説明

レジスタ

【課題】長手方向に長く短手方向に短い細長の空気吹出口を有したレジスタにおいて、可動フィンを完全になくして、構造を簡単化し、且つ送風時の圧力損失の低減を図り、良好な風向調整を可能としたレジスタを提供する。
【解決手段】レジスタ本体1内に、第1流路3、中央流路4、及び第2流路5が、空気吹出口の長手方向と平行な平面上に沿って且つ第1、第2流路が中央流路を挟んで3層状に形成される。第1流路、中央流路及び第2流路の先端部は、各々、空気吹出口2の形状と同様に長手方向に長く短手方向に短い細長形状に形成される。第1、第2流路の先端部は各々空気吹出口に収束する傾斜流路を通して空気吹出口と連通する。中央流路4の先端部は傾斜流路に続く流路空間を通して直前の空気吹出口と連通する。第1流路3、中央流路4、及び第2流路5には、各々、送風遮断部材が送風を遮断可能に配設される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等の空調の空気吹出口に使用される空気吹出調整用のレジスタに関し、特に長手方向に長く短手方向に短い細長の空気吹出口を有したレジスタに関する。
【0002】
自動車等の空調の空気吹出口に使用される空気吹出調整用のレジスタとして、通風路を形成するベゼルまたはリテーナ内に、横可動ルーバと縦可動ルーバを前後して配設し、ベゼルに設けた空気吹出口から空気を吹き出す際、横可動ルーバ、縦可動ルーバの各フィンの角度を変えて空気の吹出し方向を調整するレジスタが、一般に、自動車の空調などで使用されている。
【0003】
この種のレジスタとして、長手方向に長く短手方向に短い細長の空気吹出口を有し、空気吹出口の内側に1〜3枚程度の少数の可動フィンを設けたレジスタが、主として意匠性やデザイン的なデマンドから製作される場合がある。このようなレジスタは、例えば下記特許文献1などで知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−103954号公報
【特許文献2】特開2009−160981号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この細長の空気吹出口を有するレジスタは、その空気吹出口が長手方向に長く短手方向に短い細長形状であるが故に、必然的に長手方向に長い可動フィンの枚数が1〜3枚程度と少数となり、空気吹出口の短手方向が狭窄され、狭窄された空気吹出口に前可動フィンが配置されるため、送風時の前可動フィンによる圧力損失が増大しやすい。
【0006】
また、このような長手方向に長い細長の空気吹出口を有したレジスタでは、長手方向に沿ったフィンの枚数が例えば1、2枚程度と少数になると、フィンの向きを空気吹出口の短手方向に沿った上下または左右方向に変えたとしても、充分にその方向に風の向きを変えることが難しく、風の指向性が悪化しやすい。
【0007】
そこで、本出願人は、上記特許文献2により、長手方向に長く短手方向に短い細長形状の空気吹出口を設けたレジスタにおいて、空気吹出口の内側に1枚の前可動フィンを配置し、送風時の圧力損失の低減を図るとともに、風の指向性を改善するようにしたレジスタを提案している。
【0008】
しかし、このレジスタは、空気吹出口の内側に、1本の前可動フィンを長手方向に沿って配設し、この前可動フィンを、長手方向と平行の支軸の回りで回動させて、風向を調整する構造とし、フィンの向きを変えたときの風の指向性を改善することはできるものの、通風路内に前可動フィンが配されることによって、送風時の圧力損失の低減には限界があり、更なる改善が望まれていた。
【0009】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、長手方向に長く短手方向に短い細長の空気吹出口を有したレジスタにおいて、可動フィンを完全になくして、構造を簡単化し、且つ送風時の圧力損失の低減を図り、良好な風向調整を可能としたレジスタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るレジスタは、風の流路を内部に設けたケース状のレジスタ本体を有し、該レジスタ本体の前部に、長手方向に長く短手方向に短い細長の空気吹出口を設けたレジスタにおいて、
