説明

ルーフモジュールのためのアダプタ支持体を有する自動車の車体、ルーフモジュールのためのアダプタ支持体、及び当該自動車の車体の製造方法

本発明は、ルーフを支持するフレーム(13)を有する自動車の車体であって、当該フレーム(13)上に、天窓、スライディングルーフ、ルーフ開口システム及びルーフモジュールの変形形態を収容するためのアダプタ支持体(7)が配置され固定される、自動車の車体と、本発明による自動車の車体への装着に適したアダプタ支持体(7)とを提案する。本発明は、対応する製造方法をさらに提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルに記載の、ルーフを支持するフレームを有する自動車の車体であって、当該フレーム上に、天窓、スライディングルーフ、ルーフ開口システム及び/又はルーフモジュールの変形形態を収容するためのアダプタ支持体が載せられて固定される、自動車の車体と、本発明による自動車の車体への組み込みに適したアダプタ支持体とに関する。本発明はさらに、自動車の車体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
スライディングルーフ、日よけ、サンルーフ、日よけ/スライディングルーフ若しくはその他のルーフ開口システム及び/又はルーフモジュールの変形形態(略してルーフモジュール)を有して構成される車両は既知である。このような車両は、従来の標準的な車両に存在する簡単かつ閉鎖型の典型的には金属の標準的なルーフにより、従来の標準的な車両から区別される。例えば、ドイツ実用新案第8816505号において説明されているように、開放可能なルーフを有する車両において、該ルーフが、従来の閉鎖ルーフを開口して、所望のルーフモジュールを嵌め込むことによって、既に完成された車両から製作される。そこで説明されている自動車のスライディングルーフは2つのフレーム、すなわち溶接フレームとねじ止め式フレーム(Einschraubframe)とを備える。ここで、スライディングルーフは、第2のフレーム、すなわちねじ止め式フレーム内で固定され、当該ねじ止め式フレーム自体は、溶接フレームの中間領域内で同様にねじ締めされる。第1のフレーム、すなわち溶接フレームは、したがってねじ止め式フレームと共にルーフモジュールを収容し、既に存在するルーフ外板におけるこのために特に設けられたルーフ開口内において、残存するルーフ外板と溶接される。
【0003】
しかし、それぞれのルーフモジュールを自動車に組み込むと共に固定するこの方法は、現在の製造の観点からすれば欠点を有する。
【0004】
複数の欠点のうちの1つは、(現在の技術水準では慣例であるように)いわば付加的に嵌め込まれるルーフモジュールが、モジュールと共に同時に同様に必要とされるルーフモジュール開口装置及び固定装置と、当該固定装置に伴って必要とされる空間とのために、運転手及び乗客のための頭上の空間が、従来の閉鎖型の車両ルーフを有する同様の車両の型と比べて制限される事態をもたらすことにある。
【0005】
さらなる欠点は、望ましくない且つ絶対に回避されるべき水、例えば雨水又は水しぶきの浸入に対して、ルーフモジュールを車両の外被に対して密閉するために、車両の内部に、特別かつ部分的に費用かかり且つ空間を必要とする構成上の措置を取らなければならないことにある。しかし、この措置及びその特別に必要とされる空間は以下のことにほとんど由来する。すなわち、後の、つまり実際の車両の組み立ての終了後に実施されるルーフ開口システム/ルーフ開口の変形形態の嵌め込みにおいて、構成上、措置が付加的であることが問題であり、当該措置は既に製造されている車両において実施され、そのため、組み込まれるルーフ開口システムは、対応する費用を伴う具体的に直面するはずである構成上の基本条件に適応されなければならないということである。
【0006】
当初は従来の閉鎖型の車両ルーフ内にルーフモジュールを付加的に組み込む上記の方法のさらなる欠点は、従来の車両のルーフ外板は、ルーフモジュールを嵌め込むために単に開口が設けられるだけであり、ここで必要とされる開口装置、密閉装置及び固定装置の全てを含めた組み込まれるルーフモジュールの追加の重量を確実に支持するために必要とされる安定性をそれ自体では通常は有しないことにある。
【0007】
むしろ、従来の板金ルーフでは、改造措置及び組み込み措置のために、措置を行う前の無傷の状態において存在する、特にねじりに対する必要な剛性が失われてしまう。この欠点を取り除くために、しばしば(同様に付加的に)ルーフモジュールの追加のブラケットが設置され、当該ブラケットは、例えば車両のピラー対の上でルーフモジュールを直接又は間接的に支持するのに役立つ。しかし、この追加の支持もコストと作業時間がかかる。
