説明

レジスト樹脂含有溶液の製造方法、レジスト樹脂含有溶液、及びろ過装置

【課題】異物の含有量を低減させたレジスト樹脂含有溶液を得るレジスト樹脂含有溶液の製造方法を提供する。
【解決手段】レジスト樹脂と微粒子とを含有する原溶液から微粒子を除去するろ過工程を含むものであり、ろ過工程は、原溶液を、ろ過装置内を循環させて行うものであり、ろ過装置は、原溶液を貯留し、その内部を加圧可能な加圧タンク11と、加圧タンク11から排液される原溶液をろ過するフィルタを有するろ過器13と、ろ過されたフィルタ処理液を貯留する緩衝タンク15と、フィルタ処理液を加圧タンク11に投入する投入ポンプ17と、加圧タンク内に不活性ガスを供給するガス供給器19と、を備え、加圧タンク内の圧力を、不活性ガスによって所定の圧力に加圧し、加圧された加圧タンク内の圧力によって、加圧タンク11から原溶液を排液するレジスト樹脂含有溶液の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レジスト樹脂含有溶液の製造方法、レジスト樹脂含有溶液、及びろ過装置に関する。更に詳しくは、脈動を発生し難くすることによって、微粒子などの異物の含有量を効率的に低減させたレジスト樹脂含有溶液を得ることが可能なレジスト樹脂含有溶液の製造方法、この製造方法によって得られるレジスト樹脂含有溶液、及びレジスト樹脂含有溶液の製造方法に用いるろ過装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、レジスト材料を使用したリソグラフィ技術の進歩により、半導体素子や液晶表示素子の微細化が急速に進行している。微細化の方法としては、露光光を短波長化することや、液浸露光が知られている。
【0003】
このように半導体素子や液晶表示素子の製造にはレジスト材料が使用されるが、このレジスト材料を使用した場合、形成されるレジストパターンの表面に欠陥(即ち、ディフェクト)が生じやすいという問題があった。このディフェクトは、現像後のレジストパターンを上部から観察した際に検知される不具合全般のことであり、ディフェクトが発生する要因の一つとしては、例えば、溶液状態のレジスト材料(レジスト樹脂含有溶液)中に固形状の異物が存在することなどが挙げられる。
【0004】
最近では、高解像度のパターンニングが要求されるようになり、ディフェクトの改善が試みられている。例えば、微粒子などの異物を除去するために、ミクロン単位の孔径の小さいフィルタにレジスト樹脂含有溶液を通液させ、ろ過を行った後、容器に充填して製品とする方法、いわゆる1回通過方式が知られている。しかし、このような1回通過方式は、製造開始時において、フィルタから充填口までの流路内部に異物(微粒子など)が存在しているおそれがある。そのため、製品(レジスト樹脂含有溶液)に微粒子などの異物が混入してしまうことを防止するために十分な端きりをする必要性があり、製造コストが高くなるという問題があった。
【0005】
そこで、レジスト材料を、フィルタが設置された閉鎖系内を循環させることによって、レジスト材料中の異物の含有量を低減する方法(例えば、特許文献1参照)が提案されている。
【0006】
【特許文献1】特開2002−62667号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の方法は、最先端の分野で要求されるレベル以下にまでディフェクトの発生を抑制することが可能なレジスト材料を得ることは困難であった。即ち、特許文献1に記載の方法は、レジスト材料を循環させてろ過する際に、ポンプで送液を行うため、ポンプに由来する異物(微粒子など)が混入する場合があった。また、ポンプを使用することに起因して、循環するレジスト材料に大きな脈動が生じる。そのため、一度フィルタに捕捉された異物が、フィルタから抜け出てしまうという問題があった。そのため、レジスト樹脂含有溶液中の微粒子などの異物の含有量を十分に低減させることが困難であった。そこで、得られるレジスト樹脂含有溶液中の、微粒子などの異物の含有量を効率的に低減させることが可能なレジスト樹脂含有溶液の製造方法が切望されていた。
【0008】
本発明は、上述のような従来技術の課題を解決するためになされたものであり、脈動を発生し難くすることによって、微粒子などの異物の含有量を効率的に低減させたレジスト樹脂含有溶液を得ることが可能なレジスト樹脂含有溶液の製造方法、この製造方法によって得られるレジスト樹脂含有溶液、及びレジスト樹脂含有溶液の製造方法に用いるろ過装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明により、以下のレジスト樹脂含有溶液の製造方法、レジスト樹脂含有溶液、及びろ過装置が提供される。
【0010】
