説明

ランドの設計方法及びプリント配線板

【課題】 半田付けの際に半田ブリッジを発生しにくくすることができるランドの設計方法及びプリント配線板を提供する。
【解決手段】 フロー半田付け法及びディップ半田付け法等により、フロー半田槽を用いて電子部品が半田付けされるプリント配線板6におけるランドの設計方法において、プリント配線板6に半田付けされる少なくとも一部の電子部品につき、当該電子部品に固有の情報を含む1次部品データから、当該電子部品のフロー半田槽への複数の進行方向に基づいて、複数種類の2次部品データを作成しておく。そして、プリント配線板6上における電子部品11〜16の配置を決定した後、プリント配線板6のフロー半田槽への進行方向20に基づいて、2次部品データが作成された電子部品11〜16について、複数種類の2次部品データのうちから一の2次部品データを選択して、各電子部品11〜16に対応するランドの配置を決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品が半田付けされるランドの設計方法及びプリント配線板に関する。
【背景技術】
【0002】
プリント配線板上に数々の電子部品を搭載したプリント回路基板は、電子機器を小型化するのに有用であり、産業上多くの製品に用いられている。そして、プリント配線板の配線パターンを設計するに当たっては、搭載される電子部品の形状及び端子位置並びに配線制約等が考慮されている。
【0003】
また、プリント配線板上に電子部品を搭載する際には、主に半田付けが行われている。この半田付けに関しては、プリント配線板を、その半田面がフロー半田槽内で加熱溶融した半田の噴流の表面に触れるように進行させ、プリント配線板に形成されているランドに半田を付着させる方法が知られている。このような方法は、フロー半田付け法とよばれる。例えば、多数の端子ピンを有する挿入型電子部品及び表面実装型ICの半田付けには、この方法が多く用いられている。
【0004】
しかし、電子部品の端子の間隔が狭い場合や、これらの端子に対応するランドの間隔が狭い場合には、余剰な半田により半田ブリッジが形成されて電気的ショートが引き起こされることがある。
【0005】
そこで、特許文献1及び2には、4方向リードフラットパッケージICの半田ディップ法に関して、フロー半田槽への進行方向に対して後方の位置に、他のランドよりも大きいランドを設ける技術が開示されている。
【0006】
また、特許文献3には、2方向リードフラットパッケージICの半田付けに関して、フロー半田槽への進行方向に対して後方の位置に、他のランドよりも大きいランドを設ける技術が開示されている。
【0007】
このように、大きなランドを設けて余剰の半田を吸収することにより、半田ブリッジの生成を防ぐことが知られている。
【0008】
そして、プリント配線板の設計は、このようなランドの配置方法を考慮しながら、主にプリント配線板用CADシステムを用いて行われている。
【0009】
【特許文献1】特開昭63−213994号公報
【特許文献2】特開2001−352159号公報
【特許文献3】特開2002−76593号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、プリント配線板用CADシステムを用いた従来の設計方法では、設計者に煩雑な作業が必要とされる場合がある。
【0011】
ここで、添付の図面を参照しながら、プリント配線板上に2個のSOP(small outline package)型ICを並べて配置する場合の従来の設計方法について説明する。図6(a)乃至(c)は、従来の設計方法を示す図である。
【0012】
先ず、図6(a)に示すように、プリント配線板(図示せず)上にSOP(small outline package)型IC111を配置する位置を決定すると共に、SOP型IC111の各端子に対応するランド114の位置を決定する。更に、各SOP型IC111に関し、フロー半田槽への進行方向110に対して最後方に位置するランド114の形状を、後方まで拡大したものとし、これを半田引きランド113とする。また、配線112の引き回し位置も決定する。
【0013】
但し、近年、プリント配線板に求められる実装密度は徐々に高まってきている。また、ICパッケージに限らず多くの電子部品において、端子数の増加と伴に端子間隔が狭くなってきている。また、動作特性の向上のために、搭載される電子部品間の配線についても、短縮の要請がある。例えば、動作速度の向上に伴って部品間の配線抵抗を下げるために、電子部品同士をなるべく近くに配置して、配線長を短縮することが求められている。
