リモートコントロール装置
【課題】押ボタンを押したとき押ボタンがトップケースのボタン穴に沈み込むのを確実に防止できるリモートコントロール措置を提供する。
【解決手段】押ボタン2の裏面2eの少なくとも周縁部に、押ボタン2をトップケース5のボタン穴5aに押し込んだときにプリント配線基板1の表面に当接する当接部2aを形成すると共に、押ボタン2を押し込んだときにプリント配線基板1の表面の端子部1aと接触する導電膜2bを当接部2aの下面に形成した構成のリモートコントロール装置とする。押ボタン2を押し込む際に力Fが押ボタン2に偏って作用した場合でも、押ボタン2の裏面2eの少なくとも周縁部に形成した当接部2aによって、押ボタン2が傾斜した姿勢でボタン穴に押し込まれないようにして押ボタン2の沈み込みを防止する。
【解決手段】押ボタン2の裏面2eの少なくとも周縁部に、押ボタン2をトップケース5のボタン穴5aに押し込んだときにプリント配線基板1の表面に当接する当接部2aを形成すると共に、押ボタン2を押し込んだときにプリント配線基板1の表面の端子部1aと接触する導電膜2bを当接部2aの下面に形成した構成のリモートコントロール装置とする。押ボタン2を押し込む際に力Fが押ボタン2に偏って作用した場合でも、押ボタン2の裏面2eの少なくとも周縁部に形成した当接部2aによって、押ボタン2が傾斜した姿勢でボタン穴に押し込まれないようにして押ボタン2の沈み込みを防止する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はリモートコントロール装置に関し、更に詳しくは、押ボタンを押したとき押ボタンがトップケースのボタン穴に沈み込まないように改良したリモートコントロール装置に関する。
【背景技術】
【0002】
テレビなどのリモートコントロール装置は、図11に示すように、プリント配線基板1の上に、押ボタン2を形成した軟質シート3を押ボタン2がプリント配線基板1から浮き上がった状態で重ね、このプリント配線基板1と軟質シート3をボトムケース4及びトップケース5の内部に収容して、押ボタン2をトップケース5のボタン穴5aから突出させた構造のものが多い。
【0003】
このようなリモートコントロール装置は、通常、押ボタン2の裏面の中央部に、押ボタン2をトップケース5のボタン穴5aに押し込んだときにプリント配線基板1の表面に当接する当接部2aを下向きに突設して、この当接部2aの下面に導電膜2bを形成しているため、押ボタン2を押し込むと、この当接部2aの下面の導電膜2bがプリント配線基板1の表面の端子部1aに接触して通電されるようなっている。
【0004】
一方、押ボタン部の裏面中央に凸部を設けて、この凸部の下面に特定のシリコーンゴム組成物の硬化物からなる導電性エラストマーのゴム接点部材を取付け、押ボタン部を押すと、ゴム接点部材が回路基板の固定接点に接触して導通するようにした押ボタンスイッチ部材(特許文献1)や、操作ボタンの裏面に接触抵抗発生板を取付け、操作ボタンを押すと接触抵抗発生板が基板の導電ランドに接触するようにした可変抵抗器(特許文献2)なども提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−184964号公報
【特許文献2】特開2002−57006号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図11に示す従来のリモートコントロール装置は、本来、導電膜2bがプリント配線基板1の表面の端子部1aに接触して通電されるとよいものであるから、押ボタン2の裏面中央部に小さな当接部2aを突設して導電膜2bの面積が極力小面積となるように設計されることが多い。けれども、当接部2aを小さくして導電膜2bを極力小面積にすると、当接部2aから押ボタン2の周囲の支持壁部2cまでのクリアランス2dが大きくなるため、図12に示すように、押ボタン2をトップケース5のボタン穴5aに押し込む際に力Fが押ボタン2の片側に偏って作用すると、押ボタン2が傾斜した姿勢でボタン穴5aに沈み込み、ボタン穴5aの内壁面に引っ掛かってボタン穴5aから元通りに突出しないことがあり、問題となっていた。
【0007】