【0008】
一般的に、付加的に組み込まれるか、取り付けられるか又は変更される車両構成部品、及びひいては上記で説明された方法で付加的に組み込まれるルーフモジュールにおいては、付加的な組み込みは、適応させるための費用、変形のための費用、製造費用、作業費用及び必要な時間がかなり多くかかると考えられており、これは最終的に欠点として把握される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明の課題は、上記で説明された現在の技術における問題点を除去するようにした、自動車の車体を提案することであり、当該自動車の車体は、ルーフ構成に関して構成上の自由度が高いことを特徴とし、特に、既存の自動車の車体の製造プロセスにおいて、高い追加の費用を必要とせずコスト効率がよく、天窓、スライディングルーフ、ルーフ開口システム及び/又はルーフモジュールの変形形態(略してルーフモジュール)を有して構成されることができる。本発明のさらなる一態様は、この自動車の車体に適しているアダプタ支持体を提案することである。さらに、これに対応する製造方法が提供される。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この課題は、請求項1によるルーフを支持するフレームとアダプタ支持体とを有する自動車の車体、及び請求項2による、本発明による自動車の車体のためのアダプタ支持体によって解決される。本発明による課題は、さらに、請求項8によるアダプタ支持体を有する自動車の車体の製造方法によって解決される。
【0011】
従って、本発明は、少なくとも2対のピラー(例えばAピラー、Bピラー及びCピラーのうちから2つずつ)を有する自動車の車体を提案し、当該ピラーは、自動車の長手(縦)方向に延在する2つの構造構成部品と、車両の横(車幅)方向に延在する2つの構造構成部品とによって互いに接続してルーフ支持フレームを構成し、アダプタ支持体は、ルーフ支持フレーム上に載せられて、当該ルーフ支持フレームに固定される。アダプタ支持体は、天窓、スライディングルーフ、ルーフ開口システム及び/又はルーフモジュールの変形形態(略してルーフモジュール)を収容するのに役立つ。
【0012】
本発明による自動車の車体は有利には、天窓、スライディングルーフ、ルーフ開口システム及び/又はルーフモジュールの変形形態のためのアダプタ支持体が、上述したモジュールのうちの少なくとも1つを収容するために十分な安定性を有することによって使用可能であることを特徴とする。これと共に、既に工場において、非常に詳細に設計され、特定の使用目的のために構成上の細部にわたって作り上げられ、且つこのために意図され、対応して設計され、構成上の細部にわたって構成されている装置であって、ルーフモジュールを車体に収納する、装置が存在する。この装置は、それぞれの車体の型においてそれぞれ予期される構成上の基本条件及び機械的基本条件に対応して既にあらかじめ詳細に計算され、最適化されることができる。
【0013】
有利には、本発明による自動車の車体のアダプタ支持体が、その構成上の実施の形態及び設計によって、重いルーフモジュール、例えばガラスのスライディングル−フも十分安定して収容し、アダプタ支持体が固定されるルーフを支持するルーフ支持フレームにわたって又はルーフ支持フレームを用いて車体に対して支られることができることを意味する。工場において既に設計段階で考慮され準備される、アダプタ支持体に収納されるルーフモジュールを支持するこの方式は、現在の技術水準から既知である方法と比較すると高さにおいて構成上の空間がはるかに小さくて済む支持構成を可能にし、これは有利には、運転手及び同乗する乗客のための頭上の空間をより大きくすることができる。
【0014】
アダプタ支持体を有する本発明による自動車の車体が工場において製造されることのさらなる利点は、ルーフモジュールの縁において入り込む湿気、ゴミ又はそのような物に対して車体の内部を密閉するための装置を、従来の方法における場合よりも、目的に適った状態で、問題点を調整するようにして、コスト効率がよく、且つ少ない製造費用及び時間で形成することができることにある。
【0015】
さらに、本発明による自動車の車体のアダプタ支持体内に嵌め込まれるルーフモジュールにあっては、有利には、機械的要件がより少ない。この理由は、アダプタ支持体内に嵌め込まれるルーフモジュールにあっては、車両を運転している際の揺れと捩り力又は捻り力とがより少ないことであり、それは、ルーフを支持する車両フレームに安定して固定されるアダプタ支持体へのルーフモジュールの同様の安定した接続により、従来の固定されるルーフモジュールよりも、大きな揺れと捩りとがより少ないからである。
【0016】
