説明

レンズシステム

【課題】本発明の課題は、レンズの全長が短く、且つ優れた結像品質を有するレンズシステムを提供することである。
【解決手段】本発明のレンズシステムは、物体側から像側に向かって、正の屈折力を有する第1レンズ群及び正の屈折力を有する第2レンズ群が順に配列され、以下の条件式(1)を満たす。
0.3<fF/fB<1.85 (1)
ここで、fFは前記第1レンズ群の有効焦点距離であり、fBは前記第2レンズ群の有効焦点距離である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の技術において、レンズシステムの収差及び歪曲収差が小さい範囲内で制御できるようにするために、光学部材を増加させる必要がある。しかし、該光学部材を増加させれば、前記レンズシステムの全長が長くなる。従って、いかにレンズシステムの全長を短くし、且つ優れた結像品質を有するレンズシステムを確保できるかが、現在レンズシステムを設計する際の主要課題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、レンズの全長が短く、且つ優れた結像品質を有するレンズシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記目的を達成するため、本発明のレンズシステムには、物体側から像側に向かって、正の屈折力を有する第1レンズ群及び正の屈折力を有する第2レンズ群が順に配列されており、該レンズシステムは、以下の条件式(1)を満たす。
0.3<fF/fB<1.85 (1)
ここで、fFは前記第1レンズ群の有効焦点距離であり、fBは前記第2レンズ群の有効焦点距離である。
【発明の効果】
【0005】
上記の条件式を満たせば、レンズの全長が短く、且つ優れた結像品質を有するレンズシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】本発明の第一実施形態に係るレンズシステムの構造を示す図である。
【図2】図1に示す本発明の第一実施形態に係るレンズシステムの球面収差図である。
【図3】図1に示す本発明の第一実施形態に係るレンズシステムの像面湾曲図である。
【図4】図1に示す本発明の第一実施形態に係るレンズシステムの歪曲収差図である。
【図5】図1に示す本発明の第二実施形態に係るレンズシステムの球面収差図である。
【図6】図1に示す本発明の第二実施形態に係るレンズシステムの像面湾曲図である。
【図7】図1に示す本発明の第二実施形態に係るレンズシステムの歪曲収差図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照して、本発明の実施例について説明する。
【0008】
図1を参照すると、本発明の第一実施形態に係るレンズシステム100には、物体側から像側(結像面に近い一端)に向かって、正の屈折力を有する第1レンズ群10、絞り16、負の屈折力を有する第2レンズ群20、保護ガラス17、及び結像面18が順に配列されている。
【0009】
前記第1レンズ群10には、物体側から像側に向かって、負の屈折力を有する第1レンズ11及び正の屈折力を有する第2レンズ12が順に配列されている。前記第2レンズ群20には、物体側から像側に向かって、負の屈折力を有する第3レンズ13、正の屈折力を有する第4レンズ14、及び負或いは正の屈折力を有する第5レンズ15が順に配列されている。
【0010】
前記第1レンズ11、前記第2レンズ12、前記第3レンズ13、前記第4レンズ14、及び前記第5レンズ15の材料は、それぞれプラスチック、ポリマー、ガラスの中から選ばれたいずれか一種である。製造コストを下げるために、前記第1レンズ11、前記第3レンズ13、及び前記第5レンズ15は、プラスチックレンズを使用することが好ましい。
【0011】
前記第1レンズ11、前記第2レンズ12、前記第3レンズ13、前記第4レンズ14、及び前記第5レンズ15の非球面形状は、以下の数式によって表される。
【0012】
【数1】

