説明

リール用コンテナ

【課題】耐振性が高く、紙屑が発生せず、作業性が高く効率よく梱包や搬送が行え、環境に優しい搬送形態を実現できるコードリール用コンテナを提供する
【解決手段】コードリール用コンテナ1においては、少なくとも最下段のコードリール70のリール中心孔をパレット8上の底板のリール中心孔受け突起に嵌合して位置決めし、その上に順次コードリール70を段積みする。段積みしたコードリール70に側部巻回用エアーバッグ41を巻きつけてエアーを注入し、側板14,16を立設してその上に上部被覆用エアバッグ42を載置し、上蓋20で閉塞する。コードリール70の周囲はエアーバッグ41により被覆保護され、段積みされたコードリール70は強固に同心状態に維持され、側板14,16に対して位置が固定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子デバイスを収容したテープ状媒体が巻き取られたコードリールの搬送に用いて好適なリール用コンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばリードフレームやチップ部品等の電子デバイスの搬送にあたっては、これらの電子デバイスを紙あるいはプラスチックのテープ(いわゆるキャリアテープ)に連続的に並べて収容し、そのテープをリールに巻き取り、そのリールをダンボールを用いて個々に包装(梱包)して搬送することが行われている。なお、以下の説明においては、電子デバイスを収容したテープが巻回されたリールの全体を、単にリールあるいはコードリールと称する。
【0003】
一方、一般的に所望の搬送物を搬送するためには、組立式コンテナが従来より広く使用されている。組立式コンテナは、所望の物品を収容するコンテナであって、物品を収容しない時には折り畳んで容積を小さくし、効率よく回収できるようにしたコンテナである(例えば、特許文献1参照)。近年では、重量物も収容でき、また気密性の高い組立式コンテナも提供されており、精密機器等の搬送にも使用されつつある。
【特許文献1】特開2006−11328号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述したような電子デバイスが収容されたコードリールの搬送においては、種々の不利益があり改善が望まれている。
まず、電子デバイスの搬送の際には、振動や衝撃が電子デバイスに悪影響を与える可能性があり、振動や衝撃をなるべく抑えることが望まれている。コードリールの形態に梱包された電子デバイスは、前述したようにダンボールを用いて搬送されており、ダンボール自体の衝撃吸収性により搬送時の振動や衝撃の電子デバイスへの悪影響はある程度抑えることができていた。しかしながら、近年の電子デバイスの微細化に伴い、微細な振動や衝撃でも電子デバイスに悪影響を与える場合が多くなっており、より一層、搬送時に振動や衝撃を電子デバイスに与えないことが要望されるようになっている。これに対して従来のダンボールを用いた梱包及び搬送では、微細な振動や衝撃を十分に吸収できないことが懸念されており、改善が望まれている。
【0005】
また、前述したようにダンボールを用いて電子デバイスの搬送を行う場合には、ダンボールから発生する紙屑も、微細化された電子デバイスには悪影響を与える可能性がある。したがって、このようなコードリールの搬送の際には、極力「紙屑」が発生しない包装(梱包)方法が要望されている。
また、ダンボールを用いた包装は「個包装」であるために作業性が悪く、工数がかかるという問題もあり、改善が望まれている。
さらには、梱包及び搬送に用いた後のダンボールは廃材となるため、環境の点から適切ではなく、環境に配慮した循環型の搬送形態の必要性が求められている。
