説明

リフター付繊維機械

【課題】 水平方向の搬送手段及び垂直方向のリフターを備え、省スペース化を達成し、リフターの昇降速度を水平方向の搬送速度とは別個に制御することにより、効率的に巻取パッケージを作業員が取り出しやすい腰の高さ(およそ0.6メートルから1.5メートルの間の高さ)に持上げることができる繊維機械を提供すること。
【解決手段】 繊維機械の紡績ユニットによって糸が巻取られた巻取パッケージを所定位置に搬送する搬送手段の末端に、搬送されてきた巻取パッケージを受取り、人が取り出しやすい所定の高さにまで持上げるリフターを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維機械、特には、水平方向の搬送手段及び垂直方向のリフターを設けた繊維機械に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、繊維機械、例えば紡績機械によって糸が巻取られた巻取パッケージは、搬送コンベアによって繊維機械の末端へと搬送された後、作業員により持上げられ、後工程へと送られている。ところが、通常搬送コンベアは低い位置にあるので、搬送されてきた巻取パッケージを持上げる必要があることから、作業員への負担が大きい。
【0003】
従来の作業員が後工程へ搬送する場合の糸を巻取ったものを持上げる機構を有する繊維機械として、特許文献1の図1に記載の繊維機械がある。
【特許文献1】実開昭61−137676号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の図1に記載の繊維機械においては、糸を巻取ったものを一つのコンベアにより水平方向及び垂直方向に搬送された後に、作業員により後工程に送られている。従って、垂直方向に持上げる箇所は、大きなスペースを必要とした。また、水平方向の搬送と垂直方向の搬送が連動しているため、垂直方向の搬送速度を水平方向の搬送速度と別個独立に制御することができなかった。
【0005】
そこで本発明においては、上記課題を解決すべく、水平方向の搬送手段及び垂直方向のリフターを備え、省スペース化を達成し、リフターの昇降速度を水平方向の搬送速度とは別個に制御することにより、効率的に巻取パッケージを作業員が取り出しやすい腰の高さ(およそ0.6メートルから1.5メートルの間の高さ)に持上げることができる繊維機械を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため請求項1に記載の発明は、紡績ユニットによって糸が巻取られた巻取パッケージを所定位置に搬送する搬送手段の末端に、搬送されてきた巻取りパッケージを受取り、人が取り出しやすい所定の高さにまで持上げるリフターを設けたことを特徴とする繊維機械に関するものである。
【0007】
請求項2に記載の発明は、前記リフターが、巻取パッケージ保持手段を有する巻取パッケージ保持部、及び、該巻取パッケージ保持部を昇降させる昇降部からなることを特徴とする請求項1に記載の繊維機械に関するものである。
【0008】
請求項3に記載の発明は、前記巻取パッケージ保持手段を対に設け、その間の距離を調整することができることを特徴とする請求項2に記載の繊維機械に関するものである。
【0009】
請求項4に記載の発明は、前記巻取パッケージ保持手段が巻取パッケージのリフターへの搬入方向に対して下向きに傾斜していることを特徴とする請求項2に記載の繊維機械に関するものである。
【0010】
請求項5に記載の発明は、前記巻取パッケージ保持手段間にローラが設置されていることを特徴とする請求項2から請求項4のいずれか一つに記載の繊維機械に関するものである。
【0011】
請求項6に記載の発明は、前記リフターが巻取パッケージの有無を検知することができる検知手段を有していることを特徴とする請求項1に記載の繊維機械に関するものである。
【0012】
請求項7に記載の発明は、前記リフターが前記繊維機械から取外し可能であり、車輪を有していることを特徴とする請求項1に記載の繊維機械に関するものである。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の繊維機械は、垂直方向に巻取パッケージを腰の高さにまで持上げるリフターを有していることから、巻取パッケージを持上げるときに作業員の負担を軽減することができる。
【0014】
請求項2に記載の繊維機械は、巻取パッケージ保持手段において確実に巻取パッケージが保持されることから、巻取パッケージを確実に昇降部が持上げることができる。
