説明

リニアステージ用現位置保持機構

【課題】 小型のリニアステージに搭載することが可能な大きさであって、管路やコード類の引き回しや屈曲による周辺設備との干渉、更には、移動ステージの駆動抵抗の変動や其れに伴う位置決め精度の劣化といった問題を生じることのないリニアステージ用現位置保持機構を提供すること。
【解決手段】 移動ステージ3をベースプレート4に固定するために必要とされるローラ14,14および付勢手段としての板バネ15ならびにロック解除部材16とアクチュエータ24をベースプレート4側に纏めて配備することで、アクチュエータ24に電力を供給するコード類の引き回しや屈曲による周辺設備との干渉を防止し、駆動抵抗の変動に伴う位置決め精度の劣化を解消する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リニアガイドを介してベースプレートに取り付けられた移動ステージをベースプレートに対して固定するためのリニアステージ用現位置保持機構の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
リニアステージ用現位置保持機構として転用可能なものとしては、非特許文献1に開示されるようなクランプ装置が既に公知である。
【0003】
このクランプ装置108は、図4(a)に示されるように、レール100を跨いで設置されたサドル101と、サドル101が備えるシリンダ102に内嵌されたピストン103と、ピストン103の一端面に固設されたウェッジスライドギア104、および、ウェッジスライドギア104で駆動されるブレーキパッド105と、ピストン103を定常的に付勢するためのコイルスプリング106、ならびに、ピストン103を押し戻す際に必要とされる空気圧を蓄積するための気室107によって構成される。
【0004】
其の作用原理を簡略化して図4(b)に示す。ピストン103に固設されたウェッジスライドギア104は、コイルスプリング106の付勢力によって図4(b)中の右側から左側に向けて定常的に付勢されており、クランプ装置108をレール100に固定する際には、ウェッジスライドギア104のテーパ面104aの楔効果によってブレーキパッド105をレール100に圧接させることで、レール100上におけるクランプ装置108の現在位置が保証されるようになっている。
【0005】
また、クランプ装置108を移動させる場合には、図示しない管路を介して気室107内に空気を送り込んでコイルスプリング106の付勢力に抗してピストン103およびウェッジスライドギア104を図4(b)中の左側から右側に向けて移動させ、ウェッジスライドギア104のテーパ面104aをブレーキパッド105から離間させてレール100に対するブレーキパッド105の圧着状態を解除することで、レール100に沿ったクランプ装置108の移動を許容する。
【0006】
このクランプ装置108は、本来、比較的大型の装置に利用されるもので、クランプ装置108自体の大きさから見て、例えば、一辺が100mm前後といった小型の移動ステージに取り付けて用いるのには難がある。
【0007】
また、ウェッジスライドギア104を移動させるためにピストン103を挟むようにして其の両側にコイルスプリング106と気室107を配置する必要があり、2つの駆動源つまりコイルスプリング106と気室107を同一直線上に配置しなければならないといった構造上の問題があり、クランプ装置108の全長の短縮が難しく、また、ピストン103に十分な受圧面積を与える必要もあるので、クランプ装置108の幅方向の寸法の短縮もままならない。
【0008】
更に、空気圧を駆動源の一部として利用している関係上、気室107に空気を供給するためのフレキシブルな管路が必要であり、このクランプ装置108を移動ステージに取り付けて利用すると、管路がクランプ装置108の移動と共に引き回されることになり、周辺設備と管路との干渉が問題となる可能性が考えられる。
【0009】
また、この管路の引き回しや屈曲のために移動ステージの駆動抵抗が様々に変動するので、これを精密な位置決め精度の要求されるリニアステージに取り付けて利用すると、位置決め精度に支障が生じるといった恐れがある。
【0010】
【非特許文献1】「LinearClamper−Zee」製品カタログ,鍋屋バイテック会社
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
そこで、本発明の課題は、前記従来技術の不都合を改善し、小型のリニアステージに搭載することが可能な大きさであって、管路やコード類の引き回しや屈曲による周辺設備との干渉、更には、移動ステージの駆動抵抗の変動や其れに伴う位置決め精度の劣化といった問題を生じることのないリニアステージ用現位置保持機構を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明のリニアステージ用現位置保持機構は、リニアガイドを介してベースプレートに取り付けられた移動ステージとベースプレートとの相対位置を保持した状態で移動ステージをベースプレートに対して一時的に固定するためのリニアステージ用現位置保持機構であり、前記課題を達成するため、特に、
移動ステージの移動方向に対して平行となる移動ステージの一面に直交し且つ移動ステージの移動方向に対して平行となる平面に対する投影形状が外に凸となる一端面を備えた固定部材の前記一端面を移動ステージの前記一面に対向させた状態で固定部材の前記一端面と前記移動ステージの前記一面との間に間隔を置いて該固定部材を前記ベースプレートに対して一体的に固着し、
