説明

リードフレームおよび半導体装置の製造方法

【課題】リードフレームに外力が加わったときにボンディングワイヤの変形などの異常検出を容易にしたリードフレームを用いた半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】アイランド部3とリード部8とが連結部11により一体に連結されてなるリードフレーム200を用意し、アイランド部3に半導体素子1、2を搭載する工程と、半導体素子1とリード部8とをボンディングワイヤ9により電気的・機械的に接続する工程とを備える半導体装置の製造方法において、アイランド部3と連結部11とを、ボンディングワイヤ9よりも機械的強度の低いダミーワイヤ10を介して機械的に接続する工程を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体素子を搭載してワイヤ接続を行うリードフレームおよび、そのようなリードフレームを用いた半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、この種のリードフレームとしては、半導体素子を搭載するアイランド部と、半導体素子とボンディングワイヤを介して電気的・機械的に接続されるリード部と、アイランド部およびリード部を一体に連結する連結部とを備えるものが一般的に知られている(たとえば、特許文献1〜3等参照)。
【0003】
そして、このようなリードフレームを用いて、アイランド部に半導体素子を搭載し、これとリード部とをワイヤボンディングし、さらに、このものをモールド樹脂で封止することにより、樹脂封止型の半導体装置が製造される(上記特許文献1〜3等参照)。
【特許文献1】特開2005−205418号公報
【特許文献2】特開2005−136018号公報
【特許文献3】特開2005−116963号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記した従来のリードフレームや、当該リードフレームを用いた半導体装置の製造方法においては、リードフレームに対し、わずかな外力が加わった場合でも、半導体素子とリード部とを接続するワイヤの変形・断線が生じたり、外観検査実施後の当該ワイヤ変形の見落としにより、不良品が後工程へ流動するという不具合が生じる可能性があった。
【0005】
本発明は、上記したような問題に鑑みてなされたものであり、リードフレームに外力が加わったときにボンディングワイヤの変形などの異常検出を容易にしたリードフレーム、および、そのようなリードフレームを用いた半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、アイランド部(3)と当該リードフレームのうちアイランド部(3)以外の部位(11)とは、ボンディングワイヤ(9)よりも機械的強度の低いダミーワイヤ(10)を介して機械的に接続されていることを特徴とするリードフレームが提供される。
【0007】
それによれば、リードフレーム(200)に外力が加わったときに、当該外力によってボンディングワイヤ(9)よりも先にダミーワイヤ(10)が変形しやすくなるので、ボンディングワイヤ(9)の変形などの異常検出が容易になる。
【0008】
また、請求項2に記載の発明では、アイランド部(3)は矩形板状をなすものであり、ダミーワイヤ(10)は、アイランド部(3)の四隅部のそれぞれに接続されている複数本のものよりなることを特徴とする。それによれば、あらゆる方向からリードフレーム(200)に加わる応力について、ダミーワイヤ(10)の変形による異常検出が行いやすい。
【0009】
ここで、請求項3に記載の発明のように、四隅部に接続された複数本のダミーワイヤ(10)は、アイランド部(3)の中心から放射状に延びるように形成されていることが好ましい。
【0010】
また、請求項4に記載の発明では、アイランド部(3)とリードフレーム(200)のうちアイランド部(3)以外の部位(11)とを、ボンディングワイヤ(9)よりも機械的強度の低いダミーワイヤ(10)を介して機械的に接続する工程を備えていることを特徴とする半導体装置の製造方法が提供される。
【0011】
それによれば、リードフレーム(200)に外力が加わったときに、当該外力によってボンディングワイヤ(9)よりも先にダミーワイヤ(10)が変形しやすくなるので、ボンディングワイヤ(9)の変形などの異常検出が容易になる。
【0012】
ここで、請求項5に記載の発明のように、アイランド部(3)は矩形板状をなすものであり、ダミーワイヤ(10)を、アイランド部(3)の四隅部のそれぞれに接続すれば、この場合も、あらゆる方向からリードフレーム(200)に加わる応力について、ダミーワイヤ(10)の変形による異常検出が行いやすい。