該レジスタ本体内には、第1流路、中央流路、及び第2流路が、該空気吹出口の長手方向と平行な平面上に沿って且つ該第1、第2流路が該中央流路を挟んで3層状に形成され、
該第1流路、該中央流路及び第2流路の先端部は、各々、該空気吹出口の形状と同様に長手方向に長く短手方向に短い細長形状に形成され、
該第1、第2流路の先端部は各々該空気吹出口に収束する傾斜流路を通して該空気吹出口と連通し、
該中央流路の先端部は該傾斜流路に続く流路空間を通して直前の該空気吹出口と連通し、
該第1流路、該中央流路、及び該第2流路には、各々、送風遮断部材が送風を遮断可能に配設され、該第1流路、該中央流路、及び該第2流路の該各送風遮断部材を選択的に遮断動作させ、選択的に該第1流路、該中央流路、または該第2流路を通して送風を行って、該空気吹出口の短手方向に風向を変えることを特徴とする。
【0011】
この発明によれば、レジスタ本体の流路内に可動フィンを設けず、選択的に第1流路、中央流路、または第2流路を通して送風を行うことにより、空気吹出口からの送風方向を変えることができるので、簡単な構造で、良好な風向調整を可能とし、圧力損失の少ない送風を行なうことができる。
【0012】
ここで、上記レジスタにおいて、上記中央流路内に複数の固定フィンが固定され、該固定フィンは、該中央流路を通る空気流が該空気吹出口の前方長手方向に且つ末広がり状に曲げて送風されるように構成され、該中央流路の前記送風遮断部材は該中央流路の中央部から長手方向の両側に分割されて第1送風遮断部材と第2送風遮断部材として形成され、該第1送風遮断部材と該第2送風遮断部材は選択的に遮断動作して該空気吹出口の長手方向に風向を変えるように構成することができる。
【0013】
これによれば、第1送風遮断部材、第2送風遮断部材を選択的に遮断動作させることにより、中央流路を通して空気吹出口から送風される風の向きを、該空気吹出口の長手方向に変えることができる。
【0014】
また、上記送風遮断部材として、ダンパーを、各々、第1流路、中央流路、及び第2流路内に回動可能に軸支し、該ダンパーにより、第1流路、中央流路、及び第2流路を開閉するように構成することができる。また、上記第1、第2送風遮断部材として、ダンパーを、各々、上記中央流路内に回動可能に軸支し、該ダンパーにより中央流路における長手方向の一方の側の送風を遮断して、風の向きを変えるように構成することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明のレジスタによれば、長手方向に長く短手方向に短い細長の空気吹出口を有したレジスタにおいて、可動フィンを完全になくして、構造を簡単化し、且つ送風時の圧力損失を少なくし、良好な風向調整を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態を示すレジスタの正面図である。
【図2】同レジスタの拡大右側面図である。
【図3】図1のIII-III拡大断面図である。
【図4】図1のIV-IV断面図である。
【図5】図2のV-V断面図である。
【図6】図2のVI-VI断面図である。
【図7−1】(a)は第1、第2流路を遮断し中央流路を開放したときの拡大断面説明図、(b)は同状態の図4に対応した片側開放時の断面説明図である。
【図7−2】(c)は同状態の図4に対応した片側開放時の断面説明図、(d)は同状態の図4に対応した全面開放時の断面説明図である。
【図8】第1流路を開放し、第2流路、中央流路を遮断したときの拡大断面説明図である。
【図9】第1流路、中央流路を開放し、第2流路を遮断したときの拡大断面説明図である。
【図10】第1流路、中央流路を遮断し、第2流路を開放したときの拡大断面説明図である。
