説明

ラベル

【課題】バイオポリマーからなるラベルを提供する。
【解決手段】バイオポリマー(好ましくは、セルロース(たとえば、再生セルロース)、酢酸セルロースおよび/またはPLA)の自己支持性シートを含むラベルであって、前記シートは被覆されてないときには可視光に対して実質的に透過性(透明)であり、このシートが、(a)その少なくとも片側の表面上の、その上への印刷適性を促進するための、第一被覆;(b)水性媒体中に分散可能な接着剤を含む第二被覆;および、場合によっては、(c)シートを通しての透水性を改質するための第三被覆を含むことを特徴とする、前記ラベルが記載される。このラベルはガラス容器のような物品に適用されるはずである。好ましいラベルはウェットグルーセルロースラベルであり、たとえば、その場合、第一被覆は透水性と、従って物品上でのラベルの迅速乾燥とを促進するために、塩化ビニルと酢酸ビニルの共重合体も含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はラベルの分野、特に、水性接着剤をもって使用されるバイオポリマーからなるラベル、に関する。
【背景技術】
【0002】
ラベルは従来、熱可塑性フィルム(たとえば、二軸延伸ポリプロピレン(biaxially oriented polypropylene)−BOPPのようなポリオレフィン)の場合には感圧接着剤をもって、そして紙の場合には水性媒体中に分散された接着剤をもって、物品上に固定されてきた。後者の場合にはしばしば、ウェットグルー(wet glue)ラベルと称されるが、コールドグルー(cold glue)またはジャストグルー(just glue)ラベルと称されることもある。
【0003】
ビール、ワインまたは蒸留酒のようなアルコール飲料の市場は競争であり、そして醸造所はその愛好者を獲得し彼らにその製品の消費をそそらせる仕方を見つける必要がある。包装は特にスーパーマーケットにおける販売時点ではいろいろな宣伝の主要な部分であり、そして製造業者の区別化の推進力は激しい。
【0004】
数年前から「ノーラベル(no-label)」の外観は、感圧(pressure sensitive)(PS)市場の流行になってきており、小売業者はシェルフアピール(shelf appeal)のこの新形態から多くの利点を知った。これは物品に明澄透明ラベルを(または物品の色に合致した着色透明ラベルを)適用することによって達成される。代替として又はその上、透明または明澄なラベルが、その裏面(reverse side)(すなわち、物品に接着されるべき「内側の」面)に完全に又は部分的に被覆される(たとえば、印刷される又は金属被覆される)ことができ、そのような被覆または印刷は物品の外側にはないので磨滅および傷つけ(擦り、溶剤などによる攻撃)から良好に防護される。
【0005】
しかしながら、ウェットグルーラベルを適用するのに使用されるプロセスのせいで、PS市場に現在使用されている通常の透明プラスチックフィルム(OPP、ポリエステル−PE、ポリエチレンテレフタレート−PET)は透明なウェットグルーラベルの製造に基体として使用されるときには様々な不利益を有する。これらの熱可塑性フィルムの性質は通常のウェットグルーマシンで使用される紙ラベルとは異なっている。たとえば、熱可塑性フィルムは湿度に対して高い障壁を有する(それらは水に対して半透性でない)、そしてこのことはウェットグルーが乾燥するのに(従って、ラベルを正しい位置に固定するのに)はるかに長い時間を要する原因であり、そのことは高速ラベリングライン又はラベルの正確な位置付けが要求されるところでは不利になり得る。熱可塑性フィルムは瓶のような物品にウェットグルーラベルを適用するために設定された通常の製造ライン上の紙ラベルに代わる理想の代替品ではない。更なる表面処理なしではしばしば疎水性であるこのような熱可塑性フィルムには水性被覆も容易に適合せず十分に付着しない。
【0006】
ウェットグルーラベルを製造するのに通常使用される基体は透明ではない紙である。熱可塑性フィルムは透明であるが、熱可塑性フィルムとウェットグルー被覆とによる上記の不利益の故に、許容できる性能を有するノールックラベル(no look label)を物品に付与するには感圧接着剤を使用することが必要であった。従って、紙ウェットグルーラベル用のラベリング装置を現在使用している製造業者はノールックラベリングに移行することを望んだ場合には感圧接着剤と適合性である装置に変更するのに有意な資金繰りに直面する。
【0007】
或る種の水性接着剤システムはラベルと共に使用するために開発されている。
【0008】
WO 97/00298(ヘンケル(Henkel))は多方面に及ぶプラスチックラベルをプラスチック本体の上に貼りつけるための接着剤システムを開示している。この接着剤システムはピックアップグルーとオーバーラッピンググルーを有する。それはピックアップグルーが湿潤状態では十分な湿潤接着力を有し乾燥状態では基体の少なくとも一つに付着しないということを特徴としている。ピックアップグルーはカゼイン、デンプン、デキストリン、グルコース、ポリビニルアルコール、ポリウレタンまたはポリアクリル酸に基づいた少なくとも一つの水溶性ポリマー5〜85重量%、少なくとも一つの消泡剤0〜1.0重量%、および少なくとも一つの防腐剤0〜1.0重量%を含有し、残りの部分が水である。
【0009】
US 4,464,202および4,462,838(両方ともヘンケル)は瓶にラベルをはるのに有効な水性接着剤組成物を記載している。より詳しくは、これら発明はデンプン誘導体を基材とし、そして或る含有量の流動調整用添加剤および場合によってはその他の通常の添加剤を有する、機械的ラベリング向けの水性接着剤組成物に関する。当該水性接着組成物としては、たとえば、(a)0.2の平均置換度(mean degree of substitution)(MS)をもつ酸化デンプンのヒドロキシアルキルエーテル少なくとも一つと一緒に、(b)水性相に溶解された少なくとも一つのポリマー(このポリマーは水溶性セルロース誘導体、水溶性合成ポリマー、カゼイン、および成分(a)とは異なる水溶性デンプン誘導体からなる群から選ばれる。)を含有するものが挙げられる。
【0010】
