説明

リンス助剤入り組成物を用いた調理器具又は調理機器の洗浄

調理器具又は調理機器の少なくとも調理チャンバを、水性すすぎ工程において被覆作用をもたらすように、少なくとも調理チャンバの表面上に層を設ける被覆ポリマーを含む洗浄組成物と接触させる、調理器具又は調理機器を洗浄する方法を開示する。前記被覆ポリマーは、カチオン性多糖類及びマレイン酸−オレフィンコポリマーからなる群から選択される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リンス助剤入り組成物を使用する、調理器具又は調理機器を洗浄する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
調理器具又は調理機器のための通常適用される洗浄方法は一般に、洗浄工程、その後のすすぎ及びスケール除去工程を含み、調理チャンバ内が乾いても、調理チャンバ内にすすぎ水によるウォーターマーク及び/又はスケールを残さないようにしている。
【0003】
特許文献1は、オーブン内部の床面を少なくとも完全に洗浄溶液で被覆し、洗浄溶液を循環装置によって循環させ、内部の内面のこの洗浄溶液を流す、食品加熱用のオーブンの内部を洗浄する方法を開示している。洗浄後、洗浄溶液を中和してもよく、及び/又はスケール除去剤を使用してもよい。洗浄濃縮液及びスケール除去剤は別個の容器を介してオーブンの内部に供給する。外部の水道を介し、洗浄濃縮液及びスケール除去剤用の導管を利用して、さらなる水をオーブンの内部に供給することができる。
【0004】
特許文献2は、少なくとも1種の洗浄剤、すすぎ剤及び/又はスケール除去剤を、液体に溶解可能な固体形態及び圧縮形態で、並びに、洗浄錠剤、すすぎ錠剤及び/又はスケール除去錠剤、又は種々の成形圧力及び/又は種々の成形間隔で製造された、洗浄相成分、すすぎ相成分及び/又はスケール除去相成分を含有する少なくとも1種の多相錠剤の形態で使用する、調理器具の内部を洗浄する方法に関する。固体の溶解挙動は、好適な溶解抑制剤を添加することによって影響を受けることがあり、ちなみに洗浄剤は調理チャンバ内に導入される。錠剤又は多相錠剤の時間的な溶解挙動は、調理チャンバ(cooking chamber)内のファンホイール(fan wheel)により制御することができる。
【0005】
特許文献3は、調理空間、排出口及び/又は冷却器を備える調理器具の内部の洗浄が、少なくとも調理空間において、(1)所定時間の蒸気雰囲気の使用を伴う蒸気処理工程と、(2)第1の流体、とりわけリンスウォッシュ液の使用を伴うすすぎ工程と、(3)第2の流体の使用、とりわけ後洗浄液によるすすぎを伴う後洗浄工程とを含むことを開示している。好ましい実施形態では、スケール除去液の使用を伴う少なくとも1つのスケール除去工程後にすすぎ工程を行う。
【0006】
オーブンの洗浄用の一般的なリンス助剤液は一般に、非イオン性界面活性剤と、クエン酸等のスケール除去剤とを含有する。
【0007】
調理機器を洗浄するという当該技術分野における数多くの努力にもかかわらず、水道水のみを用いたすすぎ工程を可能にし、また調理チャンバ内にウォーターマーク、スケールを残さない、簡潔な洗浄方法が依然として求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】欧州特許第0892220号公報
【特許文献2】国際公開第2003/073002号公報
【特許文献3】独国特許第102004016821号公報
【特許文献4】国際公開第2006/119162号公報
【特許文献5】米国特許第5,126,068号公報
【発明の概要】
【0009】
本発明は、調理器具又は調理機器を洗浄する簡潔かつ有効な方法に関し、この方法は、別個のリンス助剤及び/又はスケール除去剤の使用を不要とし、いずれの調理器具又は調理機器にも適用可能である。
【0010】
それゆえ、本発明は、リンス助剤入り組成物を使用する、調理器具又は調理機器を洗浄する方法を提供し、洗浄工程後の別個のすすぎ工程においてリンス助剤及び/又はスケール除去剤を使用する必要性を排除する。この方法は、調理器具又は調理機器の少なくとも調理チャンバを、水性すすぎ工程において被覆作用をもたらすように、少なくとも調理チャンバの表面上に層を設ける被覆ポリマーを含む洗浄組成物と接触させることを含む。
【0011】
調理器具又は調理機器の洗浄は、調理器具又は調理機器の少なくとも調理チャンバの洗浄を含む。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書全体を通じて、「調理器具」、「調理機器」又は「オーブン」という用語は同義で用いられる。
【0013】
本明細書中に記載される、調理器具又は調理機器を洗浄するのに用いられる洗浄組成物は、水性すすぎ工程において被覆作用をもたらすように、調理器具又は調理機器の表面上に層を提供する十分量の被覆ポリマーを含有する。それゆえ、洗浄組成物における使用に適する被覆ポリマーは、オーブン表面上に十分に吸着するものとする。
【0014】
洗浄組成物におけるこのような被覆ポリマーの使用によって、洗浄工程後に実施される別個のすすぎ工程において、リンス助剤及び/又はスケール除去剤を使用する必要性がなくなる。驚くべきことに、リンス助剤液によるすすぎ工程を行わずに良好な外観が得られることが見出された。ここで、このすすぎ工程は水、例えば、水道水、軟水又は脱塩水を用いて有利に行われ得る。洗浄組成物における被覆ポリマーの使用によって、中和処置を行わずにオーブン庫内からアルカリ性洗剤がさらに有利に除去され得る。
【0015】
本明細書中に記載される洗浄組成物及び洗浄方法は、全体として改善されたすすぎ挙動及び/又は乾燥挙動、例えば、残る液滴の数の減少、別個の中和を伴わないアルカリ性の低減、及びオーブン表面の外観の改善をもたらす。
【0016】
