説明

リモコン装置

【課題】主に各種電子機器の遠隔操作に用いられ通話機能を有するリモコン装置に関し、スピーカからケース内空間を介したマイクへの音声侵入によるハウリングを抑制して、良好な通話が可能なリモコン装置を提供することを目的とする。
【解決手段】ケース11の内壁面11Cに近づくに従い高さが低くなる傾斜保持部11Dを、内壁面11C近傍に設けると共に、マイク7を覆うホルダー12を設けて、マイク7を傾斜保持部11Dに載置すると共に、ホルダー12によってマイク7を傾斜保持部11D側へ押圧保持して、マイク7の集音孔7B側の前面を内壁面11Cに当接させることによって、マイク7の前面と内壁面11Cとの間の空隙を無くし、スピーカ8からケース11内空間を介したマイク7への音声侵入によるハウリングの発生を抑制する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に各種電子機器の遠隔操作に用いられ通話機能を有するリモコン装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、屋外に設置された給湯器等の各種電子機器を、浴室内や屋内の側壁に取付けられたリモコン装置によって遠隔操作することや、浴室内と台所に設置したリモコン装置を介して通話を行えるものが増えてきている。
【0003】
このような従来のリモコン装置について、図5〜図7を用いて説明する。
【0004】
図5はリモコン装置の平面図、図6は従来のリモコン装置の断面図、図7は同要部斜視図であり、同図において、1は略箱型で絶縁樹脂製のケースで、前面の操作面1Aの下部には複数の押釦2が押圧可能に設けられると共に、透明樹脂製のパネル3が押釦2を除くケース1上部を覆っている。
【0005】
そして、4は表裏面に複数の配線パターン(図示せず)が形成された配線基板で、この表面の略中央には液晶表示部5が、その側方には複数の押釦2に対応したスイッチ接点としての複数のプッシュスイッチ6が各々実装され、プッシュスイッチ6先端部に押釦2の後部に突出した押圧部2Aが当接している。
【0006】
また、7Aは右側面に集音部7Bを備えた略円柱状のマイク素子で、このマイク素子7Aに右側が一部開口した弾性材製の外装部7Cが覆ってマイク7が形成されると共に、ケース1の集音孔1Bが形成された内壁面1Cにマイク7の集音部7Bが対向して配置されている。
【0007】
なお、図7(a)に示すように、マイク7をケース1の裏面から突出形成された一対の保持爪1Dに後方から右側の内壁面に沿って挿入すると、マイク7が保持爪1Dを弾性変形させて圧入されると共に、マイク7の背面を保持壁1Eに当接してケース1裏面に保持され、マイク7から延出したリード線7Dの一端が配線基板4にはんだ付固定されて、図7(b)に示すように、マイク7がケース1内側に装着される。
【0008】
また、8は前面に音声出力部8Aが設けられたスピーカで、ケース1の左端近傍の裏面に形成された係止部等によって保持されている。
【0009】
さらに、配線基板4の裏面にはマイコン等が実装されて制御手段9が形成され、この制御手段9が配線パターンを介して、複数のプッシュスイッチ6や液晶表示部5、マイク7、スピーカ8及びリード線(図示せず)等に接続されると共に、ケース1の後部をカバー10が覆ってリモコン装置が構成されている。
【0010】
そして、このようなリモコン装置が例えば屋内の浴室内や台所の側壁に取付けられると共に、一方のリモコン装置から延出したリード線が、対となる他方のリモコン装置や屋外に設置された給湯器等の電子機器に接続されている。
【0011】
以上の構成において、押釦2の例えば温度切換え等が表示された箇所を押圧操作すると、押圧部2Aを介して下方のプッシュスイッチ6の電気的接離が行われる。
【0012】
そして、このプッシュスイッチ6の電気的接離を制御手段9が検出し、この操作に応じた操作信号をリード線から電子機器へ送信して、例えば、給湯器の設定温度が高い温度や低い温度に切換わる。
【0013】
また、例えば台所内で一方のリモコン装置の所定の押釦2を押圧すると、通話モードとなって、リモコン装置に向って通話をすると、マイク7や制御手段9を介して音声信号が浴室の他方のリモコン装置に送信され、他方のスピーカ8から音声が出力され、この状態で、浴室からの通話も同様に他方のマイク7や制御手段9を介して台所の一方のスピーカ8から音声出力されるようにして、相互に通話ができるようになっている。
