説明

レバー式コネクタ

【課題】第2コネクタハウジングの対向する一対の側壁の外表面を挟む嵌合操作レバーの一対のレバー本体に内倒れが生じていても、嵌合操作レバーの第2コネクタハウジングへの組付性が低下することがなく、しかも、第2コネクタハウジングの後端に取り付けられるカバーを係止するために前記一対の側壁に装備するカバー係止片の強度を向上させることができるレバー式コネクタを提供すること。
【解決手段】第2コネクタハウジング10の一対の側壁12a,12bに、嵌合操作レバー20と係合するレバー支持用ボス部14と、カバー30を係止するカバー係止片17と、を備えるレバー式コネクタ1において、一対の側壁12a,12bの外表面121間の離間寸法を側壁の後縁に向かって徐々に減少させるテーパ面18aを有したレバー拾い片18を、カバー係止片17に連ねて延出させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レバー式コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
図11は、下記特許文献1に開示されたレバー式コネクタを示したものである。
このレバー式コネクタ100は、第1コネクタハウジング110と、第2コネクタハウジング120と、嵌合操作レバー130と、カバー140と、を備える。
【0003】
第2コネクタハウジング120は、第1コネクタハウジング110に嵌合接続されるコネクタハウジングで、中央部に、端子収容部を有している。この端子収容部は、第1コネクタハウジング110に収容されている第1の端子金具(不図示)と接続する第2の端子金具を収容する。
【0004】
第2コネクタハウジング120は、対向する一対の側壁121の外表面に突設されたレバー支持用ボス部122と、一対の側壁121の外表面に形成された突起状のカバー係止片123と、を備えている。カバー係止片123は、後述のカバー140を係止する部位で、側壁121の後縁に単独で延出形成されている。
【0005】
対向する一対の側壁121は、ハウジング中央に配置された前記端子収容部の両側部を囲う側壁である。この第2コネクタハウジング120の場合、一対の側壁121の外側には、フード部124が配置されている。フード部124は、一対の側壁121の外側に、第1コネクタハウジング110が嵌合する空間125を画成している。
【0006】
嵌合操作レバー130は、対向配置される一対のレバー本体131と、これらの一対のレバー本体131相互の一端側を連結する本体連結部132と、を備える。
【0007】
一対のレバー本体131は、レバー支持用ボス部122が嵌合するボス嵌合部131aを有している。レバー本体131は、図11に示すように、第2コネクタハウジング120の後方から一対の側壁121の外表面に被せられて、ボス嵌合部131aとレバー支持用ボス部122との係合により、側壁121に回動可能に結合される。図11において、矢印X1は、一対のレバー本体131を一対の側壁121の外表面に被せる際の、嵌合操作レバー130の挿入方向を示している。
【0008】
また、図11において、矢印R1は、側壁121に回動可能に結合された嵌合操作レバー130の回動方向を示している。本体連結部132は、レバー支持用ボス部122を回動支点として一対のレバー本体131を回動操作する際の操作部となる。
【0009】
第2コネクタハウジング120に取り付けられた嵌合操作レバー130は、第1コネクタハウジング110と第2コネクタハウジング120とを嵌合開始位置に突き合わせた状態で回動操作することで、第1コネクタハウジング110と第2コネクタハウジング120とを嵌合させる。
【0010】
カバー140は、第2コネクタハウジング120の後方から一対の側壁121上のカバー係止片123に係合させることで、第2コネクタハウジング120に取り付けられる。このカバー140は、第2コネクタハウジング120の後方を覆い、第2コネクタハウジング120の後方に引き出される電線の引き出し方向を規制する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2007−188674号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ところで、特許文献1のレバー式コネクタ100に使用される嵌合操作レバー130は、一対のレバー本体131の自由端131b側に、内倒れが生じ易い。内倒れは、レバー本体131の自由端131b側が、成型歪み等によって、一対のレバー本体131相互が接近する方向に変形する現象である。
【0013】
