説明

ラパマイシンアナログ、並びに、神経障害、増殖性障害及び炎症性障害の治療におけるその使用

本発明は下記構造の化合物(ここで、R1、R2、R4、R4'、R6、R7及びR15は上記で定義される)を提供する。本発明の化合物は、脳卒中又は頭部傷害による神経障害又は合併症;良性又は悪性の腫瘍性疾患、ガン腫及び腺ガン;増殖性障害;及び炎症性障害の治療において有用である。従って、本発明の化合物は、神経保護剤及び神経再生剤として、抗増殖剤として、または抗炎症剤として有用である。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラパマイシンアナログ(類似体)、並びに、神経障害、増殖性障害及び炎症性障害の治療におけるその使用を提供する。
【背景技術】
【0002】
虚血性脳卒中は全脳卒中事例の83%を占め(残る17%は出血性タイプである)、毎年約700,000人のアメリカ人において発生しており、これは45秒毎におよそ1件の脳卒中に等しい。虚血性脳卒中は、脳に血液を供給する血管の内部における閉塞の結果として生じる。このタイプの閉塞についての根本的な状態は、血管壁の内側を覆う脂肪沈着物の発生であり、これはアテローム性動脈硬化と呼ばれる。このような脂肪沈着物は2つのタイプの閉塞を引き起こし得る:1)脳血栓症(これは、血管の詰まった部分で発生する血栓(凝血塊)を示す)及び2)脳塞栓症(これは、循環系における別の場所(通常、心臓、並びに、上部胸部及び頸部の大きな動脈)において形成する凝血塊を一般には示す)。凝血塊の一部分が離れ、血流に入り、そのような一部分を通過させるには小さすぎる血管に、そのような一部分が到達するまで脳の血管の中を移動する。虚血性脳卒中を治すための現在の治療は限られている。今日まで、虚血性脳卒中のための唯一の承認された薬物は遺伝子組換え型組織プラスミノーゲン活性化因子(rt−PA)である。rt−PAは、血栓溶解剤として作用するため、治療可能な好機は限られており(3時間)、従って、全脳卒中患者の1〜2%のみが治療を受けることが可能であるにすぎない。虚血性脳卒中のための神経保護剤は、市販されていない。
【0003】
パーキンソン病(PD)は、黒質のドーパミン作動性(DA作動性)ニューロンの選択的な変性によって神経学的に特徴づけられる神経変性疾患である。PDは、平均発症年齢が55歳である進行性の疾患であるが、15%の患者が50歳までに診断される。150万人のアメリカン人がPDに罹っていると推定される。PDの古典的な徴候のいくつかが、身体の片側での休止時振戦、全身性の運動緩慢(動作緩慢)、四肢の硬直(強直)、歩行問題又は平衡問題(姿勢異常)である。現在のPDの薬物療法では、症状が治療され、これに対して、DA作動性ニューロンの変性を防止する又は遅らせる薬物は無い。
【0004】
その臨床的重要性を考えた場合、神経保護活性及び/又は神経再生(neuroregenerative)活性の両方を明瞭に示すプロトタイプ分子が非常に探し求められている。ニューロトロフィンは、神経変性の前臨床モデルにおける驚くべき治療特性を有する一群のタンパク質である。実験的に有望ではあるが、ニューロトロフィンの臨床開発は重大な障害及び後退に遭遇した(例えば、これらの大きなタンパク質をニューロンの標的集団に送達することができないこと、タンパク質の不安定性、及び、非特異的な活性など)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この分野で求められているものは、神経障害、増殖性障害及び炎症性障害の治療において有用なさらなる化合物である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
1つの態様において、本発明は、神経障害、増殖性障害及び炎症性障害を治療することにおいて、また、神経障害、増殖性障害及び炎症性障害の治療に有用な医薬品の調製において、有用な新規な化合物を提供する。
【0007】
別の態様において、本発明は、新規な神経保護剤、抗増殖剤及び抗炎症剤を提供する。
【0008】
さらなる態様において、本発明は、良性又は悪性の腫瘍性疾患、ガン腫及び腺ガンを治療することにおいて、また、良性又は悪性の腫瘍性疾患、ガン腫及び腺ガンの治療に有用な医薬品の調製において、有用な新規な化合物を提供する。
【0009】
別の態様において、本発明は、自己免疫障害(例えば、狼瘡)、皮膚の炎症性障害、腸の炎症性障害、喘息及びアトピー性障害、並びに、移植組織/移植片拒絶(これらに限定されない)を含む、様々な炎症性障害を治療することにおいて、また、そのような炎症性障害の治療に有用な医薬品の調製において、有用な新規な化合物を提供する。
【0010】
さらなる態様において、本発明は、ラパマイシンアナログ、並びに、その医薬的に許容され得る塩、プロドラッグ及び代謝産物を提供する。
【0011】
別の態様において、本発明は、ラパマイシンアナログを調製する方法を提供する。
【0012】
さらなる態様において、本発明は、神経障害、増殖性障害、心臓血管障害及び炎症性障害を治療する方法を提供する。
【0013】
さらに別の態様において、本発明は、脳卒中又は頭蓋骨損傷に起因する合併症を治療する方法を提供する。
【0014】
さらなる態様において、本発明は、良性又は悪性の腫瘍性疾患、ガン腫及び腺ガンを治療する方法を提供する。
【0015】
さらに別の態様において、本発明は、自己免疫障害(例えば、狼瘡)、皮膚の炎症性障害、腸の炎症性障害、喘息及びアトピー性障害、並びに、移植組織/移植片拒絶(これらに限定されない)を含む、様々な炎症性障害を治療するための方法を提供する。
【0016】
別の態様において、本発明は、本発明の化合物が被覆又は含浸されている血管ステント又は血管シャント(vascular shunt)を提供する。
【0017】
本発明の他の態様及び利点が、その好ましい実施形態についての下記の詳細な説明においてさらに記載される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明は、神経保護剤、抗増殖剤及び/又は抗炎症剤として有用である新規なラパマイシンアナログを提供する。本発明の新規なラパマイシンアナログはヘテロ原子置換基をラパマイシン骨格の1位及び4位に有する。別の実施形態において、本発明は、環状構造をラパマイシン骨格の1位、2位、3位及び/又は4位に有するラパマイシンアナログを提供する。
【0019】
本発明のこれらの新規な化合物は、様々な神経障害を治療する際に使用される組成物における神経保護剤として有用である。そのような神経障害(これらには、例えば、神経変性状態及び神経筋変性状態が含まれる)は、出生時に存在する遺伝的障害の結果、個体の生涯の期間中に発症した障害(例えば、脳卒中)、及び/又は、身体的外傷(例えば、頭部傷害、脊髄傷害、又は、末梢神経系への傷害)の結果であり得る。
【0020】
従って、本発明の化合物は、以前から存在する神経障害の症状を緩和すること、さらなる神経変性及び/又は神経筋変性を防止することにおいて有用であり得る。いくつかの実施形態において、本発明の神経保護剤は、神経障害に関連する症状の発症を遅らせるために使用することができる。
【0021】
本発明の新規な化合物は、抗増殖剤及び抗炎症剤としても有用であり、従って、様々な炎症性障害(これらには、自己免疫障害、関節炎障害、皮膚の炎症性障害、腸の炎症性障害、喘息及びアトピー性障害、並びに、移植組織/移植片拒絶が含まれる)の治療において有用である。
【0022】
驚くべきことに、本発明の少なくとも2つの化合物、例えば、9,27−ジヒドロキシ−3−{2−[4−ヒドロキシ−3−メトキシシクロヘキシル]−1−メチルエチル}−10,21−ジメトキシ−6,8,12,14,20,26−ヘキサメチル−37−フェニル−4,9,10,12,13,14,15,18,21,22,23,24,25,26,27,32,33,34,34a−ノナデカヒドロ−3H−23,27−エポキシ−18,15−(エポキシイミノ)ピリド[2,1−c][1,4]オキサザシクロヘントリアコンチン−1,5,11,28,29(6H,31H)−ペントン及び37−(4−クロロ−3−メチルフェニル)−9,27−ジヒドロキシ−3−{2−[4−ヒドロキシ−3−メトキシシクロヘキシル]−1−メチルエチル}−10,21−ジメトキシ−6,8,12,14,20,26−ヘキサメチル−,9,10,12,13,14,15,18,21,22,23,24,25,26,27,32,33,34,34a−ノナデカヒドロ−3H−23,27−エポキシ−18,15−(エポキシイミノ)ピリド[2,1−c][1,4]オキサザシクロヘントリアコンチン−1,5,11,28,29(6H,31H)−ペントンが、抗増殖活性及び免疫抑制活性を有することが見出されている。
【0023】

I.本発明の化合物
本発明は、下記の式Iのラパマイシンアナログ、あるいはその医薬的に許容され得る塩、プロドラッグ又は代謝産物を提供する:
【化12】

【0024】
上記式におけるR1及びR2は異なり、独立した基であり、かつ、OR3及びN(R3')(R3")の中から選択されるか、又は、R1及びR2は異なり、単結合を介して連結し、かつ、O及びNR3から選択される。R3、R3'及びR3"は、独立して、H、C1−C6アルキル、C1−C6置換アルキル、C3−C8シクロアルキル、C3−C8置換シクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール及び置換ヘテロアリールから選択される。R4及びR4'は、(a)独立して、H、OH、O(C1−C6アルキル)、O(C1−C6置換アルキル)、O(アシル)、O(アリール)、O(置換アリール)及びハロゲンから選択されるか、又は、(b)一緒になって、Oとの二重結合を形成する。R5、R6及びR7は、独立して、H、OH及びOCH3から選択される。R8及びR9は、(i)単結合を介して連結し、かつ、CH2であるか、又は、(ii)二重結合を介して連結し、かつ、CHである。R15は、C=O、CHOH及びCH2から選択され、かつ、nは1又は2である。
【0025】
さらなる実施形態において、R1及びR2は単結合を介して連結し、かつ、O及びNR3から選択される。なおさらにさらなる実施形態において、R1はOであり、R2はNR3である。
【0026】
1つの実施形態において、R3'又はR3"はアリール基又は置換アリール基あるいは置換ベンゼン環である。別の実施形態において、R3'又はR3"における置換ベンゼン基には、下記の構造の環が含まれる:
【化13】

10、R11、R12、R13及びR14は、独立して、H、C1−C6アルキル、C1−C6置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ハロゲン、アシル、OH、O(アルキル)、O(置換アルキル)、O(アリール)、O(置換アリール)、O(アシル)、NH2、NH(アルキル)、NH(置換アルキル)、NH(アリール)、NH(置換アリール)及びNH(アシル)から選択される。
【0027】
さらなる実施形態において、R3、R3'又はR3"は、C1−C6アルキル及びハロゲンから選択される1つ又は2つの置換基によって場合により置換されるフェニルである。なおさらにさらなる実施形態において、R3、R3'又はR3"は、1つ又は2つのメチル置換基又はクロロ置換基で場合により置換されるフェニルであり、例えば、フェニル、並びに、3−メチル、4−クロロフェニルである。
【0028】
1つの実施形態において、R4又はR4'はOH又はO(アシル)であり、例えば、O(アシル)において、アシルは、−C(O)−場合により置換されるアルキルであり、特に、この場合、アルキルは直鎖又は分枝状が可能であり、かつ、例えば、複素環(例えば、芳香族複素環など、例えば、ピリジルなど)によって場合により置換され得る。一例が、
【化14】

である。
【0029】
他の実施形態において、式Iのラパマイシンアナログには、R5、R6及びR7がOCH3であるラパマイシンアナログ、ラパマイシン骨格の17位〜22位における窒素含有環がピペリジン環であるラパマイシンアナログ、又は、R15がカルボニルであるラパマイシンアナログが含まれる。
【0030】
1つの実施形態において、本発明は下記の式Iaの化合物を提供する:
【化15】

