説明

レジストパターンシミュレーション方法及び装置

【課題】レジストの種類及び膜厚によらず現像後のレジストパターン形状をより詳細に予測することができるシミュレーション方法及び装置を提供すること。
【解決手段】本発明は、電子線散乱シミュレーションによるレジストのエネルギー蓄積分布を算出するエネルギー蓄積分布算出工程と、前記レジストの溶解速度の測定値に基づいて現像速度分布を計算する現像速度分布計算工程と、前記現像速度分布をエネルギー蓄積分布に変換するエネルギー現像速度分布変換工程と、前記エネルギー蓄積分布と前記現像速度分布に基づいて現像計算を行って現像計算値を求めて当該現像計算値に基づいて現像後のレジストのパターン形状を推定するパターン形状推定工程と、を具備する。前記現像速度分布計算工程は、予めの実験による電子線の照射量(ドーズ)とレジスト溶解深度の2つのパラメータに基づいて前記現像速度分布を計算する工程を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体集積回路装置などの作成に関して使用する電子線リソグラフィにおけるレジストパターンシミュレーション方法及び装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子線リソグラフィーの分野において、現像後のレジスト形状を推定する場合、電子線散乱シミュレーションを行いレジスト中のエネルギー蓄積分布を求めた後、蓄積エネルギーに置き換えて現像プロファイル計算を行うのが一般的である。
【0003】
電子線散乱シミュレーションの代表的なものには、モンテカルロ法がある。これは乱数を用いて電子の散乱およびエネルギー損失をシミュレートするものであり、電子線が失ったエネルギーはその軌跡中のレジストや下地基板に与えられたとする。また、モンテカルロ法を使用したシミュレーションには、面積を持たない1点の照射電子散乱計算から周辺領域へのエネルギー蓄積分布関数(EID関数)を計算し、これを所望のパターン領域に渡って重畳計算することによりエネルギー蓄積分布を算出する方法と、所望のパターン領域に電子線を照射し、その全ての電子の散乱状態のエネルギー蓄積分布を算出する方法(ダイレクトモンテカルロ法)がある。
【0004】
このようにして求めたレジスト中のエネルギー蓄積密度分布を、Mackモデル等の現像モデルに代入し、現像速度に変換する。このようにして求めたレジスト内現像速度3次元分布データからストリング法、セルリムーバル法などの現像計算を行い現像後のパターンを予見するものである。
【0005】
一般に現像モデルを用いた方法ではパターン形状が実際の形状を反映する事は難しく、これを改善するために複雑な現像モデルが提案されている。しかし、複雑な現像モデルは計算が膨大になるだけでなく、反応に関するパラメータも多くなりレジスト形状の再現に困難を要するという問題がある。
【0006】
現像モデル計算の問題点を解消する発明として、特許文献1のようにシミュレーションによって求めたエネルギー蓄積分布を現像速度分布に変換する際に光干渉効果を用いて実験的に算出した現像速度を用いる方法がある。これは電子線照射後のレジストを現像液に浸漬し、照射部のレジスト膜厚変化をレジスト層表面からの反射光と、内部の既現像レジスト層と未現像レジスト層との境界面で反射する光との干渉光の強度を測定する事により未現像レジストの膜厚時間変化から現像速度を算出するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−37050号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来の干渉光を使用した現像速度測定方法では、レジストの種類によっては測定に使用する光の吸収や透過が起こってしまうため、正確な測定ができないものがある。また、従来の干渉光を使用した現像速度測定方法では、レジスト膜厚が薄い場合は干渉光強度の変化そのものが少ないため、現像速度へ変換する際に精度が悪化する。さらに、従来の干渉光を使用した現像速度測定方法では、現像中に不均一に溶解する場合や、現像中にレジストの膨潤が起こる場合などでは干渉光の波形が乱れ、正確な測定がでない。
【0009】
このため、特許文献1の方法では、レジストの深さ方向により異なる現像速度の違いや、レジストの膨潤、基板界面に残留した残留レジスト層の存在など、現像過程での微細な挙動までは検出することができないという問題がある。
【0010】
現在は、半導体加工技術の微細化に伴い、レジストの薄膜化などより微細なパターンの形成が必要となり、シミュレーションに対しても同様に微細な形状の再現が求められている。
【0011】
