルムの調製
薄いポリマーフィルムを、アクアコート(商標)ECD30の水溶液分散物とコリコート(商標)IR、ゲルカリン(商標)GP911、ビスカリン(商標)GP209、プロタナール(商標)エステルSD−LB、トウモロコシデンプンの一つを含む水溶液分散物とのブレンドによって調製した。
【0053】
アクアコート(商標)ECD30分散物の調製
・ポリマー アクアコート(商標)ECD30
・可塑剤 乾燥ポリマー質量基準で25%TECw/w(可塑化時間:24h)
アクアコート(商標)分散物のポリマー含量を、浸透促進剤の分散物とブレンドする前に脱金属イオン水で希釈することによって15%w/wに調節した。
【0054】
浸透促進剤の分散物/溶液の調製
浸透促進剤を、脱金属イオン水中に分散させるか溶解させて、得られる溶液/分散液(表1)の粘度に応じて1又は30%w/w固体含量とした。
【0055】
【表1】
【0056】
浸透促進剤溶液/分散物をアクアコート(商標)分散物に注意深く添加し30分間攪拌した。得られた分散物をテフロン(商標)プレートに注ぎそして60℃において24時間オーブン中で乾燥した。
【0057】
薬剤被覆した薄いポリマーフィルムの調製
テオフィリンを含むフィルムを同様にして、しかしテオフィリン水溶液(乾燥ポリマー/固体質量基準で0.25%w/w)を分散物に添加して調製した。
【0058】
水取り込み及び重量ロスの検討
薬剤を含まない薄いポリマーフィルムを、平らなシェーカー中37℃(80rpm)で0.1M HClに晒した。予め決められた間隔で、サンプルを取り出しそして60℃で一定重量となるまで乾燥した(n=3)。
【0059】
薬剤放出実験
薬剤を含むフィルムを、平らなシェーカー中37℃(80rpm)で0.1M HClに晒した。薬剤を、UV−分光計を用いて271nmで検知した(n=3)。
【0060】
結果と考察
図1−2はコリコート(商標)IRとアクアコート(商標)ECD30の混合物の結果を示す。
図3−4はビスカリン(商標)GP209とアクアコート(商標)ECD30の混合物の結果を示す。
図5−6はアクアコート(商標)ECD30とゲルカリン(商標)GP911の混合物の結果を示す。
【0061】
図7−8はアクアコート(商標)ECD30とプロタナール(商標)エステルSD−LBの混合物の結果を示す。
図9−10はアクアコート(商標)ECD30とトウモロコシデンプンの混合物の結果を示す。
【0062】
フィルム調製
エチルセルロース(アクアコート(商標)ECD)の水溶液分散物と可塑剤としてトリエチルシトレート(25%w/w)を含むポリ(ビニルアルコール)−ポリ(エチレングリコール)−グラフトコポリマー(コリコート(商標)IR)とを、テフロン(商標)プレート上にキャーストし、引き続きコントロールされた乾燥によって、薄いポリマーフィルムを調製した。水溶液分散物にテオフィリンを添加して、薬剤を含むフィルムをつくった。薬剤充填量はポリマー系中のテオフィリンの溶解度以下であった(透明フィルム、一体溶液)。
【0063】
フィルムの性格付け
フィルムの水取り込みと乾燥重量ロス動力学を0.1M HCl及びリン酸塩緩衝液pH7.4に晒して重量測定し、インビトロの薬剤放出を同じ媒体中で監視した(平らなシェーカー、37℃、UV薬剤検知)。
【0064】
ポリマー系内の水と薬剤の見掛けの拡散係数、Dは、実験的に測定された水取り込みと薬剤放出動力学に下記のフィックの拡散第二法則の解を当てはめて決定した。
【0065】
【数1】
【0066】
ここで、Mt及びM∞は、そえぞれ、時間t及び無限大における薬剤放出/水取り込みの絶対積算量であり;Lはフィルムの厚みの半分を表しそしてhは未攪拌の液体境界層の物質移動係数である。
【0067】
重要なことに、アクアコート(商標)ECDベースの薄いフィルムへのポリ(ビニルアルコール)−ポリ(エチレングリコール)−グラフトコポリマー(コリコート(商標)IR)の非常に少量の添加は、放出媒体のタイプに拘わらず、系の水取り込み速度を増加させた。図11(記号)は,0.1M HCl中で得られる典型的な結果を示す。水浸透速度及び量は両方とも影響を受けた。フィックの拡散第二法則の解析解(式1−3)は、実験的に決定された結果を定量的に記載するために成功裏に使用することができる(図11曲線)。このように、フィルムコーティング物中への水透過は主に純粋な拡散によってコントロールされる。
【0068】
これらの計算に基づいて、アクアコート(商標)ECDベースのフィルム中の水の拡散係数はコリコート(商標)IR含量の関数として決定できる。図12はリン酸塩緩衝液pH7.4で得られた結果を例証的に示す(塗りつぶしダイヤ)。明らかに、水の浸透はコリコート(商標)IR含量の増加と共にかなり増加した。0.1M HCl中でも傾向は同様である(データは示されていない)。
【0069】
アクアコート(商標)ECDベースのコーティング物へのコリコート(商標)IRの非常に少量のみの添加はまた、放出媒体、例えば、0.1M HClに晒したときの系の乾燥重量ロス動力学にかなり影響を与えた(図13)。コリコート(商標)IR存在下での乾燥重量ロスの増加は、フィルムからの水溶性ポリマーの浸出及び促進された可塑剤の浸出に寄与している。
【0070】
重要なことに、両方の効果、乾燥重量ロスと同様にかなり増加した水の取り込みは、放出媒体のタイプに拘わりなく、薬剤浸透性そしてこのように、このフィルムからの放出の根本的な増加をもたらした。図14(記号)はリン酸塩緩衝液pH7.4で得られた結果を例証的に示す。
【0071】
再び、提案されたフィックの拡散第二法則の解析解(式1−3)は、観察された物質移動動力学を定量的に記載するために成功裏に使用することができた(図14曲線)。図12に見ることができるように、フィルムコーティング物中の薬剤の見掛けの拡散係数は、たった10%のポリ(ビニルアルコール)−ポリ(エチレングリコール)−グラフトコポリマーを添加することによって効果的に増加した(因子>4.9)。
【0072】
ポリマーフィルム内の水及び薬剤の見掛けの拡散係数Dは、実験的に測定された水取り込みと薬剤放出動力学にフィックの拡散第二法則の解を当てはめて決定した。
本発明によって、アクアコート(商標)ECDのような、ラテックス又は擬似ラテックスで被覆したラテックス又は擬似ラテックスフィルム又は投与形の最適化はかなり容易になる。所望の膜特性、特に、薬剤浸透性が容易に調節できる。
【0073】
水取り込み、重量ロス及び薄いフィルム薬剤放出動力学に基づいて、下記の浸透促進剤が、テオフィリンペレットに適用されるアクアコート(商標)ECDコーティング物に内包された:
・ビスカリン(商標)GP208
・コリコート(商標)IR
・プロタナール(商標)エステルSD LB
【0074】
薬剤放出におけるコーティングレベルと放出媒体の影響を、硬化条件(温度及び湿度)の影響と一緒に調べた。四つのコーティングレベルを評価した:5、10、15、20%(w/w)
【0075】
硬化条件
60℃、24時間
60℃、48時間
60℃及び75%R.H、24時間+60℃、24時間
60℃及び75%R.H、48時間+60℃、24時間
【0076】
エチルセルロース−被覆ペレットからの薬剤放出パターンの調節
本研究の主目的は:(i)水溶性ポリマーの少量を添加することによって、コーティング分散物の安定性に影響を与えないで、エチルセルロース被覆したペレットからの所望の薬剤放出パターンを効果的に調節すること;及び(ii)得られた薬剤放出動力学に及ぼす、異なった硬化条件(温度、時間及び相対湿度)の影響を考察することである。
【0077】
テオフィリンを載せたマトリックスコアを、流動層コーターを使用して、ポリ(ビニルアルコール)−ポリ(エチレングリコール)−グラフトコポリマー(コリコート(商標)IR)の少量の添加があるか、又はなしで、エチルセルロースの水溶液分散物(25%トリエチルシトレートで可塑化したアクアコート(商標)ECD)で被覆した。そのペレットを、60℃、周囲の相対湿度(RH)で24/48時間;又は60℃、75%RHで24/48時間(引き続き60℃、周囲のRHで24時間)硬化させた。
【0078】
0.1M HCl及びリン酸塩緩衝液pH7.4中で、USPパドル装置内で、インビトロの薬剤放出を37℃で測定した。
