リソグラフィマスク及びリソグラフィマスクの製造方法
【課題】半導体ウェーハ上に保護障壁構造をパターニングするために用いられる構造を備え、マスク中の領域が絶縁されたリソグラフィマスクを提供する。
【解決手段】導体で構成されており、溝を有する第1層と、領域、セクション及びそのセクションを囲む溝状透明構造を含む第2層とを具備し、前記第1層と第2層とが、前記第2層における電気的ポテンシャルの差を減少させるように形成されており、前記溝状透明構造が、前記セクションと前記領域とを分離するものであり、前記第1層と第2層の材料が、前記セクションと前記領域との間に電気的ポテンシャルの差が生じないように選択した。
【解決手段】導体で構成されており、溝を有する第1層と、領域、セクション及びそのセクションを囲む溝状透明構造を含む第2層とを具備し、前記第1層と第2層とが、前記第2層における電気的ポテンシャルの差を減少させるように形成されており、前記溝状透明構造が、前記セクションと前記領域とを分離するものであり、前記第1層と第2層の材料が、前記セクションと前記領域との間に電気的ポテンシャルの差が生じないように選択した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は半導体素子を製造するためのリソグラフィマスクに係るものである。
【背景技術】
【0002】
微少サイズのパターンや形を作るために、いわゆる交互位相シフトマスク、ハーフトーンマスクあるいはスリートーンマスクを使用することが増えてきている。例えば、交互位相シフトマスクは、石英基板及びパターニングされた遮光層から構成されている。また、ハーフトーン及びスリートーンマスクは、石英層及び遮光層に加え、前記石英層と遮光層との間にある半透明層を具備している。
【0003】
交互位相シフトマスクやハーフトーンマスクあるいはスリートーンマスクは、最初の層加工でハードマスクとしても機能する遮光層がマスクレイアウトに従ってパターニングされ、2回目の層加工で位相シフトマスクを形成するために位相シフトパターンが前記石英層にエッチングされるという過程を経て製造される。例えば、ハーフトーンマスクを製造するためには、半透明層がパターニングされ、スリートーンマスクを製造するためには、半透明層と石英層がパターニングされる。
【0004】
半導体デバイスを製造する際には、単一の半導体ウェーハが加工されて、一度に数百の集積回路や半導体デバイスあるいはマイクロチップが作られる。このウェーハワイズ(wafer wise)工程が終了した後、前記マイクロチップは分離される。この分離工程中に、クラックが生じ得る。これらのクラックはマイクロチップの活性領域に移動して、チップにダメージを与え、ときには破壊することすらある。さらに、水分が絶縁層に浸透したり、またはイオンがマイクロチップの一部を形成するトランジスタのゲート構造に入り込んだりし、マイクロチップの機能性や信頼性が損なわれる場合がある。従って、通常は環状に前記チップを囲う障壁構造を設け、ときにはその障壁構造を、2つの閉じたリングで構成することもある。外側のリング(例えばクラックストップ)はクラックの進入からチップを保護し、内側のリング(例えばガードリング)は水分やイオンの浸入からチップを保護する。通常、アジャストマークやテスト構造に代表されるようなパターンが、外側リングの外部にある単一のマイクロチップの溝領域にさらに配置されている。異なるリソグラフィ層を使用するマスクを製造するとき、障壁構造の内部または外部に配置されるパターンを製造する間に問題が発生する。この問題は、2回目の層加工において、前記の閉じた障壁構造に起因するものである。例えば、障壁構造内部のパターンが、障壁構造外部のパターンとは異なったレートでエッチングされ得る。これは例えば、前記の閉じた障壁構造によって互いに絶縁された異なる領域の異なる荷電状態に起因する。
【0005】
US 7, 063, 921 B1
には、交互位相マスクの製造方法が開示されており、そこでは、活性領域の外部に配置された補償構造が、チャージを最小化するために活性領域に接続されたさらなる導電性領域を具備している。
【0006】
US 2006/0220250 には、半導体ウェーハにおいてクラックの移動及び活性領域の湿度を減少させる障壁構造の形状が記載されている。この障壁構造は複数の導体素子を備えている。
【0007】
しかして本発明の目的は、半導体ウェーハ上に保護障壁構造をパターニングするために用いられる構造を備え、マスク中の領域が絶縁されたリソグラフィマスクを提供することにある。本発明のさらなる目的は、そういったマスクの製造方法を提供することにある。
上記目的は、独立請求項に係るクレームされた発明によって達成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第7, 063, 921 B1号
【特許文献2】米国特許出願公開第2006/0220250号
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】従来のマスクレイアウトの一例を示す図である。
【図2】図1に示されるリソグラフィマスクの一部の切断面を示す図である。
【図3】一実施形態におけるリソグラフィマスクの切断面の一例を示す図である。
【図4】さらなる実施形態におけるマスクレイアウトの一例を示す図である。
【図5】障壁構造を備えた従来のマスクレイアウトの概略図である。
【図6】一実施形態において障壁構造をパターニングするために用いられる構造を備えたマスクレイアウトの概略図である。
【図7】非プリント遮断領域の一部における構造を備えたマスクデザインの一実施形態を示す図である。
【図8】非プリント遮断領域の一部における構造を備えたマスクデザインのさらなる一実施形態を示す図である。
【図9】図4に示される構造を備えたさらなる実施形態におけるマスクデザインを示す図である。
【図10】プリンティング遮断部を含む構造を備えたマスクレイアウトの一実施形態の概略図である。
【図11】図10に示されたプリンティング遮断領域の一部における構造を備えたマスクデザインの一例を示す図である。
【図12】プリンティング遮断領域を含む構造を備えたマスクレイアウトの一実施形態の概略図である。
【図13】プリンティング遮断部を含む構造を備えたマスクレイアウトのさらなる実施形態の概略図である。
【図14】さらなる実施形態におけるマスクレイアウトを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の詳細な説明において、本発明が実施され得る具体的な実施形態を示した添付の図面が参照される。その際、『上』、『底』、『正面』、『背面』、『先』、『後』などの方向を示す用語は、記載された図面の向きを参照して使われる。本発明の実施形態における構成要素はさまざまな向きに配置され得るので、それらの方向を示す用語は図解の目的で用いられているのであって、方向を限定するものではない。クレームによって定義される範囲内でその他の実施形態が実施され得ること、また実施形態がその構造的または論理的に変更され得ることは理解されるべきである。
【0011】
図1は、先行技術における交互位相シフトマスクのレイアウト100の一例を示している。この交互位相シフトマスクは、透明石英層とパターニングされた不透明クロム層とから構成されている。図1において、ハッチングのない部分は、透明な非位相シフト石英領域を示しており、ハッチングを付した部分は、不透明クロム領域を表している。石英層の露出した透明な溝状パターン200は、セクション322を互いに絶縁させると共に、より大きなクロム領域321からも絶縁させるものである。セクション322には、例えば、マイクロチップを形成するパターンが配置される。例えば、マスクを製造する際に異なる加工層をパターニングする間、例えば交互位相シフトマスクやハーフトーンマスクあるいはスリートーンマスクを製造する間、例えばプラズマエッチング工程においてセクション322と領域321との間にチャージの差が生じ得る。そのため、パターニングされた不透明クロム層において電気的ポテンシャルの差が生じ、その結果として生じる電場が、プラズマエッチング工程における運動エネルギー及びイオン濃度を変化させる。そしてその結果、マスク表面のエッチングレートが不均一になる。
【0012】
図2は、従来の交互位相シフトマスク300の切断面の一例を示している。この図に示されるように、エッチングレートが不均一であると、溝33の深さに差が生じる。この交互位相シフトマスク300は、石英で形成された透明な第1層31と、クロムで形成された不透明な第2層32とから構成されている。不透明な第2層32は、1回目の層加工でマスクレイアウトに従ってパターニングされる。それによって、前記第2層32は部分的に取り除かれ、その部分の石英基板が露出してマスクの透明部分が形成されるとともにマスクの不透明部分が形成される。2回目の層加工では、部分的に露出した石英の第1層31がさらにパターニングされる。最後には、溝33が石英基板に及び、第2層32がハードマスクとして使用できるようになる。パターニングされた溝33の深さは、エッチングされていない石英基板を通過する光に対し、該溝33を通過する光が180度シフトするように制御される。この点において、『交互』という用語は位相シフトパターン(180度)と非位相シフトパターン(0度)とが交互に配列されることを意味する。例えば、ライン/スペースパターンにおいては、交互位相シフト構造によって、露光のコントラストを強調することができる。しかしながら、上述から明らかなように、コントラスト強調を改善するためには、位相シフト溝33の深さを高精度で設定する必要がある。すなわち、例えば図2に示すように、不均一なエッチングレートでの加工の結果として形成された溝33は、異なる深さとなる。この溝の深さは、第2層32における導電部のサイズや取り除かれる部分によっても左右される。そして、位相シフト溝33のエッチング深さの変化が強すぎると、劣悪なマスクが生成され得る。