【0015】
請求項3に記載の繊維機械は、前記巻取パッケージ保持手段間の距離を調整することができるリフターを有していることから、巻取パッケージの径等に応じて前記距離を調整することにより、径等の異なる巻取パッケージを確実に保持しつつ昇降させることができる。
【0016】
請求項4に記載の繊維機械は、前記巻取パッケージ保持手段が巻取パッケージのリフターへの搬入方向に対して下向きに傾斜していることから、リフターへの巻取パッケージの搬入を容易にすることができる。
【0017】
請求項5に記載の繊維機械は、巻取パッケージの検知手段を有していることから、巻取パッケージの有無を検知することにより、リフターの昇降を制御することができる。
【0018】
請求項6に記載の繊維機械は、前記巻取パッケージ保持手段間にローラが設置されていることから、ローラ上を巻取パッケージが案内されてリフターへ円滑に搬入される。
【0019】
請求項7に記載の繊維機械における前記リフターは、前記繊維機械から取外し可能であり、車輪を有している。従って、複数の前記繊維機械間において、適宜前記リフターを移動させて用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下本発明に係る繊維機械の一実施例について、図1から図6に基づき詳細に説明する。
【0021】
まず、図6を用いて本発明に係る繊維機械の一実施例である紡績機Sの構成について説明する。
【0022】
紡績機Sは、並設された多数の紡績ユニットS1、紡績ユニットS1が並べられた方向に走行自在に設けられた糸継台車S2、糸継台車S2とは独立に走行自在に設けられた玉揚台車S3、ブロアボックスS4、原動機ボックスS5、コンベア等の巻取パッケージPの搬送手段C、搬送手段Cの末端に設けられたセンサーS6、及び、リフター1から構成されている。
【0023】
紡績ユニットS1は、ドラフト装置S11、紡績装置S12、糸送り装置S13、巻取装置S14、クリアラーS15から構成されている。
【0024】
本実施の形態における、リフター1について図1から図3を用いて説明する。
【0025】
次に、図1及び図2を用いてリフター1の構成について説明する。リフター1は、リフター本体2、巻取パッケージを保持する巻取パッケージ保持部3、及び、巻取パッケージ保持部3を昇降させる昇降部4により主として構成されている。
【0026】
リフター本体2には、巻取パッケージの有無を検知する検知手段21(211、212)、巻取パッケージ保持部3の昇降を案内するガイド部22(221、222)、昇降部4の昇降を案内するガイドレール23、及び、複数の車輪24が設置されている。
【0027】
本実施の形態においては、検知手段21は、第1下部センサー211及び第2上部センサー212を有している(なお、ミラーは図示していない)。第1センサー211は、巻取パッケージ保持部3がリフター本体2に対して最も低い位置にあるとき、巻取パッケージの有無を検知することができるようリフター本体2の下部に1つまたは複数設置される(本実施例では、高さが異なる第1センサー211を二つ設置している)。また、第2センサー212は、巻取パッケージ保持部3がリフター本体2に対して最も高い位置にあるとき、巻取パッケージの有無を検知することができるようリフター本体2の上部に1つまたは複数設置される。
【0028】
検知手段21として、センサーの代わりにリミットスイッチ等の巻取パッケージを検知できる手段を用いてもよく、これを巻取パッケージ保持部3に設置する。リミットスイッチを用いる場合、リミットスイッチ上に巻取パッケージが置かれると、巻取パッケージ保持部3が上昇し、リミットスイッチ上の巻取パッケージが取り除かれると巻取パッケージ保持部3が下降するように昇降部4を制御することにする。
【0029】
本実施の形態において、リフター本体2の四隅に車輪24が設置されている。
【0030】
図1から図3において巻取パッケージ保持部3は、巻取パッケージ保持部本体31、巻取パッケージ保持部本体31に設置され、互いに対向する巻取パッケージ保持手段32、リフター本体2のガイド部22(221、222)に沿って走行する車輪33(331、332)、及び、搬入される巻取パッケージを止めるストッパー34により構成されている。
【0031】