【0014】
なお、ケース1の内側に保持されたマイク7は、保持爪1Dや保持壁1Eの仕上がりや周囲温度の変化によっては、マイク7の集音部7B側の前面と内壁面1Cとの間に空隙が生じる場合がある。
【0015】
そして、マイク7の前面と内壁面1Cとの間に空隙が生じた場合、通話中にスピーカ8の周囲から漏れた音声がケース1内の空間を伝播して、マイク7前面と内壁面1Cとの空隙から集音部7Bに侵入し、この音声信号がマイク7を介して他方のリモコン装置のスピーカ8から音声として出力され、さらにこの音声の一部が他方のマイク7を介して一方のリモコン送信機のスピーカ8から音声出力するというように、同じ音声信号が一方と他方のリモコン装置間を循環して、スピーカ8から耳障りな音として発生する、所謂、ハウリングが生じる可能性があった。
【0016】
また、このようなハウリングを防止する方法として、マイク7の後面とカバー10との間にゴム等の防音材を挟持させて空隙を塞ぐ方法があるが、マイク7の前面と内壁面1Cとの間の空隙を確実に塞ぐことが困難で、組立ても煩雑になり易いものであった。
【0017】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】特開2003−134207号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
しかしながら、上記従来のリモコン装置においては、マイク7の集音部7B側の前面と対向するケース1の内壁面1Cとの間に空隙が生じ易く、スピーカ8からの音声が空隙を介してマイク7の集音部7Bに侵入してハウリングが発生し、通話時の音声が聴き取り難くなる場合があるという課題があった。
【0020】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、マイクの集音部の前面をケースの内壁面に当接させて空隙を無くし、スピーカからケース内空間を介したマイクへの音声侵入によるハウリングを抑制して、良好な通話が可能なリモコン装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記目的を達成するために本発明は、ケースの内壁面近傍に内壁面に近づくに従い高さが低くなる傾斜保持部を設けると共に、マイクを覆うホルダーを設けて、マイクを傾斜保持部に載置すると共に、ホルダーによってマイクを傾斜保持部側へ押圧保持して、マイクの集音部側の前面をケースの内壁面に当接させたものであり、ホルダーによりマイクが傾斜保持部へ押圧されることによって、マイクが傾斜保持部の傾斜によってケースの内壁面に接近して当接して、マイクの集音部前面と内壁面との間の空隙が無くなるため、スピーカからケース内空間を介したマイクへの音声侵入によるハウリングの発生を抑制し、良好な通話が可能なリモコン装置を得ることができるという作用を有する。
【発明の効果】
【0022】
以上のように本発明によれば、ケース内空間を介したスピーカからマイクへの音声侵入によるハウリングを抑制し、良好な通話が可能なリモコン装置を実現できるという有利な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施の形態によるリモコン装置の断面図
【図2】同要部分解斜視図
【図3】同要部斜視図
【図4】同要部組立説明図
【図5】リモコン装置の平面図
【図6】従来のリモコン装置の断面図
【図7】同要部斜視図
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態について、図1〜図5を用いて説明する。
【0025】
なお、背景技術の項で説明した構成と同一構成の部分には同一符号を付して、詳細な説明を簡略化する。
【0026】
図1は本発明の一実施の形態によるリモコン装置の断面図、図2は同要部分解斜視図であり、図5は同平面図であり、同図において、11は略箱型でアクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体(以降、ABSと記載する)等の絶縁樹脂製のケースで、前面の操作面11Aの下部には複数の押釦2が押圧可能に設けられると共に、アクリル等の透明樹脂製のパネル3がケース11上部を覆っている。
【0027】
そして、4は表裏面に複数の配線パターン(図示せず)が形成された紙フェノールやガラス入りエポキシ等の配線基板で、この表面の略中央には液晶表示部5が、その側方には複数の押釦2に対応してスイッチ接点としての複数のプッシュスイッチ6が各々実装され、プッシュスイッチ6先端部に押釦2の後部に突出した押圧部2Aが当接している。