【0006】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、コードリールを搬送する際に、振動や衝撃の吸収性が高く、搬送に際して紙屑が発生せず、作業性が高く効率よく梱包や搬送が行え、さらには使い捨て部材を使用しないような環境に優しい搬送形態を実現できるコードリール用コンテナを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明に係るリール用コンテナは、パレットと、前記パレットの上面に載置され、収容するリールのうちの少なくとも最下段のリールの中心孔が嵌合される突起が形成された床部材と、前記パレット上に収容空間を形成するように前記パレットの周縁に沿って装着される複数の側板と、前記側板に囲まれる収容空間の上部開口を被覆する上蓋と、前記収容空間に収容されるリールの側部に巻回されて、当該リールと前記側板との間隙を埋める側部巻回用エアーバッグと、前記収容されるリールの上部に載置されて、当該リールと前記上蓋との間隙を埋める上部緩衝部材とを有する。
【0008】
好適には、前記突起の高さが、前記最下段のリールの高さの0.2〜2倍である。
また好適には、前記側部巻回用エアーバッグは、複数のエアーバッグが帯状に連結された構成のエアーバッグ部と、前記エアーバッグ部の両端を掛留する掛留部材と、前記エアーバッグ部の両端の前記掛留部の内側を被覆する布部材とを有する。
【0009】
また好適には、前記エアーバッグ部は、空気室のみを有する第1のエアーバッグと、空気室と発泡ウレタンが組み込まれたウレタン室との2室を有する第2のエアーバッグとを有する。
【0010】
また好適には、前記上部緩衝部材は、エアーバッグである。
【0011】
また好適には、前記上蓋は、前記収容空間からの圧力に対して蓋面が変形しないように当該蓋面に装着された補強部材を有する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、コードリールを搬送する際に、振動や衝撃の吸収性が高く、搬送に際して紙屑が発生せず、作業性が高く効率よく梱包や搬送が行え、さらには使い捨て部材を使用しないような環境に優しい搬送形態を実現できるコードリール用コンテナを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の一実施形態について図1〜図7を参照して説明する。
本実施形態においては、リードフレームや種々のチップ部品等の電子部品を紙、あるいはエンボス等のプラスチックのテープに順次連続的に収容し、このテープを巻回したリール(コードリール)を搬送するためのコードリール用コンテナについて説明する。
【0014】
図1は、そのコードリール用コンテナ1の外箱2の分解斜視図である。
図2は、側板14,16とパレット8との取付構造を示す分解斜視図である。
図3は、図1に示す外箱2の内部空間18に収容される内部緩衝材としての衝撃吸収性エアーバッグ4の説明をするための図である。
図4は、衝撃吸収性エアーバッグを示す図であり、図4(A)は大径のコードリールを収容するのに適した側部巻回用エアーバッグ(エアーベルト)41aを示す図であり、図4(B)は小径のコードリールを収容するのに適した側部巻回用エアーバッグ(エアーベルト)41bを示す図であり、図4(C)は、上部被覆用エアーバッグ42を示す図である。
図5は、側部巻回用エアーバッグ(エアーベルト)41によりコードリール70を巻回して外箱2に収容した状態を模式的に示した図であり、図5(A)は大径のコードリール70aを大径用の側部巻回用エアーバッグ41aで巻回して外箱2に収容した状態を上方から見た図であり、図5(B)は小径のコードリール70bを小径用の側部巻回用エアーバッグ41bで巻回して外箱2に収容した状態を上方から見た図である。
図6は、側部巻回用エアーバッグ41の端部の掛留方法を模式的に示す図であり、図6(A)は掛留前の側部巻回用エアーバッグ41の両端及び端布55の状態を示す図であり、図6(B)は側部巻回用エアーバッグ41の両端を掛留した状態を示す図である。
図7は、コードリール用コンテナ1にコードリール70が収容されている状態を示す図である。
【0015】
まず、コードリール用コンテナ1の外箱2の構成について、図1及び図2を参照して説明する。
図1に示すように、コードリール用コンテナ1の外箱2は、底部にパレット8を有する。パレット8には、フォークリフトの爪部が差し込まれるリフト用孔10が形成してある。パレット8は、本実施形態においては樹脂製であるが、ステンレスなどの金属で構成してあってもよい。
【0016】
