説明

レジンコンクリート樹脂組成物

【課題】硬化性を低下させることなく可使時間を確保することができ、さらにタレ防止性に優れたレジンコンクリート樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】ラジカル硬化性樹脂と反応性単量体とからなる樹脂混合物(A)およびエチレン尿素(B)からなるレジンコンクリート樹脂組成物であって、該樹脂混合物(A)100質量部に対して、該エチレン尿素は0.1〜10質量部でなるレジンコンクリート樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業性およびタレ防止性に優れたレジンコンクリート樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
反応性樹脂と反応性単量体とを含む樹脂混合物を硬化剤で硬化させて得られるレジンコンクリートは、耐薬品性に優れ、強靭な硬化物を形成することが知られている。
【0003】
しかし、例えば、気温が高くなる夏にレジンコンクリートを用いると、硬化時間が短くなり、塗布面を仕上げる作業時間(可使時間)を確保できない問題がある。可使時間を確保するために硬化剤の量を少なくすると、レジンコンクリートの耐薬品性および強度が低下する問題がある。したがって、硬化剤の量を一定以上減らすことはできない。
【0004】
そこで、レジンコンクリートの硬化時間を調整するために、レジンコンクリートに重合禁止剤を添加する方法が知られている。
【0005】
特許文献1には、速硬化性および作業性に優れた樹脂組成物として、不飽和ポリエステル樹脂、ビニル単量体、ジ−t−ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、熱可塑性樹脂、有機過酸化物、および重合禁止作用を有する化合物を含有する不飽和ポリエステル樹脂組成物が記載されている。特許文献2には、速硬化性を有し可使時間を長くすることが可能な樹脂組成物として、不飽和ポリエステル、重合性単量体、およびアルキル置換されたフェノール誘導体を含有する不飽和ポリエステル樹脂組成物が記載されており、硬化時間を調整するためにハイドロキノン(重合禁止剤)などを併用し得ることが記載されている。そして、特許文献3には、速硬化性と可使時間を損なわない方法として、不飽和ポリエステル、ビニル単量体、硬化剤、および酸化防止剤を含有する不飽和ポリエステル樹脂組成物に重合禁止作用を示す化合物を添加して硬化させる硬化方法が開示されている。しかし、いずれの場合も硬化速度が低下し、未だ満足し得る表面硬化性、強度などの物性が得られていない。さらに、重合禁止剤の添加量が微量であるために、施工現場での調製が困難であるなどの問題もある。
【0006】
一方、レジンコンクリートの硬化時間が長くなると、レジンコンクリート中の樹脂混合物と添加剤とが分離し、添加剤の沈み込み、垂直面および傾斜面に塗布するとタレを生じるなどの問題がある。これらの問題を防止するために、増粘剤を添加する方法が開示されている。しかし、増粘剤は、アエロジルなどの鉱物系粉末を使用するケースが多く、樹脂混合物との混ざりが悪いため、特別な撹拌設備が必要となる場合がある。
【0007】
特許文献4には、増粘剤として疎水性の2つの末端部分を有するアクリルアミド系の会合型3元ブロックポリマーが開示されている。しかし、このような増粘剤を用いても十分な増粘効果が得られず、さらに高価であるために工業的に使用するには経済的な問題がある。
【特許文献1】特開平5−222281号公報
【特許文献2】特開平4−81456号公報
【特許文献3】特開平7−252330号公報
【特許文献4】特開平9−110950号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、硬化性を低下させることなく可使時間を確保することができ、さらにタレ防止性に優れたレジンコンクリート樹脂組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、ラジカル硬化性樹脂と反応性単量体とからなる樹脂混合物およびエチレン尿素からなるレジンコンクリート樹脂組成物が、レジンコンクリートの硬化性を低下させることなく可使時間を確保することができ、さらにレジンコンクリートのタレ防止性に優れることを見出した。
【0010】