一方、前記特許文献1の押ボタンスイッチ部材や前記特許文献2の可変抵抗器の操作ボタンは、ボタン穴への沈み込みが生じる構造ではないため、沈み込みを防止する対策が採られてなく、従って、これらの特許文献1,2の技術をもって上記リモートコントロール装置における押ボタンの沈み込みの問題を解決することはできない。
【0008】
本発明は上記事情の下になされたもので、その解決しようとする課題は、押ボタンを押したとき押ボタンがトップケースのボタン穴に沈み込むのを確実に防止できるリモートコントロール措置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明に係るリモートコントロール装置は、プリント配線基板の上に、押ボタンが形成された軟質シートを押ボタンをプリント配線基板から浮かせた状態で重ね、このプリント配線基板と軟質シートをボトムケース及びトップケースの内部に収容して、押ボタンをトップケースのボタン穴から突出させたリモートコントロール装置において、押ボタンの裏面の少なくとも周縁部に、押ボタンをトップケースのボタン穴に押し込んだときにプリント配線基板の表面に当接する当接部を形成すると共に、押ボタンを押し込んだときにプリント配線基板の表面の端子部と接触する導電膜を上記当接部の下面に形成したことを特徴とするものである。
【0010】
本発明のリモートコントロール装置においては、押ボタンの裏面全体又は裏面の外周端部を除いた部分に当接部を形成して、この当接部の下面の全体又は一部に導電膜を形成してもよいし、押ボタンの裏面の周縁部に当接部を枠状又は不連続な枠片状に形成して、この枠状又は不連続な枠片状の当接部の下面の全体又は一部に導電膜を形成してもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明のリモートコントロール装置のように、押ボタンの裏面の少なくとも周縁部に、押ボタンをトップケースのボタン穴に押し込んだときにプリント配線基板の表面に当接する当接部を形成してあると、当接部と押ボタンの周囲の支持壁部との間にクリアランスが殆ど生じないため、押ボタンを押し込む際に押す力が押ボタンの前後左右のいずれかに偏って作用しても、押ボタンが傾斜することなく水平な状態で押し込まれてボタン穴の内壁面に引っ掛からなくなる。従って、押す力を解除すると、押ボタンがボタン穴から元通りに突出し、沈み込みの問題を確実に解消することができる。そして、押ボタンを押し込んだときに、当接部の下面の導電膜がプリント配線基板の表面の端子部に接触して通電し、リモートコントロールを行うことができる。
【0012】
本発明のリモートコントロール装置において、押ボタンの裏面全体又は裏面の外周端部を除いた部分に当接部を形成し、この当接部の下面の全体又は一部に導電膜を形成したものは、当接部の下面の面積が大きいので、その範囲内で所望のパターンの導電膜を形成することが可能となり、導電膜の形成パターンの自由度が増大するという利点がある。また、押ボタンの裏面の周縁部に当接部を枠状又は不連続な枠片状に形成して、この枠状又は不連続な枠片状の当接部の下面の全体又は一部に導電膜を形成したものは、押ボタンの沈み込みを防止しつつ、当接部及び導電膜を小面積化して、材料の使用量を節約できる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態に係るリモートコントロール装置の分解斜視図である。
【図2】同リモートコントロール装置の横断面図である。
【図3】一つの押ボタンを押し込んだ状態の同リモートコントロール装置の横断面図である。
【図4】押ボタンの一態様を示すもので(a)はその底面図、(b)はその断面図である。
【図5】押ボタンの他の態様を示すもので(a)はその底面図、(b)はその断面図である。
【図6】押ボタンの更に他の態様を示すもので(a)はその底面図、(b)はその断面図である。
【図7】押ボタンの更に他の態様を示すもので(a)はその底面図、(b)はその断面図である。
【図8】押ボタンの更に他の態様を示すもので(a)はその底面図、(b)はその断面図である。
【図9】押ボタンの更に他の態様を示すもので(a)はその底面図、(b)はその断面図である。
【図10】押ボタンの更に他の態様を示すもので(a)はその底面図、(b)はその断面図である。
【図11】従来のリモートコントロール装置の部分断面図である。
