説明

レバースイッチ

【課題】ゴミや埃などの異物がケース内に侵入した場合でも、確実な操作が可能なレバースイッチを提供することを目的とするものである。
【解決手段】駆動体17の摺動方向と直交方向において、駆動体17の駆動係合部17Aの後面側方に窪部17Cや前面側方に窪部17Eを設けることによって、開口部11Aからケース11内に侵入したゴミや埃などの異物が、窪部17C、17Eに移動して、駆動係合部17A上に蓄積し難いため、レバー6の係合部6Cと駆動係合部17Aとの間の異物の噛み込みによるレバー6の中立位置への復帰動作への支障が生じ難く、確実な操作が可能なレバースイッチを実現することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種電子機器において、記録媒体の有無やメカニズムの動作検出等に用いられるレバースイッチに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のレバースイッチについて図5〜図7を用いて説明する。
【0003】
図5は従来のレバースイッチの断面図、図6は同分解斜視図である。
【0004】
同図において、1は前面開放で上面に開口部1Aが形成されたケースで、これの下内側壁中央には共通接点2が植設されると共に、共通接点2の上方の両内側壁に一対の固定接点3、4が対向して植設されている。
【0005】
そして、5は略M字状の可動接点で、中間に上方へ略L字状に延出した支持部5Dがケース1の底面の保持部1Bに弾接すると共に、中間下面の突部5Aが共通接点2に弾接し、両側の折曲したアーム部5B端の接点部5Cが固定接点3、4の上方のケース1両内側壁に各々弾接して配置され、可動接点5がケース1内に保持されている。
【0006】
また、6は絶縁樹脂製のレバーで、下部の軸孔6Bにケース1の軸部1Cが挿通してレバー6が回動可能に装着され、上部の操作部6Aが開口部1Aから上方へ突出すると共に、下端には略歯車状の係合部6Cが設けられている。
【0007】
さらに、7は絶縁樹脂製の駆動体で、左右方向の下部両端の押圧部7Bが可動接点5のアーム部5Bの内側に当接し、上端の直線歯車状の駆動係合部7Aがレバー6下端の係合部6Cに噛合って係合している。
【0008】
また、図7の要部斜視図に示すように、駆動体7の駆動係合部7Aの後面には壁部7Cが形成され、壁部7Cがケース1上面の内側壁に当接しながら、駆動体7がレバー6の回動に伴って左右方向へ摺動可能にケース1内に収納されている。
【0009】
そして、これら可動接点5やレバー6、駆動体7等が収納されたケース1の前面をカバー8が覆ってレバースイッチが構成されている。
【0010】
このような構成のレバースイッチは、ビデオカメラやデジタルカメラ等の電子機器の記録媒体の有無やメカニズムの動作検出用として、プリント配線基板(図示せず)の上面に共通接点2及び固定接点3、4のケース1外方へ延出した端子部がはんだ付けされて実装される。
【0011】
以上の構成において、図5に示すように、レバー6が中立位置にある状態から、例えば、電子機器の回転操作部によって、操作部6Aが右方向に回動操作されると、レバー6は軸部1Cを支点として回動するため、レバー6下端の係合部6Cが駆動体7上端の駆動係合部7Aに噛合いながら駆動体7は左方向へ摺動する。
【0012】
そして、駆動体7の左方向への摺動に伴って、可動接点5の左側のアーム部5B内側が駆動体7左側の押圧部7Bに押圧されて、アーム部5Bが撓み、左側の接点部5Cが固定接点4に弾接することによって、可動接点5を介して固定接点4と共通接点2との電気的接続が行われ、例えば、オーディオの音量が大きくなる。
【0013】
また、操作部6Aへの回動操作が無くなりフリー状態になると、レバー6は撓んだ可動接点5のアーム部5Bによる右方向への付勢力によって駆動体7を介して中立位置に復帰する。
【0014】
同様に、操作部6Aを左方向へ回動操作すると、係合部6Cや駆動係合部7Aを介して駆動体7が右方向へ摺動するため、可動接点5を介して固定接点3と共通接点2との電気的接続が行われ、例えば、オーディオの音量が小さくなり、操作部6Aがフリー状態になると、可動接点5により付勢された駆動体7を介してレバー6が中立位置に復帰するように構成されているものであった。
