レンズアレイ並びにそれを有するLEDヘッド、露光装置、画像形成装置及び読取装置
【課題】複数のレンズが列を形成するように配列されたレンズ集合部材におけるレンズのピッチ、列のピッチ、レンズの焦点距離等の数値を所定の関係を満足するように設定することができるようにする。
【解決手段】レンズ集合部材は、レンズの各々の光軸が互いに一致するように配設され、遮光部材は、レンズの各々の光軸が各絞りを通過するように配設され、各レンズ集合部材におけるレンズは、光軸に対して垂直な方向に延在する列を形成するように配列され、列内におけるレンズのピッチをPYとし、列のピッチをPXとし、レンズの焦点距離をFとし、レンズの物体面とレンズとの距離をLOとし、光軸と絞りの内壁との距離の最大値をRAとしたときに、
である。
【解決手段】レンズ集合部材は、レンズの各々の光軸が互いに一致するように配設され、遮光部材は、レンズの各々の光軸が各絞りを通過するように配設され、各レンズ集合部材におけるレンズは、光軸に対して垂直な方向に延在する列を形成するように配列され、列内におけるレンズのピッチをPYとし、列のピッチをPXとし、レンズの焦点距離をFとし、レンズの物体面とレンズとの距離をLOとし、光軸と絞りの内壁との距離の最大値をRAとしたときに、
である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズアレイ並びにそれを有するLEDヘッド、露光装置、画像形成装置及び読取装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複数のLED(Light Emitting Diode)を配列させたLEDヘッドを用いた電子写真方式のプリンタ、ファクシミリ機、複写機等の画像形成装置や、複数の受光素子を配列させた受光部に読取原稿の像を結像させるスキャナ、ファクシミリ機等の読取装置に複数のロッドレンズを配列させたロッドレンズアレイが用いられている(例えば、特許文献1参照。)。該ロッドレンズアレイは、物体の正立等倍像をライン状に形成する光学系である。
【特許文献1】特開2003−341134号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記従来のロッドレンズアレイは、高解像度化に不向きであった。
【0004】
本発明は、前記従来の問題点を解決して、複数のレンズが列を形成するように配列されたレンズ集合部材におけるレンズのピッチ、列のピッチ、レンズの焦点距離等の数値を所定の関係を満足するように設定することによって、解像度の高いレンズアレイ並びにそれを有するLEDヘッド、露光装置、画像形成装置及び読取装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そのために、本発明のレンズアレイにおいては、複数のレンズが配列されたレンズ集合部材と、複数の絞りが配列された遮光部材とを有するレンズアレイであって、前記レンズ集合部材は、複数であって、それぞれが備える複数のレンズの各々の光軸が互いに一致するように配設され、前記遮光部材は、前記複数のレンズの各々の光軸が各絞りを通過するように配設され、各レンズ集合部材におけるレンズは、前記光軸に対して垂直な方向に延在する複数本の列を形成するように配列され、前記列内におけるレンズのピッチをPYとし、前記列のピッチをPXとし、前記レンズの焦点距離をFとし、前記レンズの物体面とレンズとの距離をLOとし、前記光軸と前記絞りの内壁との距離の最大値をRAとしたときに、
である。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、レンズアレイは、複数のレンズが列を形成するように配列されたレンズ集合部材を有し、該レンズ集合部材におけるレンズのピッチ、列のピッチ、レンズの焦点距離等の数値を所定の関係が満足するように設定されている。これにより、解像度を高くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0008】
図1は本発明の第1の実施の形態におけるプリンタの概略図である。
【0009】
図において、10は画像形成装置としてのプリンタであり、例えば、電子写真方式のカラープリンタであるが、モノクロプリンタであってもよい。また、前記プリンタ10は、スキャナ、ファクシミリ機、複写機等の機能を併せ持つ複合機であってもよい。本実施の形態において、前記プリンタ10は、電子写真方式によって画像を形成するものであり、色材としての顔料を含む樹脂から成るトナーによって、画像データをもとに印字媒体としての用紙11上に画像を形成するカラープリンタであるものとして説明する。
【0010】
そして、前記プリンタ10の内部には、用紙11を貯留する給紙カセット60が装着され、さらに、用紙11を給紙カセット60から取り出す給紙ローラ61と、給紙カセット60から取り出された用紙11を搬送する搬送ローラ62及び63とが配設される。
【0011】
前記プリンタ10は、いわゆるタンデム方式のカラー電子写真式プリンタであって、各色のトナー像を形成する画像形成部、及び、該画像形成部が形成したトナー像を用紙11に転写する転写部を有する。
【0012】
そして、前記画像形成部は、用紙11の搬送経路に沿ってタンデムに配設され、イエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの各色の画像を、それぞれ形成する4つのプロセスユニットを有する。さらに、各プロセスユニットは、静電潜像担持体としての感光体ドラム41、該感光体ドラム41に形成された静電潜像をトナーによって現像し、トナー像を形成する現像器50、該現像器50にトナーを供給するトナーカートリッジ51、感光体ドラム41の表面に電荷を供給して帯電させる帯電ローラ42、感光体ドラム41の表面に残留したトナーを除去するクリーニングブレード43、及び、帯電された感光体ドラム41の表面に画像データに基づいて選択的に光を照射して、静電潜像を形成する露光装置としてのLEDヘッド30を備える。なお、前記トナー像はトナーによって静電潜像を可視化した像である。そして、クリーニングブレード43は、トナー像を用紙11に転写した後のトナーを掻(か)き取るために、感光体ドラム41に接触して配設される。
【0013】
また、前記転写部は、用紙11を搬送する転写ベルト81、及び、前記感光体ドラム41上に形成されたトナー像を用紙11上に転写する転写ローラ80を備える。該転写ローラ80は、転写ベルト81を挟んで、各プロセスユニットの感光体ドラム41に対向するように配設される。なお、クリーニングブレード82は、転写ベルト81に付着したトナーを掻き取るために、転写ベルト81に接触して配設される。
【0014】
そして、用紙11の搬送方向に関して前記画像形成部の下流側には、用紙11上に転写されたトナー像を熱及び圧力で定着する定着器90が配設される。さらに、該定着器90を通過した用紙11を搬送する搬送ローラ64、及び、用紙11を貯留する排出部70に用紙11を排出する排出ローラ65が配設される。
【0015】
また、前記帯電ローラ42及び転写ローラ80には、図示されない電源によって所定の電圧が印加される。そして、前記転写ベルト81、感光体ドラム41及び各ローラは、それぞれ、図示されないモータと駆動を伝える図示されないギヤとによって回転駆動される。さらに、現像器50、LEDヘッド30、定着器90及び図示されない各モータには、それぞれ、図示されない電源及び制御装置が接続される。
【0016】
そして、前記プリンタ10は、図示されないネットワーク等に接続され、外部装置と通信を行って上位装置から印刷データを受信する図示されない外部インターフェイスと、該外部インターフェイスから印刷データを受信し、プリンタ10全体の制御を行う制御装置とを有する。
【0017】
次に、前記LEDヘッド30の構成について説明する。
【0018】
図2は本発明の第1の実施の形態におけるLEDヘッドの概略断面図である。
【0019】
図に示されるように、LEDヘッド30にはレンズアレイ20が配設される。該レンズアレイ20は、ホルダ34によってLEDヘッド30に固定されている。また、31は発光部としてのLED素子である。さらに、32は、ドライバICであって、前記LED素子31の発光を制御する。そして、前記LED素子31及びドライバIC32は、配線基板34上に配設され、ワイヤ33によって結線される。そして、前記LED素子31から出射された光がレンズアレイ20を通過することによって、感光体ドラム41の表面に結像が形成される。
【0020】
本実施の形態においては、LEDヘッド30は、600〔dpi〕の解像度を有し、LED素子31が1インチ(1インチは約25.4〔mm〕)当たり600個配設されている。すなわち、LED素子31は、0.0423〔mm〕間隔で配列され、LEDアレイを構成する。
【0021】
次に、前記レンズアレイ20の構成について説明する。
【0022】
図3は本発明の第1の実施の形態におけるレンズアレイを示す図である。なお、図において、(a)はレンズアレイの平面図、(b)は遮光部材の平面図、(c)はレンズアレイの断面図であり(a)におけるA−A断面図、(d)は遮光部材の詳細を示す要部拡大図である。
【0023】
図に示されるように、レンズアレイ20は、レンズ集合部材としてのレンズ板21と遮光部材23とを有する。前記レンズ板21は、複数のレンズとしてのマイクロレンズ22を含むレンズ群であり、LED素子31が発光した光線を透過する光透過性の材料から成る。そして、2枚のレンズ板21は、図3(c)に示されるように、遮光部材23を間に挟んで、互いに平行に、かつ、各々が備えるマイクロレンズ22の対応するもの同士の光軸が一致するように配設されている。なお、各マイクロレンズ22の光軸は、レンズ板21の平面に対して垂直方向に延在する。また、レンズ板21の厚さは、図3(c)に示されるように、マイクロレンズ22の最厚部において、LTである。
【0024】
そして、各レンズ板21には、マイクロレンズ22が2本の列を形成するように配列され、各列におけるマイクロレンズ22は、ピッチがPYとなるように、すなわち、隣接するマイクロレンズ22同士の中心の間隔がPYとなるように配列され、かつ、各列のピッチがPXとなるように、すなわち、各列の中心軸同士の間隔がPXとなるように配列されている。なお、図3(a)において、マイクロレンズ22の列は、それぞれ、上下方向に延在する。
【0025】
また、隣接する列同士の間では、マイクロレンズ22のピッチが互いに半ピッチずつずれるように配列され、図3(a)に示されるように、レンズ板21の平面において、2本の列に含まれるマイクロレンズ22は、全体として、千鳥状、又は、ジグザグ状となるように配置されている。そして、各マイクロレンズ22は、隣の列における両側のマイクロレンズ22とオーバーラップするように密に配列されている。
【0026】
なお、各マイクロレンズ22の平面形状は、隣の列における両側のマイクロレンズ22とオーバーラップする部分を除いて円形であり、その円の半径はRLである。つまり、各マイクロレンズ22において、光軸から外周部までの距離の最大値がRLである。また、各マイクロレンズ22の中心と隣の列における両側のマイクロレンズ22の中心との間隔はPNである。つまり、隣接する列におけるマイクロレンズ22同士であって、互いに隣接するマイクロレンズ22同士の光軸間の距離がPNである。そして、各マイクロレンズ22が隣の列における両側のマイクロレンズ22とオーバーラップしているので、2RL>PNの関係が成立する。
【0027】
また、前記遮光部材23は、図3(b)において上下方向に延在する細長い帯状の板部材であって、一方の側縁に開放された複数の絞りとしての開口部が形成された2枚の櫛(くし)形部材23aと、該2枚の櫛形部材23aの間に配設される図3(b)において上下方向に延在する細長い仕切り板23bとを有する。この場合、2枚の櫛形部材23aは、複数の開口部が開放している側縁が互いに向かい合うように配設され、前記仕切り板23bは、幅がTBであって、その両側縁が前記櫛形部材23aの互いに向かい合う側縁に当接するように配設される。これにより、遮光部材23は、全体として、平面形状がレンズ板21とほぼ同一の長方形であり、図3(c)に示されるように、厚さがLSである1枚の板部材となる。なお、櫛形部材23a及び仕切り板23bは、LED素子31が発光した光線を遮光する材料から成る。
【0028】
そして、前記開口部の各々は、図3(b)及び(d)に示されるように、円形の一部が櫛形部材23aの側縁に該当する直線によって切断されたような平面形状を備え、その縁の半径はRAである。また、各櫛形部材23aの開口部は、図3(b)において上下方向に延在する1本の列を形成するように配列され、したがって、遮光部材23における開口部は合計2本の列を形成するように配列されている。そして、各列における開口部は、ピッチがPYとなるように、すなわち、隣接する開口部同士の円の中心の間隔がPYとなるように配列され、かつ、各列のピッチがPXとなるように、すなわち、各列の中心軸同士の間隔がPXとなるように配列されている。なお、各開口部は、厚さ方向に遮光部材23を貫通し、該遮光部材23の平面に対して垂直方向に光線を通過させることができる。
【0029】
また、開口部の隣接する列同士の間では、マイクロレンズ22と同様に、開口部のピッチが互いに半ピッチずつずれるように配列され、図3(b)に示されるように、遮光部材23の平面において、2本の列に含まれる開口部は、全体として、千鳥状、又は、ジグザグ状となるように配置されている。そして、各開口部は、図3(c)に示されるように、レンズ板21と遮光部材23とを重ねて配設したときに、各マイクロレンズ22と対応する。つまり、各マイクロレンズ22の光軸、すなわち、各マイクロレンズ22の平面形状における円の中心を通り厚さ方向に延在する軸が、各開口部の平面形状における円の中心を通り厚さ方向に延在する軸と一致する。したがって、各開口部の円の中心と隣の列における両側の開口部の円の中心との間隔はPNである。
【0030】
なお、前記開口部の平面形状は、厳密には、図3(d)に示されるように、半円形の部分と、半円形の一部が櫛形部材23aの側縁に該当する直線によって切断された部分とから成り、該部分の幅は(PX−TB)/2である。すなわち、円の中心から櫛形部材23aの側縁に該当する直線までの距離は(PX−TB)/2である。
【0031】
次に、前記レンズアレイ20について詳細に説明する。
【0032】
図4は本発明の第1の実施の形態におけるレンズアレイをマイクロレンズの配列方向に水平で光軸を含む平面で切断した第1の断面図であり、図面の左右方向はマイクロレンズの配列と平行な方向を示す図である。