【図12】一つの押ボタンを押し込んだ状態の従来のリモートコントロール装置の部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1,図2に例示のリモートコントロール装置(以下、リモコン装置と略記する)は、プリント配線基板1の上に、種々の押ボタン2が一体に形成された軟質シート3を、押ボタン2をプリント配線基板1から浮かせた状態で重ね、このプリント配線基板1と軟質シート3を合成樹脂製のボトムケース4及びトップケース5の内部に収容して、各押ボタン2をトップケース5の対応するボタン穴5aから突出させた構造を備えている。
【0015】
プリント配線基板1の表面には、一対の露出した端子部1a,1aが各押ボタン2の直下に位置して形成されており、押ボタン2をトップケース5のボタン穴5aに押し込むと、押ボタン2の後述する導電膜2bが一対の端子部1a,1aに接触して導通されるようになっている。そして、プリント配線基板1の後端部にはICチップ6が実装され、また、先端にはLEDレンズ7が取付けられて、このLEDレンズ7からの光線照射によりテレビ等の遠隔操作ができるようになっている。尚、プリント配線基板1の裏面には、ボトムケース4に脱着交換自在に内蔵される電池8と接触する渦巻き状の電源用端子(不図示)が設けられている。
【0016】
プリント基板1の表面に重ねられる軟質シート3は、柔軟で弾力性を備えた合成ゴム等からなるものであって、種々の押ボタン2が一体に形成されたシートである。各押ボタン2は、各押ボタン2の下側周囲に一体に形成された下拡がり状の支持壁部2cで支持されているため、プリント基板1の表面から浮き上がり、各押ボタン2の上部がトップケース5のボタン穴5aから突出するようになっている。そして、この支持壁部2cの肉厚が薄いため、図3に示すように押ボタン2を上方から押すと、支持壁部2cが弾力的に曲げ変形して、押ボタン2がトップケース5のボタン穴5aに押し込まれるようになっており、押す力を解除すると、支持壁部2cが弾発的に復元して押ボタン2が浮上し、元通りにボタン穴5aから突出するようになっている。
【0017】
図2,図3,図4に示すように、各押ボタン2の裏面2eには、各押ボタン2をボタン上面がトップケース5のボタン穴5aの周囲の上面と略面一となるまで押し込んだときにプリント配線基板1の表面に当接する当接部2aが、各押ボタン2の裏面全体に亘って形成されている。そして、この当接部2aの下面全体に亘って、導電膜2bが形成されている。この導電膜2bは、カーボンを含んだ導電インクを当接部2aの下面全体にベタ印刷して形成されたものである。
【0018】
このリモコン装置は、上記のように押ボタン2の裏面2eの全体に亘って当接部2aを形成し、該当接部2aの下面全体に導電膜2bを形成しているので、当接部2aと支持壁部2cとの間に、押ボタン2が傾斜して押し込まれる原因となるクリアランスが殆ど生じない。そのため、図3に示すように、押ボタン2を押し込む際に力Fが押ボタン2の前後左右のいずれかに偏って作用しても、押ボタン2が傾斜することなく水平な状態で押し込まれてボタン穴5aの内壁面に引っ掛からなくなる。従って、押す力Fを解除すると、押ボタン2が支持壁部2cの弾性復元力によって浮上し、ボタン穴5aから元通りに突出するので、沈み込みの問題を確実に解消することができる。そして、押ボタン2を押し込んだときには、当接部2aの下面の導電膜2bがプリント配線基板1の表面の端子部1a,1aに接触して通電されるため、LEDレンズ7からの光線照射によってテレビ等の遠隔操作を行うことができる。
【0019】
上記のリモコン装置では、押ボタン2の裏面2eの全体に当接部2aを形成しているが、図5に示すように、押ボタン2の裏面2eの外周端部2fを除いた部分に当接部2aを形成し、この当接部2aの下面の全体に導電膜2bを形成してもよい。このように押ボタン2の裏面2eの外周端部2fを除いた部分に当接部2aを形成すると、当接部2aと支持壁部2cとの間のクリアランスは若干大きくなるが、その程度のクリアランスの大きさでは押ボタン2が傾斜した状態でボタン穴5aに押し込まれて沈み込む心配がなく、むしろ、外周端部2fのクリアランスを拡大することで支持壁部2cの弾力的な曲げ変形が容易になり、押ボタン2を小さな力でスムーズに押し込み、復元させることができるので、押ボタン2の操作感触が向上するという利点がある。
