説明

レチクルレイアウト生成方法、プログラム及びレチクルレイアウト生成装置

【課題】チップの有効数を増加させること。
【解決手段】設計支援装置は、複数のチップのパターンを1つのレチクルのショット領域42に形成する場合において、ショット領域42に基づいてウェハマップ23を作成する。そして、ウェハマップ23のショット領域42から、ウェハ有効領域52より外側の無効領域43を抽出し、ショット領域42に対する無効領域43の分布に従ってチップを配置してレチクルレイアウト及びウェハマップ23を作成する

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
レチクルレイアウト生成方法、プログラム及びレチクルレイアウト生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造において、例えばシリコン等の基板上に素子や配線などの図形(パターン)を形成するためにレチクル(フォトマスク)が用いられている。レチクルは、IC(チップ)のパターンが形成された基板を含む。レチクルに形成されたパターンは、露光装置(例えばステッパ)によって、半導体装置を形成する基板(例えばウェハ)上に投影される。1枚のウェハには、1種類のチップが複数形成される。
【0003】
製造工程において、ウェハの外周縁は、ウェハ搬送装置と接触したり、製造プロセスで発生する塵埃が付着したりしやすく、歩留りがウェハの中央部と比して低下する傾向にある。このため、ウェハに対して円形状の有効領域を設定し、その有効領域内にチップが形成される。
【0004】
製造工程において、生産効率を高くするためには、有効領域内にできるだけ多くのチップを配置することが好ましい。このため、領域内に含まれるチップの数が最大となるように、チップのパターンを露光するショット領域が設定されている(例えば、特許文献1,2参照)。
【0005】
しかし、従来の方法では、有効領域内のショット領域の数に応じて、1枚のウェハから製造される出荷可能なチップの数(有効数)が決定されるため、チップの必要数(要求数)より少ない場合があった。このような場合には、製造プロセスに投入するウェハの枚数を別途指定する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平5−217834号公報
【特許文献2】特開2004−157327号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一般の量産品と異なり、デバイス特性やチップサイズなどにおいてチップ種の異なる少量生産のチップを製造する場合、レチクル上に配置されたチップ種の異なるチップそれぞれがウェハ上に何個配置されるかにより、ウェハの投入枚数が変わることがある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一観点によれば、チップを形成する基板上にパターンを描写する1枚のレチクルに複数種類のチップのパターンを配置したレチクルのレイアウトを設計支援装置により生成するレチクルレイアウト生成方法であって、前記レチクルのショット領域と基板の基板有効領域とに基づいて、前記基板に対する前記ショット領域の位置を示すマップを生成するマップ作成工程と、前記マップから、前記ショット領域における基板有効領域又は無効領域を抽出する領域抽出工程と、抽出した領域の分布情報と、前記チップの種類とに応じて各チップを配置してレチクルレイアウトのデータを生成する第1のレイアウト処理工程と、を含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一観点によれば、チップの有効数を増やすことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】設計支援装置の概略構成図である。
【図2】チップデータの説明図である。
【図3】レイアウトデータ作成処理のフローチャートである。
【図4】(a)(b)はショットサイズの説明図である。
【図5】ウェハマップ作成処理の説明図である。
【図6】マルチチップの説明図である。
【図7】(a)(b)は無効領域分布情報の説明図である。
【図8】無効領域重複数の説明図である。
【図9】ショット領域と無効領域分布の重ね合わせの説明図である。
【図10】レイアウト検討の説明図である。
【図11】歩留まり予想図である。
【図12】歩留まり判定の説明図である。
【図13】歩留まり領域の説明図である。
【図14】レイアウト検討の説明図である。
【図15】オフセット後のウェハマップの説明図である。
【図16】チップデータの説明図である。
【図17】ショットサイズ算出の説明図である。
【図18】ショット領域と無効領域分布の重ね合わせの説明図である。
【図19】レイアウト検討の説明図である。
【図20】レイアウト検討の説明図である。
【図21】マルチレイヤーレチクルの説明図である。
【図22】ショット領域と無効領域分布の重ね合わせの説明図である。
【図23】レイアウト検討の説明図である。
【図24】歩留まり判定の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、一実施形態を説明する。
図1に示すように、設計支援装置11は、基板に製造対象物のパターンを露光するために用いられるレチクルのレイアウトデータを作成するデータ作成装置として機能する。基板は、レチクル上に形成されたパターンを形成して製造対象物(例えばデバイス)を製造することができる材料であり、例えば、ウェハ、ガラスプレートである。
【0012】
この設計支援装置11は、例えば一般的な設計支援装置(CAD:Computer Aided Design )であり、中央処理装置(以下、CPUという)12、メモリ13、記憶装置14、表示装置15、入力装置16、及び、ドライブ装置17により構成され、それらはバス18を介して相互に接続されている。
【0013】
CPU12は、メモリ13を利用してプログラムを実行し、半導体装置のレイアウト設計等の必要な処理を実現する。プログラムは、CPU12を、描画データを生成する設計支援装置としての各種手段として機能させるためのものである。メモリ13には、各種処理を提供するために必要なプログラムとデータが格納され、メモリ13としては、通常、キャッシュ・メモリ、システム・メモリおよびディスプレイ・メモリを含む。
