説明

リポソーム中にカプセル化されたオクテニジン二塩酸塩を含有する抗菌製剤

【0063】
本発明は、リポソーム中にオクテニジン二塩酸塩を含む抗菌製剤に関する。本発明は、追加的に、製剤を製造するための方法及びオクテニジン二塩酸塩を含む抗菌製剤を製造するためのリン脂質の使用に関する。製剤は、低い細胞毒性を示す。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
本発明は、リポソーム中にオクテニジン二塩酸塩を含む抗菌製剤に関する。本発明は、追加的に製剤の製造方法及びオクテニジン二塩酸塩を含む抗菌製剤の製造のためのリン脂質の使用に関する。
【0002】
抗菌活性成分オクテニジン二塩酸塩は、下記式を有するビスピリジニウムアルカンであって、市販製品オクテニセプト(登録商標、Octenisept)において粘膜及び創傷の消毒薬として長い間成功してきた。オクテニセプト(登録商標)は、水溶液状態で、オクテニジン二塩酸塩及びフェノキシエタノールに加えて、グルセロール、D-グルコン酸ナトリウムとコカミドプロピルジメチルアンモニウム アセテートをも含んでいる。
【化1】

【0003】
オクテニジン 二塩酸塩の静菌活性及び歯垢予防活性は、DE 2708331C2に記載されている。EP0411315A1は、粘膜消毒剤として及び創傷処置のために特に適し、オクテニジン二塩酸塩に加えてフェノキシエタノール及び/又はフェノキシプロパノールを含む水性消毒薬組成物を開示している。DE10205883A1は、等張にまで調整することができる、オクテニジン二塩酸塩を含む水性消毒薬に関する。
【0004】
非常に多くの微生物に対するオクテニジン二塩酸塩の良好な抗菌活性は、数々の研究で実証されている。5十進法単位(5decadic units)の減少率(reduction factor)が、0.001%のオクテニジン二塩酸塩(即ち、オクテニセプト(登録商標)中の活性成分の1/100)濃度でさえ1分以内に達成される。活性のために必要な濃度での活性成分の細胞毒性は低いとはいえ、0.001重量%より高いオクテニジン二塩酸塩濃度でさえ、それが存在する。したがって、オクテニジン二塩酸塩例えば慢性創傷についての使用に関する制限が存在する。
【0005】
したがって、活性を保持しながら、顕著により良好な許容性を有するオクテニジン二塩酸塩系製剤の開発が、本発明の目的であった。治療範囲の改善、局所的副作用の低減及び使用者に対する顕著に改善された受容性を達成することが、特別に意図された。
【0006】
驚くべきことに、その目的は、リポソーム中にカプセル化されたオクテニジン二塩酸塩を含む抗菌製剤により達成されることが今般明らかとなった。
【0007】
本発明は、変わることのない病原菌の減少が、(オクテニジン二塩酸塩水性溶液に比べて)オクテニジン二塩酸塩と例えばリン脂質との相互作用により達成されるのに対して、細胞毒性は、水溶液と比べて大いに減少するという発見にとりわけ基づいている。したがって、リポソーム上或いはリポソーム中に拘束されたオクテニジン二塩酸塩は、非常に良好な寛容的な本発明の製剤を生じる。
【0008】
製剤
本発明の好ましい製剤は、溶液、分散液、クリーム(O/W、W/O、O/W/O、W/O/W、若しくは両性クリーム)、軟膏若しくは座剤の形態である。オクテニジン二塩酸塩の含有量は、各場合全製剤に対して、0.001〜5重量%、より好ましくは、0.003〜1重量%、特に、0.005〜0.1重量%、例えば0.01〜0.06重量%である。リポソーム中にカプセル化されたオクテニジン二塩酸塩に加えて、本発明の製剤は、例えばリポソーム上に吸着された更なるオクテニジン二塩酸塩を含んでもよい。リポソーム中にカプセル化されたオクテニジン二塩酸塩の量は、製剤中に存在するオクテニジン二塩酸塩の合計量に対して、好ましくは、少なくとも20重量%、より好ましくは、少なくとも30重量%、特に、少なくとも50重量%換言すれば70重量%である。
【0009】
しかるべき場合に、製剤が、オクテニジン二塩酸塩の活性を補完する更なる活性成分を含むことも本発明により可能であり、それらが、オクテニジン二塩酸塩と併用されるならば、公知の市販製品よりも顕著により低い濃度で使用することができる。