【0014】
そこで、図6(a)に示す配線12の引き回しでは、左側のSOP型IC111を180°回転させた方が配線112の長さが短くなるため、左側のSOP型IC111を180°回転させる。但し、この作業をプリント配線板用CADシステムで実施すると、図6(b)に示すように、左側のSOP型IC111の端子に対応するランド114のパターン情報も回転配置され、半田引きランド113のパターンも回転配置される。
【0015】
この結果、左側のSOP型IC111に対応する半田引きランド113の位置は、フロー半田槽への進行方向110に対して前方の位置になるため、このままでは半田引きランドとして機能せず、半田ブリッジが生成してしまう。このため、再度、配線112の引き回し位置を決定した後、半田引きランド113の位置を、図6(c)に示すように、後方の位置に修正する必要がある。
【0016】
このように、従来の設計方法では、必要に応じて設計者が手作業によってランドのパターンを修正している。このため、作業が煩雑であると共に、設計時間が多くかかる。また、設計変更漏れが発生したり、プリント配線板の設計内容の信頼性が低下したりすることもある。
【0017】
本発明は上述した問題点を鑑みてなされたものであり、半田付けの際に半田ブリッジを発生しにくくすることができるランドの設計方法及びプリント配線板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本願発明者は、前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、以下に示す発明の諸態様に想到した。
【0019】
本発明に係る第1のランドの設計方法は、プリント配線板上にフロー半田槽を用いて半田付けされる電子部品用のプリント配線板のランドの設計方法において、前記プリント配線板のフロー半田槽への進行方向に対して後方に位置する前記電子部品のランドの形状が半田引き形状を有するように、前記電子部品の1次部品データをもとに、前記進行方向が異なる複数の進行方向に応じて、複数種類の2次部品データを作成することを特徴とする。
【0020】
本発明に係る第2のランドの設計方法は、フロー半田槽を用いて電子部品が半田付けされるプリント配線板におけるランドの設計方法であって、前記プリント配線板に半田付けされる少なくとも一部の電子部品につき、当該電子部品に固有の情報を含む1次部品データから、当該電子部品のフロー半田槽への複数の進行方向に対して後方に位置するランドが半田引き形状を有する旨のデータを含む複数種類の2次部品データを作成しておき、前記プリント配線板上における電子部品の配置を決定するステップと、前記プリント配線板のフロー半田槽への進行方向及び前記電子部品の配置態様に基づいて、前記2次部品データが作成された電子部品について、前記複数種類の2次部品データのうちから一の2次部品データを選択して、各電子部品に対応するランドの形状を決定するステップと、を有することを特徴とする。
【0021】
本発明に係る第3のランドの設計方法は、フロー半田槽を用いて電子部品が半田付けされるプリント配線板におけるランドの設計方法であって、前記プリント配線板に半田付けされる少なくとも一部の電子部品につき、当該電子部品に固有の情報を含む1次部品データから、当該電子部品の端子が並ぶ方向と当該電子部品のフロー半田槽への進行方向との関係に基づいて、当該電子部品のフロー半田槽への複数の進行方向に対して後方に位置するランドが半田引き形状を有する旨のデータを含む複数種類の2次部品データを作成しておき、前記プリント配線板上における電子部品の配置を決定するステップと、前記プリント配線板のフロー半田槽への進行方向と前記電子部品の端子が並ぶ方向との関係に基づいて、前記2次部品データが作成された電子部品について、前記複数種類の2次部品データのうちから一の2次部品データを選択して、各電子部品に対応するランドの形状を決定するステップと、を有することを特徴とする。
【0022】
なお、前記プリント配線板の平面形状は実質的に四角形であってもよく、前記プリント配線板のフロー半田槽への進行方向は前記四角形の一辺に平行な方向であってもよい。
【0023】