理論に縛られることを望むものではないが、被覆ポリマーは洗浄プロセス中にオーブンの内面上に吸着すると考えられる。吸着した被覆ポリマーの層は概して、これらの表面をより親水性にする。それゆえ、被覆ポリマーは、水性すすぎ工程において被覆作用をもたらすように、調理器具又は調理機器の内面上に吸着して、内面上に層を提供することができるものとする。すすぎ中にこれらの親水性に改質された表面と接触する水滴をより良好に湿潤させ、個々の液滴でなく連続的な水の薄膜を形成することを示すと考えられる。この水の薄膜はウォーターマークを残すことなくより均一に乾燥するであろう。したがって、すすぎ工程においてリンス助剤及び/又はスケール除去剤を使用する必要なしに、良好な外観が得られる。
【0017】
被覆ポリマーは好ましくは、カチオン性多糖類及びマレイン酸−オレフィンコポリマーからなる群から選択されるポリマーである。
【0018】
被覆ポリマーは、洗浄組成物の総(湿潤又は乾燥)重量を基準として、好ましくは洗浄生成物の0.01%〜50%(w/w)、より好ましくは0.1%〜20%(w/w)、さらに好ましくは0.2%〜10%(w/w)、さらに好ましくは0.5%〜5%(w/w)、最も好ましくは1%〜5%(w/w)を構成する。
【0019】
典型的に、オーブンを洗浄するのに直接的に適用される洗浄溶液中の被覆ポリマーの濃度は、5ppm〜1000ppm、好ましくは10ppm〜500ppm、より好ましくは20ppm〜300ppmである。
【0020】
被覆ポリマーは典型的に、濃縮された液体又は固体の洗浄組成物の一部として、調理器具又は調理機器を洗浄するのに直接的に適用される洗浄溶液に組み込まれる。しかしながら、別個に配合された生成物として、ポリマーを洗浄溶液に添加することも可能である。このような別個に配合された生成物は、比較的高いレベル(それどころか100%)のポリマーを含有し得る。液体又は固体であってもよいこの別個の生成物は、手動又は自動で投与され得る。これは例えば、ポリマーと洗浄組成物との間の安定性の問題を解決するように行われ得る。このように、洗浄組成物中のポリマーのレベルを自由にかつ洗浄組成物の他の成分の濃度と無関係に調節して、水性すすぎ工程において被覆作用をもたらすように、調理器具又は調理機器の表面上にポリマーの層を設けることができる。
【0021】
カチオン性多糖類
本明細書中に規定されるように、カチオン性多糖類は、カチオン性基を含有する多糖類である。カチオン性多糖類上のカチオン電荷は、アンモニウム基、第四級アンモニウム基、グアニジウム基、スルホニウム基、ホスホニウム基、結合した遷移金属、及び他の正の電荷を帯びた官能基に由来し得る。
【0022】
好ましいカチオン性基は、下記式:
【化1】

(式中、R、R、R及びRはそれぞれ独立して、低級アルキル基又は低級ヒドロキシアルキル基である)の第四級アンモニウム基である。より好ましくはR、R、R及びRはそれぞれ独立して、C1〜C6アルキル基又はC1〜C6ヒドロキシアルキル基である。さらに好ましくは、R、R及びRは同一のC1〜C4アルキル基であり、RはC3〜C6ヒドロキシアルキル基である。さらに好ましくは、R、R及びRはメチル基であり、RはC3〜C6ヒドロキシアルキル基である。カチオン性基が第四級2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニウム)プロピル基であることが最も好ましい。
【0023】
カチオン性基は、エーテル結合又はエステル結合を介して多糖類に結合していてもよい。
【0024】
カチオン性多糖類の多糖類成分は、グリコシド結合により結合される単糖単位を含むポリマーである。単糖単位は、5個又は6個の炭素原子のアルドース又はケトースであり得る。多糖類は、ホモ多糖類又はヘテロ多糖類であってもよく、直鎖又は分岐鎖であってもよく、部分的に加水分解されていてもよく、置換基を含有していてもよく、及び/又は疎水性に改質されていてもよい。
【0025】
好適な多糖類ポリマーは、セルロース系、ペクチン系、デンプン系、天然ガム系であり得る。
【0026】
セルロース系多糖類の例は、ヒドロキシエチルセルロース、疎水性に改質されたヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、疎水性に改質されたエチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース又はカルボキシメチルセルロースナトリウムである。
【0027】
デンプン系多糖類の例は、米、タピオカ、小麦、トウモロコシ又はジャガイモからのデンプンである。
【0028】
天然ガム系多糖類の例は、グアーガム又はローカストビーンガムのようなポリガラクトマンナン、カラギーナンのようなポリガラクタン、キサンタンガムのようなポリグルカン、アルギン酸塩のようなポリマンヌロン酸塩である。好ましい天然ガムはグアーガム系である。
【0029】
好ましいカチオン性多糖類は、グアーガム2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニウム)プロピルエーテルクロリド及びグアーガム2−ヒドロキシプロピル,2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピルエーテルクロリド等のカチオン性グアーである。好適なカチオン性グアーはRhodiaによりJaguarの商品名で販売されている。(3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド加工デンプン等のカチオン性デンプンも好ましい。好適なカチオン性デンプンは、RoquetteによりHI−CAT、Starch Solution Internasional KawasanによりSolsaCAT、及びNational Starch & ChemicalによりCATOの商品名で販売されている。カチオン性ヒドロキシエチルセルロース等のカチオン性セルロースも好ましい。好適なカチオン性セルロースはDowによりSoftcat及びUcareの商品名で販売されている。
