説明

リジッドフレキシブルプリント配線板の製造方法

【課題】リジッド部に形成したスルーホールの品質が悪くなる問題を解決する。
【解決手段】可撓性のある支持フィルムに対して、形成予定のスルーホールの位置の両面にパッドの配線パターンを形成する第1の工程と、前記支持フィルムの両面にカバーレイフィルムを接着し、該カバーレイフィルムの前記パッド上の部分を前記形成予定のスルーホールの径よりも大きい径で除去した表面被覆開口部を形成する第2の工程と、前記カバーレイフィルムの一部の領域上に絶縁樹脂層を積層し前記表面被覆開口部を該絶縁樹脂層の樹脂で充填し該絶縁樹脂層の上に配線パターンを形成したリジッド部を形成する工程と、前記リジッド部に前記形成予定のスルーホールを形成する工程によりリジッドフレキシブルプリント配線板を製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレキシブル基板とリジッド基板とからなるリジッドフレキシブルプリント配線板の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、折りたたみ式の携帯電話等の携帯用電子機器には、リジッドフレキシブルプリント配線板が使用されている。このようなプリント配線板は、特許文献1のように、柔軟性のない硬質のリジッド部を柔軟性のあるフレキ部を介して連結するとともに、リジッド部においては、フレキシブル基板の配線パターンとリジッド基板の配線パターンを、めっきスルーホール導体層を介して電気的に接続するものが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−10689号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1のリジッドフレキシブルプリント配線板では、リジッド部にスルーホール用の貫通孔を形成し、その貫通孔をデスミア処理する際に、内層フレキシブル配線板の支持フィルムを包むカバーレイフィルムがデスミア液で腐食され、スルーホールの品質が悪化する問題があった。
【0005】
また、スルーホールの壁面に形成しためっき導体とカバーレイフィルムの熱膨張係数が大きく異なるため、スルーホールの壁面に形成しためっき導体とカバーレイフィルムが接していると、熱を加えた場合に、スルーホールクラックを生じるなどの不具合が発生し易い問題があった。
【0006】
本発明は、上記の問題を解決させるため、信頼性が高いスルーホールを形成することができるリジッドフレキシブルプリント配線板の製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明は、可撓性のある支持フィルムに対して、形成予定のスルーホールの位置の両面にパッドの配線パターンを形成する第1の工程と、前記支持フィルムの両面にカバーレイフィルムを接着し、該カバーレイフィルムの前記パッド上の部分を前記形成予定のスルーホールの径よりも大きい径で除去した表面被覆開口部を形成する第2の工程と、前記カバーレイフィルムの一部の領域上に絶縁樹脂層を積層し前記表面被覆開口部を該絶縁樹脂層の樹脂で充填し該絶縁樹脂層の上に配線パターンを形成したリジッド部を形成する工程と、前記リジッド部に前記形成予定のスルーホールを形成する工程を有することを特徴とするリジッドフレキシブルプリント配線板の製造方法である。
【0008】
上記のリジッドフレキシブルプリント配線板の製造方法であって、前記第2の工程が、前記支持フィルムの両面に前記カバーレイフィルムを接着し、次に、前記カバーレイフィルムの前記パッドの位置の部分を加工用レーザー光で除去して前記表面被覆開口部を形成する工程であることを特徴とするリジッドフレキシブルプリント配線板の製造方法である。
【0009】
上記のリジッドフレキシブルプリント配線板の製造方法であって、前記第2の工程が、前記カバーレイフィルムの前記パッドの位置の部分を機械加工で除去して前記表面被覆開口部を形成し、次に、前記カバーレイフィルムを前記支持フィルムの両面に接着する工程であることを特徴とするリジッドフレキシブルプリント配線板の製造方法である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、加工用レーザー光により内層フレキシブル配線板30のカバーレイフィルム20を除去した表面被覆開口部3bを形成し、その表面被覆開口部3bを覆うリジッド部101を積層した後に、表面被覆開口部3bの位置にスルーホール3用の貫通孔3cを形成しカバーレイフィルム20を貫通孔3cの壁面に露出させないようにすることで、貫通孔3cをデスミア処理する際に、デスミア液の腐食に弱いカバーレイフィルム20をデスミア液から守ることができる効果がある。