[1] レジスト樹脂と微粒子とを含有する原溶液から前記微粒子を除去するろ過工程を含むレジスト樹脂含有溶液の製造方法であって、前記ろ過工程は、前記原溶液を、ろ過装置内を循環させて行うものであり、前記ろ過装置は、前記原溶液を貯留し、その内部を加圧可能な加圧タンクと、前記加圧タンクから排液される前記原溶液をろ過するフィルタを有するろ過器と、前記ろ過器の前記フィルタによってろ過されたフィルタ処理液を貯留する緩衝タンクと、前記緩衝タンクに貯留された前記フィルタ処理液を前記加圧タンクに投入する投入ポンプと、前記加圧タンク内に不活性ガスを供給するガス供給器と、を備え、前記加圧タンク内の圧力を、前記ガス供給器から供給される前記不活性ガスによって所定の圧力に加圧し、加圧された前記加圧タンク内の圧力によって、前記加圧タンクから前記原溶液を排液するレジスト樹脂含有溶液の製造方法。
【0011】
[2] 前記原溶液を排液する際の前記加圧タンク内の圧力が、0.01〜0.3MPaである前記[1]に記載のレジスト樹脂含有溶液の製造方法。
【0012】
[3] 前記不活性ガスが、窒素、アルゴン、及びヘリウムよりなる群から選択される少なくとも一種である前記[1]または[2]に記載のレジスト樹脂含有溶液の製造方法。
【0013】
[4] 前記フィルタは、その孔径が、0.005〜0.5μmである前記[1]〜[3]のいずれかに記載のレジスト樹脂含有溶液の製造方法。
【0014】
[5] 前記ろ過装置内の、前記原溶液が接液する部分が、フッ素系ポリマーからなるものである前記[1]〜[4]のいずれかに記載のレジスト樹脂含有溶液の製造方法。
【0015】
[6] 前記[1]〜[5]のいずれかに記載のレジスト樹脂含有溶液の製造方法によって製造されるレジスト樹脂含有溶液。
【0016】
[7] レジスト樹脂と微粒子とを含有する原溶液を貯留し、その内部を加圧可能な加圧タンクと、前記加圧タンクから排液される前記原溶液をろ過するフィルタを有するろ過器と、前記ろ過器の前記フィルタによってろ過されたフィルタ処理液を貯留する緩衝タンクと、前記緩衝タンクに貯留された前記フィルタ処理液を前記加圧タンクに投入する投入ポンプと、前記加圧タンク内に不活性ガスを供給するガス供給器と、を備え、前記加圧タンク内の圧力を、前記ガス供給器から供給される前記不活性ガスによって所定の圧力に加圧し、加圧された前記加圧タンク内の圧力によって、前記加圧タンクから前記原溶液を排液するろ過装置。
【発明の効果】
【0017】
本発明のレジスト樹脂含有溶液の製造方法は、脈動を発生し難くすることによって、微粒子などの異物の含有量を効率的に低減させたレジスト樹脂含有溶液を得ることができるという効果を奏するものである。
【0018】
本発明のレジスト樹脂含有溶液は、微粒子などの異物の含有量が低減されているため、ディフェクトの発生が少ないという効果を奏するものである。
【0019】
本発明のろ過装置は、脈動が発生し難いものであるため、微粒子などの異物の含有量を効率的に低減させたレジスト樹脂含有溶液を得ることができるという効果を奏するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。即ち、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下の実施の形態に対し適宜変更、改良等が加えられたものも本発明の範囲に属することが理解されるべきである。
【0021】
[1]レジスト樹脂含有溶液の製造方法:
本発明のレジスト樹脂含有溶液の製造方法の一実施形態は、レジスト樹脂と微粒子とを含有する原溶液から微粒子を除去するろ過工程を含むレジスト樹脂含有溶液の製造方法であって、ろ過工程は、原溶液を、ろ過装置内を循環させて行うものであり、ろ過装置は、原溶液を貯留し、その内部を加圧可能な加圧タンクと、加圧タンクから排液される原溶液をろ過するフィルタを有するろ過器と、ろ過器のフィルタによってろ過されたフィルタ処理液を貯留する緩衝タンクと、緩衝タンクに貯留されたフィルタ処理液を加圧タンクに投入する投入ポンプと、加圧タンク内に不活性ガスを供給するガス供給器と、を備え、加圧タンク内の圧力を、ガス供給器から供給される不活性ガスによって所定の圧力に加圧し、加圧された加圧タンク内の圧力によって、加圧タンクから原溶液を排液するものである。このようなレジスト樹脂含有溶液の製造方法であると、脈動を発生し難くすることによって、微粒子などの異物の含有量を効率的に低減させたレジスト樹脂含有溶液を得ることができる。
【0022】
本実施形態のレジスト樹脂含有溶液の製造方法によって得られるレジスト樹脂含有溶液としては、例えば、フォトリソグラフィーに使用される樹脂組成物を含有する溶液、この樹脂組成物に用いられるレジスト用樹脂を得るための粗レジスト用樹脂を含有する樹脂溶液などを挙げることができる。フォトリソグラフィーに使用される樹脂組成物は、g線、i線等の紫外線、KrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、Fエキシマレーザー、EUV等の(超)遠紫外線、電子線等の各種放射線による微細加工に適したレジスト膜を形成可能なポジ型またはネガ型のレジスト組成物や、多層レジストにおける上層膜(例えば、保護膜等)または下層膜(例えば、反射防止膜等)を形成するための樹脂組成物等を挙げることができる。
【0023】
[1−1]調製工程:
本実施形態のレジスト樹脂含有溶液の製造方法は、ろ過工程の前に、原溶液を調製する調製工程を行うことができる。
【0024】
