説明

リング状食品の製造装置

【課題】リング状食品における外皮材をより確実に封着することのできるリング状食品製造装置を提供する。
【解決手段】外皮材5を放射外方向へ吐出する環状の外皮材吐出口79Lを備えた外皮材吐出ノズル41と、前記外皮材吐出ノズル41の前記外皮材吐出口79Lから吐出されてリング状に形成される外皮材5の内部へ内材9を吐出する環状の内材吐出口79Uを備えた内材吐出ノズル55とを同心に備えた重合ノズル13と、前記重合ノズル13の外周に上下方向へ移動自在に備えられ、リング状に形成された外皮材5を切断すると共に封着する環状の封着部材87と、前記重合ノズル13の中心部に配置された中心軸43の下端部に備えられ、前記封着部材87と対向するフランジ部47Fを備えた円盤状の誘導部材47とを備え、前記誘導部材47におけるフランジ部47Fの上面は外側が低くなるテーパ面47Tに形成してあり、かつ前記封着部材87の下端内周面に、前記テーパ面47Tに対応したテーパ面87Tを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばドーナツなどのごときリング状の食品を製造する装置に係り、さらに詳細には、例えばケーキ生地などのリング状の外皮材の内部にクリームなどのリング状の内材を備えたリング状食品の製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
リング状の外皮材の内部に内材を備えたリング状食品の製造装置に関係する先行例としては、例えば特許文献1、2などがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭51−136880号公報
【特許文献2】特公昭47−27953号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1に記載の構成においては、外皮材を供給する円筒形状のノズル本体の中心部にカッタ軸を上下動自在に備え、このカッタ軸の下端部であって前記ノズル本体の開口部に対応した位置に円板状のカッタディスクを備えている。そして、前記ノズル本体の先端部と前記カッタディスクとの間の大きな間隙から外皮材が放射外方向へ吐出される構成である。そして、前記外皮材の内側へ内材を吐出するために、前記ノズル本体内に環状の充填物押出機構を備え、この充填物押出機構において放射外方向へ指向して備えられ、かつ開閉自在な環状の押出口から、放射外方向へ吐出されつつある外皮材内へ内材を吐出する構成である。
【0005】
前述のごとく、外皮材内へ適量の内材を吐出して前記押出口を閉じた後に、前記ノズル本体の外側に上下動自在に備えたカッタスリーブを下降し、前記カッタディスクと協働して外皮材をリング状に切断する構成である。
【0006】
前記特許文献2に記載の構成においては、外皮材を供給する生地導出管内に内材を供給するフィリング導出管を備えている。そして、前記フィリング導出管の下端部に備えた切刃鍔と前記生地導出管の下端部との間から外皮材を放射外方向へ吐出する構成である。前記フィリング導出管の軸心部には支軸が配置してあり、この支軸の下部には、前記フィリング導出管内を下降する内材を放射外方向へ誘導すると共に、前記切刃鍔と協働して内材の吐出を停止すると共に内材を切断するための切刃円筒が上下動自在に備えられている。
【0007】
前記構成においては、外皮材の先端部を前記切刃円筒の外周面に粘着した状態において外皮材内へ適量の内材を吐出した後、切刃円筒によって内材を切断すると共に、生地導入管の外周面に上下動自在に備えたスリーブを下降して外皮材をリング状に切断する。そして、開閉自在かつ上下動自在に備えられた割成型椀によってリング状の前記外皮材を下降するときに、前記支軸の下端部に備えた円板状の弾性板に前記外皮材を接触させて内部に内材を備えたリング状の丸い生地輪に成形するものである。
【0008】