パレット8の上には、底板12が載置される。底板12は、本実施形態においては内部に多数の穴が形成されているプラスチックダンボール(以下、ダンボールプラスチックあるいはダンプラと称する)により構成されるが、任意の樹脂あるいは金属素材で構成してもよい。
底板12の中央には、コードリール用コンテナ1に収容されるコードリールのリール中心孔71が嵌合されるリール中心孔受け突起17が形成されている。
【0017】
底板12の上には、底板12の略全面にわたって底板緩衝材13が敷かれる。底板緩衝材13は、緩衝性、弾力性のある任意の素材で構成してよいが、本実施形態では、高発泡ポリエチレン素材であるソフトロン(ソフトロンは積水化学工業株式会社の登録商標)により構成する。底板緩衝材13の中央には、底板12に形成されたリール中心孔受け突起17を通過するための穴19が形成されている。
【0018】
パレット8の周縁の四辺位置には、対向する2枚の第1の側板14及び対向する2枚の第2の側板16の計4枚の側板14及び16が着脱自在に装着される。パレット8の上で、これら4枚の側板14及び16で囲まれた空間が、コードリール等の収容物を収容するための内部空間18となる。4枚の側板14及び16は、それぞれ、ダンボールプラスチックを材質とする1枚のパネル15(図2参照)が金枠で囲まれた構成であり、後述するように、パレット8に対して折り畳み自在で着脱自在となっている。
【0019】
また、底板12、側板14及び16で囲まれた内部空間18の上方開口を閉じるために、側板14及び16の上端に、矩形の上蓋20が上止め金具22により着脱自在に装着される。上蓋20も、ダンボールプラスチックにより構成される。
また、上蓋20の内側には、上蓋20の蓋面を3等分するような配置で、補強材21が設置されている。補強材21は、上蓋20の周囲枠部材と同様に金属製である。外箱2の内部には衝撃吸収性エアーバッグ4で被覆したコードリール70を収容することを想定しているが、その際には、後述するように外箱2の内部空間18の上面には上部被覆用エアーバッグ42が載置され、これを上蓋20で押さえつけるようにして上蓋20は外箱2の側板14、16に対して装着される。その際に、上蓋20が上部被覆用エアーバッグ42に押されて膨張しないように、すなわち、いわゆる胴膨れ状態とならないように、上蓋20には補強材21を設置しておく。なお、補強材21の配置等は図1に示す方法に限られず任意である。
【0020】
パレット8の上の四隅位置には、下金具24が立設してあり、また、各下金具24を接続するように、パレット8の周縁に沿って帯状金具36が設置されている。
各下金具24の内側には、図2に示すように、断面略L字形状の係止片26が固定してあり、上下方向に延びる垂直溝28と、その垂直溝28の下端部に連続するように水平方向に延びる水平溝30とを形成するようになっている。
【0021】
第1の側板14を構成するパネル15の両側端部には、図2に示すように、高さ方向に沿って金属製の側端金枠32が装着してある。各側端金枠32は、パネル15を補強する作用を有する。また、各側端金枠32には、図1に示す第2の側板16を構成するパネルの両端部がそれぞれスライド式に差し込まれるためのスライド溝34が形成してある。また、この側端金枠32の下端部に、回動用突起38が設けられている。
【0022】
各回動用突起38は、図2に示すように、下金具24の垂直溝28に挿入され、その垂直溝28の下端部で、水平方向に移動させることで(図2中矢印A)、係止片26により上方への抜け止めがなされる。従って、第1の側板14を構成するパネル15は、パレット8に対して上方への抜け止めがなされ、その状態で、パネル15は、外箱2の内側方向Bへの回動が許容される。パネル15のコンテナ外側への回動は、パネル15が、パレット8の上に固定された下金具24、係止片26及び帯状金具36に当接することにより制限される。
【0023】
また、2枚の第1の側板14が、上述したようにパレット8の対辺上に垂直に設置された状態において、これら対向する第1の側板14の両側において各々対向配置されるスライド溝34に、各々第2の側板16が挿入される。これにより、第1の側板14は内側方向Bへの回動が不能となり、パレット8の周縁上に垂直な状態で固定される。また、そのようにスライド溝34に挿入された対向する2枚の第2の側板16も、2枚の第1の側板14の両端を接続する状態でパレット8の対辺上に垂直に設置される。