US 4,675,351(ボーデン社(Borden Inc.))はガラス瓶に紙ラベルを適用するのに有効な、かつ、それを当今のラベリング装置での使用に適するようにさせる粘着性とレオロジーを有し、かつ、氷水の中で少なくとも72時間にわたる水浸透抵抗を与える、接着剤処方物を記載している。大豆タンパクに基づいて単離し;カゼインを使用しない。
【0011】
US 5,455,066(ヘンケル)は瓶にラベルをはるのに有効な含水接着剤を記載している。接着剤はカゼイン、水溶性エキステンダー、天然または合成の樹脂酸、樹脂アルコールまたは樹脂エステル、およびアルコールに基づいている。
【0012】
他の非水性接着剤システムがポリマーラベルと共に使用するために開発されている。
【0013】
US 5,366,251(ブラント(Brandt))は裏面に印刷された防水ラベルを提供するのに使用される明澄なアクリルコーテッドラベルを記載している。そのフィルムをガラス容器のような物品に結合させるのには、熱的に活性化される溶剤系接着剤システムが使用される。
【0014】
出願人はウェットグルーが通常のOPPラベルフィルムに直接適用されたときには接着剤が乾燥するのに数週間でないとしても数日を要することを明らかにした。このような劣った性能は疎水性の未処理OPPフィルムに対して直接にウェットグルーを使用することを不適切にする。このような疎水性のプラスチックポリマーフィルムを改質して、それらをウェットグルー接着剤で固定されるラベルとしての使用に適するようにすることが試みられてきた。しかしながら、かかる技法はウェットグルーをバイオポリマーフィルムと共に使用するのに要求されるものとは非常に異なっている。
【0015】
WO 97/43744(ノルデニア(Nordenia))は、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニルからつくられた接着剤またはデンプン、セルロース、グルコースもしくはデキストリンに基づいた接着剤の乾燥層で接着面を完全に又は部分的に被覆した水溶性積層プラスチックフィルムからなる接着性ラベルを記載している。ラベルを水で湿らせることによって接着剤が活性化される。乾燥後には、接着剤層は容器の外面から残留物無しで除去することができる。
【0016】
WO 99/19412(プロセス・リソーシズ社(Process Resources Corp.))(=US 6306242(ドロンゼック(Dronzek)))はポリプロピレンラベルを水性接着剤でガラスまたは金属物品に固定させる方法を記載している。疎水性PPはフィルムをウェットグルーと適合性にするために親水性被覆で被覆されなければならない。このような方法は紙ラベルと共に使用される通常の装置とは不適合である。
【0017】
WO 01/56893(グラフィッシェ・レコードSRL(Grafiche Record SRL))はポリプロピレン(PP)ラベルを水性接着剤(ウェットグルー)で物品に固定させる方法を記載している。その方法は通常の紙ラベル装置と共に使用するために設計されているけれども、このPPフィルムはアクリルポリマーでコートされ、酸化用塩(oxidising salt)を含むインキで印刷され、次いで、ウェットグルーを受理するためにその中に特殊ターポリマーを有するコートをオーバーペイントされなければならない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
従って、ここに記載した問題の幾つかまたは全てを解決する、改良されたラベルおよび該ラベルの製造方法を提供することが要望されている。例えば、紙ウェットグルーラベルを適用するのに使用される周知のラベリング装置と共に使用することができ、外来被覆の使用の必要なしで妥当な時間で現場で乾燥することができ、それでいてなお、ノーラベルルックやラベル内面の保護されたコート(たとえば、金属被覆または印刷)を達成するための透明性のようなポリマーフィルムのラベルの携えている利点を維持している、改良されたラベルおよび該ラベルの製造方法を提供することは望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0019】
従って、本発明によれば、広くは、バイオポリマーの自己支持性シートを含むラベルであって、前記シートは被覆されてないときには可視光に対して実質的に透過性(透明)であり、このシートが、
(a)その少なくとも片側の表面上の、その上への印刷適性を促進するための、第一被覆;
(b)水性媒体中に分散可能な接着剤を含む第二被覆;および、場合によっては、
(c)シートを通しての透水性を改質するための第三被覆;
を含むことを特徴とする、前記ラベルが提供される。
【0020】
ここに定義されるときバイオポリマーは、勿論透明でなくしかも間違いなく非ポリマーである紙を排除する。
【0021】
ここに使用されるとき用語、第一、第二および第三被覆と、第一、第二および第三組成物は同義である。
【0022】
好ましくは、第一(印刷可能)被覆はフィルムの片面−すなわち物品に接着されるべきである裏面−にだけ適用され、それから、その上に印刷された後に、接着剤が適用される。
【0023】
好ましくは、第二(接着剤)被覆はフィルムの片面にだけ他の被覆の上面に適用される。場合によっては、そこで、第二被覆は第二被覆が再加湿されたら水性接着剤が活性になるように乾燥される。
【0024】
好ましくは、フィルムの第三被覆はフィルムの透水性を改質して最適な特別あつらえの範囲にする。ラベルのフィルムの水蒸気透過速度(water vapor transmission rate)(WVTR)は、フィルムを通して水があまりに速く蒸発して裏面のウェットグルーがあまりに急速に乾燥してラベルが通常の紙ラベルマシンによって物品の上に正しく配置されるのを可能にする時間が存在する前にグルーが粘着になり過ぎるほど、高いもの(たとえば、未被覆のセルロースフィルム)であってはならない。それでいて、ラベルのWVTRは接着剤があまりにゆっくり乾燥してラベルが物品の上に適切に固定されずにその表面で液状接着剤のクッション状部分の上で滑りまわれるほど低いもの(未被覆のOPPフィルムのような)であってはならない。最適WVTRを達成するために、第三被覆はフィルムの両面に適用されてもよい。
【0025】