【0033】
レンズアレイ20の物体面(LED素子31の発光面)からの距離がLOの位置に第1のマイクロレンズ22−1が配置される。また、第2のマイクロレンズ22−2が、その光軸が第1のマイクロレンズ22−1の光軸と一致するように対向し、かつ、LSの距離を隔てて、配置される。レンズアレイ20の結像面(感光体ドラム41の表面)は、第2のマイクロレンズ22−2から光軸方向にLIの距離を隔てた位置にある。
【0034】
前記第1のマイクロレンズ22−1は、厚みがLT1であり、前側焦点距離がFOであり、光軸方向に距離LO1の位置にある物体の像を、光軸方向に距離LI1離れた面に形成する。また、前記第2のマイクロレンズ22−2は、後側焦点距離がFIであり、距離LO2の位置にある物体の像を、光軸方向にLI2隔てた位置に形成する。
【0035】
そして、レンズアレイ20の物体面から第1のマイクロレンズ22−1までの距離LOは、距離LO1と等しく設定され、第1のマイクロレンズ22−1と第2のマイクロレンズ22−2との間隔LSは、LS=LI1+LO2に設定され、第2のマイクロレンズ22−2からレンズアレイ20の結像面までの距離LIは、LI2と等しく設定される。
【0036】
なお、第1のマイクロレンズ22−1と第2のマイクロレンズ22−2とを同じ構成のレンズとすることができる。この場合、前記第1のマイクロレンズ22−1と第2のマイクロレンズ22−2とは、ともに厚みがLT1であり、前側焦点距離がFOであり、光軸方向に距離LO1の位置にある物体の像を、光軸方向に距離LI1離れた面に形成するとき、レンズアレイ20の物体面から第1のマイクロレンズ22−1までの距離LOは距離LO1と等しく設定され、第1のマイクロレンズ22−1と第2のマイクロレンズ22−2との間隔LSは、LS=2×LI1に設定され、第1のマイクロレンズ22−1の物体面側の曲面と同じ形状の面が第2のマイクロレンズ22−2の結像面側の曲面となるように対向して配置される。第2のマイクロレンズ22−2からレンズアレイ20の結像面までの距離LIは、LO1と等しく設定され、LI=LOである。
【0037】
本実施の形態におけるレンズアレイ20のレンズ板21を形成する材料は、シクロオレフィン系樹脂である光学樹脂(日本ゼオン社製、商品名;ZEONEX(ゼオネックス)E48R)である。該光学樹脂を使用し、射出成形によって複数のマイクロレンズ22を一体的に成形した。また、遮光部材23の材料はポリカーボネイトである。該ポリカーボネイトを使用し、樹脂成形によって成形した。
【0038】
また、マイクロレンズ22の各曲面を次の式(1)で表される回転対称高次非球面で構成することによって、高い解像度を得ることができる。関数z(r)は、マイクロレンズ22の光軸に平行な方向を軸とし、半径方向の座標をrとした回転座標系を示し、マイクロレンズ22の各曲面の頂点を原点とし、レンズアレイ20の物体面から結像面へ向かう方向を正の数で表す。なお、Cは曲率半径、Aは非球面係数4次の係数、Bは非球面係数6次の係数を示す。
【0039】
【数1】
次に、前記構成のプリンタ10の動作について説明する。
【0040】
図1に示されるように、感光体ドラム41表面は、図示されない電源によって電圧が印加された帯電ローラ42により帯電される。続いて、感光体ドラム41が回転することによって、帯電された感光体ドラム41表面がLEDヘッド30の付近に到達すると、該LEDヘッド30によって露光され、感光体ドラム41表面に静電潜像が形成される。該静電潜像は現像器50によって現像され、感光体ドラム41の表面にトナー像が形成される。
【0041】
一方、給紙カセット60にセットされた用紙11が給紙ローラ61によって給紙カセット60から取り出され、搬送ローラ62及び63によって、転写ローラ80及び転写ベルト81の付近に搬送される。
【0042】
そして、感光体ドラム41が回転することにより、現像によって得られた感光体ドラム41表面上のトナー像が転写ローラ80及び転写ベルト81の付近に到達すると、図示されない電源によって電圧が印加されている転写ローラ80及び転写ベルト81により、感光体ドラム41表面上のトナー像は用紙11上に転写される。
【0043】
続いて、表面にトナー像が形成された用紙11は、転写ベルト81の回転によって、定着器90に搬送される。用紙11上のトナー像は、定着器90によって加圧されながら加熱されることにより溶融し、用紙11上に固定される。
【0044】
さらに、該用紙11は、搬送ローラ64及び排出ローラ65によって、排出部70に排出され、プリンタ10の動作が終了する。
【0045】
次に、本実施の形態のLEDヘッド30の動作について説明する。
【0046】
受信した印刷データに基づきプリンタ10の制御装置がLEDヘッド30の制御信号を発信すると、図2に示されるようなドライバIC32の制御信号によって任意の光量でLED素子31が発光する。該LED素子31が発光した光線はレンズアレイ20に入射し、感光体ドラム41上に結像が形成される。
【0047】
次に、前記構成のレンズアレイ20の動作について説明する。
【0048】
LED素子31からの光線は、図4に示されるように、第1のマイクロレンズ22−1に入射し、該第1のマイクロレンズ22−1によって光軸方向に距離LI1隔てた位置に中間像が形成される。さらに、第2のマイクロレンズ22−2によって前記中間像が形成されることにより、結像面上にLED素子31の像が形成される。前記中間像はLED素子31の倒立縮小像であり、結像面上のLED素子31の像は中間像の第2のマイクロレンズ22−2による倒立拡大像である。また、第1のマイクロレンズ22−1と第2のマイクロレンズ22−2との間では物体面上の各点からの光線の主光線が平行である、いわゆるテレセントリックになっている。
【0049】
このようにして、レンズアレイ20はLED素子31の正立等倍像を形成する。なお、LED素子31からの光線のうち、結像に寄与しない光線は、遮光部材23によって遮断される。
【0050】
また、第1のマイクロレンズ22−1と第2のマイクロレンズ22−2を同じ構成のレンズとした場合も、レンズアレイ20はLED素子31の正立等倍像を形成する。LED素子31からの光線は第1のマイクロレンズ22−1に入射し、該第1のマイクロレンズ22−1によって光軸方向にLS/2隔てた位置に中間像が形成される。さらに、第2のマイクロレンズ22−2によって中間像が形成されることにより、結像面上にLED素子31の像が形成される。また、第1のマイクロレンズ22−1と第2のマイクロレンズ22−2との間ではテレセントリックになっている。
【0051】
次に、前記マイクロレンズ22の光学特性について説明する。
【0052】
図5は本発明の第1の実施の形態におけるレンズアレイをマイクロレンズの配列方向に水平で光軸を含む平面で切断した第2の断面図であり、図面の左右方向はマイクロレンズの配列と平行な方向を示す図である。
【0053】
第1のマイクロレンズ22−1の前側焦点距離はFOであり、第1のマイクロレンズ22−1の第1主平面から物体面までの距離はSOである。また、第2のマイクロレンズ22−2の後側焦点距離はFIであり、第2のマイクロレンズ22−2の第2主平面から結像面までの距離はSIである。
【0054】
ここで、SOとLOとの差は、第1のマイクロレンズ22−1の物体面側の曲面の曲率半径に反比例し、SIとLIとの差は、第2のマイクロレンズ22−2の結像面側の曲面の曲率半径と反比例する。本実施の形態のレンズアレイ20においては、マイクロレンズ22の各曲面の曲率半径はともに大きく、SOとLOとの差及びSIとLIとの差はともに無視することができるので、SO≒LOかつSI≒LIである。
【0055】
さらに、第1のマイクロレンズ22−1と第2のマイクロレンズ22−2との間では物体面上の各点からの光線の主光線が光軸と平行であり、特に、遮光部材23の開口部の内壁の直近を通る光線(図5に示される光線)の周辺光線は遮光部材23によって遮断されることと、図5に示される光線と物体面と第1のマイクロレンズ22−1の第1主平面とが作る図形の相似関係とから、第1のマイクロレンズ22−1の視野半径RVは次の式(2)で示される。
【0056】
【数2】
次に、マイクロレンズ22を2列の直線に配列した場合の、マイクロレンズ22の配列と視野半径RVとの関係について説明する。
【0057】
図6は本発明の第1の実施の形態におけるマイクロレンズが2本の列を形成するように配列されたレンズアレイの物体面上のLEDアレイのLED素子とマイクロレンズの光軸との位置関係を物体面上に示した図である。なお、図において、(a)はすべてのLED素子が少なくとも1つのマイクロレンズの視野に含まれる条件を示す図、(b)はすべてのLED素子が2つのマイクロレンズの視野に含まれる条件を示す図、(c)はすべてのLED素子が8つのマイクロレンズの視野に含まれる条件を示す図である。
【0058】
図6(a)には、すべてのLED素子31が少なくとも1つのマイクロレンズ22の視野に含まれ、すべてのLED素子31の結像が感光体ドラム41に形成される視野半径RVが最も小さい条件が示されている。つまり、レンズアレイ20が動作するマイクロレンズ22の視野半径RVが最も小さい条件である。このとき、視野半径RVは、マイクロレンズ22の配列方向の間隔、すなわち、各列におけるマイクロレンズ22のピッチPYと、マイクロレンズ22の配列方向と垂直方向の間隔、すなわち、列のピッチPXとを用いて、次の式(3)で表される。
【0059】
【数3】
前記式(2)及び(3)から、マイクロレンズ22の焦点距離をF、レンズアレイ20と該レンズアレイ20の物体面との距離をLO、マイクロレンズ22の光軸と遮光部材23の開口部の内壁との距離の最大値をRAとしたとき、レンズアレイ20の動作条件として次の式(4)が得られる。
【0060】
【数4】
ただし、1つのマイクロレンズ22によって各LED素子31の結像が形成されるとき、マイクロレンズ22の光軸に近いLED素子31とマイクロレンズ22の光軸から遠いLED素子31とで、それぞれの結像の形状が異なってしまう。そこで、少なくとも2つのマイクロレンズ22によって各LED素子31の結像が形成されるように設定することにより、すべてのLED素子31の結像をほぼ同じ形状に形成することができる。
【0061】
図6(b)には、すべてのLED素子31が2つのマイクロレンズ22の視野に含まれる条件が示されている。このとき、視野半径RVは、マイクロレンズ22の配列方向の間隔PYとマイクロレンズ22の配列方向と垂直方向の間隔PXとを用いて、次の式(5)で表される。
【0062】
【数5】
一方、マイクロレンズ22による結像は、物体が光軸から離れるほど歪みが大きくなる。マイクロレンズ22の視野半径RVを大きくすると、マイクロレンズ22の視野端部の物体が光軸から離れることによる結像の歪みの影響が大きくなる。本実施の形態における検証によって、LED素子31が8つ以上のマイクロレンズ22の視野に含まれ、結像が形成されるとき、物体が光軸から離れることによる結像の歪みの影響によって、解像度が著しく低下することが判明した。
【0063】
図6(c)には、すべてのLED素子31が8つのマイクロレンズ22の視野に含まれる条件が示されている。このとき、視野半径RVは、マイクロレンズ22の配列方向の間隔PYとマイクロレンズ22の配列方向と垂直方向の間隔PXとを用いて、次の式(6)で表される。
【0064】
【数6】
前記式(2)、(5)及び(6)から、マイクロレンズ22の焦点距離をF、レンズアレイ20と該レンズアレイ20の物体面との距離をLO、マイクロレンズ22の光軸と遮光部材23の開口部の内壁との距離の最大値をRAとしたとき、レンズアレイ20の解像度が向上する条件として、次の式(7)が得られる。
【0065】
【数7】
次に、マイクロレンズ22を直線状の3本の列を形成するように配列した場合におけるマイクロレンズ22の配列と視野半径RVとの関係について説明する。
【0066】
図7は本発明の第1の実施の形態におけるマイクロレンズが3本の列を形成するように配列されたレンズアレイの物体面上のLEDアレイのLED素子とマイクロレンズの光軸との位置関係を物体面上に示した図である。なお、図において、(a)はすべてのLED素子が2つのマイクロレンズの視野に含まれる条件を示す図、(b)はすべてのLED素子が8つ以上のマイクロレンズの視野に含まれる条件を示す図である。
【0067】
図7(a)には、すべてのLED素子31が少なくとも2つのマイクロレンズ22の視野に含まれる条件が示されている。少なくとも2つのマイクロレンズ22によって各LED素子31の結像が形成されるように設定することにより、すべてのLED素子31の結像をほぼ同じ形状に形成することができる。このとき、視野半径RVはマイクロレンズ22の配列方向の間隔PYとマイクロレンズ22の配列方向と垂直方向の間隔PXとを用いて、次の式(8)で表される。
【0068】
【数8】
また、LED素子31が8つ以上のマイクロレンズ22の視野に含まれ、結像が形成されるとき、物体が光軸から離れることによる結像の歪みの影響によって、解像度が著しく低下する。
【0069】
図7(b)には、LED素子31が8つ以上のマイクロレンズ22の視野に含まれる条件が示されている。このとき、視野半径RVは、マイクロレンズ22の配列方向の間隔PYとマイクロレンズ22の配列方向と垂直方向の間隔PXとを用いて、次の式(9)で表される。
【0070】
【数9】
前記式(2)、(8)及び(9)から、マイクロレンズ22の焦点距離をF、レンズアレイ20と該レンズアレイ20の物体面との距離をLO、マイクロレンズ22の光軸と遮光部材23の開口部の内壁との距離の最大値をRAとしたとき、レンズアレイ20の解像度が向上する条件として、次の式(10)が得られる。
【0071】
【数10】
次に、前記レンズアレイ20を用いたプリンタ10によって形成される画像の評価について説明する。
【0072】
図8は本発明の第1の実施の形態における評価に使用した画像を示す図である。
【0073】
なお、本発明の発明者は、前記プリンタ10と同様の構成を有する実際のカラーLEDプリンタを使用して、本実施の形態において説明したレンズアレイ20を用いた場合の画像を評価した。該画像は、図8に示されるような画像であり、印字領域の全面に、全画素のうち1つおきにドットを形成したものである。このような画像を形成して、画像品質の良否を評価したところ、筋や濃淡斑(はん)のない良好な画像を得ることができた。
【0074】