【0013】
また、この場合も、四隅部に接続するダミーワイヤ(10)を、アイランド部(3)の中心から放射状に延びるように形成することが好ましい。
【0014】
また、上記製造方法においては、半導体素子(1、2)の搭載工程、ボンディングワイヤ(9)の接続工程、およびダミーワイヤ(10)の接続工程の後、半導体素子(1、2)、アイランド部(3)、リード部(8)およびボンディングワイヤ(9)をモールド樹脂(7)で封止するとともに、連結部(11)をモールド樹脂(7)から露出させる工程と、その後、アイランド部(3)およびリード部(8)から前記連結部(11)を分断する工程とを備えるものにできる。
【0015】
この場合、請求項7に記載の発明のように、ダミーワイヤ(10)は、アイランド部(3)と連結部(11)とを接続するようにし、連結部(11)の分断時には、ダミーワイヤ(10)のうちモールド樹脂(7)から露出する部位を切断するものにできる。
【0016】
また、この場合、請求項8に記載の発明のように、連結部(11)には、連結部(11)からモールド樹脂(7)の封止領域まで延びる突出部(12)を設けておき、ダミーワイヤ(10)は、前記アイランド部(3)と前記突出部(12)とを接続するようにし、連結部(11)の分断時には、モールド樹脂(7)で封止されている突出部(12)とモールド樹脂(7)から露出する連結部(11)との間を切断するようにしてもよい。それによれば、モールド工程の後にダミーワイヤ(10)を切断しないで済む。
【0017】
なお、特許請求の範囲およびこの欄で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、説明の簡略化を図るべく、図中、同一符号を付してある。
【0019】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る半導体装置100の概略構成を示す図であり、(a)は概略平面図、(b)は同半導体装置100の概略断面図である。なお、図1(a)では、モールド樹脂7は、その外形線を示すにとどめ、モールド樹脂7の内部の各部要素は、モールド樹脂7を透過した状態にて示してある。
【0020】
この半導体装置100は、たとえば自動車などの車両に搭載され、車両用電子装置を駆動するための装置として適用されるものである。図1に示されるように、本半導体装置100は、平面的に配置された2個の半導体素子1、2を備える。
【0021】
本例では、第1の半導体素子1はIGBT(絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)1であり、第2の半導体素子2は、FWD(フライホイールダイオード)2である。なお、図1(b)においては、第1の半導体素子1に沿った断面が示されているが、第2の半導体素子2に沿った本半導体装置100の断面形状も実質的に同様である。
【0022】
そして、これら両半導体素子1、2の両面は、当該半導体素子1、2の電極および放熱部材として機能する一対の金属板としてのアイランド部3、4にて挟まれている。これらアイランド部3、4は、銅合金もしくはアルミ合金等の熱伝導性および電気伝導性に優れた金属によって構成されており、実質的に矩形板状をなす。
【0023】
ここで、一対のアイランド部3、4は、半導体素子1、2を挟むように対向して配置されているが、図1(b)において、一対のアイランド部3、4のうち下側に位置するアイランド部3を、第1のアイランド部3とし、上側に位置するアイランド部4を、第2のアイランド部4とする。
【0024】
そして、両半導体素子1、2の下面と第1のアイランド部3の内面との間は、はんだ5によって電気的・熱的に接続されている。また、両半導体素子1、2の上面と第2のアイランド部4の内面との間には、両アイランド部3、4と同様の材質からなるヒートシンクブロック6が介在している。なお、本実施形態において、半導体素子1、2の上面、下面とは、図1(b)における上下関係に基づいたものとする。
【0025】
そして、各半導体素子1、2の上面とヒートシンクブロック6との間、および、ヒートシンクブロック6と第2のアイランド部4の内面との間は、はんだ5によって電気的・熱的に接続されている。
【0026】
ここで、はんだ5としては、特に限定されるものではないが、鉛フリーはんだなどが用いられる。たとえば、鉛フリーはんだとしては、Sn−Ag−Cu系はんだやSn−Ni−Cu系はんだ等を採用することができる。
【0027】