【0024】
本実施形態のコードリール用コンテナ1においては、このようにして形成された外箱2の内部空間18に、図3に示すように、段積みされた複数のコードリール70を衝撃吸収性エアーバッグ4で被覆保護した状態で収容する。
【0025】
図3に示すように、衝撃吸収性エアーバッグ4としては、側部巻回用エアーバッグ41と上部被覆用エアーバッグ42とを含む。
側部巻回用エアーバッグ41は、段積みされたコードリール70の周囲に巻き付けてその側部を被覆し、外箱2の側板14,16と段積みされたコードリール70との間を埋めるためのエアーバッグである。また、上部被覆用エアーバッグ42は、段積みしたコードリール70の上部に載置されてコードリール70と外箱2の上蓋20との間に介在されるエアーバッグである。
【0026】
側部巻回用エアーバッグ41の構成について図4(A)を参照して説明する。
コードリール70に巻き付ける前の側部巻回用エアーバッグ41は、図4(A)に示すような帯状の部材であり、その本体であるエアーバッグ部43、エアーバッグ部43の一方の端部に設けられる端布55、エアーバッグ部43の両端を掛留するためのバッグル57,59を有する。
【0027】
エアーバッグ部43は、小容積のエアーバッグ45,47が帯の伸びる方向に順に接続されたような構成、換言すれば、1のエアーバッグを帯の延びる方向に複数の小空間に順に区切られて形成されたような構成を有する。その小容積のエアーバッグとしては、第1のエアーバッグ45と第2のエアーバッグ47とがあり、図示のごとく、基本的に第1のエアーバッグ45が順に配列されている中に、適宜、第2のエアーバッグ47が配置されているような構成である。
第1のエアーバッグ45は、内部に空気室のみが形成されている通常のエアーバッグである。一方、第2のエアーバッグ47は、内部に空気室とウレタン室との2室が形成されており、ウレタン室には発泡ウレタン49が組み込まれており、さらに、ウレタン室の表面にはエアーが通過可能な空気孔が設けられているエアーバッグである。このような第2のエアーバッグ47は、気温が上昇あるいは低下したり気圧が低下した場合等、環境が変化した場合にも体積を一定に保つことができるという機能を有するものであるが、この具体的な作用については後述する。
【0028】
エアーバッグ部43は、このように複数の第1のエアーバッグ45及び第2のエアーバッグ47を有するが、これらの各空気室は各々連通しており、エアーバッグ部43の全体として、図示のごとく各々1のエアー注入口51及びエアー排出口53が設けられており、これらからエアーが注入、あるいは、排出される。
【0029】
このようなエアーバッグ部43を有する側部巻回用エアーバッグ41を段積みされたコードリール70に巻き付けてエアー注入口51よりエアーを注入すると、例えば図5(A)に示すように各エアーバッグ45,47がコードリール70の側周面を取り囲むように配置される。そして、同じく図5(A)に示すように、側部巻回用エアーバッグ41がコードリール70と外箱2の側板14,16との間を埋めるような状態となる。
【0030】
図4(A)に示した側部巻回用エアーバッグ41aは、比較的径の大きなコードリールを収容するのに好適な側部巻回用エアーバッグであるが、径の小さなコードリールを収容する場合には、例えば図4(B)に示すような側部巻回用エアーバッグ41bを用いるのが好適である。
図4(B)に示す側部巻回用エアーバッグ41bは、図4(A)に示した側部巻回用エアーバッグ41aと比較して、容積が大きいエアーバッグ45b、47bを数を少なくして配置し、エアーバッグ部43b全体の長さも短くした構成の側部巻回用エアーバッグである。
このような構成の側部巻回用エアーバッグ41bをコードリールに巻くと、図5(B)に示すように、1つずつのエアーバッグ45b、47bの容積(断面積)が大きいためにエアーバッグ部43の厚みは厚くなる。従って、同じ大きさのコードリール用コンテナ1の外箱2に対して、径の小さいコードリール70bを収容することができる。すなわち、径の小さいコードリール70bを収容した場合にも、相対的に広がったコードリール70bと外箱2の側板14,16との間隔を適切に埋めることができる。