前記特許文献1、2に記載の構成においては、内材を内部に備えたリング状の外皮材をより確実に強力に封着することが難しい、という問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、前述のごとき従来の問題に鑑みてなされたもので、リング状の外皮材の内部に内材を備えたリング状食品の製造装置であって、外皮材を放射外方向へ吐出する環状の外皮材吐出口を備えた外皮材吐出ノズルと、前記外皮材吐出ノズルの前記外皮材吐出口から吐出されてリング状に形成される外皮材の内部へ内材を吐出する環状の内材吐出口を備えた内材吐出ノズルと、前記外皮材吐出ノズルと前記内材吐出ノズルとを同心に備えた重合ノズルと、前記外皮材吐出ノズルへ外皮材を供給する外皮材供給手段と、前記内材吐出ノズルへ内材を供給する内材供給手段と、前記重合ノズルの外周に上下方向へ移動自在に備えられ、リング状に形成された外皮材を切断すると共に封着する環状の封着部材と、前記重合ノズルの中心部に配置された中心軸の下端部に備えられ、前記封着部材と対向するフランジ部を備えた円盤状の誘導部材と、を備え、前記誘導部材におけるフランジ部の上面は外側が低くなるテーパ面に形成してあり、かつ前記封着部材の下端内周面に、前記テーパ面に対応したテーパ面を備えていることを特徴とするものである。
【0010】
また、前記リング状食品の製造装置において、前記封着部材の下端部に、下方向へ突出した突出部を周方向に適宜間隔に備え、この突出部の内面に前記テーパ面が備えられていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、テーパ面の嵌合によって外皮材の封着を行うことができることとなり、外皮材の封着をより強力かつ確実に行うことができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係るリング状食品製造装置の正面図で、一部断面してある。
【図2】図1に示した断面部分のより詳細な正断面説明図である。
【図3】主要部分の側断面説明図である。
【図4】重合ノズルの構成を示す断面説明図である。
【図5】封着部材の構成を示す説明図である。
【図6】リング状食品の製造工程を示す工程説明図である。
【図7】リング状食品の製造工程を示す工程説明図である。
【図8】リング状食品の製造工程を示す工程説明図である。
【図9】リング状食品の製造工程を示す工程説明図である。
【図10】リング状の食品の製造直後の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を用いて本発明の実施形態に係るリング状食品の製造装置について説明するに、本発明の実施形態に係るリング状食品製造装置1は、図1に示すように、箱状のフレーム本体3を備えており、このフレーム本体3の上部には、例えばケーキ生地などのごとき外皮材5を収容したホッパー7が備えられていると共に、例えばクリームなどのごとき内材9を収容したホッパー11が備えられている。そして、前記ホッパー7には、前記フレーム本体3の前面に備えた重合ノズル13へ外皮材5を供給する外皮材供給手段15が備えられており、前記ホッパー11には、前記重合ノズル13に対して内材9を供給する内材供給手段17が備えられている。
【0014】
なお、前記外皮材供給手段15及び内材供給手段17等の構成は、例えば饅頭などのごとき包被食品を製造する包被食品製造装置において知られた構成であるから、前記ホッパー7,11、外皮材供給手段15及び内材供給手段17の構成、作用についてのより詳細な説明は省略する。
【0015】
前記重合ノズル13は、前記外皮材供給手段15から供給される外皮材5をリング状に形成すると共に、前記内材供給手段17から供給される内材9を、リング状に形成される外皮材5内に包み込んだ状態のリング状食品19に形成(製造)する機能を有するものである。上記重合ノズル13の下側には、前記重合ノズル13において製造されたリング状食品19を次工程へ搬送するための食品搬送手段21が備えられている。
【0016】
