リング型ネットワークにおける伝送方法および伝送装置
【課題】ラベルスイッチング方式のリング型ネットワークにおいて、ラベルテーブルの管理が容易で障害発生時に短時間で迂回経路を設定できる伝送方法および伝送装置を提供する。
【解決手段】本伝送方法は、隣接するノード間を接続する片方向のリンクを単位にして、全てのノード間の各方向のリンクに対し障害発生時用のラベルを予め個別に設定しておき、障害発生時、障害区間の終点ノード#4から同方向のリング上に障害通知メッセージMfを送出して下流の各ノードで順次転送し、該障害通知メッセージMfの受信に連動して各ノードでリンクを繋ぎ合わせるラベルテーブルを作成すると共に、障害区間の両端ノード#3,#4でのリングの折り返しにより迂回経路を形成する。
【解決手段】本伝送方法は、隣接するノード間を接続する片方向のリンクを単位にして、全てのノード間の各方向のリンクに対し障害発生時用のラベルを予め個別に設定しておき、障害発生時、障害区間の終点ノード#4から同方向のリング上に障害通知メッセージMfを送出して下流の各ノードで順次転送し、該障害通知メッセージMfの受信に連動して各ノードでリンクを繋ぎ合わせるラベルテーブルを作成すると共に、障害区間の両端ノード#3,#4でのリングの折り返しにより迂回経路を形成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラベルスイッチング方式を適用したリング型ネットワークにおいて障害発生時の回避制御を行う伝送方法および伝送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、パケット技術の進歩により、キャリア領域へのパケットの適用が進んでいる。また、リング型ネットワークは、伝送路を効率的に配線できるネットワーク形態として有効である。このため、リング型ネットワークに対してパケット技術を適用することが重要視されている。このような状況に対応し、MPLS(Multi-Protocol Label Switching)などのラベルを付加したパケットを経路上のノード間で伝送および交換するラベルスイッチング方式を適用したリング型ネットワークが提案されている。
【0003】
また、キャリア領域でのパケット技術の拡大に伴い、障害の発生によりパケット伝送が中断した状態を短時間で復旧させる回避制御技術(以下、「プロテクション」と呼ぶ)が重要になり、特に、オペレータの手を介することのないプロテクション方式の実現が望まれている。このようなプロテクション方式は、障害発生時だけでなく、リング形態を基本にしてネットワークを拡張したり、複数のリングを相互に接続したりする場合にも応用することが可能である。
【0004】
ラベルスイッチング方式を適用したリング型ネットワークにおける従来のプロテクション方式としては、例えば図18に示すように、ユーザデータがリング上を一方向に伝送される現用パスとは別に、データの流れが現用パスとは逆方向となるループ状の冗長パスを予め設定しておき、障害発生時には、障害区間に隣接するノード(図の例ではノード#4,#5)でラベルの対応付け(ラベルテーブル)を変更して現用パスと冗長パスの切替えを行い、障害区間を迂回させる方式が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2002−344493号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のようなラベルスイッチング方式のリング型ネットワークにおける従来のプロテクション方式については、リング上のノード数またはノード間のリンク数が増加すると、各ノードにそれぞれ用意される冗長パス対応のラベルテーブルが複雑なものになり、その管理が難しくなるという課題がある。例えば、図19に示すような6個のノードがリング状に接続されたネットワークの場合、右回りの現用パスに対して、任意の箇所でのプロテクションを実現するには、各ノードが冗長パスの周回性を確認する必要があるので、各々のノードごとに始点/終点を定めた左回りの冗長パスが6通り設定される(図19のリング内側の矢印線)。また、これと同様に左回りの現用パスに対しても、右回りの冗長パスが6通り設定される(図19のリング外側の矢印線)。よって、リング上の各ノードには、12通りの冗長パスにそれぞれ対応したラベルテーブルを設定しておくことが必要になる。つまり、1つのノードに対してノード数の4倍のラベルテーブルを設定することになるので、リング上のノード数(またはリンク数)が増加するとネットワーク全体でのラベルの管理が煩雑化する。
【0007】
上記のような課題に対し、一方向の現用パスについて冗長パスを1つだけ設定して有効なプロテクションを行うためには、障害発生時における現用/冗長パスの切替え処理の際に迂回経路の接続性を確認することが従来技術では必要になる。この接続性の確認は、通常、折り返し試験(ループバック試験)により行われるため、当該制御信号が迂回経路を一往復することになる。この制御信号の一往復に要する時間は、現用/冗長パスの切替え処理時間を増大させることになるので、短時間のプロテクションの実現が難しくなる。よって、冗長パスの設定数を削減(効率化)してラベル管理の容易化を図る場合、迂回経路の接続性確認を含めたパス切替え処理時間を如何にして短くするかという課題もある。
【0008】
本発明は上記の点に着目してなされたもので、ラベルスイッチング方式のリング型ネットワークにおいて、ラベルテーブルの管理が容易で障害発生時に短時間で迂回経路を設定できる伝送方法および伝送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するため本伝送方法の一態様は、リング状に接続された複数のノード間でラベルスイッチング方式を適用してパケットを双方向に伝送するリング型ネットワークにおける障害発生時の回避制御を行うための伝送方法であって、次の(A)〜(E)の各過程を含んでいる。
【0010】
まず、(A)隣接するノード間を接続する片方向のリンクを単位として、全てのノード間の各方向のリンクに対し、障害発生時用のラベルを予め個別に設定する。次に、(B)いずれかの方向のリング上で障害が発生した時、当該障害区間の終点に位置するノードが、障害の発生を通知する障害通知メッセージを同方向のリング上に送出すると共に、自ノードにおける同方向のリング側の出力ポートと逆方向のリング側の入力ポートとの間を接続して各方向のリングを折り返す経路を形成し、かつ、該経路に対応させて自ノードのラベルテーブルを書き換えて記憶する。
【0011】
また、(C)前記同方向のリング上に送出された障害通知メッセージを下流の各ノードで順次転送すると共に、該障害通知メッセージを転送した各々のノードが、前記障害発生時用のラベルについて、逆方向のリング側の自ノードに隣接する2つのリンクを繋ぎ合わせるためのラベルテーブルを作成して記憶する。
【0012】
さらに、(D)前記下流の各ノードで順次転送された前記障害通知メッセージを前記障害区間の始点に位置するノードで終端すると共に、該障害通知メッセージを終端したノードが、自ノードにおける同方向のリング側の入力ポートと逆方向のリング側の出力ポートとの間を接続して各方向のリングを折り返す経路を形成し、かつ、該経路に対応させて自ノードのラベルテーブルを書き換えて記憶する。
【0013】
そして、(E)前記障害が発生している間、障害区間に到来したパケットを、前記各ノードが各々の記憶したラベルテーブルに従ってラベルスイッチングして伝送し、障害区間を迂回させる。
【発明の効果】
【0014】
上記のような本伝送方法によれば、リング形態というネットワーク構成に着目し、隣接ノード間の片方向のリンクを単位に障害発生時用のラベルを事前設定しておき、障害発生時に同方向のリング上の各ノード間で順次転送される障害通知メッセージに連動して、障害発生時用のラベルで定義されるリンクを繋ぎ合わせて迂回経路を設定するようにしたことで、リング上のノード数が増加しても各ノードでのラベルテーブルの管理を容易に行うことができる。また、各ノード間で障害通知メッセージを一周回させるだけで迂回経路の形成および接続確認が行われるので、プロテクション動作を確実に短時間で実行することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための最良の形態について添付図面を参照しながら説明する。なお、全図を通して同一の符号は同一または相当部分を示すものとする。
【0016】
図1は、本伝送装置の一実施形態の構成を示すブロック図である。また、図2〜図5は、図1の伝送装置を各ノードに適用したリング型ネットワークにおける障害発生時のプロテクション動作を説明するための図である。
図1において、本実施形態の伝送装置は、例えば、リング型ネットワークの右回りのリングに接続される入力ポートP1および出力ポートP2と、左回りのリングに接続される入力ポートP3および出力ポートP4を有する。
【0017】
入力ポートP1および出力ポートP2の間の信号経路上には、リンクモニタ部11A、障害通知メッセージ抽出部12A、ラベル処理ラベル処理部13A、スイッチ14および障害通知メッセージ送出部15Aが順に配置されている。また、入力ポートP3および出力ポートP4の間の信号経路上にも、リンクモニタ部11B、障害通知メッセージ抽出部12B、ラベル処理部13B、スイッチ14および障害通知メッセージ送出部15Bが順に配置されている。なお、スイッチ14は、各方向の信号経路に跨って設けられている。
【0018】
リンクモニタ部11A,11Bは、入力ポートP1,P3への入力信号の状態を監視し、入力ポートP1,P3に接続されている伝送路(リンク)において障害が発生しているか否か、および、該障害から復帰したか否かを検出して、その結果を制御メッセージ処理部16に伝える。ここでは、リンクモニタ部11A,11Bが障害検出手段として機能する。制御メッセージ処理部16は、リンクモニタ部11A,11Bのいずれかで障害の発生が検出されると、障害通知メッセージMfおよびスイッチ切替えメッセージMsを生成する。障害通知メッセージMfは、障害が発生している側の障害通知メッセージ送出部15を介して同方向のリング上に送出され、上流リンクでの障害発生を下流の各ノードに順次通知する。スイッチ切替えメッセージMsは、スイッチ制御部19に出力され、障害区間に隣接するノードでリングが折り返されるようにスイッチ14の状態が切り替えられる。また、制御メッセージ処理部16は、リンクモニタ部11A,11Bのいずれかで障害からの復帰が検出されると、障害発生中に継続していた障害通知メッセージMfを停止すると共に、スイッチ切替えメッセージMsをスイッチ制御部19に出力する。このスイッチ切替えメッセージMsにより、スイッチ14は障害発生前の状態に切り替えられる。なお、ここでは、障害からの復帰により障害通知メッセージMfを停止するようにしているが、障害発生検出時に障害通知メッセージを送出し、障害復帰検出時には障害通知メッセージとは異なる障害復帰メッセージを送出するようにしてもよい。
【0019】
障害通知メッセージ抽出部12A,12Bは、入力ポートP1,P3からリンクモニタ部11A,11Bを通って入力される信号より、上流のノードから送出される障害通知メッセージMfを抽出し、それを制御メッセージ処理部16に出力する。制御メッセージ処理部16は、障害通知メッセージ抽出部12A,12Bのいずれかより障害通知メッセージMfが送られてくると、後述するラベルバインドの処理を実行するよう指示するラベル処理メッセージMlをラベルテーブル管理部17に出力する。ラベルテーブル管理部17は、制御メッセージ処理部16からのラベル処理メッセージMlを受けて、ラベルテーブル記憶部18に記憶されているラベルテーブルを更新する。なお、ラベルテーブル管理部17によるラベルテーブルの更新処理の詳細については後述する。
【0020】
ラベル処理部13A,13Bは、入力ポートP1,P3からリンクモニタ部11A,11Bおよび障害通知メッセージ抽出部12A,12Bを通って入力される信号(パケット)に対して、ラベルテーブル記憶部18に記憶されているラベルテーブルに従い、所要のラベルスイッチング処理を実行する。このラベルスイッチング処理は、MPLSなどで一般的に行われている処理と同様に、ラベルが付加されたパケットの経路(Label Switched Path:LSP)上において始点に位置するノード等でパケットにラベルを付加してフォワーディングする処理(Push)、中間のノードでパケットのラベルを付け替えてフォワーディングする処理(Swap)、終点のノード等でパケットのラベルを取り外す処理(Pop)などがある。
【0021】
スイッチ14は、ここでは2つの入力ポートPs1,Ps3および2つの出力ポートPs2,Ps4を有し、各ラベル処理部13A,13Bの出力端が各入力ポートPs1,Ps3にそれぞれ接続され、障害通知メッセージ送出部15A,15Bの各入力端が各出力ポートPs2,Ps4にそれぞれ接続されている。このスイッチ14は、スイッチ制御部19からの制御信号に従って入出力ポート間の接続状態が切り替えられる。
【0022】
次に、上記のような構成の伝送装置を各ノードに適用したリング型ネットワークにおける障害発生時のプロテクション動作について説明する。ここでは、図2等に例示すように、リング上に6個のノードが配置されたネットワーク構成を想定して説明を行う。ただし、リング上のノード数は上記の一例に限定されるものではない。
【0023】
まず、図2に示す運用開始前の初期状態において、各ノード#1〜#6の間をそれぞれ接続する片方向の伝送路(リンク)を単位として、全てのノード間の各方向のリンクに対し、障害発生時に用いるラベルが個別に設定される。該設定された障害発生時用のラベルは、各々のノードのラベルテーブル管理部17に登録される。ここでは例えば、ノード#1,#2間の右回りのリンクのラベルが「101」、左回りのリンクのラベルが「102」に設定される。また、ノード#2,#3間の右回りのリンクのラベルが「201」、左回りのリンクのラベルが「202」に設定される。また、ノード#3,#4間の右回りのリンクのラベルが「301」、左回りのリンクのラベルが「302」に設定される。また、ノード#4,#5間の右回りのリンクのラベルが「401」、左回りのリンクのラベルが「402」に設定される。また、ノード#5,#6間の右回りのリンクのラベルが「501」、左回りのリンクのラベルが「502」に設定される。また、ノード#6,#1間の右回りのリンクのラベルが「601」、左回りのリンクのラベルが「602」に設定される。以下の説明では、上記ラベルで定義されるパスのことを「リンクパス」と呼ぶ場合がある。
【0024】
ただし、上記の各ラベル101,102,…,601,602は、障害の発生していない通常の運用時においては、各々のリンクに対するラベルの割り当てのみが行われるだけで、ユーザデータ(パケット)をマッピングして伝送するためのラベルとしては用いられない。すなわち、各ラベル101,102,…,601,602は、後で詳しく説明するように、障害発生時に障害区間を迂回するパスを形成するために、リンク単位で事前に定義されるものである。
【0025】
なお、通常運用時のユーザデータの伝送には、図3に例示するように、上記の図2で設定したラベル101,102,…,601,602とは異なるラベルが使用される。具体的に図3の例では、ノード#2からノード#5に右回りにユーザデータを伝送する場合に、ノード#2でラベル「abc」を付加したユーザデータがノード#3に送られる。ノード#3では、通常時のラベルテーブルLT(#3)に従い、ノード#2からのユーザデータのラベルが「abc」から「def」に付け替えられてノード#4に送られる。また、ノード#4でも、通常時のラベルテーブルLT(#4)に従い、ノード#3からのユーザデータのラベルが「def」から「ghi」に付け替えられてノード#5に送られる。そして、ノード#5では、ノード#4からのユーザデータのラベル「ghi」が外され終端される。
【0026】
次に、例えば図4に示すようにノード#3,#4間の右回りのリングに対応した伝送路(リンク)で障害が発生した場合のプロテクション動作を説明する。この場合、ノード#4は、リンクモニタ部11Aにおいてノード#3からの入力信号がなくなったことにより障害の発生を検出する。そして、リンクモニタ部11Aでの検出結果を受けた制御メッセージ処理部16では障害通知メッセージMfが生成される。この障害通知メッセージMfは、障害通知メッセージ送出部15Aを介して右回りのリング上に送出され、ノード#4より下流に位置する各ノードで順次転送されてノード#3で終端される(図4中段の破線矢印)。なお、ノード#3は、ノード#3からノード#4への信号伝送が不可能であることを、障害発生中のリンクとは逆方向のリンクを介してノード#4から直接知らされることにより、自ノードでの障害通知メッセージMfの終端を判断するものとする。
【0027】
また、ノード#4の制御メッセージ処理部16では、上記障害通知メッセージMfと共にスイッチ切替えメッセージMsが生成され、それがスイッチ制御部19に出力される。これにより、ノード#4内のスイッチ14の入出力ポートの接続状態は、左回りのリング上からの信号が入力される入力ポートPs3と右回りのリング上へ信号を出力する出力ポートPs2との間が接続されるように切り替えられる。
【0028】
ノード#4より下流の各ノードでは、ノード#4から右回りのリング上に送出された障害通知メッセージMfが障害通知メッセージ抽出部12Aで抽出されると、ラベルバインド処理を指示するラベル処理メッセージMlが、制御メッセージ処理部16からラベルテーブル管理部17に出力される。ラベルテーブル管理部17では、ラベル処理メッセージMlを受けて、事前にリンク単位でラベルを割り当てておいたパス(図2)のうち、左回りのリング側の自ノードに隣接するリンクパスを繋ぎ合わせる処理(図4中段の点線丸印)が行われる。
【0029】
具体的に、ノード#4からの障害通知メッセージMfを最初に受けるノード#5では、左回りのリング側から「502」のラベルが付加されたパケットが入力されたときに、該パケットのラベルを「402」に付け替えてフォワーディングするラベルテーブルLT(#5)が、ラベルテーブル管理部17で作成されてラベルテーブル記憶部18に記憶される。以降同様にして、ノード#6では入力ラベル「602」を出力ラベル「502」に付け替えるラベルテーブルLT(#6)が作成および記憶され、ノード#1では入力ラベル「102」を出力ラベル「602」に付け替えるラベルテーブルLT(#1)が作成および記憶され、ノード#2では入力ラベル「202」を出力ラベル「102」に付け替えるラベルテーブルLT(#2)が作成および記憶される。
【0030】
ノード#4からの障害通知メッセージMfを最後に受けるノード#3では、リングを折り返すためのスイッチ切替えメッセージMsが制御メッセージ処理部16からスイッチ制御部19に出力される。これにより、ノード#3内のスイッチ14の入出力ポートの接続状態は、右回りのリング上からの信号が入力される入力ポートPs1と左回りのリング上へ信号を出力する出力ポートPs4との間が接続されるように切り替えられる。また、ノード#3では、通常運用時のラベルテーブルを上記リングの折返し経路に対応したものに書き換えるラベル処理メッセージMlが制御メッセージ処理部16からラベルテーブル管理部17に出力される。これにより、右回りのリング側から「abc」のラベルが付加されたパケットが入力されたときに、該パケットのラベルを通常時と同様に「def」に付け替え、さらに、それよりも前に「202」のラベルを付加することで「def」をスタックするラベルテーブルLT(#3)が、ラベルテーブル管理部17で作成されてラベルテーブル記憶部18に記憶される(図4下段の右側)。