【0031】
このように、側部巻回用エアーバッグ41のエアーバッグ部43の長さ、及び、エアーバッグ部43を構成するエアーバッグ45、47の大きさ等は、コードリール用コンテナ1の外箱2のサイズと、収容対象のコードリール70の径に応じて適宜決定すればよい。
換言すれば、側部巻回用エアーバッグ41のエアーバッグ部43の長さ、及び、エアーバッグ部43を構成するエアーバッグ45、47の大きさ等を適宜変更することで、同一のコードリール用コンテナ1の外箱2に対して、任意の径のコードリール70を収容することができる。
【0032】
ここで、エアーバッグ部43の発泡ウレタン49が組み込まれている第2のエアーバッグ47の作用について説明する。
発泡ウレタン49が組み込まれている第2のエアーバッグ47に適度なエアーを注入した時、すなわち通常時には、第2のエアーバッグ47のウレタン室内に組み込まれている発泡ウレタン49は、エアー注入前の約50%の容積に圧縮される。
そのような状況で、コードリール用コンテナ1が置かれている環境の例えば気温が上昇したり気圧が低下する等すると、第2のエアーバッグ47の空気室内のエアーが膨張するが、エアーが膨張した分だけウレタン室内の発泡ウレタン49は圧縮される。また、同時に、ウレタン室内の表面材に設けられた空気孔からエアーが排出される。
また、通常時から気温が低下する等した場合には、空気室内のエアーが収縮した分だけ、前記空気孔からエアーが吸収される。
【0033】
その結果、気温が高くなったり気圧が低下した場合に、空気室内の過剰な内部圧力をウレタン室で吸収することができ、エアーバッグ本体が破裂するのを防ぐことができる。そしていずれの場合にも、エアーバッグの体積を略一定に保つことができ、環境が変化した場合にもエアーバッグとしての機能を維持し続けることができる。
相互に空気室が連通している第1のエアーバッグ45及び第2のエアーバッグ47を有する本実施形態の側部巻回用エアーバッグ41のエアーバッグ部43においては、このような構成の第2のエアーバッグ47を適当な間隔で配置しておくことによりエアーバッグ部43全体として第2のエアーバッグ47の作用の効果を享受することができる。すなわち、エアーバッグ部43全体として、環境が変化した場合にもその破損が防止され、また、常に体積を一定に保つことができ、したがって、常にコードリール70の側部を適切に被覆して外箱2の中でその位置を固定し、また、振動や衝撃から守ることができる。
【0034】
側部巻回用エアーバッグ41には、エアーバッグ部43の両端にバッグル57,59が設けられており、これによりコードリール70に巻き付けられた側部巻回用エアーバッグ41のエアーバッグ部43の両端が掛留される。この状態について図6(A)及び図6(B)を参照して説明する。
側部巻回用エアーバッグ41のエアーバッグ部43をコードリール70に巻き付ける際には、側部巻回用エアーバッグ41の一方の端部に設けられた端布55を側部巻回用エアーバッグ41の他方の端部のエアーバッグ部43の内側に来るように配置して、エアーバッグ部43の両端をバッグル57,59により掛留する。
このような状態で側部巻回用エアーバッグ41のエアーバッグ部43をコードリール70に締め付けると、端布55はコードリール70とエアーバッグ部43との間に密着して保持され、エアーバッグ部43の両端の接続部においてコードリール70を完全に被覆することができる。従って、この部分からゴミやチリ等がコードリール70の内部に侵入するのを防ぐことができる。また、バッグル57,59により側部巻回用エアーバッグ41のエアーバッグ部43をコードリール70に装着する際に、バッグル57,59によりコードリール70を傷つけるのを防ぐことができる。
【0035】
衝撃吸収性エアーバッグ4の上部被覆用エアーバッグ42は、側部巻回用エアーバッグ41が装着されて外箱2に収容されたコードリール70の上部を保護するエアーバッグである。