これは、同様に有利には、アダプタ支持体内に嵌め込まれるルーフモジュールが、高さにおける構成領域を節減するようにして車体に一体化されることができ、同時に縁部における接続は結果的に、かなり狭めることが可能であり、より詳細に言えば場所をとらないようにすることが可能であり、これは最終的に、有利には、他の目的のために利用可能な面の使用をかなり少なくすることができ、運転手又は乗客のための頭部の領域におけるキャビンの内部容積が大きくなるという結果をもたらす。
【0017】
本発明による自動車の車体へのアダプタ支持体の設置は、アダプタ支持体が構造構成部品の載置フランジ上に固定される場合、特に簡単に設置できる。
【0018】
本発明による自動車の車体は、構造構成部品及びアダプタ支持体が共に中空室を画定する場合に、特に高い安定性を有する。
【0019】
本発明による自動車の車体は、アダプタ支持体が複数の同じピラーを互いに接続する場合に、特に高い安定性を有する。
【0020】
本発明による課題は、上述したように本発明による自動車の車体への組み込みに適しているアダプタ支持体によって同様に解決される。このアダプタ支持体は支持構造体にかかるものであって、当該支持構造体を上述の方法で本発明による自動車の車体に組み込む際、全ての上述した利点は協働して欠けることなく得ることができる。
【0021】
本発明によるアダプタ支持体の有利なさらなる構成は、それぞれの従属請求項の主題である。
【0022】
好ましい一実施の形態では、アダプタ支持体は、基本的にフレーム構造として形成される。
【0023】
アダプタ支持体のフレーム構造としての実施形態においては、アダプタ支持体が、そのフレーム構造によって向上した安定性と改善された剛性とを有し、当該フレーム構造は、一方ではルーフモジュールのルーフ支持体または車両への固定、及び他方では車両自体の自身のルーフ領域における安全性にとって有益であるという点で有利である。さらに、フレーム構造として形成されるアダプタ支持体によってキャビンの剛性が付加的に向上し、したがって乗客に対する改善された安全性を達成することができる。
【0024】
アダプタ支持体は、さらなる好ましい一実施の形態において、有利には一体的に形成されることができ、これは、比較的シンプルにでき、したがってコスト効率が良い態様での製造を可能にする。さらにこの実施の形態においては、必要とされる構成部品の数は有利には、その必要最低限の数にまで減らされ、これは、必要とされる保管と製造とにかかる費用及びコストを減少させる。この好ましい実施の形態のさらなる利点は、最終的な接続と、このために必要な個々のフレーム部分間の固定手段とを省くことによって、特にシンプルで、正確に取り付けられ、サイズ的にも安定しており、且つコスト効率が良い製造が可能である。
【0025】
自動車の車体の構造構成部品に対するアダプタ支持体の簡単な公差補正は、本発明の有利なさらなる実施形態により、アダプタ支持体が複数の塞ぎ板を備え、塞ぎ板が載置フランジ上に固定するためのフランジを備える場合に得ることができる。さらにこれによって、アダプタ支持体の製造の際に切り屑を少なく保つことができ、これは、アダプタ支持体内の開口が塞ぎ板の組み立てによって得られるからである。個々の塞ぎ板からのアダプタ支持体の組み立てはさらに、アダプタ支持体が設置の際に特に簡単に取り扱われるという利点を有する。典型的なアダプタ支持体と比較すると、塞ぎ板は変形に対してさらに高い安定性を有し、また輸送が容易である。したがって、塞ぎ板を備えるアダプタ支持体は、特に、良いコスト効率で製造することができ、簡単に輸送及び設置できる。
【0026】
本発明の他の有利なさらなる態様によれば、アダプタ支持体のさらなる簡素化に寄与することは、塞ぎ板が直線状に細長い形状を有し、それぞれが複数の構造構成部品のうちの1つと接続することである。
【0027】
エルボー及びアダプタ支持体を製造するためのそのようなものは、本発明の他の有利なさらなる態様によれば、塞ぎ板をフレーム状に相対させて配置する場合には用いずに済むことが可能である。これによって、例えば、天窓を収容するために設けられるアダプタ支持体を4つの直線的な塞ぎ板から組み立てることができる。
【0028】
本発明によるさらなる好ましい一実施の形態では、アダプタ支持体は、溶接、接着又は圧縮接合によって、自動車と接続される。
【0029】
この実施の形態は、アダプタの支持体内へ嵌め込まれるルーフモジュールの、特に簡単かつ製造費用の少ない、接続をもたらす装着態様を特徴とする。したがってこれは、車両の組み立ての際に、アダプタ支持体の、自動車のルーフを支持する支持フレームへの自動的な嵌め込み、及び後続する、アダプタ支持体の、ルーフを支持する支持フレームとの同様に自動的な溶接又は接着を実施するのに特別な費用がからないことを意味する。アダプタ支持体の自動車との接続のさらなる利点は、例えば車両ルーフ又はそのようなものが損傷した後に、比較的簡単な態様でアダプタ支持体をその後に外し出すことができることにある。