エチルセルロースベースのフィルムコーティング物へのポリ(ビニルアルコール)−ポリ(エチレングリコール)−グラフトコポリマーの少量のみの添加は、放出媒体のpHに拘わりなく、被覆ペレットからの薬剤放出をかなり加速した。例えば、0、2、11、64及び96%のテオフィリンを、0、5、10、15及び20%のポリ(ビニルアルコール)−ポリ(エチレングリコール)−グラフトコポリマーを含むエチルセルロースベースのフィルムでコートしたペレット(コーティングレベル:10%、硬化条件:60℃及び周囲RHで24時間)からリン酸塩緩衝液pH7.4に4時間晒した後で放出させた。これは、フィルムコーティング物の水取り込み及びバルク流体中へのフィルムからの水溶性ポリマー浸出のかなりの増大と見做すことができる。両者の影響は薬剤へのコーティング物の増大した浸透性を生ずる。HPMCの添加に対比して、ポリ(ビニルアルコール)−ポリ(エチレングリコール)−グラフトコポリマーの存在はコーティング分散物の安定性に影響を与えなかった。
【0079】
0、5、10、15及び20%のポリ(ビニルアルコール)−ポリ(エチレングリコール)−グラフトコポリマー(PVA−PEG)を含むエチルセルロースベースのフィルムでコートされたペレット(コーティングレベル:20%、硬化条件:60℃及び周囲RHで2日間)からの模擬胃液及び腸液内のテオフィリン放出を図15(a)−15(b)に示す。PVA−PEGグラフトコポリマーの少量のみの添加は、放出媒体のpHに依らずに、薬剤放出速度をかなり増加させる。このように、所望の放出はエチルセルロースフィルム中のPVA−PEGグラフトコポリマー含量を調節することによって得ることができる。
【0080】
図15(c)−15(d)は、PVA−PEGグラフトコポリマーとエチルセルロースブレンド物のコーティングレベルは薬剤放出速度を修正するために変更することができることを示す。85%のエチルセルロースと15%のPVA−PEGグラフトコポリマーで被覆したペレットからの薬剤放出速度はコーティングレベルが上昇するにつれて低下する。高いコーティングレベルはより確固たるコーティングプロセスの利点を提供する。このように、所望の放出速度は、コーティングレベルを変えることと同様に、エチルセルロースフィルムコーティング物へのPVA−PEGグラフトコポリマーの異なった量を添加することによって容易に且つ効果的に調節することができる。
【0081】
調べられた硬化条件の種類は、得られる薬剤放出パターンをあまり変えなかった。例えば、15%のポリ(ビニルアルコール)−ポリ(エチレングリコール)−グラフトコポリマー(PVA−PEG)を含むエチルセルロースベースのフィルムでコートされた60℃、周囲RH又は75%RHで24又は48時間硬化したペレット(コーティングレベル:20%)から、0.1M HClに8時間晒した後で、60(+/−3)%テオフィリンが放出された。これは安定なポリマーフィルムが形成されたという指標として供することができる。
【0082】
図39(a)−39(b)は、エチルセルロース:PVA:PEGグラフトコポリマーで被覆されたペレットからの燐酸塩緩衝液pH7.4中での相対及び絶対テオフィリン放出速度に及ぼすビーズコアの種類の影響を示す。ペレットコアの種類は、物質移動メカニズムにおいて差異を示す得られた相対及び絶対薬剤放出動力学に影響を与えた。重要なことに、薬剤の種類及びコアの種類に拘わらず、5−15重量%のPVA:PEGグラフトコポリマー含量、及びコーティングレベル(5−10重量%)を変化させることによって、広範囲の放出パターンを得ることができた。
【0083】
図40は、異なった量のPVA:PEGグラフトコポリマーを含むエチルセルロース分散物で被覆した薬剤層状砂糖コアからの0.1M HCL中でのジチアゼム−HClの放出を示す。
また、硬化条件の種類は、図41に示されるように、安定なフィルムコーティングが達成されることを示しており、得られる薬剤放出動力学に影響を与えなかった。さらに、単一のペレットからの薬剤放出は、図42に示されるように、被覆したビーズセットからの観察された放出プロフィールが個々のパルス的な放出パターンの合計ではないことを明らかにした。個々のペレットは同様な仕方で薬剤を放出する。
【0084】
薬剤放出は放出媒体のpHには依存しなかった。結論としては、エチルセルロース被覆したペレットからの所望の薬剤放出プロフィールは、ポリ(ビニルアルコール)−ポリ(エチレングリコール)−グラフトコポリマーの少量のみの添加によって効果的に調節することができる。重要なことに、コーティング分散物の安定性は影響を受けずそして安定なフィルムコーティングは適切な硬化の後で達成されるものと思われる。
【0085】
エチルセルロースベースのフィルム特性のための効果的な調節剤としてのカラギーナン
その化学構造によって、カラギーナンはエチルセルロースベースのフィルムをより親水性にしそして、このように多くの薬剤に対してより浸透性となる有望な候補である。その検討の主目的は:(i)エチルセルロースベースのフィルム特性のための効果的な調節剤としてのカラギーナンの潜在力を評価すること;及び(ii)フィックの拡散第二法則を使用してエチルセルロースベースのフィルムの/からの観察された水取り込みと薬剤放出動力学を定量的に記載することであった。
【0086】
薄いフィルムは、エチルセルロース(25%のトリエチルシトレートで可塑化されたアクアコート(商標)ECD))水溶液分散物とカラギーナンとをテフロン(商標)プレート上にキャーストしそして乾燥をコントロールすることによってつくった。水溶液分散物にテオフィリンを添加して、薬剤を含んだフィルムをつくった。薬剤充填量はテオフィリンのポリマー系の溶解度以下(一体溶液)であった。フィルムの水取り込みと乾燥重量ロス動力学を0.1M HCl及びリン酸塩緩衝液pH7.4に晒して重量測定した。インビトロの薬剤放出を同じ媒体中で監視した(37℃、UV薬剤検知)。ポリマー系中の水とテオフィリンの見掛けの拡散係数を、実験的に測定された水取り込みと薬剤放出動力学にフィックの拡散第二法則の解を当てはめて決定した。重要なことに、エチルセルロースベースのフィルムにたった2.5%のカラギーナンの添加は0.1M HClに晒した水取り込み量を4フォールド増加させた。これはそのフィルムを薬剤に対してより浸透性にする。
【0087】
水の浸透動力学はフィックの拡散第二法則を使用して定量的に記載することができる。水の見掛けの拡散係数は、0、2.5、5及び10%のカラギーナンを含むフィルムの場合、1.5、5.3、7.8及び9.2x10−8cm2/sと決定された。さらに、系内にカラギーナンが存在すると、0.1M HCl及びリン酸塩緩衝液pH7.4に晒したフィルムの乾燥重量ロスの量及び割合をかなり増加させた。増加した水含量と乾燥重量ロスの両方とも薬剤のフィルム透過性をとてつもなく増大させた。
【0088】
例えば、テオフィリンの見掛けの拡散係数は、2.5、5及び10%のカラギーナンを添加した(リン酸塩緩衝液pH7.4に晒した)とき0.3から2.5、3.6及び5.1x10−8cm2/sに増加した。重要なことに、そしてHPMCに比して、水溶液エチルセルロース分散液はカラギーナンの存在で安定であった。カラギーナンの少量のみの添加はエチルセルロースベースのフィルムコーティング物の性質をかなり変えそして同時に安定なコーティング分散物を与えるので、それはエチルセルロース被覆投与形からの放出動力学の優れた調節剤である。図16(a)−16(d)はエチルセルロースで及びエチルセルロースとカラギーナンのブレンド物で10%(w/w)及び20%(w/w)のコーティングレベルでコートしたペレットからの模擬胃腸液内でのテオフィリンの放出を示す。明らかに、少量のカラギーナンの存在は、放出媒体及びコーティングレベルに拘わりなく、薬剤放出速度を効果的に増大させている。実際に、所望の放出プロフィールはカラギーナンの相対含量を調節することによって与えられる。
【0089】
図16(e)−16(f)は、90%エチルセルロースと10%カラギーナン、PVA−PEGグラフトコポリマー及びPGアルギネートでコーティングレベル20%(w/w)で被覆したペレットからの0.1M HCl及びリン酸塩緩衝液pH7.4中でのテオフィリン放出を示す。これから、これらの物質、カラギーナンは最も効果的な薬剤放出変性剤であることがわかる。
【0090】
