ループ接続された電子装置の異常検出方法及びループ接続された電子装置
【課題】ループ状伝送路にバイパス回路を介し接続された電子装置の異常検出方法に関し、電子装置が、ループ状伝送路からバイパスされたことを検出する。
【解決手段】ループ状伝送路(6)にバイパス回路(6−1〜6−N)を介し接続された各電子装置(1−1〜1−N)が、ループ状伝送路(6)のループイニシャライズ処理で、自己のアドレスを登録したポジショニングマップを受信し、自己のアドレスが登録されているか判定することにより、ループ接続された電子装置が、バイパス回路でループ伝送路からバイパスされたかを、判定する。
【解決手段】ループ状伝送路(6)にバイパス回路(6−1〜6−N)を介し接続された各電子装置(1−1〜1−N)が、ループ状伝送路(6)のループイニシャライズ処理で、自己のアドレスを登録したポジショニングマップを受信し、自己のアドレスが登録されているか判定することにより、ループ接続された電子装置が、バイパス回路でループ伝送路からバイパスされたかを、判定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、FC_AL等のループ伝送路に接続された電子装置が、ループ伝送路からバイパスされたことを検出するための電子装置の異常検出方法及び電子装置に関し、特に、ループ伝送路からバイパスされたことを検出して、故障解析を容易にするための電子装置の異常検出方法及び電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、上位装置と周辺装置との接続に、ループ伝送路が広く利用されている。例えば、ループ伝送路としては、FC_AL(Fibre Channel Arbitrated Loop)が、知られている。
【0003】
特に、上位装置に接続されたストレージシステムにおいては、ストレージコントローラと、多数の磁気ディスク装置とを、FC_ALで接続した構成が、広く利用されている。
【0004】
各磁気ディスク装置は、このループ伝送路に設けられたポートバイパス回路(PBCという)に接続される。このPBCは、各磁気ディスク装置を、ループ伝送路に接続するとともに、ストレージコントローラの指示により、接続された磁気ディスク装置をバイパスする(切り離す)。又、このループ伝送路とPBCは、バックプレーン(バックボード)に設けられ、磁気ディスク装置は、バックプレーンに、着脱可能に搭載される(例えば、特許文献1,2,3)。
【0005】
このようなバックプレーン上にポートバイパス回路(PBC)を持つFC_AL接続のストレージシステムでは、何らかの要因で、ループ上の磁気ディスク装置がバイパスされる事がある。例えば、コントローラからの問い合わせ、コマンドに対し、応答がない、応答時間が長い、又はエラーを返答しつづける等の場合には、コントローラは、その磁気ディスク装置が接続されたPBCをバイパス状態にし、その磁気ディスク装置を切り離す。
【特許文献1】特開2003−158526号公報
【特許文献2】特開2001−45035号公報
【特許文献3】特開2000−59414号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このようなバイパス状態となった要因を特定するためには,システム(コントローラ、伝送路)および磁気ディスク装置の障害の切り分けを行うため、双方を調査する必要がある。しかしながら,従来の技術では、コントローラは、磁気ディスク装置をバイパスしたことを認識しているが、磁気ディスク装置は、バックプレーン上でバイパスされた事を認識していなかった。
【0007】
このため、磁気ディスク装置は、その後の故障解析に必要な内部情報のロギング等を行うためのトリガが見出せず、磁気ディスク装置の調査において、バイパスされた原因の究明に、長時間を要する事が多かった。
【0008】
従って、本発明の目的は、ループ伝送路で接続された電子装置が、ループ伝送路からバイパスされたことを検出するための電子装置の異常検出方法及び電子装置を提供することにある。
【0009】
又、本発明の他の目的は、ループ伝送路で接続された電子装置が、ループ伝送路からバイパスされたことを検出し、故障解析に必要な情報の収集を行うための電子装置の異常検出方法及び電子装置を提供することにある。
【0010】
更に、本発明の更に他の目的は、ループ伝送路のプロトコルの規約を利用して、ループ伝送路で接続された電子装置が、ループ伝送路からバイパスされたことを検出するための電子装置の異常検出方法及び電子装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的の達成のための電子装置の異常検出方法の一実施の形態は、ループ状伝送路に、各々バイパス回路を介して接続された複数の電子装置の各々が、前記ループ状伝送路からの前記伝送路でのアドレスを登録するためのポジショニングマップフレームを受信し、前記受信したポジショニングマップフレームに、自己のアドレスを格納して、更新して、前記更新したポジショニングマップフレームを、前記バイパス回路を介し、ループ状伝送路に送信するループ構成を構築するステップと、前記ループ状伝送路を一巡して更新された前記ポジショニングマップフレームを受信するステップと、前記電子装置が、前記受信したポジショニングマップに、前記格納した自己のアドレスが存在するか否かを判定するステップと、前記受信したポジショニングマップに、前記格納した自己のアドレスが存在しないと判定した時に、前記電子装置が、前記バイパス回路により前記ループ状伝送路からバイパスされたと判断するステップとを有する。
【0012】
又、この目的の達成のための電子装置の一実施の形態は、ループ状伝送路に、バイパス回路を介して接続された電子装置において、前記ループ状伝送路からの信号を受信する受信回路と、前記バイパス回路に信号を送信する送信回路と、前記伝送路でのアドレスを登録するためのポジショニングマップフレームを受信し、前記受信したポジショニングマップフレームに、自己のアドレスを格納して、更新して、前記更新したポジショニングマップフレームを、前記バイパス回路を介し、ループ状伝送路に送信するループイニシャライズ処理を実行する制御回路とを有し、前記制御回路は、前記ループ状伝送路を一巡して更新された前記ポジショニングマップフレームを受信し、前記受信したポジショニングマップに、前記格納した自己のアドレスが存在するか否かを判定し、前記受信したポジショニングマップに、前記格納した自己のアドレスが存在しないと判定した時に、前記バイパス回路により前記ループ状伝送路からバイパスされたと判断する。
【発明の効果】
【0013】
ループ伝送路のループイニシャライズ処理で、自己のアドレスを登録したポジショニングマップを受信し、自己のアドレスが登録されているか判定するため、ループ接続された電子装置が、バイパス回路でループ伝送路からバイパスされたかを、既存のシーケンスを用いて、判定できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を、ループ伝送路を使用したシステム、電子装置、異常検出処理の第1の実施の形態、異常検出処理の第2の実施の形態の順で説明するが、本発明は、この実施の形態に限られない。
【0015】
(ループ伝送路を使用したシステム)
図1は、本発明のループ伝送路を使用したシステムの一実施の形態の構成図、図2は、そのバックプレーンの説明図、図3、図4は、図1のPBCの説明図である。図1は、システムとして、ストレージシステムを、ループ伝送路として、FC_ALを例に示す。
【0016】
図1に示すように、ストレージシステム2は、ホスト4に接続され、ホスト4からのリード/ライト要求を処理する。ストレージシステム2は、コントロールユニット2と、多数のFC_ALデバイス(ここでは、磁気ディスク装置)1−1〜1−Nと、FC(Fibre Channel)ループ5と、FCループ5に、各FC_ALデバイス1−1〜1−Nを接続/バイパスするためのポートバイパス回路(PBC)6−1〜6−Nとを有する。
【0017】
図2にも示すように、PBC6−1〜6−Nは、バックプレーン6に設けられる。各FC_ALデバイス1−1〜1−Nは、バックプレーン6に、コネクタで接続されて、バックプレーン6の各PBC6−1〜6−Nと接続する。
【0018】
図3、図4に示すように、各FC_ALデバイス1−1〜1−Nは、FCループ5に接続されたレシーバRXと、PBC6−1〜6−Nに接続されたトランスミッタTXとを有する。
【0019】
PBC6−1〜6−Nは、2入力、1出力のスイッチで構成される。そして、PBC6−1〜6−Nは、入力であるFCループ5と、FC_ALデバイス1−1〜1−Nとのいずれかを選択し、FCループ5に出力する。図3は、通常動作時のPBCの接続状態を示し、FC_ALデバイス1−1〜1−NのトランスミッタTXを、FCループ5に接続する。
【0020】
図4は、バイパス動作時のPBCの接続状態を示し、FC_ALデバイス1−1〜1−Nをバイパスするように、FCループ5に接続する。前述のように、コントローラ3からの問い合わせ、コマンドに対し、FC_ALデバイスの応答がない、応答時間が長い、又はエラーを返答しつづける等の場合には、コントローラ3は、そのFC_ALデバイス(磁気ディスク装置)が接続されたPBCをバイパス状態にし、その磁気ディスク装置を切り離す。この時、FC_ALデバイスは、バイパスされたことを認識できない。
【0021】
(電子装置)
図5は、本発明のFC_AL接続された電子装置の一実施の形態のブロック図であり、電子装置として、磁気ディスク装置を例に示す。
【0022】