【0031】
なお、上記ノード#3に障害区間を挟んで対向するノード#4では、障害通知メッセージMfを送出した後に、ラベルテーブルの書換えを指示するメッセージMlが制御メッセージ処理部16からラベルテーブル管理部17に出力される。ノード#4のラベルテーブル管理部17では、左回りのリング側から「402」のラベルが付加されたパケットが入力されたときに、その「402」を外すと共に、スタックされていた「def」を通常時と同様に「ghi」に付け替えるラベルテーブルLT(#4)が作成されて、ラベルテーブル記憶部18に記憶される(図4下段の左側)。
【0032】
上記のような一連の処理により、ノード#3,#4間のリンクで発生した障害を迂回するためのラベルパス、すなわち、ラベル202,102,602,502,402でそれぞれ定義されるリンクパスを順に繋げた迂回経路が形成される。これにより、ノード#2で「abc」のラベルが付加されたパケットが、ノード#2の出力ポートP2から出力され隣接するノード#3の入力ポートP1に入力されると、ノード#3のラベル処理部13Aでは、ラベルテーブル記憶部18に記憶されたラベルテーブルLT(#3)に従って、入力パケットのラベルが「abc」から「def」に付け替えられると共に、それよりも前に「202」が付加されて「def」がスタックされる。「202」のラベルが付加されたパケットは、スイッチ14で左回りのリング側に折り返され、出力ポートP4よりノード#2に向けて出力される。
【0033】
「202」のラベルが付加されたパケットがノード#2の入力ポートP3に入力されると、ノード#2のラベル処理部13Bでは、ラベルテーブル記憶部18に記憶されたラベルテーブルLT(#2)に従って、入力パケットのラベルが「202」から「102」に付け替えられる。「102」のラベルが付加されたパケットは、スイッチ14を通過し、出力ポートP4よりノード#1に向けて出力される。以降同様にして、ノード#1で「102」から「602」へのラベルの付替え、ノード#6で「602」から「502」へのラベルの付替え、ノード#5で「502」から「402」へのラベルの付替えが順次行われる。
【0034】
「402」のラベルが付加されたパケットが、ノード#5の出力ポートP4から出力され隣接するノード#4の入力ポートP3に入力されると、ノード#4のラベル処理部13Bでは、ラベルテーブル記憶部18に記憶されたラベルテーブルLT(#4)に従って、入力パケットの「402」が外されると共に、スタックされていた「def」が「ghi」に付け替えられる。「ghi」のラベルが付加されたパケットは、スイッチ14で右回りのリング側に折り返され、出力ポートP2よりノード#5に向けて出力される。そして、「ghi」のラベルが付加されたパケットがノード#5の入力ポートP1に入力されると、ノード#5のラベル処理部13Aで「ghi」が外されてパケットが終端される。
【0035】
次に、図5を参照しながら障害復帰時の動作について説明する。
図5の上段に示すようにノード#3,#4間で発生していた障害が復帰すると、該復帰がノード#4のリンクモニタ11Aで検出されて制御メッセージ処理部16に伝えられる。リンクモニタ11Aからの障害復帰を受けた制御メッセージ処理部16では、障害発生中、右回りのリングを介してノード#3に向けて継続的に送出していた障害通知メッセージMfが停止される。また、スイッチ14を元の状態(通常運用時の状態)に戻すためのスイッチ切替えメッセージMsが生成されスイッチ制御部19に出力されると共に、ラベルテーブル記憶部18に記憶されているラベルテーブルLT(#4)を通常運用時のものに書き換えるラベル処理メッセージMlが生成されラベルテーブル管理部17に出力される。これにより、図5中段に示すように、ノード#4のスイッチ14の入出力ポートの接続状態は、右回りのリングに対応した入力ポートPs1およびPs2間が接続されるように切り替えられる。また、ラベルテーブルLT(#4)は、右回りのリング側から「def」のラベルが付加されたパケットが入力されたときに、該パケットのラベルを「ghi」に付け替えてフォワーディングするものに更新される。
【0036】
ノード#4より下流の各ノードでは、各々の障害通知メッセージ抽出部12Aで障害通知メッセージMfが抽出されなくなったことを受けて、制御メッセージ処理部16で障害復帰が判断される。そして、ノード#5,#6,#1,#2の各制御メッセージ処理部16では、障害発生時のラベルバインドを解除するラベル処理メッセージMlがラベルテーブル管理部17に出力される。これにより、各々のラベルテーブル記憶部18に記憶されているラベルテーブルLTが前述の図4上段に示した状態に対応する通常運用時のものに書き換えられる。
【0037】
また、ノード#3の制御メッセージ処理部16では、スイッチ14を通常運用時の状態に戻すためのスイッチ切替えメッセージMsが生成されスイッチ制御部19に出力されると共に、ラベルテーブル記憶部18に記憶されているラベルテーブルLT(#3)を通常運用時のものに書き換えるメッセージMlが生成されラベルテーブル管理部17に出力される。これにより、ノード#3のスイッチ14の入出力ポートの接続状態は、右回りのリングに対応した入力ポートPs1およびPs2間が接続されるように切り替えられる。また、ラベルテーブルLT(#3)は、右回りのリング側から「abc」のラベルが付加されたパケットが入力されたときに、該パケットのラベルを「def」に付け替えてフォワーディングするものに更新される(図5下段)。
【0038】
上記のような障害復帰時の一連の処理により、ノード#2で「abc」のラベルが付加されたパケットが、ノード#2の出力ポートP2から出力され隣接するノード#3の入力ポートP1に入力されると、ノード#3のラベル処理部13Aでは、ラベルテーブル記憶部18に記憶されたラベルテーブルLT(#3)に従って、入力パケットのラベルが「abc」から「def」に付け替えられ、出力ポートP2よりノード#4に向けて出力される。また、ノード#4でも同様にして入力パケットのラベルが「def」から「ghi」に付け替えられる。そして、ノード#5では、ノード#4からのパケットのラベル「ghi」が外され終端される。
【0039】
上記のように本実施形態の伝送装置によれば、リング形態というネットワーク構成に着目し、隣接ノード間のリンクを単位にして障害発生時用のラベルを事前設定しておき、障害発生時に各ノード間で順次転送される障害通知メッセージMfに連動してリンクパスを繋ぎ合わせて迂回経路を形成するようにしたことで、リング上のノード数が増加しても各ノードでのラベルテーブルの管理を容易に行うことができる。具体的には、リング上の各ノードは、任意の場所での障害発生に対応した迂回経路の形成のために4つのラベル(例えばノード#2は「101」「102」「201」「202」)の対応付けを管理するだけでよい。また、各ノード間で障害通知メッセージMfを一周回させるだけで迂回経路の形成および接続確認が行われるので、プロテクション動作を確実に短時間で実行することが可能である。
【0040】
なお、上記の実施形態では、ノード#3からノード#4への信号伝送が不可能であることが逆方向のリンクを介してノード#4からノード#3に直接知らされることで、ノード#4から送出される障害通知メッセージMfがノード#3で終端されることを前提として説明を行った。しかし、例えば図6に示すように、ノード#3,#4間にリピータ等が挿入されている場合には、上記の前提が成り立たない可能性がある。このような障害区間における逆方向のリンクからの通知手段がない場合には、ノード#4から下流の各ノードに送出される障害通知メッセージに、障害の発生しているリンクに対応した情報(図6の例ではラベル「301」)を含めるようにするのがよい。この障害通知メッセージMf’を受けたノード#3は、自ノードが障害区間の直近であることを判断して障害通知メッセージMfを確実に終端することができるようになる。
【0041】
或いは、上記とは別の手法として例えば図7に示すように、ノード#4からの障害通知メッセージMfを受信した各ノードがいわゆるAck(Acknowledge)信号をノード#4に返信し、ノード#4が一定時間の間に各ノードからのAck信号の返信を確認してノード#3が最遠であると判断すると、ノード#3宛てに障害通知メッセージMf”を再送するようにしてもよい。これにより、ノード#3は、自ノード宛に再送された障害通知メッセージMf”を受けて、終端ノードに対応したラベルテーブルの処理とスイッチの切替え処理を行うことが可能になる。
【0042】
また、前述した実施形態においては、隣接するノード間の双方向のリンクに「101」「102」等のラベルを設定する一例を示したが、本発明におけるラベル設定の仕方はこれに限らない。例えば、RFC3031,RFC3032で定義されるMPLSを用いたネットワークでは、LDP(RFC3036)またはRSVP−TE(RFC3209)で規定されるようなラベル配布方式が存在する。このラベル配布方式を前述した実施形態における隣接ノード間のリンクパスの形成に適用するには、隣接ノード間でIPアドレスをローカルに割り振るようにすればよい。また、障害発生時においても、障害区間に直近のノード間は迂回経路を介して隣接関係が継続できるので、IP上の接続性およびラベル配布方式は保たれている。さらに、障害発生時にバインドされたラベルについても、隣接ノード間の接続確認用メッセージだけを別途継続することで、ラベル配布方式の維持が可能である。
【0043】
さらに、前述の実施形態ではノード間を接続する伝送路(リンク)に障害が発生した場合について説明したが、本発明はノードに障害が発生した場合にも対応することができる。ここでは、例えば図8上段等に示すように、ノード#2から右回りのリングを介してノード#6にユーザデータを伝送している場合に、ノード#4で障害が発生して区間#3→#4→#5での信号伝送が不可能になった状況を想定して、そのときのプロテクション動作を具体的に説明することにする。ただし、上記の障害区間をノード#3が把握している、つまり、障害区間の始点ノードであることがノード#3に知らされていることを前提条件とする。
【0044】
この場合、図8中段に示すように、ノード#4での障害発生によりノード#5への信号入力が無くなることで、ノード#5のリンクモニタ部11Aで障害発生が検出される。このノード#5での障害検出により、前述した実施形態の場合と同様にして、障害通知メッセージMfがノード#5から右回りのリング上に送出され、下流の各ノード#6,#1,#2に順次転送されてノード#3で終端される。そして、障害通知メッセージMfを受信した各ノード#6,#1,#2でラベルバインド処理が実行され、また、ノード#3,#5でスイッチの切替え処理およびラベルテーブルの書換え処理が行われる。
【0045】
ただし、ノード#5でのラベルテーブルの書換え処理では、左回りのリング側から「502」のラベルが付加されたパケットが入力されたときに、その「502」を外すと共に、スタックされていた「def」を「jkl」に付け替えるラベルテーブルLT(#5)が作成および記憶される(図8下段の左側)。上記のラベル「jkl」は、通常運用時にノード#5からノード#6に送られるパケットに付与されるラベルである。通常運用時の「ghi」から「jkl」への付替えが「def」から「jkl」への付替えに変更になることは、ノード#4での障害発生をノード#5が把握することで予め設定されるか、或いは、シグナリング等で明示される入力ラベルをノード#5が把握することで設定される。上記のような処理により、ノード障害に対応した迂回経路が形成される。
【0046】
なお、上記のようなノード障害の発生時のプロテクション動作においても、図9に示すように、ノード#5からの障害通知メッセージMfを受信した各ノードがAck信号をノード#5に返信し、ノード#5が最遠のノード#3を判断して、そのノード#3宛てに障害通知メッセージMf”を再送するようにしてもよい。
【0047】
ノード#4が障害から復帰した際には、例えば図10に示すように、その復帰がノード#5で検出され、下流ノードに送出していた障害通知メッセージMfが停止される(図10左上)。この障害通知メッセージMfの停止がノード#3で検出されると、ノード#3からノード#5に向けて復帰通知メッセージMrが送出される(図10右上)。この復帰通知メッセージMrがノード#5で検出されると、ノード#5から下流ノードに向けてリング導通メッセージMcが送出される(図10左下)。そして、リング導通メッセージMcを受信した各ノード#6,#1,#2では、障害発生時のラベルバインドを解除する処理が実行され、また、ノード#3,#5では、スイッチ14を通常運用時の状態に戻す処理が行われると共に、ラベルテーブルLTを通常運用時のものに書き換える処理が実行される(図10右下)。
【0048】
なお、ノード#3から送出される復帰通知メッセージMrがノード#5で検出されない場合、ノード#4で復帰通知メッセージMrが検出されていれば、ノード#4の障害復帰後にノード#4,#5間のリンクに障害が発生したことが判断され、また、ノード#4でも復帰通知メッセージMrが検出されていなければ、ノード#3,#4間のリンクに障害が発生したことが判断される。前者の場合にはノード#5から障害通知メッセージMfが再送され、後者の場合にはノード#4から障害通知メッセージMfが送出されて、上述したリンク障害発生時と同様のプロテクション動作により新たな迂回経路が形成される。
【0049】
ただし、上記のようなノード障害またはリンク障害が2箇所以上で同時に発生した場合についてまで本プロテクション方式は対応できない。このため、上記の場合には、障害区間に隣接するノードから他のノードにラベルバインドの解除メッセージを送出して、迂回経路を形成していたラベルバインドを解除しておくのが望ましい。
【0050】
次に、上述した実施形態の応用例について説明する。
上述した実施形態におけるプロテクション動作は、双方向のリングのうちの一方(右回りのリング)で発生した障害に対して、当該リングを伝送されるユーザデータを迂回経路に流して救済する片方向切替え方式のものであった。しかしながら、図1に示した伝送装置の構成例は、一方のリングでの障害に対して、当該リングだけでなく逆回りのリングを伝送されるユーザデータも同時に迂回経路に流して救済する双方向切替え方式のプロテクション動作にも対応することが可能である。以下では、双方向切替え方式のプロテクション動作について図11を参照しながら説明する。
【0051】
ここでは、例えば上述の図4に示した場合と同様に、ノード#3,#4間の右回りのリングに対応した伝送路(リンク)で障害が発生した場合を想定する(図11上段)。この場合、ノード#4のリンクモニタ部11Aで障害発生が検出され、その結果が制御メッセージ処理部16に伝えられると、制御メッセージ処理部16で生成された障害通知メッセージMfが障害通知メッセージ送出部15Aを介して右回りのリング上に送出される。この障害通知メッセージMfは、ノード#4より下流に位置する各ノードに順次転送されてノード#3で終端される(図11中段の破線矢印)。
【0052】
ノード#4より下流の各ノードでは、障害通知メッセージMfを受信すると、左回りだけでなく右回りにも対応したラベルバインド処理を指示するメッセージMlが、制御メッセージ処理部16からラベルテーブル管理部17に出力される。ラベルテーブル管理部17では、ラベルバインドのメッセージMlを受けて、事前にリンク単位でラベルを割り当てておいたパスについて、左回りのリング側の自ノードに隣接するリンクパスを繋ぎ合わせると共に、右回りのリング側の自ノードに隣接するリンクパスを繋ぎ合わせる処理(図11中段の点線丸印)が行われる。
【0053】
具体的に、ノード#4からの障害通知メッセージMfを最初に受けるノード#5では、左回りのリング側から「502」のラベルが付加されたパケットが入力されたときに、該パケットのラベルを「402」に付け替えてフォワーディングすると共に、右回りのリング側から「401」のラベルが付加されたパケットが入力されたときに、該パケットのラベルを「501」に付け替えてフォワーディングするラベルテーブルLT(#5)が、ラベルテーブル管理部17で作成されてラベルテーブル記憶部18に記憶される。以降同様にして、ノード#6では入力ラベル「602」を出力ラベル「502」に付け替えると共に、入力ラベル「501」を出力ラベル「601」に付け替えるラベルテーブルLT(#6)が作成および記憶される。また、ノード#1では入力ラベル「102」を出力ラベル「602」に付け替えると共に、入力ラベル「601」を出力ラベル「101」に付け替えるラベルテーブルLT(#1)が作成および記憶される。また、ノード#2では入力ラベル「202」を出力ラベル「102」に付け替えると共に、入力ラベル「101」を出力ラベル「201」に付け替えるラベルテーブルLT(#2)が作成および記憶される。
【0054】
ノード#4からの障害通知メッセージMfを最後に受けるノード#3では、右回りのリング側から「abc」のラベルが付加されたパケットが入力されたときに、該パケットのラベルを通常時と同様に「def」に付け替え、それよりも前に「202」のラベルを付加することで「def」をスタックすると共に、右回りのリング側から「201」のラベルが付加されたパケットが入力されたときに、その「201」を外し、スタックされていた「DEF」を通常時と同様に「ABC」に付け替えるラベルテーブルLT(#3)が作成および記憶される。なお、通常時に左回りのリング上をノード#5からノード#2に伝送されるパケットは、ノード#5で「GHI」のラベルが付加され、該ラベルがノード#4で「DEF」、ノード#3で「ABC」に付け替えられ、ノード#2で「ABC」が外されて終端されるものとする。また、ノード#3内のスイッチ14の入出力ポート間の接続状態が、入力ポートPs1および出力ポートPs4間、並びに、入力ポートPs3および出力ポートPs2間がそれぞれ接続されるように切り替えられる。
【0055】
なお、障害通知メッセージMfを送出したノード#4では、左回りのリング側から「402」のラベルが付加されたパケットが入力されたときに、その「402」を外し、スタックされていた「def」を通常時と同様に「ghi」に付け替えると共に、右回りのリング側から「GHI」のラベルが付加されたパケットが入力されたときに、該パケットのラベルを通常時と同様に「DEF」に付け替え、それよりも前に「401」のラベルを付加することで「DEF」をスタックするラベルテーブルLT(#4)が作成および記憶される。これに加えて、ノード#4内のスイッチ14の入出力ポート間の接続状態が、入力ポートPs1および出力ポートPs4間、並びに、入力ポートPs3および出力ポートPs2間がそれぞれ接続されるように切り替えられる。
【0056】
上記のような一連の処理により、ノード#3,#4間のリンクで発生した障害を迂回するための双方向のラベルパスが形成される(図11下段)。これにより、ノード#2からノード#5に伝送されるパケットは、ノード#2で「abc」のラベルが付加され、ノード#3で「abc」が「def」に付け替えられると共に「202」が付加されて左回りの迂回経路に折り返される。そして、各ノード#2,#1,#6,#5で「202」が「102」→「602」→「502」→「402」に順次付け替えられ、ノード#4で「402」が外されると共にスタックされていた「def」が「ghi」に付け替えられて右回りのリング上に折り返され、ノード#5で「ghi」が外されてパケットが終端される。また、このパケットとは逆方向に、ノード#5からノード#2に伝送されるパケットは、ノード#5で「GHI」のラベルが付加され、ノード#4で「GHI」が「DEF」に付け替えられると共に「401」が付加されて右回りの迂回経路に折り返される。そして、各ノード#5,#6,#1,#2で「401」が「501」→「601」→「101」→「201」に順次付け替えられ、ノード#3で「201」が外されると共にスタックされていた「DEF」が「ABC」に付け替えられて左回りのリング上に折り返され、ノード#2で「ABC」が外されてパケットが終端される。
