説明

リチウム二次電池用負極活物質およびリチウム二次電池用負極

【課題】活物質の理論容量に対する利用率の向上とサイクル特性の向上とを両立させることが可能なリチウム二次電池用負極活物質を提供する。
【解決手段】Siを30〜65質量%含有する組成を有し、Sn量が50質量%以上占めるSn−Cu系合金マトリクス中にSi結晶子が分散しているとともに、Si結晶子を少なくとも部分的に被覆する状態にSi−X系合金(但しXはFe,Ni及びCoから選択される1種以上の元素)が晶出した2相マトリクス構造のリチウム二次電池用負極活物質とする。
ここでXは1質量%以上の量で添加しておく。
上述のリチウム二次電池用負極活物質は、リチウムイオン二次電池、リチウムポリマー二次電池などのリチウム二次電池の負極に好適に用いることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リチウム二次電池用負極活物質およびリチウム二次電池用負極に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、負極活物質として黒鉛等の炭素材料を用いた負極、コバルト酸化物等のリチウム含有化合物を用いた正極、これら正負両極間に挟持する電解質としてLiPF等のリチウム塩を用いたリチウム二次電池が知られている。リチウム二次電池では、電池充電時に負極活物質中にリチウムイオンが吸蔵され、電池放電時に負極活物質からリチウムイオンが放出される。
【0003】
近年、この種のリチウム二次電池は、電気自動車の動力源等として注目されている。しかしながら、現在広く使用されている負極活物質の黒鉛は、その理論容量が372mAh/gに過ぎず、より一層の高容量化が望まれている。そこで最近では炭素系負極活物質の代替材料として、高容量化が期待できるSi、Sn等の金属材料が盛んに研究されている。
【0004】
ところが、SiやSnは、リチウムイオンの吸蔵・放出に伴い大きな体積膨張・収縮を生じる。そしてその膨張・収縮応力によってSiやSnの粒子が割れたり集電体から剥離し、充放電を繰り返したときの容量維持特性であるサイクル特性が悪いといった問題があった。
【0005】
その対策として、本件出願人による特許文献1には、多数のSi核の周囲をAl−Co系合金マトリクスにより取り囲んだ構造の負極活物質とすることにより、Siの膨張・収縮応力を緩和し、サイクル特性を向上させることができる点が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−32644号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来技術は以下の点で改良の余地があった。即ちSi核の周囲をAl−Co系合金マトリクスにより取り囲んだ構造のものでは、サイクル特性の向上が見られるものの、活物質の利用率を高めることが困難であった。
【0008】
Al系合金は、多少のLi活性を有するものの、Li拡散パスとしての機能を十分に果たしているとは言えず、活物質の理論容量に対する利用率(=初期放電容量/活物質の理論容量×100)が低下してしまうのである。この種の現象は、Cuをマトリクスとして選択した場合にも生じうる。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、本発明が解決しようとする課題は、活物質の理論容量に対する利用率の向上とサイクル特性の向上とを両立させることが可能なリチウム二次電池用負極活物質及びこれを用いたリチウム二次電池用負極を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明に係るリチウム二次電池用負極活物質は、Siを30〜65質量%含有する組成を有し、Sn量が50質量%以上を占めるSn−Cu系合金マトリクス中にSi結晶子が分散しているとともに、Si結晶子を少なくとも部分的に被覆する状態にSi−X系合金が晶出した2相マトリクス構造を有していることを要旨とする。
ここでXはFe,Ni及びCoから選ばれた1種以上の元素で、1質量%以上の量で添加してあることが必要である。
本発明のリチウム二次電池用負極活物質は、Si−X系合金によるSi結晶子の被覆率が25%以上であることが好ましい。
またSi−X系合金におけるXの添加量は、合計で3〜15質量%であることが好ましい。
【0011】
上記リチウム二次電池用負極活物質は、液体急冷法により製造されたものであることが好ましい。
【0012】
本発明に係るリチウム二次電池用負極は、上記リチウム二次電池用負極活物質を用いたことを要旨とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るリチウム二次電池用負極活物質は、Sn−Cu系合金マトリクス中にSi結晶子が分散されている。そのため、活物質の理論容量に対する利用率の向上とサイクル特性の向上とを両立させることができる。これは以下の理由によるものと推察される。