【0013】
図3は、リソグラフィマスク300の切断面の一例を示している。例えば、溝がエッチングされる第1層31は、第2層32と同様に、均一な導電性を有する物質から構成される。それによって、例えば、前記第1層のエッチング工程においてハードマスクとして機能する第2層32のセクション322と領域321とのチャージの差を大まかには回避することができる。その結果、第2層32におけるチャージ及び電気的ポテンシャルの差が回避され、溝33における均一なエッチングレートと等しいエッチング深さが得られる。
【0014】
図3に示すように、第1層31に形成された溝は、第2層32に形成された溝の下に配置される。パターニングされた溝33の深さは、イメージング工程における露光ステップにおいて溝33を通過する光の位相がエッチングされていない石英基板を通過する光に対し180度シフトするように制御される。例えば、ライン/スペースパターンにおいては、交互位相シフト構造により、露光コントラストを強めることができる。第2層における電気的ポテンシャルの差が減少することによって、位相シフト溝33の深さが高精度に設定され、その結果、コントラストが強調される。
【0015】
或る1つの実施形態においては、第1層31及び第2層32は、例えば二酸化ケイ素の結晶やダイアモンドライクカーボンなどの絶縁体によって形成されている。さらなる実施形態においては、第1層31及び第2層32は、例えばケイ化モリブデンやドーピングされた二酸化ケイ素などの導電性の物質によって形成されている。これらの実施形態から明らかなように、該実施形態は、例えば2またはそれ以上の層を具備するリソグラフィマスクのようなあらゆる種類のマスクに関係する。交互位相シフトマスクやハーフトーンマスク、スリートーンマスクなどがその例である。例えば、ハーフトーンマスク及びスリートーンマスクは、透明層と不透明層の間にケイ化モリブデンのような半透明層を備えた位相シフトマスクである。ハーフトーンマスクの製造における2回目の層加工では、位相シフト半透明部と非位相シフト透明部とをマスク内に形成するために、半透明層がパターニングされる。さらなる例として、EUVマスクのような反射層スタックから成るリソグラフィマスクなどが挙げられる。
【0016】
さらなる実施形態において、第2層に形成された分離構造200は、その分離構造200によって互いに分離されたセクション322と領域321との間に電気的ポテンシャルの差が生じないように構成されている。
【0017】
その実施形態を図4に例示する。図4は、透明分離構造200によって囲まれた不透明セクション322を具備するマスクレイアウト100を示している。前記分離構造200は、遮断領域250を備えている。例えばクロムのような、第2層32の材料で形成された遮断領域250によって、セクション322は、より大きな不透明領域321とは絶縁されないようにしてある。より具体的には、前記遮断領域250は、セクション322と領域321とを電気的に互いに接続している。そのため、セクション322と領域321とはおよそ等しいレートでチャージされ、第2層における電気的ポテンシャルの差が回避される。前記遮断領域250は、リソグラフィステップで半導体ウェーハにプリントされないように形成されている。しかしながら、さらなる実施形態においては、遮断領域250も半導体ウェーハ上にプリントされて構わない。
以下においては、非プリント遮断領域250またはプリンティング遮断領域250を備えた分離構造200を含む実施形態を障壁構造と関連づけながら図解する。
【0018】
図5は、セクション322を囲う分離構造200を備えた交互位相シフトマスクまたはハーフトーンマスクのマスクレイアウト100を示している。図5において、実線のハッチングを付した部分は、第2層32を表しており、当該部分はマスク内に暗い不透明部を形成する。破線は、交互位相シフトマスクであれば石英の第1層31にエッチングされた位相シフト部を表しており、ハーフトーンマスクであればケイ化モリブデンによって形成された半透明位相シフト部を表している。ハッチングのない部分は、マスクにおける非位相シフト透明部を表しており、例えば、この部分は、石英で形成されたマスク基板が露出している。クロムによって形成された遮光層またはハードマスクは不透明部には残っており、その他の全ての部分では取り除かれている。分離構造200は、リソグラフィステップで基板もしくは半導体ウェーハにプリンティング外枠即ちリング10を備えている。例えば、この外側リング10は、第1セクション322を保護する障壁構造を形成するために半導体ウェーハにプリントされる。この保護障壁構造あるいはクラックストップは、半導体ウェーハにおけるパターンまたは素子を、ダイシング工程において生じ得るクラックから保護する。半導体ウェーハ上にプリントされる内枠、すなわちリング11は、ガードリングを形成するものであり、半導体ウェーハにおいてセクション322を水分やイオンの浸入から保護する。例えば、図5に示すマスクレイアウト100は、マイクロチップや半導体素子を形成するためにプリントされる位相シフト構造12と透明構造13とを含むマスクパターン28を備えている。加えて、さらなる位相シフト構造12と透明構造13とが、さらなるマスクパターン29を形成するために、領域321における分離構造200の外側リンググ10の外側に配置される。
【0019】
分離構造200のようにセクション322を囲む連続透明部は、フォトマスクにおいてセクション322を電気的な絶縁状態にする場合がある。その結果、例えば露光工程、ビーム描写工程、エッチング工程のようなマスクの製造過程においてチャージ効果が生じ得る。交互位相シフトマスクに関して言えば、例えば、ハードマスクが既にパターンされ、かつセクション322が既に絶縁されており、そして、石英から成る第1層に位相シフト構造をエッチングする2回目の層加工の際に、深刻な問題を引き起こしかねない。同様に、ハーフトーンマスクについての2回目の層加工で半透明層がパターニングされる際にも深刻な問題となり得る。セクション322と領域321のチャージが異なるために、コンタクトホールパターン同様、これまで試みに示してきたライン/スペースパターンにおいても、領域321と同様にセクション322における石英へのエッチングの深さに差異が生じる。従って、マスクを用いたリソグラフィ工程によって形成された半導体ウェーハ上の線の限界寸法(Critical Dimension; CD)は、大きく変化する。
【0020】
さらに、セクション322と領域321のチャージ状態が異なるために、領域321と同様にフォトマスクのセクション322において位相シフト構造をエッチングする際の石英へのエッチング深さに差異が生じる。例えば、ある単一のエッチング工程の結果、領域321においては、石英へのエッチング深さが平均169.6nmとなり、セクション322においては、石英へのエッチング深さが平均174.3nmとなる。このように、エッチング深さの平均は、所定許容差に収まらないような範囲で変化する。
【0021】
図6は、さらなる実施形態に関し、分離構造200が不連続のものであり、遮断領域250を備えたフォトマスク101のレイアウトの一部を示している。前記フォトマスクは、例えば、透明位相シフトパターン同様に不透明及び透明パターンを備えた交互位相シフトマスクや、それらに加えて半透明パターンを備えたハーフトーンマスクあるいはスリートーンマスクである。例として、前記フォトマスクは、透明な位相シフトパターンを含むクロムレスフォトマスクやEUV(極紫外線)露光ステップのための反射型フォトマスクであってもよい。
【0022】
図6以降の図面において、ハッチングのない部分はマスク内の透明部、実線のハッチングを付した部分は不透明部、破線のハッチングを付した部分は位相シフト部を表している。ここで示されているように、溝状をなす分離構造200は、第2層32に形成された溝を有している。前記分離構造200は、透明部13及び位相シフトパターン12を具備する第1マスクパターン28を含んだセクション322を取り囲んでいる。前記分離構造200は、ラインもしくは溝の形状をした第1セグメント210(201)を備えており、この第1セグメント210は、その端部に広がり部211を備えている。非プリント遮断部250は、2つの隣り合う第1セグメント210(201)の広がり部211の間に配置されている。セクション322は、遮断領域を介して領域321と接続されている。遮断領域250は、第2の層32を形成する材料でできている。
【0023】
前記接続によって、前記セクション322と領域321との異なるチャージ状態を回避することが出来る。領域321における第2マスクパターン29は、セクション322で効果的な同じ状況下でパターニングされる。
【0024】
交互位相シフトフォトマスクを製造するために、透明なマスク基板の上に遮光層が形成される。前記遮光層は、マスクレイアウトに従ってパターニングされる。その結果、第1パターン28と線状又は溝状の分離構造200が、最初の層加工において遮光層に形成される。前記分離構造200は、前記第1のパターン28を取り囲む遮断領域250を具備する。2回目の層加工では、位相シフト溝が例えばエッチングによってマスク層基板に形成される。
【0025】
ハーフトーンマスクを製造する場合、遮光層とマスク基板との間に半透明遮光層が配置される。ハーフトーンマスクを形成するこの方法によると、半透明遮光層が第2の加工ステップにおいてパターニングされる。
【0026】