本発明のレジンコンクリート樹脂組成物は、ラジカル硬化性樹脂と反応性単量体とからなる樹脂混合物(A)およびエチレン尿素(B)からなるレジンコンクリート樹脂組成物であって、該樹脂混合物(A)100質量部に対して、該エチレン尿素は0.1〜10質量部でなる。
【0011】
本発明のレジンコンクリート樹脂組成物はまた、ラジカル硬化性樹脂と反応性単量体とからなる樹脂混合物(A)、エチレン尿素(B)、および無機フィラー(C)からなるレジンコンクリート樹脂組成物であって、該樹脂混合物(A)100質量部に対して、該エチレン尿素は0.1〜10質量部、そして該無機フィラーは0.005〜500質量部でなる。
【0012】
1つの実施態様においては、上記エチレン尿素と上記無機フィラーとは粉砕混合して用いられる。
【0013】
1つの実施態様においては、上記無機フィラー(C)は、無機酸化物である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、レジンコンクリートの硬化性を低下させずに可使時間を確保することができ、さらにタレ防止性に優れたレジンコンクリート樹脂組成物が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明のレジンコンクリート樹脂組成物は、ラジカル硬化性樹脂と反応性単量体とからなる樹脂混合物(A)(以下、A成分という場合がある)およびエチレン尿素(B)(以下、B成分という場合がある)からなる。あるいは、本発明のレジンコンクリート樹脂組成物は、上記ラジカル硬化性樹脂と反応性単量体とからなる樹脂混合物(A)、上記エチレン尿素(B)、および無機フィラー(C)(以下、C成分という場合がある)からなる。以下、各成分、レジンコンクリート樹脂組成物、およびエチレン尿素の添加方法について説明する。
【0016】
(樹脂混合物(A):A成分)
本発明に用いられる樹脂混合物(A)は、ラジカル硬化性樹脂および反応性単量体からなる。
【0017】
ラジカル硬化性樹脂とは、ラジカルを発生し得る硬化剤などの存在下で、ラジカル重合によって硬化する樹脂である。ラジカル硬化性樹脂としては、例えば、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。ウレタン(メタ)アクリレートとは、(メタ)アクリロイル基を有するポリウレタン樹脂をいう。ポリエステル(メタ)アクリレートとは、(メタ)アクリロイル基を有するポリエステル樹脂をいう。
【0018】
本明細書において、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレートおよびメタクリレートのうちの少なくとも一方を指して言い、「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸およびメタクリル酸のうちの少なくとも一方を指して言う。
【0019】
反応性単量体としては、例えば、ビニル系単量体、(メタ)アクリル酸系単量体、アリルエステル系単量体などが挙げられる。具体的には、スチレン、メチルメタクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ジアリルフタレート、フェノキシ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0020】
本発明に用いられる樹脂混合物(A)は、混合性の点で、ラジカル硬化性樹脂および反応性単量体の質量比は、好ましくは5/95〜60/40であり、より好ましくは10/90〜50/50であり、さらに好ましくは20/80〜40/60である。
【0021】
(エチレン尿素(B):B成分)
本発明に用いられるエチレン尿素(B)は、市販品を適宜用いることができる。
【0022】
(無機フィラー(C):C成分)
本発明に用いられる無機フィラー(C)としては、例えば、鉱物系、金属系などの充填剤;ガラス繊維;カーボンなどが挙げられる。具体的には、鉱物系充填剤としては、シリカ、亜鉛−アルミニウムハイドロタルサイト、ケイ酸アルミニウムなどの無機酸化物を成分として含むものが挙げられ、金属塩系充填剤としては、マグネシウムステアレート、炭酸カルシウムなどが挙げられる。これらの中でも、エチレン尿素の粉砕性およびブロッキング防止性の点で、無機酸化物が好ましく、特にシリカが好ましい。
【0023】
(レジンコンクリート樹脂組成物)