特許文献1のレバー式コネクタ100の場合、嵌合操作レバー130は、一対のレバー本体131の自由端131b側から第2コネクタハウジング120の一対の側壁121の外表面に被せることで、第2コネクタハウジング120に組み付ける。
【0014】
従って、一対のレバー本体131に内倒れが生じていて、一対のレバー本体131の自由端131b間の間隔が狭まっていると、一対のレバー本体131を一対の側壁121に被せようとしたときに、各レバー本体131の自由端131bが一対の側壁121の後端面に衝突して、スムーズに組み付けることができず、組付性が低下するという問題が生じる。
【0015】
また、特許文献1のレバー式コネクタ100の場合、第2コネクタハウジング120の後端に取り付けられるカバー140を係止するためのカバー係止片123は、側壁121の後縁に単独で延出形成されており、小幅の部材のために強度の確保が難しいという問題があった。
【0016】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解消することに係り、第2コネクタハウジングの対向する一対の側壁の外表面を挟む嵌合操作レバーの一対のレバー本体に内倒れが生じていても、嵌合操作レバーの第2コネクタハウジングへの組付性が低下することがなく、しかも、第2コネクタハウジングの後端に取り付けられるカバーを係止するために前記一対の側壁に装備するカバー係止片の強度を向上させることができるレバー式コネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の前述した目的は、下記の構成により達成される。
(1)第1コネクタハウジングと、
対向する一対の側壁の外表面に突設されたレバー支持用ボス部と、前記一対の側壁の後縁に延出形成されたカバー係止片と、を備えて前記第1コネクタハウジングに嵌合接続される第2コネクタハウジングと、
前記第2コネクタハウジングの後方から前記一対の側壁の外表面に被せられて前記レバー支持用ボス部との係合により前記側壁に回動可能に結合される一対のレバー本体と、該一対のレバー本体相互の一端側を連結して前記一対のレバー本体を回動操作する際の操作部となる本体連結部と、を備えて回動操作することによって前記第1コネクタハウジングと前記第2コネクタハウジングとを嵌合させる嵌合操作レバーと、
前記第2コネクタハウジングの後方から前記一対の側壁上のカバー係止片に係合させることで前記第2コネクタハウジングの後端に取り付けられて前記第2コネクタハウジングの後方に引き出される電線の引き出し方向を規制するカバーと、
を備えるレバー式コネクタであって、
前記カバー係止片に連なって前記一対の側壁の後縁から延出するレバー拾い片を備え、このレバー拾い片には、前記一対の側壁の外表面間の離間寸法を後方に向かって徐々に減少させるテーパ面を形成したことを特徴とするレバー式コネクタ。
【0018】
上記(1)の構成によれば、第2コネクタハウジングには、一対の側壁の外表面間に離間寸法を徐々に減少させるテーパ面を有したレバー拾い片が装備されている。
【0019】
従って、嵌合操作レバーの一対のレバー本体間の間隔が、これらのレバー本体の内倒れによって第2コネクタハウジングの一対の側壁の外表面間の本来の離間寸法より小さくなっていても、嵌合操作レバーを第2コネクタハウジングに組み付ける際には、嵌合操作レバーのレバー本体の自由端を、第2コネクタハウジングのレバー拾い片から側壁の外表面に被せるようにすれば、レバー本体の自由端が前記レバー拾い片のテーパ面により前記側壁の外表面上にすくい上げられる。そのため、嵌合操作レバーを第2コネクタハウジングに組み付ける際に、嵌合操作レバーのレバー本体の自由端が第2コネクタハウジングの側壁の後端面に衝突することを回避することができ、スムーズに嵌合操作レバーを第2コネクタハウジングに組み付けることができる。
【0020】
即ち、第2コネクタハウジングの対向する一対の側壁の外表面を挟む嵌合操作レバーの一対のレバー本体に内倒れが生じていても、嵌合操作レバーの第2コネクタハウジングへの組付性が低下することがない。
【0021】
また、レバー拾い片は、第2コネクタハウジングの後端にカバーを取り付けるために前記一対の側壁に装備されるカバー係止片に連なって装備されている。そのため、カバー係止片に連なるレバー拾い片が、カバー係止片の実質的な幅寸法を増加させて該カバー係止片を補強する構造材として機能するため、カバー係止片が単独で側壁の後縁に延出形成される従来構造と比較すると、カバー係止片の強度を向上させることができる。
【0022】