【0010】
好適な使用方式は半固体状である。
【0011】
軟膏(lat.unguenta)は、皮膚に適用或いは塗る使用のために意図される広げることのできる製剤である。それらは、活性成分の配合された1以上の軟膏ベース(ペテロラタム、羊脂肪、ラノリンのような)から成る。活性成分は溶解されるか、非常に微細に分散されなければならない。溶解性を増加するために、軟膏は水或いは油を含むことがある。しかしながら、軟膏中の脂肪/油含量は、水含量より高い。
【0012】
クリームは、軟膏と非常に似ているが、その水含量は、脂肪/油含量より高い。
【0013】
クレサ(CreSa)は、クリームと軟膏の組み合わせのための略称である。
【0014】
本発明による軟膏とクリームの粘度は回転粘度計(例、サーモアーケ(Thermo Haake)からのRV20型、M5システム、測定単位SV1)で95S−1及び20℃で測定され、一般的に500〜15000mPa・s、好ましくは1000〜10000mPa・sである。
【0015】
ペーストは、粉末形態の成分(例、酸化亜鉛、タルク等)が、大量に分散する軟膏のための名称である。ペーストは、水を含まず、大量の粉末の割合のため、軟膏より実質的に硬いものである。
【0016】
水性アルコールゲル(ヒドロゲル)は、その透明性と脂ぎらない性質で評価される。親油性ゲル(オレオゲル)は、その美しい外観と粘性を付与する特性のために同様に使用される。ゲルは主に外用を意図され、薄く適用されるべきである。
【0017】
ヒドロゲルは、水及びグリセロールの添加と、ゼラチン、トラガカント、カーボポル等の膨潤剤とにより製造される、通常半透明な組成物である。それらは、水の蒸発による冷却作用を有している。
【0018】
親油性ゲルは親油性相を含む。使用されるマトリックス形成物は、脂質相の高分子量同族体に加えて、有機変性ベントナイト(ベントン、Benton、登録商標)及びコロイダル2酸化ケイ素でもある。
【0019】
乳濁液は、不混和性の液体、例えば油と水からなる製剤を意味する。W/O(油中水)或いはO/W(水中油)乳濁液及び両性乳濁液の間には区別がなされる。後者は、使用前に激しく揺動されねばならない。乳化剤の添加は、液体が互いのうちに極端に精細に分布することができ、即ち油と水は再度分離はしない。適用の態様に応じて、乳濁液は内用或いは外用を意図される。外用使用のための乳濁液はしばしばローションと呼ばれる。これは、水中油型乳濁液の形態をとる。
【0020】
クレロ(CreLo)は、クリームとローションの組み合わせを意味する。
【0021】
座剤(lat.Suppositoria)は、種々の形状を有し、直腸への挿入と、融解或いは溶解後の活性成分の配達を意図された単回投与医薬製剤である。それらは、硬脂肪(例、Stadimol)若しくはポリエチレングリコールから成り、そこで活性成分は熱の印加により取り込まれる。この加熱組成物は、次いで型に注がれる。硬脂肪座剤は熱感受性であり、そのため25℃超では保存してはならない。大人用の通常の座剤サイズは、約2gであり、子供用は約1gである。座剤は、最善には排便後仰臥位で挿入されるべきである。挿入は、予め座剤を水に漬けることによって容易にすることができる。クリーム或いは軟膏の塗りつけは、座剤の働きと両立しないかもしれないことから、避けねばならない。
【0022】
膣に挿入される座剤は、膣用座剤及び膣用ペッサリー(lat.ovulum)の区別を生じる。膣用座剤は、製造及び基本組成において「普通」の座剤と同じである。膣用ペッサリーは、殆どがゼラチン、水及びグリセロールから成り、球状の形状を有する。両方の使用方式の重量は、約3gである。適用は可能ならば夜分に仰臥位でなされるべきである。この場合にも、クリームは挿入のために無しで済まさなくてはならない。挿入補助器具は、種々の座剤と一緒に製造者により供給される。25℃未満の貯蔵がここで重要である。
【0023】
使用方式の例は以下のとおりである。(データは重量%)
I.クリーム
3〜20% 脂肪含量、好ましくは3〜20%の中鎖トリグリセリド