原溶液は、レジスト樹脂、及び必要に応じてその他の成分を公知の条件で混練して混練物を得、得られた混練物を溶剤に溶解させて得ることができる。このようにして得られる原溶液中には、レジスト樹脂、その他の成分、及び溶剤などに当初から混在している埃などの微粒子や、混練時に混入してしまう埃などの微粒子が含まれている。
【0025】
レジスト樹脂としては、例えば、アクリレート系樹脂、メタクリレート系樹脂、ヒドロキシスチレン系樹脂、ノボラック系樹脂などを挙げることができる。なお、このようなレジスト樹脂は、例えば、エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物(単量体)等の所定の重合性化合物を溶剤中で重合させることにより得ることができる。
【0026】
その他の成分としては、例えば、酸発生剤、酸拡散制御剤などの添加剤を挙げることができる。
【0027】
溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;テトラヒドロフラン、ジオキサン、グライム、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル類;酢酸エチル、乳酸エチル等のエステル類;プロピレングリコールメチルエーテルアセテート等のエーテルエステル類、γ−ブチロラクトン等のラクトン類を挙げることができる。なお、これらの溶剤は、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0028】
溶剤の使用量は、特に制限はないが、原溶液の固形分含量が1〜50質量%となる量であることが好ましく、1〜30質量%となる量であることが更に好ましく、1〜20質量%となる量であることが特に好ましい。上記固形分含量が1質量%未満となる量であると、レジスト樹脂の濃度が薄くなりすぎるため、基板上に塗布し難くなるおそれがある。一方、50質量%超となる量であると、原溶液の粘度が高くなりすぎるため、ろ過器によってろ過することが困難になるおそれがある。
【0029】
[1−2]ろ過工程:
本実施形態のレジスト樹脂含有溶液の製造方法は、レジスト樹脂と微粒子とを含有する原溶液から前記微粒子を除去するろ過工程を含むものであり、このろ過工程は、原溶液を、ろ過装置内を循環させて行う。
【0030】
[1−2−1]ろ過装置:
ろ過装置としては、図1に示すように、排液口付近に開閉バルブ11aが配置され、原溶液を貯留し、その内部を加圧可能な加圧タンク11と、加圧タンク11から排液される原溶液をろ過するフィルタを有するろ過器13と、ろ過器13のフィルタによってろ過されたフィルタ処理液を貯留する緩衝タンク15と、緩衝タンク15に貯留されたフィルタ処理液を加圧タンク11に投入する投入ポンプ17と、加圧タンク11内に不活性ガスを供給するガス供給器19とを備え、加圧タンク11内の圧力を、ガス供給器19から供給される不活性ガスによって所定の圧力に加圧し、加圧された加圧タンク11内の圧力によって、加圧タンク11から原溶液を排液するろ過装置100を例示することができる。更に、図1に示すろ過装置100は、加圧タンク11とろ過器13とを接続する第一配管、ろ過器13と緩衝タンク15とを接続する第二配管、緩衝タンク15と投入ポンプ17とを接続する第三配管、投入ポンプ17と加圧タンク11とを接続する第四配管、第一配管の途中に配置された流量計21、流量計21とろ過器13との間に配置された圧力計23、ろ過器13と緩衝タンク15との間に配置された圧力計25、及び、第三配管の途中で分岐する充填口を有する充填用配管を備えている。ろ過装置100は、原溶液から微粒子を除去してレジスト樹脂含有溶液を得た後、レジスト樹脂含有溶液が充填用配管に流れるよう流路を変更し、充填用配管の先端部に配置した充填用容器31にレジスト樹脂含有溶液を充填するものである。なお、図1は、本発明のレジスト樹脂含有溶液の製造方法に用いるろ過装置の一実施形態を示す模式図である。
【0031】
このようなろ過装置を用いると、このろ過装置内を循環する原溶液が脈動を発生に難いという利点がある。即ち、フィルタ前後の圧力差の変動量が小さくなるという利点がある。図2は、図1のろ過装置を用いた場合の、ろ過時間とフィルタ前後の圧力差の値との関係を示すグラフであり、ΔPは、所定時間内における、フィルタ前後の圧力差の最大値と最小値との変動量を示している。
【0032】
図3は、従来のレジスト樹脂含有溶液の製造方法に用いるろ過装置を示す模式図である。図3に示すろ過装置200は、原溶液を貯留する貯留タンク111と、貯留タンク111に第五配管によって接続され、貯留タンク111内の原溶液を排出させる排出ポンプ117と、排出ポンプ117に第六配管によって接続され、原溶液をろ過するフィルタを有するろ過器13と、第六配管の途中に配置された流量計21と、流量計21とろ過器13との途中に配置された圧力計23と、ろ過器13が第七配管によって貯留タンク111に接続され、第七配管の途中に配置される圧力計25と、第七配管の途中に配置された流量計27とを備えている。なお、図1に示すろ過装置100と図3に示すろ過装置200は、共通の構成要素には同一の符号を付してある。
【0033】