そして、図1、図2に示されるように、本実施形態の半導体装置100においては、半導体素子1、2を挟み込んだ一対のアイランド部3、4が、モールド樹脂7にて封止されている。このモールド樹脂7はエポキシ系樹脂などからなり、型成形によって形成されたものである。こうして、はんだ5を介した半導体素子1、2とヒートシンクブロック6との接合部、および、両半導体素子1、2は、モールド樹脂7により封止されている。
【0028】
また、図1に示されるように、一対のアイランド部3、4のそれぞれにおいて、半導体素子1、2と対向する内面とは反対側の外面3a、4aが、モールド樹脂7から露出している。これにより、本半導体装置100は、第1および第2の半導体素子1、2の両面のそれぞれにて、第1のアイランド部3、第2のアイランド部4を介した放熱が行われる両面放熱型の構成となっている。
【0029】
図示しないが、このモールド樹脂7から露出する放熱面3a、4aには、それぞれ冷却部材を密着して放熱を促進できるようになっている。このような冷却部材としては、通常、内部に冷却水が流通可能なアルミや銅などの部材が使用される。
【0030】
また、一対のアイランド部3、4は、はんだ5やヒートシンクブロック6を介して、両半導体素子1、2の各面における電極に電気的に接続されている。たとえば、一対のアイランド部3、4は、それぞれ第1の半導体素子1であるIGBTのコレクタ側の電極および第2の半導体素子2であるFWDのカソード側の電極、IGBTのエミッタ側の電極およびFWDのアノード側の電極となる。
【0031】
ここで、半導体装置100においては、一対のアイランド部3、4のそれぞれの一部が、矩形の辺部からモールド樹脂7の外部まで突出した端子3b、4bとして構成されており、この端子3b、4bは外部と電気的に接続されるようになっている。
【0032】
また、図1に示されるように、半導体装置100においては、第1のアイランド部3の周囲に、複数本のリード部8が設けられている。これらリード部8は、第1の半導体素子であるIGBTの制御用の端子として機能するものであり、一部がモールド樹脂7に封止され、残部が外部と接続されるためにモールド樹脂7から露出している。
【0033】
後述するが、第1のアイランド部3とこれらリード部8とは、共通のリードフレーム200(後述の図2参照)にて構成されたものであり、モールド樹脂7による封止後の分断によって、それぞれ分離したものである。
【0034】
そして、第1の半導体素子1は、ヒートシンクブロック6側の面にてボンディングワイヤ9を介して、リード部8と電気的・機械的に接続されている。このボンディングワイヤ9は、Au(金)やAl(アルミ)などよりなる一般的なワイヤボンディングにより形成されたものである。
【0035】
なお、ヒートシンクブロック6は、この第1の半導体素子1とリード部8との間のボンディングワイヤ9の高さを維持するために、第1の半導体素子1のワイヤボンディング面と第2のアイランド部4との間の高さを確保する機能を有する。
【0036】
さらに、本半導体装置100においては、図1に示されるように、モールド樹脂7の内部にて、当該モールド樹脂7に封止されたダミーワイヤ10が設けられている。このダミーワイヤ10は、第1のアイランド部3を起点としてモールド樹脂7の端面に向かって延びており、その終点はモールド樹脂7の端面に位置する。このダミーワイヤ10の詳細は後述する。
【0037】
次に、本半導体装置100の製造方法について、図2を参照して述べる。図2は、本製造方法におけるワイヤボンディング工程後のワークの状態を示す図であり、(a)は同ワークの概略平面図、(b)は同ワークの概略断面図である。
【0038】
なお、図2(a)においては、後のモールド工程で形成されるモールド樹脂7の外形を破線で示し、また、リードフレーム200のうち当該モールド工程後に切断される部位である連結部11の表面に、便宜上、斜線ハッチングを施してある。
【0039】
本製造方法では、まず、第1のアイランド部3とリード部8とが連結部11に一体に連結されてなるリードフレーム200を用意する。このリードフレーム200においては、上述したように、第1のアイランド部3は、半導体素子1、2をはんだ5を介して搭載するアイランド部として構成されており、リード部8は、半導体素子3とボンディングワイヤ9を介して電気的・機械的に接続される部位である。
【0040】
また、連結部11は、これら第1のアイランド部3とリード部8とを取り囲むように、これらの外側に設けられており、これら第1のアイランド部3およびリード部8は、連結部11に接続されて、一体に連結されている。