【0030】
以下の多糖類が特に好ましい。
カチオン変性グアーガム、例えば、Jaguar C 17、Jaguar C 162及びJaguar C 1000(Rhodia)、
カチオン性加工デンプン、例えば、HI−CAT CWS 42(Roquette)及びSolsaCAT 22及びSolsaCAT 16A(Starch Solution Internasional Kawasan)及びCATO 308(National Starch & Chemical)、
カチオン変性セルロース、例えば、SoftCAT SX−400H及びUCARE LR 30 M(Dow)。
【0031】
これらのカチオン性多糖類は、洗浄組成物中において、単独、又は特許文献4に記載されているように他の多糖類又は高分子界面活性剤若しくは非イオン性界面活性剤と組み合わせて使用することができる。
【0032】
Jaguar、HI−CAT、Solsacat、CATO、Softcat及びUCARE多糖類等のカチオン性多糖類は、或る特定のアニオン、例えば、ケイ酸アニオン、及び/又はホスホン酸アニオン、及び/又はリン酸アニオン、及び/又は水酸化物アニオン、及び/又はクエン酸アニオン、及び/又はグルコン酸アニオン、及び/又は乳酸アニオン、及び/又は酢酸アニオンと組み合わせてもよい。液体組成物及び固体組成物の両方に関して、乾燥性能及び製品安定性のような特性は、アニオンのタイプ、及びこれらの組成物を製造する際の洗浄成分の添加の順番による影響を受けることがある。
【0033】
マレイン酸−オレフィンコポリマー
本明細書中に記載される組成物において使用される好ましいマレイン酸−オレフィンコポリマーは下記式:
【化2】

(式中、Lは、水素、アンモニウム又はアルカリ金属の群から選択され、R、R、R及びRはそれぞれ独立して、水素、又は1個〜約8個の炭素原子、好ましくは1個〜約5個の炭素原子を含有するアルキル基(直鎖又は分岐鎖、飽和又は不飽和)の群から選択される)を有する。x対yのモノマー比は約1:5〜約5:1、好ましくは約1:3〜約3:1、最も好ましくは1.5:1〜約1:1.5である。コポリマーの平均分子量は、典型的には約20000未満、より典型的には約4000〜約12000であると考えられる。これらのコポリマーは既知の通常の手段によって得ることができる。かかるコポリマーは、例えば特許文献5(この記載及び調製は参照により本明細書中に援用される)に記載されている。
【0034】
洗浄組成物において使用される特に好ましいマレイン酸−オレフィンコポリマーは、約12000の平均分子量及び約1:1のモノマー比(x対y)を有するマレイン酸−ジ−イソブチレンコポリマーである。このようなコポリマーは、BASF Corporationから「Sokalan CP−9」の商品名で入手可能である(Lは水素又はナトリウムであり、R及びRは水素であり、Rはメチルであり、Rはネオペンチルである)。別の好ましい製品は、マレイン酸−トリメチルイソブチレンエチレンコポリマー(Lは水素又はナトリウムであり、R及びRはメチルであり、Rは水素であり、Rは第三級ブチルである)である。
【0035】
被覆ポリマーを含む組成物
本明細書中で上記に記載される被覆ポリマーに加えて、上記組成物は、好ましくはアルカリ性供給源、ビルダー(すなわち、キレート剤/封鎖剤の類を含む洗浄ビルダー)、漂白系、スケール防止剤(anti-scalants)、腐食防止剤、界面活性剤、消泡剤、及び/又は酵素から選択される、従来の洗浄成分を含み得る。好適な苛性剤(caustic agents)としては、アルカリ金属水酸化物、例えば、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウム、及びアルカリ金属ケイ酸塩、例えば、メタケイ酸ナトリウムが挙げられる。特に有効なのは、約1.0〜約3.3のSiO:NaOのモル比を有するケイ酸ナトリウムである。洗浄組成物のpHは、典型的にアルカリ領域内であり、好ましくは9以上、より好ましくは10以上である。
【0036】
ビルダー材料
好適なビルダー材料(ホスフェート及び非ホスフェートビルダー材料)は、当該技術分野において既知であり、多くのタイプの有機化合物及び無機化合物が文献に記載されている。それらは、通常、全ての種類の洗浄組成物中において使用され、アルカリ性及び緩衝能を提供し、凝集を防止し、イオン強度を維持し、汚れから金属を取り出し、及び/又は洗浄溶液からアルカリ土類金属イオンを除去する。
【0037】
本明細書中で使用可能なビルダー材料は、種々の既知のホスフェートビルダー材料及び非ホスフェートビルダー材料のいずれか1つ又は混合物であり得る。好適な非ホスフェートビルダー材料の例は、アルカリ金属のクエン酸塩、炭酸塩及び重炭酸塩;並びにニトリロ三酢酸(NTA)の塩;メチルグリシン二酢酸(MGDA);グルタル酸二酢酸(GLDA)、ポリカルボキシレート、例えば、ポリマレエート、ポリアセテート、ポリヒドロキシアクリレート、ポリアクリレート/ポリマレエートコポリマー、及びポリアクリレート/ポリメタクリレートコポリマー、並びにゼオライト;層状シリカ、並びにそれらの混合物である。それらは、1〜70、好ましくは5〜60、より好ましくは10〜60の範囲で存在し得る(重量%)。
【0038】
特に好ましいビルダーは、リン酸塩、NTA、EDTA、MGDA、GLDA、クエン酸塩、炭酸塩、重炭酸塩、ポリアクリレート/ポリマレエート、無水マレイン酸/(メタ)アクリル酸コポリマー、例えば、BASF製のSokalan CP5である。
【0039】
スケール防止剤