より詳細には、前記食品搬送手段21は、前記重合ノズル13の下側において前記フレーム本体3の前面に備えられたベルトコンベアからなるものであって、左右方向(図1において左右方向)に長いガイドフレーム23を備えている。前記食品搬送手段21は、左右方向へ走行自在なエンドレス状のコンベアベルト25を備えている。このコンベアベルト25は、モータM1によって駆動回転される駆動ローラ27に掛回してあって、間欠的に走行駆動されるものである。
【0017】
そして、前記重合ノズル13に対応した位置には、コンベアベルト25の上部側を上下動するコンベア上下動手段29が備えられている。上記コンベア上下動手段29は、前記フレーム本体3に装着した例えば流体圧シリンダ等の適宜の上下動機構から構成してある。すなわち、前記食品搬送手段21は、前記重合ノズル13において製造されたリング状食品19を受け取るときに、コンベアベルト25を上下動するように構成してある。なお、前記食品搬送手段21は、前述した包被食品製造装置においてよく知られた構成であるから、食品搬送手段21の構成及び作用についてのより詳細な説明は省略する。
【0018】
前記重合ノズル13は、図2に示すように、前記外皮材供給手段15に連通した外皮材導入口31及び前記内材供給手段17に連通した内材導入口33を備えたノズルハウジング35を備えている。このノズルハウジング35内には、前記外皮材導入口31から導入された外皮材5を下方向へ流下する外皮材通路37を備えた外皮材ノズル上部本体39が備えられており、この外皮材ノズル上部本体39の下部には円管状の外皮材吐出ノズル41が同心に備えられている。
【0019】
そして、前記外皮材ノズル上部本体39における上部の軸心部には中心軸43を垂直に保持した軸ホルダ44が一体的に備えられている。前記中心軸43の下端部は前記外皮材吐出ノズル41の下端部から下方向へ突出しており、この中心軸43の下端部には、前記外皮材吐出ノズル41の下方向への開口部45と対向した円盤状の誘導部材47が一体的に備えられている。そして、前記外皮材吐出ノズル41の下端部と前記誘導部材47との間は上下方向に僅かに離れた状態にあり、この部分に環状の外皮材吐出口49が形成されている。
【0020】
上記構成により、前記外皮材供給手段15から供給された外皮材5がノズルハウジング35の外皮材導入口31に導入されると、外皮材5は、外皮材通路37内を下方向へ流動されて、外皮材吐出ノズル41の開口部45から下方向へ吐出されることになる。しかし、外皮材吐出ノズル41の前記開口部45と対向して円盤状の誘導部材47が備えられているので、前記開口部45から下方向へ吐出される外皮材5は、誘導部材47に誘導されて放射外方向へ均等に吐出することになる。すなわち、前記外皮材吐出ノズル41等は、外皮材5を放射外方向へ吐出するための外皮材吐出ノズルを構成するものである。
【0021】
前記ノズルハウジング35の下部には、前記フレーム本体3に備えた支持部材51に支持された下部ハウジング53が一体的に備えられている。換言すれば、前記ノズルハウジング35は、前記下部ハウジング53に支持されているものである。そして、前記下部ハウジング53の下部には、前記外皮材吐出ノズル41を囲繞した管状の内材吐出ノズル55の上端部を螺合固定したノズルホルダ57が、前記下部ハウジング53の下部に螺入したリングナット59によって一体的に固定してある。
【0022】
前記ノズルハウジング35、外皮材ノズル上部本体39、下部ハウジング53及びノズルホルダ57によって囲繞された空間61は、前記内材導入口33に連通してある。そして、前記外皮材吐出ノズル41の外周面と前記内材吐出ノズル55の内周面との間の環状の通路63は前記空間61に連通してある。したがって、前記内材供給手段17から供給された内材9が、前記内材導入口33に導入されると、内材9は、前記空間61、環状通路63を経て内材吐出ノズル55の下端部から下方向へ吐出されることになる。
【0023】