【0057】
また、双方向切替え方式における障害復帰時の動作は、上述の図5に示した片方向切替え方式の場合と基本的に同様であって、ノード#4で障害からの復帰が検出されることで障害通知メッセージMfの送出が停止され、該停止により下流の各ノードで双方向のラベルバインドを解除する処理が行われ、ノード#3,#4ではスイッチ14およびラベルテーブルを通常時の状態に戻す処理が行われる。
【0058】
次に、上述した実施形態の他の応用例について説明する。
上述した実施形態では、リンク単位に1つのラベルが割り当てられる場合を説明した。この場合、一方向のリンクに対して定義されるパスは唯一となる。しかし、リンク単位に複数のラベルを割り当てるようにしても基本的に同様なプロテクションを実現することができ、より柔軟な運用が可能になる。以下では、リンク単位に3種類のラベルを割り当て、各ラベルに優先度を設定して、優先度に応じたプロテクションを実現するようにした応用例を説明する。
【0059】
図12は、上記の応用例においてリング型ネットワークの各ノードに適用する伝送装置の構成を示すブロック図である。
図12に示す伝送装置の構成が上述の図1に示した構成と異なる点は、ラベル処理部13A,13Bとスイッチ14との間の経路上に帯域制限部20A,20Bが挿入されている点である。この帯域制限部20A,20Bは、後述するラベル処理部13A,13Bでの優先度に対応したラベル付替え処理に応じて、優先度の低いパケットに関する帯域の絞り込みを可能にするものである。
【0060】
図13は、上記伝送装置を各ノードに適用したリング型ネットワークにおけるプロテクション動作の概要を示す図である。
このリング型ネットワークでは、図13上段に示すように、運用開始前の初期状態において、各ノード#1〜#6の間をそれぞれ接続する双方向の伝送路(リンク)それぞれに対して、高優先、中優先および低優先に対応した3種類のラベルが個別に設定される。ここでは例えば、ノード#1,#2間の右回りのリンクのラベルとして、高優先に対応した「1011」、中優先に対応した「1012」および低優先に対応した「1013」が設定され、左回りのリンクのラベルとして、高優先に対応した「1021」、中優先に対応した「1022」および低優先に対応した「1023」が設定される。これと同様の規則に従って、ノード#2,#3間の各方向のリンクのラベルとして2011〜2013,2021〜2023が設定され、ノード#3,#4間の各方向のリンクのラベルとして3011〜3013,3021〜3023が設定され、ノード#4,#5間の各方向のリンクのラベルとして4011〜4013,4021〜4023が設定され、ノード#5,#6間の各方向のリンクのラベルとして5011〜5013,5021〜5023が設定され、ノード#6,#1間の各方向のリンクのラベルとして6011〜6013,6021〜6023が設定される。
【0061】
そして、図13中段に例示するようにノード#3,#4間の右回りのリングに対応したリンクで障害が発生した場合、その障害発生がノード#4で検出されることで、障害通知メッセージMfがノード#4から右回りのリング上に送出され、下流の各ノードに順次転送されてノード#3で終端される。また、ノード#4内ではスイッチ14の切替え処理が行われてリングが折り返される。
【0062】
ノード#4より下流の各ノードでは、障害通知メッセージMfを受信すると、各優先度に対応したラベルバインド処理が実行される。例えば、ノード#5では、左回りのリング側から入力されるパケットのラベルが、高優先に対応した「5021」のときに該ラベルを「4021」に付け替え、中優先に対応した「5022」のときに該ラベルを「4022」に付け替え、低優先に対応した「5023」のときに該ラベルを「4023」に付け替えてフォワーディングするラベルテーブルLT(#5)が作成および記憶される。これと同様にして、他のノード#6,#1,#2でもラベルテーブルの作成および記憶が行われる。
【0063】
ノード#4からの障害通知メッセージMfを最後に受けたノード#3では、リングを折り返すためのスイッチ14の切替え処理と、右回りのリング側から入力されるパケットのラベルを優先度に応じて書き換える処理とが行われる。ノード#3でのラベルの書換え処理に関して、ここでは、通常運用時にノード#2で高優先のパケットに「abcx」のラベルが付与され、中優先のパケットに対して「abcy」のラベルが付与され、低優先のパケットに対して「abcz」のラベルが付与されるものとする。このような場合、ノード#3では、右回りのリング側から入力されるパケットのラベルが、「abcx」のときには、該ラベルを「defx」に付け替え、それよりも前に「2021」のラベルを付加して「defx」をスタックし、また、入力ラベルが「abcy」のときには、該ラベルを「defy」に付け替え、それよりも前に「2022」のラベルを付加して「defy」をスタックし、さらに、入力ラベルが「abcz」のときには、該ラベルを「defz」に付け替え、それよりも前に「2023」のラベルを付加して「defz」をスタックする、ラベルテーブルLT(#3)の作成および記憶が行われる(図13下段の右側)。
【0064】
また、上記ノード#3に対向するノード#4では、ラベルテーブルの書換え処理として、左回りのリング側から入力されるパケットのラベルが、「4021」のときには、該ラベルを外し、スタックされていた「defx」を「ghix」に付け替え、また、入力ラベルが「4022」のときには、該ラベルを外し、スタックされていた「defy」を「ghiy」に付け替え、さらに、入力ラベルが「4023」のときには、該ラベルを外し、スタックされていた「defz」を「ghiz」に付け替える、ラベルテーブルLT(#4)の作成および記憶が行われる(図13下段の左側)。
【0065】
上記のような一連の処理により、ノード#3,#4間のリンクで発生した障害を迂回するための優先度に応じた3つのラベルパスが形成される。これにより、例えばノード#2からノード#5に伝送される高優先のパケットは、ノード#2で「abcx」のラベルが付加され、ノード#3で「abcx」が「defx」に付け替えられると共に「2021」が付加されて左回りの迂回経路に折り返される。そして、各ノード#2,#1,#6,#5で「2021」が「1021」→「6021」→「5021」→「4021」に順次付け替えられ、ノード#4で「4021」が外されると共にスタックされていた「defx」が「ghix」に付け替えられて右回りのリング上に折り返され、ノード#5で「ghix」が外されてパケットが終端される。また、障害発生時に形成される迂回経路の帯域が不足し全てのユーザデータを救済できないような場合には、例えばノード#3の帯域制御部20Aにおいて、低優先のパケットの一部若しくは全部を破棄して帯域の絞り込みを行うことで、優先度が上位のパケットの迂回経路が確保されるようにする。これにより、より柔軟なシステム運用が障害発生時にも可能になる。
【0066】
なお、優先度に応じたプロテクションにおける障害復帰時の動作は、上述の図5に示した場合と基本的に同様であって、ノード#4で障害からの復帰が検出されることで障害通知メッセージMfの送出が停止され、該停止により下流の各ノードで優先度に対応したラベルバインドを解除する処理が行われ、ノード#3,#4ではスイッチ14およびラベルテーブルを通常時の状態に戻す処理が行われる。
【0067】
次に、上記とは別の応用例について説明する。
上述した実施形態では、右回りおよび左回りに対応した1組のリングで構成されるネットワークでのプロテクションについて説明したが、複数組のリングで構成されるネットワークについても基本的に同様なプロテクションを実現することが可能である。以下では、2組のリングを連結したネットワークについての応用例について説明する。
【0068】
図14は、上記応用例におけるプロテクション動作の概要を示す図である。
図14に示すリング型ネットワークは、それぞれ6個のノードが双方向の伝送路を介してリング状に接続された第1および第2のリングR1,R2が、ノード#4を共有して相互に接続された構成となっている。第1のリングR1上の各ノード#1〜#6間を接続する各々のリンクに対しては、上述した実施形態の場合と同様にして、101,102〜601,602のラベルが個別に設定される。また、第2のリングR2については、ノード#4,#12間の右回りのリンクのラベルが「1101」、左回りのリンクのラベルが「1102」に設定され、以降これと同様にして、ノード#12,#13間のリンクのラベルが「1201」「1202」、ノード#13,#14間のリンクのラベルが「1301」「1302」、ノード#14,#15間のリンクのラベルが「1401」「1402」、ノード#15,#16間のリンクのラベルが「1501」「1502」、ノード#16,#4間のリンクのラベルが「1601」「1602」にそれぞれ設定される(図14左上)。
【0069】
図15は、共有ノード#4に適用される伝送装置の構成例を示したブロック図である。
図15の構成例において、入力ポートP1および出力ポートP2は第1のリングR1側の右回りのリングに接続され、入力ポートP3および出力ポートP4は第1のリングR1側の左回りのリングに接続される。また、入力ポートP11および出力ポートP12は第2のリングR2側の右回りのリングに接続され、入力ポートP13および出力ポートP14は第2のリングR2側の左回りのリングに接続される。各入出力ポート間の信号経路上には、それぞれ、リンクモニタ部11A,11B,111A,111B、障害通知メッセージ抽出部12A,12B,112A,112B、ラベル処理部13A,13B,113A,113B、スイッチ14および障害通知メッセージ送出部15A,15B,115A,115Bが順に配置されている。なお、スイッチ14は、4本の信号経路に跨って設けられている。また、制御メッセージ処理部16’、ラベルテーブル管理部17、ラベルテーブル記憶部18およびスイッチ制御部19が、各信号経路に共通に設けられている。
【0070】
制御メッセージ処理部16’は、上述の図1に示した制御メッセージ処理部16の追加機能として、リングID処理部16Aが設けられている。このリングID処理部16Aは、後述するように、障害発生時に送出する障害通知メッセージへのリングIDの付加や、他のノードから送られてくる障害通知メッセージのリングIDの解析を行う。このリングIDは、リングR1,R2のいずれの側で障害が発生しているかを識別可能にするものである。ここでは、リングIDが付加された障害通知メッセージをMfidの符号を用いて表すことにする。
【0071】
なお、上記制御メッセージ処理部16’を除いたノード#4の各構成要素は、上述した実施形態の場合と同様である。また、共有ノード#4以外の他のノードに適用される伝送装置は、上述の図1に示した構成と基本的に同様であり、制御メッセージ処理部16に代えて上記リングID処理部16Aを追加した制御メッセージ処理部16’を設けている点だけが相違している。
【0072】
上記のような伝送装置が各ノードに適用されたリング型ネットワークにおいて、例えば図14右下に示したように、第1のリングR1側のノード#5,#6間における右回りに対応したリンクで障害が発生した場合、該障害の発生がノード#6のリンクモニタ部11Aで検出され、その結果が制御メッセージ処理部16’に伝えらえる。ノード#6の制御メッセージ処理部16’では、第1のリングR1に対応したリングIDを付加した障害通知メッセージMfidが生成され、それが右回りのリング上に送出されて下流の各ノードに順次転送される。このとき、共有ノード#4の制御メッセージ処理部16’では、一方のリング側からの障害通知メッセージMfidが他方のリング側に誤って転送されてしまわないように、受信した障害通知メッセージMfidに含まれるリングIDの解析が行われ、それが第1のリングR1側からのものであることが確認される。これにより、第1のリングR1側からの障害通知メッセージMfidがノード#4からノード#5に確実に転送されるようになる。
【0073】
ノード#6から送出された障害通知メッセージMfidを受信した第1のリングR1側の各ノードでは、上述した実施形態の場合と同様にして、リンク単位でラベルを割り当てておいたパスのうち、左回りのリング側の自ノードに隣接するリンクパスを繋ぎ合わせる処理が行われ、また、障害区間に隣接するノード#5,#6では、スイッチ14の切替えとラベルテーブルの書換えの処理が行われる。これにより、障害区間の迂回経路が形成され(図14右下)、例えば第2のリングR2側のノード#14から第1のリングR1側のノード#1にユーザデータを伝送するようなときに、該ユーザデータのプロテクションを短時間で確実に行うことができる。
【0074】
なお、上記の応用例では、第1および第2のリングR1,R2が1つのノード#4を共有するネットワーク構成を一例として示したが、例えば図16に示すように、複数のノード(図の例ではノード#2,#3)および該ノード間のリンクを共有するようなネットワーク構成であっても同様なプロテクションを実現することが可能である。このようなネットワーク構成の場合、図16上段に示すように、第1および第2のリングR1,R2で共有されるノード#2,#3間のリンクについては、第1のリングR1側の各方向に対応した「201」「202」のラベルと、第2のリングR2側の各方向に対応した「1201」「1202」のラベルとが予め設定される。また、共有ノード#2,#3に適用される伝送装置は、例えば図17に示すような構成となる。この伝送装置の構成例においても、前述した図15の場合と同様に、リングID処理部16Aを有する制御メッセージ処理部16’が適用される。このような構成により、前述した図14の場合と同様にして、図16下段の太線矢印に例示したようなプロテクションが可能になる。
【0075】
以上の各実施形態に関して、さらに以下の付記を開示する。
(付記1) リング状に接続された複数のノード間でラベルスイッチング方式を適用してパケットを双方向に伝送するリング型ネットワークにおける障害発生時の回避制御を行うための伝送方法であって、
隣接するノード間を接続する片方向のリンクを単位として、全てのノード間の各方向のリンクに対し、障害発生時用のラベルを予め個別に設定する過程と、
いずれかの方向のリング上で障害が発生した時、当該障害区間の終点に位置するノードが、障害の発生を通知する障害通知メッセージを同方向のリング上に送出すると共に、自ノードにおける同方向のリング側の出力ポートと逆方向のリング側の入力ポートとの間を接続して各方向のリングを折り返す経路を形成し、かつ、該経路に対応させて自ノードのラベルテーブルを書き換えて記憶する過程と、
前記同方向のリング上に送出された障害通知メッセージを下流の各ノードで順次転送すると共に、該障害通知メッセージを転送した各々のノードが、前記障害発生時用のラベルについて、逆方向のリング側の自ノードに隣接する2つのリンクを繋ぎ合わせるためのラベルテーブルを作成して記憶する過程と、
前記下流の各ノードで順次転送された前記障害通知メッセージを前記障害区間の始点に位置するノードで終端すると共に、該障害通知メッセージを終端したノードが、自ノードにおける同方向のリング側の入力ポートと逆方向のリング側の出力ポートとの間を接続して各方向のリングを折り返す経路を形成し、かつ、該経路に対応させて自ノードのラベルテーブルを書き換えて記憶する過程と、
前記障害が発生している間、障害区間に到来したパケットを、前記各ノードが各々の記憶したラベルテーブルに従ってラベルスイッチングして伝送し、障害区間を迂回させる過程と、
を含むことを特徴とする伝送方法。
【0076】
(付記2) 付記1に記載の伝送方法であって、
前記障害から復帰した時、前記障害区間の終点に位置するノードが、前記同方向のリング上に送出していた障害通知メッセージを停止すると共に、自ノードにおける同方向のリング側の入出力ポート間を接続する経路を形成し、かつ、該経路に対応させて自ノードのラベルテーブルを書き換えて記憶する過程と、
前記障害通知メッセージの停止により、該障害通知メッセージを転送していた各ノードが、前記障害発生時用のラベルについての2つのリンクの繋ぎ合わせを解除すると共に、該障害通知メッセージを終端していたノードが、自ノードにおける同方向のリング側の入出力ポート間を接続する経路を形成し、かつ、該経路に対応させて自ノードのラベルテーブルを書き換えて記憶する過程と、
を含むことを特徴とする伝送方法。
【0077】
(付記3) 付記1または2に記載の伝送方法であって、
前記障害通知メッセージは、障害区間に対応したラベルに関する情報を含み、
前記障害区間の始点に位置するノードは、前記障害通知メッセージに含まれる障害区間に対応したラベルに関する情報を基にして、前記障害通知メッセージを終端することを特徴とする伝送方法。
【0078】
(付記4) 付記1または2に記載の伝送方法であって、
前記障害通知メッセージを受信した下流の各ノードが、該障害通知メッセージへの応答信号を返信する過程と、
前記障害区間の終点に位置するノードが、前記下流の各ノードからの応答信号に基づいて前記障害区間の始点に位置するノードを判断し、該始点のノード宛に前記障害通知メッセージを再送出することを特徴とする伝送方法。
【0079】
(付記5) 付記1〜4のいずれか1つに記載の伝送方法であって、
前記障害区間の終点に位置するノードが、上流の隣接するリンクでの障害を検出して前記障害通知メッセージを送出することを特徴とする伝送方法。
【0080】
(付記6) 付記1〜4のいずれか1つに記載の伝送方法であって、
前記障害区間の終点に位置するノードが、上流の隣接するノードでの障害を検出して前記障害通知メッセージを送出することを特徴とする伝送方法。
【0081】
(付記7) 付記1〜6のいずれか1つに記載の伝送方法であって、
前記障害通知メッセージを転送した各々のノードは、前記障害発生時用のラベルについて、逆方向のリング側だけでなく同方向のリング側の自ノードに隣接する2つのリンクを繋ぎ合わせるためのラベルテーブルを作成して記憶することを特徴とする伝送方法。
【0082】
(付記8) 付記1〜7のいずれか1つに記載の伝送方法であって、
前記障害発生時用のラベルを予め個別に設定する過程は、各方向のリングを伝送されるパケットに優先度が設定されているとき、全てのノード間の各方向のリンクに対し、優先度の設定数に応じた複数の障害発生時用のラベルを予め個別に設定し、
前記障害通知メッセージを転送した各々のノードは、前記障害発生時用のラベルについて、逆方向のリング側の自ノードに隣接する優先度の対応した2つのリンクを繋ぎ合わせるためのラベルテーブルを作成して記憶することを特徴とする伝送方法。
【0083】
(付記9) 付記1〜8のいずれか1つに記載の伝送方法であって、
前記リング型ネットワークが、双方向の伝送に対応した複数組のリングを連結した構成であるとき、
前記障害通知メッセージは、前記複数組のリングのうちで障害が発生しているリングを識別可能にするリングIDを含み、
前記複数組のリング上の共有ノードは、前記障害通知メッセージを受信すると、該障害通知メッセージに含まれるリングIDに応じて、障害が発生しているリング上の下流ノードに前記障害通知メッセージを転送することを特徴とする伝送方法。
【0084】
