説明

レポート作成装置

【課題】医用画像のリンクを簡便且つ短時間で作成することができるレポート作成装置を提供する。
【解決手段】文章に含まれる各文字列が識別された読影レポートをレポート表示画面に表示し、医用画像を画像表示画面に表示しておき、ドラッグされた医用画像がドロップされると、そのドロップされた位置と文章中の各文字列の識別とに基づき、リンク付けする文字列の範囲を特定する。そして、特定された文字列範囲にドロップされた医用画像をリンク付けする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作に対応して読影レポートを作成するとともに、医用画像をこの読影レポートにリンク付けするレポート作成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
X線CT装置、MRI装置、超音波診断装置、及び核医学診断装置等の医用画像診断装置で発生した医用画像データは、画像を管理する画像サーバで管理されてネットワーク内の端末で閲覧できるようになっている。
【0003】
一方で、医療行為は、専門分野が細分化されているため、これら画像診断装置で撮影した医用画像の読影は、専門医に依頼することが広く行われる。専門医たる読影医は、依頼された読影対象の医用画像を画像サーバから取得し、モニタに表示させて読影し、その読影結果を読影レポートにまとめる。
【0004】
近年の電子化により読影レポートも電子化されており、読影レポートを電子データとして作成するレポート作成装置も提供されている。読影レポートの作成を支援するレポート作成装置では、画像サーバから医用画像を受信してモニタに表示する。読影医は、表示された医用画像を読影して、レポート作成装置に備えられたキーボードを用いて読影結果を記述する文字データを入力し、当該文字データをレポートに記録させる。
【0005】
レポート作成装置では、医用画像を読影レポートにリンク付けする場合もある。レポート作成装置は、読影対象等の医用画像がマウスやキーボードを用いて指定されると、指定された医用画像を同じく指定した文字データにリンク付けする。リンク付けとは、具体的には、医用画像の保管先を示すパスを生成し、そのパスを指定された文字データに関連づけて記録する処理をいう(例えば、「特許文献1」参照。)。
【0006】
このリンク付けの操作について図11に基づき説明する。尚、一般的に、レポート作成装置には、読影レポートを表示する画面を有するモニタと医用画像を表示する画面を有するモニタが接続されている。リンク付けの操作についての説明は、2台のモニタを用いて読影及びレポートの作成をしている場合を例に説明するが、以下の医用画像及び読影レポート中の文字列との間のカーソル及び視点の移動は、1台のモニタを用いている場合であっても同様である。
【0007】
図11に示すように、読影医は、まず医用画像の表示画面に視点を移し(S101)、この医用画像の表示画面からリンク付けしようとする画像を選び出す(S102)。
【0008】
次に、読影医は、マウスを操作してカーソルと視点とをレポート表示画面に移す(S103)。そして、レポート表示画面に用意されているリンク付け処理を開始させるボタンを押下して、リンク付けしようとする文字列の範囲をレポート表示画面から指定する(S104)。具体的には、リンク付けしようとする文字列の範囲をマウスのボタンを押下したままなぞる。
【0009】
文字列の範囲を指定すると、読影医は、マウスを操作してカーソルと視点とを医用画像の表示画面に移す(S105)。そして、リンク付けしようとする医用画像をドラッグしつつ(S106)、マウスを操作してカーソルと視点とをレポート表示画面に移す(S107)。ドラッグとは、カーソルが所望する医用画像に重なった状態でマウスのボタンを押し、ボタンを押したままマウスを移動させる操作であり、マウス操作によって医用画像の移動を行う操作である。尚、ドロップとは、ドラッグした状態から別の場所でマウスのボタンを離す操作であり、医用画像の移動位置を確定する操作である。
【0010】
選択した文字列の範囲にカーソルが移動すると、読影医は、マウスを操作して、ドラッグしていた医用画像をドロップする(S108)。
【0011】