【0015】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献としては、例えば、特許文献1が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開2003−132765号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
しかしながら、従来のレバースイッチにおいては、例えば、ゴミや埃などの異物が比較的多い周囲環境で使用され、ケース1の開口部1Aとレバー6外周との隙間から、ケース1内にゴミや埃などの異物が侵入した場合、駆動体7の駆動係合部7Aの前面がカバー8に覆われると共に、後面は壁部7Cに囲まれているため、異物が略歯車状の係合部6Cと駆動体7の直線歯車状の駆動係合部7Aの間に留まって蓄積し易く、左右方向へ回動操作されたレバー6がフリー状態になった時に、係合部6Cと駆動係合部7Aとの間の異物の噛み込みによって、レバー6が引掛ったり、停止したりするなど、中立位置への付勢復帰に支障が生じる可能性があった。
【0018】
本発明は上記従来の課題を解決するものであり、ゴミや埃などの異物がケース内に侵入した場合でも、異物が略歯車状の係合部と駆動体の直線歯車状の駆動係合部の間に蓄積し難く、確実な操作が可能なレバースイッチを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記目的を達成するために本発明は、駆動体の摺動方向と直交する方向の駆動係合部の側方に窪部を設けたレバースイッチの構成としたものである。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、駆動体の摺動方向と直交する方向の駆動係合部の側方に窪部を設けることにより、ゴミや埃などの異物が開口部からケース内に侵入したとしても、異物は駆動係合部の側方の切欠きや窪みなどの窪部に移動して、駆動係合部上に蓄積し難く、レバーの係合部と駆動体の駆動係合部との間の異物の噛み込みによる、レバーの中立位置への復帰動作に支障が生じ難く、確実な操作が可能なレバースイッチを得ることができるという作用を有する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施の形態によるレバースイッチの断面図
【図2】同分解斜視図
【図3】同要部斜視図
【図4】同動作を示す断面図
【図5】従来のレバースイッチの断面図
【図6】同分解斜視図
【図7】同要部斜視図
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について、図1〜図4を用いて説明する。
【0023】
(実施の形態)
図1は本発明の一実施の形態によるレバースイッチの断面図、図2は同分解斜視図である。
【0024】
同図において、11は液晶ポリマー樹脂(以降、LCP樹脂と記載する)、ポリフェニレンサルファイド樹脂(以降、PPS樹脂と記載する)又はポリアミド樹脂(以降、PA樹脂と記載する)等の絶縁樹脂製の、前面開放で上面に開口部11Aが形成されたケースである。
【0025】
そして、ケース11の下方の内側壁中央には導電金属板製の共通接点2が植設されると共に、共通接点2のやや上方の両内側壁には、一対の固定接点3、4が対向して植設され、共通接点2がケース11中間の左右の両外側に延出して共通端子2Aが、固定接点3、4が下方の外側に延出して固定端子3A、4Aが各々形成されている。
【0026】
また、5は弾性金属薄板製の略M字状の可動接点で、中間に上方へ略L字状に延出した支持部5Dがケース11の底面の略コ字状に突出した保持部11Bの下面に弾接すると共に、中間下面の突部5Aが共通接点2に弾接している。
【0027】
さらに、可動接点5の両側の屈曲したアーム部5B端の接点部5Cが、固定接点3、4の上方のケース11の両内側壁にやや撓んだ状態で各々弾接して、可動接点5がケース11内に保持されている。
【0028】