本発明に係るプリント配線板は、フロー半田付け法及びディップ半田付け法等により、フロー半田槽を用いて電子部品が半田付けされるプリント配線板であって、それ自身に半田付けされる少なくとも一部の電子部品につき、当該電子部品に固有の情報を含む1次部品データから作成された、当該電子部品のフロー半田槽への複数の進行方向に対して後方に位置するランドが半田引き形状を有する旨のデータを含む複数種類の2次部品データを用い、それ自身のフロー半田槽への進行方向及び前記電子部品の配置態様に基づいて、前記2次部品データが作成された電子部品について、前記複数種類の2次部品データのうちから一の2次部品データを選択して形状が決定された各電子部品に対応するランドを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、フロー半田付け法及びディップ半田付け法等により電子部品の半田付けを行う際にも、半田ブリッジや短絡が発生しにくいランドを容易に設計することができ、また、このようなランドを備えたプリント配線板を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
先ず、フロー半田付け法の概要について説明する。図1は、フロー半田付け法の概要を示す図である。
【0026】
プリント配線板70の一方の表面に対してのみ半田付けを行う場合、当該表面を半田面94とし、これの裏側の表面を部品面93とする。プリント配線板70に、挿入式リード端子列を有するコネクタ(以下、コネクタという。)を搭載する場合には、コネクタの端子が貫通するスルーホールを形成し、その内部にめっき層を形成する。このとき、例えば、めっき層の部品面93側の端部及び半田面94側の端部のいずれもが各面上で広がるようにし、この広がった部分を、夫々部品面側ランド96、半田面側ランド97とする。なお、上記のコネクタは、プリント配線板に対向する面にリード端子列が設けられた穴挿入型の部品である。また、半田面94には、SOP型IC用のランド99も設けておく。SOP型ICは、例えばその平面形状が長方形であり、2つの長手側面にリード端子列が設けられた表面実装型の部品である。
【0027】
そして、コネクタ95の各リード端子を部品面93側からスルーホールに挿入し、半田面94側まで貫通させる。また、半田面94側のランド99にSOP型IC98を配置する。このような状態で、プリント配線版70を矢印92が示す方向に進行させ、フロー半田槽90からの溶融半田の噴流の表面91が半田面94に接するようにする。
【0028】
この結果、ランド99及び半田面側ランド97において半田付けが行われる。また、この半田付けの際には、スルーホールを介して半田面側ランド97近傍から部品面側ランド96まで半田が流動してくるため、部品面側ランド96における半田付けも同時に行われる。また、図1に示すように、部品面93上にSOP型IC71を搭載してもよく、この固定もリフローにより行われる。
【0029】
次に、上述のようにして行われるフロー半田付け法による半田付けが行われるプリント配線板の設計方法について、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明において、「進行方向」とは、フロー半田付け法においてプリント配線板をフロー半田槽に搬送する際のプリント配線板及び電子部品のフロー半田槽への進行方向をいう。
【0030】
本実施形態では、プリント配線板上に配置設計する電子部品に固有の1次部品データから、必要に応じて、電子部品ごとに複数の2次部品データを作成する。1次部品データには、例えば、外形、端子の形状及び数、部品マーキング等の他に端子に対応する標準のランドパターン、半田レジストパターン並びにスルーホール形状等に関するデータが含まれる。一方、2次部品データは、当該電子部品のフロー半田付け法における進行方向と端子が並ぶ方向(以下、電子部品の基準方向ともいう)との関係に基づいて、半田ブリッジの発生を防止するために作成される、所謂半田引き形状のランドを有するデータである。従って、フロー半田付け法以外の方法で半田付けが行われる場合の設計では、1次部品データにおける標準のランドパターンをそのまま用いることもできる。
【0031】
図2は、本発明の実施形態における1次部品データと2次部品データとの関係を示す図である。ここでは、実装する電子部品としてコネクタ及びSOP型ICを例に挙げて説明する。
【0032】
1次部品データには、図2に示すように、コネクタ及びSOP型ICの夫々の端子に対応する標準のランド4の形状、大きさ及び位置を示す情報が含まれている。また、コネクタに関しては、スルーホール5の位置等を示す情報も含まれている。更に、コネクタ及びSOP型ICのいずれについても、予め基準方向が定められており、これを示す情報も含まれている。なお、本実施形態では、コネクタ及びSOP型ICの基準方向を夫々の端子が並ぶ方向としているが、必ずしもこれらが一致している必要はなく、基準方向は任意に設定することができる。例えば、QFP(Quad Flat Package)のように、端子が電子部品の4辺に沿って配置されている場合には、端子が並ぶ方向は1方向でないため、端子が並ぶ方向を一意に限定することができない。このような場合、端子が並ぶ方向のいずれか、又は電子部品の一の対角線と平行な方向等を基準方向とすればよい。
