説明

ランプ制御装置およびランプ制御方法

【課題】使用者がランプの性能を意識することなく輝度調整を行うことがきるランプ制御装置を提供する。
【解決手段】搭載されたランプ50に電力を供給するランプ電源10を備えるランプ制御装置であって、情報の入力が可能な操作部3と、ランプ50として使用可能な複数のランプについて、それぞれの性能を示す絶対定格データがランプを識別可能なランプ識別情報と関連付けられて格納されるメモリ2と、操作部3を通じて指定されたランプ識別情報に基づいて、メモリ2から該当する絶対定格データを取得し、該取得した絶対定格データを参照してランプ電源10の出力を制御する制御部1とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ランプに電力を供給するランプ電源の出力を制御する装置および方法に関し、特に、プロジェクタに搭載されるランプ電源の出力を制御する装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、プロジェクタは、容量や性能の異なるランプを使用することができるように構成されている(特許文献1参照)。例えば、プロジェクタでは、大きなスクリーンに映像を映す場合は、容量の大きなランプを使用し、小さなスクリーンに映像を映す場合には、容量の小さなランプを使用する、といった使い分けが可能である。このような使用形態においては、スクリーンに映し出した映像の明るさを規定の明るさに保つために、使用するランプの容量の大きさに応じて、ランプの駆動電流や電力を調整する必要がある。
【0003】
図7は、ランプの駆動電流や電力を調整することのできる、一般的なランプ制御装置の構成を示すブロック図である。図7を参照すると、ランプ制御装置は、高電圧のイグニッション電圧をランプ50に印加するイグナイター40と、イグニッション電圧を発生させるためのチャージ電圧を生成してイグナイター40に供給するランプ電源10と、ランプ50に供給される電流または電圧を調整するための調整回路20と、ランプ電源10の出力電流を計測してその計測値を表示する電流計30とから構成されている。ランプ50として、容量や性能の異なるランプを使用することができる。ランプ50の輝度を調整する場合は、使用者が、電流計30を観測しながら、調整回路20にてランプ電源10の出力を調整する。この調整において、使用者は、使用するランプ50の最大定格(最大定格電流、最大定格電圧、最大定格電力)を超えないように注意しなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−203791号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ランプは消耗品であり、規定の明るさで発光できる使用可能時間を過ぎたものは、新しいものに交換することになる。消費者は、できるだけ運用コストを低減するために、プロジェクタ製造会社が指定するランプ以外に価格の安いランプがあれば、それを使用することを望む。しかし、上述した従来のランプ制御装置においては、使用者が、ランプの最大定格を超えないように注意しなら、ランプ電源の出力を調整するようになっており、誤って最大定格を超えて操作した場合には、ランプの破損や損傷を招くことになる。特に、ランプの詳細仕様についての知識を持たない一般の消費者では、そのような操作ミスを犯す可能性が高い。こういったことから、消費者は、安価なランプがあっても、実際にそれを使用することは難しかった。
【0006】
また、使用者は、ランプ電源の出力を調整する際には、最大定格だけでなく、ランプの駆動に必要な最少定格(最低駆動電流および最低供給電力)も意識する必要がある。このような最少定格を意識した調整も、使用者の負担を増加する要因となっている。なお、ランプを最少定格以上で駆動しなければ、安定した発光を得ることはできない。
【0007】
さらに、映画館で使用されるプロジェクタにおいては、上映の度に、ランプ電源の出力調整を行う必要がある。上映の度に、ランプの絶対定格(最大定格および最小定格)を意識しながら輝度調整を行うことは、面倒であり、使用者にとって大きな負担となる。
【0008】