(付記10) リング状に接続された複数のノード間でラベルスイッチング方式を適用してパケットを双方向に伝送するリング型ネットワークにおける前記各ノードに適用される伝送装置であって、
各方向のリングにそれぞれ接続する2組の入力ポートおよび出力ポートと、
前記2組の入力ポートおよび出力ポート間の信号経路を切り替えるスイッチと、
前記スイッチを制御するスイッチ制御手段と、
前記各入力ポートへの入力信号の状態を基に各方向のリング上で障害が発生しているか否かを検出する障害検出手段と、
前記各入力ポートに入力される信号より、他のノードから送出された障害の発生を通知する障害通知メッセージを抽出する障害通知メッセージ抽出手段と、
ラベルテーブルを記憶するラベルテーブル記憶手段と、
隣接するノード間を接続する片方向のリンクを単位として、全てのノード間の各方向のリンクに対し予め個別に設定される障害発生時用のラベルが登録されており、前記ラベルテーブル記憶手段のラベルテーブルを管理するラベルテーブル管理手段と、
前記ラベルテーブル記憶手段のラベルテーブルに従って、パケットに対するラベルの付加、付替えまたは取外しの処理を行うラベル処理手段と、
前記障害検出手段においていずれかの方向のリング上での障害発生が検出された時、該障害の発生を通知する障害通知メッセージを生成して同方向のリング上に送出すると共に、該同方向のリング側の前記出力ポートと逆方向のリング側の前記入力ポートとの間を接続して各方向のリングを折り返す経路の形成を指示するスイッチ切替えメッセージを生成して前記スイッチ制御手段に出力し、かつ、該経路に対応したラベルテーブルの書換えを指示するラベル処理メッセージを生成して前記ラベルテーブル管理手段に出力し、また、前記障害通知メッセージ抽出手段において他のノードからの障害通知メッセージが抽出された時、自ノードが障害区間の始点に位置していない場合には、前記他のノードからの障害通知メッセージを同方向のリング上の下流ノードに転送すると共に、前記障害発生時用のラベルについて、逆方向のリング側の自ノードに隣接する2つのリンクを繋ぎ合わせるラベルテーブルの作成を指示するラベル処理メッセージを生成して前記ラベルテーブル管理手段に出力し、自ノードが障害区間の始点に位置する場合には、前記他のノードからの障害通知メッセージを終端すると共に、同方向のリング側の前記入力ポートと逆方向のリング側の前記出力ポートの間を接続して各方向のリングを折り返す経路の形成を指示するスイッチ切替えメッセージを生成して前記スイッチ制御手段に出力し、かつ、該経路に対応したラベルテーブルの書換えを指示するラベル処理メッセージを生成して前記ラベルテーブル管理手段に出力する制御メッセージ処理手段と、
を備えたことを特徴とする伝送装置。
【0085】
(付記11) 付記10に記載の伝送装置であって、
前記制御メッセージ処理手段は、前記障害検出手段において前記障害からの復帰が検出された時、前記同方向のリング上に送出していた障害通知メッセージを停止すると共に、同方向のリング側の入出力ポート間を接続する経路の形成を指示するスイッチ切替えメッセージを生成して前記スイッチ制御手段に出力し、かつ、該経路に対応したラベルテーブルの書換えを指示するラベル処理メッセージを生成して前記ラベルテーブル管理手段に出力し、また、前記障害通知メッセージ抽出手段において他のノードからの障害通知メッセージが抽出されなくなった時、自ノードが障害区間の始点に位置していない場合には、前記障害発生時用のラベルについての2つのリンクの繋ぎ合わせの解除を指示するラベル処理メッセージを生成して前記ラベルテーブル管理手段に出力し、自ノードが障害区間の始点に位置する場合には、同方向のリング側の入出力ポート間を接続する経路の形成を指示するスイッチ切替えメッセージを生成して前記スイッチ制御手段に出力し、かつ、該経路に対応したラベルテーブルの書換えを指示するラベル処理メッセージを生成して前記ラベルテーブル管理手段に出力することを特徴とする伝送装置。
【0086】
(付記12) 付記10または11に記載の伝送装置であって、
前記制御メッセージ処理手段は、障害区間に対応したラベルに関する情報を含んだ前記障害通知メッセージを生成して同方向のリング上に送出することを特徴とする伝送装置。
【0087】
(付記13) 付記10または11に記載の伝送装置であって、
前記制御メッセージ処理手段は、前記障害通知メッセージを同方向のリング上に送出した後、下流の各ノードから返信されてくる前記障害通知メッセージへの応答信号に基づいて前記障害区間の始点に位置するノードを判断し、該始点のノード宛に前記障害通知メッセージを再送出することを特徴とする伝送装置。
【0088】
(付記14) 付記10〜13のいずれか1つに記載の伝送装置であって、
前記制御メッセージ処理手段は、前記障害通知メッセージ抽出手段において他のノードからの障害通知メッセージが抽出された時、自ノードが障害区間の始点に位置していない場合には、前記障害発生時用のラベルについて、逆方向のリング側だけでなく同方向のリング側の自ノードに隣接する2つのリンクを繋ぎ合わせるためのラベルテーブルの作成を指示するラベル処理メッセージを生成して前記ラベルテーブル管理手段に出力することを特徴とする伝送装置。
【0089】
(付記15) 付記10〜14のいずれか1つに記載の伝送装置であって、
前記ラベルテーブル管理手段は、各方向のリングを伝送されるパケットに優先度が設定されているとき、優先度の設定数に応じた複数の前記障害発生時用のラベルが登録されており、
前記制御メッセージ処理手段は、前記障害通知メッセージ抽出手段において他のノードからの障害通知メッセージが抽出された時、自ノードが障害区間の始点に位置していない場合には、前記障害発生時用のラベルについて、逆方向のリング側の自ノードに隣接する優先度の対応した2つのリンクを繋ぎ合わせるためのラベルテーブルの作成を指示するラベル処理メッセージを生成して前記ラベルテーブル管理手段に出力することを特徴とする伝送装置。
【0090】
(付記16) 付記10〜15のいずれか1つに記載の伝送装置であって、
前記リング型ネットワークが、双方向の伝送に対応した複数組のリングを連結した構成であるとき、
前記制御メッセージ処理手段は、前記障害検出手段で障害発生が検出された時、前記複数組のリングのうちで障害が発生しているリングを識別可能にするリングIDを含んだ障害通知メッセージを生成して同方向のリング上に送出し、また、前記障害通知メッセージ抽出手段において他のノードからの障害通知メッセージが抽出された時、自ノードが前記複数組のリング上の共有ノードに該当し、かつ、障害区間の始点に位置していない場合には、該抽出された障害通知メッセージに含まれるリングIDに応じて、障害が発生しているリング上の下流ノードに前記障害通知メッセージを転送することを特徴とする伝送装置。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明による伝送装置の一実施形態の構成を示すブロック図である。
【図2】図1の伝送装置を適用したリング型ネットワークで初期状態に設定されるラベルの一例を示す図である。
【図3】上記実施形態における通常運用時の動作を説明する図である。
【図4】上記実施形態におけるリンク障害発生時の動作を説明する図である。
【図5】上記実施形態におけるリンク障害復帰時の動作を説明する図である。
【図6】図4の動作に関連し、障害区間のラベル情報を含んだ障害通知メッセージを転送するようにした変形例を示す図である。
【図7】図4の動作に関連し、障害通知メッセージの受信応答を行うようにした変形例を示す図である。
【図8】上記実施形態におけるノード障害発生時の動作を説明する図である。
【図9】図8の動作に関連し、障害通知メッセージの受信応答を行うようにした変形例を示す図である。
【図10】上記実施形態におけるノード障害復帰時の動作を説明する図である。
【図11】双方向切替え方式のプロテクションに対応した応用例の動作を説明する図である。
【図12】優先度に応じたプロテクションを実現する他の応用例での伝送装置の構成を示すブロック図である。
【図13】図12の応用例における動作を説明する図である。
【図14】2組のリングを連結したネットワークに対応した別の応用例の動作を説明する図である。
【図15】図14の応用例において共有ノードに適用される伝送装置の構成を示すブロック図である。
【図16】図14の応用例に関連し、共有ノードが複数存在するネットワーク構成における動作を説明する図である。
【図17】図16のネットワーク構成において共有ノードに適用される伝送装置の構成を示すブロック図である。
【図18】ラベルスイッチング方式を適用したリング型ネットワークにおける従来のプロテクション方式を説明する図である。
【図19】従来のプロテクション方式で設定される冗長パスを示す概念図である。
【符号の説明】
【0092】
11A,11B,111A,111B リンクモニタ部
12A,12B,112A,112B 障害通知メッセージ抽出部
13A,13B,113A,113B ラベル処理部
14 スイッチ
15A,15B,115A,115B 障害通知メッセージ送出部
16 制御メッセージ処理部
16A リングID処理部
17 ラベルテーブル管理部
18 ラベルテーブル記憶部
19 スイッチ制御部
20A,20B 帯域制限部
#1〜#6,#11〜#16 ノード
Mf,Mf’ ,Mf”,Mfid 障害通知メッセージ
Ms スイッチ切替えメッセージ
Ml ラベル処理メッセージ
P1,P3,P11,P13 入力ポート
P2,P4,P12,P14 出力ポート
R1 第1のリング
R2 第2のリング
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラベルスイッチング方式を適用したリング型ネットワークにおいて障害発生時の回避制御を行う伝送方法および伝送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、パケット技術の進歩により、キャリア領域へのパケットの適用が進んでいる。また、リング型ネットワークは、伝送路を効率的に配線できるネットワーク形態として有効である。このため、リング型ネットワークに対してパケット技術を適用することが重要視されている。このような状況に対応し、MPLS(Multi-Protocol Label Switching)などのラベルを付加したパケットを経路上のノード間で伝送および交換するラベルスイッチング方式を適用したリング型ネットワークが提案されている。
【0003】
また、キャリア領域でのパケット技術の拡大に伴い、障害の発生によりパケット伝送が中断した状態を短時間で復旧させる回避制御技術(以下、「プロテクション」と呼ぶ)が重要になり、特に、オペレータの手を介することのないプロテクション方式の実現が望まれている。このようなプロテクション方式は、障害発生時だけでなく、リング形態を基本にしてネットワークを拡張したり、複数のリングを相互に接続したりする場合にも応用することが可能である。
【0004】
ラベルスイッチング方式を適用したリング型ネットワークにおける従来のプロテクション方式としては、例えば図18に示すように、ユーザデータがリング上を一方向に伝送される現用パスとは別に、データの流れが現用パスとは逆方向となるループ状の冗長パスを予め設定しておき、障害発生時には、障害区間に隣接するノード(図の例ではノード#4,#5)でラベルの対応付け(ラベルテーブル)を変更して現用パスと冗長パスの切替えを行い、障害区間を迂回させる方式が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2002−344493号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のようなラベルスイッチング方式のリング型ネットワークにおける従来のプロテクション方式については、リング上のノード数またはノード間のリンク数が増加すると、各ノードにそれぞれ用意される冗長パス対応のラベルテーブルが複雑なものになり、その管理が難しくなるという課題がある。例えば、図19に示すような6個のノードがリング状に接続されたネットワークの場合、右回りの現用パスに対して、任意の箇所でのプロテクションを実現するには、各ノードが冗長パスの周回性を確認する必要があるので、各々のノードごとに始点/終点を定めた左回りの冗長パスが6通り設定される(図19のリング内側の矢印線)。また、これと同様に左回りの現用パスに対しても、右回りの冗長パスが6通り設定される(図19のリング外側の矢印線)。よって、リング上の各ノードには、12通りの冗長パスにそれぞれ対応したラベルテーブルを設定しておくことが必要になる。つまり、1つのノードに対してノード数の4倍のラベルテーブルを設定することになるので、リング上のノード数(またはリンク数)が増加するとネットワーク全体でのラベルの管理が煩雑化する。
【0007】
上記のような課題に対し、一方向の現用パスについて冗長パスを1つだけ設定して有効なプロテクションを行うためには、障害発生時における現用/冗長パスの切替え処理の際に迂回経路の接続性を確認することが従来技術では必要になる。この接続性の確認は、通常、折り返し試験(ループバック試験)により行われるため、当該制御信号が迂回経路を一往復することになる。この制御信号の一往復に要する時間は、現用/冗長パスの切替え処理時間を増大させることになるので、短時間のプロテクションの実現が難しくなる。よって、冗長パスの設定数を削減(効率化)してラベル管理の容易化を図る場合、迂回経路の接続性確認を含めたパス切替え処理時間を如何にして短くするかという課題もある。
【0008】
本発明は上記の点に着目してなされたもので、ラベルスイッチング方式のリング型ネットワークにおいて、ラベルテーブルの管理が容易で障害発生時に短時間で迂回経路を設定できる伝送方法および伝送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するため本伝送方法の一態様は、リング状に接続された複数のノード間でラベルスイッチング方式を適用してパケットを双方向に伝送するリング型ネットワークにおける障害発生時の回避制御を行うための伝送方法であって、次の(A)〜(E)の各過程を含んでいる。
【0010】
まず、(A)隣接するノード間を接続する片方向のリンクを単位として、全てのノード間の各方向のリンクに対し、障害発生時用のラベルを予め個別に設定する。次に、(B)いずれかの方向のリング上で障害が発生した時、当該障害区間の終点に位置するノードが、障害の発生を通知する障害通知メッセージを同方向のリング上に送出すると共に、自ノードにおける同方向のリング側の出力ポートと逆方向のリング側の入力ポートとの間を接続して各方向のリングを折り返す経路を形成し、かつ、該経路に対応させて自ノードのラベルテーブルを書き換えて記憶する。
【0011】
また、(C)前記同方向のリング上に送出された障害通知メッセージを下流の各ノードで順次転送すると共に、該障害通知メッセージを転送した各々のノードが、前記障害発生時用のラベルについて、逆方向のリング側の自ノードに隣接する2つのリンクを繋ぎ合わせるためのラベルテーブルを作成して記憶する。
【0012】
さらに、(D)前記下流の各ノードで順次転送された前記障害通知メッセージを前記障害区間の始点に位置するノードで終端すると共に、該障害通知メッセージを終端したノードが、自ノードにおける同方向のリング側の入力ポートと逆方向のリング側の出力ポートとの間を接続して各方向のリングを折り返す経路を形成し、かつ、該経路に対応させて自ノードのラベルテーブルを書き換えて記憶する。
【0013】
そして、(E)前記障害が発生している間、障害区間に到来したパケットを、前記各ノードが各々の記憶したラベルテーブルに従ってラベルスイッチングして伝送し、障害区間を迂回させる。
【発明の効果】
【0014】
上記のような本伝送方法によれば、リング形態というネットワーク構成に着目し、隣接ノード間の片方向のリンクを単位に障害発生時用のラベルを事前設定しておき、障害発生時に同方向のリング上の各ノード間で順次転送される障害通知メッセージに連動して、障害発生時用のラベルで定義されるリンクを繋ぎ合わせて迂回経路を設定するようにしたことで、リング上のノード数が増加しても各ノードでのラベルテーブルの管理を容易に行うことができる。また、各ノード間で障害通知メッセージを一周回させるだけで迂回経路の形成および接続確認が行われるので、プロテクション動作を確実に短時間で実行することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための最良の形態について添付図面を参照しながら説明する。なお、全図を通して同一の符号は同一または相当部分を示すものとする。
【0016】
図1は、本伝送装置の一実施形態の構成を示すブロック図である。また、図2〜図5は、図1の伝送装置を各ノードに適用したリング型ネットワークにおける障害発生時のプロテクション動作を説明するための図である。
図1において、本実施形態の伝送装置は、例えば、リング型ネットワークの右回りのリングに接続される入力ポートP1および出力ポートP2と、左回りのリングに接続される入力ポートP3および出力ポートP4を有する。
【0017】
入力ポートP1および出力ポートP2の間の信号経路上には、リンクモニタ部11A、障害通知メッセージ抽出部12A、ラベル処理ラベル処理部13A、スイッチ14および障害通知メッセージ送出部15Aが順に配置されている。また、入力ポートP3および出力ポートP4の間の信号経路上にも、リンクモニタ部11B、障害通知メッセージ抽出部12B、ラベル処理部13B、スイッチ14および障害通知メッセージ送出部15Bが順に配置されている。なお、スイッチ14は、各方向の信号経路に跨って設けられている。
【0018】
リンクモニタ部11A,11Bは、入力ポートP1,P3への入力信号の状態を監視し、入力ポートP1,P3に接続されている伝送路(リンク)において障害が発生しているか否か、および、該障害から復帰したか否かを検出して、その結果を制御メッセージ処理部16に伝える。ここでは、リンクモニタ部11A,11Bが障害検出手段として機能する。制御メッセージ処理部16は、リンクモニタ部11A,11Bのいずれかで障害の発生が検出されると、障害通知メッセージMfおよびスイッチ切替えメッセージMsを生成する。障害通知メッセージMfは、障害が発生している側の障害通知メッセージ送出部15を介して同方向のリング上に送出され、上流リンクでの障害発生を下流の各ノードに順次通知する。スイッチ切替えメッセージMsは、スイッチ制御部19に出力され、障害区間に隣接するノードでリングが折り返されるようにスイッチ14の状態が切り替えられる。また、制御メッセージ処理部16は、リンクモニタ部11A,11Bのいずれかで障害からの復帰が検出されると、障害発生中に継続していた障害通知メッセージMfを停止すると共に、スイッチ切替えメッセージMsをスイッチ制御部19に出力する。このスイッチ切替えメッセージMsにより、スイッチ14は障害発生前の状態に切り替えられる。なお、ここでは、障害からの復帰により障害通知メッセージMfを停止するようにしているが、障害発生検出時に障害通知メッセージを送出し、障害復帰検出時には障害通知メッセージとは異なる障害復帰メッセージを送出するようにしてもよい。
【0019】
