レシピ生成装置、検査支援装置、検査システムならびに記録媒体。
【課題】設計レイアウトに記録された情報を、直接、解析して、所望の領域を抽出し、この抽出方法を用いて検査レシピを生成し、効率的な検査を実現する。
【解決手段】設計レイアウトデータの階層情報を解析して、その内部データであるセル一つ一つが設計レイアウトデータ内での参照回数を計算して、参照回数の多い順に並び替えて、対象を探索し、その上位セルを追跡することによって、メモリマットなどの所望の回路モジュールの領域抽出を容易にする。
【解決手段】設計レイアウトデータの階層情報を解析して、その内部データであるセル一つ一つが設計レイアウトデータ内での参照回数を計算して、参照回数の多い順に並び替えて、対象を探索し、その上位セルを追跡することによって、メモリマットなどの所望の回路モジュールの領域抽出を容易にする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パターンが形成された試料の検査時、計測時あるいは欠陥レビュー時に、検査領域、計測領域あるいはレビュー領域を設定する方法、当該領域設定のために使用される装置、あるいは上記検査領域の設定方法を実行する機能を備えた検査装置ないし計測装置に関する。
【0002】
また、上記領域設定工程を生成過程に含む検査レシピ、計測レシピあるいは欠陥レビューレシピを生成するレシピ生成装置あるいは当該レシピ生成装置で使用されるプログラム、プログラムが格納された記録媒体に関する。
【背景技術】
【0003】
従来、半導体前工程ウエハ製造における歩留り低下の主原因は、半導体ウエハ上にランダムに発生する異物であり、この異物を低減することで歩留りを維持できていた。しかし、近年、半導体デバイスの微細化が進むにつれ、設計レイアウトに依存した欠陥の比率が高まってきている。
【0004】
このレイアウト依存性のある欠陥は、システマティック欠陥と呼ばれている。例えば、リソグラフィーのプロセスマージン狭隘化に伴って発生する欠陥はホットスポットと呼ばれる。また、設計レイアウトにおけるメモリ部とそれ以外の領域の境界において欠陥が生じる場合がある。上記境界部はパターン密度が不均一となりやすく、このような不均一さが原因となって、リソグラフィー、CMP、エッチングといった半導体デバイスの製造プロセスに異常を来たし、その結果、欠陥が発生する。このような欠陥はマット端不良と呼ばれる。
【0005】
これらの欠陥を低減するため、その製造途中において、暗視野ならびに明視野の光学式、もしくは電子ビーム方式などの欠陥検査装置で検査が行われていた。しかし、近年のパターン微細化に伴い、光学式の欠陥検査装置では、その分解能の限界から、微小な欠陥を見逃す場合が多くなってきた。一方、電子ビーム方式では、分解能は要求を満たすものの、単位時間あたり検査可能な面積に限りがあり、実用的な時間内にウエハ全面やチップ全面を検査できないという問題があった。
【0006】
そこで最近では、上記のマット端不良など、ある程度、発生箇所が予測可能な欠陥については、その発生箇所を高分解能の電子ビームで重点的に検査する手法が採られるようになってきた。
【0007】
また、ホットスポットについても、リソグラフィーシミュレーションの結果に基づいて、露光マージンの狭いパターンの発生箇所をある程度予想し、このような予想箇所を高分解能の電子ビームを用いてパターンの一次元あるいは二次元の形状評価を行うことが一般に行われている。
【0008】
ここで問題となるのが、電子ビームで検査すべき場所の指定やそのときの検査条件の設定を、いかに短時間で簡単にできるかである。ホットスポットの座標情報は、リソグラフィーシミュレーションの結果から求めることができるが、マット端不良の場合は、メモリ領域端部の位置情報を何らかの形で取得する必要がある。この問題に対するアプローチとして、パターンの設計レイアウト情報を用いてメモリ領域やロジック領域といった検査領域を特定することが古くから着想されており、いくつかの手法が報告されている。
【0009】
たとえば、特許文献1には、設計レイアウトデータから特定の領域を抽出するために、設計レイアウトデータ上の特定のデータセットに、識別子、色、数値あるいは名称といったラベルを予め付与する発明が開示されている。
【0010】
また、特許文献2には、GDSIIやOASISなどの業界標準フォーマットを含む設計レイアウトデータからフーリエ分析などの数学的手法を用いて周期構造を抽出し、得られた周期構造の情報を設計レイアウトデータから合成されるレイアウトパターン上にマッピングすることにより、設計レイアウトデータから検査対象となる特定構造を抽出する発明が開示されている。
【0011】
さらにまた、特許文献3には、設計レイアウトデータを格子状に分割し、各格子毎にパターン密度を計算してパターン密度が同程度の領域をグループ化することにより、レイアウトパターンをセル部や非セル部といった機能モジュールの構造単位に分割する発明が開示されている。分割された領域は検査対象領域(特許文献3の記載においては部分検査領域)として設定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第6483937号公報
【特許文献2】特表2005−514774号公報(米国特許第6886153号公報)
【特許文献3】特開2002−323458号公報(米国特許第7231079号公報)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上記特許文献1〜3に示されるように、検査あるいは計測において、検査あるいは計測を行うべき場所をどのように設定するかは非常に重要である。しかしながら、検査対象となる実際の物理パターンを設計レイアウトデータと関連付けることはそれほど容易ではない。
【0014】
例えば、特許文献1に記載の発明の場合、設計レイアウトデータ上の特定のデータセットにラベルを付与するという準備作業が発生するが、この作業をどのように実行するか乃至自動化するかの詳細については全く開示がない。また、付与したラベルの情報はデータベース化する必要があるが、設計データのデータサイズは、すでに数十ギガバイトを超えるオーダが一般的となっており、データを加工する工数が膨大となることや、加工したデータを別に保存することで、膨大な容量の記憶装置を用意する必要が生じてしまう。さらに、一般的な設計レイアウトデータのデータフォーマットには、製造プロセスにおける検査を見越した識別子などを格納する部位は含まれていない場合が多く、設計レイアウトデータとラベルとの対応を別ファイルとして管理する必要も生じる。
【0015】
また、特許文献2に記載のように、フーリエ分析などの数学的手法により設計レイアウトデータの周期構造を分析する発明の場合、近年開発されている多機能な半導体デバイス(例えばグラフィックスチップ機能や通信機能を有するマイクロプロセッサ)の様に1つのチップに多数の異なる機能の回路ブロックが搭載されている場合、レイアウトが複雑化し、効率的にかつ精度良く周期構造を特定することが困難であるという問題がある。
【0016】
特許文献3に記載の発明の場合、レイアウトパターンのパターン密度計算に膨大な時間を要するという問題がある。近年では、半導体デバイスやフラットパネルディスプレイなどのレイアウトパターンは飛躍的に高集積化しており、領域設定をパターン密度計算により実用的な時間内で行うことは困難である。また、密度が同じであれば機能・構造が同じ領域と判断してしまうため、試料上に実際に形成されたパターンと領域境界の食い違いが生じ、よって領域設定が正しく行われない場合もあった。
【0017】
さらに本質的な問題として、設計レイアウトデータの構造解析結果から検査対象となるターゲットパターンを特定するためのツールが従来は存在せず、従って、上記の各特許文献に記載された各種の設計レイアウトデータの構造解析手法を有効に活用することができなかった。
【0018】
そこで、本発明は、設計レイアウトデータからの所望領域の抽出を従来よりも高速に実現できる方法および装置を提供することを目的とする。
【0019】
また、本発明の別の目的として、各種の解析手法により求められる設計レイアウトデータの階層構造の情報と検査対象となるターゲットパターンを対応付けることができるツールを提供することを目的とする。
【0020】
さらには、上記の高速な抽出機能あるいは上記ツールを搭載したレシピ生成装置、さらには当該レシピ生成装置と検査装置、観察装置あるいは計測装置とを組み合わせた検査システム、観察システムあるいは計測システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明は、検査、観察あるいは計測の対象となるパターンの設計レイアウトデータからパターンの階層情報を読み取り、当該階層情報に基づき対象領域を設定する点を特徴とする。具体的には、設計レイアウトデータからパターンに含まれるセルあるいは機能領域間の参照関係を分析し、当該結果に基づき対象領域を特定することを特徴とする。
【0022】
また本発明は、各種の解析手法により取得された設計レイアウトデータの階層構造の情報と、設計レイアウトデータを画像展開して得られるパターンとを画面上で対比し、上記階層構造の各階層とパターンとを対応付け可能なユーザインターフェースを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、所望の検査ないし観察ないし計測の対象領域を設計レイアウトデータから直接かつ従来よりも高速に抽出することが可能となる。抽出原理が簡単であるため演算処理に要する時間も従来法より短く、従って、レシピ生成を従来よりも短時間でかつ簡単に行うことが可能となる。
【0024】
また、本発明によれば、設計レイアウトデータの階層構造の解析結果とレイアウトパターンとを対応付けるツールが提供されるため、所望の検査ないし観察ないし計測の対象領域と簡便に設定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】半導体ウエハ上に形成されたセルの配置を示す図。
【図2】設計レイアウトデータによって記述される一般的なセル階層構造の説明図。
【図3】実施例1のレシピ生成装置および当該レシピ生成装置に接続される各種装置の配置を示す図。
【図4】実施例1のレシピ生成装置を用いたレシピ生成手順および検査装置での検査実行手順を示すフローチャート。
【図5】セル階層構造の解析結果を示す図。
【図6】実施例1の検査領域の設定手順を説明する補足図。
【図7】メモリマット内におけるターゲットパターン内検査領域設定のバリエーションを示す図。
【図8】検査対象であるチップの選択方式のバリエーションを示す図。
【図9】実施例1のレシピ生成装置のGUI画面の一例。
【図10】実施例2のマット端検査の概要図。
【図11】実施例3の検査支援装置および当該検査支援装置に接続される各種装置の配置を示す図。
【図12】検査支援装置で実行されるプログラムの実行ステップを示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0026】
(実施例1)
本実施例では、半導体ウエハ上に形成されたパターンのうち、メモリマットの端部(以下、マット端)を検査領域として抽出する処理を実行するレシピ生成装置の実施例について説明する。以下、本実施例について図面を参照しながら説明する。
【0027】
まず、マット端検査の概要について、図1を用いて説明する。図1(a)に、検査対象であるウエハ1上にチップ2が配列された様子を模式的に示す。検査においては、ウエハ1上のチップがすべて検査対象になる場合もあれば、図示したように、検査チップ3を指定した抜き取り検査が行われる場合もある。
【0028】
図1(b)には、チップ2の設計レイアウト5を示す。設計上は、検査チップ3の設計レイアウトもチップ2と同様である。図1(b)は、8個のメモリマットA6と1個のメモリマットB6′が1つのチップ上に搭載された構造のチップを示す。メモリマットA6とB6′の4つの角部(コーナー)付近に示される丸枠はマット端7を示し、前述したマット端検査とは、これらのマット端7を検査するものである。ただし、マット端の定義は図1(b)に限られず、種々の指定方法がある。
【0029】
図1(c)には、マット端検査で得られる画像の一例を示す。図1(c)の左側は良品のマット端検査画像9を示し、図1(c)の右側は不良品のマット端検査画像9′を示している。不良品のマット端検査画像9′においては、パターンが均一に形成されておらず、メモリマットの角部に近づくにつれてパターンが矮小化している。検査は、複数のマット端検査画像9を3者比較することにより行われる。または、良品のマット端検査画像9を用意するか、設計レイアウトデータを画像展開して得られるレイアウトパターンの画像あるいは当該レイアウトパターンに露光シミュレーションを施して得られるパターンの画像とマット端検査画像とを2者比較しても不良パターンを検出することができる。マット端検査の対象としては、DRAM、SRAM、フラッシュメモリを代表とするメモリ製品だけでなく、これらの回路が組み込まれたシステムLSIであってもよい。以上が一般的に行われているマット端検査であるが、必ずしも以上に限定されない。なお以降の説明で、“レイアウトパターン”とは、設計レイアウトデータを画像展開して得られるパターンあるいは当該パターンの画像を意味するものとする。
【0030】
次に、図2および図3を用いて、半導体の設計レイアウトのセル階層構造および半導体デバイスのレイヤ構造について簡単に説明する。
【0031】
一般に、半導体デバイスの設計レイアウトデータは階層構造を有しており、セルと呼ばれる基本単位を用いて記述されている。ここでセルとは、集積回路の設計レイアウトデータ中で繰返し用いられるパターンデータの集まり、または論理的あるいは機能的に意味のあるパターンデータの集まりである。データ上、複数のセルの集合物に名前を付けて新たなセルとして取り扱うことも可能である。また、機能的に意味のあるパターンデータをセルとすれば、このようなセルに対応するパターンは、チップレイアウト上ではある機能を持った機能領域を構成する。
【0032】
一般的な設計レイアウトのセル階層構造を説明するため、図2に各階層のセルを画像展開して得られるパターンを階層的に示す。階層構造の最上位であるルートセルには、一つのチップ全体のパターン情報が収められており、ルートセル全体を画像展開すると、パターン57で表わされるパターンが得られる。このルートセルの一段階下位のセルとして、パターン57の最外周の枠に相当するパターン50に対応するセルAが配置されている。
【0033】
設計レイアウトデータでは、このようなセル間の階層構造を保持するようにデータ構造が定義されている。まず、レイアウトのルートセルについて、各セルの名称とそのセルが含む1つ下の階層のセルへのリンク情報が格納される。そして、その下層のセルについても同様にその名称と更にその1つ下の階層のセルへのリンク情報が格納される。このようなセル間の関係を、さらに下の階層に対して繰り返し適用し、レイアウト内の全てのセルについての情報を格納する。