【0014】
表示装置15は、パターン表示、パラメータ入力画面等の表示に用いられ、これにはCRT,LCD,PDP等が用いられる。入力装置16は、ユーザからの要求や指示,パターン,パラメータの入力に用いられ、これにはキーボードおよびマウス装置(図示せず)等が用いられる。
【0015】
設計支援装置11は、レイアウトデータに基づき半導体装置に形成するパターン(図形)、レチクルのパターン、ウェハマップ等を表示装置15に表示させることもできる。
記憶装置14は、通常、磁気ディスク装置、光ディスク装置、光磁気ディスク装置を含む。この記憶装置14には、半導体装置(半導体集積回路装置)を設計するためのプログラムデータを含むファイルが格納され、CPU12は、入力装置16による指示に応答しているプログラムをメモリ13へ転送し、それを実行する。
【0016】
この設計支援装置11において、記憶装置14には図3に示すファイル21〜27が格納される。これらのファイル21〜27には、半導体装置を製造するために用いられる各種データ、図3に示す各処理においてCPU12が作成する各種データが格納される。尚、各ファイル21〜27に格納されるデータについては後述する。設計支援装置11は、記憶装置14のファイルに格納されたデータを読み出し、そのデータに基づいて、半導体装置の設計データ(例えばレイアウトデータ)を作成する。そして、設計支援装置11は、作成したデータを含むファイルを記憶装置14に格納する。
【0017】
CPU12が実行するプログラムデータは、記録媒体19にて提供される。ドライブ装置17は、記録媒体19を駆動し、その記憶内容にアクセスする。CPU12は、ドライブ装置17を介して記録媒体19からプログラムデータを読み出し、それを記憶装置14にインストールする。
【0018】
記録媒体19としては、磁気テープ(MT)、メモリカード、フレキシブルディスク、光ディスク(CD-ROM,DVD-ROM,… )、光磁気ディスク(MO,MD,…)等、任意のコンピュータ読み取り可能な記録媒体を使用することができる。この記録媒体19に、上述のプログラム,データを格納しておき、必要に応じて、メモリ13にロードして使用することもできる。
【0019】
尚、記録媒体19には、通信媒体を介してアップロード又はダウンロードされたプログラムデータを記録した媒体、ディスク装置を含む。更に、コンピュータによって直接実行可能なプログラムを記録した記録媒体だけでなく、いったん他の記録媒体(ハードディスク等)にインストールすることによって実行可能となるようなプログラムを記録した記録媒体や、暗号化されたり、圧縮されたりしたプログラムを記録した記録媒体も含む。
【0020】
次に、各ファイル21〜27に格納されるデータ、及び設計支援装置11が実行する処理を説明する。尚、各ファイルに格納されたデータについて、ファイルと同じ符号を用いて説明する。
【0021】
図3に示すファイル21には、図2に示すチップデータ21が格納されている。チップデータ21は、1枚のレチクルに搭載するチップの情報を含む。このチップデータ情報は、チップ名、チップの要求数、チップのサイズ(Xサイズ及びYサイズ)を含む。尚、本実施形態において、チップのサイズには、製造に必要な領域(例えば、スクライブ領域)等のサイズを含む。尚、チップデータ21には、各チップに対する、プロセス条件(例えば線幅等のテクノロジ情報)が、含まれても良い。
【0022】
設計支援装置11は、ステップ31(レチクルショットサイズ算出工程)において、チップデータ21から読み出したチップサイズに基づいて、全てのチップを露光するために必要なショットサイズを算出する。例えば、設計支援装置11は、同一サイズのチップをまとめて配置することにより、最小のショットサイズを算出する。そして、設計支援装置11は、算出したショットサイズをファイル22に格納する。
【0023】
図2に示すデータの場合、全てのチップA〜Tは同じサイズであるため、設計支援装置11は、図4(a)に示すように、全てのチップを行列状に配置した初期レイアウトを生成する。そして、設計支援装置11は、初期レイアウトにおいて、各チップA〜Tを包含する矩形の大きさを各チップA〜Tのチップサイズから算出し、その矩形の大きさをショットサイズ(SX=20mm,SY=16mm)としてファイル22に格納する。この処理により、図4(b)に示すように、レチクル41に複数のチップA〜Tのパターンを形成するショット領域42が決定される。
【0024】
次に、設計支援装置11は、ステップ32(ウェハマップ作成工程)において、ウェハのサイズ、及びウェハ有効領域のサイズと、上記のショットサイズ22に基づいて、ウェハマップを作成し、そのウェハマップをファイル23に格納する。ウェハのサイズ及びウェハ有効領域のサイズは、図示しないファイルから読み込まれる、又は図1に示す入力装置16の操作により設定される。
【0025】
図5に示すように、ウェハ51のサイズは例えば直径(300mm)により設定される。そして、ウェハ有効領域52は、例えばウェハエッジ51aから所定サイズ(例えば4.5mm)により設定される部分を除くことにより設定される。つまり、ウェハ有効領域52は、ウェハサイズより小さな半径の円の内側部分として設定される。尚、図5は、ウェハの大きさ、ウェハ有効領域52、ショット領域42とウェハ有効領域52以外との重なり具合を判り易くするために、それぞれの大きさを変更して示してあり、実際の大きさ、寸法、比率等を示していない。
【0026】
ウェハ有効領域52の外側であって、ウェハ51のエッジ51aより内側の領域は、半導体装置の製造プロセスにおいて、ウェハ51を取り扱うために備えられた保持用の爪部等の配置された基板外周のチップ形成不可領域である。1回のショットで1つのチップのパターンをウェハ上に露光する露光方法では、ショット領域がチップ形成不可領域と重なると、そのショット領域により形成されるチップはパターンの一部分が正常に形成されない欠けチップとなるため、有効なチップとしてカウントされない。一方、1つのショット領域に複数のチップパターンが形成されたレチクルを用いた場合、ショット領域に含まれるチップのうち、ウェハ有効領域52内に露光されたチップは、そのチップの全てのパターンが正常に形成されるため、有効なチップとしてカウントされる。つまり、チップの有効数が増加することになる。
