説明

リモコン装置

【課題】光学式ポインティングデバイスを備えてマウスとしても使用することができるリモコン装置において、リモコンとしての使用時に照明光が誤って装置外へ照射されることを防止する。
【解決手段】リモコン装置1は、リモコン用の操作キー3と、移動面12の画像を読み取って電子機器へ移動情報を送る光学式ポインティングデバイス14と、移動面12に向いた照明光16aの進路を遮蔽することができる開閉自在な蓋体5と、蓋体5の開閉に連動してオン/オフするスイッチ9と、スイッチ9のオン/オフに応じて電源15と光学式ポインティングデバイス14との接続を開閉するマイクロプロセッサ13と、を備える。ユーザがリモコンとして使用するために蓋体5を閉じることによって照明光16aの進路が遮蔽されると共に光学式ポインティングデバイス14の電源供給自体がオフされるので、照明光16aがリモコン装置1の外方に向けて照射されることがない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学式ポインティングデバイスを備えるリモコン装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、光学式ポインティングデバイスを備え、操作対象の電子機器へ移動情報を送信してマウスとしても使用することができるリモコン装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1に記載のリモコン装置は、筐体の一方の面にテンキー等の操作ボタンと光学式ポインティングデバイスとを備え、他方の面に左右のクリックボタン等のマウス操作部を備えている。そして、リモコン装置の姿勢に応じてリモコンモードとマウスモードとを自動的に切替える姿勢センサを備え、ユーザは、特別なモードの切替え操作を要することなく、装置の姿勢を反転するだけでリモコンとマウスとの両方に使い分けて使用することができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4040935号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、光学式ポインティングデバイスの照明光としては一般的に微弱な出力のレーザ光が用いられ、照明光がユーザの目に直接入射しても障害を生じないようになっているが、照明光は可能な限りユーザの目に入射しないことが望ましい。この点に着目して上記特許文献1のリモコン装置を評価すると、このリモコン装置では、ユーザがリモコンとして使用するためにはテーブル面上から持ち上げて装置の姿勢を反転させなければならない。このときにモードの切替えが間に合わずに照明光を照射する状態で光学式ポインティングデバイスが上向きになる可能性がある。
【0005】
また、上記特許文献1の第2の実施形態においては、リモコンモードのときに上向きになった光学式ポインティングデバイス上でユーザが指先を移動させて十字キーと同様の信号入力ができるようにするために、リモコンモードのときにも照明光が継続して照射されるようになっており、照明光がユーザの目に入射する可能性がある。
【0006】
そこで、本発明は、上記課題を解決するものであり、光学式ポインティングデバイスを備えてマウスとしても使用することができるリモコン装置において、マウスモードからリモコンモードへ切替える操作が簡単であり、しかもその操作によって照明光が装置外へ照射されることを確実に防止することができて、ユーザの目の安全を十分に図ることができるリモコン装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、ユーザが電子機器を操作するための操作キーと、ユーザにより移動されるときに移動面の画像を読み取って、読み取った画像に基き前記電子機器に移動情報を送る光学式ポインティングデバイスと、を備えるリモコン装置において、前記光学式ポインティングデバイスが前記移動面に向けて発する照明光の進路を遮蔽することができる開閉自在な蓋体と、前記蓋体の開閉に連動してオン/オフし、該蓋体が前記照明光の進路を遮蔽するときに前記光学式ポインティングデバイスへの電源供給をオフするスイッチと、を備えることを特徴とする。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記蓋体が本リモコン装置の筐体の表面に沿ってスライド移動する板状体であることを特徴とする。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2の発明において、前記スイッチがオンで前記光学式ポインティングデバイスに電源が供給されているときに、ユーザが前記操作キーを操作することにより前記電子機器に対して移動情報を確定させる信号を送信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によれば、ユーザが蓋体を閉じることにより照明光の進路が遮蔽されると共に光学式ポインティングデバイスの電源供給がオフされるので、簡単な操作でリモコンとしての使用時に光学式ポインティングデバイスの照明光が本リモコン装置の外方に向けて照射されることを確実に防止でき、ユーザの目の安全を十分に図ることができる。
【0011】
請求項2の発明によれば、蓋体が本リモコン装置の筐体の表面に沿ってスライド移動する板状体であるので、ユーザの開閉操作が簡単である。