ところで、本実施の形態においては、レンズ板21に複数のマイクロレンズ22が一体に形成されている例について説明したが、各マイクロレンズ22を個別に形成して所定の間隔で配列してもよい。
【0075】
また、本実施の形態においては、マイクロレンズ22が2本又は3本の直線状の列を形成するように配列されたレンズアレイ20について説明したが、マイクロレンズ22の配列はこれに限定されるものではなく、4本以上の列を形成するように配列してもよい。
【0076】
さらに、本実施の形態においては、マイクロレンズ22の面が回転対称高次非球面である例について説明したが、マイクロレンズ22の面の形状はこれに限定されるものではなく、球面であってもよいし、アナモフィック非球面、放物面、楕(だ)円面、双曲面、コーニック面等の曲面であってもよい。
【0077】
また、本実施の形態においては、レンズ板21が金型成形によって成形されたものである例について説明したが、レンズ板21の成形方法はこれに限定されるものではなく、樹脂を型に用いた型成形方法であってもよく、切削加工によって成形してもよい。さらに、レンズ板21の材料が樹脂である例について説明したが、レンズ板21の材料はガラスであってもよい。
【0078】
また、本実施の形態においては、発光部材として複数のLED素子31を配列したLEDアレイを用いた例について説明したが、発光部材はLEDアレイに限定されるものではなく、例えば、有機EL(有機エレクトロルミネッセンス)であってもよいし、半導体レーザであってもよいし、蛍光灯、ハロゲンランプ等の発光部材に液晶素子で構成されたシャッタを併用したものを使用することもできる。
【0079】
このように、本実施の形態においては、複数のマイクロレンズ22を配列したレンズアレイ20を使用しているので、複数のロッドレンズを配列したレンズアレイに対して、解像度を向上させることができる。
【0080】
また、マイクロレンズ22の配列の態様を規定することによって、さらに解像度を高くすることができる。
【0081】
さらに、前記レンズアレイ20を用いることによって、コントラストが高く露光量の十分なLEDヘッド30を得ることができ、プリンタ10においては、印字データの通りに用紙11上に像が形成され、用紙11上の画像の筋、濃度斑等が形成されることがなく、画像品質を改善することができる。
【0082】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによって、その説明を省略する。また、前記第1の実施の形態と同じ動作及び効果についても、その説明を省略する。
【0083】
図9は本発明の第2の実施の形態におけるレンズアレイを示す図である。なお、図において、(a)はレンズアレイの平面図、(b)は遮光部材の平面図、(c)はレンズアレイの断面図であり(a)におけるB−B断面図である。
【0084】
本実施の形態におけるレンズアレイ20においては、図に示されるように、各レンズ板21に、複数のマイクロレンズ22が図において上下方向に延在する1本の列を形成するように配列されている。そして、前記列におけるマイクロレンズ22は、ピッチがPとなるように、すなわち、隣接するマイクロレンズ22同士の中心の間隔がPとなるように配列されている。また、各マイクロレンズ22は、同じ列における両側のマイクロレンズ22とオーバーラップするように密に配列されている。
【0085】
なお、各マイクロレンズ22の平面形状は、両側のマイクロレンズ22とオーバーラップする部分を除いて円形であり、その円の半径はRLである。そして、各マイクロレンズ22が両側のマイクロレンズ22とオーバーラップしているので、2RL>Pの関係が成立する。なお、レンズ板21の厚さは、図9(c)に示されるように、マイクロレンズ22の最厚部において、LTである。
【0086】
また、前記遮光部材23は、図9(b)において上下方向に延在する細長い帯状であって、厚さがLSである板部材であり、複数の開口部が図において上下方向に延在する1本の列を形成するように配列されている。そして、前記列における開口部は、ピッチがPとなるように、すなわち、隣接する開口部同士の中心の間隔がPとなるように配列されている。また、各開口部は、同じ列における両側の開口部とオーバーラップしないように配列されている。
【0087】
なお、各開口部の平面形状は、略長方形であるが、長方形の短辺に該当する部分が円弧状に形成された小判型である。そして、向かい合う長辺間の距離の1/2、すなわち、開口部の中心から長辺までの距離はRYである。
【0088】
そして、各開口部は、図9(c)に示されるように、レンズ板21と遮光部材23とを重ねて配設したときに、各マイクロレンズ22と対応する。つまり、各マイクロレンズ22の光軸、すなわち、各マイクロレンズ22の平面形状における円の中心を通り厚さ方向に延在する軸が、各開口部の平面形状における中心を通り厚さ方向に延在する軸と一致する。
【0089】
本実施の形態におけるレンズアレイ20の構成は、図3〜5に示されるような前記第1の実施の形態における遮光部材23の開口部の大きさRAを、RYに置き換えたものに相当する。
【0090】
本実施の形態において、物体面側のマイクロレンズ22と結像面側のマイクロレンズ22とを同じ構成のレンズとすることができる。このとき、物体面側のマイクロレンズ22の物体面側の曲面と結像面側のマイクロレンズ22の結像面側の曲面とが同じ構成の曲面になるように、対向して配置される。
【0091】
なお、その他の点の構成については、前記第1の実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0092】
次に、マイクロレンズ22を1列の直線に配列した場合の、マイクロレンズ22の配列と視野半径RVとの関係について説明する。
【0093】
図10は本発明の第2の実施の形態におけるマイクロレンズが1本の列を形成するように配列されたレンズアレイの物体面上のLEDアレイのLED素子とマイクロレンズの光軸との位置関係を物体面上に示した図である。なお、図において、(a)はすべてのLED素子が少なくとも1つのマイクロレンズの視野に含まれる条件を示す図、(b)はすべてのLED素子が2つのマイクロレンズの視野に含まれる条件を示す図、(c)はすべてのLED素子が8つのマイクロレンズの視野に含まれる条件を示す図である。
【0094】
図10(a)には、すべてのLED素子31が少なくとも1つのマイクロレンズ22の視野に含まれ、すべてのLED素子31の結像が感光体ドラム41に形成される視野半径RVが最も小さい条件が示されている。つまり、レンズアレイ20が動作するマイクロレンズ22の視野半径RVが最も小さい条件である。このとき、視野半径RVは、マイクロレンズ22の配列間隔Pを用いて、次の式(11)で表される。
【0095】
【数11】
視野半径RV、マイクロレンズ22の焦点距離F、レンズアレイ20と該レンズアレイ20の物体面との距離LO、及び、マイクロレンズ22の配列方向におけるマイクロレンズ22の光軸と遮光部材23の開口部の内壁との距離RYの関係は、前記第1の実施の形態における式(2)のRAをRYに置き換えたものと等しく、前記式(11)から、レンズアレイ20の動作条件として次の式(12)が得られる。
【0096】
【数12】
ただし、1つのマイクロレンズ22によって各LED素子31の結像が形成されるとき、マイクロレンズ22の光軸に近いLED素子31とマイクロレンズ22の光軸から遠いLED素子31とで、それぞれの結像の形状が異なってしまう。そこで、少なくとも2つのマイクロレンズ22によって各LED素子31の結像が形成されるように設定することにより、すべてのLED素子31の結像をほぼ同じ形状に形成することができる。
【0097】
図10(b)には、すべてのLED素子31が2つのマイクロレンズ22の視野に含まれる条件が示されている。このとき、視野半径RVは、マイクロレンズ22の配列間隔Pを用いて、次の式(13)で表される。
RV=P ・・・式(13)
一方、マイクロレンズ22による結像は、物体が光軸から離れるほど歪みが大きくなる。マイクロレンズ22の視野半径RVを大きくすると、マイクロレンズ22の視野端部の物体が光軸から離れることによる結像の歪みの影響が大きくなる。本実施の形態における検証によって、LED素子31が8つ以上のマイクロレンズ22の視野に含まれ、結像が形成されるとき、物体が光軸から離れることによる結像の歪みの影響によって、解像度が著しく低下することが判明した。
【0098】
図10(c)には、すべてのLED素子31が8つのマイクロレンズ22の視野に含まれる条件が示されている。このとき、視野半径RVは、マイクロレンズ22の配列間隔Pを用いて、次の式(14)で表される。
【0099】
【数13】
前記式(2)、(13)及び(14)から、マイクロレンズ22の焦点距離をF、レンズアレイ20と該レンズアレイ20の物体面との距離をLO、マイクロレンズ22の配列方向におけるマイクロレンズ22の光軸と遮光部材23の開口部の内壁との距離をRYとしたとき、レンズアレイ20の解像度が向上する条件として、次の式(15)が得られる。
【0100】
【数14】
なお、本発明の発明者は、前記第1の実施の形態で説明したようなプリンタ10と同様の構成を有する実際のカラーLEDプリンタを使用して、本実施の形態において説明したレンズアレイ20を用いた場合の画像を評価した。該画像は、前記第1の実施の形態における図8に示されるような画像であり、印字領域の全面に、全画素のうち1つおきにドットを形成したものである。このような画像を形成して、画像品質の良否を評価したところ、筋や濃淡斑のない良好な画像を得ることができた。
【0101】
ところで、本実施の形態においては、マイクロレンズ22が1本の直線状の列を形成するように配列されたレンズアレイ20について説明したが、マイクロレンズ22の配列はこれに限定されるものではなく、複数本の列を形成するように配列してもよい。
【0102】
このように、本実施の形態においては、レンズアレイ20の構成を、前記第1の実施の形態におけるレンズアレイ20より簡素化することができる。
【0103】
また、前記第1の実施の形態より簡素な構成のレンズアレイ20によって、解像度を向上させることができる。
【0104】
さらに、前記レンズアレイ20を用いることによって、コントラストが高く露光量の十分なLEDヘッド30を得ることができ、プリンタ10においては、印字データの通りに用紙11上に像が形成され、用紙11上の画像の筋、濃度斑等が形成されることがなく、画像品質を改善することができる。
【0105】
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。なお、第1及び第2の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによって、その説明を省略する。また、前記第1及び第2の実施の形態と同じ動作及び効果についても、その説明を省略する。
【0106】
図11は本発明の第3の実施の形態における読取装置の構造を示す図である。
【0107】
図において、100は原稿を読み取り、原稿画像の電子データを生成する読取装置としてのスキャナである。そして、該スキャナ100は、内部に配設された可動式の読取ヘッド110を備える。該読取ヘッド110は、CCD(Charge Coupled Device:電荷結合素子)、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等のセンサ、レンズアレイ20等の光学素子等を備え、原稿表面で反射した光線を取り込み電子データに変換する。なお、前記読取ヘッド110は、レール103に沿ってスライド可能に配設される。
【0108】
そして、電子データが生成される原稿は、原稿台102上に載置される。該原稿台102は可視光線を透過する材料から成る。
【0109】
また、101は、照明装置としてのランプであり、該ランプ101から照射された光が原稿表面で反射し、読取ヘッド110内に取り込まれるように配置される。
【0110】
さらに、105は駆動ベルトであり、複数の滑車104によって張架され、駆動ベルト105の一部は読取ヘッド110の一部に接続される。
【0111】
そして、106は駆動源としてのモータであり、駆動ベルト105を駆動し、読取ヘッド110をスライドさせる。
【0112】
次に、読取ヘッド110の構成について説明する。
【0113】
図12は本発明の第3の実施の形態における読取ヘッドの構造を示す図である。なお、図において、(a)は読取ヘッドの断面図、(b)は読取ヘッドの光学系概略図である。
【0114】
図12(a)において、112は、原稿で反射された光線の光路を折り曲げるミラーである。そして、レンズアレイ20は、原稿画像の結像をラインセンサ111の受光面に形成する。なお、前記ラインセンサ111は、直線状に配列された複数の受光素子を備え、原稿画像の結像を電気信号に変換する。
【0115】
ここで、前記ラインセンサ111は、600〔dpi〕の解像度を備え、前記受光素子が1インチ(1インチは約25.4〔mm〕)当たり600個配列されている。すなわち、受光素子は、0.0423〔mm〕間隔で配列されている。
【0116】
また、本実施の形態の読取ヘッド110におけるレンズアレイ20と物体面(原稿)及び結像面(ラインセンサ111の受光面)との位置関係は、図12(b)に示されるようになっている。
【0117】
なお、本実施の形態におけるレンズアレイ20の構成は、前記第1及び第2の実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0118】
次に、前記構成のスキャナ100の動作について説明する。
【0119】
まず、図11に示されるように、ランプ101が点灯し原稿表面を照射することによって、該原稿表面で反射した光線が読取ヘッド110内に取り込まれる。そして、モータ106によって駆動ベルト105が駆動されると、読取ヘッド110とランプ101とが図11における横方向に移動し、読取ヘッド110は、原稿の全面から反射した光線を取り込むことができる。
【0120】
次に、前記構成の読取ヘッド110の動作について説明する。
【0121】
まず、図12に示されるように、原稿表面で反射された光線は、原稿台102を透過し、ミラー112を用いて光路が折り曲げられ、レンズアレイ20に入射する。該レンズアレイ20によって、前記原稿画像の結像は、ラインセンサ111上に形成される。そして、該ラインセンサ111は、形成された原稿画像の結像を電気信号に変換する。
【0122】