【0034】
従って、このような設計レイアウトデータの構造を活用すべく、データを構成するセル通しのリンク関係を調べ、その参照回数をカウントすれば、セルの階層関係や階層数を検出することができる。
【0035】
実際のパターンは、設計レイアウトを元に作成された複数枚のマスクを用いて、露光プロセス(レジスト塗布→マスクを用いた露光→現像)にて作成される。なお、各セルに対応するパターンを形成する際に、複数のフォトマスクが使用される場合や、逆に、1つのフォトマスクで、複数のセルに対応するパターンを形成する場合もある。従って、設計レイアウトデータの階層構造は、設計レイアウトデータを用いて実際に製造される半導体デバイスの物理的な層構造とは異なる場合もある。
【0036】
このように、設計データは最下位のセルを単位とする階層構造で定義されており、下位のセルが上位のセルに参照されることで、複雑なパターンを記述することが可能となっている。以降の説明では、あるセルに対する上位階層のセルを親セル、下位の階層のセルを子セル、孫セルと呼ぶ場合もある。
【0037】
次に、図2で説明した設計レイアウトデータの階層構造を利用して、半導体デバイスのメモリマット端を検査領域として設定する検査レシピの生成方法について説明する。本事例では、設計レイアウトが非常に単純化されているが、実際の半導体は高集積化が進んでいるため、複雑な構造となっている。複雑な構造においても、簡便にレシピ設定をするために、参照回数と上位セル追跡を用いた方式について、以下に述べる。
【0038】
図3には、本実施例のレシピ生成装置と、当該レシピ生成装置に接続される各種装置の配置を示す。半導体デバイスの製造工程は、通常、清浄な環境で保たれたクリーンルーム20内で処理される。クリーンルーム20内に、製品ウエハの欠陥の検査を行う光学式検査・計測装置21、SEM式検査・計測装置22といった光学式あるいはSEM式の検査装置を設置する。これら両者を設置してもよい。
【0039】
光学式検査・計測装置21には、欠陥検査のための暗視野欠陥検査装置や明視野欠陥検査装置、パターン寸法計測のためのスキャットロメトリ式計測装置などが含まれる。一方、SEM式検査・計測装置22には、欠陥検査のための電子ビーム欠陥検査装置、欠陥検査ならびに検出した欠陥の高分解能SEM像が取得可能な欠陥レビューSEM、パターン寸法計測のための測長SEMなどが含まれる。これらの光学式検査・計測装置21とSEM式検査・計測装置22の取得データは、通信ネットワーク25を介して接続した欠陥情報サーバ26に転送され、保存される。
【0040】
光学式検査・計測装置21とSEM式検査・計測装置22で用いるレシピを生成するため、レシピ生成装置30を配置し、通信ネットワーク25と接続して、生成したレシピを転送できるようにしておく。レシピ生成装置30は、設計レイアウトデータを用いてレシピ生成を行う機能を有し、通信ネットワーク25を介して、検査対象の設計レイアウトデータが保存されている設計データサーバ27と接続される。レシピ設定に使用される設計レイアウトデータは、GDS−IIやOASISといった業界標準のフォーマットが望ましいが、必ずしもこれに限定されない。なお、図1に示したデータの授受については、通信ネットワーク経由をベースとしているが、ハードディスクドライブやメモリスティックといった記録媒体経由でも可能である。
【0041】
レシピ生成装置30は、ワークステーションやパーソナルコンピュータなどによって構成され、光学式検査・計測装置21とSEM式検査・計測装置22で用いられるレシピの生成を支援する機能を備える。具体的には、他の装置やサーバとのデータ授受を行うネットワークインターフェース31、設計レイアウトデータやすでに生成されたレシピやレシピ生成プログラムなど必要な情報を格納するストレージ装置32、レシピ生成装置30の機能を実現するために必要な演算処理を実行するプロセッサ33、当該プロセッサ33で使用されるプログラムや演算処理上必要となるテーブルなどが格納されるメモリ34、設計レイアウト5やオペレータが指示内容を入力するためのGUI(Graphical User Interface)が表示されるディスプレイ、GUIを操作するためのキーボード、ポインティングデバイス(マウス等)などのユーザインターフェース35などを含んで構成される。プロセッサ33で実行される処理としては、例えば、設計データサーバ27から取得した設計レイアウトデータをシステム内に読み込めるようにするための図形変換や、ユーザの要求に応じた設計レイアウトの表示処理や、設計レイアウトデータのセル階層構造の解析処理などがある。
【0042】
次に、図4を用いて、レシピ生成装置30から検査装置(光学式検査・計測装置21とSEM式検査・計測装置22の総称)にレシピを送り、検査を実行するまでの手順を説明する。
【0043】
図4は、レシピ生成から検査実行までのフローチャートであり、ステップ81から87までがレシピ生成装置側での処理を、ステップ90から92までが検査装置側での処理に対応する。
【0044】
ステップ80では、レシピ生成装置30は装置オペレータのレシピ生成処理開始の指示待ち状態であり、装置オペレータの開始の入力を契機としてレシピ生成処理開始が開始される。
【0045】
レシピ生成処理開始が開始されると、プロセッサ33は、はじめに、設計レイアウトデータの読み込みを開始し、ストレージ装置32に格納する。その際プロセッサ33は、GUIの操作など装置ユーザの指示に従い、検査を行う対象物理レイヤの情報を予め取得しておき、そのレイヤの形成に関係する設計レイアウトデータのみを読み込むこととする。同時に、設計レイアウトデータを画像展開してレイアウトパターンを描画する処理が実行され、ディスプレイ上に表示する(ステップ81)。これにより、設計レイアウトデータ上でのレシピ設定が可能な状態となる。
【0046】
次に、プロセッサ33は、設計レイアウト5と検査装置での座標系の原点合わせ処理を実行する(ステップ82)。検査装置では、チップの左下隅を原点とする場合が多いのに対して、設計レイアウトはチップの中央を原点とする場合がしばしばあるため、両者の座標系を合わせるために、設計レイアウトにおいて検査装置で用いる原点を登録することで、原点合わせを行う。この原点合わせ処理は、検査装置で用いる原点が既に分かっている場合には、プロセッサ33がストレージ装置32あるいはメモリ34に格納されている数値を読み出して実行するが、上記原点が分かっていない場合には、装置オペレータがGUI画面を介して設定を行う。
【0047】
次に、設計レイアウトデータを解析して検査対象とするターゲットパターンの探索を行い(ステップ83)、この結果を用いて、撮像視野(FOV:Field Of View)のサイズや検査領域等の条件設定を行う(ステップ84)。本実施例のマット端部の抽出処理はこのステップ83で実行される。
【0048】
ステップ84の条件設定では、例えば、電子線を用いた検査の場合、視野サイズや検査領域だけでなく、ビーム電流、加速電圧、スキャンスピード、フレーム加算回数、オートフォーカスの有無、アドレッシングの有無やこれに伴う各種設定などを適宜設定しておくことも可能である。
【0049】
次に、ウエハ内チップ配列情報の取得もしくは作成とチップ選択を行う(ステップ85)。このチップ選択85は、回路ブロックの探索83の前に行っても良い。
【0050】
ステップ86では、仮決定した検査シーケンスの確認処理を行い、検査領域が正しく設定されたかどうかの確認作業を行う。この作業は、装置オペレータが、セル毎のパターンをレイアウトパターン上でスライドショー表示して目視確認することにより行うことができる。また、GUI上には検査の予想時間が表示されるため、検査にかかる時間が長すぎないかどうかを確認することができる。確認後、装置オペレータがGUI上に表示される送信ボタンをクリックすると、生成したレシピの検査装置へのアップロード処理が実行される(ステップ87)。
【0051】
次に、検査装置側での手順について述べる。はじめに、必要に応じて、送られてきたレシピの確認や補充90を行う。送られてきたレシピだけで検査が可能であれば、必要はないが、不足な情報があれば、適宜補充して登録する。次に、ビーム調整や試料のアライメントなどの検査準備91を行う。準備が整ったところで、レシピに基づいて実際の検査を実行する(ステップ92)。
【0052】
次に、レシピ生成装置30で実行される設計レイアウトデータの解析処理と、当該解析処理に基づく検査領域の設定処理の詳細について説明する。
【0053】
図4に示したフローチャートの処理ステップがステップ84に遷移すると、レシピ生成装置30に格納されたプロセッサ33は、ストレージ装置32に格納された設計レイアウトデータを読み込み、設計データのセル階層構造の解析処理を開始する。
【0054】
具体的には、GDSIIやOASISなど、各種のフォーマットで記述された設計レイアウトのデータを読み込み、ルートセルに相当するデータを特定し、ルートセルからリンクされているデータを探索し、リンク先がセルかどうかを判定し、セルであれば当該セルのカウント値を1だけインクリメントし、リンク先のデータのさらにリンク先を探索する処理を繰り返すことにより、設計レイアウトデータの構造を解析する処理を実行する。以上の要領により、各階層に配置されているセルの参照セル(あるいは被参照セル)を数え上げる処理が実行される。
【0055】
図5には、図2に示した階層構造の設計レイアウトデータを上述の要領で解析した結果を示す。図5の(a)は、判明したセル階層構造をツリー状に表記したものである。図の左端がルートセルに相当し、図の右にいくに従って、その下位に位置するセルを記載してある。各セル間の関係については、前述した通りである。
【0056】
図5の(b)は、各階層のセル名称とそのセルが用いられる個数、すなわち、参照回数の関係を示した表である。ここで挙げたセルを左のカラムにリストアップし、それぞれの参照回数をその右側に表示した。注意すべき点は、セルCとセルDの参照回数である。セルCは、その上位であるセルBひとつにつき、4回参照されているが、ルートセル内ではセルBが2回、セルBの上位セルであるセルAが1回参照されているため、全体における合計の参照回数は、その乗算結果である8回となる。同様に、セルDは、セルBひとつにつき、24回参照されており、セルBが8回参照されているため、全体における合計の参照回数は、その乗算結果である192回となる。
【0057】
さて、以上の演算処理により設計レイアウトデータの階層構造自体は解析できるが、検査、計測あるいは観察の対象とするターゲットパターンがどの階層に存在するかは未知である。ターゲットパターンとセルを対応付けるには、セル階層中のどこかのセルとこれに対応するパターンとの対応付けを少なくとも一例以上行い、対応付けが取れたセルを出発点として、ターゲットパターンに辿り着くまでセル階層を追跡すればよい。
【0058】
そこで本実施例では、上記の解析結果をレシピ生成装置30のGUI上に表示し、当該解析によるセル階層構造を装置オペレータが目視確認してターゲットパターンあるいはターゲットセルの階層を指定することにより、ターゲットパターンとターゲットセルとを対応付ける。上記のGUIは、レシピ生成装置30に備えられたディスプレイ上に表示される。
【0059】
以下、図6を用いて、設計レイアウトデータの解析結果を用いて本実施例の検査ターゲットであるマット端を特定するための手順について説明する。図5(a)に示した階層ツリーおよび図5(b)に示した表から、最下位のセルはセルDおよびセルGであること、最も参照回数の多いセルはセルDであり、セルDはセルBの孫セル、つまりセルBの系統に含まれることが分かる。また、ルートセルから見たセルBの参照回数は2回である。
【0060】
図6(a)は、検査対象領域を含むレイアウトパターンを示す図である。本実施例においては、ターゲットパターンは図6(a)中、黒丸で示されたメモリマット領域の端部であり、図6(a)中、丸枠で囲まれた領域が検査すべきエリアに相当する。なお、実際のメモリマットではメモリセルのサイズはもっと小さく、検査エリア内に多数のメモリセルが含まれるのが普通であるが、図2および図5との整合のため、図6(a)では実際の半導体デバイスよりもメモリセルの数を減らして図示している。
【0061】
図6(b)は、図5(b)に示した表を参照回数の多いセルの順に並び替えた(ソートした)テーブルである。上述の通り、最も参照回数が多いセルは192回参照されているセルDであり、セルBの系統に含まれている。一方、図5(a)に示したツリーには、別の最下位セルとしてセルGも存在し、ターゲットパターンに対応するセルを含む系統としては、セルGを包含するセルEのツリーである可能性も存在する(セルHは内部構造を持たないので、ターゲットパターンの候補としては排除される)。
【0062】
ここで、図5(a)に示す階層ツリー、図6(a)に示すレイアウトパターンおよび図6(b)に示すソート済みテーブルをそれぞれ対比すると、まずルートセル直下の階層に配置され、個数が1個かつ他の全セルを含むセルはセルAしかないことが分かる。従って、セルAに対応するパターンはパターン50であることが分かる。
【0063】
次に、最下位のセルの個数に着目すると、セルBの最下位セルであるセルDの個数は192個、セルEの最下位セルであるセルGの個数は10個である。従って、図6(a)のレイアウトパターンと対比すれば、セルDに対応するパターンがパターン53、セルGに対応するパターンがパターン56であることが分かる。レイアウトパターンを目視確認すれば、パターン53がメモリマット領域中のメモリセルであることは自明であるから、よって、ターゲットパターンであるメモリマットはセルDからセルAを結ぶツリーのいずれかのセル階層に配置されていることが分かる。
【0064】
図5(a)に示す階層ツリーによれば、セルDはセルAから分岐するセルBの系統上に存在している。従って、図6(a)のレイアウトパターン上で、セルBを起点として上位セル側からターゲットパターンを追跡するか、あるいはセルDを起点として下位セル側からターゲットパターンを追跡すれば、検査対象であるメモリマットに対応するセルを抽出することができる。いずれの側から追跡を行うかは、より早くターゲットパターンに辿り着ける側を選択すればよいが、メモリマットはメモリセルの高々数階層(1階層あるいは2階層)程度上位の構造体と考えられるから、本実施例の場合はパターン53側、すなわちセルD側から追跡を行う。
【0065】
図6(c)は、セルDの上位セルを1段階ずつ追跡してレイアウトパターンとして表示した様子を示す図である。強調のため、各階層のセルに対応するパターンは斜線で塗りつぶして表示している。図中には、セルDが属するツリー上の上位セルの参照回数を、図5に示したセル構造の解析結果から抽出して表示し直したテーブルも併せて示す。1段目のセルBの参照回数は8回であり、レイアウトパターン上でパターン52が現れる個数と一致する個数である。