式中、R1、R2、R8及びR9は上記のように定義される。
【0031】
別の実施形態において、本発明は下記の式Ibの化合物を提供する:
【化16】

【0032】
式Ibにおいて、Rは、独立して、H、C1−C6アルキル、C1−C6置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ハロゲン、アシル、OH、O(アルキル)、O(置換アルキル)、O(アリール)、O(置換アリール)、O(アシル)、NH2、NH(アルキル)、NH(置換アルキル)、NH(アリール)、NH(置換アリール)及びNH(アシル)から選択され、かつ、mは1〜5である。
【0033】
本発明の具体的な化合物が本明細書中に例示され、それらには、9,27−ジヒドロキシ−3−{2−[4−ヒドロキシ−3−メトキシシクロヘキシル]−1−メチルエチル}−10,21−ジメトキシ−6,8,12,14,20,26−ヘキサメチル−37−フェニル−4,9,10,12,13,14,15,18,21,22,23,24,25,26,27,32,33,34,34a−ノナデカヒドロ−3H−23,27−エポキシ−18,15−(エポキシイミノ)ピリド[2,1−c][1,4]オキサザシクロヘントリアコンチン−1,5,11,28,29(6H,31H)−ペントン;9,27−ジヒドロキシ−3−{2−[4−ヒドロキシ−3−メトキシシクロヘキシル]−1−メチルエチル}−10,21−ジメトキシ−6,8,12,14,20,26−ヘキサメチル−37−フェニル−4,9,10,12,13,14,15,16,17,18,21,22,23,24,25,26,27,32,33,34,34a−ヘンイコサヒドロ−3H−23,27−エポキシ−18,15−(エポキシイミノ)ピリド[2,1−c][1,4]オキサザシクロヘントリアコンチン−1,5,11,28,29(6H,31H)−ペントン;37−(4−クロロ−3−メチルフェニル)−9,27−ジヒドロキシ−3−{2−[4−ヒドロキシ−3−メトキシシクロヘキシル]−1−メチルエチル}−10,21−ジメトキシ−6,8,12,14,20,26−ヘキサメチル−4,9,10,12,13,14,15,18,21,22,23,24,25,26,27,32,33,34,34a−ノナデカヒドロ−3H−23,27−エポキシ−18,15−(エポキシイミノ)ピリド[2,1−c][1,4]オキサザシクロヘントリアコンチン−1,5,11,28,29(6H,31H)−ペントン;37−(2,6−ジクロロフェニル)−9,27−ジヒドロキシ−3−{2−[4−ヒドロキシ−3−メトキシシクロヘキシル]−1−メチルエチル}−10,21−ジメトキシ−6,8,12,14,20,26−ヘキサメチル−4,9,10,12,13,14,15,18,21,22,23,24,25,26,27,32,33,34,34a−ノナデカヒドロ−3H−23,27−エポキシ−18,15−(エポキシイミノ)ピリド[2,1−c][1,4]オキサザシクロヘントリアコンチン−1,5,11,28,29(6H,31H)−ペントン;2,2−ジメチル−3−(ピリジン−2−イル)プロピオン酸との9,27−ジヒドロキシ−3−{2−[4−ヒドロキシ−3−メトキシシクロヘキシル]−1−メチルエチル}−10,21−ジメトキシ−6,8,12,14,20,26−ヘキサメチル−37−フェニル−4,9,10,12,13,14,15,18,21,22,23,24,25,26,27,32,33,34,34a−ノナデカヒドロ−3H−23,27−エポキシ−18,15−(エポキシイミノ)ピリド[2,1−c][1,4]オキサザシクロヘントリアコンチン−1,5,11,28,29(6H,31H)−ペントンエステル;37−(2,6−ジクロロフェニル)−9,27−ジヒドロキシ−3−{2−[4−ヒドロキシ−3−メトキシシクロヘキシル]−1−メチルエチル}−10,21−ジメトキシ−6,8,12,14,20,26−ヘキサメチル−4,9,10,12,13,14,15,18,21,22,23,24,25,26,27,32,33,34,34a−ノナデカヒドロ−3H−23,27−エポキシ−18,15−(エポキシイミノ)ピリド[2,1−c][1,4]オキサザシクロヘントリアコンチン−1,5,11,28,29(6H,31H)−ペントン;あるいは、その医薬的に許容され得る塩、プロドラッグ又は代謝産物が含まれる。本発明はこれらの例示的な化合物に限定されない。
【0034】
別の実施形態において、具体的な化合物には、下記のものが含まれる:
【化17】

【0035】
本発明はまた、R1及びR2が単結合を介して連結し、R1がOであり、R2がNR3であり、R3がフェニルであり、R4がOHであり、R5〜R7がOCH3であり、かつ、R8及びR9がHC=CHである化合物;R1がOR3であり、R2がN(R3')(R3")であり、R3がHであり、R3'がHであり、R3"がフェニルであり、R4がOHであり、R5〜R7がOCH3であり、かつ、R8及びR9がH2C−CH2である化合物;R1及びR2が単結合を介して連結し、R1がOであり、R2がNR3であり、R3がフェニルであり、R4がOHであり、R5〜R7がOCH3であり、かつ、R8及びR9がH2C−CH2である化合物;R1及びR2が単結合を介して連結し、R1がOであり、R2がNR3であり、R4がOHであり、R5〜R7がOCH3であり、R8及びR9がHC=CHであり、かつ、R3が、
【化18】

である化合物;R1及びR2が単結合を介して連結し、R1がOであり、R2がNR3であり、R4がOHであり、R5〜R7がOCH3であり、R8及びR9がHC=CHであり、かつ、R3が、
【化19】

である化合物;R1及びR2が単結合を介して連結し、R1がOであり、R2がNR3であり、R3がフェニルであり、R5〜R7がOCH3であり、R8及びR9がHC=CHであり、かつ、R4が、
【化20】

である化合物;及び、R1及びR2が単結合を介して連結し、R1がOであり、R2がNR3であり、R4がOHであり、R5〜R7がOCH3であり、R8及びR9がH2C−CH2であり、かつ、R3が、
【化21】

である化合物を提供する。
【0036】
本発明の化合物は1つ又はそれ以上の不斉炭素原子を含有することができ、また、化合物のいくつかは1つ又はそれ以上の不斉(キラル)中心を含有することができ、従って、光学異性体及びジアステレオマーをもたらし得る。立体化学を考慮することなく示される一方で、化合物が1つ又はそれ以上のキラル中心を含有し得るとき、好ましくは、キラル中心の少なくとも1つはS−立体化学である。従って、本発明には、そのような光学異性体及びジアステレオマー、並びに、ラセミ体、及び、分割されたエナンチオマー的に純粋な立体異性体、並びに、R−立体異性体及びS−立体異性体の他の混合物、そして、それらの医薬的に許容され得る塩、水和物、代謝産物及びプロドラッグが含まれる。
【0037】
用語「アルキル」は、1〜10個の炭素原子を有し、望ましくは約1〜8個の炭素原子を有する直鎖の飽和脂肪族炭化水素基及び分枝鎖の飽和脂肪族炭化水素基の両方を示すために本明細書中では使用される。用語「アルケニル」は、1つ又はそれ以上の炭素−炭素二重結合を有し、かつ、約2〜10個の炭素原子を含有する直鎖アルキル基及び分枝鎖アルキル基の両方を示すために本明細書中では使用される。1つの実施形態において、アルケニルの用語は、1つ又は2つの炭素−炭素二重結合を有し、かつ、2〜約6個の炭素原子を有するアルキル基を示す。用語「アルキニル」基は、1つ又はそれ以上の炭素−炭素三重結合を有し、かつ、2〜8個の炭素原子を有する直鎖アルキル基及び分枝鎖アルキル基の両方を示すために本明細書中では使用される。別の実施形態において、アルキニルの用語は、1つ又は2つの炭素−炭素三重結合を有し、かつ、2〜6個の炭素原子を有するアルキル基を示す。
【0038】
用語「シクロアルキル」は、環状構造であり、かつ、約4〜10個の炭素原子又は約5〜8個の炭素原子を有する前述したアルキル基を示すために本明細書中では使用される。
【0039】
用語「置換アルキル」、用語「置換アルケニル」及び用語「置換アルキニル」は、ハロゲン、CN、OH、NO2、アミノ、アリール、複素環、アルコキシ、アリールオキシ、アルキルカルボニル、アルキルカルボキシ及びアリールチオ(これらに限定されない)(そのような基は、例えば、ハロゲン、CN、OH、NO2、アミノ、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アリールオキシ、アルキルオキシ、アルキルカルボニル、アルキルカルボキシ、アミノアルキル及びアリールチオをはじめとする1〜4個の置換基によって場合により置換され得る)をはじめとする1つ又はそれ以上の置換基を有するアルキル基、アルケニル基及びアルキニル基をそれぞれ示す。これらの置換基は、結合により、安定な化学的部分が構成されるならば、アルキル基、アルケニル基又はアルキニル基の任意の炭素に結合することができる。
【0040】
本明細書中で使用される用語「アリール」は、例えば、6〜20個の炭素原子の芳香族系を示し、この場合、そのような芳香族系は1つだけの環を含むことができ、あるいは、縮合又は連結した環の少なくとも一部分が共役芳香族系を形成する縮合又は連結した多数の芳香族環(例えば、2つ又は3つ)を含むことができる。アリール基には、フェニル、ナフチル、ビフェニル、アントリル、テトラヒドロナフチル、フェナントリル、インデン、ベンゾナフチル、フルオレニル及びカルバゾリルが含まれ得るが、これらに限定されない。
【0041】
用語「置換アリール」は、ハロゲン、CN、OH、NO2、アミノ、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アリールオキシ、アルキルオキシ、アルキルカルボニル、アルキルカルボキシ、アミノアルキル及びアリールチオ(そのような基は場合により置換され得る)をはじめとする1つ又はそれ以上の置換基により置換されるアリール基を示す。1つの実施形態において、置換アリール基は、ハロゲン、CN、OH、NO2、アミノ、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アリールオキシ、アルキルオキシ、アルキルカルボニル、アルキルカルボキシ、アミノアルキル及びアリールチオをはじめとする1〜4個の置換基により置換される。
【0042】
本明細書中で使用される用語「複素環(式の)」は、飽和、部分的不飽和又は完全不飽和である安定な4〜7員の単環又は多環の複素環式の環を示し、これには、芳香族(例えば、ピリジルなど)が含まれる。複素環式の環は、炭素原子と、窒素原子、酸素原子及びイオウ原子をはじめとする1つ又はそれ以上のヘテロ原子とを有する。1つの実施形態において、複素環式の環は1〜4個のヘテロ原子を環の骨格に有する。複素環式の環が窒素原子又はイオウ原子を環の骨格に含有する場合、その窒素原子又はイオウ原子は酸化され得る。用語「複素環(式の)」はまた、例えば、複素環式の環がアリール環に縮合する、9〜20個の環構成成分を有する多環状の環を示す。複素環式の環は、得られる複素環式の環構造が化学的に安定であるならば、ヘテロ原子又は炭素原子を介してアリール環に結合することができる。
【0043】
様々な複素環式の基が当分野では公知であり、そのような複素環式の基には、限定されないが、酸素含有環、窒素含有環、イオウ含有環、混合ヘテロ原子含有環、縮合ヘテロ原子含有環、及び、それらの組合せが含まれる。酸素含有環には、フリル環、テトラヒドロフラニル環、ピラニル環、ピロニル環及びジオキシニル環が含まれるが、これらに限定されない。窒素含有環には、限定されないが、ピロリル環、ピラゾリル環、イミダゾリル環、トリアゾリル環、ピリジル環、ピペリジニル環、2−オキソピペリジニル環、ピリダジニル環、ピリミジニル環、ピラジニル環、ピペラジニル環、アゼピニル環、トリアジニル環、ピロリジニル環及びアゼピニル環が含まれる。イオウ含有環には、限定されないが、チエニル環及びジチオリル環が含まれる。混合ヘテロ原子含有環には、オキサチオリル環、オキサゾリル環、チアゾリル環、オキサジアゾリル環、オキサトリアゾリル環、ジオキサゾリル環、オキサチアゾリル環、オキサチオリル環、オキサジニル環、オキサチアジニル環、モルホリニル環、チアモルホリニル環、チアモルホリニルスルホキシド環、オキセピニル環、チエピニル環及びジアゼピニル環が含まれるが、これらに限定されない。縮合ヘテロ原子含有環には、ベンゾフラニル環、チオナフテン環、インドリル環、ベナザゾリル環、プリンジニル環、ピラノピロリル環、イソインダゾリル環、インドキサジニル環、ベンゾオキサゾリル環、アントラニリル環、ベンゾピラニル環、キノリニル環、イソキノリニル環、ベンゾジアゾニル環、ナフチルリジニル環、ベンゾチエニル環、ピリドピリジニル環、ベンゾオキサジニル環、キサンテニル環、アクリジニル環及びプリニル環が含まれるが、これらに限定されない。
【0044】
本明細書中で使用される用語「置換された複素環(式の)」は、ハロゲン、CN、OH、NO2、アミノ、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アリールオキシ、アルキルオキシ、アルキルカルボニル、アルキルカルボキシ、アミノアルキル及びアリールチオ(そのような基は場合により置換され得る)をはじめとする1つ又はそれ以上の置換基を有する複素環式の基を示す。1つの実施形態において、置換された複素環式の基は1〜4個の置換基により置換される。
【0045】
用語「アシル」は、炭素原子において置換される−C(O)−基を示す。アシル基は置換され得るか、又は、末端アシル基(例えば、HC(O)−基など)であり得る。置換基には、アルキル基について上記で記された任意の置換基、すなわち、ハロゲン、CN、OH、NO2、アミノ、アリール、複素環、アルコキシ、アリールオキシ、アルキルカルボニル、アルキルカルボキシ及びアリールチオ(これらに限定されない)(そのような基は場合により置換され得る)をはじめとする1つ又はそれ以上の置換基が含まれ得る。例には、−C(O)−アルコキシ(例えば、−OMe又は−OEt)又は−C(O)−アルキル(この場合、アルキルは直鎖又は分枝状が可能であり、かつ、例えば、複素環(例えば、ピリジルなど)によって場合により置換され得る)が含まれる。
【0046】
本明細書中で使用される用語「アルコキシ」はO(アルキル)基を示し、この場合、結合点は酸素原子を介してであり、かつ、アルキル基は場合により置換される。
【0047】
本明細書中で使用される用語「アリールオキシ」はO(アリール)基を示し、この場合、結合点は酸素原子を介してであり、かつ、アリール基は場合により置換される。
【0048】
本明細書中で使用される用語「アルキルオキシ」はアルキルOH基を示し、この場合、結合点はアルキル基を介してである。
【0049】
本明細書中で使用される用語「アリールチオ」はS(アリール)基を示し、この場合、結合点はイオウ原子を介してであり、かつ、アリール基は場合により置換され得る。
【0050】
本明細書中で使用される用語「アルキルカルボニル」はC(O)(アルキル)基を示し、この場合、結合点はカルボニル部分の炭素原子を介してであり、かつ、アルキル基は場合により置換される。
【0051】
本明細書中で使用される用語「アルキルカルボキシ」はC(O)O(アルキル)基を示し、この場合、結合点はカルボキシ部分の炭素原子を介してであり、かつ、アルキル基は場合により置換される。
【0052】
本明細書中で使用される用語「アミノアルキル」は第二級アミン及び第三級アミンの両方を示し、この場合、結合点は窒素原子を介してであり、かつ、アルキル基は場合により置換される。アルキル基は、同一又は異なるものであり得る。
【0053】
本明細書中で使用される用語「ハロゲン」は、Cl基、Br基、F基又はI基を示す。
【0054】

