説明

ラベリングマシン

【課題】ドロップオンデマンドインクジェットヘッドを有するプリンタを備えるラベリングマシンにおいて、プリントヘッドが使用されないとき、プリントヘッド内のインクが乾燥してしまうことを防止でき、不使用の時間の後、速やかにかつ確実に印字を続行することのできる、経済的なラベリングマシンを提供する。
【解決手段】ノズル24から吐出されたインク26aをインク回路25に再循環させるように、カバー4をノズルの吐出開口の前の位置に選択的に移動させることができるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つのノズル付きの少なくとも1つのプリントヘッドを有するインクジェットプリンタを用いて、容器に情報を付与するためのラベリングマシンに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、容器にラベルリングすることを目的として、直接印字によってラベルまたは容器に情報を付与することのできるインクジェットプリンタを備える、ラベリングマシンを使用することが知られるようになった。通常、この目的には、デマンド依存インクジェットを有するプリンタ、いわゆる「ドロップオンデマンド」プリンタを使用することが好ましい。このタイプのプリンタのノズルから吐出されるインク滴は、印字のために実際に要求されるインク滴だけであるので、このタイプのプリンタは、インクジェットがノズルから連続的に吐出されるいわゆる「連続インク」プリンタより、ずっと経済的である。
【0003】
しかし、デマンド依存プリンタに特徴的な問題は、プリントヘッドが使用されないとき、例えばシフト交替のため、または何らかの誤動作のため、ラベリングマシンが静止しているときに、プリントヘッド内のインクが乾燥してしまうことである。誤動作はまた、ラインに組み込まれたラベリングマシンの上流または下流に位置する機械によって生じることもある。乾燥してしまったプリントヘッドの清掃または交換は、不経済な休止時間の追加を導く。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明の目的は、ラベリングマシンの不使用または誤動作の時間の後、速やかにかつ確実に印字を続行することのできる、経済的なラベリングマシンを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に従って、この目的は、ノズルの吐出開口の前の位置に選択的に移動可能であり、かつノズルから吐出されたインクをインク回路に再循環させるカバーによって達成される。問題はまた、印字プロセスが中断されたときにインクジェットプリンタが動作し続け、かつノズルから吐出されたインクがインク回路内に再循環されるようにする方法によっても解決される。
【0006】
したがって、たとえ印字の休止中でも、インクの吐出は続行することができる。インクの静止およびその結果生じるインクの乾燥は、このようにして回避される。
【0007】
このことは、インクジェットプリンタがデマンド依存プリンタである場合に有利であろう。これにより、ラベリングマシンを特に低コストで稼動させることが可能になる。
【0008】
特に有利な実施形態によると、インクジェットプリンタは少なくとも2つのプリントヘッドを備えることができる。加えて、カバーがインクを個々のプリントヘッド毎に別々にインク回路に再循環させるように、カバーを細分化することができる。
【0009】
したがって、共通カバーの助けを借りて、個々の色の望ましくない混合を生じることなく、複数のプリントヘッドからインクを回収することが可能である。
【0010】
有利な実施形態によると、カバーが挿入されるときに、インクジェットの方向は変化しないままにすることができる。このようにして、消費されるインクの量を最小化することができる。
【0011】
本発明の好ましい実施形態を図面に示し、以下で説明する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係るラベリングマシンの略上面図を示す。
【図2】本発明の実施形態に係るインクジェットプリンタの構成要素の概観を示す。
【図3A】本発明の実施形態に係るプリントヘッドおよびカバーの印字モード時の略断面図を示す。
【図3B】本発明の実施形態に係るプリントヘッドの循環モード時の略断面図を示す。
【図4】複数のプリントヘッドに使用される本発明の実施形態に係るカバーの略斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1に示すモジュール式ラベリングマシン1は、公知の基本構造に加えて、1つまたは複数の、例えば4つのプリントヘッド3を具備したインクジェットプリンタ2と、プリントヘッド3とロール5を横切って案内される帯状のラベル6との間の位置に移動可能なカバー4とを備える。
【0014】
図示する実施例では、ラベリングマシン1はロータリラベラとして構成されているが、インラインラベラとして構成することができる。図1から分かるように、容器7は瓶台8を介して供給され、ディスペンサユニット9の助けを借りてラベリングされる。しかし、ラベリングマシン1を直接印字用に構成することも可能である。この場合、帯状のラベル6の代わりに、容器7がプリントヘッド3の前に配置される。すなわち、プリントヘッドは次いで瓶台に対面するように向けられる。この点において、プリントヘッド3とラベリングされる容器7との間にカバー4を導入することができることが、決定的に重要である。この文脈で用語「ラベリング」とは、それぞれの情報が最初にラベルに印字され、そのラベルが次いで容器7上に接着されるように、または情報が容器7に、または容器7にすでに固定されたおそらく空白のラベルに、直接印字されるように解釈される。ラベルは個別のラベルとしてではなく、ロールの形でも供給することができる。