オーブンの部品上のスケールの形成は重大な問題となり得る。スケールは多数の供給源から生じ得るが、主として、アルカリ土類金属の炭酸塩、リン酸塩又はケイ酸塩のいずれかの析出に起因する。炭酸カルシウム及びリン酸塩は、最も重大な問題である。この問題を軽減するために、スケールの形成を最小限に抑える成分を組成物に入れることができる。これらとしては、分子量1000〜400000のポリアクリレート(これらは例えば、Rohm & Haas、BASF及びAlco Corp.により供給される)、及び他の部分と組み合わされたアクリル酸に基づくポリマーが挙げられる。これらとしては、マレイン酸と組み合わされたアクリル酸、例えば、BASFにより供給されるSokalan CP5及びCP7又はRohm & Haasにより供給されるAcusol 479N;メタクリル酸と組み合わされたアクリル酸、例えば、Rhone-Pouleneにより供給されるColloid 226/35;ホスホネートと組み合わされたアクリル酸、例えば、Buckman Laboratoriesにより供給されるCasi 773;マレイン酸及び酢酸ビニルと組み合わされたアクリル酸、例えば、Hulsにより供給されるポリマー;アクリルアミドと組み合わされたアクリル酸;スルホフェノールメタリルエーテルと組み合わされたアクリル酸、例えば、Alcoにより供給されるAquatreat AR 540;2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸と組み合わされたアクリル酸、例えば、Rohm & Haasにより供給されるAcumer 3100又はGoodrichにより供給されるK−775;2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸及びスチレンスルホン酸ナトリウムと組み合わされたアクリル酸、例えば、Goodrichにより供給されるK−798;メタクリル酸メチル、メタリルスルホン酸ナトリウム及びスルホフェノールメタリルエーテルと組み合わされたアクリル酸、例えば、Alcoにより供給されるAlcosperse 240;ポリマレエート、例えば、FMCにより供給されるBelclene 200;ポリメタクリレート、例えば、Rohm & HaasからのTamol 850;ポリアスパルテート;エチレンジアミンジスクシネート;オルガノポリホスホン酸及びそれらの塩、例えば、アミノトリ(メチレンホスホン酸)及び1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸エタンのナトリウム塩が挙げられる。スケール防止剤は、存在する場合、組成物中に、約0.05重量%〜約10重量%、好ましくは0.1重量%〜約5重量%、最も好ましくは約0.2重量%〜約5重量%含まれる。
【0040】
界面活性剤
界面活性剤及び特に非イオン性界面活性剤は、洗浄を向上させ及び/又は消泡剤として作用するのに存在し得る。典型的に使用される非イオン性界面活性剤は、アルキレンオキシド基と、本質的に脂肪族であっても又はアルキル芳香族であってもよい有機疎水性材料(例えば、EO、PO、BO及びPEO部分を有するC2〜C18アルコールアルコキシレートからなる群から選択される)、又はポリアルキレンオキシドブロックコポリマーとの縮合によって得られる。
【0041】
界面活性剤は、約0.1重量%〜約10重量%、好ましくは0.5重量%〜約5重量%、最も好ましくは約0.2重量%〜約2重量%の濃度で存在し得る。
【0042】
漂白剤
本発明に係るシステムにおける使用に好適な漂白剤は、ハロゲン系漂白剤又は酸素系漂白剤であり得る。2種以上の漂白剤を使用してもよい。
【0043】
ハロゲン系漂白剤として、アルカリ金属次亜塩素酸塩が使用され得る。他の好適なハロゲン系漂白剤は、ジクロロ及びトリクロロ並びにジブロモ及びトリブロモシアヌル酸のアルカリ金属塩である。
【0044】
好適な酸素系漂白剤は、過酸素漂白剤、例えば、過ホウ酸ナトリウム(四水和物又は一水和物)、過炭酸ナトリウム、又は過酸化水素である。
【0045】
次亜塩素酸塩、ジクロロシアヌル酸及び過ホウ酸ナトリウム又は過炭酸ナトリウムの量は好ましくは、それぞれ、15重量%及び25重量%を超えず、例えば、それぞれ、1重量%〜10重量%及び4重量%〜25重量%である。
【0046】
酵素
デンプン分解酵素及び/又はタンパク質分解酵素は、通常、酵素成分として使用される。本明細書中で使用可能な酵素は、細菌又は真菌に由来するものであり得る。
【0047】
少量の種々の他の成分が、洗浄組成物中に存在し得る。これらとしては、溶媒、及びヒドロトロープ、例えば、エタノール、イソプロパノール、キシレンスルホネート、及びクメンスルホネート;流動制御剤;酵素安定化剤;抗再堆積剤(anti-redeposition agents);腐食防止剤;及び他の機能性添加剤が挙げられる。
【0048】
洗浄組成物の成分は、独立して、固体(必要に応じて、使用前に溶解される)、水性液体又は非水性液体(必要に応じて、使用前に希釈される)の形態で配合され得る。
【0049】
オーブン洗浄組成物は固体形態又は液体形態であってもよい。固体は粉末及び/又は顆粒、錠剤又は固体ブロックであってもよい。液体は、通常の液体(水溶液)、エマルション、構造化液体又はゲルの形態であってもよい。粉末形態の場合、良好な流動性をもたらしかつ粉末の塊の形成を防止するように、流動性改質剤を存在させてもよい。
【0050】
好ましい実施形態では、洗浄組成物が、単位用量組成物、好ましくはポリビニルアルコール等の水溶性ポリマーのサシェ(sachet)に詰められた粉末及び/又は粒状組成物である。かかる投与は幾つかの利点を提供する。
・洗剤の投与し易さ。洗剤を保持するための如何なる措置も必要とせず、洗剤投与のための特定の投与位置を限定する必要がない。例えば、単位用量を洗浄すべきオーブンの底部に単に置くことが可能である。
・速い粉末溶解=速い洗浄。現行の技術水準の錠剤はより遅い溶解、それゆえより遅い洗剤の可用性を有するため、より長い洗浄時間を必要とする。
【0051】
流動性及び安定性のような物理特性を損なうことなく、錠剤、ブロック、粉末又は顆粒のような洗浄組成物中に被覆ポリマーを容易に幾分組み込むことができる。洗浄組成物中に組み込まれる被覆ポリマーは、液体形態であってもよいが、固体形態であってもよい。