また、ランプは数百時間使用すると発光能力が低下する。プロジェクタによっては、そのような発光能力の低下を考慮し、数百時間使用した古いランプについては、駆動電流あるいは供給電力を大きくするような調整機能を有するものもある。このような調整機能を有するプロジェクタにおいては、使用者がランプの絶対定格を意識しながら輝度調整を行ったとしても、調整機能による駆動電流あるいは供給電力の増幅のために、駆動電流あるいは供給電力がランプの最大定格を超えることがある。なお、調整機能による駆動電流あるいは供給電力の増幅を、使用者が判断することは困難である。
【0009】
本発明の目的は、上記各問題を解決し、使用者がランプの性能を意識することなく輝度調整を行うことがきるランプ制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明は、情報の入力および指定が可能な操作部と、ランプに電力を供給するランプ電源と、前記ランプとして使用可能な複数のランプについて、それぞれの性能を示す絶対定格データ(最大定格や最少定格などのデータ)がランプを識別可能なランプ識別情報と関連付けられて格納される記憶部と、前記操作部を通じて指定されたランプ識別情報に基づいて、前記記憶部から該当する絶対定格データを取得し、該取得した絶対定格データを参照して前記ランプ電源の出力を制御する制御部と、を有する。
【0011】
上記の構成によれば、使用者が、操作部を通じて、使用するランプのランプ識別情報(例えば、ランプ名)を指定すると、制御部が、その使用するランプの絶対定格データを記憶部から取得し、その取得した絶対定格データを参照してランプ電源の出力を制御する。例えば、絶対定格データが、ランプ駆動電流、ランプ駆動電圧およびランプ電力のそれぞれの最大定格値を含む場合は、制御部は、ランプ電源の出力状態を監視し、該監視により得られる出力電流値および出力電圧値に基づいて電力値を算出し、該出力電流値、該出力電圧値および該算出した電力値のすくなくとも1つが、上記最大定格値を超えた場合に、ランプ電源の出力電流を減少させる。また、絶対定格データが、ランプ駆動電流、ランプ駆動電圧およびランプ電力のそれぞれの最少定格値を含む場合は、制御部は、ランプ電源の出力状態を監視し、該監視により得られる出力電流値および出力電圧値に基づいて電力値を算出し、該出力電流値、該出力電圧値および該算出した電力値のすくなくとも1つが、上記最少定格値を下回った場合に、ランプ電源の出力電流を増大させる。このように、ランプ電源の出力は、使用するランプの絶対定格データの範囲内に自動的に制限されるので、使用者は、ランプの絶対定格を意識することなく、ランプ輝度の調整を行うことができる。加えて、ランプ電源の出力が自動制御されることから、誤って最大定格を超えて操作する、といった人為的な操作ミスの問題や、調整機能による駆動電流あるいは供給電力の増幅のために、駆動電流あるいは供給電力がランプの最大定格を超える、といった問題も生じない。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、使用者は、ランプの絶対定格を意識することなく、ランプ輝度の調整を行うことができるので、容量や性能の異なるランプを使い分ける際の、輝度調整に伴う使用者の負担を従来よりも軽減することができる。
【0013】
加えて、ランプの詳細仕様についての知識を持たない一般の消費者であっても、プロジェクタ製造会社が指定するランプ以外の安価なランプを容易に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1の実施形態であるランプ制御装置の構成を示すブロック図である。
【図2】データベースに登録される絶対定格データの一例を示す図である。
【図3】図1に示す制御部によって行われる、定常動作時のランプ制御処理の一手順を示すフローチャートである。
【図4】図1に示す制御部によって行われる、ランプ輝度調整時のランプ制御処理の一手順を示すフローチャートである。
【図5】本発明の第2の実施形態であるランプ制御装置において行われる監視サイクル制御処理の一手順を示すフローチャートである。
【図6】本発明の他の実施形態であるランプ制御装置の構成を示すブロック図である。