0.5〜10% グリセロール、プロピレングリコールのような湿潤剤、好ましくは0.5〜10%のグリセロール
1〜10% 乳化剤、好ましくは、1〜10%のグリセロールモノエステル、グリセロールジエステル、特に好ましくは、1〜10%のグリセロールモノエステル
オクテニジン二塩酸塩
飽和脂肪酸由来のアシル基を有するホスファチジルコリン;
II.O/Wクリーム
5〜20% 脂肪含量、好ましくは5〜20%のオクチルドデカノール
0.5〜10% グリセロール、プロピレングリコール、1,2-ペンタンジオール(ペンチレングリコール)のような湿潤剤、特に好ましくは0.5〜10%のペンチレングリコール
1〜10% 乳化剤、好ましくは、1〜10%のグリセロールモノエステル、グリセロールジエステル、特に、好ましくは、1〜10%のグリセロールモノエステル
オクテニジン二塩酸塩
飽和脂肪酸由来のアシル基を有するホスファチジルコリン;
III.ヒドロゲル
0.5〜10% グリセロール、プロピレングリコールのような湿潤剤、特に好ましくは0.5〜10%のプロピレングリコール
0.05〜2% 増粘剤、好ましくは、0.05〜2%のカルボン酸塩、特に、好ましくは、0.05〜2%のソジウムカルボキシビニルポリマー、
オクテニジン二塩酸塩
飽和脂肪酸由来のアシル基を有するホスファチジルコリン;
IV.混合ミセル
5〜30% 非イオン性乳化剤、好ましくは5〜30%のソルビタンエステル、特に好ましくは5〜30%のポリオキシエチレンソルビタンモノエステル、例えばポリソルベート20
オクテニジン二塩酸塩
飽和脂肪酸由来のアシル基を有するホスファチジルコリン;
本発明の製剤は、以下に示される例に使用することができる。
【0024】
1.創傷処置
最初の具体例では、本発明の製剤は、創傷処置のために使用される。これは、好ましくは、広範囲の湿潤材料を含む、乳化剤不要の処方(例、ゲル)を選ぶことを必要とする。
【0025】
2.アトピー性皮膚炎及び感染性湿疹
感染性湿疹処置のための本発明の使用のためのオクテニジン二塩酸塩を含む製剤処方は、好ましくは、皮膚のタイプにより、水中油型(O/W)、油中水型(W/O)若しくは両性乳濁液(クリーム)である。
【0026】
3.白癬
ゲルとクリームが、好ましくは、真菌症処置のための半固体状製剤のための処方として使用される。
【0027】
4.膣感染
膣感染処置のために適し、選好される使用方式は、クリーム及び座剤である。これらタイプの製剤でのオクテニジン 二塩酸塩は、それが、真菌及び細菌の双方に対して活性であることから、特に有利な効果を示し、2種の異なる製品の使用が不必要となる。
【0028】
リポソ−ム
リポソ−ムは、内部水相を有する1以上の脂質同心2重層から成る球状構造(直径25nm〜1μm)である(脂質小胞)。このタイプの小胞は、非常に精細な機械的分散により、例えば、水媒体中のホスファチジルコリン(レシチン)のようなリン脂質から製造することができる。この点についてリポソームの好ましい直径は、50〜400nmである。
【0029】
リポソーム形成物質、特にホスファチジルコリンの量は、全製剤に対して、0.1〜30重量%、好ましくは0.5〜20重量%、特に1〜10重量%、例えば3〜8重量%の範囲である。この点で選好される製剤は、リポソームが(グリセロール)リン脂質から、好ましくはホスファチジルコリン(レシチン)から、形成されるものである。ホスファチジルコリンのアシル基は、飽和若しくは不飽和脂肪酸由来であってよい。
【0030】
本発明の製剤は、技術水準で知られるプロセスにより製造することができる。リポソームは、典型的には水性溶液から、例えばリン脂質から、転移温度より上で、高せん断作用により自然に生成される。この点での手順は、例に示されるように、高温で(例えば約70℃)、リン脂質とオクテニジン二塩酸塩を水(若しくは製剤の他の成分の水溶液)に混合し、次いでこの混合物を均質化することであってよい。
【0031】
更なる具体例では、本発明は、次のようにそのようなプロセスに関する。
【0032】
加えて、本発明は、製剤の細胞毒性を低減するためのオクテニジン二塩酸塩を含む製剤を製造するためのリン脂質の使用に関する。
【0033】