【0027】
設計支援装置11は、このウェハ有効領域52を設定する円を、領域境界線52aとする。そして、設計支援装置11は、上記の算出したショット領域42を、所定の2軸(図において、X軸(横方向)及びY軸(縦方向))に沿って、ウェハ51の全面に配置することにより、図6に示すウェハマップ23を生成する。
【0028】
このウェハマップ23の作成において、設計支援装置11は、図5に示すように、ウェハ有効領域52の領域境界線52aに対して、所定方向の端部(図において、X軸方向の最小座標の点)からその軸方向に所定量αオフセットした位置(座標位置)を基準位置とし、その基準位置からショット領域42を配列する。なお、所定量αは、ウェハ51のサイズに応じて任意に設定される値である。
【0029】
ウェハマップ23のデータは、ウェハ51の情報(サイズ、基準位置(中心座標))、ウェハ有効領域52の情報(サイズ、基準位置)、配置したショット領域42のサイズ、ショット領域42の基準点(例えば、左下角)を配置する座標値、等を含む。設計支援装置11は、このデータを図3に示すファイル23に格納する。
【0030】
次に、設計支援装置11は、ステップ33(無効領域抽出工程)において、ウェハマップ23に基づいて、ショット領域42に対する無効領域を抽出する。設計支援装置11は、図6に示すように、ウェハ51を4分割する。無効領域は、配列したショット領域42において、領域境界線52aとウェハエッジ51aとの間の領域51bと重なる部分、つまりチップとして形成されない領域である。
【0031】
設計支援装置11は、矩形状の各ショット領域42について、ショット領域42からウェハ有効領域52を差し引いて残った領域を、各ショット領域42における無効領域43として抽出する。無効領域43を示す情報(無効領域データ)は、識別情報と境界情報を含む。識別情報は、無効領域43を含まないショット領域42と、無効領域43を含むショット領域42とを互いに区別するための情報である。これらのショット領域を区別して説明する場合に、無効領域43を含まないショット領域42を全有効ショット領域42a、無効領域43を含むショット領域42を部分有効ショット領域42bとする。
【0032】
識別情報には、例えば、部分有効ショット領域42bの基準点の座標値、各ショット領域42に対して付されたフラグ、等が用いられる。境界情報は、ショット領域42とウェハ有効領域52とが重なる部分(チップ有効領域)と、ショット領域42と無効領域43とが重なる部分(チップ無効領域)とに区画する情報である。境界情報には、例えば、図5に示す円状の領域境界線52aのうち、該当するショット領域42に含まれる線分(円弧)を表す情報(座標値等)が用いられる。
【0033】
図6に示すウェハマップ23は、ウェハ有効領域52内に配置された50個の全有効ショット領域42aの位置情報と、無効領域43を含むショット領域42、つまり領域境界線52aと重なるように配置された10個の部分有効ショット領域42bの位置情報を含む。
【0034】
次に、設計支援装置11は、ステップ34(無効領域分布図作成工程)において、ステップ33において抽出した無効領域43に基づいて生成した無効領域分布図をファイル24に格納する。設計支援装置11は、ステップ33において抽出した無効領域43を含むショット領域42を互いに重ね合わせることにより、図7(a)に示す無効領域分布図24を生成する。つまり、設計支援装置11は、抽出した無効領域43を、1つのショット領域42と同じ大きさ(ショットサイズ)の矩形内に配置する。この無効領域分布図24において、ハッチングで示す領域が、各ショット領域42において抽出した無効領域43である。設計支援装置11は、ショット領域42内において、互いに重なり合う無効領域43の数をカウントする。
【0035】
図7(b)は、無効領域43を形成する線分、つまり、図6に示す領域境界線52aのうち、ショット領域42bに含まれる線分(円弧)52bを示す。設計支援装置11は、各線分によりショット領域42を区画した区画領域a〜xについて、互いに重なる無効領域43の数をカウントする。そのカウント結果を図8に示す。各区画領域a〜xにおいて、重複数(カウント値)が互いに重なり合う無効領域43の数である。
【0036】
次に、設計支援装置11は、ステップ35(レチクルレイアウト検討処理:第1のレイアウト処理工程)において、無効領域分布図24とショットサイズ22とチップデータ21とに基づいてレチクルレイアウトと歩留まり予想図を生成する。そして、設計支援装置11は、レチクルレイアウトをファイル25に格納し、歩留まり予想図をファイル26に格納する。
【0037】
設計支援装置11は、例えば、重複数が多い区画領域から重複数が少ない区画領域へと、要求数が少ないチップから順番に配置する。詳述すると、設計支援装置11は、図9に示すように、無効領域分布図24と、初期レイアウト25aとを重ね合わせる。初期レイアウト25aは、ショットサイズ22を算出する際に、チップを配置した位置を示す情報(データ)、つまり、図4(a)に示す配置状態を示す情報(データ)である。次いで、設計支援装置11は、重複数が多い区画領域から重複数が少ない区画領域へと着目する。そして、設計支援装置11は、着目した区画領域に対して、要求数が少ないチップを配置する。
【0038】
無効領域43は、部分有効ショット領域42bにおいて、ウェハ有効領域52(図6参照)よりウェハ51のエッジ側であり、チップ形成不可領域である。従って、ウェハ51により形成されるチップの数は、ウェハ51に対するレチクルのショット回数に対して、そのチップと重なる区画領域の重複数分、少なくなる。言い換えれば、重複数が少ない区画領域にチップを配置することにより、ウェハ51により形成するチップの数を多くすることが可能となる。
【0039】