【図11】第1流路を遮断し、中央流路、第2流路を開放したときの拡大断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1〜図6に示すように、本レジスタは、ケース状のレジスタ本体1を有し、内部に通風路として3層状の流路を設けて構成され、レジスタ本体1の前部には細長の空気吹出口2が設けられる。図1に示すように、レジスタ正面の空気吹出口2は、偏平で細長いスリット状に形成され、長手方向(左右水平方向)に長く短手方向(上下方向)に短い横長の長方形となっている。ここで、図1に示すL方向が長手方向であり、S方向が短手方向である。
【0018】
レジスタ本体1内には、図3に示すように、3層状の流路として、第1流路3、中央流路4、及び第2流路5が、空気吹出口2の長手方向と平行な平面上に沿って且つ第1流路3、第2流路5が中央流路4を挟んで上下3層状に形成されている。第1流路3と中央流路4間に隔壁3aが設けられ、第2流路5と中央流路4間に隔壁5aが設けられ、中央流路4はその上下を隔壁3a,5aでその両側側部をレジスタ本体1の側壁により囲われた板状空間として形成される。第1流路3は中央流路4の上側に隔壁3aを介してレジスタ本体1内に板状空間として形成され、第2流路5は中央流路4の下側に隔壁5aを介してレジスタ本体1内に板状空間として形成される。また、第1流路3、中央流路4及び第2流路5の先端部(下流側先端)は、各々、空気吹出口2の形状と同様に長手方向に長く短手方向に短い細長形状に形成されている。
【0019】
レジスタ本体1の先端部の外観形状は、図2のように、短手方向に狭窄した形状に形成されており、その先端部正面に、長手方向に細長いスリット状の空気吹出口2が形成される。レジスタ本体1内に形成された第1流路3の先端部は、図3に示すように、空気吹出口2に収束する上傾斜流路7を通して空気吹出口2と連通し、第2流路5の先端部は、空気吹出口2に収束する下傾斜流路8を通して空気吹出口2と連通するようになっている。また、中央流路4の先端部は上傾斜流路7及び下傾斜流路8に続く流路空間6を通して直前の空気吹出口2と連通するように形成されている。
【0020】
さらに、中央流路4を形成する第1流路3の下側の隔壁3aの先端部と、第2流路5の上側の隔壁5aの先端部は、図3のように、テーパー状の傾斜面3b、5bとして、流路空間6に突き出すように形成され、この傾斜面3b、5bの外側には上傾斜流路7と下傾斜流路8が形成される。
【0021】
これにより、中央流路4を流れる空気流はより少ない圧力損失で空気吹出口2から前方に吹き出されるようになっており、第1流路3を流れる空気流は上傾斜流路7と傾斜面3bを通過して斜め下方に風向を変えて送風され、第2流路5を流れる空気流は下傾斜流路8と傾斜面5bを通過して斜め上方に風向を変えて送風されるようになっている。また、第1流路3と中央流路4が開放状態のとき、中央の流路空間6で中央流路4の空気流が第1流路3の空気流により斜め下方に曲げられ、空気吹出口2から斜め下方に良好にガイドされて送風されるようになっている。また、第2流路5と中央流路4が開放状態のとき、中央の流路空間6で中央流路4の空気流が第2流路5の空気流により斜め上方に曲げられ、空気吹出口2から斜め上方にガイドされて送風されるようになっている。
【0022】
上述のように、第1流路3、中央流路4、または第2流路5を通して選択的に送風を行なうために、図3,4に示す如く、レジスタ本体1内の第1流路3、中央流路4、及び第2流路5の上流側に、送風遮断部材として、各々、上ダンパー11、第1中央ダンパー12、第2中央ダンパー13、下ダンパー14が配設されている。上ダンパー11は第1流路3内で支軸11aを介して回動可能に軸支され、第1流路3の送風を遮断可能に配設される。下ダンパー14は第2流路5内で支軸14aを介して回動可能に軸支され、第2流路5の送風を遮断可能に配設される。
【0023】