このように、リンク付けの操作における読影医の視点及びカーソルは、画像表示画面からレポート表示画面に移り、レポート表示画面から画像表示画面に戻り、再びレポート表示画面へ移る。即ち、リンク付けの操作における読影医の視点及びカーソルは、レポート表示画面と画像表示画面とを1.5往復しなければならない。従って、従来のリンク付け処理では、リンク作成の操作に忙殺されてしまい、読影作業に対する集中力を奪われてしまうおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2005−301453号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、医用画像のリンクを簡便且つ短時間で作成することができるレポート作成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために、請求項1記載の発明は、操作手段を有し、この操作手段を用いた操作に応じて読影レポートに文字を記録するレポート作成装置であって、文章に含まれる各文字列が記述単位で識別された前記読影レポートを表示するレポート表示画面と医用画像を表示する画像表示画面とを有する表示手段と、前記操作手段を用いてドラッグされた前記医用画像がドロップされると、そのドロップされた位置と前記各文字列の前記識別とに基づき、リンク付けすべき文字列の範囲を特定する範囲指定手段と、前記範囲指定手段で特定された前記範囲に前記ドロップされた医用画像をリンク付けするリンク作成手段と、を備えること、を特徴とする。
【0015】
前記読影レポートを前記レポート表示画面及び前記画像表示画面に表示させるレポート表示制御手段を更に備えるようにしてもよい(請求項2記載の発明に相当)。
【0016】
前記範囲指定手段は、前記画像表示画面上に表示された前記所見エリアに前記ドロップがされると、そのドロップされた位置と前記各文字列の前記識別とに基づき、リンク付けする文字列の範囲を特定するようにしてもよい(請求項3記載の発明に相当)。
【0017】
前記読影レポートを解析して前記文章に含まれる各文字列の前記記述単位での前記識別を行う構造解析手段を更に備えるようにしてもよい(請求項4記載の発明に相当)。
【0018】
前前記範囲指定手段は、部位又は所見を示す前記記述単位毎に識別された文字列の各範囲のうち何れかを、前記リンク付けする文字列の範囲として特定するようにしてもよい(請求項5記載の発明に相当)。
【0019】
前記各文字列の前記識別に基づき、リンク付けする文字列範囲の候補を前記表示手段に強調表示させる候補表示制御手段を更に備えるようにしてもよい(請求項6記載の発明に相当)。
【0020】
前記候補表示手制御段は、前記操作手段を用いたドラッグの位置と前記各文字列の前記識別とに基づき特定される前記ドラッグの位置に表示された前記文字列範囲の候補を更に他の候補と識別して表示させるようにしてもよい(請求項7記載の発明に相当)。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、リンク付けしようとする文字列の範囲の指定操作を省くことができ、リンク付けのための操作におけるカーソル及び視点の移動は、画像表示画面からレポート表示画面への0.5往復で完了する。従って、1.5往復のカーソル及び視点の移動が必要だった従来と比べて、医用画像のリンク付けを簡便且つ短時間で行うことができ、リンク作成の操作に忙殺されることもなく、それによる読影作業に対する集中力の低下を防止することができる。
【0022】
また、画像表示画面にも読影レポートが表示される所見エリアを配し、その所見エリアに医用画像をドラッグしてもリンク付けの処理が行われるようにすることで、リンク付けの操作における0.5往復のカーソル及び視点の移動距離も短縮され、リンク付けが更に簡便且つ短時間で行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】レポート作成装置が接続されたネットワークを示すブロック図である。
【図2】レポート作成装置の詳細な構成を示すブロック図である。
【図3】レポート作成装置の動作を示すフローチャートである。
【図4】レポート作成装置の動作を示すフローチャートである。
【図5】レポート作成装置の動作を示すフローチャートである。
【図6】読影レポートの所見欄を示す模式図である。
【図7】構造化データを示す模式図である。
【図8】表示部に表示される画面を示す模式図である。
【図9】表示部に表示される画面の一部分を拡大した模式図である。
【図10】レポート作成装置のリンク付け処理を示す模式図である。
【図11】従来のレポート作成装置のリンク付け処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明に係るレポート作成装置の好適な各実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0025】
