説明

リサイクル可能ポリマーで作られた自転車フレームを得るための鋳型およびプロセス

【課題】リサイクル可能ポリマーで作られる自転車フレームを得るための鋳型および射出プロセスを提供する。
【解決手段】鋳型が、固定部分2と可動部分3から構成され、固定部分2も可動部分3も、熱射出ポリマーを受けそれに続いて自転車フレームを得るために共同で構造通路を構成するようにそれぞれの支承キャビティプレート2c,3cが組み付けられる基部プレート2b、3bを備える。可動部分3のキャビティ支承プレート3cは、メイン中央引出しGPがが組み付けられる長手方向ベッド3dを備え、第2の引出しGSが組み付けられる側部ベッド3eをさらに備える。前記長手方向ベッド3dは、メイン引出しGPがそこを滑ることできるようにする周囲トラック3fを備え、メイン引出しGPが水平方向MHに移動できるようにする角度に配置される押しピン3gを備える。側部ベッド3eは、第2の引出しGSのための押しピン3g’をさらに備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照によりその全内容が本明細書に組み込まれている、2011年1月31日出願のブラジル特許出願PI1100578−5の優先権を請求するものである。
【0002】
本発明は、リサイクル可能ポリマーで作られる自転車フレームを得るための鋳型およびプロセスに関し、より詳細には、特にリサイクルされ再利用されるポリエチレンテレフタレート(PET)ボトルから作り出されるポリマー材料で作られる一体成形の自転車フレームの製造用に特に設計される射出プロセスのための、引出し(drawer)を有するタイプの射出鋳型に関する。そうした自転車フレームは、抵抗および可撓性の機械的特徴を有する設計にされる。
【0003】
本発明で主張される目的は、リサイクル可能材料を使用することで環境保護の役に立つことである。
【背景技術】
【0004】
ポリマーで作られる製品の製造が急速に増加していることが広く知られている。というのも、ポリマー製の製品は、際立って、優れた機械的抵抗、可撓性、軽さおよび長い耐久性を提供し、さらに使用される色、形状、寸法および他の項目におけるバリエーションの選択を提供するからである。
【0005】
ポリマーをいくつもの製品の製造に使用するためにプラスチックをリサイクルによって再利用できることは、基本的な特徴である。特に、PETボトルをリサイクルすることによって、例えばアンダーシャツ、ソーラパネル、ほうきなどのような多数の製品の製造が可能になる。さらに、これは、ゴミ捨て場で処分されるごみの体積を著しく低減し、有機物の分解プロセスの向上をもたらし、石油の使用の著しい節約を達成し、新しいプラスチック製品のための電気エネルギの使用を著しく節約し、さらにリサイクル材料の分野において新しい雇用を生み出す可能性を作り出し、主にリサイクル材料を基にした製品のコストを低減することによって、環境保護および環境に関連する全ての連鎖の大きな助けとなる。
【0006】
いくつかの従来の方法は、射出プロセスなど、ポリマーを基にした製品の製造に使用可能である。しかし、追加の作業動作を回避し得られた製品の機械的、物理的、美的機能を確実にするために、優れた成形プロセスは、いくつかの条件である、特に鋳型設計、射出プロセスのステップ、さらに鋳型と連動する機構、射出が行われる場所、鋳型からの製造済み製品の押し出し方、製品の組み立てに使用されるシステム、彫り込み条件(engraving condition)および他の加工機能に従うことが不可欠である。
【0007】
一般的な態様では、射出プロセスに現在使用されている鋳型は、少なくとも2つの部分になっている。前記部分の一方は固定プレート上に配置され、他方は可動プレート上に配置される。両部分は、柱と、固定部分に接合されるために可動部分を案内する案内ブシュによって相互に連結される。
【0008】
両半分部分の整列は重要である。というのも、それが、高圧下でプラスチックがキャビティに射出されるときのあらゆる種類のプラスチックの漏れを防止するからである。一方、供給通路は射出通路とキャビティの間に設計されるポイントである。
【0009】
プラスチック射出用の鋳型における極めて重要な他の要因は、どのように射出ポイントが配置かつ設けられるかということに関する。射出ポイントは、ゲートポイントとしても知られており、溶けた材料が鋳型のキャビティに入り込むポイントに対応する。というのも、キャビティには、溶けた材料がそこを通って流れることができるようにする役目があるからである。材料の投入には、長方形の制限入口を有するゲートとして知られているもの、さらにファンまたはリムのどちらかのような形の投入入口、制限入口および他のものなど、様々なやり方が使用される。例えばゲートであるそれぞれのタイプの射出ポイントは、鋳型から押し出される製品のタイプに対応し、したがってそうしたタイプの最終製品には前記鋳型の設計が関係してくる。