図5に示すように、磁気ディスク装置1は、ドライブ機構(ディスクエンクロージャ)と、プリント回路アセンブリー(PCA)とを有する。ディスクエンクロージャ(DEという)では、磁気記録媒体である磁気ディスク10が、スピンドルモータ(図示せず)の回転軸に設けられている。スピンドルモータは、磁気ディスク10を回転する。アクチュエータ(VCMという)12は、アーム(ヘッドアクチュエータという)、サスペンションの先端に磁気ヘッド14を備え、磁気ヘッド14を磁気ディスク10の半径方向に移動する。
【0023】
アクチュエータ12は、回転軸を中心に回転するボイスコイルモータ(VCM)で構成される。磁気ヘッド14は、リード素子と、ライト素子とからなる。
【0024】
プリント回路アッセンブリ(制御回路部)には、ハードディスクコントローラ(HDC)20、マイクロプロセッサ(MPU)24、信号処理回路(リードチャネル回路:RDC)16、サーボコントロール回路18、データバッファ(RAM)22、ROM(リードオンリーメモリ)26、RAM28が設けられている。
【0025】
リードチャネル回路(RDC)16は、プリアンプを含み、磁気ヘッド14のデータ読み取り及び書込みを制御する。即ち、データ変調及びデータ復調、信号増幅を行う。サーボコントロール回路(SVC)18は、スピンドルモータを駆動制御し、且つVCM12を駆動制御する。
【0026】
ハードディスクコントローラ(HDC)20は、インターフェース制御を行うインターフェース制御回路30と、上位からのコマンドに応じた制御を行うコマンド制御回路34と、データバッファ22の制御を行うデータバッファ制御回路32と、ディスク・フォーマット制御等を行うディスク制御回路36とを有する。データバッファ(RAM)22は、リードデータやライトデータを一時格納する。
【0027】
マイクロプロセッサ(MPU)24は、HDC36の制御と、RAM28、ROM26の管理を行う。ROM26は、各種のプログラムやパラメータを格納する。RAM28は、MPU24の処理に必要な各種データを格納する。
【0028】
インターフェース制御回路30は、図3、図4のように、FC_ALのインターエース5で、PCBと接続される。インターフェース制御回路30は、トランスミッタTX,レシーバRX等の物理層と、リンク層と、プロトコル制御層(論理層)とからなる。
【0029】
(異常検出処理の第1の実施の形態)
図6は、本発明の異常検出の一実施の形態に使用するポジションニングマップフレームのフォーマットの説明図、図7は、本発明の異常検出の一実施の形態の更新処理フロー図である。
【0030】
FC_AL環境下では、ループ構成の構築のために、初期化手順(Loop Initialize)を行う。このLoop Initialize(ループ構築)完了時に、ループ上のノード(イニシエータおよびターゲットとなる磁気ディスク装置)間で、ノードを識別する物理アドレス(AL_PA:Arbitrated Loop Physical Address)を載せたポジショニングマップフレーム(LIRP:Loop Initialization Report PositionおよびLILP:Loop Initialization Loop Position)の受け渡しを行う。
【0031】
図6に示すように、ポジションニングマップフレームは、構築されたループのノード数、Loop Master,各ノードのAL_PAを格納するマップであり、これにより、ループ接続されたノード間で、ループ内のノードを認識できる。更に、ヘッダと、フレームID(LIRP又はLILP)をセットする。
【0032】
図7により、各ノードの受け渡しの処理を説明する。
【0033】
(S10)予め決められたループマスターからFCループ5に、図6の報告用ポジショニングマップLIRPを送信する。FC_ALノード(図5の磁気ディスク装置1)は、FCループ5からインタフェース制御部30のレシーバRXで、LIRPを受信すると、コマンド制御部34が、受信したLIRPのノード数を更新する。
【0034】
(S12)コマンド制御部34は、LIRP(図6)のループマスターを先頭にして,ノード数分空けたバイト位置に、自身のAL_PAを登録する(格納する)。
【0035】
(S14)コマンド制御部34は、このように編集したLIRPを、インタフェース制御部30のトランスミッタTXからFCループ5に送信する。そして、報告処理を終了する。
【0036】
このようにして、ループマスターを先頭にして,接続されているノード順に、AL_PAを、ポジショニングマップフレーム(LIRP)に登録し,次のノードへと送信する。そして、ループマスターに、LIRPフレームが戻る(すべてのノードが、AL_PAの登録を完了する)と、ループマスターは、そのフレームを、LILPフレームとして再送する。
【0037】
図4のように、FC_ALデバイス1−1が、バックプレーン上で、バイパスされていない場合には、FCループ5からの入力は得られ、出力がループ上に伝播される状態となるため、図8に示すように、FC_ALデバイスは、図7のように、LIRPフレームを受信し、ポジションニングマップLIRPを更新し、更新したポジショニングマップLIRPを、FCループ5へ送信し、次のノード(FC_ALデバイス)へ転送できる。
【0038】
一方、図3に示すように、FC_ALデバイスが、バックプレーン上でバイパスされた場合,FCループ5からの入力は得られるが,出力がFCループ5上に伝播されない状態となる。
【0039】
このため、バイパスされたノードは、LIRPフレームを受信し、ポジションニングマップを更新するが,更新したLIRPフレームを、FCループ5に送信できない。従って、図9に示すように、ループマスターに戻ってきたLIRPは、自分のAL_PAを登録したはずの位置が、他のノードのAL_PAに書き換えられていたり,未登録の状態(0xFFが書かれている)になっている事になる。
【0040】
図9の例では、AL_PA2のFC_ALデバイスが、バイパスされているため、「AL_PA2」の登録位置に、次のノードであるAL_PA3が登録されている状態を示す。
【0041】
この更新されたLIRPフレームは、LILPフレームとして、ループマスターから再送されるため、LILPフレームを受信した磁気ディスク装置は、フレーム内のポジショニングマップに、自分のAL_PAが存在するか否かの確認を行い、存在しなかった場合、バックプレーン上でバイパスされていると判断し,その後の故障解析のために必要な処理を行う。
【0042】
図10は、本発明の一実施の形態の異常検出処理フロー図、図11は、その収集データの説明図である。この例では、故障解析ために必要な処理として,内部状態を保存する。
【0043】
(S20)FC_ALノード(図5の磁気ディスク装置1)は、FCループ5からインタフェース制御部30のレシーバRXで、LILPを受信すると、コマンド制御部34が、受信したフレームがLILPであることを確認する。
【0044】
(S22)コマンド制御部34は、受信したフレームが、LILPであると、MPU24に受信したLILPフレームを転送する。MPU24は、LIRPフレームの受信時に登録したポジショニングマップ上の同じ位置に、自分のAL_PAが存在するか否かを確認する。MPU24は、存在を確認した場合には、この確認処理を終了する。
【0045】
(S24)MPU24は、LILPフレームに、自己のAL_PAが存在しなかったと判定した場合(異常)には、すでに、調査のために必要な処理(データ集収)を行ったかどうか確認する。これは、バイパスされた直後の状態を保持するための処理である。MPU24は、データ集収を行った場合には、この確認処理を終了する。
【0046】
(S26)MPU24は、まだ必要な処理が行われていないと判定した場合には,該当処理を行い、その後の調査のための準備を行う。この例では、データ集収処理を行い、図11に示すようなデータを収集する。
【0047】
図11では、メモリ情報として、スタックした情報、イニシエータ管理テーブル、コマンド管理テーブル、キャッシュテーブル、デバッグ情報(プログラムの実行トレース:デバッグのため、プログラム実行時に通過したパス及び扱ったデータ)を収集する。又、レジスタ情報として、搭載しているMPUやコントローラのレジスタ情報を収集する。これらを、媒体上のシステムエリア(SA域)の収集エリアに格納する。
【0048】
尚、MPU24は、この処理の終了により、コマンド制御部34、インタフェース制御部30から受信したLIRPフレームを、FCループ5へ送信する。
【0049】
このように、ポジショニングマップを自アドレスで更新して、更新されたポジショニングマップが再送された時に、ポジショニングマップに自アドレスが存在するかを判定することで、自デバイスが、FCループからバイパスされたか否かを判定できる。従って、既存のイニシャライズシーケンスを利用して、バイパスされたか否かを判定できる。
【0050】
又、バイパスされたことを検出して、データ集収等の故障解析に必要なデータを収集しておくので、図2のように、バックプレーンから磁気ディスク装置を取り外し、磁気ディスク装置を故障診断装置で、解析する際に、容易に解析に必要なデータを得ることができる。
【0051】
このため、バイパスの原因を、磁気ディスク装置単体から解析することができ、システム要因か、ディスク要因かの切り分け等の調査を容易に行う事が可能となる。
【0052】
要約すると、ループ状伝送路に、各々バイパス回路を介して接続された複数の電子装置の各々が、前記ループ状伝送路からの前記伝送路でのアドレスを登録するためのポジショニングマップフレームを受信し、前記受信したポジショニングマップフレームに、自己のアドレスを格納して、更新して、前記更新したポジショニングマップフレームを、前記バイパス回路を介し、ループ状伝送路に送信するループ構成を構築するステップと、前記ループ状伝送路を一巡して更新された前記ポジショニングマップフレームを受信するステップと、前記電子装置が、前記受信したポジショニングマップに、前記格納した自己のアドレスが存在するか否かを判定するステップと、前記受信したポジショニングマップに、前記格納した自己のアドレスが存在しないと判定した時に、前記電子装置が、前記バイパス回路により前記ループ状伝送路からバイパスされたと判断するステップとを有する。