【0020】
また、図6に示すように、押ボタン2の裏面2eの外周端部2fを除いた部分に当接部2aを形成して、該当接部2aの下面の一部に所望のパターン形状の導電膜2bを形成したり、押ボタン2の裏面2eの全体に当接部2aを形成して、該当接部2aの下面の一部に所望のパターン形状の導電膜を形成してもよい。このように押ボタン2の裏面2eの全体、又は、裏面2eの外周端部2fを除いた部分に当接部2aを形成すると、当接部2aの下面の面積が大きいので、その範囲内で所望のパターン形状の導電膜2bを形成することが可能となり、導電膜2bの形成パターンの自由度が増大するという利点がある。
【0021】
本発明のリモコン装置は、押ボタン2の裏面2eの少なくとも周縁部に当接部2aが形成されていれば、押ボタン2が傾斜した姿勢でボタン穴5aに押し込まれることがなくなるので、押ボタン2の沈み込み防止という目的を達成することが可能である。
【0022】
図7〜図10は、そのように押ボタン2の裏面2eの周縁部に当接部2aを形成した代表的な態様を例示したものであって、図7では、押ボタン2の裏面2eの周縁部に当接部2aを方形枠状に形成し、この方形枠状の当接部2aの下面全体に導電膜2bを形成している。
また、図8では、押ボタン2の裏面2eの周縁部に当接部2aを方形枠状に形成し、この方形枠状の当接部2aの下面の一部(当接部2aの左右の枠片部分の下面のみ)に導電膜2bを形成している。
そして、図9では、押ボタン2の裏面2eの周縁部に当接部2aを不連続な枠片状に形成し、この当接部2aの一部の下面(左右の枠片状の当接部2aの下面)に導電膜2bを形成している。
更に、図10では、押ボタン2の裏面2eの中央部から周縁部に至る放射状の当接部2aを形成し、この放射状の当接部2aの下面に導電膜2bを形成している。
【0023】
図7〜図9に示すように、押ボタン2の裏面2eの周縁部に当接部2aを枠状又は不連続な枠片状に形成して、この枠状又は不連続な枠片状の当接部2aの下面の全体又は一部に導電膜2bを形成する場合や、図10に示すように、押ボタン2の周縁部に至る放射状の当接部2aを形成して、その下面に導電膜2bを形成する場合は、押ボタン2の沈み込みを防止しつつ、当接部2a及び導電膜2bを小面積化して、材料の使用量を節約できる利点がある。
【0024】
以上、具体的な実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明の沈み込み防止対策が必要な押ボタン2は、押ボタン2の裏面の中央部に小さな当接部があるだけでは傾斜状態でボタン穴5aに押し込まれて沈み込みが生じる面積の大きい押ボタン2であるから、面積の小さい押ボタンには沈み込み防止対策を施す必要はない。
また、以上の実施形態では、方形の押ボタン2を例示して説明したが、円形、長円形、楕円形、不定形の押ボタンの場合も同様の沈み込み防止対策を施せばよいことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0025】
1 プリント配線基板
1a 端子部
2 押ボタン
2a 当接部
2b 導電膜
2c 支持壁部
2d クリアランス
2e 押ボタンの裏面
2f 押ボタンの裏面の外周端部
3 軟質シート
4 ボトムケース
5 トップケース
5a ボタン穴
【技術分野】
【0001】
本発明はリモートコントロール装置に関し、更に詳しくは、押ボタンを押したとき押ボタンがトップケースのボタン穴に沈み込まないように改良したリモートコントロール装置に関する。
【背景技術】
【0002】
テレビなどのリモートコントロール装置は、図11に示すように、プリント配線基板1の上に、押ボタン2を形成した軟質シート3を押ボタン2がプリント配線基板1から浮き上がった状態で重ね、このプリント配線基板1と軟質シート3をボトムケース4及びトップケース5の内部に収容して、押ボタン2をトップケース5のボタン穴5aから突出させた構造のものが多い。
【0003】