上部被覆用エアーバッグ42は、図4(C)に示すように、図4(A)及び図4(B)に示す側部巻回用エアーバッグ41a,41bに対して、端布55及びバッグル57,59を具備せず、エアーバッグ部43のみを有するような構成である。すなわち、上部被覆用エアーバッグ42は、第1のエアーバッグ45c及び第2のエアーバッグ47が適宜連続して配置されており、これらに対してエアー注入口51c及びエアー排出口53cよりエアーが注入及び排出される構成である。そして、その全体の平面形状が、コードリール用コンテナ1の外箱2の平面形状に合うように形成されており、外箱2の内部空間18に収容されたコードリール70の上部と上蓋20との間に載置される。
【0036】
このような構成の外箱2及び衝撃吸収性エアーバッグ4を用いて段積みされた複数のコードリール70を収容すると、すなわち、段積みされた複数のコードリール70を衝撃吸収性エアーバッグ4で被覆保護した状態で外箱2に収容すると、最終的には図7に示すように、収容物たるコードリール70がコードリール用コンテナ1に収容されることとなる。
すなわち、少なくとも最下段のコードリール70は、そのリール中心孔71が外箱2の底板12に設けられたリール中心孔受け突起17に嵌合されて位置が決められ、その上に順次コードリール70が段積みされる。突起17の高さは、特に限定されないが、最下段のリールの高さの好ましくは0.2〜2倍、より好ましくは0.5〜1.0倍である。前記の範囲内にあることにより、リールの位置ずれがなく、また作業性にも優れたものとなる。
【0037】
段積みされたコードリール70に対してエアー注入前の側部巻回用エアーバッグ41を巻きつけ、外箱2の側板14,16を設置した後、側部巻回用エアーバッグ41にエアーを注入することにより、コードリール70の周囲は側部巻回用エアーバッグ41により被覆保護された状態となり、段積みされたコードリール70は外箱2の側板14,16に対して位置が固定される。また、段積みされた複数のコードリール70は、強固に同心状態に維持される。また、側部巻回用エアーバッグ41によりゴミやチリ等からもコードリール70は保護される。
その後、コードリール70の上部に上部被覆用エアーバッグ42を載置し、上蓋20を閉じることにより、コードリール70はコードリール用コンテナ1に収容される。
【0038】
このように、本実施形態のコードリール用コンテナ1においては、側部巻回用エアーバッグ41及び上部被覆用エアーバッグ42により段積みしたコードリール70を保護しているので、電子デバイスを梱包したコードリール70について振動や衝撃を著しく低減した状態で搬送を可能にしており、またゴミやチリ等からもコードリール70は保護され、そのようなコードリールを適切に搬送することができる。
また、ダンボール等を紙の梱包部材を使用していないので、紙屑等が電子部品に悪影響を与えることもなく、電子部品を梱包したコードリール70を安全に搬送することができる。
また、段積みしたコードリール70を一体的に側部巻回用エアーバッグ41で梱包でき、それが外箱2に収容された状態で搬送することができるため、従来のようなコードリール70の個包装とは異なり、効率よく作業性高く搬送を行うことができる。
また、回収型の組立式コンテナを用いているので、環境にも優しい循環型の搬送を行うことができる。
【0039】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々に改変することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】図1は、本発明の一実施形態のコードリール用コンテナの外箱の分解斜視図である。
【図2】図2は、図1に示す外箱の側板とパレットとの取付構造を示す分解斜視図である。
【図3】図3は、図1に示す外箱の内部空間に収容される内部緩衝材としての衝撃吸収性エアーバッグの説明をするための図である。
【図4】図4は、本実施形態のコードリール用コンテナの衝撃吸収性エアーバッグを示す図であり、図4(A)は大径のコードリールを収容するのに適した側部巻回用エアーバッグ(エアーベルト)を示す図であり、図4(B)は小径のコードリールを収容するのに適した側部巻回用エアーバッグ(エアーベルト)を示す図であり、図4(C)は、上部被覆用エアーバッグを示す図である。