【0066】
一方、レイアウトパターンを参照すると、パターン52はメモリセルであるパターン53を包含し、かつセルDを直接参照するパターンになっており、従って、パターン52すなわちセルCがターゲットパターンであるメモリマットに対応することが分かる。ここで、セルBつまりパターン51、セルAつまりパターン50のいずれもレイアウトパターン上でメモリセル以外のセルも参照しており、従って、これらのパターン50、51はメモリマットには対応しない。
【0067】
以上説明したセルとパターンとの対応付け処理は、装置上は、図5(a)、図6(a)および図6(b)(あるいは図5(a)、図6(a)および図6(b)により表わされる情報)をレシピ生成装置のGUI上に表示し、GUI操作により各セルに対応するパターンをレイアウトパターン上で強調表示させ、強調表示させるセルを順次変えてセルとパターンの対応を目視確認することにより実行される。強調表示の方法としては、例えばパターン輪郭線を太線で表示する方法や画面背景と色を変えて表示する方法、あるいは図6(c)のように斜線で塗り潰すといった方法が考えられる。
【0068】
以上の強調表示処理を実行するために、本実施例のレシピ生成装置に備えられたメモリ34には、レイアウトパターン全体でオペレータの指定したパターンおよび当該パターンと参照・被参照関係にあるパターンを強調表示する処理を行うプログラムが格納されており、プロセッサ33がこのプログラムを実行することにより、上記の表示機能が実現される。ターゲットパターンに対応するセルが判明した後は、当該セルに対応するパターンの所望領域をGUI上で指定し、最終的な検査領域として設定する。以上の作業は、後述する図8(a)に示すGUIを介して行われる。
【0069】
なお、以上の図6を用いた説明では、セル階層の最下位側からターゲットセルを追跡したが、最上位側、すなわちルートセル直下の階層のセルから追跡を開始しても検査領域を設定できることは言うまでもない。また、セル階層が複雑な場合、最下位セルと最上位セルの間に適当な中間階層セルを設定し、この中間階層セルを起点としてセルの追跡を行うことも可能である。
【0070】
対象セルが特定された後は、ターゲットパターン内のどの部分をマット端検査の検査領域とするかを指定する。マット端をどのように指定するべきかはチップの種類やデバイスの製造プロセスによって変わるため、マット端の領域指定は検査の種類に応じて必要となる。ターゲットパターン内での領域指定は、後述の図9に示すGUIを介して装置オペレータが行う。上記指定されたターゲットパターン内の検査領域には、適当な大きさの撮像視野(FOV:Field Of View)が指定され、上記領域の画像が撮像される。FOVの大きさは、検査条件や検査装置の撮像能力に応じて変わり、指定領域を一度で撮像できる場合もあれば、数回の撮像が必要な場合もある。なお、以降の説明では、ターゲットパターン内に指定された検査領域を「ターゲットパターン内検査領域」と称する。
【0071】
図7には、マット端部の領域指定のバリエーションを示す。
【0072】
図7(a)では、ターゲットパターン内検査領域をメモリマット端部の四隅に指定した例を示している。図中の四角枠がターゲットパターン内ターゲットパターン内検査領域70である。本例では、ターゲットパターン内検査領域の大きさをFOVサイズと同じに設定している。また、設計レイアウトデータは適当な原点からのセルの位置情報を内部情報として持っている。従って、本例では、ターゲットパターンであるメモリマット(パターン52)と一致するセルが何かという情報とFOVのサイズ情報が分かれば、セルの位置情報とFOVサイズからFOVを配置すべき座標を自動的に算出して設定することができる。
【0073】
図7(b)では、マット端の四隅に加えて、マットを額縁状に囲むように、四角枠で示したターゲットパターン内検査領域70を指定した場合を示している。マットの四隅の情報だけではないため、より決めこまやかなできばえ管理が可能である。
【0074】
図7(c)では、マットに対して、格子状に、四角枠で示したターゲットパターン内検査領域70を指定した場合を示している。マット中央の情報も含むため、できばえの比較に有効である。図7(b)および(c)は、ターゲットパターン1つにつき、縦横のFOV配置数を指定すれば自動設定が可能である。
【0075】
図7(d)では、マット全体を囲むように、四角枠で示したターゲットパターン内検査領域70を自動指定した場合を示している。本例では、ターゲットパターン内検査領域の大きさとFOVサイズとは一致しないので、マット内に複数のFOVを配置して、あるいはステージ連続移動形式で、メモリマットを撮像することになる。
【0076】
図7(e)では、図7(d)で設定したターゲットパターン内検査領域の大きさを、予め定義した距離だけ内側に縮退させて領域設定を行った例を示している。セルの情報と縮退量が設定されていれば、本例も自動設定が可能である。ここで、図7(d)および(e)は、走査型の検査、すなわち、明視野式や暗視野式の光学式検査、あるいは、SEM式外観検査に有効なレシピである。
【0077】
図7(f)では、図7(a)で設定した検査領域をシフトさせる方式を記載している。マット端すれすれで検査領域を設定してしまうと、SEM式欠陥レビューや寸法計測のためにステージを動かした際、ステージの停止精度が十分でない場合に、パターンをFOV内に収められなくなる可能性があるためである。拡大図1はシフト前のターゲットパターン内検査領域の配置を、拡大図2はマット端の外側にシフトさせた状態のターゲットパターン内検査領域の配置をそれぞれ示している。シフト量を予め設定しておけば、本例も自動設定が可能である。
【0078】
なお、以上の説明した自動設定の機能は、レシピ生成装置30に備えられたプロセッサ33がメモリ34に格納されたプログラムを実行することにより実現される。
【0079】
マット端検査の詳細な検査領域を指定した後は、ウエハ内の検査すべきチップを選択する。図8は、ウエハ内のチップ選択方式の種類を示したものである。図8(a)は、検査チップを縦ストライプ上に複数列配置したものである。ストライプの開始チップと選択幅および非選択のピッチを設定することで、自動設定可能である。図8(b)は、検査チップを同心円状に配置して、ウエハ外周に一列、ウエハ中央に1箇所として指定したものである。ウエハの面内分布や、特にできばえが悪くなると予想されるウエハ外周でのできばえ評価に有効である。図8(c)は、ウエハ外周4箇所とウエハ中央の5箇所をマニュアルで設定した例である。
【0080】
これらの設定を行うためには、事前にウエハ内のすべてのチップの配列情報が必要であるため、その情報を事前に取得するか、無い場合には事前に作成しておく必要がある。
【0081】
図9には、本実施例のレシピ生成装置30に付随するディスプレイ上に表示されるGUIの一例として、ユーザ画面100を示した。装置オペレータは、図4のステップ83で説明した設計レイアウトデータの解析処理が終了すると、図9(a)に示すGUIを呼び出して各種の操作を行い、図4のステップ84に相当する検査領域の設定処理を行う。
【0082】
本実施例のGUIは、種々の検査条件を設定する設定画面がタブ表示されており、セル階層解析に基づく検査領域を設定する場合、「検査領域設定」タブをクリックすることにより、図9(a)に示される設定画面を呼び出すことができる。
【0083】
図9(a)に示されるユーザ画面に表示されるボタン、ウィンドウ等の機能は以下に示す通りである。
【0084】
読込みボタンをクリックすると、設計レイアウトデータや既に登録されたレシピの読み出し処理が行われる。保存ボタンをクリックすると、編集したレシピの保存動作が行われる。送信ボタンをクリックすると、検査装置へのレシピアップロード処理が行われる。探索位置指定ボタンはセルを検索するためのボタンであり、当該ボタンをクリックすると、指定された位置に存在するセルのみが探索される。「広域」ウィンドウは、レイアウトパターンの広域表示画面であり、「詳細」ウィンドウは、広域ウィンドウに表示されたレイアウトパターンの一部をズーム表示する画面である。「参照回数」ウィンドウには、参照回数をカウントしたセルをツリーとは無関係に参照回数の多い順にリストアップしたデータが表示される。「上位セル」ウィンドウには、指定された任意のセルに対する上位セルの参照回数を抽出した結果が表示される。「参照回数」ウィンドウおよび「上位セル」ウィンドウの右側にはスクロールバーが表示されており、表示セル数が多い場合には、スクロールバーを操作して表示するセルを変えることができる。
【0085】
額縁ボタンは、メモリマットや周辺領域といったターゲットパターンの縁の部分に検査画像のFOVを配置する際に使用されるボタンであり、額縁ボタン右側の「X配置数」「Y配置数」の各ボックスに2という数値を入力して額縁ボタンをクリックすると、ターゲットパターンの縁の部分に設定数分のFOVが均等な間隔で配置される。
【0086】
同様に、「格子ボタン」は、検査画像のFOVをターゲットパターンの内部に配置する際に使用されるボタンであり、格子ボタン右側の「X配置数」「Y配置数」の各ボックスに、ターゲットパターン内部へのFOVの配置数を入力して格子ボタンをクリックすると、ターゲットパターン縁を含むパターン内部に設定数分のFOVが均等な間隔で配置される。全面ボタンをクリックすると、ターゲットパターン内部の全エリアが検査領域として設定される。
【0087】
「シフト量」ボタンは、FOVの配置をパターン端部から一定量シフトさせる場合に使用されるボタンであり、シフト量ボタン右側の「X設定量」「Y設定量」の各ボックスに適当な数値を入力してシフト量ボタンをクリックすると、ターゲットパターン縁を含むパターン内部に設定数分のFOVが均等な間隔で配置される。
【0088】
「縮退量」ボタンは、検査領域を設計データ上のターゲットパターンの外形線より若干縮小させる場合に使用されるボタンであり、例えば、ターゲットパターンがメモリマットである場合、縮退量ボタン右側の「X設定量」「Y設定量」の各ボックスに適当な数値を入力して縮退量ボタンをクリックすると、設計データ上のメモリマットの境界から設定した縮退量分だけ内部に収縮した領域が検査領域として設定される。本ボタンは、主としてターゲットパターン全面を検査(ないし計測、観察)領域として設定する場合に使用される。
【0089】
「原点合わせ」ボタンをクリックすると、レイアウトパターンと検査座標系との原点合わせ処理が実行される。また、「スライドショー」ボタンをクリックすると、レシピで指定した検査領域の確認処理が実行される。「予想時間」ボックスには、設定した検査条件での1チップあたりの検査所要時間が表示される。
【0090】
図9(b)には、図7で説明したウエハ内のチップ選択を行うためのGUI画面の一例を示した。「チップ配列・選択情報」ウィンドウは、ウエハ上のチップ配列を表示する画面であり、この画面上でポインティングデバイスを操作することにより、検査を行うチップを選択する。あるいは、選択したチップのウエハ上での配列を確認する。「チップ配列編集」ボタンは、ウエハ上でのチップ配列の編集機能をオン/オフするためのボタンであり、このボタンがアクティベートされた状態で上側の「同心円」、「縦ストライプ」、「横ストライプ」、「市松模様」および「ポイント」の各ボタンを操作すると、操作結果がチップ選択に反映される。また、「チップ配列編集」ボタンをインアクティベートすると、現在有効になっている選択チップの配列が固定化される。
【0091】
「チップ配列編集」ボタンの上側に表示されている「同心円」、「縦ストライプ」および「横ストライプ」の各ボタンは、本実施例のレシピ生成装置にデフォルトで備わっているチップの配列パターンであり、チップ選択作業の負担を軽減するためのツールとして使用される。
【0092】
「同心円」ボタン右側の「X設定値」「Y設定値」の各ボックスに適当な数値を入力し、「同心円」ボタンをクリックすると、ウエハの最外周チップから「X設定値」および「Y設定値」分だけ離れた位置のチップが同心円状に検査チップとして設定される。
【0093】
「縦ストライプ」については、ボタン右側の「分割数」「チップ数」の各ボックスに適当な数値を入力して各ボタンをクリックすると、「縦ストライプ」については、図7(a)に示されるような縦方向のストライプ状のチップ配列がウエハ横方向のチップ数を「分割数」で割った間隔に設定される。この際、ストライプを構成するチップ数は設定した「チップ数」に従って設定される。チップ数の最大設定値はウエハの直径上に存在するチップ数であるが、ウエハの形状は円状であるので、チップ数の設定値を最大設定値にした場合、ウエハの中心以外を通るストライプについてはチップ数を設定値の通りにできないことになる。従って、ウエハの中心以外を通るストライプについては、ストライプの配置箇所における最大チップ数がストライプの構成チップ数として設定される。「横ストライプ」については、ストライプの長手方向が縦から横に変わるだけで、「分割数」「チップ数」の各ボックスの機能については、「縦ストライプ」と同様である。
【0094】
「ポイント」ボタンは、検査対象チップをウエハ上で1点1点任意に指定するためのボタンであり、このボタンがアクティベートされた状態で、「チップ配列・選択情報」ウィンドウ上でポインタ操作を行い、所望のチップをクリックすると、当該チップを検査対象チップに指定することができる。対象チップを複数指定することもでき、検査対象チップをランダムに指定する場合などには、このボタンを用いて設定する。指定したチップが有効な状態で「ポイント」ボタンをインアクティベートすると、設定状態が保存され、検査レシピに反映される。「予想時間」ボックスには、1ウエハあたりの検査所要時間が表示される。
【0095】
以上説明した各ボタンあるいはウィンドウにより実現される機能は、全てメモリ34に格納された画面表示処理プログラムをプロセッサ33が実行することにより実現される。プロセッサ33は、ボタンのクリックによるオペレータ指示やボックス内へ入力された数値を読み取り、各ボタンに対応する機能やウィンドウ内への画像表示処理を実行する。
【0096】
以上、本実施例のレシピ生成装置は、設計レイアウトデータの階層構造を解析し、設計レイアウトデータ内でのセルの参照回数を数えることにより、セル間の参照関係を求めるという新規な特徴により、メモリマットなど、検査対象とする回路モジュールの探索、レシピ上での領域設定を従来よりも容易に実現することが可能となる。
【0097】
また、設計レイアウトデータのみに依存するレシピ生成が可能であるため、レシピ生成作業を検査装置、計測装置あるいは観察装置といったクリーンルーム内の装置と切り離して行うことが可能である。よって、クリーンルーム内の各装置をレシピ設定のために占有することがなく、検査装置の稼働率を向上でき、製造ラインの設備投資を抑制できる。さらに、効率的かつ効果的に検査業務を遂行することで、近年の微細デバイスで問題となっているシステマティック欠陥を検出でき、ひいては、半導体デバイスの開発、試作、および量産時の歩留りを速やかに立ち上げることが可能となる。