本発明の利点は、以下の例から特に明らかである、全てのパーセンテージデータはここでは、重量ベースである。
【0034】

使用された材料
1,2-ジアシル-sn-グリセロ-3-ホスファチジルコリン(レシチン)
-O-CH(CHOR)CH-O-P(O)(O)-O-CH-CH-N(CH
ホスホリポン(Phospholipon登録商標)90G
、Rは、脂肪酸のアシル基
平均分子式は、C4387NO
平均分子量は、775.5g/mol
ホスホリポン(Phospholipon登録商標)90H
、Rは、飽和脂肪酸のアシル基
平均分子式は、C4395NO
平均分子量は、784.6g/mol
「オクテニジン モノプロダクト」の製剤
オクテニジン二塩酸塩 0.10%
グリセロール85% 2.85%
水 97.05%
本発明による製剤1(分散液)
オクテニジン二塩酸塩 0.05%
ホスホリポン(登録商標)90H 6.00%
水 93.95%
2つの更なる濃度(0.025%及び0.0125%)が、水での希釈により調整された。
【0035】
例1:活性保持率(定量的懸濁液試験)
方法
化学的殺菌法試験のために、衛生学及び微生物学のためのドイツ協会エーベーの標準的方法で規定されたように(日付:2001年9月1日)、細菌及び真菌活性が、高蛋白使用量(「汚染条件」)での定量的懸濁液試験で測定された。方法的理由のために、使用に供された製品は、80%以下の濃度でのみ試験された。
【0036】
試験生物
スタフィロコッカス アウレウス ATCC 6538
大腸菌(Escherichia coli) ATCC 10538
結果
【表1】

【0037】
例2:リポソーム化オクテニジンヒドロクロライドを有する本発明による更なる製剤
I. ホスホリポン(登録商標)90Hとオクテニジン二塩酸塩を有するクリーム
6.00% ホスホリポン(登録商標)90H
0.05% オクテニジン二塩酸塩
10.00% 中鎖トリグリセリド、8〜10個の炭素原子を有する、少なくとも95%飽和脂肪酸(ミグリオール(Miglyol)810)
5.00% グリセロール100%
0.50% α-DL-トコフェロール
5.00% グリセロールモノステアレート
70.45% 水(脱塩)
a.水を70℃まで加熱。
【0038】
ホスホリポン(登録商標)90Hとオクテニジン二塩酸塩を加え、撹拌。
【0039】
次いで、30分間最高設定で均質化。
【0040】
b.ミグリオール810、グリセロール、トコフェロール及びグリセロールモノステアレートを混合し、40℃まで加熱。
【0041】
中速度で均質化しながら、脂肪相を添加。
【0042】
次いで、2分間最高設定で乳濁化。
【0043】
時々中速度で短く均質化しながら、冷却するまでクリームを撹拌。
【0044】
この処方は、アンカー撹拌機(=100rpm)とウルトラ-ツラックス(Ultra-Turrrax)T25(13500-24000rpm)を有する、IKA L1000ラボリアクター中で調製された。
【0045】
II. ホスホリポン(登録商標)90Hとオクテニジン二塩酸塩を有するO/Wクリーム
6.00% ホスホリポン(登録商標)90H
0.05% オクテニジン二塩酸塩
15.00% オクチルドデカノール
0.50% α-DL-トコフェロール
5.00% ペンチレン グリコール
73.45% 水(脱塩)
a.水を70℃まで加熱。
【0046】
ホスホリポン(登録商標)90Hとオクテニジン二塩酸塩を加え、撹拌。
【0047】
次いで、30分間最高設定で均質化。
【0048】
b.中速度で均質化しながら、オクチルドデカノール、トコフェロール及びペンチレン グリコールを添加混合。
【0049】
引き続き、10分間最高設定で乳濁化。
【0050】
時々中速度で短く均質化しながら、冷却するまでクリームを撹拌。
【0051】
この処方は、アンカー撹拌機(=100rpm)とウルトラ-ツラックス(Ultra-Turrrax)T25(13500-24000rpm)を有する、IKA L1000ラボリアクター中で調製された。
【0052】
III. ホスホリポン(登録商標)90Hとオクテニジン二塩酸塩を有するヒドロゲル
6.00% ホスホリポン(登録商標)90H