その結果、第2コネクタハウジングに対するカバーの取り付けを堅牢にすることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によるレバー式コネクタによれば、嵌合操作レバーの一対のレバー本体間の間隔が、これらのレバー本体の内倒れによって第2コネクタハウジングの一対の側壁の外表面間の本来の離間寸法より小さくなっていても、嵌合操作レバーを第2コネクタハウジングに組み付ける際には、嵌合操作レバーのレバー本体の自由端を、第2コネクタハウジングのレバー拾い片から側壁の外表面に被せるようにすれば、レバー本体の自由端がレバー拾い片のテーパ面により側壁の外表面上にすくい上げられる。
【0024】
そのため、嵌合操作レバーを第2コネクタハウジングに組み付ける際に、嵌合操作レバーのレバー本体の自由端が第2コネクタハウジングの側壁の後端面に衝突することを回避することができ、スムーズに嵌合操作レバーを第2コネクタハウジングに組み付けることができる。
【0025】
従って、第2コネクタハウジングの対向する一対の側壁の外表面を挟む嵌合操作レバーの一対のレバー本体に内倒れが生じていても、嵌合操作レバーの第2コネクタハウジングへの組付性が低下することがない。
【0026】
また、レバー拾い片は、第2コネクタハウジングの後端にカバーを取り付けるために前記一対の側壁に装備されるカバー係止片に連なって装備されている。そのため、カバー係止片に連なるレバー拾い片が、カバー係止片の実質的な幅寸法を増加させて該カバー係止片を補強する構造材として機能するため、カバー係止片が単独で側壁の後縁に延出形成される従来構造と比較すると、カバー係止片の強度を向上させることができる。
【0027】
その結果、第2コネクタハウジングに対するカバーの取り付けを堅牢にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に係るレバー式コネクタの一実施形態の分解斜視図である。
【図2】図1に示した第2コネクタハウジングとカバーとの係合部を示す斜視図である。
【図3】図2のA部の拡大図である。
【図4】図4(a)は図1に示した第2コネクタハウジングの端子収容孔に、電線端に接続された端子金具を装着する前の状態を示す斜視図、図4(b)は図1に示した第2コネクタハウジングに端子金具の装着が完了した状態の斜視図である。
【図5】図1に示した第2コネクタハウジングに嵌合操作レバーを装着する前の状態を示す斜視図である。
【図6】図5のB矢視図である。
【図7】図6のC部の拡大図である。
【図8】嵌合操作レバーを第2コネクタハウジングに組み付けた後、第2コネクタハウジングの後方に延出した電線を規定の引き出し方向に屈曲させた状態の斜視図である。
【図9】図8に示した第2コネクタハウジングの後端にカバーを組み付けた状態の斜視図である。
【図10】第2コネクタハウジングへのカバーの組み付けが完了した後、第2コネクタハウジングを初期位置に回動させた状態の斜視図である。
【図11】従来のレバー式コネクタの分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明に係るレバー式コネクタの好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0030】
図1〜図3は本発明に係るレバー式コネクタの一実施形態の説明図で、図1は一実施形態のレバー式コネクタの分解斜視図、図2は図1に示した第2コネクタハウジングとカバーとの係合部を示す斜視図、図3は図2のA部の拡大図である。
【0031】
この一実施形態のレバー式コネクタ1は、図1に示すように、不図示の第1コネクタハウジングに嵌合接続される第2コネクタハウジング10と、該第2コネクタハウジング10の後方から第2コネクタハウジング10に組み付けられる嵌合操作レバー20と、第2コネクタハウジング10の後方から第2コネクタハウジング10の後端に取り付けられるカバー30と、を備える。
【0032】
第2コネクタハウジング10は、図2及び図3に示すように、複数の端子収容孔11a,11bを有した端子収容部11と、端子収容部11の上下に対向配置された一対の側壁12a,12bと、これらの一対の側壁12a,12bの外表面121に突設されたレバー支持用ボス部14及びレバーガイド突起15と、一対の側壁12a,12bの一端側を連結している端部壁12cに装備された引っ掛け受け部16と、一対の側壁12a,12bのそれぞれの外表面121に形成されたカバー係止片17と、レバー拾い片18と、を備える。
【0033】
端子収容部11aは、図1に示すように、細径の電線41が圧着接続された細径端子金具42を収容保持する端子収容孔である。端子収容部11bは、図1に示すように、太径の電線44が圧着接続された太径端子金具45を収容保持する端子収容孔である。
【0034】
