説明

リモコン装置の制御方法、リモコン装置及び表示システム

【課題】リモコン装置の操作性を向上させることが可能なリモコン装置の制御方法、リモコン装置及び表示システムを提供する。
【解決手段】表示画面上に表示されたフォーカスを移動させるための第1キーと、前記表示画面上に表示されたポインタを移動させるための第2キーと、フォーカス位置での決定動作又はポインタ位置での選択動作を指示するための第3キーと、を備えたリモコン装置の制御方法であって、前記リモコン装置に対する操作を受け付ける受付工程と、前記受付工程で受け付けた直前の操作内容に応じて、前記第3キーが指示する動作内容を切り替える切替工程と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、リモコン装置の制御方法、リモコン装置及び表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、テレビ受像機やビデオ機器、DVD機器、セットトップボックス等の機器では、それぞれの機器に設けられたリモコン装置を用いて遠隔操作できるようになっている。係るリモコン装置には、機器が備える機能を作動させるための各種キーが備えられている。また、従来、操作性向上のため、選択項目へのフォーカスを順次移動させるための十字キーと、画面内でポインタを自由に移動させるトラックボール等のポインティングデバイスとを備えたリモコン装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−251350号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、所定のキーの押下によって指示される、フォーカス位置での決定動作と、ポインタ位置での選択動作とでは、操作の対象となったオブジェクトへの指示内容が異なるため、一般に異なるイベントとして取り扱われる。この点に関し、PC(Personal Computer)等では、キーボードのENTERキーと、マウスのシングルクリックとを使い分けることで、フォーカス位置での決定動作とポインタ位置での選択動作とを指示することが容易である。
【0005】
一方、リモコン装置においても、フォーカス操作やポインタ操作を行う場合には、フォーカス位置での決定動作とポインタ位置での選択動作とを行う操作キーを備える必要がある。特に、リモコン装置では、フォーカス操作を行うキーとポインタ操作を行うキーとが近接して配置される場合があり、この場合、フォーカス位置での決定動作とポインタ位置での選択動作とを単一の操作キーで行えることが操作性の観点から望ましい。しかしながら、上述したように、これらの動作は異なるイベントとして取り扱われるため、従来では夫々独立した操作ボタンに割り当てることしかできず、操作性の上で改善の余地があった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、リモコン装置の操作性を向上させることが可能なリモコン装置の制御方法、リモコン装置及び表示システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施の形態のリモコン装置の制御方法は、表示画面上に表示されたフォーカスを移動させるための第1キーと、前記表示画面上に表示されたポインタを移動させるための第2キーと、フォーカス位置での決定動作又はポインタ位置での選択動作を指示するための第3キーと、を備えたリモコン装置の制御方法であって、受付工程と、切換工程とを含む。受付工程では、リモコン装置に対する操作を受け付ける。切替工程では、受付工程で受け付けた直前の操作内容に応じて、第3キーが指示する動作内容を切り替える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、本実施形態に係る表示システムの構成を概略的に示す図である。
【図2】図2は、本実施形態に係るリモコン装置の閉状態における上面図である。
【図3】図3は、図2に示したリモコン装置のA−Aラインでの断面を模式的に示す図である。
【図4】図4は、本実施形態に係るリモコン装置の開状態における上面図である。
【図5】図5は、図4に示したリモコン装置のB−Bラインでの断面を模式的に示す図である。
【図6】図6は、上面側筐体における方向キー及び中央キーの配置部分を拡大した図である。
【図7】図7は、中央キーのスライド操作を説明するための図である。
【図8】図8は、本実施形態に係るリモコン装置のハードウェア構成を模式的に示す図である。
【図9】図9は、本実施形態に係るリモコン装置のキー種別とイベント種別との対応関係を示す図である。
【図10】図10は、中央キーの押下操作に設定されるイベント種別の状態遷移の一例を示す図である。
【図11】図11は、図10に示した状態遷移の一例を示すタイミングチャートである。
【図12】図12は、イベントコード受信時の放送受信装置の動作例を説明するための図である。