長期間の保存安定性についは、或る場合にはフィルム形成を容易にするために高められた相対湿度で硬化が行われる。図16(g)−16(j)は、5%(w/w)のカラギーナンを含むエチルセルロースで10%(w/w)及び20%(w/w)のコーティングレベルでコートした硬化ペレットからの模擬胃腸液内でのテオフィリンの放出を示す。硬化条件の二つの異なったセットを使用した:(1)60℃、周囲の相対湿度で1又は2日、及び(2)60℃、75%の相対湿度で1又は2日;引き続き60℃、周囲の相対湿度で1日乾燥した。未硬化のペレットからの薬剤放出もまた比較のために示される。これらの結果に基づいて、長期間の保存安定性を促進するためには、この種のフィルムコーティング物の場合、硬化が必要なことが結論付けられる。
【0091】
図16(k)−16(r)は、模擬胃腸液(0.1M HCl及びリン酸塩緩衝液pH7.4)内の被覆ペレットからのテオフィリン放出速度を示す。図16(k)−16(r)は、5%(w/w)カラギーナンがフィルムコーティング物中に存在し、そこではpH依存性はコーティングレベル及び硬化時間に依らず、10%(w/w)カラギーナン含量で本質的に無視できるときは、薬剤放出のpH依存性が少ないことを示している。
【0092】
カラギーナンは遊離の硫酸基を含んでいるので、このバイオマクロ分子を含んでいるポリマーフィルムの浸透性は、放出媒体中の(二価)カルシウムイオン濃度によって影響を受け易い:Ca2+イオンは−SO3−基と架橋でき、ポリマーネットワークの濃密な構造を生じ低下した薬剤放出速度を生起する。胃腸管内容物中のCa2+イオン濃度は、食物組成物の関数として変化する(例えば、ミルクはカルシウム含量が多い)。この理由のために、異なった量のCa2+イオンの添加がエチルセルロース:カラギーナン被覆ペレットから生ずる薬剤放出動力学に影響するかどうかを見ることは興味深いことであった。図16(s)−16(t)に見られるように、50mmol/LまでのCa2+イオンを添加したときにテオフィリン放出は、0.1M HCl/脱金属イオン水中でわずかに/中位で低下した(注:これらの実験では燐酸カルシウムはこれらの条件下で沈殿するので、リン酸塩緩衝液pH7.4は使用できなかった)。薬剤放出速度の低下が高pHよりも低pHで少なくなるという事実は、カラギーナン中の遊離硫酸基の高度プロトン化によって説明できる(帯電していない硫酸基はCa2+イオンに対して架橋に利用できない)。
【0093】
比較のために、10%(w/w)のPGアルギネート又は15%(w/w)のPVA−PEGグラフトコポリマーを含むエチルセルロースで被覆したペレットからのテオフィリンのCa2+イオン感応性もまた0.1M HCl及び脱金属イオン水中で検討された(図16(u)−16(v)。明らかに、エチルセルロース:PGアルギネートコーティング物の感応性はテオフィリン:カラギーナンコーティング物のそれよりも少ない。脱金属イオン水中では、PGアルギネート中に存在する遊離の−COO−基の架橋によるCa2+イオン濃度の増加により、放出速度はわずかに/中程度に低下する。これに対して、カルボキシル基の多くはプロトン化し、このように、架橋に利用されないために、0.1M HCl中では効果がない。合成PVA−PEGグラフトコポリマー(低又は高pHで負に帯電することができる基を何も含まない)は如何なるCa2+イオン−感応性を示さなかった(図16(w)−16(x)。
【0094】
異なった種類の可塑剤の影響
アクアコート(商標)ECD)/コリコート(商標)IR95/05ブレンド物で被覆したペレットからの0.1M HCl中でのジルチアゼム−HCl放出に及ぼす可塑剤の種類の影響について検討した(コーティングレベル:5%;硬化:60℃、1日間)。結果を図17−22に示す。エチルセルロースベースのフィルムコーティング物へのポリ(ビニルアルコール)−ポリ(エチレングリコール)−グラフトコポリマーの異なった量を添加すると、薬剤の水溶性及びペレットコアの浸透活性に拘わりなく、広範囲の放出パターンが達成できる。
【0095】
薬剤放出に及ぼすコリコート(商標)IR含量の影響
アクアコート(商標)ECD)/コリコート(商標)ブレンド物で被覆したペレットからの0.1M HCl中でのジルチアゼム−HCl放出に及ぼすコリコート(商標)IR含量の影響を図23−24に示す。
【0096】
単一ペレット放出の影響
図25−26は、アクアコート(商標)ECD)/コリコート(商標)IR95/05ブレンド物でコーティングレベル15%で被覆したペレットからの0.1M HCl中でのジルチアゼム−HCl放出の影響を示す(60℃、1日間硬化、薬剤充填:10%)。
【0097】
テオフィリン充填ペレットからの薬剤放出に対する放出媒体中のカルシウムイオン濃度の重要性
図28は、テオフィリン充填ペレットからの薬剤放出に対する放出媒体中のカルシウムイオン濃度の重要性を示す。
【0098】
コーティング物の長期間の安定性
この研究の主目的は、水溶液分散物から得られるポリマーフィルムコーティング物の長期安定性を改善する容易な道具を確立することである。テオフィリンを充填したペレットからの、周囲及び応力条件[“室温及び室温の想定湿度(RH)”及び“40℃で75%RH”]下で6ヶ月間保存過程での薬剤放出パターンの潜在的変化を監視した。そのペレットを60℃で1日か2日間又は60℃、75%RHで1日か2日間硬化させ(その後60℃で1日乾燥した)。エチルセルロースで被覆したペレットからの薬剤放出を0.1M HCl及びリン酸塩緩衝液pH7.4中で測定した。
【0099】
ポリ(ビニルアルコール)−ポリ(エチレングリコール)−グラフトコポリマーの小量のみの添加は、放出媒体の種類、コーティングレベル、ポリマーブレンド比及び硬化条件に拘わらず、全ての調査条件下で安定な薬剤放出パターンを与えた。
【0100】
プロピレングリコールアルギネートの数%の存在は室温条件下の保存で薬剤放出動力学を変化させなかったが、図43(a)−43(b)及び44(a)−44(b)に示されるように応力条件下での保存過程ではテオフィリン放出速度を低下させた。これは、エチルセルロース鎖の移動度の増大が、高められた温度及び相対湿度で、ポリマー粒子の凝集を促進することによって、説明できる。カラギーナンの少量添加は、全てのケースで、ほぼ安定なテオフィリン放出パターンに導いた(放出速度はわずかに低下するか、わずかに増加又は変化しないままだった)。このように、適切な添加剤の小量のみの存在は、応力条件下でさえも、水溶液エチルセルロースベースのフィルムコーティング物の長期安定性を効果的に与えることができる。
【0101】
図45(a)−45(b)は、室温(図15(a))及び40℃で75%相対湿度(図15(b))で保存前(点線曲線)及び6ヶ月保存後(連続曲線)、共にコーティングレベルは20%で硬化条件は図に示される、におけるエチルセルロース:カラギーナン90:10ブレンド物で被覆したペレットからの0.1M HCl中でのテオフィリン放出を示す。小量のカラギーナンの添加は全てのケースで実質上安定なテオフィリン放出パターンに導いた。
【0102】
図35は、エチルセルロース:PVA−PEGグラフトコポリマー85:15ブレンド物で被覆したペレットからの0.1M HCl及びリン酸塩緩衝液pH7.4中で三つの異なった日数(コーティングNo.#1−3)でのそれぞれのテオフィリン放出を例証的に示す。コーティングレベルは15%w/wで、ペレットは60℃で1日間硬化させた。明らかに、薬剤放出動力学における観察された変化は全てのケースにおいて少なく(放出媒体の種類に拘わりなく)、この種のポリマーブレンド物でのコーティングプロセスの良好な再現性を示した。
【0103】
エチルセルロース:PVA−PEGグラフトコポリマー85:15ブレンド物で被覆したテオフィリンを充填したペレットからの低pH及び高pHでの薬剤放出動力学に対する潜在的なアクアコート(商標)ECDバッチ−バッチ変動の重要性は図36に示される(バッチNo.は図中に示されている)。コーティングレベルは15%w/wで、ペレットは60℃で1日間硬化させた。明らかに、どの場合にも薬剤放出動力学に有意な差異はなかった。
【0104】