【0030】
さらに、溶接は、流れ作業において溶接機械によって実施することができる。したがって、有利には、相応する節約可能性を利用して、ここで必要とされる作業工程を流れ作業的な生産プロセス内に組み込むことができる。
【0031】
さらに、アダプタ支持体の自動車との溶接は、例えば溶接された構成部品の熱挙動に関する、溶接の継ぎ目の温度による拡大、及び水密性のような、接合方法として溶接を利用する当業者にとって既知である全ての利点を有する。しかし、本発明は、上記で説明した溶接接続には限定されない。アダプタ支持体を車体に接着することも、それぞれ他の当業者にとって好ましい方法と同様に可能である。
【0032】
本発明によるアダプタ支持体のさらなる好ましい一実施の形態は、アダプタ支持体が、天窓、スライディングルーフ、サンルーフ、ルーフ開口システム及び/又はルーフモジュールの変形形態(略してルーフモジュール)のための固定装置を備え、当該固定装置は、それぞれアダプタ支持体内に嵌められるルーフモジュールが他のルーフモジュールと交換可能であるように形成されることを特徴とする。
【0033】
この実施の形態の利点は、自動車の購入者が自動車の購入の時点で既に、後年に自分の自動車にどのようなルーフを形成したいかについて決心している必要はないということにある。したがってこの実施の形態では有利には、一度選択されたルーフモジュールが特別な費用をかけずに他のルーフモジュールと交換可能である。そのように得られるこれまで知られていなかった柔軟性によって、既に獲得している顧客を自身のブランドにさらに引き付けることができ、さらに、新しい顧客をより容易に獲得することができる。
【0034】
さらに、例えばアダプタ支持体とルーフモジュールとの間のねじ込みによる接続、てこ機構又は接着接続も用いることができ、それによって、特別な設置費用又は取り扱い費用なしでの交換が可能になる。
【0035】
したがって、本発明によるアダプタ支持体を有して構成される車両の所有者は、例えばより日が当たる、すなわちより暑い地域へ移った後に、簡単な日よけを面積の大きい幅広く開くルーフ開口システムに交換することができる。さらに、アダプタ支持体内のルーフモジュールのための簡単に外せる適切な固定装置を用いて、複数のルーフモジュールを季節に応じて互いに交換することが可能である。この点に関して考えられることは、例えば夏に開くことができるルーフモジュールにおいて、冬に除雪装置を設けることができる面積の大きいガラス張りのルーフ又は日よけを用いることである。
【0036】
本実施の形態のアダプタ支持体においてルーフモジュールが交換可能であることは、損傷したルーフモジュールが、費用のかかる修理の代わりに、より少ない時間とコストとで新しいモジュールに交換される場合においてまた有利である。
【0037】
更に好ましい一実施の形態は、本発明によるアダプタ支持体の上方に開いている中間領域は、板金ルーフの嵌め込み及び相応する固定によって閉鎖可能であることを可能にする。
【0038】
個々のルーフモジュールが互いに交換可能であることの説明において既に説明したように、この実施の形態においても、例えば車両の購入の際には、はるかにコスト効率が良く、車両に設けられるアダプタ支持体に嵌め込まれる従来の板金ルーフで十分であり、1年後になってようやく、アダプタ支持体に固定されている簡単な板金ルーフをより高価なルーフモジュールへと交換することによって車両の価値が高められるという利点がある。
【0039】
さらに、この実施の形態の本発明によるアダプタ支持体が板金ルーフによって有利には閉鎖可能であることは、車体がその製造プロセスにおいてアダプタ支持体の接続に対して準備されるか、又はそれに対して簡単な板金ルーフの接続に対して準備されるかという識別を車両の型の製造の際に行う必要を省くことができる。一度アダプタ支持体を有して構成された車体が、続けて任意選択的にさらなる費用をかけずに、そのルーフ領域内において板金ルーフによって閉鎖されるか、又はそれに対してルーフモジュールを有して構成されることが可能であることは、有利には、車両の製造及び個々の車両の型の製造(ルーフモジュールを意図しているか否かにかかわらず)における部品の多様さを低減し、使用される部品、工具の数をより少くすることを可能にする。
【0040】
本発明による課題は、さらに本発明による自動車の車体の製造方法によって解決され、当該方法は、自動車の車体を本発明によるアダプタ支持体に接続するステップを含む。
【0041】