【0014】
Al系合金やCuは、ほとんどLiを吸蔵しないので、Si結晶子の周囲を取り囲む合金マトリクスに使用した場合、合金マトリクス中におけるLiの拡散パスが少なくなる。その結果、Liと反応するのは粉末表面のSiが主体となり、粉末内部にはLiと未反応のSiが生じてしまい、活物質の利用率が低下してしまう。
これに対して、Sn−Cu系合金は低容量ではあるもののLiを吸蔵するので、Si結晶子の周囲を取り囲む合金マトリクスに使用した場合、合金マトリクス中におけるLiの拡散パスを確保しやすくなる。したがって、本発明に係るリチウム二次電池用負極活物質は、活物質の理論容量に対する利用率を向上させることが可能となる。
【0015】
さらに、Al系合金やCu単体では、ほとんどLiを吸蔵しないので、Si結晶子の周囲を取り囲む合金マトリクスに使用した場合、マトリクス自体の膨張は小さい。そのため、Siの膨張応力に耐えきれずにマトリクスの崩壊が生じ、さらなるサイクル特性の向上は難しい。これに対して、Sn−Cu系合金は低容量ではあるもののLiを吸蔵するので、マトリクス自体も少し膨張する。そのため、Si結晶子の周囲を取り囲む合金マトリクスに使用した場合、Siと同時に膨張することによりSiの膨張応力を緩和しやすくなり、崩壊を抑制しやすくなる。したがって、本発明に係るリチウム二次電池用負極活物質は、サイクル特性を向上させることが可能となる。
【0016】
ここで上記Sn−Cu系合金マトリクスにおけるSn量が50質量%以上を占めている場合には、特に上記の効果が高い。
【0017】
また、上記Si結晶子を少なくとも部分的に被覆する状態にSi−X系合金(但し、Xは、Fe、NiおよびCoから選択される1種以上の元素)が晶出している場合には、Si結晶子の周囲のSn−Cu系合金マトリクスに加え、さらにSi−X系合金によってもSiの崩壊を抑制することが可能になり、より一層サイクル特性を向上させることができる。
【0018】
Sn−Cu系合金マトリクス中において、このようにSi結晶子を少なくとも部分的に被覆する状態にSi−X系合金が晶出することでサイクル特性の更なる向上が得られるのは、次の理由によるものと推察される。
Si−X系合金はLiを殆んど吸蔵しない相であり、このSi−X合金がSi結晶子を部分的に被覆していることでSi結晶子の膨張自体を抑制する。
そしてSi−X系合金によるSi結晶子の膨張自体の抑制作用と、Sn−Cu系合金マトリクスによるSi結晶子の膨張応力の緩和作用とによって、Siの崩壊を効果高く抑制し、より一層のサイクル特性を向上させ得るものと考えられる。
【0019】
本発明のリチウム二次電池用負極活物質では、Siを30質量%以上含有する組成となしている。これにより活物質の初期放電容量を大きく確保することができる。
一方本発明のリチウム二次電池用負極物質では、Si含有量を65質量%以下としている。Si含有量がこれよりも多くなると、これに応じてマトリクス量が過少となり、マトリクスの働きによるサイクル特性の向上効果が低下してしまう。
そこでここではSiを30〜65質量%の範囲内で活物質中に含有させる。
【0020】
本発明のリチウム二次電池用負極物質では、Si−X系合金によるSi結晶子の被覆率を25%以上としておくことが望ましく、これによりSi−X系合金による効果を十分に発揮させ得て、サイクル特性を高めることができる。
この場合において、Si−X系合金におけるXの添加量を合計で3%以上としておくことで、上記の被覆率25%以上が得易くなる。
一方15%を超えて多く添加すると、Si単相として存在するSi量が少なくなり、放電容量が小さくなる。
【0021】
上記リチウム二次電池用負極活物質が液体急冷法により製造されたものである場合には、融点、自由エネルギー等の因子を考慮することにより、溶解を経てSi、Si−X系合金、Sn−Cu系合金を順次晶出させることができる。したがって、本発明の特徴的な組織であるSi結晶子の周囲にSi−X系合金、Sn−Cu系合金が存在する上述の2相マトリクスの組織構造をとりやすくなる。
【0022】
本発明に係るリチウム二次電池用負極は、上述したリチウム二次電池用負極活物質を用いているので、活物質の理論容量に対する利用率の向上とサイクル特性の向上とを両立することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】実施例4に係る負極活物質の走査型電子顕微鏡(SEM)による反射電子像である。
【図2】図1の一部を拡大し、これを模式化して表した図である。