移動ステージの移動方向を基準とする前記固定部材の前記一端面の両端部の各々と前記移動ステージの前記一面との間に、前記移動ステージの前記一面と前記固定部材の前記一端面との間の最小離間距離を越え且つ前記移動ステージの前記一面と前記固定部材の前記一端面との間の最大離間距離に満たない外径を有する与圧部材を移動自在に配置すると共に、
前記各与圧部材の外周部に当接して前記各与圧部材を相互に接近させる方向に付勢する各与圧部材毎の付勢手段と、前記各与圧部材の間に位置し前記移動ステージの前記一面と接離する方向にのみ移動可能であって前記各与圧部材と当接する両側面間の間隔が其の基部から先端に向けて徐々に増大するロック解除部材と、前記ロック解除部材を前記移動ステージの前記一面から離間させる方向に引き寄せるアクチュエータとを、前記ベースプレートの側に配備したことを特徴とする構成を有する。
【0013】
以上の構成において、移動ステージをベースプレートに固定する場合には、まず、アクチュエータを非作動とし、各与圧部材の間に位置するロック解除部材が、移動ステージの移動方向に対して平行となる移動ステージの一面に対して容易に接近し得る状態とする。
ロック解除部材の両側には移動自在な2つの与圧部材が位置し、これらの与圧部材が各与圧部材毎の付勢手段によって相互に接近する方向に付勢されており、各与圧部材と当接するロック解除部材の両側面間の間隔は其の基部から先端に向けて徐々に増大するように形成されているので、ロック解除部材の両側面が各与圧部材を介して各与圧部材毎の付勢手段で押圧されることにより、楔状のテーパ面を有するロック解除部材の両側面に2つの与圧部材の間から押し出される方向の力が作用し、このロック解除部材が移動ステージの前記一面に対して接近する方向に移動する。
そして、ロック解除部材の移動に伴って、其の両側に位置する2つの与圧部材が相互に接近し、移動ステージの前記一面に対向して外に凸の形状を有する固定部材の一端面の両端部、つまり、移動ステージにおける前記一面との離間距離が最大となる固定部材の一端面上の位置から、該一端面の中央部寄りの位置、すなわち、移動ステージにおける前記一面との離間距離が最小となる固定部材の一端面上の位置へと移動する。
各与圧部材は前述の最小離間距離を越える外径を備えているので、固定部材における前記一端面の中央部寄りの位置に移動した2つの与圧部材は、移動ステージにおける前記一面と固定部材における前記一端面との間に楔のようにして挟み込まれ、これら2つの与圧部材が、ベースプレートに対して一体的に固着された固定部材に対する移動ステージの移動、すなわち、ベースプレートに対する移動ステージの移動を防止して、移動ステージをベースプレートに固定する。
また、このようにして移動ステージをベースプレートに固定した状態で移動ステージの移動方向に強い力が加わると、移動ステージの前記一面に当接した与圧部材に対し、該与圧部材を移動ステージの移動を許容する方向に回転させようとする向きの回転力が作用する。この回転力の向きは、移動ステージに加わる力の方向ベクトルの基部側に位置する与圧部材を固定部材の前記一端面に沿って更に該一端面の中央部寄りに向けて転動させる方向に作用するので、この与圧部材が、移動ステージにおける前記一面と固定部材における前記一端面との間に更に強く挟み込まれることになる。よって、移動ステージをベースプレートに固定した状態で移動ステージの移動方向に強い力が加わっても、移動ステージが不用意に動く心配はない。
一方、ベースプレートに対する移動ステージの固定を解除する場合には、アクチュエータを作動させ、各与圧部材の間に位置するロック解除部材を移動ステージの前記一面から離間する方向に移動させる。ロック解除部材には基部から先端に向けて相互間の間隔が徐々に増大する両側面からなる楔状のテーパ面が形成されているので、ロック解除部材の移動により、其の両側に位置する2つの与圧部材が、各与圧部材毎の付勢手段の力に抗し、相互に離間する方向に移動する。
このようにしてロック解除部材の両側に位置する2つの与圧部材が相互に離間し、移動ステージの前記一面に対向して外に凸の形状を有する固定部材の一端面の中央寄りの位置、つまり、移動ステージにおける前記一面との離間距離が最小となる固定部材の一端面上の位置から、該一端面の両端部の位置、すなわち、移動ステージにおける前記一面との離間距離が最大となる固定部材の一端面上の位置へと移動する。
各与圧部材は前述の最大離間距離に満たない外径を備えているので、固定部材における前記一端面の両端部に移動した2つの与圧部材は、移動ステージにおける前記一面と固定部材における前記一端面との間で移動自在な状態となり、ベースプレートに一体的に固着された固定部材に対する移動ステージの移動、つまり、ベースプレートに対する移動ステージの移動が許容された状態となる。
各与圧部材は各与圧部材毎の付勢手段によってロック解除部材の方向に向けて付勢されており、各与圧部材の外周がロック解除部材の両側の楔状のテーパ面に当接しているので、各与圧部材は、其の一側に位置する付勢手段と其の他側に位置するロック解除部材における楔状のテーパ面との間に挟み込まれて移動ステージの前記一面から離間する方向に退避するので、これらの与圧部材が移動ステージの前記一面に干渉することはなく、移動ステージをスムーズに移動させることができる。