【図7】ランプの駆動電流や電力を調整することのできる、一般的なランプ制御装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0016】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態であるランプ制御装置の構成を示すブロック図である。図1を参照すると、ランプ制御装置は、ランプ50として、容量の異なるランプを使用することができるプロジェクタに用いられるものであって、制御部(CPU)1、メモリ2、操作部3、表示部4、ランプ電源10およびイグナイター40を有する。
【0017】
イグナイター40は、高電圧のイグニッション電圧をランプ50に印加するものである。ランプ電源10は、イグニッション電圧を発生させるためのチャージ電圧を生成してイグナイター40に供給するものであって、当該ランプ電源の出力状態(出力電流値/出力電圧値)を制御部1に供給するための状態検出回路10aを備えている。この状態検出回路10aの具体例として、ランプ電源の出力電流が流れるラインに直列に挿入した微少の抵抗と、該抵抗の両端における電圧値をA/D変換した値を出力するA/Dコンバータとからなる電流検出回路がある。
【0018】
メモリ2は、例えば半導体メモリより構成されるものであって、制御部1を構成するCPUを動作させるのに必要なプログラムやデータ(ランプ50に供給される電流や電圧を制御するためのデータを含む)が格納される。操作部3は、タッチパネルや入力用キーなどからなる。使用者は、この操作部3上で、ランプ50を点灯させるための操作、データの登録や設定(輝度調整などを含む)を行うための操作などを行う。表示部4は、液晶パネルに代表される表示パネルよりなる。
【0019】
制御部1は、操作部3からの入力に応じて、ランプ電源10、メモリ2および表示部4における各動作を制御する。例えば、制御部1は、使用者が操作部3を通じて入力したランプの性能を示す絶対定格データ(ランプ駆動電流、ランプ駆動電圧、ランプ電力のそれぞれの最大定格や最少定格のデータ)をメモリ2に格納して管理したり、動作中のランプ電源10の出力状態を表示部4に表示させたりする。また、制御部1は、操作部3を通じて指定されたランプの絶対定格データをメモリ2から取得し、その取得した絶対定格データを参照してランプ電源10の出力を制御する。
【0020】
メモリ2に格納される絶対定格データは、データベース化されて管理される。図2に、絶対定格データの一例を示す。図2に示すように、絶対定格データは、「ランプ名称」、「電流(A)」、「電力(W)」、「寿命時間(h)」といった項目に分けて管理される。電流(A)および「電力(W)」の項目は、さらに「最小」、「標準」、「最大」といった項目に分けられている。ここで、「最小」は、最小定格電流、最小定格電力である。「最大」は、最大定格電流、最大定格電力である。「寿命時間(h)」は、規定の明るさで発光できる使用可能時間である。
【0021】
次に、本実施形態のランプ制御装置の動作について具体的に説明する。
【0022】
[絶対定格データの登録]
使用者は、ランプ50として、絶対定格データがデータベースに登録されていないランプを使用する場合は、その使用するランプの絶対定格データをデータベースに登録する。絶対定格データの登録では、まず、使用者は、操作部3上で、絶対定格データの登録を行うための入力操作を行う。この入力操作に応じて、制御部1は、メモリ2に予め格納されている絶対定格データの登録処理に関するプログラムを読み出して実行する。
【0023】
絶対定格データの登録処理が実行されると、制御部1は、表示部4にて絶対定格データ登録画面を表示させる。この絶対定格データ登録画面には、図2に示した絶対定格データの各項目についてのデータを入力するための欄が設けられており、使用者は、操作部3を通じて、必要な項目欄に、今回使用するランプの絶対定格データを入力する。データ入力後、絶対定格データ登録画面に設けられた登録実行のボタンが押下されると、制御部1は、入力された各項目のデータをメモリ2のデータベースに登録する。
【0024】
上記の絶対定格データの登録は、ランプを点灯する前であれば、いつ行ってもよい。また、ここでは、使用者自身が、使用するランプの絶対定格データを登録するようになっているが、プロジェクタ製造会社側が、使用可能な複数のランプの絶対定格データをメモリ2に予め登録しておいてもよい。
【0025】
[定常動作時のランプ制御]
次に、プロジェクタの電源をONにして、定常動作を行っている場合における、制御部1によるランプ電源10の制御動作について説明する。
【0026】