なお、本発明の発明者が、本実施の形態で説明したようなスキャナ100と同様の構成を有する実際のスキャナを使用して、原稿から画像データを形成したところ、原稿と同一の良好な画像データを得ることができた。この場合、前記原稿画像は、前記第1の実施の形態における図8に示されるような画像であり、印字領域の全面に、全画素のうち1つおきにドットを形成したものである。
【0123】
また、本実施の形態においては、原稿画像を電子データに変換する読取装置がスキャナ100である例について説明したが、前記読取装置は、光学的信号を電気的信号に変換するセンサ又はスイッチ、及び、それらを用いた入出力装置、生体認証装置、通信装置、寸法測定器等であってもよい。
【0124】
このように、本実施の形態においては、コントラストが高く、焦点深度が高く、十分な明るさの原稿画像の結像を形成することができる。また、原稿と同一の画像データを得ることができる。
【0125】
次に、本発明の第4の実施の形態について説明する。なお、第1〜第3の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによって、その説明を省略する。また、前記第1〜第3の実施の形態と同じ動作及び効果についても、その説明を省略する。
【0126】
図13は本発明の第4の実施の形態におけるマイクロレンズの詳細な構造を示す図である。なお、図において、(a)はマイクロレンズの平面図、(b)はマイクロレンズの第1の断面図、(c)はマイクロレンズの第2の断面図である。
【0127】
図13(a)には、前記第1の実施の形態において説明したレンズアレイ20における図3(a)に示されるように配列されたマイクロレンズ22のうちで、互いにオーバーラップする2つのマイクロレンズ22が示されている。ここでは、一方のマイクロレンズを22iとし、他方のマイクロレンズを22jとする。
【0128】
そして、i及びjは、それぞれ、マイクロレンズ22i及び22jの曲面の頂点である。また、kは線分ijを2等分する点であり、直線pbは線分ijと同一平面にある線分ijの垂直2等分線である。ここで、マイクロレンズ22i及び22jの光軸に平行で直線pbを含む平面を平面fとする。また、マイクロレンズ22i及び22jの光軸と線分ijを含む平面を平面gとする。
【0129】
また、図13(b)には、前記平面fで切断したマイクロレンズ22i及び22jの断面が示されている。ここで、マイクロレンズ22iの曲面及びマイクロレンズ22jの曲面の境界線上の任意の点をnとし、点nより直線pbに下ろした垂線と直線pbの交点をmとする。また、平面hは、マイクロレンズ22i及び22jの光軸に垂直な平面である。
【0130】
さらに、図13(c)には、前記平面gで切断したマイクロレンズ22i及び22jの断面が示されている。
【0131】
図13(a)に示されるように、三角形ikmと三角形jkmとにおいて、線分kmは共通であり、直線pbは線分ijの垂直2等分線であり、点kは線分ijを2等分する点であるから、線分ikと線分jkとの長さは等しく、線分kmと線分ikとは互いに垂直であり、線分kmとjkとは互いに垂直である。よって、三角形ikm及び三角形jkmの3辺の長さは等しく、線分imと線分jmとの長さは等しい。
【0132】
そして、線分imの長さをRiとし、線分jmの長さをRjとすると、マイクロレンズ22iにおけるマイクロレンズ22jとの境界線上の点nと点mとの間の距離Diは、次の式(16)で表すことができる。
【0133】
【数15】
マイクロレンズ22jにおけるマイクロレンズ22iとの境界線上の点nと点mとの間の距離Djは、次の式(17)で表すことができる。
【0134】
【数16】
Ri=Rjより、Di=Djである。すなわち、2つのマイクロレンズ22i及び22jの曲面の光軸方向の高さは境界線上で一致し、隣接してオーバーラップする2つのマイクロレンズ22i及び22jの曲面の光軸方向の高さが、前記マイクロレンズ22i及び22jの境界線上で一致する。隣接してオーバーラップするマイクロレンズ22i及び22jの曲面は光軸方向の段差のない形状となっている。
【0135】
このように、マイクロレンズ22を、光軸に垂直な平面(平面h)と、光軸に平行で隣接する2つのマイクロレンズ22の曲面の頂点を結ぶ直線の垂直2等分線(直線pb)を含む平面(平面f)で切断される曲面とで構成することによって、隣接するマイクロレンズ22同士の曲面の光軸方向の高さは、隣接するマイクロレンズ22同士の境界線上で一致し、光軸方向の段差のない形状とすることができる。
【0136】
したがって、樹脂成形によって成形されるレンズアレイ20を本実施の形態のように構成することにより、マイクロレンズ22の光軸と平行方向の段差のない形状とすることができ、成形型内部の樹脂の流動性が向上し、成形プロセスにおいて、樹脂の内部応力の発生を抑制することができ、結果として、成形プロセスでの形状の転写性が向上し、マイクロレンズ22の形状精度が向上する。
【0137】
そのため、本実施の形態におけるレンズアレイ20は、隣接するマイクロレンズ22同士の境界部分にマイクロレンズ22の光軸と平行方向の段差がなく、隣接するマイクロレンズ22同士の境界部分に入射した光線が乱反射することによる露光像の解像度低下を抑制することができる。
【0138】
なお、その他の点の構成及び動作については、前記第1の実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0139】
このように、本実施の形態においては、隣接するマイクロレンズ22同士の境界部分にマイクロレンズ22の光軸と平行方向に段差が生ずることのない構成にすることができ、隣接するマイクロレンズ22同士の境界部分に入射した光線が乱反射することによる露光像の解像度低下を抑制することができる。
【0140】
また、樹脂成形によって成形されるレンズアレイ20を本実施の形態のように構成することにより、マイクロレンズ22の光軸と平行方向の段差のない構成とすることができ、成形型内部の樹脂の流動性が向上し、成形プロセスにおける樹脂の内部応力の発生を抑制することができ、結果として、形成プロセスでの形状の転写性が向上し、マイクロレンズ22の形状精度が向上し、レンズアレイ20の解像度を向上させることができる。
【0141】
さらに、本実施の形態におけるレンズアレイ20を用いることによって、コントラストが高く露光量の十分なLEDヘッド30を構成することができる。さらに、本実施の形態のプリンタ10においては、画像データの通りに用紙11上へ像が形成され、用紙11上の画像の筋、濃度斑等が形成されることがなく画像品質を改善することができる。
【0142】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0143】
【図1】本発明の第1の実施の形態におけるプリンタの概略図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態におけるLEDヘッドの概略断面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態におけるレンズアレイを示す図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態におけるレンズアレイをマイクロレンズの配列方向に水平で光軸を含む平面で切断した第1の断面図であり、図面の左右方向はマイクロレンズの配列と平行な方向を示す図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態におけるレンズアレイをマイクロレンズの配列方向に水平で光軸を含む平面で切断した第2の断面図であり、図面の左右方向はマイクロレンズの配列と平行な方向を示す図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態におけるマイクロレンズが2本の列を形成するように配列されたレンズアレイの物体面上のLEDアレイのLED素子とマイクロレンズの光軸との位置関係を物体面上に示した図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態におけるマイクロレンズが3本の列を形成するように配列されたレンズアレイの物体面上のLEDアレイのLED素子とマイクロレンズの光軸との位置関係を物体面上に示した図である。
【図8】本発明の第1の実施の形態における評価に使用した画像を示す図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態におけるレンズアレイを示す図である。
【図10】本発明の第2の実施の形態におけるマイクロレンズが1本の列を形成するように配列されたレンズアレイの物体面上のLEDアレイのLED素子とマイクロレンズの光軸との位置関係を物体面上に示した図である。
【図11】本発明の第3の実施の形態における読取装置の構造を示す図である。
【図12】本発明の第3の実施の形態における読取ヘッドの構造を示す図である。
【図13】本発明の第4の実施の形態におけるマイクロレンズの詳細な構造を示す図である。
【符号の説明】
【0144】
10 プリンタ
20 レンズアレイ
21 レンズ板
22、22i、22j マイクロレンズ
22−1 第1のマイクロレンズ
22−2 第2のマイクロレンズ
23 遮光部材
30 LEDヘッド
100 スキャナ
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズアレイ並びにそれを有するLEDヘッド、露光装置、画像形成装置及び読取装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複数のLED(Light Emitting Diode)を配列させたLEDヘッドを用いた電子写真方式のプリンタ、ファクシミリ機、複写機等の画像形成装置や、複数の受光素子を配列させた受光部に読取原稿の像を結像させるスキャナ、ファクシミリ機等の読取装置に複数のロッドレンズを配列させたロッドレンズアレイが用いられている(例えば、特許文献1参照。)。該ロッドレンズアレイは、物体の正立等倍像をライン状に形成する光学系である。
【特許文献1】特開2003−341134号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記従来のロッドレンズアレイは、高解像度化に不向きであった。
【0004】
本発明は、前記従来の問題点を解決して、複数のレンズが列を形成するように配列されたレンズ集合部材におけるレンズのピッチ、列のピッチ、レンズの焦点距離等の数値を所定の関係を満足するように設定することによって、解像度の高いレンズアレイ並びにそれを有するLEDヘッド、露光装置、画像形成装置及び読取装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そのために、本発明のレンズアレイにおいては、複数のレンズが配列されたレンズ集合部材と、複数の絞りが配列された遮光部材とを有するレンズアレイであって、前記レンズ集合部材は、複数であって、それぞれが備える複数のレンズの各々の光軸が互いに一致するように配設され、前記遮光部材は、前記複数のレンズの各々の光軸が各絞りを通過するように配設され、各レンズ集合部材におけるレンズは、前記光軸に対して垂直な方向に延在する複数本の列を形成するように配列され、前記列内におけるレンズのピッチをPYとし、前記列のピッチをPXとし、前記レンズの焦点距離をFとし、前記レンズの物体面とレンズとの距離をLOとし、前記光軸と前記絞りの内壁との距離の最大値をRAとしたときに、
である。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、レンズアレイは、複数のレンズが列を形成するように配列されたレンズ集合部材を有し、該レンズ集合部材におけるレンズのピッチ、列のピッチ、レンズの焦点距離等の数値を所定の関係が満足するように設定されている。これにより、解像度を高くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0008】
図1は本発明の第1の実施の形態におけるプリンタの概略図である。
【0009】
図において、10は画像形成装置としてのプリンタであり、例えば、電子写真方式のカラープリンタであるが、モノクロプリンタであってもよい。また、前記プリンタ10は、スキャナ、ファクシミリ機、複写機等の機能を併せ持つ複合機であってもよい。本実施の形態において、前記プリンタ10は、電子写真方式によって画像を形成するものであり、色材としての顔料を含む樹脂から成るトナーによって、画像データをもとに印字媒体としての用紙11上に画像を形成するカラープリンタであるものとして説明する。
【0010】
そして、前記プリンタ10の内部には、用紙11を貯留する給紙カセット60が装着され、さらに、用紙11を給紙カセット60から取り出す給紙ローラ61と、給紙カセット60から取り出された用紙11を搬送する搬送ローラ62及び63とが配設される。
【0011】
前記プリンタ10は、いわゆるタンデム方式のカラー電子写真式プリンタであって、各色のトナー像を形成する画像形成部、及び、該画像形成部が形成したトナー像を用紙11に転写する転写部を有する。
【0012】
そして、前記画像形成部は、用紙11の搬送経路に沿ってタンデムに配設され、イエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの各色の画像を、それぞれ形成する4つのプロセスユニットを有する。さらに、各プロセスユニットは、静電潜像担持体としての感光体ドラム41、該感光体ドラム41に形成された静電潜像をトナーによって現像し、トナー像を形成する現像器50、該現像器50にトナーを供給するトナーカートリッジ51、感光体ドラム41の表面に電荷を供給して帯電させる帯電ローラ42、感光体ドラム41の表面に残留したトナーを除去するクリーニングブレード43、及び、帯電された感光体ドラム41の表面に画像データに基づいて選択的に光を照射して、静電潜像を形成する露光装置としてのLEDヘッド30を備える。なお、前記トナー像はトナーによって静電潜像を可視化した像である。そして、クリーニングブレード43は、トナー像を用紙11に転写した後のトナーを掻(か)き取るために、感光体ドラム41に接触して配設される。
【0013】
また、前記転写部は、用紙11を搬送する転写ベルト81、及び、前記感光体ドラム41上に形成されたトナー像を用紙11上に転写する転写ローラ80を備える。該転写ローラ80は、転写ベルト81を挟んで、各プロセスユニットの感光体ドラム41に対向するように配設される。なお、クリーニングブレード82は、転写ベルト81に付着したトナーを掻き取るために、転写ベルト81に接触して配設される。