したがって、上ダンパー11、下ダンパー14を開閉動作させることにより、第1流路3または第2流路5のみを使用して送風を行うことができ、これにより、風向を上方または下方に変えることができる。すなわち、上ダンパー11のみを開放した場合、第1流路3のみに空気流が流れ、それが先端部で上傾斜流路7を通り空気吹出口2から斜め下方に送風される。また、下ダンパー14のみを開放した場合、第2流路5のみに空気流が流れ、それが先端部で下傾斜流路8を通り空気吹出口2から斜め上方に送風されることとなり、空気吹出口2からの送風方向がその短手方向に変えられる。
【0024】
なお、図5,6に示すように、第1流路3内には、2枚の固定フィン18が送風ガイドのために末広がり状に固定され、第2流路5内にも、2枚の固定フィン19が同様の形態で固定されている。
【0025】
一方、中央ダンパーは図4に示すように、第1中央ダンパー12と第2中央ダンパー13に、左右に分割して形成され、左の第1中央ダンパー12は中央流路4内で支軸12aを介して回動可能に軸支され、中央流路4の左側の送風を遮断可能とし、右の第2中央ダンパー13は中央流路4内で支軸13aを介して回動可能に軸支され、中央流路4の右側の送風を遮断可能として設けられる。
【0026】
また、中央流路4内には、図4に示す如く、複数の固定フィン9が、左右前方に向けて末広がりに流路が形成されるように固定され、これにより、図4において左側の第1中央ダンパー12が開放され、右側の第2中央ダンパー13が閉鎖された場合、中央流路4を通る空気流は左側に曲げられて空気吹出口2から送風される。一方、右側の第2中央ダンパー13が開放され、左側の第1中央ダンパー12が閉鎖された場合、中央流路4を通る空気流は右側に曲げられて空気吹出口2から送風される。つまり、第1中央ダンパー12、第2中央ダンパー13の開閉を切り替えることにより、中央流路4の長手方向(左右方向)の吹出し方向、及び第1流路3、第2流路5の長手方向の吹出し方向を変えることができるようになっている。
【0027】
なお、上ダンパー11、第1中央ダンパー12、第2中央ダンパー13、及び下ダンパー14には、図示は省略されているが、その開閉を駆動する開閉駆動機構が設けられ、手動或いはモータ駆動により、各ダンパーの支軸を回転駆動して、上ダンパー11、第1中央ダンパー12、第2中央ダンパー13、及び下ダンパー14の開放と閉鎖を行なう構造となっている。
【0028】
次に、上記構成のレジスタの動作を、図7〜図11に基づいて説明する。レジスタは、自動車の車内のインストルメントパネルやダッシュボードの部分に、背面側の空気導入口を図示しない通風ダクトに接続して装着される。レジスタの空気吹出口2はインストルメントパネルやダッシュボードの前面に露出するが、空気吹出口2の内側に視覚的に目立つ可動フィンはなく、空気吹出口2が非常に細長くシンプルにデザインされるので、その前面の意匠性は斬新で優れたものとなる。
【0029】
レジスタの正面に真直ぐ送風を行なう場合、図7−1、7−2の(a)〜(d)に示すように、第1流路3の上ダンパー11と第2流路5の下ダンパー14を閉鎖し、中央流路4の第1中央ダンパー12、第2中央ダンパー13を開放して送風する。これにより、図7−1、7−2の(a)、(d)の如く、レジスタ本体1の中央流路4内に導入された空気流は、中央流路4内を真直ぐに空気吹出口2に向かって進み、正面に位置する空気吹出口2からレジスタの正面方向に真直ぐ送風される。空気吹出口2は横方向に細長くスリット状に形成されるものの、中央流路4やその先端部の流路空間6に可動フィンがないため、送風時の圧力損失は少なく、効率良く良好に送風することができる。
【0030】
一方、その状態で、送風方向を向かって例えば右に振る場合、図7−1(b)のように、向かって左側の第1中央ダンパー12を閉じる。これにより、空気流は、開放されている中央流路4の右側の第2中央ダンパー13の部分を通過し、右側の中央流路4の固定フィン9は右側に傾斜して配されているため、送風は向かって右方向に振られ、空気吹出口2の長手方向の斜め右側に向けて送風される。逆に、送風方向を向かって左に振る場合、図7−2(c)のように、向かって右の第2中央ダンパー13を閉じ、左の第1中央ダンパー12を開放する。これにより、空気流は、開放されている中央流路4の左の第1中央ダンパー12の部分を通過し、左側の中央流路4の固定フィン9は左側に傾斜して配されているため、送風は向かって左方向に振られ、空気吹出口2の長手方向の斜め左側に向けて送風される。