本発明の目的は、レジストの種類及び膜厚によらず現像後のレジストパターン形状をより詳細に予測することができるシミュレーション方法及び装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1の発明に係るレジストパターンシミュレーション方法は、電子線散乱シミュレーションによるレジストのエネルギー蓄積分布を算出するエネルギー蓄積分布算出工程と、前記レジストの溶解速度の測定値に基づいて現像速度分布を計算する現像速度分布計算工程と、前記現像速度分布をエネルギー蓄積分布に変換するエネルギー現像速度分布変換工程と、前記エネルギー蓄積分布算出工程及び前記エネルギー現像速度分布変換工程により得られる前記エネルギー蓄積分布と前記現像速度分布計算工程により得られる前記現像速度分布に基づいて現像計算を行って現像計算値を求めて当該現像計算値に基づいて現像後のレジストのパターン形状を推定するパターン形状推定工程と、を具備し、前記現像速度分布計算工程が、予めの実験による電子線の照射量(ドーズ)とレジスト溶解深度の2つのパラメータに基づいて前記現像速度分布を計算する工程を具備することを特徴とする。
【0013】
請求項2の発明に係るレジストパターンシミュレーション方法は、請求項1に記載の発明において、前記現像速度分布計算工程が、予めの実験による電子線の照射量(ドーズ)と現像時間に伴う前記レジストの膜厚増加率の2つのパラメータに基づいて前記現像速度分布を計算する工程を具備することを特徴とする。
【0014】
請求項3の発明に係るレジストパターンシミュレーション方法は、請求項1及び請求項2のいずれかに記載の発明において、前記エネルギー蓄積分布算出工程が、前記レジストの1点の照射電子散乱計算から周辺領域へのエネルギー蓄積分布を計算し、これを所望のパターン領域に渡って重畳計算して、エネルギー蓄積分布を算出することを特徴とする。
【0015】
請求項4の発明に係るレジストパターンシミュレーション方法は、請求項1及び請求項2のいずれかに記載の発明において、前記エネルギー蓄積分布算出工程が、前記レジストの所望のパターン領域に電子線を照射し、それぞれの電子の散乱状態を全て計算してエネルギー蓄積分布を算出することを特徴とする。
【0016】
請求項5の発明に係るレジストパターンシミュレーション装置は、電子線散乱シミュレーションによるレジストのエネルギー蓄積分布を算出するエネルギー蓄積分布算出手段と、前記レジストの溶解速度の測定値に基づいて現像速度分布を計算する現像速度分布計算手段と、前記現像速度分布をエネルギー蓄積分布に変換するエネルギー現像速度分布変換手段と、前記エネルギー蓄積分布算出手段及び前記エネルギー現像速度分布変換手段により得られる前記エネルギー蓄積分布と前記現像速度分布計算手段により得られる前記現像速度分布に基づいて現像計算を行って現像計算値を求めて当該現像計算値に基づいて現像後のレジストのパターン形状を推定するパターン形状推定手段と、を具備し、前記現像速度分布計算手段が、予めの実験による電子線の照射量(ドーズ)とレジスト溶解深度の2つのパラメータに基づいて前記現像速度分布を計算する工程を具備することを特徴とする。
【0017】
請求項6の発明に係るレジストパターンシミュレーション装置は、請求項5に記載の発明において、前記現像速度分布計算手段が、予めの実験による電子線の照射量(ドーズ)と現像時間に伴う前記レジストの膜厚増加率の2つのパラメータに基づいて前記現像速度分布を計算する工程を具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、予めの実験による電子線の照射量(ドーズ)とレジスト溶解深度の2つのパラメータに基づいて現像速度分布を計算するため、レジストの種類及び膜厚によらず現像後のレジストパターン形状をより詳細に予測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施の形態1に係るレジストーンシミュレーション装置を示す概略図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係るレジストパターンシミュレーション装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【図3】本発明の実施例によるQCM法の測定によって得られた現像時間とレジスト膜厚の関係を説明するための図である。
【図4】本発明の実施例によるQCM法の測定によって得られたレジスト溶解深度と現像速度の関係を説明するための図である。
【図5】本発明の実施例によって求めたレジストパターンの断面形状を示す図である。