0.05% オクテニジン二塩酸塩
5.00% プロピレングリコール
0.20% ソジウム カルボキシビニル ポリマー(Pionier(登録商標)NP37G)
88.75% 水(脱塩)
a.水を70℃まで加熱。
【0053】
ホスホリポン(登録商標)90Hとオクテニジン二塩酸塩を加え、撹拌。
【0054】
次いで、30分間最高設定で均質化。
【0055】
b.プロピレン グリコールを混合し、Pionier(登録商標)NP37Gを添加。
【0056】
ゲルが、完全に膨潤する迄撹拌により均質化。
【0057】
この処方は、アンカー撹拌機(=100rpm)とウルトラ-ツラックス(Ultra-Turrrax)T25(13 500-24 000rpm)を有する、IKA L1000ラボリアクター中で調製された。
【0058】
IV. ホスホリポン(登録商標)90Gとオクテニジン二塩酸塩を有する混合ミセル
4.00% ホスホリポン(登録商標)90H
0.05% オクテニジン二塩酸塩
0.30% 塩化ナトリウム
20.00% ポリソルベート 20
2.00% 10%力価NaOH溶液
73.65% 水(脱塩)
a.水をガラスビーカーに入れ、そこに塩化ナトリウムを溶解。ホスホリポン(登録商標)90Gとポリソルベート 20を加え、完全に分散。
【0059】
b.10%力価NaOH溶液を加え、透明な溶液が生じるまで撹拌。pHは、約10でなければならない。次いで、オクテニジン二塩酸塩を加え、溶解が完全になるまで撹拌。
【0060】
混合ミセルは、最後にろ過(0.2μm)。pHは、約7−8。
【0061】
この処方は、単純撹拌技術によって、ガラスビーカー中で調製することができる。
【0062】
例3:本発明による製剤の低細胞毒性
インビトロ細胞毒性検査のために使用される試験細胞は、細胞系L929(ATCC CCL1)マウス線維芽細胞であった。評価は、2つの異なる吸光分光分析法により行った。比較製剤では、50%の試験細胞が、32.0μg/ml(方法1)及び41.3μg/ml(方法2)に30分間暴露後、生きてはいなかった。250μg/mlオクテニジン 二塩酸塩の本発明による製剤は、試験での可能な最高の濃度でさえ、20%より少ない細胞毒性を単に示しただけだった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リポソーム中にカプセル化されたオクテニジン二塩酸塩を含む、抗菌製剤。
【請求項2】
溶液、分散液、ゲル、クリーム、軟膏又は座剤の形態であることを特徴とする、請求項1記載の製剤。
【請求項3】
製剤に対して、オクテニジン二塩酸塩を0.001〜5重量%、好ましくは、0.003〜1重量%、より好ましくは、0.005〜0.1重量%、特に0.01〜0.06重量%含むことを特徴とする、請求項1記載の製剤。
【請求項4】
リポソームが、(グリセロ)リン脂質、好ましくはホスファチジルコリンを含むことを特徴とする、請求項1乃至3何れか1項記載の製剤。
【請求項5】
全製剤に対して、リン脂質の量が、0.1〜30重量%、好ましくは、0.5〜20重量%、特に、1〜10重量%、例えば3〜8重量%であることを特徴とする、請求項4記載の製剤。
【請求項6】
水が高められた温度でリン脂質及びオクテニジン二塩酸塩と混合され、次いでこの混合物が均質化される、オクテニジン二塩酸塩を含有する抗菌製剤の製造方法。
【請求項7】
製剤の細胞毒性を低減するためのオクテニジン二塩酸塩を含む製剤を製造するためのリン脂質の使用。

【公表番号】特表2009−507891(P2009−507891A)
【公表日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−530506(P2008−530506)
【出願日】平成18年9月12日(2006.9.12)
【国際出願番号】PCT/EP2006/066282
【国際公開番号】WO2007/031519
【国際公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【出願人】(399035504)エール・リキード・サンテ(アンテルナスィオナル) (26)
【Fターム(参考)】