図3に示すろ過装置200のような従来のろ過装置は、原溶液の送液を排出ポンプ117によって行っており、この排出ポンプ117としては、ダイヤフラムポンプ、ベローズポンプなどが用いられている。ダイヤフラムポンプは、原溶液の送液に際し、原溶液に大きな脈動を発生させるものであり、この脈動に起因して、フィルタで捕捉した微粒子が、フィルタから抜け出てしまうという問題がある。図4は、図3のろ過装置を用いた場合の、ろ過時間とフィルタ前後の圧力差の値との関係を示すグラフであり、ΔPは、所定時間内における、フィルタ前後の圧力差の最大値と最小値との変動量を示している。図2中のΔPは、図4のΔPに比べて小さい。即ち、図1のろ過装置は、図3のろ過装置に比べて脈動が小さく、フィルタで捕捉した微粒子が、フィルタから抜け出てしまうことを防止することができる。
【0034】
また、フィルタの孔径を小さくすると、脈動が大きい場合、フィルタから抜け出てしまう微粒子などの異物の量を少なくすることは可能であるが、先端分野で要求されるレベル以下まで低減することは困難であり、異物を十分に除去することは困難となる。また、フィルタの孔径が小さくなると、十分な流量でろ過することが困難になり、ろ過に時間がかかるおそれがある。
【0035】
一方、本実施形態のレジスト樹脂含有溶液の製造方法は、図1に示すろ過装置100のようなろ過装置を用いるものであり、加圧タンク内の圧力を、ガス供給器から供給される不活性ガスによって所定の圧力に加圧し、加圧タンク内の圧力によって原溶液を排液する。このように加圧タンク内の圧力によって原溶液を送液するため、原溶液に脈動を発生させ難いという利点がある。そして、原溶液に生じる脈動が小さいと、フィルタに捕捉した微粒子などの異物がフィルタから抜け出てしまうことを防止することができるため、得られるレジスト樹脂含有溶液中の異物の含有量を効率的に低減させることができる。
【0036】
加圧タンク内の所定の圧力としては、加圧タンク内の圧力によって原溶液を排液することができる圧力である限り特に制限はないが、原溶液を排液する際の加圧タンク内の圧力が0.01〜0.3MPaであることが好ましく、0.02〜0.2MPaであることが更に好ましく、0.03〜0.15MPaであることが特に好ましい。上記圧力が0.01MPa未満であると、十分な流速で原溶液を送液することが困難になるため、レジスト樹脂含有溶液の製造時間が長くなるおそれがある。一方、0.3MPa超であると、ろ過器のフィルタにかかる圧力が大きくなりすぎるため、フィルタが破損するおそれがある。
【0037】
ガス供給器から加圧タンク内に供給する不活性ガスは、加圧タンク内の原溶液と反応しないガス、または、原溶液と反応し難いガスである限り特に制限はないが、窒素、アルゴン、及びヘリウムよりなる群から選択される少なくとも一種であることが好ましい。窒素、アルゴン、及びヘリウムよりなる群から選択される少なくとも一種の不活性ガスを用いると、不活性ガスに酸素を含有したガスを使用した場合に比べて、循環濾過中に、酸素がレジスト樹脂含有溶液中に溶解してしまうおそれがないため、レジスト樹脂の酸化を防ぐことができる。そのため、レジスト樹脂含有溶液を長期保存する際に良好である、即ち、長期間、品質が安定するという利点がある。これらの中でも、工業的に入手し易く、また、コストが安いという観点から窒素が好ましい。
【0038】
加圧タンクは、原溶液を貯留し、その内部を加圧可能なものである限り特に制限はないが、例えば、その上部に配置される、原溶液を投入するための原溶液投入口と、その下部に配置される、原溶液を排出するための原溶液排出口と、その上部に配置される、不活性ガスを供給するためのガス供給口と、加圧タンク内の圧力(内圧)を測定する内圧計と、貯留されている原溶液を撹拌する撹拌器と、フィルタ処理液が投入されるためのフィルタ処理液投入口と、原溶液排出口に配置された開閉バルブとを備えるものであることが好ましい。
【0039】
ろ過器は、加圧タンクから排液される原溶液をろ過するフィルタを有するものであり、例えば、一つの上記フィルタと、原溶液を供給するための供給口と、フィルタによってろ過されたろ液(フィルタ処理液)を排出するための排出口と、を備えるものなどを例示することができる。このようなろ過器としては、具体的には、直径72〜1500mm、高さ100〜3000mmの円柱状のものなどを挙げることができる。なお、ろ過器のサイズが大きくなる程、または、ろ過装置が大きくなる程、外乱因子が多く、またデッドスペースが大きくなるため、原溶液の脈動によってフィルタから抜け出てしまう異物の割合が増加する。そのため、ろ過装置(またはろ過器)が大きくなる程、脈動を低減させることが重要になる。
【0040】
フィルタとしては、例えば、中空糸膜フィルタ、イオン交換樹脂などを挙げることができる。これらは、カートリッジタイプのフィルタを用いることができる。フィルタの孔径は、特に制限はないが、0.005〜0.5μmであることが好ましく、0.005〜0.1μmであることが更に好ましく、0.005〜0.05μmであることが特に好ましい。上記圧力が0.005μm未満であると、フィルタにおける圧力損失が大きくなりすぎるため、十分な流速で原溶液を送液することが困難になり、レジスト樹脂含有溶液の製造時間が長くなるおそれがある。一方、0.5μm超であると、原溶液中の微粒子を十分に除去することが困難になるおそれがある。なお、本明細書において「フィルタの孔径」とは、30nm超の孔径については、そのフィルタによる、標準粒子(即ち、ポリスチレン粒子)の除去率によって決定される平均粒径を意味し、30nm未満の孔径については、バブルポイントによって推定されるメーカー公称値を意味する。