なお、設計支援装置11は、ショット領域の大きさが変化しないように、つまり図3のステップ31において算出したショット領域の大きさを維持するように、チップの配置を変更する。例えば、図2に示すチップデータ21の場合、全てのチップA〜Tのチップサイズは同じ値である。従って、チップを入れ替えても、ショット領域42の大きさは、変化しない。
【0040】
レイアウト検討の処理結果の一例、つまりレチクルレイアウト25bを図10に示す。このレチクルレイアウト25bは、重複数が最も少ない(=0)の区画領域iに、要求数が最も多いチップTと、次に要求数が多いチップA,B,Cが重なる。
【0041】
そして、設計支援装置11は、上記の処理により作成したレチクルレイアウト25bと、ウェハマップ23とに基づいて、図11に示す歩留まり予想図26を作成する。尚、図11では、部分有効ショット領域42bについて、ウェハ有効領域52内のチップ、つまり有効なチップを示し、無効となるチップを示していない。また、全有効ショット領域42aについては、全てのチップを省略してある。
【0042】
次に、設計支援装置11は、ステップ36(第1の判定工程)において、要求チップ数をクリアしているか否かを判定する。
詳しくは、設計支援装置11は、歩留まり予想図26に基づいて、1枚のウェハ51から作成される各チップA〜Tの有効数を算出し、その有効数がそれぞれ各チップA〜Tの要求数以上か否かを判定する。そして、設計支援装置11は、全てのチップについて、有効数が要求数以上の場合、要求チップ数をクリアしていると判定し、ステップ40に移行する。一方、設計支援装置11は、少なくとも1つのチップについて、有効数が要求数未満の場合、要求チップ数をクリアしていないと判定し、ステップ37に移行する。
【0043】
有効数の算出例を説明する。
設計支援装置11は、図13に示すように、ウェハ51に対する歩留まりエリア53a〜53cに基づいて、各チップA〜Tの有効数を算出する。この歩留まりエリア53a〜53cの設定データは、図示しないファイルに格納されている。
【0044】
歩留まりエリア53a〜53cは、ウェハ51における歩留まりの範囲を示す領域であり、領域内のチップの数に対して、良品と判定されるチップの数の割合に応じて設定される。各歩留まりエリア53a〜53cは、例えばウェハ51の中心に対して同心円状に設定される。例えば、歩留まりエリア53a〜53cの歩留まり割合は、それぞれ99.9%、99%、96%であり、歩留まりエリア53cの範囲外であってウェハ有効領域52の範囲内の歩留まり割合は89%である。従って、ウェハ有効領域52は、所定の歩留まり割合を示す歩留まりエリア53dとして設定される。
【0045】
設計支援装置11は、歩留まり予想図26に基づいて、各歩留まりエリア53a〜53dに含まれるチップを抽出し、その抽出数と各歩留まりエリア53a〜53dの歩留まり割合とに基づいて、各チップの有効数を算出する。
【0046】
例えば、チップAについて、図12に示すように、各歩留まりエリア53a〜53dに含まれる個数を、4,16,19,19とする。尚、図12において、歩留まりエリア53a〜53dをそれぞれア〜エとして示す。例えば、チップAについて、歩留まりエリア53aの割合は「ア 99.9%」として示され、歩留まりエリア53a内のチップ数は「ア 4」として示されている。
【0047】
チップAの有効数は、各エリア53a〜53dに含まれるチップ数と、各エリア53a〜53dの歩留まり割合の乗算結果の総和により算出される。つまり、設計支援装置11は、次式、
4×0.999+16×0.99+19×0.96+19×0.89=54.986
により、チップAの有効数54.986を算出する。
【0048】
このチップAの有効数(=54.986)はチップAの要求数(=50)より大きい。従って、設計支援装置11は、チップAについて、要求チップ数をクリアしている(OK)と判定する。同様に、設計支援装置11は、チップB〜Tについて、それぞれ有効数を算出し、有効数と要求数とを比較して各チップについて判定する(図12参照)。尚、図示しないが、有効数が要求数より少ないチップについて、要求チップ数をクリアしていない(NG)と判定する。
【0049】
そして、設計支援装置11は、全てのチップについて、有効数が要求数の条件をクリアしている(OK)場合にステップ40に移行する。一方、設計支援装置11は、少なくとも1つのチップについて、有効数が要求数の条件をクリアしていない(NG)場合にステップ37に移行する。
【0050】
次に、設計支援装置11は、ステップ37(レチクルレイアウト検討処理:第2のレイアウト処理工程)において、チップの有効数が増加するように、チップの配置位置の変更、又はレチクルレイアウト25に対する無効領域分布図24の位置を、相対的に変更する。設計支援装置11は、ステップ36において、NGと判定したチップを、重複数が少ない区画領域に含まれるように、上記の相対位置を変更する。
【0051】
例えば、図10に示すレチクルレイアウト25において、チップTの有効数が要求数より少ないとする。この場合、設計支援装置11は、図14に示すように、チップTが、重複数が最も少ない区画領域iに含まれるように、ショット領域42と無効領域分布図24とをずらす。例えば、設計支援装置11は、チップTの配置位置及びチップサイズと、区画領域iを形成する線分の座標値とに基づいて、チップTの頂点が、線分上に配置されるように、ずらす量を算出する。
【0052】
そして、設計支援装置11は、チップの配置位置を変更した場合には、それに対応するレチクルレイアウト25を生成する。また、設計支援装置11は、レチクルレイアウト25と無効領域分布図24の相対位置に基づいて、ウェハマップ23を変更する。つまり、設計支援装置11は、レチクルレイアウト25と無効領域分布図24の相対的な位置差に基づいて、図11に示すショット領域42の位置を、位置差分だけオフセットしたウェハマップ23(図15参照)を生成する。
【0053】