使用者は、操作部3上で、ランプを点灯するための入力操作を行う。この入力操作に応じて、制御部1は、メモリ2に予め格納されているランプ制御処理に関するプログラムを読み出して実行する。
【0027】
図3に、定常動作時のランプ制御処理の一手順を示す。まず、制御部1は、使用するランプを決定するための画面として、絶対定格データがメモリ2に登録されているランプの名称の一覧を含む使用ランプ決定画面を表示部4にて表示させる。使用者は、操作部3を通じて、その表示されたランプ名称の一覧から使用するランプの名称を選択入力する(ステップS1)。表示された一覧に使用するランプの名称が含まれていない場合は、上述の絶対定格データの登録処理を行う。
【0028】
ランプ名称が選択されると、制御部1は、ランプ電源10を起動し、前回の輝度調整時にランプ輝度調整値としてメモリ2に記憶したランプ輝度設定データを読み出し、その読み出したランプ輝度設定データに基づいてランプ電源10の出力を制御する(ステップS2)。ここで、ランプ輝度設定データは、イグニッション後のランプの点灯輝度を決定するデータであって、具体的には、ランプ電源10の出力電流値(すなわち、ランプに流れる電流の値)である。制御部1は、輝度調整が行われる度に、そのランプ輝度調整値をランプ輝度設定データとしてメモリ2に記憶させる。メモリ2には、最後に行った輝度調整時のランプ輝度設定データが格納される。
【0029】
続いて、制御部1は、状態検出回路10aを通じて、現在のランプ駆動状態としてランプ電源10の出力電流値、出力電圧値を取得し(ステップS3)、その取得した値からランプにかかっている電力を算出する(ステップS4)。そして、制御部1は、ステップS1で決定したランプの絶対定格データをメモリ2から取得し(ステップS5)、その取得した絶対定格データ(最小電流値、最大電流値、最小電力値、最大電力値)と、ステップS3で取得した出力電流値およびステップS4で算出した電力値とを比較し、出力電流値および電力値が、最大定格を上限、最小定格を下限とする所定の範囲内にあるか否を判断する(ステップS6)。このステップS6では、具体的には、出力電流値および電力値が、最大定格を超えていないか、最小定格を下回っていないか、といった判断が行われる。
【0030】
ステップS6で、電流値および電力値の少なくとも一方が、最大定格を超えていると判断した場合は、制御部1は、ランプ電源10の出力電流値を予め設定された量だけ減少させる(ステップS7)。また、ステップS6で、電流値および電力値の少なくとも一方が、最小定格を下回ったと判断した場合は、制御部1は、ランプ電源10の出力電流値を予め設定された量だけ増大させる(ステップS7)。このステップ7でランプ電源10の出力電流値を増減した後、ステップ3に戻る。
【0031】
一方、ステップS6の判断で、出力電流値および電力値のいずれも、最大定格以下で、最小定格以上であった場合は、ステップS7の出力値制御は行わずに、そのままステップ3に戻る。
【0032】
上述のランプ制御処理において、制御部1は、ステップS3で取得した出力電流値およびステップS4で算出した電力値を表示部4に表示させるようにしてもよい。この表示により、使用者は、現在のランプ駆動状態を目視により確認することができる。
【0033】
また、ステップ7で制御部1がランプ電源10の出力電流値を増減する量は、ランプ電源10の仕様によって決まる。ランプ電源は、決められた量(調整幅)でその出力電流を調節できるような構成になっており、制御部1による出力電流値の増減の幅は、ランプ電源の調整幅を最小単位として設定することができる。
【0034】
[ランプ輝度調整時のランプ制御動作]
次に、使用者が、操作部3上で、ランプ輝度を調整するための入力操作を行った場合におけるランプ制御動作について説明する。
【0035】
ランプ輝度を調整するための入力操作に応じて、制御部1は、メモリ2に予め格納されているランプ輝度調整時のランプ制御処理に関するプログラムを読み出して実行する。
【0036】
図4に、ランプ輝度調整時のランプ制御処理の一手順を示す。ランプの輝度を増加または減少する旨の調整の命令が操作部3から制御部1に供給される(ステップS8)。制御部1は、操作部3から供給された命令に従って、ランプ電源10の出力電流を増減する制御を行う(ステップS9)。このステップS9の後は、制御部1は、図3に示したステップS3〜S7の処理を繰り返す。