【0098】
(実施例2)
実施例1では、セル階層構造の特定のツリーについて、最下位セルあるいは最上位セルを特定し、当該特定ツリーを最下位セル側あるいは最上位セル側から追跡することによって、ターゲットパターンに対応するセルを特定する検査領域設定方法について説明した。
【0099】
このような検査領域設定方法は、チップ内のパターンの繰り返し性が高い場合、例えば、メモリマットがチップレイアウト内の殆どを占めるような場合には非常に有効である。しかしながら、周辺回路やロジック回路など繰り返し性が低い領域は、最上位セルあるいは最下位セルに対応するパターンが既知のパターンである確率が低く、ターゲットパターンを確実に含むツリーを特定することが難しい。
【0100】
そこで本実施例では、レイアウトパターン上の任意のパターンあるいはセル階層ツリー上の任意のセルを選択して当該選択セルを通過するツリーを抽出し、抽出されたツリーのみを追跡対象とする検査領域の設定手法について説明する。なお、本実施例のレシピ設定装置の構成および大まかな動作は実施例1と同様であり詳細説明は省略するが、説明に際しては実施例1の記載を適宜引用する。
【0101】
今、図4に示すフローチャートに沿って装置を動作させ、図5に示すセル階層構造の解析結果が得られたとし、本実施例での検査対象領域が、図1(b)に示すチップレイアウト上でメモリマットB6′のマット端であるものとする。
【0102】
メモリマットBに含まれるパターンとセルとの対応が全く分からない場合を考えると、図5(a)に示す全体ツリーからメモリマットB6′を含むセルがいずれのツリーであるかを判断するのは難しい。ルートセルからターゲットパターンを追跡すると、セルAの下には、参照回数が同じ1回のセルが、セルEとセルHの2つあり、ターゲットパターンがどちらのツリーに含まれるかは分からない。逆に最下位のセル側から追跡しようにも、メモリマットB6′に含まれるメモリセルの個数が分かっていないと参照回数だけではセルを特定することは困難である。
【0103】
そこで本実施例では、GUI上にレイアウトパターンを表示させ、特定の領域をポインティングデバイスで指定できるようにし、当該指定領域を通過するセルのツリーをツリー全体から抽出する。以下、以上の操作を図10を用いて説明する。
【0104】
図10(a)は、図8(a)に示したGUIの「広域」ウィンドウに表示されるレイアウトパターンを示す全体図である。レイアウトパターン全体図の左側は、メモリマットBの拡大図を示した。装置オペレータは、図4のステップ84の作業を行う際に、図8(a)に示すGUIの「詳細」ウィンドウ上に表示されるレイアウトパターン上でポインタ60を操作し、メモリマットB、すなわちパターン55内の任意の点、例えば探索位置60を指定する。
【0105】
レシピ生成装置30は、探索位置60が指定されると、設計レイアウトデータを解析し直し、探索位置60が含まれるセルを抽出する。設計レイアウトデータは適当な原点からのセルの位置情報を内部情報として持っているため、メモリ34に格納された、設計レイアウトデータに含まれるセルの位置情報の解析処理を行うプログラムをプロセッサ33が実行することにより、指定した探索位置60を通過するセルのみを抽出することが可能である。
【0106】
図10(b)には、セルの位置情報解析により抽出された、探索位置60を通過したセルの一覧表を示す。この一覧表では、探索位置を通過したセルを参照回数の多い順にソートして示している。最も参照回数の多いセルはセルGであり10回である。従って、セルGが探索位置を通過する階層ツリーの最下位セルと推定することができる。
【0107】
最下位セルが決まれば、後は実施例1と同様、試行錯誤によってターゲットパターンを決めればよい。図10(c)には、GUIに表示される試行錯誤の過程の画像を示す。本図は、セルGの上位セルを1段階ずつ追跡し、各々の上位セルの参照回数をリストアップし直した様子を示す。いずれのセルも参照回数は1回であるため、ルートセル57から順にレイアウト描画していくと、ルートセル下位のセルA、セルEのいずれもターゲットパターンには当てはまらず、その下位のセルFがターゲットパターン(図10(a)のセルF斜線部)と一致することがわかる。従って、セルFが対象セルであることがわかる。
【0108】
以上の説明では、探索位置を指定することにより、ターゲットパターンを含むツリーを抽出する検査領域の設定方法について説明したが、探索位置をピンポイントで指定するだけでなく、ある領域をポインタ操作で囲むことにより、探索位置を領域として指定することもできる。
【0109】
以上、本実施例により、繰り返し性の低いパターンの検査領域を設定する場合に非常に有効なレシピ設定装置あるいは検査支援装置を実現することができる。本実施例の領域設定方法が、いわゆる外観検査だけでなく、欠陥レビュー装置あるいは寸法計測装置にも応用できることは言うまでもない。
【0110】
(実施例3)
本実施例は、実施例1および2で説明した設計レイアウトデータの解析機能をレシピ生成装置から独立させて、別ユニット(検査支援装置)とした構成の装置について説明する。
【0111】
図11には、本実施例の検査支援装置および当該検査支援装置に接続される各種装置の配置を示す。欠陥情報サーバ26や設計データサーバ27といった各種装置が、クリーンルーム20内に設置された光学式検査・計測装置21あるいはSEM式検査・計測装置22と通信ネットワーク25により接続されている点は、図3に示す構成と同様であるが、本実施例の場合、実施例1,2ではレシピ生成装置30に組み込まれていたネットワークインターフェース31、ストレージ装置32、プロセッサ33、メモリ34、ユーザインターフェース35などが、レシピ生成装置30とは別の検査支援装置36に組み込まれている点、およびレシピ生成装置が、光学式検査・計測装置用のレシピ生成装置AとSEM式検査・計測装置用のレシピ生成装置Bの2台備えられている点で図3の配置とは異なる。
【0112】
図12には、本実施例の検査支援装置36で、設計レイアウトデータの構造解析時にプロセッサ33で実行される処理をフローチャートで示した。
【0113】
装置オペレータが、GUI等を介して設計レイアウトデータの解析開始を指示すると、まず、プロセッサ33は設計レイアウトデータを読み込み(ステップ1201)、次に、セルをカウントするカウンタの値を初期値0に設定する(ステップ1202)。次に、設計レイアウトデータのデータプログラムを頭から分析し、ルートセルに相当するプログラムルーチンを検索し(ステップ1203)、別のプログラムルーチンへのリンクがないかどうかを探索する。リンクが見つかると、リンク先に飛んでリンク先を探索し(ステップ1204)、リンク先がセルかどうかを判定する(ステップ1205)。リンク先がセルであれば、カウンタの値を1だけインクリメントし(ステップ1206)、更なるリンクがないかどうかを検索する。リンク先がセルでなければ、リンク元に戻って更なるリンクの有無を検索する(ステップ1204)。
【0114】
ステップ1206の終了後、更なるリンク先の有無を判定し(ステップ1208)、リンク先があれば、ステップ1204に戻ってステップ1205〜1206の処理を繰り返す。これにより、セルの階層構造上のツリーについて全セルの参照回数をカウントすることができる。また、ステップ1205の判定ステップでリンク元のセルに戻った場合、階層的には1階層上位のセルに戻ったことになる。よって、リンク元の階層で別のリンクを探すこと(ステップ1204)は、上位セルの別の分岐ツリーを探索することに相当する。
【0115】
ステップ1208の判定処理で、更なるリンク先が存在しなかった場合には、設計レイアウトデータの全プログラムを探索したかどうかの判定を行い(ステップ1209)、探索し終わっていなければ、リンク元のセルに戻ってステップ1204〜1209の処理を繰り返す。設計レイアウトデータの全プログラムを探索し終わっていれば全セルの解析は終了であり、各セル毎の参照回数をセル名称(あるいはセルを区別する識別子)に対応付けてメモリ34に格納し、設計レイアウトデータの解析処理を終了する。
【0116】
メモリ34に格納された解析結果は、通信ネットワーク25を介してレシピ生成装置に転送され、レシピの生成作業を行う際に装置オペレータによって参照される。また、メモリ34には、図12に示すステップに対応するプログラムが格納されており、プロセッサ33によって実行される。
【0117】
以上説明したフローは、実施例1のレシピ生成装置30の内部で実行される処理とほぼ同様であるが、レシピ生成装置と設計レイアウトデータの解析処理装置とを分けることにより、複数のレシピ生成装置間で設計レイアウトデータの解析結果を共有することが容易となる。
【符号の説明】
【0118】
5 設計レイアウト
20 クリーンルーム
21 光学式検査・計測装置
22 SEM式検査・計測装置
25 通信ネットワーク
26 欠陥情報サーバ
27 設計データサーバ
30 レシピ生成装置
31 ネットワークインターフェース
32 ストレージ装置
33 プロセッサ
34 メモリ
35 ユーザインターフェース
【技術分野】
【0001】
本発明は、パターンが形成された試料の検査時、計測時あるいは欠陥レビュー時に、検査領域、計測領域あるいはレビュー領域を設定する方法、当該領域設定のために使用される装置、あるいは上記検査領域の設定方法を実行する機能を備えた検査装置ないし計測装置に関する。
【0002】
また、上記領域設定工程を生成過程に含む検査レシピ、計測レシピあるいは欠陥レビューレシピを生成するレシピ生成装置あるいは当該レシピ生成装置で使用されるプログラム、プログラムが格納された記録媒体に関する。
【背景技術】
【0003】
従来、半導体前工程ウエハ製造における歩留り低下の主原因は、半導体ウエハ上にランダムに発生する異物であり、この異物を低減することで歩留りを維持できていた。しかし、近年、半導体デバイスの微細化が進むにつれ、設計レイアウトに依存した欠陥の比率が高まってきている。
【0004】
このレイアウト依存性のある欠陥は、システマティック欠陥と呼ばれている。例えば、リソグラフィーのプロセスマージン狭隘化に伴って発生する欠陥はホットスポットと呼ばれる。また、設計レイアウトにおけるメモリ部とそれ以外の領域の境界において欠陥が生じる場合がある。上記境界部はパターン密度が不均一となりやすく、このような不均一さが原因となって、リソグラフィー、CMP、エッチングといった半導体デバイスの製造プロセスに異常を来たし、その結果、欠陥が発生する。このような欠陥はマット端不良と呼ばれる。
【0005】
これらの欠陥を低減するため、その製造途中において、暗視野ならびに明視野の光学式、もしくは電子ビーム方式などの欠陥検査装置で検査が行われていた。しかし、近年のパターン微細化に伴い、光学式の欠陥検査装置では、その分解能の限界から、微小な欠陥を見逃す場合が多くなってきた。一方、電子ビーム方式では、分解能は要求を満たすものの、単位時間あたり検査可能な面積に限りがあり、実用的な時間内にウエハ全面やチップ全面を検査できないという問題があった。
【0006】
そこで最近では、上記のマット端不良など、ある程度、発生箇所が予測可能な欠陥については、その発生箇所を高分解能の電子ビームで重点的に検査する手法が採られるようになってきた。
【0007】
また、ホットスポットについても、リソグラフィーシミュレーションの結果に基づいて、露光マージンの狭いパターンの発生箇所をある程度予想し、このような予想箇所を高分解能の電子ビームを用いてパターンの一次元あるいは二次元の形状評価を行うことが一般に行われている。
【0008】
ここで問題となるのが、電子ビームで検査すべき場所の指定やそのときの検査条件の設定を、いかに短時間で簡単にできるかである。ホットスポットの座標情報は、リソグラフィーシミュレーションの結果から求めることができるが、マット端不良の場合は、メモリ領域端部の位置情報を何らかの形で取得する必要がある。この問題に対するアプローチとして、パターンの設計レイアウト情報を用いてメモリ領域やロジック領域といった検査領域を特定することが古くから着想されており、いくつかの手法が報告されている。
【0009】
たとえば、特許文献1には、設計レイアウトデータから特定の領域を抽出するために、設計レイアウトデータ上の特定のデータセットに、識別子、色、数値あるいは名称といったラベルを予め付与する発明が開示されている。
【0010】
また、特許文献2には、GDSIIやOASISなどの業界標準フォーマットを含む設計レイアウトデータからフーリエ分析などの数学的手法を用いて周期構造を抽出し、得られた周期構造の情報を設計レイアウトデータから合成されるレイアウトパターン上にマッピングすることにより、設計レイアウトデータから検査対象となる特定構造を抽出する発明が開示されている。
【0011】
さらにまた、特許文献3には、設計レイアウトデータを格子状に分割し、各格子毎にパターン密度を計算してパターン密度が同程度の領域をグループ化することにより、レイアウトパターンをセル部や非セル部といった機能モジュールの構造単位に分割する発明が開示されている。分割された領域は検査対象領域(特許文献3の記載においては部分検査領域)として設定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第6483937号公報
【特許文献2】特表2005−514774号公報(米国特許第6886153号公報)
【特許文献3】特開2002−323458号公報(米国特許第7231079号公報)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上記特許文献1〜3に示されるように、検査あるいは計測において、検査あるいは計測を行うべき場所をどのように設定するかは非常に重要である。しかしながら、検査対象となる実際の物理パターンを設計レイアウトデータと関連付けることはそれほど容易ではない。
【0014】
例えば、特許文献1に記載の発明の場合、設計レイアウトデータ上の特定のデータセットにラベルを付与するという準備作業が発生するが、この作業をどのように実行するか乃至自動化するかの詳細については全く開示がない。また、付与したラベルの情報はデータベース化する必要があるが、設計データのデータサイズは、すでに数十ギガバイトを超えるオーダが一般的となっており、データを加工する工数が膨大となることや、加工したデータを別に保存することで、膨大な容量の記憶装置を用意する必要が生じてしまう。さらに、一般的な設計レイアウトデータのデータフォーマットには、製造プロセスにおける検査を見越した識別子などを格納する部位は含まれていない場合が多く、設計レイアウトデータとラベルとの対応を別ファイルとして管理する必要も生じる。
【0015】
