説明

リモコン送受信装置

【課題】主に各種電子機器の操作に用いられるリモコン送受信装置に関し、誤操作がなく、確実な遠隔操作が可能なものを提供することを目的とする。
【解決手段】リモコン送信機16の制御手段14が、操作手段2の操作に応じた操作コードを暗号コードに暗号化して、この暗号コードと暗号化内容を示す解析コードを送信し、リモコン受信機19の制御手段18が、これらの暗号コードと解析コードから操作コードを演算すると共に、これらの制御手段14と18を書換え可能に形成することによって、異なるリモコン送信機や異なる機器が遠隔操作されるといった誤操作がなく、確実な遠隔操作が可能なリモコン送受信装置を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に各種電子機器の遠隔操作に用いられるリモコン送受信装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、屋外や屋内の離れた場所に設置された各種電子機器を、電波を用いたリモコン送受信装置によって遠隔操作することが広く行われており、離れた位置や遮蔽物があった場合でも確実な操作が可能なものが求められている。
【0003】
このような従来のリモコン送受信装置について、図5及び図6を用いて説明する。
【0004】
図5は従来のリモコン送受信装置の斜視図であり、同図において、1は略箱状で絶縁樹脂製のケースで、このケース1前面には、後方にスイッチ接点が設けられた複数の操作キーが前後動可能に突出して、操作手段2が形成されている。
【0005】
そして、ケース1内には前後面に複数の配線パターンが形成された配線基板(図示せず)が収納され、この配線基板に実装されたアンテナ等によって送信手段3や、マイコン等の電子部品によって制御手段4が各々形成されて、リモコン送信機5が構成されている。
【0006】
また、6は屋外に設置された給湯器等の電子機器で、この下方にはアンテナ等の受信手段7や、マイコン等の制御手段8から形成された、リモコン受信機9が収納されている。
【0007】
さらに、このリモコン受信機9の前面には、後方にスイッチ接点が形成された操作キー等の操作手段10が設けられ、このリモコン受信機9とリモコン送信機5によって、リモコン送受信装置が構成されている。
【0008】
なお、このような電波を用いて遠隔操作を行うリモコン送受信装置の場合、室内に設置されたテレビやビデオ等の遠隔操作を行う、赤外線方式のもの等に比べ、通信範囲が広く電波が遠くまで届くため、意図しない他の機器が誤って操作されてしまう場合がある。
【0009】
このため、使用前に所定の操作手段2や10を操作して、所定の認証コード等を設定し、一組のリモコン送信機5とリモコン受信機9のみがペアとして操作可能となる設定、いわゆるペアリングを行った後に、実際の遠隔操作が行われるようになっている。
【0010】
以上の構成において、室内からリモコン送信機5の、操作手段2の複数の操作キーのうち、例えば温度切換え等の操作キーを押圧操作すると、この後方のスイッチ接点の電気的接離が行われ、これを制御手段4が検出して、図6の信号構成図に示すように、温度切換え等の操作コードAの後に、リモコン受信機9との間で設定した認証コードBが付加されたリモコン信号が送信手段3から電波として送信される。
【0011】
そして、これをリモコン受信機9の受信手段7が受信すると共に、制御手段8がこのリモコン信号の認証コードBが設定されたものと同一であるか否かを判定し、一致した場合には、操作コードAに応じた電子機器6の様々な操作、例えば給湯温度の切換え等が行われる。
【0012】
なお、この時、受信した認証コードBが設定されたものと異なる場合には、制御手段8がペアリングされたものとは別のリモコン送信機からのリモコン信号であると判定し、給湯温度の切換え等の遠隔操作は行われないようになっている。
【0013】
つまり、最初に一組のリモコン送信機5とリモコン受信機9のペアリングを行い、上記のように所定の認証コードBを設定して、各々の制御手段4と8が記憶した認証コードBが同一である組み合わせのもののみが、遠隔操作可能なように設定することによって、リモコン信号に比較的遠方まで届く電波を用いた場合でも、他の機器が誤操作されることがないように構成されているものであった。
【0014】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【特許文献1】特開2005−328244号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、上記従来のリモコン送受信装置においては、一組のリモコン送信機5とリモコン受信機9をペアリングする際、万が一、他の機器と同じ認証コードBを設定してしまうと、一つのリモコン送信機5から送信されたリモコン信号に対し、複数の機器が誤って遠隔操作されてしまう場合があるという課題があった。