【0053】
又、 前記電子装置が、前記バイパス回路により前記ループ状伝送路からバイパスされたと判断した時に、前記電子装置は、故障解析に必要な内部データを保存するステップを更に有する。
【0054】
又、前記ループ伝送路が、FC_ALで構成され、前記ループ伝送路上のループマスターから前記ポジショニングマップフレームを送信する。
【0055】
又、保存ステップは、前記電子装置が、前記バイパス回路により前記ループ状伝送路からバイパスされたと判断した時に、前記電子装置は、故障解析に必要な内部データを既に保存したか否かを判定するステップと、前記電子装置が、前記内部データを既に保存していないと判定した時に、前記電子装置は、前記内部データを保存するステップとを有する。
【0056】
又、前記電子装置が、データを保存するための記憶装置で構成された。前記記憶装置が、磁気ディスク装置で構成された。
【0057】
(異常検出処理の第2の実施の形態)
次に、本発明の異常検出処理の第2の実施の形態を説明する。第1の実施の形態では、Loop Initializeが発生した場合のみ、当該磁気ディスク装置が、バイパスされた事を認識できる。
【0058】
一方、バイパス状態になった事を即座に認識することは、早期診断に有効である。第2の実施の形態は、他のディスク装置が監視を行い、バイパス検出時に、LIPを発行する(Loop Initializeを発生させる)事で、早期に、確実に、当該磁気ディスク装置に、その事態を認識させるものである。
【0059】
図12は、本発明の異常検出処理の第2の実施の形態の処理フロー図である。
【0060】
(S30)磁気ディスク装置1のMPU24は、ループイニシャライズが発生したかを判定する。即ち、LIRPフレームを受信したかを判定する。ループイニシャライズが発生したと判定すると、MPU24は、Loop Initialize完了時に,LILPフレームから、自分の一つ上流の磁気ディスク装置を監視の対象とし,その磁気ディスク装置のAL_PAを記憶する。
【0061】
(S32)一定時間経過後、FCループ内の各磁気ディスク装置1は、定期的に、監視対象の磁気ディスク装置に対し、FCループ5から、オープン(OPN:Open)プリミティブを送信する。オープンプリミティブは、送信元と送信先を指定して、FCループ5に転送する通信開始プリミテイブであり、送信元と送信先のノードのみが、フィルタリング(受信)可能である。
【0062】
(S34)各磁気ディスク装置は、OPNプリミティブ送信後,監視対象の磁気ディスク装置に対し、FCループ5から、クローズ(CLS:Close)プリミティブを送信する。クローズプリミティブは、送信元と送信先を指定して、FCループ5に転送する通信完了プリミテイブであり、送信元と送信先のノードのみが、フィルタリング(受信)可能である。
【0063】
(S36)OPNプリミティブを送信した磁気ディスク装置は、自己が送信したOPNプリミティブを、FCループ5から受信したかを判定する。
【0064】
(S38)OPNプリミティブを送信した磁気ディスク装置は、自己が送信したOPNプリミティブを、FCループ5から受信した(OPNプリミティブが、FCループ5から戻ってきた)場合、監視対象の磁気ディスク装置はバイパスされていると判断して、FCループ5に、LIP(Loop Initialize Primitive)を発行する。
【0065】
これにより、FCループ5に接続された各磁気ディスク装置は、ループイニシャライズシーケンスに移行する。ループイニシャライズシーケンスでは、ループマスターを決定し,第1の実施の形態の手順が実行される。即ち、マスターノードから、LIRPフレームが、FCループ5に送信され、LIRPフレームのポジショニングマップが、ループ上の各ノードによって更新され、ループマスターに戻ると、そのポジショニングマップを、LILPフレームとして、ループマスターから、FCループ5に送信される。
【0066】
第1の実施の形態と同様に、このLILPフレームよって,図10の処理により、当該磁気ディスク装置が、バイパスされている事を自己検出させる。又、LIPを発行した磁気ディスク装置の監視対象は、Loop Initialize完了後、変更する。
【0067】
(S40) OPNプリミティブを送信した磁気ディスク装置は、自己が送信したOPNプリミティブを、FCループ5から受信しない場合には、自己が送信したCLSプリミティブを受信した(OPNプリミティブが、FCループ5から戻ってきた)か否かを判定する。即ち、CLSプリミティブが先に戻って来たかを判定する。
【0068】
CLSプリミティブを受信したと判定した場合に,監視対象磁気ディスク装置は、バイパスされていない(ループ上に存在する)と判断し、監視処理を終了し、ステップS30に戻る。
【0069】
このように、OPNプリミティブは、送信元と送信先のノードのみがフィルタリング可能なため,送信先では、OPNプリミティブを受信した場合、OPNプリミテイブを、FCループへ回送しない。
【0070】
しかし、送信先が、バイパスされると、FCループ5から、送信元へ、OPNプリミティブが戻ってくる。このため、OPNプリミティブが戻ってくるか否かで、送信先のノードが、ループ上に存在するかどうかの確認を行うことができる。
【0071】
又、CLSプリミティブを送信して、FCループの占有権を放棄するため、FCループを継続して占有しないため、他のノードの通信の障害となることを防止できる。
【0072】
このような監視処理を、各磁気ディスク装置が、一定間隔で繰り返し,ループ上の他の磁気ディスク装置を監視しあう。これにより、早期に、磁気ディスク装置自身のバイパス状態を検出でき、有効な診断解析が可能となる。
【0073】
要約すると、前記電子装置が、前記ループ伝送路上の他の電子装置に対し、送信元と送信先のみが使用できるオープンプリミティブを、前記ループ伝送路を介し、送信し、前記電子装置が、前記オープンプリミティブを前記ループ伝送路から受信したか否かを判定する監視ステップと、前記電子装置が、前記オープンプリミティブを前記ループ伝送路から受信したと判定した時に、前記他の電子装置が前記バイパス回路により前記ループ状伝送路からバイパスされたと判断し、前記ループ構成の構築ステップを開始するステップとを更に有する。
【0074】
又、前記監視ステップは、前記電子装置が、前記他の電子装置に対し、前記オープンプリミティブに続いて、クローズプリミティブを送信するステップとを有し、前記電子装置が、前記オープンプリミティブを前記ループ伝送路から受信しないで、前記クローズプリミティブを受信したと判定した時に、前記他の電子装置が前記バイパス回路により前記ループ状伝送路からバイパスされていないと判断するステップを更に有する。
【0075】
(他の実施の形態)
前述の実施の形態では、電子装置を、磁気ディスク装置の例で説明したが、他のループ伝送路に接続される装置(例えば、光ディスク装置等の他の媒体記憶装置や、通信装置、表示装置、プリンタ等)にも適用できる。又、ループ伝送路を、FC_ALで説明したが、他のループ伝送路にも適用できる。
【0076】
以上、本発明を、実施の形態で説明したが、本発明は、その趣旨の範囲内で種々の変形が可能であり、これを本発明の範囲から排除するものではない。
【0077】
尚、本発明は、以下の実施の形態を包含する。
【0078】
(付記1)ループ状伝送路に、各々バイパス回路を介して接続された複数の電子装置の各々が、前記ループ状伝送路からの前記伝送路でのアドレスを登録するためのポジショニングマップフレームを受信し、前記受信したポジショニングマップフレームに、自己のアドレスを格納して、更新して、前記更新したポジショニングマップフレームを、前記バイパス回路を介し、ループ状伝送路に送信するループ構成を構築するステップと、前記ループ状伝送路を一巡して更新された前記ポジショニングマップフレームを受信するステップと、前記電子装置が、前記受信したポジショニングマップに、前記格納した自己のアドレスが存在するか否かを判定するステップと、前記受信したポジショニングマップに、前記格納した自己のアドレスが存在しないと判定した時に、前記電子装置が、前記バイパス回路により前記ループ状伝送路からバイパスされたと判断するステップとを有することを特徴とするループ接続された電子装置の異常検出方法。
【0079】
(付記2) 前記電子装置が、前記バイパス回路により前記ループ状伝送路からバイパスされたと判断した時に、前記電子装置は、故障解析に必要な内部データを保存するステップを更に有することを特徴とする付記1のループ接続された電子装置の異常検出方法。
【0080】
(付記3)前記電子装置が、前記ループ伝送路上の他の電子装置に対し、送信元と送信先のみが使用できるオープンプリミティブを、前記ループ伝送路を介し、送信し、前記電子装置が、前記オープンプリミティブを前記ループ伝送路から受信したか否かを判定する監視ステップと、前記電子装置が、前記オープンプリミティブを前記ループ伝送路から受信したと判定した時に、前記他の電子装置が前記バイパス回路により前記ループ状伝送路からバイパスされたと判断し、前記ループ構成の構築ステップを開始するステップとを更に有することを特徴とする付記1のループ接続された電子装置の異常検出方法。
【0081】
(付記4)前記ループ伝送路が、FC_ALで構成され、前記ループ伝送路上のループマスターから前記ポジショニングマップフレームを送信することを特徴とする付記1のループ接続された電子装置の異常検出方法。
【0082】