以上に述べた通り、移動ステージをベースプレートに固定するために必要とされる全ての構成要素、すなわち、固定部材および2つの与圧部材と各与圧部材毎の付勢手段ならびにロック解除部材とアクチュエータとがベースプレート側に纏めて配備されているので、アクチュエータを駆動する電力あるいは空気圧等を供給するための管路やコード類が移動ステージと共に引き回されたり屈曲したりすることはなく、管路やコード類と周辺設備との干渉の問題、更には、管路やコード類の引き回しや屈曲によって生じる駆動抵抗の変動に伴う位置決め精度の劣化の問題が解消される。
また、移動ステージをベースプレートに固定する際の駆動源となる2つの付勢手段が移動ステージの移動方向に沿った向きで作動する一方、移動ステージの固定を解除するためのロック解除部材とアクチュエータは、移動ステージの移動方向と直交する向きで作動するようになっているので、固定力を発揮させるための駆動源と其れを解除するための駆動源とを同一直線上に配置した従来型の構造と比べてリニアステージ用現位置保持機構の小型化が容易であり、小型のリニアステージにおける移動ステージの固定にも容易に対処することができる。
【0014】
固定部材における前記一端面は、円弧状の二次曲面によって形成することが望ましい。
【0015】
外に凸となる固定部材の一端面を円弧状の二次曲面とすることにより、該一端面の中央部寄りの位置、すなわち、移動ステージにおける前記一面との離間距離が最小となる位置の近傍において、当該一端面と移動ステージの前記一面との成す角が最小となるので、与圧部材を相互に接近させる僅かな力によって当該2つの与圧部材を移動ステージにおける前記一面と固定部材における前記一端面との間に確実に挟み込んで固定部材と移動ステージとを固定することができる。また、固定部材における前記一端面の両端部近傍では移動ステージの前記一面との成す角が最大となるので、これら2つの与圧部材を当該一端面に沿って移動させ、移動ステージにおける前記一面から確実に与圧部材を退避させて移動ステージをスムーズに移動させることができる。
円弧状の二次曲面に代わる形状としては、頂点が鈍角となる山形のテーパ面を利用することも可能である。
【0016】
与圧部材としては、ローラを利用することが望ましい。
【0017】
固定部材における前記一端面および移動ステージにおける前記一面との接触面積を確保する必要上、与圧部材としてローラを利用することが望ましいが、この他にも、鋼球状の与圧部材等を利用することが可能である。
【0018】
ロック解除部材は、円錐形状のものを使用することが望ましい。
【0019】
回転体の一種である円錐体を利用してロック解除部材を形成すれば、ロック解除部材を引き寄せるアクチュエータの軸が不用意に回転した場合であっても、与圧部材との間に片当たりを生じることなくロック解除部材の両側面によって2つの与圧部材を確実に移動させることができる。
【0020】
更に、各与圧部材毎の付勢手段を略C字型の一体化された板バネによって形成し、この板バネの両端部の各々を外側から各与圧部材に当接させた構成を適用することができる。
【0021】
移動ステージをベースプレートに固定する際の駆動源となる2つの付勢手段が小型化され、リニアステージ用現位置保持機構の全体の小型化が容易となる。
【0022】
また、アクチュエータは、ロック解除部材を移動ステージの前記一面から離間させる方向に移動させる可動鉄心とコイルによって構成することができる。
【0023】
ロック解除部材が移動ステージの前記一面に対して接近する方向に移動した状態、つまり、2つの与圧部材によって移動ステージがベースプレートに固定された状態を初期位置とし、コイルが励磁された状態でステージの固定を解除する構成とすることより、電源がダウンした場合でも、其の直前の移動ステージの位置を確実に保持することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明のリニアステージ用現位置保持機構は、移動ステージをベースプレートに固定するために必要とされる全ての構成要素、すなわち、固定部材および2つの与圧部材と各与圧部材毎の付勢手段ならびにロック解除部材とアクチュエータをベースプレート側に纏めて配備しているので、アクチュエータを駆動する電力あるいは空気圧等を供給するための管路やコード類が移動ステージと共に引き回されたり屈曲したりすることがなく、管路やコード類と周辺設備との干渉の問題、更には、管路やコード類の引き回しや屈曲によって生じる駆動抵抗の変動に伴う位置決め精度の劣化の問題が解消される。
また、移動ステージをベースプレートに固定する際の駆動源となる2つの付勢手段が移動ステージの移動方向に沿った向きで作動する一方、移動ステージの固定を解除するためのロック解除部材とアクチュエータは、移動ステージの移動方向と直交する向きで作動するようになっているので、固定力を発揮させるための駆動源と其れを解除するための駆動源とを同一直線上に配置した従来型の構造と比べ、リニアステージ用現位置保持機構の小型化が容易であり、小型のリニアステージにおける移動ステージの固定にも容易に対処することができる。
しかも、移動ステージをベースプレートに固定した状態で移動ステージの移動方向に強い力が加わると、移動ステージにおける一面と固定部材における一端面との間に与圧部材が更に強く挟み込まれるので、移動ステージをベースプレートに固定した状態で移動ステージの移動方向に強い力が加わっても、移動ステージが不用意に動くような問題が発生しない。
【0025】
特に、固定部材の一端面を円弧状の二次曲面によって形成しているので、与圧部材を相互に接近させる僅かな力によって与圧部材を移動ステージと固定部材との間に確実に挟み込んで移動ステージを固定部材に固定することができ、また、アクチュエータを作動させて固定を解除した状態では、これら2つの与圧部材を移動ステージから確実に退避させて移動ステージをスムーズに移動させることができる。