第三に、コーティングレベルのわずかの、意図しない変動に対する薬剤放出速度の感応性が検討された(図11)。実際のコーティングレベルは、例えば、異なったタイプの流動層コーティング装置を使用したとき、例えば、異なった製造スケール又は異なった製造業者(同一でないコーティング室の幾何形状、空気流量等々)の場合にわずかに変化する。コーティングレベルにおけるそのようなわずかの、意図しない変化への薬剤放出動力学の依存が少なければ、より確固としたそして実施が容易なコーティングプロセスとなる。図37に見られるように、(理論的な)コーティングレベルが14.5から15.5%(w/w)(拡散通路の長さの増大によって)に増加するとき、0.1M HCl及びリン酸塩緩衝液pH7.4中でのテオフィリン放出速度はわずかに低下するだけである。これは明らかに、エチルセルロース:PVA−PEGグラフトコポリマーブレンド物でのこの種のコーティングが確固としたプロセスであることを示している。
【0105】
本発明の多くの特性及び利点が、これまでの記載で、本発明の構造や機能の詳細と共に示されてきたが、この開示は例証のためのみのものであり、詳細、特に形状、サイズ及び部品の配列の変更は、添付の特許請求の範囲で表現した用語の広範囲の一般的な意味によって示される全範囲において本発明の本質の範囲内に入るものである。
【産業上の利用可能性】
【0106】
本発明の組成物は、人間又は動物の疾患の治療、防止及び診断のために使用される、例えば、咳止め去痰剤、解熱、鎮痛、抗炎症剤、等々のような医薬品又は獣医用途に加えて、農業用化学品、肥料、食品、化粧品又は工業用品として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】コリコート(商標)IRとアクアコート(商標)ECD30との混合物の0.1M HCl中での薄いポリマーフィルムの1(a)水の取り込み、そして1(b)乾燥重量ロス挙動に及ぼすコリコート(商標)IR含量の影響を示す(図1(a)−1(b))。
【図2】コリコート(商標)IRとアクアコート(商標)ECD30との混合物の0.1M HCl中での薄いポリマーフィルムからのテオフィリン放出に及ぼすコリコート(商標)IR含量の影響を示す。
【図3】ビスカリン(商標)GP209とアクアコート(商標)ECD30との混合物の0.1M HCl中での薄いポリマーフィルムの(a)水の取り込み、そして(b)乾燥重量ロス挙動に及ぼすビスカリン(商標)GP209含量の影響を示す(図3(a)−3(b))。
【図4】ビスカリン(商標)GP209とアクアコート(商標)ECD30との混合物の0.1M HCl中での薄いポリマーフィルムからのテオフィリン放出に及ぼすビスカリン(商標)GP209含量の影響を示す。
【図5】ゲルカリン(商標)GP911とアクアコート(商標)ECD30との混合物の0.1M HCl中での薄いポリマーフィルムの(a)水の取り込み、そして(b)乾燥重量ロス挙動に及ぼすゲルカリン(商標)GP911含量の影響を示す(図5(a)−5(b))。
【図6】ゲルカリン(商標)GP911とアクアコート(商標)ECD30との混合物の0.1M HCl中での薄いポリマーフィルムからのテオフィリン放出に及ぼすゲルカリン(商標)GP911含量の影響を示す。
【図7】プロタナール(商標)エステルSD−LBとアクアコート(商標)ECD30との混合物の0.1M HCl中での薄いポリマーフィルムの(a)水の取り込み、そして(b)乾燥重量ロス挙動に及ぼすプロタナール(商標)エステルSD−LB含量の影響を示す(図7(a)−7(b))。
【図8】プロタナール(商標)エステルSD−LBとアクアコート(商標)ECD30との混合物の0.1M HCl中での薄いポリマーフィルムからのテオフィリン放出に及ぼすプロタナール(商標)エステルSD−LB含量の影響を示す。
【図9】トウモロコシデンプンとアクアコート(商標)ECD30との混合物の0.1M HCl中の薄いポリマーフィルムの(a)水の取り込み、そして(b)乾燥重量ロス挙動に及ぼすトウモロコシデンプン含量の影響を示す(図9(a)−9(b))。
【図10】トウモロコシデンプンとアクアコート(商標)ECD30との混合物の0.1M HCl中での薄いポリマーフィルムからのテオフィリン放出に及ぼすトウモロコシデンプン含量の影響を示す。
【図11】0.1M HClに晒されたときのアクアコート(商標)ECDベースの薄いフィルムの水取り込み動力学に及ぼす少量のコリコート(商標)IR(図で示される)の存在の影響を示す(記号:実験値;曲線:理論値)。
【図12】pH7.4のリン酸塩緩衝液に晒したときのアクアコート(商標)ECDベースの薄いフィルム中の水とテオフィリンの拡散係数に及ぼすコリコート(商標)IR含量の影響を示す。
【図13】0.1M HClに晒されたときのアクアコート(商標)ECDベースの薄いフィルムの乾燥重量ロス動力学に及ぼすコリコート(商標)IR含量の影響(図で示される)を示す。
【図14】pH7.4のリン酸塩緩衝液に晒したときのアクアコート(商標)ECDベースの薄いフィルムからのテオフィリンの放出速度に及ぼすコリコート(商標)IR含量(図で示される)の影響を示す。
【図15】テオフィリン放出を示すグラフ。 図15(a)は、60℃で周囲の相対湿度で2日間硬化させた後でエチルセルロース及びエチルセルロースとPVA−PEGグラフトコポリマーとのブレンド物でコーティングレベル20%(w/w)で被覆したペレットからの0.1M HClに晒したときのテオフィリン放出を示す。 図15(b)は、エチルセルロース及びエチルセルロースとPVA−PEGグラフトコポリマーとのブレンド物でコーティングレベル20%(w/w)で被覆したペレットからの60℃で周囲の相対湿度で2日間硬化させた後でpH7.4のリン酸塩緩衝液に晒したときのテオフィリン放出を示す。 図15(c)は、エチルセルロースと15%(w/w)PVA−PEGグラフトコポリマーとのブレンド物で被覆したペレットからの60℃で周囲の相対湿度で1日間硬化させた後で0.1M HClに晒したときのテオフィリン放出を示す。 図15(d)は、エチルセルロースと15%(w/w)PVA−PEGグラフトコポリマーとのブレンド物で被覆したペレットからの60℃で周囲の相対湿度で1日間硬化させた後でpH7.4のリン酸塩緩衝液に晒したときのテオフィリン放出を示す。
【図16】テオフィリン放出を示すグラフ。 図16(a)は、エチルセルロース及びエチルセルロースとカラギーナンとのブレンド物で0.1M HCl中でコーティングレベル10%(w/w)で被覆したペレットからのテオフィリン放出を示す。 図16(b)は、エチルセルロース及びエチルセルロースとカラギーナンとのブレンド物でコーティングレベル20%(w/w)で被覆したペレットからの0.1M HCl中でのテオフィリン放出を示す。 図16(c)は、エチルセルロース及びエチルセルロースとカラギーナンとのブレンド物でコーティングレベル10%(w/w)で被覆したペレットからのpH7.4のリン酸塩緩衝液中でのテオフィリン放出を示す。 図16(d)は、エチルセルロース及びエチルセルロースとカラギーナンとのブレンド物でコーティングレベル20%(w/w)で被覆したペレットからのpH7.4のリン酸塩緩衝液中でのテオフィリン放出を示す。 図16(e)は、90%エチルセルロースと10%カラギーナン、PVA−PEGグラフトコポリマー及びPGアルギネートでコーティングレベル20%(w/w)で被覆したペレットからの0.1M HCl中でのテオフィリン放出を示す。 図16(f)は、90%エチルセルロースと10%カラギーナン、PVA−PEGグラフトコポリマー及びPGアルギネートでコーティングレベル20%(w/w)で被覆したペレットからのpH7.4のリン酸塩緩衝液中でのテオフィリン放出を示す。 図16(g)は、5重量%のカラギーナンを含むエチルセルロースでコーティングレベル10%(w/w)で被覆した硬化ペレットからの0.1M HClに晒したときのテオフィリン放出を示す。 図16(h)は、5重量%のカラギーナンを含むエチルセルロースでコーティングレベル20%(w/w)で被覆した硬化ペレットからの0.1M HClに晒したときのテオフィリン放出を示す。 図16(i)は、5重量%のカラギーナンを含むエチルセルロースでコーティングレベル10%(w/w)で被覆した硬化ペレットからのpH7.4のリン酸塩緩衝液に晒したときのテオフィリン放出を示す。 図16(j)は、5重量%のカラギーナンを含むエチルセルロースでコーティングレベル20%(w/w)で被覆した硬化ペレットからのpH7.4のリン酸塩緩衝液に晒したときのテオフィリン放出を示す。 