図15において、一点鎖線で示すショット領域(ショット領域を包含する外形線のみを示す)は、オフセット前のショット領域群の位置を示す。即ち、図3のステップ38において、要求チップ数をクリアしている場合に生成されるウェハマップを示している。尚、図15は、オフセット前のショット領域(一点鎖線で示す)とオフセット後のショット領域(実線で示す)のずれを判りやすく示すものであり、このずれ量(オフセット量)は、図14に示すオフセット量と対応していない。また、図15において、点O1はウェハ51の中心点、点O2はオフセット前のショット領域群の中心点、点O3はオフセット後のショット領域群の中心点を示す。
【0054】
次に、設計支援装置11は、ステップ38(第2の判定工程)において、ステップ36と同様に、全てのチップの有効数が要求数の条件をクリアしているか否かを判定する。そして、設計支援装置11は、有効数が要求数の条件をクリアしている(OK)場合にステップ40に移行し、有効数が要求数の条件をクリアしていない(NG)場合にステップ39に移行する。
【0055】
次に、設計支援装置11は、ステップ39(レチクルレイアウト処理:第3のレイアウト処理工程)において、チップの要求数を満足するために、ウェハサイズを変更、又は製造プロセスに投入するウェハの枚数を変更する。そして、ウェハ枚数を増加した結果、各チップの配置位置に関係無く要求数を満たす場合、設計支援装置11は、ファイル27の配置基準に基づいてレチクルレイアウトを実施し、作成したレチクルレイアウトデータをファイル25に格納する。配置基準には、ダイシング優先、チップの粗密、テクノロジが要素として設定されている。設計支援装置11は、少なくとも1つの要素に従って、チップを配置する。
【0056】
ダイシング優先は、ウェハ51をダイシングし易いように、同じサイズのチップを集めて直線的に配置する、内部スクライブでT字の分岐を生成しない、同一スクライブ幅のチップを配列する、等である。チップの粗密は、レチクル製造精度にばらつきが発生しないように、各チップの疎密さ分布が均一となるようにチップを配置するものである。テクノロジは、レチクル製造仕様作成が平準化できるよう、同じテクノロジのチップを均一に配置するものである。
【0057】
設計支援装置11は、上記要素に従ってチップを配置したレチクルレイアウトデータを、ファイル25に格納する。
次に、設計支援装置11は、ステップ40(ウェハマップ再作成)において、ステップ35,37,39で決定したレチクルレイアウトデータに基づいて最終のウェハマップデータを生成し、このデータをファイル23に格納する。
【0058】
このように、複数のチップA〜Tのパターンを1つのレチクル41のショット領域42に形成する場合において、ショット領域42に基づいてウェハマップ23を作成する。そして、ウェハマップ23のショット領域42から、ウェハ有効領域52より外側の無効領域43を抽出し、ショット領域42に対する無効領域43の分布に従ってチップA〜Tを配置してレチクルレイアウト25及びウェハマップ23を作成するようにした。従って、ショット領域42とウェハ有効領域52の領域境界線52aと重なるショット領域42(部分有効ショット領域42b)に形成されるチップを有効とすることができるため、各チップA〜Tの有効数を増加させることができる。また、要求数が多いチップのパターンを、無効領域43の重なりが少ない部分に配置することにより、要求数が多いチップの有効数が増加し、処理するウェハの枚数を削減することが可能となる。
【0059】
次に、別のチップデータに基づく処理を説明する。
図16に示すように、チップデータ21には、チップA〜Tの要求数と、チップのサイズ(X、Y)が含まれている。そして、この例では、サイズの異なるチップが含まれている。
【0060】
設計支援装置11は、チップデータ21から読み出した各チップA〜Tのサイズに基づいて、ショットサイズ22を算出する(図3,ステップ31)。図16に示すチップデータの場合、チップA,B,F〜L,Q〜Sが同じサイズであり、チップC〜Eが同じサイズであり、チップM〜Pが同じサイズである。従って、設計支援装置11は、図17に示すように、同一サイズのチップをまとめることにより、最小のショットサイズ22を算出する。この場合、設計支援装置11は、図16に示すチップのサイズから、ショットサイズ22を、SX=20.4mm,SY=16mmと算出する。
【0061】
次に、設計支援装置11は、ウェハのサイズ、及びウェハ有効領域のサイズと、上記のショットサイズ22に基づいて、ショット領域42を配置したウェハマップを作成する(図3,ステップ32)。
【0062】
次に、設計支援装置11は、ショット領域42における無効領域43を抽出し(図3,ステップ33)、無効領域分布図24を生成する(図3,ステップ34)。
次に、設計支援装置11は、無効領域分布図24の区画領域について、互いに重なる無効領域43の数をカウントし、図18に示すように無効領域分布図24とショット領域42を重ね合わせ、各区画領域の重複数に従って、図19に示すようにチップA〜Tを配置する(図3,ステップ35)。
【0063】
次に、設計支援装置11は、要求チップ数をクリアしているか否かを判定する(図3,ステップ36)。
今、チップCが要求チップ数をクリアしていないとする。この場合、設計支援装置11は、図20に示すように、チップCの有効数が増加するように、チップの配置位置の変更、又はレチクルレイアウト25に対する無効領域分布図24の位置を、相対的に変更する(図3,ステップ37)。このとき、チップTの少なくとも一部が区画領域iから外れる場合、重複数が最も少ない区画領域iに含まれるように、チップTの配置位置をずらすようにしてもよい。これは、チップTの面積が他のチップと比べて小さく、チップTの周囲に空き領域があるからである。
【0064】
そして、設計支援装置11は、チップA〜Tの配置位置、及びショット領域42と無効領域分布図のずれ量(オフセット)に従って、ウェハマップを作成する。
このように、互いにチップサイズが異なるチップについても、上記と同様に、ショット領域42に対してチップA〜Tを配置したレチクルのレイアウトデータとウェハマップ23を作成することにより、各チップA〜Tの有効数を増加させることができる。また、要求数が多いチップのパターンを、無効領域43の重なりが少ない部分に配置することにより、要求数が多いチップの有効数が増加し、処理するウェハの枚数を削減することが可能となる。