【0033】
そして、これらの1次部品データから、プリント配線板の進行方向と電子部品の基準方向との関係に基づいて2次部品データを作成する。ここでは、プリント配線板の平面形状を実質的な四角形とし、その長手方向を進行方向とするものと仮定する。また、コネクタについては、その基準方向を基準とした時計回り方向への進行方向のなす4種類の角度(0°、90°、180°、270°)ごとに、2次部品データを作成し、SOP型ICについては、その基準方向を基準とした時計回り方向への進行方向のなす2種類の角度(0°、180°)ごとに、2次部品データを作成するものとする。なお、2次部品データはこれらの角度のものに限定されることはなく、電子部品の搭載角度を45°ピッチとして、他になす角度が45°、135°等の場合のものを作成してもよい。また、SOP型ICについて、なす角度が90°、270°となる場合の2次部品データを作成しないのは、このような配置を採用すると半田付けを行いにくいからである。
【0034】
上述のように、コネクタについては、図2に示すように、1次部品データに基づいて4種類の2次部品データを作成する。プリント配線板の進行方向とコネクタの基準方向とのなす角度が0°の場合には、進行方向に対して最後方に位置するランド4を後方に拡大したものとし、これを半田引きランド3とする。なす角度が90°の場合には、各ランド4を進行方向に対して後方に拡大したものとし、これらを半田引きランド3とする。なす角度が180°の場合には、進行方向に対して最後方に位置するランド4を後方に拡大したものとし、これを半田引きランド3とする。なす角度が270°の場合には、各ランド4を進行方向に対して後方に拡大したものとし、これらを半田引きランド3とする。
【0035】
また、上述のように、SOP型ICについては、図2に示すように、1次部品データに基づいて2種類の2次部品データを作成する。プリント配線板の進行方向とSOP型ICの基準方向とのなす角度が0°の場合には、進行方向に対して最後方に位置するランド4を後方に拡大したものとし、これを半田引きランド3とする。同様に、なす角度が180°の場合にも、進行方向に対して最後方に位置するランド4を後方に拡大したものとし、これを半田引きランド3とする。但し、上述のように、なす角度が90°又は270°の場合の2次部品データは作成しない。
【0036】
なお、これらのランドに関するデータだけでなく、半田レジストパターンについても、同様に半田引きランド3に対応するパターンを2次部品データ(図示せず)として作成することが好ましい。
【0037】
そして、プリント配線板6の設計を実際に行うに当たっては、図3に示すように、プリント配線板用CADシステムを用いて、1次部品データに基づいて各コネクタ11〜14及びSOP型IC15〜16の配置及び半田引きランドの位置等を決定すると共に、配線長等を考慮して各コネクタ11〜14及びSOP型IC15〜16の向きを決定する。そして、プリント配線板6上での配置位置及び向きが決定された後の各電子部品(コネクタ及びSOP型IC)の基準方向を、夫々の配置方向21〜26とする。
【0038】
次いで、進行方向20と各コネクタ及びSOP型ICの配置方向21〜26との関係を考慮して、図2に示す2次部品データを適用し、図4に示すように、各コネクタ及びSOP型ICの半田引きランドの形状等を決定する。但し、このステップは、2次部品データを予めプリント配線板用CADシステムがアクセス可能な記録媒体に記録しておけば、設計者が個々に実行せずとも、プリント配線板用CADシステムに自動的に実行させることが可能である。
【0039】
具体的には、コネクタ11に対しては、配置方向21を基準とした時計回り方向への進行方向20のなす角度が0°であるため、図2中の2次部品データのうち1番上に位置するものを選択する。
【0040】
コネクタ12に対しては、配置方向22を基準とした時計回り方向への進行方向20のなす角度が90°であるため、図2中の2次部品データのうち上から2番目に位置するものを選択する。
【0041】