巻取パッケージが巻取パッケージ保持部3に搬入されやすいように、巻取パッケージ保持手段3をリフター1への搬入方向に対して下に傾ける(図1及び図6参照)。その際、巻取パッケージ保持部本体31に、巻取パッケージのリフター1への搬入方向に対して下向きに傾いている傾斜板311を設置し、傾斜板311の両側面に巻取パッケージ保持手段32を設置する。前記のように構成することにより、巻取パッケージ保持手段32を巻取パッケージの搬入方向に対して下向きに設置することができる。
【0032】
また、搬送手段Cにより慣性を持って搬送されてくる巻取パッケージを直接リフター1に搬入することを容易にするため、巻取パッケージ保持手段32の巻取パッケージ搬入側の高さを搬送手段Cの搬送面と同じ高さとする。
【0033】
図1において巻取パッケージ保持部本体31と傾斜板311との間には、傾斜板311を巻取パッケージ保持部本体31上に支持する複数の支持板312が設けられている。支持板312は、巻取パッケージ保持部本体31及び傾斜板311にネジ止めされる。支持板312又は巻取パッケージ保持部本体31に長穴313を設ける。長穴313へのネジ止め位置を調整することにより、支持板312の位置を調整することができる。本実施例において、支持板312に長穴313が設けられている。
【0034】
傾斜板311の傾斜角は、複数の支持板312の取付け位置を調整することにより調整される。
【0035】
図1において傾斜板311は、巻取パッケージの搬送方向が右方向であることから(図6参照)、右方向下向きに傾いている。
【0036】
図2において、巻取パッケージ保持手段32は、傾斜板311の両側面に設置され、巻取パッケージ保持手段32間で巻取パッケージをその下方両側から確実に保持することができるように互いに対向している。
【0037】
巻取パッケージ保持手段32は、巻取パッケージの搬入方向に平行な方向に間隔を開けて対に設けられている。本実施の形態においては、2対4個の巻取パッケージ保持手段32(図3参照)が設置されている。
【0038】
巻取パッケージ保持手段32は、巻取パッケージをその上で移動させ保持するローラ321、及び、ローラ321を支持する支持フレーム322により構成されている。
【0039】
ローラ321は、巻取パッケージの搬入方向に回転自在に支持フレーム322に設置される。従って、搬送手段Cにより慣性を持ってリフター1に搬入される巻取パッケージは、多数のローラ321の回転により慣性を失うことなく、ストッパー34又は先に搬入された巻取パッケージ等により停止させられるまでローラ321上を進む。その結果、リフター1に巻取パッケージを搬入する作業効率が向上する。
【0040】
さらに巻取パッケージのリフター1への搬入を容易にするため、対向する巻取パッケージ保持手段32間の傾斜板311の上にローラR(図5参照)を設けてもよい。この場合ローラR上に巻取パッケージが保持されることから、巻取パッケージ保持手段32で必ずしも巻取パッケージを直接保持する必要はなく、巻取パッケージが巻取パッケージ保持部3から出ないよう規制するだけでもよい。従って、この場合対向する巻取パッケージ保持手段32の両方ともが巻取パッケージと接触していない位置に巻取りパッケージ保持手段32を設けてもよい。
【0041】
図2から図4において、傾斜板311には、巻取パッケージ保持手段32と接続するためのコの字型のブラケット314が設けられている。巻取パッケージ保持手段32の支持フレーム322をブラケット314にネジ止めすることにより、巻取パッケージ保持手段32を傾斜板311に固定する。
【0042】
図2及び図4において、支持フレーム322には、2種類のネジ穴を設ける。そのうち、傾斜板311に近い位置にあるネジ穴を通常のネジ穴323とし、離れた位置にあるネジ穴を長穴324とする。従って、支持フレーム322をネジ穴323の位置を中心にして回動させ、長穴324にネジを止める位置を調整することにより、巻取パッケージ保持手段32の傾斜板311への固定角度を調整することができる。
【0043】
このように、前記固定角度を調整することにより、対向する巻取パッケージ保持手段32間の距離を調整することができる。
【0044】
図1において、搬入される巻取パッケージが巻取パッケージ保持部3から転がり落ちることを防止するために、ストッパー34が巻取パッケージ保持部本体31の巻取パッケージ搬入方向の末端に設けられる。
【0045】
ストッパー34を傾斜板311にネジ止めして固定してもよいし、取外し可能に設置してもよい。取外し可能とした場合、巻取パッケージを保持した巻取パッケージ保持部3の上昇後ストッパー34を巻取パッケージ保持部3から取外すと、巻取パッケージ保持手段32が傾斜している場合、巻取パッケージはその自重でリフター1から搬出していくこととなる。その結果、巻取パッケージの搬出作業が容易となる。