また、特許文献2に記載のように、フーリエ分析などの数学的手法により設計レイアウトデータの周期構造を分析する発明の場合、近年開発されている多機能な半導体デバイス(例えばグラフィックスチップ機能や通信機能を有するマイクロプロセッサ)の様に1つのチップに多数の異なる機能の回路ブロックが搭載されている場合、レイアウトが複雑化し、効率的にかつ精度良く周期構造を特定することが困難であるという問題がある。
【0016】
特許文献3に記載の発明の場合、レイアウトパターンのパターン密度計算に膨大な時間を要するという問題がある。近年では、半導体デバイスやフラットパネルディスプレイなどのレイアウトパターンは飛躍的に高集積化しており、領域設定をパターン密度計算により実用的な時間内で行うことは困難である。また、密度が同じであれば機能・構造が同じ領域と判断してしまうため、試料上に実際に形成されたパターンと領域境界の食い違いが生じ、よって領域設定が正しく行われない場合もあった。
【0017】
さらに本質的な問題として、設計レイアウトデータの構造解析結果から検査対象となるターゲットパターンを特定するためのツールが従来は存在せず、従って、上記の各特許文献に記載された各種の設計レイアウトデータの構造解析手法を有効に活用することができなかった。
【0018】
そこで、本発明は、設計レイアウトデータからの所望領域の抽出を従来よりも高速に実現できる方法および装置を提供することを目的とする。
【0019】
また、本発明の別の目的として、各種の解析手法により求められる設計レイアウトデータの階層構造の情報と検査対象となるターゲットパターンを対応付けることができるツールを提供することを目的とする。
【0020】
さらには、上記の高速な抽出機能あるいは上記ツールを搭載したレシピ生成装置、さらには当該レシピ生成装置と検査装置、観察装置あるいは計測装置とを組み合わせた検査システム、観察システムあるいは計測システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明は、検査、観察あるいは計測の対象となるパターンの設計レイアウトデータからパターンの階層情報を読み取り、当該階層情報に基づき対象領域を設定する点を特徴とする。具体的には、設計レイアウトデータからパターンに含まれるセルあるいは機能領域間の参照関係を分析し、当該結果に基づき対象領域を特定することを特徴とする。
【0022】
また本発明は、各種の解析手法により取得された設計レイアウトデータの階層構造の情報と、設計レイアウトデータを画像展開して得られるパターンとを画面上で対比し、上記階層構造の各階層とパターンとを対応付け可能なユーザインターフェースを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、所望の検査ないし観察ないし計測の対象領域を設計レイアウトデータから直接かつ従来よりも高速に抽出することが可能となる。抽出原理が簡単であるため演算処理に要する時間も従来法より短く、従って、レシピ生成を従来よりも短時間でかつ簡単に行うことが可能となる。
【0024】
また、本発明によれば、設計レイアウトデータの階層構造の解析結果とレイアウトパターンとを対応付けるツールが提供されるため、所望の検査ないし観察ないし計測の対象領域と簡便に設定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】半導体ウエハ上に形成されたセルの配置を示す図。
【図2】設計レイアウトデータによって記述される一般的なセル階層構造の説明図。
【図3】実施例1のレシピ生成装置および当該レシピ生成装置に接続される各種装置の配置を示す図。
【図4】実施例1のレシピ生成装置を用いたレシピ生成手順および検査装置での検査実行手順を示すフローチャート。
【図5】セル階層構造の解析結果を示す図。
【図6】実施例1の検査領域の設定手順を説明する補足図。
【図7】メモリマット内におけるターゲットパターン内検査領域設定のバリエーションを示す図。
【図8】検査対象であるチップの選択方式のバリエーションを示す図。
【図9】実施例1のレシピ生成装置のGUI画面の一例。
【図10】実施例2のマット端検査の概要図。
【図11】実施例3の検査支援装置および当該検査支援装置に接続される各種装置の配置を示す図。
【図12】検査支援装置で実行されるプログラムの実行ステップを示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0026】
(実施例1)
本実施例では、半導体ウエハ上に形成されたパターンのうち、メモリマットの端部(以下、マット端)を検査領域として抽出する処理を実行するレシピ生成装置の実施例について説明する。以下、本実施例について図面を参照しながら説明する。
【0027】
まず、マット端検査の概要について、図1を用いて説明する。図1(a)に、検査対象であるウエハ1上にチップ2が配列された様子を模式的に示す。検査においては、ウエハ1上のチップがすべて検査対象になる場合もあれば、図示したように、検査チップ3を指定した抜き取り検査が行われる場合もある。
【0028】
図1(b)には、チップ2の設計レイアウト5を示す。設計上は、検査チップ3の設計レイアウトもチップ2と同様である。図1(b)は、8個のメモリマットA6と1個のメモリマットB6′が1つのチップ上に搭載された構造のチップを示す。メモリマットA6とB6′の4つの角部(コーナー)付近に示される丸枠はマット端7を示し、前述したマット端検査とは、これらのマット端7を検査するものである。ただし、マット端の定義は図1(b)に限られず、種々の指定方法がある。
【0029】
図1(c)には、マット端検査で得られる画像の一例を示す。図1(c)の左側は良品のマット端検査画像9を示し、図1(c)の右側は不良品のマット端検査画像9′を示している。不良品のマット端検査画像9′においては、パターンが均一に形成されておらず、メモリマットの角部に近づくにつれてパターンが矮小化している。検査は、複数のマット端検査画像9を3者比較することにより行われる。または、良品のマット端検査画像9を用意するか、設計レイアウトデータを画像展開して得られるレイアウトパターンの画像あるいは当該レイアウトパターンに露光シミュレーションを施して得られるパターンの画像とマット端検査画像とを2者比較しても不良パターンを検出することができる。マット端検査の対象としては、DRAM、SRAM、フラッシュメモリを代表とするメモリ製品だけでなく、これらの回路が組み込まれたシステムLSIであってもよい。以上が一般的に行われているマット端検査であるが、必ずしも以上に限定されない。なお以降の説明で、“レイアウトパターン”とは、設計レイアウトデータを画像展開して得られるパターンあるいは当該パターンの画像を意味するものとする。
【0030】
次に、図2および図3を用いて、半導体の設計レイアウトのセル階層構造および半導体デバイスのレイヤ構造について簡単に説明する。
【0031】
一般に、半導体デバイスの設計レイアウトデータは階層構造を有しており、セルと呼ばれる基本単位を用いて記述されている。ここでセルとは、集積回路の設計レイアウトデータ中で繰返し用いられるパターンデータの集まり、または論理的あるいは機能的に意味のあるパターンデータの集まりである。データ上、複数のセルの集合物に名前を付けて新たなセルとして取り扱うことも可能である。また、機能的に意味のあるパターンデータをセルとすれば、このようなセルに対応するパターンは、チップレイアウト上ではある機能を持った機能領域を構成する。
【0032】
一般的な設計レイアウトのセル階層構造を説明するため、図2に各階層のセルを画像展開して得られるパターンを階層的に示す。階層構造の最上位であるルートセルには、一つのチップ全体のパターン情報が収められており、ルートセル全体を画像展開すると、パターン57で表わされるパターンが得られる。このルートセルの一段階下位のセルとして、パターン57の最外周の枠に相当するパターン50に対応するセルAが配置されている。
【0033】
設計レイアウトデータでは、このようなセル間の階層構造を保持するようにデータ構造が定義されている。まず、レイアウトのルートセルについて、各セルの名称とそのセルが含む1つ下の階層のセルへのリンク情報が格納される。そして、その下層のセルについても同様にその名称と更にその1つ下の階層のセルへのリンク情報が格納される。このようなセル間の関係を、さらに下の階層に対して繰り返し適用し、レイアウト内の全てのセルについての情報を格納する。
【0034】
従って、このような設計レイアウトデータの構造を活用すべく、データを構成するセル通しのリンク関係を調べ、その参照回数をカウントすれば、セルの階層関係や階層数を検出することができる。
【0035】
実際のパターンは、設計レイアウトを元に作成された複数枚のマスクを用いて、露光プロセス(レジスト塗布→マスクを用いた露光→現像)にて作成される。なお、各セルに対応するパターンを形成する際に、複数のフォトマスクが使用される場合や、逆に、1つのフォトマスクで、複数のセルに対応するパターンを形成する場合もある。従って、設計レイアウトデータの階層構造は、設計レイアウトデータを用いて実際に製造される半導体デバイスの物理的な層構造とは異なる場合もある。
【0036】
このように、設計データは最下位のセルを単位とする階層構造で定義されており、下位のセルが上位のセルに参照されることで、複雑なパターンを記述することが可能となっている。以降の説明では、あるセルに対する上位階層のセルを親セル、下位の階層のセルを子セル、孫セルと呼ぶ場合もある。
【0037】
次に、図2で説明した設計レイアウトデータの階層構造を利用して、半導体デバイスのメモリマット端を検査領域として設定する検査レシピの生成方法について説明する。本事例では、設計レイアウトが非常に単純化されているが、実際の半導体は高集積化が進んでいるため、複雑な構造となっている。複雑な構造においても、簡便にレシピ設定をするために、参照回数と上位セル追跡を用いた方式について、以下に述べる。
【0038】
図3には、本実施例のレシピ生成装置と、当該レシピ生成装置に接続される各種装置の配置を示す。半導体デバイスの製造工程は、通常、清浄な環境で保たれたクリーンルーム20内で処理される。クリーンルーム20内に、製品ウエハの欠陥の検査を行う光学式検査・計測装置21、SEM式検査・計測装置22といった光学式あるいはSEM式の検査装置を設置する。これら両者を設置してもよい。
【0039】
光学式検査・計測装置21には、欠陥検査のための暗視野欠陥検査装置や明視野欠陥検査装置、パターン寸法計測のためのスキャットロメトリ式計測装置などが含まれる。一方、SEM式検査・計測装置22には、欠陥検査のための電子ビーム欠陥検査装置、欠陥検査ならびに検出した欠陥の高分解能SEM像が取得可能な欠陥レビューSEM、パターン寸法計測のための測長SEMなどが含まれる。これらの光学式検査・計測装置21とSEM式検査・計測装置22の取得データは、通信ネットワーク25を介して接続した欠陥情報サーバ26に転送され、保存される。
【0040】
光学式検査・計測装置21とSEM式検査・計測装置22で用いるレシピを生成するため、レシピ生成装置30を配置し、通信ネットワーク25と接続して、生成したレシピを転送できるようにしておく。レシピ生成装置30は、設計レイアウトデータを用いてレシピ生成を行う機能を有し、通信ネットワーク25を介して、検査対象の設計レイアウトデータが保存されている設計データサーバ27と接続される。レシピ設定に使用される設計レイアウトデータは、GDS−IIやOASISといった業界標準のフォーマットが望ましいが、必ずしもこれに限定されない。なお、図1に示したデータの授受については、通信ネットワーク経由をベースとしているが、ハードディスクドライブやメモリスティックといった記録媒体経由でも可能である。
【0041】
レシピ生成装置30は、ワークステーションやパーソナルコンピュータなどによって構成され、光学式検査・計測装置21とSEM式検査・計測装置22で用いられるレシピの生成を支援する機能を備える。具体的には、他の装置やサーバとのデータ授受を行うネットワークインターフェース31、設計レイアウトデータやすでに生成されたレシピやレシピ生成プログラムなど必要な情報を格納するストレージ装置32、レシピ生成装置30の機能を実現するために必要な演算処理を実行するプロセッサ33、当該プロセッサ33で使用されるプログラムや演算処理上必要となるテーブルなどが格納されるメモリ34、設計レイアウト5やオペレータが指示内容を入力するためのGUI(Graphical User Interface)が表示されるディスプレイ、GUIを操作するためのキーボード、ポインティングデバイス(マウス等)などのユーザインターフェース35などを含んで構成される。プロセッサ33で実行される処理としては、例えば、設計データサーバ27から取得した設計レイアウトデータをシステム内に読み込めるようにするための図形変換や、ユーザの要求に応じた設計レイアウトの表示処理や、設計レイアウトデータのセル階層構造の解析処理などがある。
【0042】
次に、図4を用いて、レシピ生成装置30から検査装置(光学式検査・計測装置21とSEM式検査・計測装置22の総称)にレシピを送り、検査を実行するまでの手順を説明する。
【0043】
図4は、レシピ生成から検査実行までのフローチャートであり、ステップ81から87までがレシピ生成装置側での処理を、ステップ90から92までが検査装置側での処理に対応する。
【0044】
ステップ80では、レシピ生成装置30は装置オペレータのレシピ生成処理開始の指示待ち状態であり、装置オペレータの開始の入力を契機としてレシピ生成処理開始が開始される。
【0045】
レシピ生成処理開始が開始されると、プロセッサ33は、はじめに、設計レイアウトデータの読み込みを開始し、ストレージ装置32に格納する。その際プロセッサ33は、GUIの操作など装置ユーザの指示に従い、検査を行う対象物理レイヤの情報を予め取得しておき、そのレイヤの形成に関係する設計レイアウトデータのみを読み込むこととする。同時に、設計レイアウトデータを画像展開してレイアウトパターンを描画する処理が実行され、ディスプレイ上に表示する(ステップ81)。これにより、設計レイアウトデータ上でのレシピ設定が可能な状態となる。
【0046】
次に、プロセッサ33は、設計レイアウト5と検査装置での座標系の原点合わせ処理を実行する(ステップ82)。検査装置では、チップの左下隅を原点とする場合が多いのに対して、設計レイアウトはチップの中央を原点とする場合がしばしばあるため、両者の座標系を合わせるために、設計レイアウトにおいて検査装置で用いる原点を登録することで、原点合わせを行う。この原点合わせ処理は、検査装置で用いる原点が既に分かっている場合には、プロセッサ33がストレージ装置32あるいはメモリ34に格納されている数値を読み出して実行するが、上記原点が分かっていない場合には、装置オペレータがGUI画面を介して設定を行う。
【0047】