上述のように、遮断領域を含む分離構造を備えた交互位相シフトフォトマスクにおいて、セクション322におけるエッチング深さの平均は、領域321と同様に、許容差内に収まっている。例えば、領域321において、石英へのエッチング深さの平均が172nmであり、セクション322においては石英へのエッチング深さの平均は172.2nmである。つまり、その差は相当小さい。
【0027】
図7は、実施形態におけるマスクデザインを示す。この実施形態において、分離構造200は2段階に幅の広がる広がり部211を含む不連続分離構造として形成されている。図7には、その2つの分離構造200の間に配置された非プリント遮断領域250と同様に、2つの隣り合う第1セグメント210及び2段階広がり部211が示されている。理解可能なように、前記広がり部211は異なる形状をしていて構わない。具体的に言うと、単一段の広がり部や2段以上の広がり部、または段のないように形成された広がり部であってもよい。前記第1セグメント210は線状であり、少なくとも1つの広がり部211を備えている。広がり部211と遮断領域250のサイズは、リソグラフィ工程の対象となる際に互いを補償するように選択される。結果として、広がり部211も遮断部250も加工される基板上にはプリントされない。例えば図7には、デザインターゲットパターン22と同様に、ウェーハターゲットパターン24が示されている。点線で示されるのは、構造200を用いたリソグラフィステップのシミュレーションによって基板上に形成される模擬ターゲットパターン23である。これから分かるように、前記模擬ターゲットパターン23は連続しており、遮断領域を含んでいない。遮断領域250の一部において、模擬ターゲットパターン23は基板24にプリントされるウェーハターゲットパターン24とずれている。模擬ターゲットパターン23は、遮断領域の一部において、ボトルネック状になっている。つまり、基板にイメージングされる際には、この線の幅は、ターゲットとなる線の幅からずれる。位相シフトアシストパターン260が分離構造200の隣に配置される。図7中のハッチングについては、上記において図6を参照して説明された通りである。
【0028】
以下において、図7に示される寸法を例えば、a=0.03μm、b=0.04μm、c=0.11μm、d=0.03μm、e=0.05μm、f=0.035μm、c'=0.073μm、g=0.31μm、
h=0.23μm、 i=0.170μm、 j=0.045μm、
k=0.041μm、1=0.04μmとする。
【0029】
図8は、さらなる実施形態におけるマスクデザインを示している。第2セグメント212が2つの第1セグメント210の間に配置されている。図8に示されるように、3つ以下の第2セグメント212が2つの第1セグメント210の間に配置され得る。しかしながら、3つを超える数や1つのみ、または2つの第2セグメント212が、2つの第1セグメントの間に配置されても構わない。第1セグメント210は線状であり、その一端に広がり部211を備えている。この広がり部211は、2つ以上のパーツから構成されている。遮断領域250は、セグメント210と212の間に配置される。第2セグメント212と、広がり領域211の寸法は、遮断領域250の寸法と同様に、遮断領域250と広がり領域211が基板にプリントされないように選択される。分離構造200の隣には、非プリント位相シフト補助構造260が配置される。この補助構造260は、コントラストを強め、イメージの焦点深度を深める。例えば、補助構造260は、遮断領域250が配置されている領域においても連続したものであってもよい。また補助構造260は、遮断領域250から距離を置いて配置される遮断部を備えていても構わない。
【0030】
例えば分離構造200は、遮断部250によって互いに分離されたセグメント212のみから構成されていても構わない。この第2セグメントは、長方形であってもよいし、例えば45度の角度を持つ平行四辺形など、その他の適当な形状が用いられてもよい。
実施形態において、遮断領域の寸法は、遮断領域が基板上にプリントされないように、イメージング装置の限界解像度よりも小さく選択される。
【0031】
図8には、基板上の模擬ターゲットパターン23を示している。すでに理解されていようが、図7に示される模擬ターゲットパターン23のCD(限界寸法)は変化していない。より具体的に言うと、このCDの変化は感知することができない。
【0032】
或る1つの例において、図8に示されているパターンが、以下の寸法を有しているとする。a=0.1090μm、
b=0.165μm、 c=0.107μm、 d=0.106μm、
e=0.03μm、 f=0.11125μm、 g=0.165μm、
h=0.105μm、 i=0.148μm、 j=0.191μm、
k=0.0975μm、 1=0.055μm、 m=0.06μm、
n=0.065μm、 0=0.78μm、 p=0.25μm。
【0033】
図9は、一実施形態における遮断部の拡大図である。図に示されるように、補助構造260は遮断部250の近くに配置される遮断部を有する。例えば、aとbの距離は0.05μmである。
【0034】
前記実施形態と同様に、図8及び9に示される実施形態において、分離構造200は、第2セグメント212のみが基板上に形成されるパターンとなるように形成される。このパターンは線や溝を備えている。その線や溝は連続のものであり、そのCD(限界寸法)はほとんど変化しないか、または全く変化しない。
【0035】
さらなる実施形態では、例えば、プリントされないピッチを有する2つの隣り合った遮断領域が設けられている。本明細書においてピッチとは、第2セグメントと遮断部との合計を示している。最小のプリント可能なピッチは、イメージングシステムの解像限界λ/〔NA〔1+sigma〕〕により与えられる。ここでλはイメージの波長を表しており、NAはシステムの開口数を示している。例えば、λ=193nm、NA=0.93の場合、均一の位相開口とコヒーレント照明を前提として、最小ピッチ=167.3である。反射マスクを用いた場合などの傾斜照明を使用すると、ピッチは減少する。上記の例は、sigma=0.24の曲線因子のために最適化される。
【0036】
ここに示されたフォトマスクの実施形態において、フォトマスクは不連続分離構造を備えており、その構造が連続パターンを形成するために半導体ウェーハ上にプリントされて、プリント第1パターンを保護するための障壁構造を形成する。例えばそれは、コンタクトホール層を形成するためのリソグラフィマスクであってもよい。
【0037】
図10はさらなる実施形態におけるマスクレイアウト100の概略図を示している。これからわかるように、セクション322は分離構造200によって囲まれている。第1パターン28は位相シフト部12を備えており、透明構造13はセクション322内に配置されている。例えば、第1パターン28は、半導体ウェーハ上でマイクロチップを形成する。分離構造200は外側リング10と内側リング11とを備えている。第2パターン29は領域321内である外側リング10の外部に配置されている。溝40は互いに隣り合う領域321を分離する。例えば、溝40に沿ってダイシングされることで、マイクロチップは絶縁される。外側及び内側リング(10、11)は、半導体ウェーハ上に障壁構造を形成する。外側の障壁構造(クラックストップ)は、マイクロチップをダイシングする際に生じるチップ領域へと進入するクラックから、マイクロチップを保護する。これらのクラックは図10におけるチップの角にギザギザの線で記される。内側の障壁構造(ガードリング)は、水分の浸入とイオンの移動からチップ領域を保護する。
【0038】
コーナー部や大きな金属領域41においてはクラックの発生確率が高いため、半導体ウェーハ上にプリントされる分離構造200における遮断領域250は、コーナー部や大きな金属領域41から離れた部分に配置される。コーナー部や大きな金属領域41から離間させたこの遮断領域250の配置によって、半導体ウェーハ上の障壁構造に保護機能が備わる。図10に示すように、4つの遮断領域250が設けられている。もちろん、例えば8や16などの4つ以上の遮断領域を設けることもできる。図10に示す実施形態において、セクション322と領域321は互いに電気的に接続されている。もし、交互位相シフトマスクまたはハーフトーンマスクが製造されたとしても、不測の状態つまりセクション322と領域321における異なるチャージ状態が生じることはない。
【0039】
図11は、図10に示される構造200の2つのセグメント201のマスクデザインにおけるプリンティング遮断領域250を示している。この例によると、分離構造200は位相シフトしない透明なパターンである。位相シフト補助構造260は、分離構造200の近くに配置されている。参照符号22は、デザインターゲットパターンを示し、参照符号24はウェーハターゲットパターンを示す。破線は、基板上の模擬ターゲットパターン23を示す。すでに理解されているように、プリンティング遮断領域250の一部においては、模擬ターゲットパターン23はウェーハターゲットパターン24と異なっている。前記ウェーハターゲットパターン24以外に、前記模擬ターゲットパターン23は遮断領域を具備する。加えて、分離構造200と比べ、セグメント210のコーナー部は短縮され、丸みを帯びる。
【0040】
或る実施形態によれば、図11に示される寸法をa=0.105μm、
b=0.105μm、 c=0.170μm、 d=0.080μm、
e=0.070μmとする。
【0041】