(付記5) 前記保存ステップは、前記電子装置が、前記バイパス回路により前記ループ状伝送路からバイパスされたと判断した時に、前記電子装置は、故障解析に必要な内部データを既に保存したか否かを判定するステップと、前記電子装置が、前記内部データを既に保存していないと判定した時に、前記電子装置は、前記内部データを保存するステップとを有することを特徴とする付記2のループ接続された電子装置の異常検出方法。
【0083】
(付記6)前記監視ステップは、前記電子装置が、前記他の電子装置に対し、前記オープンプリミティブに続いて、クローズプリミティブを送信するステップとを有し、前記電子装置が、前記オープンプリミティブを前記ループ伝送路から受信しないで、前記クローズプリミティブを受信したと判定した時に、前記他の電子装置が前記バイパス回路により前記ループ状伝送路からバイパスされていないと判断するステップを更に有することを特徴とする付記3のループ接続された電子装置の異常検出方法。
【0084】
(付記7)前記電子装置が、データを保存するための記憶装置で構成されたことを特徴とする付記1のループ接続された電子装置の異常検出方法。
【0085】
(付記8)前記記憶装置が、磁気ディスク装置で構成されたことを特徴とする付記7のループ接続された電子装置の異常検出方法。
【0086】
(付記9)ループ状伝送路に、バイパス回路を介して接続された電子装置において、前記ループ状伝送路からの信号を受信する受信回路と、前記バイパス回路に信号を送信する送信回路と、前記伝送路でのアドレスを登録するためのポジショニングマップフレームを受信し、前記受信したポジショニングマップフレームに、自己のアドレスを格納して、更新して、前記更新したポジショニングマップフレームを、前記バイパス回路を介し、ループ状伝送路に送信するループイニシャライズ処理を実行する制御回路とを有し、前記制御回路は、前記ループ状伝送路を一巡して更新された前記ポジショニングマップフレームを受信し、前記受信したポジショニングマップに、前記格納した自己のアドレスが存在するか否かを判定し、前記受信したポジショニングマップに、前記格納した自己のアドレスが存在しないと判定した時に、前記バイパス回路により前記ループ状伝送路からバイパスされたと判断することを特徴とするループ接続された電子装置。
【0087】
(付記10) 前記制御回路は、前記バイパス回路により前記ループ状伝送路からバイパスされたと判断した時に、故障解析に必要な内部データを保存することを特徴とする付記9のループ接続された電子装置。
【0088】
(付記11)前記制御回路は、前記ループ伝送路上の他の電子装置に対し、送信元と送信先のみが使用できるオープンプリミティブを、前記ループ伝送路を介し、送信し、前記オープンプリミティブを前記ループ伝送路から受信したか否かを判定し、前記オープンプリミティブを前記ループ伝送路から受信したと判定した時に、前記他の電子装置が前記バイパス回路により前記ループ状伝送路からバイパスされたと判断し、前記ループイニシャライズ処理を開始することを特徴とする付記9のループ接続された電子装置。
【0089】
(付記12)前記ループ伝送路が、FC_ALで構成され、前記ループ伝送路上のループマスターから前記ポジショニングマップフレームを送信することを特徴とする付記9のループ接続された電子装置。
【0090】
(付記13) 前記制御回路は、前記電子装置が、前記バイパス回路により前記ループ状伝送路からバイパスされたと判断した時に、前記内部データを既に保存したか否かを判定し、前記内部データを既に保存していないと判定した時に、前記電子装置は、前記内部データを保存することを特徴とする付記10のループ接続された電子装置。
【0091】
(付記14)前記制御回路は、前記他の電子装置に対し、前記オープンプリミティブに続いて、クローズプリミティブを送信し、前記オープンプリミティブを前記ループ伝送路から受信しないで、前記クローズプリミティブを受信したと判定した時に、前記他の電子装置が前記バイパス回路により前記ループ状伝送路からバイパスされていないと判断することを特徴とする付記11のループ接続された電子装置。
【0092】
(付記15)前記電子装置が、データを保存するための記憶装置で構成されたことを特徴とする付記9のループ接続された電子装置。
【0093】
(付記16)前記記憶装置が、磁気ディスク装置で構成されたことを特徴とする付記16のループ接続された電子装置。
【0094】
(付記17)前記電子装置が、前記ループ状伝送路と前記バイパス回路とが設けられバックプレーンに、接続及び取り外しできる構成を有することを特徴とする付記1のループ接続された電子装置。
【産業上の利用可能性】
【0095】
ループ伝送路のループイニシャライズ処理で、自己のアドレスを登録したポジショニングマップを受信し、自己のアドレスが登録されているか判定するため、ループ接続された電子装置が、バイパス回路でループ伝送路からバイパスされたかを、既存のシーケンスを用いて、判定できる。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】本発明のループ状伝送路を用いてシステムの一実施の形態の構成図である。
【図2】図1の磁気ディスク装置とバックプレーンとの説明図である。
【図3】図1の磁気ディスク装置が、バイパスされた状態の説明図である。
【図4】図1の磁気ディスク装置が、バイパスされていない状態の説明図である。
【図5】図1の電子装置の一実施の形態の構成図である。
【図6】図1のループ伝送路のイニシャライズ時のポジショニングマップのフレームのフォーマット図である。
【図7】図1、図5の電子装置のLIRP受信処理フロー図である。
【図8】電子装置が、図4のバイパスされない場合のLIRPフレームの説明図である。
【図9】電子装置が、図3のバイパスされた場合のLIRPフレームの説明図である。
【図10】本発明の第1の実施の形態の電子装置の異常検出処理フロー図である。
【図11】図10の収集データの説明図である。
【図12】本発明の第2の実施の形態の電子装置の異常検出処理フロー図である。
【符号の説明】
【0097】
1,1−1〜1−N 磁気ディスク装置(電子装置)
2 ストレージシステム
3 ストレージコントロールユニット
4 ホスト装置
5 FCループ
6 バックプレーン
6−1〜6−N ポートバイパス回路(PBC)
10 磁気ディスク
12 VCM
14 磁気ヘッド
20 HDC
22 バッファ
24 MPU
30 インタフェース制御回路
RX レシーバ
TX トランスミッタ
【技術分野】
【0001】
本発明は、FC_AL等のループ伝送路に接続された電子装置が、ループ伝送路からバイパスされたことを検出するための電子装置の異常検出方法及び電子装置に関し、特に、ループ伝送路からバイパスされたことを検出して、故障解析を容易にするための電子装置の異常検出方法及び電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、上位装置と周辺装置との接続に、ループ伝送路が広く利用されている。例えば、ループ伝送路としては、FC_AL(Fibre Channel Arbitrated Loop)が、知られている。
【0003】
特に、上位装置に接続されたストレージシステムにおいては、ストレージコントローラと、多数の磁気ディスク装置とを、FC_ALで接続した構成が、広く利用されている。
【0004】
各磁気ディスク装置は、このループ伝送路に設けられたポートバイパス回路(PBCという)に接続される。このPBCは、各磁気ディスク装置を、ループ伝送路に接続するとともに、ストレージコントローラの指示により、接続された磁気ディスク装置をバイパスする(切り離す)。又、このループ伝送路とPBCは、バックプレーン(バックボード)に設けられ、磁気ディスク装置は、バックプレーンに、着脱可能に搭載される(例えば、特許文献1,2,3)。
【0005】
このようなバックプレーン上にポートバイパス回路(PBC)を持つFC_AL接続のストレージシステムでは、何らかの要因で、ループ上の磁気ディスク装置がバイパスされる事がある。例えば、コントローラからの問い合わせ、コマンドに対し、応答がない、応答時間が長い、又はエラーを返答しつづける等の場合には、コントローラは、その磁気ディスク装置が接続されたPBCをバイパス状態にし、その磁気ディスク装置を切り離す。
【特許文献1】特開2003−158526号公報
【特許文献2】特開2001−45035号公報
【特許文献3】特開2000−59414号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このようなバイパス状態となった要因を特定するためには,システム(コントローラ、伝送路)および磁気ディスク装置の障害の切り分けを行うため、双方を調査する必要がある。しかしながら,従来の技術では、コントローラは、磁気ディスク装置をバイパスしたことを認識しているが、磁気ディスク装置は、バックプレーン上でバイパスされた事を認識していなかった。
【0007】
このため、磁気ディスク装置は、その後の故障解析に必要な内部情報のロギング等を行うためのトリガが見出せず、磁気ディスク装置の調査において、バイパスされた原因の究明に、長時間を要する事が多かった。
【0008】
従って、本発明の目的は、ループ伝送路で接続された電子装置が、ループ伝送路からバイパスされたことを検出するための電子装置の異常検出方法及び電子装置を提供することにある。
【0009】
又、本発明の他の目的は、ループ伝送路で接続された電子装置が、ループ伝送路からバイパスされたことを検出し、故障解析に必要な情報の収集を行うための電子装置の異常検出方法及び電子装置を提供することにある。
【0010】