【図6】本発明の比較例によって求めたレジストパターンの断面形状を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係るレジストパターンシミュレーション装置を示す概略図である。図1に示すように、本発明の実施の形態1に係るレジストパターンシミュレーション装置は、圧電素子である水晶振動子4と、共振回路7と、周波数カウンタ8と、解析用パーソナルコンピュータ(PC)9と、を具備している。
【0021】
共振回路7は、水晶振動子4に配線1により接続されている。周波数カウンタ8は、共振回路7に接続されている。解析用PC9は、周波数カウンタ8に接続されている。水晶振動子4は、現像液容器6に収容されている現像液5の中に配置されている。水晶振動子4は、固定ジグ2により現像液容器6の内部の所定位置に固定されている。水晶振動子4の一面には、レジスト層3が形成されている。
【0022】
本発明の実施の形態1に係るレジストパターンシミュレーション装置においては、現像速度を高精度に算出する方法として、水晶振動子マイクロバランス(以下、QCMと称する)を用いてレジスト層3の膜厚を測定する。図1に示した本発明の実施の形態1に係るレジストパターンシミュレーション装置は、(J.Electrochem.Soc. Measurement of Thin-Film Dissolution Kinetics Using a Quartz Cristal Microbalance 133,No.7 (1986)1448-1451)の装置である。
【0023】
水晶振動子4は、水晶の単結晶からディスクを切り出されて形成されている。水晶振動子4の一面にレジスト層3が形成されている。水晶振動子4は、固有の共振周波数を持っており、レジスト層3が表面に形成されると共振周波数がレジスト層3の種類、膜厚の違いなどに応じて低周波数側にシフトする。レジスト層3が形成された水晶振動子4に均一に電子線が照射されたのち、水晶振動子4及びレジスト層3が現像液5に浸漬されると現像中にレジスト層3の膜厚が変化し、これが共振周波数の変化として現れる。
【0024】
共振回路7は、この共振周波数を検出する。周波数カウンタ8は、共振回路7の共振周波数をカウントして解析用PC9に与える。解析用PC9は、得られた共振周波数と現像時間の関係から計算を行ってレジスト膜厚と現像時間の関係を得る。本発明の実施の形態1に係るレジストパターンシミュレーション装置により、電子線の照射量(ドーズ)を変化させ同様の測定を行い、各ドーズに対応するレジスト溶解深度方向の現像速度を求めることによりドーズとレジスト溶解深度の2つのパラメータと現像速度分布の関係を求めることができる。さらに、本発明の実施の形態1に係るレジストパターンシミュレーション装置は、レジスト3が膨潤して膜厚が増加している場合に、現像速度をマイナス値で定義することによりレジストの膨潤挙動を反映させることとする。
【0025】
また、本発明の実施の形態1に係るレジストパターンシミュレーション装置は、別途に水晶振動子4の上に形成したレジスト層3に均一な電子線を照射した場合の電子線散乱シミュレーションを行い、電子線の照射量(ドーズ)と蓄積エネルギー分布の関係を求める。この関係を用いて前記ドーズに対するレジスト溶解深度方向の現像速度がエネルギー蓄積分布に対応するレジスト溶解深度方向の現像速度に変換される。以上の工程により、電子線の照射量(ドーズ)とレジストレジスト溶解速度の2つのパラメータから現像速度を算出する変換テーブルが得られる。本発明の実施の形態1に係るレジストパターンシミュレーション装置は、この変換テーブルを電子線で所望のパターニングを施したレジスト層の3次元エネルギー蓄積分布に適用することにより、レジスト形状の現像シミュレーションを行うものである。
【0026】
次に、本発明の実施の形態1に係るレジストパターンシミュレーション装置の動作について、図2を参照して詳細に説明する。図2は、本発明の実施の形態1に係るレジストパターンシミュレーション装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【0027】
図2に示すように、工程S100において現像シミュレートを行う系の設定が実行される。この工程S100は、解析用PC9を用いて実行されるものであり、操作者が解析用PC9を用いて、レジストの種類、膜厚及びパターン形状等の情報を入力する。
【0028】
次に、工程S110において電子線散乱シミュレーションによってレジストのエネルギー蓄積分布が算出される。この工程S110においては、レジストの1点の照射電子散乱計算から周辺領域へのエネルギー蓄積分布を計算し、これを所望のパターン領域に渡って重畳計算して、エネルギー蓄積分布を算出される(重量計算法)。また、工程S110においては、レジストの所望のパターン領域に電子線を照射し、それぞれの電子の散乱状態を全て計算してエネルギー蓄積分布を算出するようにしてもよい(ダレクトモンテカルロ法)。次に、工程S120においてレジストのエネルギー蓄積分布の算出が行われる。