【0052】
本明細書中に記載される洗浄方法は、従来の(乾燥)オーブン又はスチーム加熱式オーブン等のいずれの調理器具又は調理機器にも利用し得る。スチーム加熱式オーブンは典型的に、加熱装置、ブロワー、蒸気発生装置、調理チャンバ、調理チャンバ排水口、蒸気冷却器及び調理機器排水口を備える。
【0053】
本明細書中に記載される洗浄方法は、手動及び/又は自動で行ってもよく、例えば、オーブン空間(複数可)内に洗浄組成物又はこの洗浄組成物を水で希釈又は溶解することによって得られる洗浄溶液を散布、塗付、噴霧及び/又は循環することを含み得る。
【0054】
洗浄溶液の循環に基づく典型的な洗浄プロセスは、例えばオーブンの汚れ度合い及び洗浄組成物の性質(錠剤はより遅い溶解時間を有するため、粉末又は顆粒よりも長い洗浄時間が必要であると考えられる)に応じて、約10℃〜約90℃の温度で約1分〜約180分の間行われる。被覆ポリマーを含有する洗浄組成物は、オーブンに接触する洗浄溶液中に手動で添加しても又は自動的に投与されてもよい。
【0055】
簡便な方法では、被覆ポリマーを含む洗浄組成物を含有する水溶性サシェを、オーブンチャンバの底部に単に置くだけでもよい。
【0056】
オーブンによっては、洗浄液体を収集する貯蔵槽を有する。洗浄プロセスは、この貯蔵槽を洗浄溶液で満たすことによって開始し得る。また、貯蔵槽は、例えば固体洗浄組成物を含有するサシェを使用する場合には、水道水のみで満たしてもよい。水(又は洗浄溶液)はノズルを介してオーブンの上側に送られ、オーブン全体に分配され、貯蔵槽内に収集される。同時に、蒸気が、貯蔵槽の上に設けられた冷却器内に収集され、凝縮水が貯蔵槽内を流れる。サシェは、水/洗浄溶液循環プロセス中、約5分のうちに溶解する。洗浄プロセスの所要時間は、オーブンの汚れ度合いに応じて10分〜90分(事前設定)の範囲内である。循環中、調理中に空気を加熱するのに用いられる要素によって、水/洗浄液体を事前設定温度、典型的には約45℃〜90℃に加熱する。
【0057】
別の広く用いられる自動洗浄方法は、約10℃〜約90℃の温度における洗浄溶液の散布に基づくものである。オーブン内に散布される洗浄溶液は純正の液体洗浄製品であっても、希釈された液体製品であってもよい。液体製品の希釈は、オーブン内における散布行為中に行ってもよい。洗浄溶液の散布前に、オーブン内部を蒸気又は加熱装置によって事前加熱しておいてもよい。洗浄溶液の散布は固定ノズル又は回転ノズルによって行い得る。
【0058】
簡便な方法では、被覆ポリマーを含む洗浄組成物を含有する液体洗剤を、オーブンの散布設備に投与してもよい。
【0059】
オーブン内部に散布した後、有効な洗浄を達成するために、洗浄溶液が好適な時間でオーブン表面に接触し、浸透して汚れに作用する。浸透時間はオーブン内部の汚れ度合いに応じて1分〜30分であり得る。
【0060】
洗浄プロセスの完了後、洗浄液体を排出させ、貯蔵槽を真(水道)水で満たし、これを約1分〜約10分、例えば約5分間循環させ、汚れ及び微量の洗浄溶液を除去する。その後、すすぎ用の液体を排出させる。水によるすすぎ工程は1回又は複数回繰返してもよい。最後に、オーブンの加熱要素を用いてオーブン庫内を約80℃で乾燥させる。
【0061】
洗浄工程及びすすぎ工程を数回繰り返してもよい。繰り返す回数はオーブン内部の汚れ度合いに応じて決めることができる。
【0062】
調理器具又は調理機器を定期的に処置するために、被覆ポリマーを含む洗浄組成物を使用することも考えられる。本明細書中に記載される、被覆ポリマーを含む洗浄組成物を用いた処置は、被覆ポリマーを含まない洗浄組成物を用いた1回又は複数回の洗浄と交互に行ってもよい。このような定期的な処置は、洗浄組成物中の比較的高濃度の被覆ポリマーを伴って、洗浄溶液中に例えば50ppm〜1000ppmの被覆ポリマーを提供して行われ得る。
【0063】
リンス助剤入り(built-in rinse)のこのコンセプトを用いて、より簡潔な洗浄プロセスが業務用オーブンの洗浄について得られ、これにより、別個のリンス助剤を使用する必要性がなくなる。簡潔さに加えて、このコンセプトは、別個のリンス助剤の原材料、包装、加工、輸送及び貯蔵等に関する明確な費用の節減をもたらす。
【0064】
オーブン洗浄プロセス用のリンス助剤入りのこのコンセプトにおいて最適な乾燥特性をもたらす被覆ポリマーは、何らかの洗浄性、消泡性、ビルダー特性、結合性、レオロジー改質性、増粘性、構造化特性、又は腐食防止特性を有し得るため、総合的な洗浄プロセスを改善し得る。特に、脂肪系の汚れに対する確実な汚れ除去効果が観測された。
【0065】
本発明は以下の実施例からより良く理解される。しかしながら、当業者は、記載の特定の方法及び結果が本発明の例示に過ぎず、本発明の限定を示すものでないことを容易に認識するであろう。
【実施例】
【0066】
[実施例1]
本実施例では、オーブンの外観に対するアルカリ性洗浄溶液中に存在するSokalan CP 9及びカチオン性多糖類の影響を試験する。
【0067】
作業方法
本試験には自動洗浄プロセスを伴うオーブンであるRational製のSelf Cooking Centerを使用した。洗浄プロセス中、洗浄製品と共に約8Lの温水(80℃)が全体に8分間送られ、ノズルを介してオーブン全体を循環した。この洗浄溶液は自動的に排出され、きれいな温水がオーブン全体に3分間循環し、残った洗浄溶液を洗い流した。このすすぎ水も自動的に排出されて、オーブンを温風流で乾燥させた。
【0068】
オーブン壁(ステンレス鋼からなる)及びオーブンドア(ガラスからなる)の外観を評価するために、4つの異なるステンレス鋼基材及び1つのガラス基材を、オーブン内の棚に固定した。新しい基材を試験毎に使用した。このようにして、前の試験においてこれらの表面に吸着した成分による影響がないようにした。
【0069】
洗浄及び乾燥プロセス後、これらの基材の外観を評価した。基材の各々は、0(はっきりと見える極めて有意なレベルのウォーターマーク)から10(目視によるウォーターマークなし)までのスコアを示すことによって評価した。