【0012】
請求項3の発明によれば、マウスとしての使用時に、ユーザが操作キーを操作することにより電子機器に対して移動情報を確定させる信号が送信されるので操作が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】(a)は本発明の一実施形態に係るリモコン装置の操作キーを備える面を上向きにしたときの斜視図、(b)は同リモコン装置の光学式ポインティングデバイスからの照明光の出射口を上向きにしたときの斜視図。
【図2】同リモコン装置の内部構造を示すブロック図。
【図3】同リモコン装置を用いて操作する映像システムの概略図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態に係るリモコン装置について、図1乃至図3を参照して説明する。本実施形態のリモコン装置1は、図1(a)に示されるように、直方形の筐体2の上面2aにユーザが電子機器を操作するための各種操作キー3を備え、図1(b)に示されるように、下面2bにテーブル等の移動面に向けて照射される照明光の出射口4と、照明光の進路を遮蔽することができる開閉自在な蓋体5とを備える。また、筐体2の端面2cには電子機器に赤外線を送信するLEDランプ6を備える。操作キー3は、電源キー31、テンキー32、十字キー33、決定キー34、及びメニュー表示、入力切替え等の個別操作をするための機能キー35から構成される。なお、本リモコン装置1は、リモコンとして及びマウスとしての使用時の両方を通じて、操作キー3が上方に向いた図1(a)に示される姿勢で使用される。
【0015】
蓋体5は、一面側に2本の突リブ7が形成された板状体であり、該突リブ7が筐体2の下面2bに開けられたスリット8に挿入されることにより筐体2の下面2bに沿ってスライド移動するようになっている。蓋体5が図1(b)の実線で示された閉位置にあるときには照明光の出射口4が遮蔽され、二点鎖線で示された開位置にあるときには照明光の出射口4が外方に向けて開放される。蓋体5の一端部にはユーザが開閉操作のときに指先を係合させることができる小さな凹部5aが形成されている。また、筐体2の内部には、蓋体5が開位置に移動されたときに一方の突リブ7の端面7aが当接するスイッチ9が備えられる。このスイッチ9の機能については、後に詳述する。なお、筐体2の下面2bの隅部には蓋体5の厚みt1よりも僅かに大きな厚みt2を持った摺動片11が備えられ、本リモコン装置1を筐体2の下面2bが下方向きになるようにして移動面に載置したときに蓋体5の表面が直接移動面に接触しないようになっている。
【0016】
筐体2の内部には、図2に示されるように、移動面12の画像を読み取って移動情報としてマイクロプロセッサ13に送信する光学式ポインティングデバイス14と、マイクロプロセッサ13と光学式ポインティングデバイス14の共通の電源15と、が備えられる。電源15は電池から構成される。光学式ポインティングデバイス14は、出射口4を通して移動面12に照明光16aを照射するレーザ光源16と、移動面12から反射される光を集光するレンズ17と、移動面12の画像を撮像するCCD等のイメージセンサ18と、を備え、イメージセンサ18が撮像した画像の変化に基いて移動の量と方向を移動情報として検出し、その移動情報をマイクロプロセッサ13に送信する。
【0017】
マイクロプロセッサ13は、受信した移動情報に応じて所定のフォーマットの点滅信号になるようにLEDランプ6を駆動し、電子機器へ移動情報を送信する。また、マイクロプロセッサ13は、回路基板19を介して各操作キー3に接続され、ユーザが操作キー3を押下操作したときに、いずれの操作キー3が操作されたかを認識する。
【0018】
さらに、マイクロプロセッサ13は、スイッチ9に接続されて、スイッチ9がオンになったときに本リモコン装置1をマウスとして使用するマウスモードに切替え、スイッチ9がオフになったときにリモコンとして使用するリモコンモードに切替える。
【0019】
具体的には、マイクロプロセッサ13は、蓋体5がユーザにより開位置に移動されてスイッチ9がオンしたときに電源15と光学式ポインティングデバイス14との間の開閉スイッチ21をオンにして光学式ポインティングデバイス14に電源を供給し、レーザ光源16から照明光16aを出射させる。そして、光学式ポインティングデバイス14からの移動情報に基いてLEDランプ6を駆動して電子機器へ移動情報を送信する(マウスモード)。
【0020】
また、マイクロプロセッサ13は、蓋体5がユーザにより閉位置に移動されてスイッチ9がオフしたときに開閉スイッチ21をオフして光学式ポインティングデバイス14への電源供給をオフし、照明光16aが出射しないようにする。このとき、蓋体5が閉じられているので、万一電気的な故障により照明光16aが出射され続けても照明光16aが装置外へ出射されることが防止され、ユーザの目の安全が図られる。また、ユーザが操作した操作キー3に応じた操作情報を所定のフォーマットに変換してLEDランプ6を駆動し、電子機器へ操作情報を送信する(リモコンモード)。
【0021】
次に、本リモコン装置1を用いて映像システムを操作する場合の例について、図3を参照して説明する。映像システム22は、チューナを有して受信した番組をDVDへ録画することができる光ディスクレコーダ23(電子機器)と、該光ディスクレコーダ23に接続されたモニタ装置としてのテレビジョン受像機24(以下、TV受像機という)と、を備える。本リモコン装置1から送信された赤外線が光ディスクレコーダ23の受光部23aにより受光されて上記の移動情報と操作情報が光ディスクレコーダ23へ送信される。