図16(k)は、5%(w/w)のカラギーナンを含むエチルセルロースで10%(w/w)のコーティングレベルで被覆し60℃、75%相対湿度で1日間硬化させたペレットからの模擬胃腸液中でのテオフィリン放出を示す。 図16(l)は、10%(w/w)のカラギーナンを含むエチルセルロースで10%(w/w)のコーティングレベルで被覆し60℃、75%相対湿度で1日間硬化させたペレットからの模擬胃腸液中でのテオフィリン放出を示す。 図16(m)は、5%(w/w)のカラギーナンを含むエチルセルロースで20%(w/w)のコーティングレベルで被覆し60℃、75%相対湿度で1日間硬化させたペレットからの模擬胃腸液中でのテオフィリン放出を示す。 図16(n)は、10%(w/w)のカラギーナンを含むエチルセルロースで20%(w/w)のコーティングレベルで被覆し60℃、75%相対湿度で1日間硬化させたペレットからの模擬胃腸液中でのテオフィリン放出を示す。 図16(o)は、5%(w/w)のカラギーナンを含むエチルセルロースで10%(w/w)のコーティングレベルで被覆し60℃、75%相対湿度で2日間硬化させたペレットからの模擬胃腸液中でのテオフィリン放出を示す。 図16(p)は、10%(w/w)のカラギーナンを含むエチルセルロースで10%(w/w)のコーティングレベルで被覆し60℃、75%相対湿度で2日間硬化させたペレットからの模擬胃腸液中でのテオフィリン放出を示す。 図16(q)は、5%(w/w)のカラギーナンを含むエチルセルロースで20%(w/w)のコーティングレベルで被覆し60℃、75%相対湿度で2日間硬化させたペレットからの模擬胃腸液中でのテオフィリン放出を示す。 図16(r)は、10%(w/w)のカラギーナンを含むエチルセルロースで20%(w/w)のコーティングレベルで被覆し60℃、75%相対湿度で2日間硬化させたペレットからの模擬胃腸液中でのテオフィリン放出を示す。 図16(s)−16(x)は、(16s)0.1M HCl中での10%カラギーナン;16(t)脱金属イオン水中での10%カラギーナン;16(u)0.1M HCl中での10%PGアルギネート;16(v)脱金属イオン水中での10%PGアルギネート;16(w)0.1M HCl中での15%PVA−PEGグラフトコポリマー;16(x)脱金属イオン水中でのPVA−PEGグラフトコポリマー(20%コーティングレベル;硬化=60℃で周囲相対湿度で1日間)を含むエチルセルロースで被覆したペレットからのテオフィリン放出に及ぼす放出媒体(図中に示す)中のカルシウムイオン濃度の影響を示す。 図16(s)−16(x)は、(16s)0.1M HCl中での10%カラギーナン;16(t)脱金属イオン水中での10%カラギーナン;16(u)0.1M HCl中での10%PGアルギネート;16(v)脱金属イオン水中での10%PGアルギネート;16(w)0.1M HCl中での15%PVA−PEGグラフトコポリマー;16(x)脱金属イオン水中でのPVA−PEGグラフトコポリマー(20%コーティングレベル;硬化=60℃で周囲相対湿度で1日間)を含むエチルセルロースで被覆したペレットからのテオフィリン放出に及ぼす放出媒体(図中に示す)中のカルシウムイオン濃度の影響を示す。
【図17】アクアコート(商標)ECD)/コリコート(商標)IR95/05ブレンド物で被覆したペレットからの0.1M HCl中でのジルチアゼム−HCl放出に及ぼす可塑剤の種類の影響について示す(コーティングレベル:5%;硬化:60℃、1日間)。
【図18】アクアコート(商標)ECD)/コリコート(商標)IR95/05ブレンド物で被覆したペレットからのpH7.4のリン酸塩緩衝液中でのジルチアゼム−HCl放出に及ぼす可塑剤の種類の影響について示す(コーティングレベル:5%;硬化:60℃、1日間)。
【図19】アクアコート(商標)ECD)/コリコート(商標)IR95/05ブレンド物で被覆したペレットからの0.1M HCl中でのジルチアゼム−HCl放出に及ぼす可塑剤の種類の影響について示す(コーティングレベル:10%;硬化:60℃、1日間)。
【図20】アクアコート(商標)ECD)/コリコート(商標)IR95/05ブレンド物で被覆したペレットからのpH7.4のリン酸塩緩衝液中でのジルチアゼム−HCl放出に及ぼす可塑剤の種類の影響について示す(コーティングレベル:10%;硬化:60℃、1日間)。
【図21】アクアコート(商標)ECD)/コリコート(商標)IR95/05ブレンド物で被覆したペレットからの0.1M HCl中でのジルチアゼム−HCl放出に及ぼす可塑剤の種類の影響について示す(コーティングレベル:15%;硬化:60℃、1日間)。
【図22】アクアコート(商標)ECD)/コリコート(商標)IR95/05ブレンド物で被覆したペレットからのpH7.4のリン酸塩緩衝液中でのジルチアゼム−HCl放出に及ぼす可塑剤の種類の影響について示す(コーティングレベル:15%;硬化:60℃、1日間)。
【図23】アクアコート(商標)ECD)/コリコート(商標)IR95/05ブレンド物で被覆したペレットからの0.1M HCl中でのジルチアゼム−HCl放出に及ぼすコリコート(商標)IR含量の影響について示す(コーティングレベル:15%;硬化:60℃、1日間、可塑剤:TEC、薬剤充填量:10%)。
【図24】アクアコート(商標)ECD)/コリコート(商標)IR95/05ブレンド物で被覆したペレットからのpH7.4のリン酸塩緩衝液中でのジルチアゼム−HCl放出に及ぼすコリコート(商標)IR含量の影響について示す(コーティングレベル:15%;硬化:60℃、1日間、可塑剤:TEC、薬剤充填量:10%)。
【図25】アクアコート(商標)ECD)/コリコート(商標)IR95/05ブレンド物でコーティングレベル:15%で被覆した単一ペレットからの0.1M HCl中でのジルチアゼム−HCl放出の影響について示す(硬化:60℃、1日間、薬剤充填量:10%)。
【図26】アクアコート(商標)ECD)/コリコート(商標)IR95/05ブレンド物でコーティングレベル:15%で被覆した単一ペレットからのpH7.4リン酸塩緩衝液中でのジルチアゼム−HCl放出の影響について示す(硬化:60℃、1日間、薬剤充填量:10%)。
【図27】アクアコート(商標)ECD)/コリコート(商標)IRブレンド物を使用して薬剤被覆した粒子の、第二の態様の概略図を示す。
【図28】アクアコート(商標)ECD)/コリコート(商標)IR85/15ブレンド物で被覆したペレットからの(A)0.1M HCl中及び(B)水中でのテオフィリン放出に及ぼす放出媒体中のカルシウムイオン濃度の重要性を示す(コーティングレベル:20%;硬化:60℃、1日間)(図28(a)−28(b))。
【図29】エチルセルロース:PVA−PEGグラフトコポリマー85:15ブレンド物で被覆したペレットの0.1M HCl中でのテオフィリン放出の、保存前(点線)及び3ヶ月と6ヶ月保存後(実線で示される)の保存安定性を示す。硬化条件は左側、保存条件はトップに示される(コーティングレベル=20%)。
【図30】エチルセルロース:PVA−PEGグラフトコポリマー85:15ブレンド物で被覆したペレットからの0.1M HCl又はリン酸塩緩衝液pH7.4(トップに示されるように)中でのテオフィリン放出への、異なった温度及び相対湿度(左側に示される)での保存前(点線)及び3ヶ月と6ヶ月保存後(実線で示される)でのテオフィリン放出に対する硬化条件(図に示される)の重要性を示す(コーティングレベル=20%)。
【図31】エチルセルロース:カラギーナン90:10ブレンド物で被覆したペレットの:0.1M HCl中でのテオフィリン放出の、保存前(点線)及び3ヶ月と6ヶ月保存後(実線で示される)の保存安定性を示す。硬化条件は左側、保存条件はトップに示される(コーティングレベル=20%)。
【図32】エチルセルロース:カラギーナン95:5ブレンド物で被覆したペレットの:リン酸塩緩衝液pH7.4中でのテオフィリン放出の、保存前(点線)及び3ヶ月と6ヶ月保存後(実線で示される)の保存安定性を示す。硬化条件は左側、保存条件はトップに示される(コーティングレベル=20%)。
【図33】エチルセルロース:カラギーナン90:10ブレンド物で被覆したペレットからの0.1M HCl又はリン酸塩緩衝液pH7.4(トップに示されるように)中でのテオフィリン放出への、異なった温度及び相対湿度(左側に示される)での保存前(点線)及び3ヶ月と6ヶ月保存後(実線で示される)でのテオフィリン放出に対する硬化条件(図に示される)の重要性を示す(コーティングレベル=20%)。