更に、本発明の更に他の目的は、ループ伝送路のプロトコルの規約を利用して、ループ伝送路で接続された電子装置が、ループ伝送路からバイパスされたことを検出するための電子装置の異常検出方法及び電子装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的の達成のための電子装置の異常検出方法の一実施の形態は、ループ状伝送路に、各々バイパス回路を介して接続された複数の電子装置の各々が、前記ループ状伝送路からの前記伝送路でのアドレスを登録するためのポジショニングマップフレームを受信し、前記受信したポジショニングマップフレームに、自己のアドレスを格納して、更新して、前記更新したポジショニングマップフレームを、前記バイパス回路を介し、ループ状伝送路に送信するループ構成を構築するステップと、前記ループ状伝送路を一巡して更新された前記ポジショニングマップフレームを受信するステップと、前記電子装置が、前記受信したポジショニングマップに、前記格納した自己のアドレスが存在するか否かを判定するステップと、前記受信したポジショニングマップに、前記格納した自己のアドレスが存在しないと判定した時に、前記電子装置が、前記バイパス回路により前記ループ状伝送路からバイパスされたと判断するステップとを有する。
【0012】
又、この目的の達成のための電子装置の一実施の形態は、ループ状伝送路に、バイパス回路を介して接続された電子装置において、前記ループ状伝送路からの信号を受信する受信回路と、前記バイパス回路に信号を送信する送信回路と、前記伝送路でのアドレスを登録するためのポジショニングマップフレームを受信し、前記受信したポジショニングマップフレームに、自己のアドレスを格納して、更新して、前記更新したポジショニングマップフレームを、前記バイパス回路を介し、ループ状伝送路に送信するループイニシャライズ処理を実行する制御回路とを有し、前記制御回路は、前記ループ状伝送路を一巡して更新された前記ポジショニングマップフレームを受信し、前記受信したポジショニングマップに、前記格納した自己のアドレスが存在するか否かを判定し、前記受信したポジショニングマップに、前記格納した自己のアドレスが存在しないと判定した時に、前記バイパス回路により前記ループ状伝送路からバイパスされたと判断する。
【発明の効果】
【0013】
ループ伝送路のループイニシャライズ処理で、自己のアドレスを登録したポジショニングマップを受信し、自己のアドレスが登録されているか判定するため、ループ接続された電子装置が、バイパス回路でループ伝送路からバイパスされたかを、既存のシーケンスを用いて、判定できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を、ループ伝送路を使用したシステム、電子装置、異常検出処理の第1の実施の形態、異常検出処理の第2の実施の形態の順で説明するが、本発明は、この実施の形態に限られない。
【0015】
(ループ伝送路を使用したシステム)
図1は、本発明のループ伝送路を使用したシステムの一実施の形態の構成図、図2は、そのバックプレーンの説明図、図3、図4は、図1のPBCの説明図である。図1は、システムとして、ストレージシステムを、ループ伝送路として、FC_ALを例に示す。
【0016】
図1に示すように、ストレージシステム2は、ホスト4に接続され、ホスト4からのリード/ライト要求を処理する。ストレージシステム2は、コントロールユニット2と、多数のFC_ALデバイス(ここでは、磁気ディスク装置)1−1〜1−Nと、FC(Fibre Channel)ループ5と、FCループ5に、各FC_ALデバイス1−1〜1−Nを接続/バイパスするためのポートバイパス回路(PBC)6−1〜6−Nとを有する。
【0017】
図2にも示すように、PBC6−1〜6−Nは、バックプレーン6に設けられる。各FC_ALデバイス1−1〜1−Nは、バックプレーン6に、コネクタで接続されて、バックプレーン6の各PBC6−1〜6−Nと接続する。
【0018】
図3、図4に示すように、各FC_ALデバイス1−1〜1−Nは、FCループ5に接続されたレシーバRXと、PBC6−1〜6−Nに接続されたトランスミッタTXとを有する。
【0019】
PBC6−1〜6−Nは、2入力、1出力のスイッチで構成される。そして、PBC6−1〜6−Nは、入力であるFCループ5と、FC_ALデバイス1−1〜1−Nとのいずれかを選択し、FCループ5に出力する。図3は、通常動作時のPBCの接続状態を示し、FC_ALデバイス1−1〜1−NのトランスミッタTXを、FCループ5に接続する。
【0020】
図4は、バイパス動作時のPBCの接続状態を示し、FC_ALデバイス1−1〜1−Nをバイパスするように、FCループ5に接続する。前述のように、コントローラ3からの問い合わせ、コマンドに対し、FC_ALデバイスの応答がない、応答時間が長い、又はエラーを返答しつづける等の場合には、コントローラ3は、そのFC_ALデバイス(磁気ディスク装置)が接続されたPBCをバイパス状態にし、その磁気ディスク装置を切り離す。この時、FC_ALデバイスは、バイパスされたことを認識できない。
【0021】
(電子装置)
図5は、本発明のFC_AL接続された電子装置の一実施の形態のブロック図であり、電子装置として、磁気ディスク装置を例に示す。
【0022】
図5に示すように、磁気ディスク装置1は、ドライブ機構(ディスクエンクロージャ)と、プリント回路アセンブリー(PCA)とを有する。ディスクエンクロージャ(DEという)では、磁気記録媒体である磁気ディスク10が、スピンドルモータ(図示せず)の回転軸に設けられている。スピンドルモータは、磁気ディスク10を回転する。アクチュエータ(VCMという)12は、アーム(ヘッドアクチュエータという)、サスペンションの先端に磁気ヘッド14を備え、磁気ヘッド14を磁気ディスク10の半径方向に移動する。
【0023】
アクチュエータ12は、回転軸を中心に回転するボイスコイルモータ(VCM)で構成される。磁気ヘッド14は、リード素子と、ライト素子とからなる。
【0024】
プリント回路アッセンブリ(制御回路部)には、ハードディスクコントローラ(HDC)20、マイクロプロセッサ(MPU)24、信号処理回路(リードチャネル回路:RDC)16、サーボコントロール回路18、データバッファ(RAM)22、ROM(リードオンリーメモリ)26、RAM28が設けられている。
【0025】
リードチャネル回路(RDC)16は、プリアンプを含み、磁気ヘッド14のデータ読み取り及び書込みを制御する。即ち、データ変調及びデータ復調、信号増幅を行う。サーボコントロール回路(SVC)18は、スピンドルモータを駆動制御し、且つVCM12を駆動制御する。
【0026】
ハードディスクコントローラ(HDC)20は、インターフェース制御を行うインターフェース制御回路30と、上位からのコマンドに応じた制御を行うコマンド制御回路34と、データバッファ22の制御を行うデータバッファ制御回路32と、ディスク・フォーマット制御等を行うディスク制御回路36とを有する。データバッファ(RAM)22は、リードデータやライトデータを一時格納する。
【0027】
マイクロプロセッサ(MPU)24は、HDC36の制御と、RAM28、ROM26の管理を行う。ROM26は、各種のプログラムやパラメータを格納する。RAM28は、MPU24の処理に必要な各種データを格納する。
【0028】
インターフェース制御回路30は、図3、図4のように、FC_ALのインターエース5で、PCBと接続される。インターフェース制御回路30は、トランスミッタTX,レシーバRX等の物理層と、リンク層と、プロトコル制御層(論理層)とからなる。
【0029】
(異常検出処理の第1の実施の形態)
図6は、本発明の異常検出の一実施の形態に使用するポジションニングマップフレームのフォーマットの説明図、図7は、本発明の異常検出の一実施の形態の更新処理フロー図である。
【0030】
FC_AL環境下では、ループ構成の構築のために、初期化手順(Loop Initialize)を行う。このLoop Initialize(ループ構築)完了時に、ループ上のノード(イニシエータおよびターゲットとなる磁気ディスク装置)間で、ノードを識別する物理アドレス(AL_PA:Arbitrated Loop Physical Address)を載せたポジショニングマップフレーム(LIRP:Loop Initialization Report PositionおよびLILP:Loop Initialization Loop Position)の受け渡しを行う。
【0031】
図6に示すように、ポジションニングマップフレームは、構築されたループのノード数、Loop Master,各ノードのAL_PAを格納するマップであり、これにより、ループ接続されたノード間で、ループ内のノードを認識できる。更に、ヘッダと、フレームID(LIRP又はLILP)をセットする。
【0032】
図7により、各ノードの受け渡しの処理を説明する。
【0033】
(S10)予め決められたループマスターからFCループ5に、図6の報告用ポジショニングマップLIRPを送信する。FC_ALノード(図5の磁気ディスク装置1)は、FCループ5からインタフェース制御部30のレシーバRXで、LIRPを受信すると、コマンド制御部34が、受信したLIRPのノード数を更新する。
【0034】
(S12)コマンド制御部34は、LIRP(図6)のループマスターを先頭にして,ノード数分空けたバイト位置に、自身のAL_PAを登録する(格納する)。
【0035】
(S14)コマンド制御部34は、このように編集したLIRPを、インタフェース制御部30のトランスミッタTXからFCループ5に送信する。そして、報告処理を終了する。
【0036】
このようにして、ループマスターを先頭にして,接続されているノード順に、AL_PAを、ポジショニングマップフレーム(LIRP)に登録し,次のノードへと送信する。そして、ループマスターに、LIRPフレームが戻る(すべてのノードが、AL_PAの登録を完了する)と、ループマスターは、そのフレームを、LILPフレームとして再送する。