コネクタ13に対しては、配置方向23を基準とした時計回り方向への進行方向20のなす角度が180°であるため、図2中の2次部品データのうち上から3番目に位置するものを選択する。
【0042】
コネクタ14に対しては、配置方向24を基準とした時計回り方向への進行方向20のなす角度が270°であるため、図2中の2次部品データのうち1番下に位置するものを選択する。
【0043】
また、SOP型IC15に対しては、配置方向25を基準とした時計回り方向への進行方向20のなす角度が0°であるため、図2中の2次部品データのうち1番上に位置するものを選択する。
【0044】
SOP型IC16に対しては、配置方向26を基準とした時計回り方向への進行方向20のなす角度が180°であるため、図2中の2次部品データのうち上から3番目に位置するものを選択する。
【0045】
このような本発明の実施形態によれば、予め2次部品データを作成しておくことにより、半田ブリッジが生じにくい半田引きランド等のランドの配置を自動的に決定することができる。このため、煩雑な作業が省かれると共に、設計の誤りが生じにくくなり、設計内容の信頼性が向上する。
【0046】
なお、図3に示す配置例には、その配置方向(基準方向)が進行方向20と直交するSOP型ICを含ませていないが、これは、このようなSOP型ICを配置すると、進行方向20との関係から、適切な半田付けを行うことが困難だからである。
【0047】
また、図3に示すようなコネクタの配置がなされるプリント配線板6に対し、その長手方向に直交する方向を進行方向とすると共に、SOP型IC15〜16の配置を省略する場合には、図5に示すように、各コネクタの半田引きランドの位置及び形状等を決定することとなる。ここで、SOP型IC15〜16の配置を省略するのは、SOP型IC15〜16を配置すると、進行方向30との関係から、適切な半田付けを行うことが困難だからである。回路構成上必要とされるのであれば、90°回転させて配置すればよい。
【0048】
この場合、進行方向30が図4中の進行方向20から時計回りの方向に270°ずれた方向となっているため、これに付随して、コネクタ11〜14の配置方向21〜24と進行方向30とがなす角度も変化している。このため、各コネクタ11〜14に対応するランド形状等も変化させる必要がある。
【0049】
即ち、コネクタ11に対しては、配置方向21を基準とした時計回り方向への進行方向30のなす角度が270°であるため、図2中の2次部品データのうち1番下に位置するものを選択する。
【0050】
コネクタ12に対しては、配置方向22を基準とした時計回り方向への進行方向30のなす角度が0°であるため、図2中の2次部品データのうち1番上に位置するものを選択する。
【0051】
コネクタ13に対しては、配置方向23を基準とした時計回り方向への進行方向30のなす角度が90°であるため、図2中の2次部品データのうち上から2番目に位置するものを選択する。
【0052】
コネクタ14に対しては、配置方向24を基準とした時計回り方向への進行方向30のなす角度が180°であるため、図2中の2次部品データのうち上から3番目に位置するものを選択する。
【0053】
このようなランドの設計を行うことにより、プリント配線板6の長手方向に直交する方向を進行方向とする場合にも、半田ブリッジが生じにくいランドの配置を自動的に決定することができる。
【0054】
なお、設計者により配置された電子部品に対して、1次部品データがあっても適切な2次部品データが存在しない場合(例えば、進行方向に対して基準方向が直交するようにSOP型ICが配置されている場合)には、プリント配線板用CADシステムが警告を発するようにしてもよい。また、警告が発せられないとしても、2次部品データが割り当てられないため、設計者はその配置では設計を行うことができないことを容易に認識することができる。
【0055】
また、上述の実施形態では、半田引きランド3を端子が接続されるランドとしているが、半田引きランドとして、端子が接続されないランドを擬似ランド(ダミーランド)として設けるようにしてもよい。
【0056】
なお、本発明の実施形態は、例えばコンピュータがプログラムを実行することによって実現することができる。また、プログラムをコンピュータに供給するための手段、例えばかかるプログラムを記録したCD−ROM等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体又はかかるプログラムを伝送するインターネット等の伝送媒体も本発明の実施形態として適用することができる。また、上記のプログラムも本発明の実施形態として適用することができる。上記のプログラム、記録媒体、伝送媒体及びプログラムプロダクトは、本発明の範疇に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】フロー半田付け法の概要を示す図である。