【0041】
そして、リードフレーム200のうちの第1のアイランド部3に、上記はんだ5を介して半導体素子1、2を搭載する(半導体素子搭載工程)。その後、半導体素子1、2の上に、はんだ5を介してヒートシンクブロック6を搭載し、その上に、さらにはんだ5を搭載する。
【0042】
次に、第1の半導体素子1とリード部8との間で、ワイヤボンディングを行うことによって、これら両者の間をボンディングワイヤ9で電気的および機械的に接続する(ワイヤボンディング工程)。
【0043】
ここで、本実施形態の製造方法では、このワイヤボンディング工程の後に、第1のアイランド部3と連結部11とを、ボンディングワイヤ9よりも機械的強度の低いワイヤであるダミーワイヤ10を介して機械的に接続する(ダミーワイヤ接続工程)。
【0044】
ここでは、ダミーワイヤ10は、ボンディングワイヤ9の両側に設けられている。このダミーワイヤ10は、ボンディングワイヤ9よりも機械的強度を低いものとするために、たとえば、ボンディングワイヤ9よりもループ高さを低くしたり、ワイヤ径を細くしたり、機械的強度の低い材質を使用したりする。
【0045】
こうして図2に示されるワークを形成した後、本製造方法では、第2のアイランド部4をヒートシンクブロック6の上にはんだ接続し、続いて、このものを金型に投入し、モールド樹脂7による封止を行う(モールド工程)。
【0046】
このモールド工程より、半導体素子1、2、アイランド部3、4、リード部8およびボンディングワイヤ9がモールド樹脂7で封止されるとともに、連結部11はモールド樹脂7から露出する。
【0047】
その後、リードフレーム200のうち図2に示される連結部11を切断することにより、第1のアイランド部3およびリード部8から連結部11を分断する(連結部分断工程)。このとき、ダミーワイヤ10も切断する。
【0048】
本実施形態では、ダミーワイヤ10は、第1のアイランド部3と連結部11とを接続するため、連結部11の分断時には、ダミーワイヤ10のうちモールド樹脂7から露出する部位を切断する。以上が本実施形態の製造方法であり、こうして、上記図1に示される本実施形態の半導体装置100ができあがる。
【0049】
ところで、本実施形態によれば、アイランド部3と連結部11とを、ボンディングワイヤ9よりも機械的強度の低いダミーワイヤ10を介して機械的に接続するようにしている。そのことから、半導体装置100の製造中に、リードフレーム200に何らかの外力が加わったときに、当該外力によってボンディングワイヤ9よりも先にダミーワイヤ10が変形しやすくなる。
【0050】
そのため、モールド工程前においては、ダミーワイヤ10の外観を検査して、ダミーワイヤ10の変形を確認することにより、ボンディングワイヤ9の変形や断線などの異常検出が容易になる。たとえば、ダミーワイヤ10が変形していれば、何らかの外力がリードフレーム200に加わった履歴が確認され、ボンディングワイヤ9の特性検査における指標となる。
【0051】
また、本実施形態では、アイランド部3とリード部8とが連結部11にて一体に連結されてなり、アイランド部3と連結部11とが上記ダミーワイヤ10を介して機械的に接続されているリードフレーム200が提供される。つまり、このリードフレーム200は、アイランド部3、リード部8、連結部11、およびダミーワイヤ10を備えて構成されたものである。
【0052】
このリードフレーム200を用いれば、アイランド部3に半導体素子1、2を搭載し、ワイヤボンディングを行った後に、当該リードフレーム200に外力が加わったときに、ボンディングワイヤ9よりも先にダミーワイヤ10が変形しやすくなるので、ボンディングワイヤ9の変形などの異常検出が容易になる。
【0053】
なお、上記例では、ダミーワイヤ接続工程は、ワイヤボンディング工程とモールド工程との間に行ったが、モールド工程の前であれば、たとえばダミーワイヤ接続工程を、半導体素子搭載工程の前に行ったり、半導体素子工程とワイヤボンディング工程との間に行ったりしてもよい。
【0054】
(第2実施形態)
図3は、本発明の第2実施形態に係る半導体装置の製造方法の要部を示す図であり、ワイヤボンディング工程後のワークの概略平面図である。上記第1実施形態との相違点を中心に述べる。
【0055】
上記第1実施形態では、ダミーワイヤ10は、リードフレーム200における矩形板状の第1のアイランド部3の2個の隅部に設けられていたが、本実施形態では、ダミーワイヤ10は、平面矩形状のアイランド部3の四隅部のそれぞれに接続されており、合計4本のものである。
【0056】