なお、前記空間61内及び前記外皮材通路37内には、外皮材通路37内を流動する外皮材5を攪拌する外皮攪拌手段65が備えられている。この外皮攪拌手段65は必ずしも必要なものではなく、省略することも可能なものである。上記外皮攪拌手段65を備えるために、前記外皮材吐出ノズル41の上端部は、前記ノズルホルダ57に支持されたリング状のノズルホルダ67に螺合固定してある。このノズルホルダ67には、前記空間61に導入された内材9を下方向へ流動するために、上下方向に貫通した複数の貫通穴67Hが備えられている。
【0024】
前記ノズルホルダ67の上面には、外周面にギア69Gを備えたリングギア部材69が回転自在に備えられている。そして、前記外皮材通路37内には、前記外皮材ノズル上部本体39の下端内周面と前記ノズルホルダ67の上端内周面とに回転自在に摺接したリングプレート71が備えられており、このリングプレート71の内周面には複数の攪拌翼73が周方向に等間隔に備えられている。前記リングプレート71と前記リングギア部材69は、前記外皮材ノズル上部本体39の下端部と前記ノズルホルダ67の上端部との間の間隙を貫通した複数の連結部材(図示省略)を介して一体的に連結してある。前記リングギア部材69におけるギア69Gには、図3に示すように、前記フレーム本体3に装着したモータM2によって回転される駆動ギア75と噛合してある。
【0025】
したがって、前記モータM2を回転駆動すると、リングギア部材69を介して前記攪拌翼73が回転(旋回)されて、外皮材通路37内を流動する外皮材5を攪拌することになる。
【0026】
ところで、前記外皮材吐出ノズル41の先端部と前記誘導部材47との間の外皮材吐出口49から放射外方向へ吐出される外皮材5をリング状に形成すると共にカーリングして、前記内材吐出ノズル55から吐出される内材9を、リング状の前記外皮材5内に包み込むための構成について説明する。
【0027】
図4に詳細に示すように、前記外皮材吐出ノズル41の下端外周面には、リング状のガイド部材77が一体的に螺着固定してある。このガイド部材77の上面77Uは、外周面側が低くなるように傾斜したテーパ面に形成してあり、この上面77Uの外周縁には環状の段差部77Sが形成してある。前記ガイド部材77の下面77Lは、外周面側が高くなるテーパ面に形成してある。
【0028】
前記誘導部材47において、当該誘導部材47の外周部には外周面が円形状の上方突出部47Pが備えられている。そして、前記ガイド部材77の下面77Lに対応した上面47U、すなわち前記上方突出部47Pの内周面は外周面側が高くなるテーパ状に湾曲して形成してある。そして、前記誘導部材47における外周面には、前記上方突出部47Pよりも放射外方向(径方向外側)へ突出したフランジ部47Fが備えられており、このフランジ部47Fの上面は、前記上方突出部47Pの外周面から外方向が次第に低くなるテーパ面47Tに形成してある。
【0029】
したがって、前記ガイド部材77の前記下面77Lと前記誘導部材47の前記上面47Uとの間に形成された環状の下部開口部79Lは、斜め上方向を指向した構成である。より詳細には、前記下部開口部79Lは、前記誘導部材47における上面47Uが前記ガイド部材77の前記下面77Lに次第に近接することにより、当該下部開口部79Lの上下方向の間隙寸法は、内側よりも外側が次第に小さくなる構成であって、前記外側が次第に高くなる構成である。
【0030】
よって、上記下部開口部79Lから放射外方向へ吐出される外皮材5は、下部開口部79Lに案内されて斜め上方向を指向して吐出されることになるものである。そして、前記ガイド部材77の上面77Uが下方傾斜のテーパ面に形成してあることにより、前記外皮材吐出ノズル41と内材吐出ノズル55との間の環状の通路63を流下した内材9は、前記内材吐出ノズル55の下端面と前記ガイド部材77におけるテーパ状の上面77Uとの間の環状の上部開口部79Uからテーパ状の上面77Uに案内されて斜め下方向へ吐出されることになるものである。
【0031】