【0046】
上記から、巻取パッケージ保持部3において巻取パッケージは、対の巻取パッケージ保持手段32、ストッパー34又は他の巻取パッケージにより、3方向から保持されることが分かる(図1、図2及び図4参照)。従って、円錐台形等の不安定な形状の巻取パッケージを巻取パッケージ保持部3は確実に保持することができる。
【0047】
図4は、巻取パッケージ保持手段32が巻取パッケージを保持している状態を示す側面図である。巻取パッケージ保持手段32の傾斜板311への固定角度を調整して、巻取パッケージ保持手段32間の距離を調整することにより、様々な径の巻取パッケージを巻取パッケージ保持手段32が保持することができるようになることが分かる。
【0048】
次に、図2を用いて昇降部4について説明する。昇降部4は、エアシリンダ41、スプロケット42及びサイレントチェーン43により構成されている。なお、サイレントチェーン43は図2、図3、図5及び図8に記載されている。
【0049】
サイレントチェーン43と噛合うスプロケット42(図2参照)は、エアシリンダ41のピストンロッド411の上端部に回転自在に設けられる。
【0050】
サイレントチェーン43はスプロケット42と噛合わされ、その一端がリフター本体1にネジにより固着され、その他端が巻取パッケージ保持部3にネジにより固定されている。従って、スプロケット42がエアシリンダ41のピストンロッド411により持上げられると、サイレントチェーン43はスプロケット42に案内され、巻取パッケージ保持部3を持上げる。
【0051】
図1から図3を用いて、リフター本体2、巻取パッケージ保持部3及び昇降部4の相互の関係について説明する。
【0052】
昇降時に巻取パッケージ保持部3を案内するリフター本体2のガイド部22(図1及び図3参照)は、巻取パッケージ保持部3を垂直方向に確実に案内することができるようにリフター本体2に対して垂直方向に設けられる。ガイド部22として、リフター本体2に設けられたスリットを用いてもよいし、垂直な板を用いてもよい。本実施の形態において、ガイド部22は、スリット221及び垂直な板222から構成される。
【0053】
昇降時にリフター本体2のガイド部22(221、222)に案内されるように、巻取パッケージ保持部3には、複数の車輪33が設置されている。図1及び図3において、車輪33は、中央部の車輪331及び左右両端の車輪332から構成されている。昇降時に、車輪331は、スリット221の側壁に沿って走行し、車輪332は、垂直板222に沿って走行する。その結果、昇降時の巻取パッケージ保持部3の安定性が高められる。
【0054】
昇降時に昇降部4を案内するリフター本体2のガイドレール23は、リフター本体2に対して垂直方向に設置する。ガイドレール23は、ネジ等によりリフター本体2に固定される。
【0055】
昇降時にリフター本体2のガイドレール23に案内されるように、昇降部4のスプロケット42を、サイレントチェーン43を介してガイドレール23と噛合うようにする(図3参照)。その結果、サイレントチェーン43の左右リンク間にガイドレール23を挟むようにしてサイレントチェーン43がガイドレール23に案内されることにより、スプロケット42はガイドレール23に沿って垂直方向に昇降し、昇降時のスプロケット42の安定性は高められる。
【0056】
図6を用いて搬送手段C及びリフター1の関係について説明する。紡績機Sには、搬送手段Cの末端にセンサーS6が設置されている。従って、巻取パッケージ保持部3が上昇中にセンサーS6が巻取パッケージを検知すると、搬送手段Cを止めるよう制御することができる。その結果、巻取パッケージ保持部3の上昇時にリフター1へ巻取パッケージを搬入するという失敗が発生することはない。
【0057】
リフター1の正面図である図1の左下に記載のように、リフター1の搬送手段C側に設けられた車輪Mと嵌合する嵌合部Eを搬送手段Cのリフター1側の末端に設け、車輪Mを上から嵌合部Eに嵌めることにより、リフター1は紡績機Sに固定されている。従って、車輪Mを嵌合部Eから取外すことにより、簡単にリフター1を紡績機Sから取外すことができる。なお、ネジ等で固定することによりリフター1と紡績機Sを一体化してもよい。
【0058】
図2を用いて本発明に係るリフター1の作用について説明する。
【0059】