【図13】図13は、イベントコード受信時の放送受信装置の動作例を説明するための図である。
【図14】図14は、イベントコード受信時の放送受信装置の動作例を説明するための図である。
【図15】図15は、イベントコード受信時の放送受信装置の動作例を説明するための図である。
【図16】図16は、イベントコード受信時の放送受信装置の動作例を説明するための図である。
【図17】図17は、イベント種別を提示可能なインジケータが設けられたリモコン装置の例を示す図である。
【図18】図18は、中央キーの押下操作に設定されるイベント種別の状態遷移の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、本実施形態に係る表示システムの構成を概略的に示す図である。同図に示すように、表示システム100は、放送受信装置10及びリモコン装置20を有している。
【0010】
放送受信装置10は、テレビ受像器やビデオ機器、DVD機器、セットトップボックス等の電子機器であって、受信部11、受信制御部12、マイクロプロセッサ13、メモリ14、映像処理部15及び表示装置16等を備えている。
【0011】
受信部11は、リモコン装置20から送出される信号(後述するイベントコード等)を受信することが可能な受信装置である。受信部11が受信する信号の方式は、リモコン装置20の仕様に準じるものとし、例えば、赤外線やBluetooth(登録商標)等の無線通信によるものを用いることができる。受信制御部12は、受信部11を制御し、当該受信部11で受信された信号を、マイクロプロセッサ13に通知する。
【0012】
マイクロプロセッサ13は、メモリ14に記憶された各種プログラムや各種設定情報と協働し、放送受信装置10の各部の動作を統括的に制御する。
【0013】
具体的に、マイクロプロセッサ13は、映像処理部15を制御することで、図示しないチューナ装置で受信された映像信号(例えば、地上アナログ放送波やBS、CS、地上デジタル放送波)や、図示しない入力インタフェースを介して入力された映像信号を、表示装置16に表示させる。また、マイクロプロセッサ13は、映像処理部15を制御することで、各種のGUI(グラフィカルユーザインタフェース)を表示装置16に表示させる。
【0014】
また、マイクロプロセッサ13は、受信制御部12から通知される信号内容に応じて、フォーカスやポインタ等のOSD(On Screen Display)表示を映像処理部15に指示する。具体的に、マイクロプロセッサ13は、リモコン装置20から送信される後述するイベントコードのイベント種別に基づき、リモコン装置20の中央キー213(図2〜7参照)の押下操作に設定されているイベント種別を判別する。そして、マイクロプロセッサ13は、判別したイベント種別を表す画像(OSD)を表示装置16に表示させる(図12〜図16参照)。
【0015】
メモリ14は、不揮発性の記憶媒体であって、マイクロプロセッサ13が実行する各種のプログラムや設定情報を記憶している。
【0016】
映像処理部15は、マイクロプロセッサ13の制御の下、表示装置16に表示する映像(画像)を制御する機能部である。具体的に、映像処理部15は、映像信号に対し所定の信号処理を施し表示装置16に出力することで、表示装置16に映像を表示させる。また、映像処理部15は、マイクロプロセッサ13からの指示に応じて、フォーカスやカーソル等のOSD信号を映像信号に重畳して表示装置16に出力することで、表示装置16に表示させる。
【0017】
表示装置16は、液晶ディスプレイ等の表示デバイスを有し、映像処理部15から出力された映像信号に対応する映像を表示する。なお、表示装置16は、放送受信装置10に内蔵される形態としてもよいし、外部装置として放送受信装置10に外付けされる形態としてもよい。
【0018】
一方、リモコン装置20は、放送受信装置10を遠隔操作するためのリモコン装置であって、ユーザの操作に応じた各種の信号(後述するイベントコード等)を放送受信装置10に送出する。以下、図2〜図6を参照し、リモコン装置20の基本構造について説明する。
【0019】
図2は、閉状態におけるリモコン装置20の上面図である。図3は、図2に示したリモコン装置20のA−Aラインでの断面を模式的に示す図である。図4は、開状態におけるリモコン装置20の上面図である。図5は、図4に示したリモコン装置20のB−Bラインでの断面を模式的に示す図である。
【0020】
図2〜図5に示すように、リモコン装置20は、略直方形状を有した第1筐体としての上面側筐体21と、略直方形状を有した第2筐体としての底面側筐体22と、上面側筐体21と底面側筐体22とを回動軸AXを中心に相対回動可能に連結する回動連結部23とを備えている。ここで、上面側筐体21と底面側筐体22とは、回動連結部23の回動軸AX方向(Z軸方向)から見て略同一の外縁を有している。
【0021】