また、それにより、カバーレイフィルム20をスルーホール3の壁面めっきと接触させないので、スルーホール3の信頼性を高くできる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】(a)本発明の実施形態のリジッドフレキシブルプリント配線板の平面図である。(b)本発明の実施形態のリジッドフレキシブルプリント配線板の側断面図である。
【図2】本発明の実施形態のリジッドフレキシブルプリント配線板の製造方法を説明するための断面図である。
【図3】本発明の実施形態の変形例1のリジッドフレキシブルプリント配線板の製造方法を説明するための断面図である。
【図4】本発明の実施形態のリジッドフレキシブルプリント配線板の製造方法を説明するための断面図である。
【図5】本発明の実施形態の変形例2のリジッドフレキシブルプリント配線板の製造方法を説明するための断面図である。
【図6】本発明の実施形態の変形例2のリジッドフレキシブルプリント配線板の製造方法を説明するための断面図である。
【図7】本発明の実施形態の変形例2のリジッドフレキシブルプリント配線板の製造方法を説明するための断面図である。
【図8】本発明の実施形態のリジッドフレキシブルプリント配線板の製造方法を説明するための断面図である。
【図9】本発明の実施形態のリジッドフレキシブルプリント配線板の製造方法を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<第1の実施形態>
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。図1(a)に、本発明の実施形態の、リジッド部101とフレキ部102を併せ持つ8層のリジッドフレキシブルプリント配線板10の平面図を示す。図1(b)に、その側面の断面図を示す。図2〜図9は、本発明の実施形態であるリジッドフレキシブルプリント配線板10の製造方法の例を説明する側断面図である。
【0013】
図1(b)に示すように、本発明のリジッドフレキシブルプリント配線板10は、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂などの有機樹脂からなる厚さが10μm以上で100μm以下のフィルム状の支持フィルム1を中心に持つ。この支持フィルム1の両面には銅箔2aを所定のパターンにエッチングして形成された配線パターン2がある。
【0014】
配線パターン2が形成された可撓性のある絶縁樹脂から成る支持フィルム1の両面をカバーレイフィルム20で覆う。カバーレイフィルム20は、ポリイミドフィルムなどの絶
縁樹脂フィルム21の片面に接着剤層22が形成された厚さが50μm程度のフィルムから成る。このカバーレイフィルム20を支持フィルム1の両面に接着して内層フレキシブル配線板30を形成する。
【0015】
そして、この内層フレキシブル配線板30の一部にリジッド部101を形成し、リジッド部101以外の内層フレキシブル配線板30の部分をフレキ部102としたリジッドフレキシブルプリント配線板10を製造する。
【0016】
このリジッドフレキシブルプリント配線板10は、リジッド部101の領域のカバーレイフィルム20に表面被覆開口部3bが形成されている。そして、その表面被覆開口部3bの径よりも小さな径のスルーホール3が、表面被覆開口部3bを貫通し、その表面被覆開口部3bの外周から間隔をあけて形成されている。
【0017】
(製造方法)
以下で、図2から図9を参照して、本発明の実施形態の、8層のリジッドフレキシブルプリント配線板10の製造方法を説明する。
【0018】
(内層フレキシブル配線板の製造方法)
先ず、リジッドフレキシブルプリント配線板10を構成する内層フレキシブル配線板30の製造方法を説明する。
【0019】
(工程1)
図2(a)のように、フレキ部102を形成する素材として、通常のフレキシブル配線板に用いられる、両面に銅箔2aを有し、銅箔2aを保持する支持フィルム1の基材がポリイミドなどの可撓性のある耐熱性樹脂から構成されるフレキシブル基板1aを準備する。ここで用いるフレキシブル基板1aは、それを構成する銅箔2aと支持フィルム1の間には、屈曲性・折り曲げ性を高めるために、接着剤層は存在しない方が好ましいが、その間に接着剤層が存在するフレキシブル基板1aを用いることも可能である。