レバー支持用ボス部14は,嵌合操作レバー20を回動自在に支持する軸である。また、レバーガイド突起15は、嵌合操作レバー20に嵌合して、嵌合操作レバー20の回動範囲を規制する突起である。このレバーガイド突起15は、一対の側壁12a,12bの外表面121上で、レバー支持用ボス部14から所定の離間距離に配置されている。レバーガイド突起15は、図2に示すように、レバー支持用ボス部14と平行に一対の側壁12a,12bから突出した軸部15aと、この軸部15aの先端から径方向に突出した抜け止め片15bと、を備えている。
【0035】
引っ掛け受け部16は、端子収容部11の一端側に位置する端部壁12cの後端縁から内方に突出した凸条である。引っ掛け受け部16は、図2に示すカバー30の一端側の引っ掛け突起31を係止させる突起で、引っ掛け突起31との係合によって、カバー30の一端側を回動可能に支持する。
【0036】
カバー係止片17は、図2に示すカバー30の他端側に装備された係止突起32を係止する孔部17aを有している。カバー係止片17は、一対の側壁12a,12bの他端寄りの後縁に延出形成されている。従って、カバー係止片17は、一対の側壁12a,12b上で、引っ掛け受け部16とは逆側となる位置に配置されている。
【0037】
また、カバー係止片17は、図3に示すように、孔部17aよりも後方側に、係止突起32をすくい上げるテーパ面17aを有している。
【0038】
レバー拾い片18は、図3に示すように、カバー係止片17の横に連なって、一対の側壁12a,12bの後縁から延出している。即ち、レバー拾い片18は、カバー係止片17と一体に、一対の側壁12a,12bの後縁から延出している。このレバー拾い片18は、図3及び図7に示すように、テーパ面18aを有している。このテーパ面18aは、一対の側壁12a,12bの外表面121間の離間寸法(図1の寸法H1)を各側壁12a,12bの後縁に向かって徐々に減少させる傾斜面である。
【0039】
テーパ面18aは、嵌合操作レバー20を第2コネクタハウジング10に組み付ける際に、図7に示すように、内倒れが生じている嵌合操作レバー20におけるレバー本体21の自由端211よりもレバー拾い片18の先端(後縁)18bが寸法dだけ内側に位置するように、傾斜角度が設定されている。
【0040】
嵌合操作レバー20は、図1に示すように、対向配置される一対のレバー本体21と、これらの一対のレバー本体21の一端側を連結した本体連結部22と、を備えており、全体としてコ字状に形成されている。
【0041】
レバー本体21は、第2コネクタハウジング10の一対の側壁12a,12bに被せられる板状部材で、レバー支持用ボス部14に回動可能に嵌合するボス嵌合穴21aと、レバーガイド突起15と嵌合するガイド溝21bと、を備えている。
【0042】
このレバー本体21は、第2コネクタハウジング10の後方から一対の側壁12a,12bの外表面121に被せられて、ボス嵌合穴21aがレバー支持用ボス部14に係合し、且つ、ガイド溝21bがレバーガイド突起15に係合することで、一対の側壁12a,12bに回動可能に結合される
【0043】
ガイド溝21bは、ボス嵌合穴21aを中心とする円弧状の溝部213により、レバー支持用ボス部14を回動中心としたレバー本体21の回動範囲を規制する。
本体連結部22は、一対のレバー本体21を回動操作する際の操作部となる部位である。
【0044】
嵌合操作レバー20は、第2コネクタハウジング10の一対の側壁12a,12bに結合させた状態で所定の回動操作することによって、不図示の第1コネクタハウジングと第2コネクタハウジング10とを嵌合させる。
【0045】
カバー30は、図1に示すように、第2コネクタハウジング10の上部の側壁12aの後縁に接続される上部壁30aと、この上部壁30aに対向配置されて第2コネクタハウジング10の下部の側壁12bの後縁に接続される下部壁30bと、これらの上部壁30aと下部壁30bとの後縁を連結する連結壁30cと、を備えている。
【0046】
カバー30の連結壁30cは、第2コネクタハウジング10の端部壁12cの後縁から第2コネクタハウジング10のもう一方の端部壁12d側に延出するスロープ状になっている。
【0047】
カバー30は、上部壁30aと下部壁30bと連結壁30cとによって、第2コネクタハウジング10の後方に電線の引き出し方向を規制する電線誘導空間30dを画成する。カバー30が第2コネクタハウジング10の後方に画成する電線誘導空間30dは、第2コネクタハウジング10の端部壁12d側に開口(電線引き出し口)を有する空間である。
【0048】
カバー30は、第2コネクタハウジング10の後端に結合する手段として、図2に示したように、引っ掛け突起31と、係止突起32と、を備える。