障害通知メッセージ抽出部12A,12Bは、入力ポートP1,P3からリンクモニタ部11A,11Bを通って入力される信号より、上流のノードから送出される障害通知メッセージMfを抽出し、それを制御メッセージ処理部16に出力する。制御メッセージ処理部16は、障害通知メッセージ抽出部12A,12Bのいずれかより障害通知メッセージMfが送られてくると、後述するラベルバインドの処理を実行するよう指示するラベル処理メッセージMlをラベルテーブル管理部17に出力する。ラベルテーブル管理部17は、制御メッセージ処理部16からのラベル処理メッセージMlを受けて、ラベルテーブル記憶部18に記憶されているラベルテーブルを更新する。なお、ラベルテーブル管理部17によるラベルテーブルの更新処理の詳細については後述する。
【0020】
ラベル処理部13A,13Bは、入力ポートP1,P3からリンクモニタ部11A,11Bおよび障害通知メッセージ抽出部12A,12Bを通って入力される信号(パケット)に対して、ラベルテーブル記憶部18に記憶されているラベルテーブルに従い、所要のラベルスイッチング処理を実行する。このラベルスイッチング処理は、MPLSなどで一般的に行われている処理と同様に、ラベルが付加されたパケットの経路(Label Switched Path:LSP)上において始点に位置するノード等でパケットにラベルを付加してフォワーディングする処理(Push)、中間のノードでパケットのラベルを付け替えてフォワーディングする処理(Swap)、終点のノード等でパケットのラベルを取り外す処理(Pop)などがある。
【0021】
スイッチ14は、ここでは2つの入力ポートPs1,Ps3および2つの出力ポートPs2,Ps4を有し、各ラベル処理部13A,13Bの出力端が各入力ポートPs1,Ps3にそれぞれ接続され、障害通知メッセージ送出部15A,15Bの各入力端が各出力ポートPs2,Ps4にそれぞれ接続されている。このスイッチ14は、スイッチ制御部19からの制御信号に従って入出力ポート間の接続状態が切り替えられる。
【0022】
次に、上記のような構成の伝送装置を各ノードに適用したリング型ネットワークにおける障害発生時のプロテクション動作について説明する。ここでは、図2等に例示すように、リング上に6個のノードが配置されたネットワーク構成を想定して説明を行う。ただし、リング上のノード数は上記の一例に限定されるものではない。
【0023】
まず、図2に示す運用開始前の初期状態において、各ノード#1〜#6の間をそれぞれ接続する片方向の伝送路(リンク)を単位として、全てのノード間の各方向のリンクに対し、障害発生時に用いるラベルが個別に設定される。該設定された障害発生時用のラベルは、各々のノードのラベルテーブル管理部17に登録される。ここでは例えば、ノード#1,#2間の右回りのリンクのラベルが「101」、左回りのリンクのラベルが「102」に設定される。また、ノード#2,#3間の右回りのリンクのラベルが「201」、左回りのリンクのラベルが「202」に設定される。また、ノード#3,#4間の右回りのリンクのラベルが「301」、左回りのリンクのラベルが「302」に設定される。また、ノード#4,#5間の右回りのリンクのラベルが「401」、左回りのリンクのラベルが「402」に設定される。また、ノード#5,#6間の右回りのリンクのラベルが「501」、左回りのリンクのラベルが「502」に設定される。また、ノード#6,#1間の右回りのリンクのラベルが「601」、左回りのリンクのラベルが「602」に設定される。以下の説明では、上記ラベルで定義されるパスのことを「リンクパス」と呼ぶ場合がある。
【0024】
ただし、上記の各ラベル101,102,…,601,602は、障害の発生していない通常の運用時においては、各々のリンクに対するラベルの割り当てのみが行われるだけで、ユーザデータ(パケット)をマッピングして伝送するためのラベルとしては用いられない。すなわち、各ラベル101,102,…,601,602は、後で詳しく説明するように、障害発生時に障害区間を迂回するパスを形成するために、リンク単位で事前に定義されるものである。
【0025】
なお、通常運用時のユーザデータの伝送には、図3に例示するように、上記の図2で設定したラベル101,102,…,601,602とは異なるラベルが使用される。具体的に図3の例では、ノード#2からノード#5に右回りにユーザデータを伝送する場合に、ノード#2でラベル「abc」を付加したユーザデータがノード#3に送られる。ノード#3では、通常時のラベルテーブルLT(#3)に従い、ノード#2からのユーザデータのラベルが「abc」から「def」に付け替えられてノード#4に送られる。また、ノード#4でも、通常時のラベルテーブルLT(#4)に従い、ノード#3からのユーザデータのラベルが「def」から「ghi」に付け替えられてノード#5に送られる。そして、ノード#5では、ノード#4からのユーザデータのラベル「ghi」が外され終端される。
【0026】
次に、例えば図4に示すようにノード#3,#4間の右回りのリングに対応した伝送路(リンク)で障害が発生した場合のプロテクション動作を説明する。この場合、ノード#4は、リンクモニタ部11Aにおいてノード#3からの入力信号がなくなったことにより障害の発生を検出する。そして、リンクモニタ部11Aでの検出結果を受けた制御メッセージ処理部16では障害通知メッセージMfが生成される。この障害通知メッセージMfは、障害通知メッセージ送出部15Aを介して右回りのリング上に送出され、ノード#4より下流に位置する各ノードで順次転送されてノード#3で終端される(図4中段の破線矢印)。なお、ノード#3は、ノード#3からノード#4への信号伝送が不可能であることを、障害発生中のリンクとは逆方向のリンクを介してノード#4から直接知らされることにより、自ノードでの障害通知メッセージMfの終端を判断するものとする。
【0027】
また、ノード#4の制御メッセージ処理部16では、上記障害通知メッセージMfと共にスイッチ切替えメッセージMsが生成され、それがスイッチ制御部19に出力される。これにより、ノード#4内のスイッチ14の入出力ポートの接続状態は、左回りのリング上からの信号が入力される入力ポートPs3と右回りのリング上へ信号を出力する出力ポートPs2との間が接続されるように切り替えられる。
【0028】
ノード#4より下流の各ノードでは、ノード#4から右回りのリング上に送出された障害通知メッセージMfが障害通知メッセージ抽出部12Aで抽出されると、ラベルバインド処理を指示するラベル処理メッセージMlが、制御メッセージ処理部16からラベルテーブル管理部17に出力される。ラベルテーブル管理部17では、ラベル処理メッセージMlを受けて、事前にリンク単位でラベルを割り当てておいたパス(図2)のうち、左回りのリング側の自ノードに隣接するリンクパスを繋ぎ合わせる処理(図4中段の点線丸印)が行われる。
【0029】
具体的に、ノード#4からの障害通知メッセージMfを最初に受けるノード#5では、左回りのリング側から「502」のラベルが付加されたパケットが入力されたときに、該パケットのラベルを「402」に付け替えてフォワーディングするラベルテーブルLT(#5)が、ラベルテーブル管理部17で作成されてラベルテーブル記憶部18に記憶される。以降同様にして、ノード#6では入力ラベル「602」を出力ラベル「502」に付け替えるラベルテーブルLT(#6)が作成および記憶され、ノード#1では入力ラベル「102」を出力ラベル「602」に付け替えるラベルテーブルLT(#1)が作成および記憶され、ノード#2では入力ラベル「202」を出力ラベル「102」に付け替えるラベルテーブルLT(#2)が作成および記憶される。
【0030】
ノード#4からの障害通知メッセージMfを最後に受けるノード#3では、リングを折り返すためのスイッチ切替えメッセージMsが制御メッセージ処理部16からスイッチ制御部19に出力される。これにより、ノード#3内のスイッチ14の入出力ポートの接続状態は、右回りのリング上からの信号が入力される入力ポートPs1と左回りのリング上へ信号を出力する出力ポートPs4との間が接続されるように切り替えられる。また、ノード#3では、通常運用時のラベルテーブルを上記リングの折返し経路に対応したものに書き換えるラベル処理メッセージMlが制御メッセージ処理部16からラベルテーブル管理部17に出力される。これにより、右回りのリング側から「abc」のラベルが付加されたパケットが入力されたときに、該パケットのラベルを通常時と同様に「def」に付け替え、さらに、それよりも前に「202」のラベルを付加することで「def」をスタックするラベルテーブルLT(#3)が、ラベルテーブル管理部17で作成されてラベルテーブル記憶部18に記憶される(図4下段の右側)。
【0031】
なお、上記ノード#3に障害区間を挟んで対向するノード#4では、障害通知メッセージMfを送出した後に、ラベルテーブルの書換えを指示するメッセージMlが制御メッセージ処理部16からラベルテーブル管理部17に出力される。ノード#4のラベルテーブル管理部17では、左回りのリング側から「402」のラベルが付加されたパケットが入力されたときに、その「402」を外すと共に、スタックされていた「def」を通常時と同様に「ghi」に付け替えるラベルテーブルLT(#4)が作成されて、ラベルテーブル記憶部18に記憶される(図4下段の左側)。
【0032】
上記のような一連の処理により、ノード#3,#4間のリンクで発生した障害を迂回するためのラベルパス、すなわち、ラベル202,102,602,502,402でそれぞれ定義されるリンクパスを順に繋げた迂回経路が形成される。これにより、ノード#2で「abc」のラベルが付加されたパケットが、ノード#2の出力ポートP2から出力され隣接するノード#3の入力ポートP1に入力されると、ノード#3のラベル処理部13Aでは、ラベルテーブル記憶部18に記憶されたラベルテーブルLT(#3)に従って、入力パケットのラベルが「abc」から「def」に付け替えられると共に、それよりも前に「202」が付加されて「def」がスタックされる。「202」のラベルが付加されたパケットは、スイッチ14で左回りのリング側に折り返され、出力ポートP4よりノード#2に向けて出力される。
【0033】
「202」のラベルが付加されたパケットがノード#2の入力ポートP3に入力されると、ノード#2のラベル処理部13Bでは、ラベルテーブル記憶部18に記憶されたラベルテーブルLT(#2)に従って、入力パケットのラベルが「202」から「102」に付け替えられる。「102」のラベルが付加されたパケットは、スイッチ14を通過し、出力ポートP4よりノード#1に向けて出力される。以降同様にして、ノード#1で「102」から「602」へのラベルの付替え、ノード#6で「602」から「502」へのラベルの付替え、ノード#5で「502」から「402」へのラベルの付替えが順次行われる。
【0034】
「402」のラベルが付加されたパケットが、ノード#5の出力ポートP4から出力され隣接するノード#4の入力ポートP3に入力されると、ノード#4のラベル処理部13Bでは、ラベルテーブル記憶部18に記憶されたラベルテーブルLT(#4)に従って、入力パケットの「402」が外されると共に、スタックされていた「def」が「ghi」に付け替えられる。「ghi」のラベルが付加されたパケットは、スイッチ14で右回りのリング側に折り返され、出力ポートP2よりノード#5に向けて出力される。そして、「ghi」のラベルが付加されたパケットがノード#5の入力ポートP1に入力されると、ノード#5のラベル処理部13Aで「ghi」が外されてパケットが終端される。
【0035】
次に、図5を参照しながら障害復帰時の動作について説明する。
図5の上段に示すようにノード#3,#4間で発生していた障害が復帰すると、該復帰がノード#4のリンクモニタ11Aで検出されて制御メッセージ処理部16に伝えられる。リンクモニタ11Aからの障害復帰を受けた制御メッセージ処理部16では、障害発生中、右回りのリングを介してノード#3に向けて継続的に送出していた障害通知メッセージMfが停止される。また、スイッチ14を元の状態(通常運用時の状態)に戻すためのスイッチ切替えメッセージMsが生成されスイッチ制御部19に出力されると共に、ラベルテーブル記憶部18に記憶されているラベルテーブルLT(#4)を通常運用時のものに書き換えるラベル処理メッセージMlが生成されラベルテーブル管理部17に出力される。これにより、図5中段に示すように、ノード#4のスイッチ14の入出力ポートの接続状態は、右回りのリングに対応した入力ポートPs1およびPs2間が接続されるように切り替えられる。また、ラベルテーブルLT(#4)は、右回りのリング側から「def」のラベルが付加されたパケットが入力されたときに、該パケットのラベルを「ghi」に付け替えてフォワーディングするものに更新される。
【0036】
ノード#4より下流の各ノードでは、各々の障害通知メッセージ抽出部12Aで障害通知メッセージMfが抽出されなくなったことを受けて、制御メッセージ処理部16で障害復帰が判断される。そして、ノード#5,#6,#1,#2の各制御メッセージ処理部16では、障害発生時のラベルバインドを解除するラベル処理メッセージMlがラベルテーブル管理部17に出力される。これにより、各々のラベルテーブル記憶部18に記憶されているラベルテーブルLTが前述の図4上段に示した状態に対応する通常運用時のものに書き換えられる。
【0037】
また、ノード#3の制御メッセージ処理部16では、スイッチ14を通常運用時の状態に戻すためのスイッチ切替えメッセージMsが生成されスイッチ制御部19に出力されると共に、ラベルテーブル記憶部18に記憶されているラベルテーブルLT(#3)を通常運用時のものに書き換えるメッセージMlが生成されラベルテーブル管理部17に出力される。これにより、ノード#3のスイッチ14の入出力ポートの接続状態は、右回りのリングに対応した入力ポートPs1およびPs2間が接続されるように切り替えられる。また、ラベルテーブルLT(#3)は、右回りのリング側から「abc」のラベルが付加されたパケットが入力されたときに、該パケットのラベルを「def」に付け替えてフォワーディングするものに更新される(図5下段)。
【0038】
上記のような障害復帰時の一連の処理により、ノード#2で「abc」のラベルが付加されたパケットが、ノード#2の出力ポートP2から出力され隣接するノード#3の入力ポートP1に入力されると、ノード#3のラベル処理部13Aでは、ラベルテーブル記憶部18に記憶されたラベルテーブルLT(#3)に従って、入力パケットのラベルが「abc」から「def」に付け替えられ、出力ポートP2よりノード#4に向けて出力される。また、ノード#4でも同様にして入力パケットのラベルが「def」から「ghi」に付け替えられる。そして、ノード#5では、ノード#4からのパケットのラベル「ghi」が外され終端される。
【0039】
上記のように本実施形態の伝送装置によれば、リング形態というネットワーク構成に着目し、隣接ノード間のリンクを単位にして障害発生時用のラベルを事前設定しておき、障害発生時に各ノード間で順次転送される障害通知メッセージMfに連動してリンクパスを繋ぎ合わせて迂回経路を形成するようにしたことで、リング上のノード数が増加しても各ノードでのラベルテーブルの管理を容易に行うことができる。具体的には、リング上の各ノードは、任意の場所での障害発生に対応した迂回経路の形成のために4つのラベル(例えばノード#2は「101」「102」「201」「202」)の対応付けを管理するだけでよい。また、各ノード間で障害通知メッセージMfを一周回させるだけで迂回経路の形成および接続確認が行われるので、プロテクション動作を確実に短時間で実行することが可能である。
【0040】
なお、上記の実施形態では、ノード#3からノード#4への信号伝送が不可能であることが逆方向のリンクを介してノード#4からノード#3に直接知らされることで、ノード#4から送出される障害通知メッセージMfがノード#3で終端されることを前提として説明を行った。しかし、例えば図6に示すように、ノード#3,#4間にリピータ等が挿入されている場合には、上記の前提が成り立たない可能性がある。このような障害区間における逆方向のリンクからの通知手段がない場合には、ノード#4から下流の各ノードに送出される障害通知メッセージに、障害の発生しているリンクに対応した情報(図6の例ではラベル「301」)を含めるようにするのがよい。この障害通知メッセージMf’を受けたノード#3は、自ノードが障害区間の直近であることを判断して障害通知メッセージMfを確実に終端することができるようになる。
【0041】
或いは、上記とは別の手法として例えば図7に示すように、ノード#4からの障害通知メッセージMfを受信した各ノードがいわゆるAck(Acknowledge)信号をノード#4に返信し、ノード#4が一定時間の間に各ノードからのAck信号の返信を確認してノード#3が最遠であると判断すると、ノード#3宛てに障害通知メッセージMf”を再送するようにしてもよい。これにより、ノード#3は、自ノード宛に再送された障害通知メッセージMf”を受けて、終端ノードに対応したラベルテーブルの処理とスイッチの切替え処理を行うことが可能になる。
【0042】
また、前述した実施形態においては、隣接するノード間の双方向のリンクに「101」「102」等のラベルを設定する一例を示したが、本発明におけるラベル設定の仕方はこれに限らない。例えば、RFC3031,RFC3032で定義されるMPLSを用いたネットワークでは、LDP(RFC3036)またはRSVP−TE(RFC3209)で規定されるようなラベル配布方式が存在する。このラベル配布方式を前述した実施形態における隣接ノード間のリンクパスの形成に適用するには、隣接ノード間でIPアドレスをローカルに割り振るようにすればよい。また、障害発生時においても、障害区間に直近のノード間は迂回経路を介して隣接関係が継続できるので、IP上の接続性およびラベル配布方式は保たれている。さらに、障害発生時にバインドされたラベルについても、隣接ノード間の接続確認用メッセージだけを別途継続することで、ラベル配布方式の維持が可能である。
【0043】
さらに、前述の実施形態ではノード間を接続する伝送路(リンク)に障害が発生した場合について説明したが、本発明はノードに障害が発生した場合にも対応することができる。ここでは、例えば図8上段等に示すように、ノード#2から右回りのリングを介してノード#6にユーザデータを伝送している場合に、ノード#4で障害が発生して区間#3→#4→#5での信号伝送が不可能になった状況を想定して、そのときのプロテクション動作を具体的に説明することにする。ただし、上記の障害区間をノード#3が把握している、つまり、障害区間の始点ノードであることがノード#3に知らされていることを前提条件とする。
【0044】
この場合、図8中段に示すように、ノード#4での障害発生によりノード#5への信号入力が無くなることで、ノード#5のリンクモニタ部11Aで障害発生が検出される。このノード#5での障害検出により、前述した実施形態の場合と同様にして、障害通知メッセージMfがノード#5から右回りのリング上に送出され、下流の各ノード#6,#1,#2に順次転送されてノード#3で終端される。そして、障害通知メッセージMfを受信した各ノード#6,#1,#2でラベルバインド処理が実行され、また、ノード#3,#5でスイッチの切替え処理およびラベルテーブルの書換え処理が行われる。
【0045】
ただし、ノード#5でのラベルテーブルの書換え処理では、左回りのリング側から「502」のラベルが付加されたパケットが入力されたときに、その「502」を外すと共に、スタックされていた「def」を「jkl」に付け替えるラベルテーブルLT(#5)が作成および記憶される(図8下段の左側)。上記のラベル「jkl」は、通常運用時にノード#5からノード#6に送られるパケットに付与されるラベルである。通常運用時の「ghi」から「jkl」への付替えが「def」から「jkl」への付替えに変更になることは、ノード#4での障害発生をノード#5が把握することで予め設定されるか、或いは、シグナリング等で明示される入力ラベルをノード#5が把握することで設定される。上記のような処理により、ノード障害に対応した迂回経路が形成される。