【0016】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、誤操作がなく、確実な遠隔操作が可能なリモコン送受信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成するために本発明は、リモコン送信機の制御手段が、操作手段の操作に応じた操作コードを暗号コードに暗号化して、この暗号コードと暗号化内容を示す解析コードを送信し、リモコン受信機の制御手段が、これらの暗号コードと解析コードから操作コードを演算すると共に、リモコン送信機とリモコン受信機の制御手段を書換え可能に形成してリモコン送受信装置を構成したものであり、操作コードを暗号化して送受信を行うと共に、この暗号コードが書換え可能となっているため、異なるリモコン送信機や異なる機器が遠隔操作されるといった誤操作がなく、確実な遠隔操作が可能なリモコン送受信装置を得ることができるという作用を有するものである。
【発明の効果】
【0018】
以上のように本発明によれば、誤操作がなく、確実な遠隔操作が可能なリモコン送受信装置を実現できるという有利な効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、図1〜図4を用いて説明する。
【0020】
なお、背景技術の項で説明した構成と同一構成の部分には同一符号を付して、詳細な説明を簡略化する。
【0021】
(実施の形態)
図1は本発明の一実施の形態によるリモコン送受信装置のブロック回路図、図2は同斜視図であり、同図において、1は略箱状でポリスチレンやABS等の絶縁樹脂製のケースで、このケース1前面には、後方にスイッチ接点が設けられたゴムや絶縁樹脂製の複数の操作キー2A等が、前後動可能に突出して操作手段2が形成されている。
【0022】
そして、ケース1内には前後面に銅箔等によって複数の配線パターンが形成された、紙フェノールやガラス入りエポキシ等の配線基板(図示せず)が収納され、この配線基板に実装されたアンテナ等によって送信手段3や、マイコン等の電子部品によって、操作コード処理部14Aと暗号コード処理部14Bから形成された制御手段14が各々設けられると共に、ケース1裏面や側面等にコネクタ等の接続手段15が形成されて、リモコン送信機16が構成されている。
【0023】
また、6は屋外に設置された給湯器等の電子機器で、この下方にはアンテナ等の受信手段7や、マイコン等の操作コード処理部18Aと暗号コード処理部18Bから形成された制御手段18が各々設けられた、リモコン受信機19が収納されている。
【0024】
さらに、このリモコン受信機19の前面には、後方にスイッチ接点が形成された操作キー等の操作手段10と、コネクタ等の接続手段20が設けられ、このリモコン受信機19とリモコン送信機16によって、リモコン送受信装置が構成されている。
【0025】
以上の構成において、室内からリモコン送信機16の、操作手段2の複数の操作キーのうち、例えば温度切換え等の操作キーを押圧操作すると、この後方のスイッチ接点の電気的接離が行われ、これを制御手段14が検出して、図3(a)の信号構成図に示すような、温度切換え用の0と1のビットから形成された、例えば「0010」の操作コードAを操作コード処理部14Aが算出する。
【0026】
そして、この操作コードAを暗号コード処理部14Bが、図3(b)に示すように、例えばビット0を1に、1を0に反転した「1101」の暗号コードCに変換して暗号化すると共に、この暗号化した内容を示す、例えば「00」の解析コードDを付加し、このリモコン信号が送信手段3から電波として送信される。
【0027】
また、これをリモコン受信機19の受信手段7が受信すると、制御手段18が暗号コード処理部18Bに記憶した「00」の解析コードDから、受信した「1101」の暗号コードCが、ビットの0と1が反転したものであることを検出すると共に、操作コード処理部18Aが「0010」の操作コードAを算出して、この操作コードAによって電子機器6の様々な操作、例えば給湯温度の切換え等が行われる。
【0028】
つまり、操作手段2の操作に応じた操作コードAをそのまま送信するのではなく、リモコン送信機16の制御手段14がこれを暗号コードCに暗号化すると共に、この暗号化内容を示す解析コードDと共にリモコン信号として送信しているため、リモコン信号に赤外線等に比べ通信範囲が広く、比較的遠方まで届く電波を用いた場合でも、この電波によって他の機器が誤操作されることがないように構成されている。