【0037】
以上説明した本実施形態のランプ制御装置によれば、ランプ電源10の出力は、使用するランプの絶対定格データの範囲内に自動的に制限されるので、使用者は、ランプの絶対定格を意識することなく、ランプ輝度の調整を行うことができる。加えて、誤って最大定格を超えて操作する、といった人為的な操作ミスの問題や、調整機能による駆動電流あるいは供給電力の増幅のために、駆動電流あるいは供給電力がランプの最大定格を超える、といった問題も生じない。
【0038】
また、使用者は、ランプの絶対定格を意識することなく、ランプ輝度の調整を行うことができるので、容量や性能の異なるランプを使い分ける際の、輝度調整に伴う使用者の負担を従来よりも軽減することができる。
【0039】
加えて、ランプの詳細仕様についての知識を持たない一般の消費者であっても、プロジェクタ製造会社が指定するランプ以外の安価なランプを容易に使用することができる。
【0040】
(第2の実施形態)
本実施形態のランプ制御装置は、第1の実施形態のランプ制御装置の各処理機能に加えて、ランプ電源10の出力状態の監視サイクル(図3に示したステップS3〜S7の処理の繰り返しの間隔に対応する)を、ランプ電源10の出力状態値(出力電流値、出力電圧値)や算出した電力値に応じて制御する機能を有する。
【0041】
メモリ2には、閾値T1(T1≦最大定格値)および監視サイクル値C1、C2(C1>C2)が予め格納されている。出力電流値との比較を行う場合は、最小定格値は最小定格電流とされ、最大定格値は最大定格電流とされる。出力電圧値との比較を行う場合は、最小定格値は最小定格電圧とされ、最大定格値は最大定格電圧とされる。算出電力値との比較を行う場合は、最小定格値は最小定格電力とされ、最大定格値は最大定格電力とされる。閾値T1および監視サイクル値C1、C2は、使用者が適宜設定することができる。
【0042】
制御部1は、出力状態値および算出電力値に基づいて監視サイクルの間隔を制御する。図5に、この制御部1によって行われる監視サイクル制御処理の一手順を示す。この監視サイクル制御処理は、上述した定常動作時のランプ制御およびランプ輝度調整時のランプ制御の処理と並行して実行される。
【0043】
まず、制御部1は、指定された監視サイクルでランプ電源の出力電流値、出力電圧値をそれぞれ取得する(ステップS10)。このステップS10は、図3に示したステップS3でのランプ電源状態取得に対応する。起動時は、監視サイクルの間隔はデフォルト値(ここでは、監視サイクル値C1)とされている。
【0044】
続いて、制御部1は、ステップS10で取得した出力電流値および出力電圧値から電力値を算出する(ステップS11)。このステップS11は、図3に示したステップS4に対応する。
【0045】
続いて、制御部1は、ステップS10で取得した出力状態値(出力電流値、出力電圧値)およびステップS11で算出した電力値がそれぞれ、閾値T1以下か否かを判断する(ステップS12)。閾値T1以下の場合は、制御部1は、監視サイクルの間隔を監視サイクル値C1とする(ステップS13)。ステップS10で取得した出力状態値(出力電流値、出力電圧値)およびステップS11で算出した電力値の少なくとも1つが、閾値T1を超えた場合は、制御部1は、監視サイクルの間隔を監視サイクル値C2とする(ステップS14)。
【0046】
上述した第1の実施形態のランプ制御装置では、出力状態値(出力電流値、出力電圧値)および電力値の少なくとも1つが、最大定格を超えた場合、その状態が次の監視サイクルまで保持される。この最大定格を超えた状態を保持する期間は、ランプの性能劣化(破損や損傷を含む)を考えると、できるだけ短い方がよい。上記の監視サイクル制御処理によれば、出力状態値(出力電流値、出力電圧値)および電力値の少なくとも1つが最大定格に近付いた場合(閾値T1を超えた場合)は、監視サイクルの間隔は、監視サイクル値C2(<C1)に設定されるので、最大定格を超えた状態を保持する期間を短くすることができる。
【0047】
また、上記の監視サイクル制御処理によれば、出力状態値(出力電流値、出力電圧値)および電力値がそれぞれ、最大定格に対して余裕のある場合(閾値T1以下の場合)は、監視サイクルの間隔は、監視サイクル値C1(>C2)に設定される。このように監視サイクルの間隔を長くすることで、制御部1の処理の負担を軽減することができる。なお、監視サイクルの間隔を短くすると、その分、制御部1の処理の負担は増大する。