このようなリモートコントロール装置は、通常、押ボタン2の裏面の中央部に、押ボタン2をトップケース5のボタン穴5aに押し込んだときにプリント配線基板1の表面に当接する当接部2aを下向きに突設して、この当接部2aの下面に導電膜2bを形成しているため、押ボタン2を押し込むと、この当接部2aの下面の導電膜2bがプリント配線基板1の表面の端子部1aに接触して通電されるようなっている。
【0004】
一方、押ボタン部の裏面中央に凸部を設けて、この凸部の下面に特定のシリコーンゴム組成物の硬化物からなる導電性エラストマーのゴム接点部材を取付け、押ボタン部を押すと、ゴム接点部材が回路基板の固定接点に接触して導通するようにした押ボタンスイッチ部材(特許文献1)や、操作ボタンの裏面に接触抵抗発生板を取付け、操作ボタンを押すと接触抵抗発生板が基板の導電ランドに接触するようにした可変抵抗器(特許文献2)なども提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−184964号公報
【特許文献2】特開2002−57006号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図11に示す従来のリモートコントロール装置は、本来、導電膜2bがプリント配線基板1の表面の端子部1aに接触して通電されるとよいものであるから、押ボタン2の裏面中央部に小さな当接部2aを突設して導電膜2bの面積が極力小面積となるように設計されることが多い。けれども、当接部2aを小さくして導電膜2bを極力小面積にすると、当接部2aから押ボタン2の周囲の支持壁部2cまでのクリアランス2dが大きくなるため、図12に示すように、押ボタン2をトップケース5のボタン穴5aに押し込む際に力Fが押ボタン2の片側に偏って作用すると、押ボタン2が傾斜した姿勢でボタン穴5aに沈み込み、ボタン穴5aの内壁面に引っ掛かってボタン穴5aから元通りに突出しないことがあり、問題となっていた。
【0007】
一方、前記特許文献1の押ボタンスイッチ部材や前記特許文献2の可変抵抗器の操作ボタンは、ボタン穴への沈み込みが生じる構造ではないため、沈み込みを防止する対策が採られてなく、従って、これらの特許文献1,2の技術をもって上記リモートコントロール装置における押ボタンの沈み込みの問題を解決することはできない。
【0008】
本発明は上記事情の下になされたもので、その解決しようとする課題は、押ボタンを押したとき押ボタンがトップケースのボタン穴に沈み込むのを確実に防止できるリモートコントロール措置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明に係るリモートコントロール装置は、プリント配線基板の上に、押ボタンが形成された軟質シートを押ボタンをプリント配線基板から浮かせた状態で重ね、このプリント配線基板と軟質シートをボトムケース及びトップケースの内部に収容して、押ボタンをトップケースのボタン穴から突出させたリモートコントロール装置において、押ボタンの裏面の少なくとも周縁部に、押ボタンをトップケースのボタン穴に押し込んだときにプリント配線基板の表面に当接する当接部を形成すると共に、押ボタンを押し込んだときにプリント配線基板の表面の端子部と接触する導電膜を上記当接部の下面に形成したことを特徴とするものである。
【0010】
本発明のリモートコントロール装置においては、押ボタンの裏面全体又は裏面の外周端部を除いた部分に当接部を形成して、この当接部の下面の全体又は一部に導電膜を形成してもよいし、押ボタンの裏面の周縁部に当接部を枠状又は不連続な枠片状に形成して、この枠状又は不連続な枠片状の当接部の下面の全体又は一部に導電膜を形成してもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明のリモートコントロール装置のように、押ボタンの裏面の少なくとも周縁部に、押ボタンをトップケースのボタン穴に押し込んだときにプリント配線基板の表面に当接する当接部を形成してあると、当接部と押ボタンの周囲の支持壁部との間にクリアランスが殆ど生じないため、押ボタンを押し込む際に押す力が押ボタンの前後左右のいずれかに偏って作用しても、押ボタンが傾斜することなく水平な状態で押し込まれてボタン穴の内壁面に引っ掛からなくなる。従って、押す力を解除すると、押ボタンがボタン穴から元通りに突出し、沈み込みの問題を確実に解消することができる。そして、押ボタンを押し込んだときに、当接部の下面の導電膜がプリント配線基板の表面の端子部に接触して通電し、リモートコントロールを行うことができる。