【0041】
フィルタの材料(ろ材)としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などのフッ素樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン樹脂、ナイロン−6などのポリアミド樹脂などを挙げることができる。
【0042】
ろ過器が有するフィルタの数は、特に限定されず、ろ過される原溶液の量などによって適宜選択することができるが、フィルタの数は、ろ過後にフィルタ内に残留してしまう溶液量を減らすことができるため、少ない方が好ましく、具体的には、1〜3個であることが好ましい。また、フィルタの数が少ないと、ろ過工程に使用される配管及び継ぎ手の数を減らすことができるため、ろ過工程を簡素化することができる。
【0043】
緩衝タンクは、ろ過器のフィルタによってろ過されたフィルタ処理液を貯留するものである。このような緩衝タンクを備えることによって、緩衝タンク内のフィルタ処理液を加圧タンクに投入する投入ポンプによって生じる脈動が、ろ過器に伝わることを防止することができる。即ち、投入ポンプによって生じた脈動に起因して、フィルタに一度捕捉された微粒子がフィルタから抜け出てしまうことを防止することができる。緩衝タンクとしては、例えば、有底の筒状のものであってもよく、また、有底の筒状のタンク本体と、このタンク本体の開口部を塞ぐ蓋とを備え、タンク本体に、その内部に貯留されているフィルタ処理液を排出するための排出口が形成され、蓋に、フィルタ処理液を供給するための供給口が形成されているものなどを用いることができる。
【0044】
緩衝タンクは、フィルタ処理液が供給される供給口の位置が、加圧タンクの原溶液排出口の位置よりも低い位置になるように配置されることが好ましい。このように緩衝タンクを配置することによって、配管が短くなり、微粒子などの異物が溜まるデッドスペースを減らすことができる。
【0045】
投入ポンプとしては、従来公知のポンプを用いることができる。例えば、ベローズポンプ、ダイヤフラムポンプ、磁気浮上型渦巻ポンプなどを挙げることができる。
【0046】
投入ポンプによって加圧タンク内に投入されるフィルタ処理液は、加圧タンクの壁面を這わせてながら加圧タンク内に投入されることが好ましく、加圧タンクの上部から液面に達するまでの間にサイクロン状(螺旋状)に流れるように投入されることが更に好ましい。このようにフィルタ処理液を投入すると、加圧タンク内に投入されることによって生じるフィルタ処理液の泡立ちを抑制することができる。
【0047】
ガス供給器は、加圧タンク内に不活性ガスを供給し、加圧タンク内を加圧することができるものである限り特に制限はなく、例えば、図1に示すろ過装置100のように、液化した不活性ガスが貯留されているボンベ19aと、このボンベ19aに接続された気化器(図示せず)と、気化器に接続され、気化した不活性ガスを加圧タンク11内に供給する加圧ポンプ19bと、加圧ポンプ19bと加圧タンク11とを接続する配管の途中に配置される、加圧タンク11内の圧力を所定の圧力に調節するためのレギュレータ19cとを備えるガス供給器19を例示することができる。
【0048】
上記ろ過装置としては、上述した、加圧タンク、ろ過器、緩衝タンク、投入ポンプ、及びガス供給器以外に、流量計、圧力計などを備えていてもよい。
【0049】
なお、ろ過装置中の加圧タンク、ろ過器、緩衝タンク、投入ポンプ、及びガス供給器などの機器をそれぞれ接続する配管の長さは、短くすることが好ましい。配管の長さを短くすると、微粒子などの異物が溜まるデッドスペースを減らすことができる。
【0050】
ろ過装置内の、原溶液が接液する部分(接液部)は、フッ素系ポリマーからなるものであることが好ましく、具体的には、加圧タンク、ろ過器、緩衝タンク、投入ポンプ、及び、これらの機器をそれぞれ接続する配管の接液部がフッ素系ポリマーからなるものであることが好ましい。このように接液部をフッ素系ポリマーからなるものとすると、ろ過装置に由来する異物がフィルタ処理液に混入してしまうことを防止することできる。接液部としては、例えば、フッ素系ポリマーを含有するポリマー溶液を、上記ろ過装置内に塗布することによって形成される塗膜などを例示することができる。
【0051】
フッ素系ポリマーとしては、具体的には、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体などを挙げることができる。
【0052】
本実施形態のレジスト樹脂含有溶液の製造方法のろ過工程は、原溶液を、連続的にろ過装置内を循環させて行うことができる。
【0053】