【0065】
次に、別のレチクルに対する処理を説明する。
図21に示すように、レチクル71は、複数(図において4つ)のショット領域71a〜71dを含む。各ショット領域71a〜71dには、複数のチップA〜Lにおいて、異なる層を形成するためのパターンが形成される。つまり、第1のショット領域71aには、チップA〜Lに形成される第1の層のためのパターンA1〜L1が形成される。第2のショット領域71bには、チップA〜Lに形成されるパターンのうち、第1の層と異なる第2の層のためのパターンが形成される。同様に、第3,第4のショット領域71c,71dには、第3の層、第4の層のためのパターンがそれぞれ形成される。このようなレチクル71は、マルチレイヤーレチクルと呼ばれる。複数層のパターンを1つのレチクル71上に形成することにより、製造工程において使用するレチクルの枚数が少なくなり、コスト的及び管理的に有利となる。
【0066】
上記複数のショット領域71a〜71dのうち、1つの領域(例えば第1のショット領域71a)について、上記と同様に、レチクルレイアウトとウェハマップを作成する。つまり、チップA〜Lの1つの層におけるパターンA1〜L1を配置した初期レイアウト25aを作成する。
【0067】
次に、ショット領域71aに基づいてウェハマップを作成する。次に、ウェハマップから抽出した無効領域に基づいて無効領域分布図24(図22参照)を作成し、その無効領域分布図24に基づいてレチクルレイアウト25bを生成する。尚、図24では、便宜上、上記の説明と同じ無効領域分布図を用いている。また、図21に示す初期レイアウト25aと同じ配置としている。また、図22では、配置についてチップ単位を扱うため、単にチップ名を表示している。
【0068】
次に、図23に示すように、要求数が多いチップ(図ではチップE)が領域i(図7(b)参照)内となるように、レチクルレイアウト25bと無効領域分布図24とを相対的にオフセットし、歩留まり予想図を作成する。
【0069】
そして、歩留まり予想図に基づいて、要求チップ数をクリアしているか否かを判定する。図24は、チップA〜L(1層分のパターンであるため、チップ名をA1〜L1として示す)に対する判定処理を示す。なお、図には示していないが、チップC1〜K1についても、判定OKとする。
【0070】
このように、全てのチップA1〜L1について有効チップ数をクリアしている場合、そのレチクルレイアウト25bに基づいてウェハマップを作成する。
このように、マルチレイヤーレチクル71についても、同様に処理を行うことで、チップA〜Lの有効数を増加させることができる。また、要求数が多いチップのパターンを、無効領域43の重なりが少ない部分に配置することにより、要求数が多いチップの有効数が増加し、処理するウェハの枚数を削減することが可能となる。
【0071】
以上記述したように、本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)設計支援装置11は、複数のチップA〜Tのパターンを1つのレチクル41のショット領域42に形成する場合において、ショット領域42に基づいてウェハマップ23を作成する。そして、ウェハマップ23のショット領域42から、ウェハ有効領域52より外側の無効領域43を抽出し、ショット領域42に対する無効領域43の分布に従ってチップA〜Tを配置してレチクルレイアウト25及びウェハマップ23を作成するようにした。従って、ショット領域42とウェハ有効領域52の領域境界線52aと重なるショット領域42(部分有効ショット領域42b)に形成されるチップを有効とすることができるため、各チップA〜Tの有効数を増加させることができる。
【0072】
(2)設計支援装置11は、無効領域分布図24に基づいて、要求数が多いチップのパターンを、無効領域43の重なりが少ない部分に配置することにより、要求数が多いチップの有効数が増加する、つまり一枚のウェハから要求数の多いチップを確実に多く取る事ができる。このため、処理するウェハの枚数を削減することが可能となる。
【0073】
尚、上記各実施形態は、以下の態様で実施してもよい。
・ステップ35においてチップを配置するために必要な情報、配置の順番を適宜変更してもよい。
【0074】
例えば、重複数が少ない区画領域から重複数が多い区画領域へと、要求数が多いチップから順番に配置する。このように配置しても、要求数が多いチップを有効数が多くなる、即ち要求数が多いチップを確実に形成することができ、ウェハの枚数を減らすことが可能となる。
【0075】
また、区画領域の面積に応じて、配置する順序を変更するようにしてもよい。例えば、1枚のウェハ51により形成されるチップの数が最も多くなる位置、即ち重複数が最も少ない区画領域(図7(b)では領域i)の面積と、各チップの面積を算出する。そして、区画領域の面積がチップの最小面積より小さい場合に、チップのサイズに従ってレチクルの外周部からチップを配置する。このようにチップを配置することにより、要求数が同じ又は近いチップについて、形状(サイズ)に応じて配置することで、各チップの有効数が多くなる、即ち複数のチップを確実に形成することができ、要求チップ数をクリアすることができる。その結果、ウェハの枚数を減らすことが可能となる。
【0076】
一方、区画領域の面積がチップの最小面積より大きい場合に、その区画領域を中心としてサイズに従ってチップを配置する。このようにチップを配置することにより、要求数が同じ又は近いチップについて、形状(サイズ)に応じて配置することで、各チップの有効数が多くなる、即ち複数のチップを確実に形成することができ、要求チップ数をクリアすることができる。その結果、ウェハの枚数を減らすことが可能となる。
【0077】
また、チップのサイズ以外の情報、例えばチップの構成に応じて設定された情報に従ってチップを配置するようにしてもよい。同じテクノロジの場合、入出力回路(I/O)、電源回路、パッド(PAD)等の面積率が、ロジック回路などの面積率よりも大きいチップは、I/O等の面積率がロジック回路などの面積率よりも小さいチップと比べて、歩留まり率が高い。また、RAM等のメモリ領域を搭載したチップは、そのメモリ領域の面積率が大きくなるに従って歩留まり率が低下する。尚、メモリ領域の構成(例えば冗長回路や誤り訂正回路などの有無)に応じて歩留まり率が変化する。