【0070】
本試験には、水の硬度が8ドイツ硬度である水道水を使用した。さらに、最後のすすぎプロセスには何の製品も添加しなかった(そのため、水のみですすいだ)。
【0071】
これらの試験では、3つの異なる洗剤を洗浄溶液に添加した。添加した洗剤の組成を表1に示す。Sokalan CP 9はBASF製のマレイン酸−オレフィンコポリマーのナトリウム塩である。洗浄溶液中にカチオン性多糖類が存在する試験では、カチオン変性グアーガムを使用した。
【0072】
Jaguar C 1000;Rhodia製;グアーガム2ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニウム)プロピルエーテルクロリド(CAS番号:65497−29−2)。
【0073】
【表1】

【0074】
これらの洗浄組成物各々に対する洗浄プロセス後の目視評価の結果を表2に示す。
【表2】

【0075】
これらの結果は、番号1の参照製品によるこの自動洗浄プロセスがオーブン内の全ての表面に有意なレベルのウォーターマークの形成をもたらすことを示す。これは、洗浄及びすすぎプロセス後にこれらの表面に付着してこれらの表面上で乾燥した(dried-in)水滴が原因である。
【0076】
これらの結果はまた、洗浄溶液中のSokalan CP 9又はJaguar C 1000の存在が、オーブン内のこれらの表面の非常に良好な外観をもたらすことを示す。明らかなことは、洗浄プロセス中にこれらの表面にこれらの成分が吸着することによって、すすぎ工程後の水滴の形成が防止されるため、最後のすすぎ工程において別個のリンス製品を添加する必要なくオーブンの外観が改善されることである。
【0077】
[実施例2]
本実施例では、PVAサシェ内のアルカリ性粉末洗剤中のSokalan CP 9の影響を、オーブンの調理チャンバ内の外観について試験する。
【0078】
作業方法
本試験には自動洗浄プロセスを伴うオーブンを使用した。60グラムの参照洗剤(洗剤1)を入れたサシェをオーブン庫内の底部に置いた。その後、洗浄プロセスを開始した。洗浄プロセス中、80℃の約10Lの温水が洗浄製品と共に全体に送られ、45分間、ノズルを介してオーブン全体を循環する。洗浄プロセスの初めの5分間に洗剤が溶解した。
【0079】
この洗浄溶液が自動的に排出され、きれいな温水がオーブン全体に5分間循環され、残った洗浄溶液を洗い流す。このすすぎ水も自動的に排出される。このすすぎ手順を1回繰り返される。最後に、オーブンは80℃の温風流で乾燥される。
【0080】
洗浄手順後、オーブン壁の外観を評価した。オーブン壁は、0(はっきりと見える極めて有意なレベルのウォーターマーク)から10(目視によるウォーターマークなし)までのスコアを示すことによって評価した。
【0081】
試験は、同じシステムパラメータ、及び60グラムの同様の洗剤が入っているが4%のSokalan CP 9(洗剤2)も含有するサシェを用いて繰り返した。
【0082】
本試験には、水の硬度が8ドイツ硬度である水道水を使用した。さらに、最後のすすぎプロセスには何の製品も添加しなかった(そのため、水のみですすいだ)。
【0083】
添加した洗剤の組成を表3に示す。
【表3】

【0084】
これらの洗浄組成物各々に関する洗浄プロセス後の目視評価の結果を表4に示す。
【表4】

【0085】
これらの結果は、参照洗剤1によるこの自動洗浄プロセスがオーブン壁表面に有意なレベルのウォーターマークの形成をもたらすことを示す。これは、洗浄及びすすぎプロセス後にこれらの表面に付着してこれらの表面上で乾燥した水滴が原因である。
【0086】
これらの結果はまた、Sokalan CP 9を含む洗剤2が、オーブン内のこれらの表面の非常に良好な外観をもたらすことを示す。明らかなことは、洗浄プロセス中にオーブン壁にこれらのポリマーが吸着することによって、すすぎ工程後の水滴の形成が防止されるため、最後のすすぎ工程において別個のリンス製品を添加する必要なくオーブンの外観が改善されることである。
【0087】
本実施例はまた、この洗剤を入れたサシェをオーブンの底部に置くことが、この製品を適用及び使用するのに有効な方法であることを証明している。
【0088】
[実施例3]
本実施例では、オーブンの外観に対する洗浄溶液中に存在する様々なカチオン性多糖類の影響を試験する。これらのカチオン性多糖類は、ジャガイモデンプン及びタピオカデンプン、グアーガム及びセルロースのような幾つかのタイプの多糖類の種々のカチオン変性に基づくものである。
【0089】
比較のために、カチオン性多糖類でない多くのポリマーについても外観の影響を観察する。これらのポリマーとしては、標準的な多糖類(デンプン、グアー及びセルロース等)、ポリアクリルホモポリマー又はポリアクリルコポリマー、表面改質のために与えられるポリマー、及びカチオン性アクリルコポリマーが挙げられる。
【0090】
最後に、Etolit Clean製品(Etol Nederland製)を含有する洗浄溶液を用いた自動洗浄プロセスに関する外観を観察した。この製品は最近、市場に導入されたものであり、自動的に洗浄されるオーブンを1つの製品で洗浄及びすすぐことができると宣伝している。この製品は、水酸化カリウム及び5%未満の両性界面活性剤を含有する。
【0091】
作業方法
本試験には自動洗浄プロセスを伴うオーブンであるRational製のSelf cooking Centerを使用した。実施例1に記載したものと同じ洗浄プロセスを適用するが、これらの試行には軟水を使用する。
【0092】
オーブン壁(ステンレス鋼からなる)及びオーブンドア(ガラスからなる)の外観を評価するために、ステンレス鋼基材及びガラス基材をオーブン内に取り付けた。新しい基材を試験毎に使用した。洗浄プロセス後、水滴の乾燥によって生じるスポットの数を計数することによってこれらの基材の外観を評価した。