【0026】
更に、与圧部材としてローラを利用しているので、固定部材における一端面および移動ステージにおける一面と与圧部材との接触面積が確保され、移動ステージをベースプレートに確実に固定することができる。
【0027】
また、回転体の一種である円錐体を利用してロック解除部材を形成しているので、ロック解除部材を引き寄せるアクチュエータの軸に不用意な回転が生じた場合であっても、与圧部材との間に片当たりを生じることなくロック解除部材の両側面によって2つの与圧部材を確実に移動させて、ベースプレートに対する移動ステージの固定を解除することができる。
【0028】
更に、各与圧部材毎の付勢手段は略C字型の一体化された板バネによって形成し、この板バネの両端部の各々を外側から各与圧部材に当接させる構成を適用しているので、移動ステージをベースプレートに固定する際の駆動源となる2つの付勢手段が小型化され、リニアステージ用現位置保持機構の全体の小型化が容易である。
【0029】
そして、ロック解除部材を引き寄せるアクチュエータを可動鉄心とコイルによって構成し、移動ステージがベースプレートに固定された状態を初期位置とし、コイルが励磁された状態でステージの固定を解除するようにしているので、電源がダウンした場合でも、其の直前の移動ステージの位置を確実に保持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
次に、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0031】
図1(a)は本発明を適用したリニアステージ用現位置保持機構1を装着した一実施形態のリニアステージ2について示した平面図、図1(b)は同リニアステージ2を示した正断面図、図1(c)はリニアステージ用現位置保持機構1の取り付け部の周辺構造を示した部分断面図である。また、図2はリニアステージ2から移動ステージ3を取り外して示した平面図、図3(a)はリニアステージ用現位置保持機構1の内部構造を示した平面図、図3(b)はリニアステージ用現位置保持機構1の内部構造を示した断面図である。
【0032】
リニアステージ2は図1(b)に示される通り、概略において、ベースプレート4と移動ステージ3およびリニアガイド5,5とリニアモータ6によって構成される。
【0033】
リニアガイド5は一対のガイドレール5a,5bによって構成され、ガイドレール5a,5bの対向面の各々に刻設されたV溝に圧入された図示しないガイドローラが転動することによってガイドレール5aに対するガイドレール5bの移動が許容されるようになっている。図1(b)の例では内側に位置するガイドレール5a,5aがベースプレート4側に固着される一方、外側に位置するガイドレール5b,5bが移動ステージ3側に固着されており、リニアガイド5,5を介してベースプレート4に取り付けられた移動ステージ3が、図1(b)における紙面垂直方向つまり図1(a)中の矢印Xの方向と其の逆方向に移動できるようになっている。
【0034】
リニアモータ6はベースプレート4上に取り付けられた固定子6a(コイル)と移動ステージ3の下面に取り付けられた走行子6b(磁石)とによって構成され、固定子6aに対する供給電力を制御することによって固定子6aに対する走行子6bの送り、すなわち、ベースプレート4に対する移動ステージ3の送りが制御されるようになっている。
【0035】
また、移動ステージ3の一側には当該移動ステージ3の移動方向に沿ったスケール7が固設される一方、ベース部レート4の一側には、略L字型のステー8を介してエンコーダ9が取り付けられ、エンコーダ9からの帰還信号によってベースプレート4に対する移動ステージ3の移動位置が検出されるようになっている。
【0036】
更に、ベースプレート4上に取り付けられた光電センサ10と移動ステージ3の下面に取り付けられた遮光板11によってゼロイン用の機械原点検出手段12が構成されている。
【0037】
移動ステージ3,ベースプレート4,リニアガイド5,リニアモータ6,スケール7,エンコーダ9,機械原点検出手段12については何れも公知の構成要素である。
【0038】
次に、リニアステージ用現位置保持機構1の構成について具体的に説明する。
【0039】
リニアステージ用現位置保持機構1の主要部は、図1(a)および図3(a)に示されるように、移動ステージ3の移動方向Xに対して平行となる移動ステージ3の一面3aに直交し且つ移動ステージ3の移動方向Xに対して平行となる平面、すなわち、図1(a)および図3(a)の紙面に対する投影形状が外に凸となる一端面13aを備えた固定部材13と、移動ステージ3の一面3aと固定部材13の一端面13aとの間に移動自在に配置された2つの与圧部材であるローラ14,14、および、各ローラ14,14を相互に接近させる方向に付勢する板バネ15と、各ローラ14,14の間に位置して移動ステージ3の一面3aと接離する方向にのみ移動可能なロック解除部材16、ならびに、ロック解除部材16を移動ステージ3の一面3aから離間させる方向に引き寄せるアクチュエータ17によって構成される。
【0040】
このうち、固定部材13は、円弧状の二次曲面からなる一端面13aを移動ステージ3の一面3aに対向させ、移動ステージの一面3aと固定部材13の一端面13aとの間に間隔を置いた状態で、図3(b)に示されるように、略L字型のステー18を介してベースプレート4に一体的に固着されている。