原溶液を、連続的にろ過装置内を循環させる方法を、図1に示すろ過装置100を用いて具体的に説明する。まず、原溶液を貯留した加圧タンク11の開閉バルブ11aを閉じた状態で、加圧タンク11内に、ガス供給器13から不活性ガスを供給し、加圧タンク11内の圧力が所定の圧力になるまで加圧する。次に、開閉バルブ11aを徐々に開け、加圧タンク11内の圧力を維持した状態で、加圧タンク11内の圧力によって加圧タンク11からろ過器13に原溶液を送液し、ろ過器13で原溶液をろ過し、ろ液(フィルタ処理液)を緩衝タンク15に貯留する。次に、ろ過器13でろ過を続けた状態で、緩衝タンク15内のフィルタ処理液を、投入ポンプ17によって加圧タンク11内に投入する。このとき、加圧タンク11内の液面が一定に保たれるように、加圧タンク11からろ過器13に送液する溶液の送液量と、投入タンク17から加圧タンク11に供給する溶液の供給量とのバランスを調節する。以上のように原溶液を処理することを、連続的に循環させるということとする。
【0054】
本実施形態のレジスト樹脂含有溶液の製造方法は、原溶液を、連続的にろ過装置内を循環させた後、原溶液の循環を止めることなく、ろ過器から排出されるフィルタ処理液をレジスト樹脂含有溶液として、そのまま充填用容器に充填することが好ましい。このようにすることで、異物の含有量を更に低減させたレジスト樹脂含有溶液を効率的に得ることができる。即ち、原溶液の循環を止めると、フィルタに捕捉されていた異物が抜け出るおそれがある。そのため、原溶液の循環を止めた後、あらためて充填操作を行うと、異物の含有量を十分に低減させたレジスト樹脂含有溶液を得ることが困難になるおそれがある。
【0055】
ろ過装置内を循環させる条件は、特に制限はないが、加圧タンクから原溶液を送液する際の流量が10〜200リットル/(時間・m)であることが好ましく、20〜150リットル/(時間・m)であることが更に好ましく、30〜100リットル/(時間・m)であることが特に好ましい。原溶液を循環させる際の流量が10リットル/(時間・m)未満であると、レジスト樹脂含有溶液の製造時間がかかりすぎるおそれがある。一方、200リットル/(時間・m)超であると、ろ過器のフィルタに過剰な圧力が加わるため、フィルタを損傷するおそれがある。
【0056】
なお、本実施形態のレジスト樹脂含有溶液の製造方法は、原溶液を、ろ過装置内を所定条件(好ましくは、上記流量)で循環させた後、そのまま充填用容器に充填することなく、緩衝タンク内に貯留させ、このフィルタ処理液をレジスト樹脂含有溶液とすることもできる。
【0057】
[2]レジスト樹脂含有溶液:
本発明のレジスト樹脂含有溶液の一実施形態は、本発明のレジスト樹脂含有溶液の製造方法によって製造されるものである。このようなレジスト樹脂含有溶液は、微粒子などの異物の含有量が低減されているため、ディフェクトの発生が少ないものである。
【0058】
[3]ろ過装置:
本発明のろ過装置の一実施形態は、レジスト樹脂と微粒子とを含有する原溶液を貯留し、その内部を加圧可能な加圧タンクと、加圧タンクから排液される原溶液をろ過するフィルタを有するろ過器と、ろ過器のフィルタによってろ過されたフィルタ処理液を貯留する緩衝タンクと、緩衝タンクに貯留されたフィルタ処理液を加圧タンクに投入する投入ポンプと、加圧タンク内に不活性ガスを供給するガス供給器と、を備え、加圧タンク内の圧力を、ガス供給器から供給される不活性ガスによって所定の圧力に加圧し、加圧された加圧タンク内の圧力によって、加圧タンクから原溶液を排液するものである。このようなろ過装置は、脈動が発生し難いものであるため、微粒子などの異物の含有量を効率的に低減させたレジスト樹脂含有溶液を得ることができる。
【0059】
本実施形態のろ過装置は、上記[1−2−1]で説明したろ過装置と同様のものを用いることができる。
【実施例】
【0060】
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0061】
微粒子の数は、リオン社製の自動微粒子測定装置「Ks−41型」を用いて測定した。なお、以下の実施例及び比較例において「微粒子」というときは、粒子径が0.15μm以上の粒子をいうものとする。
【0062】
(実施例1)
図1に示すろ過装置100を作製した。まず、加圧タンク(容量:5リットル、耐圧0.4MPa)と、ろ過器として1つの円筒状のフィルタ(PE膜(孔径;0.01μm、ろ布面積:0.24m))と、緩衝タンク(容量:1リットル)と、投入ポンプとしてダイヤフラムポンプと、ガス供給器とを用意した。
【0063】
加圧タンクは、その上部に配置される、原溶液を投入するための原溶液投入口と、その下部に配置される、原溶液を排出するための原溶液排出口と、その上部に配置される、不活性ガスを供給するためのガス供給口と、加圧タンク内の圧力(内圧)を測定する内圧計と、貯留されている原溶液を撹拌する撹拌器と、フィルタ処理液が投入されるためのフィルタ処理液投入口と、原溶液排出口に配置された開閉バルブとを備えるものを用いた。
【0064】
緩衝タンクは、有底の円筒状のタンク本体と、このタンク本体の開口部を気密に塞ぐ蓋とを備え、タンク本体には排出口が形成され、蓋には供給口が形成されているものを用いた。
【0065】