II.本発明の化合物を調製する方法
本発明の式Iのラパマイシンアナログはラパマイシン系出発物質から調製される。好ましくは、ラパマイシン系出発物質には、限定されないが、ラパマイシン、ノルラパマイシン、デオキソラパマイシン、デスメチルラパマイシン又はデスメトキシラパマイシン、あるいは、それらの医薬的に許容され得る塩、プロドラッグ又は代謝産物が含まれる。しかしながら、当業者は、本発明の新規なラパマイシンアナログを調製するために利用することができる好適なラパマイシン系出発物質を容易に選択することができる。
【0055】
用語「デスメチルラパマイシン」は、1つ又はそれ以上のメチル基を有さない一群のラパマイシン化合物を示す。本発明に従って使用することができるデスメチルラパマイシン類の例は、とりわけ、3−デスメチルラパマイシン(米国特許第6,358,969号)、7−O−デスメチル−ラパマイシン(米国特許第6,399,626号)、17−デスメチルラパマイシン(米国特許第6,670,168号)及び32−O−デスメチルラパマイシンが含まれる。
【0056】
用語「デスメトキシラパマイシン」は、1つ又はそれ以上のメトキシ基を有さない一群のラパマイシン化合物を示し、これには、限定されないが、32−デスメトキシラパマイシンが含まれる。
【0057】
従って、本発明の式Iのラパマイシンアナログは、ラパマイシン系出発物質及びジエノフィルを結合することによって調製される。用語「ジエノフィル」は、1,3−ジエンと反応して、[4+2]付加環化生成物を与える分子を示す。好ましくは、本発明において利用されるジエノフィルは、場合により置換されたニトロソベンゼンである。様々なニトロソベンゼン類を本発明において利用することができ、これらには、とりわけ、ニトロソベンゼン、2,6−ジクロロニトロソベンゼン及び1−クロロ−2−メチル−4−ニトロソベンゼンが含まれる。当業者は、本発明のラパマイシンアナログの調製に効果的なニトロソベンゼンの量を容易に選択することができる。好ましくは、過剰なニトロソベンゼンが利用され、より好ましくは、ニトロソベンゼン対ラパマイシン系出発物質の5:1の比率で利用される。しかしながら、当業者によって明らかにされるように、ニトロソベンゼン対ラパマイシンの1:1、2:1又は3:1の比率でも利用することができる。
【0058】
ニトロソベンゼン及びラパマイシン系出発物質は溶媒中で結合させられる。溶媒は好ましくは、ニトロソベンゼン及び/又はラパマイシン系出発物質を、接触したときに溶解するか、あるいは、ニトロソベンゼン及びラパマイシン系出発物質を、反応が進行するにつれて溶解する。本発明において利用することができる溶媒には、限定されないが、ジメチルホルムアミド、ジオキサン(例えば、p−ジオキサンなど)、クロロホルム、アルコール(例えば、メタノール及びエタノールなど)、酢酸エチル、水、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン及びトルエン、又は、それらの組合せが含まれる。しかしながら、当業者は、ラパマイシン系出発物質及びニトロソベンゼンの溶解性、並びに、それらとの溶媒の反応性に基づいて、好適な溶媒を容易に選択することができる。利用される溶媒量は、反応の規模、具体的には、反応混合物に存在するラパマイシン系出発物質及びニトロソベンゼンの量に依存する。当業者は、必要な溶媒量を容易に決定することができる。
【0059】
典型的には、ニトロソベンゼン、ラパマイシン系出発物質及び溶媒を含有する溶液は、高い温度で、好ましくは、ラパマイシン系出発物質及びニトロソベンゼンの分解を促進しない温度で維持される。1つの実施形態において、溶液は約30℃〜約70℃の温度で維持され、好ましくは約50℃の温度で維持される。成分が、ラパマイシンとニトロソベンゼンとの間での反応を可能にするために十分な期間にわたって加熱される。公知の技術を使用して、当業者は加熱期間中の反応の進行を容易に追跡することができ、従って、反応を行うために必要な時間を容易に決定することができる。1つの好ましい実施形態において、ラパマイシン及びニトロソベンゼンはp−ジオキサンと一緒にされ、約50℃の温度で維持される。
【0060】
ラパマイシンアナログの単離及び精製は十分に当業者の範囲内であり、これには、クロマトグラフィー(これには、限定されないが、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)(例えば、逆相HPLC及び順相HPLCなど)及びサイズ排除クロマトグラフィーが含まれる)及び再結晶が含まれる。
【0061】
ラパマイシンアナログが得られると、そのラパマイシンアナログは、より飽和したラパマイシンアナログを形成するために還元することができる。当業者はまた、本発明において使用される好適な還元剤を容易に選択することができる。好ましくは、ラパマイシンアナログの還元は、水素化剤を使用して行うことができる。当業者はまた、本発明において使用される好適な水素化剤を容易に選択することができる。典型的には、水素ガスの存在下での、とりわけ、遷移金属触媒、又は、担体(好ましくは、炭素担体)上の遷移金属が、この還元を行うために利用される。好ましい実施形態において、還元は、パラジウム金属担持炭素を水素ガスの存在下で使用して行われる。
【0062】
ラパマイシンアナログの還元は、典型的には、溶媒中で行われる。様々な溶媒をこの還元において利用することができ、そのような溶媒には、限定されないが、アルコール(例えば、メタノールなど)が含まれる。しかしながら、当業者は、本発明において使用される好適な溶媒を、水素化触媒及び還元されているラパマイシンアナログに依存して容易に選択することができる。溶媒量は、反応の規模、具体的には、還元されているラパマイシンアナログの量に依存する。
【0063】
本発明において利用される水素化剤の量は当業者によって容易に決定することができる。しかしながら、当業者はまた、この還元を行うために必要な水素化剤の量、及び、本発明のより飽和したラパマイシンアナログを形成するために必要な水素化剤の量を決定及び調節することができる。さらに、様々な装置を、本発明の水素化を行うために利用することができ、そのような装置には、中でも、Parr装置が含まれる。水素化のための特定のな装置の選択は十分に当業者の範囲内である。
【0064】
本発明のラパマイシンアナログを調製する好ましい方法が下記のスキーム1に要約される:
【化22】

式中、R1、R2、R4、R4'、R6、R7、R15及びnは上記で定義される。
【0065】
本発明のラパマイシンアナログは、医薬的又は生理学的に許容され得る酸又は塩基に由来するその医薬的に許容され得る塩、プロドラッグ又は代謝産物の形態で利用することができる。これらの塩には、鉱酸又は無機酸(例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸など)及び有機酸(例えば、酢酸、シュウ酸、コハク酸及びマレイン酸など)との下記の塩が含まれるが、これらに限定されない。他の塩には、エステル、カルバマート及び他の従来の「プロドラッグ」形態でのアルカリ金属又はアルカリ土類金属(例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウム又はマグネシウムなど)との塩が含まれ、これらは、そのような形態で投与されたとき、活性な部分にインビボで変換される。
【0066】

III.本発明の化合物を使用する方法
本発明の式I、式Ia及び式Ibのラパマイシンアナログ(飽和度がより大きいラパマイシンアナログ及び飽和度がより低いラパマイシンアナログを含む)は、とりわけ、神経障害(神経筋障害を含む)及び心臓血管障害に関連する適用において有用である。本発明の式I、式Ia及び式Ibのラパマイシンアナログ(飽和度がより大きいラパマイシンアナログ及び飽和度がより低いラパマイシンアナログを含む)は、カルシウム(Ca2+)イオンチャネルの機能不全を伴う障害において有用であり、例えば、リアノジン受容体(RyR1、RyR2及びRyR3など)チャネル病(chennelopathy)(これには、なかでも、悪性高体温、セントラルコア病、カテコールアミン作動性多型心室性頻脈及び2型催不整脈性右室異形成(ARVD−2)が含まれる)において有用である。本発明の式I、式Ia及び式Ibのラパマイシンアナログ(飽和度がより大きいラパマイシンアナログ及び飽和度がより低いラパマイシンアナログを含む)はまた、ジヒドロピリジン受容体チャネル病(これには、ジヒドロピリジン感受性カルシウムイオン(Ca2+)チャネルの活性に起因するリアノジン受容体活性から生じるチャネル病が含まれる)において有用である。本明細書中で使用される用語「チャネル病」は、イオンチャネルの機能不全を伴う疾患又は障害を示す。
【0067】
本明細書中で示される疾患及び障害は本明細書中では従来の表題(例えば、神経障害及び炎症性障害)で分類される。当業者は、本明細書中で示される疾患及び障害が、異なる表題で、又は、多数の表題で適切に分類され得ることを認識する。本明細書中で示される疾患及び/又は障害の分類は本発明の限定ではない。
【0068】
本発明の化合物は、アルツハイマー病;てんかん;ハンチントン舞踏病;パーキンソン病;脳卒中;脊髄傷害;外傷性脳傷害;レヴィー小体認知症;ピック病;ニーマン・ピック病;アミロイド血管症;脳アミロイド血管症;全身性アミロイドーシス;ダッチ型のアミロイドーシスを伴う遺伝性脳出血;封入体筋炎;軽度認識障害;ダウン症候群を含む、様々な神経障害;及び、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、多発性硬化症及び筋ジストロフィー(デュシェンヌ型ジストロフィー、ベッカー型筋ジストロフィー、顔面肩甲上腕筋型(ランドジー・デジュリーヌ)筋ジストロフィー及び肢帯型筋ジストロフィー(LGMD)を含む)を含む、様々な神経筋障害の治療において有用であり、また、そのための医薬品の調製において有用である。ラパマイシンアナログはまた、脳卒中、頭蓋骨損傷又は脊髄傷害、あるいは、脳、末梢神経系、中枢神経系又は神経筋系に対する他の傷害に起因する合併症の治療において有用であり、また、そのための医薬品の調製において有用である。
【0069】
新規なラパマイシンアナログはまた、神経保護剤として有用である。本発明のラパマイシンアナログはまた、神経再生剤として、すなわち、上記状態のいずれか1つの発症、及び/あるいは、傷害、脳卒中又は他の外傷の後で何らかの神経機能及び/又は神経筋機能又は他の機能を回復させる神経再生剤として有用であり得る。
【0070】
本発明の化合物は、うっ血性心不全;催不整脈性症候群(発作性頻脈、遅延型後脱分極、心室性頻拍、突発性頻脈、運動誘発性不整脈、QT延長症候群及び二方向性頻脈を含む);血栓塞栓性障害(動脈の心臓血管血栓塞栓性障害、静脈の心臓血管血栓塞栓性障害、及び、心臓の心房/心室における血栓塞栓性障害を含む);アテローム性動脈硬化;再狭窄;末梢動脈疾患;冠状動脈バイパス移植手術;頸動脈疾患;動脈炎;心筋炎;心臓血管炎症;血管炎症;冠状動脈心疾患(CHD);不安定狭心症(UA);不安定不応性狭心症;安定狭心症(SA);慢性的安定狭心症;急性冠症候群(ACS);最初又は再発の心筋梗塞;急性心筋梗塞(AMI);心筋梗塞;非Q波心筋梗塞;非STE心筋梗塞;冠動脈疾患;虚血性心疾患;心虚血;虚血;虚血性突然死;一過性虚血発作;脳卒中;末梢閉塞性動脈疾患;静脈血栓症;深部静脈血栓症;血栓性静脈炎;動脈塞栓症;冠動脈血栓症;脳動脈血栓症;脳塞栓症;腎臓塞栓症;肺塞栓症;(a)人工弁又は他のインプラント、(b)留置カテーテル、(c)ステント、(d)心肺バイパス、(e)血液透析、又は、(f)血液が、血栓症を促進させる人工的表面にさらされる他の手法から生じる血栓症;アテローム性動脈硬化、手術又は手術合併症、長期にわたる不動化、動脈細動、先天性血栓形成傾向、ガン、糖尿病、薬物療法又はホルモンの影響、及び、妊娠の合併症から生じる血栓症;心不整脈(上室性不整脈、心房性不整脈、心房粗動、心房細動を含む);Heart Diseases: A Textbook of Cardiovascular Medicine、2 Volume Set、6th Edition、2001、Eugene Braunwald、Douglas P. Zipes、Peter Libby、Douglas D. Zipesに列挙される他の疾患(これらに限定されない)を含む、様々な心臓血管障害の治療において有用であり、また、そのための医薬品の調製において有用である。
【0071】
さらなる実施形態において、心臓血管疾患は、アテローム性動脈硬化;冠状動脈心疾患(CHD);再狭窄;末梢動脈疾患;冠状動脈バイパス移植手術;頸動脈疾患;動脈炎;心筋炎;心臓血管炎症;血管炎症;不安定狭心症(UA);不安定不応性狭心症;安定狭心症(SA);慢性的安定狭心症;急性冠症候群(ACS);心筋梗塞;又は急性心筋梗塞(AMI)(最初又は再発の心筋梗塞、非Q波心筋梗塞、非STセグメント上昇心筋梗塞及びSTセグメント上昇心筋梗塞を含む)である。
【0072】
なおさらにさらなる実施形態において、心臓血管疾患は、アテローム性動脈硬化;冠状動脈心疾患(CHD);不安定狭心症(UA);不安定不応性狭心症;安定狭心症(SA);慢性的安定狭心症;急性冠症候群(ACS);心筋梗塞;又は急性心筋梗塞(AMI)(最初又は再発の心筋梗塞、非Q波心筋梗塞、非STセグメント上昇心筋梗塞及びSTセグメント上昇心筋梗塞を含む)である。
【0073】
本発明の式I、式Ia及び式Ibのラパマイシンアナログはまた、免疫抑制活性を有することが示されており、従って、自己免疫障害(例えば、狼瘡)、皮膚の炎症性障害、腸の炎症性障害、喘息及びアトピー性障害、並びに移植組織/移植片拒絶(これらに限定されない)を含む、様々な炎症性障害を治療するための抗炎症剤として有用である。従って、ラパマイシンアナログは、自己免疫障害、例えば、全身性エリテマトーデス(SLE)、関節炎障害(例えば、リウマチ様関節炎、乾癬性関節炎、変形性関節症、強直性脊椎炎)、糖尿病(I型)、多発性硬化症、重症筋無力症、脈管炎;皮膚の炎症性障害(例えば、乾癬、皮膚炎及び強皮症);腸の炎症性障害(例えば、炎症性腸疾患(IBD)、クローン病及び潰瘍性大腸炎);喘息及びアトピー性障害(例えば、アレルギー);並びに移植組織/移植片拒絶及び移植片対宿主病(これらに限定されない)を含む、様々な炎症性障害の治療において、またそのための医薬品の調製において、有用である。
【0074】
式I、式Ia及び式Ibのこれらの化合物はまた、良性又は悪性の腫瘍性疾患又はガン腫及び腺ガンの治療又は防止において、また、そのための医薬品の調製において有用である。1つのそのような化合物が9,27−ジヒドロキシ−3−{2−[4−ヒドロキシ−3−メトキシシクロヘキシル]−1−メチルエチル}−10,21−ジメトキシ−6,8,12,14,20,26−ヘキサメチル−37−フェニル−4,9,10,12,13,14,15,18,21,22,23,24,25,26,27,32,33,34,34a−ノナデカヒドロ−3H−23,27−エポキシ−18,15−(エポキシイミノ)ピリド[2,1−c][1,4]オキサザシクロヘントリアコンチン−1,5,11,28,29(6H,31H)−ペントンである。別のそのような化合物が37−(4−クロロ−3−メチルフェニル)−9,27−ジヒドロキシ−3−{2−[4−ヒドロキシ−3−メトキシシクロヘキシル]−1−メチルエチル}−10,21−ジメトキシ−6,8,12,14,20,26−ヘキサメチル−4,9,10,12,13,14,15,18,21,22,23,24,25,26,27,32,33,34,34a−ノナデカヒドロ−3H−23,27−エポキシ−18,15−(エポキシイミノ)ピリド[2,1−c][1,4]オキサザシクロヘントリアコンチン−1,5,11,28,29(6H,31H)−ペントンである。本発明に従って治療することができるガン腫及び腺ガンには、限定されないが、子宮内膜、卵巣、乳房、結腸、腎臓、前立腺、下垂体のガン腫若しくは腺ガン、又は髄膜腫若しくは他のホルモン依存性の腫瘍が含まれる。
【0075】
本発明のラパマイシンアナログの投薬必要量は、状態、示された症状の重篤度、及び、治療されている特定の被験者に依存して変化し得る。当業者は、ラパマイシンアナログの必要量を容易に決定することができる。1つの実施形態において、約0.5mg〜200mgが投与される。さらなる実施形態においては、約0.5mg〜100mgが投与される。別の実施形態においては、約0.5mg〜約75mgが投与される。さらにさらなる実施形態においては、約1mg〜約25mgが投与される。別の実施形態においては、特に別の薬剤との組合せで使用されるとき、約0.5mg〜約10mgが投与される。さらにさらなる実施形態においては、約2mg〜約5mgが投与される。さらに別の実施形態においては、約5mg〜約15mgが投与される。治療は、所望の効果を生じさせるために必要な投薬量よりも少なく、かつ、一般にはラパマイシンアナログの最適な用量よりも低い投薬量のラパマイシンアナログを用いて開始することができる。その後、投薬量を、その状況下での最適な効果に到達するまで増大させることができる。正確な投薬量は、治療されている個々の被験者に関して経験に基づいて投薬医によって決定される。一般に、本発明の組成物は、最も望ましくは、何らかの危険な副作用又は有害な副作用を引き起こすことなく、効果的な結果をもたらす濃度で投与される。
【0076】