第一(印刷可能)被覆と第二(水性接着剤)被覆はフィルムラベルの互いに反対側の表面に(すなわち、接着側と印刷側を規定するために)適用されてもよい。
【0026】
好ましくは、第一(印刷可能)被覆と第三(透水度変更)被覆は同じであってもよく、あるいは、印刷可能被覆がフィルムの透水度を所期通りに変更することもできるように組合わされていてもよい。より好ましくは、第一と第三の被覆(場合によっては同じ組成物として合わされた)はフィルムの少なくとも片面に、最も好ましくは、両面に印刷可能な二面被覆フィルムを形成するためにフィルムの両面に、そして最適な透水性をもって、適用されてもよい。
【0027】
第二と第三の被覆も、フィルムの同じ側に、又はフィルムの両側に、又は異なる側に適用されてもよい。同様に、第二と第三の組成物は同じであってもよく、あるいは、水性接着剤がフィルムの透水性を所期通りに改質するように組合わされていてもよい。
【0028】
従って、第一、第二および第三の被覆は同じおよび/または異なる組成を構成してもよく、そしてフィルムの片面または両面に同時におよび/または順次に適用されてもよい。
【0029】
フィルムの裏面に付加された第一および/または第三の被覆の更なる目的は第二接着剤コートの接着固定を促進することである。
【0030】
本発明のフィルムは使用時に物品の上にウェットグルーによってはりつけられるはずである側のフィルムの面をさらに不透明な被覆または層(たとえば、金属化コート)で被覆または印刷されることも可能である。こうすると、被覆または印刷は透明フィルムを通して見えるのに外部磨滅からは防護される。初期に明澄または透明なバイオポリマーフィルムは裏面のデザインの一部がラベルを通して及び/又は物品の他方の側を通して(たとえば、瓶ではその内容物を通してラベルの内側に)見ることができるようなわずかに不透明であることさえ可能である。
【0031】
都合よくは、第二被覆の厚さ(g/m2の単位で算出された)は少なくとも約10g/m2、好ましくは20g/m2、より好ましくは、約30g/m2〜約40g/m2、最も好ましくは、約33g/m2〜約35g/m2、である。これら値は適用されたときの液状被覆の湿潤値から算出されている。乾燥後には、乾燥コート重量は代表的には湿潤コート重量のそれの50%である。
【0032】
バイオポリマーは単一シートであってもよいし又は積層体の一部を形成してもよく、好ましくは、ラベルは1層または2層どちらかである。2層すなわち二重構造の利点はそれがウェットグルーラベル応用のための改良された湿潤強度を有するということである。何ら理論で束縛されるものではないが、再生セルロースフィルムのような単一層バイオポリマーフィルムの構造体は、液体に対してより吸収性でない(へちまの実の繊維(loufa)に似ている)表面領域(フィルムの2面の各々における)と液体に対してより吸収性の(スポンジに似ている)内部またはコア領域とに分けることができる。二重フィルムは単一層フィルムのウェブを2つ例えばそれらを乾燥機内で積層させることによって互いに接着させることによって形成される。単一層フィルムが2つのスキン層と1つのコアを有するのに比べて、二重バイオポリマーフィルムは4つのスキンと2つのコアの層を有する。このことが本発明のラベルの製造に使用するのに特に好ましい二重フィルムの改良された湿潤強さのメカニズムであると考えられる。
【0033】
本発明を形成する(または実質的に構成する)ために使用されてもよいバイオポリマーは生物(好ましくは植物および/または微生物)源から得られてもよいし及び/又は得ることが可能であり、そして実質的に炭素と酸素と水素を含むそれら有機重合体からなってもよい。都合よくは、バイオポリマーは炭水化物、ポリサッカライド類(たとえば、デンプン、セルロース、グリコーゲン、ヘミセルロース、キチン(chitin)、フルクタン(fructan)、イヌリン(Inulin)、リグニンおよび/またはペクチン質(pectic substances));ガム;タンパク質、場合によっては、穀物、植物及び/又は動物のタンパク質(たとえば、グルテン(たとえば、コムギからの)、乳清タンパク、及び/又はゼラチン);コロイド(たとえば、ハイドロコロイド、たとえば、天然ハイドロコロイド、たとえば、ガム);その他のポリ有機酸(たとえば、ポリ乳酸及び/又はポリガラクチック酸(polygalactic acid))、それらの有効な混合物;および/またはそれらの有効な変性誘導体から選ばれてもよい。
【0034】
本発明のフィルムを形成するのに使用されてもよいバイオポリマーの各々の更なる詳細は以下に与えられている。
【0035】
デンプンは一つまたはそれ以上の植物(単数または複数)から得られた及び/又は得ることが可能な天然および/または変性デンプンからなってもよい;ジャガイモ、ロウ質メイズ(waxy maize)、タピオカおよび/またはコメから得られた及び/又は得ることが可能なもののような一つまたはそれ以上の根(root)、塊茎(tuber)および/または禾穀(cereal)から得られた及び/又は得ることが可能な、デンプン、デンプン−エーテル、デンプン−エステルおよび/または酸化デンプンであってもよい。
【0036】
グルテンは2つのタンパク質であるグリアジンとグルテニンの混合物からなってもよく、そのアミノ酸組成は通常グルタミン酸とプロリンが主であるが変動してもよい。
【0037】
ガムは植物から得られてもよい天然ハイドロコロイドであり、そして有機溶剤の中に代表的には不溶性であるが、水とはゼラチン質または粘稠の溶液を形成する。ガム樹脂はガムと天然樹脂の混合物である。
【0038】
ここで使用されるとき、用語炭水化物は場合によっては置換されていてもよい式Cx(H2O)yのそれら化合物からなると理解されるであろう。炭水化物は代表的には低分子量および/または甘い味のものであってもよいサッカライド(ここでは糖とも称される)および/または代表的には高い分子量そして/または高い複合性(complexity)のものであってもよいポリサッカライドに分類されてもよい。
【0039】