図1に示すように、レポート作成装置1は、ネットワークNを介して画像サーバ2と接続されている。ネットワークNには、更に画像診断装置3が接続されている。
【0026】
レポート作成装置1及び画像サーバ2は、いわゆるコンピュータであり、それぞれ内部に演算制御部(CPU:Central Processing Unit)、主記憶部(RAM:Random Access Memory)、外部記憶部(HDD:Hard Disk Drive)、通信コントローラを備え、共通線で接続して相互にデータ入出力可能としている。
【0027】
更に、レポート作成装置1は、操作部12と表示部11a及び11bを接続して構成されている。操作部12は、コンピュータにキーボードやマウス等の操作手段である。表示部11a及び11bは、CRTディスプレイや液晶ディスプレイ等の2台のモニタからなる表示手段である。
【0028】
それぞれの外部記憶部には、OS(オペレーティングシステム)及び各自のプログラムが記憶されている。通信コントローラは、ネットワークNの接続線と接続され、例えばWWW(ワールド・ワイド・ウェブ)やDICOM(Digital Imaging and COmmunications in Medicine)通信プロトコル、TCP/IPプロトコル等のデータ通信制御によりネットワークNを介して行なうデータ通信を制御する。
【0029】
画像診断装置3は、例えば、X線CT装置、MRI装置、超音波診断装置、及び核医学診断装置等の所謂モダリティである。
【0030】
このレポート作成装置1は、読影医に対して医用画像4の読影環境及び読影レポート5の作成環境を提供する。
【0031】
医用画像4は、患者の体内画像である。医用画像4は、画像データと、そのヘッダに付帯した付帯情報とから構成されている。付帯情報には、この医用画像4に対するスタディインスタンスUID、シリーズUID、画像UID、患者UID等が記録されている。
【0032】
画像データは、画像を構成する各画素の画素値で表わしたラスターデータや画像の領域内に配置される線や図形を関数で表わしたベクトルデータ、又はこれらを圧縮したデータである。スタディインスタンスUIDは、医用画像4を撮影した診断毎に付与されて、当該診断を識別するIDである。シリーズUIDは、医用画像4を撮影した1診断内で行われたスキャン毎に付与されて、当該スキャンを識別するIDである。画像UIDは、医用画像4を識別するIDである。患者UIDは、医用画像4を撮影した患者のIDである。
【0033】
レポート作成装置1は、この医用画像4を保管先から取得して表示する。読影医が医用画像4を読影するためである。
【0034】
医用画像4の保管先は、画像サーバ2である。医用画像4は、画像診断装置3で作成される。画像診断装置3は、患者を撮影して、その撮影結果を反映した医用画像4を作成する。画像診断装置3は、作成した医用画像4を画像サーバ2に送信する。画像サーバ2は、医用画像4を画像データベースに登録して保管しておく。
【0035】
読影医は、医用画像4の読影を依頼されると、レポート作成装置1を操作して、画像サーバ2から医用画像4を取得させる。レポート作成装置1は、操作に従って読影対象の医用画像4の保管先にアクセスし、その保管先に存在する医用画像4を取得して表示する。
【0036】
読影レポート5は、医用画像4を読影した結果が記述されたデータである。即ち、この読影レポート5は、診断情報と所見欄のデータとを含んで構成されている。診断情報は、読影レポート5に記述された所見の対象となる診断を示す情報であり、スタディインスタンスUID、シリーズUID、患者UID等が含まれる。所見欄のデータは、医用画像4を読影した結果が文字列として記録されたデータであり、そのフォーマットは、文字列を所定の単語単位に分割せずに直接連ねたテキストデータや、HTMLデータやXMLデータ等のマークアップ言語のデータである。
【0037】
読影医が操作部12を用いて文字を入力すると、レポート作成装置1は、その文字を読影レポート5に順に記録していく。また、読影医が操作部12を用いて文字列にその意味内容を付与する操作を行うと、その文字列に意味内容を示す情報が関連づけられる。XMLデータの場合には、指定された文字列を囲んで要素タグ61(図7参照)とその終端タグが記録される。
【0038】
図2は、このレポート作成装置1の詳細な構成を示すブロック図である。
【0039】
図2に示すように、表示部11aは、レポート表示画面110を表示する一方のモニタである。表示部11bは、画像表示画面を表示する他方のモニタである。レポート表示画面110は、読影レポート5を表示する画面であり、読影レポート5に記録されたデータが反映される。画像表示画面は、医用画像4を表示する画面である。