ここでは、連結部11は第1のアイランド部3を取り囲むように当該アイランド部3の外側に設けられており、ダミーワイヤ10は、当該四隅部と連結部11のうち四隅部に対向する部位とを接続している。
【0057】
このように、本実施形態のリードフレーム200および製造方法によれば、あらゆる方向からリードフレーム200に加わる応力について、ダミーワイヤ10の変形による異常検出が行いやすい。
【0058】
また、図3では、第1のアイランド部3の四隅部に接続された複数本のダミーワイヤ10は、第1のアイランド部3の中心から放射状に延びるように形成されている。そのため、あらゆる方向の外力に対するダミーワイヤ10の感度をより向上できる。
【0059】
なお、図3に示される例では、ダミーワイヤ10は、第1のアイランド部3の各隅部に1本ずつ合計4本であるが、各隅部に2本ずつ合計8本でもよいし、各隅部で本数が異なっていてもよい。
【0060】
(第3実施形態)
図4は、本発明の第3実施形態に係る半導体装置の製造方法の要部を示す図であり、ワイヤボンディング工程後のワークの概略平面図である。上記第1実施形態との相違点を中心に述べる。
【0061】
上記第1実施形態の製造方法では、半導体素子搭載工程、ワイヤボンディング工程、ダミーワイヤ接続工程、モールド工程を行った後、連結部分断工程を行い、この連結部分断工程において、ダミーワイヤ10のうちモールド樹脂7から露出する部位を切断するようにしていた。
【0062】
それに対して、図4に示されるように、本実施形態の製造方法では、用意されるリードフレーム200において、連結部11に、当該連結部11からモールド樹脂7の封止領域まで延びる突出部12を設けておく。そして、ダミーワイヤ接続工程では、ダミーワイヤ10は、第1のアイランド部3と突出部12とを接続するようにする。
【0063】
そして、連結部分断工程では、モールド樹脂7で封止されている突出部12とモールド樹脂7から露出する連結部11との間を切断する。このように、本製造方法によれば、モールド工程後に、ダミーワイヤ10の切断が不要となる。なお、この場合、できあがった半導体装置においては、モールド樹脂7の内部にダミーワイヤ10の全体が位置すると共に、モールド樹脂7の端面に突出部12の切断面が位置することとなる。
【0064】
また、本実施形態は、上記第2実施形態と組み合わせて適用してもよい。つまり、突出部12を第1のアイランド部3の四隅部に対向して設け、その突出部と第1のアイランド部3とをダミーワイヤ10により接続するようにしてもよい。
【0065】
(他の実施形態)
なお、上記各実施形態では、アイランド部3と連結部11とがダミーワイヤ10を介して機械的に接続されていたが、ダミーワイヤ10は、アイランド部3とリードフレーム200のうちのアイランド部3以外の部位とを接続するものであればよい。たとえば、アイランド部3とリード部8とがダミーワイヤ10にて接続されていてもよい。
【0066】
また、上記各実施形態では、一対のアイランド部により半導体素子1、2を挟むようにした両面放熱型の半導体装置の例を示したが、半導体素子を搭載するアイランド部と、半導体素子とボンディングワイヤを介して電気的・機械的に接続されるリード部と、アイランド部とリード部とを一体に連結する連結部とを備えるリードフレームを用いたものであれば、アイランド部が1個だけの半導体装置でもよい。
【0067】
そして、アイランド部3に搭載される半導体素子としては、上記したIGBT1やFWD2でなくてもよい。また、半導体素子は1個でもよいし、3個以上でもよい。
【0068】
また、上述したように、ヒートシンクブロック6は、第1の半導体素子1と第2のアイランド部4との間に介在し、これら両部材1、4との間の高さを確保する役割を有するものであるが、可能であるならば、ヒートシンクブロック6は存在しないものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の第1実施形態に係る半導体装置を示す図であり、(a)は概略平面図、(b)は概略断面図である。
【図2】第1実施形態の製造方法におけるワイヤボンディング工程後のワークの状態を示す図であり、(a)は概略平面図、(b)は概略断面図である。
【図3】本発明の第2実施形態に係る半導体装置の製造方法におけるワイヤボンディング工程後のワークの概略平面図である。
【図4】本発明の第3実施形態に係る半導体装置の製造方法におけるワイヤボンディング工程後のワークの概略平面図である。
【符号の説明】
【0070】
1 第1の半導体素子
2 第2の半導体素子
3 第1のアイランド部
7 モールド樹脂
8 リード部
9 ボンディングワイヤ