ポリサッカライドは1種またはそれ以上のモノサッカライド(単糖)単位を含む全ての炭水化物からなる。ホモポリサッカライドは一つのタイプだけのモノサッカライドを含み、そしてヘテロポリサッカライドは2つまたはそれ以上の異なるタイプの糖を含む。長鎖ポリサッカライドは数百万ダルトンまでの分子量を有していてもよく、そしてしばしば、高度に枝分かれしており、これらポリサッカライドの例はデンプン、グリコーゲンおよびセルロースを含む。ポリサッカライドはまた、より簡単な二糖類の糖、三糖類の糖および/またはデキストリン(たとえば、マルトデキストリンおよび/またはシクロデキストリン)も包含する。
【0040】
ポリサッカライドは少なくとも20またはそれ以上のモノサッカライド単位のポリマーからなってもよく、そしてより好ましくは約5000ダルトン以上の分子量(Mw)を有する。低複合ポリサッカライドは二糖類の糖、三糖類の糖、マルトデキストリンおよび/またはシクロデキストリンからなる。
【0041】
本発明のフィルムを形成または構成するためのバイオポリマーとして使用されてもよい複合ポリサッカライドは下記の一つまたはそれ以上を含む:
デンプン(広く植物の中に存在する)は、グルコースから誘導された2つのポリマー: アミロース(約100〜約1000個連結したグルコース分子を含む直鎖を構成する)とアミロペクチン(グルコース分子の高度に枝分かれした鎖を構成する)の様々な割合から成ってもよい。
グリコーゲン(動物性デンプンとしても知られる)は動物組織の中に存在することができるグルコースの高度に枝分かれしたポリマーからなる。
セルロースはグルコース単位の長い非分枝鎖からなる。
キチンはN−アセチル−D−グルコサミン(グルコースの誘導体)の鎖からなり、そして構造的にはセルロースに非常に似ている。
フルクタンは或る植物の中に貯えられているであろうフルクトースから誘導されたポリサッカライドからなる。
イヌリンは多数の植物の根または塊茎の中に貯えられているであろうフルクトースから誘導されたポリサッカライドからなる。
リグニンは堅さ(rigidity)を与えるように植物細胞壁のセルロースの内部に堆積されているであろう複合有機重合体からなる。
ペクチンのようなペクチン質は植物細胞壁の重要成分であろう糖酸から主としてつくられたポリサッカライドからなる。通常それらは不溶性形態で存在するが、可溶性形態に変化するかもしれない(例えば、植物の成熟(ripening)中に)。
ポリ乳酸および/またはポリガラクチック重合体などは、ポリ乳酸;ポリガラクチック酸および/または類似のポリマーから得られた、及び/又はから得ることが可能である、及び/又はからなる、それら重合体鎖および/または架橋重合体網目構造からなり、そして合成で製造および/または天然で産出されてもよい。
【0042】
その一つまたはそれ以上が本発明のフィルムを(全体に又は部分的に)形成するのに使用されてもよいポリサッカライド誘導体のその他の例は全ての適するポリサッカライド(ここに記載されたもののような)の全ての有効な誘導体、たとえば、アミノ誘導体、エステル誘導体(燐酸エステルのような)、エーテル誘導体;および/または酸化された誘導体(たとえば、酸)から選ばれたそれら誘導体、からなってもよい。
【0043】
好ましいバイオポリマーフィルムは、セルロース、セルロース誘導体(酢酸セルロースのような)および/またはポリ乳酸から選ばれたバイオポリマーから形成されたものである。
【0044】
より好ましいフィルムは、実質的に連続でありより好ましくは構造上不織布である及び/又は絡み合っているセルロースからなる。最も好ましくは、本発明のフィルムは非可溶化用流体(限定されるものではないがたとえばNMMOおよび/またはLiClとDMPの混合物)の中のセルロース分散物から再生されたセルロースのような非微生物系セルロースからなる。一つの具体例は苛性ソーダ中のセルロースキサントゲン酸ナトリウムである「ビスコース」である。分散物からのセルロースは現場でセルロースを適切な処理(たとえば、ビスコース向けには希硫酸であることができる適切な試薬の添加)によって再生しそして場合によってはこのように形成されたセルロースを押出すことによってフィルムにキャストされることができる。かかるセルロースはここでは再生セルロースとして知られ、そして本発明の好ましいフィルムは再生セルロースからなる。
【0045】
都合よくは、本発明のフィルムは実質的に、木材源からのセルロースからなり、最も好ましくは、セルロース材料の少なくとも90%は木材源からである。
【0046】
好ましくは、第一被覆は印刷適性を促進するために且つラベルが物品に適用されたとき接着剤からの水の蒸発速度をコントロールするのを助けるために適用される(第一被覆は第三被覆としても作用する)。より好ましくは(そしてバイオポリマー基体同様)、第一/第三被覆は半透性である。これは水性接着剤組成物の第二被覆が十分速やかに乾燥してラベルを瓶の定位置に固定させることを可能にする。合わされた第一/第三被覆の湿気障壁が十分過ぎて乾燥時間が長くなると、ラベルが動いて最終的に正しくない位置で乾燥する機会が増大する。
【0047】
第一被覆は印刷インキに対して受容性である及び/又はラベル表面へのインキの定着媒体としてでもある成分(単数または複数)からなる。
【0048】
第二被覆(ウェットラベル接着剤)は水50%を含有している水性媒体中に分散可能であるいずれか適する接着剤たとえばカゼイン接着剤からなってもよい。
【0049】
第三被覆は透水性をコントロールする成分からなり、好ましくは、電気陰性基によって置換されたエチレン性(共)重合体、より好ましくは、塩化ビニル、アクリル、酢酸ビニル、ポリエステルおよび/またはイソシアネート単量体の(共)重合体からなり、最も好ましくは、この被覆は塩素含有種を実質的に含まない。合わされた第一(印刷可能)と第三(WVP)の被覆の最も好ましい成分は塩素フリーのアクリル、ポリエステルおよびポリウレタンである。
本発明のラベルはフィルムの一面または二面を被覆されてもよいが、二面被覆が好ましい。二面被覆フィルムはより安定であり、そしてチリメンじわ又は折りじわのような問題をより起こらず、より美的な外観のラベルを生じる。
【0050】
第一、第二および/または第三の被覆のいずれかは被覆の滑りおよび粘着の抵抗性を変更するために必要ならばワックスやその他の通常の添加剤を含んでいてもよい。
【0051】
かかる添加剤は下記の一つまたはそれ以上および/またはそれらの混合物から選ばれてもよい:
脂肪酸、たとえば、ベヘン酸;
脂肪酸エステルアミド(アミドワックス)、たとえば、ランコ(Lanco)ワックスE2Sの商品名で商業的に入手できるもの;