【0040】
また、レポート作成装置1は、画像取得部13と記憶部14とレポート作成部15とを有している。画像取得部13は、主に演算制御部と通信インターフェースにより構成される。記憶部14は、主に主記憶部及び外部記憶部により構成される。レポート作成部15は、主に演算制御部により構成される。
【0041】
画像取得部13は、読影を依頼された診断に対するスタディインスタンスUIDを含んだ画像取得コマンドを画像サーバ2に送信し、画像サーバ2から送られてきた医用画像4を受信する。
【0042】
画像取得コマンドは、例えばクエリー/リトリーブ等のコマンドである。読影を依頼された診断に対するスタディインスタンスUIDは、予めレポート作成装置1や画像サーバ2に診断情報に含められて記憶されている。診断情報は、スタディインスタンスUIDの他、患者氏名や診断日時や依頼医等の選択するための情報を含んでいる。
【0043】
例えば、レポート作成装置1を起動させたとき、表示部11aは、読影を依頼されている診断に対する診断情報の一覧を表示する。画像取得部13は、この一覧から操作部12を用いて選択された診断情報に含まれるスタディインスタンスUIDを画像取得コマンドに含める。
【0044】
画像サーバ2は、スタディインスタンスUIDと画像UIDとを関連づけたデータベースを記憶している。画像サーバ2は、レポート作成装置1から送信されてきたスタディインスタンスUIDに関連づけられた画像UIDに対応する医用画像4を規定された保管先から取得する。医用画像4の保管先は、予めそのパスが規則に従って定められている。例えば、医用画像4は、¥¥画像サーバ2/画像フォルダ/患者UIDを冠するフォルダ/スタディインスタンスUIDを冠するフォルダ/画像UID423というように、予め規則に定められた階層中に保管されている。
【0045】
記憶部14は、画像取得部13が取得した医用画像4や読影レポート5や構造化データ6(図7参照)等の各種データを記憶する。
【0046】
レポート作成部15は、押下された文字キーに対応する入力信号をキーボードから受け取り、この入力信号に対応づけられた文字を読影レポート5の所見欄に記録していく。
【0047】
また、このレポート作成装置1は、構造解析部16と範囲指定部17とリンク作成部18と表示制御部19とを有する。構造解析部16と範囲指定部17とリンク作成部18と表示制御部19は、主に演算制御部により構成され、外部記憶部に記憶されたプログラムを演算制御部が実行することで機能する。
【0048】
構造解析部16は、読影レポート5の所見欄に記述された文章を解析することで、その文章を構造化し、文章に含まれている各文字列を識別する。構造解析部16は、構造化の結果として、図7に示す構造化データ6を作成する。構造解析部16は、構造化の結果である構造化データ6を記憶部14に記憶させる。
【0049】
構造解析には、いわゆるテキストマイニング技術(山岸宏匡ら”テキストマイニング技術を用いた読影レポートの記述単位による構造化”、日本医用画像工学会(JAMIT)誌、MEDICAL IMAGING TECHNOLOGY Vol.23 No.5 November 2005、328頁乃至332ページ参照)を利用する。
【0050】
即ち、構造解析部16による各文字列の識別は、文章を記述単位の文字列に分割し、各記述単位の文字列に意味内容に基づく種別を付与する処理である。記述単位の文字列に分割する処理は、文章を形態素解析することにより最小の単語単位に分割し、各単語の係り具合を解析して記述単位の文字列に統合する処理を含む。
【0051】
意味内容に基づく種別は、部位を表わす部位単語、部位単語を修飾する部位修飾単語、部位に対する所見と診断を表わす所見単語、所見単語を修飾する所見修飾単語である。さらに、1センテンス毎に断定度を付与する。部位単語と部位修飾単語は、纏めて一つの記述単位としてもよく、所見単語と所見修飾単語も纏めて一つの記述単位としてもよい。
【0052】
この意味内容に基づく種別としては、例えば、図7に示すように、その記述単位の意味内容を示す要素タグ61である。構造解析部16は、記述単位の文字列を構造化データ6に列記して、その列記した各記述単位の文字列を囲むように、その意味内容を表わす要素タグ61を追記する。即ち、識別の実体は、例えば各文字列を囲む要素タグ61である。
【0053】