【0031】
一方、レジスタの正面短手方向下側に風を振る場合、図9に示すように、第1流路3の上ダンパー11を開放し、中央流路4の第1中央ダンパー12と第2中央ダンパー13を開放し、第2流路5の下ダンパー14を閉鎖して送風する。これにより、図9のように、空気流は、開放されている第1流路3と中央流路4を通過し、第1流路3を通る空気流が上傾斜流路7から流路空間6を通るとき、中央流路4を通る空気流を斜め下方に曲げる。これにより、中央流路4を通過する空気流が斜め下方に曲げられ、第1流路3を通過する空気流とともに、空気吹出口2から斜め下方に向けて送風されることとなる。
【0032】
なお、この送風状態で、中央流路4の第1中央ダンパー12または第2中央ダンパー13の一方を閉じた場合、図7−1、7−2の(b)、(c)に示すように、中央流路4を通る空気流が長手方向の右または左に振られるため、斜め下方に向かう風が長手方向の右または左に曲げられることとなる。
【0033】
一方、上記の下方に向けた風よりさらに下側に風を向ける場合、図8に示すように、第1流路3の上ダンパー11を開放し、中央流路4の第1中央ダンパー12、第2中央ダンパー13、及び第2流路5の下ダンパー14を閉鎖して送風する。これにより、図8のように、空気流は、開放されている第1流路3のみを通過し、上傾斜流路7から流路空間6を通ることにより、さらに斜め下方に風向がより強く曲げられ、空気吹出口2から斜め下方に向けて送風される。このように送風方向を下方に向けた場合でも、第1流路3、上傾斜流路7或いは流路空間6に可動フィンがないため、送風時の圧力損失は少なく、効率良く良好に送風することができる。
【0034】
一方、レジスタの正面上側に風を向ける場合、図11に示すように、第2流路5の下ダンパー14を開放するとともに、中央流路4の第1中央ダンパー12と第2中央ダンパー13を開放し、第1流路3の上ダンパー11を閉鎖して送風する。これにより、図11のように、空気流は、開放されている第2流路5と中央流路4を通過し、第2流路5を通る空気流が下傾斜流路8から流路空間6を通るとき、中央流路4を通る空気流を斜め上方に曲げる。これにより、中央流路4を通過する空気流が斜め上方に曲げられ、第2流路5を通過する空気流とともに、空気吹出口2から斜め上方に向けて送風される。
【0035】
なお、この状態で、中央流路4の第1中央ダンパー12または第2中央ダンパー13の一方を閉じた場合、図7−1、7−2の(b)、(c)に示すように、中央流路4を通る空気流が長手方向の右側または左側に曲げられ、斜め上方に向かう風が長手方向の右または左に向けられることとなる。
【0036】
一方、さらに正面上側に風を大きく振る場合、図10に示すように、第2流路5の下ダンパー14を開放し、中央流路4の第1中央ダンパー12、第2中央ダンパー13、及び第1流路3の上ダンパー11を閉鎖して送風する。これにより、図10のように、空気流は、開放されている第2流路5を通過し、下傾斜流路8から流路空間6を通ることにより、さらに斜め上方に風向が曲げられ、空気吹出口2から斜め上方に向けて送風される。このように空気流を上方に曲げて送風した場合でも、第2流路5、下傾斜流路8或いは流路空間6に可動フィンがないため、送風時の圧力損失は少なく、効率良く良好に送風することができる。
【0037】
このように、レジスタ本体1の流路内に可動フィンを設けず、選択的に第1流路3、中央流路4、または第2流路5を通して送風を行うことにより、空気吹出口2からの送風方向を上下に(短手方向に)、または左右に(長手方向に)変えることができるので、簡単な構造で、良好な風向調整を可能とし、圧力損失の少ない送風を行なうことができる。
【0038】
なお、上記実施形態では、送風遮断部材としてダンパーを使用し、ダンパーを回動させて流路を開閉し、送風方向を変えたが、フィルム或いはシートを使用し、それをスライドさせて流路を開閉することもできる。