【0020】
(工程2)
次に、図2(b)のように、フレキシブル基板1aの銅箔2aをエッチングすることで配線パターン2を形成する。配線パターンの一部には、後にリジッド部101にスルーホール3を形成する部分の両面に、スルーホール3の径よりも大きいパッド3aを形成する。
【0021】
(工程3)
図2(c)のように、ポリイミドフィルムなどの絶縁樹脂フィルム21と熱硬化性の接着剤層22とから成るカバーレイフィルム20を、フレキシブル基板1aの配線パターン2上に接着して内層フレキシブル配線板30を製造する。
【0022】
(工程4)
次に、図2(d)のように、このフレキシブル基板1aに形成したパッド3aの上のカバーレイフィルム20の上からパッド3aに向けて、炭酸ガスレーザー光又はYAGレーザー光などの穴加工用のレーザー光Lを照射する。それにより、図2(e)のように、パッド3a上のカバーレイフィルム20の樹脂をレーザー光Lで蒸発させて除去し、表面被覆開口部3bを形成する。
【0023】
このように、カバーレイフィルム20を除去して表面被覆開口部3bを形成することで、後の工程11で表面被覆開口部3bの位置にスルーホール3用の貫通孔3cを形成して、工程12で貫通孔3cをデスミア処理する際に、デスミア液の腐食に弱いカバーレイフ
ィルム20を貫通孔3cの壁面に露出させないようにできる。それにより、カバーレイフィルム20をデスミア液から守ることができる効果がある。
【0024】
(変形例1)
変形例1として、以上の製造方法における工程3と工程4は、以下の工程3Aと工程4Aに替えて基板を製造することができる。
【0025】
(工程3A)
図3(f)のように、ポリイミドフィルムなどの絶縁樹脂フィルム21と熱硬化性接着剤層22とから成るカバーレイフィルム20を、パッド3aの位置に対応する部分をドリル加工又は金型による打ち抜きパンチ加工で機械加工で除去して表面被覆開口部3bを形成する。
【0026】
(工程4A)
図3(g)のように、そのカバーレイフィルム20を、フレキシブル基板1aの配線パターン2上に接着して、その表面被覆開口部3bをパッド3aの位置に重ねた内層フレキシブル配線板30を製造する。
【0027】
(工程5)
次に、過マンガン酸カリウム水溶液によるウェットデスミア、あるいは、プラズマによるドライデスミアなどを施すことで、図2(e)又は図3(g)の表面被覆開口部3b内に露出させたパッド3aの面に残存している樹脂を除去し、シートに面付けされた内層フレキシブル配線板30を形成する。。
【0028】
(工程6)
上記の工程1から工程5までと並行して、図4(h)のように、プリプレグ4に、金型による打ち抜き加工あるいは、ルーター加工やレーザー切断加工などの窓抜き加工により窓部4aを形成する。また、外層基板5に、金型による打ち抜き加工あるいは、ルーター加工やレーザー切断加工などの窓抜き加工により、窓部5aを形成する。なお、この外層基板5には、内層フレキシブル配線板30に積層する際に内側になる側の面には銅の配線パターン6を、その反対側の面には銅の配線パターン7を形成しておく。また、表裏の配線パターン6と7を導通させる内層バイアホールを形成しておいても良い。
【0029】
このプリプレグ4と外層基板5に窓部4aと5aを形成することで、このプリプレグ4と外層基板5を内層フレキシブル配線板30に積層して基板を製造すると、その窓部4aと5aに位置する基板の位置に内層フレキシブル配線板30が露出してフレキ部102が形成される。
【0030】
(工程7)
図4(i)のように、工程6で形成したプリプレグ4と外層基板5を内層フレキシブル配線板30の両面に積層し、積層プレス装置により加熱・加圧して硬化させる。その加熱・加圧の際に、プリプレグ4の樹脂がパッド3a上の表面被覆開口部3b内に流れ広がって、表面被覆開口部3bを樹脂で充填する。
【0031】
プリプレグ4と外層基板5が内層フレキシブル配線板30の両面に積層された部分がリジッド部101になるる。すなわち、窓部4a及び5a以外の領域の内層フレキシブル配線板30の両側の2箇所の領域にリジッド部101が形成される。内層フレキシブル配線板30の中央部分の窓部4a及び5aの位置の領域は、内層フレキシブル配線板30が露出してフレキ部102になる。このように、プリプレグ4の窓部4a及び外層基板5の窓部5aの領域がフレキ部102になり、それ以外の領域がリジッド部101になる。