【0028】
また、7Aは右側面に集音部7Bを備えた略円柱状のマイク素子で、このマイク素子7Aに右側が一部開口したシリコンゴム等の弾性材製の外装部7Cに覆われてマイク7が形成されると共に、ケース11の集音孔11Bが形成された内壁面11Cにマイク7の集音部7Bが対向して配置されている。
【0029】
さらに、12はABS等の絶縁樹脂製のホルダーで、略半円筒状の覆い部12Aの両側には左右方向に延びた長孔12Cが形成された取付部12Bが設けられている。
【0030】
そして、11Dは操作面11A裏面に突出した略リブ状の傾斜保持部で、内壁面11Cに近づくに従い高さが低くなるように傾斜すると共に、2つの傾斜保持部11Dが並行して内壁面11Cの近傍に形成されている。
【0031】
また、図1や図3の要部斜視図に示すように、傾斜保持部11D上に載置されたマイク7の後部をホルダー12の覆い部12Aが覆うと共に、傾斜保持部11D側方に突出したボス11Eに取付部12Bの長孔12Cを挿通したネジ13が締付けられ、マイク7の集音部7B側の前面が内壁面11Cに当接して、マイク7がホルダー12によってケース11内に押圧保持されている。
【0032】
なお、マイク7のケース1内への取付け方法について、図4の要部断面図を用いて説明する。
【0033】
まず、図4(a)に示すように、傾斜保持部11D上にマイク7を集音部7B側の前面が内壁面11Cに対向した状態で載置し、後方からホルダー12を被せる。
【0034】
そして、図4(b)に示すように、ネジ13をホルダー12の取付部12Bの長孔12Cに挿通してボス11Eに締付けていくと、ホルダー12が傾斜保持部11D側へ下降する。
【0035】
この時、ホルダー12の内側面にマイク7の後面と左側の背面が当接しながら、長孔12Cがネジ13に、下端部のガイド溝12Dが傾斜保持部11Dに各々案内されて、マイク7下端が傾斜保持部11D上を摺動しながら、マイク7は右方の内壁面11C側へ移動する。
【0036】
さらに、ネジ13を締付けると、図4(c)に示すように、取付部12Bとボス11Eとの間に隙間がある状態で、マイク7の前面が内壁面11Cに当接して、集音部7Bが集音孔11Bと対向して、マイク7がケース11内にホルダー12によって押圧保持される。
【0037】
そして、マイク7背面から延出したリード線7Dの一端が配線基板4にはんだ付け固定されてマイク7がケース1内に装着される。
【0038】
このように、マイク7を傾斜保持部11Dに載置して長孔12Cを挿通したホルダー12をネジ13によって締付けると、マイク7がホルダー12の内側面に当接しながら、傾斜保持部11Dに沿って移動して、マイク7の前面が内壁面11Cに確実に当接するため、背景技術で述べたような予め設けられた保持爪や保持壁の間に保持させた場合に、これらの成形仕上りや周囲温度による形状変化によってマイク前面と内壁面との間に空隙が生じ易く、マイクの保持も不安定になり易いのに比べ、マイク7前面と内壁面11Cとの間に空隙が無く、ケース11内へのマイク7の安定した保持が可能となっている。
【0039】
そして、8は前面に音声出力部8Aが設けられたスピーカで、ケース11の左端近傍の裏面に形成された係止部等によって保持されている。
【0040】
また、配線基板4の裏面にはマイコン等が実装されて制御手段9が形成され、この制御手段9が配線パターン(図示せず)を介して、複数のプッシュスイッチ6や液晶表示部5、マイク7、スピーカ8及びリード線(図示せず)等に接続されると共に、ケース11の後部をカバー10が覆ってリモコン装置が構成されている。
【0041】
そして、このようなリモコン装置が例えば屋内の浴室内や台所の側壁に取付けられると共に、一方のリモコン装置から延出したリード線が、対となる他方のリモコン装置や屋外に設置された給湯器等の電子機器に接続されている。
【0042】
以上の構成において、押釦2の例えば温度切換え等が表示された箇所を押圧操作すると、押圧部2Aを介して下方のプッシュスイッチ6の電気的接離が行われる。
【0043】
そして、このプッシュスイッチ6の電気的接離を制御手段9が検出し、この操作に応じた操作信号をリード線から電子機器へ送信して、例えば、給湯器の設定温度が高い温度や低い温度に切換わる。
【0044】