【0014】
そして、用紙11の搬送方向に関して前記画像形成部の下流側には、用紙11上に転写されたトナー像を熱及び圧力で定着する定着器90が配設される。さらに、該定着器90を通過した用紙11を搬送する搬送ローラ64、及び、用紙11を貯留する排出部70に用紙11を排出する排出ローラ65が配設される。
【0015】
また、前記帯電ローラ42及び転写ローラ80には、図示されない電源によって所定の電圧が印加される。そして、前記転写ベルト81、感光体ドラム41及び各ローラは、それぞれ、図示されないモータと駆動を伝える図示されないギヤとによって回転駆動される。さらに、現像器50、LEDヘッド30、定着器90及び図示されない各モータには、それぞれ、図示されない電源及び制御装置が接続される。
【0016】
そして、前記プリンタ10は、図示されないネットワーク等に接続され、外部装置と通信を行って上位装置から印刷データを受信する図示されない外部インターフェイスと、該外部インターフェイスから印刷データを受信し、プリンタ10全体の制御を行う制御装置とを有する。
【0017】
次に、前記LEDヘッド30の構成について説明する。
【0018】
図2は本発明の第1の実施の形態におけるLEDヘッドの概略断面図である。
【0019】
図に示されるように、LEDヘッド30にはレンズアレイ20が配設される。該レンズアレイ20は、ホルダ34によってLEDヘッド30に固定されている。また、31は発光部としてのLED素子である。さらに、32は、ドライバICであって、前記LED素子31の発光を制御する。そして、前記LED素子31及びドライバIC32は、配線基板34上に配設され、ワイヤ33によって結線される。そして、前記LED素子31から出射された光がレンズアレイ20を通過することによって、感光体ドラム41の表面に結像が形成される。
【0020】
本実施の形態においては、LEDヘッド30は、600〔dpi〕の解像度を有し、LED素子31が1インチ(1インチは約25.4〔mm〕)当たり600個配設されている。すなわち、LED素子31は、0.0423〔mm〕間隔で配列され、LEDアレイを構成する。
【0021】
次に、前記レンズアレイ20の構成について説明する。
【0022】
図3は本発明の第1の実施の形態におけるレンズアレイを示す図である。なお、図において、(a)はレンズアレイの平面図、(b)は遮光部材の平面図、(c)はレンズアレイの断面図であり(a)におけるA−A断面図、(d)は遮光部材の詳細を示す要部拡大図である。
【0023】
図に示されるように、レンズアレイ20は、レンズ集合部材としてのレンズ板21と遮光部材23とを有する。前記レンズ板21は、複数のレンズとしてのマイクロレンズ22を含むレンズ群であり、LED素子31が発光した光線を透過する光透過性の材料から成る。そして、2枚のレンズ板21は、図3(c)に示されるように、遮光部材23を間に挟んで、互いに平行に、かつ、各々が備えるマイクロレンズ22の対応するもの同士の光軸が一致するように配設されている。なお、各マイクロレンズ22の光軸は、レンズ板21の平面に対して垂直方向に延在する。また、レンズ板21の厚さは、図3(c)に示されるように、マイクロレンズ22の最厚部において、LTである。
【0024】
そして、各レンズ板21には、マイクロレンズ22が2本の列を形成するように配列され、各列におけるマイクロレンズ22は、ピッチがPYとなるように、すなわち、隣接するマイクロレンズ22同士の中心の間隔がPYとなるように配列され、かつ、各列のピッチがPXとなるように、すなわち、各列の中心軸同士の間隔がPXとなるように配列されている。なお、図3(a)において、マイクロレンズ22の列は、それぞれ、上下方向に延在する。
【0025】
また、隣接する列同士の間では、マイクロレンズ22のピッチが互いに半ピッチずつずれるように配列され、図3(a)に示されるように、レンズ板21の平面において、2本の列に含まれるマイクロレンズ22は、全体として、千鳥状、又は、ジグザグ状となるように配置されている。そして、各マイクロレンズ22は、隣の列における両側のマイクロレンズ22とオーバーラップするように密に配列されている。
【0026】
なお、各マイクロレンズ22の平面形状は、隣の列における両側のマイクロレンズ22とオーバーラップする部分を除いて円形であり、その円の半径はRLである。つまり、各マイクロレンズ22において、光軸から外周部までの距離の最大値がRLである。また、各マイクロレンズ22の中心と隣の列における両側のマイクロレンズ22の中心との間隔はPNである。つまり、隣接する列におけるマイクロレンズ22同士であって、互いに隣接するマイクロレンズ22同士の光軸間の距離がPNである。そして、各マイクロレンズ22が隣の列における両側のマイクロレンズ22とオーバーラップしているので、2RL>PNの関係が成立する。
【0027】
また、前記遮光部材23は、図3(b)において上下方向に延在する細長い帯状の板部材であって、一方の側縁に開放された複数の絞りとしての開口部が形成された2枚の櫛(くし)形部材23aと、該2枚の櫛形部材23aの間に配設される図3(b)において上下方向に延在する細長い仕切り板23bとを有する。この場合、2枚の櫛形部材23aは、複数の開口部が開放している側縁が互いに向かい合うように配設され、前記仕切り板23bは、幅がTBであって、その両側縁が前記櫛形部材23aの互いに向かい合う側縁に当接するように配設される。これにより、遮光部材23は、全体として、平面形状がレンズ板21とほぼ同一の長方形であり、図3(c)に示されるように、厚さがLSである1枚の板部材となる。なお、櫛形部材23a及び仕切り板23bは、LED素子31が発光した光線を遮光する材料から成る。
【0028】
そして、前記開口部の各々は、図3(b)及び(d)に示されるように、円形の一部が櫛形部材23aの側縁に該当する直線によって切断されたような平面形状を備え、その縁の半径はRAである。また、各櫛形部材23aの開口部は、図3(b)において上下方向に延在する1本の列を形成するように配列され、したがって、遮光部材23における開口部は合計2本の列を形成するように配列されている。そして、各列における開口部は、ピッチがPYとなるように、すなわち、隣接する開口部同士の円の中心の間隔がPYとなるように配列され、かつ、各列のピッチがPXとなるように、すなわち、各列の中心軸同士の間隔がPXとなるように配列されている。なお、各開口部は、厚さ方向に遮光部材23を貫通し、該遮光部材23の平面に対して垂直方向に光線を通過させることができる。
【0029】
また、開口部の隣接する列同士の間では、マイクロレンズ22と同様に、開口部のピッチが互いに半ピッチずつずれるように配列され、図3(b)に示されるように、遮光部材23の平面において、2本の列に含まれる開口部は、全体として、千鳥状、又は、ジグザグ状となるように配置されている。そして、各開口部は、図3(c)に示されるように、レンズ板21と遮光部材23とを重ねて配設したときに、各マイクロレンズ22と対応する。つまり、各マイクロレンズ22の光軸、すなわち、各マイクロレンズ22の平面形状における円の中心を通り厚さ方向に延在する軸が、各開口部の平面形状における円の中心を通り厚さ方向に延在する軸と一致する。したがって、各開口部の円の中心と隣の列における両側の開口部の円の中心との間隔はPNである。
【0030】
なお、前記開口部の平面形状は、厳密には、図3(d)に示されるように、半円形の部分と、半円形の一部が櫛形部材23aの側縁に該当する直線によって切断された部分とから成り、該部分の幅は(PX−TB)/2である。すなわち、円の中心から櫛形部材23aの側縁に該当する直線までの距離は(PX−TB)/2である。
【0031】
次に、前記レンズアレイ20について詳細に説明する。
【0032】
図4は本発明の第1の実施の形態におけるレンズアレイをマイクロレンズの配列方向に水平で光軸を含む平面で切断した第1の断面図であり、図面の左右方向はマイクロレンズの配列と平行な方向を示す図である。
【0033】
レンズアレイ20の物体面(LED素子31の発光面)からの距離がLOの位置に第1のマイクロレンズ22−1が配置される。また、第2のマイクロレンズ22−2が、その光軸が第1のマイクロレンズ22−1の光軸と一致するように対向し、かつ、LSの距離を隔てて、配置される。レンズアレイ20の結像面(感光体ドラム41の表面)は、第2のマイクロレンズ22−2から光軸方向にLIの距離を隔てた位置にある。
【0034】
前記第1のマイクロレンズ22−1は、厚みがLT1であり、前側焦点距離がFOであり、光軸方向に距離LO1の位置にある物体の像を、光軸方向に距離LI1離れた面に形成する。また、前記第2のマイクロレンズ22−2は、後側焦点距離がFIであり、距離LO2の位置にある物体の像を、光軸方向にLI2隔てた位置に形成する。
【0035】
そして、レンズアレイ20の物体面から第1のマイクロレンズ22−1までの距離LOは、距離LO1と等しく設定され、第1のマイクロレンズ22−1と第2のマイクロレンズ22−2との間隔LSは、LS=LI1+LO2に設定され、第2のマイクロレンズ22−2からレンズアレイ20の結像面までの距離LIは、LI2と等しく設定される。
【0036】
なお、第1のマイクロレンズ22−1と第2のマイクロレンズ22−2とを同じ構成のレンズとすることができる。この場合、前記第1のマイクロレンズ22−1と第2のマイクロレンズ22−2とは、ともに厚みがLT1であり、前側焦点距離がFOであり、光軸方向に距離LO1の位置にある物体の像を、光軸方向に距離LI1離れた面に形成するとき、レンズアレイ20の物体面から第1のマイクロレンズ22−1までの距離LOは距離LO1と等しく設定され、第1のマイクロレンズ22−1と第2のマイクロレンズ22−2との間隔LSは、LS=2×LI1に設定され、第1のマイクロレンズ22−1の物体面側の曲面と同じ形状の面が第2のマイクロレンズ22−2の結像面側の曲面となるように対向して配置される。第2のマイクロレンズ22−2からレンズアレイ20の結像面までの距離LIは、LO1と等しく設定され、LI=LOである。
【0037】
本実施の形態におけるレンズアレイ20のレンズ板21を形成する材料は、シクロオレフィン系樹脂である光学樹脂(日本ゼオン社製、商品名;ZEONEX(ゼオネックス)E48R)である。該光学樹脂を使用し、射出成形によって複数のマイクロレンズ22を一体的に成形した。また、遮光部材23の材料はポリカーボネイトである。該ポリカーボネイトを使用し、樹脂成形によって成形した。
【0038】
また、マイクロレンズ22の各曲面を次の式(1)で表される回転対称高次非球面で構成することによって、高い解像度を得ることができる。関数z(r)は、マイクロレンズ22の光軸に平行な方向を軸とし、半径方向の座標をrとした回転座標系を示し、マイクロレンズ22の各曲面の頂点を原点とし、レンズアレイ20の物体面から結像面へ向かう方向を正の数で表す。なお、Cは曲率半径、Aは非球面係数4次の係数、Bは非球面係数6次の係数を示す。
【0039】
【数1】
次に、前記構成のプリンタ10の動作について説明する。
【0040】
図1に示されるように、感光体ドラム41表面は、図示されない電源によって電圧が印加された帯電ローラ42により帯電される。続いて、感光体ドラム41が回転することによって、帯電された感光体ドラム41表面がLEDヘッド30の付近に到達すると、該LEDヘッド30によって露光され、感光体ドラム41表面に静電潜像が形成される。該静電潜像は現像器50によって現像され、感光体ドラム41の表面にトナー像が形成される。
【0041】
一方、給紙カセット60にセットされた用紙11が給紙ローラ61によって給紙カセット60から取り出され、搬送ローラ62及び63によって、転写ローラ80及び転写ベルト81の付近に搬送される。
【0042】
そして、感光体ドラム41が回転することにより、現像によって得られた感光体ドラム41表面上のトナー像が転写ローラ80及び転写ベルト81の付近に到達すると、図示されない電源によって電圧が印加されている転写ローラ80及び転写ベルト81により、感光体ドラム41表面上のトナー像は用紙11上に転写される。
【0043】
続いて、表面にトナー像が形成された用紙11は、転写ベルト81の回転によって、定着器90に搬送される。用紙11上のトナー像は、定着器90によって加圧されながら加熱されることにより溶融し、用紙11上に固定される。
【0044】
さらに、該用紙11は、搬送ローラ64及び排出ローラ65によって、排出部70に排出され、プリンタ10の動作が終了する。
【0045】
次に、本実施の形態のLEDヘッド30の動作について説明する。
【0046】
受信した印刷データに基づきプリンタ10の制御装置がLEDヘッド30の制御信号を発信すると、図2に示されるようなドライバIC32の制御信号によって任意の光量でLED素子31が発光する。該LED素子31が発光した光線はレンズアレイ20に入射し、感光体ドラム41上に結像が形成される。
【0047】
次に、前記構成のレンズアレイ20の動作について説明する。
【0048】
LED素子31からの光線は、図4に示されるように、第1のマイクロレンズ22−1に入射し、該第1のマイクロレンズ22−1によって光軸方向に距離LI1隔てた位置に中間像が形成される。さらに、第2のマイクロレンズ22−2によって前記中間像が形成されることにより、結像面上にLED素子31の像が形成される。前記中間像はLED素子31の倒立縮小像であり、結像面上のLED素子31の像は中間像の第2のマイクロレンズ22−2による倒立拡大像である。また、第1のマイクロレンズ22−1と第2のマイクロレンズ22−2との間では物体面上の各点からの光線の主光線が平行である、いわゆるテレセントリックになっている。
【0049】
このようにして、レンズアレイ20はLED素子31の正立等倍像を形成する。なお、LED素子31からの光線のうち、結像に寄与しない光線は、遮光部材23によって遮断される。
【0050】
また、第1のマイクロレンズ22−1と第2のマイクロレンズ22−2を同じ構成のレンズとした場合も、レンズアレイ20はLED素子31の正立等倍像を形成する。LED素子31からの光線は第1のマイクロレンズ22−1に入射し、該第1のマイクロレンズ22−1によって光軸方向にLS/2隔てた位置に中間像が形成される。さらに、第2のマイクロレンズ22−2によって中間像が形成されることにより、結像面上にLED素子31の像が形成される。また、第1のマイクロレンズ22−1と第2のマイクロレンズ22−2との間ではテレセントリックになっている。