【0049】
引っ掛け突起31は、図2に示すように、連結壁30cの端部壁12c側の端部に突設された突起で、第2コネクタハウジング10の引っ掛け受け部16に引っ掛けることで、連結壁30cの端部を回動可能に端部壁12cに結合する。
【0050】
係止突起32は、図2に示すように、カバー30を第2コネクタハウジング10の後端に突き合わせたときに、第2コネクタハウジング10の一対の側壁12a,12b上のカバー係止片17と係合するように、上部壁30a及び下部壁30bの内面に突設された突起である。
【0051】
カバー30を、第2コネクタハウジング10の後方から第2コネクタハウジング10の後端に取り付ける際には、まず、引っ掛け突起31を第2コネクタハウジング10の引っ掛け受け部16に引っ掛ける。次いで、引っ掛け突起31を支点として、カバー30の係止突起32をカバー係止片17側に移動させ、係止突起32をカバー係止片17に係合させることで、第2コネクタハウジング10の後端に結合された状態になる。
【0052】
カバー30は、第2コネクタハウジング10の後縁に取り付けることによって、図9に示すように、第2コネクタハウジング10の後方に引き出される電線の引き出し方向を規制する。
【0053】
次に、本実施形態のレバー式コネクタ1の組み立て手順を、図4〜図10に基づいて説明する。
【0054】
図4(a)は図1に示した第2コネクタハウジングの端子収容孔に、電線端に接続された端子金具を装着する前の状態を示す斜視図、図4(b)は図1に示した第2コネクタハウジングに端子金具の装着が完了した状態の斜視図、図5は図1に示した第2コネクタハウジングに嵌合操作レバーを装着する前の状態を示す斜視図、図6は図5のB矢視図、図7は図6のC部の拡大図、図8は嵌合操作レバーを第2コネクタハウジングに組み付けた後、第2コネクタハウジングの後方に延出した電線を規定の引き出し方向に屈曲させた状態の斜視図、図9は図8に示した第2コネクタハウジングの後端にカバーを組み付けた状態の斜視図、図10は第2コネクタハウジングへのカバーの組み付けが完了した後、第2コネクタハウジングを初期位置に回動させた状態の斜視図である。
【0055】
まず、図4(a),図4(b)に示すように、細径の電線41が圧着接続された細径端子金具42及び太径の電線44が圧着接続された太径端子金具45を、第2コネクタハウジング10の後方から、第2コネクタハウジング10の端子収容孔11a,11bに、装着する。
【0056】
第2コネクタハウジング10に各端子金具42,45の装着を済ませたら、図5及び図6に示すように、第2コネクタハウジング10の後方から、嵌合操作レバー20の組み付けを行う。
【0057】
嵌合操作レバー20は、図5及び図6に示すように、一対のレバー本体21を、その自由端側から、第2コネクタハウジング10の一対の側壁12a,12bの上に被せて、ボス嵌合穴21aをレバー支持用ボス部14に嵌合させると共に、ガイド溝21bをレバーガイド突起15に嵌合させることで、一対の側壁12a,12bに回動可能に結合された状態になる。
【0058】
一対のレバー本体21の自由端を一対の側壁12a,12bの上に被せる際には、図5及び図6に示すように、レバー本体21の自由端がレバー拾い片18の上を通過するように、嵌合操作レバー20を第2コネクタハウジング10に差し込む。すると、レバー本体21に内倒れが生じていて、図6に矢印M1で示すように一対のレバー本体21相互間の離間距離が減少する方向に変形している場合でも、図7に示すように、レバー拾い片18の先端18bがレバー本体21の自由端211よりも内側に位置していて、第2コネクタハウジング10に差し込まれるレバー本体21の自由端211がテーパ面18aによって一対の側壁12a,12b上に誘導される。従って、レバー本体21に内倒れが生じていても、嵌合操作レバー20の組み付け時に、一対のレバー本体21が一対の側壁12a,12bの後端面に衝突することを回避し、一対のレバー本体21を円滑に一対の側壁12a,12b上に被せることができる。
【0059】
嵌合操作レバー20の第2コネクタハウジング10への組み付けが完了したら、第2コネクタハウジング10の後方に引き出されている電線41,44を、図8に示すように、規定の引き出し方向(図8の矢印D方向)に屈曲させる。
【0060】
電線41,44を引き出し方向に屈曲させたら、図9に示すように、第2コネクタハウジング10の後方から、第2コネクタハウジング10の後端に、カバー30を組み付ける。
【0061】
カバー30の第2コネクタハウジング10への組み付けが完了したら、図10に矢印R2で示すように、嵌合操作レバー20をレバー支持用ボス部14の回りに所定角度回動させて、嵌合操作レバー20を仮係止位置に位置決めする。