本発明のレジンコンクリート樹脂組成物は、上記樹脂混合物(A)(A成分)および上記エチレン尿素(B)(B成分)からなる。あるいは、上記A成分、上記B成分、および上記無機フィラー(C)(C成分)とからなる。
【0024】
本発明のレジンコンクリート樹脂組成物が樹脂混合物(A)およびエチレン尿素(B)からなる場合、樹脂混合物(A)100質量部に対して、エチレン尿素(B)は0.1〜10質量部の割合でなる。エチレン尿素(B)の量が0.1質量部未満の場合、レジンコンクリートを施工する際の作業性およびタレ防止性が低下し、仕上がりの外観が悪くなる。エチレン尿素(B)の量が10質量部を超える場合、レジンコンクリートが硬化しない場合がある。エチレン尿素(B)は、樹脂混合物(A)100質量部に対して、好ましくは1〜7質量部、より好ましくは2〜4質量部である。
【0025】
本発明のレジンコンクリート樹脂組成物が樹脂混合物(A)、エチレン尿素(B)、および無機フィラー(C)からなる場合、樹脂混合物(A)100質量部に対して、エチレン尿素(B)は0.1〜10質量部、そして無機フィラー(C)は0.005〜500質量部の割合でなる。無機フィラー(C)の量が500質量部を超える場合、レジンコンクリートを施工する際の作業性が低下し、仕上がりの外観が悪くなる。エチレン尿素(B)は、樹脂混合物(A)100質量部に対して、好ましくは1〜7質量部、より好ましくは2〜4質量部である。無機フィラー(C)は、樹脂混合物(A)100質量部に対して、好ましくは1〜300質量部、より好ましくは5〜200質量部である。
【0026】
さらに、本発明のレジンコンクリート樹脂組成物が樹脂混合物(A)、エチレン尿素(B)、および無機フィラー(C)からなる場合、エチレン尿素(B)および無機フィラーは、それぞれ別個に添加してもよいが、レジンコンクリートを施工する際の作業性およびタレ防止性をより発揮させるために、エチレン尿素(B)と無機フィラー(C)と一緒に粉砕混合してから樹脂混合物(A)に添加することが好ましい。
【0027】
エチレン尿素(B)と無機フィラー(C)とを粉砕混合する場合、質量比(エチレン尿素/無機フィラー)は、好ましくは1/50〜20/1、より好ましくは1/30〜10/1である。エチレン尿素(B)と無機フィラー(C)との質量比が1/50未満および20/1を超える場合、粉砕混合が困難となる場合がある。
【0028】
エチレン尿素(B)と無機フィラー(C)との粉砕混合は、一般的に使用されている粉砕混合機を用い得る。粉砕混合機としては、例えばボールミル、ポットミル、ハンマーミル、パルペライザ、ピンミル、アトライター、ジェットミル、スーパーミキサー、エクストルーダー、ニーダ、リボンブレンダーなどが挙げられる。
【0029】
エチレン尿素(B)と無機フィラー(C)との粉砕混合品の粒子径は、レジンコンクリートを施工する際の作業性、タレ防止性の点から好ましくは0.1〜1000μm、より好ましくは1〜200μmである。
【0030】
このようにエチレン尿素(B)と無機フィラー(C)とを粉砕混合することによって、短時間で粉砕され粒径の小さな粉砕混合品が得られる。
【実施例】
【0031】
本発明を実施例および比較例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
【0032】
(調製例1:エチレン尿素と無機フィラーとの粉砕混合品の調製)
(調製例1.1)
エチレン尿素80質量部に対して、無機フィラーとしてシリカを20質量部混合して得られた混合物を、リボンブレンダーで10分間粗粉砕を行った。次いで、ハンマーミル(軸回転2000rpmおよびスクリーンメッシュ径300μm)で10分間粉砕を行って、平均粒径が100μmのエチレン尿素と無機フィラーとの粉砕混合品Iを得た。
【0033】
(調整例1.2)
エチレン尿素65質量部に対して、無機フィラーとして亜鉛−アルミニウムハイドロタルサイトを35質量部混合して得られた混合物を、リボンブレンダーで10分間粗粉砕を行った。次いで、ピンミル(軸回転5000rpmおよびスクリーンメッシュ径300μm)で2分間粉砕を行って、平均粒径が100μmのエチレン尿素と無機フィラーとの粉砕混合品IIを得た。
【0034】
(調製例1.3)
エチレン尿素50質量部に対して、無機フィラーとしてケイ酸アルミニウムを50質量部混合して得られた混合物を、リボンブレンダーで10分間粗粉砕を行った。次いで、スーパーミキサー(軸回転8000rpmおよびスクリーンメッシュ径300μm)で5分間粉砕を行って、平均粒径が200μmのエチレン尿素と無機フィラーとの粉砕混合品IIIを得た。