前記重合ノズル13における前記内材吐出ノズル55の外周面には、前記上部開口部79Uを開閉自在な筒状の開閉スリーブ81が上下動自在に嵌合してある。この開閉スリーブ81の上部には周溝81Gを形成したフランジ81Fが備えられている。そして、前記開閉スリーブ81を上下動するために、前記支持部材51には、例えば流体圧シリンダ等のごとき上下動用アクチュエータ83(図2参照)が装着してあり、この上下動用アクチュエータ83に上下動自在に備えたピストンロッド等のごとき上下作動杆83Rには、先端部が前記周溝81Gに係合した二又状の上下作動部材85が取付けてある。
【0032】
したがって、前記上下動用アクチュエータ83によって前記開閉スリーブ81を上下動することができ、当該開閉スリーブ81が下降されたときに、図4に示すように、開閉スリーブ81の下端部が前記ガイド部材77の段差部77Sに係合することによって前記上部開口部(上側開口部)79Uを閉じるものである。より詳細には、前記ガイド部材77における上面外周縁に形成した環状の段差部77Sに前記スリーブ81の下端部が嵌合することによって、前記上側開口部79Uを遮断するように閉じるものである。そして、前記開閉スリーブ81が上昇されたときに、前記上側開口部79Uを開くものである。
【0033】
前記開閉スリーブ81の外周には、前記下部開口部(下側開口部)79Lを開閉自在で、下側開口部79Lから吐出されてリング状に形成された外皮材5を切断自在かつ外皮材5内に内材9を包み込んだ状態に封着する封着部材87が上下動自在に備えられている。より詳細には、この封着部材87は、前記開閉スリーブ81の外周面に上下動自在に嵌合した筒状に構成してあり、上部にはフランジ部87Fを備えている。そして、前記封着部材87における筒状の封着部本体87B(図5参照)の下端内周面は、前記誘導部材47における前記テーパ面47Tに対応したテーパ面87Tに形成してある。
【0034】
さらに、前記封着部材87における前記封着部本体87Bにおける下端面には、図5に示すように、周方向に等間隔に凹部89Cが形成してある。換言すれば、前記封着部本体87Bの下端面には前記凹部89Cと凸部89Pとが周方向に交互に備えられている。そして、下端内周面の前記テーパ面87Tは、前記凸部89Pの内側に備えられているものである。なお、前記封着部材87の外径は前記誘導部材47における前記フランジ部47Fの外径よりも大きく形成してある。すなわち、前記封着部材87の前記テーパ面87Tと前記フランジ部47Fの上面のテーパ面47Tが係合したときに、前記封着部材87の下端面と前記フランジ部47Fの外周面とによって閉じることのない段差付きの環状の空間86(図4参照)を形成する構成としてある。
【0035】
前記封着部材87を上下動するために、前記フレーム本体3内には、例えば流体圧シリンダ等のごとき適宜の上下動用アクチュエータ91(図3参照)が備えられている。そして、当該上下動用アクチュエータ91によって上下動される上下作動部材93と前記封着部材87のフランジ部87Fは連結部材95を介して一体的に連結してある。したがって、前記上下動用アクチュエータ91によって前記封着部材87を上下動することにより、外皮材5を吐出する前記下側開口部79Lを開閉することができるものである。
【0036】
前記封着部材87の外周面には、前記封着部材87が下側開口部79Lを閉じることによって形成されたリング状食品19を下方向へ落下するための食品落下部材97が上下動自在に嵌合してある。この食品落下部材97は、前記封着部材87の外周面に上下動自在に嵌合した円板状の構成であって、周溝97Gを備えている。そして、上記食品落下部材97の下面97Lには、リング状食品19が粘着し難いように微細な凸部が備えられている。さらに、前記食品落下部材97の下面には、下端縁を鋭角に形成した環状の突出部97Pが備えられている。
【0037】