【0062】
嵌合操作レバー20の仮係止位置とは、嵌合操作レバー20の回動操作によって不図示の第1コネクタハウジングを第2コネクタハウジング10に嵌合させることのできる位置である。
【0063】
以上に説明した一実施形態のレバー式コネクタ1によれば、第2コネクタハウジング10には、一対の側壁12a,12bの外表面121間に離間寸法を徐々に減少させるテーパ面18aを有したレバー拾い片18が装備されている。
【0064】
従って、嵌合操作レバー20の一対のレバー本体21間の間隔が、これらのレバー本体21の内倒れによって第2コネクタハウジング10の一対の側壁12a,12bの外表面121間の本来の離間寸法より小さくなっていても、嵌合操作レバー20を第2コネクタハウジング10に組み付ける際には、嵌合操作レバー20のレバー本体21の自由端を、第2コネクタハウジング10のレバー拾い片18から側壁12a,12bの外表面121に被せるようにすれば、レバー本体21の自由端211がレバー拾い片18のテーパ面18aにより各側壁12a,12bの外表面121上にすくい上げられる。そのため、嵌合操作レバー20を第2コネクタハウジング10に組み付ける際に、嵌合操作レバー20のレバー本体21の自由端211が第2コネクタハウジング10の側壁12a,12bの後端面に衝突することを回避することができ、スムーズに嵌合操作レバー20を第2コネクタハウジング10に組み付けることができる。
【0065】
即ち、第2コネクタハウジング10の対向する一対の側壁12a,12bの外表面121を挟む嵌合操作レバー20の一対のレバー本体21に内倒れが生じていても、嵌合操作レバー20の第2コネクタハウジング10への組付性が低下することがない。
【0066】
また、レバー拾い片18は、第2コネクタハウジング10の後端にカバー30を取り付けるために一対の側壁12a,12bに装備されるカバー係止片17に連なって装備されている。そのため、カバー係止片17に連なるレバー拾い片18が、カバー係止片17の実質的な幅寸法を増加させて該カバー係止片17を補強する構造材として機能するため、カバー係止片が単独で側壁の後縁に延出形成される従来構造と比較すると、カバー係止片17の強度を向上させることができる。
【0067】
その結果、第2コネクタハウジング10に対するカバー30の取り付けを堅牢にすることができる。
【0068】
なお、本発明のレバー式コネクタは、前述した実施形態に限定されるものでなく、適宜、変形、改良等が可能である。
【符号の説明】
【0069】
1 レバー式コネクタ
10 第2コネクタハウジング
12a,12b 側壁
14 レバー支持用ボス部
17 カバー係止片
18 レバー拾い片
18a テーパ面
20 嵌合操作レバー
21 レバー本体
22 本体連結部
30 カバー
121 外表面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1コネクタハウジングと、
対向する一対の側壁の外表面に突設されたレバー支持用ボス部と、前記一対の側壁の後縁に延出形成されたカバー係止片と、を備えて前記第1コネクタハウジングに嵌合接続される第2コネクタハウジングと、
前記第2コネクタハウジングの後方から前記一対の側壁の外表面に被せられて前記レバー支持用ボス部との係合により前記側壁に回動可能に結合される一対のレバー本体と、該一対のレバー本体相互の一端側を連結して前記一対のレバー本体を回動操作する際の操作部となる本体連結部と、を備えて回動操作することによって前記第1コネクタハウジングと前記第2コネクタハウジングとを嵌合させる嵌合操作レバーと、
前記第2コネクタハウジングの後方から前記一対の側壁上のカバー係止片に係合させることで前記第2コネクタハウジングの後端に取り付けられて前記第2コネクタハウジングの後方に引き出される電線の引き出し方向を規制するカバーと、
を備えるレバー式コネクタであって、
前記カバー係止片に連なって前記一対の側壁の後縁から延出するレバー拾い片を備え、このレバー拾い片には、前記一対の側壁の外表面間の離間寸法を後方に向かって徐々に減少させるテーパ面を形成したことを特徴とするレバー式コネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−62078(P2013−62078A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−198559(P2011−198559)
【出願日】平成23年9月12日(2011.9.12)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】