【図3】XRD分析による結果を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の一実施形態に係るリチウム二次電池用負極活物質(以下、「本負極活物質」ということがある。)、本負極活物質を用いたリチウム二次電池用負極(以下、「本負極」ということがある。)について詳細に説明する。
【0025】
1.本負極活物質
初めに、本負極活物質の構成について説明する。本負極活物質は、リチウムイオン二次電池、リチウムポリマー二次電池などのリチウム二次電池の負極に用いられる材料である。
【0026】
本負極活物質は、Si結晶子と、Sn−Cu系合金マトリクスと、Si−X系合金を少なくとも有している。本負極活物質は、Sn−Cu系合金マトリクス中にSi結晶子が多数分散された構造を有している。つまり、多数のSi結晶子は、周囲のSn−Cu系合金マトリクスに取り囲まれている。
【0027】
本負極活物質において、Si結晶子は、Siを主に含有する相である。リチウム吸蔵量が大きくなるなどの観点から、好ましくは、Si結晶子はSi単相よりなると良い。もっとも、Si結晶子中には不可避的な不純物が含まれていても良い。
【0028】
Si結晶子の形状は、特に限定されるものではなく、その外形が比較的均一に整っていても良いし、その外形が不揃いであっても良い。また、個々のSi結晶子はそれぞれ分離していても良いし、部分的にSi結晶子同士が連なっていても良い。
【0029】
Si結晶子の大きさは、その上限値が、好ましくは、1μm以下、より好ましくは、700nm以下、さらにより好ましくは、300nm以下であると良い。Siの微細化によりSi割れを低減しやすくなり、サイクル特性の向上に寄与しやすくなるからである。
【0030】
なお、Si結晶子は、小さいほど良いため、Si結晶子の大きさの下限値は特に限定されることはない。もっとも、Siの酸化による容量低下等の観点から、好ましくは、50nm以上であると良い。
【0031】
また、上記Si結晶子の大きさは、本負極活物質の微細組織写真(1視野)から任意に選択したSi結晶子20個について測定したSi結晶子の大きさの平均値である。
【0032】
本負極活物質において、Siは30〜65質量%の範囲で含有させる。より好ましくは、40〜50質量%含まれていると良い。
Siを30%以上含有させることで、初期放電容量の目標値である800mAh/g以上の放電容量を得やすくなる。また40%以上含有させることで、より望ましい放電容量である1100mAh/g以上を得やすくなる。
一方、Sn−Cu系合金マトリクスは、好ましくは20〜69質量%、より好ましくは、35〜57質量%含まれていると良い。Siの含有量が過度に少なくなれば負極活物質の容量が低下し、黒鉛の代替材料としての意味が小さくなる。一方、Siの含有量が過度に多くなれば、Sn−Cu系合金マトリクス量が相対的に低下し、Si結晶子の膨張・収縮を抑制する効果が小さくなる。Si、Sn−Cu系合金マトリクスの含有量が上記範囲内であれば、サイクル特性の向上効果と高容量化とのバランスに優れる。
【0033】
本負極活物質において、マトリクスを構成するSn−Cu系合金は、Li活性を有しており、第1副元素としてCuを含有する。ここで、「Li活性を有する」とは、Sn−Cu系合金単体でもLiと反応し、Li化合物を形成する、ということを意味する。本発明では、マトリクスを構成するSn−Cu系合金がLi活性を有することにより、マトリクス内部のSi結晶子までリチウムが到達しやすくなる。さらに、SiのLi活性よりもSn−Cu系合金のLi活性が小さいので、Li吸蔵時にSiほどではないが適度に膨張し、崩壊を抑制しやすくなる。
【0034】
上記Sn−Cu系合金は、Cu以外にも他の副元素を1または2以上さらに含有していても良い。また、Sn−Cu系合金は、不可避的な不純物が含まれていても良い。Cu以外の副元素としては、例えば、長周期型周期表の2A族元素、遷移元素、3B族元素、4B族元素などを挙げることができる。これら副元素は、1種または2種以上含まれていても良い。Sn−Cu系合金としては、具体的には、Sn−Cu(2元系)、Sn−Cu−Al、Sn−Cu−In、Sn−Cu−Sb、Sn−Cu−Zn、Sn−Cu−Mn、Sn−Cu−Mo(3元系)などを挙げることができる。これらのうち、好ましくは、Li活性、膨張量が適当であり、Siの膨張応力を緩和しやすい、導電性等の観点から、Sn−Cu(2元系)またはSn−Cu−Al(3元系)であると良い。なお、これらマトリクスを構成する合金には、Sn元素が単独で含まれていても良い。
【0035】
また、Sn−Cu系合金マトリクスはSnを50質量%以上含有することを必要とする。より好ましくは、55質量%以上、さらに好ましくは、60質量%以上含有していると良い。活物質の理論容量に対する利用率の向上、負極活物質の安定性向上へ寄与しやすくなるからである。もっとも、Snが95質量%を越えると、かえって特性向上効果が低下する傾向がある。そのため、Sn−Cu系合金マトリクスは、好ましくは、Snを95質量%以下含有していると良い。