【0041】
また、ローラ14,14は、移動ステージ3の移動方向Xを基準とする固定部材13の一端面13aの両端部の各々、つまり、図3(a)に示される一端面13aにおける上下の端部と移動ステージ3の一面3aとの間においてステー18上に移動自在に載置されている。
【0042】
これらのローラ14,14は、図3(a)に示されるように、移動ステージ3の一面3aと固定部材13の一端面13aとの間の最小離間距離D1を越え、且つ、移動ステージ3の一面3aと固定部材13の一端面13aとの間の最大離間距離D2に満たない直径Dを有する。
【0043】
各ローラ14,14毎の付勢手段となる板バネ15は、図3(a)に示されるように、全体として略C字型に形成され、その両端部に形成された摺接部15a,15aの各々を外側から各ローラ14,14の外周部に当接させることで各ローラ14,14を相互に接近させる方向に付勢している。板バネ15を二分割して各ローラ14,14毎に独立的に設けるようにしてもよい。
【0044】
ローラ14,14の間に位置するロック解除部材16は、図3(a)に示されるように、各ローラ14,14と当接する両側面の間隔がロック解除部材16の基部から先端に向けて徐々に増大する楔状のテーパ面16a,16aを有し、図3(b)に示されるように、ロック解除部材16の中心を貫通する皿ネジ19を介して、アクチュエータ24の一部を構成する可動鉄心20に一体的に固着されている。
【0045】
可動鉄心20は、図3(b)に示されるように、アクチュエータ24の一部を構成するコイル21を巻回したボビン22に内嵌され、ステー18の上面側に固着されたボビン22の内部において移動ステージ3の一面3aと接離する方向にのみ移動を許容されている。
【0046】
従って、この可動鉄心20に皿ネジ19を介して取り付けられたロック解除部材16も、移動ステージ3の一面3aと接離する方向に対してのみ移動を許容されることになる。
【0047】
ロック解除部材16の先端面と可動鉄心20との間の離間距離は、可動鉄心20の中心軸に沿って形成された雌ネジ部に対する皿ネジ19の突入量を加減することで調整可能である。ロック解除部材16の先端面と可動鉄心20との間の離間距離の最適値は、可動鉄心20を最も突出させた状態、つまり、図3(b)中で可動鉄心20を最も左側に移動させた状態で、ロック解除部材16の先端と移動ステージ3の一面3aとの間に僅かな間隙が形成される程度の距離である。ロック解除部材16の先端面と可動鉄心20との間の離間距離を最適化した後、皿ネジ19に外嵌されているナット23を締め付けることで、可動鉄心20に対する皿ネジ19の緩みを防止する。
【0048】
この実施形態におけるロック解除部材16は、図3(a),(b)からも明らかなように、その外周部が円錐状に形成されているので、ロック解除部材16を引き寄せる軸として機能する皿ネジ19や可動鉄心20に対する取り付け時の回転位置はどのようなものであっても構わない。
【0049】
ロック解除部材16を移動ステージ3の一面3aから離間させる方向に引き寄せるアクチュエータ24の主要部は前述の可動鉄心20とコイル21によって構成され、コイル21が励磁された状態で、可動鉄心20,皿ネジ19,ロック解除部材16が図3(a),(b)中で左側から右側に向けて一体的に移動するようになっている。可動鉄心20の動作態様は非励磁の状態でアクチュエータを突出状態に保持する市販のプル型ソレノイドと同等であるが、アクチュエータを突出状態に保持するためのリターンスプリング等が不要であるため、全長すなわち図3(a),(b)中の左右方向の長さの短縮が容易である。
【0050】
なお、符号25は帯状の焼き入れ鋼板からなるブレーキパッドであり、移動ステージ3の一面3aに対して面一となるようにして移動ステージ3に一体的に埋め込まれている。
【0051】
移動ステージ3をベースプレート4に固定する場合には、コイル21を非励磁としてアクチュエータ24を非作動の状態とし、図3(a)に示されるように、各ローラ14,14の間に位置するロック解除部材16が移動ステージ3の一面3aに対して容易に接近し得る状態とする。
【0052】
ロック解除部材16の両側に位置するローラ14,14は板バネ15の摺接部15a,15aの弾性復帰力により相互に接近する方向に向けて定常的に付勢されており、図3(a)に示されるように、各ローラ14,14と当接するロック解除部材16の両側には其の基部から先端に向けて徐々に相互間の間隔が増大する楔状のテーパ面16a,16aが形成されているので、ロック解除部材16の両側のテーパ面16a,16aを挟み込むようにして押圧するローラ14,14の押圧力が、ロック解除部材16をローラ14,14の間から移動ステージ3の一面3aに向けて押し出す方向に作用し、ロック解除部材14が皿ネジ19およびナット23と可動鉄心20を伴って、移動ステージ3の一面3aに対して接近する方向に移動する。
【0053】
ロック解除部材16の突出限度は、図3(b)に示されるように、ナット23の左端面が固定部材13の右端面に当接する位置で規制されるので、ロック解除部材16が最大限度まで突出した状態であっても、図3(a)に示されるように、ロック解除部材16の先端面と移動ステージ3の一面3aとの間には或る程度の間隙が形成され、ロック解除部材16の先端面がブレーキパッド25に直接的に当接することはない。
【0054】