【0046】
なお、上記のようなノード障害の発生時のプロテクション動作においても、図9に示すように、ノード#5からの障害通知メッセージMfを受信した各ノードがAck信号をノード#5に返信し、ノード#5が最遠のノード#3を判断して、そのノード#3宛てに障害通知メッセージMf”を再送するようにしてもよい。
【0047】
ノード#4が障害から復帰した際には、例えば図10に示すように、その復帰がノード#5で検出され、下流ノードに送出していた障害通知メッセージMfが停止される(図10左上)。この障害通知メッセージMfの停止がノード#3で検出されると、ノード#3からノード#5に向けて復帰通知メッセージMrが送出される(図10右上)。この復帰通知メッセージMrがノード#5で検出されると、ノード#5から下流ノードに向けてリング導通メッセージMcが送出される(図10左下)。そして、リング導通メッセージMcを受信した各ノード#6,#1,#2では、障害発生時のラベルバインドを解除する処理が実行され、また、ノード#3,#5では、スイッチ14を通常運用時の状態に戻す処理が行われると共に、ラベルテーブルLTを通常運用時のものに書き換える処理が実行される(図10右下)。
【0048】
なお、ノード#3から送出される復帰通知メッセージMrがノード#5で検出されない場合、ノード#4で復帰通知メッセージMrが検出されていれば、ノード#4の障害復帰後にノード#4,#5間のリンクに障害が発生したことが判断され、また、ノード#4でも復帰通知メッセージMrが検出されていなければ、ノード#3,#4間のリンクに障害が発生したことが判断される。前者の場合にはノード#5から障害通知メッセージMfが再送され、後者の場合にはノード#4から障害通知メッセージMfが送出されて、上述したリンク障害発生時と同様のプロテクション動作により新たな迂回経路が形成される。
【0049】
ただし、上記のようなノード障害またはリンク障害が2箇所以上で同時に発生した場合についてまで本プロテクション方式は対応できない。このため、上記の場合には、障害区間に隣接するノードから他のノードにラベルバインドの解除メッセージを送出して、迂回経路を形成していたラベルバインドを解除しておくのが望ましい。
【0050】
次に、上述した実施形態の応用例について説明する。
上述した実施形態におけるプロテクション動作は、双方向のリングのうちの一方(右回りのリング)で発生した障害に対して、当該リングを伝送されるユーザデータを迂回経路に流して救済する片方向切替え方式のものであった。しかしながら、図1に示した伝送装置の構成例は、一方のリングでの障害に対して、当該リングだけでなく逆回りのリングを伝送されるユーザデータも同時に迂回経路に流して救済する双方向切替え方式のプロテクション動作にも対応することが可能である。以下では、双方向切替え方式のプロテクション動作について図11を参照しながら説明する。
【0051】
ここでは、例えば上述の図4に示した場合と同様に、ノード#3,#4間の右回りのリングに対応した伝送路(リンク)で障害が発生した場合を想定する(図11上段)。この場合、ノード#4のリンクモニタ部11Aで障害発生が検出され、その結果が制御メッセージ処理部16に伝えられると、制御メッセージ処理部16で生成された障害通知メッセージMfが障害通知メッセージ送出部15Aを介して右回りのリング上に送出される。この障害通知メッセージMfは、ノード#4より下流に位置する各ノードに順次転送されてノード#3で終端される(図11中段の破線矢印)。
【0052】
ノード#4より下流の各ノードでは、障害通知メッセージMfを受信すると、左回りだけでなく右回りにも対応したラベルバインド処理を指示するメッセージMlが、制御メッセージ処理部16からラベルテーブル管理部17に出力される。ラベルテーブル管理部17では、ラベルバインドのメッセージMlを受けて、事前にリンク単位でラベルを割り当てておいたパスについて、左回りのリング側の自ノードに隣接するリンクパスを繋ぎ合わせると共に、右回りのリング側の自ノードに隣接するリンクパスを繋ぎ合わせる処理(図11中段の点線丸印)が行われる。
【0053】
具体的に、ノード#4からの障害通知メッセージMfを最初に受けるノード#5では、左回りのリング側から「502」のラベルが付加されたパケットが入力されたときに、該パケットのラベルを「402」に付け替えてフォワーディングすると共に、右回りのリング側から「401」のラベルが付加されたパケットが入力されたときに、該パケットのラベルを「501」に付け替えてフォワーディングするラベルテーブルLT(#5)が、ラベルテーブル管理部17で作成されてラベルテーブル記憶部18に記憶される。以降同様にして、ノード#6では入力ラベル「602」を出力ラベル「502」に付け替えると共に、入力ラベル「501」を出力ラベル「601」に付け替えるラベルテーブルLT(#6)が作成および記憶される。また、ノード#1では入力ラベル「102」を出力ラベル「602」に付け替えると共に、入力ラベル「601」を出力ラベル「101」に付け替えるラベルテーブルLT(#1)が作成および記憶される。また、ノード#2では入力ラベル「202」を出力ラベル「102」に付け替えると共に、入力ラベル「101」を出力ラベル「201」に付け替えるラベルテーブルLT(#2)が作成および記憶される。
【0054】
ノード#4からの障害通知メッセージMfを最後に受けるノード#3では、右回りのリング側から「abc」のラベルが付加されたパケットが入力されたときに、該パケットのラベルを通常時と同様に「def」に付け替え、それよりも前に「202」のラベルを付加することで「def」をスタックすると共に、右回りのリング側から「201」のラベルが付加されたパケットが入力されたときに、その「201」を外し、スタックされていた「DEF」を通常時と同様に「ABC」に付け替えるラベルテーブルLT(#3)が作成および記憶される。なお、通常時に左回りのリング上をノード#5からノード#2に伝送されるパケットは、ノード#5で「GHI」のラベルが付加され、該ラベルがノード#4で「DEF」、ノード#3で「ABC」に付け替えられ、ノード#2で「ABC」が外されて終端されるものとする。また、ノード#3内のスイッチ14の入出力ポート間の接続状態が、入力ポートPs1および出力ポートPs4間、並びに、入力ポートPs3および出力ポートPs2間がそれぞれ接続されるように切り替えられる。
【0055】
なお、障害通知メッセージMfを送出したノード#4では、左回りのリング側から「402」のラベルが付加されたパケットが入力されたときに、その「402」を外し、スタックされていた「def」を通常時と同様に「ghi」に付け替えると共に、右回りのリング側から「GHI」のラベルが付加されたパケットが入力されたときに、該パケットのラベルを通常時と同様に「DEF」に付け替え、それよりも前に「401」のラベルを付加することで「DEF」をスタックするラベルテーブルLT(#4)が作成および記憶される。これに加えて、ノード#4内のスイッチ14の入出力ポート間の接続状態が、入力ポートPs1および出力ポートPs4間、並びに、入力ポートPs3および出力ポートPs2間がそれぞれ接続されるように切り替えられる。
【0056】
上記のような一連の処理により、ノード#3,#4間のリンクで発生した障害を迂回するための双方向のラベルパスが形成される(図11下段)。これにより、ノード#2からノード#5に伝送されるパケットは、ノード#2で「abc」のラベルが付加され、ノード#3で「abc」が「def」に付け替えられると共に「202」が付加されて左回りの迂回経路に折り返される。そして、各ノード#2,#1,#6,#5で「202」が「102」→「602」→「502」→「402」に順次付け替えられ、ノード#4で「402」が外されると共にスタックされていた「def」が「ghi」に付け替えられて右回りのリング上に折り返され、ノード#5で「ghi」が外されてパケットが終端される。また、このパケットとは逆方向に、ノード#5からノード#2に伝送されるパケットは、ノード#5で「GHI」のラベルが付加され、ノード#4で「GHI」が「DEF」に付け替えられると共に「401」が付加されて右回りの迂回経路に折り返される。そして、各ノード#5,#6,#1,#2で「401」が「501」→「601」→「101」→「201」に順次付け替えられ、ノード#3で「201」が外されると共にスタックされていた「DEF」が「ABC」に付け替えられて左回りのリング上に折り返され、ノード#2で「ABC」が外されてパケットが終端される。
【0057】
また、双方向切替え方式における障害復帰時の動作は、上述の図5に示した片方向切替え方式の場合と基本的に同様であって、ノード#4で障害からの復帰が検出されることで障害通知メッセージMfの送出が停止され、該停止により下流の各ノードで双方向のラベルバインドを解除する処理が行われ、ノード#3,#4ではスイッチ14およびラベルテーブルを通常時の状態に戻す処理が行われる。
【0058】
次に、上述した実施形態の他の応用例について説明する。
上述した実施形態では、リンク単位に1つのラベルが割り当てられる場合を説明した。この場合、一方向のリンクに対して定義されるパスは唯一となる。しかし、リンク単位に複数のラベルを割り当てるようにしても基本的に同様なプロテクションを実現することができ、より柔軟な運用が可能になる。以下では、リンク単位に3種類のラベルを割り当て、各ラベルに優先度を設定して、優先度に応じたプロテクションを実現するようにした応用例を説明する。
【0059】
図12は、上記の応用例においてリング型ネットワークの各ノードに適用する伝送装置の構成を示すブロック図である。
図12に示す伝送装置の構成が上述の図1に示した構成と異なる点は、ラベル処理部13A,13Bとスイッチ14との間の経路上に帯域制限部20A,20Bが挿入されている点である。この帯域制限部20A,20Bは、後述するラベル処理部13A,13Bでの優先度に対応したラベル付替え処理に応じて、優先度の低いパケットに関する帯域の絞り込みを可能にするものである。
【0060】
図13は、上記伝送装置を各ノードに適用したリング型ネットワークにおけるプロテクション動作の概要を示す図である。
このリング型ネットワークでは、図13上段に示すように、運用開始前の初期状態において、各ノード#1〜#6の間をそれぞれ接続する双方向の伝送路(リンク)それぞれに対して、高優先、中優先および低優先に対応した3種類のラベルが個別に設定される。ここでは例えば、ノード#1,#2間の右回りのリンクのラベルとして、高優先に対応した「1011」、中優先に対応した「1012」および低優先に対応した「1013」が設定され、左回りのリンクのラベルとして、高優先に対応した「1021」、中優先に対応した「1022」および低優先に対応した「1023」が設定される。これと同様の規則に従って、ノード#2,#3間の各方向のリンクのラベルとして2011〜2013,2021〜2023が設定され、ノード#3,#4間の各方向のリンクのラベルとして3011〜3013,3021〜3023が設定され、ノード#4,#5間の各方向のリンクのラベルとして4011〜4013,4021〜4023が設定され、ノード#5,#6間の各方向のリンクのラベルとして5011〜5013,5021〜5023が設定され、ノード#6,#1間の各方向のリンクのラベルとして6011〜6013,6021〜6023が設定される。
【0061】
そして、図13中段に例示するようにノード#3,#4間の右回りのリングに対応したリンクで障害が発生した場合、その障害発生がノード#4で検出されることで、障害通知メッセージMfがノード#4から右回りのリング上に送出され、下流の各ノードに順次転送されてノード#3で終端される。また、ノード#4内ではスイッチ14の切替え処理が行われてリングが折り返される。
【0062】
ノード#4より下流の各ノードでは、障害通知メッセージMfを受信すると、各優先度に対応したラベルバインド処理が実行される。例えば、ノード#5では、左回りのリング側から入力されるパケットのラベルが、高優先に対応した「5021」のときに該ラベルを「4021」に付け替え、中優先に対応した「5022」のときに該ラベルを「4022」に付け替え、低優先に対応した「5023」のときに該ラベルを「4023」に付け替えてフォワーディングするラベルテーブルLT(#5)が作成および記憶される。これと同様にして、他のノード#6,#1,#2でもラベルテーブルの作成および記憶が行われる。
【0063】
ノード#4からの障害通知メッセージMfを最後に受けたノード#3では、リングを折り返すためのスイッチ14の切替え処理と、右回りのリング側から入力されるパケットのラベルを優先度に応じて書き換える処理とが行われる。ノード#3でのラベルの書換え処理に関して、ここでは、通常運用時にノード#2で高優先のパケットに「abcx」のラベルが付与され、中優先のパケットに対して「abcy」のラベルが付与され、低優先のパケットに対して「abcz」のラベルが付与されるものとする。このような場合、ノード#3では、右回りのリング側から入力されるパケットのラベルが、「abcx」のときには、該ラベルを「defx」に付け替え、それよりも前に「2021」のラベルを付加して「defx」をスタックし、また、入力ラベルが「abcy」のときには、該ラベルを「defy」に付け替え、それよりも前に「2022」のラベルを付加して「defy」をスタックし、さらに、入力ラベルが「abcz」のときには、該ラベルを「defz」に付け替え、それよりも前に「2023」のラベルを付加して「defz」をスタックする、ラベルテーブルLT(#3)の作成および記憶が行われる(図13下段の右側)。
【0064】
また、上記ノード#3に対向するノード#4では、ラベルテーブルの書換え処理として、左回りのリング側から入力されるパケットのラベルが、「4021」のときには、該ラベルを外し、スタックされていた「defx」を「ghix」に付け替え、また、入力ラベルが「4022」のときには、該ラベルを外し、スタックされていた「defy」を「ghiy」に付け替え、さらに、入力ラベルが「4023」のときには、該ラベルを外し、スタックされていた「defz」を「ghiz」に付け替える、ラベルテーブルLT(#4)の作成および記憶が行われる(図13下段の左側)。
【0065】
上記のような一連の処理により、ノード#3,#4間のリンクで発生した障害を迂回するための優先度に応じた3つのラベルパスが形成される。これにより、例えばノード#2からノード#5に伝送される高優先のパケットは、ノード#2で「abcx」のラベルが付加され、ノード#3で「abcx」が「defx」に付け替えられると共に「2021」が付加されて左回りの迂回経路に折り返される。そして、各ノード#2,#1,#6,#5で「2021」が「1021」→「6021」→「5021」→「4021」に順次付け替えられ、ノード#4で「4021」が外されると共にスタックされていた「defx」が「ghix」に付け替えられて右回りのリング上に折り返され、ノード#5で「ghix」が外されてパケットが終端される。また、障害発生時に形成される迂回経路の帯域が不足し全てのユーザデータを救済できないような場合には、例えばノード#3の帯域制御部20Aにおいて、低優先のパケットの一部若しくは全部を破棄して帯域の絞り込みを行うことで、優先度が上位のパケットの迂回経路が確保されるようにする。これにより、より柔軟なシステム運用が障害発生時にも可能になる。
【0066】
なお、優先度に応じたプロテクションにおける障害復帰時の動作は、上述の図5に示した場合と基本的に同様であって、ノード#4で障害からの復帰が検出されることで障害通知メッセージMfの送出が停止され、該停止により下流の各ノードで優先度に対応したラベルバインドを解除する処理が行われ、ノード#3,#4ではスイッチ14およびラベルテーブルを通常時の状態に戻す処理が行われる。
【0067】
次に、上記とは別の応用例について説明する。
上述した実施形態では、右回りおよび左回りに対応した1組のリングで構成されるネットワークでのプロテクションについて説明したが、複数組のリングで構成されるネットワークについても基本的に同様なプロテクションを実現することが可能である。以下では、2組のリングを連結したネットワークについての応用例について説明する。
【0068】
図14は、上記応用例におけるプロテクション動作の概要を示す図である。
図14に示すリング型ネットワークは、それぞれ6個のノードが双方向の伝送路を介してリング状に接続された第1および第2のリングR1,R2が、ノード#4を共有して相互に接続された構成となっている。第1のリングR1上の各ノード#1〜#6間を接続する各々のリンクに対しては、上述した実施形態の場合と同様にして、101,102〜601,602のラベルが個別に設定される。また、第2のリングR2については、ノード#4,#12間の右回りのリンクのラベルが「1101」、左回りのリンクのラベルが「1102」に設定され、以降これと同様にして、ノード#12,#13間のリンクのラベルが「1201」「1202」、ノード#13,#14間のリンクのラベルが「1301」「1302」、ノード#14,#15間のリンクのラベルが「1401」「1402」、ノード#15,#16間のリンクのラベルが「1501」「1502」、ノード#16,#4間のリンクのラベルが「1601」「1602」にそれぞれ設定される(図14左上)。
【0069】
図15は、共有ノード#4に適用される伝送装置の構成例を示したブロック図である。
図15の構成例において、入力ポートP1および出力ポートP2は第1のリングR1側の右回りのリングに接続され、入力ポートP3および出力ポートP4は第1のリングR1側の左回りのリングに接続される。また、入力ポートP11および出力ポートP12は第2のリングR2側の右回りのリングに接続され、入力ポートP13および出力ポートP14は第2のリングR2側の左回りのリングに接続される。各入出力ポート間の信号経路上には、それぞれ、リンクモニタ部11A,11B,111A,111B、障害通知メッセージ抽出部12A,12B,112A,112B、ラベル処理部13A,13B,113A,113B、スイッチ14および障害通知メッセージ送出部15A,15B,115A,115Bが順に配置されている。なお、スイッチ14は、4本の信号経路に跨って設けられている。また、制御メッセージ処理部16’、ラベルテーブル管理部17、ラベルテーブル記憶部18およびスイッチ制御部19が、各信号経路に共通に設けられている。
【0070】
制御メッセージ処理部16’は、上述の図1に示した制御メッセージ処理部16の追加機能として、リングID処理部16Aが設けられている。このリングID処理部16Aは、後述するように、障害発生時に送出する障害通知メッセージへのリングIDの付加や、他のノードから送られてくる障害通知メッセージのリングIDの解析を行う。このリングIDは、リングR1,R2のいずれの側で障害が発生しているかを識別可能にするものである。ここでは、リングIDが付加された障害通知メッセージをMfidの符号を用いて表すことにする。
【0071】
なお、上記制御メッセージ処理部16’を除いたノード#4の各構成要素は、上述した実施形態の場合と同様である。また、共有ノード#4以外の他のノードに適用される伝送装置は、上述の図1に示した構成と基本的に同様であり、制御メッセージ処理部16に代えて上記リングID処理部16Aを追加した制御メッセージ処理部16’を設けている点だけが相違している。