この構造解析部16は、予め部位単語、部位修飾単語、所見単語、所見修飾単語となる単語をその種別毎に記録した辞書データを有する。構造解析部16は、文章の先頭から所定長の文字列を文字数を増加させながら取得していき、辞書データに存在する各単語とマッチングする。文字列が辞書データに存在すると、その該当の文字列を一つの単語として分割する。文字列を分割すると、その文字列の次の文字から、文字列の取得とマッチングと単語分割を繰り返していく。
【0054】
尚、上述のように、構造化データ6は、例えばXMLデータ等の文字列を意味内容で識別したマークアップ言語のデータである。読影レポート5に記述された各文字列が部位単語、部位修飾単語、所見単語、及び所見修飾単語の何れかを表わす要素タグ61で識別されている場合には、この構造解析は行わない。
【0055】
また、構造解析部16は、各記述単位の文字列が出現する読影レポート5内での始まりと長さをカウントし、図7に示す位置情報62として構造化データ6に更に記録していく。この位置情報62の記録は、読影レポート5が文字列を意味内容で識別したマークアップ言語で記述されていても行われる。
【0056】
範囲指定部17は、構造解析部16が作成した構造化データ6又は文字列を意味内容で識別したマークアップ言語で記述された読影レポート5を用いて、医用画像4をリンク付けする範囲を特定する。特定する範囲は、医用画像4をドロップしたときのカーソルの座標を含む領域に表示されている文字列である。その文字列の範囲は、記述単位であり、構造化データ6又は読影レポート5の要素タグ61で識別された範囲である。
【0057】
この範囲指定部17は、読影レポート5の表示位置と、各記述単位の文字列に関連づけられた位置情報62、即ち各記述単位の出現開始位置と長さとから、各記述単位の文字列が表示される座標範囲を計算しておく。ドラッグ中は、カーソルの座標を含んでいる座標範囲に表示される記述単位の文字列の探索を行い、医用画像4がドロップされたときに、その探索された記述単位の文字列をリンク付けする範囲として特定する。
【0058】
尚、各記述単位の文字列が表示される座標範囲の計算の一環として、範囲指定部17が位置情報62を作成するようにしてもよい。
【0059】
リンク作成部18は、ドロップされた医用画像4を範囲指定部17が指定した範囲の文字列にリンク付けする。リンク付けは、医用画像4の保管先を示すURL等のパスを文字列に関連づけるものである。
【0060】
医用画像4の保管先を示すパスは、規則に従って生成する。即ち、例えば「http://画像サーバ2/画像フォルダ」以下に、/リンク付けする医用画像4の付帯情報に付帯した患者UID/リンク付けする医用画像4の付帯情報に付帯したスタディインスタンスUID/リンク付けする医用画像4の付帯情報に付帯した画像UIDを結合することでパスを生成する。そして、ハイパーリンク要素のタグで文字列を囲み、このタグに医用画像4のURL属性を追加する。
【0061】
リンク付けの態様としては、その他、リンク付けされた医用画像4のパスと、リンク付けされた文字列の位置情報62とを記録したデータを読影レポート5に関連づけて別途生成するようにしてもよい。
【0062】
表示制御部19は、画像取得部13が取得した医用画像4を表示部11bに表示させる。また、表示制御部19は、読影レポート5をレポート表示画面110に配置して表示部11aに表示させるとともに、このレポート表示画面110に表示されている読影レポート5を、表示部11bの画像表示画面にも表示させるレポート表示制御手段ともなる(図8参照)。
【0063】
レポート表示画面110のフォーマットは、予め記憶部14に記憶されている。表示制御部19は、このフォーマットに読影レポート5や診断情報をレイアウトすることで、レポート表示画面110が作成され、表示部11aに表示される。
【0064】
また、表示制御部19は、リンク付けされる文字列範囲の候補を強調表示させる候補表示制御手段ともなる(図9参照)。この候補は、構造化データ6又は文字列を意味内容で識別したマークアップ言語の読影レポート5で識別される記述単位の文字列である。
【0065】
また、表示制御部19は、ドラッグ中にカーソルが何れかの記述単位の文字列にマウスオーバされると、その記述単位の文字列を更に異なる態様で強調表示させる。
【0066】
強調表示は、例えば、その文字列を枠で囲む、又はその文字列の色を変更する等である。文字列範囲の候補としての強調表示が文字列のハイライト表示であれば、マウスオーバを契機とする強調表示は文字列を枠で囲む態様とする。表示部11bに表示される読影レポート5に対しても、文字キーの押下の反映を行い、さらにリンク付けされる文字列範囲の候補を強調表示させる。マウスオーバを契機とする強調表示は、範囲指定部17によるカーソルの座標を含んでいる座標範囲に表示される記述単位の文字列の探索結果を用いる。