【0032】
(変形例2)
変形例2として、工程6と工程7において、単独のプリプレグ4と外層基板5を用いずに、内層フレキシブル配線板30に樹脂付き銅箔を積層し加熱硬化させてリジッド部101を形成しても良い。この場合は、以下の工程6Aから工程6Fの工程で製造する。
【0033】
(工程6A)
図5(j)のように、内層フレキシブル配線板30の両面に、ビルドアップ樹脂8a及び銅箔8bからなる樹脂付き銅箔8を積層して、図5(k)のようにビルドアップ層8dを形成する。この積層の際に、ビルドアップ樹脂8aがパッド3a上の表面被覆開口部3b内に流れ広がって、表面被覆開口部3bを樹脂で充填する。
【0034】
このビルドアップ層8dを形成する樹脂付き銅箔8は、フレキ部102の領域を金型による加工やルーター加工などの機械加工でくり貫いた、又はレーザー切断加工でくり貫いた樹脂付き銅箔の窓部8cを形成しておき、ビルドアップ層8dがリジッド部101にのみ形成されるようにする。
【0035】
(工程6B)
次に、図5(l)のように、ビルドアップ層8dの銅箔8bをエッチングして配線パターン6を形成する。
【0036】
(工程6C)
次に、図6(m)のように、その基板のリジッド部101の両面に再度、樹脂付き銅箔9を積層する。樹脂付き銅箔9は、そのフレキ部102の領域を金型による加工やルーター加工などの機械加工でくり貫いた、又はレーザー切断加工でくり貫いた樹脂付き銅箔の窓部9cを形成したビルドアップ樹脂9a及び薄銅箔9bで構成する。その樹脂付き銅箔9を積層し、図6(n)のようにリジッド部のビルドアップ層を増す。
【0037】
この樹脂付き銅箔9のビルドアップ樹脂9aの材料にローフロータイプの樹脂を採用すると、樹脂付き銅箔9を積層する際にフレキ部102上へ樹脂フローを発生させずフレキ部102を露出させることができる効果がある。
【0038】
(工程6D)
次に、図7(o)のように、薄銅箔9bの上から、炭酸ガスレーザー加工装置を使用したレーザー加工により、70〜150μm程度の直径を持ち、配線パターン6に達する内層バイアホール11用の穴11aを形成する。
【0039】
(工程6E)
次に、図7(p)のように、この基板の下地の薄銅箔9bに電解銅めっき装置の陰極を接続して、この基板を電解銅めっき浴に浸漬し電解銅めっき処理を行い、めっきレジストパターンの逆版のパターンで厚さが5μmから50μmの銅層から成る銅めっき層を形成し、リジッド部101の表面に配線パターン7と内層バイアホール11を形成し、貫通孔3cの壁面に銅めっき層が形成されて成るスルーホール3を形成する。
【0040】
(工程6F)
次に、図7(q)のように、めっきレジストを剥離した後に、クイックエッチングを行うことで下地の薄銅箔9bのみを除去し、配線パターン7は残す。
【0041】
以上の工程6Aから工程6Fにより、図4(i)の基板と同等な図7(q)の基板を製造できる。
【0042】
(変形例3)
変形例3として、変形例2の、工程6Aから工程6Fまでの工程のうち、工程6Eと工程6Fを、以下の工程6Gにより、めっきレジストパターンを用いずに、リジッド部101の全面に金属めっき層を形成し、次に、工程6Hにより、エッチングレジストパターンで金属めっき層を保護してエッチングすることで配線パターン13を形成することもできる。
【0043】
(工程6G)
すなわち、工程6Gでは、基板の下地の薄銅箔9bに電解銅めっき装置の陰極を接続して、この基板を電解銅めっき浴に浸漬し、基板の全面に電解銅めっきするパネルめっき処理により、リジッド部101の全面に銅めっき層を形成する。
【0044】
(工程6H)
次に、その銅めっき層の上に、エッチングレジストパターンを形成し、次にエッチングをすることで、エッチングレジストパターンで保護された銅めっき層の配線パターンを形成する。そのエッチング後に、エッチングレジストを剥離することで、図7(q)のように配線パターン7を形成する。
【0045】
(変形例4)
変形例4として、変形例2及び変形例3の各工程における、リジッド部101に樹脂付き銅箔を積層する処理を、図4(h)のように、窓部4aを形成したプリプレグ4を重ね、そのプリプレグ4の上に銅箔を重ねて積層することで、結局は、リジッド部101の領域にプリプレグ4の樹脂と銅箔とを積層することでリジッド部101を形成する処理に置き換えることができる。