【0048】
(他の実施形態)
第1および第2の実施形態のランプ制御装置では、操作部3からの入力操作に応じた命令にしたがって制御部1がランプ電源10の出力の制御を行うようになっているが、専用リモコンやパーソナルコンピュータなどの外部の制御装置(操作部)からの命令に応じて制御部1がランプ電源10の出力の制御を行うような構成とすることも可能である。
【0049】
図6に、外部の制御装置による出力制御が可能なシステムの構成を示す。図6を参照すると、このシステムは、図1に示した構成に、制御装置5および外部メモリ6を加えた構成となっている。制御装置5は、専用リモコンやパーソナルコンピュータなどの装置であって、制御部1と接続されている。外部メモリ6は、半導体メモリに代表される記憶装置であって、例えばUSBメモリ、PCカードメモリなどである。外部メモリ6は、制御部1に接続されている。制御部1は、操作部3または制御装置5からの命令にしたがって、ランプ電源10の出力の制御や絶対定格データの登録の処理を行う。また、制御部1は、制御装置5または操作部3からの命令にしたがって、メモリ2または外部メモリ6から必要なデータ(絶対定格データなどを含む)を取得する。
【0050】
上述した各実施形態のランプ制御装置は、本発明の一例であり、その構成および動作は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変更することができる。例えば、操作部と表示を一体的に構成したタッチパネルディスプレイを用いてもよい。
【0051】
また、ランプ性能データは、図2に示した項目に限られるものではなく、使用温度範囲など、ランプを使用するにあたって守らなければならない条件を追加してもよい。
【0052】
また、図2に示した例では、ランプ識別情報としてランプ名が用いられるが、ランプ識別情報はランプ名に限られるものではなく、ランプを識別可能であれば、他のどのような識別情報を用いてもよい。ただし、使用者が、ランプを指定する場合は、ランプ名が表示されることが望ましい。
【0053】
以上説明した本発明のランプ制御装置は、種々のプロジェクタに適用することができる。本発明を適用したプロジェクタの主構成は、上述の各実施形態のいずれかのランプ制御装置と、このランプ制御装置によって駆動電流が制御されるランプと、このランプからの光で照明される空間光変調器(例えば液晶表示デバイス)と、この空間光変調器で生成された変調光(画像や映像などを含む)を投写するための光学系とからなる。
【0054】
また、本発明は、プロジェクタの他、ランプ電源をCPUで制御するシステム一般に適用することができる。
【符号の説明】
【0055】
1 制御部(CPU)
2 メモリ
3 操作部
4 表示部
10 ランプ電源
40 イグナイター
50 ランプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報の入力が可能な操作部と、
ランプに電力を供給するランプ電源と、
前記ランプとして使用可能な複数のランプについて、それぞれの性能を示す絶対定格データがランプを識別可能なランプ識別情報と関連付けられて格納される記憶部と、
前記操作部を通じて指定されたランプ識別情報に基づいて、前記記憶部から該当する絶対定格データを取得し、該取得した絶対定格データを参照して前記ランプ電源の出力を制御する制御部と、を有することを特徴とするランプ制御装置。
【請求項2】
前記絶対定格データは、ランプ駆動電流、ランプ駆動電圧およびランプ電力のそれぞれの最大定格値を含み、
前記制御部は、前記ランプ電源の出力状態を監視し、該監視により得られる出力電流値および出力電圧値に基づいて電力値を算出し、該出力電流値、該出力電圧値および該算出した電力値のすくなくとも1つが、前記最大定格値を超えた場合に、前記ランプ電源の出力電流を減少させる、請求項1に記載のランプ制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記出力電流値、前記出力電圧値および前記算出した電力値がいずれも基準値以下である場合は、第1の監視サイクルで前記ランプ電源の出力状態の監視を行い、前記出力電流値、前記出力電圧値および前記算出した電力値のすくなくとも1つが前記基準値を超えた場合は、前記第1の監視サイクルより短い第2の監視サイクルで、前記ランプ電源の出力状態の監視を行う、請求項2に記載のランプ制御装置。