【0067】
このようなレポート作成装置1の動作を説明する。図3〜図5は、このレポート作成装置1の動作を示すフローチャートである。
【0068】
図3に示すように、まず、読影医が操作部12を用いて、読影を依頼された診断に対する診断情報の一覧から一つを選択すると(S01)、画像取得部13は、この選択された診断情報に含まれるスタディインスタンスUIDとともに検索コマンドを画像サーバ2に送信する(S02)。
【0069】
画像サーバ2は、データベースを参照してスタディインスタンスUIDに関連づけられている画像UIDを探索し、この画像UIDが付与された医用画像4を取得する。そして、画像サーバ2は、取得した医用画像4をレポート作成装置1に送信する。
【0070】
画像取得部13は、レポート作成装置1にネットワークNを介して送られた医用画像4を取得する(S03)。
【0071】
表示制御部19は、受信した医用画像4を記憶部14から読み出して、表示部11bに表示させる(S04)。また、表示制御部19は、表示部11aに表示される読影レポート5を表示部11bにも表示させる(S05)。
【0072】
その後、読影医が操作部12を用いて文字のキー入力を行うと(S06,Yes)、図4に示すように、レポート作成部15は、そのキー入力を反映した文字を読影レポート5に記録し(S07)、表示制御部19は、その読影レポート5を表示部11a及び11bに表示させる(S08)。
【0073】
構造解析部16は、文字のキー入力が行われると、テキストマイニング技術を用いた読影レポート5の構造解析を行うことで、読影レポート5の構造化データ6を作成していく(S09)。この構造解析部16による構造解析は、文字のキー入力が行われる度に、キー入力により新たに記述された文字を含むセンテンスについてやり直すようにしてもよい。尚、読影レポート5が文字列を意味内容で識別したマークアップ言語で表わされる場合には、このS09の処理は省略される。
【0074】
表示制御部19は、表示部11a及び11bに読影レポート5を表示させる際、構造化データ6又は文字列を意味内容で識別したマークアップ言語で表わされた読影レポート5で要素タグ61等により識別されている各文字列を強調表示させる(S10)。
【0075】
更に、構造解析部16は、構造化データ6又は読影レポート5に記述された各記述単位の文字列の文章中の出現開始位置及び長さをカウントして位置情報62を作成し(S11)、範囲指定部17は、カウントした出現開始位置及び長さで示される位置情報62と読影レポート5の表示位置とから各記述単位の文字列の座標範囲を計算しておく(S12)。
【0076】
読影医が操作部12を用いて医用画像4を選択し、表示部11a又は11bに表示されている読影レポート5の文章中にドラッグすると(S13,Yes)、図5に示すように、範囲指定部17は、カーソルの座標を取得する(S14)。そして、範囲指定部17は、各記述単位の文字列の座標範囲から、取得した座標を含むものを検索する(S15)。表示制御部19は、該当する座標範囲に対応する文字列を強調表示させる(S16)。
【0077】
読影医が操作部12を用いて医用画像4をドロップすると(S17,Yes)、リンク作成部18は、ドロップされた医用画像4に付帯する付帯情報を用いて当該医用画像4の保管先を示すパスを生成し(S18)、S15の検索により該当した座標範囲に対応する文字列に関連づける(S19)。
【0078】
このS06〜S19は、操作部12を用いて終了の処理に対応するボタンを押下するまで繰り返される(S20,No)。尚、終了の処理に対応するボタンが押下されると、レポート作成装置1は、S01〜S20のレポート作成処理を終了させる。
【0079】
このようなレポート作成装置1の作用を説明する。まず、図6は、読影レポート5の所見欄を示す模式図である。図7は、構造化データを示す模式図である。
【0080】
図6に示すように、読影レポート5には、「右S4胸膜下にも淡い1cm程度のGGO。左下葉に古い炎症後の策状影あり、前回と変化なし。」との記述がテキストデータとして存在するものとする。構造解析部16の辞書データには、部位単語として「右S4胸膜下」、「左下葉」、所見単語として「GGO」、「策状影」等が登録されているものとする。
【0081】
構造解析部16は、この文章を単語単位で分解していくことで、第1文は「右S4胸膜下」、「にも」、「淡い」、「1cm程」、「の」、「GGO」、及び「。(句点)」の各単語を取得する。第2文については、「左下葉」、「にも」、「古い」、「炎症後」、「の」、「策状影」、「あり」、及び「。(句点)」の各単語を取得する。