そして、ロック解除部材16の両側に位置する2つのローラ14,14がロック解除部材16を押し退けるようにして相互に接近し、外に凸の円弧状の二次曲面からなる一端面13aを有する固定部材13の一端面13aの両端部、つまり、図3(a)に示される一端面13aにおける上端部および下端部の近傍位置から、該一端面13aの中央部寄りの位置、すなわち、移動ステージ3における一面3aとの離間距離が最小となる一端面13a上の中央部へ向けて移動する。
【0055】
各ローラ14,14は移動ステージ3の一面3aと固定部材13の一端面13aとの間の最小離間距離D1を越える直径Dを備えているので、固定部材13における一端面13aの中央部寄りの位置に移動した2つのローラ14,14は、移動ステージにおける一面3aと固定部材13における一端面13aとの間に楔のようにして挟み込まれ、これら2つのローラ14,14が、固定部材13に対する移動ステージ3の移動、すなわち、ベースプレート4に対する移動ステージ3の移動を防止して移動ステージ3をベースプレート4に固定することになる。
【0056】
仮に、このようにして移動ステージ3をベースプレート4に固定した状態で移動ステージ3の移動方向Xに沿った強い力が加わると、移動ステージ3の一面3aに当接したローラ14,14に対し、該ローラ14,14を移動ステージ3の移動を許容する方向に回転させようとする向きの回転力、つまり、図3(a)で言えばローラ14,14を時計方向に回そうとする回転力が作用する。この回転力の向きは、移動ステージ3に加わる力の方向ベクトルの基部側に位置するローラ14、つまり、図3(a)で言えば下方に位置する側のローラ14を固定部材13の一端面13aに沿って更に該一端面13aの中央部寄りの位置に向けて転動させる方向に作用するので、この下側のローラ14が移動ステージ3における一面3aと固定部材13における一端面13aとの間に更に強く挟み込まれて、該ローラ14の当接力により移動ステージ3がベースプレート4に更に強固に固定されることになる。
【0057】
また、これとは逆に、図3(a)における移動ステージ3の移動方向Xとは逆の向きに沿った強い力が加わった場合には、前記とは逆に、移動ステージ3の一面3aに当接したローラ14,14を図3(a)中で反時計方向に回そうとする回転力が作用する。この回転力の向きは、移動ステージ3に加わる力の方向ベクトルの基部側に位置するローラ14、つまり、図3(a)で言えば上方に位置する側のローラ14を固定部材13の一端面13aに沿って更に該一端面13aの中央部寄りの位置に向けて転動させる方向に作用するので、この上側のローラ14が移動ステージ3における一面3aと固定部材13における一端面13aとの間に更に強く挟み込まれて、該ローラ14の当接力によって移動ステージ3がベースプレート4に更に強固に固定される。
【0058】
このように、移動ステージ3の移動方向Xに対して正逆の方向で強い力が作用した場合であっても、必ず何れか一方のローラ14が移動ステージ3における一面3aと固定部材13における一端面13aとの間に強く食い込んで移動ステージ3を強力に固定するので、移動ステージ3をベースプレート4に固定した状態で移動ステージ3に外部からの強い力が加わっても、移動ステージ3が不用意に動く心配は殆どない。
【0059】
特に、この実施形態では、固定部材13の一端面13aが円弧状の二次曲面によって形成されているので、固定部材13の一端面13aの中央部寄りの位置、すなわち、移動ステージ3における一面3aとの離間距離が最小となる位置の近傍において、この一端面13aの接線と移動ステージ3の一面3aとの成す角が最小となるので、ローラ14,14を相互に接近させる板バネ15の摺接部15a,15aの僅かな弾性復帰力によって2つのローラ14,14を移動ステージ3における一面3aと固定部材13における一端面13aとの間に確実に挟み込んで固定部材13と移動ステージ3とを固定することができる。
【0060】
一方、ベースプレート4に対する移動ステージ3の固定を解除する場合には、コイル21を励磁してアクチュエータ24を作動させ、ローラ14,14の間に位置するロック解除部材16を移動ステージ3の一面3aから離間する方向に移動させる。
【0061】
ロック解除部材16の両側には、其の基部から先端に向けて徐々に相互間の間隔が増大する楔状のテーパ面16a,16aが形成されているので、ロック解除部材16の移動により、其の両側に位置する2つのローラ14,14が各ローラ14,14を付勢する板バネ15の摺接部15a,15aの力に抗して相互に離間する方向に移動する。
【0062】
このようにしてロック解除部材16の両側に位置する2つのローラ14,14が相互に離間し、固定部材13の一端面13aの中央寄りの位置、つまり、移動ステージ3における一面3aとの離間距離が最小となる固定部材13の一端面13a上の位置から、移動ステージ3における一面3aとの離間距離が最大となる一端面13上の位置、つまり、図3(a)に示される一端面13aにおける上端部および下端部の各位置へと移動することになる。
【0063】
各ローラ14,14は移動ステージ3の一面3aと固定部材13の一端面13aとの間の最大離間距離D2に満たない直径Dを備えているので、固定部材13における一端面13aの両端部に移動した2つのローラ14,14は、移動ステージ3における一面3aと固定部材13における一端面13aとの間で移動自在な状態となり、固定部材13に対する移動ステージ3の移動、つまり、ベースプレート4に対する移動ステージ3の移動が許容された状態となる。
【0064】