【0078】
従って、チップの構成や種別を示す情報を例えば図3のファイル21に格納し、ファイルから読み出した情報に応じて歩留まり率を設定若しくは算出し、その歩留まり率に従って、歩留まり率の大きなチップから順番に、重複数が多い区画領域から重複数が少ない区画領域へと配置する。この配置処理によって、1枚のウェハから形成されるチップの数が多くなるため、各チップの有効数が多くなり、要求チップ数をクリアすることができる。その結果、ウェハの枚数を減らすことが可能となる。
【0079】
・ステップ36における有効数の算出方法として、各歩留りエリア毎に個数を算出するようにしてもよい。つまり、チップAの有効数は、上記式において、各項の乗算結果を整数化することにより得られる。例えば、図10に示すチップAの場合、図13に示す歩留まりエリア53a内のチップ数は4であるため、チップ数(=4)に歩留まりエリア53aの歩留まり割合(99.9%)を乗算した結果、チップAの有効数は3となる。同様に、各歩留まりエリア53b〜53dにおける有効数はそれぞれ15,18,16となる。従って、ウェハ51におけるチップAの有効数は、
3+15+18+16=52
となる。
【0080】
・ステップ37において、レチクルレイアウト25に対して無効領域分布図24をずらす量を算出するようにした。これに対し、外部からずれ量を入力するようにしてもよい。例えば、設計支援装置11は、図10に示す配置結果を図1の表示装置15に表示させ、操作者(例えば設計者)による入力装置16の操作に基づくずれ量を入力する。また、設計支援装置11は、図10に示す配置結果を図1の表示装置15に表示させ、操作者が入力装置16を操作して、表示装置15に表示された図形を表示装置15上で移動させることで、その操作量又は表示された図形の位置に基づいてずれ量を算出するようにしてもよい。
【0081】
・境界情報として、円弧状の線分52b(図7(b)参照)に換えて直線状の線分を用いてもよい。即ち、ショット領域42の外形線と、図5に示す円状の領域境界線52aとが交わる2つの交点を算出し、それら交点を結ぶ直線(線分)を境界情報としてもよい。このように、無効領域分布図24を作成しても、上記と同様の効果を得ることができる。
【0082】
・要求数等に応じて、同一種類のチップのレイアウトデータを、1つのレチクル上に配置すること。
・無効領域を抽出するショット領域を限定する。例えば、ウェハ有効領域内に含まれるショット領域の境界線の長さとチップのサイズに応じてチップが1つも形成不可能なショット領域に対する無効領域の抽出をキャンセルする。また、ショット領域の境界線のうちのウェハ有効領域に含まれる線分とウェハ有効領域の境界線とに囲まれた領域の面積と、ショット領域の面積との比が所定値(例えば1:4)以下となるショット領域に対する無効領域の抽出をキャンセルする。尚、所定値は、ショット領域のサイズとそのショット領域内に配置されるチップのサイズとに基づいて変更されてもよい。また、上記の条件を組み合わせて判定するようにしてもよい。
【0083】
・上記各実施形態では、チップが無効な無効領域を抽出し、無効領域分布図に基づいてチップを配置するようにした。これに対し、チップが有効な領域(有効領域)を抽出し、ショット領域に対する有効領域の分布に応じてチップを配置するようにしてもよい。即ち、設計支援装置11は、図3に示すフローチャートにおいて有効領域を抽出し(ステップ33)、有効領域分布図を作成する(ステップ34)。そして、その有効領域分布図に基づいてレチクル上のチップのレイアウトを検討する(ステップ35)。このように、有効領域に応じてチップを配置することにより、上記各形態と同様に、チップの有効数を増加させることが可能となり、ひいては処理するウェハの枚数を低減することが可能となる。
【0084】
上記各実施形態に関し、以下の付記を開示する。
(付記1)
チップを形成する基板上にパターンを描写する1枚のレチクルに複数種類のチップのパターンを配置したレチクルのレイアウトを設計支援装置により生成するレチクルレイアウト生成方法であって、
前記レチクルのショット領域と基板の有効領域とに基づいて、前記基板に対する前記ショット領域の位置を示すマップを生成するマップ作成工程と、
前記マップから、前記ショット領域における有効領域又は無効領域を抽出する領域抽出工程と、
抽出した領域の分布情報と、前記チップの種類とに応じて各チップを配置してレチクルレイアウトのデータを生成する第1のレイアウト処理工程と、
を含むレチクルレイアウト生成方法。
(付記2)
抽出した領域を含むショット領域が互いに重なり合うように前記領域を配置して領域分布図を生成する領域分布図作成工程を含み、
前記領域分布図に基づいて、重なり合う前記領域の数をカウントしてそのカウント値を分布情報とし、前記分布情報に応じてチップを配置すること
を特徴とする付記1記載のレチクルレイアウト生成方法。
(付記3)
前記チップの種類は、少なくともチップの要求数が異なることにより設定され、
前記第1のレイアウト処理工程において、前記分布情報と各チップの要求数とに応じて各チップを配置すること
を特徴とする付記1又は2記載のレチクルレイアウト生成方法。
(付記4)
チップデータから1枚のレチクル上にパターンを配置する複数種類のチップのサイズを読み込み、各チップのサイズに基づいて、全てのチップを露光するために必要なショットサイズの最小値を算出するショットサイズ算出工程含むこと、を特徴とする付記1〜3のうちの何れか1項に記載のレチクルレイアウト生成方法。
(付記5)
チップデータには各チップの要求数が含まれ、
生成したレチクルレイアウトとウェハマップとに基づいて第1の歩留まり予想図を生成し、該歩留まり予想図に基づいて、1枚のウェハにおけるチップの有効数を算出し、各チップの有効数と前記要求数とを比較して前記レチクルレイアウトが要求チップ数をクリアしているか否かを判定する第1の判定工程を含む、ことを特徴とする付記1〜4のうちの何れか1項に記載のレチクルレイアウト生成方法。
(付記6)