【0036】
本負極活物質においては、上記Si結晶子を少なくとも部分的に被覆する状態にSi−X系合金を晶出させる。このようにSi−X系合金を晶出させることで、Si結晶子の周囲のSn−Cu系合金マトリクスに加え、さらにSi−X系合金によってもSiの崩壊を抑制することが可能となり、より一層サイクル特性を向上させることができる。
【0037】
Si−X系合金を構成する元素であるXは、Si結晶子の周りにSi−X系合金が形成されやすい、Si崩壊抑制効果が大きい等の観点から、Fe、Ni、Co等の遷移金属元素であると良い。
これらは1種または2種以上含まれていても良い。これらのうち、特に好ましくは、負極活物質の低コスト化に寄与することができる等の観点から、Feを好適に選択することができる。もっとも、Si−X系合金中には不可避的な不純物が含まれていても良い。
【0038】
本発明では、Si−X系合金によるSi粒子の崩壊抑制効果を確保する意味で、Xは1質量%以上添加しておく。
またSi−X系合金によるSi結晶子の被覆率は25%以上としておくのが望ましい。被覆率がこれよりも小さいと、Si−X系合金によるSi粒子の十分な崩壊抑制効果が得られ難い。
一方被覆率が過度に高くなるとSiの利用率が低下し、容量が低下してしまうため、被覆率としては95%以下としておくことが望ましい。
この場合において、Si−X系合金を構成する元素であるXは、好ましくは3〜15質量%含まれているとよい。Xの含有量が少なくなれば、上記の望ましい被覆率が得られ難く、Si−X系合金によるSiの崩壊抑制効果が十分に発揮され難くなってサイクル特性が低下してしまう。一方、Si−X系合金の含有量が過度に多くなれば、Si結晶子の量が相対的に少なくなり、またSi結晶子のSi−X系合金からの露出部分の面積が相対的に少なくなることによってSiの利用率が低下し、容量が低下してしまう。Xの含有量が上記範囲内であれば、サイクル特性向上効果と高容量化とのバランスに優れる。
【0039】
本負極活物質の形態は、特に限定されるものではない。具体的には、薄片状、粉末状などの形態を例示することができる。好ましくは、負極の製造に適用しやすいなどの観点から、粉末状であると良い。また、本負極活物質は、適当な溶媒中に分散されていても構わない。
【0040】
本負極活物質の大きさは、その上限値が、好ましくは75μm、より好ましくは50μm以下、更に好ましくは、25μm以下であると良い。粒径が大きいと、Liが活物質内部まで拡散し難くなり、活物質の理論容量に対する利用率が低下する傾向があるからである。また、粒子内のLi拡散パスが長くなり、入出力特性が低下する、と考えられるからである。
【0041】
一方、本負極活物質の大きさは、その下限値が、好ましくは、100nm以上、より好ましくは、500nm以上、さらにより好ましくは、1μm以上であると良い。粒径が細かくなり過ぎると、粒子が酸化しやすくなり、容量低下、不可逆容量の増加を招くからである。
【0042】
なお、本負極活物質の大きさは、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置にて測定することができる。
【0043】
次に、本負極活物質の製造方法について説明する。本負極活物質の製造方法としては、Si、Sn、Cu、X(X=Fe,Ni,Co)を少なくとも含有する合金溶湯を急冷して急冷合金を形成する工程を経る方法などを例示することができる。この際、上記合金溶湯には、必要に応じて他の添加元素を含有することが可能である。
【0044】
得られた急冷合金が粉末状でない場合又は小径化したい場合には、急冷合金を適当な粉砕手段により粉砕して粉末状にする工程を追加しても良い。また、必要に応じて、得られた急冷合金を分級処理して適当な粒度に調整する工程などを追加しても良い。
【0045】
上記製造方法において、合金溶湯は、具体的には、例えば、所定の化学組成となるように各原料を量り取り、量り取った各原料を、アーク炉、高周波誘導炉、加熱炉などの溶解手段を用いて溶解させるなどして得ることができる。
【0046】
合金溶湯を急冷する方法としては、具体的には、例えば、ロール急冷法(単ロール急冷法、相ロール急冷法等)、アトマイズ法(ガスアトマイズ法、水アトマイズ法、遠心アトマイズ法等)などの液体急冷法等を例示することができる。好ましくは、生産性の向上などの観点から、ガスアトマイズ法を好適に用いることができる。合金溶湯の最大急冷速度としては、上記微細組織を得やすいなどの観点から、好ましくは、10K/秒以上、より好ましくは、10K/秒以上であると良い。
【0047】
ここで、Si、Sn、Cu、Xを少なくとも含む合金溶湯を用いて、本負極活物質を製造する場合には、具体的には、以下の方法によると良い。
【0048】