水素化ヒマシ油;
燐酸のモノおよびジエステル、たとえば、クロダフォス(Crodafos)S2の商品名で商業的に入手できるもの;
マレイン酸;類似の酸および/またはエステル、および/またはそれらの塩および/またはそれらのその他の簡単な誘導体;および/または
無機物質、たとえば、クレー、たとえば、チャイナクレー。
【0052】
好ましくは、本発明のバイオポリマーウェットグルーラベルはさらに、下記の有益な諸性質の少なくとも一つを示す;
【0053】
バイオポリマー(好ましくはセルロース)フィルムの固有の性質のせいで、フィルムは水に曝されたときに膨潤し、そして湿潤後に乾燥されたときには明確に収縮してその元の寸法よりも小さくなるであろう。従って、接着剤が物品(たとえば、容器、たとえば、瓶)に適用されつつあるときに、ラベルは膨閏するが、それが物品に適用された後では、ラベルは乾燥する間に収縮しそして物品の周囲に更にしっかり結合を形成するであろう。
【0054】
バイオポリマー特にセルロースの浸透性ゆえに、接着剤は紙に似た妥当な時間内に乾燥することができ、そうして、これらラベルは紙ウェットグルーラベルの代わりになるように使用できる。
【0055】
被覆済みラベルはインキの良好な定着を有し、そしてバイオポリマーによる水の吸収を容易に許す。乾燥すると、本発明の好ましいラベルは物品の表面に平らに乾燥する。
【0056】
バイオポリマーの浸透性ゆえに、本発明のラベルは洗い落とされることができるので、物品(たとえば、瓶)はより容易に再使用されることができる。これはドイツやフィンランドのような幾つかの国々では特に重要である。
【0057】
セルロースから形成されたラベルは特に、シートの供給および裁断とラベルのスタック加工を容易にするために要求される良好な滑りおよび静電防止の諸性質を有する。これはセルロースフィルムに特有である。
【0058】
ここでの透水度は標準試験BS3177で、37℃および相対湿度(RH)75%において、測定されてもよい。都合よくは、透湿度は24時間当り約10〜約1000 g/m2である;より都合よくは、24時間当り約50〜約600 g/m2である。
【0059】
好ましくは、フィルムの透水度は約100〜約400 g/m2・日、より好ましくは、約150〜約300 g/m2・日、最も好ましくは、約200〜約250 g/m2・日、たとえば、約210 g/m2・日、である。
【0060】
透水度の代わりに又はその上に、フィルムの水蒸気透過速度(WVTR)が、標準試験ASTM E96で、37℃および相対湿度(RH)30%において、乾燥フィルム向けのウォーター法と湿潤フィルム向けの逆ウォーター法を使用して、測定されてもよい。好ましくは、乾燥フィルムのWVTRは透水度について上記に与えられた通りである。
【0061】
測定されたとき、湿潤フィルムは乾燥時の同一フィルムよりも約5〜約15倍高いWVTR、好ましくは、約5〜約8倍高いWVTR、を示すであろう。
【0062】
好ましくは、フィルムはさらには、可塑剤を、より好ましくは、セルロースフィルムの重量によって約10%〜約30%の量で、最も好ましくは約20%の量で含む。可塑剤は食品包装と適合性である(たとえば、食品との接触を承認されている)かつ/または使用量で実質的に無毒であるいずれの適する物質であってもよい。たとえば、可塑剤はグリコール、(たとえば、MPG、TEG、PEG)、尿素、ソルビトール、グリセロール、および/またはそれらの混合物から、当業者にいずれの適する混合および比率で、選ばれてもよい。たとえば、一つの適する可塑剤は固形分の重量によってそれぞれ60:40の重量比におけるソルビトールとグリセロールの混合物のようなものからなってもよい。
【0063】
セルロースフィルムは強くかつ不活性であるので、必要ならば、それはいずれか便利な仕方で滅菌されることができる。それはいずれの温度で保管されてもよく、そして特殊な条件を要求しない。それは無限の耐久性を有するものである。フィルムは液体および気体に対する確定した透過度、特徴的な分子量および構造、脱水されたときの予測可能な厚さを、その他の特殊な物理的性質に加えて、有する。
【0064】
セルロースフィルムは包装好ましくは食品包装と適合性であるそしてより好ましくは米国における食品医薬品局(FDA)(および/またはその他の国における類似官庁)によって食品との接触を承認されているもののようなフィルム製造分野で周知であるその他の通常のフィルム添加物および/または被覆を含んでいてもよい。かかる添加物および/または被覆は柔軟剤、静電防止剤、粒状添加物を含んでもよいし、そして/または着色されてもよい若しくはそうでなくても処理されてもよい、たとえば、一つ若しくはそれ以上のその他活性成分を含浸させられてもよい、ただし、かかる改質はここに記載されているとおりのラベルとしてのフィルムの使用と適合性であることを条件とする。
【0065】
本発明のフィルムの平均厚さは約2mm(たとえば、発泡フィルムが使用される場合)以下であってもよく、好ましくは、粒状添加物の組み込み前で約50ミクロン以下である。より好ましくは、本発明のフィルムの平均厚さは約20〜約45ミクロンであり、最も好ましくは、約20〜約30ミクロンである。本発明に使用される好ましいフィルムはラベルに望ましい改良された剛性(stiffness)を付与するために二重積層フィルム(すなわち、単一ウェブがそれ自体の上に積層されている)である。
【0066】
本発明の更なる局面においては、広くは、ラベルを製造および/または適用する方法であって、
(a)バイオポリマーシートをその少なくとも片側の表面を、接着剤がその中に分散されている水性組成物で被覆し;
(b)そのシートの、少なくとも反対側の表面を、場合によっては両側の表面を、それの印刷適性を改良するように処理し;
(c)そのフィルムを乾燥して過剰の水を除去し;
(d)そのラベルを物品に適用し;そして
(e)場合によっては、物品を乾燥してそれの上にラベルを固着させる
工程を含む前記方法が構成される。
【0067】
バイオポリマーを製造するいずれの適切な方法においても、好ましくはセルロースフィルム、より好ましくは再生法によって製造されたセルロースフィルムを使用することができる。最も好ましい方法はセルロースフィルムを製造するための周知のビスコース法であり、その場合にはビスコースに粒子が添加される。