【0015】
図2は、通常の場合のように、プリントヘッド3を具備したプリントヘッドモジュール11のみならず、プリントヘッド3を制御するためのベースステーション12、操作ユニット13、電流源14、供給ライン16を介してインクタンク17およびプリントヘッド3に接続されたインク供給ポンプ15、インク廃液容器18、および例えばUV光に基づくインク乾燥システム19を備える、インクジェットプリンタ2の構成要素を示す。本発明の実施形態に係るプリンタ2は、カバー4に加えて、循環ポンプ10、カバー4を駆動するためのモータ20、およびモータ20を制御するためのコントロール21をも備える。
【0016】
コントロール21は、印字プロセスが中断されたときに、カバー4がプリントヘッド3と帯状のラベル6との間の位置に移動するように、自動的にモータ20にアクセスする。この目的を達成するために、例えば帯状のラベル6が供給されているか否かを認識するラベリングマシン1の適切な監視装置に、コントロール21を連結することができる。しかし、カバー4は操作ユニット13を介して制御することもできる。
【0017】
カバー4の構造設計およびプリントヘッド3に対するカバーの位置は、例示的プリントヘッド3および印字位置にあるカバー4を示す図3Aに示されている。プリントヘッド3は、吐出開口24のみならず図3Aで部分的にインク26が充填されたインク室25をも備えるノズル23を備える。インクジェット26aは吐出開口24から吐出され、帯状のラベル6に衝突する。供給ライン16は、供給室25の第1入口開口22に接続される。
【0018】
カバー4は帯状のラベル6に対面するプリントヘッド側面39に配置され、該カバーは、上記側面39に向かって開口したインク収集領域27のみならず、上記収集領域27の下端に配設された出口開口29をも備える。上記出口開口29は、吸引側ホース31、循環ポンプ10、および圧力側ホース35を介して、インク室25の第2入口開口37に接続される。
【0019】
図3Bは、カバー4を矢印Aの方向に移動させることによって得られる循環位置以外は、図3Aの場合と同一の構成を示す。循環位置では、インクジェット26aが収集領域27によって収集されるように、カバー4がノズル23の吐出開口24と帯状のラベル6との間に配置される。収集領域27は、インク26が出口開口29より上の位置で収集されるように実現される。循環ポンプ10は収集されたインク26を、出口開口29およびホース31、35を介してインク室25に戻す。
【0020】
プリントヘッド3は、いわゆる「ドロップオンデマンド」の原理による要求事項に従って動作する。この原理によると、圧電結晶(図示せず)の形状の繰り返される変化、または蒸気泡(図示せず)の形成により、インク26はノズル23を介して押圧される。この結果、個々のインク滴からなるジェット26aが形成され、上記ジェット26aは略均等な方向を有し、この方向はカバー4の位置とは特に無関係である。
【0021】
プリントヘッド3は、例えば相互に一列に配置された複数のノズル23を備えることができる。プリントヘッド3の数は実施形態に限定されず、(例えば多色印刷用に)任意の数のプリントヘッドを1つまたは複数のプリントヘッドモジュール11に配置することができる。
【0022】
カバー4は金属またはプラスチック材で作られ、各プリントヘッド3用に別個の収集領域27が設けられる。4つのプリントヘッド3の組合せに適合するカバー4を例示的に図4に示す。ここで収集領域27は、循環位置で個々のインクジェット26aがそれぞれの関連収集領域27によって完全に収集されるように配置され、かつ大きさを決定される。しかし、収集領域27は、例えば複数のプリントヘッド3で同一インクが使用される場合に、それに関連付けられる複数のプリントヘッド3を有することも可能である。収集領域27は例えばカバー4の凹所によって形成することができ、または収集領域を膜によって相互に分離することができる。
【0023】
例えば図示しない封止部材を利用して、カバー4は、ノズル23がさらに乾燥を防止するように、プリントヘッド3に防沫状または気密状に嵌合することができる。カバー4がプリントヘッド3と直接接触することなく、プリントヘッド3が周囲から封止されるように、カバーは選択的に、プリントヘッドモジュール11のハウジングの適切な開口をも閉鎖することができる。また、適切な案内手段付きの別個のフレームにカバーを取り付けることも想像できる。カバー4をノズル23と印字媒体との間の位置に移動させることができることが決定的に重要である。特定の条件下で、インク26は単に収集領域27に収集されてインク回路に再循環されるように、プリントヘッド3の密閉は完全に省くこともできる。
【0024】
循環ポンプ10は、隔膜ポンプまたはホースポンプのような自吸式ポンプである。通常、インクの種類毎に1つの再循環回路が必要である。圧力側導管35は必ずしも供給室25で終端する必要はない。また、インクをインクタンク17に再循環させることも可能である。循環ポンプ10はプリントヘッドモジュール11に組み込むことが好ましいが、プリントヘッドモジュール11の外に配置することもできる。循環ポンプ10は例えばコントロール21またはベースステーション12に接続することができる。
【0025】
以下では、ラベリングマシンで容器に印字するために使用される、本発明の実施形態に係る方法について説明する。
【0026】