【請求項4】
前記絶対定格データは、ランプ駆動電流、ランプ駆動電圧およびランプ電力のそれぞれの最少定格値を含み、
前記制御部は、前記ランプ電源の出力状態を監視し、該監視により得られる出力電流値および出力電圧値に基づいて電力値を算出し、該出力電流値、該出力電圧値および該算出した電力値のすくなくとも1つが、前記最少定格値を下回った場合に、前記ランプ電源の出力電流を増大させる、請求項1に記載のランプ制御装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記操作部から入力される、前記ランプとして使用可能なランプの性能を示す絶対定格データと、該使用可能なランプを識別可能なランプ識別情報とを関連付けて前記記憶部に格納する、請求項1から4のいずれか1項に記載のランプ制御装置。
【請求項6】
請求項1から6のいずれか1項に記載のランプ制御装置と、
前記ランプ制御装置によって駆動電流が制御されるランプと、
前記ランプからの光で照明される空間光変調器と、
前記空間光変調器で生成された画像光を投写するための光学系とを有する、プロジェクタ。
【請求項7】
ランプに電力を供給するランプ電源の出力を制御する方法であって、
制御部が、前記ランプとして使用可能な複数のランプについて、それぞれの性能を示す絶対定格データを、ランプを識別可能なランプ識別情報と関連付けて記憶部に格納する第1のステップと、
前記制御部が、操作部を通じて指定されたランプ識別情報に基づいて、前記記憶部から該当する絶対定格データを取得し、該取得した絶対定格データを参照して前記ランプ電源の出力を制御する第2のステップとを含む、ランプ制御方法。
【請求項8】
前記絶対定格データは、ランプ駆動電流、ランプ駆動電圧およびランプ電力のそれぞれの最大定格値を含み、
前記第2のステップは、前記制御部が、前記ランプ電源の出力状態を監視し、該監視により得られる出力電流値および出力電圧値に基づいて電力値を算出し、該出力電流値、該出力電圧値および該算出した電力値のすくなくとも1つが、前記最大定格値を超えた場合に、前記ランプ電源の出力電流を減少させるステップを含む、請求項7に記載のランプ制御方法。
【請求項9】
前記制御部が、前記出力電流値、前記出力電圧値および前記算出した電力値がいずれも基準値以下である場合は、第1の監視サイクルで前記ランプ電源の出力状態の監視を行い、前記出力電流値、前記出力電圧値および前記算出した電力値のすくなくとも1つが前記基準値を超えた場合は、前記第1の監視サイクルより短い第2の監視サイクルで、前記ランプ電源の出力状態の監視を行う第3のステップをさらに含む、請求項8に記載のランプ制御方法。
【請求項10】
前記絶対定格データは、ランプ駆動電流、ランプ駆動電圧およびランプ電力のそれぞれの最少定格値を含み、
前記第2のステップは、前記制御部が、前記ランプ電源の出力状態を監視し、該監視により得られる出力電流値および出力電圧値に基づいて電力値を算出し、該出力電流値、該出力電圧値および該算出した電力値のすくなくとも1つが、前記最少定格値を下回った場合に、前記ランプ電源の出力電流を増大させるステップを含む、請求項7に記載のランプ制御方法。
【請求項11】
前記第1のステップは、前記制御部が、前記操作部から入力される、前記ランプとして使用可能なランプの性能を示す絶対定格データと、該使用可能なランプを識別可能なランプ識別情報とを関連付けて前記記憶部に格納するステップを含む、請求項7から10のいずれか1項に記載のランプ制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−94544(P2012−94544A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−19654(P2012−19654)
【出願日】平成24年2月1日(2012.2.1)
【分割の表示】特願2005−364965(P2005−364965)の分割
【原出願日】平成17年12月19日(2005.12.19)
【出願人】(300016765)NECディスプレイソリューションズ株式会社 (289)
【Fターム(参考)】