【0051】
次に、前記マイクロレンズ22の光学特性について説明する。
【0052】
図5は本発明の第1の実施の形態におけるレンズアレイをマイクロレンズの配列方向に水平で光軸を含む平面で切断した第2の断面図であり、図面の左右方向はマイクロレンズの配列と平行な方向を示す図である。
【0053】
第1のマイクロレンズ22−1の前側焦点距離はFOであり、第1のマイクロレンズ22−1の第1主平面から物体面までの距離はSOである。また、第2のマイクロレンズ22−2の後側焦点距離はFIであり、第2のマイクロレンズ22−2の第2主平面から結像面までの距離はSIである。
【0054】
ここで、SOとLOとの差は、第1のマイクロレンズ22−1の物体面側の曲面の曲率半径に反比例し、SIとLIとの差は、第2のマイクロレンズ22−2の結像面側の曲面の曲率半径と反比例する。本実施の形態のレンズアレイ20においては、マイクロレンズ22の各曲面の曲率半径はともに大きく、SOとLOとの差及びSIとLIとの差はともに無視することができるので、SO≒LOかつSI≒LIである。
【0055】
さらに、第1のマイクロレンズ22−1と第2のマイクロレンズ22−2との間では物体面上の各点からの光線の主光線が光軸と平行であり、特に、遮光部材23の開口部の内壁の直近を通る光線(図5に示される光線)の周辺光線は遮光部材23によって遮断されることと、図5に示される光線と物体面と第1のマイクロレンズ22−1の第1主平面とが作る図形の相似関係とから、第1のマイクロレンズ22−1の視野半径RVは次の式(2)で示される。
【0056】
【数2】
次に、マイクロレンズ22を2列の直線に配列した場合の、マイクロレンズ22の配列と視野半径RVとの関係について説明する。
【0057】
図6は本発明の第1の実施の形態におけるマイクロレンズが2本の列を形成するように配列されたレンズアレイの物体面上のLEDアレイのLED素子とマイクロレンズの光軸との位置関係を物体面上に示した図である。なお、図において、(a)はすべてのLED素子が少なくとも1つのマイクロレンズの視野に含まれる条件を示す図、(b)はすべてのLED素子が2つのマイクロレンズの視野に含まれる条件を示す図、(c)はすべてのLED素子が8つのマイクロレンズの視野に含まれる条件を示す図である。
【0058】
図6(a)には、すべてのLED素子31が少なくとも1つのマイクロレンズ22の視野に含まれ、すべてのLED素子31の結像が感光体ドラム41に形成される視野半径RVが最も小さい条件が示されている。つまり、レンズアレイ20が動作するマイクロレンズ22の視野半径RVが最も小さい条件である。このとき、視野半径RVは、マイクロレンズ22の配列方向の間隔、すなわち、各列におけるマイクロレンズ22のピッチPYと、マイクロレンズ22の配列方向と垂直方向の間隔、すなわち、列のピッチPXとを用いて、次の式(3)で表される。
【0059】
【数3】
前記式(2)及び(3)から、マイクロレンズ22の焦点距離をF、レンズアレイ20と該レンズアレイ20の物体面との距離をLO、マイクロレンズ22の光軸と遮光部材23の開口部の内壁との距離の最大値をRAとしたとき、レンズアレイ20の動作条件として次の式(4)が得られる。
【0060】
【数4】
ただし、1つのマイクロレンズ22によって各LED素子31の結像が形成されるとき、マイクロレンズ22の光軸に近いLED素子31とマイクロレンズ22の光軸から遠いLED素子31とで、それぞれの結像の形状が異なってしまう。そこで、少なくとも2つのマイクロレンズ22によって各LED素子31の結像が形成されるように設定することにより、すべてのLED素子31の結像をほぼ同じ形状に形成することができる。
【0061】
図6(b)には、すべてのLED素子31が2つのマイクロレンズ22の視野に含まれる条件が示されている。このとき、視野半径RVは、マイクロレンズ22の配列方向の間隔PYとマイクロレンズ22の配列方向と垂直方向の間隔PXとを用いて、次の式(5)で表される。
【0062】
【数5】
一方、マイクロレンズ22による結像は、物体が光軸から離れるほど歪みが大きくなる。マイクロレンズ22の視野半径RVを大きくすると、マイクロレンズ22の視野端部の物体が光軸から離れることによる結像の歪みの影響が大きくなる。本実施の形態における検証によって、LED素子31が8つ以上のマイクロレンズ22の視野に含まれ、結像が形成されるとき、物体が光軸から離れることによる結像の歪みの影響によって、解像度が著しく低下することが判明した。
【0063】
図6(c)には、すべてのLED素子31が8つのマイクロレンズ22の視野に含まれる条件が示されている。このとき、視野半径RVは、マイクロレンズ22の配列方向の間隔PYとマイクロレンズ22の配列方向と垂直方向の間隔PXとを用いて、次の式(6)で表される。
【0064】
【数6】
前記式(2)、(5)及び(6)から、マイクロレンズ22の焦点距離をF、レンズアレイ20と該レンズアレイ20の物体面との距離をLO、マイクロレンズ22の光軸と遮光部材23の開口部の内壁との距離の最大値をRAとしたとき、レンズアレイ20の解像度が向上する条件として、次の式(7)が得られる。
【0065】
【数7】
次に、マイクロレンズ22を直線状の3本の列を形成するように配列した場合におけるマイクロレンズ22の配列と視野半径RVとの関係について説明する。
【0066】
図7は本発明の第1の実施の形態におけるマイクロレンズが3本の列を形成するように配列されたレンズアレイの物体面上のLEDアレイのLED素子とマイクロレンズの光軸との位置関係を物体面上に示した図である。なお、図において、(a)はすべてのLED素子が2つのマイクロレンズの視野に含まれる条件を示す図、(b)はすべてのLED素子が8つ以上のマイクロレンズの視野に含まれる条件を示す図である。
【0067】
図7(a)には、すべてのLED素子31が少なくとも2つのマイクロレンズ22の視野に含まれる条件が示されている。少なくとも2つのマイクロレンズ22によって各LED素子31の結像が形成されるように設定することにより、すべてのLED素子31の結像をほぼ同じ形状に形成することができる。このとき、視野半径RVはマイクロレンズ22の配列方向の間隔PYとマイクロレンズ22の配列方向と垂直方向の間隔PXとを用いて、次の式(8)で表される。
【0068】
【数8】
また、LED素子31が8つ以上のマイクロレンズ22の視野に含まれ、結像が形成されるとき、物体が光軸から離れることによる結像の歪みの影響によって、解像度が著しく低下する。
【0069】
図7(b)には、LED素子31が8つ以上のマイクロレンズ22の視野に含まれる条件が示されている。このとき、視野半径RVは、マイクロレンズ22の配列方向の間隔PYとマイクロレンズ22の配列方向と垂直方向の間隔PXとを用いて、次の式(9)で表される。
【0070】
【数9】
前記式(2)、(8)及び(9)から、マイクロレンズ22の焦点距離をF、レンズアレイ20と該レンズアレイ20の物体面との距離をLO、マイクロレンズ22の光軸と遮光部材23の開口部の内壁との距離の最大値をRAとしたとき、レンズアレイ20の解像度が向上する条件として、次の式(10)が得られる。
【0071】
【数10】
次に、前記レンズアレイ20を用いたプリンタ10によって形成される画像の評価について説明する。
【0072】
図8は本発明の第1の実施の形態における評価に使用した画像を示す図である。
【0073】
なお、本発明の発明者は、前記プリンタ10と同様の構成を有する実際のカラーLEDプリンタを使用して、本実施の形態において説明したレンズアレイ20を用いた場合の画像を評価した。該画像は、図8に示されるような画像であり、印字領域の全面に、全画素のうち1つおきにドットを形成したものである。このような画像を形成して、画像品質の良否を評価したところ、筋や濃淡斑(はん)のない良好な画像を得ることができた。
【0074】
ところで、本実施の形態においては、レンズ板21に複数のマイクロレンズ22が一体に形成されている例について説明したが、各マイクロレンズ22を個別に形成して所定の間隔で配列してもよい。
【0075】
また、本実施の形態においては、マイクロレンズ22が2本又は3本の直線状の列を形成するように配列されたレンズアレイ20について説明したが、マイクロレンズ22の配列はこれに限定されるものではなく、4本以上の列を形成するように配列してもよい。
【0076】
さらに、本実施の形態においては、マイクロレンズ22の面が回転対称高次非球面である例について説明したが、マイクロレンズ22の面の形状はこれに限定されるものではなく、球面であってもよいし、アナモフィック非球面、放物面、楕(だ)円面、双曲面、コーニック面等の曲面であってもよい。
【0077】
また、本実施の形態においては、レンズ板21が金型成形によって成形されたものである例について説明したが、レンズ板21の成形方法はこれに限定されるものではなく、樹脂を型に用いた型成形方法であってもよく、切削加工によって成形してもよい。さらに、レンズ板21の材料が樹脂である例について説明したが、レンズ板21の材料はガラスであってもよい。
【0078】
また、本実施の形態においては、発光部材として複数のLED素子31を配列したLEDアレイを用いた例について説明したが、発光部材はLEDアレイに限定されるものではなく、例えば、有機EL(有機エレクトロルミネッセンス)であってもよいし、半導体レーザであってもよいし、蛍光灯、ハロゲンランプ等の発光部材に液晶素子で構成されたシャッタを併用したものを使用することもできる。
【0079】
このように、本実施の形態においては、複数のマイクロレンズ22を配列したレンズアレイ20を使用しているので、複数のロッドレンズを配列したレンズアレイに対して、解像度を向上させることができる。
【0080】
また、マイクロレンズ22の配列の態様を規定することによって、さらに解像度を高くすることができる。
【0081】
さらに、前記レンズアレイ20を用いることによって、コントラストが高く露光量の十分なLEDヘッド30を得ることができ、プリンタ10においては、印字データの通りに用紙11上に像が形成され、用紙11上の画像の筋、濃度斑等が形成されることがなく、画像品質を改善することができる。
【0082】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによって、その説明を省略する。また、前記第1の実施の形態と同じ動作及び効果についても、その説明を省略する。
【0083】
図9は本発明の第2の実施の形態におけるレンズアレイを示す図である。なお、図において、(a)はレンズアレイの平面図、(b)は遮光部材の平面図、(c)はレンズアレイの断面図であり(a)におけるB−B断面図である。
【0084】
本実施の形態におけるレンズアレイ20においては、図に示されるように、各レンズ板21に、複数のマイクロレンズ22が図において上下方向に延在する1本の列を形成するように配列されている。そして、前記列におけるマイクロレンズ22は、ピッチがPとなるように、すなわち、隣接するマイクロレンズ22同士の中心の間隔がPとなるように配列されている。また、各マイクロレンズ22は、同じ列における両側のマイクロレンズ22とオーバーラップするように密に配列されている。
【0085】
なお、各マイクロレンズ22の平面形状は、両側のマイクロレンズ22とオーバーラップする部分を除いて円形であり、その円の半径はRLである。そして、各マイクロレンズ22が両側のマイクロレンズ22とオーバーラップしているので、2RL>Pの関係が成立する。なお、レンズ板21の厚さは、図9(c)に示されるように、マイクロレンズ22の最厚部において、LTである。
【0086】
また、前記遮光部材23は、図9(b)において上下方向に延在する細長い帯状であって、厚さがLSである板部材であり、複数の開口部が図において上下方向に延在する1本の列を形成するように配列されている。そして、前記列における開口部は、ピッチがPとなるように、すなわち、隣接する開口部同士の中心の間隔がPとなるように配列されている。また、各開口部は、同じ列における両側の開口部とオーバーラップしないように配列されている。
【0087】
なお、各開口部の平面形状は、略長方形であるが、長方形の短辺に該当する部分が円弧状に形成された小判型である。そして、向かい合う長辺間の距離の1/2、すなわち、開口部の中心から長辺までの距離はRYである。
【0088】
そして、各開口部は、図9(c)に示されるように、レンズ板21と遮光部材23とを重ねて配設したときに、各マイクロレンズ22と対応する。つまり、各マイクロレンズ22の光軸、すなわち、各マイクロレンズ22の平面形状における円の中心を通り厚さ方向に延在する軸が、各開口部の平面形状における中心を通り厚さ方向に延在する軸と一致する。
【0089】
本実施の形態におけるレンズアレイ20の構成は、図3〜5に示されるような前記第1の実施の形態における遮光部材23の開口部の大きさRAを、RYに置き換えたものに相当する。
【0090】
本実施の形態において、物体面側のマイクロレンズ22と結像面側のマイクロレンズ22とを同じ構成のレンズとすることができる。このとき、物体面側のマイクロレンズ22の物体面側の曲面と結像面側のマイクロレンズ22の結像面側の曲面とが同じ構成の曲面になるように、対向して配置される。
【0091】
なお、その他の点の構成については、前記第1の実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0092】
次に、マイクロレンズ22を1列の直線に配列した場合の、マイクロレンズ22の配列と視野半径RVとの関係について説明する。
【0093】
図10は本発明の第2の実施の形態におけるマイクロレンズが1本の列を形成するように配列されたレンズアレイの物体面上のLEDアレイのLED素子とマイクロレンズの光軸との位置関係を物体面上に示した図である。なお、図において、(a)はすべてのLED素子が少なくとも1つのマイクロレンズの視野に含まれる条件を示す図、(b)はすべてのLED素子が2つのマイクロレンズの視野に含まれる条件を示す図、(c)はすべてのLED素子が8つのマイクロレンズの視野に含まれる条件を示す図である。
【0094】
図10(a)には、すべてのLED素子31が少なくとも1つのマイクロレンズ22の視野に含まれ、すべてのLED素子31の結像が感光体ドラム41に形成される視野半径RVが最も小さい条件が示されている。つまり、レンズアレイ20が動作するマイクロレンズ22の視野半径RVが最も小さい条件である。このとき、視野半径RVは、マイクロレンズ22の配列間隔Pを用いて、次の式(11)で表される。