上面側筐体21の上面となる操作面上には、操作キー群211と、第1キーとしての方向キー212と、第2キー及び第3キーとしての中央キー213とが配置されている。ここで、操作キー群211は、例えば、チャンネル選択や音量コントロール等、リモート操作先の機器(以下、操作機器という)が有する主要な機能を作動させるためのものである。また、方向キー212は、操作機器の表示画面上に表示されるフォーカスを移動させるためのものである。また、中央キー213は、表示装置16の画面上に表示されたポインタを移動させるポインティングバイスとしての機能を有するとともに、各種の決定動作を行うための機能を有している。
【0022】
ここで、図6は、上面側筐体21に配置された方向キー212及び中央キー213部分の拡大図である。同図に示すように、方向キー212は、平面状で且つ環状に成形されており、4方向に割り振られている。本実施形態のリモコン装置20での分割は、上キー212U、下キー212D、左キー212L、右キー212Rの4方向である。これらの4方向を指定することにより、操作機器の表示画面上に表示されるフォーカスを移動できるようになっている。ここで、フォーカスの移動とは、表示装置16の表示画面に表示されている所定の選択項目(オブジェクト)にフォーカスを移動させることを意味する。なお、フォーカスは、選択項目にのみ移動可能に構成されているものとする。
【0023】
中央キー213は、方向キー212の環状部分中央に配置されている。ここで、中央キー213は、上述したように、ポインティングデバイスとしての機能を有している。具体的に、中央キー213は、図7に示すように、X及びY軸方向にスライド可能なポインティング・スティックとして構成されており、ユーザにより何れかの方向にスライド操作されることで、操作機器の表示画面上に表示されたポインタを移動できるようになっている。なお、図7において、破線部は無操作状態での中央キー213の位置を意味し、実線部はスライド操作後の中央キー213の位置を意味している。また、スライド量SVは、無操作状態での中央キー213の中心Cの位置から、スライド後の中央キー213の中心C位置までの変位量(X成分及びY成分)を表している。
【0024】
また、中央キー213は、垂直方向(Z軸方向)に押下可能に構成されており、ユーザによりこの中央キー213が押下されることで、各種の決定動作を指示することが可能となっている。具体的に、中央キー213が押下されると、マイクロプロセッサ13の制御により、フォーカス位置での決定動作又はポインタ位置での選択動作を指示するよう構成されている。
【0025】
ここで、「フォーカス位置での決定動作」とは、フォーカスが位置する選択項目に対し、その選択項目に対応付けられた所定の機能や処理の実行を指示すること意味しており、キーボード(入力キー群221)でのENTERキー押下に相当するものである。なお、「フォーカス位置での決定動作」は、ENTERキーの押下に相当するため、文字入力の際の決定動作(例えば、文字の変換や改行等)にも用いることが可能である。また、「ポインタ位置での選択動作」とは、ポインタ位置が存在する領域(選択項目とは限らない)を選択することを意味し、マウスでのシングルクリック動作に相当するものである。
【0026】
このように、本実施形態のリモコン装置20では、ポインタを操作するポインティングデバイスとしての機能と、フォーカス位置での決定動作又はポインタ位置での選択動作を指示することが可能な機能とを、中央キー213により実現している。
【0027】
また、上面側筐体21には、図3及び図5に示すように、操作キー群211、方向キー212及び中央キー213を保持するキー保持部21aと、基準電位パターンやバックライト(図示せず)等を備える回路基板21bとが収容配置されている。なお、上面側筐体21において行われたキー操作の操作内容は、回動連結部23を介して底面側筐体22のマイクロプロセッサ223(図8参照)に出力されるものとする。
【0028】
一方、底面側筐体22の上面となる操作面上、つまり上面側筐体21の底面と対向する面上には、ENTERキーを含んだ文字入力のための入力キー群221が配置されている。入力キー群221の入力キーをユーザが押下することによって、押下された入力キーに対応する数字や文字を表す信号(キーコード)が操作機器に送信される。
【0029】
また、図3に示すように、底面側筐体22の前面(図3で上側)には、赤外線LEDやBluetooth(登録商標)通信部等を有した送信部222が設けられている。ユーザが上面側筐体21又は底面側筐体22で行った操作内容は、後述するイベントコードとして送信部222から操作機器に送信されるよう構成されている。さらに、底面側筐体22には、図3及び図5に示すように、操作面上に配置された入力キー群221を保持するキー保持部22aと、基準電位パターン(図示せず)や後述するマイクロプロセッサ223(図8参照)等を備える回路基板22b、電源としての電池(図示せず)とが収容配置されている。
【0030】