IV.ラパマイシンアナログを含有する投与可能な組成物を調製する方法
1つの態様において、本発明は、本発明の1つ又はそれ以上のラパマイシンアナログを含有する医薬組成物を調製する方法を含む。本明細書中で使用される場合、本発明の「ラパマイシンアナログ」を含有する組成物に対する参照は、本発明の1つ又はそれ以上のラパマイシンアナログを含有する組成物を包含することが意図される。組成物はいくつかの異なる経路によって、被験対象の哺乳動物に投与することができ、望ましくは、固体形態又は液体形態で経口投与される。
【0077】
ラパマイシンアナログを含有する様々な固体剤形(これらには、錠剤、カプセル及びカプレットが含まれる)を、ラパマイシンアナログを上記で記載された成分の1つ又は複数と混合することによって形成することができる。1つの実施形態において、組成物の成分は乾式混合又は湿式混合される。別の実施形態において、成分は乾式造粒される。さらなる実施形態において、成分は液体に懸濁又は溶解され、被験対象の哺乳動物への投与のために好適な剤形に加えられる。
【0078】
ラパマイシンアナログを含有する様々な液体剤形は、ラパマイシンアナログを、被験対象の哺乳動物への投与のために好適な液体に溶解又は懸濁することによって形成することができる。
【0079】
本発明のラパマイシンアナログを含有する組成物は、ラパマイシンアナログ及び医薬的に許容され得る担体を組み合わせることによって本発明に従って調製することができる。
【0080】
ラパマイシンアナログを含有する本明細書中に記載される組成物は、ラパマイシンアナログの医薬的に効果的な量を使用して、所望の送達経路のために好適な任意の形態で配合することができる。例えば、本発明の組成物は、経路(例えば、経口、皮膚、経皮、気管支内、鼻腔内、静脈内、筋肉内、皮下、非経口的、腹腔内、鼻腔内、膣内、直腸、舌下、頭蓋内、硬膜外、気管内の経路など)によって、又は、持続放出によって送達することができる。好ましくは、送達は経口による。
【0081】
本発明の経口投薬用の錠剤組成物はまた、ラパマイシンアナログの誘導体を含有する経口投薬用の錠剤を調製するために使用することができ、そのような誘導体には、当業者に公知のエステル、カルバマート、スルファート、エーテル、オキシム及びカルボナートなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0082】
ラパマイシンアナログの医薬的に効果的な量は、具体的な化合物、送達様式、治療されている状態の重篤度、及び、組成物において使用される任意の他の有効成分に依存して変更し得る。服用法はまた、最適な治療効果をもたらすために調節することができる。数個の分割された服用量を毎日送達することができ、例えば、1日に2〜4回の分割された服用量で送達することができ、又は、単回服用量を送達することができる。しかしながら、服用量は、治療状況からの要求に適応するように比例して増減することができる。1つの実施形態において、送達は、毎日、毎週又は毎月である。別の実施形態において、送達は毎日の送達である。しかしながら、1日投薬量は、反復した送達に基づいて増減することができる。
【0083】
本発明のラパマイシンアナログは、本発明の組成物との適合性を有する固体担体及び液体担体(これらに限定されない)を含む1つ又はそれ以上の医薬的に許容され得る担体又は賦形剤と組み合わせることができる。そのような担体には、とりわけ、アジュバント、シロップ、エリキシル剤、希釈剤、結合剤、滑剤、界面活性剤、造粒剤、崩壊剤、皮膚軟化剤、金属キレーター、pH調整剤、界面活性剤、増量剤、錠剤分解物質及びそれらの組合せが含まれる。1つの実施形態において、ラパマイシンアナログは、金属キレーター、pH調整剤、界面活性剤、増量剤、錠剤分解物質、滑剤及び結合剤と組み合わされる。
【0084】
アジュバントは、限定されないが、矯味矯臭剤、着色剤、保存剤、及び、補助的な酸化防止剤(これには、ビタミンE、アスコルビン酸、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)及びブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)が含まれ得る)が含まれ得る。
【0085】
結合剤は、限定されないが、とりわけ、セルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタラート、微結晶性セルロース、非結晶性セルロース、ポリプロピルピロリドン、ポリビニルピロリドン(ポビドン、PVP)、ゼラチン、アラビアゴム、ポリエチレングリコール、デンプン、糖(例えば、スクロース、カオリン、デキストロース及びラクトースなど)、コレステロール、トラガカント、ステアリン酸、ゼラチン、カゼイン、レシチン(ホスファチド)、セトステアリルアルコール、セチルアルコール、セチルエステルワックス、デキストラート、デキストリン、グリセリルモノオレアート、グリセリルモノステアラート、グリセリルパルミトステアラート、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンひまし油誘導体、ポリオキシエチレンステアラート、ポリビニルアルコール及びゼラチンが含まれ得る。1つの実施形態において、結合剤は、ポビドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース又はゼラチンである。別の実施形態において、結合剤はポビドンである。
【0086】
滑剤は、とりわけ、ステアリン酸マグネシウム、軽質無水ケイ酸、タルク、ステアリン酸、ラウリル硫酸ナトリウム及びナトリウムステアリルフマラートが含まれ得る。1つの実施形態において、滑剤は、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸又はナトリウムステアリルフマラートである。別の実施形態において、滑剤はステアリン酸マグネシウムである。
【0087】
造粒剤は、限定されないが、とりわけ、二酸化ケイ素、微結晶性セルロース、デンプン、炭酸カルシウム、ペクチン、クロスポビドン(crospovidone)及びポリプラスドン(polyplasdone)が含まれ得る。
【0088】
崩壊剤又は錠剤分解物質は、とりわけ、クロスカルメロースナトリウム、デンプン、カルボキシメチルセルロース、置換されたヒドロキシプロピルセルロース、重炭酸ナトリウム、リン酸カルシウム、クエン酸カルシウム、ナトリウムデンプングリコラート、アルファ化デンプン又はクロスポビドンが含まれ得る。1つの実施形態において、錠剤分解物質はクロスカルメロースナトリウムである。
【0089】
皮膚軟化剤は、限定されないが、ステアリルアルコール、ミンク油、セチルアルコール、オレイルアルコール、ラウリン酸イソプロピル、ポリエチレングリコール、オリーブ油、ワセリン、パルミチン酸、オレイン酸及びミリスチン酸ミリスチルが含まれ得る。
【0090】
界面活性剤は、ポリソルバート、ソルビタンエステル、ポロキサマー又はラウリル硫酸ナトリウムが含まれ得る。1つの実施形態において、界面活性剤はラウリル硫酸ナトリウムである。
【0091】
金属キレーターは、生理学的に許容され得るキレート化剤(これには、エデト酸、リンゴ酸又はフマル酸が含まれる)が含まれ得る。1つの実施形態において、金属キレーターはエデト酸である。
【0092】
pH調整剤はまた、ラパマイシンアナログを含有する溶液のpHを約4〜約6に調整するために使用することができる。1つの実施形態において、ラパマイシンアナログを含有する溶液のpHは約4.6のpHに調整される。pH調整剤には、生理学的に許容され得る薬剤(これには、クエン酸、アスコルビン酸、フマル酸又はリンゴ酸、及び、それらの塩が含まれる)が含まれ得る。1つの実施形態において、pH調整剤はクエン酸である。
【0093】
本発明に従って使用することができる増量剤は、無水ラクトース、微結晶性セルロース、マンニトール、リン酸カルシウム、アルファ化デンプン又はスクロースが含まれる。1つの実施形態において、増量剤は無水ラクトースである。別の実施形態において、増量剤は微結晶性セルロースである。
【0094】
1つの実施形態において、本発明のラパマイシンアナログを含有する組成物は、錠剤、カプレット又はカプセル、マイクロカプセル、分散性粉末、顆粒剤、懸濁物、シロップ、エリキシル剤及びエアロゾルによって経口送達される。望ましくは、ラパマイシンアナログを含有する組成物が経口送達されるとき、送達は錠剤及びハード充填カプセル又は液体充填カプセルによって行われる。
【0095】
別の実施形態において、ラパマイシンアナログを含有する組成物は、容易なシリンジ能が存在する程度に流動性である無菌の注射可能な溶液、懸濁物、分散物及び粉末の形態で静脈内、筋肉内、皮下、非経口的及び腹腔内に送達することができる。そのような注射可能な組成物は無菌であり、かつ、製造及び貯蔵の条件のもとで安定であり、かつ、微生物(例えば、細菌及び菌類など)の混入作用がない。
【0096】
さらなる実施形態において、ラパマイシンアナログを含有する組成物は従来の坐薬の形態で直腸に送達することができる。
【0097】
別の実施形態において、ラパマイシンアナログを含有する組成物は、従来の坐薬、クリーム、ゲル、リング又は被覆子宮内デバイス(IDU)の形態で膣に送達することができる。
【0098】
別の実施形態において、ラパマイシンアナログを含有する組成物は、支持構造体の被覆又は含浸によって、すなわち、本発明の化合物を含有する医薬的に許容され得る担体又は賦形剤を含有又は支持することができる骨格構造体(例えば、脈管構造において使用される血管ステント又は血管シャント、冠状動脈ステント、末梢ステント、カテーテル、動脈静脈グラフト、バイパスグラフト及び薬物送達バルーン)の被覆又は含浸によって送達することができる。1つの実施形態において、使用に好適な被覆には、本発明の化合物が実質的に可溶性である任意のポリマー物質から構成されるポリマー被覆が含まれるが、これに限定されない。様々な支持構造体及び被覆方法又は含浸方法(例えば、米国特許第6,890,546号に記載される支持構造体及び被覆方法又は含浸方法)が当業者には公知であり、これらは本発明の限定ではない。
【0099】
さらに別の実施形態において、ラパマイシンアナログを含有する組成物はエアロゾルの形態で鼻腔内又は気管支内に送達することができる。
【0100】
ラパマイシンアナログは、静脈内経路、筋肉内経路又は皮下経路によるだけでなく、経口投与によって投与される。固体担体には、デンプン、ラクトース、リン酸二カルシウム、微結晶性セルロース、スクロース及びカオリンが含まれ、一方、液体担体には、無菌水、ポリエチレングリコール、非イオン性界面活性剤及び食用油(例えば、トウモロコシ油、ピーナッツ油及びゴマ油など)が含まれ、これらは有効成分の性質及び所望の具体的な投与形態に対して好適である。医薬組成物の調製において慣例的に用いられるアジュバントが好都合には含まれる(例えば、矯味矯臭剤、着色剤、保存剤及び酸化防止剤(例えば、ビタミンE、アスコルビン酸、BHT及びBHA)など)。
【0101】
調製及び投与の容易さの観点からの好ましい医薬組成物は固体組成物であり、特に、錠剤及びハード充填カプセル又は液体充填カプセルである。化合物の経口投与が好ましい。
【0102】
ラパマイシンアナログはまた、非経口的又は腹腔内に投与される。遊離塩基又は医薬的に許容され得る塩としてのこれらの活性な化合物の溶液又は懸濁物が、界面活性剤(例えば、ヒドロキシプロピルセルロースなど)と好適に混合された水において調製される。分散物もまた、グリセロール、液状ポリエチレングリコール、及び、オイルにおけるそれらの混合物において調製される。貯蔵及び使用の通常の条件のもとで、これらの調製物は、微生物の成長を防止するための保存剤を含有する。
【0103】
注射剤使用のために好適な医薬品剤形には、無菌の水性の溶液又は分散物、及び、無菌の注射可能な溶液又は分散物を即座に調製するための無菌の粉末が含まれる。すべての場合において、当該剤形は無菌であり、かつ、容易なシリンジ能が存在する程度に流動性である。当該剤形は、製造及び貯蔵の条件のもとで安定であり、かつ、微生物(例えば、細菌及び菌類など)の混入作用から保護される。担体は、例えば、水、エタノール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール及び液状ポリエチレングリコール)、それらの好適な混合物、及び、植物油を含有する溶媒又は分散媒体である。
【0104】