また、例えば台所内で一方のリモコン装置の所定の押釦2を押圧すると、通話モードとなって、リモコン装置に向って通話をすると、マイク7や制御手段9を介して音声信号が浴室の他方のリモコン装置に送信され、他方のスピーカ8から音声が出力され、この状態で、浴室からの通話も同様に他方のマイク7や制御手段9を介して台所の一方のスピーカ8から音声出力されるようにして、相互に通話ができるようになっている。
【0045】
この時、スピーカ8前面の音声出力部8Aから音声が出力される一方、ケース11内にもスピーカ8の周囲から一部の音声が漏れるが、右方のマイク7の前面と内壁面11Cとの間に空隙がないため、ケース内に漏れた音声が空隙を介してマイク7に集音され難くなっている。
【0046】
したがって、スピーカ8から出力された音声がマイク7に集音されて、他方のリモコン装置のスピーカ8やマイク7を音声信号が循環することによって引き起こされるハウリングが生じ難く、良好な通話が可能な構成となっている。
【0047】
このように本実施の形態によれば、ケース11の内壁面11Cに近づくに従い高さが低くなる傾斜保持部11Dを、内壁面11C近傍に設けると共に、マイク7を覆うホルダー12を設けて、マイク7を傾斜保持部11Dに載置すると共に、ホルダー12によってマイク7を傾斜保持部11D側へ押圧保持して、マイク7の集音部7B側の前面を内壁面11Cに当接させることによって、マイク7の前面と内壁面11Cとの間の空隙が無くなるため、スピーカ8からケース11内空間を介したマイク7への音声侵入によるハウリングの発生を抑制し、良好な通話が可能なリモコン装置を実現することができる。
【0048】
また、マイク7をホルダー12によってケース11内に装着する際に、マイク7の後面や背面をホルダー12の内側面を押圧しながら、マイク7が傾斜保持部11Dに沿って移動して、マイク7前面が内壁面11Cに当接して装着されるため、ケース11内への保持が確実で安定したものとなる。
【0049】
なお、以上の説明では、マイク7前面をケース11の右側の内壁面に当接させた構成として説明したが、ケース11の操作面11Aに集音孔を設けると共に、この集音孔を含む内壁面の近傍に傾斜保持部やボスを設けて、ホルダーやネジによる押圧保持によって、マイク7の前面を操作面11A裏面の内壁面に当接させる構成としても本発明の実施は可能である。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明によるリモコン装置は、ハウリングを抑制して良好な通話が可能で、ケースへの安定したマイク保持が可能なものを得ることができ、主に各種電子機器の遠隔操作に用いられ通話機能を有するリモコン装置等に有用である。
【符号の説明】
【0051】
2 押釦
2A 押圧部
3 パネル
4 配線基板
5 液晶表示部
6 プッシュスイッチ
7 マイク
7A マイク素子
7B 集音部
7C 外装部
7D リード線
8 スピーカ
8A 音声出力部
9 制御手段
10 カバー
11 ケース
11A 操作面
11B 集音孔
11C 内壁面
11D 傾斜保持部
11E ボス
12 ホルダー
12A 覆い部
12B 取付部
12C 長孔
12D ガイド溝
13 ネジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略箱状のケースと、このケース内に収納されたマイク及びスピーカと、押釦の操作によって電気的接離を行うスイッチ接点と、前記マイクへの音声入力に応じて音声信号を、前記スイッチ接点の電気的接離に応じて操作信号を各々送信すると共に、外部からの音声信号に基づき前記スピーカから音声出力させる制御手段からなり、前記ケースの内壁面近傍に、前記内壁面に近づくに従い高さが低くなる傾斜保持部を設けると共に、前記マイクを覆うホルダーを設けて、前記マイクを前記傾斜保持部に載置すると共に、前記ホルダーによって前記マイクを前記傾斜保持部側へ押圧保持して、前記マイクの集音部側の前面を前記ケースの前記内壁面に当接させたリモコン装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−227584(P2012−227584A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−90780(P2011−90780)
【出願日】平成23年4月15日(2011.4.15)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】