図12及び13は、プリンティング遮断領域250を具備し、セクション322を囲む分離構造200のさらなる実施形態を示している。図12及び13に示されるように、遮断領域250は迷路のような形をしている。これらの図面において、分離構造200はいくつかのセグメントを具備する。例えば、図12に図示されるように、領域321からセクション322へのパスが迷路のようになるように交互配置された階段状の第1セグメント210と階段状の第2セグメント212とを具備する。分離構造200が半導体ウェーハ上にプリントされた際に生じる構造には、迷路のような遮断領域250が含まれる。前記遮断領域250の特殊な形状によって、セクション322を囲う障壁構造によってパターニングされた半導体ウェーハ上に障壁構造が形成される。この障壁構造はクラックの進入やイオンの移動からセクション322の第1パターン28を保護する。その保護機能が実験的に示される。
【0042】
迷路のような遮断領域250を具備する分離構造200のさらなる実施形態が、図13に示されている。分離構造200は、線状または溝状のセグメント210を備えている。これらのセグメントは、セクション322を囲み、大きな間隔をもって互いに分離されるように配置されている。階段状の第2セグメント212がその大きなギャップに配置される。結果的に、大きなギャップは迷路のような遮断領域250を残して部分的に閉じられる。その遮断領域250は、図12に図示される遮断領域250と似た特性を持つ。
【0043】
図14は不透明な第2の層32から成り電気的に絶縁されたセクション322を具備する。このセクション322は、透明な分離構造200によって互いにまたは領域321から絶縁されている。図14におけるハッチングは、図1と同じものを示す。第2の層32には、分離溝251が設けられている。この透明な分離溝251は、複数のセクション322を取り囲み、第2の層に形成された大きな導電部321をセクション322から絶縁する。結果として、セクション322と分離構造200は、例えば幅8mmの導電性のリングによって取り囲まれる。このリングは、小さな区画421を形成しリングのチャージを減少させるために、さらなる透明遮断領域252の挿入によって区分される。分離溝251と遮断領域252は、基板にプリントされない寸法となっている。あるいは基板にプリントされるように形成されてもよいが、その場合はプリントされた素子の機能に影響を与えないように配置される。遮断領域252の幅は1μm以内であり、それよりも小さいいくつかの遮断領域を具備する。それらは、均等に分布されるかコーナー付近に集中する。
【0044】
或る実施形態によれば、リソグラフィマスクの製造方法は、第1の層をエッチングする前に第2の層をパターニングし、第2の層の上に導電性の層を形成することを含む。導電性の層では、第1の層において溝が形成される部分に開口部が形成される。導電性の層では、第2の層において互いに絶縁された部分が電気的に接続され、第2の層における電気的ポテンシャルの差が相殺される。第1の層がパターニングされた後、導電性の層は取り外される。例えば交互位相シフトマスクが形成される場合、位相シフト溝が形成される石英が第1の層に具備される。この溝は例えば、2回目の層加工においてドライエッチングによって形成される。ハーフトーンマスクは、2回目の層加工でパターニングされるケイ素モリブデンなどの不透明部材である第1の層を備える。
【0045】
さらなる実施形態によると、リソグラフィマスクの製造方法は、第1層に溝をエッチングし、第2層におけるセクションを囲う透明な分離構造を形成することを含む。この透明な分離構造は、第1層に溝をエッチングした後に形成される。その結果、第1層に溝をエッチングする第2の加工過程において、第2層において生じる電気的ポテンシャルの差を回避することができる。例えばこの実施形態においては、半導体ウェーハ上で保護構造として形成されるセクションを囲う分離構造のパターニングは、さらなる層加工において行われる。
【0046】
上記において本発明の実施形態が記載されてはいるが、さらなる実施形態が実施され得ることは、明らかである。従って、添付のクレームの趣旨及び範囲は、ここに記載された実施形態に限定されるべきではない。
【技術分野】
【0001】
本明細書は半導体素子を製造するためのリソグラフィマスクに係るものである。
【背景技術】
【0002】
微少サイズのパターンや形を作るために、いわゆる交互位相シフトマスク、ハーフトーンマスクあるいはスリートーンマスクを使用することが増えてきている。例えば、交互位相シフトマスクは、石英基板及びパターニングされた遮光層から構成されている。また、ハーフトーン及びスリートーンマスクは、石英層及び遮光層に加え、前記石英層と遮光層との間にある半透明層を具備している。
【0003】
交互位相シフトマスクやハーフトーンマスクあるいはスリートーンマスクは、最初の層加工でハードマスクとしても機能する遮光層がマスクレイアウトに従ってパターニングされ、2回目の層加工で位相シフトマスクを形成するために位相シフトパターンが前記石英層にエッチングされるという過程を経て製造される。例えば、ハーフトーンマスクを製造するためには、半透明層がパターニングされ、スリートーンマスクを製造するためには、半透明層と石英層がパターニングされる。
【0004】
半導体デバイスを製造する際には、単一の半導体ウェーハが加工されて、一度に数百の集積回路や半導体デバイスあるいはマイクロチップが作られる。このウェーハワイズ(wafer wise)工程が終了した後、前記マイクロチップは分離される。この分離工程中に、クラックが生じ得る。これらのクラックはマイクロチップの活性領域に移動して、チップにダメージを与え、ときには破壊することすらある。さらに、水分が絶縁層に浸透したり、またはイオンがマイクロチップの一部を形成するトランジスタのゲート構造に入り込んだりし、マイクロチップの機能性や信頼性が損なわれる場合がある。従って、通常は環状に前記チップを囲う障壁構造を設け、ときにはその障壁構造を、2つの閉じたリングで構成することもある。外側のリング(例えばクラックストップ)はクラックの進入からチップを保護し、内側のリング(例えばガードリング)は水分やイオンの浸入からチップを保護する。通常、アジャストマークやテスト構造に代表されるようなパターンが、外側リングの外部にある単一のマイクロチップの溝領域にさらに配置されている。異なるリソグラフィ層を使用するマスクを製造するとき、障壁構造の内部または外部に配置されるパターンを製造する間に問題が発生する。この問題は、2回目の層加工において、前記の閉じた障壁構造に起因するものである。例えば、障壁構造内部のパターンが、障壁構造外部のパターンとは異なったレートでエッチングされ得る。これは例えば、前記の閉じた障壁構造によって互いに絶縁された異なる領域の異なる荷電状態に起因する。
【0005】
US 7, 063, 921 B1
には、交互位相マスクの製造方法が開示されており、そこでは、活性領域の外部に配置された補償構造が、チャージを最小化するために活性領域に接続されたさらなる導電性領域を具備している。
【0006】
US 2006/0220250 には、半導体ウェーハにおいてクラックの移動及び活性領域の湿度を減少させる障壁構造の形状が記載されている。この障壁構造は複数の導体素子を備えている。
【0007】
しかして本発明の目的は、半導体ウェーハ上に保護障壁構造をパターニングするために用いられる構造を備え、マスク中の領域が絶縁されたリソグラフィマスクを提供することにある。本発明のさらなる目的は、そういったマスクの製造方法を提供することにある。
上記目的は、独立請求項に係るクレームされた発明によって達成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第7, 063, 921 B1号
【特許文献2】米国特許出願公開第2006/0220250号
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】従来のマスクレイアウトの一例を示す図である。
【図2】図1に示されるリソグラフィマスクの一部の切断面を示す図である。
【図3】一実施形態におけるリソグラフィマスクの切断面の一例を示す図である。
【図4】さらなる実施形態におけるマスクレイアウトの一例を示す図である。
【図5】障壁構造を備えた従来のマスクレイアウトの概略図である。
【図6】一実施形態において障壁構造をパターニングするために用いられる構造を備えたマスクレイアウトの概略図である。
【図7】非プリント遮断領域の一部における構造を備えたマスクデザインの一実施形態を示す図である。
【図8】非プリント遮断領域の一部における構造を備えたマスクデザインのさらなる一実施形態を示す図である。
【図9】図4に示される構造を備えたさらなる実施形態におけるマスクデザインを示す図である。
【図10】プリンティング遮断部を含む構造を備えたマスクレイアウトの一実施形態の概略図である。
【図11】図10に示されたプリンティング遮断領域の一部における構造を備えたマスクデザインの一例を示す図である。
【図12】プリンティング遮断領域を含む構造を備えたマスクレイアウトの一実施形態の概略図である。
【図13】プリンティング遮断部を含む構造を備えたマスクレイアウトのさらなる実施形態の概略図である。
【図14】さらなる実施形態におけるマスクレイアウトを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の詳細な説明において、本発明が実施され得る具体的な実施形態を示した添付の図面が参照される。その際、『上』、『底』、『正面』、『背面』、『先』、『後』などの方向を示す用語は、記載された図面の向きを参照して使われる。本発明の実施形態における構成要素はさまざまな向きに配置され得るので、それらの方向を示す用語は図解の目的で用いられているのであって、方向を限定するものではない。クレームによって定義される範囲内でその他の実施形態が実施され得ること、また実施形態がその構造的または論理的に変更され得ることは理解されるべきである。