すなわち、アトマイズ法を適用する場合、噴霧チャンバ内に出湯されて連続的(棒状)に下方に流れ落ちる合金溶湯に対し、N、Ar、He等によるガスを高圧(例えば、1〜10MPa)で噴き付け、溶湯を粉砕しつつ冷却する。冷却された溶湯は、半溶融のまま噴霧チャンバ内を自由落下しながら球形に近づき、粉末状の本負極活物質が得られる。また、冷却効果を向上させる観点からガスに代えて高圧水を噴き付けても良い。
【0049】
一方、ロール急冷法を適用する場合、急冷および回収チャンバ等のチャンバ内に出湯されて連続的(棒状)に下方に流れ落ちる合金溶湯を、周速10m/sec〜100m/sec程度で回転する回転ロール(材質は、Cu、Feなど、ロール表面はメッキが施されていても良い。)上で冷却する。合金溶湯は、ロール表面で冷却されることにより箔化または箔片化された合金材料となる。この場合、ボールミル、ディスクミル、コーヒーミル、乳鉢粉砕等の適当な粉砕手段により合金材料を粉砕、必要に応じて分級等すれば、粉末状の本負極活物質が得られる。
【0050】
2.本負極
本負極は、本負極活物質を用いて構成されている。
【0051】
具体的には、本負極は、導電性基材と、導電性基材の表面に積層された導電膜とを有している。導電膜は、バインダー中に少なくとも上述した本負極活物質を含有している。導電膜は、他にも、必要に応じて、導電助材を含有していても良い。導電助材を含有する場合には、電子の導電経路を確保しやすくなる。
【0052】
また、導電膜は、必要に応じて、骨材を含有していても良い。骨材を含有する場合には、充放電時の負極の膨張・収縮を抑制しやすくなり、負極の崩壊を抑制できるため、サイクル特性を一層向上させることができる。
【0053】
上記導電性基材は、集電体として機能する。その材質としては、例えば、Cu、Cu合金、Ni、Ni合金、Fe、Fe基合金などを例示することができる。好ましくは、Cu、Cu合金であると良い。また、具体的な導電性基材の形態としては、箔状、板状等を例示することができる。好ましくは、電池としての体積を小さくできる、形状自由度が向上するなどの観点から、箔状であると良い。
【0054】
上記バインダーの材質としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)樹脂、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリアクリル酸などを好適に用いることができる。これらは1種または2種以上併用することができる。これらのうち、好ましくは、電気化学反応における安定性、結着力の強さなどの観点から、ポリイミド樹脂であると良い。
【0055】
上記導電助材としては、例えば、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、ファーネスブラック等のカーボンブラック、黒鉛、カーボンナノチューブ、フラーレンなどを例示することができる。これらは1または2以上併用しても良い。これらのうち、好ましくは、電子伝導性を確保しやすいなどの観点から、ケッチェンブラック、アセチレンブラックなどを好適に用いることができる。
【0056】
上記導電助材の含有量は、導電性向上度、電極容量などの観点から、本負極活物質100質量部に対して、好ましくは、0〜30質量部、より好ましくは、6〜13質量部の範囲内であると良い。また、上記導電助材の平均粒子径は、分散性、扱い易さなどの観点から、好ましくは、10nm〜1μm、より好ましくは、20〜50nmであると良い。
【0057】
上記骨材としては、充放電時に膨張・収縮しない、または、膨張・収縮が非常に小さい材質のものを好適に用いることができる。例えば、黒鉛、アルミナ、カルシア、ジルコニア、活性炭などを例示することができる。これらは1または2以上併用しても良い。これらのうち、好ましくは、導電性、Li活性度などの観点から、黒鉛などを好適に用いることができる。
【0058】
上記骨材の含有量は、サイクル特性向上などの観点から、本負極活物質100質量部に対して、好ましくは、10〜400質量部、より好ましくは、43〜100質量部の範囲内であると良い。また、上記骨材の平均粒子径は、骨材としての機能性、電極膜厚の制御などの観点から、好ましくは、10〜50μm、より好ましくは、20〜30μmであると良い。なお、上記骨材の平均粒子径は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置を用いて測定した値である。
【0059】
本負極は、例えば、適当な溶剤に溶解したバインダー中に、本負極活物質、必要に応じて、導電助材、骨材を必要量添加してペースト化し、これを導電性基材の表面に塗工、乾燥させ、必要に応じて、圧密化や熱処理等を施すことにより製造することができる。
【0060】