【0046】
(工程8)
工程7(あるいは工程6F)の次に、図8(r)のように、リジッド部101の外層基板5の外面に、ビルドアップ樹脂12a及び銅箔12bからなる樹脂付き銅箔12を積層して、図8(s)のようにビルドアップ層12dを形成する。
【0047】
このビルドアップ層12dを形成する樹脂付き銅箔12は、フレキ部102の領域を金型による加工やルーター加工などの機械加工でくり貫いた、又はレーザー切断加工でくり貫いた窓部12cを形成しておく。それにより、ビルドアップ層12dがリジッド部101にのみ形成される。
【0048】
この樹脂付き銅箔12のビルドアップ樹脂12aの材料にローフロータイプの樹脂を採用すると、それを積層してビルドアップ層12dを形成する際にフレキ部102上へ樹脂フローを発生させずフレキ部102を露出させることができる。
【0049】
(変形例5)
この工程8におけるリジッド部101の外層基板5の外面に樹脂付き銅箔を積層する処理は、変形例4と同様に、図4(h)のように、フレキ部102の領域に窓部4aを形成したプリプレグ4を重ね、そのプリプレグ4の上に銅箔を重ねて積層することで、リジッド部101にプリプレグ4の樹脂と銅箔とを積層する処理に置き換えることが可能である。
【0050】
(工程9)
ビルドアップ層12dを積層した後に、図8(t)のように、その銅箔12bのブラインドバイアホール13の形成予定位置の部分のみをエッチングして除去してブラインドバ
イアホール用開口部13eを形成する。このブラインドバイアホール用開口部13eに、リジッド部101のビルドアップ層12dの下地のビルドアップ樹脂12aが露出する。
【0051】
(工程10)
次に、図9(u)のように、ブラインドバイアホール用開口部13eに露出したビルドアップ層12dのビルドアップ樹脂12aの面に、炭酸ガスレーザー加工装置を使用したレーザー加工により、70〜150μm程度の直径を持ち、配線パターン7に達するブラインドバイアホール13用の穴13aを形成する。
【0052】
(工程11)
次に、図9(u)のように、ドリルで、パッド3aの位置の表面被覆開口部3bの領域内に、上下のリジッド部101を貫通して、その径が表面被覆開口部3bの径よりも小さい径のスルーホール3用の貫通孔3cを形成する。
【0053】
(工程12)
次に、その基板を、70〜90℃程度に保持した過マンガン酸カリウムと水酸化ナトリウムの混合水溶液のデスミア液、あるいは重クロム酸カリウムを主成分とするデスミア液に浸漬することで、貫通孔3c及び穴12aのデスミア処理を行う。このデスミア処理の際に、デスミア液の腐食に弱いカバーレイフィルム20の材料は貫通孔3cの壁面に露出していないので、カバーレイフィルム20がデスミア液から守られる効果がある。
【0054】
(工程13)
次に、銅の無電解金属めっき処理により、この基板の貫通孔3cの壁面とリジッド部101とフレキ部102の全面に厚さ0.1μmから1μmの銅層から成る下地金属層(図示せず)を形成する。
【0055】
(工程14)
次に、この基板のフレキ部102とリジッド部101に、ブラインドバイアホール13と配線パターン14とスルーホール3の逆版のめっきレジストパターン(図示せず)を形成する。
【0056】
(工程15)
次に、図9(v)のように、この基板の下地金属層に電解銅めっき装置の陰極を接続して、この基板を電解銅めっき浴に浸漬し電解銅めっき処理を行い、めっきレジストパターンの逆版のパターンで厚さが5μmから50μmの銅層から成る銅めっき層を形成し、リジッド部101の表面にブラインドバイアホール13と配線パターン14を形成し、貫通孔3cの壁面に銅めっき層が形成されて成るスルーホール3を形成する。
【0057】
このスルーホール3は、その銅めっきで形成された壁面がカバーレイフィルム20と接触しないので、このスルーホール3には、カバーレイフィルム20の熱膨張あるいは収縮の応力によるスルホールクラックが発生せず、スルーホール3の信頼性を高くできる効果がある。
【0058】
(工程16)
次に、めっきレジストパターンから露出している銅めっき層の表面に錫や半田から成るメタルエッチングレジスト層(図示せず)を形成する。
【0059】
(工程17)
次に、めっきレジストパターンを剥離する。
(工程18)
次に、メタルエッチングレジスト層以外の部分の下地金属層をエッチングにより除去する。これにより、リジッド部101に、めっきレジストパターンの逆版の配線パターン13とブラインドバイアホール12とスルーホール3の壁面の銅めっきが残る。