回動連結部23は、回動軸AXを中心に上面側筐体21と底面側筐体22とを互いに回動可能に連結する。ここで回動連結部23の回動軸AXは、上面側筐体21及び底面側筐体22において、長手方向及び短手方向の中央に位置している。
【0031】
回動連結部23は、図2及び図3に示すように、リモコン装置20の閉状態において、上面側筐体21及び底面側筐体22の外縁が重なる位置に上面側筐体21及び底面側筐体22を保持する。そして、底面側筐体22が図4の矢印Rの方向に回動され開状態となると、回動連結部23は、回動軸AX方向(Z軸方向)から見て、上面側筐体21と底面側筐体22との成す角が略直角となる配置まで回動し、入力キー群221を露出する(図4参照)。このように、リモコン装置20では、入力キー群221を操作しない閉状態において、当該入力キー群221を上面側筐体21に重ねて収容することができるため、リモコン装置20の全体としてはコンパクトに構成することができる。
【0032】
次に、図8を参照して、リモコン装置20のハードウェア構成について説明する。ここで、図8は、リモコン装置20のハードウェア構成を模式的に示す図である。リモコン装置20は、上述したように上面側筐体21に、操作キー群211、方向キー212及び中央キー213を備えている。また、リモコン装置20は、底面側筐体22に、上述した入力キー群221及び送信部222に加え、マイクロプロセッサ223を備えている。そして、操作キー群211、方向キー212、中央キー213、入力キー群221及び送信部222の各部は、図示しないコネクタ等を介しマイクロプロセッサ223に接続されている。
【0033】
マイクロプロセッサ223は、リモコン装置20の制御動作を司る制御部であって、ユーザがリモコン装置20に対して行った各種キーの操作内容を受け付け、この操作内容に応じたイベントコード(図9参照)を、送信部222を用いてリモコン装置20に送出する。なお、マイクロプロセッサ223は、RTC(Real Time Clock)等の計時部と協働することで、経過時間を計測する機能を有しているものとする。
【0034】
図9は、リモコン装置20のキー種別と、そのイベント種別及びイベントコードとの対応関係を示す図である。なお、図9に示すキー種別、イベント種別及びイベントコードの関係は、テーブル等形式でマイクロプロセッサ223が参照可能な記憶領域(図示せず)に予め記憶されているものとする。
【0035】
同図において、キー種別「上キー」、「下キー」、「左キー」、「右キー」は、方向キー212での上キー212U、下キー212D、左キー212L、右キー212R(図6参照)のそれぞれ対応している。また、方向キー212の押下操作に設定されるイベント種別は「KEY_EVENT」である。そして、方向キー212が実際に押下されると、このイベント種別「KEY_EVENT」に、押下された方向を表す情報を付加したイベントコードが送出される。例えば、上キー212Uが押下された場合には、イベントコード「KEY_EVENT(UP_KEY)」が放送受信装置10に送出される。
【0036】
キー種別「フリーカーソル」は、中央キー213のスライド操作に対応する項目である。また、中央キー213のスライド操作に設定されるイベント種別は「MOUSE_EVENT」である。そして、中央キー213のスライド操作が実際に行われると、このイベント種別「MOUSE_EVENT」に、スライド量(X成分及びY成分)を付加したイベントコード「MOUSE_EVENT(MOVE(x、y))」が送出される。
【0037】
キー種別「中央キー」は、中央キー213の押下操作に対応する項目である。中央キー213の押下操作に設定されるイベント種別は、「KEY_EVENT」と「MOUSE_EVENT」との二つが存在する。ここで、イベント種別「KEY_EVENT」は、中央キー213の押下操作がフォーカス位置での決定動作を意味する場合に設定されるものである。この場合、中央キー213の押下操作が実際に行われると、このイベント種別「KEY_EVENT」に、フォーカス位置での決定動作を表す情報を付加したイベントコード「KEY_EVENT(ENTER_KEY)」が送出される。
【0038】
また、イベント種別「MOUSE_EVENT」は、中央キー213の押下操作がポインタ位置でのクリック操作を意味する場合に設定されるものである。この場合、中央キー213の押下操作が実際に行われると、このイベント種別「MOUSE_EVENT」に、ポインタ位置でのクリック操作を表す情報を付加したイベントコード「MOUSE_EVENT(CLICK)」が送出される。
【0039】
キー種別「他のキー」は、方向キー212及び中央キー213以外の他のキー(操作キー群211、入力キー群221)の押下操作に対応する項目である。他のキーの押下操作に設定されるイベント種別は「KEY_EVENT」である。そして、他のキーの押下操作が実際に行われると、このイベント種別「KEY_EVENT」に、押下されたキーを表す情報を付加したイベントコード「KEY_EVENT(KEYCODE)」が送出される。