本負極を用いてリチウム二次電池を構成する場合、本負極以外の電池の基本構成要素である正極、電解質、セパレータなどについては、特に限定されるものではない。
【0061】
上記正極としては、具体的には、例えば、アルミニウム箔などの集電体表面に、LiCoO、LiNiO、LiFePO、LiMnOなどの正極活物質を含む層を形成したものなどを例示することができる。
【0062】
上記電解質としては、具体的には、例えば、非水溶媒にリチウム塩を溶解した電解液などを例示することができる(リチウムイオン二次電池)。その他にも、ポリマー中にリチウム塩が溶解されたもの、ポリマーに上記電解液を含浸させたポリマー固体電解質などを用いることもできる(リチウムポリマー二次電池)。
【0063】
上記非水溶媒としては、具体的には、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネートなどを例示することができる。これらは1種または2種以上含まれていても良い。
【0064】
上記リチウム塩としては、具体的には、例えば、LiPF、LiBF、LiClO、LiCFSO、LiAなどを例示することができる。これらは1種または2種以上含まれていても良い。
【0065】
また、その他の電池構成要素としては、セパレータ、缶(電池ケース)、ガスケット等が挙げられるが、これらについても、リチウム二次電池で通常採用される物であれば、何れの物であっても適宜組み合わせて電池を構成することができる。
【0066】
なお、電池形状は、特に限定されるものではなく、筒型、角型、コイン型など何れの形状であっても良く、その具体的用途に合わせて適宜選択することができる。
【実施例】
【0067】
以下、本発明を実施例を用いてより具体的に説明する。なお、合金組成、合金混合割合の%は、特に明示する場合を除き、質量%である。
【0068】
1.負極活物質の作製
(実施例1)
表1に示す合金組成[44.0%Si−48.2%Sn−3Fe―4.8%Cu]となるように各原料を秤量した。秤量した各原料を高周波誘導炉を用いて加熱、溶解し、合金溶湯とした。ガスアトマイズ法により、上記得られた合金溶湯から粉末状の実施例1に係る負極活物質を作製した。なお、合金溶湯作製時およびガスアトマイズ時の雰囲気はアルゴン雰囲気とした。また、ガスアトマイズ時には、噴霧チャンバ内を棒状に落下する合金溶湯に対して、高圧(4MPa)のアルゴンガスを噴き付けた。
得られた粉末を篩いを用いて25μm以下に分級したものを活物質して用いた。
【0069】
(実施例2〜28、31〜35)
実施例1において、表1,表2に示す各合金組成となるように各原料を秤量した点以外は同様にして、実施例2〜28、31〜35に係る負極活物質を得た(但し実施例26では18μm以下に分級、実施例27では45μm以下に分級、実施例28では75μm以下にそれぞれ分級した)。
【0070】
(実施例29)
実施例1において、表1に示す各合金組成となるように各原料を秤量した点、ガスアトマイズ法に代えて水アトマイズ法を用いた点以外は同様にして、実施例29に係る負極活物質を得た。なお、水アトマイズ時の雰囲気は大気中とした。また、水アトマイズ時には、噴霧チャンバ内を棒状に落下する合金溶湯に対して、高圧(50MPa)の水を噴き付けた。
【0071】
(実施例30)
表2に示す各合金組成となるように各原料を秤量した。秤量した各原料を高周波誘導炉を用いて加熱、溶解し、合金溶湯とした。液体単ロール超急冷法により、上記得られた合金溶湯を急冷し、急冷合金リボンを得た。なお、ロール周速は42m/s、ノズル距離は3mmとした。得られた急冷合金リボンを乳鉢を用いて機械的に粉砕し、粉末状の実施例30に係る負極活物質を得た。
【0072】
(比較例1)
ガスアトマイズ法により作製した純Si粉末を、比較例1に係る負極活物質とした。
【0073】
(比較例2〜4、6〜8、10〜14)
実施例1において、表1に示す各合金組成となるように各原料を秤量した点以外は同様にして、比較例2〜4、6〜8、10〜14に係る負極活物質を得た。
【0074】
(比較例5)
表3に示す合金組成となるように各原料を秤量した。秤量した各原料を高周波誘導炉を用いて加熱、溶解し、合金溶湯とした。液体単ロール超急冷法により、上記得られた合金溶湯を急冷し、急冷合金リボンを得た。なお、ロール周速は42m/s、ノズル距離は3mmとした。得られた急冷合金リボンを乳鉢を用いて機械的に粉砕し、粉末状の比較例5に係る負極活物質を得た。
【0075】
(比較例9)
Si粉末(ガスアトマイズ法により自社で作製、平均粒径18μm)、Sn粉末((株)高純度科学研究所、「SNE04PB」(38μm以下))、Cu粉末(福田金属箔粉(株)製、「Cu−HWQ」(5μm))、Fe粉末((株)高純度科学研究所)、「FEE04PB」(53μm以下))を準備した。表3に示す各合金組成となるように各原料を秤量し、遊星ボールミル装置(ポット材質:SUS304、ボール材質:SUJ2、ボール径:6.4mm)に入れてArガスによりシールし、回転数300rpm、混合時間30hで、混合、複合化した。これにより、比較例9に係る負極活物質を得た。