【0095】
【数11】
視野半径RV、マイクロレンズ22の焦点距離F、レンズアレイ20と該レンズアレイ20の物体面との距離LO、及び、マイクロレンズ22の配列方向におけるマイクロレンズ22の光軸と遮光部材23の開口部の内壁との距離RYの関係は、前記第1の実施の形態における式(2)のRAをRYに置き換えたものと等しく、前記式(11)から、レンズアレイ20の動作条件として次の式(12)が得られる。
【0096】
【数12】
ただし、1つのマイクロレンズ22によって各LED素子31の結像が形成されるとき、マイクロレンズ22の光軸に近いLED素子31とマイクロレンズ22の光軸から遠いLED素子31とで、それぞれの結像の形状が異なってしまう。そこで、少なくとも2つのマイクロレンズ22によって各LED素子31の結像が形成されるように設定することにより、すべてのLED素子31の結像をほぼ同じ形状に形成することができる。
【0097】
図10(b)には、すべてのLED素子31が2つのマイクロレンズ22の視野に含まれる条件が示されている。このとき、視野半径RVは、マイクロレンズ22の配列間隔Pを用いて、次の式(13)で表される。
RV=P ・・・式(13)
一方、マイクロレンズ22による結像は、物体が光軸から離れるほど歪みが大きくなる。マイクロレンズ22の視野半径RVを大きくすると、マイクロレンズ22の視野端部の物体が光軸から離れることによる結像の歪みの影響が大きくなる。本実施の形態における検証によって、LED素子31が8つ以上のマイクロレンズ22の視野に含まれ、結像が形成されるとき、物体が光軸から離れることによる結像の歪みの影響によって、解像度が著しく低下することが判明した。
【0098】
図10(c)には、すべてのLED素子31が8つのマイクロレンズ22の視野に含まれる条件が示されている。このとき、視野半径RVは、マイクロレンズ22の配列間隔Pを用いて、次の式(14)で表される。
【0099】
【数13】
前記式(2)、(13)及び(14)から、マイクロレンズ22の焦点距離をF、レンズアレイ20と該レンズアレイ20の物体面との距離をLO、マイクロレンズ22の配列方向におけるマイクロレンズ22の光軸と遮光部材23の開口部の内壁との距離をRYとしたとき、レンズアレイ20の解像度が向上する条件として、次の式(15)が得られる。
【0100】
【数14】
なお、本発明の発明者は、前記第1の実施の形態で説明したようなプリンタ10と同様の構成を有する実際のカラーLEDプリンタを使用して、本実施の形態において説明したレンズアレイ20を用いた場合の画像を評価した。該画像は、前記第1の実施の形態における図8に示されるような画像であり、印字領域の全面に、全画素のうち1つおきにドットを形成したものである。このような画像を形成して、画像品質の良否を評価したところ、筋や濃淡斑のない良好な画像を得ることができた。
【0101】
ところで、本実施の形態においては、マイクロレンズ22が1本の直線状の列を形成するように配列されたレンズアレイ20について説明したが、マイクロレンズ22の配列はこれに限定されるものではなく、複数本の列を形成するように配列してもよい。
【0102】
このように、本実施の形態においては、レンズアレイ20の構成を、前記第1の実施の形態におけるレンズアレイ20より簡素化することができる。
【0103】
また、前記第1の実施の形態より簡素な構成のレンズアレイ20によって、解像度を向上させることができる。
【0104】
さらに、前記レンズアレイ20を用いることによって、コントラストが高く露光量の十分なLEDヘッド30を得ることができ、プリンタ10においては、印字データの通りに用紙11上に像が形成され、用紙11上の画像の筋、濃度斑等が形成されることがなく、画像品質を改善することができる。
【0105】
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。なお、第1及び第2の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによって、その説明を省略する。また、前記第1及び第2の実施の形態と同じ動作及び効果についても、その説明を省略する。
【0106】
図11は本発明の第3の実施の形態における読取装置の構造を示す図である。
【0107】
図において、100は原稿を読み取り、原稿画像の電子データを生成する読取装置としてのスキャナである。そして、該スキャナ100は、内部に配設された可動式の読取ヘッド110を備える。該読取ヘッド110は、CCD(Charge Coupled Device:電荷結合素子)、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等のセンサ、レンズアレイ20等の光学素子等を備え、原稿表面で反射した光線を取り込み電子データに変換する。なお、前記読取ヘッド110は、レール103に沿ってスライド可能に配設される。
【0108】
そして、電子データが生成される原稿は、原稿台102上に載置される。該原稿台102は可視光線を透過する材料から成る。
【0109】
また、101は、照明装置としてのランプであり、該ランプ101から照射された光が原稿表面で反射し、読取ヘッド110内に取り込まれるように配置される。
【0110】
さらに、105は駆動ベルトであり、複数の滑車104によって張架され、駆動ベルト105の一部は読取ヘッド110の一部に接続される。
【0111】
そして、106は駆動源としてのモータであり、駆動ベルト105を駆動し、読取ヘッド110をスライドさせる。
【0112】
次に、読取ヘッド110の構成について説明する。
【0113】
図12は本発明の第3の実施の形態における読取ヘッドの構造を示す図である。なお、図において、(a)は読取ヘッドの断面図、(b)は読取ヘッドの光学系概略図である。
【0114】
図12(a)において、112は、原稿で反射された光線の光路を折り曲げるミラーである。そして、レンズアレイ20は、原稿画像の結像をラインセンサ111の受光面に形成する。なお、前記ラインセンサ111は、直線状に配列された複数の受光素子を備え、原稿画像の結像を電気信号に変換する。
【0115】
ここで、前記ラインセンサ111は、600〔dpi〕の解像度を備え、前記受光素子が1インチ(1インチは約25.4〔mm〕)当たり600個配列されている。すなわち、受光素子は、0.0423〔mm〕間隔で配列されている。
【0116】
また、本実施の形態の読取ヘッド110におけるレンズアレイ20と物体面(原稿)及び結像面(ラインセンサ111の受光面)との位置関係は、図12(b)に示されるようになっている。
【0117】
なお、本実施の形態におけるレンズアレイ20の構成は、前記第1及び第2の実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0118】
次に、前記構成のスキャナ100の動作について説明する。
【0119】
まず、図11に示されるように、ランプ101が点灯し原稿表面を照射することによって、該原稿表面で反射した光線が読取ヘッド110内に取り込まれる。そして、モータ106によって駆動ベルト105が駆動されると、読取ヘッド110とランプ101とが図11における横方向に移動し、読取ヘッド110は、原稿の全面から反射した光線を取り込むことができる。
【0120】
次に、前記構成の読取ヘッド110の動作について説明する。
【0121】
まず、図12に示されるように、原稿表面で反射された光線は、原稿台102を透過し、ミラー112を用いて光路が折り曲げられ、レンズアレイ20に入射する。該レンズアレイ20によって、前記原稿画像の結像は、ラインセンサ111上に形成される。そして、該ラインセンサ111は、形成された原稿画像の結像を電気信号に変換する。
【0122】
なお、本発明の発明者が、本実施の形態で説明したようなスキャナ100と同様の構成を有する実際のスキャナを使用して、原稿から画像データを形成したところ、原稿と同一の良好な画像データを得ることができた。この場合、前記原稿画像は、前記第1の実施の形態における図8に示されるような画像であり、印字領域の全面に、全画素のうち1つおきにドットを形成したものである。
【0123】
また、本実施の形態においては、原稿画像を電子データに変換する読取装置がスキャナ100である例について説明したが、前記読取装置は、光学的信号を電気的信号に変換するセンサ又はスイッチ、及び、それらを用いた入出力装置、生体認証装置、通信装置、寸法測定器等であってもよい。
【0124】
このように、本実施の形態においては、コントラストが高く、焦点深度が高く、十分な明るさの原稿画像の結像を形成することができる。また、原稿と同一の画像データを得ることができる。
【0125】
次に、本発明の第4の実施の形態について説明する。なお、第1〜第3の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによって、その説明を省略する。また、前記第1〜第3の実施の形態と同じ動作及び効果についても、その説明を省略する。
【0126】
図13は本発明の第4の実施の形態におけるマイクロレンズの詳細な構造を示す図である。なお、図において、(a)はマイクロレンズの平面図、(b)はマイクロレンズの第1の断面図、(c)はマイクロレンズの第2の断面図である。
【0127】
図13(a)には、前記第1の実施の形態において説明したレンズアレイ20における図3(a)に示されるように配列されたマイクロレンズ22のうちで、互いにオーバーラップする2つのマイクロレンズ22が示されている。ここでは、一方のマイクロレンズを22iとし、他方のマイクロレンズを22jとする。
【0128】
そして、i及びjは、それぞれ、マイクロレンズ22i及び22jの曲面の頂点である。また、kは線分ijを2等分する点であり、直線pbは線分ijと同一平面にある線分ijの垂直2等分線である。ここで、マイクロレンズ22i及び22jの光軸に平行で直線pbを含む平面を平面fとする。また、マイクロレンズ22i及び22jの光軸と線分ijを含む平面を平面gとする。
【0129】
また、図13(b)には、前記平面fで切断したマイクロレンズ22i及び22jの断面が示されている。ここで、マイクロレンズ22iの曲面及びマイクロレンズ22jの曲面の境界線上の任意の点をnとし、点nより直線pbに下ろした垂線と直線pbの交点をmとする。また、平面hは、マイクロレンズ22i及び22jの光軸に垂直な平面である。
【0130】
さらに、図13(c)には、前記平面gで切断したマイクロレンズ22i及び22jの断面が示されている。
【0131】
図13(a)に示されるように、三角形ikmと三角形jkmとにおいて、線分kmは共通であり、直線pbは線分ijの垂直2等分線であり、点kは線分ijを2等分する点であるから、線分ikと線分jkとの長さは等しく、線分kmと線分ikとは互いに垂直であり、線分kmとjkとは互いに垂直である。よって、三角形ikm及び三角形jkmの3辺の長さは等しく、線分imと線分jmとの長さは等しい。
【0132】
そして、線分imの長さをRiとし、線分jmの長さをRjとすると、マイクロレンズ22iにおけるマイクロレンズ22jとの境界線上の点nと点mとの間の距離Diは、次の式(16)で表すことができる。
【0133】
【数15】
マイクロレンズ22jにおけるマイクロレンズ22iとの境界線上の点nと点mとの間の距離Djは、次の式(17)で表すことができる。
【0134】
【数16】
Ri=Rjより、Di=Djである。すなわち、2つのマイクロレンズ22i及び22jの曲面の光軸方向の高さは境界線上で一致し、隣接してオーバーラップする2つのマイクロレンズ22i及び22jの曲面の光軸方向の高さが、前記マイクロレンズ22i及び22jの境界線上で一致する。隣接してオーバーラップするマイクロレンズ22i及び22jの曲面は光軸方向の段差のない形状となっている。
【0135】
このように、マイクロレンズ22を、光軸に垂直な平面(平面h)と、光軸に平行で隣接する2つのマイクロレンズ22の曲面の頂点を結ぶ直線の垂直2等分線(直線pb)を含む平面(平面f)で切断される曲面とで構成することによって、隣接するマイクロレンズ22同士の曲面の光軸方向の高さは、隣接するマイクロレンズ22同士の境界線上で一致し、光軸方向の段差のない形状とすることができる。
【0136】
したがって、樹脂成形によって成形されるレンズアレイ20を本実施の形態のように構成することにより、マイクロレンズ22の光軸と平行方向の段差のない形状とすることができ、成形型内部の樹脂の流動性が向上し、成形プロセスにおいて、樹脂の内部応力の発生を抑制することができ、結果として、成形プロセスでの形状の転写性が向上し、マイクロレンズ22の形状精度が向上する。
【0137】
そのため、本実施の形態におけるレンズアレイ20は、隣接するマイクロレンズ22同士の境界部分にマイクロレンズ22の光軸と平行方向の段差がなく、隣接するマイクロレンズ22同士の境界部分に入射した光線が乱反射することによる露光像の解像度低下を抑制することができる。
【0138】
なお、その他の点の構成及び動作については、前記第1の実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0139】
このように、本実施の形態においては、隣接するマイクロレンズ22同士の境界部分にマイクロレンズ22の光軸と平行方向に段差が生ずることのない構成にすることができ、隣接するマイクロレンズ22同士の境界部分に入射した光線が乱反射することによる露光像の解像度低下を抑制することができる。
【0140】
また、樹脂成形によって成形されるレンズアレイ20を本実施の形態のように構成することにより、マイクロレンズ22の光軸と平行方向の段差のない構成とすることができ、成形型内部の樹脂の流動性が向上し、成形プロセスにおける樹脂の内部応力の発生を抑制することができ、結果として、形成プロセスでの形状の転写性が向上し、マイクロレンズ22の形状精度が向上し、レンズアレイ20の解像度を向上させることができる。
【0141】
さらに、本実施の形態におけるレンズアレイ20を用いることによって、コントラストが高く露光量の十分なLEDヘッド30を構成することができる。さらに、本実施の形態のプリンタ10においては、画像データの通りに用紙11上へ像が形成され、用紙11上の画像の筋、濃度斑等が形成されることがなく画像品質を改善することができる。
【0142】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0143】