【0013】
cはレンズ表面中心の曲率であり、hは光軸からレンズ表面までの高さであり、kは二次曲面係数であり、Aiは第i次の非球面形状の係数である。
【0014】
前記レンズシステム100が結像する際、光は、前記第1レンズ群10、前記絞り16、前記第2レンズ群20及び保護ガラス17を順に通り、最後に結像面18で結像される。
【0015】
前記第1レンズ群10、前記絞り16、及び前記第2レンズ群20は、鏡筒内に位置しており、該鏡筒は、ホルダーに螺合される。
【0016】
前記第1レンズ11は、物体側に対向する第1表面111及び像側に対向する第2表面112を備える。前記第2レンズ12は、物体側に対向する第3表面121及び像側に対向する第4表面122を備える。前記第3レンズ13は、物体側に対向する第5表面131及び像側に対向する第6表面132を備える。前記第4レンズ14は、物体側に対向する第7表面141及び像側に対向する第8表面142を備える。前記第5レンズ15は、物体側に対向する第9表面151及び像側に対向する第10表面152を備える。
【0017】
レンズの全長が短く、且つ優れた結像品質を有するレンズシステムを提供するために、前記レンズシステム100は、以下の条件式(1)を満たす。
【0018】
0.3<fF/fB<1.85 ……(1)
【0019】
ここで、fFは前記第1レンズ群10の有効焦点距離であり、fBは前記第2レンズ群20の有効焦点距離である。
【0020】
条件式(1)を満たすと、前記第1レンズ群10及び前記第2レンズ群20の屈折力を調整することができる。前記第1レンズ群10には、前記第1レンズ11及び前記第2レンズ12が使用され、且つ前記第2レンズ群20には、前記第3レンズ13、前記第4レンズ14、及び前記第5レンズ15が使用されると、収差及び歪曲収差が小さい範囲内で制御することができ、且つ前記レンズシステム100の全長も短くなる。
【0021】
前記第3レンズ13及び前記第4レンズ14の屈折力を調整して、全画角の範囲内での画像の品質を高めるために、前記第3レンズ13及び前記第4レンズ14は、以下の条件式(2)を満たす。
【0022】
0.48<|f3/f4|<1.42 ……(2)
【0023】
ここで、f3は前記第3レンズ13の有効焦点距離であり、f4は前記第4レンズ14の有効焦点距離である。
【0024】
前記第2レンズ12、前記第3レンズ13、及び前記第4レンズ14の色収差を良好に補正するために、前記第2レンズ12、前記第3レンズ13、及び前記第4レンズ14は、以下の条件式(3)及び(4)を満たす。
【0025】
1.6<V2/V3<2.5 ……(3)
【0026】
1.6<V4/V3<3.6 ……(4)
【0027】
ここで、V2は前記第2レンズ12のアッベ数であり、V3は前記第3レンズ13のアッベ数であり、V4は前記第4レンズ14のアッベ数である。
【0028】
第一実施形態において、前記レンズシステム100は、以下の表1、表2−1、表2−2、表2−3、及び表3の条件を満たす。前記レンズシステム100の有効焦点距離は、5.323mmであり、画角(FOV)は61°であり、絞り数(FNO)は2.4である。
【0029】
【表1】

【0030】
【表2−1】

【表2−2】

【表2−3】

【0031】
【表3】

【0032】
前記レンズシステム100の球面収差、像面湾曲、及び歪曲収差は、図2乃至図4に示したとおりである。図2の曲線a、b、cは、それぞれ波長が486nm、588nm、656nmである光線の球面収差曲線である。本実施形態に係る前記レンズシステム100の可視光線(波長範囲は、400nm〜700nmである)に対する球面収差値は、−0.2mm〜0.2mmの範囲である。図3のA、B、Cは、それぞれ波長が486nm、588nm、656nmである光線のT(Tangential field curvature curve)特性曲線及びS(Sagittal field curvature curve)特性曲線である。図3に示したように、T特性曲線及びS特性曲線は、全て−0.2mm〜0.2mmの範囲内に制御される。図4のL、M、Nは、それぞれ波長が486nm、588nm、656nmである光線の歪曲収差特性曲線である。図4に示したように、歪曲収差は、−5%〜5%の範囲内で制御される。前記レンズシステム100の球面収差、像面湾曲及び歪曲収差は、全て、より小さい範囲内で制御(修正)される。
【0033】
また、本発明の第二実施形態において、前記レンズシステム100は、以下の表4、表5−1、表5−2、表5−3、及び表6の条件を満たす。前記レンズシステム100の有効焦点距離は、5.312mmであり、画角(FOV)は59°であり、絞り数(FNO)は2.4である。
【0034】
【表4】