【図34】エチルセルロース:カラギーナン95:5ブレンド物で被覆したペレットからの0.1M HCl又はリン酸塩緩衝液pH7.4(トップに示されるように)中でのテオフィリン放出への、異なった温度及び相対湿度(左側に示される)での保存前(点線)及び3ヶ月保存後(実線で示される)でのテオフィリン放出に対する硬化条件(図に示される)の重要性を示す(コーティングレベル=20%)。
【図35】エチルセルロース:PVA−PEGグラフトコポリマー85:15ブレンド物でのコーティングプロセスの再現性を示す:(a)0.1M HCl、(b)リン酸塩緩衝液pH7.4中での三つの異なったトライアルで被覆したペレットからのテオフィリン放出(番号は図に示される)(コーティングレベル=15%;硬化=60℃、1日)。
【図36】テオフィリンを充填したペレットのフィルム被覆物のために使用された潜在的なアクアコート(商標)ECDバッチ−バッチ変動の重要性を示す::(a)0.1M HCl、(b)リン酸塩緩衝液pH7.4中での三つの異なったアクアコート(商標)ECDバッチ(番号は図に示される)で被覆したペレットからの薬剤放出(コーティングレベル=15%;エチルセルロース:PVA−PEGグラフトコポリマーブレンド比=85:15;硬化=60℃、1日間)。
【図37】エチルセルロース:PVA−PEGグラフトコポリマーブレンド物でのコーティングプロセスの確固さを示す:(a)0.1M HCl、(b)リン酸塩緩衝液pH7.4中でのテオフィリン放出に及ぼすコーティングレベル(図に示される)のわずかの変動の影響(ポリマーブレンド比=85:15;硬化=60℃、1日間)。
【図38】アクアコート(商標)ECD)/コリコート(商標)IRブレンド物を使用して薬剤被覆した粒子の、第一の態様の概略図を示す。
【図39】エチルセルロース:PVA−PEGグラフトコポリマー85%:15%(w/w)ブレンド物で、15%のコーティングレベルそして60℃で1日間の硬化条件で被覆したペレットからのリン酸塩緩衝液pH7.4中での39(a)相対及び39(b)絶対テオフィリン放出速度に及ぼすビーズコアの種類の影響を示す(図39(a)−39(b))。
【図40】エチルセルロース:PVA−PEGグラフトコポリマーブレンド物で被覆した薬剤層状砂糖コアからの0.1M HCl中でのジルチアゼム−HCl放出に及ぼすPVA−PEGグラフトコポリマー含量(図に示される)の影響を示す(コーティングレベル=15%;硬化=60℃、1日間)。
【図41】エチルセルロース:PVA−PEGグラフトコポリマー85%:15%(w/w)ブレンド物でコーティングレベル=15%で被覆した薬剤層状砂糖コアからのリン酸塩緩衝液pH7.4中でのジルチアゼム−HCl放出に及ぼす硬化条件(図に示される)の影響を示す。
【図42】エチルセルロース:PVA−PEGグラフトコポリマー95:05ブレンド物で被覆した単一ペレット(薬剤層状砂糖コア)からのリン酸塩緩衝液pH7.4中でのジルチアゼム−HCl放出を示す(コーティングレベル=15%;硬化=60℃、1日間)。
【図43】テオフィリン放出を示すグラフ。 エチルセルロース:PGアルギネート90:10ブレンド物で被覆したペレットからの0.1M HCl中での保存前(点線)及び43(a)室温、及び43(b)40℃で75%RHでの6ヶ月保存後(実線)のテオフィリン放出を示す(コーティングレベル:20%、硬化条件は図に示される)(図43(a)−43(b))。
【図44】エチルセルロース:PGアルギネート90:10ブレンド物で被覆したペレットからのリン酸塩緩衝液pH7.4中での保存前(点線)及び44(a)室温、及び44(b)40℃で75%RHでの6ヶ月保存後(実線)のテオフィリン放出を示す(コーティングレベル:20%、硬化条件は図に示される)(図44(a)−44(b))。
【図45】エチルセルロース:カラギーナン90:10ブレンド物で被覆したペレットからの0.1M HCl中での保存前(点線)及び45(a)室温、及び45(b)40℃で75%RHでの6ヶ月保存後(実線)のテオフィリン放出を示す(コーティングレベル:20%、硬化条件は図に示される)。(図45(a)−45(b))
【図1(a)】
【図1(b)】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)少なくとも一つのラテックス又は擬似ラテックス水不溶性フィルム形成剤、(ii)少なくとも一つの浸透促進剤及び所望により、(iii)一つ以上の可塑剤からなる組成物。
【請求項2】
さらに水を含む請求項1記載の組成物。
【請求項3】
該ラテックス又は擬似ラテックス水不溶性フィルム形成剤がエチルセルロース、アクリレートコポリマー、水不溶性セルロース誘導体又はフタル酸酢酸セルロースの少なくとも一つを含む請求項1記載の組成物。
【請求項4】
該ラテックス又は擬似ラテックス水不溶性フィルム形成剤がエチルセルロースを含む請求項1記載の組成物。
【請求項5】
該浸透促進剤が、少なくとも一つのプロピレングリコールアルギネート、ポリビニルアルコール−ポリエチレングリコールコポリマー、ポリ(エチルアクリレート、メチルメタクリレート)、ポリメタクリレート、メタクリル酸コポリマー、ポリ酢酸ビニル、微結晶質セルロース、微結晶質セルロース−カラギーナン、カッパーカラギーナン、イオーターカラギーナン、ラムダーカラギーナン、ポリエチレングルコール、フタル酸酢酸セルロース、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウム/カルシウム、アルギン酸マグネシウム、アルギン酸アンモニウム、ナトリウムデンプングリコレート、クロスカーメロース、デンプン、サクロース、ラクトース、マンニトール、ソルビトール、グルコース、燐酸水素カルシウム、燐酸水素ジナトリウムを含む請求項1記載の組成物。
【請求項6】
該可塑剤が、トリエチルシトレート、トリブチルシトレート、アセチルトリブチルシトレート、ジブチルセバケート、グリセロール、プロピレングリコール又はポリエチレングリコールの少なくとも一つを含む請求項1記載の組成物。
【請求項7】
該浸透促進剤が、該組成物の30重量%以下の量で存在する請求項1記載の組成物。
【請求項8】
該浸透促進剤が、該組成物の25重量%以下の量で存在する請求項1記載の組成物。
【請求項9】
該浸透促進剤が、該組成物の20%重量以下の量で存在する請求項1記載の組成物。
【請求項10】
該浸透促進剤が、該組成物の15重量%以下の量で存在する請求項1記載の組成物。
【請求項11】
該浸透促進剤が、該組成物の10重量%以下の量で存在する請求項1記載の組成物。
【請求項12】
該浸透促進剤が、該組成物の5重量%以下の量で存在する請求項1記載の組成物。
【請求項13】
該浸透促進剤が、該組成物の3重量%以下の量で存在する請求項1記載の組成物。
【請求項14】
該浸透促進剤が、該組成物の1重量%以下の量で存在する請求項1記載の組成物。
【請求項15】
該浸透促進剤が、該組成物の0.5重量%から30重量%の量で存在する請求項1記載の組成物。
【請求項16】
該ラテックス又は擬似ラテックス水不溶性フィルム形成剤が、該組成物の乾燥重量基準で50重量%以上の量で存在する請求項1記載の組成物。
【請求項17】
該ラテックス又は擬似ラテックス水不溶性フィルム形成剤が、該組成物の乾燥重量基準で60重量%以上の量で存在する請求項1記載の組成物。
【請求項18】
該ラテックス又は擬似ラテックス水不溶性フィルム形成剤が、該組成物の乾燥重量基準で65重量%以上の量で存在する請求項1記載の組成物。
【請求項19】
該ラテックス又は擬似ラテックス水不溶性フィルム形成剤が、該組成物の乾燥重量基準で70重量%以上の量で存在する請求項1記載の組成物。
【請求項20】
該ラテックス又は擬似ラテックス水不溶性フィルム形成剤が、該組成物の乾燥重量基準で75重量%以上の量で存在する請求項1記載の組成物。
【請求項21】
該ラテックス又は擬似ラテックス水不溶性フィルム形成剤が、該組成物の乾燥重量基準で85重量%以上の量で存在する請求項1記載の組成物。
【請求項22】