【0011】
図1は、先行技術における交互位相シフトマスクのレイアウト100の一例を示している。この交互位相シフトマスクは、透明石英層とパターニングされた不透明クロム層とから構成されている。図1において、ハッチングのない部分は、透明な非位相シフト石英領域を示しており、ハッチングを付した部分は、不透明クロム領域を表している。石英層の露出した透明な溝状パターン200は、セクション322を互いに絶縁させると共に、より大きなクロム領域321からも絶縁させるものである。セクション322には、例えば、マイクロチップを形成するパターンが配置される。例えば、マスクを製造する際に異なる加工層をパターニングする間、例えば交互位相シフトマスクやハーフトーンマスクあるいはスリートーンマスクを製造する間、例えばプラズマエッチング工程においてセクション322と領域321との間にチャージの差が生じ得る。そのため、パターニングされた不透明クロム層において電気的ポテンシャルの差が生じ、その結果として生じる電場が、プラズマエッチング工程における運動エネルギー及びイオン濃度を変化させる。そしてその結果、マスク表面のエッチングレートが不均一になる。
【0012】
図2は、従来の交互位相シフトマスク300の切断面の一例を示している。この図に示されるように、エッチングレートが不均一であると、溝33の深さに差が生じる。この交互位相シフトマスク300は、石英で形成された透明な第1層31と、クロムで形成された不透明な第2層32とから構成されている。不透明な第2層32は、1回目の層加工でマスクレイアウトに従ってパターニングされる。それによって、前記第2層32は部分的に取り除かれ、その部分の石英基板が露出してマスクの透明部分が形成されるとともにマスクの不透明部分が形成される。2回目の層加工では、部分的に露出した石英の第1層31がさらにパターニングされる。最後には、溝33が石英基板に及び、第2層32がハードマスクとして使用できるようになる。パターニングされた溝33の深さは、エッチングされていない石英基板を通過する光に対し、該溝33を通過する光が180度シフトするように制御される。この点において、『交互』という用語は位相シフトパターン(180度)と非位相シフトパターン(0度)とが交互に配列されることを意味する。例えば、ライン/スペースパターンにおいては、交互位相シフト構造によって、露光のコントラストを強調することができる。しかしながら、上述から明らかなように、コントラスト強調を改善するためには、位相シフト溝33の深さを高精度で設定する必要がある。すなわち、例えば図2に示すように、不均一なエッチングレートでの加工の結果として形成された溝33は、異なる深さとなる。この溝の深さは、第2層32における導電部のサイズや取り除かれる部分によっても左右される。そして、位相シフト溝33のエッチング深さの変化が強すぎると、劣悪なマスクが生成され得る。
【0013】
図3は、リソグラフィマスク300の切断面の一例を示している。例えば、溝がエッチングされる第1層31は、第2層32と同様に、均一な導電性を有する物質から構成される。それによって、例えば、前記第1層のエッチング工程においてハードマスクとして機能する第2層32のセクション322と領域321とのチャージの差を大まかには回避することができる。その結果、第2層32におけるチャージ及び電気的ポテンシャルの差が回避され、溝33における均一なエッチングレートと等しいエッチング深さが得られる。
【0014】
図3に示すように、第1層31に形成された溝は、第2層32に形成された溝の下に配置される。パターニングされた溝33の深さは、イメージング工程における露光ステップにおいて溝33を通過する光の位相がエッチングされていない石英基板を通過する光に対し180度シフトするように制御される。例えば、ライン/スペースパターンにおいては、交互位相シフト構造により、露光コントラストを強めることができる。第2層における電気的ポテンシャルの差が減少することによって、位相シフト溝33の深さが高精度に設定され、その結果、コントラストが強調される。
【0015】
或る1つの実施形態においては、第1層31及び第2層32は、例えば二酸化ケイ素の結晶やダイアモンドライクカーボンなどの絶縁体によって形成されている。さらなる実施形態においては、第1層31及び第2層32は、例えばケイ化モリブデンやドーピングされた二酸化ケイ素などの導電性の物質によって形成されている。これらの実施形態から明らかなように、該実施形態は、例えば2またはそれ以上の層を具備するリソグラフィマスクのようなあらゆる種類のマスクに関係する。交互位相シフトマスクやハーフトーンマスク、スリートーンマスクなどがその例である。例えば、ハーフトーンマスク及びスリートーンマスクは、透明層と不透明層の間にケイ化モリブデンのような半透明層を備えた位相シフトマスクである。ハーフトーンマスクの製造における2回目の層加工では、位相シフト半透明部と非位相シフト透明部とをマスク内に形成するために、半透明層がパターニングされる。さらなる例として、EUVマスクのような反射層スタックから成るリソグラフィマスクなどが挙げられる。
【0016】
さらなる実施形態において、第2層に形成された分離構造200は、その分離構造200によって互いに分離されたセクション322と領域321との間に電気的ポテンシャルの差が生じないように構成されている。
【0017】
その実施形態を図4に例示する。図4は、透明分離構造200によって囲まれた不透明セクション322を具備するマスクレイアウト100を示している。前記分離構造200は、遮断領域250を備えている。例えばクロムのような、第2層32の材料で形成された遮断領域250によって、セクション322は、より大きな不透明領域321とは絶縁されないようにしてある。より具体的には、前記遮断領域250は、セクション322と領域321とを電気的に互いに接続している。そのため、セクション322と領域321とはおよそ等しいレートでチャージされ、第2層における電気的ポテンシャルの差が回避される。前記遮断領域250は、リソグラフィステップで半導体ウェーハにプリントされないように形成されている。しかしながら、さらなる実施形態においては、遮断領域250も半導体ウェーハ上にプリントされて構わない。
以下においては、非プリント遮断領域250またはプリンティング遮断領域250を備えた分離構造200を含む実施形態を障壁構造と関連づけながら図解する。
【0018】
図5は、セクション322を囲う分離構造200を備えた交互位相シフトマスクまたはハーフトーンマスクのマスクレイアウト100を示している。図5において、実線のハッチングを付した部分は、第2層32を表しており、当該部分はマスク内に暗い不透明部を形成する。破線は、交互位相シフトマスクであれば石英の第1層31にエッチングされた位相シフト部を表しており、ハーフトーンマスクであればケイ化モリブデンによって形成された半透明位相シフト部を表している。ハッチングのない部分は、マスクにおける非位相シフト透明部を表しており、例えば、この部分は、石英で形成されたマスク基板が露出している。クロムによって形成された遮光層またはハードマスクは不透明部には残っており、その他の全ての部分では取り除かれている。分離構造200は、リソグラフィステップで基板もしくは半導体ウェーハにプリンティング外枠即ちリング10を備えている。例えば、この外側リング10は、第1セクション322を保護する障壁構造を形成するために半導体ウェーハにプリントされる。この保護障壁構造あるいはクラックストップは、半導体ウェーハにおけるパターンまたは素子を、ダイシング工程において生じ得るクラックから保護する。半導体ウェーハ上にプリントされる内枠、すなわちリング11は、ガードリングを形成するものであり、半導体ウェーハにおいてセクション322を水分やイオンの浸入から保護する。例えば、図5に示すマスクレイアウト100は、マイクロチップや半導体素子を形成するためにプリントされる位相シフト構造12と透明構造13とを含むマスクパターン28を備えている。加えて、さらなる位相シフト構造12と透明構造13とが、さらなるマスクパターン29を形成するために、領域321における分離構造200の外側リンググ10の外側に配置される。
【0019】
分離構造200のようにセクション322を囲む連続透明部は、フォトマスクにおいてセクション322を電気的な絶縁状態にする場合がある。その結果、例えば露光工程、ビーム描写工程、エッチング工程のようなマスクの製造過程においてチャージ効果が生じ得る。交互位相シフトマスクに関して言えば、例えば、ハードマスクが既にパターンされ、かつセクション322が既に絶縁されており、そして、石英から成る第1層に位相シフト構造をエッチングする2回目の層加工の際に、深刻な問題を引き起こしかねない。同様に、ハーフトーンマスクについての2回目の層加工で半透明層がパターニングされる際にも深刻な問題となり得る。セクション322と領域321のチャージが異なるために、コンタクトホールパターン同様、これまで試みに示してきたライン/スペースパターンにおいても、領域321と同様にセクション322における石英へのエッチングの深さに差異が生じる。従って、マスクを用いたリソグラフィ工程によって形成された半導体ウェーハ上の線の限界寸法(Critical Dimension; CD)は、大きく変化する。
【0020】
さらに、セクション322と領域321のチャージ状態が異なるために、領域321と同様にフォトマスクのセクション322において位相シフト構造をエッチングする際の石英へのエッチング深さに差異が生じる。例えば、ある単一のエッチング工程の結果、領域321においては、石英へのエッチング深さが平均169.6nmとなり、セクション322においては、石英へのエッチング深さが平均174.3nmとなる。このように、エッチング深さの平均は、所定許容差に収まらないような範囲で変化する。