【0029】
工程S100において現像シミュレートを行う系の設定が実行された後に、工程S210においてレジスト溶解速度の測定が行われる。工程S210のレジスト溶解速度の測定においてレジストの膜厚増加のドーズ領域では、工程S221に進んで、この工程S221において予めの実験によるドーズと現像時間とをパラメータをする現像速度分布r(t,D)の算出が行われる。次に、工程S231において現像速度分布r(t,D)がエネルギー蓄積分布(密度)R(t,E)に変換される。
【0030】
工程S210のレジスト溶解速度の測定においてレジストの膜厚減少のドーズ領域では、工程S222に進んで、この工程S222において予めの実験によるドーズとレジスト溶解深度のパラメータに基づいて現像速度分布r'(z,D)の算出が行われる。次に、工程S232において現像速度分布r'(z,D)がエネルギー蓄積分布(密度)R'(z,E)に変換される。
【0031】
工程S130において、工程S120noレジストのエネルギー蓄積分布と、工程S231のエネルギー蓄積分布(密度)R(t,E)又は工程S232のエネルギー蓄積分布(密度)R'(z,E)に基づいて、現像後の現像後のレジストのパターン形状を推定する現像シミュレーションが実行される。
【0032】
(実施例)
本発明の実施例として、フォトマスク原版(マスクブランクス)に化学増幅のネガレジスト層3を形成した基板に対し電子線パターニングを行った場合のパターン形状のシミュレーションが行なわれた。電子線の入射エネルギーは50kVであり、レジスト膜厚が250nmであり、レジストパターンは線幅が100nmである孤立ラインを想定した。
【0033】
まず、QCM法を用いた膜厚変化の測定用に上記レジスト層3が水晶振動子4の上に形成された複数のサンプルが用意された。各水晶振動子4に異なるドーズで均一な電子線照射領域が周波数測定領域と同等もしくはそれ以上の領域に形成された後、照射後のサンプルを現像液に浸漬しながら共振周波数がモニタリングされる。こうして得られた共振周波数の現像時間に伴う変化から、水晶振動子4の上のレジスト層3の膜厚変化がドーズごとに算出される(図3参照)。
【0034】
図3において、特性曲線A、B、C、D、E、Fは、電子線が2uC/cm、4uC/cm、5uC/cm、6uC/cm、7uC/cm、9uC/cmのドーズ条件で照射されたレジストの特性を示すものである。
【0035】
図3の特性曲線Aで示すように、アンダーのドーズ条件である2uC/cmで照射されたレジストの膜厚は、直線的に減少しておらず、深さ方向に対し現像速度が一定でないことが分かる。また、ドーズがしきい値(9uC/cm)以下の条件では現像時間が進むにつれ、現像後のレジスト膜厚が逆に増加していることが分かる。これはレジストの膨潤が起こっているものと推定される。以上得られた測定結果を基づいて、レジストの相反する挙動に対してドーズごとに条件を分け、具体的に下記の手順により現像速度分布が算出される。
【0036】
現像プロセスでレジスト膜厚が増加するドーズ条件では、図3より現像時間変化tに伴う膜厚増加率を算出し、これが現像速度分布r(t,D)[nm/sec]とされる。現像プロセスでレジストの膜厚が減少しているドーズ条件に対しては、図3の結果を時間微分することにより現像速度分布r'(t,D)[nm/sec]が算出されるが、さらにこれを縦軸としてその時点における初期膜厚からの深さz[nm]を横軸にとり、レジスト溶解深度に対しての現像速度分布r'(t,D)[nm/sec]が求められる(図4参照)。
【0037】
図4よりレジストが溶解する2uC/cmというドーズ条件においても、レジストが溶解して底面に達する約30nm前に現像速度が0になることが分かる。これは、電子線の照射不足が原因と認識されがちであるが、電子線散乱シミュレーションにより、50kVの電子線はそのエネルギーの高さからレジスト層をほぼ直線的に貫通しており、レジストの底面までエネルギーが蓄積されているという結果が得られている。そのため、現像速度が深さ方向で異なるのには別の要因(ベーク、酸発生、拡散プロセスなど)があるものと推定される。
【0038】
また、前記水晶振動子の上に形成したレジスト層をモデルとして均一な電子線を照射した場合の電子線散乱シミュレーションを行い、ドーズD(uC/cm)と蓄積エネルギー密度E[J/m]の関係が求められる。この関係を用いて現像速度分布r(t,D)、r'(t,D)がエネルギー蓄積分布(密度)R(t,E)、R'(z,E)に変換される。
【0039】