V.本発明のキット
本発明はまた、ラパマイシンアナログを含有するキット又は包装物(package)を提供する。本発明のキットは、本発明のラパマイシンアナログと、上記で議論されたような被験対象の哺乳動物への投与のために好適な担体とを含むことができる。キットはまた、本発明のラパマイシンアナログを調製するために必要とされる試薬を含有することもでき、また、ラパマイシン、場合により置換されたニトロソベンゼン、及び溶媒を含むことができる。
【0105】
キットは、他のラパマイシンアナログを形成するための他の試薬を場合により含むことができ、水素化剤を含むことができる。
【0106】
キットはさらに、本発明の反応を行うための説明書を含有することができる。キットにはまた、他の好適な化学試薬、使い捨て手袋、汚染除去の説明書、アプリケータースティック又は容器、及び、サンプル調製者用カップが提供され得る。
【0107】
下記の実施例は、本発明を例示するために提供され、本発明の範囲を限定しない。当業者は、具体的な試薬及び条件が下記の実施例において概略されるが、本発明の思想及び範囲によって包含されることが意図される様々な改変が行われ得ることを十分に理解する。
【実施例1】
【0108】
【化23】

表1は、下記の2つの代替経路によって調製された化合物についての質量スペクトル(MS)データを提供し、図1はその核磁気共鳴(NMR)スペクトルを提供する。
【0109】
【表1】

【0110】
A.経路1
ラパマイシン(2.5g、2.73mmol)を200mLのp−ジオキサンに溶解した。この溶液に、200mLのp−ジオキサンにおけるニトロソベンゼン(1.50g、5当量)の溶液を滴下して加えた。反応混合物を50℃で64時間撹拌し、その後、生成物を逆相高速液体クロマトグラフィー(HPLC)(カラム:200×50mm YMC ODS−A、移動相:80%メタノール:水、10mL/分から35mL/分への10分での傾斜流速、その後、35mL/分でさらに65分間保持する)によってクロマトグラフィー処理して、1.22gの生成物を得た(44%の収率、tR=12.1分、分析HPLC条件:カラム=YMC ODS−A S−3 120Å、移動相/グラジエント:6分で95%水(+0.025%ギ酸)/アセトニトリル(+0.025%ギ酸)から5%水に、5%で9分間保持する、流速=0.30mL/分)。
【0111】
B.経路2−代替経路
ラパマイシン(0.3g、0.328mmol)を穏やかな加熱とともに5mLのトルエンに溶解した。この溶液に、5mLのトルエンにおけるニトロソベンゼン(0.1g、3当量)の溶液を滴下して加えた。反応混合物を70℃で16時間撹拌し、その後、生成物を逆相高速液体クロマトグラフィー(HPLC)(カラム:50×20のガードカラムを伴う250×20mm YMC ODS−A、移動相:40分での80〜85%メタノール:水、流速=20mL/分)によってクロマトグラフィー処理して、0.139gの生成物を得た(42%の収率、tR=12.1分、分析HPLC条件:カラム=YMC ODS−A S−3 120Å、移動相/グラジエント:6分で95%水(+0.025%ギ酸)/アセトニトリル(+0.025%ギ酸)から5%水に、5%で9分間保持する、流速=0.30mL/分)。
【実施例2】
【0112】
【化24】

表2は、下記の2つの代替経路によって調製された化合物についての質量スペクトル(MS)データを提供し、図2はその核磁気共鳴(NMR)スペクトルを提供する。
【0113】
A.経路1
実施例1に従って調製された化合物(0.29g、0.284mmol)を18mmの試験管において7mLのメタノールに溶解し、スパチュラ先端1杯分のPd/C触媒(Aldrich)を加えた。混合物をParr装置で2.0気圧のH2において15分間水素化した。生成物を逆相HPLC(カラム:50×20のガードカラムを伴う250×20mm YMC ODS−A、移動相:80%メタノール:水で15分間、次いで、5分で85%に、次いで、85%で20分間保持する、流速=20mL/分)によってクロマトグラフィー処理して、0.089gの生成物を得た(31%の収率、tR=12.6分、分析HPLC条件:カラム=YMC ODS−A S−3 120Å、移動相/グラジエント:6分で95%水(+0.025%ギ酸)/アセトニトリル(+0.025%ギ酸)から5%水に、5%で9分間保持する、流速=0.30mL/分)。
【0114】
B.経路2−代替経路
実施例1に従って調製された化合物(9.85g、9.65mmol)を50mLのメタノールに溶解し、スパチュラ先端3杯分のPd/C触媒(Aldrich)を加えた。混合物をParr装置で2.5気圧のH2において2.5時間水素化した。生成物を逆相HPLC(カラム:250×20mm YMC ODS−A、移動相:80%メタノール:水で40分間、次いで、5分で85%に、次いで、85%で35分間保持する、流速=35mL/分)によってクロマトグラフィー処理して、3.35gの生成物を得た(15%の収率、tR=12.2分、分析HPLC条件:カラム=YMC ODS−A S−3 120Å、移動相/グラジエント:6分で95%水(+0.025%ギ酸)/アセトニトリル(+0.025%ギ酸)から5%水に、5%で9分間保持する、流速=0.30mL/分)。
【0115】
【表2】

【実施例3】
【0116】
【化25】

ラパマイシン(0.25g、0.274mmol)を穏やかな加熱とともに5mLのトルエンに溶解した。この溶液に、7mLのトルエンにおける2,6−ジクロロニトロソベンゼン(0.144g、3当量)の溶液を滴下して加えた。反応混合物を80℃で36時間撹拌し、その後、生成物を逆相HPLC(カラム:50×20のガードカラムを伴う250×20mm YMC ODS−A、移動相:40分での80〜85%メタノール:水、流速=20mL/分)によってクロマトグラフィー処理して、0.046gの生成物を得た(15%の収率、tR=13.0分、分析HPLC条件:カラム=YMC ODS−A S−3 120Å、移動相/グラジエント:6分で95%水(+0.025%ギ酸)/アセトニトリル(+0.025%ギ酸)から5%水に、5%で9分間保持する、流速=0.30mL/分)。MSデータが表3に提供され、図3にはNMRスペクトルが提供される。
【0117】
【表3】

【実施例4】
【0118】
【化26】

本実施例の合成を、0.05gのラパマイシン及び0.042gの1−クロロ−2−メチル−4−ニトロソベンゼンを用いて実施例3に記載されるように行って、0.012gの生成物を得た(20%の収率、tR=12.8分)。MSデータが表4に提供され、図4にはNMRスペクトルが提供される。
【0119】
【表4】

【実施例5】
【0120】
【化27】

実施例3からの生成物(0.046g、0.0422mmol)を18mmの試験管において5mLのメタノールに溶解し、スパチュラ先端1杯分のPd/C触媒(Aldrich)を加えた。混合物をParr装置で3気圧のH2において60分間水素化した。生成物を逆相HPLC(カラム:50×20のガードカラムを伴う250×20mm YMC ODS−A、移動相:15分で85%メタノール:水から90%に、次いで、90%で25分間保持する、流速=20mL/分)によってクロマトグラフィー処理して、0.005gの生成物を得た(11%の収率、tR=10.0分、分析HPLC条件:カラム=YMC ODS−A S−3 120Å、移動相/グラジエント:6分で95%水(+0.025%ギ酸)/アセトニトリル(+0.025%ギ酸)から5%水に、5%で9分間保持する、流速=0.30mL/分)。MSデータが表5に提供され、図5にはNMRスペクトルが提供される。
【0121】
【表5】

【実施例6】
【0122】
【化28】

本実施例の合成を、2,2−ジメチル−3−(ピリジン−2−イル)プロピオン酸とのラパマイシン42−エステル(これは米国特許第5,385,908号の方法に従って調製された)の0.108g(0.099mmol)及び0.032gのニトロソベンゼン(0.297mmol、3当量)を使用して実施例3に記載されるように行った。反応液を70℃で40時間撹拌し、その後、生成物を逆相HPLC(カラム:50×20のガードカラムを伴う250×20mm YMC ODS−A、移動相:15分での80〜85%メタノール:水、次いで、10分で90%メタノールに、次いで、90%で15分間保持する、流速=20mL/分)によってクロマトグラフィー処理して、0.007gの生成物を得た(6%の収率、tR=13.0分)。MSデータが表6に示され、図6にはNMRスペクトルが提供される。
【0123】
【表6】

【実施例7】
【0124】
【化29】

実施例1に従って調製された化合物(0.031g、0.03mmol)を18mmの試験管において5mLのメタノールに溶解し、スパチュラ先端1杯分のPd/C触媒(Aldrich)を加えた。混合物をParr装置で2.0気圧のH2において30分間水素化した。生成物を逆相HPLC(カラム:50×20のガードカラムを伴う250×20mm YMC ODS−A、移動相:80%メタノール:水で15分間、次いで、5分で85%に、次いで、85%で20分間保持する、流速=20mL/分)によってクロマトグラフィー処理して、0.016gの生成物を得た(55%の収率、tR=9.95分、分析HPLC条件:カラム=YMC ODS−A S−3 120Å、移動相/グラジエント:6分で95%水(+0.025%ギ酸)/アセトニトリル(+0.025%ギ酸)から5%水に、5%で9分間保持する、流速=0.30mL/分)。MSデータが表7に提供される。
【0125】
【表7】