【0010】
射出ポイントの他の重要な特徴は、その寸法に関する。というのも、せん断力の比率および加えられたせん断力の張力に関して、いくらかの注意が払われる必要があるからであり、それらは分子または繊維を壊すことなく可能な限り低くなければならない。
【0011】
射出ポイントすなわちゲートとしても知られるポイントが配置される場所は、めったに使用されないまたは決して見られない1つの場所であり、鋳型の中心に可能な限り近接し、鋳型のより厚い領域を備える部分であり、つまり強い張力を受けるまたはしばしば機械的に使用される領域は避けられるべきである。
【0012】
しかし、いくつかの精密で複雑な鋳型、主に引出しの使用が必要であるそれらの鋳型は、2つ以上の射出ポイントを有するように設計され、したがって前述の条件に従うことができなくなる。というのも、引出しの動きは、射出ポイントにおける激しい摩擦動作および張力、ならびにその結果として材料の劣化を引き起こすことになるからである。
【0013】
本特許出願者は、熱的に成形されるプラスチック製品の開発分野に携わっており、一体成形の自転車フレームに関連する先行特許出願を出願してある。自転車を構成する、サドル支持管、前輪嵌合フォーク(fitting fork)、メイン鎖歯車、後輪および第2の鎖歯車などの従来の部分は、特別に設計された。先行特許出願の一体成形の自転車フレームは、新しいまたはリサイクルされた硬質ポリマーで一体に成形され、一体成形に製造され、同一のサイドアームが設けられる中央バーから作られる。そうした一体成形の自転車フレームは、適当な顔料色、不透明または半透明で作られ得る。そうした一体成形のフレームで行われた開発にもかかわらず、射出プロセスに関するいくつかの難点が残されており、したがって、設計に関する修正が必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】ブラジル特許出願PI1100578−5
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0015】
先の自転車フレーム成形プロセスの改良をさらに考慮し、さらに、射出されるプラスチック材料の組成におけるリサイクル可能材料の使用を考慮して、本特許出願者は、リサイクル可能ポリマーの自転車フレームを得るための鋳型とその鋳型に対応するプロセスと共に開発し、より具体的には、射出プロセスで使用され、ポリマー材料、特にリサイクルされ再利用されるPET製のボトルから作り出される材料で作られる一体成形の自転車フレームを製造するように特に設計される、引出しを備えるタイプの射出鋳型を開発した。前記単一の自転車フレームは、抵抗および可撓性の機械的特徴を備える設計構造で作られる。特許請求の範囲に記載した本発明で主張される目的は、リサイクル可能材料を用いるので、環境保護の助けとなることである。
【0016】
請求の本発明の主な利点は、鋳型の新しい機能的な設計が、前記自転車フレームの製造過程中に起こる失敗を防止し、したがって使い古した部品、グリッピング(gripping)または壊れた部品の存在も防止することに見られる。
【0017】
請求の本発明の他の関係する特徴は、鋳型が、メンテナンスをより簡単にし、結果的に一体成形の自転車フレームの連続生産もより簡単にするやり方で、ボルト、ねじおよび押しピンの融通がきく除去を可能にすることに見られる。さらに、これによって生産における作業者の安全が確保される。
【0018】
他の利点は、少なくとも200個のPETボトルが前記リサイクル可能ポリマーの自転車フレームの製造に使用され、これが環境保護に大きく貢献することに見られる。さらに、これは現在使用されている自転車フレームに比べて大幅な製造コスト削減を意味する。
【0019】
本発明の好ましい実施形態による本発明の特徴のより良い理解を得るために、本特許出願の明細書を補足するために、一式の図面が伴い、そこにおいて本発明の範囲を制限するためのものでない例示されるやり方で、機能の詳細が教示される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】改良された鋳型の分解斜視図である。
【図2】組み付けられた鋳型の斜視図である。
【図3】長手方向断面図である。
【図4】断面図である。
【図5】キャビティ支承プレートの側面図である。
【図6】キャビティ支承プレートの側面図である。
【図7】メイン引出しおよび第2の引出しが分解図で示されている、キャビティ支承プレートの側面図である。
【図8】自転車フレームを得るためのプロセスのブロック図である。
【図9】得られた自転車フレームの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