各ローラ14,14は、付勢手段として機能する板バネ15の摺接部15a,15aによってロック解除部材16の方向に向けて付勢されており、各ローラ14,14の外周がロック解除部材16の両側の楔状のテーパ面16a,16aに当接しているので、各ローラ14,14は、其の一側に位置する板バネ15の摺接部15aと其の他側に位置するロック解除部材16のテーパ面16aとの間に挟み込まれ、固定部材13における二次曲面状の一端面13aに沿って移動ステージ3の一面3aから離間する方向に退避することになるので、これらのローラ14,14が移動ステージ3の一面3aに不用意に干渉することはなく、移動ステージ3をスムーズに移動させることが可能となる。
【0065】
特に、この実施形態においては、固定部材13の一端面13aが円弧状の二次曲面によって形成されているので、固定部材13における一端面13aの両端部近傍では一端面13aの接線が移動ステージ3の一面3aと成す角が最大となり、該一端面13aおよび移動ステージ3の移動方向Xに沿った2つのローラ14,14の僅かな移動で該ローラ14,14を移動方向Xと直交する向き即ち移動ステージ3における一面3aから離間する方向に大きく移動させることができ、移動ステージ3における一面3aから確実にローラ14,14を退避させて移動ステージ3をスムーズに移動させることが可能となる。
【0066】
ロック解除部材16を移動ステージ3の一面3aから離間する方向に移動させてローラ14,14を移動ステージ3の一面3aから退避させたときのロック解除部材16の位置16’とローラ14の位置14’および板バネ15の摺接部15aの位置15a’を図3(a)中に二点鎖線で示す。
【0067】
以上に述べた通り、この実施形態では、移動ステージ3をベースプレート4に固定するために必要とされる固定部材13とローラ14,14および各ローラ14,14毎の付勢手段として機能する板バネ15とロック解除部材16およびアクチュエータ24の全てをステー18側つまりベースプレート4側に纏めて配備しているので、アクチュエータ24に電力を供給するためのコード類が移動ステージ3と共に引き回されたり屈曲したりすることはなく、コード類と周辺設備との干渉の問題、更には、コード類の引き回しや屈曲によって生じる駆動抵抗の変動に伴う移動ステージ3の位置決め精度の劣化といった問題を確実に防止することができる。
【0068】
また、移動ステージ3をベースプレート4に固定する際の駆動源となる板バネ15の摺接部15a,15aがローラ14,14を挟むかたちで移動ステージ3の移動方向Xに沿った向きで作動する一方、移動ステージ3の固定を解除するためのロック解除部材16とアクチュエータ24は移動ステージ3の移動方向Xと直交する向き即ち図3(a),(b)中の左右方向に作動するようになっているので、固定力を発揮させるための駆動源(図4(a)中のコイルスプリング106に相当)と其れを解除するための駆動源(図4(a)中の気室107あるいは市販のプル型ソレノイドにおけるリターンスプリングに相当)とを同一直線上に配置した従来型の構造と比べてリニアステージ用現位置保持機構1の小型化が容易であり、小型のリニアステージ2における移動ステージ3の固定にも容易に対処することができる。
【0069】
また、ロック解除部材16が移動ステージ3の一面3aに対して接近する方向に移動した状態、つまり、2つのローラ14,14によって移動ステージ3がベースプレート4に固定された状態を初期位置とし、コイル21が励磁された状態でステージ3の固定が解除される構成としているので、電源がダウンした場合であっても其の直前の移動ステージ3の位置を確実に保持することができる。
【0070】
固定部材13における一端面13aの形状としては、図3(a)に示されるような円弧状の二次曲面の他、例えば、頂点が鈍角となる山形のテーパ面を利用することが可能である。但し、山形のテーパ面を利用した場合では、固定部材13の一端面13aの中央部寄りの位置においても両端部寄りの位置においても該一端面13aの接線と移動ステージ3の一面3aとの成す角は一定であるから、ローラ14,14が固定部材13の一端面13aの中央部に接近したからといって移動ステージ3における一面3aと固定部材13における一端面13aとの間に強力にローラ14,14が押し込まれるということはなく、また、ローラ14,14が固定部材13の一端面13aの両端部に移動したからといって移動ステージ3における一面3aから大きく離間するということもない。つまり、その様な構造を適用した場合では、移動ステージ3における一面3aと固定部材13における一端面13aとの間に強力にローラ14,14を押し込むためには山形のテーパ面の成す角を相当に大きくする必要が生じ、また、この結果として、ローラ14,14を移動ステージ3における一面3aから確実に退避させるためには山形のテーパ面を図3(a)の上下方向に沿って相当に長く形成しなければならなくなるので、固定部材13が大型化するといった弊害が生じる。
【0071】
更に、ローラ14,14に代えて球状の鋼球を与圧部材として利用することも可能であるが、その場合は、ロック解除部材16が円錐状であると与圧部材とロック解除部材16との接触が不安定となるので、ロック解除部材16を立体的な台形状に形成する必要がある。
【0072】
以上、一例としてリニアモータによって駆動されるリニアステージにリニアステージ用現位置保持機構を装着したものを例に取って説明したが、リニアモータの他、例えば、圧電素子やサーボモータ等を利用して移動ステージに送りを掛けるようにしたリニアステージが既に公知であり、何れのものに対しても、この実施形態のリニアステージ用現位置保持機構を其のまま転用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明を適用したリニアステージ用現位置保持機構を装着した一実施形態のリニアステージについて示した図で、図1(a)はリニアステージについて示した平面図、図1(b)はリニアステージを示した正断面図、図1(c)はリニアステージ用現位置保持機構の取り付け部の周辺構造を示した部分断面図である。