【実施例8】
【0126】
中脳のドーパミン作動性ニューロンの培養物を、Pongら、J. Neurochem.、69:986-994、1997(これはその全体が参照により本明細書中に組み込まれる)に記載されるように調製した。胚発生15日目(E15)のラット胎児を集め、氷冷したリン酸塩緩衝化生理的食塩水(PBS)において解剖した。中脳のドーパミン作動性領域を含む腹側組織片をばらばらにした。ばらばらにした組織片を一緒にまとめ、20IU/mLのパパインをアール平衡塩溶液(Worthington Biochemical、Freehold、NJ、USA)に含有する酵素的解離媒体に移し、37℃で60分間インキュベーションした。酵素的解離の後、パパイン溶液を吸引し、組織を、2,000IU/mLのDNase及び10mg/mLのオボムコイドプロテアーゼ阻害剤を含有する完全培地(0.1mg/mLのアポトランスフェリン及び2.5μg/mLのインスリンが補充された等体積の最少必須培地(MEM)及びF−12栄養混合物(GibcoBRL))において、炎で丸めたガラス製パスツールピペットにより機械的に粉砕した。
【0127】
ドーパミン取り込み実験のために、完全培地における単一細胞懸濁物を、ポリ−L−オルニチン及びラミニンが被覆された24ウェルプレートに播種した。培養物を実験前の7日間維持した。培養物を様々な濃度の化合物で24時間にわたって前処理し、その後、10mMのMPP+に1時間さらした。1時間のインキュベーションの後、培地を3回交換し、新鮮な化合物をさらに48時間にわたって加えた。
【0128】
中脳のドーパミン作動性ニューロンの培養物をMPP+暴露後48時間成長させた後、高親和性の3H−ドーパミン取り込みを、Prochiantzら(Nature、293:570-572、1981;これは参照により本明細書中に組み込まれる)によって記載される改変された方法を使用して行った。培養物を、5.6mMのグルコース及び1mMのアスコルビン酸を含有する予め加温したPBSにより洗浄した。その後、培養物を、50nMの3H−ドーパミン(31Ci/mmol、DuPont−NEN、Wilmington、DE、USA)と37℃で15分間インキュベーションした。培養物を緩衝液で2回洗浄し、0.5NのNaOHにより溶解した。溶解物を、Ultima Goldシンチレーションカクテルを含有するシンチレーションバイアルに移し、放射能を液体シンチレーションカウンターにより求めた。あるいは、培養物の溶解物を緩衝液で2回洗浄し、Optiphase Supermixシンチレーションカクテル(Wallac Scintillation Products、Gaithersburg、MD、USA)と室温で2時間インキュベーションし、放射能を液体シンチレーションカウンターにより測定した。
【0129】
ばらばらにした皮質ニューロンの培養物を以前に記載されたように調製した(Pongら、2001)。簡単に記載すると、胚発生15日目のラット胎児を集め、氷冷PBS中で解剖した。ばらばらにした皮質を一緒にまとめ、パパインを含有する酵素的解離培地に移した。30分後、組織を、炎で丸めたガラス製パスツールピペットにより機械的に粉砕した。完全培地における単一細胞懸濁物を、ポリ−L−オルニチン及びラミニンが被覆された96ウェルプレートに播種した。24時間後、培養物を様々な濃度の化合物により72時間にわたって処理した。その後、培養物を固定処理し、抗チューブリン一次抗体(TUJ−1)及び蛍光標識された二次抗体により染色した。神経突起の伸長を、Enhanced Neurite Outgrowth(ENO)アルゴリズムをCellomics ArrayScanとともに使用することによって求め、細胞あたりの平均神経突起長さ又は総神経突起長さとして表した。
【0130】
脊髄ニューロン培養物を胚発生15日目(E15)のラット胚(Sprague−Dawley、Charles River Laboratories、Wilmington、MA)から調製した。胚を集め、その脊髄を、Ca2+及びMg2+を含まない氷冷したリン酸塩緩衝化生理的食塩水(PBS)において取り出した。ばらばらにした脊髄組織片を一緒にまとめ、20IU/mLのパパインをアール平衡塩溶液(Worthington Biochemical、Freehold、NJ、USA)に含有する酵素的解離培地に移し、37℃で30分間インキュベーションした。酵素的解離の後、パパイン溶液を吸引し、組織を、2,000IU/mLのDNase及び10mg/mLのオボムコイドプロテアーゼ阻害剤を含有する完全培地[B−27補充物(Gibco、Grand Island、NY)、100IU/mLのペニシリン、100μg/mLのストレプトマイシン、3.3μg/mLのアフィディコリン、0.5mMのグルタミン酸塩を伴うNeurobasal Medium]において、炎で丸めたパスツールピペットにより機械的に粉砕した。完全培地における単一細胞懸濁物を、事前に被覆されたポリ−L−オルニチン/ラミニン96ウェルプレート(Becton−Dickinson、Bedford、MA)に1.0×104細胞/ウェルの密度で置床した。脊髄ニューロンを24時間維持し、その後、ビヒクル又は様々な濃度の化合物に72時間さらした。
【0131】
実施例1〜3の化合物は、すべてが皮質ニューロンアッセイにおいて活性であり、EC50が1μM未満であった。実施例1及び実施例6の化合物は、すべてがドーパミン作動性取り込みアッセイにおいて活性であり、EC50が1μM未満であった。実施例1〜3及び実施例6の化合物は、すべてが脊髄ニューロンアッセイにおいて活性であり、EC50が1μM未満であった。
【0132】
比較において、CCI−779及びラパマイシンは皮質ニューロンアッセイ及びドーパミン作動性取り込みアッセイにおいて不活性であると見なされ、EC50値が1μMよりも大きかった。ラパマイシンフェニルトリアゾリンジオンはドーパミン作動性取り込みアッセイにおいて活性であり、EC50値が1μM未満であった。
【実施例9】
【0133】
中大脳動脈の永続的閉塞(pMCAO)
成体オスWisterラット(Charles River、Wilmington、MA)(270〜300g)を70%亜酸化窒素及び30%酸素における3%イソフルランによりノーズコーンによって麻酔した。温度を、加熱ランプを使用して手術期間中を通して37℃で維持した。MCAOの永続的閉塞を、側副循環を中断するための両方の頸動脈の90分間の結紮とともに(開頭術による)MCAの遠位部分の電気焼灼によって誘導した(Chen ST、Hsu CY、Hogan EL、Maricq H、Balentine JD (1986) A model of focal ischemic stroke in the rat: reproducible extensive cortical infarction、Stroke、17:738-743)。化合物を、虚血後の1.5時間、5.5時間、24時間、48時間及び72時間で、10mg/kgのi.v.で投与した。ラットを長期間の機能回復評価のために21日間飼育した。3つの行動試験(Bedersonら(Bederson JB、Pitts LH、Tsuji M、Nishimura MC、Davis RL、Bartkowski H (1986)、Rat middle cerebral artery occlusion: evaluation of the model and development of a neurologic examination、Stroke、17(3):472-476)及びDeRyckら(DeRyck M、van Reempts J、Duytschaever H、van Deuren B、Clincke G (1992)、Neocortical localization of tactile/proprioceptive limb placing reactions in the rat、Brain Res、573:44-60)によって報告された、より初期の試験から改変された試験)を使用して、感覚運動機能及び反射機能を評価した。簡単に記載すると、姿勢試験のために、ラットを実験台から約30cm上方に尾から吊した。実験台に向かって両方の前肢を伸ばすラットを0としてスコア化し、身体に向かって反対側の肢を曲げる場合、及び/又は、反対側の肩及び肢を内側に回転させる場合には1としてスコア化し、身体を反対側に丸め、尾をつかもうと試みる場合には2としてスコア化した。前肢置き試験は、視覚性置き試験及び触覚性置き試験の2つの部分試験から構成される。視覚性置き試験のために、ラットを、前肢を自由に垂れさせながら保持し、前方又は側面のいずれかから実験台の上面に近づけた。触覚性置き試験のために、ラットを、実験台の上を見ることができないように保持した。前足の背側表面及び側方表面が実験台の上面に軽く触れた。それぞれの試験について、スコア化を行った。置き応答が即時かつ正常であったならば、0である;置きが(2秒を超えて)遅れたか、又は時々であったならば、1である;応答が全くなかったならば、2である。後肢置き試験のために、ラットを実験台の端で保持し、反対側の後肢を引っ張って端から離し、解放した。後肢を実験台に直ちに戻すラットを0としてスコア化し、(2秒を超えて)遅れた場合には1としてスコア化し、後肢を引っ込めることができない場合には2としてスコア化した。総スコアは0〜12の範囲であった。実施例2で調製された化合物は、pMCAO後のI.V.投与(10mg/kg)の後でのラットにおける行動欠落スコア化の統計学的に著しい減少を示した。
【実施例10】
【0134】
T細胞アッセイ
下記のアッセイでは、ヒトCD4+T細胞を、RosetteSepを製造者の説明書(StemCell Technologies,Inc.,Vancouver,British Columbia)に従って使用して末梢血リンパ球からの負の選択によって精製した。
【0135】
A.抗CD3/抗CD28刺激及びIL−2再刺激アッセイ
トシル活性化磁石マイクロスフェア(Dynal、Great Neck、NY)を、Blairら、J. Immunol.、160:12、1998に記載されるように、抗CD3Ab(1μg/107個マイクロスフェア)及び抗CD28Ab(0.5μg/107個マイクロスフェア)により被覆した。マウスIgGを使用して、マイクロスフェアの結合能を飽和させた(総タンパク質=5μg/107個マイクロスフェア)。タンパク質被覆マイクロスフェアを、精製されたCD4+T細胞(2×106細胞/mL、比率、1ビーズ:1細胞)に加え、RPMI/10%ウシ胎児血清/2mMグルタミン培地において72時間活性化した。細胞を集め、洗浄し、新鮮な培地で一晩培養し、Bennettら、J. Immunol.、170:711、2003に記載されるようにIL−2により再刺激した。簡単に記載すると、一晩の休止細胞を再計数し、平底96ウェルマイクロタイタープレートに置床し(105細胞/ウェル)、増大する濃度の化合物の存在下で1ng/mLのヒトIL−2(R&D Systems、Minneapolis、MN)により刺激した。培養物の再刺激後72時間で、プレートを1μCi/ウェルのトリチウム化チミジンでパルス処理し、6〜16時間の期間にわたってインキュベーションした。
【0136】
実施例1及び実施例3の化合物はIL−2産生を阻害し、IC50は約1μM未満であり、好ましくは約200nM未満であった。実施例1及び実施例3の化合物のIL−2産生は、ラパマイシン及びCCI−779のIL−2産生と同等であった。
【0137】
B.ホルボール12−ミリスタート13−アセタート(PMA)/イオノマイシン活性化アッセイ
化合物の増殖を、このアッセイを使用して求めた。CD4+T細胞(5×105細胞/ウェル)をRPMI/10%ウシ胎児血清/2mMグルタミン培地において平底96ウェルマイクロタイタープレートに置床し、増大する濃度の化合物の存在下でPMA(10ng/mL)及びイオノマイシン(200ng/mL)により刺激した。活性化後72時間で、100μLの培養培地をIL−2測定のために集め、さらなる100μLの新鮮な培地を各ウェルに加え、培養物をトリチウム化チミジン(1μCi/ウェル)により6時間標識した。培養物を集め、トリチウム化チミジンの取り込み(カウント/分、CPM)を、Trilux(Perkin Elmer、Shelton、CT)を使用して評価した。IL−2の産生を、ELISAを製造者の説明書(R&D Systems、Minneapolis、MN)に従って使用して求めた。
【0138】
このアッセイにおいて、実施例1及び実施例3の化合物は増殖を阻害し、EC50は4.9〜0.2μMの範囲であった。
【実施例11】
【0139】
PTEN腫瘍サプレッサー遺伝子(第10染色体で欠失した、ホスファート及びテンシンのホモログ)は、PI3K/AKTのシグナル伝達経路の負の調節において非常に重要な役割を果たす脂質ホスファターゼをコードする。PTEN遺伝子の変異又は欠失が、脳、前立腺、子宮内膜、甲状腺、乳房の腫瘍及びリンパ系腫瘍において見出されている。Cantleyら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、96:4240-4245、1999;Aliら、J. Natl. Cancer Inst.、91:1922-32、1999;Scottら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、95:7772-7777、1998;及びNaveら、Biochem. J.、344:427-431、1999を参照のこと。
【0140】
このアッセイでは、細胞に基づく増殖アッセイが、乳腫瘍細胞株MDA468(PTEN変異型)ATCC No.HTB−132又は前立腺腫瘍細胞株LNCap(PTEN変異型)ATCC CRL−1740を含む細胞の成長を阻害することにおいて本発明の化合物を評価するために行われた。
(i)1日目、細胞を96ウェル培養プレートに置床した。
(ii)2日目、化合物を細胞に所定の濃度で加えた。
(iii)5日目、細胞増殖を、SA O'Tooleら、Cancer Detection and Prevention、27(1)、2003に記載されるような標準的なMTSアッセイプロトコルによって測定した。結果を、96ウェル形式のプレートリーダーを使用してA490吸光度によって記録した。
(iv)その後、化合物処理ウェルからのMTS結果(A490ユニット)を同じ培養プレートにおけるコントロール(非処理)ウェルに対する%コントロール成長として計算した。
【0141】
このデータは、実施例1の化合物がMDA468細胞株及びLNCap細胞株の両方について0.01μM未満のIC50値を有したことを例示する。
【実施例12】
【0142】
リアノジン受容体カルシウム流の調節
様々な化合物が、下記のアッセイで試験されたとき、リアノジン受容体に対するFKBP12.6の結合を安定化することによりリアノジン受容体カルシウム流を調節することが予想される。
【0143】
A.カルシウム取り込みアッセイ
カルシウム(Ca2+)の取り込みを、(1)T. Yamamotoら、Cardiovascular Research、44:146-155 (1999)、又は、(2)M. Yanoら、Circulation、102:2131-2136 (2000)に記載される手法によって測定する。
【0144】
これらのアッセイで使用される筋小胞体(SR)小胞をKraniasら(Biochem. Biophys. Acta., 709:28-37 (1982))の方法に従って調製する。心不全が誘発されたイヌから得られた左心室を、30mM Tris−マレイン酸、0.3Mスクロース、5mg/Lロイペプチン及び0.1mM PMSFをpH7.0で含有する溶液(Solution I)においてホモジネートする。ホモジネートを5500gで10分間遠心分離し、得られる上清を4層のチーズクロスでろ過し、その後、12,000gで20分間遠心分離する。上清をチーズクロスで再びろ過し、143,000gで30分間遠心分離する。ペレットを、0.6M KCl、30mM Tris−マレイン酸、0.3Mスクロース、5mg/Lロイペプチン及び0.1mM PMSFをpH7.0で含有する溶液(Solution II)に再懸濁する。懸濁物を上記のように143,000gで遠心分離する。ペレットをSolution Iに懸濁し、143,000gで遠心分離する。SR小胞を含有するペレット化されたミクロソーム画分を、0.1M KCl、20mM Tris−マレイン酸、0.3Mスクロース、5mg/Lロイペプチン、0.1mM PMSFをpH7.0で含有する溶液に懸濁して、10〜20mg/mLの最終タンパク質濃度にする。
【0145】
(1)上記のように調製されたSR小胞(0.2mg/mL)を、0.15M KCl、1mM MgCl2、30μM 45CaCl2(1mCi/mL)、10mM NaN3及び20mM MOPS(pH7.1、22℃)を含有する2mLの溶液においてインキュベーションする。Ca2+の取り込みを1mM ATPの添加によって開始させ、2mLのアリコートを0.45μmのMilliporeフィルターに置き、フィルターを5mLの洗浄緩衝液(30mM EGTA及び0.15μMルテニウムレッドを含有する0.15M KCl、20mM MOPS、pH7.1(22℃))によりリンスすることによって様々な時間間隔で測定する。
【0146】
フィルターに保持される放射能を、液体シンチレーション計数によって求める。
【0147】
(2)上記のように調製されたSR小胞(0.2mg/mL)を、0.15mol/Lグルコン酸カリウム、1mmol/L MgCl2、0.2mmol/L EGTA−カルシウム緩衝液(遊離[Ca2+]、0.3μM)、10mM NaN3及び20mM MOPS(pH6.8)を含有する0.5mLの溶液においてインキュベーションする。Ca2+の取り込みを、0.5mM ATPをキュベットに加えることによって開始させる。Ca2+の取り込みを、Ca2+指示薬としてのfluo3(480nmでの励起、530nmでの発光)を用いて分光光学的に経時的にモニターする。
【0148】
B.カルシウム漏出アッセイ
カルシウム(Ca2+)の取り込みを、M. Yanoら、Circulation、102:2131-2136 (2000)に記載される手法によって測定する。
【0149】
上記の「A.カルシウム取り込みアッセイ、(2)」に記載される手法に従ったSR小胞でのCa2+取り込みにおけるプラトー状態の後、様々な濃度のFK506を、SRのCa2+−ATP活性を阻害するために1μMのタプシガルギンの存在下で加え、生じるCa2+漏出をモニターする。
【0150】
C.同時局在化アッセイ
FKBP12(又はFKBP12.6)に対する心臓のリアノジン受容体(RyR)の同時局在化を、C. Georgeら、Circulation Research、93:531-540 (2003)に記載される手法によって明らかにする。
【0151】
ヒト心臓リアノジン2受容体(hRyR2)を発現するHL−1心筋細胞をゼラチン(0.02%[wt/vol])/フィブロネクチン(10μg.mL)マトリックスにおいて培養し、ウシ胎児血清(10%[wt/vol])、グルタミン(2mM)、ノルエピネフリン(0.1mM)、ペニシリン(100u/mL)及びストレプトマイシン(100μg/mL)が補充されたClaycomb培地(JRH Biosciences)において維持する。FKBP12.6:hRyR2の相互作用を、免疫沈殿及び免疫ブロットを行うためにpAb129(抗RyR2)及び抗FKBPをそれぞれ使用する同時免疫沈殿アッセイを使用して明らかにする。
【0152】
RyR2を、pAb129抗体及びAlexa488コンジュゲート化二次抗体を使用して免疫局在化し、FKBPを、N−19抗体(Santa Cruz Biotechnology)及びAlexa546二次抗体を使用して同時染色する。
【0153】
D.ウエスタンブロット
FKBP12(又はFKBP12.6)に対する心臓リアノジン受容体(RyR)の発現及び会合を、C. Georgeら、Circulation Research、93:531-540 (2003)に記載される手法によって明らかにする。
【0154】
上記において「C.同時局在化アッセイ」に記載されるように培養されたHL−1心筋細胞から得られるミクロソーム画分のウエスタンブロットを、従来の技術を使用して行うことができる。HL−1細胞からのミクロソーム画分(100μg)を、抗RyR2(pAb129)を使用して免疫沈殿し、その後、抗FKBP免疫ブロッティングを行う。
【0155】
E.SRのCa2+漏出の電気生理学的測定
筋小胞体(SR)のCa2+漏出を、T. Shannonら、Circ. Res.、93:592-594 (2003)に記載される手法により、明らかにする。
【0156】
心室の筋細胞を、心不全が複合型の大動脈弁閉鎖不全症及び狭窄症によって誘導されるNew Zealand Whiteウサギ(Myrtle’s Rabbitry,Inc.,Thompson Station、Tenn.,USA)から単離する。拡張期のSRのCa2+を、負荷を変化させるための様々な頻度での定常状態への細胞刺激の期間中に測定する。拡張期のリアノジン受容体(RyR)のCa2+漏出のレベルを、テトラカイン(RyR遮断剤)を含むときの増大した総筋小胞体Ca2+負荷([Ca2+SRT)によって評価することができる。
【実施例13】
【0157】
心臓血管作用
心臓血管疾患又は末梢血管疾患を治療又は阻害する本発明の化合物の能力が、ApoEノックアウト(EKO)マウス(これは、ヒトのアテローム性動脈硬化の広く受け入れられている動物モデルである)を使用する標準的な薬理学的試験手法で確認される。使用される手順を簡単に下記にまとめる。
【0158】
オスのEKOマウス(4〜6週齢)を靴箱ケージに収容し、自由に食物及び水を取らせる。動物を体重によって5つの群(N=12〜15匹/群)に無作為に分け、Purina Rodent Chowを研究の最初の1週間与える。また、この期間中、ならびに、研究の残る12週間の期間中において、動物には、2日毎に、0mg/kg、1mg/kg、2mg/kg、4mg/kg又は8mg/kgのラパマイシンアナログが、2%のTween−80、1%のカルボキシメチルセルロースをビヒクル及びコントロールとして使用して皮下(s.c.)により与えられる。動物の餌を、研究の第2週〜第13週の間、カゼインに基づくWestern Dietに切り換える。研究期間が終了したとき、動物を安楽死させ、血漿サンプルを得て、心臓を最初に生理的食塩水により灌流し、次いで10%ホルマリンにより灌流する。総コレステロール及びトリグリセリドを、Boehringer Mannheim及びWako Biochemicalsからそれぞれ得られる市販キット、並びに、Boehringer Mannheim Hitachii 911 Analyzer(Boehringer Mannheim Diagnostic Laboratory Systems、Indianapolis、Ind.)を用いて酵素法を使用して求める。血漿リポタンパク質の分離及び定量化を、FPLCサイズ分画化を使用して行う。簡単に記載すると、50〜100mlの血清をろ過し、連続して連結した2本のSuperose 6カラム(Amersham Pharmacia Biotech,UK,Ltd)に注入し、1mMのナトリウムEDTA及び0.15MのNaClにより一定の流速で溶出する。VLDL、LDL及びHDLを表すそれぞれの曲線の面積を、Millenniumソフトウエア(Waters Technologies Corporation)を使用して積分し、それぞれのリポタンパク質画分を、総コレステロール値にそれぞれの各ピークの相対的面積比を乗ずることによって定量化した。大動脈を慎重に単離し、ホルマリン固定液に48〜72時間入れたままにし、その後、処理する。アテローム硬化性病変部が、Oil Red O染色(中性脂質(例えば、コレステロール及びトリグリセリドなど)の蓄積を特定するための広く受け入れられている手法)によって特定される。血管を脱染色し、Sony 3CCDビデオカメラシステムを備えたNikon SMU800顕微鏡を画像取り込みソフトウエアとしてのIMAQ Configuration Utility(National Instrument)と協調して使用して画像化する。病変部を、Robert Coll(Coleman Technologies)によって設計された特注の閾値ユーティリティーソフトウエアパッケージを使用して大動脈弓に沿って定量化する。自動化された病変部評価を、プログラムの閾値関数を使用して、血管に対して、具体的には、右総頸動脈の近位端から左鎖骨下動脈の遠位端までの大動脈弓に含有される領域に対して行う。大動脈のアテローム性動脈硬化データを、この定義された内腔領域に厳密に含まれるパーセント病変部(脂質)関与として表す。コントロール群と治療群との間での統計学的有意性を、ダネットの検定を1%の有意性レベル(p<0.01)で使用して求める。
【0159】
結果は、本発明の化合物による治療が、コントロールのEKOマウスと比較したとき、循環している血漿中のHDL−コレステロール及びLDL−コレステロールのレベルを著しく(p<0.01)増大させ、その一方で、トリグリセリド、総コレステロール又はVLDL−コレステロールのレベルには著しく影響を及ぼさないことを示すことが予想される。結果は、治療したマウスにおいてアテローム性動脈硬化(脂質沈着)のレベルでの顕著かつ劇的な減少を示すこともまた予想される。
【0160】
結果はまた、本発明の化合物が、血管壁における脂肪蓄積、及び、古典的に記載されるアテローム硬化性疾患の発症から保護することを示すことが期待される。
【0161】
本明細書に列挙されるすべての特許公報、公開公報及び他の刊行物は、参照により本明細書中に組み込まれる。本発明が、特に好ましい実施形態を参照して記載されているが、様々な改変が、本発明の思想から逸脱することなく行われ得ることが理解される。そのような改変は、添付された請求項の範囲に含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0162】
【図1】実施例1の化合物についての核磁気共鳴(NMR)スペクトルを提供する。このNMRスペクトルは、400MHzの分光計を使用してd3−アセトニトリル中で得られた。
【図2】実施例2の化合物についてのNMRスペクトルを提供する。このNMRスペクトルは、400MHzの分光計を使用してd3−アセトニトリル中で得られた。
【図3】実施例3の化合物についてのNMRスペクトルを提供する。このNMRスペクトルは、400MHzの分光計を使用してd3−アセトニトリル中で得られた。
【図4】実施例4の化合物についてのNMRスペクトルを提供する。このNMRスペクトルは、400MHzの分光計を使用してd3−アセトニトリル中で得られた。
【図5】実施例5の化合物についてのNMRスペクトルを提供する。このNMRスペクトルは、400MHzの分光計を使用してd3−アセトニトリル中で得られた。
【図6】実施例6の化合物についてのNMRスペクトルを提供する。このNMRスペクトルは、400MHzの分光計を使用してd3−アセトニトリル中で得られた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物又はその医薬的に許容され得る塩:
【化1】