上記で説明した請求項の事項の全ては、本発明による方法によって、協働作用により欠けることなく得られるため、これに関係する上記の説明が参照される。
【0042】
アダプタ支持体は、自動車の車体を補強することに寄与することができ、それは、塞ぎ板が2つの平行なピラーを接続しているからであり、その際、まず車両の長手(縦)方向に対して交差する方向に配置される塞ぎ板のうちの1つがそれぞれの構造構成部品と接続され、次いで、車両の長手(縦)方向に延在する塞ぎ板が、車両の長手(縦)方向に対して交差する方向に配置される塞ぎ板に部分的に重なるようにして車両の長手(縦)方向に延在する構造構成部品上に固定される。それと共に、車両の長手(縦)方向に対して交差する方向に配置される塞ぎ板は、自動車の車体と直接接触する。
【0043】
自動車の車体の安定性をさらに向上させることに寄与することに関しは、車両の長手(縦)方向に対して交差する方向において、互いに正対して配置されるピラーに第2の塞ぎ板が接続され、車両の長手(縦)方向に延在する構造構成部品と部分的に重なる。
【0044】
本発明は、2つの例示的な実施形態を参照して、以下で説明される図面に基づいてより詳細に説明される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0045】
図1に示されている従来の車両ルーフ1は、ルーフ外板3と、ルーフモジュールのための開口5とを備える。付属する自動車(詳細に図示せず)の車両の長手(縦)方向にXが付されている。図1において、3つの切断部Ib−Ib、IIb−IIIb及びIIIb−IIIbが、切断線によって示唆され、その線に接して示されている矢印は、それぞれの断面視野方向を示す。当該断面部は、後続する図において以下で詳細に説明される。
【0046】
図1に示されている車両ルーフ1は、ルーフ外板上に、ルーフモジュールのための対応する開口5が設けられているが、ルーフモジュールはこの開口内にまだ固定されていない状態にある。図1においてよく分かることは、ルーフ外板(ルーフィング)3は薄い通常の車両ルーフシートであり、当該車両ルーフシートは、ここで示されている例示的な実施形態においては、その中間領域においてさらなる支持要素又はルーフ構造要素によって補強されない。
【0047】
図2において、図1において既に用いられた符号は、図1において同じ符号で示されている構成部品と同じか又は同じ作用を有する構成部品を示す。このことは、図1及び図2以外に他の図においても当てはまる。与えられている符号は、この図面の全ての図において、それぞれ同様の構成部品に付される。
【0048】
図2は、本発明によるアダプタ支持体7の例示的な一実施形態を示し、当該アダプタ支持体7は、自身の中間領域においてルーフモジュールのための開口9を有する。本実施形態のアダプタ支持体7は、一体的なルーフ要素として構成され、当該ルーフ要素は、対応する自動車(ここでは詳細に図示せず)の、ルーフを支持するフレーム構造(同様にここでは詳細に図示せず)上に隙間なく載せられるように適合しており、それによって、この自動車の車体と溶接される。
【0049】
図2において、(図1から上記で既知である手法と同様に)3つの切断部分I−I、II−II及びIII−IIIが、それぞれ矢印によって示される断面に対する視野方向と共に示されている。該断面部は、後続する図において以下で詳細に説明される。
【0050】
図3は、ルーフを支持するフレーム13上に本発明によるアダプタ支持体7を設置又は取り付ける時点における、自動車11の上方車体部分を概略的に示している。矢印Mは、アダプタ支持体7が上から下へ向かって、ルーフを支持するフレーム13上に載置される状態を示す。隙間なくアダプタ支持体7を配置した後、当該アダプタ支持体は、ルーフを支持するフレーム13と例えば溶接されることができる。
【0051】
図4aは、図2においてラインI−Iに沿う断面の矢視に従う概略的な断面形態を示す。図4aにおける描写のより良い理解のために、図4aを観察する際、同時に図4bも援用することが有効である。図4aは、車両ルーフの前方領域における本発明によるアダプタ支持体7、前方防護パネル(Frontschutzscheibe)15、トリムパネル要素17、ルーフ構造要素19、及びアダプタ支持体7内に収まっているガラスルーフ又はガラス板21、及び接着材23を断面で示しており、当該接着材によって、ガラスルーフ21はアダプタ支持体7に接着され、アダプタ支持体7及び/又はルーフ構造要素19は前方防護パネル15に接着される。
【0052】
上記に対して図4bは、ルーフ外板3を有し、アダプタ支持体のない車両の従来の構成を示す。図4a及び図4bの両方を比較してよく分かることは、図4aで示されている断面によれば、図4aにおけるアダプタ支持体7は、この実施形態において一体化されているアダプタ支持体7であることである。