【0029】
すなわち、この暗号化された暗号コードCによって遠隔操作されるのは、暗号コード処理部18Bに解析コードDを記憶し、制御手段18が暗号コードCを操作コードAに変換することが可能な、リモコン受信機19を備えた電子機器6だけであるため、万が一、電子機器6が他のリモコン送信機からのリモコン信号を受信したとしても、これによって電子機器6が誤って遠隔操作されることがないようになっている。
【0030】
さらに、リモコン送信機16とリモコン受信機19にはコネクタ等の接続手段15と20が設けられているため、例えば、図4の斜視図に示すような書換装置21を用いて、上記のような暗号化とは別の暗号化に、制御手段14や18を書換えることが可能なようになっている。
【0031】
つまり、同図において、22は略箱状で絶縁樹脂製のケースで、このケース22上面には、下方にスイッチ接点が設けられた複数の操作キー23Aや23Bが上下動可能に突出している。
【0032】
また、ケース22内には上下面に複数の配線パターンが形成された配線基板(図示せず)が収納され、この配線基板の上下面に実装されたマイコン等の電子部品によって、暗号化方法が記憶された記憶手段24が形成されると共に、一端が配線基板に接続され、他端にコネクタ25が装着されたケーブル26がケース22側面から延出して、書換装置21が構成されている。
【0033】
そして、先ず、この書換装置21のコネクタ25をリモコン送信機16の接続手段15に挿入して接続した後、書換え用の所定の操作キー、例えば操作キー2Aを押圧操作すると、この後方のスイッチ接点の電気的接離が行われ、これを制御手段14が検出して、リモコン送信機16の暗号コード処理部14Bが書換え可能な状態となる。
【0034】
さらに、この後、書換装置21の書換え用の所定の操作キー、例えば操作キー23Aを押圧操作すると、記憶手段24からコネクタ25やケーブル26を介して、所定の暗号化方法のデータ、例えばビットの配列順を反転させる暗号化データがリモコン送信機16に送られ、これを制御手段14が暗号コード処理部14Bに記憶させる。
【0035】
また、この後、コネクタ25をリモコン受信機19の接続手段20に接続し、操作手段10を押圧操作して、暗号コード処理部18Bを書換え可能な状態とした後、上記と同様の操作を行うことで、リモコン受信機19の制御手段18にもリモコン送信機16と同じ暗号化データが記憶される。
【0036】
そして、以上のように別の暗号化方法に書換えられたリモコン送信機16の、例えば温度切換え等の操作手段2を押圧操作すると、これを制御手段14が検出して、上述した場合と同様に、図3(a)に示すような、例えば「0010」の操作コードAを操作コード処理部14Aが算出する。
【0037】
しかし、この後、暗号コード処理部14Bの暗号化方法は、上述したビットの0と1を反転する暗号化方法から、ビットの配列順を反転させる暗号化方法に書換えられているため、図3(c)に示すように、「0010」を逆に配列した「0100」の暗号コードEに変換して暗号化が行われる。
【0038】
さらに、制御手段14がこの暗号コードEに、暗号コード処理部14Bに記憶された、ビットの配列順を反転させる暗号化方法であることを示す、例えば「01」の解析コードFを付加し、このリモコン信号が送信手段3から電波として送信される。
【0039】
そして、これをリモコン受信機19の受信手段7が受信すると、暗号コード処理部18Bも暗号化方法が書換えられているため、制御手段18が暗号コード処理部18Bに記憶した「01」の解析コードFから、受信した「0100」の暗号コードEがビットの配列順を反転したものであることを検出し、操作コード処理部18Aが「0010」の操作コードAを算出して、この操作コードAによって電子機器6の操作、例えば給湯温度の切換え等が行われる。
【0040】
つまり、制御手段14や18の暗号コード処理部14Bや18Bを書換え可能に形成することによって、操作コードAを暗号コードCやE等の様々な暗号コードに暗号化して、リモコン送信機16からリモコン信号の送信が行えると共に、これに付加された解析コードDやF等から、リモコン受信機19が操作コードAを算出して、電子機器6の様々な遠隔操作が行われるように構成されている。
【0041】
すなわち、制御手段14や18が操作手段2の操作に応じた操作コードAを、暗号コードCやE等に暗号化して送受信を行うと共に、この暗号コードが書換え可能となっているため、リモコン信号に通信範囲が広く比較的遠方まで届く電波を用いた場合でも、リモコン送信機16で他の機器が遠隔操作されることや、他のリモコン送信機によって電子機器6が遠隔操作されるといった誤操作がなく、確実な遠隔操作が行えるようになっている。