【0035】
【表5−1】

【表5−2】

【表5−3】

【0036】
【表6】

【0037】
第二実施形態に係る前記レンズシステム100の球面収差、像面湾曲及び歪曲収差は、図5乃至図7に示したとおりである。図5の曲線a、b、cは、それぞれ波長が486nm、588nm、656nmである光線の球面収差曲線である。本実施形態に係る前記レンズシステム100の可視光線(波長範囲は、400nm〜700nmである)に対する球面収差値は、−0.2mm〜0.2mmの範囲である。図6のA、B、Cは、それぞれ波長が486nm、588nm、656nmである光線のT(Tangential field curvature curve)特性曲線及びS(Sagittal field curvature curve)特性曲線である。図6に示したように、T特性曲線及びS特性曲線は、全て−0.2mm〜0.2mmの範囲内で制御される。図7のL、M、Nは、それぞれ波長が486nm、588nm、656nmである光線の歪曲収差特性曲線である。図7に示したように、歪曲収差は、−5%〜5%の範囲内で制御される。前記レンズシステム100の球面収差、像面湾曲及び歪曲収差は、全て、より小さい範囲内で制御(修正)される。
【0038】
以上、本発明を実施形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々の変更が可能であることは勿論であって、本発明の保護範囲は、以下の特許請求の範囲から決まる。
【符号の説明】
【0039】
100 レンズシステム
10 第1レンズ群
11 第1レンズ
12 第2レンズ
13 第3レンズ
14 第4レンズ
15 第5レンズ
16 絞り
17 保護ガラス
18 結像面
20 第2レンズ群
111 第一表面
112 第二表面
121 第三表面
122 第四表面
131 第五表面
132 第六表面
141 第七表面
142 第八表面
151 第九表面
152 第十表面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体側から像側に向かって、正の屈折力を有する第1レンズ群及び正の屈折力を有する第2レンズ群が順に配列され、以下の条件式(1)を満たすことを特徴とするレンズシステム。
0.3<fF/fB<1.85 (1)
ここで、fFは前記第1レンズ群の有効焦点距離であり、fBは前記第2レンズ群の有効焦点距離である。
【請求項2】
前記第1レンズ群には、前記物体側から前記像側に向かって、負の屈折力を有する第1レンズ及び正の屈折力を有する第2レンズが順に配列され、
前記第2レンズ群には、前記物体側から前記像側に向かって、負の屈折力を有する第3レンズ、正の屈折力を有する第4レンズ、及び、負或いは正の屈折力を有する第5レンズが順に配列されることを特徴とする請求項1に記載のレンズシステム。
【請求項3】
前記レンズシステムは、以下の条件式(2)を満たすことを特徴とする請求項2に記載のレンズシステム。
0.48<|f3/f4|<1.42 (2)
ここで、f3は前記第3レンズの有効焦点距離であり、f4は前記第4レンズの有効焦点距離である。
【請求項4】
前記レンズシステムは、以下の条件式(3)及び(4)を満たすことを特徴とする請求項2又は3に記載のレンズシステム。
1.6<V2/V3<2.5 (3)
1.6<V4/V3<3.6 (4)
ここで、V2は前記第2レンズのアッベ数であり、V3は前記第3レンズのアッベ数であり、V4は前記第4レンズのアッベ数である。
【請求項5】
前記第1レンズ群は、少なくとも1つの非球面表面を備えることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のレンズシステム。
【請求項6】
前記第1レンズ、前記第3レンズ、及び前記第5レンズは、それぞれ少なくとも1つの非球面表面を備えることを特徴とする請求項2から4のいずれか一項に記載のレンズシステム。
【請求項7】
前記第1レンズ、前記第3レンズ、及び前記第5レンズは、プラスチックレンズであることを特徴とする請求項2から4及び6のいずれか一項に記載のレンズシステム。
【請求項8】
前記レンズシステムは、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との間に設置された絞りをさらに備えることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載のレンズシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−92774(P2013−92774A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−230568(P2012−230568)
【出願日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【出願人】(503023069)鴻富錦精密工業(深▲セン▼)有限公司 (399)
【出願人】(500080546)鴻海精密工業股▲ふん▼有限公司 (1,018)
【Fターム(参考)】