【図1】本発明の第1の実施の形態におけるプリンタの概略図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態におけるLEDヘッドの概略断面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態におけるレンズアレイを示す図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態におけるレンズアレイをマイクロレンズの配列方向に水平で光軸を含む平面で切断した第1の断面図であり、図面の左右方向はマイクロレンズの配列と平行な方向を示す図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態におけるレンズアレイをマイクロレンズの配列方向に水平で光軸を含む平面で切断した第2の断面図であり、図面の左右方向はマイクロレンズの配列と平行な方向を示す図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態におけるマイクロレンズが2本の列を形成するように配列されたレンズアレイの物体面上のLEDアレイのLED素子とマイクロレンズの光軸との位置関係を物体面上に示した図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態におけるマイクロレンズが3本の列を形成するように配列されたレンズアレイの物体面上のLEDアレイのLED素子とマイクロレンズの光軸との位置関係を物体面上に示した図である。
【図8】本発明の第1の実施の形態における評価に使用した画像を示す図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態におけるレンズアレイを示す図である。
【図10】本発明の第2の実施の形態におけるマイクロレンズが1本の列を形成するように配列されたレンズアレイの物体面上のLEDアレイのLED素子とマイクロレンズの光軸との位置関係を物体面上に示した図である。
【図11】本発明の第3の実施の形態における読取装置の構造を示す図である。
【図12】本発明の第3の実施の形態における読取ヘッドの構造を示す図である。
【図13】本発明の第4の実施の形態におけるマイクロレンズの詳細な構造を示す図である。
【符号の説明】
【0144】
10 プリンタ
20 レンズアレイ
21 レンズ板
22、22i、22j マイクロレンズ
22−1 第1のマイクロレンズ
22−2 第2のマイクロレンズ
23 遮光部材
30 LEDヘッド
100 スキャナ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)複数のレンズが配列されたレンズ集合部材と、複数の絞りが配列された遮光部材とを有するレンズアレイであって、
(b)前記レンズ集合部材は、複数であって、それぞれが備える複数のレンズの各々の光軸が互いに一致するように配設され、
(c)前記遮光部材は、前記複数のレンズの各々の光軸が各絞りを通過するように配設され、
(d)各レンズ集合部材におけるレンズは、前記光軸に対して垂直な方向に延在する複数本の列を形成するように配列され、
(e)前記列内におけるレンズのピッチをPYとし、前記列のピッチをPXとし、前記レンズの焦点距離をFとし、前記レンズの物体面とレンズとの距離をLOとし、前記光軸と前記絞りの内壁との距離の最大値をRAとしたときに、
【数1】
であることを特徴とするレンズアレイ。
【請求項2】
各レンズ集合部材におけるレンズは、2本の列を形成するように配列され、
【数2】
である請求項1に記載のレンズアレイ。
【請求項3】
各レンズ集合部材におけるレンズは、3本の列を形成するように配列され、
【数3】
である請求項1に記載のレンズアレイ。
【請求項4】
隣接する列内におけるレンズ同士であって、互いに隣接するレンズ同士の光軸間の距離をPNとし、各レンズにおける光軸から外周部までの距離の最大値をRLとしたときに、
PN<2RL
である請求項1〜3のいずれか1項に記載のレンズアレイ。
【請求項5】
(a)複数のレンズが配列されたレンズ集合部材と、複数の絞りが配列された遮光部材とを有するレンズアレイであって、
(b)前記レンズ集合部材は、複数であって、それぞれが備える複数のレンズの各々の光軸が互いに一致するように配設され、
(c)前記遮光部材は、前記複数のレンズの各々の光軸が各絞りを通過するように配設され、
(d)各レンズ集合部材におけるレンズは、前記光軸に対して垂直な方向に延在する少なくとも1本の列を形成するように配列され、
(e)前記列内におけるレンズのピッチをPとし、前記レンズの焦点距離をFとし、前記レンズの物体面とレンズとの距離をLOとし、前記光軸と前記絞りの内壁との距離をRYとしたときに、
【数4】
であることを特徴とするレンズアレイ。
【請求項6】
各レンズ集合部材におけるレンズは、1本の列を形成するように配列され、
【数5】
である請求項5に記載のレンズアレイ。
【請求項7】
各レンズにおける光軸から外周部までの距離の最大値をRLとしたとき、
P<2RL
である請求項5又は6に記載のレンズアレイ。
【請求項8】
前記レンズの結像面と物体面との中間の面に関して対称であって、前記レンズは前記中間の面に前記物体面の像を形成する請求項1〜7のいずれか1項に記載のレンズアレイ。
【請求項9】
前記レンズ集合部材は2つであり、一方のレンズ集合部材の面と他方のレンズ集合部材の面との距離をLSとしたとき、各レンズ集合部材のレンズは、光軸方向にLS/2離れた面に前記物体面の像を形成する請求項8に記載のレンズアレイ。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載のレンズアレイを有することを特徴とするLEDヘッド。
【請求項11】
請求項1〜9のいずれか1項に記載のレンズアレイを有することを特徴とする露光装置。
【請求項12】
請求項1〜9のいずれか1項に記載のレンズアレイを有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項13】
請求項1〜9のいずれか1項に記載のレンズアレイを有することを特徴とする読取装置。
【請求項14】
(a)少なくとも2本の列を形成するように配列された複数のレンズを有し、
(b)互いに隣接するレンズ同士の光軸間の距離をPNとし、各レンズにおける光軸から外周部までの距離の最大値をRLとしたときに、
PN<2RL
であり、
(c)互いに隣接するレンズ同士の曲面の光軸方向の高さが、互いに隣接するレンズ同士の境界線上で一致することを特徴とするレンズアレイ。
【請求項15】
前記レンズは、前記光軸に垂直な平面と、前記光軸に平行であって互いに隣接するレンズ同士の曲面の頂点を結ぶ直線の垂直2等分線を含む平面とによって切断される曲面を備える請求項14に記載のレンズアレイ。
【請求項16】
前記レンズが配列された複数のレンズ集合部材と、複数の絞りが配列された遮光部材とを有し、
前記レンズ集合部材は、それぞれが備えるレンズの各々の光軸が互いに一致するように配設され、
前記遮光部材は、前記レンズの各々の光軸が各絞りを通過するように配設される請求項14又は15に記載のレンズアレイ。
【請求項17】
前記レンズは倒立縮小像を形成し、前記レンズ集合部材は正立等倍像を形成する請求項16に記載のレンズアレイ。
【請求項18】
前記レンズの曲面が回転対称面である請求項14〜17のいずれか1項に記載のレンズアレイ。
【請求項19】
前記複数のレンズが一体に形成されている請求項14〜18のいずれか1項に記載のレンズアレイ。
【請求項20】
前記レンズが樹脂成形によって形成されている請求項14〜19のいずれか1項に記載のレンズアレイ。
【請求項21】
請求項14〜20のいずれか1項に記載のレンズアレイを有することを特徴とする露光装置。
【請求項22】
請求項21に記載の露光装置を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項23】
請求項14〜20のいずれか1項に記載のレンズアレイを有することを特徴とする読取装置。
【請求項1】
(a)複数のレンズが配列されたレンズ集合部材と、複数の絞りが配列された遮光部材とを有するレンズアレイであって、
(b)前記レンズ集合部材は、複数であって、それぞれが備える複数のレンズの各々の光軸が互いに一致するように配設され、
(c)前記遮光部材は、前記複数のレンズの各々の光軸が各絞りを通過するように配設され、
(d)各レンズ集合部材におけるレンズは、前記光軸に対して垂直な方向に延在する複数本の列を形成するように配列され、
(e)前記列内におけるレンズのピッチをPYとし、前記列のピッチをPXとし、前記レンズの焦点距離をFとし、前記レンズの物体面とレンズとの距離をLOとし、前記光軸と前記絞りの内壁との距離の最大値をRAとしたときに、
【数1】
であることを特徴とするレンズアレイ。
【請求項2】
各レンズ集合部材におけるレンズは、2本の列を形成するように配列され、
【数2】
である請求項1に記載のレンズアレイ。
【請求項3】
各レンズ集合部材におけるレンズは、3本の列を形成するように配列され、
【数3】
である請求項1に記載のレンズアレイ。
【請求項4】
隣接する列内におけるレンズ同士であって、互いに隣接するレンズ同士の光軸間の距離をPNとし、各レンズにおける光軸から外周部までの距離の最大値をRLとしたときに、
PN<2RL
である請求項1〜3のいずれか1項に記載のレンズアレイ。
【請求項5】
(a)複数のレンズが配列されたレンズ集合部材と、複数の絞りが配列された遮光部材とを有するレンズアレイであって、
(b)前記レンズ集合部材は、複数であって、それぞれが備える複数のレンズの各々の光軸が互いに一致するように配設され、
(c)前記遮光部材は、前記複数のレンズの各々の光軸が各絞りを通過するように配設され、
(d)各レンズ集合部材におけるレンズは、前記光軸に対して垂直な方向に延在する少なくとも1本の列を形成するように配列され、
(e)前記列内におけるレンズのピッチをPとし、前記レンズの焦点距離をFとし、前記レンズの物体面とレンズとの距離をLOとし、前記光軸と前記絞りの内壁との距離をRYとしたときに、
【数4】
であることを特徴とするレンズアレイ。
【請求項6】
各レンズ集合部材におけるレンズは、1本の列を形成するように配列され、
【数5】
である請求項5に記載のレンズアレイ。
【請求項7】
各レンズにおける光軸から外周部までの距離の最大値をRLとしたとき、
P<2RL
である請求項5又は6に記載のレンズアレイ。
【請求項8】
前記レンズの結像面と物体面との中間の面に関して対称であって、前記レンズは前記中間の面に前記物体面の像を形成する請求項1〜7のいずれか1項に記載のレンズアレイ。
【請求項9】
前記レンズ集合部材は2つであり、一方のレンズ集合部材の面と他方のレンズ集合部材の面との距離をLSとしたとき、各レンズ集合部材のレンズは、光軸方向にLS/2離れた面に前記物体面の像を形成する請求項8に記載のレンズアレイ。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載のレンズアレイを有することを特徴とするLEDヘッド。
【請求項11】
請求項1〜9のいずれか1項に記載のレンズアレイを有することを特徴とする露光装置。
【請求項12】
請求項1〜9のいずれか1項に記載のレンズアレイを有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項13】
請求項1〜9のいずれか1項に記載のレンズアレイを有することを特徴とする読取装置。
【請求項14】
(a)少なくとも2本の列を形成するように配列された複数のレンズを有し、
(b)互いに隣接するレンズ同士の光軸間の距離をPNとし、各レンズにおける光軸から外周部までの距離の最大値をRLとしたときに、
PN<2RL
であり、
(c)互いに隣接するレンズ同士の曲面の光軸方向の高さが、互いに隣接するレンズ同士の境界線上で一致することを特徴とするレンズアレイ。
【請求項15】
前記レンズは、前記光軸に垂直な平面と、前記光軸に平行であって互いに隣接するレンズ同士の曲面の頂点を結ぶ直線の垂直2等分線を含む平面とによって切断される曲面を備える請求項14に記載のレンズアレイ。
【請求項16】
前記レンズが配列された複数のレンズ集合部材と、複数の絞りが配列された遮光部材とを有し、
前記レンズ集合部材は、それぞれが備えるレンズの各々の光軸が互いに一致するように配設され、
前記遮光部材は、前記レンズの各々の光軸が各絞りを通過するように配設される請求項14又は15に記載のレンズアレイ。
【請求項17】
前記レンズは倒立縮小像を形成し、前記レンズ集合部材は正立等倍像を形成する請求項16に記載のレンズアレイ。
【請求項18】
前記レンズの曲面が回転対称面である請求項14〜17のいずれか1項に記載のレンズアレイ。
【請求項19】
前記複数のレンズが一体に形成されている請求項14〜18のいずれか1項に記載のレンズアレイ。
【請求項20】
前記レンズが樹脂成形によって形成されている請求項14〜19のいずれか1項に記載のレンズアレイ。
【請求項21】
請求項14〜20のいずれか1項に記載のレンズアレイを有することを特徴とする露光装置。
【請求項22】
請求項21に記載の露光装置を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項23】
請求項14〜20のいずれか1項に記載のレンズアレイを有することを特徴とする読取装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
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【図5】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2009−223186(P2009−223186A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−69777(P2008−69777)
【出願日】平成20年3月18日(2008.3.18)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年3月18日(2008.3.18)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】
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