リフター1には、第1センサー211が下部に設置され、第2センサー212が上部に設置されていることから、リフター1に巻取パッケージが搬入されると、第1センサー211が巻取パッケージを検知し、巻取パッケージ保持部3を自動的に上昇させる。そして、上昇した位置で巻取パッケージを取り除くことによって、第2センサー212が巻取パッケージを検知しなかったときに巻取パッケージ保持部3が自動的に下降するように、昇降部4が制御される。
【0060】
昇降部4の制御方法の一例として、本実施の形態のようにリフター本体の上下部それぞれに複数のセンサー211、212が設置されている場合、下部の全てのセンサー211が巻取パッケージを検知したときに、巻取パッケージ保持部3を上昇させ、上部の全てのセンサー212が巻取パッケージを検知しなかったときに、巻取パッケージ保持部3を下降させる。このように制御することにより、効率よくリフター1を稼動させることができる。
【0061】
センサー又はリミットスイッチ等の検知手段を用いずに、目視で巻取パッケージの位置を確認し手動で昇降部4を作動させて、巻取パッケージを持上げ、又は、巻取パッケージ保持部3を下降させてもよい。
【0062】
本実施の形態においては、エアシリンダ41とサイレントチェーン43を用いて巻取パッケージ保持部3を昇降させていることから、倍ストローク機構により、スプロケット42の昇降距離の2倍の距離分、巻取パッケージ保持部3を昇降させることができる。
【0063】
次に実施例を用いて、本発明に係る紡績機Sが具体的にどのように用いられるかについて説明する。
【実施例】
【0064】
図6において紡績機Sの紡績装置S12から排出された紡績糸S7は、糸送り装置S13で下方へ送られ、糸の欠陥を検出して糸切断を行うことにより糸欠陥部分を除去するクリアラーS15を経て、巻取装置S14によって巻取られ、巻取パッケージPを形成する。
【0065】
形成された巻取パッケージPは巻取装置S14から取り外され、コンベアC上に横向きのまま落下する。コンベアCは、図6において左から右に動いている。
【0066】
次に、図1及び図2を用いて、リフター1の働きについて説明する。
【0067】
コンベアCにより搬送されてきた巻取パッケージPは、コンベアCの末端に設置されているリフター1に、コンベアCの搬送による慣性で巻取パッケージ保持手段32のローラ321上に搬入される。
【0068】
ローラ321上に搬入される巻取パッケージPは、ストッパー34、又は、巻取パッケージ保持手段32が二個以上の巻取パッケージを保持可能な場合には、先に搬入された巻取パッケージPにより停止させられる。傾斜板311及び巻取パッケージ保持手段32は巻取パッケージPの搬入方向に対して下向きに傾斜していることから、巻取パッケージPの巻取パッケージ保持部3への搬入は容易となる。
【0069】
巻取パッケージPの搬入方向と平行な方向に配置された対の巻取パッケージ保持手段32によって、巻取パッケージPの下方両側が搬入方向に沿って挟むように保持されることから、ぐらつくことなく確実に巻取パッケージPは、巻取パッケージ保持部3において保持される。
【0070】
巻取パッケージPが巻取パッケージ保持部3に保持されると、リフター本体2の下部に設置されたセンサー211が巻取パッケージPを検知し、それによってエアシリンダ41を作動させ、エアシリンダ41のピストンロッド411を伸長させてスプロケット42を押上げる。
【0071】
スプロケット42が押上げられると、スプロケット42はガイドレール23にサイレントチェーン43を介して噛み合いながら、案内されて上昇する。そして、サイレントチェーン43はスプロケット42に案内され、巻取パッケージ保持部3側が押上げられる。その結果、巻取パッケージ保持部3はサイレントチェーン43により持上げられる。
【0072】
巻取パッケージ保持部3がサイレントチェーン43により上昇させられると、巻取パッケージ保持手段32により保持されている巻取パッケージPも、例えば、作業員の腰の高さにまで持ち上げられる。その結果、作業員は巻取パッケージ保持部3の上昇後にリフター1から容易に巻取パッケージPを取出すことができるようになる。
【0073】
巻取パッケージ保持部3の上昇後巻取パッケージPが作業員によりリフター1から取出されると、リフター本体2の上部に設置されたセンサー212が巻取パッケージPの不存在を検知する。巻取パッケージPの不存在が検知されると、エアシリンダ41のピストンロッド411が下降を開始する。
【0074】