【0082】
単語単位で分解すると、構造解析部16は、更に構造解析を進めることで、この第1文を「右S4胸膜下」、「にも」、「淡い1cm程のGGO」の記述単位に構造化する。第2文については、「左下葉」、「に」、「古い炎症後の策状影あり」の記述単位に構造化する。
【0083】
図7に示すように、構造解析が終了すると、構造解析部16は、第1文については、辞書データに部位単語として登録されている「胸膜下」を含む「右S4胸膜下」に部位単語を示す情報である要素タグ61を関連づけ、辞書データに所見単語として登録されている「GGO」を含む「淡い1cm程のGGO」に所見単語を示す情報である要素タグ61を関連づけて、構造化データ6に記録しておく。また、第2文については、辞書データに部位単語として登録されている「左下葉」に部位単語を示す要素タグ61を関連づけ、辞書データに所見単語として登録されている「策状影」を含む「古い炎症後の策状影あり」に所見単語を示すタグ要素61を関連づけ、構造化データ6に記録しておく。
【0084】
更に、構造解析部16は、構造解析部16に記録した各記述単位の読影レポート5における開始位置及び長さをカウントし、これらを示す位置情報62を対応する記述単位の記録に関連づけておく。図7に示すように、例えば、「右S4胸膜下」なる記述単位の文字列には、開始位置が1番目であることを示す「Start=1」、長さが6文字であることを示す「length=6」なる位置情報62を関連づける。
【0085】
この作成した構造化データ6は、記憶部14に記憶させておく。読影レポート5が既に文字列を意味内容で識別したマークアップ言語で記述されている等により構造化されている場合には、位置情報62の算出のみを行い、位置情報62のみを記憶部14に記憶させておく。
【0086】
図8は、表示部11a及び表示部11bに表示される画面を示す模式図である。また、図9は、表示部11bに表示される画面の一部分を拡大した模式図である。
【0087】
図8に示すように、レポート表示画面110は、診断情報を記載する診断情報フィールド111と所見欄を記載する所見エリア112で区切られている。診断情報フィールド111には、医用画像4の取得のために一覧から選択された診断情報が配置される。所見エリア112には、読影レポート5の所見欄に記述された文章が配置される。
【0088】
また、表示部11bには、記憶部14に記憶された医用画像4が並べて表示される。読影レポート5の所見欄は、表示部11bの画面上にもオーバーレイ表示される。
【0089】
図9に示すように、読影レポート5の記述のうち、リンク付けの文字列範囲の候補は、ハイライト表示51で飾られる。第1文に含まれる文字列範囲の候補と第2文に含まれる文字列範囲の候補とは、異なる色のハイライト表示51で飾られる(図中では斜線と太線で区別)。
【0090】
この文字列範囲の候補は、表示制御部19により、記憶部14から読み出された構造化データ6に記述された各記述単位の文字列に相当する箇所である。ハイライト表示51は、表示制御部19による強調表示である。
【0091】
表示制御部19による各記述単位の文字列に相当する箇所は、構造化データ6に記述された各記述単位の文字列で読影レポート5を走査させることで探索してもよいし、位置情報62で示される範囲としてもよい。
【0092】
図10は、このレポート作成装置1のリンク付け処理を示す模式図である。
【0093】
図10に示すように、操作部12を用いてリンク付けしようとする医用画像4をクリックし(図中A)、表示部11bにも表示された読影レポート5中の文字列にドラッグすると、文字列範囲の候補のうち、カーソルが入っているものが更に枠で囲まれることにより、強調表示される。この状態で操作部12を用いて医用画像4をドロップすると、ドロップされたときにカーソルが入っていた文字列範囲が範囲指定され、この範囲に記述された文字列に医用画像4がリンク付けされる(図中B)。
【0094】
枠で囲む強調表示は、範囲指定部17が、構造化データ6に記述された各記述単位の文字列の領域のうちのカーソルの座標を含むものを探索した結果である。リンク付けする文字列範囲の指定も同様に、範囲指定部17が、構造化データ6に記述された各記述単位の文字列の領域のうちのカーソルの座標を含むものを探索した結果である。
【0095】