前記食品落下部材97を、前記封着部材87に対して相対的に上下動するために、前記連結部材95には、例えば流体圧シリンダなどのごとき上下動用アクチュエータ99(図3参照)が装着してある。そして、この上下動用アクチュエータ99によって上下動される上下動杆99Rには、前記食品落下部材97の前記周溝97Gに係合した二又状の上下作動部材101が取付けてある。したがって、前記上下動用アクチュエータ99を作動することにより、前記封着部材87に対して前記食品落下部材97を相対的に上下動することができるものである。
【0038】
以上のごとき構成において、重合ノズル13の初期状態は、図4に示すごとき状態にある。すなわち、重合ノズル13における下側開口部79Lは封着部材87によって閉じられた状態にあり、上部側開口部79Uは開閉スリーブ81によって閉じられた状態にある。上述のごとき初期状態において、図6に示すごとく、封着部材87及び食品落下部材97を共に上昇して、重合ノズル13における下側開口部79Lを開くと、外皮材吐出ノズル41内を下方向に流動した外皮材5は、前記ガイド部材77の下面77Lと誘導部材47における上面47Uに案内されて、放射外方向で、しかも上方向へ指向して吐出されることになる。
【0039】
そして、放射外方向で上方向へ指向されて吐出された外皮材5の先頭部5Aは、図6に示すように、開閉スリーブ81における下端外周面に回り込む態様となり、上記下端外周面に粘着した状態となる。上述のように、外皮材5の先頭部5Aが下端外周面に粘着した状態において、前記開閉スリーブ81を上昇すると、開閉スリーブ81の上昇に追従して前記先頭部5Aが次第に上昇されると共に、重合ノズル13の上側開口部79Uが次第に開口されて、内材9が放射外方向へ吐出されることになる。
【0040】
したがって、前記下側開口部79Lから外皮材5が連続して吐出されていることと、前記上側開口部79Uから内材9が吐出されることとが相俟って、図7に示すように、外皮材5が放射外方向へ次第に膨張して内材9を包み込むことになる。すなわち、外皮材5は、内材9を包み込むようにカーリングされる態様となる。その後、前記開閉スリーブ81を下降すると、図8に示すように、開閉スリーブ81の下端部が前記ガイド部材77の前記段差部77Sに嵌合し、前記上側開口部79Uを閉じて内材9の吐出が停止されると共に、外皮材5の先頭部5Aが下降されて、外皮材5は内材9を包み込んだリング状の形態でもってカーリングされることとなる。
【0041】
すなわち、外皮材5の先頭部5Aが下降されると、上記先頭部5Aが下側開口部79Lから吐出されている外皮材5に次第に接近して、内材9を巻き込むようにカーリングされる。そして、先頭部5Aが外皮材5に接触して内材9を包み込んだ状態に閉じることになる。
【0042】
上述のように、開閉スリーブ81が下降し、外皮材5によって内材9を包み込んだ後に、封着部材87と食品落下部材97とを一体的に下降し、封着部材87における下端内周面と誘導部材47における上方突出部47Pの外周面とを嵌合すると共に、前記封着部材87における下端部のテーパ面87Tを、誘導部材47におけるテーパ面47Tに係合すると、前記下側開口部79Lが閉じられて、外皮材5の吐出が停止されると共に、外皮材5における前記先頭部5Aが封着部材87の下端面によって下方向へ押圧されて、リング状に形成された外皮材5の内周面が封着されることになる。
【0043】
前述のごとく、封着部材87のテーパ面87Tと誘導部材47のテーパ面47Tとを係合して外皮材5の封着を行うとき、前記テーパ面87Tとテーパ面47Tとの係合はテーパ嵌合となるので、外皮材5の封着はより強力に行われることになる。そして、前記封着部材87の下端部には凹部89Cと凸部89Pとが周方向に交互に形成してあるので、前記外皮材5の封着部5B(図9参照)には、前記凹部89Cに対応して形成された凸部と、前記凸部89Pに対応して形成された凸部とが周方向に交互に形成されることになる(図10参照)。
【0044】