【0022】
いま、ユーザが本リモコン装置1をリモコンとして使用して光ディスクレコーダ23を操作し、所定の番組をDVDへ録画した後、録画した番組にタイトルを文字入力する場合について説明する。ユーザは、蓋体5(図1(b)参照)を閉じたままでリモコン装置1の機能キー35(図1(a)参照)を操作してTV受像機24の画面24aに図3に示すような50音とカーソル25が表示された文字入力画面を表示させる。その上でユーザは蓋体5を開位置に移動させてリモコン装置1をマウスモードに切替え、リモコン装置1をテーブル等の移動面12上で移動させる。このときの移動情報が光ディスクレコーダ23により受信されて、光ディスクレコーダ23が受信した移動情報に基きTV受像機24に出力する文字入力画面上のカーソル25の位置を移動させる。カーソル25の移動方向と移動量はリモコン装置1の移動方向と移動量に応じて変化する。なお、ユーザが蓋体5を開位置へ移動させる操作は、リモコン装置1を持って図2に示される照明光16aの出射口4が下向きになった姿勢のままで行うことができる。
【0023】
そして、ユーザは、カーソル25を入力すべき文字位置に移動した後、操作キー3のうちいずれかのキーを押下操作する。これによってマイクロプロセッサ13は移動情報を確定させる信号をLEDランプ6を介して光ディスクレコーダ23へ送信する。例えば、いま、カーソル25が図3に示すように文字「す」の位置に移動され、ユーザがテンキー32のうち「1」を押下した場合に、最初の文字として「す」が入力される。同様の操作を繰り返して、所望のタイトルを文字入力する。カーソル25を移動した後に入力する文字を確定する操作が操作キー3のいずれのキーを操作することによっても行うことができるので、ユーザは操作の行い易いキーを操作すればよく、入力操作が容易である。例えば、右利きのユーザであれば、右手でリモコン装置1を移動させながら、入力文字を確定するときには、人差し指の指先位置にある適当な操作キー3を押下操作すればよい。
【0024】
以上のように、本リモコン装置1によれば、ユーザが蓋体5を閉位置に移動することにより照明光16aの進路が遮蔽されると共に、光学式ポインティングデバイス14の電源供給がオフされるので、リモコンとしての使用時に照明光16aが本リモコン装置1の外方に向けて誤って照射されることを確実に防止でき、ユーザの目の安全を十分に図ることができる。
【0025】
また、リモコンとして使用するときには光学式ポインティングデバイス14の電源供給自体がオフされるので省エネになり、電池からなる電源15の消耗を抑えることができる。さらに、リモコンとしての使用時には蓋体5が閉じられているので、光学式ポインティングデバイス14のレンズ17等の光学系部分にほこりが侵入することを防止でき、光学式ポインティングデバイス14の検出精度が低下することを防止することができる。
【0026】
なお、本リモコン装置1では、蓋体5が筐体2の表面に沿ってスライド移動する板状体であるので、ユーザは片手だけでも容易に蓋体の開閉操作を行うことができる上に、リモコン装置1全体をコンパクトに設計できるが、蓋体5は、例えばヒンジ機構を用いてドア状に開閉自在としたものであってもよい。
【符号の説明】
【0027】
1 リモコン装置
2 筐体
3 操作キー
5 蓋体
9 スイッチ
12 移動面
14 光学式ポインティングデバイス
15 電源
16a 照明光
23 光ディスクレコーダ(電子機器)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが電子機器を操作するための操作キーと、
ユーザにより移動されるときに移動面の画像を読み取って、読み取った画像に基き前記電子機器に移動情報を送る光学式ポインティングデバイスと、を備えるリモコン装置において、
前記光学式ポインティングデバイスが前記移動面に向けて発する照明光の進路を遮蔽することができる開閉自在な蓋体と、
前記蓋体の開閉に連動してオン/オフし、該蓋体が前記照明光の進路を遮蔽するときに前記光学式ポインティングデバイスへの電源供給をオフするスイッチと、を備えることを特徴とするリモコン装置。
【請求項2】
前記蓋体が本リモコン装置の筐体の表面に沿ってスライド移動する板状体であることを特徴とする請求項1に記載のリモコン装置。
【請求項3】
前記スイッチがオンで前記光学式ポインティングデバイスに電源が供給されているときに、ユーザが前記操作キーを操作することにより前記電子機器に対して移動情報を確定させる信号を送信することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のリモコン装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−257146(P2010−257146A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−105538(P2009−105538)
【出願日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】