【0072】
上記のような伝送装置が各ノードに適用されたリング型ネットワークにおいて、例えば図14右下に示したように、第1のリングR1側のノード#5,#6間における右回りに対応したリンクで障害が発生した場合、該障害の発生がノード#6のリンクモニタ部11Aで検出され、その結果が制御メッセージ処理部16’に伝えらえる。ノード#6の制御メッセージ処理部16’では、第1のリングR1に対応したリングIDを付加した障害通知メッセージMfidが生成され、それが右回りのリング上に送出されて下流の各ノードに順次転送される。このとき、共有ノード#4の制御メッセージ処理部16’では、一方のリング側からの障害通知メッセージMfidが他方のリング側に誤って転送されてしまわないように、受信した障害通知メッセージMfidに含まれるリングIDの解析が行われ、それが第1のリングR1側からのものであることが確認される。これにより、第1のリングR1側からの障害通知メッセージMfidがノード#4からノード#5に確実に転送されるようになる。
【0073】
ノード#6から送出された障害通知メッセージMfidを受信した第1のリングR1側の各ノードでは、上述した実施形態の場合と同様にして、リンク単位でラベルを割り当てておいたパスのうち、左回りのリング側の自ノードに隣接するリンクパスを繋ぎ合わせる処理が行われ、また、障害区間に隣接するノード#5,#6では、スイッチ14の切替えとラベルテーブルの書換えの処理が行われる。これにより、障害区間の迂回経路が形成され(図14右下)、例えば第2のリングR2側のノード#14から第1のリングR1側のノード#1にユーザデータを伝送するようなときに、該ユーザデータのプロテクションを短時間で確実に行うことができる。
【0074】
なお、上記の応用例では、第1および第2のリングR1,R2が1つのノード#4を共有するネットワーク構成を一例として示したが、例えば図16に示すように、複数のノード(図の例ではノード#2,#3)および該ノード間のリンクを共有するようなネットワーク構成であっても同様なプロテクションを実現することが可能である。このようなネットワーク構成の場合、図16上段に示すように、第1および第2のリングR1,R2で共有されるノード#2,#3間のリンクについては、第1のリングR1側の各方向に対応した「201」「202」のラベルと、第2のリングR2側の各方向に対応した「1201」「1202」のラベルとが予め設定される。また、共有ノード#2,#3に適用される伝送装置は、例えば図17に示すような構成となる。この伝送装置の構成例においても、前述した図15の場合と同様に、リングID処理部16Aを有する制御メッセージ処理部16’が適用される。このような構成により、前述した図14の場合と同様にして、図16下段の太線矢印に例示したようなプロテクションが可能になる。
【0075】
以上の各実施形態に関して、さらに以下の付記を開示する。
(付記1) リング状に接続された複数のノード間でラベルスイッチング方式を適用してパケットを双方向に伝送するリング型ネットワークにおける障害発生時の回避制御を行うための伝送方法であって、
隣接するノード間を接続する片方向のリンクを単位として、全てのノード間の各方向のリンクに対し、障害発生時用のラベルを予め個別に設定する過程と、
いずれかの方向のリング上で障害が発生した時、当該障害区間の終点に位置するノードが、障害の発生を通知する障害通知メッセージを同方向のリング上に送出すると共に、自ノードにおける同方向のリング側の出力ポートと逆方向のリング側の入力ポートとの間を接続して各方向のリングを折り返す経路を形成し、かつ、該経路に対応させて自ノードのラベルテーブルを書き換えて記憶する過程と、
前記同方向のリング上に送出された障害通知メッセージを下流の各ノードで順次転送すると共に、該障害通知メッセージを転送した各々のノードが、前記障害発生時用のラベルについて、逆方向のリング側の自ノードに隣接する2つのリンクを繋ぎ合わせるためのラベルテーブルを作成して記憶する過程と、
前記下流の各ノードで順次転送された前記障害通知メッセージを前記障害区間の始点に位置するノードで終端すると共に、該障害通知メッセージを終端したノードが、自ノードにおける同方向のリング側の入力ポートと逆方向のリング側の出力ポートとの間を接続して各方向のリングを折り返す経路を形成し、かつ、該経路に対応させて自ノードのラベルテーブルを書き換えて記憶する過程と、
前記障害が発生している間、障害区間に到来したパケットを、前記各ノードが各々の記憶したラベルテーブルに従ってラベルスイッチングして伝送し、障害区間を迂回させる過程と、
を含むことを特徴とする伝送方法。
【0076】
(付記2) 付記1に記載の伝送方法であって、
前記障害から復帰した時、前記障害区間の終点に位置するノードが、前記同方向のリング上に送出していた障害通知メッセージを停止すると共に、自ノードにおける同方向のリング側の入出力ポート間を接続する経路を形成し、かつ、該経路に対応させて自ノードのラベルテーブルを書き換えて記憶する過程と、
前記障害通知メッセージの停止により、該障害通知メッセージを転送していた各ノードが、前記障害発生時用のラベルについての2つのリンクの繋ぎ合わせを解除すると共に、該障害通知メッセージを終端していたノードが、自ノードにおける同方向のリング側の入出力ポート間を接続する経路を形成し、かつ、該経路に対応させて自ノードのラベルテーブルを書き換えて記憶する過程と、
を含むことを特徴とする伝送方法。
【0077】
(付記3) 付記1または2に記載の伝送方法であって、
前記障害通知メッセージは、障害区間に対応したラベルに関する情報を含み、
前記障害区間の始点に位置するノードは、前記障害通知メッセージに含まれる障害区間に対応したラベルに関する情報を基にして、前記障害通知メッセージを終端することを特徴とする伝送方法。
【0078】
(付記4) 付記1または2に記載の伝送方法であって、
前記障害通知メッセージを受信した下流の各ノードが、該障害通知メッセージへの応答信号を返信する過程と、
前記障害区間の終点に位置するノードが、前記下流の各ノードからの応答信号に基づいて前記障害区間の始点に位置するノードを判断し、該始点のノード宛に前記障害通知メッセージを再送出することを特徴とする伝送方法。
【0079】
(付記5) 付記1〜4のいずれか1つに記載の伝送方法であって、
前記障害区間の終点に位置するノードが、上流の隣接するリンクでの障害を検出して前記障害通知メッセージを送出することを特徴とする伝送方法。
【0080】
(付記6) 付記1〜4のいずれか1つに記載の伝送方法であって、
前記障害区間の終点に位置するノードが、上流の隣接するノードでの障害を検出して前記障害通知メッセージを送出することを特徴とする伝送方法。
【0081】
(付記7) 付記1〜6のいずれか1つに記載の伝送方法であって、
前記障害通知メッセージを転送した各々のノードは、前記障害発生時用のラベルについて、逆方向のリング側だけでなく同方向のリング側の自ノードに隣接する2つのリンクを繋ぎ合わせるためのラベルテーブルを作成して記憶することを特徴とする伝送方法。
【0082】
(付記8) 付記1〜7のいずれか1つに記載の伝送方法であって、
前記障害発生時用のラベルを予め個別に設定する過程は、各方向のリングを伝送されるパケットに優先度が設定されているとき、全てのノード間の各方向のリンクに対し、優先度の設定数に応じた複数の障害発生時用のラベルを予め個別に設定し、
前記障害通知メッセージを転送した各々のノードは、前記障害発生時用のラベルについて、逆方向のリング側の自ノードに隣接する優先度の対応した2つのリンクを繋ぎ合わせるためのラベルテーブルを作成して記憶することを特徴とする伝送方法。
【0083】
(付記9) 付記1〜8のいずれか1つに記載の伝送方法であって、
前記リング型ネットワークが、双方向の伝送に対応した複数組のリングを連結した構成であるとき、
前記障害通知メッセージは、前記複数組のリングのうちで障害が発生しているリングを識別可能にするリングIDを含み、
前記複数組のリング上の共有ノードは、前記障害通知メッセージを受信すると、該障害通知メッセージに含まれるリングIDに応じて、障害が発生しているリング上の下流ノードに前記障害通知メッセージを転送することを特徴とする伝送方法。
【0084】
(付記10) リング状に接続された複数のノード間でラベルスイッチング方式を適用してパケットを双方向に伝送するリング型ネットワークにおける前記各ノードに適用される伝送装置であって、
各方向のリングにそれぞれ接続する2組の入力ポートおよび出力ポートと、
前記2組の入力ポートおよび出力ポート間の信号経路を切り替えるスイッチと、
前記スイッチを制御するスイッチ制御手段と、
前記各入力ポートへの入力信号の状態を基に各方向のリング上で障害が発生しているか否かを検出する障害検出手段と、
前記各入力ポートに入力される信号より、他のノードから送出された障害の発生を通知する障害通知メッセージを抽出する障害通知メッセージ抽出手段と、
ラベルテーブルを記憶するラベルテーブル記憶手段と、
隣接するノード間を接続する片方向のリンクを単位として、全てのノード間の各方向のリンクに対し予め個別に設定される障害発生時用のラベルが登録されており、前記ラベルテーブル記憶手段のラベルテーブルを管理するラベルテーブル管理手段と、
前記ラベルテーブル記憶手段のラベルテーブルに従って、パケットに対するラベルの付加、付替えまたは取外しの処理を行うラベル処理手段と、
前記障害検出手段においていずれかの方向のリング上での障害発生が検出された時、該障害の発生を通知する障害通知メッセージを生成して同方向のリング上に送出すると共に、該同方向のリング側の前記出力ポートと逆方向のリング側の前記入力ポートとの間を接続して各方向のリングを折り返す経路の形成を指示するスイッチ切替えメッセージを生成して前記スイッチ制御手段に出力し、かつ、該経路に対応したラベルテーブルの書換えを指示するラベル処理メッセージを生成して前記ラベルテーブル管理手段に出力し、また、前記障害通知メッセージ抽出手段において他のノードからの障害通知メッセージが抽出された時、自ノードが障害区間の始点に位置していない場合には、前記他のノードからの障害通知メッセージを同方向のリング上の下流ノードに転送すると共に、前記障害発生時用のラベルについて、逆方向のリング側の自ノードに隣接する2つのリンクを繋ぎ合わせるラベルテーブルの作成を指示するラベル処理メッセージを生成して前記ラベルテーブル管理手段に出力し、自ノードが障害区間の始点に位置する場合には、前記他のノードからの障害通知メッセージを終端すると共に、同方向のリング側の前記入力ポートと逆方向のリング側の前記出力ポートの間を接続して各方向のリングを折り返す経路の形成を指示するスイッチ切替えメッセージを生成して前記スイッチ制御手段に出力し、かつ、該経路に対応したラベルテーブルの書換えを指示するラベル処理メッセージを生成して前記ラベルテーブル管理手段に出力する制御メッセージ処理手段と、
を備えたことを特徴とする伝送装置。
【0085】
(付記11) 付記10に記載の伝送装置であって、
前記制御メッセージ処理手段は、前記障害検出手段において前記障害からの復帰が検出された時、前記同方向のリング上に送出していた障害通知メッセージを停止すると共に、同方向のリング側の入出力ポート間を接続する経路の形成を指示するスイッチ切替えメッセージを生成して前記スイッチ制御手段に出力し、かつ、該経路に対応したラベルテーブルの書換えを指示するラベル処理メッセージを生成して前記ラベルテーブル管理手段に出力し、また、前記障害通知メッセージ抽出手段において他のノードからの障害通知メッセージが抽出されなくなった時、自ノードが障害区間の始点に位置していない場合には、前記障害発生時用のラベルについての2つのリンクの繋ぎ合わせの解除を指示するラベル処理メッセージを生成して前記ラベルテーブル管理手段に出力し、自ノードが障害区間の始点に位置する場合には、同方向のリング側の入出力ポート間を接続する経路の形成を指示するスイッチ切替えメッセージを生成して前記スイッチ制御手段に出力し、かつ、該経路に対応したラベルテーブルの書換えを指示するラベル処理メッセージを生成して前記ラベルテーブル管理手段に出力することを特徴とする伝送装置。
【0086】
(付記12) 付記10または11に記載の伝送装置であって、
前記制御メッセージ処理手段は、障害区間に対応したラベルに関する情報を含んだ前記障害通知メッセージを生成して同方向のリング上に送出することを特徴とする伝送装置。
【0087】
(付記13) 付記10または11に記載の伝送装置であって、
前記制御メッセージ処理手段は、前記障害通知メッセージを同方向のリング上に送出した後、下流の各ノードから返信されてくる前記障害通知メッセージへの応答信号に基づいて前記障害区間の始点に位置するノードを判断し、該始点のノード宛に前記障害通知メッセージを再送出することを特徴とする伝送装置。
【0088】
(付記14) 付記10〜13のいずれか1つに記載の伝送装置であって、
前記制御メッセージ処理手段は、前記障害通知メッセージ抽出手段において他のノードからの障害通知メッセージが抽出された時、自ノードが障害区間の始点に位置していない場合には、前記障害発生時用のラベルについて、逆方向のリング側だけでなく同方向のリング側の自ノードに隣接する2つのリンクを繋ぎ合わせるためのラベルテーブルの作成を指示するラベル処理メッセージを生成して前記ラベルテーブル管理手段に出力することを特徴とする伝送装置。
【0089】
(付記15) 付記10〜14のいずれか1つに記載の伝送装置であって、
前記ラベルテーブル管理手段は、各方向のリングを伝送されるパケットに優先度が設定されているとき、優先度の設定数に応じた複数の前記障害発生時用のラベルが登録されており、
前記制御メッセージ処理手段は、前記障害通知メッセージ抽出手段において他のノードからの障害通知メッセージが抽出された時、自ノードが障害区間の始点に位置していない場合には、前記障害発生時用のラベルについて、逆方向のリング側の自ノードに隣接する優先度の対応した2つのリンクを繋ぎ合わせるためのラベルテーブルの作成を指示するラベル処理メッセージを生成して前記ラベルテーブル管理手段に出力することを特徴とする伝送装置。
【0090】
(付記16) 付記10〜15のいずれか1つに記載の伝送装置であって、
前記リング型ネットワークが、双方向の伝送に対応した複数組のリングを連結した構成であるとき、
前記制御メッセージ処理手段は、前記障害検出手段で障害発生が検出された時、前記複数組のリングのうちで障害が発生しているリングを識別可能にするリングIDを含んだ障害通知メッセージを生成して同方向のリング上に送出し、また、前記障害通知メッセージ抽出手段において他のノードからの障害通知メッセージが抽出された時、自ノードが前記複数組のリング上の共有ノードに該当し、かつ、障害区間の始点に位置していない場合には、該抽出された障害通知メッセージに含まれるリングIDに応じて、障害が発生しているリング上の下流ノードに前記障害通知メッセージを転送することを特徴とする伝送装置。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明による伝送装置の一実施形態の構成を示すブロック図である。
【図2】図1の伝送装置を適用したリング型ネットワークで初期状態に設定されるラベルの一例を示す図である。
【図3】上記実施形態における通常運用時の動作を説明する図である。
【図4】上記実施形態におけるリンク障害発生時の動作を説明する図である。
【図5】上記実施形態におけるリンク障害復帰時の動作を説明する図である。
【図6】図4の動作に関連し、障害区間のラベル情報を含んだ障害通知メッセージを転送するようにした変形例を示す図である。
【図7】図4の動作に関連し、障害通知メッセージの受信応答を行うようにした変形例を示す図である。
【図8】上記実施形態におけるノード障害発生時の動作を説明する図である。
【図9】図8の動作に関連し、障害通知メッセージの受信応答を行うようにした変形例を示す図である。
【図10】上記実施形態におけるノード障害復帰時の動作を説明する図である。
【図11】双方向切替え方式のプロテクションに対応した応用例の動作を説明する図である。
【図12】優先度に応じたプロテクションを実現する他の応用例での伝送装置の構成を示すブロック図である。
【図13】図12の応用例における動作を説明する図である。
【図14】2組のリングを連結したネットワークに対応した別の応用例の動作を説明する図である。
【図15】図14の応用例において共有ノードに適用される伝送装置の構成を示すブロック図である。
【図16】図14の応用例に関連し、共有ノードが複数存在するネットワーク構成における動作を説明する図である。
【図17】図16のネットワーク構成において共有ノードに適用される伝送装置の構成を示すブロック図である。
【図18】ラベルスイッチング方式を適用したリング型ネットワークにおける従来のプロテクション方式を説明する図である。
【図19】従来のプロテクション方式で設定される冗長パスを示す概念図である。
【符号の説明】
【0092】
11A,11B,111A,111B リンクモニタ部
12A,12B,112A,112B 障害通知メッセージ抽出部
13A,13B,113A,113B ラベル処理部
14 スイッチ
15A,15B,115A,115B 障害通知メッセージ送出部
16 制御メッセージ処理部
16A リングID処理部
17 ラベルテーブル管理部
18 ラベルテーブル記憶部
19 スイッチ制御部
20A,20B 帯域制限部
#1〜#6,#11〜#16 ノード
Mf,Mf’ ,Mf”,Mfid 障害通知メッセージ
Ms スイッチ切替えメッセージ
Ml ラベル処理メッセージ
P1,P3,P11,P13 入力ポート
P2,P4,P12,P14 出力ポート
R1 第1のリング
R2 第2のリング
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リング状に接続された複数のノード間でラベルスイッチング方式を適用してパケットを双方向に伝送するリング型ネットワークにおける障害発生時の回避制御を行うための伝送方法であって、
隣接するノード間を接続する片方向のリンクを単位として、全てのノード間の各方向のリンクに対し、障害発生時用のラベルを予め個別に設定する過程と、
いずれかの方向のリング上で障害が発生した時、当該障害区間の終点に位置するノードが、障害の発生を通知する障害通知メッセージを同方向のリング上に送出すると共に、自ノードにおける同方向のリング側の出力ポートと逆方向のリング側の入力ポートとの間を接続して各方向のリングを折り返す経路を形成し、かつ、該経路に対応させて自ノードのラベルテーブルを書き換えて記憶する過程と、
前記同方向のリング上に送出された障害通知メッセージを下流の各ノードで順次転送すると共に、該障害通知メッセージを転送した各々のノードが、前記障害発生時用のラベルについて、逆方向のリング側の自ノードに隣接する2つのリンクを繋ぎ合わせるためのラベルテーブルを作成して記憶する過程と、
前記下流の各ノードで順次転送された前記障害通知メッセージを前記障害区間の始点に位置するノードで終端すると共に、該障害通知メッセージを終端したノードが、自ノードにおける同方向のリング側の入力ポートと逆方向のリング側の出力ポートとの間を接続して各方向のリングを折り返す経路を形成し、かつ、該経路に対応させて自ノードのラベルテーブルを書き換えて記憶する過程と、
前記障害が発生している間、障害区間に到来したパケットを、前記各ノードが各々の記憶したラベルテーブルに従ってラベルスイッチングして伝送し、障害区間を迂回させる過程と、