式中、
1及びR2は異なり、かつ、独立した基であり、かつ、OR3及びN(R3')(R3")からなる群より選択される;又は
1及びR2は異なり、かつ、単結合を介して連結し、かつ、O及びNR3からなる群より選択される;
3、R3'及びR3"は、独立して、H、C1−C6アルキル、C1−C6置換アルキル、C3−C8シクロアルキル、C3−C8置換シクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール及び置換ヘテロアリールからなる群より選択される;
4及びR4'は、
(a)独立して、H、OH、O(C1−C6アルキル)、O(C1−C6置換アルキル)、O(アシル)、O(アリール)、O(置換アリール)及びハロゲンからなる群より選択される;又は
(b)一緒になって、Oとの二重結合を形成する;
5、R6及びR7は、独立して、H、OH及びOCH3からなる群より選択される;
8及びR9は、(i)単結合を介して連結し、かつ、CH2であるか、又は、(ii)二重結合を介して連結し、かつ、CHである;
15は、C=O、CHOH及びCH2からなる群より選択される;
nは1又は2である。
【請求項2】
1及びR2が単結合を介して連結している、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
1がOであり、R2がNR3である、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
1がOR3であり、かつ、R2がN(R3')(NR3")である、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
3、R3'及びR3"がアリール又は置換アリールである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項6】
前記置換アリールが置換ベンゼン環である、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
前記アリール又は置換アリールが、下記の構造:
【化2】

(式中、
10、R11、R12、R13及びR14は、独立して、H、C1−C6アルキル、C1−C6置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ハロゲン、アシル、OH、O(アルキル)、O(置換アルキル)、O(アリール)、O(置換アリール)、O(アシル)、NH2、NH(アルキル)、NH(置換アルキル)、NH(アリール)、NH(置換アリール)及びNH(アシル)からなる群より選択される)
のものである、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
8及びR9が単結合を介して結合する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項9】
8及びR9が二重結合を介して結合する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項10】
4又はR4'がOHである、請求項1〜9のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項11】
4又はR4'がO(アシル)である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項12】
前記アシルが、
【化3】

である、請求項11に記載の化合物。
【請求項13】
5、R6及びR7がOCH3である、請求項1〜12のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項14】
nが2である、請求項1〜13のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項15】
15がC=Oである、請求項1〜14のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項16】
9,27−ジヒドロキシ−3−{2−[4−ヒドロキシ−3−メトキシシクロヘキシル]−1−メチルエチル}−10,21−ジメトキシ−6,8,12,14,20,26−ヘキサメチル−37−フェニル−4,9,10,12,13,14,15,18,21,22,23,24,25,26,27,32,33,34,34a−ノナデカヒドロ−3H−23,27−エポキシ−18,15−(エポキシイミノ)ピリド[2,1−c][1,4]オキサザシクロヘントリアコンチン−1,5,11,28,29(6H,31H)−ペントン;9,27−ジヒドロキシ−3−{2−[4−ヒドロキシ−3−メトキシシクロヘキシル]−1−メチルエチル}−10,21−ジメトキシ−6,8,12,14,20,26−ヘキサメチル−37−フェニル−4,9,10,12,13,14,15,16,17,18,21,22,23,24,25,26,27,32,33,34,34a−ヘンイコサヒドロ−3H−23,27−エポキシ−18,15−(エポキシイミノ)ピリド[2,1−c][1,4]オキサザシクロヘントリアコンチン−1,5,11,28,29(6H,31H)−ペントン;37−(4−クロロ−3−メチルフェニル)−9,27−ジヒドロキシ−3−{2−[4−ヒドロキシ−3−メトキシシクロヘキシル]−1−メチルエチル}−10,21−ジメトキシ−6,8,12,14,20,26−ヘキサメチル−4,9,10,12,13,14,15,18,21,22,23,24,25,26,27,32,33,34,34a−ノナデカヒドロ−3H−23,27−エポキシ−18,15−(エポキシイミノ)ピリド[2,1−c][1,4]オキサザシクロヘントリアコンチン−1,5,11,28,29(6H,31H)−ペントン;37−(2,6−ジクロロフェニル)−9,27−ジヒドロキシ−3−{2−[4−ヒドロキシ−3−メトキシシクロヘキシル]−1−メチルエチル}−10,21−ジメトキシ−6,8,12,14,20,26−ヘキサメチル−4,9,10,12,13,14,15,18,21,22,23,24,25,26,27,32,33,34,34a−ノナデカヒドロ−3H−23,27−エポキシ−18,15−(エポキシイミノ)ピリド[2,1−c][1,4]オキサザシクロヘントリアコンチン−1,5,11,28,29(6H,31H)−ペントン;2,2−ジメチル−3−(ピリジン−2−イル)−プロピオン酸との9,27−ジヒドロキシ−3−{2−[4−ヒドロキシ−3−メトキシシクロヘキシル]−1−メチルエチル}−10,21−ジメトキシ−6,8,12,14,20,26−ヘキサメチル−37−フェニル−4,9,10,12,13,14,15,18,21,22,23,24,25,26,27,32,33,34,34a−ノナデカヒドロ−3H−23,27−エポキシ−18,15−(エポキシイミノ)ピリド[2,1−c][1,4]オキサザシクロヘントリアコンチン−1,5,11,28,29(6H,31H)−ペントンエステル;及び37−(2,6−ジクロロフェニル)−9,27−ジヒドロキシ−3−{2−[4−ヒドロキシ−3−メトキシシクロヘキシル]−1−メチルエチル}−10,21−ジメトキシ−6,8,12,14,20,26−ヘキサメチル−4,9,10,12,13,14,15,18,21,22,23,24,25,26,27,32,33,34,34a−ノナデカヒドロ−3H−23,27−エポキシ−18,15−(エポキシイミノ)ピリド[2,1−c][1,4]オキサザシクロヘントリアコンチン−1,5,11,28,29(6H,31H)−ペントン;又はこれらのそれぞれの医薬的に許容され得る塩からなる群より選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項17】
1及びR2が単結合を介して連結し、R1がOであり、R2がNR3であり、R3がフェニルであり、R4がOHであり、R5〜R7がOCH3であり、かつ、R8及びR9がHC=CHである、請求項1に記載の化合物。
【請求項18】
1がOR3であり、R2がN(R3')(R3")であり、R3がHであり、R3'がHであり、R3"がフェニルであり、R4がOHであり、R5〜R7がOCH3であり、かつ、R8及びR9がH2C−CH2である、請求項1に記載の化合物。
【請求項19】
1及びR2が単結合を介して連結し、R1がOであり、R2がNR3であり、R3がフェニルであり、R4がOHであり、R5〜R7がOCH3であり、かつ、R8及びR9がH2C−CH2である、請求項1に記載の化合物。
【請求項20】
1及びR2が単結合を介して連結し、R1がOであり、R2がNR3であり、R4がOHであり、R5〜R7がOCH3であり、R8及びR9がHC=CHであり、かつ、R3が、
【化4】