【0021】
図6は、さらなる実施形態に関し、分離構造200が不連続のものであり、遮断領域250を備えたフォトマスク101のレイアウトの一部を示している。前記フォトマスクは、例えば、透明位相シフトパターン同様に不透明及び透明パターンを備えた交互位相シフトマスクや、それらに加えて半透明パターンを備えたハーフトーンマスクあるいはスリートーンマスクである。例として、前記フォトマスクは、透明な位相シフトパターンを含むクロムレスフォトマスクやEUV(極紫外線)露光ステップのための反射型フォトマスクであってもよい。
【0022】
図6以降の図面において、ハッチングのない部分はマスク内の透明部、実線のハッチングを付した部分は不透明部、破線のハッチングを付した部分は位相シフト部を表している。ここで示されているように、溝状をなす分離構造200は、第2層32に形成された溝を有している。前記分離構造200は、透明部13及び位相シフトパターン12を具備する第1マスクパターン28を含んだセクション322を取り囲んでいる。前記分離構造200は、ラインもしくは溝の形状をした第1セグメント210(201)を備えており、この第1セグメント210は、その端部に広がり部211を備えている。非プリント遮断部250は、2つの隣り合う第1セグメント210(201)の広がり部211の間に配置されている。セクション322は、遮断領域を介して領域321と接続されている。遮断領域250は、第2の層32を形成する材料でできている。
【0023】
前記接続によって、前記セクション322と領域321との異なるチャージ状態を回避することが出来る。領域321における第2マスクパターン29は、セクション322で効果的な同じ状況下でパターニングされる。
【0024】
交互位相シフトフォトマスクを製造するために、透明なマスク基板の上に遮光層が形成される。前記遮光層は、マスクレイアウトに従ってパターニングされる。その結果、第1パターン28と線状又は溝状の分離構造200が、最初の層加工において遮光層に形成される。前記分離構造200は、前記第1のパターン28を取り囲む遮断領域250を具備する。2回目の層加工では、位相シフト溝が例えばエッチングによってマスク層基板に形成される。
【0025】
ハーフトーンマスクを製造する場合、遮光層とマスク基板との間に半透明遮光層が配置される。ハーフトーンマスクを形成するこの方法によると、半透明遮光層が第2の加工ステップにおいてパターニングされる。
【0026】
上述のように、遮断領域を含む分離構造を備えた交互位相シフトフォトマスクにおいて、セクション322におけるエッチング深さの平均は、領域321と同様に、許容差内に収まっている。例えば、領域321において、石英へのエッチング深さの平均が172nmであり、セクション322においては石英へのエッチング深さの平均は172.2nmである。つまり、その差は相当小さい。
【0027】
図7は、実施形態におけるマスクデザインを示す。この実施形態において、分離構造200は2段階に幅の広がる広がり部211を含む不連続分離構造として形成されている。図7には、その2つの分離構造200の間に配置された非プリント遮断領域250と同様に、2つの隣り合う第1セグメント210及び2段階広がり部211が示されている。理解可能なように、前記広がり部211は異なる形状をしていて構わない。具体的に言うと、単一段の広がり部や2段以上の広がり部、または段のないように形成された広がり部であってもよい。前記第1セグメント210は線状であり、少なくとも1つの広がり部211を備えている。広がり部211と遮断領域250のサイズは、リソグラフィ工程の対象となる際に互いを補償するように選択される。結果として、広がり部211も遮断部250も加工される基板上にはプリントされない。例えば図7には、デザインターゲットパターン22と同様に、ウェーハターゲットパターン24が示されている。点線で示されるのは、構造200を用いたリソグラフィステップのシミュレーションによって基板上に形成される模擬ターゲットパターン23である。これから分かるように、前記模擬ターゲットパターン23は連続しており、遮断領域を含んでいない。遮断領域250の一部において、模擬ターゲットパターン23は基板24にプリントされるウェーハターゲットパターン24とずれている。模擬ターゲットパターン23は、遮断領域の一部において、ボトルネック状になっている。つまり、基板にイメージングされる際には、この線の幅は、ターゲットとなる線の幅からずれる。位相シフトアシストパターン260が分離構造200の隣に配置される。図7中のハッチングについては、上記において図6を参照して説明された通りである。
【0028】
以下において、図7に示される寸法を例えば、a=0.03μm、b=0.04μm、c=0.11μm、d=0.03μm、e=0.05μm、f=0.035μm、c'=0.073μm、g=0.31μm、
h=0.23μm、 i=0.170μm、 j=0.045μm、
k=0.041μm、1=0.04μmとする。
【0029】
図8は、さらなる実施形態におけるマスクデザインを示している。第2セグメント212が2つの第1セグメント210の間に配置されている。図8に示されるように、3つ以下の第2セグメント212が2つの第1セグメント210の間に配置され得る。しかしながら、3つを超える数や1つのみ、または2つの第2セグメント212が、2つの第1セグメントの間に配置されても構わない。第1セグメント210は線状であり、その一端に広がり部211を備えている。この広がり部211は、2つ以上のパーツから構成されている。遮断領域250は、セグメント210と212の間に配置される。第2セグメント212と、広がり領域211の寸法は、遮断領域250の寸法と同様に、遮断領域250と広がり領域211が基板にプリントされないように選択される。分離構造200の隣には、非プリント位相シフト補助構造260が配置される。この補助構造260は、コントラストを強め、イメージの焦点深度を深める。例えば、補助構造260は、遮断領域250が配置されている領域においても連続したものであってもよい。また補助構造260は、遮断領域250から距離を置いて配置される遮断部を備えていても構わない。
【0030】
例えば分離構造200は、遮断部250によって互いに分離されたセグメント212のみから構成されていても構わない。この第2セグメントは、長方形であってもよいし、例えば45度の角度を持つ平行四辺形など、その他の適当な形状が用いられてもよい。
実施形態において、遮断領域の寸法は、遮断領域が基板上にプリントされないように、イメージング装置の限界解像度よりも小さく選択される。
【0031】
図8には、基板上の模擬ターゲットパターン23を示している。すでに理解されていようが、図7に示される模擬ターゲットパターン23のCD(限界寸法)は変化していない。より具体的に言うと、このCDの変化は感知することができない。
【0032】
或る1つの例において、図8に示されているパターンが、以下の寸法を有しているとする。a=0.1090μm、
b=0.165μm、 c=0.107μm、 d=0.106μm、
e=0.03μm、 f=0.11125μm、 g=0.165μm、
h=0.105μm、 i=0.148μm、 j=0.191μm、
k=0.0975μm、 1=0.055μm、 m=0.06μm、
n=0.065μm、 0=0.78μm、 p=0.25μm。
【0033】
図9は、一実施形態における遮断部の拡大図である。図に示されるように、補助構造260は遮断部250の近くに配置される遮断部を有する。例えば、aとbの距離は0.05μmである。
【0034】
前記実施形態と同様に、図8及び9に示される実施形態において、分離構造200は、第2セグメント212のみが基板上に形成されるパターンとなるように形成される。このパターンは線や溝を備えている。その線や溝は連続のものであり、そのCD(限界寸法)はほとんど変化しないか、または全く変化しない。
【0035】
さらなる実施形態では、例えば、プリントされないピッチを有する2つの隣り合った遮断領域が設けられている。本明細書においてピッチとは、第2セグメントと遮断部との合計を示している。最小のプリント可能なピッチは、イメージングシステムの解像限界λ/〔NA〔1+sigma〕〕により与えられる。ここでλはイメージの波長を表しており、NAはシステムの開口数を示している。例えば、λ=193nm、NA=0.93の場合、均一の位相開口とコヒーレント照明を前提として、最小ピッチ=167.3である。反射マスクを用いた場合などの傾斜照明を使用すると、ピッチは減少する。上記の例は、sigma=0.24の曲線因子のために最適化される。
【0036】
ここに示されたフォトマスクの実施形態において、フォトマスクは不連続分離構造を備えており、その構造が連続パターンを形成するために半導体ウェーハ上にプリントされて、プリント第1パターンを保護するための障壁構造を形成する。例えばそれは、コンタクトホール層を形成するためのリソグラフィマスクであってもよい。
【0037】
図10はさらなる実施形態におけるマスクレイアウト100の概略図を示している。これからわかるように、セクション322は分離構造200によって囲まれている。第1パターン28は位相シフト部12を備えており、透明構造13はセクション322内に配置されている。例えば、第1パターン28は、半導体ウェーハ上でマイクロチップを形成する。分離構造200は外側リング10と内側リング11とを備えている。第2パターン29は領域321内である外側リング10の外部に配置されている。溝40は互いに隣り合う領域321を分離する。例えば、溝40に沿ってダイシングされることで、マイクロチップは絶縁される。外側及び内側リング(10、11)は、半導体ウェーハ上に障壁構造を形成する。外側の障壁構造(クラックストップ)は、マイクロチップをダイシングする際に生じるチップ領域へと進入するクラックから、マイクロチップを保護する。これらのクラックは図10におけるチップの角にギザギザの線で記される。内側の障壁構造(ガードリング)は、水分の浸入とイオンの移動からチップ領域を保護する。