10 ダミーワイヤ
11 連結部
12 突出部
200 リードフレーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体素子(1、2)を搭載するアイランド部(3)と、前記半導体素子(1)とボンディングワイヤ(9)を介して電気的・機械的に接続されるリード部(8)と、前記アイランド部(3)と前記リード部(8)とを一体に連結する連結部(11)とを備えるリードフレームにおいて、
前記アイランド部(3)と当該リードフレームのうち前記アイランド部(3)以外の部位(11)とは、前記ボンディングワイヤ(9)よりも機械的強度の低いダミーワイヤ(10)を介して機械的に接続されていることを特徴とするリードフレーム。
【請求項2】
前記アイランド部(3)は矩形板状をなすものであり、前記ダミーワイヤ(10)は、前記アイランド部(3)の四隅部のそれぞれに接続されている複数本のものよりなることを特徴とする請求項1に記載のリードフレーム。
【請求項3】
前記四隅部に接続された複数本のダミーワイヤ(10)は、前記アイランド部(3)の中心から放射状に延びるように形成されていることを特徴とする請求項2に記載のリードフレーム。
【請求項4】
アイランド部(3)とリード部(8)とが連結部(11)により一体に連結されてなるリードフレーム(200)を用意し、
前記アイランド部(3)に半導体素子(1、2)を搭載する工程と、
前記半導体素子(1)と前記リード部(8)とをボンディングワイヤ(9)により電気的・機械的に接続する工程とを備える半導体装置の製造方法において、
前記アイランド部(3)と前記リードフレーム(200)のうち前記アイランド部(3)以外の部位(11)とを、前記ボンディングワイヤ(9)よりも機械的強度の低いダミーワイヤ(10)を介して機械的に接続する工程を備えていることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記アイランド部(3)は矩形板状をなすものであり、前記ダミーワイヤ(10)を、前記アイランド部(3)の四隅部のそれぞれに接続することを特徴とする請求項4に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記四隅部に接続するダミーワイヤ(10)を、前記アイランド部(3)の中心から放射状に延びるように形成することを特徴とする請求項5に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記半導体素子(1、2)の搭載工程、前記ボンディングワイヤ(9)の接続工程、および前記ダミーワイヤ(10)の接続工程の後、
前記半導体素子(1、2)、前記アイランド部(3)、前記リード部(8)および前記ボンディングワイヤ(9)をモールド樹脂(7)で封止するとともに、前記連結部(11)は前記モールド樹脂(7)から露出させる工程と、
その後、前記アイランド部(3)および前記リード部(8)から前記連結部(11)を分断する工程とを備え、
前記ダミーワイヤ(10)は、前記アイランド部(3)と前記連結部(11)とを接続するようにし、前記連結部(11)の分断時には、前記ダミーワイヤ(10)のうち前記モールド樹脂(7)から露出する部位を切断することを特徴とする請求項4ないし6のいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記半導体素子(1、2)の搭載工程、前記ボンディングワイヤ(9)の接続工程、および前記ダミーワイヤ(10)の接続工程の後、
前記半導体素子(1、2)、前記アイランド部(3)、前記リード部(8)および前記ボンディングワイヤ(9)をモールド樹脂(7)で封止するとともに、前記連結部(11)は前記モールド樹脂(7)から露出させる工程と、
その後、前記アイランド部(3)および前記リード部(8)から前記連結部(11)を分断する工程とを備え、
前記連結部(11)には、前記連結部(11)から前記モールド樹脂(7)の封止領域まで延びる突出部(12)を設けておき、前記ダミーワイヤ(10)は、前記アイランド部(3)と前記突出部(12)とを接続するようにし、
前記連結部(11)の分断時には、前記モールド樹脂(7)で封止されている前記突出部(12)と前記モールド樹脂(7)から露出する前記連結部(11)との間を切断することを特徴とする請求項4ないし6のいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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