このように、このレポート作成装置1のリンク付け処理によると、リンク付けしようとする文字列の範囲の指定操作を省くことができ、リンク付けのための操作におけるカーソル及び視点の移動は、画像表示画面からレポート表示画面110への0.5往復で完了する。従って、1.5往復のカーソル及び視点の移動が必要だった従来と比べて、医用画像4のリンク付けを簡便且つ短時間で行うことができ、リンク作成の操作に忙殺されることもなく、それによる読影作業に対する集中力の低下を防止することができる。
【0096】
また、このレポート作成装置1では、画像表示画面にも読影レポート5が表示される所見エリア112を描画し、その所見エリア112に医用画像4をドラッグしてもリンク付けの処理が行われるようにしたため、リンク付けの操作における0.5往復のカーソル及び視点の移動距離も短縮され、リンク付けが更に簡便且つ短時間で行うことができる。
【0097】
尚、上述の実施形態では、各画面をそれぞれの表示部11a及び11bに表示する場合を説明したが、1つの表示部を用いて各画面を表示する場合にも適用される。
【符号の説明】
【0098】
1 レポート作成装置
2 画像サーバ
3 画像診断装置
4 医用画像
5 読影レポート
6 構造化データ
61 要素タグ
62 位置情報
11a 表示部
11b 表示部
110 レポート表示画面
111 診断情報フィールド
112 所見エリア
12 操作部
13 画像取得部
14 記憶部
15 レポート作成部
16 構造解析部
17 範囲指定部
18 リンク作成部
19 表示制御部
N ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作手段を有し、この操作手段を用いた操作に応じて読影レポートに文字を記録するレポート作成装置であって、
文章に含まれる各文字列が記述単位で識別された前記読影レポートを表示するレポート表示画面と医用画像を表示する画像表示画面とを有する表示手段と、
前記操作手段を用いてドラッグされた前記医用画像がドロップされると、そのドロップされた位置と前記各文字列の前記識別とに基づき、リンク付けすべき文字列の範囲を特定する範囲指定手段と、
前記範囲指定手段で特定された前記範囲に前記ドロップされた医用画像をリンク付けするリンク作成手段と、
を備えること、
を特徴とするレポート作成装置。
【請求項2】
前記読影レポートを前記レポート表示画面及び前記画像表示画面に表示させるレポート表示制御手段を更に備えること、
を特徴とする請求項1記載のレポート作成装置。
【請求項3】
前記範囲指定手段は、
前記画像表示画面上に表示された前記所見エリアに前記ドロップがされると、そのドロップされた位置と前記各文字列の前記識別とに基づき、リンク付けする文字列の範囲を特定すること、
を特徴とする請求項2記載のレポート作成装置。
【請求項4】
前記読影レポートを解析して前記文章に含まれる各文字列の前記記述単位での前記識別を行う構造解析手段を更に備えること、
を特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載のレポート作成装置。
【請求項5】
前記範囲指定手段は、
部位又は所見を示す前記記述単位毎に識別された文字列の各範囲のうち何れかを、前記リンク付けする文字列の範囲として特定すること、
を特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のレポート作成装置。
【請求項6】
前記各文字列の前記識別に基づき、リンク付けする文字列範囲の候補を前記表示手段に強調表示させる候補表示制御手段を更に備えること、
を特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のレポート作成装置。
【請求項7】
前記候補表示手制御段は、
前記操作手段を用いたドラッグの位置と前記各文字列の前記識別とに基づき特定される前記ドラッグの位置に表示された前記文字列範囲の候補を更に他の候補と識別して表示させること、
を特徴とする請求項6記載のレポート作成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図11】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−176617(P2010−176617A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−21443(P2009−21443)
【出願日】平成21年2月2日(2009.2.2)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【出願人】(594164531)東芝医用システムエンジニアリング株式会社 (892)
【Fターム(参考)】