該ラテックス又は擬似ラテックス水不溶性フィルム形成剤が、該組成物の乾燥重量基準で90重量%以上の量で存在する請求項1記載の組成物。
【請求項23】
該可塑剤が存在しそして該組成物の50重量%以下の量で存在する請求項1記載の組成物。
【請求項24】
該可塑剤が存在しそして該組成物の40重量%以下の量で存在する請求項1記載の組成物。
【請求項25】
該可塑剤が存在しそして該組成物の30重量%以下の量で存在する請求項1記載の組成物。
【請求項26】
該可塑剤が存在しそして該組成物の25重量%以下の量で存在する請求項1記載の組成物。
【請求項27】
該可塑剤が存在しそして該組成物の20重量%以下の量で存在する請求項1記載の組成物。
【請求項28】
該可塑剤が存在しそして該組成物の15重量%以下の量で存在する請求項1記載の組成物。
【請求項29】
該可塑剤が存在しそして該組成物の10重量%以下の量で存在する請求項1記載の組成物。
【請求項30】
該可塑剤が存在しそして該組成物の5重量%以下の量で存在する請求項1記載の組成物。
【請求項31】
該可塑剤が存在しそして該組成物の3重量%以下の量で存在する請求項1記載の組成物。
【請求項32】
該可塑剤が存在しそして該組成物の1重量%以下の量で存在する請求項1記載の組成物。
【請求項33】
該可塑剤が存在しそして該組成物の0.5重量%から25重量%の量で存在する請求項1記載の組成物。
【請求項34】
基材を請求項1記載の該水溶液コーティング物又はフィルム組成物でコーティングすることからなる該基材を該水溶液コーティング物又はフィルム組成物でコーティングする方法。
【請求項35】
(i)基材を請求項1記載の該水溶液コーティング物又はフィルム組成物でコーティングし、引き続き(ii)熱処理工程を行うことからなる該基材を該水溶液コーティング物又はフィルム組成物でコーティングする方法。
【請求項36】
請求項1記載の該水溶液コーティング物又はフィルム組成物で基材をコーティングする方法であって、(i)該基材を該水溶液コーティング物又はフィルム組成物で高い相対湿度条件下でコーティングした後、(ii)低湿分条件下で熱処理工程を行うことを特徴とする方法。
【請求項37】
該熱処理工程が該水溶液ポリマーコーティング組成物の最低フィルム形成温度以上の温度で実施される請求項36記載の方法。
【請求項38】
工程(i)の湿度がプロセス空気の加湿によって維持される請求項36記載の方法。
【請求項39】
工程(i)の高い相対湿度が、基材を含むコーティング室内に水溶液をスプレーすることによって維持される請求項36記載の方法。
【請求項40】
工程(i)の高い相対湿度が、水溶液ポリマーコーティング組成物を水溶液で希釈することによって維持される請求項36記載の方法。
【請求項41】
該水溶液コーティング組成物が、低湿分コーティング及び低湿分硬化条件下で基材上に使用される該水溶液コーティング組成物よりも少ない量で存在する請求項36記載の方法。
【請求項42】
該基材が、ペレット、タブレット、ソフトカプセル、ハードカプセル、粉末、顆粒、ビーズ、フィルム及びフィルムを被せた投与形である請求項36記載の方法。
【請求項43】
請求項34から42のいずれか一項に記載の方法によってつくられた被覆基材。
【請求項44】
該被覆基材が、低湿分コーティング及び低湿分硬化条件下で同じコーティング組成物及び基材を用いてつくられた被覆基材に比較して優れた障壁特性をもっている請求項43記載の製品。
【請求項45】
該被覆基材が、低湿分コーティング及び低湿分硬化条件下で同じコーティング組成物及び基材を用いてつくられた被覆基材に比較して標準保存条件下で三年間高い放出プロフィール安定性をもっている請求項43記載の製品。
【請求項46】
該被覆基材が、低湿分コーティング及び低湿分硬化条件下で同じコーティング組成物及び基材を用いてつくられた被覆基材に比較して低い拡散性をもっている請求項43記載の製品。
【請求項47】
請求項1から請求項33のいずれか一項に記載の組成物からなるフィルム。
【請求項48】
請求項34から請求項42のいずれか一項に記載の方法でつくられたペレット。
【請求項49】
請求項34から請求項42のいずれか一項に記載の方法でつくられたタブレット。
【請求項50】
請求項34から請求項42のいずれか一項に記載の方法でつくられたカプセル。
【請求項51】
カプセルがソフトカプセルである請求項50記載のカプセル。
【請求項52】
カプセルがハードカプセルである請求項50記載のカプセル。
【請求項1】
(i)少なくとも一つのラテックス又は擬似ラテックス水不溶性フィルム形成剤、(ii)少なくとも一つの浸透促進剤及び所望により、(iii)一つ以上の可塑剤からなる組成物。
【請求項2】
さらに水を含む請求項1記載の組成物。
【請求項3】
該ラテックス又は擬似ラテックス水不溶性フィルム形成剤がエチルセルロース、アクリレートコポリマー、水不溶性セルロース誘導体又はフタル酸酢酸セルロースの少なくとも一つを含む請求項1記載の組成物。
【請求項4】
該ラテックス又は擬似ラテックス水不溶性フィルム形成剤がエチルセルロースを含む請求項1記載の組成物。
【請求項5】
該浸透促進剤が、少なくとも一つのプロピレングリコールアルギネート、ポリビニルアルコール−ポリエチレングリコールコポリマー、ポリ(エチルアクリレート、メチルメタクリレート)、ポリメタクリレート、メタクリル酸コポリマー、ポリ酢酸ビニル、微結晶質セルロース、微結晶質セルロース−カラギーナン、カッパーカラギーナン、イオーターカラギーナン、ラムダーカラギーナン、ポリエチレングルコール、フタル酸酢酸セルロース、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウム/カルシウム、アルギン酸マグネシウム、アルギン酸アンモニウム、ナトリウムデンプングリコレート、クロスカーメロース、デンプン、サクロース、ラクトース、マンニトール、ソルビトール、グルコース、燐酸水素カルシウム、燐酸水素ジナトリウムを含む請求項1記載の組成物。
【請求項6】
該可塑剤が、トリエチルシトレート、トリブチルシトレート、アセチルトリブチルシトレート、ジブチルセバケート、グリセロール、プロピレングリコール又はポリエチレングリコールの少なくとも一つを含む請求項1記載の組成物。
【請求項7】
該浸透促進剤が、該組成物の30重量%以下の量で存在する請求項1記載の組成物。
【請求項8】
該浸透促進剤が、該組成物の25重量%以下の量で存在する請求項1記載の組成物。
【請求項9】
該浸透促進剤が、該組成物の20%重量以下の量で存在する請求項1記載の組成物。
【請求項10】
該浸透促進剤が、該組成物の15重量%以下の量で存在する請求項1記載の組成物。
【請求項11】
該浸透促進剤が、該組成物の10重量%以下の量で存在する請求項1記載の組成物。
【請求項12】
該浸透促進剤が、該組成物の5重量%以下の量で存在する請求項1記載の組成物。
【請求項13】
該浸透促進剤が、該組成物の3重量%以下の量で存在する請求項1記載の組成物。
【請求項14】
該浸透促進剤が、該組成物の1重量%以下の量で存在する請求項1記載の組成物。
【請求項15】
該浸透促進剤が、該組成物の0.5重量%から30重量%の量で存在する請求項1記載の組成物。
【請求項16】
該ラテックス又は擬似ラテックス水不溶性フィルム形成剤が、該組成物の乾燥重量基準で50重量%以上の量で存在する請求項1記載の組成物。
【請求項17】
該ラテックス又は擬似ラテックス水不溶性フィルム形成剤が、該組成物の乾燥重量基準で60重量%以上の量で存在する請求項1記載の組成物。
【請求項18】
該ラテックス又は擬似ラテックス水不溶性フィルム形成剤が、該組成物の乾燥重量基準で65重量%以上の量で存在する請求項1記載の組成物。
【請求項19】
該ラテックス又は擬似ラテックス水不溶性フィルム形成剤が、該組成物の乾燥重量基準で70重量%以上の量で存在する請求項1記載の組成物。
【請求項20】
該ラテックス又は擬似ラテックス水不溶性フィルム形成剤が、該組成物の乾燥重量基準で75重量%以上の量で存在する請求項1記載の組成物。
【請求項21】
該ラテックス又は擬似ラテックス水不溶性フィルム形成剤が、該組成物の乾燥重量基準で85重量%以上の量で存在する請求項1記載の組成物。
【請求項22】
該ラテックス又は擬似ラテックス水不溶性フィルム形成剤が、該組成物の乾燥重量基準で90重量%以上の量で存在する請求項1記載の組成物。