【図5】図5は、図4に示す側部巻回用エアーバッグ(エアーベルト)によりコードリールを巻回して外箱に収容した状態を模式的に示した図であり、図5(A)は大径のコードリールを大径用の側部巻回用エアーバッグで巻回して外箱に収容した状態を上方から見た図であり、図5(B)は小径のコードリールを小径用の側部巻回用エアーバッグで巻回して外箱に収容した状態を上方から見た図である。
【図6】図6は、側部巻回用エアーバッグの端部の掛留方法を模式的に示す図であり、図6(A)は掛留前の側部巻回用エアーバッグの両端及び端布の状態を示す図であり、図6(B)は側部巻回用エアーバッグの両端を掛留した状態を示す図である。
【図7】図7は、本実施形態のコードリール用コンテナにコードリールが収容されている状態をコードリール用コンテナの側面方向から見た模式図である。
【符号の説明】
【0041】
1…コードリール用コンテナ
2…外箱
8…パレット
10…リフト用孔
12…底板
13…底板緩衝材
14…第1の側板
15…パネル
16…第2の側板
17…リール中心孔受け突起
18…内部空間
19…リール中心孔受け突起通過用穴
20…上蓋
21…補強材
22…上止め金具
24…下金具
26…係止片
28…垂直溝
30…水平溝
32…側端金枠
34…スライド溝
36…帯状金具
38…回動用突起
4…衝撃吸収性エアーバッグ
41…側部巻回用エアーバッグ(エアーベルト)
42…上部被覆用エアーバッグ
43…エアーバッグ部
45…第1のエアーバッグ
47…第2のエアーバッグ
49…ウレタン
51…エアー注入口
53…エアー排出口
55…端布
57、59…バッグル
70…コードリール
71…リール中心孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パレットと、
前記パレットの上面に載置され、収容するリールのうちの少なくとも最下段のリールの中心孔が嵌合される突起が形成された床部材と、
前記パレット上に収容空間を形成するように前記パレットの周縁に沿って装着される複数の側板と、
前記側板に囲まれる収容空間の上部開口を被覆する上蓋と、
前記収容空間に収容されるリールの側部に巻回されて、当該リールと前記側板との間隙を埋める側部巻回用エアーバッグと、
前記収容されるリールの上部に載置されて、当該リールと前記上蓋との間隙を埋める上部緩衝部材と
を有するリール用コンテナ。
【請求項2】
前記突起の高さが、前記最下段のリールの高さの0.2〜2倍であることを特徴とする請求項1に記載のリール用コンテナ。
【請求項3】
前記側部巻回用エアーバッグは、
複数のエアーバッグが帯状に連結された構成のエアーバッグ部と、
前記エアーバッグ部の両端を掛留する掛留部材と、
前記エアーバッグ部の両端の前記掛留部の内側を被覆する布部材と
を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のリール用コンテナ。
【請求項4】
前記エアーバッグ部は、空気室のみを有する第1のエアーバッグと、空気室と発泡ウレタンが組み込まれたウレタン室との2室を有する第2のエアーバッグとを有することを特徴とする請求項3に記載のリール用コンテナ。
【請求項5】
前記上部緩衝部材は、エアーバッグであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のリール用コンテナ。
【請求項6】
前記上蓋は、前記収容空間からの圧力に対して蓋面が変形しないように当該蓋面に装着された補強部材を有することを特徴とする請求項5に記載のリール用コンテナ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−174295(P2008−174295A)
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−11639(P2007−11639)
【出願日】平成19年1月22日(2007.1.22)
【出願人】(000229117)日本ゼオン株式会社 (1,870)
【Fターム(参考)】