【0053】
図5aは、図2においてラインII−IIに沿う断面の矢視に従う概略的な断面形態を示し、図5bは、図1のIIb−IIbに沿う概略的断面を示す。上記において既に図4a及び図4bで説明したように、図5aと図5bとの比較することにより、アダプタ支持体7の構成の理解が容易となる。
【0054】
図5a及び図5bにおいては、ルーフレール25、車両の側方の外被27、側窓29を断面で示している。図5bにおいては、同様に示されているルーフ開口モジュール31がルーフ外板3にて支持されていることを非常に分かりやすく示されており、さらに、ルーフ開口モジュール31の注目すべき必要な組み込みのための深さと、それに伴う運転手又は乗客の頭上の空間の制限が見て取れる。
【0055】
一方、図5aにおいては、天窓33が示されており、当該天窓は安定しており、ルーフ外板3(図5aにおいては図示されていない)とは異なり、安定しているアダプタ支持体7にて支持されており、当該アダプタ支持体自体は、自動車の側方ルーフ構造要素35にて支持されている。天窓33は、図5aにおいては、接着材23によってアダプタ支持体7に固定されており、さらに、図示されている実施形態において、天窓33のアダプタ支持体7へのねじ込み接続37による代替の固定の可能性が示されている。
【0056】
図6aは、図2においてIII−IIIに沿う断面の矢視に従う概略的な断面形態を示し、図6bは、図1のIIIb−IIIbに沿う概略的断面を示す。上記において既に図4a及び図4b並びに図5a及び図5bにおいて説明したように、図6aと図6bとを比較することにより、アダプタ支持体7の構成の理解がより容易ならしめられる。
【0057】
図6a及び図6bにおいては、後方ルーフ構造要素39と、2つのトリムパネル要素41及び43とがそれぞれ示されている。さらに、図6bの従来の構成においても、図6aの本発明による実施形態においても、同じように構成されている車両ルーフ接続領域45が示されている。
【0058】
図4a、図4b、図5a、図5b、図6a及び図6bにおいて、特に、図4a、図4b又は図5a、図5b及び図6a、図6bのそれぞれの観察において共通してよく分かるように、本発明によるアダプタ支持体の既存の車体への嵌め込みが、このために必要な費用をほとんどかけずに可能である。したがって、図に示されている実施形態において、アダプタ支持体の収容のために自動車の車体を特別に適合させる必要はない。単に、断面Ib−Ib及びIIIb−IIIbにおいて示されているルーフ外板の支持が対応して短くされるか、又は切り取られるだけであり、それによって、本発明によるアダプタ支持体を可能な限り最適に車体に嵌め込むことが可能になる。しかし、そのように切り取ること又はそのように短くすることは、特筆すべき費用をかけずに自動化して実施できる。さらに、この作業工程自体は、車体の簡単な構成上の改造だけによって全く行わないことが可能である。したがって、本発明によるアダプタ支持体は、特筆すべき作業費用若しくは構成上の費用、又は財政上軽視できないようなコストをかけることなく既存の自動車の車体上に載せられて、当該車体に固定されるのに適している。
【0059】
ホルダ(Halter)、取手、ルーフレール、ヘッドカーテンの組み込み、前部と後部におけるフードまたは滴受(Fangnetz)の接続、及びさらなるそのような物のための、既知であり且つ既に認識されている組み込み手順は、従来の板金ルーフと、本発明によるアダプタ支持体の嵌め込みとの比較において同一とすることができる。
【0060】
このように、本発明は、まず、ルーフを支持するフレームを有する自動車の車体であって、当該フレーム上に、天窓、スライディングルーフ、ルーフ開口システム及び/ルーフモジュールの変形形態を収容するためのアダプタ支持体が載せられて固定される、自動車の車体と、本発明による自動車の車体への組み込みに適合しているアダプタ支持体とを提案する。本発明はさらに、対応する製造方法を提供する。
【0061】
図7は、ルーフを支持するフレーム13上に固定されるアダプタ支持体47を有する自動車の車体のさらなる一実施形態を示す。先の図に基づくアダプタ支持体7とは対照的に、図7において且つ後続図において示されているアダプタ支持体47は、4つの個々の塞ぎ板49、51、53、55から成る。
【0062】
図8は、図7に基づくアダプタ支持体47のラインVIII−VIIIに沿う断面図であって、自動車の車体の隣接領域を併せて示している。この断面図は、第1の実施形態の図4aに基づく断面図に対応する。ここで分かることは、アダプタ支持体47の塞ぎ板49は、フランジ63によって構造要素19の載置フランジ57上に直接固定され、構造要素19と共に中空室59を形成することである。