【0040】
マイクロプロセッサ223は、図9に示した関係に基づき、リモコン装置20での操作に応じたイベントコードを、送信部222を介して放送受信装置10に送信する。また、マイクロプロセッサ223は、直前に行われた操作内容に基づき、中央キー213の押下操作に設定するイベント種別を切り替える。
【0041】
ここで、図10を参照して、中央キー213の押下操作に設定するイベント種別の切り替え動作について説明する。
【0042】
図10は、中央キー213の押下操作に設定されるイベント種別の状態遷移を示す図である。なお、図10に示す状態遷移を実現するための設定情報は、マイクロプロセッサ223が参照可能な記憶領域(図示せず)に予め記憶されているものとする。
【0043】
リモコン装置20(又は放送受信装置10)の電源オン直後の初期状態において(状態S11)、マイクロプロセッサ223は、中央キー213の押下操作のイベント種別を「KEY_EVENT」に設定する(エッジE11→状態S12)。この状態S12のときに中央キー213が押下されると、マイクロプロセッサ223は、イベントコード「KEY_EVENT(ENTER_KEY)」を放送受信装置10に送出する。
【0044】
また、状態S12のときに中央キー213のスライド操作が行われると、マイクロプロセッサ223は、スライド操作に応じたイベントコード「MOUSE_EVENT(MOVE(x、y))」を放送受信装置10に送出する(エッジE12)。これにより、表示装置16に表示されているポインタが移動することになるが、この場合、引き続きイベント種別「MOUSE_EVENT」での決定動作、即ち、ポインタ位置での選択動作が行われる可能性が高い。そのため、マイクロプロセッサ223は、直前の操作内容(エッジE12)に応じて、中央キー213の押下操作のイベント種別を「MOUSE_EVENT」に設定する(状態S13)。
【0045】
また、状態S13において、中央キー213のスライド操作が更に行われた場合には、そのスライド操作に応じたイベントコード「MOUSE_EVENT(MOVE(x、y))」を放送受信装置10に送出し(エッジE13)、状態S13に再び戻る。なお、状態S13のときに中央キー213が押下された場合には、マイクロプロセッサ223は、イベントコード「MOUSE_EVENT(CLICK)」を放送受信装置10に送出する。
【0046】
また、マイクロプロセッサ223は、状態S13においてリモコン装置20の無操作時間を計測し、所定の第1時間(例えば、4.5秒)が経過すると(エッジE14)、中央キー213に対する操作を所定の第2時間(例えば、0.5秒)無効化する(状態S14)。そして、第2時間が経過すると(エッジE15)、状態S12に再び戻り、中央キー213の押下操作のイベント種別を「KEY_EVENT」に設定する。なお、エッジE15の処理の際には、「KEY_EVENT」から「MOUSE_EVENT」への切り替えを通知するコード(例えば、KEY_EVENT(NULL))を、放送受信装置10に送出するものとする。
【0047】
このように、中央キー213の操作を無効化する第2時間を設けることで、「KEY_EVENT」から「MOUSE_EVENT」への切り替わり時に中央キー213が操作された際の、誤操作(誤動作)の発生を防止することができるため、リモコン装置20の操作性をより向上させることができる。なお、中央キー213の操作を無効化する第2時間は、無操作時間の閾値となる第1時間より小なること(0≦第2時間<第1時間)が好ましい。また、無操作時間の計測を行わず、状態S13を維持する形態としてもよい。
【0048】
また、状態S13において操作キー群211や方向キー212或いは入力キー群221(以下、総称してリモコンキーという)の操作が行われると、マイクロプロセッサ223は、操作されたキーに応じたイベントコード「KEY_EVENT(ETC)」を放送受信装置10に送出する(エッジE16)。なお、“ETC”は、操作されたキーのキーコード(例えば、上キー212Uの場合には“UP_KEY”)を意味する。
【0049】
これにより、操作されたキーに応じた表示変化が表示装置16に表されることになるが、この場合、引き続きイベント種別「KEY_EVENT」での決定動作、つまりカーソル位置や文字入力での決定動作が行われる可能性が高い。そのため、マイクロプロセッサ223は、直前の操作内容(エッジE16)に応じて、中央キー213の押下操作のイベント種別を「KEY_EVENT」に設定するとともに、中央キー213のスライド操作時の不感エリアを拡大する(状態S15)。
【0050】
ここで、不感エリアの拡大とは、中央キー213のスライド量が所定値以上となるまで、その操作を受け付けないことを意味する。このように、スライド操作時の不感エリアを拡大することで、中央キー213の押下時にスライド操作が誤って行われたような場合に、このスライド操作により他の状態に遷移してしまうこと(後述するエッジE17)を防止することができるため、リモコン装置20の操作性をより向上させることができる。なお、状態S15において、中央キー213のスライド操作自体を無効化する形態としてもよい。