【0012】
本発明のリモートコントロール装置において、押ボタンの裏面全体又は裏面の外周端部を除いた部分に当接部を形成し、この当接部の下面の全体又は一部に導電膜を形成したものは、当接部の下面の面積が大きいので、その範囲内で所望のパターンの導電膜を形成することが可能となり、導電膜の形成パターンの自由度が増大するという利点がある。また、押ボタンの裏面の周縁部に当接部を枠状又は不連続な枠片状に形成して、この枠状又は不連続な枠片状の当接部の下面の全体又は一部に導電膜を形成したものは、押ボタンの沈み込みを防止しつつ、当接部及び導電膜を小面積化して、材料の使用量を節約できる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態に係るリモートコントロール装置の分解斜視図である。
【図2】同リモートコントロール装置の横断面図である。
【図3】一つの押ボタンを押し込んだ状態の同リモートコントロール装置の横断面図である。
【図4】押ボタンの一態様を示すもので(a)はその底面図、(b)はその断面図である。
【図5】押ボタンの他の態様を示すもので(a)はその底面図、(b)はその断面図である。
【図6】押ボタンの更に他の態様を示すもので(a)はその底面図、(b)はその断面図である。
【図7】押ボタンの更に他の態様を示すもので(a)はその底面図、(b)はその断面図である。
【図8】押ボタンの更に他の態様を示すもので(a)はその底面図、(b)はその断面図である。
【図9】押ボタンの更に他の態様を示すもので(a)はその底面図、(b)はその断面図である。
【図10】押ボタンの更に他の態様を示すもので(a)はその底面図、(b)はその断面図である。
【図11】従来のリモートコントロール装置の部分断面図である。
【図12】一つの押ボタンを押し込んだ状態の従来のリモートコントロール装置の部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1,図2に例示のリモートコントロール装置(以下、リモコン装置と略記する)は、プリント配線基板1の上に、種々の押ボタン2が一体に形成された軟質シート3を、押ボタン2をプリント配線基板1から浮かせた状態で重ね、このプリント配線基板1と軟質シート3を合成樹脂製のボトムケース4及びトップケース5の内部に収容して、各押ボタン2をトップケース5の対応するボタン穴5aから突出させた構造を備えている。
【0015】
プリント配線基板1の表面には、一対の露出した端子部1a,1aが各押ボタン2の直下に位置して形成されており、押ボタン2をトップケース5のボタン穴5aに押し込むと、押ボタン2の後述する導電膜2bが一対の端子部1a,1aに接触して導通されるようになっている。そして、プリント配線基板1の後端部にはICチップ6が実装され、また、先端にはLEDレンズ7が取付けられて、このLEDレンズ7からの光線照射によりテレビ等の遠隔操作ができるようになっている。尚、プリント配線基板1の裏面には、ボトムケース4に脱着交換自在に内蔵される電池8と接触する渦巻き状の電源用端子(不図示)が設けられている。
【0016】
プリント基板1の表面に重ねられる軟質シート3は、柔軟で弾力性を備えた合成ゴム等からなるものであって、種々の押ボタン2が一体に形成されたシートである。各押ボタン2は、各押ボタン2の下側周囲に一体に形成された下拡がり状の支持壁部2cで支持されているため、プリント基板1の表面から浮き上がり、各押ボタン2の上部がトップケース5のボタン穴5aから突出するようになっている。そして、この支持壁部2cの肉厚が薄いため、図3に示すように押ボタン2を上方から押すと、支持壁部2cが弾力的に曲げ変形して、押ボタン2がトップケース5のボタン穴5aに押し込まれるようになっており、押す力を解除すると、支持壁部2cが弾発的に復元して押ボタン2が浮上し、元通りにボタン穴5aから突出するようになっている。
【0017】