前記第1の判定工程において、要求チップ数をクリアしていないと判定された場合に、前記無効領域分布図と前記チップのサイズに基づいて、前記無効領域分布図と前記ショット領域とを相対的にずらすオフセット量に応じてレチクルレイアウトを生成し、前記オフセット量に応じてウェハに対するショット領域をずらした第2の歩留まり予想図を生成する第2のレイアウト処理工程を含む、ことを特徴とする付記5に記載のレチクルレイアウト生成方法。
(付記7)
前記第2のレイアウト処理工程において、複数種類のチップのうち、面積が小さなチップの配置位置を、相対的にずらした前記無効領域分布図と前記ショット領域との位置に応じて変更すること、を特徴とする付記6に記載のレチクルレイアウト生成方法。
(付記8)
前記第2のレイアウト処理工程により生成されたレチクルレイアウトが要求チップ数をクリアしているか否かを判定する第2の判定工程と、
前記第2の判定工程において、要求チップ数をクリアしていないと判定された場合に、配置基準に従って複数種類のチップを配置したレチクルレイアウトを生成する第3のレイアウト処理工程と、
を含むこと、を特徴とする付記6又は7に記載のレチクルレイアウト生成方法。
(付記9)
前記第1のレイアウト処理工程において、前記無効領域分布図に基づいて、歩留まりが高い領域の面積と、前記ショット領域に配置する最小のチップの面積とを比較し、その比較結果に応じて、各チップを配置すること、を特徴とする付記1〜8のうちの何れか1項に記載のレチクルレイアウト生成方法。
(付記10)
前記第1のレイアウト処理工程において、前記ショット領域に配置する各チップのデバイス特性に応じた順番で配置を検討すること、を特徴とする付記1〜9のうちの何れか1項に記載のレチクルレイアウト生成方法。
(付記11)
チップを形成する基板上にパターンを描写する1枚のレチクルに複数種類のチップのパターンを配置したレチクルのレイアウトを生成する装置が実行するプログラムであって、
前記レチクルのショット領域と基板の有効領域とに基づいて、前記基板に対する前記ショット領域の位置を示すマップを生成する工程と、
前記マップから、前記ショット領域における有効領域又は無効領域を抽出する工程と、
抽出した領域の分布情報と、前記チップの種類とに応じて各チップを配置してレチクルレイアウトのデータを生成する工程と、
を含むプログラム。
(付記12)
チップを形成する基板上にパターンを描写する1枚のレチクルに複数種類のチップのパターンを配置したレチクルのレイアウトを生成するレチクルレイアウト生成装置であって、
前記レチクルのショット領域と基板の有効領域とに基づいて、前記基板に対する前記ショット領域の位置を示すマップを生成する工程と、
前記マップから、前記ショット領域における有効領域又は無効領域を抽出する工程と、
抽出した領域の分布情報と、前記チップの種類とに応じて各チップを配置してレチクルレイアウトのデータを生成する工程と、
を実行するレチクルレイアウト生成装置。
【符号の説明】
【0085】
21 チップデータ
22 ショットサイズ
23 ウェハマップ
24 無効領域分布図
25 レチクルレイアウト
26 歩留まり予想図
27 配置基準
41 レチクル
42 ショット領域
43 無効領域
51 ウェハ
52 ウェハ有効領域
52a 領域境界線
A〜T チップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チップを形成する基板上にパターンを描写する1枚のレチクルに複数種類のチップのパターンを配置したレチクルのレイアウトを設計支援装置により生成するレチクルレイアウト生成方法であって、
前記レチクルのショット領域と基板の有効領域とに基づいて、前記基板に対する前記ショット領域の位置を示すマップを生成するマップ作成工程と、
前記マップから、前記ショット領域における有効領域又は無効領域を抽出する領域抽出工程と、
抽出した領域の分布情報と、前記チップの種類とに応じて各チップを配置してレチクルレイアウトのデータを生成する第1のレイアウト処理工程と、
を含むレチクルレイアウト生成方法。
【請求項2】
抽出した領域を含むショット領域が互いに重なり合うように前記領域を配置して領域分布図を生成する領域分布図作成工程を含み、
前記領域分布図に基づいて、重なり合う前記領域の数をカウントしてそのカウント値を分布情報とし、前記分布情報に応じてチップを配置すること
を特徴とする請求項1記載のレチクルレイアウト生成方法。
【請求項3】
前記チップの種類は、少なくともチップの要求数が異なることにより設定され、
前記第1のレイアウト処理工程において、前記分布情報と各チップの要求数とに応じて各チップを配置すること
を特徴とする請求項1又は2記載のレチクルレイアウト生成方法。
【請求項4】
チップを形成する基板上にパターンを描写する1枚のレチクルに複数種類のチップのパターンを配置したレチクルのレイアウトを生成する装置が実行するプログラムであって、
前記レチクルのショット領域と基板の有効領域とに基づいて、前記基板に対する前記ショット領域の位置を示すマップを生成する工程と、
前記マップから、前記ショット領域における有効領域又は無効領域を抽出する工程と、
抽出した領域の分布情報と、前記チップの種類とに応じて各チップを配置してレチクルレイアウトのデータを生成する工程と、
を含むプログラム。
【請求項5】
チップを形成する基板上にパターンを描写する1枚のレチクルに複数種類のチップのパターンを配置したレチクルのレイアウトを生成するレチクルレイアウト生成装置であって、
前記レチクルのショット領域と基板の有効領域とに基づいて、前記基板に対する前記ショット領域の位置を示すマップを生成する工程と、
前記マップから、前記ショット領域における有効領域又は無効領域を抽出する工程と、
抽出した領域の分布情報と、前記チップの種類とに応じて各チップを配置してレチクルレイアウトのデータを生成する工程と、
を実行するレチクルレイアウト生成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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