【0051】
状態S15において、中央キー213のスライド操作が不感エリアを越えて行われると、マイクロプロセッサ223は、そのスライド操作に応じたイベントコード「MOUSE_EVENT(MOVE(x、y))」を放送受信装置10に送出する(エッジE17)。そして、マイクロプロセッサ223は、エッジE12の場合と同様、直前の操作内容(エッジE17)に応じて、中央キー213の押下操作のイベント種別を「MOUSE_EVENT」に設定する(状態S13)。
【0052】
また、マイクロプロセッサ223は、状態S15においてリモコン装置20の無操作時間を計測し、所定の第3時間(例えば1秒)が経過すると(エッジE18)、状態S12に再び戻り、不感エリアの設定を解除する。
【0053】
この状態S12において、リモコンキーの操作が行われると、マイクロプロセッサ223は、操作されたキーに応じたイベントコード「KEY_EVENT(ETC)」を放送受信装置10に送出する(エッジE19)。そして、マイクロプロセッサ223は、直前の操作内容(エッジE19)に応じて状態S15に遷移し、中央キー213のスライド操作時の不感エリアを拡大する。
【0054】
図11は、図10に示した状態遷移の一例を示すタイミングチャートである。図11において、状態S12〜S15の各期間は、図10に示した状態S12〜S15の夫々に対応している。また、図中矢印方向に時間経過している。
【0055】
まず、最初の状態S12の期間において、リモコンキー(操作キー群211、方向キー212及び入力キー群221)の押下操作及び中央キー213のスライド操作(ポインタ移動)が有効化される。また、中央キー213の押下操作のイベント種別は、「KEY_EVENT」に設定される。なお、リモコンキーの押下操作は常に有効化されるため、以下では説明を省略する。
【0056】
リモコンキーの押下(Op1)により状態S15に遷移すると、中央キー213の不感エリア拡大又はスライド操作の無効化により、中央キー213のスライド操作が部分的又は全体的に無効化される。そして、リモコンキーの押下後、無操作時間が第3時間を経過すると(図中T3)、状態S12に再び戻ることで中央キー213のスライド操作が再び有効化される。なお、この間、中央キー213の押下時のイベント種別は「KEY_EVENT」のまま維持される。
【0057】
続いて、中央キー213のスライド操作(Op2)により状態S13に遷移すると、中央キー213の押下操作のイベント種別は「MOUSE_EVENT」に切り替えられる。そして、スライド操作後、無操作時間が第1時間+第2時間を経過すると(図中T1+T2)、状態S12に再び戻ることで中央キー213の押下時のイベント種別が「KEY_EVENT」に切り替えられる。なお、第2時間を0以外とした場合には、状態S14に移行し、中央キー213の操作が第2時間の間無効化される(図中T2参照)。
【0058】
このように、本実施形態のリモコン装置20によれば、直前に行われた操作内容に応じて、中央キー213の押下操作に設定するイベント種別を切り替えることで、フォーカス操作やカーソル操作を効率的に行うことが可能となるため、リモコン装置20の操作性を向上させることができる。
【0059】
次に、リモコン装置20からイベントコードを受信した際の放送受信装置10の動作について説明する。図12、図13は、イベントコード受信時の放送受信装置10の動作例を説明するための図であり、表示装置16に表示された画面の一例を示している。この画面中において「MenuA」〜「MenuI」はフォーカスF1の選択項目となるオブジェクト群であり、方向キー212の操作により何れかの選択項目にフォーカスF1を移動させることが可能となっている。なお、図12、図13では、「MenuB」にフォーカスF1が合わせられた例を示している。
【0060】
マイクロプロセッサ13は、リモコン装置20から受信したイベントコードに含まれるイベント種別に基づき、リモコン装置20の中央キー213の押下操作に設定されているイベント種別を判別する。ここで、イベント種別「KEY_EVENT」が設定されていると判別した場合、マイクロプロセッサ13は、図12に示すように、フォーカスF1のみを表示させることで、中央キー213の押下操作にイベント種別「KEY_EVENT」が設定されていることをユーザに提示する。また、イベント種別「MOUSE_EVENT」が設定されていると判別した場合、マイクロプロセッサ13は、図13に示すように、ポインタP1を表示させることで、中央キー213の押下操作にイベント種別「MOUSE_EVENT」が設定されていることをユーザに提示する。
【0061】