図2,図3,図4に示すように、各押ボタン2の裏面2eには、各押ボタン2をボタン上面がトップケース5のボタン穴5aの周囲の上面と略面一となるまで押し込んだときにプリント配線基板1の表面に当接する当接部2aが、各押ボタン2の裏面全体に亘って形成されている。そして、この当接部2aの下面全体に亘って、導電膜2bが形成されている。この導電膜2bは、カーボンを含んだ導電インクを当接部2aの下面全体にベタ印刷して形成されたものである。
【0018】
このリモコン装置は、上記のように押ボタン2の裏面2eの全体に亘って当接部2aを形成し、該当接部2aの下面全体に導電膜2bを形成しているので、当接部2aと支持壁部2cとの間に、押ボタン2が傾斜して押し込まれる原因となるクリアランスが殆ど生じない。そのため、図3に示すように、押ボタン2を押し込む際に力Fが押ボタン2の前後左右のいずれかに偏って作用しても、押ボタン2が傾斜することなく水平な状態で押し込まれてボタン穴5aの内壁面に引っ掛からなくなる。従って、押す力Fを解除すると、押ボタン2が支持壁部2cの弾性復元力によって浮上し、ボタン穴5aから元通りに突出するので、沈み込みの問題を確実に解消することができる。そして、押ボタン2を押し込んだときには、当接部2aの下面の導電膜2bがプリント配線基板1の表面の端子部1a,1aに接触して通電されるため、LEDレンズ7からの光線照射によってテレビ等の遠隔操作を行うことができる。
【0019】
上記のリモコン装置では、押ボタン2の裏面2eの全体に当接部2aを形成しているが、図5に示すように、押ボタン2の裏面2eの外周端部2fを除いた部分に当接部2aを形成し、この当接部2aの下面の全体に導電膜2bを形成してもよい。このように押ボタン2の裏面2eの外周端部2fを除いた部分に当接部2aを形成すると、当接部2aと支持壁部2cとの間のクリアランスは若干大きくなるが、その程度のクリアランスの大きさでは押ボタン2が傾斜した状態でボタン穴5aに押し込まれて沈み込む心配がなく、むしろ、外周端部2fのクリアランスを拡大することで支持壁部2cの弾力的な曲げ変形が容易になり、押ボタン2を小さな力でスムーズに押し込み、復元させることができるので、押ボタン2の操作感触が向上するという利点がある。
【0020】
また、図6に示すように、押ボタン2の裏面2eの外周端部2fを除いた部分に当接部2aを形成して、該当接部2aの下面の一部に所望のパターン形状の導電膜2bを形成したり、押ボタン2の裏面2eの全体に当接部2aを形成して、該当接部2aの下面の一部に所望のパターン形状の導電膜を形成してもよい。このように押ボタン2の裏面2eの全体、又は、裏面2eの外周端部2fを除いた部分に当接部2aを形成すると、当接部2aの下面の面積が大きいので、その範囲内で所望のパターン形状の導電膜2bを形成することが可能となり、導電膜2bの形成パターンの自由度が増大するという利点がある。
【0021】
本発明のリモコン装置は、押ボタン2の裏面2eの少なくとも周縁部に当接部2aが形成されていれば、押ボタン2が傾斜した姿勢でボタン穴5aに押し込まれることがなくなるので、押ボタン2の沈み込み防止という目的を達成することが可能である。
【0022】
図7〜図10は、そのように押ボタン2の裏面2eの周縁部に当接部2aを形成した代表的な態様を例示したものであって、図7では、押ボタン2の裏面2eの周縁部に当接部2aを方形枠状に形成し、この方形枠状の当接部2aの下面全体に導電膜2bを形成している。
また、図8では、押ボタン2の裏面2eの周縁部に当接部2aを方形枠状に形成し、この方形枠状の当接部2aの下面の一部(当接部2aの左右の枠片部分の下面のみ)に導電膜2bを形成している。
そして、図9では、押ボタン2の裏面2eの周縁部に当接部2aを不連続な枠片状に形成し、この当接部2aの一部の下面(左右の枠片状の当接部2aの下面)に導電膜2bを形成している。
更に、図10では、押ボタン2の裏面2eの中央部から周縁部に至る放射状の当接部2aを形成し、この放射状の当接部2aの下面に導電膜2bを形成している。
【0023】
図7〜図9に示すように、押ボタン2の裏面2eの周縁部に当接部2aを枠状又は不連続な枠片状に形成して、この枠状又は不連続な枠片状の当接部2aの下面の全体又は一部に導電膜2bを形成する場合や、図10に示すように、押ボタン2の周縁部に至る放射状の当接部2aを形成して、その下面に導電膜2bを形成する場合は、押ボタン2の沈み込みを防止しつつ、当接部2a及び導電膜2bを小面積化して、材料の使用量を節約できる利点がある。