換言すれば、前記外皮材5の封着部5Bは、前記テーパ面87T、47Tの係合によって強力に押し潰されて薄肉になって強力に封着された部分と、前記凹部89Cに対応した厚肉の部分とが交互に備えられていることにより、全体として強力な封着が行われるものである。このように、外皮材5の封着部5Bの封着を行った後に、前記封着部材87に対して食品落下部材97を下降すると、図9に示すように、コンベアベルト25上にリング状の食品19が落下されて次工程へ搬送される。次工程においては、リング状食品19の上下が反転されて、前記封着部5Bの上方向への突出状態は消失されるものである。
【0045】
以上のごとき説明より理解されるように、前記開閉スリーブ81は、重合ノズル13における上側開口部79Uの開閉を行うのみならず、外皮材5の先頭部5Aを外周面に粘着して上下動する構成であるから、外皮材5の先頭部上下動手段と称することもできるものである。
【0046】
ところで、本発明は、前述したごとき実施形態に限ることなく、適宜の変更を行うことにより、その他の形態でも実施可能である。すなわち、前記実施形態においては、外皮材5の先頭部5Aを上方向に持上げて内材9を内側に包み込む形態について説明した。しかし、外皮材5を吐出する開口部と内材9を吐出する開口部とを逆にすることも可能である。すなわち、上側開口部79Uから外皮材5を吐出し、下側開口部79Lから内材9を吐出する構成とすることも可能である。
【0047】
上記構成の場合、上側開口部79Uから吐出された外皮材5の先頭部5Aを、例えば前記特許文献2の発明を適用して、誘導部材47における上部外周面に粘着する構成とし、この外皮材5の内側に、下側開口部79Lから内材9を吐出する構成とすればよいものである。
【符号の説明】
【0048】
1 リング状食品製造装置
3 フレーム本体
5 外皮材
5A 先頭部
5B 封着部
9 内材
13 重合ノズル
15 外皮材供給手段
17 内材供給手段
19 リング状食品
31 外皮材導入口
33 内材導入口
35 ノズルハウジング
37 外皮材通路
39 外皮材ノズル上部本体
41 外皮材吐出ノズル
43 中心軸
47 誘導部材
47F フランジ部
47T,87T テーパ面
49 外皮材吐出口
55 内材吐出ノズル
65 外皮材攪拌手段
73 攪拌翼
77 ガイド部材
77U 上面
77L 下面
79L 環状の下部開口部
79U 環状の上部開口部
81 開閉スリーブ
87 封着部材
89C 凹部
89P 凸部
97 食品落下部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リング状の外皮材の内部に内材を備えたリング状食品の製造装置であって、
外皮材を放射外方向へ吐出する環状の外皮材吐出口を備えた外皮材吐出ノズルと、
前記外皮材吐出ノズルの前記外皮材吐出口から吐出されてリング状に形成される外皮材の内部へ内材を吐出する環状の内材吐出口を備えた内材吐出ノズルと、
前記外皮材吐出ノズルと前記内材吐出ノズルとを同心に備えた重合ノズルと、
前記外皮材吐出ノズルへ外皮材を供給する外皮材供給手段と、
前記内材吐出ノズルへ内材を供給する内材供給手段と、
前記重合ノズルの外周に上下方向へ移動自在に備えられ、リング状に形成された外皮材を切断すると共に封着する環状の封着部材と、
前記重合ノズルの中心部に配置された中心軸の下端部に備えられ、前記封着部材と対向するフランジ部を備えた円盤状の誘導部材と、
を備え、前記誘導部材におけるフランジ部の上面は外側が低くなるテーパ面に形成してあり、かつ前記封着部材の下端内周面に、前記テーパ面に対応したテーパ面を備えていることを特徴とするリング状食品の製造装置。
【請求項2】
請求項1に記載のリング状食品の製造装置において、前記封着部材の下端部に、下方向へ突出した突出部を周方向に適宜間隔に備え、この突出部の内面に前記テーパ面が備えられていることを特徴とするリング状食品の製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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