【0035】
(調製例1.4〜1.6)
調製例1.1で用いたエチレン尿素およびシリカを、表1に記載の量に代えたこと以外は、調製例1.1と同様の手順で粉砕混合品IV〜VIをそれぞれ得た。
【0036】
調製例1.1〜1.6で得られた粉砕混合品I〜VIについて、40℃で1ヶ月間保存後のブロッキングの有無により、保存安定性を評価した。評価は、目視により以下の基準で行った。結果を表1に示す。
【0037】
(評価基準)
○:ブロッキングがまったく見られなかった場合。
△:ブロッキングが一部に発生していた場合。
×:ブロッキングが発生し、完全に固化していた場合。
【0038】
【表1】

【0039】
(調製例2:樹脂混合物(A)の調整)
(調製例2.1)
反応性単量体としてスチレン50質量部に対して、ラジカル硬化性樹脂として不飽和ポリエステル樹脂(リゴラックBF−100B:昭和高分子株式会社製)50質量部を混合して、樹脂混合物A1を得た。
【0040】
(調製例2.2)
ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート60質量部に対して、エポキシメタクリレート(フタルキッドE−9500:日立化成工業株式会社製)40質量部を混合して、樹脂混合物A2を得た。
【0041】
(調製例2.3)
メチルメタクリレート80質量部に対して、ウレタンメタクリレート(タケネートL−1270:三井武田ケミカル株式会社製)20質量部を混合して、樹脂混合物A3を得た。
【0042】
(調製例2.4)
調製例2.1で用いたスチレンを20質量部および不飽和ポリエステル樹脂を80質量部としたこと以外は、調製例2.1と同様の手順で樹脂混合物A4を得た。
【0043】
【表2】

【0044】
(実施例1)
(レジンコンクリート組成物の調製)
上記調製例2.1で得られた樹脂混合物(A1)100質量部に対して、上記調製例1.1で得られた粉砕混合品Iを2質量部混合し、ハンドミキサーで撹拌しレジンコンクリート樹脂組成物を得た。次いで、促進剤として6質量%ナフテン酸コバルト溶液を0.5質量部加えて撹拌した。次いで、クメンハイドロパーオキサイドを2質量部および骨材として4号珪砂を500質量部加えて、ハンドミキサーで撹拌し、モルタル状にしてレジンコンクリート組成物を得た。
【0045】
次いで、1液型ウレタンプライマーを塗布したセメントスレート板(30cm×30cm)に、得られたレジンコンクリート組成物を塗布厚が3mmとなるように金ゴテを用いて塗布した。次いで、レジンコンクリート組成物が塗布された板を、傾斜角=3/100に保ち、20±1℃に調整された恒温槽に静置して、(1)ゲル化時間、(2)タレ性、(3)表面硬化の時間、(4)作業性、および(5)仕上がりの外観について、以下のようにして評価した。結果を表3に示す。
【0046】
(1)ゲル化時間
得られたレジンコンクリート組成物のゲル化時間を、液状不飽和ポリエステル樹脂試験方法(JIS K6901 4.8常温ゲル化時間)に準じて測定した。測定結果を以下の基準で評価した。結果を表3に示す。
【0047】
(評価基準)
◎:ゲル化時間が30分以上の場合。
○:ゲル化時間が15分以上30分未満の場合。
×:ゲル化時間が15分未満の場合。
【0048】
(2)タレ性
上記のレジンコンクリート組成物が塗布された板について、塗布したレジンコンクリート組成物の流動による偏りが生じているか否かを、目視で判断して以下の基準で評価した。
【0049】
(評価基準)
○:レジンコンクリート組成物のタレが生じていなかった場合。
△:一部にレジンコンクリート組成物のタレが生じていた場合。
×:全体的に偏り、レジンコンクリート組成物のタレが生じていた場合。
【0050】
(3)表面硬化の時間
上記のレジンコンクリート組成物が塗布された板に、白い布を指でこすりつけて、布にレジンコンクリート組成物が付着しなくなった時間を測定した。測定結果を以下の基準で評価した。結果を表3に示す。
【0051】
(評価基準)
○:表面硬化時間が40分以上90分未満の場合。
×:表面硬化時間が40分未満または90分以上の場合。
【0052】
(4)作業性
上記セメントスレート板にレジンコンクリート組成物を塗布する際の可使時間およびコテ塗り性を合わせて評価した。すなわち、コテにより塗布面を短時間できれいな状態に仕上げられるか否かを判断し、以下の基準で評価した。
【0053】