次に、設計レイアウトデータを解析して検査対象とするターゲットパターンの探索を行い(ステップ83)、この結果を用いて、撮像視野(FOV:Field Of View)のサイズや検査領域等の条件設定を行う(ステップ84)。本実施例のマット端部の抽出処理はこのステップ83で実行される。
【0048】
ステップ84の条件設定では、例えば、電子線を用いた検査の場合、視野サイズや検査領域だけでなく、ビーム電流、加速電圧、スキャンスピード、フレーム加算回数、オートフォーカスの有無、アドレッシングの有無やこれに伴う各種設定などを適宜設定しておくことも可能である。
【0049】
次に、ウエハ内チップ配列情報の取得もしくは作成とチップ選択を行う(ステップ85)。このチップ選択85は、回路ブロックの探索83の前に行っても良い。
【0050】
ステップ86では、仮決定した検査シーケンスの確認処理を行い、検査領域が正しく設定されたかどうかの確認作業を行う。この作業は、装置オペレータが、セル毎のパターンをレイアウトパターン上でスライドショー表示して目視確認することにより行うことができる。また、GUI上には検査の予想時間が表示されるため、検査にかかる時間が長すぎないかどうかを確認することができる。確認後、装置オペレータがGUI上に表示される送信ボタンをクリックすると、生成したレシピの検査装置へのアップロード処理が実行される(ステップ87)。
【0051】
次に、検査装置側での手順について述べる。はじめに、必要に応じて、送られてきたレシピの確認や補充90を行う。送られてきたレシピだけで検査が可能であれば、必要はないが、不足な情報があれば、適宜補充して登録する。次に、ビーム調整や試料のアライメントなどの検査準備91を行う。準備が整ったところで、レシピに基づいて実際の検査を実行する(ステップ92)。
【0052】
次に、レシピ生成装置30で実行される設計レイアウトデータの解析処理と、当該解析処理に基づく検査領域の設定処理の詳細について説明する。
【0053】
図4に示したフローチャートの処理ステップがステップ84に遷移すると、レシピ生成装置30に格納されたプロセッサ33は、ストレージ装置32に格納された設計レイアウトデータを読み込み、設計データのセル階層構造の解析処理を開始する。
【0054】
具体的には、GDSIIやOASISなど、各種のフォーマットで記述された設計レイアウトのデータを読み込み、ルートセルに相当するデータを特定し、ルートセルからリンクされているデータを探索し、リンク先がセルかどうかを判定し、セルであれば当該セルのカウント値を1だけインクリメントし、リンク先のデータのさらにリンク先を探索する処理を繰り返すことにより、設計レイアウトデータの構造を解析する処理を実行する。以上の要領により、各階層に配置されているセルの参照セル(あるいは被参照セル)を数え上げる処理が実行される。
【0055】
図5には、図2に示した階層構造の設計レイアウトデータを上述の要領で解析した結果を示す。図5の(a)は、判明したセル階層構造をツリー状に表記したものである。図の左端がルートセルに相当し、図の右にいくに従って、その下位に位置するセルを記載してある。各セル間の関係については、前述した通りである。
【0056】
図5の(b)は、各階層のセル名称とそのセルが用いられる個数、すなわち、参照回数の関係を示した表である。ここで挙げたセルを左のカラムにリストアップし、それぞれの参照回数をその右側に表示した。注意すべき点は、セルCとセルDの参照回数である。セルCは、その上位であるセルBひとつにつき、4回参照されているが、ルートセル内ではセルBが2回、セルBの上位セルであるセルAが1回参照されているため、全体における合計の参照回数は、その乗算結果である8回となる。同様に、セルDは、セルBひとつにつき、24回参照されており、セルBが8回参照されているため、全体における合計の参照回数は、その乗算結果である192回となる。
【0057】
さて、以上の演算処理により設計レイアウトデータの階層構造自体は解析できるが、検査、計測あるいは観察の対象とするターゲットパターンがどの階層に存在するかは未知である。ターゲットパターンとセルを対応付けるには、セル階層中のどこかのセルとこれに対応するパターンとの対応付けを少なくとも一例以上行い、対応付けが取れたセルを出発点として、ターゲットパターンに辿り着くまでセル階層を追跡すればよい。
【0058】
そこで本実施例では、上記の解析結果をレシピ生成装置30のGUI上に表示し、当該解析によるセル階層構造を装置オペレータが目視確認してターゲットパターンあるいはターゲットセルの階層を指定することにより、ターゲットパターンとターゲットセルとを対応付ける。上記のGUIは、レシピ生成装置30に備えられたディスプレイ上に表示される。
【0059】
以下、図6を用いて、設計レイアウトデータの解析結果を用いて本実施例の検査ターゲットであるマット端を特定するための手順について説明する。図5(a)に示した階層ツリーおよび図5(b)に示した表から、最下位のセルはセルDおよびセルGであること、最も参照回数の多いセルはセルDであり、セルDはセルBの孫セル、つまりセルBの系統に含まれることが分かる。また、ルートセルから見たセルBの参照回数は2回である。
【0060】
図6(a)は、検査対象領域を含むレイアウトパターンを示す図である。本実施例においては、ターゲットパターンは図6(a)中、黒丸で示されたメモリマット領域の端部であり、図6(a)中、丸枠で囲まれた領域が検査すべきエリアに相当する。なお、実際のメモリマットではメモリセルのサイズはもっと小さく、検査エリア内に多数のメモリセルが含まれるのが普通であるが、図2および図5との整合のため、図6(a)では実際の半導体デバイスよりもメモリセルの数を減らして図示している。
【0061】
図6(b)は、図5(b)に示した表を参照回数の多いセルの順に並び替えた(ソートした)テーブルである。上述の通り、最も参照回数が多いセルは192回参照されているセルDであり、セルBの系統に含まれている。一方、図5(a)に示したツリーには、別の最下位セルとしてセルGも存在し、ターゲットパターンに対応するセルを含む系統としては、セルGを包含するセルEのツリーである可能性も存在する(セルHは内部構造を持たないので、ターゲットパターンの候補としては排除される)。
【0062】
ここで、図5(a)に示す階層ツリー、図6(a)に示すレイアウトパターンおよび図6(b)に示すソート済みテーブルをそれぞれ対比すると、まずルートセル直下の階層に配置され、個数が1個かつ他の全セルを含むセルはセルAしかないことが分かる。従って、セルAに対応するパターンはパターン50であることが分かる。
【0063】
次に、最下位のセルの個数に着目すると、セルBの最下位セルであるセルDの個数は192個、セルEの最下位セルであるセルGの個数は10個である。従って、図6(a)のレイアウトパターンと対比すれば、セルDに対応するパターンがパターン53、セルGに対応するパターンがパターン56であることが分かる。レイアウトパターンを目視確認すれば、パターン53がメモリマット領域中のメモリセルであることは自明であるから、よって、ターゲットパターンであるメモリマットはセルDからセルAを結ぶツリーのいずれかのセル階層に配置されていることが分かる。
【0064】
図5(a)に示す階層ツリーによれば、セルDはセルAから分岐するセルBの系統上に存在している。従って、図6(a)のレイアウトパターン上で、セルBを起点として上位セル側からターゲットパターンを追跡するか、あるいはセルDを起点として下位セル側からターゲットパターンを追跡すれば、検査対象であるメモリマットに対応するセルを抽出することができる。いずれの側から追跡を行うかは、より早くターゲットパターンに辿り着ける側を選択すればよいが、メモリマットはメモリセルの高々数階層(1階層あるいは2階層)程度上位の構造体と考えられるから、本実施例の場合はパターン53側、すなわちセルD側から追跡を行う。
【0065】
図6(c)は、セルDの上位セルを1段階ずつ追跡してレイアウトパターンとして表示した様子を示す図である。強調のため、各階層のセルに対応するパターンは斜線で塗りつぶして表示している。図中には、セルDが属するツリー上の上位セルの参照回数を、図5に示したセル構造の解析結果から抽出して表示し直したテーブルも併せて示す。1段目のセルBの参照回数は8回であり、レイアウトパターン上でパターン52が現れる個数と一致する個数である。
【0066】
一方、レイアウトパターンを参照すると、パターン52はメモリセルであるパターン53を包含し、かつセルDを直接参照するパターンになっており、従って、パターン52すなわちセルCがターゲットパターンであるメモリマットに対応することが分かる。ここで、セルBつまりパターン51、セルAつまりパターン50のいずれもレイアウトパターン上でメモリセル以外のセルも参照しており、従って、これらのパターン50、51はメモリマットには対応しない。
【0067】
以上説明したセルとパターンとの対応付け処理は、装置上は、図5(a)、図6(a)および図6(b)(あるいは図5(a)、図6(a)および図6(b)により表わされる情報)をレシピ生成装置のGUI上に表示し、GUI操作により各セルに対応するパターンをレイアウトパターン上で強調表示させ、強調表示させるセルを順次変えてセルとパターンの対応を目視確認することにより実行される。強調表示の方法としては、例えばパターン輪郭線を太線で表示する方法や画面背景と色を変えて表示する方法、あるいは図6(c)のように斜線で塗り潰すといった方法が考えられる。
【0068】
以上の強調表示処理を実行するために、本実施例のレシピ生成装置に備えられたメモリ34には、レイアウトパターン全体でオペレータの指定したパターンおよび当該パターンと参照・被参照関係にあるパターンを強調表示する処理を行うプログラムが格納されており、プロセッサ33がこのプログラムを実行することにより、上記の表示機能が実現される。ターゲットパターンに対応するセルが判明した後は、当該セルに対応するパターンの所望領域をGUI上で指定し、最終的な検査領域として設定する。以上の作業は、後述する図8(a)に示すGUIを介して行われる。
【0069】
なお、以上の図6を用いた説明では、セル階層の最下位側からターゲットセルを追跡したが、最上位側、すなわちルートセル直下の階層のセルから追跡を開始しても検査領域を設定できることは言うまでもない。また、セル階層が複雑な場合、最下位セルと最上位セルの間に適当な中間階層セルを設定し、この中間階層セルを起点としてセルの追跡を行うことも可能である。
【0070】
対象セルが特定された後は、ターゲットパターン内のどの部分をマット端検査の検査領域とするかを指定する。マット端をどのように指定するべきかはチップの種類やデバイスの製造プロセスによって変わるため、マット端の領域指定は検査の種類に応じて必要となる。ターゲットパターン内での領域指定は、後述の図9に示すGUIを介して装置オペレータが行う。上記指定されたターゲットパターン内の検査領域には、適当な大きさの撮像視野(FOV:Field Of View)が指定され、上記領域の画像が撮像される。FOVの大きさは、検査条件や検査装置の撮像能力に応じて変わり、指定領域を一度で撮像できる場合もあれば、数回の撮像が必要な場合もある。なお、以降の説明では、ターゲットパターン内に指定された検査領域を「ターゲットパターン内検査領域」と称する。
【0071】
図7には、マット端部の領域指定のバリエーションを示す。
【0072】
図7(a)では、ターゲットパターン内検査領域をメモリマット端部の四隅に指定した例を示している。図中の四角枠がターゲットパターン内ターゲットパターン内検査領域70である。本例では、ターゲットパターン内検査領域の大きさをFOVサイズと同じに設定している。また、設計レイアウトデータは適当な原点からのセルの位置情報を内部情報として持っている。従って、本例では、ターゲットパターンであるメモリマット(パターン52)と一致するセルが何かという情報とFOVのサイズ情報が分かれば、セルの位置情報とFOVサイズからFOVを配置すべき座標を自動的に算出して設定することができる。
【0073】
図7(b)では、マット端の四隅に加えて、マットを額縁状に囲むように、四角枠で示したターゲットパターン内検査領域70を指定した場合を示している。マットの四隅の情報だけではないため、より決めこまやかなできばえ管理が可能である。
【0074】
図7(c)では、マットに対して、格子状に、四角枠で示したターゲットパターン内検査領域70を指定した場合を示している。マット中央の情報も含むため、できばえの比較に有効である。図7(b)および(c)は、ターゲットパターン1つにつき、縦横のFOV配置数を指定すれば自動設定が可能である。
【0075】
図7(d)では、マット全体を囲むように、四角枠で示したターゲットパターン内検査領域70を自動指定した場合を示している。本例では、ターゲットパターン内検査領域の大きさとFOVサイズとは一致しないので、マット内に複数のFOVを配置して、あるいはステージ連続移動形式で、メモリマットを撮像することになる。
【0076】
図7(e)では、図7(d)で設定したターゲットパターン内検査領域の大きさを、予め定義した距離だけ内側に縮退させて領域設定を行った例を示している。セルの情報と縮退量が設定されていれば、本例も自動設定が可能である。ここで、図7(d)および(e)は、走査型の検査、すなわち、明視野式や暗視野式の光学式検査、あるいは、SEM式外観検査に有効なレシピである。
【0077】
図7(f)では、図7(a)で設定した検査領域をシフトさせる方式を記載している。マット端すれすれで検査領域を設定してしまうと、SEM式欠陥レビューや寸法計測のためにステージを動かした際、ステージの停止精度が十分でない場合に、パターンをFOV内に収められなくなる可能性があるためである。拡大図1はシフト前のターゲットパターン内検査領域の配置を、拡大図2はマット端の外側にシフトさせた状態のターゲットパターン内検査領域の配置をそれぞれ示している。シフト量を予め設定しておけば、本例も自動設定が可能である。
【0078】
なお、以上の説明した自動設定の機能は、レシピ生成装置30に備えられたプロセッサ33がメモリ34に格納されたプログラムを実行することにより実現される。
【0079】
マット端検査の詳細な検査領域を指定した後は、ウエハ内の検査すべきチップを選択する。図8は、ウエハ内のチップ選択方式の種類を示したものである。図8(a)は、検査チップを縦ストライプ上に複数列配置したものである。ストライプの開始チップと選択幅および非選択のピッチを設定することで、自動設定可能である。図8(b)は、検査チップを同心円状に配置して、ウエハ外周に一列、ウエハ中央に1箇所として指定したものである。ウエハの面内分布や、特にできばえが悪くなると予想されるウエハ外周でのできばえ評価に有効である。図8(c)は、ウエハ外周4箇所とウエハ中央の5箇所をマニュアルで設定した例である。
【0080】
これらの設定を行うためには、事前にウエハ内のすべてのチップの配列情報が必要であるため、その情報を事前に取得するか、無い場合には事前に作成しておく必要がある。