【0076】
2.負極活物質の組織観察等
各実施例,比較例に係る負極活物質について、走査型電子顕微鏡(SEM)による組織観察を行った。またエネルギー分散X線分光法(EDX)による元素分析及びXRD(X線回折)による分析も併せて行った。
図1に、Sn−Cu系合金マトリックス中にSi結晶子が分散しており、またSi結晶子を被覆する状態にSi−X系合金が晶出している負極活物質の代表例として、実施例4に係る負極活物質の走査型電子顕微鏡による反射電子像を示した。
またXRDによる分析結果を図3に示した。
尚図2は、図1中の一部(4角い点線の枠で囲んだ部分)を拡大して、これを模式図として表した図である。
【0077】
図1に示す走査型電子顕微鏡による組織観察結果によれば、実施例4に係る負極活物質は、Sn−Cu合金マトリクス中にSi結晶子が多数分散された組織構造を備えており、さらに、Si結晶子の表面がSi−Fe合金により部分的に被覆されていることが確認された。つまり、実施例4に係る負極活物質は、微細なSi結晶子の周囲がSi−Fe合金により部分的に被覆されており、このSi結晶子の周囲がSn−Cu合金マトリクスにより取り囲まれた2相マトリクス構造を有していることが確認された。
また図3に示すXRD分析結果では、Si,SiFe化合物,SnCu化合物,Snそれぞれの固有のピークが表れており、図1に示す組織中にこれらSi,SiFe化合物,SnCu化合物の相が生じていることが確認された。
尚、XRD分析はCo管球を用いて120°〜20°の角度の範囲を1分間に20°の速度で測定することにより行った。
また各負極活物質につき、Si−X系合金によるSi結晶子の被覆率を求めた。
ここで被覆率とは合金粉末中においてSi粒子の周囲をSi-X化合物が被覆する割合で、断面SEM像中において、Si相とSi-X化合物相が接触する部分の長さを、Si粒子の全周長で除した値を被覆率とした。
ここでは1つの合金粉末組成に対して、10視野における被覆率を求め、その平均値を被覆率として算出した。
【0078】
また、各負極活物質につき、Si結晶子の大きさを測定した。なお、Si結晶子の大きさは、SEM像(1視野)の任意のSi結晶子20個について測定したSi結晶子の大きさの平均値である。
【0079】
表1〜表3に、作製した各負極活物質の詳細をまとめて示す。
【0080】
【表1】

【0081】
【表2】

【0082】
【表3】

【0083】
3.負極活物質の評価
3.1 充放電試験用コイン型電池の作製
初めに、分級により25μm以下に調整した各負極活物質100質量部と、導電助材としてのアセチレンブラック(電気化学工業(株)製、d50=36nm)8質量部と、必要に応じて添加する骨材としての黒鉛(伊藤黒鉛工業(株)製、「SG−BH」)43質量部と、結着剤としてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)17質量部とを配合し、これを溶剤としてのN−メチル−2−ピロリドン(NMP)と混合し、各負極活物質を含む各ペーストを作製した。
【0084】
以下の通り、各コイン型半電池を作製した。ここでは、簡易的な評価とするため、負極活物質を用いて作製した電極を試験極とし、Li箔を対極とした。先ず、負極集電体となる銅箔(厚み18μm)表面に、ドクターブレード法を用いて、50μmになるように各ペーストを塗布し、乾燥させ、各負極活物質層を形成した。形成後、ロールプレスにより負極活物質層を圧密化した。これにより、実施例および比較例に係る試験極を作製した。
【0085】
次いで、実施例および比較例に係る試験極を、直径11mmの円板状に打ち抜き、各試験極とした。
【0086】
次いで、Li箔(厚み500μm)を上記試験極と略同形に打ち抜き、各正極を作製した。また、エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)との等量混合溶媒に、LiPFを1mol/lの濃度で溶解させ、非水電解液を調製した。
【0087】
次いで、各試験極を各正極缶に収容するとともに(各試験極はリチウム二次電池では負極となるべきものであるが、対極をLi箔としたときにはLi箔が負極となり、試験極が正極となる)、対極を各負極缶に収容し、各試験極と各対極との間に、ポリオレフィン系微多孔膜のセパレータを配置した。
【0088】
次いで、各缶内に上記非水電解液を注入し、各負極缶と各正極缶とをそれぞれ加締め固定した。
【0089】
3.2 充放電試験