(評価基準)
○:コテむらがなく、容易に作業することができた場合。
×:コテむらが生じ、作業中にゲル化した場合。
【0054】
(5)仕上がりの外観
上記セメントスレート板に塗布されたレジンコンクリート組成物の乾燥後の仕上がりの外観を目視で判断し、以下の基準で評価した。
【0055】
(評価基準)
◎:骨材の沈み込みおよび未硬化部分がなく、平滑できれいな表面の場合。
○:未硬化部分がなく、平滑できれいな表面の場合。
△:コテむらを有するが、未硬化部分がない表面の場合。
×:コテむらおよび未硬化部分を有し、平滑でない表面の場合。
【0056】
(実施例2〜10)
表3に記載の成分を表3に記載の割合で用いて、実施例1と同様の手順でレジンコンクリート組成物をそれぞれ得た。次いで、それぞれ得られたレジンコンクリート組成物をセメントスレート板に塗布し、実施例1と同様の手順で上記(1)〜(5)の評価を行った。結果を表3に示す。
【0057】
(比較例1〜7)
表4に記載の成分を表4に記載の割合で用いて、実施例1と同様の手順でレジンコンクリート組成物をそれぞれ得た。次いで、それぞれ得られたレジンコンクリート組成物をセメントスレート板に塗布し、実施例1と同様の手順で上記(1)〜(5)の評価を行った。結果を表4に示す。
【0058】
【表3】

【0059】
【表4】

【0060】
表3に示すように、実施例1〜10の本発明のレジンコンクリート樹脂組成物を用いたレジンコンクリート組成物は、作業性に優れ、タレが防止され、そして仕上がりの外観がきれいであった。
【0061】
これに対して、表4に示すように、比較例1および5では、粉砕混合品、すなわちエチレン尿素を用いていないレジンコート樹脂組成物を用いたため、ゲル化時間が早く作業性が悪くなり、さらにタレを生じ、仕上がりの外観が悪かった。比較例2および6では、エチレン尿素と無機フィラーとの粉砕混合品に含まれるエチレン尿素の割合が本発明の範囲より多いレジンコート樹脂組成物を用いたため、タレを生じ、レジンコンクリートが硬化せず、仕上がりの外観が悪かった。比較例3では、エチレン尿素の代わりにメチルハイドロキノン(MQ)を用いたレジンコート樹脂組成物を用いたため、タレを生じ、硬化が不十分で、仕上がりの外観が悪かった。比較例4では、エチレン尿素の代わりにアエロジルを用いたレジンコート樹脂組成物を用いたため、作業性が悪く、仕上がりの外観が不十分であった。比較例7では、エチレン尿素の割合が本発明の範囲より多いレジンコート樹脂組成物を用いたため、レジンコンクリートが硬化せず、作業性および仕上がりの外観も悪かった。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明によれば、硬化性を低下させることなく可使時間を確保することができ、さらにタレ防止性に優れたレジンコンクリート樹脂組成物を提供される。本発明のレジンコンクリート樹脂組成物は、建築物の塗り床材などに利用される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラジカル硬化性樹脂と反応性単量体とからなる樹脂混合物(A)およびエチレン尿素(B)からなるレジンコンクリート樹脂組成物であって、
該樹脂混合物(A)100質量部に対して、該エチレン尿素が0.1〜10質量部でなる、レジンコンクリート樹脂組成物。
【請求項2】
ラジカル硬化性樹脂と反応性単量体とからなる樹脂混合物(A)、エチレン尿素(B)、および無機フィラー(C)からなるレジンコンクリート樹脂組成物であって、
該樹脂混合物(A)100質量部に対して、該エチレン尿素が0.1〜10質量部、そして該無機フィラーが0.005〜500質量部でなる、レジンコンクリート樹脂組成物。
【請求項3】
前記エチレン尿素と前記無機フィラーとが粉砕混合して用いられる、請求項2に記載のレジンコンクリート樹脂組成物。
【請求項4】
前記無機フィラー(C)が、無機酸化物である、請求項2または3に記載のレジンコンクリート樹脂組成物。

【公開番号】特開2007−270019(P2007−270019A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−99018(P2006−99018)
【出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【出願人】(000004341)日本油脂株式会社 (896)
【Fターム(参考)】