ラベル印字プロセスが中断されると、コントロールユニット21は、例えば外部監視手段から、またはインクジェットプリンタ2の操作ユニット13から制御信号を受け取る。この信号に応答して、コントロールユニット21は、カバー4を印字位置から循環位置に移動させるモータ20にアクセスする。印字休止が計画されているとき、例えばシフト交替の場合、最後の印字動作後にカバー4が循環位置に移動するように、カバーの位置決めは帯状のラベル6および容器17それぞれの供給と同期化される。例えば不具合によって生じる予定外の中断に備えて、印字媒体の供給を連続的に監視し、供給が停止した場合、印字プロセスを自動的に中断するため、およびカバー4を循環位置に移動させるために、適切な制御信号をコントロールユニット21に送信することが理に適うであろう。インクジェットプリンタ2の内部制御信号に応答して印字休止が開始されると、それに相応して帯状のラベル6の供給が停止される。
【0027】
印字休止中に、特にカバー4が循環位置に着いているときに、インクが依然としてノズル23を介して流れるように、プリントヘッド3は依然として印字モードで動作する。しかし、カバー4の位置決め中は、インクジェット26aがカバー4の収集領域27によって完全に収集され、かつ収集されないインク26による汚損が防止されることを保証するように、例えばベースステーション12の追加制御命令を用いて、インクジェット26aを一時的に低減または中断することが有利であろう。これは、循環位置から印字位置への変更にも適用される。
【0028】
カバー4が循環位置に到達するやいなや、プリントヘッド3から吐出されたインクは、個々のプリントヘッド3毎に別個にカバー4内に収集され、次いで循環ポンプ10によってインク回路内に循環される。必要ならば、全てのノズル23からインク26の可能な限り最も均等な吐出を達成するように、かつ/または吐出されるインクの量を調整するように、プリントヘッド3は特殊印字命令を供給される。循環ポンプ10は、例えば制御ユニット21によって、またはベースステーション12によって制御することができる。最後に示した事例では、循環ポンプ10の送出速度は、プリントヘッド3によって吐出されるインクの量に適応させることができる。
【0029】
印字休止の最後に、カバー4は印字位置に戻り、帯状のラベル6が供給され、ラベルの印字が続行される。
【0030】
本発明の実施形態に係るインクジェットプリンタ2、特に本発明の実施形態に係るデマンド依存プリンタ、および本発明の実施形態に係る方法を利用して、印字休止中でさえも、インク26をノズル23から吐出させ、循環させることができる。これにより、消費されるインクの量を増加することなく、ノズル23が乾燥することが防止される。個々のプリントヘッド3に関連付けられる複数の収集領域27を有する共通カバー4を使用することにより、低い技術的費用に基づき、使用されるそれぞれのタイプのインク(色)のきれいな分離が保証される。
【符号の説明】
【0031】
1…ラベリングマシン、2…インクジェットプリンタ、3…プリントヘッド、4…カバー、5…ロール、6…ラベル、7…容器、8…瓶台、9…ディスペンサユニット、10…循環ポンプ、11…プリントヘッドモジュール、12…ベースステーション、13…操作ユニット、14…電流源、15…インク供給ポンプ、20…モータ、21…コントロール、23…ノズル、24…吐出開口、26…インク、26a…インクジェット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのノズル(23)付きの少なくとも1つのプリントヘッド(3)を有するインクジェットプリンタ(2)を用いて、容器(7)および/またはラベルに情報を付与するためのラベリングマシン(1)において、
前記ノズルの吐出開口(24)の前の位置に選択的に移動可能であり、かつ前記ノズルから吐出されたインク(26)をインク回路に再循環させるカバー(4)を備えることを特徴とするラベリングマシン。
【請求項2】
前記インクジェットプリンタ(2)がデマンド依存プリンタであることを特徴とする、請求項1に記載のラベリングマシン。
【請求項3】
前記インクジェットプリンタ(2)が少なくとも2つのプリントヘッド(3)を備え、個々のプリントヘッド(3)毎に別々にインクをインク回路に再循環させるように前記カバー(4)が細分化されることを特徴とする、請求項1に記載のラベリングマシン。
【請求項4】
前記カバー(4)が挿入されるときに、インクジェット(26a)の方向が変化しないままであることを特徴とする、請求項1に記載のラベリングマシン。
【請求項5】
少なくとも1つのノズル(23)付きの少なくとも1つのプリントヘッド(3)を有するインクジェットプリンタ(2)を用いて、ラベリングマシン(1)で容器(7)および/またはラベルに情報を付与する方法において、
印字プロセスが中断されたときに前記インクジェットプリンタ(2)が動作し続け、前記ノズル(23)から吐出されたインク(26)がインク回路に再循環されることを特徴とする方法。
【請求項6】
インク(26)がデマンドに依存して前記ノズル(23)から吐出されることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
インク(26)が個々のプリントヘッド(3)毎に別々にインク回路に再循環されることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
印字プロセスが中断されるときに、インクジェット(26a)の方向が変わらないことを特徴とする、請求項5に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−149067(P2009−149067A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−302817(P2008−302817)
【出願日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【出願人】(506040652)クロネス アクティェンゲゼルシャフト (55)
【Fターム(参考)】