各コイン型半電池を用い、電流値0.1mAの定電流充放電を1サイクル分実施し、この放電容量を初期容量Cとした。2サイクル目以降は、1/5Cレートで充放電試験を実施した(Cレート:電極を(充)放電するのに要する電気量Cを1時間で(充)放電する電流値を1Cとする。5Cならば12分で、1/5Cならば5時間で(充)放電することとなる。)。この放電時に使用した容量(mAh)を活物質量(g)で割った値を各放電容量(mAh/g)とした。
【0090】
本実施例では、上記充放電サイクルを50回行うことにより、サイクル特性の評価を行った。
【0091】
そして、得られた各放電容量から容量維持率(2サイクル後の放電容量/初期放電容量(1サイクル目の放電容量)×100、50サイクル後の放電容量/初期放電容量(1サイクル目の充電容量)×100)を求めた。その結果を表4,5に示す。
【0092】
【表4】

【0093】
【表5】

【0094】
表4,5によれば、以下のことが分かる。すなわち、比較例1に係る負極活物質は、純Siであり、活物質の理論容量に対する利用率は高いが、サイクル特性が悪い。比較例2、3に係る負極活物質は、マトリクスが純Snである。そのため、純Siと純Snのどちらも同様に膨張して崩壊するため、サイクル特性が悪い。比較例4に係る負極活物質は、マトリクスが純Cuである。純CuはLi活性がないので、活物質の理論容量に対する利用率が低い。また、サイクル特性も悪い。比較例5に係る負極活物質は、マトリクスがAl−Sn−Co合金である。Al−Sn−Co合金はほとんどLi活性がないので、活物質の理論容量に対する利用率が低い。また、サイクル特性は、他の比較例に比べて改善されているが、これでは不十分である。比較例6〜8に係る負極活物質は、マトリクスが純Snである。そのため、純Siと純Snのどちらも同様に膨張して崩壊するため、サイクル特性が悪い。但し、Si結晶子の周囲にSi−X合金が晶出しているため、比較例2〜4に比べると若干サイクル特性が向上しているが十分ではない。比較例9に係る負極活物質は、溶解・晶出の過程を経ていないので、狙いのマトリクス構造(2相マトリクス構造)が得られず、各元素が単体で混合されているだけである。そのため、サイクル特性が悪い。
【0095】
比較例10,11はSi量が本発明の上限値の65%を超えて高すぎ、その分マトリクス量が少なくなるため、サイクル特性が悪い。
【0096】
比較例12,13,14はSi量が10.0%,15.0%,20.0%と少なすぎるため、放電容量が低い。
【0097】
これらに対し、実施例1〜35に係る負極活物質は、Si量が30〜65質量%の範囲内であり、初期の放電容量が高い。またSn−Cu合金マトリクス中にSi結晶子が分散されているのに加えて、Si結晶子を被覆してSi−X合金が晶出しているため、活物質の理論容量に対する利用率の向上とサイクル特性の向上とを両立させ得ている。
とりわけ被覆率が25%以上である実施例1〜33に係る負極活物質は、被覆率が25%未満と少ない実施例34,35に係る負極活物質に比べ、サイクル特性に優れていることが確認できた。
【0098】
以上、本発明に係るリチウム二次電池用負極活物質、リチウム二次電池用負極について説明したが、本発明は、上記実施形態、実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改変が可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
Siを30〜65質量%含有する組成を有し、Sn量が50質量%以上を占めるSn−Cu系合金マトリクス中にSi結晶子が分散しているとともに、該Si結晶子を少なくとも部分的に被覆する状態にSi−X系合金が晶出した2相マトリクス構造を有しており、
前記XはFe,Ni及びCoから選ばれた1種以上の元素で1質量%以上の量で添加してあることを特徴とするリチウム二次電池用負極活物質。
【請求項2】
前記Si−X系合金による前記Si結晶子の被覆率が25%以上である請求項1に記載のリチウム二次電池用負極活物質。
【請求項3】
前記Xの添加量が合計で3〜15質量%であることを特徴とする請求項2に記載のリチウム二次電池用負極活物質。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか1項に記載のリチウム二次電池用負極活物質を用いたことを特徴とするリチウム二次電池用負極。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−94490(P2012−94490A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−175430(P2011−175430)
【出願日】平成23年8月10日(2011.8.10)
【出願人】(000003713)大同特殊鋼株式会社 (916)
【Fターム(参考)】