このように、放送受信装置10は、リモコン装置20から送出されるイベント種別に応じて、表示装置16に表示する画面を変更することで、中央キー213の押下操作に設定されたイベント種別をユーザに提示する。これにより、リモコン装置20を操作するユーザに対し、中央キー213の押下によりフォーカス位置での決定動作が行われるのか、ポインタ位置でのクリック操作が行われるのかを把握させることが可能となる。
【0062】
なお、イベント種別の提示方法は、図12及び図13の例に限らず、他の提示方法を採用する形態としてもよい。例えば、イベント種別「KEY_EVENT」が設定されていると判別した場合には、図14に示すように、図13に示したポインタP1よりも小さなポインタP2を表示する形態としてもよい。この提示方法の場合、ポインタの大小関係により、中央キー213の押下操作に設定されているイベント種別をユーザに提示することができる。
【0063】
また、中央キー213の押下操作に設定されたイベント種別や、中央キー213の押下操作の機能的な意味を画面内に直接表示する形態としてもよい。例えば、イベント種別「KEY_EVENT」が設定されていると判別した場合には、図15の領域A11に示すように、中央キー213の押下操作の機能的な意味として「Enter Key」と表示する形態としてもよい。また、イベント種別「MOUSE_EVENT」が設定されていると判別した場合には図16の領域A12に示すように、中央キー213の押下操作の機能的な意味として「Pointer Click」と表示する形態としてもよい。
【0064】
なお、図17に示すように、リモコン装置20自体に、中央キー213の押下操作に設定されているイベント種別を提示可能なインジケータ214が設けられている場合には、このインジケータ214を用いて、中央キー213の押下操作に設定されているイベント種別をリモコン装置20側で提示する形態としてもよい。また、中央キー213に対しバックライトが個別に設けられている場合には、このバックライトの光色をイベント種別に応じて変化させることで、このイベント種別をユーザに提示する形態としてもよい。
【0065】
以上、本発明の実施形態を説明したが、上記実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、追加等を行うことができる。また、上記実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0066】
例えば、上記実施形態では、ポインタを操作するポインティングデバイスとしての機能と、フォーカス位置での決定動作又はポインタ位置での選択動作を指示することが可能な機能とを、単一の中央キー213により実現する形態としたが、これに限らず、各機能に特化した操作キーを個別に設ける形態としてもよい。
【0067】
また、上記実施形態では、図2〜図5に示す2段構成のリモコン装置20を用いることとしたが、これに限らず、例えば、上面側筐体21の操作キーのみを備えたストレート型のリモコン装置を用いる形態としてもよい。なお、本実施形態の構成のリモコン装置20を用いる場合には、リモコン装置20の開閉状態を検出可能な検出部(図示せず)を別途設けることで、リモコン装置20の開閉状態に応じて、中央キー213の押下操作に設定するイベント種別を切り替える形態としてもよい。以下、図18を参照して、この形態での切り替え動作の例について説明する。
【0068】
ここで、図18は、中央キー213の押下操作に設定されるイベント種別の状態遷移の他の例を示す図である。なお、同図では、リモコン装置20の閉状態のときに中央キー213の押下操作をENTERキーとして用いることを想定している。また、リモコン装置20の開状態のときには、中央キー213の押下操作をCLICKキーとして用いるとともに、入力キー群221に含まれたENTERキーを用いる形態を想定している。
【0069】
まず、リモコン装置20の閉状態において、マイクロプロセッサ223は、中央キー213の押下操作のイベント種別を「KEY_EVENT」に設定する(状態S21)。この状態S21のとき、リモコン装置20が開状態にされると(エッジE21)、マイクロプロセッサ223は、この操作内容に応じて、中央キー213の押下操作のイベント種別を「MOUSE_EVENT」に設定する(状態S22)。また、状態S22のとき、リモコン装置20が閉状態にされると(エッジE22)、マイクロプロセッサ223は、この操作内容に応じて、中央キー213の押下操作のイベント種別を「KEY_EVENT」に設定する(状態S21)。
【0070】
このように、リモコン装置20の開閉状態に応じて、中央キー213の押下操作に割り当てるイベント種別を切り替えることで、フォーカス操作やカーソル操作を効率的に行うことが可能となるため、リモコン装置20の操作性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0071】
100 表示システム
10 放送受信装置
11 受信部
12 受信制御部