である、請求項1に記載の化合物。
【請求項21】
1及びR2が単結合を介して連結し、R1がOであり、R2がNR3であり、R4がOHであり、R5〜R7がOCH3であり、R8及びR9がHC=CHであり、かつ、R3が、
【化5】

である、請求項1に記載の化合物。
【請求項22】
1及びR2が単結合を介して連結し、R1がOであり、R2がNR3であり、R3がフェニルであり、R5〜R7がOCH3であり、R8及びR9がHC=CHであり、かつ、R4が、
【化6】

である、請求項1に記載の化合物。
【請求項23】
1及びR2が単結合を介して連結し、R1がOであり、R2がNR3であり、R4がOHであり、R5〜R7がOCH3であり、R8及びR9がH2C−CH2であり、かつ、R3が、
【化7】

である、請求項1に記載の化合物。
【請求項24】
【化8】

からなる群より選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項25】
下記の式Iaの化合物又はその医薬的に許容され得る塩:
【化9】

式中、
1及びR2は異なり、かつ、独立した基であり、かつ、OH及びN(R3')(R3")からなる群より選択される;又は
1及びR2は異なり、かつ、単結合を介して連結し、かつ、O及びNR3からなる群より選択される;
3'及びR3"は、独立して、H、C1−C6アルキル、C1−C6置換アルキル、C3−C8シクロアルキル、C3−C8置換シクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール及び置換ヘテロアリールからなる群より選択される;
8及びR9は、(i)単結合を介して連結し、かつ、CH2であるか、又は、(ii)二重結合を介して連結し、かつ、CHである。
【請求項26】
下記の式Ibの化合物:
【化10】

式中、
Rは、独立して、H、C1−C6アルキル、C1−C6置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ハロゲン、アシル、OH、O(アルキル)、O(置換アルキル)、O(アリール)、O(置換アリール)、O(アシル)、NH2、NH(アルキル)、NH(置換アルキル)、NH(アリール)、NH(置換アリール)及びNH(アシル)からなる群より選択される;かつ
mは1〜5である。
【請求項27】
神経保護剤である、請求項1〜26のいずれかに記載の化合物。
【請求項28】
医薬品として使用される、請求項1〜27のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項29】
その必要性のある被験者における神経障害を治療するための医薬品の調製における、請求項1〜27のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項30】
前記神経障害が、アルツハイマー病、てんかん、ハンチントン舞踏病、パーキンソン病、脳卒中、脊髄傷害、外傷性脳傷害、レヴィー小体認知症、ピック病、ニーマン・ピック病、アミロイド血管症、脳アミロイド血管症、全身性アミロイドーシス、ダッチ型のアミロイドーシスを伴う遺伝性脳出血、封入体筋炎、軽度認識障害、ダウン症候群、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、多発性硬化症、デュシェンヌ型ジストロフィー、ベッカー型筋ジストロフィー、顔面肩甲上腕型(ランドジー・デジュリーヌ)筋ジストロフィー及び肢帯型筋ジストロフィー(LGMD)からなる群より選択される、請求項29に記載の使用。
【請求項31】
その必要性のある被験者における脳卒中又は頭蓋骨損傷(head trauma)に起因する合併症を治療するための医薬品、あるいは、その必要性のある被験者における炎症性障害を治療するための医薬品の調製における、請求項1〜27のいずれか1項に記載される化合物の使用。
【請求項32】
前記炎症性障害が、狼瘡、リウマチ様関節炎、乾癬性関節炎、変形性関節症、強直性脊椎炎、乾癬、皮膚炎、強皮症、炎症性腸疾患、クローン病及び潰瘍性大腸炎からなる群より選択される、請求項31に記載の使用。
【請求項33】
悪性高体温、セントラルコア病、カテコールアミン作動性多型心室性頻脈及び2型催不整脈性右室異形成(ARVD−2)からなる群より選択される障害をその必要性のある被験者において治療するための医薬品、又は、うっ血性心不全、発作性頻脈、遅延型後脱分極、心室性頻拍、突発性頻脈、運動誘発性不整脈、QT延長症候群、二方向性頻脈、動脈の心臓血管血栓塞栓性障害、静脈の心臓血管血栓塞栓性障害、心臓の心房/心室における血栓塞栓性障害、アテローム性動脈硬化、再狭窄、末梢動脈疾患、冠状動脈バイパス移植手術、頸動脈疾患、動脈炎、心筋炎、心臓血管炎症、血管炎症、冠状動脈心疾患(CHD)、不安定狭心症(UA)、不安定不応性狭心症、安定狭心症(SA)、慢性的安定狭心症、急性冠症候群(ACS)、最初又は再発の心筋梗塞、急性心筋梗塞(AMI)、心筋梗塞、非Q波心筋梗塞、非STE心筋梗塞、冠動脈疾患、虚血性心疾患、心虚血、虚血、虚血性突然死、一過性虚血発作、脳卒中、末梢閉塞性動脈疾患、静脈血栓症、深部静脈血栓症、血栓性静脈炎、動脈塞栓症、冠動脈血栓症、脳動脈血栓症、脳塞栓症、腎臓塞栓症、肺塞栓症、血栓症、上室性不整脈、心房性不整脈、心房粗動及び心房細動からなる群より選択される心臓血管障害をその必要性のある被験者において治療するための医薬品の調製における、請求項1〜27のいずれか1項に記載される化合物の使用。
【請求項34】
(i)ラパマイシン又はそのアナログを場合により置換されたニトロソベンゼンと結合する工程;及び
(ii)(i)の生成物を単離する工程
を含む、請求項1〜27のいずれか1項に定義される化合物を調製する方法。
【請求項35】
前記ラパマイシンアナログが、ノルラパマイシン、デオキソラパマイシン又はデスメチルラパマイシンである、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
工程(i)が高温において行われる、請求項34又は35に記載の方法。
【請求項37】
工程(ii)が、クロマトグラフィーを使用して行われる、請求項34〜36のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
9,27−ジヒドロキシ−3−{2−[4−ヒドロキシ−3−メトキシシクロヘキシル]−1−メチルエチル}−10,21−ジメトキシ−6,8,12,14,20,26−ヘキサメチル−37−フェニル−4,9,10,12,13,14,15,18,21,22,23,24,25,26,27,32,33,34,34a−ノナデカヒドロ−3H−23,27−エポキシ−18,15−(エポキシイミノ)ピリド[2,1−c][1,4]オキサザシクロヘントリアコンチン−1,5,11,28,29(6H,31H)−ペントン;9,27−ジヒドロキシ−3−{2−[4−ヒドロキシ−3−メトキシシクロヘキシル]−1−メチルエチル}−10,21−ジメトキシ−6,8,12,14,20,26−ヘキサメチル−37−フェニル−4,9,10,12,13,14,15,16,17,18,21,22,23,24,25,26,27,32,33,34,34a−ヘンイコサヒドロ−3H−23,27−エポキシ−18,15−(エポキシイミノ)ピリド[2,1−c][1,4]オキサザシクロヘントリアコンチン−1,5,11,28,29(6H,31H)−ペントン;37−(4−クロロ−3−メチルフェニル)−9,27−ジヒドロキシ−3−{2−[4−ヒドロキシ−3−メトキシシクロヘキシル]−1−メチルエチル}−10,21−ジメトキシ−6,8,12,14,20,26−ヘキサメチル−4,9,10,12,13,14,15,18,21,22,23,24,25,26,27,32,33,34,34a−ノナデカヒドロ−3H−23,27−エポキシ−18,15−(エポキシイミノ)ピリド[2,1−c][1,4]オキサザシクロヘントリアコンチン−1,5,11,28,29(6H,31H)−ペントン;37−(2,6−ジクロロフェニル)−9,27−ジヒドロキシ−3−{2−[4−ヒドロキシ−3−メトキシシクロヘキシル]−1−メチルエチル}−10,21−ジメトキシ−6,8,12,14,20,26−ヘキサメチル−4,9,10,12,13,14,15,18,21,22,23,24,25,26,27,32,33,34,34a−ノナデカヒドロ−3H−23,27−エポキシ−18,15−(エポキシイミノ)ピリド[2,1−c][1,4]オキサザシクロヘントリアコンチン−1,5,11,28,29(6H,31H)−ペントン;2,2−ジメチル−3−(ピリジン−2−イル)プロピオン酸との9,27−ジヒドロキシ−3−{2−[4−ヒドロキシ−3−メトキシシクロヘキシル]−1−メチルエチル}−10,21−ジメトキシ−6,8,12,14,20,26−ヘキサメチル−37−フェニル−4,9,10,12,13,14,15,18,21,22,23,24,25,26,27,32,33,34,34a−ノナデカヒドロ−3H−23,27−エポキシ−18,15−(エポキシイミノ)ピリド[2,1−c][1,4]オキサザシクロヘントリアコンチン−1,5,11,28,29(6H,31H)−ペントンエステル;及び37−(2,6−ジクロロフェニル)−9,27−ジヒドロキシ−3−{2−[4−ヒドロキシ−3−メトキシシクロヘキシル]−1−メチルエチル}−10,21−ジメトキシ−6,8,12,14,20,26−ヘキサメチル−4,9,10,12,13,14,15,18,21,22,23,24,25,26,27,32,33,34,34a−ノナデカヒドロ−3H−23,27−エポキシ−18,15−(エポキシイミノ)ピリド[2,1−c][1,4]オキサザシクロヘントリアコンチン−1,5,11,28,29(6H,31H)−ペントンからなる群より選択される化合物を調製するための、請求項34〜37のいずれか1項に記載の方法。
【請求項39】
前記場合により置換されたニトロソベンゼンが、ニトロソベンゼン、2,6−ジクロロニトロソベンゼン及び1−クロロ−2−メチル−4−ニトロソベンゼンからなる群より選択される、請求項34〜38のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
(iii)(ii)の生成物を水素化剤と組み合わせる工程;及び
(iv)(iii)の生成物を単離する工程
をさらに含む、請求項34〜39のいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
前記水素化剤がPd/C触媒及び水素ガスを含む、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
(iii)の生成物が、
【化11】

又はその医薬的に許容され得る塩である、請求項40又は41に記載の方法。
【請求項43】
その必要性のある被験者における良性又は悪性の腫瘍性疾患を治療するための有用な医薬品の調製における、(i)9,27−ジヒドロキシ−3−{2−[4−ヒドロキシ−3−メトキシシクロヘキシル]−1−メチルエチル}−10,21−ジメトキシ−6,8,12,14,20,26−ヘキサメチル−37−フェニル−4,9,10,12,13,14,15,18,21,22,23,24,25,26,27,32,33,34,34a−ノナデカヒドロ−3H−23,27−エポキシ−18,15−(エポキシイミノ)ピリド[2,1−c][1,4]オキサザシクロヘントリアコンチン−1,5,11,28,29(6H,31H)−ペントン及び(ii)37−(4−クロロ−3−メチルフェニル)−9,27−ジヒドロキシ−3−{2−[4−ヒドロキシ−3−メトキシシクロヘキシル]−1−メチルエチル}−10,21−ジメトキシ−6,8,12,14,20,26−ヘキサメチル−4,9,10,12,13,14,15,18,21,22,23,24,25,26,27,32,33,34,34a−ノナデカヒドロ−3H−23,27−エポキシ−18,15−(エポキシイミノ)ピリド[2,1−c][1,4]オキサザシクロヘントリアコンチン−1,5,11,28,29(6H,31H)−ペントンから選択される化合物の使用。
【請求項44】
その必要性のある被験者におけるガン腫及び腺ガンを治療するための医薬品の調製における、(i)9,27−ジヒドロキシ−3−{2−[4−ヒドロキシ−3−メトキシシクロヘキシル]−1−メチルエチル}−10,21−ジメトキシ−6,8,12,14,20,26−ヘキサメチル−37−フェニル−4,9,10,12,13,14,15,18,21,22,23,24,25,26,27,32,33,34,34a−ノナデカヒドロ−3H−23,27−エポキシ−18,15−(エポキシイミノ)ピリド[2,1−c][1,4]オキサザシクロヘントリアコンチン−1,5,11,28,29(6H,31H)−ペントン及び(ii)37−(4−クロロ−3−メチルフェニル)−9,27−ジヒドロキシ−3−{2−[4−ヒドロキシ−3−メトキシシクロヘキシル]−1−メチルエチル}−10,21−ジメトキシ−6,8,12,14,20,26−ヘキサメチル−4,9,10,12,13,14,15,18,21,22,23,24,25,26,27,32,33,34,34a−ノナデカヒドロ−3H−23,27−エポキシ−18,15−(エポキシイミノ)ピリド[2,1−c][1,4]オキサザシクロヘントリアコンチン−1,5,11,28,29(6H,31H)−ペントンから選択される化合物の使用。
【請求項45】
前記ガン腫又は腺ガンが、子宮内膜、卵巣、乳房、結腸、前立腺若しくは下垂体のもの、又は髄膜腫若しくは他のホルモン依存性の腫瘍である、請求項44に記載の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2008−524240(P2008−524240A)
【公表日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−546925(P2007−546925)
【出願日】平成17年12月15日(2005.12.15)
【国際出願番号】PCT/US2005/045551
【国際公開番号】WO2006/068932
【国際公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【出願人】(591011502)ワイス (573)
【氏名又は名称原語表記】Wyeth
【Fターム(参考)】