【0060】
(工程19)
次に、メタルエッチングレジスト層を、硝酸と、硝酸第2鉄、塩化第2鉄等の第2鉄イオンを含有する溶液とから成るメタルエッチングレジスト剥離液により除去する。
(工程20)
必要に応じて、リジッド部101にソルダーレジスト22を印刷する。
【0061】
(工程21)
次に、複数のリジッドフレキシブルプリント配線板10を1枚の基板で形成する場合、その他必要がある場合は、その基板に外形打ち抜きプレス加工、あるいは、外形ルーター加工などの外形加工をすることにより、個々のリジッドフレキシブルプリント配線板10を切り出して分離する。
【0062】
この外形加工の際に、内層フレキシブル配線板30の一部を切除してフレキ部102の外形を形成することもできる。
【0063】
本発明は、以上の実施形態に限らず、他の実施形態として、工程18において、クイックエッチングで配線パターン14は残して下地金属層を除去するようにして、工程16におけるメタルエッチングレジストパターンを形成しない方法で製造することもできる。
【符号の説明】
【0064】
1・・・支持フィルム
1a・・・フレキシブル基板
2、6、7、14・・・配線パターン
2a・・・銅箔
3・・・スルーホール
3a・・・パッド
3b・・・表面被覆開口部
3c・・・スルーホール用の貫通孔
4・・・プリプレグ
4a・・・プリプレグの窓部
5・・・外層基板
5a・・・外層基板の窓部
8・・・樹脂付き銅箔
8a・・・ビルドアップ樹脂
8b・・・銅箔
8c・・・樹脂付き銅箔の窓部
8d・・・ビルドアップ層
9・・・樹脂付き銅箔
9a・・・ビルドアップ樹脂
9b・・・薄銅箔
9c・・・樹脂付き銅箔の窓部
10・・・リジッドフレキシブルプリント配線板(8層)
11・・・内層バイアホール
11a・・・内層バイアホール用穴
12・・・樹脂付き銅箔
12a・・・ビルドアップ樹脂
12b・・・銅箔
12c・・・樹脂付き銅箔の窓部
12d・・・ビルドアップ層
13・・・ブラインドバイアホール
13a・・・ブラインドバイアホール用の穴
13e・・・ブラインドバイアホール用開口部
20・・・カバーレイフィルム
21・・・絶縁樹脂フィルム
22・・・接着剤層
30・・・内層フレキシブル配線板
101・・・リジッド部
102・・・フレキ部
L・・・レーザー光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性のある支持フィルムに対して、形成予定のスルーホールの位置の両面にパッドの配線パターンを形成する第1の工程と、前記支持フィルムの両面にカバーレイフィルムを接着し、該カバーレイフィルムの前記パッド上の部分を前記形成予定のスルーホールの径よりも大きい径で除去した表面被覆開口部を形成する第2の工程と、前記カバーレイフィルムの一部の領域上に絶縁樹脂層を積層し前記表面被覆開口部を該絶縁樹脂層の樹脂で充填し該絶縁樹脂層の上に配線パターンを形成したリジッド部を形成する工程と、前記リジッド部に前記形成予定のスルーホールを形成する工程を有することを特徴とするリジッドフレキシブルプリント配線板の製造方法。
【請求項2】
請求項1記載のリジッドフレキシブルプリント配線板の製造方法であって、前記第2の工程が、前記支持フィルムの両面に前記カバーレイフィルムを接着し、次に、前記カバーレイフィルムの前記パッドの位置の部分を加工用レーザー光で除去して前記表面被覆開口部を形成する工程であることを特徴とするリジッドフレキシブルプリント配線板の製造方法。
【請求項3】
請求項1記載のリジッドフレキシブルプリント配線板の製造方法であって、前記第2の工程が、前記カバーレイフィルムの前記パッドの位置の部分を機械加工で除去して前記表面被覆開口部を形成し、次に、前記カバーレイフィルムを前記支持フィルムの両面に接着する工程であることを特徴とするリジッドフレキシブルプリント配線板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−169523(P2012−169523A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−30715(P2011−30715)
【出願日】平成23年2月16日(2011.2.16)
【出願人】(000236931)株式会社トッパンNECサーキットソリューションズ (54)
【Fターム(参考)】