【0093】
第1のパートでは、以下の8つの異なるカチオン性多糖類の影響を試験した。
HI−CAT CWS 42;Roquette Freres製;低温水溶性カチオン性ジャガイモデンプン(CAS番号:56780−58−6)、
SolsaCAT 22;Starch Solution Internasional Kawasan製;カチオン性タピオカデンプン誘導体(CAS番号:56780−58−6)、
SolsaCAT 16A;Starch Solution Internasional Kawasan製;カチオン性タピオカデンプン誘導体(CAS番号:56780−58−6)、
CATO 308;National Starch & Chemical製;カチオン性タピオカデンプン−第四級アミン(0.35%N)、
Jaguar C 162; Rhodia製;グアーガム、2−ヒドロキシプロピル,2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピルエーテルクロリド(CAS番号:71329−50−5)、
Jaguar C 1000;Rhodia製;グアーガム、2ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニウム)プロピルエーテルクロリド(CAS番号:65497−29−2)、
SoftCAT SX−400H;Dow製;91%超のカチオン性ヒドロキシエチルセルロース(CAS番号:68610−92−4)、
UCARE LR 30 M;Dow製;91%超のカチオン性ヒドロキシエチルセルロース(CAS番号:68610−92−4)。
【0094】
第2のパートでは、以下の8つの(カチオン性多糖類でない)ポリマーの影響を試験した。
ジャガイモデンプン;Acros Organics製(CAS番号:9005−25−8)、
Meypro guar CSAA 200/50−F;Danisco製;グアーガム、
Blanose 7 HF Pharm;Hercules製;セルロースガム、
Sokalan CP 5;BASF製;ポリアクリル酸−マレイン酸コポリマー、
Acusol 445 NG;Rohm & Haas製;粒状アクリル酸ホモポリマー、
Polyquart Pro;Cognis製;アクリルコポリマーのナトリウム塩、
Rewocare 755;Evonik製;顔料親和性基を有する変性ポリマーの水性製剤、
Salcare SC60;Ciba製;カチオン性アクリルコポリマー。
【0095】
これらの成分を各々用いて、1%のカチオン性多糖類(パートA)又は1%(カチオン性多糖類でない)ポリマー(パートB)を含有する洗浄洗剤を調製した。さらに、これらの洗剤は、69%の水、10%のKOH(50%溶液)、3%のBriquest ADPA 60A(60% HEDP溶液)及び17%のGLDA(38%溶液)を含有していた。カチオン性多糖類又は(カチオン性多糖類でない)ポリマーを60℃で15分間撹拌することによって初めに温水に溶解させた。その後、HEDP、KOH及びGLDAを撹拌しながら添加した。さらに、同様のレベルの水、HEDP、KOH及びGLDAを含有するがポリマーを含有しない参照洗剤を調製した。
【0096】
これらの洗剤の各々から、20グラムを、洗浄プロセスの初めに洗浄溶液に添加した。洗浄プロセス後の基材の目視評価による結果を、カチオン性多糖類を含有する洗剤について表5A、及び(カチオン性多糖類でない)ポリマーを含有する洗剤及びEtolite Cleanについて表5Bに示す。
【0097】
【表5A】

【0098】
これらの結果は、参照洗剤1によるこの自動洗浄プロセスが、スチール表面及びガラス表面上に、これらの表面に付着する水滴が洗浄及びすすぎプロセス後に蒸発することによって生じる多くのスポットをもたらすことを示す。
【0099】
これらの結果はまた、異なるカチオン性多糖類を含む洗剤2〜洗剤9が、ほとんどスポットをもたらさず、オーブン内における表面の非常に良好な外観をもたらすことを示す。明らかなことは、洗浄プロセス中にオーブン壁にこれらの様々なカチオン性多糖類が吸着することによって、すすぎ工程後の水滴の形成が防止されるため、最後のすすぎ工程において別個のリンス製品を添加する必要なくオーブンの外観が改善されることである。
【0100】
【表5B】

【0101】
これらの結果は、(カチオン性多糖類でない)ポリマーによる自動洗浄プロセスが、スチール基材及びガラス基材上に多くのウォーターマークをもたらすことを示す。洗浄溶液中に標準的な多糖類が存在するものの、ポリアクリルホモポリマー又はポリアクリルコポリマーも存在するため、(親水性)表面改質のために与えられる機能性ポリマー(Rewocare 755及びPolyquart Pro等)及びカチオン性ポリマー(Salcare SC 60)によるオーブンの良好な外観はもたらされない。外観に関するそれらの結果は、いずれのポリマーも添加していない参照製品と同程度である。
【0102】
さらに、洗浄溶液中におけるEtolit Clean製品の使用は、極めて限定された乾燥のための利点を示すのみで、調理チャンバ内に依然として多くのウォーターマークを残したため、オーブンの良好な外観はもたらされなかった。
【0103】
全体として、これらの結果は、オーブン洗浄プロセスの洗浄溶液中に存在するカチオン性多糖類の好ましい効果が極めて特有のものであることを示す。
【0104】
[実施例4]
本実施例では、オーブンの外観に対する洗浄溶液中に存在する様々なカチオン性多糖類の影響を手動洗浄プロセスについて試験する。
【0105】
これらの試行には、実施例3に記載したカチオン性多糖類を含有する洗剤を使用した。これらの洗剤は霧吹きを用いてステンレス鋼基材及びガラス基材上に手動で散布し、これをオーブン内に入れた。3分後、これらの基材を水道水ですすいだ。この洗浄プロセス後、これらの基材に付着した水滴のスポットの数を計数することによってオーブン内におけるこれらの基材の外観を評価した。さらに、乾燥後、0(はっきりと見える極めて有意なレベルのウォーターマーク)から10(目視によるウォーターマークなし)までのスコアを示すことによって、これらの基材を視覚的に評価した。