13 マイクロプロセッサ
14 メモリ
15 映像処理部
16 表示装置
20 リモコン装置
21 上面側筐体
211 操作キー群
212 方向キー
213 中央キー
214 インジケータ
22 底面側筐体
221 入力キー群
222 送信部
223 マイクロプロセッサ
23 回動連結部
AX 回動軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示画面上に表示されたフォーカスを移動させるための第1キーと、前記表示画面上に表示されたポインタを移動させるための第2キーと、フォーカス位置での決定動作又はポインタ位置での選択動作を指示するための第3キーと、を備えたリモコン装置の制御方法であって、
前記リモコン装置に対する操作を受け付ける受付工程と、
前記受付工程で受け付けた直前の操作内容に応じて、前記第3キーが指示する動作内容を切り替える切替工程と、
を含むリモコン装置の制御方法。
【請求項2】
前記切替工程では、前記受付工程で受け付けた直前の操作内容が前記フォーカスの移動であった場合に、前記第3キーが指示される動作内容をフォーカス位置での決定動作に設定し、前記受付工程が受け付けた直前の操作内容が前記ポインタの移動であった場合に、前記第3キーが指示される動作内容をポインタ位置での選択動作に設定する請求項1に記載のリモコン装置の制御方法。
【請求項3】
前記リモコン装置は、前記第1キー、前記第2キー及び前記第3キー以外の他のキーを更に備え、
前記切替工程では、前記受付工程が受け付けた直前の操作内容が前記他のキーに係るものであった場合に、前記第3キーが指示する動作内容をフォーカス位置での決定動作に設定する請求項1又は2に記載のリモコン装置の制御方法。
【請求項4】
前記切替工程で前記第3キーに設定された動作内容を提示する提示工程を更に含む請求項1〜3の何れか一項に記載のリモコン装置の制御方法。
【請求項5】
前記第2キー及び前記第3キーの機能が、同一の操作キーにより実現されていることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載のリモコン装置の制御方法。
【請求項6】
前記第1キーは、所定の方向成分に割り振られた環状の方向キーにより成形され、
前記操作キーは、前記方向キーの環状構造の中央部に配置されていることを特徴とする請求項5に記載のリモコン装置の制御方法。
【請求項7】
前記リモコン装置は、
前記第1キー、前記第2キー及び前記第3キーを上面に配置した略長方形状の第1筐体と、
文字入力に係る入力キーを上面に配置した略長方形状の第2筐体と、
前記第2筐体の上面に前記第1筐体の底面を重ね、前記第1筐体及び前記第2筐体をその中心位置で相対回動可能に連結する連結部と、
を備え、
前記連結部は、前記入力キーの操作時において、前記第1筐体の長辺方向と前記第2筐体の長辺方向との成す角が略直角となる配置まで回動し、前記入力キーを露出する請求項1〜6の何れか一項に記載のリモコン装置の制御方法。
【請求項8】
前記第1筐体及び前記第2筐体の開閉状態を検出する検出工程を更に含み、
前記切替工程では、前記検出工程で検出された前記第1筐体及び前記第2筐体の開閉状態に応じて、前記第3キーが指示する動作内容を切り替える請求項7に記載のリモコン装置の制御方法。
【請求項9】
表示画面上に表示されたフォーカスを移動させるための第1キーと、
前記表示画面上に表示されたポインタを移動させるための第2キーと、
フォーカス位置での決定動作又はポインタ位置での選択動作を指示するための第3キーと、
前記第1キー、前記第2キー及び前記第3キーに対する操作を受け付ける受付手段と、
前記受付手段が受け付けた直前の操作内容に応じて、前記第3キーが指示する動作内容を切り替える切替手段と、
を備えたことを特徴とするリモコン装置。
【請求項10】
表示画面上に所定の画像を表示する表示装置を備えた電子機器と、前記電子機器の遠隔操作を行うリモコン装置と、を有した表示システムであって、
前記リモコン装置は、
前記表示画面上に表示されたフォーカスを移動させるための第1キーと、
前記表示画面上に表示されたポインタを移動させるための第2キーと、
フォーカス位置での決定動作又はポインタ位置での選択動作を指示するための第3キーと、
前記第1キー、前記第2キー及び前記第3キーに対する操作を受け付ける受付手段と、前記受付手段が受け付けた直前の操作内容に応じて、前記第3キーが指示する動作内容を切り替える切替手段と、を備えたことを特徴とする表示システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−134879(P2012−134879A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−286619(P2010−286619)
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】