【0024】
以上、具体的な実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明の沈み込み防止対策が必要な押ボタン2は、押ボタン2の裏面の中央部に小さな当接部があるだけでは傾斜状態でボタン穴5aに押し込まれて沈み込みが生じる面積の大きい押ボタン2であるから、面積の小さい押ボタンには沈み込み防止対策を施す必要はない。
また、以上の実施形態では、方形の押ボタン2を例示して説明したが、円形、長円形、楕円形、不定形の押ボタンの場合も同様の沈み込み防止対策を施せばよいことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0025】
1 プリント配線基板
1a 端子部
2 押ボタン
2a 当接部
2b 導電膜
2c 支持壁部
2d クリアランス
2e 押ボタンの裏面
2f 押ボタンの裏面の外周端部
3 軟質シート
4 ボトムケース
5 トップケース
5a ボタン穴
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント配線基板の上に、押ボタンが形成された軟質シートを押ボタンをプリント配線基板から浮かせた状態で重ね、このプリント配線基板と軟質シートをボトムケース及びトップケースの内部に収容して、押ボタンをトップケースのボタン穴から突出させたリモートコントロール装置において、
押ボタンの裏面の少なくとも周縁部に、押ボタンをトップケースのボタン穴に押し込んだときにプリント配線基板の表面に当接する当接部を形成すると共に、押ボタンを押し込んだときにプリント配線基板の表面の端子部と接触する導電膜を上記当接部の下面に形成したことを特徴とするリモートコントロール装置。
【請求項2】
上記押ボタンの裏面全体又は裏面の外周端部を除いた部分に上記当接部を形成すると共に、上記導電膜を上記当接部の下面の全体又は一部に形成したことを特徴とする請求項1に記載のリモートコントロール装置。
【請求項3】
上記押ボタンの裏面の周縁部に上記当接部を枠状又は不連続な枠片状に形成し、この枠状又は不連続な枠片状の当接部の下面の全体又は一部に上記導電膜を形成したことを特徴とする請求項1に記載のリモートコントロール装置。
【請求項1】
プリント配線基板の上に、押ボタンが形成された軟質シートを押ボタンをプリント配線基板から浮かせた状態で重ね、このプリント配線基板と軟質シートをボトムケース及びトップケースの内部に収容して、押ボタンをトップケースのボタン穴から突出させたリモートコントロール装置において、
押ボタンの裏面の少なくとも周縁部に、押ボタンをトップケースのボタン穴に押し込んだときにプリント配線基板の表面に当接する当接部を形成すると共に、押ボタンを押し込んだときにプリント配線基板の表面の端子部と接触する導電膜を上記当接部の下面に形成したことを特徴とするリモートコントロール装置。
【請求項2】
上記押ボタンの裏面全体又は裏面の外周端部を除いた部分に上記当接部を形成すると共に、上記導電膜を上記当接部の下面の全体又は一部に形成したことを特徴とする請求項1に記載のリモートコントロール装置。
【請求項3】
上記押ボタンの裏面の周縁部に上記当接部を枠状又は不連続な枠片状に形成し、この枠状又は不連続な枠片状の当接部の下面の全体又は一部に上記導電膜を形成したことを特徴とする請求項1に記載のリモートコントロール装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−113819(P2011−113819A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−269364(P2009−269364)
【出願日】平成21年11月27日(2009.11.27)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月27日(2009.11.27)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】
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