【0063】
図9は、図7に基づくアダプタ支持体47のラインIV−IVに沿う断面図であって、車両の長手(縦)方向に延在する塞ぎ板51が、これに対応する構造要素35上へ固定されていることを示している。図5aの実施形態において示されているのと同様に、天窓33は、アダプタ支持体47上に配置された接着材61上に載置されている。
【0064】
図10は、図7に基づくアダプタ支持体47のラインX−Xに沿う断面図であって、塞ぎ板のうちの1つの塞ぎ板53が、対応するルーフ構造要素39へ固定されていることを示している。この断面描写においては、第1の実施形態の図6aに基づく断面描写に対応する。ここでも、天窓33は、接着材761上に載置されている。
【0065】
図11は、図7に基づくアダプタ支持体47の互いに隣接している2つの塞ぎ板49及び51の接続部の拡大図である。ここで分かることは、走行方向をに延在する塞ぎ板51が、車両の長手方向と交差する方向に延在する塞ぎ板49上に部分的に重なって配置されることである。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】従来のルーフモジュールを収容するためのルーフ開口を有する従来の板金ルーフの概略斜視図である。
【図2】本発明によるアダプタ支持体の概略斜視図である。
【図3】本発明によるアダプタ支持体の車体への装着の上方概略斜視図である。
【図4a】組み込まれている状態の本発明によるアダプタ支持体の、図2において示されているラインI−Iに沿う概略断面図である。
【図4b】従来の車両ルーフの、図1において示されているラインIb−Ibに沿う概略断面図である。
【図5a】組み込まれている状態の本発明によるアダプタ支持体の、図2において示されているラインII−IIに沿う概略的な別の断面図である。
【図5b】従来の車両ルーフの、図1において示されているラインIIb−IIbに沿う概略的な別の断面図である。
【図6a】組み込まれている状態の本発明によるアダプタ支持体の、図2において示されているラインIII−IIIに沿う概略的な断面図である。
【図6b】従来の車両ルーフの、図1において示されているラインIIIb−IIIbに沿う概略的な断面図である。
【図7】塞ぎ板から成るアダプタ支持体を有する自動車の車体のさらなる一実施形態を示す図である。
【図8】自動車の車体の、図7に基づくラインVIII−VIIIに沿う断面図である。
【図9】自動車の車体の、図7に基づくラインIX−IXに沿う断面図である。
【図10】自動車の車体の、図7に基づくラインX−Xに沿う断面図である。
【図11】図7に基づくアダプタ支持体の2つの塞ぎ板の部分的に重なる領域の拡大図である。
【符号の説明】
【0067】
1 車両ルーフ
3 ルーフ外板
5 ルーフモジュールのための開口
7 アダプタ支持体
9 ルーフモジュールのための開口
11 自動車
13 ルーフを支持するフレーム
15 前方防護パネル
17 トリムパネル要素
19 ルーフ構造要素
21 ガラスルーフ
23 接着材
25 ルーフレール
27 車両の側方の外被
29 側窓
31 ルーフ開口モジュール
33 天窓
35 ルーフ構造要素
37 ねじ込み接続
39 ルーフ構造要素
41 トリムパネル要素
43 トリムパネル要素
45 車両ルーフ接続領域
47 アダプタ支持体
49、51 塞ぎ板
53、55 塞ぎ板
57 載置フランジ
59 中空室
61 接着材
63 フランジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2対のピラーを有する自動車の車体(11)であって、該ピラーは、自動車の長手方向に延在する2つの構造構成部品(35)と、車両の横方向に延在する2つの構造構成部品(19)とにより構成されるルーフ基礎フレーム(13)に接続されており、アダプタ支持体(7、47)が、前記ルーフ基礎フレーム(13)に接して固定されており、それによって、天窓(33)、スライディングルーフ、若しくはルーフ開口システム及び/又はルーフモジュールの変形形態を前記アダプタ支持体(7)内に収容することを特徴とする、自動車の車体。
【請求項2】
前記アダプタ支持体(7、47)は、前記構造構成部品(19、35)の載置フランジ(57)上に固定されることを特徴とする、請求項1に記載の自動車の車体。
【請求項3】
前記構造構成部品(19、35)及び前記アダプタ支持体(7、47)は共に中空室(59)を画定することを特徴とする、請求項1又は2に記載の自動車の車体。
【請求項4】
前記アダプタ支持体(7、47)は複数のピラーに相互接続することを特徴とする、請求項1ないし3のいずれか一項に記載の自動車の車体。