【0081】
図9には、本実施例のレシピ生成装置30に付随するディスプレイ上に表示されるGUIの一例として、ユーザ画面100を示した。装置オペレータは、図4のステップ83で説明した設計レイアウトデータの解析処理が終了すると、図9(a)に示すGUIを呼び出して各種の操作を行い、図4のステップ84に相当する検査領域の設定処理を行う。
【0082】
本実施例のGUIは、種々の検査条件を設定する設定画面がタブ表示されており、セル階層解析に基づく検査領域を設定する場合、「検査領域設定」タブをクリックすることにより、図9(a)に示される設定画面を呼び出すことができる。
【0083】
図9(a)に示されるユーザ画面に表示されるボタン、ウィンドウ等の機能は以下に示す通りである。
【0084】
読込みボタンをクリックすると、設計レイアウトデータや既に登録されたレシピの読み出し処理が行われる。保存ボタンをクリックすると、編集したレシピの保存動作が行われる。送信ボタンをクリックすると、検査装置へのレシピアップロード処理が行われる。探索位置指定ボタンはセルを検索するためのボタンであり、当該ボタンをクリックすると、指定された位置に存在するセルのみが探索される。「広域」ウィンドウは、レイアウトパターンの広域表示画面であり、「詳細」ウィンドウは、広域ウィンドウに表示されたレイアウトパターンの一部をズーム表示する画面である。「参照回数」ウィンドウには、参照回数をカウントしたセルをツリーとは無関係に参照回数の多い順にリストアップしたデータが表示される。「上位セル」ウィンドウには、指定された任意のセルに対する上位セルの参照回数を抽出した結果が表示される。「参照回数」ウィンドウおよび「上位セル」ウィンドウの右側にはスクロールバーが表示されており、表示セル数が多い場合には、スクロールバーを操作して表示するセルを変えることができる。
【0085】
額縁ボタンは、メモリマットや周辺領域といったターゲットパターンの縁の部分に検査画像のFOVを配置する際に使用されるボタンであり、額縁ボタン右側の「X配置数」「Y配置数」の各ボックスに2という数値を入力して額縁ボタンをクリックすると、ターゲットパターンの縁の部分に設定数分のFOVが均等な間隔で配置される。
【0086】
同様に、「格子ボタン」は、検査画像のFOVをターゲットパターンの内部に配置する際に使用されるボタンであり、格子ボタン右側の「X配置数」「Y配置数」の各ボックスに、ターゲットパターン内部へのFOVの配置数を入力して格子ボタンをクリックすると、ターゲットパターン縁を含むパターン内部に設定数分のFOVが均等な間隔で配置される。全面ボタンをクリックすると、ターゲットパターン内部の全エリアが検査領域として設定される。
【0087】
「シフト量」ボタンは、FOVの配置をパターン端部から一定量シフトさせる場合に使用されるボタンであり、シフト量ボタン右側の「X設定量」「Y設定量」の各ボックスに適当な数値を入力してシフト量ボタンをクリックすると、ターゲットパターン縁を含むパターン内部に設定数分のFOVが均等な間隔で配置される。
【0088】
「縮退量」ボタンは、検査領域を設計データ上のターゲットパターンの外形線より若干縮小させる場合に使用されるボタンであり、例えば、ターゲットパターンがメモリマットである場合、縮退量ボタン右側の「X設定量」「Y設定量」の各ボックスに適当な数値を入力して縮退量ボタンをクリックすると、設計データ上のメモリマットの境界から設定した縮退量分だけ内部に収縮した領域が検査領域として設定される。本ボタンは、主としてターゲットパターン全面を検査(ないし計測、観察)領域として設定する場合に使用される。
【0089】
「原点合わせ」ボタンをクリックすると、レイアウトパターンと検査座標系との原点合わせ処理が実行される。また、「スライドショー」ボタンをクリックすると、レシピで指定した検査領域の確認処理が実行される。「予想時間」ボックスには、設定した検査条件での1チップあたりの検査所要時間が表示される。
【0090】
図9(b)には、図7で説明したウエハ内のチップ選択を行うためのGUI画面の一例を示した。「チップ配列・選択情報」ウィンドウは、ウエハ上のチップ配列を表示する画面であり、この画面上でポインティングデバイスを操作することにより、検査を行うチップを選択する。あるいは、選択したチップのウエハ上での配列を確認する。「チップ配列編集」ボタンは、ウエハ上でのチップ配列の編集機能をオン/オフするためのボタンであり、このボタンがアクティベートされた状態で上側の「同心円」、「縦ストライプ」、「横ストライプ」、「市松模様」および「ポイント」の各ボタンを操作すると、操作結果がチップ選択に反映される。また、「チップ配列編集」ボタンをインアクティベートすると、現在有効になっている選択チップの配列が固定化される。
【0091】
「チップ配列編集」ボタンの上側に表示されている「同心円」、「縦ストライプ」および「横ストライプ」の各ボタンは、本実施例のレシピ生成装置にデフォルトで備わっているチップの配列パターンであり、チップ選択作業の負担を軽減するためのツールとして使用される。
【0092】
「同心円」ボタン右側の「X設定値」「Y設定値」の各ボックスに適当な数値を入力し、「同心円」ボタンをクリックすると、ウエハの最外周チップから「X設定値」および「Y設定値」分だけ離れた位置のチップが同心円状に検査チップとして設定される。
【0093】
「縦ストライプ」については、ボタン右側の「分割数」「チップ数」の各ボックスに適当な数値を入力して各ボタンをクリックすると、「縦ストライプ」については、図7(a)に示されるような縦方向のストライプ状のチップ配列がウエハ横方向のチップ数を「分割数」で割った間隔に設定される。この際、ストライプを構成するチップ数は設定した「チップ数」に従って設定される。チップ数の最大設定値はウエハの直径上に存在するチップ数であるが、ウエハの形状は円状であるので、チップ数の設定値を最大設定値にした場合、ウエハの中心以外を通るストライプについてはチップ数を設定値の通りにできないことになる。従って、ウエハの中心以外を通るストライプについては、ストライプの配置箇所における最大チップ数がストライプの構成チップ数として設定される。「横ストライプ」については、ストライプの長手方向が縦から横に変わるだけで、「分割数」「チップ数」の各ボックスの機能については、「縦ストライプ」と同様である。
【0094】
「ポイント」ボタンは、検査対象チップをウエハ上で1点1点任意に指定するためのボタンであり、このボタンがアクティベートされた状態で、「チップ配列・選択情報」ウィンドウ上でポインタ操作を行い、所望のチップをクリックすると、当該チップを検査対象チップに指定することができる。対象チップを複数指定することもでき、検査対象チップをランダムに指定する場合などには、このボタンを用いて設定する。指定したチップが有効な状態で「ポイント」ボタンをインアクティベートすると、設定状態が保存され、検査レシピに反映される。「予想時間」ボックスには、1ウエハあたりの検査所要時間が表示される。
【0095】
以上説明した各ボタンあるいはウィンドウにより実現される機能は、全てメモリ34に格納された画面表示処理プログラムをプロセッサ33が実行することにより実現される。プロセッサ33は、ボタンのクリックによるオペレータ指示やボックス内へ入力された数値を読み取り、各ボタンに対応する機能やウィンドウ内への画像表示処理を実行する。
【0096】
以上、本実施例のレシピ生成装置は、設計レイアウトデータの階層構造を解析し、設計レイアウトデータ内でのセルの参照回数を数えることにより、セル間の参照関係を求めるという新規な特徴により、メモリマットなど、検査対象とする回路モジュールの探索、レシピ上での領域設定を従来よりも容易に実現することが可能となる。
【0097】
また、設計レイアウトデータのみに依存するレシピ生成が可能であるため、レシピ生成作業を検査装置、計測装置あるいは観察装置といったクリーンルーム内の装置と切り離して行うことが可能である。よって、クリーンルーム内の各装置をレシピ設定のために占有することがなく、検査装置の稼働率を向上でき、製造ラインの設備投資を抑制できる。さらに、効率的かつ効果的に検査業務を遂行することで、近年の微細デバイスで問題となっているシステマティック欠陥を検出でき、ひいては、半導体デバイスの開発、試作、および量産時の歩留りを速やかに立ち上げることが可能となる。
【0098】
(実施例2)
実施例1では、セル階層構造の特定のツリーについて、最下位セルあるいは最上位セルを特定し、当該特定ツリーを最下位セル側あるいは最上位セル側から追跡することによって、ターゲットパターンに対応するセルを特定する検査領域設定方法について説明した。
【0099】
このような検査領域設定方法は、チップ内のパターンの繰り返し性が高い場合、例えば、メモリマットがチップレイアウト内の殆どを占めるような場合には非常に有効である。しかしながら、周辺回路やロジック回路など繰り返し性が低い領域は、最上位セルあるいは最下位セルに対応するパターンが既知のパターンである確率が低く、ターゲットパターンを確実に含むツリーを特定することが難しい。
【0100】
そこで本実施例では、レイアウトパターン上の任意のパターンあるいはセル階層ツリー上の任意のセルを選択して当該選択セルを通過するツリーを抽出し、抽出されたツリーのみを追跡対象とする検査領域の設定手法について説明する。なお、本実施例のレシピ設定装置の構成および大まかな動作は実施例1と同様であり詳細説明は省略するが、説明に際しては実施例1の記載を適宜引用する。
【0101】
今、図4に示すフローチャートに沿って装置を動作させ、図5に示すセル階層構造の解析結果が得られたとし、本実施例での検査対象領域が、図1(b)に示すチップレイアウト上でメモリマットB6′のマット端であるものとする。
【0102】
メモリマットBに含まれるパターンとセルとの対応が全く分からない場合を考えると、図5(a)に示す全体ツリーからメモリマットB6′を含むセルがいずれのツリーであるかを判断するのは難しい。ルートセルからターゲットパターンを追跡すると、セルAの下には、参照回数が同じ1回のセルが、セルEとセルHの2つあり、ターゲットパターンがどちらのツリーに含まれるかは分からない。逆に最下位のセル側から追跡しようにも、メモリマットB6′に含まれるメモリセルの個数が分かっていないと参照回数だけではセルを特定することは困難である。
【0103】
そこで本実施例では、GUI上にレイアウトパターンを表示させ、特定の領域をポインティングデバイスで指定できるようにし、当該指定領域を通過するセルのツリーをツリー全体から抽出する。以下、以上の操作を図10を用いて説明する。
【0104】
図10(a)は、図8(a)に示したGUIの「広域」ウィンドウに表示されるレイアウトパターンを示す全体図である。レイアウトパターン全体図の左側は、メモリマットBの拡大図を示した。装置オペレータは、図4のステップ84の作業を行う際に、図8(a)に示すGUIの「詳細」ウィンドウ上に表示されるレイアウトパターン上でポインタ60を操作し、メモリマットB、すなわちパターン55内の任意の点、例えば探索位置60を指定する。
【0105】
レシピ生成装置30は、探索位置60が指定されると、設計レイアウトデータを解析し直し、探索位置60が含まれるセルを抽出する。設計レイアウトデータは適当な原点からのセルの位置情報を内部情報として持っているため、メモリ34に格納された、設計レイアウトデータに含まれるセルの位置情報の解析処理を行うプログラムをプロセッサ33が実行することにより、指定した探索位置60を通過するセルのみを抽出することが可能である。
【0106】
図10(b)には、セルの位置情報解析により抽出された、探索位置60を通過したセルの一覧表を示す。この一覧表では、探索位置を通過したセルを参照回数の多い順にソートして示している。最も参照回数の多いセルはセルGであり10回である。従って、セルGが探索位置を通過する階層ツリーの最下位セルと推定することができる。
【0107】
最下位セルが決まれば、後は実施例1と同様、試行錯誤によってターゲットパターンを決めればよい。図10(c)には、GUIに表示される試行錯誤の過程の画像を示す。本図は、セルGの上位セルを1段階ずつ追跡し、各々の上位セルの参照回数をリストアップし直した様子を示す。いずれのセルも参照回数は1回であるため、ルートセル57から順にレイアウト描画していくと、ルートセル下位のセルA、セルEのいずれもターゲットパターンには当てはまらず、その下位のセルFがターゲットパターン(図10(a)のセルF斜線部)と一致することがわかる。従って、セルFが対象セルであることがわかる。
【0108】
以上の説明では、探索位置を指定することにより、ターゲットパターンを含むツリーを抽出する検査領域の設定方法について説明したが、探索位置をピンポイントで指定するだけでなく、ある領域をポインタ操作で囲むことにより、探索位置を領域として指定することもできる。
【0109】
以上、本実施例により、繰り返し性の低いパターンの検査領域を設定する場合に非常に有効なレシピ設定装置あるいは検査支援装置を実現することができる。本実施例の領域設定方法が、いわゆる外観検査だけでなく、欠陥レビュー装置あるいは寸法計測装置にも応用できることは言うまでもない。
【0110】
(実施例3)
本実施例は、実施例1および2で説明した設計レイアウトデータの解析機能をレシピ生成装置から独立させて、別ユニット(検査支援装置)とした構成の装置について説明する。
【0111】
図11には、本実施例の検査支援装置および当該検査支援装置に接続される各種装置の配置を示す。欠陥情報サーバ26や設計データサーバ27といった各種装置が、クリーンルーム20内に設置された光学式検査・計測装置21あるいはSEM式検査・計測装置22と通信ネットワーク25により接続されている点は、図3に示す構成と同様であるが、本実施例の場合、実施例1,2ではレシピ生成装置30に組み込まれていたネットワークインターフェース31、ストレージ装置32、プロセッサ33、メモリ34、ユーザインターフェース35などが、レシピ生成装置30とは別の検査支援装置36に組み込まれている点、およびレシピ生成装置が、光学式検査・計測装置用のレシピ生成装置AとSEM式検査・計測装置用のレシピ生成装置Bの2台備えられている点で図3の配置とは異なる。
【0112】
図12には、本実施例の検査支援装置36で、設計レイアウトデータの構造解析時にプロセッサ33で実行される処理をフローチャートで示した。
【0113】
装置オペレータが、GUI等を介して設計レイアウトデータの解析開始を指示すると、まず、プロセッサ33は設計レイアウトデータを読み込み(ステップ1201)、次に、セルをカウントするカウンタの値を初期値0に設定する(ステップ1202)。次に、設計レイアウトデータのデータプログラムを頭から分析し、ルートセルに相当するプログラムルーチンを検索し(ステップ1203)、別のプログラムルーチンへのリンクがないかどうかを探索する。リンクが見つかると、リンク先に飛んでリンク先を探索し(ステップ1204)、リンク先がセルかどうかを判定する(ステップ1205)。リンク先がセルであれば、カウンタの値を1だけインクリメントし(ステップ1206)、更なるリンクがないかどうかを検索する。リンク先がセルでなければ、リンク元に戻って更なるリンクの有無を検索する(ステップ1204)。