【0068】
構成および組成についての多数のその他バリエーションおよび詳細は当業者には明らかであろうし、そしてかかるバリエーションは本発明の広い範囲内に含まれる。
【0069】
本発明の一つの局面はここに記載された通りのラベルを形成するための本発明のフィルムの使用である。
【0070】
本発明の更なる局面は物品にラベルを固定するための本発明のセルロースフィルムの使用である。
【0071】
本発明の更なるフィルムおよびそれの好ましい特徴は特許請求の範囲に与えられている。
【0072】
本発明のフィルムは取引物品、特に食品および飲料、より好ましくは、アルコール飲料たとえば蒸留酒、向けのラベルの分野に使用するために主として設計されているが、それらは同様のフィルムの性質が要望されるその他の応用に使用することもできる。
【0073】
ビスコースの生成
マンガン(たとえば、MnSO4)触媒をそこに混入して含有している苛性ソーダ(NaOH)溶液に木材パルプ(通常、シートとして)を添加した。この混合物を攪拌してスラリにし、それをプレス機に通して供給して、そこでそれを圧縮してアルカリセルロースの連続マットを製造し、それを裁断機に運んで破断して小片(crumb)にした。その小片を大きなコンベアベルトによって、コントロールされた給湿雰囲気を通ってゆっくり供給して化学的に熟成させた。いずれかのメカニズムによって拘束されることを望むものではないが、パルプの中の大きな架橋リグニン木材繊維の構造はNaOHによって(MnSO4触媒の助けをもって)酸化されて化学的に破断されてもっと小さなサイズ(ミクロンサイズ)の粒子になった。この熟成されたアルカリセルロース混合物を周囲温度に冷却し、そして圧力容器に加えた。それから、減圧下のアルカリセルロースに二硫化炭素を添加したら、セルロースキサントゲン酸ナトリウムが形成されたので混合物は白色から橙黄色に転じた。この混合物に弱い苛性ソーダ溶液の測定量を添加し、それを濃厚な橙色液体(未熟ビスコース(unripe viscose)としても知られる)になるまで攪拌した。未熟ビスコースを均質化し、濾過し、脱気し、そしてもう一度濾過して清浄な明澄液体(純ビスコース(pure viscose)としても知られる)を生成した、それを下記に記載されている通りにキャストして高度に透明な可撓性セルロースフィルムにした。着色した又は不透明なセルロースフィルムを望む場合には、フィルムのキャスティング前に、純ビスコースに適切な着色剤および/または不透明化剤が、フィルム全体の中に組み込まれることを望まれているあらゆるその他の適合性の且つ適切な成分と同じように、添加されてもよいということも認識されるであろう。
【0074】
フィルムのキャスティング
ビスコース(上記のように生成された)を加圧下でジェットによって希硫酸の浴の中に押出してセルロースフィルムの連続ウェブを再生した。初期には不透明で且つもろかったフィルムウェブを引き続いて様々な浴(たとえば、酸、水、硫化ナトリウム、水、漂白剤、水および柔軟剤の)の中に及び多数のローラー(代表的には250以上)の上に通して不純物を除去し、二硫化炭素の回収しおよび/またはウェブを洗浄したので、製造された最終フィルムは所期の強度および可撓性を有した。湿潤セルロースフィルムのウェブが最終浴から出たら、そのウェブを温風の中で乾燥して過剰の水を除去し、それから(最終フィルムの最適性質を確保するため最終フィルム中の水分の正確な量をコントロールするために)湿り空気の中でコンディショニングした。このフィルムウェブは更なる任意的な被覆をもって化学的に結合させるためのアンカーを付与するために場合によって(たとえば、コロナ放電によって)処理されてもよく、それから、このウェブをローラーに巻いて再生セルロースフィルムの最終キャストロールを製造した。所期の最終用途に依存して、セルロースフィルムは更なる処理および/または被覆なしで使用されてもよい。
【0075】
本発明のラベルに使用されるこれらセルロースフィルムは下記の一つまたはそれ以上のような多数のその他周知の有効な諸性質を有する:優れた気体障壁(たとえば酸素障壁)、透水性(その度合は製造されるプロセスによって特別にあつらえることができる);半透性(たとえば、透析および/または浸透圧プロセス用の膜として);不融性コア(すなわち、フィルムは溶融しない);固有永久折れ目(natural dead fold)、開口の容易さ、廃棄時の圧縮性およびコンパクト化適性、生分解性、および組み立て適性、帯電防止、高い透明性および高い光沢。
【0076】
フィルムの被覆
防湿性、ヒートシール適性、および/または機械適性(machineability)のようなセルロースフィルムの適切な或る諸性質を達成するためには、場合によっては、フィルムの片面または両面が例えば溶剤および/または水性分散物から適用されてもよい一つまたはそれ以上の被覆で被覆されてもよい。適する被覆は通常のニトロセルロース、塩化ビニルおよび/または酢酸ビニル被覆のような意図された用途に適しているいずれをも包含する。
【0077】
ウェットグルー接着剤をもってラベルとして使用されるセルロースフィルムと共に使用するのに適する好ましい被覆は塩素を含有しない被覆、たとえば、無塩素ポリマーたとえばアクリル、ポリウレタン、ポリエステル、ポリビニルアルコールおよび/またはそれらのいずれか適する混合物または共重合体に基づいたもの、を包含する。
【0078】
被覆はキャスティングマシンの最後に又は適するときには高いタワーの内部で適用されてもよい。コーティングタワーでは、セルロースフィルムウェブがラッカー浴の中に浸漬され、そして過剰のラッカーがドクターローラーによって除去された。それから、ラッカーはリバーススムージングローラーによって均され、そして全ての過剰溶剤が垂直乾燥機の中でラッカーから除去されたが、あるいは回収されてもよい。フィルムのウェブはヘッドローラーのところで乾燥機から出て、そして塗布・乾燥プロセス中に失われた湿気を取り戻させるコンディショナーを通って地表面に下りた。冷却ローラーの上を通過した後で、この被覆済みフィルムはミルロールの上に巻き戻された。被覆はウェブをラッカー浴の中に通すのではなくソルベントタワー内でウェブに噴霧することによって適用されてもよい。
【0079】