【請求項5】
自動車の車体(11)のルーフ基礎フレーム(13)上に載置されるアダプタ支持体(7、47)であって、該アダプタ支持体は、該ルーフ基礎フレーム(13)に固定され、天窓(33)、スライディングルーフ、若しくはルーフ開口システム及び/又はルーフモジュールの変形形態の収容に適していることを特徴とする、アダプタ支持体。
【請求項6】
該アダプタ支持体(7、47)は、基本的にフレーム構造として形成されることを特徴とする、請求項5に記載のアダプタ支持体。
【請求項7】
該アダプタ支持体(7、47)は、基本的に一体的に形成されることを特徴とする、請求項5又は6に記載のアダプタ支持体。
【請求項8】
該アダプタ支持体(7、47)は、複数の塞ぎ板(49、51、53、55)を備え、該塞ぎ板(49、51、53、55)は、載置フランジ(57)上に固定されるフランジ(63)を備えることを特徴とする、請求項5又は6に記載のアダプタ支持体。
【請求項9】
前記塞ぎ板(49、51、53、55)が直線状の細長い形状を有し、該塞ぎ板(49、51、53、55)のそれぞれが構造構成部品(19、35)のうちの1つと接続することを特徴とする、請求項8に記載のアダプタ支持体。
【請求項10】
前記塞ぎ板(49、51、53、55)はフレーム状に配置されることを特徴とする、請求項8又は9に記載のアダプタ支持体。
【請求項11】
該アダプタ支持体(7、47)は、溶接、接着又は圧力接合によって自動車の車体(11)と接続されることを特徴とする、請求項5ないし10のいずれか一項に記載のアダプタ支持体。
【請求項12】
該アダプタ支持体(7、47)は、前記ルーフ開口システム及び/又は前記ルーフモジュールの変形形態のための固定装置(37)を備え、該固定装置(37)は、それぞれ該アダプタ支持体(7、47)内に嵌められる前記ルーフ開口システム又は前記ルーフモジュールの変形形態が、他のルーフ開口システム又はルーフモジュールの変形形態と交換可能に形成されていることを特徴とする、請求項5ないし11のいずれか一項に記載のアダプタ支持体。
【請求項13】
該アダプタ支持体(7、47)の上方に開いている中間領域は、板金ルーフの嵌め込み及び固定によって閉鎖可能であることを特徴とする、請求項5ないし12のいずれか一項に記載のアダプタ支持体。
【請求項14】
請求項1に記載の自動車の車体の製造方法であって、自動車の車体の長手方向に延在する2つの構造構成部品と車両の横方向に延在する2つの構造構成部品とによって構成されるルーフ基礎フレームを、自動車の車体が有するAピラー、Bピラー及びCピラーのうちの少なくとも2つずつのピラーに接続して成る自動車の車体にアダプタ支持体を接続するステップを有する、自動車の車体の製造方法。
【請求項15】
車両の長手方向に対して交差する方向に配置される塞ぎ板のうちの1つをそれぞれの構造構成部品と接続し、次いで、車両の長手方向に延在する塞ぎ板を、車両の長手方向に延在する構造構成部品上に、車両の長手方向に対して交差する方向に配置される前記塞ぎ板と部分的に重なるようにして固定されることを特徴とする、請求項14に記載の自動車の車体の製造方法。
【請求項16】
車両の長手方向に対して交差する方向に、互いに正対して配置されるピラーに接続する第2の塞ぎ板が、車両の長手方向に延在する前記構造構成部品と部分的に重なることを特徴とする、請求項14又は15に記載の自動車の車体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図5a】
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【図5b】
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【図6a】
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【図6b】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2009−507708(P2009−507708A)
【公表日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−530360(P2008−530360)
【出願日】平成18年8月25日(2006.8.25)
【国際出願番号】PCT/EP2006/008326
【国際公開番号】WO2007/033747
【国際公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(506425295)ジーエム グローバル テクノロジー オペレーションズ,インク. (22)
【Fターム(参考)】