【図2】同実施形態のリニアステージから移動ステージ部分を取り外して示した平面図である。
【図3】同実施形態のリニアステージ用現位置保持機構について示した図で、図3(a)はリニアステージ用現位置保持機構の内部構造を示した平面図、図3(b)はリニアステージ用現位置保持機構の内部構造を示した断面図である。
【図4】従来型のクランプ装置の一例について示した図で、図4(a)は全体的な構成図、図4(b)は其の作用原理図である。
【符号の説明】
【0074】
1 リニアステージ用現位置保持機構
2 リニアステージ
3 移動ステージ
3a 移動ステージの一面
4 ベースプレート
5 リニアガイド
5a,5b ガイドローラ
6 リニアモータ
6a 固定子
6b 走行子
7 スケール
8 ステー
9 エンコーダ
10 光電センサ
11 遮光板
12 機械原点検出手段
13 固定部材
13a 固定部材の一端面
14 ローラ(与圧部材)
14’ ローラ(退避時の位置)
15 板バネ(付勢手段)
15a 摺接部
15a’ 摺接部(退避時の位置)
16 ロック解除部材
16’ ロック解除部材(退避時の位置)
16a 基部から先端に向けて徐々に増大する楔状のテーパ面
17 アクチュエータ
18 ステー
19 皿ネジ
20 可動鉄心
21 コイル
22 ボビン
23 ナット
24 アクチュエータ
25 ブレーキパッド
X 移動ステージの移動方向
D 与圧部材であるローラの直径(外径)
D1 移動ステージの一面と固定部材の一端面との間の最小離間距離
D2 移動ステージの一面と固定部材の一端面との間の最大離間距離
100 レール
101 サドル
102 ピストン
103 ピストン
104 ウェッジスライドギア
104a テーパ面
105 ブレーキパッド
106 コイルスプリング
107 気室
108 クランプ装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リニアガイドを介してベースプレートに取り付けられた移動ステージと前記ベースプレートとの相対位置を保持した状態で前記移動ステージを前記ベースプレートに対して一時的に固定するためのリニアステージ用現位置保持機構であって、
前記移動ステージの移動方向に対して平行となる前記移動ステージの一面に直交し且つ前記移動ステージの移動方向に対して平行となる平面に対する投影形状が外に凸となる一端面を備えた固定部材の前記一端面を前記移動ステージの前記一面に対向させた状態で前記固定部材の前記一端面と前記移動ステージの前記一面との間に間隔を置いて該固定部材を前記ベースプレートに対して一体的に固着し、
前記移動ステージの移動方向を基準とする前記固定部材の前記一端面の両端部の各々と前記移動ステージの前記一面との間に、前記移動ステージの前記一面と前記固定部材の前記一端面との間の最小離間距離を越え且つ前記移動ステージの前記一面と前記固定部材の前記一端面との間の最大離間距離に満たない外径を有する与圧部材を移動自在に配置すると共に、
前記各与圧部材の外周部に当接して前記各与圧部材を相互に接近させる方向に付勢する各与圧部材毎の付勢手段と、前記各与圧部材の間に位置し前記移動ステージの前記一面と接離する方向にのみ移動可能であって前記各与圧部材と当接する両側面間の間隔が其の基部から先端に向けて徐々に増大するロック解除部材と、前記ロック解除部材を前記移動ステージの前記一面から離間させる方向に引き寄せるアクチュエータとを、前記ベースプレートの側に配備したことを特徴とするリニアステージ用現位置保持機構。
【請求項2】
前記固定部材の前記一端面が、円弧状の二次曲面によって形成されていることを特徴とする請求項1記載のリニアステージ用現位置保持機構。
【請求項3】
前記与圧部材が、ローラによって形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載のリニアステージ用現位置保持機構。
【請求項4】
前記ロック解除部材が、円錐形状に形成されていることを特徴とする請求項1,請求項2または請求項3記載のリニアステージ用現位置保持機構。
【請求項5】
前記各与圧部材毎の付勢手段が、略C字型の一体化された板バネによって構成され、該板バネの両端部の各々が外側から前記各与圧部材に当接していることを特徴とする請求項1,請求項2,請求項3または請求項4記載のリニアステージ用現位置保持機構。
【請求項6】
前記アクチュエータが、前記ロック解除部材を前記移動ステージの前記一面から離間させる方向に移動させる可動鉄心とコイルによって構成されていることを特徴とする請求項1,請求項2,請求項3,請求項4または請求項5記載のリニアステージ用現位置保持機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−128757(P2008−128757A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−312581(P2006−312581)
【出願日】平成18年11月20日(2006.11.20)
【出願人】(592004404)中央精機株式会社 (16)
【Fターム(参考)】