次に、単なる例証である非限定的な実施例によって本発明を細部にわたって記載する。
【実施例1】
【0080】
ここに記載したとおり周知のビスコース法からの再生セルロースフィルムを製造するために通常の仕方に製造機を設定した。使用されたビスコースは9.3%のセルロース含量を有し、そして得られたフィルムは平方メートル当り30グラムの基体であった。
【0081】
フィルムの片面をコロナ放電によって処理してからそこに印刷することができる。フィルムの反対側の面を塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体の通常の被覆材で60 g/m2の被覆重量で被覆することができる。それから、標準のウェットグルーカゼイン接着剤(水50%)を共重合体と同じ側に適用することができる。
【0082】
それから、このラベルを、ウェットグルー紙ラベル用に設定された未改造の(または少しだけ改造された)通常のラベリング装置を使用して、通常の仕方で瓶に直接適用して、瓶上に許容される明澄外観ラベルを与えるように有意なしわ又はラベル位置の配置ミスを伴わずに瓶上で迅速に乾燥した透明な印刷ラベルを達成することができる。
【実施例2】
【0083】
被覆性処方物は下記成分(ポリマー100部に対する重量)を混合することによって製造された。
商品名 化学物質のタイプ 量(w/w)
ポリマー
ホスタフレックス(Hostaflex)CM131 PVC/PVA共重合体 80
イクサン(Ixan)PNE613 PVdCポリマー 20
ワックス
ベヘン酸 脂肪酸 1.5
ダイステック(Distec) 水素化ヒマシ油 0.17
クロダフォス(Crodafos)S2 燐酸のモノ及びジエステル 0.27
ランコ(Lanco)ワックスE2S 脂肪酸エステルアミド(アミドワックス) 0.5
その他
マレイン酸 1.2
インフィルム(Infilm)1735 チャイナクレー 0.8
【0084】
再生セルロースフィルムの2つのウェブをキャスティングマシン乾燥機上で積層して合体させた。これはフィルムに剛性と安定性を与えるのに役立った。この基材フィルムの重量は62 g/m2(厚さ43マイクロメートル)であった。それから、この積層フィルムに上記の共重合体被覆性処方物の溶剤ラッカーを通常の仕方でフィルムの両面(フィルムの2つの面)に塗布して乾燥した後にはフィルムの両面に半透性の湿気障壁を生じた。フィルムの最終重量は64.5 g/m2(厚さ45マイクロメートル)であった。
【0085】
この被覆フィルムの透過度(標準試験ASTM E96において38℃および相対湿度90%で測定された)は370 g/m2・日であった。
【0086】
実施例2のフィルムについて試験したその他性質を指定した試験方法と共にここに示す。これらの試験はすべて、特に示さない限り、23℃±2℃、相対湿度(RH)50%で行われた。
【0087】
45°における光学的光沢は95%(ASTM D247)であった;2.5°における広角曇り度(wide angle haze)は4%(ASTM D1003)であった;静的摩擦係数(フィルム対フィルム)は0.25であり、動的摩擦係数は0.20であった(ASTM D1894);機械的データ(ASTM D882)−引張強さは162 NMm-2(MD)および95 NMm-2(TD)であった;破断時伸びは20%(MD)および55%(TD)であった、そして弾性率(1%割線)は、>3000 NMm-2(MD)および>1500 NMm-2(TD)であった;温度適応性範囲は0℃〜290℃であった。
【0088】
それから、この二面被覆フィルムはラベルフィルムとして、適用時点においてラベルフィルムの片面に適用された50%カゼイン水の通常のウェットグルー接着剤を使用して、瓶に適用された。このラベルはウェットグルーの適用前にフィルムの接着剤側に印刷および/または金属被覆またはそうでなくても被覆されてもよく、そうすると、印刷または金属被覆は透明セルロースフィルムを通して見ることができそれでいて透明フィルムによって磨滅などから防護される。
【0089】
上記フィルムはウェットグルー接着剤をもってラベルとして使用するのに次のような利点を有している:「ノーラベル」外観向けの優れた明澄性;伝統的な印刷方法を使用しての優れた印刷適性;接着剤の優れた吸着と速い乾燥;帯電防止と優れた滑り性質;耐油脂性;二次加工向けの高い剛性;高い光沢および生分解性の基材フィルム。
【0090】
本発明に関して、更に以下の内容を開示する。
(1)バイオポリマーの自己支持性シートを含むラベルであって、前記シートは被覆されてないときには可視光に対して実質的に透過性(透明)であり、このシートが、
(a)その少なくとも片側の表面上の、その上への印刷適性を促進するための、第一被覆;
(b)水性媒体中へ分散可能な接着剤を含む第二被覆;および、場合によっては、
(c)シートを通しての透水性を改質するための第三被覆;
を含むことを特徴とする、前記ラベル。
(2)第一被覆と第三被覆が同じものである、(1)のラベル。
(3)シートの両側の表面を、合わされた第一と第三の被覆で被覆した、(2)のラベル。
(4)約50〜約600 g/m2・日の透水性(38℃および相対湿度90%で標準試験ASTM E96で測定されたもの)を有する、(1)〜(3)のいずれか一項のラベル。
(5)約100〜約400 g/m2・日の透水性を有する、(4)のラベル。
(6)バイオポリマーシートが、セルロース、セルロース誘導体および/またはポリ乳酸からつくられたフィルムを含む、(1)〜(5)のいずれか一項のラベル。
(7)バイオポリマーシートが2層積層体である、(1)〜(6)のいずれか一項のラベル。
(8)少なくとも約2000 NMm-2(バイオポリマーシートの縦方向で測定されたもの)または少なくとも約1000 NMm-2(バイオポリマーシートの横断方向で測定されたもの)どちらかの1%割線弾性率(標準試験ASTM D882で測定されたもの)を有する、(1)〜(7)のいずれか一項のラベル。
(9)第一と第二と場合によって存在する第三の被覆が全て透明である、(1)〜(8)のいずれか一項のラベル。
(10)さらに、シートの裏面に金属化層を含み、その層がバイオポリマーシート(および場合によっては、その上の第一および/または第三の被覆の上面)と第二接着剤層との間に配置されている、(1)〜(9)のいずれか一項のラベル。