【0037】
図4のように、FC_ALデバイス1−1が、バックプレーン上で、バイパスされていない場合には、FCループ5からの入力は得られ、出力がループ上に伝播される状態となるため、図8に示すように、FC_ALデバイスは、図7のように、LIRPフレームを受信し、ポジションニングマップLIRPを更新し、更新したポジショニングマップLIRPを、FCループ5へ送信し、次のノード(FC_ALデバイス)へ転送できる。
【0038】
一方、図3に示すように、FC_ALデバイスが、バックプレーン上でバイパスされた場合,FCループ5からの入力は得られるが,出力がFCループ5上に伝播されない状態となる。
【0039】
このため、バイパスされたノードは、LIRPフレームを受信し、ポジションニングマップを更新するが,更新したLIRPフレームを、FCループ5に送信できない。従って、図9に示すように、ループマスターに戻ってきたLIRPは、自分のAL_PAを登録したはずの位置が、他のノードのAL_PAに書き換えられていたり,未登録の状態(0xFFが書かれている)になっている事になる。
【0040】
図9の例では、AL_PA2のFC_ALデバイスが、バイパスされているため、「AL_PA2」の登録位置に、次のノードであるAL_PA3が登録されている状態を示す。
【0041】
この更新されたLIRPフレームは、LILPフレームとして、ループマスターから再送されるため、LILPフレームを受信した磁気ディスク装置は、フレーム内のポジショニングマップに、自分のAL_PAが存在するか否かの確認を行い、存在しなかった場合、バックプレーン上でバイパスされていると判断し,その後の故障解析のために必要な処理を行う。
【0042】
図10は、本発明の一実施の形態の異常検出処理フロー図、図11は、その収集データの説明図である。この例では、故障解析ために必要な処理として,内部状態を保存する。
【0043】
(S20)FC_ALノード(図5の磁気ディスク装置1)は、FCループ5からインタフェース制御部30のレシーバRXで、LILPを受信すると、コマンド制御部34が、受信したフレームがLILPであることを確認する。
【0044】
(S22)コマンド制御部34は、受信したフレームが、LILPであると、MPU24に受信したLILPフレームを転送する。MPU24は、LIRPフレームの受信時に登録したポジショニングマップ上の同じ位置に、自分のAL_PAが存在するか否かを確認する。MPU24は、存在を確認した場合には、この確認処理を終了する。
【0045】
(S24)MPU24は、LILPフレームに、自己のAL_PAが存在しなかったと判定した場合(異常)には、すでに、調査のために必要な処理(データ集収)を行ったかどうか確認する。これは、バイパスされた直後の状態を保持するための処理である。MPU24は、データ集収を行った場合には、この確認処理を終了する。
【0046】
(S26)MPU24は、まだ必要な処理が行われていないと判定した場合には,該当処理を行い、その後の調査のための準備を行う。この例では、データ集収処理を行い、図11に示すようなデータを収集する。
【0047】
図11では、メモリ情報として、スタックした情報、イニシエータ管理テーブル、コマンド管理テーブル、キャッシュテーブル、デバッグ情報(プログラムの実行トレース:デバッグのため、プログラム実行時に通過したパス及び扱ったデータ)を収集する。又、レジスタ情報として、搭載しているMPUやコントローラのレジスタ情報を収集する。これらを、媒体上のシステムエリア(SA域)の収集エリアに格納する。
【0048】
尚、MPU24は、この処理の終了により、コマンド制御部34、インタフェース制御部30から受信したLIRPフレームを、FCループ5へ送信する。
【0049】
このように、ポジショニングマップを自アドレスで更新して、更新されたポジショニングマップが再送された時に、ポジショニングマップに自アドレスが存在するかを判定することで、自デバイスが、FCループからバイパスされたか否かを判定できる。従って、既存のイニシャライズシーケンスを利用して、バイパスされたか否かを判定できる。
【0050】
又、バイパスされたことを検出して、データ集収等の故障解析に必要なデータを収集しておくので、図2のように、バックプレーンから磁気ディスク装置を取り外し、磁気ディスク装置を故障診断装置で、解析する際に、容易に解析に必要なデータを得ることができる。
【0051】
このため、バイパスの原因を、磁気ディスク装置単体から解析することができ、システム要因か、ディスク要因かの切り分け等の調査を容易に行う事が可能となる。
【0052】
要約すると、ループ状伝送路に、各々バイパス回路を介して接続された複数の電子装置の各々が、前記ループ状伝送路からの前記伝送路でのアドレスを登録するためのポジショニングマップフレームを受信し、前記受信したポジショニングマップフレームに、自己のアドレスを格納して、更新して、前記更新したポジショニングマップフレームを、前記バイパス回路を介し、ループ状伝送路に送信するループ構成を構築するステップと、前記ループ状伝送路を一巡して更新された前記ポジショニングマップフレームを受信するステップと、前記電子装置が、前記受信したポジショニングマップに、前記格納した自己のアドレスが存在するか否かを判定するステップと、前記受信したポジショニングマップに、前記格納した自己のアドレスが存在しないと判定した時に、前記電子装置が、前記バイパス回路により前記ループ状伝送路からバイパスされたと判断するステップとを有する。
【0053】
又、 前記電子装置が、前記バイパス回路により前記ループ状伝送路からバイパスされたと判断した時に、前記電子装置は、故障解析に必要な内部データを保存するステップを更に有する。
【0054】
又、前記ループ伝送路が、FC_ALで構成され、前記ループ伝送路上のループマスターから前記ポジショニングマップフレームを送信する。
【0055】
又、保存ステップは、前記電子装置が、前記バイパス回路により前記ループ状伝送路からバイパスされたと判断した時に、前記電子装置は、故障解析に必要な内部データを既に保存したか否かを判定するステップと、前記電子装置が、前記内部データを既に保存していないと判定した時に、前記電子装置は、前記内部データを保存するステップとを有する。
【0056】
又、前記電子装置が、データを保存するための記憶装置で構成された。前記記憶装置が、磁気ディスク装置で構成された。
【0057】
(異常検出処理の第2の実施の形態)
次に、本発明の異常検出処理の第2の実施の形態を説明する。第1の実施の形態では、Loop Initializeが発生した場合のみ、当該磁気ディスク装置が、バイパスされた事を認識できる。
【0058】
一方、バイパス状態になった事を即座に認識することは、早期診断に有効である。第2の実施の形態は、他のディスク装置が監視を行い、バイパス検出時に、LIPを発行する(Loop Initializeを発生させる)事で、早期に、確実に、当該磁気ディスク装置に、その事態を認識させるものである。
【0059】
図12は、本発明の異常検出処理の第2の実施の形態の処理フロー図である。
【0060】
(S30)磁気ディスク装置1のMPU24は、ループイニシャライズが発生したかを判定する。即ち、LIRPフレームを受信したかを判定する。ループイニシャライズが発生したと判定すると、MPU24は、Loop Initialize完了時に,LILPフレームから、自分の一つ上流の磁気ディスク装置を監視の対象とし,その磁気ディスク装置のAL_PAを記憶する。
【0061】
(S32)一定時間経過後、FCループ内の各磁気ディスク装置1は、定期的に、監視対象の磁気ディスク装置に対し、FCループ5から、オープン(OPN:Open)プリミティブを送信する。オープンプリミティブは、送信元と送信先を指定して、FCループ5に転送する通信開始プリミテイブであり、送信元と送信先のノードのみが、フィルタリング(受信)可能である。
【0062】
(S34)各磁気ディスク装置は、OPNプリミティブ送信後,監視対象の磁気ディスク装置に対し、FCループ5から、クローズ(CLS:Close)プリミティブを送信する。クローズプリミティブは、送信元と送信先を指定して、FCループ5に転送する通信完了プリミテイブであり、送信元と送信先のノードのみが、フィルタリング(受信)可能である。
【0063】
(S36)OPNプリミティブを送信した磁気ディスク装置は、自己が送信したOPNプリミティブを、FCループ5から受信したかを判定する。
【0064】
(S38)OPNプリミティブを送信した磁気ディスク装置は、自己が送信したOPNプリミティブを、FCループ5から受信した(OPNプリミティブが、FCループ5から戻ってきた)場合、監視対象の磁気ディスク装置はバイパスされていると判断して、FCループ5に、LIP(Loop Initialize Primitive)を発行する。
【0065】
これにより、FCループ5に接続された各磁気ディスク装置は、ループイニシャライズシーケンスに移行する。ループイニシャライズシーケンスでは、ループマスターを決定し,第1の実施の形態の手順が実行される。即ち、マスターノードから、LIRPフレームが、FCループ5に送信され、LIRPフレームのポジショニングマップが、ループ上の各ノードによって更新され、ループマスターに戻ると、そのポジショニングマップを、LILPフレームとして、ループマスターから、FCループ5に送信される。
【0066】
第1の実施の形態と同様に、このLILPフレームよって,図10の処理により、当該磁気ディスク装置が、バイパスされている事を自己検出させる。又、LIPを発行した磁気ディスク装置の監視対象は、Loop Initialize完了後、変更する。