【0038】
コーナー部や大きな金属領域41においてはクラックの発生確率が高いため、半導体ウェーハ上にプリントされる分離構造200における遮断領域250は、コーナー部や大きな金属領域41から離れた部分に配置される。コーナー部や大きな金属領域41から離間させたこの遮断領域250の配置によって、半導体ウェーハ上の障壁構造に保護機能が備わる。図10に示すように、4つの遮断領域250が設けられている。もちろん、例えば8や16などの4つ以上の遮断領域を設けることもできる。図10に示す実施形態において、セクション322と領域321は互いに電気的に接続されている。もし、交互位相シフトマスクまたはハーフトーンマスクが製造されたとしても、不測の状態つまりセクション322と領域321における異なるチャージ状態が生じることはない。
【0039】
図11は、図10に示される構造200の2つのセグメント201のマスクデザインにおけるプリンティング遮断領域250を示している。この例によると、分離構造200は位相シフトしない透明なパターンである。位相シフト補助構造260は、分離構造200の近くに配置されている。参照符号22は、デザインターゲットパターンを示し、参照符号24はウェーハターゲットパターンを示す。破線は、基板上の模擬ターゲットパターン23を示す。すでに理解されているように、プリンティング遮断領域250の一部においては、模擬ターゲットパターン23はウェーハターゲットパターン24と異なっている。前記ウェーハターゲットパターン24以外に、前記模擬ターゲットパターン23は遮断領域を具備する。加えて、分離構造200と比べ、セグメント210のコーナー部は短縮され、丸みを帯びる。
【0040】
或る実施形態によれば、図11に示される寸法をa=0.105μm、
b=0.105μm、 c=0.170μm、 d=0.080μm、
e=0.070μmとする。
【0041】
図12及び13は、プリンティング遮断領域250を具備し、セクション322を囲む分離構造200のさらなる実施形態を示している。図12及び13に示されるように、遮断領域250は迷路のような形をしている。これらの図面において、分離構造200はいくつかのセグメントを具備する。例えば、図12に図示されるように、領域321からセクション322へのパスが迷路のようになるように交互配置された階段状の第1セグメント210と階段状の第2セグメント212とを具備する。分離構造200が半導体ウェーハ上にプリントされた際に生じる構造には、迷路のような遮断領域250が含まれる。前記遮断領域250の特殊な形状によって、セクション322を囲う障壁構造によってパターニングされた半導体ウェーハ上に障壁構造が形成される。この障壁構造はクラックの進入やイオンの移動からセクション322の第1パターン28を保護する。その保護機能が実験的に示される。
【0042】
迷路のような遮断領域250を具備する分離構造200のさらなる実施形態が、図13に示されている。分離構造200は、線状または溝状のセグメント210を備えている。これらのセグメントは、セクション322を囲み、大きな間隔をもって互いに分離されるように配置されている。階段状の第2セグメント212がその大きなギャップに配置される。結果的に、大きなギャップは迷路のような遮断領域250を残して部分的に閉じられる。その遮断領域250は、図12に図示される遮断領域250と似た特性を持つ。
【0043】
図14は不透明な第2の層32から成り電気的に絶縁されたセクション322を具備する。このセクション322は、透明な分離構造200によって互いにまたは領域321から絶縁されている。図14におけるハッチングは、図1と同じものを示す。第2の層32には、分離溝251が設けられている。この透明な分離溝251は、複数のセクション322を取り囲み、第2の層に形成された大きな導電部321をセクション322から絶縁する。結果として、セクション322と分離構造200は、例えば幅8mmの導電性のリングによって取り囲まれる。このリングは、小さな区画421を形成しリングのチャージを減少させるために、さらなる透明遮断領域252の挿入によって区分される。分離溝251と遮断領域252は、基板にプリントされない寸法となっている。あるいは基板にプリントされるように形成されてもよいが、その場合はプリントされた素子の機能に影響を与えないように配置される。遮断領域252の幅は1μm以内であり、それよりも小さいいくつかの遮断領域を具備する。それらは、均等に分布されるかコーナー付近に集中する。
【0044】
或る実施形態によれば、リソグラフィマスクの製造方法は、第1の層をエッチングする前に第2の層をパターニングし、第2の層の上に導電性の層を形成することを含む。導電性の層では、第1の層において溝が形成される部分に開口部が形成される。導電性の層では、第2の層において互いに絶縁された部分が電気的に接続され、第2の層における電気的ポテンシャルの差が相殺される。第1の層がパターニングされた後、導電性の層は取り外される。例えば交互位相シフトマスクが形成される場合、位相シフト溝が形成される石英が第1の層に具備される。この溝は例えば、2回目の層加工においてドライエッチングによって形成される。ハーフトーンマスクは、2回目の層加工でパターニングされるケイ素モリブデンなどの不透明部材である第1の層を備える。
【0045】
さらなる実施形態によると、リソグラフィマスクの製造方法は、第1層に溝をエッチングし、第2層におけるセクションを囲う透明な分離構造を形成することを含む。この透明な分離構造は、第1層に溝をエッチングした後に形成される。その結果、第1層に溝をエッチングする第2の加工過程において、第2層において生じる電気的ポテンシャルの差を回避することができる。例えばこの実施形態においては、半導体ウェーハ上で保護構造として形成されるセクションを囲う分離構造のパターニングは、さらなる層加工において行われる。
【0046】
上記において本発明の実施形態が記載されてはいるが、さらなる実施形態が実施され得ることは、明らかである。従って、添付のクレームの趣旨及び範囲は、ここに記載された実施形態に限定されるべきではない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導体で構成されており、溝を有する第1層と、
領域、セクション及びそのセクションを囲む溝状透明構造を含む第2層とを具備し、
前記第1層と第2層とが、前記第2層における電気的ポテンシャルの差を減少させるように形成されており、
前記溝状透明構造が、前記セクションと前記領域とを分離するものであり、前記第1層と第2層の材料が、前記セクションと前記領域との間に電気的ポテンシャルの差が生じないように選択されたものであるリソグラフィマスク。
【請求項2】
前記溝状透明構造が、前記セクションと前記領域とを分離するものであり、前記溝状透明構造が、前記第2層における前記セクションと前記領域との間に電気的ポテンシャルの差が生じないように形成されたものである請求項1に記載のリソグラフィマスク。
【請求項3】
前記第2層に形成された前記溝状透明構造が連続のものではなく、連続構造としてプリントされるようにしたものである請求項2に記載のリソグラフィマスク。
【請求項4】
前記溝状透明構造が、1つ以上の非プリント遮断領域によって互いに分離された少なくとも2つ以上のセグメントを具備しており、前記遮断領域が前記第2層の材料によって構成されている請求項3に記載のリソグラフィマスク。
【請求項5】
前記第2層が、前記セクションの内部に配置された第1パターンと前記セクションの外部に配置された第2パターンとを具備しており、前記溝状透明構造が、基板にイメージングされた後に前記第1パターンを保護するための保護層を形成するようにしてある請求項4に記載のリソグラフィマスク。
【請求項6】
前記セグメントが、少なくともその一端に広がり部を有する線状の第1セグメントを具備する請求項4に記載のリソグラフィマスク。
【請求項7】
前記遮断部が2つの隣り合う第1セグメントの2つの前記広がり部の間に配置されており、前記広がり部と遮断領域とが、基板上にイメージングされる際に互いを補償するような形を有するものである請求項5に記載のリソグラフィマスク。
【請求項8】
プリンティングパターンが線状になるように前記第1または第2セグメントを形成し配置した請求項5に記載のリソグラフィマスク。
【請求項9】
少なくとも1つの前記第2セグメントが2つの前記第1セグメントの間に配置されており、前記第1及び第2セグメントが、前記非プリント遮断領域によって互いに分離されている請求項8に記載のリソグラフィマスク。
【請求項10】
前記第2層に形成された前記溝状透明構造が、不連続のものである請求項2に記載のリソグラフィマスク。
【請求項11】
前記溝状透明構造が、前記第2層の材料で構成された少なくとも1つのプリンティング遮断領域によって互いに分離された、少なくとも2つの溝状セグメントを具備している請求項10に記載のリソグラフィマスク。
【請求項12】
前記第2層が前記セクションの内部に配置された第1パターンと前記セクションの外部に配置された第2パターンとを具備しており、前記溝状透明構造がコーナーを具備しており、前記プリンティング遮断部が前記コーナと距離をおいて配置されている請求項11に記載のリソグラフィマスク。
【請求項13】