(11)ラベルを製造および/または適用する方法であって、
(a)バイオポリマーシートをその少なくとも片側の表面に、接着剤がその中に分散されている水性組成物で被覆し;
(b)そのシートの少なくとも反対側の表面を、場合によっては両側の表面を、それの印刷適性を改善するように処理し;
(c)そのフィルムを乾燥して過剰の水を除去し;
(d)そのラベルを物品に適用し;そして
(e)場合によっては物品を乾燥してそこにラベルを固着させる
工程を含む前記方法。
(12)バイオポリマーシートが、セルロース、セルロース誘導体および/またはポリ乳酸からつくられたフィルムを含む、(11)の方法。
(13)(i)(11)または(12)のどちらかの方法によって製造され、および/または
(ii)そこに水性接着剤組成物によって固定された(1)〜(10)のいずれか一項のラベルを含む、
物品。
(14)ガラス容器を構成する、(13)の物品。
(15)(1)〜(10)のいずれか一項のラベルを剥離ライナーに隣接して含むラベルフェースストック。
(16)バイオポリマー(好ましくは、セルロース(たとえば、再生セルロース)、酢酸セルロースおよび/またはPLA)の自己支持性シートを含むラベルであって、前記シートは被覆されてないときには可視光に対して実質的に透過性(透明)であり、このシートが、(a)その少なくとも片側の表面上の、その上への印刷適性を促進するための、第一被覆;(b)水性媒体中に分散可能な接着剤を含む第二被覆;および、場合によっては、(c)シートを通しての透水性を改質するための第三被覆を含むことを特徴とする、前記ラベルが記載される。このラベルはガラス容器のような物品に適用されるはずである。好ましいラベルはウェットグルーセルロースラベルであり、たとえば、その場合、第一被覆は透水性と、従って物品上でのラベルの迅速乾燥とを促進するために、塩化ビニルと酢酸ビニルの共重合体も含む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイオポリマーの自己支持性シートを含むウェットグルーラベルであって、前記シートは被覆されてないときには可視光に対して透明であり、このシートが、
(a)その少なくとも片側の表面上の、その上への印刷適性を促進するための、印刷可能な第一被覆であって、印刷インキに対して受容性である少なくとも1つの成分を含み、かつ、半透性である該第一被覆;および、
(b)水性媒体中へ分散可能な接着剤を含む第二被覆;
を含むことを特徴とする、前記ラベル。
【請求項2】
前記シートが、シートを通しての透水性を改質するための第三被覆を含む、請求項1のラベル。
【請求項3】
第一被覆と第三被覆が同じものである、請求項2のラベル。
【請求項4】
シートの両側の表面を、結合した該第一被覆及び第三被覆で被覆した、請求項3のラベル。
【請求項5】
約50〜約600 g/m2・日の透水性(38℃および相対湿度90%で標準試験ASTM E96で測定されたもの)を有する、請求項1〜4のいずれか一項のラベル。
【請求項6】
約100〜約400 g/m2・日の透水性を有する、請求項5のラベル。
【請求項7】
バイオポリマーシートが、セルロース、セルロース誘導体および/またはポリ乳酸からつくられたフィルムを含む、請求項1〜6のいずれか一項のラベル。
【請求項8】
バイオポリマーシートが2層積層体である、請求項1〜7のいずれか一項のラベル。
【請求項9】
少なくとも約2000 NMm-2(バイオポリマーシートの縦方向で測定されたもの)または少なくとも約1000 NMm-2(バイオポリマーシートの横断方向で測定されたもの)どちらかの1%割線弾性率(標準試験ASTM D882で測定されたもの)を有する、請求項1〜8のいずれか一項のラベル。
【請求項10】
第一被覆と第二被覆が共に透明である、請求項1〜9のいずれか一項のラベル。
【請求項11】
さらに、シートの裏面に金属化層を含み、その層がバイオポリマーシートと第二被覆との間に配置されている、請求項1〜10のいずれか一項のラベル。
【請求項12】
ウェットグルーラベルを製造する方法であって、
(a)バイオポリマーシートをその少なくとも片側の表面に、接着剤がその中に分散されている水性組成物で被覆し;
(b)そのシートの少なくとも反対側の表面を、それのその上の印刷適性を改善するように処理してフィルムを形成し、しかも、該処理は、半透性の被覆を適用することを含み
(c)そのフィルムを乾燥して過剰の水を除去し;そして
(d)そのラベルを物品に適用する;
工程を含む前記方法。
【請求項13】
ラベルを適用する方法であって、
(a)バイオポリマーシートをその少なくとも片側の表面に、接着剤がその中に分散されている水性組成物で被覆し;
(b)そのシートの少なくとも反対側の表面を、それの印刷適性を改善するように処理してフィルムを形成し;
(c)そのフィルムを乾燥して過剰の水を除去し;そして
(d)そのラベルを物品に適用する;
工程を含む前記方法。
【請求項14】
前記物品を乾燥してそこにラベルを固着させる工程を更に含む、請求項12または13の方法。
【請求項15】
バイオポリマーシートが、セルロース、セルロース誘導体および/またはポリ乳酸からつくられたフィルムを含む、請求項12〜14のいずれか一項の方法。
【請求項16】
請求項12〜15のいずれか一項の方法によって製造された物品。
【請求項17】
そこに水性接着剤組成物によって固定された請求項1〜11のいずれか一項のラベルを含む、物品。
【請求項18】
ガラス容器を構成する、請求項17の物品。
【請求項19】
請求項1〜11のいずれか一項のラベルを剥離ライナーに隣接して含むラベルフェースストック。

【公開番号】特開2009−9137(P2009−9137A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−179692(P2008−179692)
【出願日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【分割の表示】特願2002−573871(P2002−573871)の分割
【原出願日】平成14年3月13日(2002.3.13)
【出願人】(505300508)イノヴィア フィルムズ リミテッド (14)
【Fターム(参考)】