【0114】
ステップ1206の終了後、更なるリンク先の有無を判定し(ステップ1208)、リンク先があれば、ステップ1204に戻ってステップ1205〜1206の処理を繰り返す。これにより、セルの階層構造上のツリーについて全セルの参照回数をカウントすることができる。また、ステップ1205の判定ステップでリンク元のセルに戻った場合、階層的には1階層上位のセルに戻ったことになる。よって、リンク元の階層で別のリンクを探すこと(ステップ1204)は、上位セルの別の分岐ツリーを探索することに相当する。
【0115】
ステップ1208の判定処理で、更なるリンク先が存在しなかった場合には、設計レイアウトデータの全プログラムを探索したかどうかの判定を行い(ステップ1209)、探索し終わっていなければ、リンク元のセルに戻ってステップ1204〜1209の処理を繰り返す。設計レイアウトデータの全プログラムを探索し終わっていれば全セルの解析は終了であり、各セル毎の参照回数をセル名称(あるいはセルを区別する識別子)に対応付けてメモリ34に格納し、設計レイアウトデータの解析処理を終了する。
【0116】
メモリ34に格納された解析結果は、通信ネットワーク25を介してレシピ生成装置に転送され、レシピの生成作業を行う際に装置オペレータによって参照される。また、メモリ34には、図12に示すステップに対応するプログラムが格納されており、プロセッサ33によって実行される。
【0117】
以上説明したフローは、実施例1のレシピ生成装置30の内部で実行される処理とほぼ同様であるが、レシピ生成装置と設計レイアウトデータの解析処理装置とを分けることにより、複数のレシピ生成装置間で設計レイアウトデータの解析結果を共有することが容易となる。
【符号の説明】
【0118】
5 設計レイアウト
20 クリーンルーム
21 光学式検査・計測装置
22 SEM式検査・計測装置
25 通信ネットワーク
26 欠陥情報サーバ
27 設計データサーバ
30 レシピ生成装置
31 ネットワークインターフェース
32 ストレージ装置
33 プロセッサ
34 メモリ
35 ユーザインターフェース
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のセルに対応するパターンが形成された試料に対し、光または荷電粒子ビームを照射して得られる画像データを用いて前記パターンを検査する検査装置のレシピを生成するレシピ生成装置であって、
前記パターンの設計レイアウトデータを格納する記憶手段と、
前記設計レイアウトデータに対して所定の演算処理を実行するプロセッサとを備え、
前記プロセッサは、
前記複数のセル間の参照関係を解析し、
前記複数のセルのうちの少なくとも一つのセルと当該セルに対応するパターンとの対応付け情報と前記参照関係の解析結果とを用いて、前記検査装置で行われる検査の対象パターンを探索することを特徴とするレシピ生成装置。
【請求項2】
請求項1に記載のレシピ生成装置において、
前記プロセッサの演算結果が表示されるディスプレイを備え、
前記プロセッサは、
前記検査対象パターンの強調画像を、前記設計レイアウトデータを画像展開して得られるレイアウトパターンと共に前記ディスプレイに表示することを特徴とするレシピ生成装置。
【請求項3】
請求項2に記載のレシピ生成装置において、
前記強調画像として、前記検査対象パターンの輪郭線を前記ディスプレイに表示することを特徴とするレシピ生成装置。
【請求項4】
請求項2に記載のレシピ生成装置において、
前記複数のセルの任意のセルに対し、当該任意のセルと参照あるいは被参照関係にあるセルに対応するパターンのみを前記ディスプレイ上に表示させる機能を有するレシピ生成装置。
【請求項5】
請求項2に記載のレシピ生成装置において、
前記プロセッサは、
前記レイアウトパターン上の任意領域を内部に含むパターンに対応するセルを抽出する処理を実行することを特徴とするレシピ生成装置。
【請求項6】
請求項5に記載のレシピ生成装置において、
前記任意領域の位置情報と、前記セルの位置情報とを参照して、前記セルの抽出処理を行うことを特徴とするレシピ生成装置。
【請求項7】
請求項2に記載のレシピ生成装置において、
前記検査装置における検査条件を設定するための設定画面が前記ディスプレイに表示され、
当該設定画面上に、前記セルの識別情報と、当該セルのルートセルを基準とする参照回数とが表示されることを特徴とするレシピ生成装置。
【請求項8】
複数のセルに対応するパターンが形成された試料に対し、光または荷電粒子ビームを照射して得られる画像データを用いて前記パターンを検査する検査装置に関連して使用される検査支援装置において、
前記パターンの設計レイアウトデータを格納する記憶手段と、
前記設計レイアウトデータに対して所定の演算処理を実行するプロセッサとを備え、
前記プロセッサは、
前記複数のセル間の参照関係を解析し、
前記複数のセルのうちの少なくとも一つのセルと当該セルに対応するパターンとの対応付け情報と前記参照関係の解析結果とを用いて、前記検査装置で行われる検査の対象パターンを探索することを特徴とする検査支援装置。
【請求項9】
複数のセルに対応するパターンが形成された試料に対し、光または荷電粒子ビームを照射して得られる画像データを用いて前記パターンを検査する検査装置と、当該検査装置の検査レシピを生成するレシピ生成装置とを少なくとも含んで構成される検査システムにおいて、
前記レシピ生成装置は、
前記パターンの設計レイアウトデータを格納する記憶手段と、
前記設計レイアウトデータに対して所定の演算処理を実行するプロセッサとを備え、
前記検査装置は、前記レシピ生成装置で生成された検査レシピを取得する入力部を備え、
前記プロセッサは、
前記複数のセル間の参照関係を解析し、
前記複数のセルのうちの少なくとも一つのセルと当該セルに対応するパターンとの対応付け情報と前記参照関係の解析結果とを用いて、前記検査装置で行われる検査の対象パターンを探索することを特徴とする検査システム。
【請求項10】
複数のセルに対応するパターンが形成された試料に対し、光または荷電粒子ビームを照射して得られる画像データを用いて前記パターンを検査する検査装置の検査レシピを生成する装置であって、メモリとプロセッサとを備えたレシピ生成装置において実行されるプログラムが格納された記録媒体において、
前記プロセッサに以下の処理を実行させることにより、前記任意のセルに対応するパターンの前記試料上における物理的な配置を求めることを特徴とするプログラムが格納された記録媒体。
・前記設計レイアウトデータに含まれるセルを検出する処理
・前記セル間のリンクを検出することにより、検出されたセル間の階層関係を求める処理
・前記セル間のリンク数を数えることにより、あるセルが参照しているセルの数を求める処理
【請求項11】
請求項10に記載の記録媒体において、
前記プログラムが、
前記物理的な配置を求めたパターンの輪郭線を、前記設計レイアウトデータを画像展開して得られるパターン画像と共にディスプレイに表示させる処理を含むことを特徴とする記録媒体。
【請求項12】
請求項11に記載の記録媒体において、
前記プログラムが、
前記検査装置における検査領域を設定するための設定画面をディスプレイ上に表示させる処理と、
当該設定画面上で、前記レシピ生成装置の使用者が前記任意のセルを指定する処理とを含むことを特徴とする記録媒体。
【請求項13】
複数のセルに対応するパターンが形成された試料に対し、光または荷電粒子ビームを照射して得られる画像データを用いて前記パターンを検査する検査装置のレシピを生成するレシピ生成装置であって、
前記パターンの設計レイアウトデータを格納する記憶手段と、
前記設計レイアウトデータに対して所定の演算処理を実行するプロセッサと、
前記プロセッサの演算結果が表示されるディスプレイを備え、
前記プロセッサは、
前記設計レイアウトデータの階層構造を分析する処理と、
当該階層構造中のある階層と前記パターンとを関連付けるための設定画面を前記ディスプレイ上に表示する処理とを実行することを特徴とするレシピ生成装置。
【請求項1】
複数のセルに対応するパターンが形成された試料に対し、光または荷電粒子ビームを照射して得られる画像データを用いて前記パターンを検査する検査装置のレシピを生成するレシピ生成装置であって、
前記パターンの設計レイアウトデータを格納する記憶手段と、
前記設計レイアウトデータに対して所定の演算処理を実行するプロセッサとを備え、
前記プロセッサは、
前記複数のセル間の参照関係を解析し、
前記複数のセルのうちの少なくとも一つのセルと当該セルに対応するパターンとの対応付け情報と前記参照関係の解析結果とを用いて、前記検査装置で行われる検査の対象パターンを探索することを特徴とするレシピ生成装置。
【請求項2】
請求項1に記載のレシピ生成装置において、
前記プロセッサの演算結果が表示されるディスプレイを備え、
前記プロセッサは、
前記検査対象パターンの強調画像を、前記設計レイアウトデータを画像展開して得られるレイアウトパターンと共に前記ディスプレイに表示することを特徴とするレシピ生成装置。
【請求項3】
請求項2に記載のレシピ生成装置において、
前記強調画像として、前記検査対象パターンの輪郭線を前記ディスプレイに表示することを特徴とするレシピ生成装置。
【請求項4】
請求項2に記載のレシピ生成装置において、
前記複数のセルの任意のセルに対し、当該任意のセルと参照あるいは被参照関係にあるセルに対応するパターンのみを前記ディスプレイ上に表示させる機能を有するレシピ生成装置。
【請求項5】
請求項2に記載のレシピ生成装置において、
前記プロセッサは、
前記レイアウトパターン上の任意領域を内部に含むパターンに対応するセルを抽出する処理を実行することを特徴とするレシピ生成装置。
【請求項6】
請求項5に記載のレシピ生成装置において、
前記任意領域の位置情報と、前記セルの位置情報とを参照して、前記セルの抽出処理を行うことを特徴とするレシピ生成装置。
【請求項7】
請求項2に記載のレシピ生成装置において、
前記検査装置における検査条件を設定するための設定画面が前記ディスプレイに表示され、
当該設定画面上に、前記セルの識別情報と、当該セルのルートセルを基準とする参照回数とが表示されることを特徴とするレシピ生成装置。
【請求項8】
複数のセルに対応するパターンが形成された試料に対し、光または荷電粒子ビームを照射して得られる画像データを用いて前記パターンを検査する検査装置に関連して使用される検査支援装置において、
前記パターンの設計レイアウトデータを格納する記憶手段と、
前記設計レイアウトデータに対して所定の演算処理を実行するプロセッサとを備え、
前記プロセッサは、
前記複数のセル間の参照関係を解析し、
前記複数のセルのうちの少なくとも一つのセルと当該セルに対応するパターンとの対応付け情報と前記参照関係の解析結果とを用いて、前記検査装置で行われる検査の対象パターンを探索することを特徴とする検査支援装置。
【請求項9】
複数のセルに対応するパターンが形成された試料に対し、光または荷電粒子ビームを照射して得られる画像データを用いて前記パターンを検査する検査装置と、当該検査装置の検査レシピを生成するレシピ生成装置とを少なくとも含んで構成される検査システムにおいて、
前記レシピ生成装置は、
前記パターンの設計レイアウトデータを格納する記憶手段と、
前記設計レイアウトデータに対して所定の演算処理を実行するプロセッサとを備え、
前記検査装置は、前記レシピ生成装置で生成された検査レシピを取得する入力部を備え、
前記プロセッサは、
前記複数のセル間の参照関係を解析し、
前記複数のセルのうちの少なくとも一つのセルと当該セルに対応するパターンとの対応付け情報と前記参照関係の解析結果とを用いて、前記検査装置で行われる検査の対象パターンを探索することを特徴とする検査システム。
【請求項10】
複数のセルに対応するパターンが形成された試料に対し、光または荷電粒子ビームを照射して得られる画像データを用いて前記パターンを検査する検査装置の検査レシピを生成する装置であって、メモリとプロセッサとを備えたレシピ生成装置において実行されるプログラムが格納された記録媒体において、
前記プロセッサに以下の処理を実行させることにより、前記任意のセルに対応するパターンの前記試料上における物理的な配置を求めることを特徴とするプログラムが格納された記録媒体。
・前記設計レイアウトデータに含まれるセルを検出する処理
・前記セル間のリンクを検出することにより、検出されたセル間の階層関係を求める処理
・前記セル間のリンク数を数えることにより、あるセルが参照しているセルの数を求める処理
【請求項11】
請求項10に記載の記録媒体において、
前記プログラムが、
前記物理的な配置を求めたパターンの輪郭線を、前記設計レイアウトデータを画像展開して得られるパターン画像と共にディスプレイに表示させる処理を含むことを特徴とする記録媒体。
【請求項12】
請求項11に記載の記録媒体において、
前記プログラムが、
前記検査装置における検査領域を設定するための設定画面をディスプレイ上に表示させる処理と、
当該設定画面上で、前記レシピ生成装置の使用者が前記任意のセルを指定する処理とを含むことを特徴とする記録媒体。
【請求項13】
複数のセルに対応するパターンが形成された試料に対し、光または荷電粒子ビームを照射して得られる画像データを用いて前記パターンを検査する検査装置のレシピを生成するレシピ生成装置であって、
前記パターンの設計レイアウトデータを格納する記憶手段と、
前記設計レイアウトデータに対して所定の演算処理を実行するプロセッサと、
前記プロセッサの演算結果が表示されるディスプレイを備え、
前記プロセッサは、
前記設計レイアウトデータの階層構造を分析する処理と、
当該階層構造中のある階層と前記パターンとを関連付けるための設定画面を前記ディスプレイ上に表示する処理とを実行することを特徴とするレシピ生成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−33875(P2013−33875A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−169736(P2011−169736)
【出願日】平成23年8月3日(2011.8.3)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月3日(2011.8.3)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】
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