【0039】
また、上記実施形態では、水平横方向に長く上下縦方向に短い、横方向に細長い形状の空気吹出口2を有したレジスタについて説明したが、それを90度回転させた状態とし、鉛直縦方向に長く左右横方向に短い、縦方向に細長い形状の空気吹出口を有したレジスタ本体内に、第1流路、中央流路、及び第2流路を、空気吹出口の長手方向と平行な鉛直面上に沿った3層状に形成することもできる。この場合、第1、第2流路に、選択的に送風を行なうことにより、空気吹出口の吹出し方向は左右に変わることとなる。
【符号の説明】
【0040】
1 レジスタ本体
2 空気吹出口
3 第1流路
3a 隔壁
3b 傾斜面
4 中央流路
5 第2流路
5a 隔壁
5b 傾斜面
6 流路空間
7 上傾斜流路
8 下傾斜流路
9 固定フィン
11 上ダンパー
11a 支軸
12 第1中央ダンパー
12a 支軸
13 第2中央ダンパー
13a 支軸
14 下ダンパー
14a 支軸
18 固定フィン
19 固定フィン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
風の流路を内部に設けたケース状のレジスタ本体を有し、該レジスタ本体の前部に、長手方向に長く短手方向に短い細長の空気吹出口を設けたレジスタにおいて、
該レジスタ本体内には、第1流路、中央流路、及び第2流路が、該空気吹出口の長手方向と平行な平面上に沿って且つ該第1、第2流路が該中央流路を挟んで3層状に形成され、
該第1流路、該中央流路及び第2流路の先端部は、各々、該空気吹出口の形状と同様に長手方向に長く短手方向に短い細長形状に形成され、
該第1、第2流路の先端部は各々該空気吹出口に収束する傾斜流路を通して該空気吹出口と連通し、
該中央流路の先端部は該傾斜流路に続く流路空間を通して直前の該空気吹出口と連通し、
該第1流路、該中央流路、及び該第2流路には、各々、送風遮断部材が送風を遮断可能に配設され、該第1流路、該中央流路、及び該第2流路の該各送風遮断部材を選択的に遮断動作させ、選択的に該第1流路、該中央流路、または該第2流路を通して送風を行って、該空気吹出口の短手方向に風向を変えることを特徴とするレジスタ。
【請求項2】
前記中央流路内に複数の固定フィンが固定され、該固定フィンは、該中央流路を通る空気流が該空気吹出口の前方長手方向に且つ末広がり状に曲げて送風されるように構成され、該中央流路の前記送風遮断部材は該中央流路の中央部から長手方向の両側に分割されて第1送風遮断部材と第2送風遮断部材として形成され、該第1送風遮断部材と該第2送風遮断部材は選択的に遮断動作して該空気吹出口の長手方向に風向を変えることを特徴とする請求項1記載のレジスタ。
【請求項3】
前記送風遮断部材として、ダンパーが、各々、前記第1流路、前記中央流路、及び前記第2流路内に回動可能に軸支され、該ダンパーにより、該第1流路、該中央流路、及び該第2流路を開閉することを特徴とする請求項1記載のレジスタ。
【請求項4】
前記第1送風遮断部材及び第2送風遮断部材として、ダンパーが、各々、前記中央流路内に回動可能に軸支され、該ダンパーにより該中央流路における長手方向の一方の側の送風を遮断して、風向を変えることを特徴とする請求項2記載のレジスタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7−1】
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【図7−2】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−86659(P2013−86659A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−229167(P2011−229167)
【出願日】平成23年10月18日(2011.10.18)
【出願人】(308016242)豊和化成株式会社 (65)
【出願人】(000110321)トヨタ車体株式会社 (1,272)
【Fターム(参考)】