【0067】
(S40) OPNプリミティブを送信した磁気ディスク装置は、自己が送信したOPNプリミティブを、FCループ5から受信しない場合には、自己が送信したCLSプリミティブを受信した(OPNプリミティブが、FCループ5から戻ってきた)か否かを判定する。即ち、CLSプリミティブが先に戻って来たかを判定する。
【0068】
CLSプリミティブを受信したと判定した場合に,監視対象磁気ディスク装置は、バイパスされていない(ループ上に存在する)と判断し、監視処理を終了し、ステップS30に戻る。
【0069】
このように、OPNプリミティブは、送信元と送信先のノードのみがフィルタリング可能なため,送信先では、OPNプリミティブを受信した場合、OPNプリミテイブを、FCループへ回送しない。
【0070】
しかし、送信先が、バイパスされると、FCループ5から、送信元へ、OPNプリミティブが戻ってくる。このため、OPNプリミティブが戻ってくるか否かで、送信先のノードが、ループ上に存在するかどうかの確認を行うことができる。
【0071】
又、CLSプリミティブを送信して、FCループの占有権を放棄するため、FCループを継続して占有しないため、他のノードの通信の障害となることを防止できる。
【0072】
このような監視処理を、各磁気ディスク装置が、一定間隔で繰り返し,ループ上の他の磁気ディスク装置を監視しあう。これにより、早期に、磁気ディスク装置自身のバイパス状態を検出でき、有効な診断解析が可能となる。
【0073】
要約すると、前記電子装置が、前記ループ伝送路上の他の電子装置に対し、送信元と送信先のみが使用できるオープンプリミティブを、前記ループ伝送路を介し、送信し、前記電子装置が、前記オープンプリミティブを前記ループ伝送路から受信したか否かを判定する監視ステップと、前記電子装置が、前記オープンプリミティブを前記ループ伝送路から受信したと判定した時に、前記他の電子装置が前記バイパス回路により前記ループ状伝送路からバイパスされたと判断し、前記ループ構成の構築ステップを開始するステップとを更に有する。
【0074】
又、前記監視ステップは、前記電子装置が、前記他の電子装置に対し、前記オープンプリミティブに続いて、クローズプリミティブを送信するステップとを有し、前記電子装置が、前記オープンプリミティブを前記ループ伝送路から受信しないで、前記クローズプリミティブを受信したと判定した時に、前記他の電子装置が前記バイパス回路により前記ループ状伝送路からバイパスされていないと判断するステップを更に有する。
【0075】
(他の実施の形態)
前述の実施の形態では、電子装置を、磁気ディスク装置の例で説明したが、他のループ伝送路に接続される装置(例えば、光ディスク装置等の他の媒体記憶装置や、通信装置、表示装置、プリンタ等)にも適用できる。又、ループ伝送路を、FC_ALで説明したが、他のループ伝送路にも適用できる。
【0076】
以上、本発明を、実施の形態で説明したが、本発明は、その趣旨の範囲内で種々の変形が可能であり、これを本発明の範囲から排除するものではない。
【0077】
尚、本発明は、以下の実施の形態を包含する。
【0078】
(付記1)ループ状伝送路に、各々バイパス回路を介して接続された複数の電子装置の各々が、前記ループ状伝送路からの前記伝送路でのアドレスを登録するためのポジショニングマップフレームを受信し、前記受信したポジショニングマップフレームに、自己のアドレスを格納して、更新して、前記更新したポジショニングマップフレームを、前記バイパス回路を介し、ループ状伝送路に送信するループ構成を構築するステップと、前記ループ状伝送路を一巡して更新された前記ポジショニングマップフレームを受信するステップと、前記電子装置が、前記受信したポジショニングマップに、前記格納した自己のアドレスが存在するか否かを判定するステップと、前記受信したポジショニングマップに、前記格納した自己のアドレスが存在しないと判定した時に、前記電子装置が、前記バイパス回路により前記ループ状伝送路からバイパスされたと判断するステップとを有することを特徴とするループ接続された電子装置の異常検出方法。
【0079】
(付記2) 前記電子装置が、前記バイパス回路により前記ループ状伝送路からバイパスされたと判断した時に、前記電子装置は、故障解析に必要な内部データを保存するステップを更に有することを特徴とする付記1のループ接続された電子装置の異常検出方法。
【0080】
(付記3)前記電子装置が、前記ループ伝送路上の他の電子装置に対し、送信元と送信先のみが使用できるオープンプリミティブを、前記ループ伝送路を介し、送信し、前記電子装置が、前記オープンプリミティブを前記ループ伝送路から受信したか否かを判定する監視ステップと、前記電子装置が、前記オープンプリミティブを前記ループ伝送路から受信したと判定した時に、前記他の電子装置が前記バイパス回路により前記ループ状伝送路からバイパスされたと判断し、前記ループ構成の構築ステップを開始するステップとを更に有することを特徴とする付記1のループ接続された電子装置の異常検出方法。
【0081】
(付記4)前記ループ伝送路が、FC_ALで構成され、前記ループ伝送路上のループマスターから前記ポジショニングマップフレームを送信することを特徴とする付記1のループ接続された電子装置の異常検出方法。
【0082】
(付記5) 前記保存ステップは、前記電子装置が、前記バイパス回路により前記ループ状伝送路からバイパスされたと判断した時に、前記電子装置は、故障解析に必要な内部データを既に保存したか否かを判定するステップと、前記電子装置が、前記内部データを既に保存していないと判定した時に、前記電子装置は、前記内部データを保存するステップとを有することを特徴とする付記2のループ接続された電子装置の異常検出方法。
【0083】
(付記6)前記監視ステップは、前記電子装置が、前記他の電子装置に対し、前記オープンプリミティブに続いて、クローズプリミティブを送信するステップとを有し、前記電子装置が、前記オープンプリミティブを前記ループ伝送路から受信しないで、前記クローズプリミティブを受信したと判定した時に、前記他の電子装置が前記バイパス回路により前記ループ状伝送路からバイパスされていないと判断するステップを更に有することを特徴とする付記3のループ接続された電子装置の異常検出方法。
【0084】
(付記7)前記電子装置が、データを保存するための記憶装置で構成されたことを特徴とする付記1のループ接続された電子装置の異常検出方法。
【0085】
(付記8)前記記憶装置が、磁気ディスク装置で構成されたことを特徴とする付記7のループ接続された電子装置の異常検出方法。
【0086】
(付記9)ループ状伝送路に、バイパス回路を介して接続された電子装置において、前記ループ状伝送路からの信号を受信する受信回路と、前記バイパス回路に信号を送信する送信回路と、前記伝送路でのアドレスを登録するためのポジショニングマップフレームを受信し、前記受信したポジショニングマップフレームに、自己のアドレスを格納して、更新して、前記更新したポジショニングマップフレームを、前記バイパス回路を介し、ループ状伝送路に送信するループイニシャライズ処理を実行する制御回路とを有し、前記制御回路は、前記ループ状伝送路を一巡して更新された前記ポジショニングマップフレームを受信し、前記受信したポジショニングマップに、前記格納した自己のアドレスが存在するか否かを判定し、前記受信したポジショニングマップに、前記格納した自己のアドレスが存在しないと判定した時に、前記バイパス回路により前記ループ状伝送路からバイパスされたと判断することを特徴とするループ接続された電子装置。
【0087】
(付記10) 前記制御回路は、前記バイパス回路により前記ループ状伝送路からバイパスされたと判断した時に、故障解析に必要な内部データを保存することを特徴とする付記9のループ接続された電子装置。
【0088】
(付記11)前記制御回路は、前記ループ伝送路上の他の電子装置に対し、送信元と送信先のみが使用できるオープンプリミティブを、前記ループ伝送路を介し、送信し、前記オープンプリミティブを前記ループ伝送路から受信したか否かを判定し、前記オープンプリミティブを前記ループ伝送路から受信したと判定した時に、前記他の電子装置が前記バイパス回路により前記ループ状伝送路からバイパスされたと判断し、前記ループイニシャライズ処理を開始することを特徴とする付記9のループ接続された電子装置。
【0089】
(付記12)前記ループ伝送路が、FC_ALで構成され、前記ループ伝送路上のループマスターから前記ポジショニングマップフレームを送信することを特徴とする付記9のループ接続された電子装置。
【0090】
(付記13) 前記制御回路は、前記電子装置が、前記バイパス回路により前記ループ状伝送路からバイパスされたと判断した時に、前記内部データを既に保存したか否かを判定し、前記内部データを既に保存していないと判定した時に、前記電子装置は、前記内部データを保存することを特徴とする付記10のループ接続された電子装置。
【0091】
(付記14)前記制御回路は、前記他の電子装置に対し、前記オープンプリミティブに続いて、クローズプリミティブを送信し、前記オープンプリミティブを前記ループ伝送路から受信しないで、前記クローズプリミティブを受信したと判定した時に、前記他の電子装置が前記バイパス回路により前記ループ状伝送路からバイパスされていないと判断することを特徴とする付記11のループ接続された電子装置。
【0092】
(付記15)前記電子装置が、データを保存するための記憶装置で構成されたことを特徴とする付記9のループ接続された電子装置。
【0093】
(付記16)前記記憶装置が、磁気ディスク装置で構成されたことを特徴とする付記16のループ接続された電子装置。
【0094】
(付記17)前記電子装置が、前記ループ状伝送路と前記バイパス回路とが設けられバックプレーンに、接続及び取り外しできる構成を有することを特徴とする付記1のループ接続された電子装置。