を含むことを特徴とする伝送方法。
【請求項2】
請求項1に記載の伝送方法であって、
前記障害から復帰した時、前記障害区間の終点に位置するノードが、前記同方向のリング上に送出していた障害通知メッセージを停止すると共に、自ノードにおける同方向のリング側の入出力ポート間を接続する経路を形成し、かつ、該経路に対応させて自ノードのラベルテーブルを書き換えて記憶する過程と、
前記障害通知メッセージの停止により、該障害通知メッセージを転送していた各ノードが、前記障害発生時用のラベルについての2つのリンクの繋ぎ合わせを解除すると共に、該障害通知メッセージを終端していたノードが、自ノードにおける同方向のリング側の入出力ポート間を接続する経路を形成し、かつ、該経路に対応させて自ノードのラベルテーブルを書き換えて記憶する過程と、
を含むことを特徴とする伝送方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の伝送方法であって、
前記障害通知メッセージを転送した各々のノードは、前記障害発生時用のラベルについて、逆方向のリング側だけでなく同方向のリング側の自ノードに隣接する2つのリンクを繋ぎ合わせるためのラベルテーブルを作成して記憶することを特徴とする伝送方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1つに記載の伝送方法であって、
前記障害発生時用のラベルを予め個別に設定する過程は、各方向のリングを伝送されるパケットに優先度が設定されているとき、全てのノード間の各方向のリンクに対し、優先度の設定数に応じた複数の障害発生時用のラベルを予め個別に設定し、
前記障害通知メッセージを転送した各々のノードは、前記障害発生時用のラベルについて、逆方向のリング側の自ノードに隣接する優先度の対応した2つのリンクを繋ぎ合わせるためのラベルテーブルを作成して記憶することを特徴とする伝送方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1つに記載の伝送方法であって、
前記リング型ネットワークが、双方向の伝送に対応した複数組のリングを連結した構成であるとき、
前記障害通知メッセージは、前記複数組のリングのうちで障害が発生しているリングを識別可能にするリングIDを含み、
前記複数組のリング上の共有ノードは、前記障害通知メッセージを受信すると、該障害通知メッセージに含まれるリングIDに応じて、障害が発生しているリング上の下流ノードに前記障害通知メッセージを転送することを特徴とする伝送方法。
【請求項6】
リング状に接続された複数のノード間でラベルスイッチング方式を適用してパケットを双方向に伝送するリング型ネットワークにおける前記各ノードに適用される伝送装置であって、
各方向のリングにそれぞれ接続する2組の入力ポートおよび出力ポートと、
前記2組の入力ポートおよび出力ポート間の信号経路を切り替えるスイッチと、
前記スイッチを制御するスイッチ制御手段と、
前記各入力ポートへの入力信号の状態を基に各方向のリング上で障害が発生しているか否かを検出する障害検出手段と、
前記各入力ポートに入力される信号より、他のノードから送出された障害の発生を通知する障害通知メッセージを抽出する障害通知メッセージ抽出手段と、
ラベルテーブルを記憶するラベルテーブル記憶手段と、
隣接するノード間を接続する片方向のリンクを単位として、全てのノード間の各方向のリンクに対し予め個別に設定される障害発生時用のラベルが登録されており、前記ラベルテーブル記憶手段のラベルテーブルを管理するラベルテーブル管理手段と、
前記ラベルテーブル記憶手段のラベルテーブルに従って、パケットに対するラベルの付加、付替えまたは取外しの処理を行うラベル処理手段と、
前記障害検出手段においていずれかの方向のリング上での障害発生が検出された時、該障害の発生を通知する障害通知メッセージを生成して同方向のリング上に送出すると共に、該同方向のリング側の前記出力ポートと逆方向のリング側の前記入力ポートとの間を接続して各方向のリングを折り返す経路の形成を指示するスイッチ切替えメッセージを生成して前記スイッチ制御手段に出力し、かつ、該経路に対応したラベルテーブルの書換えを指示するラベル処理メッセージを生成して前記ラベルテーブル管理手段に出力し、また、前記障害通知メッセージ抽出手段において他のノードからの障害通知メッセージが抽出された時、自ノードが障害区間の始点に位置していない場合には、前記他のノードからの障害通知メッセージを同方向のリング上の下流ノードに転送すると共に、前記障害発生時用のラベルについて、逆方向のリング側の自ノードに隣接する2つのリンクを繋ぎ合わせるラベルテーブルの作成を指示するラベル処理メッセージを生成して前記ラベルテーブル管理手段に出力し、自ノードが障害区間の始点に位置する場合には、前記他のノードからの障害通知メッセージを終端すると共に、同方向のリング側の前記入力ポートと逆方向のリング側の前記出力ポートの間を接続して各方向のリングを折り返す経路の形成を指示するスイッチ切替えメッセージを生成して前記スイッチ制御手段に出力し、かつ、該経路に対応したラベルテーブルの書換えを指示するラベル処理メッセージを生成して前記ラベルテーブル管理手段に出力する制御メッセージ処理手段と、
を備えたことを特徴とする伝送装置。
【請求項7】
請求項6に記載の伝送装置であって、
前記制御メッセージ処理手段は、前記障害検出手段において前記障害からの復帰が検出された時、前記同方向のリング上に送出していた障害通知メッセージを停止すると共に、同方向のリング側の入出力ポート間を接続する経路の形成を指示するスイッチ切替えメッセージを生成して前記スイッチ制御手段に出力し、かつ、該経路に対応したラベルテーブルの書換えを指示するラベル処理メッセージを生成して前記ラベルテーブル管理手段に出力し、また、前記障害通知メッセージ抽出手段において他のノードからの障害通知メッセージが抽出されなくなった時、自ノードが障害区間の始点に位置していない場合には、前記障害発生時用のラベルについての2つのリンクの繋ぎ合わせの解除を指示するラベル処理メッセージを生成して前記ラベルテーブル管理手段に出力し、自ノードが障害区間の始点に位置する場合には、同方向のリング側の入出力ポート間を接続する経路の形成を指示するスイッチ切替えメッセージを生成して前記スイッチ制御手段に出力し、かつ、該経路に対応したラベルテーブルの書換えを指示するラベル処理メッセージを生成して前記ラベルテーブル管理手段に出力することを特徴とする伝送装置。
【請求項8】
請求項6または7に記載の伝送装置であって、
前記制御メッセージ処理手段は、前記障害通知メッセージ抽出手段において他のノードからの障害通知メッセージが抽出された時、自ノードが障害区間の始点に位置していない場合には、前記障害発生時用のラベルについて、逆方向のリング側だけでなく同方向のリング側の自ノードに隣接する2つのリンクを繋ぎ合わせるためのラベルテーブルの作成を指示するラベル処理メッセージを生成して前記ラベルテーブル管理手段に出力することを特徴とする伝送装置。
【請求項9】
請求項6〜8のいずれか1つに記載の伝送装置であって、
前記ラベルテーブル管理手段は、各方向のリングを伝送されるパケットに優先度が設定されているとき、優先度の設定数に応じた複数の前記障害発生時用のラベルが登録されており、
前記制御メッセージ処理手段は、前記障害通知メッセージ抽出手段において他のノードからの障害通知メッセージが抽出された時、自ノードが障害区間の始点に位置していない場合には、前記障害発生時用のラベルについて、逆方向のリング側の自ノードに隣接する優先度の対応した2つのリンクを繋ぎ合わせるためのラベルテーブルの作成を指示するラベル処理メッセージを生成して前記ラベルテーブル管理手段に出力することを特徴とする伝送装置。
【請求項10】
請求項6〜9のいずれか1つに記載の伝送装置であって、
前記リング型ネットワークが、双方向の伝送に対応した複数組のリングを連結した構成であるとき、
前記制御メッセージ処理手段は、前記障害検出手段で障害発生が検出された時、前記複数組のリングのうちで障害が発生しているリングを識別可能にするリングIDを含んだ障害通知メッセージを生成して同方向のリング上に送出し、また、前記障害通知メッセージ抽出手段において他のノードからの障害通知メッセージが抽出された時、自ノードが前記複数組のリング上の共有ノードに該当し、かつ、障害区間の始点に位置していない場合には、該抽出された障害通知メッセージに含まれるリングIDに応じて、障害が発生しているリング上の下流ノードに前記障害通知メッセージを転送することを特徴とする伝送装置。
【請求項1】
リング状に接続された複数のノード間でラベルスイッチング方式を適用してパケットを双方向に伝送するリング型ネットワークにおける障害発生時の回避制御を行うための伝送方法であって、
隣接するノード間を接続する片方向のリンクを単位として、全てのノード間の各方向のリンクに対し、障害発生時用のラベルを予め個別に設定する過程と、
いずれかの方向のリング上で障害が発生した時、当該障害区間の終点に位置するノードが、障害の発生を通知する障害通知メッセージを同方向のリング上に送出すると共に、自ノードにおける同方向のリング側の出力ポートと逆方向のリング側の入力ポートとの間を接続して各方向のリングを折り返す経路を形成し、かつ、該経路に対応させて自ノードのラベルテーブルを書き換えて記憶する過程と、
前記同方向のリング上に送出された障害通知メッセージを下流の各ノードで順次転送すると共に、該障害通知メッセージを転送した各々のノードが、前記障害発生時用のラベルについて、逆方向のリング側の自ノードに隣接する2つのリンクを繋ぎ合わせるためのラベルテーブルを作成して記憶する過程と、
前記下流の各ノードで順次転送された前記障害通知メッセージを前記障害区間の始点に位置するノードで終端すると共に、該障害通知メッセージを終端したノードが、自ノードにおける同方向のリング側の入力ポートと逆方向のリング側の出力ポートとの間を接続して各方向のリングを折り返す経路を形成し、かつ、該経路に対応させて自ノードのラベルテーブルを書き換えて記憶する過程と、
前記障害が発生している間、障害区間に到来したパケットを、前記各ノードが各々の記憶したラベルテーブルに従ってラベルスイッチングして伝送し、障害区間を迂回させる過程と、
を含むことを特徴とする伝送方法。
【請求項2】
請求項1に記載の伝送方法であって、
前記障害から復帰した時、前記障害区間の終点に位置するノードが、前記同方向のリング上に送出していた障害通知メッセージを停止すると共に、自ノードにおける同方向のリング側の入出力ポート間を接続する経路を形成し、かつ、該経路に対応させて自ノードのラベルテーブルを書き換えて記憶する過程と、
前記障害通知メッセージの停止により、該障害通知メッセージを転送していた各ノードが、前記障害発生時用のラベルについての2つのリンクの繋ぎ合わせを解除すると共に、該障害通知メッセージを終端していたノードが、自ノードにおける同方向のリング側の入出力ポート間を接続する経路を形成し、かつ、該経路に対応させて自ノードのラベルテーブルを書き換えて記憶する過程と、
を含むことを特徴とする伝送方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の伝送方法であって、
前記障害通知メッセージを転送した各々のノードは、前記障害発生時用のラベルについて、逆方向のリング側だけでなく同方向のリング側の自ノードに隣接する2つのリンクを繋ぎ合わせるためのラベルテーブルを作成して記憶することを特徴とする伝送方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1つに記載の伝送方法であって、
前記障害発生時用のラベルを予め個別に設定する過程は、各方向のリングを伝送されるパケットに優先度が設定されているとき、全てのノード間の各方向のリンクに対し、優先度の設定数に応じた複数の障害発生時用のラベルを予め個別に設定し、
前記障害通知メッセージを転送した各々のノードは、前記障害発生時用のラベルについて、逆方向のリング側の自ノードに隣接する優先度の対応した2つのリンクを繋ぎ合わせるためのラベルテーブルを作成して記憶することを特徴とする伝送方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1つに記載の伝送方法であって、
前記リング型ネットワークが、双方向の伝送に対応した複数組のリングを連結した構成であるとき、
前記障害通知メッセージは、前記複数組のリングのうちで障害が発生しているリングを識別可能にするリングIDを含み、
前記複数組のリング上の共有ノードは、前記障害通知メッセージを受信すると、該障害通知メッセージに含まれるリングIDに応じて、障害が発生しているリング上の下流ノードに前記障害通知メッセージを転送することを特徴とする伝送方法。
【請求項6】
リング状に接続された複数のノード間でラベルスイッチング方式を適用してパケットを双方向に伝送するリング型ネットワークにおける前記各ノードに適用される伝送装置であって、
各方向のリングにそれぞれ接続する2組の入力ポートおよび出力ポートと、
前記2組の入力ポートおよび出力ポート間の信号経路を切り替えるスイッチと、
前記スイッチを制御するスイッチ制御手段と、
前記各入力ポートへの入力信号の状態を基に各方向のリング上で障害が発生しているか否かを検出する障害検出手段と、
前記各入力ポートに入力される信号より、他のノードから送出された障害の発生を通知する障害通知メッセージを抽出する障害通知メッセージ抽出手段と、
ラベルテーブルを記憶するラベルテーブル記憶手段と、
隣接するノード間を接続する片方向のリンクを単位として、全てのノード間の各方向のリンクに対し予め個別に設定される障害発生時用のラベルが登録されており、前記ラベルテーブル記憶手段のラベルテーブルを管理するラベルテーブル管理手段と、
前記ラベルテーブル記憶手段のラベルテーブルに従って、パケットに対するラベルの付加、付替えまたは取外しの処理を行うラベル処理手段と、
前記障害検出手段においていずれかの方向のリング上での障害発生が検出された時、該障害の発生を通知する障害通知メッセージを生成して同方向のリング上に送出すると共に、該同方向のリング側の前記出力ポートと逆方向のリング側の前記入力ポートとの間を接続して各方向のリングを折り返す経路の形成を指示するスイッチ切替えメッセージを生成して前記スイッチ制御手段に出力し、かつ、該経路に対応したラベルテーブルの書換えを指示するラベル処理メッセージを生成して前記ラベルテーブル管理手段に出力し、また、前記障害通知メッセージ抽出手段において他のノードからの障害通知メッセージが抽出された時、自ノードが障害区間の始点に位置していない場合には、前記他のノードからの障害通知メッセージを同方向のリング上の下流ノードに転送すると共に、前記障害発生時用のラベルについて、逆方向のリング側の自ノードに隣接する2つのリンクを繋ぎ合わせるラベルテーブルの作成を指示するラベル処理メッセージを生成して前記ラベルテーブル管理手段に出力し、自ノードが障害区間の始点に位置する場合には、前記他のノードからの障害通知メッセージを終端すると共に、同方向のリング側の前記入力ポートと逆方向のリング側の前記出力ポートの間を接続して各方向のリングを折り返す経路の形成を指示するスイッチ切替えメッセージを生成して前記スイッチ制御手段に出力し、かつ、該経路に対応したラベルテーブルの書換えを指示するラベル処理メッセージを生成して前記ラベルテーブル管理手段に出力する制御メッセージ処理手段と、
を備えたことを特徴とする伝送装置。
【請求項7】
請求項6に記載の伝送装置であって、
前記制御メッセージ処理手段は、前記障害検出手段において前記障害からの復帰が検出された時、前記同方向のリング上に送出していた障害通知メッセージを停止すると共に、同方向のリング側の入出力ポート間を接続する経路の形成を指示するスイッチ切替えメッセージを生成して前記スイッチ制御手段に出力し、かつ、該経路に対応したラベルテーブルの書換えを指示するラベル処理メッセージを生成して前記ラベルテーブル管理手段に出力し、また、前記障害通知メッセージ抽出手段において他のノードからの障害通知メッセージが抽出されなくなった時、自ノードが障害区間の始点に位置していない場合には、前記障害発生時用のラベルについての2つのリンクの繋ぎ合わせの解除を指示するラベル処理メッセージを生成して前記ラベルテーブル管理手段に出力し、自ノードが障害区間の始点に位置する場合には、同方向のリング側の入出力ポート間を接続する経路の形成を指示するスイッチ切替えメッセージを生成して前記スイッチ制御手段に出力し、かつ、該経路に対応したラベルテーブルの書換えを指示するラベル処理メッセージを生成して前記ラベルテーブル管理手段に出力することを特徴とする伝送装置。
【請求項8】
請求項6または7に記載の伝送装置であって、
前記制御メッセージ処理手段は、前記障害通知メッセージ抽出手段において他のノードからの障害通知メッセージが抽出された時、自ノードが障害区間の始点に位置していない場合には、前記障害発生時用のラベルについて、逆方向のリング側だけでなく同方向のリング側の自ノードに隣接する2つのリンクを繋ぎ合わせるためのラベルテーブルの作成を指示するラベル処理メッセージを生成して前記ラベルテーブル管理手段に出力することを特徴とする伝送装置。
【請求項9】
請求項6〜8のいずれか1つに記載の伝送装置であって、
前記ラベルテーブル管理手段は、各方向のリングを伝送されるパケットに優先度が設定されているとき、優先度の設定数に応じた複数の前記障害発生時用のラベルが登録されており、
前記制御メッセージ処理手段は、前記障害通知メッセージ抽出手段において他のノードからの障害通知メッセージが抽出された時、自ノードが障害区間の始点に位置していない場合には、前記障害発生時用のラベルについて、逆方向のリング側の自ノードに隣接する優先度の対応した2つのリンクを繋ぎ合わせるためのラベルテーブルの作成を指示するラベル処理メッセージを生成して前記ラベルテーブル管理手段に出力することを特徴とする伝送装置。
【請求項10】
請求項6〜9のいずれか1つに記載の伝送装置であって、
前記リング型ネットワークが、双方向の伝送に対応した複数組のリングを連結した構成であるとき、
前記制御メッセージ処理手段は、前記障害検出手段で障害発生が検出された時、前記複数組のリングのうちで障害が発生しているリングを識別可能にするリングIDを含んだ障害通知メッセージを生成して同方向のリング上に送出し、また、前記障害通知メッセージ抽出手段において他のノードからの障害通知メッセージが抽出された時、自ノードが前記複数組のリング上の共有ノードに該当し、かつ、障害区間の始点に位置していない場合には、該抽出された障害通知メッセージに含まれるリングIDに応じて、障害が発生しているリング上の下流ノードに前記障害通知メッセージを転送することを特徴とする伝送装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2010−11130(P2010−11130A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−168605(P2008−168605)
【出願日】平成20年6月27日(2008.6.27)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年6月27日(2008.6.27)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
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