また、ケース11上面の内側壁と保持部11Bとの間のケース11底面には、左右方向へ直線状に延出したガイドリブ11Cが形成されている。
【0029】
そして、6はLCP樹脂、PPS樹脂又はPA樹脂などの絶縁樹脂製のレバーで、軸孔6Bがケース11の開口部11Aの上方近傍に突出した軸部11Dに回動可能に装着されている。
【0030】
また、レバー6上部の操作部6Aが開口部11Aから上方へ突出すると共に、下端には軸孔6Bを中心とした略歯車状の係合部6Cが設けられている。
【0031】
さらに、17はLCP樹脂、PPS樹脂又はPA樹脂などの絶縁樹脂製の駆動体で、左右方向の両端に突出した押圧部17Bが可動接点5のアーム部5Bの内側に当接し、上端に形成された直線歯車状の駆動係合部17Aがレバー6下端の係合部6Cに噛合って係合して、所謂、ラック・アンド・ピニオン機構が形成されている。
【0032】
また、図3の要部斜視図に示すように、駆動係合部17Aの後面の駆動体17の摺動方向と直交する方向において、駆動係合部17Aに隣接した側方に、壁部17Dを所定範囲の長さ切り欠いた窪部17Cが設けられると共に、この壁部17Dがケース11上方の内側壁とガイドリブ11C上面によってガイドされ、レバー6の回動に伴って駆動体17が左右方向へ摺動可能にケース11内に収納されている。
【0033】
なお、駆動体17とレバー6をケース11内に収納する際には、まず、ケース11内に駆動体17が収納された状態で、前面側からレバー6の軸孔6Bと軸部11Dを位置合せしながら、駆動係合部17Aにレバー6の係合部6Cを噛合わせて装着する。
【0034】
そして、17Eは駆動係合部17Aの前面側方の下方に所定範囲の長さ窪んだ窪部で、駆動体17の駆動係合部17Aにゴミや埃などの異物が載ったとしても、窪部17Cや窪部17Eに異物が移動して、駆動係合部17Aに異物が留まり蓄積し難くなっている。
【0035】
また、窪部17C、17Eの長さは駆動係合部17Aの摺動方向の長さより長い範囲に形成され、駆動係合部17A上の異物が確実に窪部17Cや窪部17Eに移動し易くしている。
【0036】
そして、これら可動接点5やレバー6、駆動体17等が収納されたケース11の前面をカバー8が覆ってレバースイッチが構成されている。
【0037】
このような構成のレバースイッチは、ビデオカメラやデジタルカメラ等の電子機器の記録媒体の有無やメカニズムの動作検出用として、電子機器のプリント配線基板(図示せず)の上面にケース11外側に延出した共通端子2Aや固定端子3A、4Aがはんだ付けされて実装される。
【0038】
以上の構成において、図1に示すように、レバー6が中立位置にある状態から、例えば、電子機器の回転操作部によって、操作部6Aが右方向に回動操作されると、図4の断面図に示すように、レバー6は軸部11Dを支点として回動するため、レバー6下端の係合部6Cが駆動体17上端の駆動係合部17Aに噛合いながら駆動体17は左方向へ摺動する。
【0039】
そして、駆動体17の左方向への摺動に伴って、可動接点5の左側のアーム部5B内側が駆動体17左側の押圧部17Bに押圧されて、アーム部5Bが撓み、左側の接点部5Cが固定接点4に弾接することによって、可動接点5を介して固定接点4と共通接点2との電気的接続が行われ、例えば、オーディオの音量が大きくなる。
【0040】
また、操作部6Aへの回動操作が無くなりフリー状態になると、レバー6は撓んだ可動接点5のアーム部5Bによる右方向への付勢力によって駆動体17を介して中立位置へ復帰する。
【0041】
同様に、操作部6Aを左方向へ回動操作すると、係合部6Cや駆動係合部17Aを介して駆動体17が右方向へ摺動するため、駆動体17右側の押圧部17Bに押圧された可動接点5を介して、固定接点3と共通接点2との電気的接続が行われ、例えば、オーディオの音量が小さくなり、操作部6Aがフリー状態になると、駆動体7を介して中立位置へ復帰する。
【0042】
そして、このようなレバースイッチにおいて、ゴミや埃などの異物が比較的多い周囲環境で使用されると、ケース11の開口部11Aとレバー6外周との隙間から、ゴミや埃などの異物がケース11内に侵入する場合がある。
【0043】