【請求項23】
該可塑剤が存在しそして該組成物の50重量%以下の量で存在する請求項1記載の組成物。
【請求項24】
該可塑剤が存在しそして該組成物の40重量%以下の量で存在する請求項1記載の組成物。
【請求項25】
該可塑剤が存在しそして該組成物の30重量%以下の量で存在する請求項1記載の組成物。
【請求項26】
該可塑剤が存在しそして該組成物の25重量%以下の量で存在する請求項1記載の組成物。
【請求項27】
該可塑剤が存在しそして該組成物の20重量%以下の量で存在する請求項1記載の組成物。
【請求項28】
該可塑剤が存在しそして該組成物の15重量%以下の量で存在する請求項1記載の組成物。
【請求項29】
該可塑剤が存在しそして該組成物の10重量%以下の量で存在する請求項1記載の組成物。
【請求項30】
該可塑剤が存在しそして該組成物の5重量%以下の量で存在する請求項1記載の組成物。
【請求項31】
該可塑剤が存在しそして該組成物の3重量%以下の量で存在する請求項1記載の組成物。
【請求項32】
該可塑剤が存在しそして該組成物の1重量%以下の量で存在する請求項1記載の組成物。
【請求項33】
該可塑剤が存在しそして該組成物の0.5重量%から25重量%の量で存在する請求項1記載の組成物。
【請求項34】
基材を請求項1記載の該水溶液コーティング物又はフィルム組成物でコーティングすることからなる該基材を該水溶液コーティング物又はフィルム組成物でコーティングする方法。
【請求項35】
(i)基材を請求項1記載の該水溶液コーティング物又はフィルム組成物でコーティングし、引き続き(ii)熱処理工程を行うことからなる該基材を該水溶液コーティング物又はフィルム組成物でコーティングする方法。
【請求項36】
請求項1記載の該水溶液コーティング物又はフィルム組成物で基材をコーティングする方法であって、(i)該基材を該水溶液コーティング物又はフィルム組成物で高い相対湿度条件下でコーティングした後、(ii)低湿分条件下で熱処理工程を行うことを特徴とする方法。
【請求項37】
該熱処理工程が該水溶液ポリマーコーティング組成物の最低フィルム形成温度以上の温度で実施される請求項36記載の方法。
【請求項38】
工程(i)の湿度がプロセス空気の加湿によって維持される請求項36記載の方法。
【請求項39】
工程(i)の高い相対湿度が、基材を含むコーティング室内に水溶液をスプレーすることによって維持される請求項36記載の方法。
【請求項40】
工程(i)の高い相対湿度が、水溶液ポリマーコーティング組成物を水溶液で希釈することによって維持される請求項36記載の方法。
【請求項41】
該水溶液コーティング組成物が、低湿分コーティング及び低湿分硬化条件下で基材上に使用される該水溶液コーティング組成物よりも少ない量で存在する請求項36記載の方法。
【請求項42】
該基材が、ペレット、タブレット、ソフトカプセル、ハードカプセル、粉末、顆粒、ビーズ、フィルム及びフィルムを被せた投与形である請求項36記載の方法。
【請求項43】
請求項34から42のいずれか一項に記載の方法によってつくられた被覆基材。
【請求項44】
該被覆基材が、低湿分コーティング及び低湿分硬化条件下で同じコーティング組成物及び基材を用いてつくられた被覆基材に比較して優れた障壁特性をもっている請求項43記載の製品。
【請求項45】
該被覆基材が、低湿分コーティング及び低湿分硬化条件下で同じコーティング組成物及び基材を用いてつくられた被覆基材に比較して標準保存条件下で三年間高い放出プロフィール安定性をもっている請求項43記載の製品。
【請求項46】
該被覆基材が、低湿分コーティング及び低湿分硬化条件下で同じコーティング組成物及び基材を用いてつくられた被覆基材に比較して低い拡散性をもっている請求項43記載の製品。
【請求項47】
請求項1から請求項33のいずれか一項に記載の組成物からなるフィルム。
【請求項48】
請求項34から請求項42のいずれか一項に記載の方法でつくられたペレット。
【請求項49】
請求項34から請求項42のいずれか一項に記載の方法でつくられたタブレット。
【請求項50】
請求項34から請求項42のいずれか一項に記載の方法でつくられたカプセル。
【請求項51】
カプセルがソフトカプセルである請求項50記載のカプセル。
【請求項52】
カプセルがハードカプセルである請求項50記載のカプセル。
【図2】
【図3(a)】
【図3(b)】
【図4】
【図5(a)】
【図5(b)】
【図6】
【図7(a)】
【図7(b)】
【図8】
【図9(a)】
【図9(b)】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15(a)】
【図15(b)】
【図15(c)】
【図15(d)】
【図16(a)−16(d)】
【図16(e)】
【図16(f)】
【図16(g)−16(j)】
【図16(k)−16(n)】
【図16(o)−16(r)】
【図16(s)−16(t)】
【図16(u)−16(x)】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28(a)】
【図28(b)】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35(a)−35(b)】
【図36(a)−36(b)】
【図37(a)−37(b)】
【図38】
【図39(a)】
【図39(b)】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43(a)】
【図43(b)】
【図44(a)】
【図44(b)】
【図45(a)】
【図45(b)】
【図3(a)】
【図3(b)】
【図4】
【図5(a)】
【図5(b)】
【図6】
【図7(a)】
【図7(b)】
【図8】
【図9(a)】
【図9(b)】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15(a)】
【図15(b)】
【図15(c)】
【図15(d)】
【図16(a)−16(d)】
【図16(e)】
【図16(f)】
【図16(g)−16(j)】
【図16(k)−16(n)】
【図16(o)−16(r)】
【図16(s)−16(t)】
【図16(u)−16(x)】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28(a)】
【図28(b)】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35(a)−35(b)】
【図36(a)−36(b)】
【図37(a)−37(b)】
【図38】
【図39(a)】
【図39(b)】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43(a)】
【図43(b)】
【図44(a)】
【図44(b)】
【図45(a)】
【図45(b)】
【公表番号】特表2009−526095(P2009−526095A)
【公表日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−553477(P2008−553477)
【出願日】平成19年1月31日(2007.1.31)
【国際出願番号】PCT/US2007/061377
【国際公開番号】WO2007/092717
【国際公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【出願人】(391022452)エフ エム シー コーポレーション (74)
【氏名又は名称原語表記】FMC CORPORATION
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年1月31日(2007.1.31)
【国際出願番号】PCT/US2007/061377
【国際公開番号】WO2007/092717
【国際公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【出願人】(391022452)エフ エム シー コーポレーション (74)
【氏名又は名称原語表記】FMC CORPORATION
【Fターム(参考)】
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