【0106】
手動洗浄プロセス後の基材の目視評価についての結果を表6に示す。
【表6】

【0107】
これらの結果は、参照洗剤1による手動洗浄プロセスがスチール表面及びガラス表面上に多くのスポットをもたらした結果、外観についてのスコアが低くなることを示す。様々なカチオン性多糖類を含有する洗剤はほとんどスポットをもたらさないため、オーブン内における表面の非常に良好な外観をもたらす。これらの実施例は、カチオン性多糖類が、オーブン内における手動洗浄プロセスに対しても好ましい効果を有することを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
調理器具又は調理機器を洗浄する方法であって、水性すすぎ工程において被覆作用をもたらすように、調理器具又は調理機器の少なくとも調理チャンバを、少なくとも調理チャンバの表面上に層を設ける被覆ポリマーを含む洗浄組成物と接触させることを含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記被覆ポリマーが、カチオン性多糖類及びマレイン酸−オレフィンコポリマーからなる群から選択されるポリマーである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記カチオン性多糖類が、カチオン性デンプン及び/又はカチオン性グアー及び/又はカチオン性セルロースである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記カチオン性グアーが、グアーガム2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニウム)プロピルエーテルクロリド又はグアーガム2−ヒドロキシプロピル,2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピルエーテルクロリドである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記カチオン性デンプンが、(3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド加工デンプンである、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記カチオン性セルロースが、カチオン変性ヒドロキシエチルセルロースである、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記マレイン酸−オレフィンコポリマーがSokalan CP−9である、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
前記洗浄組成物との接触後に、少なくとも前記調理チャンバを水ですすぐ、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記洗浄組成物が、粉末、顆粒状粉末、錠剤、固体ブロック、水溶液、エマルション、構造化液体又はゲルの形態である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記洗浄組成物が、粉末及び/又は顆粒であり、水溶性ポリマーのサシェに詰められている、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記被覆ポリマーが、前記組成物の総(湿潤又は乾燥)重量を基準として、前記組成物の0.01%〜50%(w/w)、好ましくは0.1%〜20%(w/w)、より好ましくは0.2%〜10%(w/w)、さらに好ましくは0.5%〜5%(w/w)、最も好ましくは1%〜5%(w/w)を構成する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記洗浄組成物を水で希釈又は溶解することによって得られる水性洗浄溶液中の前記被覆ポリマーの濃度が、5ppm〜1000ppm、好ましくは10ppm〜500ppm、より好ましくは20ppm〜300ppmである、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記接触を手動及び/又は自動で行う、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記調理器具又は前記調理機器の少なくとも調理チャンバ内において、前記洗浄組成物又は該洗浄組成物を水で希釈又は溶解することによって得られる洗浄溶液を散布、噴霧、塗付及び/又は循環させることによって、前記接触を行う、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記調理器具又は前記調理機器が、従来の(乾燥)オーブン又はスチーム加熱式オーブンである、請求項1に記載の方法。

【公表番号】特表2012−510341(P2012−510341A)
【公表日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−539621(P2011−539621)
【出願日】平成21年12月1日(2009.12.1)
【国際出願番号】PCT/US2009/066161
【国際公開番号】WO2010/065481
【国際公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【出願人】(398061050)ディバーシー・インコーポレーテッド (101)
【住所又は居所原語表記】8310 16th Street,Sturtevant,Wisconsin 53177−0902,United States of America
【Fターム(参考)】