前記第2層において分離溝と遮断領域とをさらに具備しており、該分離溝と遮断領域が前記セクションと前記領域とを分離している請求項1に記載のリソグラフィマスク。
【請求項14】
前記第2層が、前記第1層の上に配置されている請求項1記載のリソグラフィマスク。
【請求項15】
前記第2層が絶縁体で構成されている請求項1に記載のリソグラフィマスク。
【請求項16】
第2層が導体で構成されている第1層の上に配置されるように第1層と第2層を形成することと、
セクションを囲む溝状透明構造と同様に、前記セクションと領域とを具備させるために前記第2層をパターニングすることと、
前記第1層における前記第2層に覆われていない部分に溝を形成することを備えており、
前記第1層に前記溝を形成する過程において前記第2層における電気的ポテンシャルの差が減少するように前記各層が形成されているリソグラフィマスクの製造方法。
【請求項17】
前記セクションと領域とを分離するために前記溝状透明構造が形成され、前記第2層における前記セクションと前記領域との電気的ポテンシャルの差が生じないように前記溝状透明構造が形成されている請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記第2層に形成された前記溝状透明構造が連続のものではなく、連続構造としてプリントされる請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記溝状透明構造が、1つ以上の非プリント遮断領域によって互いに分離された少なくとも2つ以上のセグメントを具備しており、前記遮断領域が前記第2層の材料によって構成されている請求項18記載の方法。
【請求項20】
前記第2層が、前記セクションの内部に配置された第1パターンと前記セクションの外部に配置された第2パターンとを具備しており、前記溝状透明構造が、基板にイメージングされた後に前記第1パターンを保護するための保護層を形成する請求項19記載の方法。
【請求項21】
前記第1層における前記溝を形成する前に前記パターニングされた第2層の上に導電性フィルムを形成することと、
前記溝が形成される部分に開口部を形成するために前記導電性フィルムをパターニングすることをさらに備えた請求項16に記載の方法。
【請求項22】
前記第1層に溝を形成した後に、前記溝状透明構造を第2層に形成する請求項16に記載の方法。
【請求項1】
導体で構成されており、溝を有する第1層と、
領域、セクション及びそのセクションを囲む溝状透明構造を含む第2層とを具備し、
前記第1層と第2層とが、前記第2層における電気的ポテンシャルの差を減少させるように形成されており、
前記溝状透明構造が、前記セクションと前記領域とを分離するものであり、前記第1層と第2層の材料が、前記セクションと前記領域との間に電気的ポテンシャルの差が生じないように選択されたものであるリソグラフィマスク。
【請求項2】
前記溝状透明構造が、前記セクションと前記領域とを分離するものであり、前記溝状透明構造が、前記第2層における前記セクションと前記領域との間に電気的ポテンシャルの差が生じないように形成されたものである請求項1に記載のリソグラフィマスク。
【請求項3】
前記第2層に形成された前記溝状透明構造が連続のものではなく、連続構造としてプリントされるようにしたものである請求項2に記載のリソグラフィマスク。
【請求項4】
前記溝状透明構造が、1つ以上の非プリント遮断領域によって互いに分離された少なくとも2つ以上のセグメントを具備しており、前記遮断領域が前記第2層の材料によって構成されている請求項3に記載のリソグラフィマスク。
【請求項5】
前記第2層が、前記セクションの内部に配置された第1パターンと前記セクションの外部に配置された第2パターンとを具備しており、前記溝状透明構造が、基板にイメージングされた後に前記第1パターンを保護するための保護層を形成するようにしてある請求項4に記載のリソグラフィマスク。
【請求項6】
前記セグメントが、少なくともその一端に広がり部を有する線状の第1セグメントを具備する請求項4に記載のリソグラフィマスク。
【請求項7】
前記遮断部が2つの隣り合う第1セグメントの2つの前記広がり部の間に配置されており、前記広がり部と遮断領域とが、基板上にイメージングされる際に互いを補償するような形を有するものである請求項5に記載のリソグラフィマスク。
【請求項8】
プリンティングパターンが線状になるように前記第1または第2セグメントを形成し配置した請求項5に記載のリソグラフィマスク。
【請求項9】
少なくとも1つの前記第2セグメントが2つの前記第1セグメントの間に配置されており、前記第1及び第2セグメントが、前記非プリント遮断領域によって互いに分離されている請求項8に記載のリソグラフィマスク。
【請求項10】
前記第2層に形成された前記溝状透明構造が、不連続のものである請求項2に記載のリソグラフィマスク。
【請求項11】
前記溝状透明構造が、前記第2層の材料で構成された少なくとも1つのプリンティング遮断領域によって互いに分離された、少なくとも2つの溝状セグメントを具備している請求項10に記載のリソグラフィマスク。
【請求項12】
前記第2層が前記セクションの内部に配置された第1パターンと前記セクションの外部に配置された第2パターンとを具備しており、前記溝状透明構造がコーナーを具備しており、前記プリンティング遮断部が前記コーナと距離をおいて配置されている請求項11に記載のリソグラフィマスク。
【請求項13】
前記第2層において分離溝と遮断領域とをさらに具備しており、該分離溝と遮断領域が前記セクションと前記領域とを分離している請求項1に記載のリソグラフィマスク。
【請求項14】
前記第2層が、前記第1層の上に配置されている請求項1記載のリソグラフィマスク。
【請求項15】
前記第2層が絶縁体で構成されている請求項1に記載のリソグラフィマスク。
【請求項16】
第2層が導体で構成されている第1層の上に配置されるように第1層と第2層を形成することと、
セクションを囲む溝状透明構造と同様に、前記セクションと領域とを具備させるために前記第2層をパターニングすることと、
前記第1層における前記第2層に覆われていない部分に溝を形成することを備えており、
前記第1層に前記溝を形成する過程において前記第2層における電気的ポテンシャルの差が減少するように前記各層が形成されているリソグラフィマスクの製造方法。
【請求項17】
前記セクションと領域とを分離するために前記溝状透明構造が形成され、前記第2層における前記セクションと前記領域との電気的ポテンシャルの差が生じないように前記溝状透明構造が形成されている請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記第2層に形成された前記溝状透明構造が連続のものではなく、連続構造としてプリントされる請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記溝状透明構造が、1つ以上の非プリント遮断領域によって互いに分離された少なくとも2つ以上のセグメントを具備しており、前記遮断領域が前記第2層の材料によって構成されている請求項18記載の方法。
【請求項20】
前記第2層が、前記セクションの内部に配置された第1パターンと前記セクションの外部に配置された第2パターンとを具備しており、前記溝状透明構造が、基板にイメージングされた後に前記第1パターンを保護するための保護層を形成する請求項19記載の方法。
【請求項21】
前記第1層における前記溝を形成する前に前記パターニングされた第2層の上に導電性フィルムを形成することと、
前記溝が形成される部分に開口部を形成するために前記導電性フィルムをパターニングすることをさらに備えた請求項16に記載の方法。
【請求項22】
前記第1層に溝を形成した後に、前記溝状透明構造を第2層に形成する請求項16に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−101387(P2013−101387A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−18672(P2013−18672)
【出願日】平成25年2月1日(2013.2.1)
【分割の表示】特願2010−92413(P2010−92413)の分割
【原出願日】平成22年4月13日(2010.4.13)
【出願人】(506385106)アドバンスド マスク テクノロジー センター ゲーエムベーハー ウント ツェーオー カーゲー (11)
【氏名又は名称原語表記】Advanced Mask Technology Center GmbH & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Raehnitzer Allee 9 01109 Dresden Germany
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成25年2月1日(2013.2.1)
【分割の表示】特願2010−92413(P2010−92413)の分割
【原出願日】平成22年4月13日(2010.4.13)
【出願人】(506385106)アドバンスド マスク テクノロジー センター ゲーエムベーハー ウント ツェーオー カーゲー (11)
【氏名又は名称原語表記】Advanced Mask Technology Center GmbH & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Raehnitzer Allee 9 01109 Dresden Germany
【Fターム(参考)】
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