ピストンロッド411の下降と共にスプロケット42が下降し、サイレントチェーン43及びサイレントチェーン43に支持されている巻取パッケージ保持部3も下降する。
【0075】
巻取パッケージ保持部3がリフター本体2の下端に達すると、巻取パッケージPのリフター1への搬入が再び可能となり、上記昇降作業が繰り返されることとなる。
【0076】
なお、リフター1が用いられる対象は紡績機Sに限定されることはなく、リフター1を他の繊維機械に用いてもよい。
【0077】
上記説明から、水平方向の搬送とは別途にリフターを設け、これにより垂直方向に搬送するようにしたため、繊維機械を省スペース化することができる。しかも、垂直方向の昇降速度を水平方向の搬送速度に関係なく独自に制御することができるようになる。
【0078】
また、確実に保持しつつ昇降させることが難しい、円錐台形の巻取パッケージでも、本発明に係る繊維機械を用いれば、確実に保持しつつ作業員が作業しやすい腰の高さにまで持上げることができる。その結果、作業員の負担を大幅に軽減することができる。
【0079】
また、巻取パッケージを確実に保持しつつ昇降させることから、本発明に係る繊維機械を用いれば、昇降時に巻取パッケージを傷めることもない。さらに、巻取パッケージ保持部で二個以上の巻取パッケージを保持できるようにすれば、垂直方向への搬送を効率よくできるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明に係るリフターの一実施の形態を示す正面図である。
【図2】本発明に係るリフターの一実施の形態を示す側面図である。
【図3】図1の線YYにおける断面図である。
【図4】本発明に係るリフターの巻取パッケージ保持部が巻取パッケージを保持している状態を示す側面図である。
【図5】図3に記載のリフターの傾斜板にローラが設置されている状態を示す平面図である。
【図6】本発明に係る繊維機械の一実施の形態を示す正面図である。
【図7】図1におけるカッコAの拡大図である。
【図8】図2におけるカッコBの拡大図である。
【符号の説明】
【0081】
1 リフター
2 リフター本体
21 検知手段
22 ガイド部
221 スリット
222 垂直板
23 ガイドレール
24 車輪
3 巻取パッケージ保持部
31 巻取パッケージ保持部本体
311 傾斜板
312 支持板
313 長穴
314 ブラケット
32 巻取パッケージ保持手段
321 ローラ
322 支持フレーム
323 ネジ穴
324 長穴
33 車輪
34 ストッパー
4 昇降部
41 エアシリンダ
411 ピストンロッド
42 スプロケット
43 サイレントチェーン
S 紡績機
P 巻取パッケージ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
紡績ユニットによって糸が巻取られた巻取パッケージを所定位置に搬送する搬送手段の末端に、搬送されてきた巻取パッケージを受取り、人が取り出しやすい所定の高さにまで持上げるリフターを設けたことを特徴とする繊維機械。
【請求項2】
前記リフターが、巻取パッケージ保持手段を有する巻取パッケージ保持部、及び、該巻取パッケージ保持部を昇降させる昇降部からなることを特徴とする請求項1に記載の繊維機械。
【請求項3】
前記巻取パッケージ保持手段を対に設け、その間の距離を調整することができることを特徴とする請求項2に記載の繊維機械。
【請求項4】
前記巻取パッケージ保持手段が巻取パッケージのリフターへの搬入方向に対して下向きに傾斜していることを特徴とする請求項2に記載の繊維機械。
【請求項5】
前記巻取パッケージ保持手段間にローラが設置されていることを特徴とする請求項2から請求項4のいずれか一つに記載の繊維機械。
【請求項6】
前記リフターが巻取パッケージの有無を検知することができる検知手段を有していることを特徴とする請求項1に記載の繊維機械。
【請求項7】
前記リフターが前記繊維機械から取外し可能であり、車輪を有していることを特徴とする請求項1に記載の繊維機械。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−277758(P2007−277758A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−105316(P2006−105316)
【出願日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】