【図2】本発明の実施形態における1次部品データと2次部品データとの関係を示す図である。
【図3】コネクタ11〜14及びSOP型IC15〜16の配置の例を示す図である。
【図4】コネクタ11〜14及びSOP型IC15〜16の半田引きランドの位置及び形状の例を示す図である。
【図5】コネクタ11〜14の半田引きランドの位置及び形状の他の例を示す図である。
【図6】ランドの従来の設計方法を示す図である。
【符号の説明】
【0058】
3:ランド
4:半田引きランド
5:スルーホール
6:プリント配線板
11〜14:コネクタ
15、16:SOP型IC
20、30:進行方向
21〜26:配置方向
110:進行方向
111:SOP型IC
112:配線
113:半田引きランド
114:ランド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント配線板上にフロー半田槽を用いて半田付けされる電子部品用のプリント配線板のランドの設計方法において、
前記プリント配線板のフロー半田槽への進行方向に対して後方に位置する前記電子部品のランドの形状が半田引き形状を有するように、前記電子部品の1次部品データをもとに、前記進行方向が異なる複数の進行方向に応じて、複数種類の2次部品データを作成することを特徴とするランドの設計方法。
【請求項2】
フロー半田槽を用いて電子部品が半田付けされるプリント配線板におけるランドの設計方法であって、
前記プリント配線板に半田付けされる少なくとも一部の電子部品につき、当該電子部品に固有の情報を含む1次部品データから、当該電子部品のフロー半田槽への複数の進行方向に対して後方に位置するランドが半田引き形状を有する旨のデータを含む複数種類の2次部品データを作成しておき、
前記プリント配線板上における電子部品の配置を決定するステップと、
前記プリント配線板のフロー半田槽への進行方向及び前記電子部品の配置態様に基づいて、前記2次部品データが作成された電子部品について、前記複数種類の2次部品データのうちから一の2次部品データを選択して、各電子部品に対応するランドの形状を決定するステップと、
を有することを特徴とするランドの設計方法。
【請求項3】
フロー半田槽を用いて電子部品が半田付けされるプリント配線板におけるランドの設計方法であって、
前記プリント配線板に半田付けされる少なくとも一部の電子部品につき、当該電子部品に固有の情報を含む1次部品データから、当該電子部品の端子が並ぶ方向と当該電子部品のフロー半田槽への進行方向との関係に基づいて、当該電子部品のフロー半田槽への複数の進行方向に対して後方に位置するランドが半田引き形状を有する旨のデータを含む複数種類の2次部品データを作成しておき、
前記プリント配線板上における電子部品の配置を決定するステップと、
前記プリント配線板のフロー半田槽への進行方向と前記電子部品の端子が並ぶ方向との関係に基づいて、前記2次部品データが作成された電子部品について、前記複数種類の2次部品データのうちから一の2次部品データを選択して、各電子部品に対応するランドの形状を決定するステップと、
を有することを特徴とするランドの設計方法。
【請求項4】
前記プリント配線板の平面形状は実質的に四角形であり、
前記プリント配線板のフロー半田槽への進行方向は前記四角形の一辺に平行な方向であることを特徴とする請求項2又は3に記載のランドの設計方法。
【請求項5】
フロー半田槽を用いて電子部品が半田付けされるプリント配線板であって、
それ自身に半田付けされる少なくとも一部の電子部品につき、当該電子部品に固有の情報を含む1次部品データから作成された、当該電子部品のフロー半田槽への複数の進行方向に対して後方に位置するランドが半田引き形状を有する旨のデータを含む複数種類の2次部品データを用い、
それ自身のフロー半田槽への進行方向及び前記電子部品の配置態様に基づいて、前記2次部品データが作成された電子部品について、前記複数種類の2次部品データのうちから一の2次部品データを選択して形状が決定された各電子部品に対応するランドを有することを特徴とするプリント配線板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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