ガス供給器は、液化した窒素が貯留されているボンベと、このボンベに接続された気化器と、気化器に接続され、窒素ガスを加圧タンクに供給する加圧ポンプと、加圧ポンプと加圧タンクとを接続する配管の途中に配置されるレギュレータとを備えるものを用いた。
【0066】
次に、加圧タンクの原溶液排出口とろ過器の供給口とを第一配管によって接続し、ろ過器の排出口と緩衝タンクの蓋に形成された供給口とを第二配管によって接続し、緩衝タンクのタンク本体に形成された排出口と投入ポンプの供給口とを第三配管によって接続し、投入ポンプの排出口と加圧タンクのフィルタ処理液投入口とを第四配管によって接続した。次に、第一配管に、加圧タンクの開閉バルブに近い方から順に、第一流量計(図1に示す流量計21)、及び第一圧力計(図1に示す圧力計23)を配置し、第二配管に第二圧力計(図1に示す圧力計25)を配置し、第四配管に第二流量計(図1に示す流量計27)を配置した。このようにして本実施例に用いるろ過装置100を作製した。
【0067】
次に、作製したろ過装置100を用いてレジスト樹脂含有溶液の製造を行った。まず、2−メチル−2−アダマンチルメタクリレートとノルボルナンラクトンメタクリレートとを共重合して得られた共重合体(重量平均分子量(Mw):13,000)にプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを加えて、原溶液(固形分含量:8質量%)を調製した。
【0068】
次に、調製した原溶液4リットルを加圧タンクに投入した。なお、このときの原溶液の微粒子の数は、1200個/ミリリットル以上であった。次に、この加圧タンク内にガス供給器によって窒素ガスを供給し、加圧タンク内の圧力が所定の圧力(0.1MPa)になるまで加圧した。次に、加圧タンクの開閉バルブを徐々に開け、加圧タンク内の圧力を維持した状態で、加圧タンク内の圧力によって、加圧タンクからろ過器に原溶液を送液し、ろ過器で原溶液をろ過し、ろ液(フィルタ処理液)を緩衝タンクに貯留した。次に、ろ過器によるろ過を続けた状態で、緩衝タンク内のフィルタ処理液を投入ポンプによって加圧タンク内に投入し、加圧タンク内のフィルタ処理液の液面が一定になるように調整して、原溶液を、ろ過装置内を連続的に循環させた。流量は、70リットル/(時間・m)となるように調整した。
【0069】
上記ろ過工程において、原溶液中の微粒子(粒子径が0.15μm以上の粒子)の単位体積当りの数が10個/ミリリットル以下となるまでの循環回数と、フィルタ前後の圧力差の値の変動量と、を測定した。
【0070】
上記循環回数は、下記式(1)によって算出される値である(表1中、「循環回数」と示す)。
式(1):循環回数=(フィルタを通過した溶液の積算量/原溶液の仕込み量)
ここで、「フィルタを通過した溶液の積算量」は、式:{流量(リットル/(時間・m))×(流量が安定した時からの時間(時間)×濾過面積)}によって算出される値である。
【0071】
上記フィルタ前後の圧力差の値の変動量は、流量が安定した時から濾過終了までの間において、フィルタ入口側の圧力(MPa)及びフィルタ出口側の圧力(MPa)を測定し、フィルタ入口側の圧力(MPa)の最大値とフィルタ出口側の圧力(MPa)の最小値との差として算出される値である(表1中、「変動量」と示す)。
【0072】
本実施例は、原溶液中の微粒子(粒子径が0.15μm以上の粒子)の単位体積当りの数が10個/ミリリットル以下となるまでの循環回数が2.1回であり、フィルタ前後の圧力差の値の変動量が0.005であり、原溶液中の微粒子(粒子径が0.15μm以上の粒子)の数が10個/ミリリットル以下となるまでにかかる時間(表1中、「ろ過時間」と示す)が29分であった。結果を表1に示す。
【0073】
【表1】

【0074】
(比較例1)
図2に示すろ過装置200を作製した。まず、貯留タンク(容量:5リットル)と、排出ポンプとしてダイヤフラムポンプと、ろ過器として1つの円筒状のフィルタ(PE膜(孔径;0.01μm、ろ布面積:0.24m))とを用意した。
【0075】
貯留タンクは、有底の円筒状の貯留タンク本体と、この貯留タンク本体の開口部を気密に塞ぐ蓋とを備え、貯留タンク本体に排出口が形成され、蓋には供給口が形成されているものを用いた。
【0076】
次に、貯留タンクの排出口とベローズポンプの供給口とを第五配管によって接続し、ベローズポンプの排出口とろ過器の供給口とを第六配管によって接続し、ろ過器の排出口と貯留タンクの蓋の供給口とを第七配管によって接続した。次に、第六配管の、貯留タンクに近い方から順に、第三流量計(図3に示す流量計21)、及び第三圧力計(図3に示す圧力計23)を配置し、第七配管の、ろ過器に近い方から順に、第四圧力計(図3に示す圧力計25)、及び第四流量計(図3に示す流量計27)を配置した。このようにして本比較例に用いるろ過装置を作製した。
【0077】
このように作製したろ過装置200を用い、実施例1で調製した原溶液と同様のもの(微粒子の数が、1200個/ミリリットル以上)についてろ過工程を行い、レジスト樹脂含有溶液を製造した。
【0078】