【産業上の利用可能性】
【0095】
ループ伝送路のループイニシャライズ処理で、自己のアドレスを登録したポジショニングマップを受信し、自己のアドレスが登録されているか判定するため、ループ接続された電子装置が、バイパス回路でループ伝送路からバイパスされたかを、既存のシーケンスを用いて、判定できる。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】本発明のループ状伝送路を用いてシステムの一実施の形態の構成図である。
【図2】図1の磁気ディスク装置とバックプレーンとの説明図である。
【図3】図1の磁気ディスク装置が、バイパスされた状態の説明図である。
【図4】図1の磁気ディスク装置が、バイパスされていない状態の説明図である。
【図5】図1の電子装置の一実施の形態の構成図である。
【図6】図1のループ伝送路のイニシャライズ時のポジショニングマップのフレームのフォーマット図である。
【図7】図1、図5の電子装置のLIRP受信処理フロー図である。
【図8】電子装置が、図4のバイパスされない場合のLIRPフレームの説明図である。
【図9】電子装置が、図3のバイパスされた場合のLIRPフレームの説明図である。
【図10】本発明の第1の実施の形態の電子装置の異常検出処理フロー図である。
【図11】図10の収集データの説明図である。
【図12】本発明の第2の実施の形態の電子装置の異常検出処理フロー図である。
【符号の説明】
【0097】
1,1−1〜1−N 磁気ディスク装置(電子装置)
2 ストレージシステム
3 ストレージコントロールユニット
4 ホスト装置
5 FCループ
6 バックプレーン
6−1〜6−N ポートバイパス回路(PBC)
10 磁気ディスク
12 VCM
14 磁気ヘッド
20 HDC
22 バッファ
24 MPU
30 インタフェース制御回路
RX レシーバ
TX トランスミッタ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ループ状伝送路に、各々バイパス回路を介して接続された複数の電子装置の各々が、前記ループ状伝送路からの前記伝送路でのアドレスを登録するためのポジショニングマップフレームを受信し、前記受信したポジショニングマップフレームに、自己のアドレスを格納して、更新して、前記更新したポジショニングマップフレームを、前記バイパス回路を介し、ループ状伝送路に送信するループ構成を構築するステップと、
前記ループ状伝送路を一巡して更新された前記ポジショニングマップフレームを受信するステップと、
前記電子装置が、前記受信したポジショニングマップに、前記格納した自己のアドレスが存在するか否かを判定するステップと、
前記受信したポジショニングマップに、前記格納した自己のアドレスが存在しないと判定した時に、前記電子装置が、前記バイパス回路により前記ループ状伝送路からバイパスされたと判断するステップとを有する
ことを特徴とするループ接続された電子装置の異常検出方法。
【請求項2】
前記電子装置が、前記バイパス回路により前記ループ状伝送路からバイパスされたと判断した時に、前記電子装置は、故障解析に必要な内部データを保存するステップを更に有する
ことを特徴とする請求項1のループ接続された電子装置の異常検出方法。
【請求項3】
前記電子装置が、前記ループ伝送路上の他の電子装置に対し、送信元と送信先のみが使用できるオープンプリミティブを、前記ループ伝送路を介し、送信し、前記電子装置が、前記オープンプリミティブを前記ループ伝送路から受信したか否かを判定する監視ステップと、
前記電子装置が、前記オープンプリミティブを前記ループ伝送路から受信したと判定した時に、前記他の電子装置が前記バイパス回路により前記ループ状伝送路からバイパスされたと判断し、前記ループ構成の構築ステップを開始するステップとを更に有する
ことを特徴とする請求項1のループ接続された電子装置の異常検出方法。
【請求項4】
ループ状伝送路に、バイパス回路を介して接続された電子装置において、
前記ループ状伝送路からの信号を受信する受信回路と、
前記バイパス回路に信号を送信する送信回路と、
前記伝送路でのアドレスを登録するためのポジショニングマップフレームを受信し、前記受信したポジショニングマップフレームに、自己のアドレスを格納して、更新して、前記更新したポジショニングマップフレームを、前記バイパス回路を介し、ループ状伝送路に送信するループイニシャライズ処理を実行する制御回路とを有し、
前記制御回路は、前記ループ状伝送路を一巡して更新された前記ポジショニングマップフレームを受信し、前記受信したポジショニングマップに、前記格納した自己のアドレスが存在するか否かを判定し、前記受信したポジショニングマップに、前記格納した自己のアドレスが存在しないと判定した時に、前記バイパス回路により前記ループ状伝送路からバイパスされたと判断する
ことを特徴とするループ接続された電子装置。
【請求項5】
前記制御回路は、前記ループ伝送路上の他の電子装置に対し、送信元と送信先のみが使用できるオープンプリミティブを、前記ループ伝送路を介し、送信し、前記オープンプリミティブを前記ループ伝送路から受信したか否かを判定し、前記オープンプリミティブを前記ループ伝送路から受信したと判定した時に、前記他の電子装置が前記バイパス回路により前記ループ状伝送路からバイパスされたと判断し、前記ループイニシャライズ処理を開始する
ことを特徴とする請求項4のループ接続された電子装置。
【請求項1】
ループ状伝送路に、各々バイパス回路を介して接続された複数の電子装置の各々が、前記ループ状伝送路からの前記伝送路でのアドレスを登録するためのポジショニングマップフレームを受信し、前記受信したポジショニングマップフレームに、自己のアドレスを格納して、更新して、前記更新したポジショニングマップフレームを、前記バイパス回路を介し、ループ状伝送路に送信するループ構成を構築するステップと、
前記ループ状伝送路を一巡して更新された前記ポジショニングマップフレームを受信するステップと、
前記電子装置が、前記受信したポジショニングマップに、前記格納した自己のアドレスが存在するか否かを判定するステップと、
前記受信したポジショニングマップに、前記格納した自己のアドレスが存在しないと判定した時に、前記電子装置が、前記バイパス回路により前記ループ状伝送路からバイパスされたと判断するステップとを有する
ことを特徴とするループ接続された電子装置の異常検出方法。
【請求項2】
前記電子装置が、前記バイパス回路により前記ループ状伝送路からバイパスされたと判断した時に、前記電子装置は、故障解析に必要な内部データを保存するステップを更に有する
ことを特徴とする請求項1のループ接続された電子装置の異常検出方法。
【請求項3】
前記電子装置が、前記ループ伝送路上の他の電子装置に対し、送信元と送信先のみが使用できるオープンプリミティブを、前記ループ伝送路を介し、送信し、前記電子装置が、前記オープンプリミティブを前記ループ伝送路から受信したか否かを判定する監視ステップと、
前記電子装置が、前記オープンプリミティブを前記ループ伝送路から受信したと判定した時に、前記他の電子装置が前記バイパス回路により前記ループ状伝送路からバイパスされたと判断し、前記ループ構成の構築ステップを開始するステップとを更に有する
ことを特徴とする請求項1のループ接続された電子装置の異常検出方法。
【請求項4】
ループ状伝送路に、バイパス回路を介して接続された電子装置において、
前記ループ状伝送路からの信号を受信する受信回路と、
前記バイパス回路に信号を送信する送信回路と、
前記伝送路でのアドレスを登録するためのポジショニングマップフレームを受信し、前記受信したポジショニングマップフレームに、自己のアドレスを格納して、更新して、前記更新したポジショニングマップフレームを、前記バイパス回路を介し、ループ状伝送路に送信するループイニシャライズ処理を実行する制御回路とを有し、
前記制御回路は、前記ループ状伝送路を一巡して更新された前記ポジショニングマップフレームを受信し、前記受信したポジショニングマップに、前記格納した自己のアドレスが存在するか否かを判定し、前記受信したポジショニングマップに、前記格納した自己のアドレスが存在しないと判定した時に、前記バイパス回路により前記ループ状伝送路からバイパスされたと判断する
ことを特徴とするループ接続された電子装置。
【請求項5】
前記制御回路は、前記ループ伝送路上の他の電子装置に対し、送信元と送信先のみが使用できるオープンプリミティブを、前記ループ伝送路を介し、送信し、前記オープンプリミティブを前記ループ伝送路から受信したか否かを判定し、前記オープンプリミティブを前記ループ伝送路から受信したと判定した時に、前記他の電子装置が前記バイパス回路により前記ループ状伝送路からバイパスされたと判断し、前記ループイニシャライズ処理を開始する
ことを特徴とする請求項4のループ接続された電子装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−56742(P2010−56742A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−218136(P2008−218136)
【出願日】平成20年8月27日(2008.8.27)
【出願人】(309033264)東芝ストレージデバイス株式会社 (255)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年8月27日(2008.8.27)
【出願人】(309033264)東芝ストレージデバイス株式会社 (255)
【Fターム(参考)】
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