添付の図面を参照すると、請求の本発明は、リサイクル可能ポリマーから作られる自転車フレームを得るための鋳型およびプロセスに関し、より詳細には、機械的な抵抗および可撓性の特徴がある、ポリマーの一体成形自転車フレーム(QB)が得られる鋳型(1)および前記鋳型を得るプロセス(PO)を教示する。
【0022】
請求の本発明によれば、前記鋳型(1)は、2つの相補部分からなる。1つは固定部分(2)であり、もう1つは可動部分(3)であり、それは固定部分(2)内に設けられる案内下側部分(2A)に対する滑り柱(sliding column)(3A)を備える。固定部分(2)も可動部分(3)も、射出される溶融ポリマー(thermal polymer)(TI)を受け続いて自転車フレーム(QB)が得られる構造通路(CE)を構成するそれぞれのキャビティ支承プレート(2c)、(3c)を組み付ける基部プレート(2b)、(3b)を備える。
【0023】
可動部分(3)のキャビティ支承プレート(3c)は、メイン中央引出し(GP)が組み付けられる長手方向ベッド(3d)を備え、さらに前記キャビティ支承プレートは、第2の引出し(GS)が組み付けられる側部ベッド(3e)を備える。前記長手方向ベッド(3d)は、メイン引出し(GP)がそこを滑る周囲トラック(3f)を備える。さらに、前記長手方向ベッドは押しピン(3g)を備え、そのスタンディング角度(standing angle)がメイン引出し(GP)を水平方向に(MH)移動できるようにする。一方、側部ベッド(3e)は、第2の引出し(GS)のための押しピン(3g’)をさらに備える。
【0024】
前記メイン引出しは、細長い構造(4)を備える。その側縁(4a)は、直線フレーム(4b)によって囲繞される。一方、若干カットされた入口は、固定部分のキャビティ支承プレート(2c)内に設けられる係止ウェッジ(5)に結合するように底縁(4c)に近接して設けられる。前記メイン引出し(GP)は、射出される熱ポリマー(TI)を受ける受容通路(4e)、および射出される熱ポリマー(TI)を分配しそれに続いて前記構造通路(CE)上にただ1つの射出ポイント(PI)を形成する出口流れ通路(4f)をさらに備える。一体成形の自転車のフレーム(QB)を得るために、前記構造通路(CE)を「Y」字形に構成することによって、中央バー(LC)が構成され、そこから同一のサイドアーム(RL)が伸びている。
【0025】
上側および下側キャビティのアーム(RL)に囲まれて配置される中央部分は、前記の中央引出し(GP)に対して整列され、一方構造通路(CE)の頂点において、前記第2の引出し(GS)がその内部に組み付けられる。
【0026】
リサイクル可能ポリマー自転車フレーム(QB)を得るプロセス(PO)は、
a)PETボトルなどのリサイクル材料を受け入れるステップ、
b)粉末になるようにボトルを粉砕するステップ、
c)その粉末を処理して悪天候の状況に対する保護を付与するように添加物が混ぜられたポリマーの細粒にするステップ、
d)熱プラスチックを改良した鋳型に射出するステップ、
e)自転車フレームを得るステップ
を含む。
【0027】
本獲得プロセス(PO)から得られる製品は、形が一般的に「Y」字形であり、そこから同一のサイドアーム(6a)が伸び、2つの管状頂点(6b)を有する中央バー(6)を構成する、一体のフレームとして作られる自転車フレーム(QB)である。管状の頂点のうちの1つ(6b’)は水平方向にあり、そこに組み付けられる鎖歯車軸(EP)を有するためのものであり、他方の管状頂点(6b’’)は垂直方向にあり、そこに組み付けられるハンドルバー軸(EG)を有するためのものである。
【0028】
各アームの端部部分は、後輪(図示せず)に係合するための軸が組み付けられるフック(G)の形を備える。
請求の本発明を実行に移す場合、特許請求の範囲一式によって明確に支持される基本原理から逸脱することなく、何らかの設計および形状の詳細に関して修正を加えることができることが明白である。したがって、本明細書で用いられる専門用語は、本発明のいかなる制限も意味するものではないと理解されるべきである。
【符号の説明】
【0029】
1 鋳型
2 固定部分
2A 案内下側部分、下側部分
2b 基部プレート
2c キャビティ支承プレート
3 可動部分
3A 滑り柱
3b 基部プレート
3c キャビティ支承プレート
3d 長手方向ベッド
3e 側部ベッド
3f 周囲トラック
3g 押しピン
3g’ 押しピン
4 細長い部分
4a 側縁
4b 直線フレーム、フレームストリップ
4c 底縁
4d カット
4e 受容通路
4f 出口流れ通路
5 係止ウェッジ
6 中央バー
6a サイドアーム
6b 管状頂点
6b’ 水平方向管状頂点
6b’’ 垂直方向管状頂点
CE 構造通路
EG ハンドルバー軸
EP 鎖歯車軸
EX 後輪支持軸
G フック