本比較例において、上記実施例1と同様にして、原溶液中の微粒子の単位体積当りの数が10個/ミリリットル以下となるまでの循環回数、フィルタ前後の圧力差の値の変動量、及び、原溶液中の微粒子(粒子径が0.15μm以上の粒子)の数が10個/ミリリットル以下となるまでにかかる時間を測定した。その結果を表1に示す。
【0079】
実施例1のレジスト樹脂含有溶液の製造方法は、比較例1のレジスト樹脂含有溶液の製造方法に比べて、脈動を発生し難いことが確認できた。また、脈動を発生し難いことによって、微粒子などの異物の含有量を効率的に低減させることができることが確認できた。即ち、本発明のレジスト樹脂含有溶液の製造方法によれば、微粒子などの異物の含有量を低減させたレジスト樹脂含有溶液を効率的に得ることができることが確認できた。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明のレジスト樹脂含有溶液の製造方法は、半導体素子や液晶表示素子の製造に使用される、高解像度のパターンニングが可能なレジスト樹脂含有溶液を製造する方法として好適である。
【0081】
本発明のレジスト樹脂含有溶液は、半導体素子や液晶表示素子の製造に使用される、高解像度のパターンニングが可能なレジスト材料として好適である。
【0082】
本発明のろ過装置は、半導体素子や液晶表示素子の製造に使用される、高解像度のパターンニングが可能なレジスト樹脂含有溶液の製造工程に好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明のレジスト樹脂含有溶液の製造方法に用いるろ過装置の一実施形態を示す模式図である。
【図2】図1のろ過装置を用いた場合の、ろ過時間とフィルタ前後の圧力差の値との関係を示すグラフである。
【図3】従来のレジスト樹脂含有溶液の製造方法に用いるろ過装置を示す模式図である。
【図4】図3のろ過装置を用いた場合の、ろ過時間とフィルタ前後の圧力差の値との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
【0084】
100,200:ろ過装置、11:加圧タンク、11a:開閉バルブ、13:ろ過器、15:緩衝タンク、17:投入ポンプ、19:ガス供給器、19a:ボンベ、19b:加圧ポンプ、19c:レギュレータ、21:第一流量計、23:第一圧力計、25:第二圧力計、27:第二流量計、31:充填用容器、111:貯留タンク、117:排出ポンプ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レジスト樹脂と微粒子とを含有する原溶液から前記微粒子を除去するろ過工程を含むレジスト樹脂含有溶液の製造方法であって、
前記ろ過工程は、前記原溶液を、ろ過装置内を循環させて行うものであり、
前記ろ過装置は、前記原溶液を貯留し、その内部を加圧可能な加圧タンクと、前記加圧タンクから排液される前記原溶液をろ過するフィルタを有するろ過器と、前記ろ過器の前記フィルタによってろ過されたフィルタ処理液を貯留する緩衝タンクと、前記緩衝タンクに貯留された前記フィルタ処理液を前記加圧タンクに投入する投入ポンプと、前記加圧タンク内に不活性ガスを供給するガス供給器と、を備え、
前記加圧タンク内の圧力を、前記ガス供給器から供給される前記不活性ガスによって所定の圧力に加圧し、加圧された前記加圧タンク内の圧力によって、前記加圧タンクから前記原溶液を排液するレジスト樹脂含有溶液の製造方法。
【請求項2】
前記原溶液を排液する際の前記加圧タンク内の圧力が、0.01〜0.3MPaである請求項1に記載のレジスト樹脂含有溶液の製造方法。
【請求項3】
前記不活性ガスが、窒素、アルゴン、及びヘリウムよりなる群から選択される少なくとも一種である請求項1または2に記載のレジスト樹脂含有溶液の製造方法。
【請求項4】
前記フィルタは、その孔径が、0.005〜0.5μmである請求項1〜3のいずれか一項に記載のレジスト樹脂含有溶液の製造方法。
【請求項5】
前記ろ過装置内の、前記原溶液が接液する部分が、フッ素系ポリマーからなるものである請求項1〜4のいずれか一項に記載のレジスト樹脂含有溶液の製造方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載のレジスト樹脂含有溶液の製造方法によって製造されるレジスト樹脂含有溶液。
【請求項7】
レジスト樹脂と微粒子とを含有する原溶液を貯留し、その内部を加圧可能な加圧タンクと、
前記加圧タンクから排液される前記原溶液をろ過するフィルタを有するろ過器と、
前記ろ過器の前記フィルタによってろ過されたフィルタ処理液を貯留する緩衝タンクと、
前記緩衝タンクに貯留された前記フィルタ処理液を前記加圧タンクに投入する投入ポンプと、
前記加圧タンク内に不活性ガスを供給するガス供給器と、を備え、
前記加圧タンク内の圧力を、前記ガス供給器から供給される前記不活性ガスによって所定の圧力に加圧し、加圧された前記加圧タンク内の圧力によって、前記加圧タンクから前記原溶液を排液するろ過装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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