この時、ケース11内の駆動体17の駆動係合部17Aやレバー6の係合部6C表面上に侵入した異物は、隣接した後面側方の窪部17Cや前面側方の窪部17Eに移動して、駆動係合部17Aや係合部6Cには蓄積し難くなっている。
【0044】
したがって、レバー6の回動操作後の中立位置への付勢復帰の時に、駆動係合部17Aとレバー6の係合部6Cとの間の異物の噛み込みによる、レバー6の引掛りや停止などの支障が生じ難く、確実に中立位置に復帰するようになっている。
【0045】
また、ケース11の底面にガイドリブ11Cを形成していることにより、駆動体17の左右方向への摺動時のガタを少なくできると共に、窪部17Cから異物がケース11内の下側へ移動しても、ガイドリブ11C上面に留まり、さらに下方の固定接点3、4側には移動し難くなるため、可動接点5と固定接点3、4との電気的接続を安定したものにすることができる。
【0046】
このように本実施の形態によれば、駆動体17の摺動方向と直交方向において、駆動体17の駆動係合部17Aの後面側方に窪部17Cや前面側方に窪部17Eを設けることによって、開口部11Aからケース11内に侵入したゴミや埃などの異物が、駆動係合部17Aの側方の窪部17Cや窪部17Eに移動して、駆動係合部17A上に蓄積し難いため、レバー6の係合部6Cと駆動係合部17Aとの間の異物の噛み込みによるレバー6の復帰動作に引掛りや停止などの支障が生じ難く、確実な操作が可能なレバースイッチを実現することができる。
【0047】
なお、以上の説明では、駆動係合部17Aの一側方に窪部17Cを他側方に窪部17Eを設けた構成として説明したが、レバースイッチが装着される電子機器内における、レバースイッチが配置される向きによっては、ケース11内に侵入した異物が移動し易い落下方向に、駆動体17の後面の窪部17C又は前面の窪部17Eのいずれか一方を設けた構成としても本発明の実施は可能である。
【0048】
また、以上の説明では、レバー6下端に略歯車状の係合部6Cを、駆動体17の上端に直線歯車状の駆動係合部17Aを設けてこれらが係合する構成としたが、レバーの下端を略円弧状の係合部とすると共に、駆動体の駆動係合部を前記係合部の円弧形状よりやや大きい略円弧状に凹んだ駆動係合部を設けてこれらを係合させ、レバーの回動操作に伴って駆動体が左右方向へ摺動するようにしたものでも良い。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明によるレバースイッチは、ゴミや埃などの異物がケース内に侵入した場合でも、確実な操作が可能なものが得られ、各種電子機器において記録媒体の有無やメカニズムの動作検出用として有用である。
【符号の説明】
【0050】
2 共通接点
2A 共通端子
3、4 固定接点
3A、4A 固定端子
5 可動接点
5B アーム部
5C 接点部
5D 支持部
6 レバー
6A 操作部
6B 軸孔
6C 係合部
8 カバー
11 ケース
11A 開口部
11B 保持部
11C ガイドリブ
11D 軸部
17 駆動体
17A 駆動係合部
17B 押圧部
17C、17E 窪部
17D 壁部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面に開口部を設けたケースと、前記ケースの前記開口部近傍に回動可能に保持され、上部の操作部が前記開口部から外方へ突出すると共に下部に係合部が設けられたレバーと、前記ケース内に摺動可能に収納され、前記レバーの前記係合部に係合する駆動係合部を設けた駆動体と、前記レバーの回動に伴う前記駆動体の摺動によって電気的接離が行われるスイッチ接点からなり、前記駆動体の摺動方向と直交する方向の前記駆動係合部の側方に窪部を設けたレバースイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−20898(P2013−20898A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−155335(P2011−155335)
【出願日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】