GP メイン中央引出し、メイン引出し、中央引出し
GS 第2の引出し
LC 中央バー
MH 水平方向
PI 射出ポイント
PO 鋳型を得るプロセス
QB 自転車フレーム
RL サイドアーム
TI 熱ポリマー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リサイクル可能ポリマーで作られた自転車フレームを得るための鋳型および射出プロセスであって、より具体的には、抵抗および可撓性の機械的特徴を有するポリマーの一体成形自転車フレーム(QB)が得られる鋳型(1)およびプロセス(PO)に関し、前記鋳型(1)は、2つの相補部分すなわち1つの固定部分(2)と1つの可動部分(3)とで作られ、前記可動部分(3)は前記固定部分(2)内に設けられた案内下側部分(2A)を有する滑り柱(3A)を備え、前記静止部分(2)および前記可動部分(3)の両方は、それに組み付けられるそれぞれのキャビティ支承プレート(2c)、(3c)を有するための基部プレート(2b)、(3b)を備え、射出された熱ポリマー(TI)を受けるための構造通路(CE)をキャビティ支承プレート(2c)、(3c)が共に形成することにより自転車フレーム(QB)が得られ、長手方向ベッド(3d)は、前記可動部分(3)の前記キャビティ支承プレート内にメイン中央引出し(GP)が組み付けられるように設けられ、側部ベッド(3e)は、第2の引出し(GS)が組み付けられることを特徴とする、リサイクル可能ポリマーで作られ、前記長手方向ベッド(3d)は、前記メイン引出し(GP)が滑って通るように周囲トラック(3f)を備え、前記メイン引出し(GP)を水平方向(MH)に移動できるようにする角度に配置された押しピン(3g)をさらに備え、前記側部ベッド(3e)は、前記第2の引出し(GS)のための押しピン(3g’)をさらに備えた、自転車フレームを得る鋳型および射出プロセス。
【請求項2】
請求項1に記載のリサイクル可能ポリマーで作られた自転車フレームを得るための鋳型および射出プロセスにおいて、前記メイン引出し(GP)は細長い部分(4)で作られ、その側縁(4a)は直線状のフレームストリップ(4b)で囲まれる一方、下側底縁は前記固定部分(2)の前記キャビティ支承プレート(2c)内に設けられるウェッジ(5)と係合するためのカット(4d)を備え、さらに、前記メイン引出し(GP)は射出された熱ポリマー(TI)を受けるための受容通路(4e)を備え、射出されるポリマー(TI)を分配して、前記構造通路(CE)内にただ1つの射出ポイント(PI)を作り出す出口流れ通路(4f)をさらに備え、一体成形の自転車フレーム(QB)を得るために、前記構造通路(CE)の形を「Y」字形にすることによって、同一のサイドアーム(RL)が出ている中央バー(LC)が構成され、上側および下側キャビティのアーム(RL)に囲まれる中央部分は、前記中央引出し(GP)と整列され、前記第2の引出し(GS)は前記構造通路(CE)の頂点に組み付けられることを特徴とする、自転車フレームを得る鋳型および射出プロセス。
【請求項3】
請求項1に記載の自転車フレームを得るための射出プロセスにおいて、リサイクル可能ポリマーの自転車フレーム(QB)を得るための前記プロセス(PO)は、
a)PETボトルなどのリサイクル材料を受け入れるステップと、
b)粉末になるように前記ボトルを粉砕するステップと、
c)前記粉末を処理して悪天候の状況に対する保護を付与するように添加物が混ぜられたポリマーの細粒にするステップと、
d)改良した鋳型に熱プラスチックを射出するステップと、
e)自転車フレームを得るステップと
を含むことを特徴とする、自転車フレームを得る射出プロセス。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載のリサイクル可能ポリマーの自転車フレームにおいて、前記自転車フレームは、一般的に「Y」字形を有して一体成形で形成されており、同一のサイドアーム(6a)が出ているとともに2つの管状頂点(6b)を形成するように中央バー(6)が作られ、1つの水平方向管状頂点(6b’)に鎖歯車軸(EP)が組み付けられてハンドルバー軸(EG)が他の管状頂点軸に組み付けられ、各アームの端縁は、後輪支持軸(EX)が係合されるフック形(G)を有することを特徴とする、リサイクル可能ポリマー自転車フレーム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−176605(P2012−176605A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−8978(P2012−8978)
【出願日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【出願人】(512016135)
【Fターム(参考)】