こうして得られたエネルギー蓄積分布(密度)とR(t,E)、R'(z,E)及び図2の工程120により得られるエネルギー蓄積分布の算出値と、レジスト溶解深度から決定される現像速度分布を用いて現像計算を実施して現像計算値を算出し、この現像計算値に基づくシミュレーションによるレジストパターン形状を得た。図5に現像テーブルを用いて現像計算を行った結果を示す。図5はレジストの側面部分が横に張り出した形になっており、レジストの膨潤挙動を反映した結果となっている。また、現像速度がレジスト底面付近で遅くなるためにレジスト形状に裾引き形状が強く反映されたものとなっている。
【0040】
比較例として、一定の蓄積エネルギーに対する現像速度の平均値を用いレジスト溶解深度に関係無く一定の値を用い、さらに膨潤挙動による膜厚の増加を考慮しない場合の現像計算結果を図6に示す。このように、本実施例は、比較例と比較すると、実際の現像後のレジストパターンに近い形状を得ることができることが分かる。
【符号の説明】
【0041】
1 配線
2 固定ジグ
3 レジスト層
4 水晶振動子
5 現像液
6 現像液容器
7 共振回路
8 周波数カウンタ
9 解析用パーソナルコンピュータ(PC)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子線散乱シミュレーションによるレジストのエネルギー蓄積分布を算出するエネルギー蓄積分布算出工程と、
前記レジストの溶解速度の測定値に基づいて現像速度分布を計算する現像速度分布計算工程と、
前記現像速度分布をエネルギー蓄積分布に変換するエネルギー現像速度分布変換工程と、
前記エネルギー蓄積分布算出工程及び前記エネルギー現像速度分布変換工程により得られる前記エネルギー蓄積分布と前記現像速度分布計算工程により得られる前記現像速度分布に基づいて現像計算を行って現像計算値を求めて当該現像計算値に基づいて現像後のレジストのパターン形状を推定するパターン形状推定工程と、を具備し、
前記現像速度分布計算工程は、予めの実験による電子線の照射量(ドーズ)とレジスト溶解深度の2つのパラメータに基づいて前記現像速度分布を計算する工程を具備することを特徴とするレジストパターンシミュレーション方法。
【請求項2】
前記現像速度分布計算工程は、予めの実験による電子線の照射量(ドーズ)と現像時間に伴う前記レジストの膜厚増加率の2つのパラメータに基づいて前記現像速度分布を計算する工程を具備することを特徴とする請求項1に記載のレジストパターンシミュレーション方法。
【請求項3】
前記エネルギー蓄積分布算出工程は、前記レジストの1点の照射電子散乱計算から周辺領域へのエネルギー蓄積分布を計算し、これを所望のパターン領域に渡って重畳計算して、エネルギー蓄積分布を算出することを特徴とする請求項1及び請求項2のいずれかに記載のレジストパターンシミュレーション方法。
【請求項4】
前記エネルギー蓄積分布算出工程は、前記レジストの所望のパターン領域に電子線を照射し、それぞれの電子の散乱状態を全て計算してエネルギー蓄積分布を算出することを特徴とする請求項1及び請求項2のいずれかに記載のレジストパターンシミュレーション方法。
【請求項5】
電子線散乱シミュレーションによるレジストのエネルギー蓄積分布を算出するエネルギー蓄積分布算出手段と、
前記レジストの溶解速度の測定値に基づいて現像速度分布を計算する現像速度分布計算手段と、
前記現像速度分布をエネルギー蓄積分布に変換するエネルギー現像速度分布変換手段と、
前記エネルギー蓄積分布算出手段及び前記エネルギー現像速度分布変換手段により得られる前記エネルギー蓄積分布と前記現像速度分布計算手段により得られる前記現像速度分布に基づいて現像計算を行って現像計算値を求めて当該現像計算値に基づいて現像後のレジストのパターン形状を推定するパターン形状推定手段と、を具備し、
前記現像速度分布計算手段は、予めの実験による電子線の照射量(ドーズ)とレジスト溶解深度の2つのパラメータに基づいて前記現像速度分布を計算する工程を具備することを特徴とするレジストパターンシミュレーション装置。
【請求項6】
前記現像速度分布計算手段は、予めの実験による電子線の照射量(ドーズ)と現像時間に伴う前記レジストの膜厚増加率の2つのパラメータに基づいて前記現像速度分布を計算する工程を具備することを特徴とする請求項5に記載のレジストパターンシミュレーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−192754(P2010−192754A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−36718(P2009−36718)
【出願日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】