【0042】
なお、以上の説明では、書換装置21をリモコン送信機16とリモコン受信機19に各々接続し、所定の操作を行うことによって制御手段14や18の、暗号コード処理部14Bや18Bを書換える構成について説明したが、書換装置21を用いて制御手段14のみを書換え、この後、リモコン送信機16の所定の操作によって書換えた暗号化方法をリモコン受信機19へ送信し、これによって制御手段18を書換える構成としても、本発明の実施は可能である。
【0043】
また、リモコン送信機16とリモコン受信機19の、接続手段15と20をコネクタではなく、例えばカード読取り装置とし、これに暗号化方法が記録されたメモリーカード等を装着した後、操作手段2や10の所定の操作を行うことによって、暗号コード処理部14Bや18Bを書換える構成等、他の様々な構成によっても制御手段14や18の書換えを行うことができる。
【0044】
このように本実施の形態によれば、リモコン送信機16の制御手段14が、操作手段2の操作に応じた操作コードを暗号コードに暗号化して、この暗号コードと暗号化内容を示す解析コードを送信し、リモコン受信機19の制御手段18が、これらの暗号コードと解析コードから操作コードを演算すると共に、これらの制御手段14と18を書換え可能に形成することによって、異なるリモコン送信機や異なる機器が遠隔操作されるといった誤操作がなく、確実な遠隔操作が可能なリモコン送受信装置を得ることができるものである。
【0045】
なお、以上の説明では、構成を判り易くするために、リモコン送信機16から4桁の暗号コードCやE等に、2桁の解析コードDやF等を付加したリモコン信号を送信する構成として説明したが、実際にはもっと多くの桁数のビット配列が用いられ、また、一般的にはこれらのコードに機器やモデル毎に決められた所定のヘッダコードや、使用前にペアリングによって設定された認証コード等が付加されて、送受信が行われている。
【0046】
また、以上の説明では、リモコン送信機16からリモコン受信機19へ、一方向のみの送信を行う構成について説明したが、リモコン送信機16に受信手段、リモコン受信機19に送信手段を各々設け、これらによって互いに送受信を行う構成としても、本発明の実施は可能である。
【0047】
さらに、遠隔操作する電子機器6として、屋外に設置された給湯器を例として説明したが、屋内の離れた場所や他の部屋に設置されたエアコンや、あるいはテレビやビデオ等を遠隔操作する構成としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明によるリモコン送受信装置は、誤操作がなく、確実な遠隔操作が可能なものが得られ、主に各種電子機器の操作用として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の一実施の形態によるリモコン送受信装置のブロック回路図
【図2】同斜視図
【図3】同信号構成図
【図4】同書換装置の斜視図
【図5】従来のリモコン送受信装置の斜視図
【図6】同信号構成図
【符号の説明】
【0050】
1 ケース
2 操作手段
2A、2B 操作キー
3 送信手段
6 電子機器
7 受信手段
10 操作手段
14 制御手段
14A 操作コード処理部
14B 暗号コード処理部
15 接続手段
16 リモコン送信機
18 制御手段
18A 操作コード処理部
18B 暗号コード処理部
19 リモコン受信機
20 接続手段
21 書換装置
22 ケース
23A、23B 操作キー
24 記憶手段
25 コネクタ
26 ケーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作手段の操作に応じた操作コードを制御手段が暗号コードに暗号化すると共に、この暗号コードと暗号化内容を示す解析コードを送信するリモコン送信機と、上記暗号コードと解析コードを受信し、これらから制御手段が操作コードを演算するリモコン受信機からなり、上記リモコン送信機とリモコン受信機の上記制御手段を書換え可能に形成したリモコン送受信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−28702(P2010−28702A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−190565(P2008−190565)
【出願日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】